【ミリマス】未来「抗議する! 抗議するぞ!」 (17)

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 今、劇場楽屋で一人の少女が立ち上がる! 

 休憩中や待機中の友人たちが何事かと視線を向ける中、
 彼女は拳をえいえいと振りながら宣言した!

「抗議する、抗議するぞ!」

 "こうぎ"と言うより"こーぎ"といった発音で、春日未来は最上静香に詰め寄ると。

「私、静香ちゃんに抗議する!」

「はぁ?」

「抗議するぞ? 抗議しちゃうぞ!」

「未来、一体どうしたの?」

「どうもこうも無いよ! 抗議するの!」

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「……何の? と言うか何を? 私、アナタに文句を言われるようなこと――」

「その態度!」

「えっ」

「その、人をナチュラルに下に見る態度に抗議する!」

「し、下に!? まさか、そんなつもりは微塵もないわ!」

「いいや、あるね! その切れ長で理知的な瞳の中に、私を蔑視する意思を感じるね!」


 全く静香にとっては心外だった。

 彼女は未来のことを親友と思いはすれ、馬鹿にするなど、
 まして自分よりも下に見ているつもりなど無かったのだから。

 だが、未来は「むすー!」と不満に頬を膨らませ、
 その可愛らしい眉を逆さハの字につり上げて。

「大体口調からして偉そうだよ。私のこと"アナタ"とか呼んで……お母さんですか!?」

「そんなワケないでしょう!? だ、大体アナタのことをアナタって呼んで何が悪いのよ!」

「私は静香ちゃんの旦那さんでもないんだよ!?」

「当然でしょう! バカ言わないで!」

「ほら! それっ!」


 してやったり、未来が静香を指でさす。


「バカって言った! やっぱり私を下に見てる!」

「今のは言われたって仕方が無いわ!」

「仕方なくないもん! いい、静香ちゃん? 世の中には二種類の人間がいるの!」

「はぁ? 論点ずらしのつもりなの?」

「ろんてんずらし……?」

「……ごめんなさい、続けて」


 静香にそっと促され、未来が再び喋り出す。

「だからね、二種類の人間が。バカじゃない人と、これから賢くなる人だよ!」

「……未来はどっち?」

「えっ? あ、私はね~」

 訊き返された未来が、しばし宙を見る。

「できれば賢いねって言われたいな~♪」

「ならやっぱりバカじゃない!」

「あー、もー! またバカって言った、静香ちゃんのバカ!」

「バカって言う方がバカなのよ!」

「バカ!」

「馬鹿!」

「バカー!」

「ばーか!」


 そして始まる水掛け論。

 何度かの馬鹿と河馬の応酬の後、
 これではらちが明かないと静香がえいえい腕を振り言った。

「こ、抗議する! だったら私も抗議するわ!」

「えぇっ!?」

「私、未来に抗議する!」

「それ私の台詞! とっちゃヤダ~!」

「抗議するぞ? 抗議しちゃうぞ!」

「うぅ、何のだろ? と言うか何をかな? 私、静香ちゃんに文句を言われるようなこと――」

「その態度! あと鳥頭!」

「は、はいっ! ……ん?」

「その、ナチュラルに自分の非を認めない態度に抗議するわ!」

「今凄く酷い事言われたような――って、認めなくないもん! 悪いことしたら謝れるよ!」

「いいえ、嘘ね! そのおバカ丸出しの顔の中に、
『このぐらいなら笑って流してもらえるかな? でへへ~』なんてお目こぼしを狙う意思を感じるわ!」


 全く未来にとっては心外だった。

 彼女はほんの数分前の自分の言動を忘れはすれ、進んで悪事を働いたり、
 まして故意に人を困らせて、楽しもうとしたことなど無かったのだから。

 だが、静香は「ほら見なさい!」と言わんばかりにその慎ましい胸を張ると。

「大体呼称からしてよそよそしいの。私のこと静香ちゃんだなんて……のび太のつもり!?」

「えっ? えぇっと……?」

「こっちは未来って呼んでるのに、いつまで経っても静香って呼び捨てにしてくれない!」

「だ、だって静香ちゃんはほら、静香ちゃんって感じだし」

「翼は呼び捨てにしてるのに?」

「つ、翼は翼って感じだもん……」

「ほら、そこっ!」

 してやったり、静香が未来を指でさす。


「どうしてそこで謝れないの? 
『ホントだ、私が悪かったよ……静香』ぐらい言ってくれたっていいでしょうに!」

「わっかんないよー! ちゃんと言ってくれないと~!」

「だから今言ったじゃない! 抗議したわよ? 未来も私に好誼して!」

「え、ええ~?」


 そして未来は戸惑いつつも、目の前の親友の瞳を真っ直ぐに見つめてこう言った。


「ご、ごめんなさい」

「違うっ!」

「静香ちゃん、ごめんね?」

「可愛いけど違う! 静香、コールミー静香!」

「し、静香! ごめんっ!」

「もっと悪っぽく! 自分勝手なダメ男が、それでも自分を見捨てない尽くす彼女に言うように!」


 このままではらちが明かないと、静香が未来の腕を取り楽屋の壁近くまで移動する。

 そうして自らは壁に背を向け立ち、掴んでいた手は自分の顔の横に突き立てて……
 要は未来に、壁ドンの姿勢を取らせると。

「ほら言って」

「うぅ、許して静香ちゃ~ん!」

「だから静香!」

「ごめんなさい~! もう抗議なんてしないから~!」

 えぐえぐと涙ぐんで見せても、静香の怒りは収まらない。

 その後も続く二人のやり取りを、何とはなしに眺めていた百合子の隣で杏奈が言った。

「あ……あのね、百合子さん?」

「ん? どうしたの杏奈ちゃん」

 杏奈が、ゲーム機を持った手をえいえいと振る。

「抗議する、……します! 杏奈、ビビッと抗議するぞ!」

===
以上、おしまいです。えいえい腕を振る女の子っていいよな~って。
未来ちゃんの子供っぽいえいえいも、静香の恥ずかしがりながらのえいえいも。

では、お読みいただきありがとうございました。

イチャイチャしやがって
乙です

>>1
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/aQyOApp.jpg
http://i.imgur.com/vahU53m.jpg

最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/Czn3H0B.jpg
http://i.imgur.com/CfNZjkM.jpg

>>8
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/m6Y8Lf2.jpg
http://i.imgur.com/4eHfLZQ.jpg

七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg
http://i.imgur.com/o295Heq.jpg

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