しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」 (1000)
・クレヨンしんちゃんとポケモンSMのクロスオーバーSS
・ストーリーの流れはムーン版準拠。カットしている場面(スクールやジガルデ等)や設定改変、シナリオ改変、キャラ崩壊、敵の手持ちの変更あり
・戦闘描写も適当に書いているので技構成など相当ガバガバです
・ネタバレが多いのでご注意ください
・取り扱っている作品が作品なので、下ネタ多し
次レスからスタートです
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…… …… ……
【プロローグ】
…… …… ……
カスカベ地方・空港
『アローラ地方のククイ博士から連絡です』
ひろし「おっ、博士から連絡だ」カタカタ
ひろし「あ、どうもこんばんはー……じゃなくて、こんにちは」
ノートPC『…………。 …………?』
ひろし「しんのすけですか? みさえ、しんのすけは?」
みさえ「あれ? さっきまでここにいたはずなんだけど……どこ行ったのかしら?」
ひろし「オイオイ……。スミマセン、ちょっと待っててくれますか?」
ノートPC『……。 …………』
みさえ「しんのすけー? どこにいるのー?」
しんのすけ「おねいさーん! 機内食はきのみ派? ポフィン派? それともオ・ラ・派?」
げ ん
こ つ
しんのすけ「」
みさえ「さっきまでみんなと別れて落ち込んでたと思ったらすぐナンパして! ポジティブなのかなんなのか……」
ひまわり「ケッ!」
ひろし「おっ、きたきた。すぐ代わります」
ひろし「しんのすけ、向こうでお世話になるククイ博士だ」
しんのすけ「ほーい」
ククイ博士『やあ、こんばんは! いよいよアローラにやってくるね!』
しんのすけ「いやぁ、とーちゃんがお仕事の都合で転勤になって、一家揃って二度目のお引越しだけど、忙しくてまいっちゃうよね」
ひろし「余計なことは言わなくていいの!」
ククイ博士『ハハハ……。大丈夫、アローラはみんな大らかで楽しいところだぜ! 友達もいっぱいできるさ』
ククイ博士『さて、アローラは地続きのカスカベ地方とは真逆で、いくつかの島が集まって出来ている地方。それが理由なのか珍しいポケモンばかりだぜ!』
ククイ博士『そう! アローラにも、ポケットモンスター――縮めて『ポケモン』がたくさんいる! ポケモンは本当に不思議な生き物でね――』
ポンッ
イワンコ『ワンワンッ!』
ククイ博士『草むらや洞窟、空、海……いたるところにいて、ぼくたちはポケモンの力を借りたり、助けあったり、ポケモントレーナーとしてポケモンを戦わせたりするんだ!』
イワンコ『ワン!』
ククイ『イワンコ、大事な話だからね。遊ぶのは待っててくれるかい? さて、みんなに紹介するから……』
ククイ博士『しんのすけ……? ぉーい、さっきから顔がこっち向いてないけど……』
しんのすけ「ZZZ……」
みさえ「こらっ、博士が話しているのに寝ちゃダメでしょ! スミマセン……」
ククイ博士『いえいえ、いいんですよ。僕の言葉はしんのすけにとって、さいみんじゅつになっちゃったかな?』
ククイ博士『それじゃあ、こっちに着いたら、僕と一緒に来てみんなに紹介してもらおうかな』
みさえ「はい、よろしくお願いします」
ククイ博士『じゃ、みんなの到着を、楽しみに待ってますよ!』
プツン!
ひろし「……おっと、そろそろフライトの時間だ」
みさえ「ほらしんのすけ、起きなさい! 行くわよ!」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
クレヨンしんちゃん×ポケットモンスター サンムーン
嵐を呼ぶゼンリョク! アローラ地方大冒険!
OPテーマ「オラはにんきもの」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
…… …… ……
【メレメレ島編】
…… …… ……
アローラ地方
メレメレ島 自宅
ひろし「輝く太陽!」
みさえ「見たことのない姿のポケモン!」
しんのすけ「ボン! キュッ! ボン! なアローラのおねいさん!」
ひろし「来たぜ!」
野原一家「「「アローラ地方!!」」」
シロ(ペロッパフ)「アンッ!」
みさえ「さ、みんな、荷物の片付けしちゃうわよ!」
ひろし「ようし、早いとこ片付けて、アローラでしか見られないポケモンを見に行こうぜ!」
しんのすけ「じゃ、オラビーチに行っておねいさんを……」
ギュウウゥ……
しんのすけ「いれれれれ!」
みさえ「アンタはパパのお手伝いをするの!」
しんのすけ「ほ、ほひゃい……」
ピンポーン!
みさえ「あら? 誰かしら?」
ひろし「ククイ博士じゃないのか?」
みさえ「はーい!」
ガチャ
ククイ博士「お邪魔します!」
みさえ「あら、博士!」
ククイ博士「野原さん、あらためまして! ククイと申します。ようこそ、アローラへ!」
ひろし「あ、どうもどうも、ククイ博士」
みさえ&ひろし(は、裸の上に白衣って……。一歩間違えたら変質者だぞ)
ククイ博士「やぁ、しんのすけ!」
しんのすけ「よ!」
ククイ博士「僕がククイです! よろしく! アローラ地方への長旅、おつかれさま! 時差ボケは大丈夫かい?」
しんのすけ「ばあさんや、飯はまだかのぅ。じいさんや、さっき食べたじゃありませんか」
ひろし「そういう意味じゃねぇよ」
ククイ博士「アローラとカスカベは遠く離れているからね。こっちは昼で驚いただろ?」
みさえ「ええ、なんか変な気分ですね。夜起きちゃったらどうしようかとホホホ……」
しんのすけ「いつも夜ふかしして『ふぞろいのチーゴのみ』見てるくせに」
みさえ「なんか言った?」ギロッ
しんのすけ「いえ、なんも!」
ククイ博士「さて、しんのすけ! せっかくだから隣町に行こうぜ! みんなにしんのすけのこと、紹介しなくっちゃな!」
みさえ「あらーいいじゃない。行ってきたら、しんちゃん」
しんのすけ「えーっ? オラ、これから自室のお片付けしなくちゃいけないので……」
ひろし「うちにお前の部屋のスペースなんてねぇよ」
ククイ博士「そう言うなって。ほら、みんな君が来るの楽しみにしてるんだから、行こうぜ!」グイグイ
しんのすけ「いやーん! ハカセのケダモノぉぉっ」
みさえ「それじゃあよろしくおねがいしまーす」ペコリ
ひろし「しんのすけ、友達と会ったらアローラって挨拶するんだぞ」
1番道路
ククイ博士「さてと! ポケットモンスターの楽園、アローラ地方にようこそ! アローラでも、人はポケモンと力をあわせ、暮らしている」
ククイ博士「なにより……ポケモンがいれば、どこにだって行ける! さあ! リリィタウンはこっちからが近いぜ」
ククイ博士「そういえば、しんのすけ、君はまだ自分のポケモンを持ってないんだろ?」
しんのすけ「まーね、シロがいるけどちょっと違うし」
ククイ博士「そうか、君も11歳になったら、しまキングからポケモンを貰うんだよ。今から楽しみになってくるんじゃないかな?」
しんのすけ「しまキング?」
ククイ博士「ああ、しまキングはね、ポケモンを戦わせたら敵なしのポケモントレーナーさ! リリィタウンでは冒険する子供のために、しまキングがポケモンをくれるんだ」
しんのすけ「ファイヤーとかサンダーとかボンバーとか?」
ククイ博士「ハハハ、さすがにそういうポケモンは持ってないかなぁ。あと、ボンバーっていうポケモンは聞いたことないな」
タロウ「博士―!」
ククイ博士「おっ、アローラのポケモントレーナーが来たぜ!」
タロウ「今度おすすめの技、教えてよ」
ククイ博士「ほんとは決めてるんだろ? きみの自慢のポケモンが新しい技を覚えたら、また勝負しようぜ!」
ククイ博士「……あれっ? しんのすけ?」
しんのすけ「おねいさーん、オラと一緒にアローラのすがたになってみなーい?」
ミニスカート「え、えーっと……」
ククイ博士「なかなかいい『おだてる』だね、しんのすけ! だけど、草むらの中にポケモンも連れてないで入っちゃダメだよ! 野生のポケモンが飛び出してくるんだから」
しんのすけ「ほーい」
ミニスカート「あっ、博士、今度あたしのポケモンの技を見て欲しいです!」
ククイ博士「もちろんいいぜ、楽しみにしているよ!」
しんのすけ「オラにおとらずモテモテですな。ハカセって、ゆーめーじんなの?」
ククイ博士「有名人って言うより、リリィタウンのみんなの先生ってところかな。僕はこれでも、ポケモンの技を日夜研究しているんだ」
しんのすけ「おお、だからハカセはいちいちセリフの中にワザのおなまえを入れてるのかー」
ククイ博士「おっ、気付いてくれたのか! うれしいぜ」
しんのすけ「いや~わかりやすいわかりやすい」
ククイ博士「みんな突っ込んでくれなくてね。しんのすけが初めてだよ」
しんのすけ「いやん、照れますなぁ」
リリィタウン 広場
ククイ博士「来たぜ! 着いたぜ!! リリィタウン!! メレメレ島の守り神であるポケモン……カプ・コケコを祭っているんだ!」
しんのすけ「あの台はなーに?」
ククイ博士「あれは土俵だよ。この島名物のアローラ相撲を執り行ったり、ポケモン勝負をする場所さ」
???「はかせー! アローラ!」フリフリ
ククイ博士「アローラ、ハウ!」
ハウ「わー! 見たことない子ー! ひょっとして君がこっちに引っ越してきたしんのすけー?」
しんのすけ「あんた誰?」
ハウ「おれー? おれねーハウ! しまキングの孫! でねーニャビーがパートナーなのー」
ハウ「なーなー、ポケモン勝負しよーよー」
ククイ博士「ハウ、しんのすけはまだポケモンを持ってないんだ。その代わり、今度しんのすけにトレーナーの心得を教えてあげなよ!」
ハウ「そっかー。でも、楽しみができたからいいやー! よろしくねー」
しんのすけ「うんうん、ハウくんはお元気でよろしいですな」
ククイ博士「そういえば、他のみんなはどこへ行ったんだ? ここで待ち合わせのはずだけど……」
ハウ「じーちゃん、なんかカプが騒いでるって言って出かけてっちゃったー。リーリエは知らないー」
ククイ博士「そうか、ならマハロ山道に行ってるのかな? ハウはハラさんを連れてきてくれ。僕はこの辺りでリーリエを探してくるからさ」
ハウ「うんー」
しんのすけ「オラは? オラは?」
ククイ博士「君はここでみんなが行き違いにならないように待っててくれ。さっきみたいに勝手にどっか行っちゃったりするなよ?」
ハウ「また後であそぼーねー!」フリフリ
しんのすけ「ほっほーい!」
しんのすけ(ヒマだから探検しよーっと)
マハロ山道
しんのすけ「なーにかおーちてこないっかなー♪ くいもんおかねおねいさん♪」
???「……になにがあるというのです?」
しんのすけ「お?」
???「ぴゅい! ぴゅい!」
少女「バッグからでないで……。誰かに見られたら困ります」
しんのすけ(なんか、おもしろそーな人発見!)
マハロ山道 吊り橋前
オニスズメたち「キョーッキョーッ!」バサバサッ
ほしぐもちゃん「ぴゅ……ぴゅい」ビクビク
少女「……」オロオロ
しんのすけ「ほっほーい! どしたのー?」
少女「……!」クルッ
しんのすけ「お? パーティーですかな?」
少女「あの……助けてください……ほしぐもちゃんを」
しんのすけ「ほしぐもちゃん?」
オニスズメたち「キョーッキョーッ!」バサバサッ
ほしぐもちゃん「ぴゅ……」ビクビク
しんのすけ「おねいさんが助けに行けばいいじゃん」
少女「その……オニスズメさんに襲われ……でも……わたし、怖くて……足がすくんじゃって……」ガクガク
しんのすけ「……んもーしょーがないなぁ」
少女「あっ……危ないです。それより誰か大人の人を呼んで……」
しんのすけ「ほっほーい♪」グラグラ
少女「ど、どうしよう……」オロオロ
しんのすけは、三匹のオニスズメを前にしてもためらわず、『ほしぐもちゃん』に手を伸ばしてかかえた。
しんのすけ「おケガなーい?」
ほしぐもちゃん「ぴゅ、ぴゅい」ビクビク
オニスズメ「キーッ!!」
しんのすけに、獲物を奪われまいとオニスズメたちがカギ爪やクチバシを立ててしんのすけを襲ってきた!
しんのすけ「やーい来てみろ来てみろー」ヒョイヒョイヒョイ
オニスズメたち「キョーッキョーッ!!」
少女「あの……早く、早く戻ってきてください」
しんのすけ「ほいほーい」ヒョイヒョイヒョイヒョヒョイノヒョイ
しんのすけ「あ」ズルッ
少女「……ッ!」
しんのすけ「おわーっ!」ヒュウウウウ
ほしぐもちゃん「ピュ……ピュウ!」
足を踏み外し、ほしぐもちゃんと一緒に落下していくしんのすけ。ほしぐもちゃんが危機を感じて光を帯びていく。
その時、青空に黄色いポケモンが現れ、真っ直ぐにしんのすけたちに向かって飛んできた!
ポケモンは危うく川に落ちかけるしんのすけを抱えると、少女のそばまで運び、下ろした。
ポケモン「……」
しんのすけ「おーっ! 今のもっかいやってー!」パチパチ
少女「……」アゼン
ポケモン「…………」
ポケモン「カプゥー! コッコォー!」
しんのすけを見つめていたポケモンは咆哮を上げると、全身に電気をまといながら、飛び立ってしまった。あっという間に、空へ消えていく。
しんのすけ「なに? 今のポケモン……」
ほしぐもちゃん「ピュイ……」
少女「よかった……です……あなた……また『力』を使おうとして……あのあと、動けなくなったでしょ……あんな姿、みたくないのです」
少女「ううん、ごめんなさい……。あのとき、あなたはわたしを助けてくれた……。なのに、あなたを守れなくて……」
しんのすけ「あのー……」ジロー
少女「あっ……申し訳ありません……危ないところを助けてくださり、心から感謝しております」
しんのすけ「礼はいらない。アメなら欲しい」
ほしぐもちゃん「ピュウ!」つかがやく石
少女「石……?」
少女「これ……あなたの石ですよね?」
しんのすけ「オラ、こんな石持ってないよ? ま、くれるってなら貰うけど」
少女「あの……このコのこと……誰にもいわないで……ください。秘密で……秘密でお願いします」
しんのすけ「大丈夫、オラ尻は柔らかい方だから」
少女「それを言うなら……口は固い、じゃないですか?」
」
しんのすけ「そーともいうー」
少女(……本当に大丈夫でしょうか。……不安になってきました)
少女「ほしぐもちゃん……バッグに入ってください」
ほしぐもちゃん「ピュウ……」
テクテク
少女「石……?」
少女「これ……あなたの石ですよね?」
しんのすけ「オラ、こんな石持ってないよ? ま、くれるってなら貰うけど」
少女「あの……このコのこと……誰にもいわないで……ください。秘密で……秘密でお願いします」
しんのすけ「大丈夫、オラ尻は柔らかい方だから」
少女「それを言うなら……口は固い、じゃないですか?」
」
しんのすけ「そーともいうー」
少女(……本当に大丈夫でしょうか。……不安になってきました)
少女「ほしぐもちゃん……バッグに入ってください」
ほしぐもちゃん「ピュウ……」
テクテク
リリィタウン 広場
ククイ博士「おっ、いたいた! しんのすけー勝手に行っちゃダメって言ったじゃないかー」
しんのすけ「いやぁ、五歳児の辞書にヒマなんてコトバはないんですよ」
ククイ博士「おや? でもマハロ山道から帰ってきたってことは助手に会ったのかな?」
しんのすけ「じょしゅ?」
少女「あっ……」
ククイ博士「では、あらためて紹介しようか! こちらは、僕の助手のリーリエだ!」
少女「えっ? はい……リーリエと申します」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ五歳! 趣味は道ばたではねるコイキングごっこ。しんちゃんって呼んでね」
ククイ博士「リーリエが出会ったのが、昨日アローラに来たばかりのしんのすけだよ! 色々、教えてあげてよ!」
リーリエ「ククイ博士のお知り合いなのですね。よろしくお願いします」ペコリ
しんのすけ「まだオラ、ハカセとお尻を見せ合っていないけどね」
リーリエ「お、おしり……?」
ハウ「はかせーじーちゃん連れてきたよー」
ハラ「なにか、ありましたかな?」
ククイ博士「ちょっと……ハラさんどこに行ってたんですか?」
ハラ「しまキングですからな。島の問題が起これば解決にいきますな」
ハラ「で、リーリエ、なにかありましたかな? なにやら、カプ・コケコの飛ぶ姿をみかけましたが」
リーリエ「あの、ハラさん……吊り橋の上で、オニスズメさんに襲われていたこのコを、こちらの方に守ってもらいました。でも足を踏み外して……谷底に落ちそうになり……そこを、島の守り神さんに助けていただいたのです」
ククイ博士「おお! そいつはすごいぜ!」
しんのすけ「えっへん!」ドヤァ
ハラ「ほう! 守り神といわれるも気まぐれな、カプ・コケコの心を動かしたのですな!」
ハラ「はじめまして、メレメレの『しまキング』ハラと申します。ようこそ、アローラへ!ククイから君のことは聞いていました。お会いできて、うれしいですな!」
しんのすけ「オラもハラのおじさんに会えてこーえーですな! ハラのおじさんのハラもタプタプですな」ペチペチ
リーリエ「あのっ、失礼ですよ」
ハラ「はっはっはっ! 構いませんぞ! そのむかし、ハウがしんのすけと歳が同じころ、よくハラをタプタプされたのを思い出しますな」
ハウ「えー? そうだったっけー? 覚えてないやー」
ハラ「君が覚えてなくとも、このハラは覚えてるぞ。……おお、話が逸れるところでしたな! 時間があれば、しんのすけのご家族ともご挨拶したいですな」
しんのすけ「うーん……かーちゃんのハラとハラのおじさんのハラ、どっちが凄いのか気になるところですな」
ハウ「……? どゆことー?」
しんのすけ「ここだけの話、かーちゃんのお腹、三段ハラなんだ」
\ブフッ! ワッハッハッハッ!/
ハラ「これ、母親のことを悪く言ってはいけませんぞ」
ククイ博士「そんな顔で言っても、説得力ありませんよ。ハラさん」
リーリエ「…………」
しんのすけ「アローラ地方の食べ物っておいしいってかーちゃん言ってたから、きっときのみとかいっぱい食べて体重が増えるのが目に見えて……」キラッ
ハラ「ぬお? しんのすけ……お持ちのかがやく石を見せていただけるかな?」
しんのすけ「これ? ひまにあげようと思ってるけど、欲しいの?」つ かがやく石
ハラ「……おお! これは!」
ハウ「じいちゃん。それって、もしかして……」
ハラ「そういえば、しんのすけは、カプ・コケコに助けられたと……」
しんのすけ「カノ・エイコ?」
リーリエ「カプ・コケコです。橋から落ちた時に、あなたを助けてくださった、あのポケモンさんですよ」
ハラ「なるほど、石まで貰うとはなあ……! 君は、アローラに来るべくして来たのかもな」
しんのすけ「いや、とーちゃんの転勤の都合だけどね」
ハラ「しんのすけ! 石はちょいと預からせてもらいます。なあに、明日返しますから」
しんのすけ「ほーい!」
ククイ博士「じゃあしんのすけ、家まで送るよ! リーリエもいっしょだぜ。君の大事なあのコがはぐれると大変だからね」
リーリエ「はい……気を付けます」
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
リーリエ「ほら、言ったそばからバッグから出ないでください」
自宅
ククイ博士「じゃ、しんのすけ! また明日!」
リーリエ「……」ペコリ
しんのすけ「股ねー」
ガチャ
しんのすけ「おっかえりー!」
みさえ「ただいま、でしょ。今日はどうだったの?」
しんのすけ「実はかくかくしかじかで……」
みさえ「ふうん、ハウくんにリーリエちゃんに、しまキングのハラさんねぇ……。明日、改めてご挨拶に行かなくっちゃね」
しんのすけ「あれっ? とーちゃんは?」
みさえ「パパはお仕事。確かエーテル……なんとかっていう遠い島に行ってるから、夜遅くまで帰ってこないわよ」
しんのすけ「ほうほう、そこでとーちゃんが浮気相手を見つけて、そのまま暮らしていくんだな」
みさえ「縁起でもないこと言わないの!」
ひまわり「たいやー」
しんのすけ「ひまーホントはおみやげがあったんだけど、ハラのおじさんに貸しちゃったから、また明日ねー」
ひまわり「たや?」
しんのすけ「そだ、アクション仮面見なきゃ」
ピッ
TV『きょうもたべよぉ マラサダたべよぉ まだまだ マラサダー♪』
しんのすけ「あれー? かーちゃん、アクション仮面やってないんだけどー」
みさえ「やってるわけないでしょ。カスカベ地方とは全然違うんだから」
しんのすけ「ガ~ン! ……それじゃカンタムは? チョコビは?」
みさえ「無いわよ。アローラ地方ってそのぐらい遠いもん」
しんのすけ「」
しんのすけ(……こっそり持ってきたかけなしのチョコビ、大事に食べないと)
翌日 自宅
ピンポーン
みさえ「あら? 誰かしら?」
ガチャ
みさえ「はーい」
ククイ博士「こんにちは、奥さん」
みさえ「あら、ククイ博士」
ハウ(この人がしんのすけの言ってた三段ハラかー)
ククイ博士「しんのすけはいるかな?」
みさえ「ええ、リビングにいますけど――そちらの子は?」
ハウ「アローラ! しんのすけのおばさん。おれはハウですー」ニコニコ
みさえ「あら、あなたがしんのすけの言っていた……。アローラ」
みさえ「ちょっと待っててね。今呼んでくるから」ドテドテ
シンノスケーククイハカセトハウクンヨー
オラ、イソガシイノ
ミチバタニコロガルオハギゴッコナンテヤッテナイデ、ゲンカンニイキナサイ!
チガウモン! ハマベデヒヤケスルナマコブシゴッコダモン
ドーデモイイワ! イイカラハヤクイキナサイ!
ハウ「にぎやかな家族だねー」
ククイ博士「これからもっとにぎやかなことになるさ」
トテトテ
しんのすけ「おたませー」
ククイ博士「おっ、そのコスプレはナマコブシかな?」
しんのすけ「そうそう、ホラ、とびだすなかみもできるんだよー」クイッ ウニョー
ハウ「すごーい、よくできてるなー」プニプニ
しんのすけ「あン、そこ触っちゃダメぇ……///」
みさえ「こーら、そんなコスプレしてないの。それじゃあよろしくお願いします」
ククイ博士「あぁ、もしお時間がよろしければ奥さんも一緒に。大事な話があるので」
みさえ「えっ? 大事な話? ちょっとしんのすけ、アンタまさかヘンなイタズラしたんじゃないでしょうね?」
しんのすけ「ううん、昨日帰ったあとにかーちゃんの高級パックでオラのインドぞうさんをスベスベにしたぐらいしか……」
みさえ「今のちょっと聞き捨てならないわねぇぇどういうことよぉぉっ!」グリグリグリグリ
しんのすけ「ひいいいっ! 久しぶりのグリグリ攻撃ィィ!」
ククイ博士「おおっ! 見たことのない技だ! これはかくとうタイプの技だな!」
ハウ「はかせーそんなこと言ってる場合じゃないでしょー」
ククイ博士「あ……そうそう、しんのすけは外で悪さしてませんよ。それどころか、しんのすけは『選ばれた』んです」
みさえ「選ばれた?」ピタッ
しんのすけ「なにに?」
ククイ博士「それは、これから案内する場所でお話します」
ハウ「おれとじーちゃんちでねー」
リリィタウン ハウとハラの家
みさえ「し、島巡り!?」
しんのすけ「ほうほう」
ハラ「そう、しんのすけはカプ・コケコに選ばれて、島巡りをする権利を得たのですな」
しんのすけ「しまめぐりってなーに?」
ククイ博士「説明しよう!」
――島巡りとは!
――アローラ最強のトレーナー! 島巡りチャンピオンをめざす
――少年少女と、ポケモンの冒険なんだ!!
ククイ博士「4つだ!」
ククイ博士「アローラには、このメレメレ島の他にも『アーカラ島』『ウラウラ島』『ポニ島』、合わせて4つの島があって、それぞれしまキングがいるんだ!」
ハウ「しまキングに認められるために、7つの試練をこなしていくんだよー」
ハラ「本来、島巡りは11歳から行われるものなのです。ですが、しんのすけは守り神のカプ・コケコに認められて、例外として5歳から島巡りを行うことができるようになった、というわけですな!」
みさえ「認められたって……どういうふうに? その証はあるんですか?」
ハラ「証は、これですな」スッ
ハラはみさえとしんのすけの前に、石で出来た腕輪が置かれた。
ひまわり「たーいっ!」キラキラ
みさえ「これは……腕輪ですか? 」
ハラ「これはZリング。Zリングはポケモンの秘めた力……Zパワーを引き出す、不思議な腕輪!」
ハラ「われわれしまキングは、カプ・コケコに頂いたかがやく石を加工して、Zリングにするのですな。もっとも、島巡りをして、Zクリスタルを集めねば、Zパワーは発揮できませぬがな」
しんのすけ「これって、オラが昨日拾った石?」
ククイ博士「そうだよ! そして君が、カプ・コケコに選ばれた証しなんだぜ!」
ハラ「それにしても、じかにかがやく石を貰うとは……君は、カプ・コケコに気に入られたのか……それとも、なにか使命があるのですかな」
しんのすけ「んー……なんかどっかで見たことある展開」
みさえ「あの、それってしんのすけにアローラ地方をひとり旅させるってことですか?」
ククイ博士「いえ、しんのすけ君はまだ5歳ですから、流石にひとり旅はさせませんよ」
ハラ「このハラの孫のハウも11歳を迎えまして、これから島巡りをさせるところでしてな。しんのすけの良き旅の導き手になれると自負できます」
ハウ「へへー」
ハラ「しんのすけにとっても、アローラの各地を巡って、様々なポケモンを見たり、体験できることは、これから一生残る経験になれると思いますが――いかがですかな?」
みさえ「…………」
ハウ「ねーねー! しんのすけも島巡りしようよー! 島巡りチャンピオンめざそーよ!」
しんのすけ「えーっ……めんどくさ」
ハウ「そんなーいいじゃーん! ポケモンのコトとかーアローラのコトとかーいろいろ教えたげるからさー!」
ククイ博士「いきなりアローラの風習をすすめられても、ピンと来ないかもな。だが、ポケモンの技を調べる僕にとっても、君が島巡りで色んなポケモンに出会うのは、願ったり叶ったりなんだ!」
ハウ「それにーもし、しんのすけが島巡りチャンピオンになったらーきっとアローラ中で有名になるかもー」
ハラ「なにせ最年少の島巡りチャンピオンですからな。外からやってきた幼子がカプ・コケコから石を貰えること自体、そうそう無いことですが。もしチャンピオンになれば、未来永劫、その名が轟くことでしょうな」
しんのすけ「有名……?」ピクッ
みさえ「その名が轟く……?」ピクッ
~しんのすけの妄想~
おとなのおねえさん「キャーッ! 島巡りチャンピオンのしんのすけ様よ!」
ビキニのおねえさん「握手して!」
エリートトレーナー♀「サインお願いします!」
おじょうさま「しんのすけ様―!」
キャーキャーワーワーシンノスケサマー!!
しんのすけ「ワーッハッハッハッ! ワーッハッハッハッ!!」
~みさえの妄想~
しんのすけが島巡りチャンピオンになったら……。
その次はカントー、ジョウト、ホウエン、シンオウなどの地方で、ジムやポケモンリーグに挑戦! 島巡りで培った経験を活かして、どんどん地方のチャンピオンになって――。
やがて活躍の場を世界に広めて、伝説のポケモントレーナーレッドさんの再来と呼ばれるような、世界的なポケモントレーナーになるの!
そうしたら私も、しんのすけの母として有名になって……。
しんのすけ「ウヘヘヘ……」
みさえ「グヘヘヘ……」ヨダレダラー
ハラ「ど、どうしたのですかな、急に……」
ククイ博士「さ、さあ? まるでてんしのキッスを受けたみたいだ……」
ハウ(面白い人たちだなーこんな子と一緒に旅に出られるなんてすごく楽しくなりそー!)キラキラ
しんのすけ「オラ、島巡りやります!」
みさえ「私も、しんのすけに島巡りさせます!」
ハウ「えっ? ほんとー?!」
しんのすけ「ホントと書いてマジと読むのでござる」
ククイ博士「そうか! いい返事だ!」
ハラ「決まり、ですな!」
ハウ「やったー! これからよろしくねー! しんのすけー!」ウキウキ
ククイ博士「それじゃあ早速、ハラさんから最初のポケモンを貰おうか!」
しんのすけ「オラ、シロでも構わないけど」
ククイ博士「シロ? ああ、あのペロッパフか!」
みさえ「ダメよ、シロを飼うとき約束したじゃない。ポケモン勝負に出さないって」
ハラ「まずは、外に出ますかな。しんのすけには、三匹のポケモンから一匹を選んでもらいます」
リリィタウン 広場
リーリエ「あ、博士……どうでしたか?」
ククイ博士「あぁ、リーリエ。しんのすけも島巡りに出ることになったんだ。これからハウと一緒に、しんのすけの面倒を見るんだぞ!」
リーリエ「あ、はい」
しんのすけ「よっ、リーリエちゃん」
みさえ「あら、キレイな子。こんにちは~」
リーリエ「あ、こんにちは……。博士の助手をしています、リーリエです」
リーリエ「しんのすけさん……。すごいですね、5歳で島巡りをするなんて……」
しんのすけ「いやぁ、これもおねいさんのためですから」
リーリエ(……おねいさん?)
しんのすけ「あとリーリエちゃん。しんのすけさんって呼び方、なんかムズムズするから、普通にしんちゃんでいいよ」
リーリエ「しんちゃん……しんちゃん、ですね?」
しんのすけ「そーそー」
ハラ「皆の衆、雑談はそれくらいにしておきましょうぞ。よーし、ポケモンたち。顔を見せるのですぞ!」
ハラが三つのモンスターボールを投げる。そこから飛び出してきたのは、くさばねポケモンのモクロー、ひねこポケモンのニャビー、あしかポケモンのアシマリの三匹だった。
モクロー「もふぅ……」
ニャビー「にゃぶ!」
アシマリ「あしゃま?」
みさえ「あらーみんな可愛いじゃない!」
ひまわり「たいやい!」
ハラ「どのポケモンを選ばれますかな?」
しんのすけ「んー……」
ハウ「やっぱ悩んじゃうよねー。おれも一時間近く悩んだもん」
ハラ「ハウよ、今はパートナーを選ぶ真剣な時。黙って見守るのですぞ」
しんのすけ「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……」
ハウ&ハラ&ククイ博士&みさえ「」ズコッ
リーリエ「あ、当てずっぽうですか……?」
しんのすけ「て・ん・の・か・み・さ・ま・の……」
モクロー『……こんな小さい子がボクのトレーナーになるのかな?』
しんのすけ「お?」
モクロー『え?』
しんのすけ「キミ、今しゃべった?」
モクロー『君こそ、ボクの言葉がわかるのか?』
ハウ「しんのすけーどうしたのー? なんかモクローに言ってるけどー」
みさえ「しんちゃんったら、今みたいにポケモンに向かってブツブツ話しかけることがたまにあるんです」
リーリエ「……本で読んだことがあります。イマジナリーフレンドに似たようなものですか?」
ククイ博士「いいじゃないか! ポケモンと積極的にコミュニケーションを取ろうとするのは、トレーナーとして大事なことだぜ!」
モクロー『初めてだよ、ボクと会話できる人間がいるなんて』
しんのすけ「なんか声もしゃべり方もオラのお友達にそっくりー。ねぇ、お名前はなんていうの?」
モクロー『さぁ? ボクは生まれた時からずっと博士に『モクロー』と呼ばれているだけだから……』
しんのすけ「じゃあカザマくん、と呼んであげよう」
モクロー(風間トオル)『なんかパッとしない名前だな……。そういう君はなんていうの?』
しんのすけ「オラ? オラ野原しんのすけ、ちょっとシャイな今時のナウでヤングな5歳児」
ハラ「くさポケモンのモクローになされますかな?」
しんのすけ「うん、オラ、カザマくんにするー」
リーリエ「カザマくん……?」
ククイ博士「おお、もうニックネームを付けたのか! よっぽどモクローが気に入ったんだな!」
みさえ「ちょっとー、そんな名前でいいの? カスカベ地方の風間くんに手紙とか送る時ややこしくなるんじゃない?」
しんのすけ「いーのいーの。声がそっくりだし」
ハラ「なにはともあれ、お互い、選び、選ばれてこそ真のパートナーといえますな!」
しんのすけとモクロー(カザマ)は、土俵の上に立つと、互いに向き合った。みんなは一人と一匹の様子を見守っている。
ハラ「それではモクロー……もといカザマは、君を選ぶのか見ましょうぞ!」
モクロー『君がボクのトレーナーになるって言うんだから、しっかりやってくれよ?』
しんのすけ「だーいじょぶだいじょぶ、オラにまっかせなさい!」
モクロー(なんでだろう? しんのすけとはずっと前からいたような親しみやすさを感じるけど、同時に嫌な予感もする。なんとなく、これから何度も振り回されそうな……)
モクロー(まぁ、ずっとボールの中で出番を待っているよりかマシかな。外へ出て、もっといろんなことを勉強したいし)
モクロー『じゃあ、これからよろしくな、しんのすけ!』
しんのすけ「ほーい!」
トコトコ
モクロー「……もふぅ」
ククイ博士「おっ……!」
リーリエ「!」
みさえ「あら……!」
ハラ「お! モクローも、しんのすけを認めましたな!」
ククイ博士「互いを認めあった君たちは、永遠の友達だぜ!!」
みさえ「よかったわね~しんのすけ」
しんのすけ「いやぁオラも嬉しいぞ~大親友の風間くんと一緒に島巡りできるなんて~」モフモフ
モクロー『ははは、そんなくっつくなよ』
ハウ「あれ~? まだ出会ったばかりなのに大親友ってどういうことだー?」
リーリエ「モクロー……じゃなくて、カザマさん、ですね」
ククイ博士「よーし! これでしんのすけも、今日からポケモントレーナーだぜ! 僕からも素敵なプレゼントだ!」つポケモン図鑑
みさえ「あら? これって……」
しんのすけ「ハカセーなにこれ? ゲーム?」
ククイ博士「それはポケモン図鑑。ポケモン図鑑は、出会ったポケモンを自動的に記録するハイテクな道具なんだ!」
しんのすけ「ほうほう」
ククイ博士「君がパートナーにしたモクローも記録されているよ。チェックするといいぜ!」
みさえ「懐かしいわねー。パパが昔、シンオウ地方を旅してたって図鑑を見せびらかしていた頃を思い出すわー」
ククイ博士「そしてこれが、君のトレーナーパスと島巡りの証!」つトレーナーパス&証
しんのすけ「ありがとござますぅ」
みさえ「島巡りの証は私が預かっとくわね。明日、無くさないようにカバンに結んでおくから」
ハウ「なーなー! しんのすけー! 早速おれと勝負しようよー」
しんのすけ「死体ごっこで?」
リーリエ「……死体ごっこってなんですか? ポケモン勝負じゃないですか?」
ハウ「そのモクロー、かっこいいもん。いっぺん勝負してみたーい」
ククイ博士「おお! 初めてのポケモン勝負だね! ポケモンの技を繰り出し、勝ち負けを決めるんだぜ!!」
ハラ「孫の相手をお願いできますかな。がっぷり4つの勝負を期待しますな!」
リーリエ「わたし……ポケモンさんが傷つく勝負は、ちょっと苦手ですが……しんちゃんを応援しますね」
みさえ「しんのすけー! 頑張ってねー!」
ハウ「よーし、負けないよー!」
ハラ「では、ポケモン勝負――始めませいっ!」
ポケモントレーナーの ハウが
勝負を しかけてきた!
ハウ「ゆけっ、ニャビー!」ポイッ
ニャビー「にゃぶー!」ポンッ
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ビシッ
モクロー『さっそくバトルか! よーし行くぞー!』バサバサッ
ハウ「ニャビー! ひっかくだー!」
ニャビー「にゃぶ!」シャンッ
ザクッ!
モクロー『うわっとっと!』
モクロー『しんのすけ! ボクに指示をくれ!』
しんのすけ「しり?」
モクロー『し・じ!』
みさえ「しんのすけー! ポケモンに命令するのよ」
しんのすけ「ほうほう……。じゃ、カザマくん、オラにおしゃくしてくれたまえー」
みさえ&モクロー「」ズコッ
モクロー『指示って、そういう指示じゃなぁぁい!』
みさえ「そうじゃなくて、たいあたりとか、なきごえとか、ポケモンの技に関することよ!」
しんのすけ「ほーほー」
モクロー『それも知らないで勝負を受けたのかよ、お前は!』
しんのすけ「うーん、やっぱりこのツッコミのキレの良さは風間くんそのまんまですな」
リーリエ「あの、そんな悠長なこと言ってる場合じゃないと思います……」
ハウ「ニャビー! ひのこだー!」
ニャビー「にゃぶぅ!」
ボッ! ボッ! ボッ!
モクロー『お前もう少しトレーナーとしてのメンツというか知識をだな……』
しんのすけ「カザマくん、前、前」
モクロー『え?』クルッ
ボウッ!
モクロー『あちゃちゃちゃ! あちゃちゃちゃちゃ!』メラメラドタドタ
モクロー「」シュウウゥ
バタッ
ハラ「勝負あり! この勝負、ハウとニャビーの勝ち!」
ハウ「やったー!」
しんのすけ「カザマくん! たいあたりだ!」
モクロー『もう遅いよ! バカ!』
みさえ「あぁ……恥ずかしい」カアアッ
ククイ博士「まぁ、いきなり指示とか技とかって言われても難しかったかな?」
リーリエ「やっぱり、5歳の子に島巡りって無茶な気がします……」
しんのすけ「いやぁ、それほどでもぉ」
リーリエ「褒めてません……」
自宅
ひろし(電話)『ワッハッハッハッ! それでその、ハウ君にバトルで負けちゃったのか!』
みさえ「そうなのよー恥ずかしいったらありゃしないわ」
ひろし『それにしても、しんのすけが島巡りか……。俺はてっきり11歳まで待つもんだと思ってたけどなぁ』
みさえ「あの時はつい行くって言っちゃったけど、やっぱり心配になっちゃうわねー」
ひろし『なーに、しんのすけなら大丈夫さ。それに先輩のハウ君やククイ博士もいるんだろ?』
みさえ「ええ。それにひょっとしたら、途中でお仕事中のあなたに会うかもしれないわね」
ひろし『そうだな。今度会ったときに、しんのすけがどんなポケモンゲットのか興味あるなぁ』
みさえ「ほんとねー」チラ
モクロー『ったく……こんな奴のポケモンになったボクが馬鹿だったよ。こんなことならあの時近寄らなければ良かった』
しんのすけ「んもぅ、オラとカザマくんは運命のあかいいとで繋がれているのよん。そんな冷たいこと言わないで~」
モクロー『ええいくっつくな! 気色悪い!』
ひまわり「たーいたーい」ピシャシピシャ
モクロー『いてっ、ボクの頭を叩くなよ』
※誤字発見したので修正
ひろし『そうだな。今度会ったときに、しんのすけがどんなポケモンゲットしているのか興味あるなぁ』
みさえ「こーらっひま、危ないからカザマくんの頭叩いちゃダメ!」
みさえ「……でもね、もらったポケモンはすごく気に入ってるみたいよ。ニックネームに『カザマ』なんて付けちゃって」
ひろし『へー風間くんの名前を付けたのか。それじゃあ、2匹目はマサオくんとかネネちゃんかもな』
みさえ「かもねー」
ひろし『ま、友達の名前をニックネームに付けてるってことは、それだけあいつはポケモンを大事にしてるってことだ。ちゃんとポケモンもわかってくれるさ』
ひろし『それで、島巡りは明日から始めるのか?』
みさえ「みたいね。最初はこの島からスタートするみたいだから、こっそり見に行っちゃおうかしら」
ひろし『オイオイ、あんまり邪魔になるようなことはするなよ。島巡りはアローラにおける大事な通過儀礼なんだから』
みさえ「わかってるわかってる。ところで、あなたはいつごろ帰ってくるの?」
ひろし『そうだな……俺は今、アーカラ島にいるんだ。アローラのガラガラとダグトリオの生態を調べ終わったら、しばらく休暇がもらえるからその時にこっちに戻るよ』
みさえ「そう……気を付けてね」
ひろし『おう、しんのすけによろしくな』
ガチャ
みさえ「しんのすけ、今日は早めに寝なさい。明日から島巡りでしょ?」
しんのすけ「オラ、カザマくんの技のチェックメイトしなくちゃいけないので」
モクロー『嘘つけ! さっきから散々ボクをいじくりまわってた癖に!』
みさえ「メイトはいらないわよ」
みさえ「そうそう、お外へ出かける用の服買ったから、明日はそれ着て行きなさい」
しんのすけ「ほーい」
――翌日
ピンポーン!
みさえ「はーい」
ガチャッ
リーリエ「あっ、こんにちは……」ペコリ
みさえ「あら? あなたは確かリーリエちゃん――」
リーリエ「はい、しんちゃんを研究所へ来るようククイ博士に連れてくるよう言われたので、お迎えに参りました」
みさえ「あぁ、うちのしんのすけがたくさん迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね」
リーリエ「はい」
みさえ「しんのすけー! リーリエちゃんが迎えに来たわよーっ」
ホーイ
みさえ「ちょっと待っててね」
リーリエ「あっ、お構いなく」
みさえ「それにしても、行儀のいい子ねー。うちのしんのすけにも見習わせたいわ~」
リーリエ「あ、ありがとうございます……」ペコリ
しんのすけ「来たぞ、みさえー」
みさえ「お母さん、でしょ! ほら、リーリエちゃんが迎えに来たわよ」
しんのすけ「よっ」
リーリエ「あっ……どうも」
みさえ「ほら、しんのすけ、新しいリュックよ」
しんのすけ「おおっ、アクション仮面のリュック! それにマサオくんたちから貰ったカスカベ防衛隊のバッジも付けてある! かーちゃん太もも~」
みさえ「太っ腹、でしょ? 島巡りの証もそこに結んであるけど、なくしちゃダメよ? カザマくんの入ったボールは持った?」
しんのすけ「持った」
みさえ「Zリングは?」
しんのすけ「持った」
みさえ「ポケモン図鑑は?」
しんのすけ「持った」
みさえ「フウロの写真集は?」
しんのすけ「持った」
みさえ「んなもん持ってかなくてよろしい!」
しんのすけ「あ~ん、自分で言ったんじゃ~ん」
リーリエ「……クスッ」
みさえ「それじゃ、カザマ君とも仲良くするのよ! いってらっしゃい!!」
しんのすけ「ほいっ」
バタン
シロ「クーン」
しんのすけ「シロ、じゃーね!」
シロ「アンッ!」
リーリエ「優しそうなおかあさま……ですね」
しんのすけ「そうでもないよ。ケチでおケツはでかいし、もうすぐ三十路だし、小皺は目立つし、そろそろきのみの食べ過ぎて体重が……」
バタンッ!!!
みさえ「なんか言った?」ギロッ
しんのすけ「……とっても若くてキレイなおかあさまです、はい」
みさえ「よろしい。旅立つ前に目の前を真っ暗にされたくないなら、発言に気をつけなさい」
バタン
リーリエ「……ふふっ」
しんのすけ「で、オラに何の用?」
リーリエ「ククイ博士に「おぉ、リーリエ! 期待の新人トレーナーを研究所に連れてきてよ!」と、頼まれたものですから、わたし、案内いたしますね」
しんのすけ「モノマネあんまし上手くないね」
リーリエ「……と、とにかくついてきてください」
しんのすけ「ほーい」
研究所周辺
リーリエ「博士の研究所は、草むらの先にあります。なんでもポケモンに囲まれ、技の調査もはかどるそうです。トレーナーではないわたしは、むしよけスプレーが欠かせません」
しんのすけ「なんでリーリエちゃんはトレーナーじゃないのにうしぞらくんをバッグに入れて連れてるの?」
リーリエ「ほしぐもちゃん、です」
リーリエ「ほしぐもちゃん……。コスモッグは、遠いトコロからやってきた珍しいポケモンなんです」
ほしぐもちゃん「ぴゅう!」
リーリエ「不思議な力を秘めていて、わたし……危ないところを、助けてもらったこともあります」
リーリエ「それゆえ、必要としている人もいて……ですから、博士やハラさん……信頼できる人にだけコスモッグのことを教えています」
リーリエ「ですので、秘密ということであらためてよろしくお願いします」
しんのすけ「ほうほう、つまりリーリエちゃんは、後ろ暗くて誰かに見られたくないから、ほしぐもちゃんをバッグに突っ込んでるというわけですな」
リーリエ「……そ、そうです」
ククイ博士の研究所前
しんのすけ「なんか建物ボロ~い」
リーリエ「それはですね……」
ドスッ! ボコッ! ドスッ! ドスッ!
ククイ博士「いいぞ! イワンコ、もっとだ! もっと思いっきり来るんだ!! 僕の体は、ヤワじゃないぜ!」
リーリエ「ふぅ……またですね……。ククイ博士、研究所の中でも技の研究をなさるのです。また、屋根が壊れます」
しんのすけ「ほうほう」
ドスッ! ボコッ! ドスッ! ドゴォ!
しんのすけ「んー、でもオラんちの方がもっと凄い音出すけどね」
リーリエ「3ヶ月前からここでお世話になっているのです。助手としては未熟ですが、なにかお返ししたいのです。ポケモントレーナーでしたら、博士のお役に立てるのに……」
イワンコ「ワォォォン!!」
ドゴォ!!
リーリエ「洗ってきれいにした白衣もボロボロになるし……わたし、お裁縫とかうまくなくて、結局白衣を買うのです……とにかく、入るとしましょう」
しんのすけ「なんか、かーちゃんみたいなこと言うね」
ガチャ
リーリエ「ただいま戻りました」
しんのすけ「おじゃましまうまー」
ククイ博士「よう! しんのすけ! リーリエもありがとう!」フリフリ
リーリエ「いえいえ、助手ですから……。なにより、お世話になっていますし」
ククイ博士「イワンコの技がキレててね。研究もはかどったよ!」
しんのすけ「キレてないっすよ、キレちゃいないよ」
リーリエ「????」
ククイ博士「おっ、しんのすけ、昨日の赤いシャツからボーダーシャツに一新したのか! 黒キャップもすごく似合っているぜ!」
しんのすけ「そお? オラ別に何も着なくて平気だけど」
リーリエ「それはそれで問題なのでやめたほうがいいです……」
ククイ博士「ところで、しんのすけの図鑑、ちょっと借りるぜ」
しんのすけ「なに? ひょっとしてオラのこじんじょーほーとかプライベートとか見る気?」つ図鑑
ククイ博士「いや、そんなことはしないさ。そもそもポケモン図鑑にそんな機能はないぜ」
ククイ博士「やあ、居心地はどうだい? って、悪くないよね」
しんのすけ&リーリエ「?」
ククイ博士「それよりも待たせたね! ようやく荷物が届いたんだよ!」
リーリエ「あ、あの……」
ククイ博士「なんだいリーリエ? 僕は独り言はいわないぜ。図鑑の中には、ロトムというポケモンがいるんだ」
しんのすけ「ロトム? それってお刺身の……」
リーリエ「それはトロです。ロトムさんはですね、電気のような体で、機械に入りこむことができる能力を持つポケモンさんです」
ククイ博士「そう! ロトムの不思議な力を、最大限に活かすため開発された、専用のボディにロトムを入れることで完成する新時代のポケモン図鑑!」
ククイ博士「ポケモンと人の新しいコミュニケーションの形! ロトム図鑑は、世間的にまだ数が少ないレアものだぜ!」
ククイ博士「さらに! 届いたパーツで図鑑をパワーアップすれば――」ピピッピピピッ
ロトム?「ブヒー!」
ククイ博士「ああ! すまない、ロトム。驚かせてしまったね」
リーリエ(あれっ? ロトムさんってこんなバネブーさんのような見た目でしたっけ?)
しんのすけ「ほほー?」
ロトム?「ブヒー!」
ククイ博士「ロトム! 君の好きな図鑑をパワーアップしたよ! しんのすけの手助け、頼むぜ!!」
ロトム?「ブヒーブヒヒ!!」
ククイ博士「あぁ分かってる分かってる。また今度、ローンでな!」
リーリエ「ローン?」
ロトム?「ブヒー!」
スーッ
ピピピッカチャカチャ
ククイ博士「ほら! しんのすけ! ロトムが話せるようになっただろ!」
ロトム?(ぶりぶりざえもん)「私はレオナルド・ロトブリオ。アローラ唯一のロトム図鑑だ」
しんのすけ「おおっ、ぶりぶりざえもん!」
ロトム図鑑「ちがーう! レオナルド・ロトブリオ!」
リーリエ「サポートとは……?」
ククイ博士「ああ、しんのすけはアローラに来たばかりだからね。それに、トレーナーとしての知識もない。だからナビとして、ロトム図鑑を渡すよ。タウンマップとGPS機能があるから、迷子になってもこっちでも探せるよ」
ロトム図鑑「図鑑の使用料百億万円ね、ローンまたはクレジットでも可」
リーリエ「ちょ、ちょっと性格に難ありな気もしますけど……」
ククイ博士「まぁ、慣れると楽しいもんだよ! しんのすけなら、うまくやっていけるさ」
ガチャ
ハウ「アローラー! 潮風に誘われ、遊びに来たよー!」
ハウ「あれー? しんのすけ、イメチェンしたー?」
しんのすけ「最近のりゅーこーを取り入れてみましたー」
ロトム図鑑「私を無視して話を進めるな、このバカ者共が!」
ハウ「あー、それがロトム図鑑なんだー。なんだかぶさいくー」
ロトム図鑑「なんだとー! 電気タイプの中でも最強と謳われるこの私にブサイクだと! ふざけるなジャリボーイ!」
しんのすけ「まぁ、ぶりぶりざえもんにソックリですから」
リーリエ(ぶりぶり……?)
ククイ博士「さて、しんのすけも島巡りの証を持ってきたようだね。それじゃあ早速、ここから近くにあるハウオリシティに向かおうぜ! 最初の試練のキャプテンもそこにいるんだ! しんのすけも、そこでポケモンのノウハウを学ぶといいぜ!」
しんのすけ「ほい」
ハウ「おれーポケモンと遊ぶー! ……じゃなくて鍛えるー!!」
リーリエ「島巡り……アローラの人々は、これで世界に触れていくのですね」
ククイ博士「リーリエ、しんのすけをよろしく! しんのすけがロトムに慣れるまで、君がお姉さんになって案内してあげてよ!」
リーリエ「は、はいっ」
リーリエ(お姉さん……ですか。ポケモントレーナーではないわたしでも、しんちゃんの面倒くらいはちゃんと見なくては……)
しんのすけ「えー? オラ道案内されるなら、二十代のビキニのおねいさんの方が……」
リーリエ「そんなわがままがまかり通るわけ無いでしょう……!」
ククイ博士「ま、そう言うなよ、しんのすけ! リーリエの言うことはちゃんと聞くんだぞ!」
しんのすけ「ほーい……」
ハウオリシティはずれ
しんのすけ「おっきい街ー」
ハウ「あ、そっかあ。しんのすけはまだ、ここに来たばっかだもんねー」
リーリエ「ハウオリシティは、アローラで一番大きな街なんです。ポケモンセンターからマラサダ屋、バトルバイキングと呼ばれるショッピングモール、船乗り場とたくさんのお店や施設が揃っているんですよ」
ハウ「リーリエはさー、街中にしんのすけを案内するんでしょー? せっかくだからみんなでおいしいもん食べに行こうよー」
ロトム図鑑「私はアローラガールの水着姿でも拝んでくるとするか」
ククイ博士「おっと、その前にしんのすけはここにいてもらうよ!」
しんのすけ「えーっ? なんで? オラが絶世の美少年だから?」
ククイ博士「しんのすけに、ポケモンはどうやって戦わせるのか、野生のポケモンの捕まえ方をレクチャーしなくちゃいけないからね!」
ハウ「あーそうだねー」
リーリエ「博士がお教えなさるんですか?」
ククイ博士「いや、せっかくの島巡りだからね! 特別にキャプテンを呼んでおいたよ!」
しんのすけ「キャプテン? 誰? 指名料とか取られんの?」
???「はい! キャプテンのイリマです」
しんのすけ「おおっ、かーちゃんとひま好みの顔」
ククイ博士「しんのすけ、この人はメレメレ島のキャプテンのイリマだ!」
しんのすけ「キャプテンって、なに?」
ハウ「キャプテンはねーしまキングに挑むための試練を与える人なんだよー」
ククイ博士「カスカベ地方からやってきたしんのすけだよ。カプ・コケコに選ばれた特別な子でね、島巡りチャンピオンになる気マンマンなんだ!」
イリマ「なるほど、やる気満々ならウェルカムですよ! ボクの出す試練でも、是非頑張って欲しいですね」
しんのすけ「よろしくちーとは風間くんが好きなポケモンその1」
イリマ「さて、しんのすけ君! ボクについて来てくれませんか?」
しんのすけ「ほーい」
ハウ「俺もついていくー! なんかあれば教えてあげたいしー」
リーリエ「私も……。トレーナーとはどういうものなのか、知りたいです」
ハウオリシティ 草むら
イリマ「はい! キャプテンのイリマです」
イリマ「ククイ博士から、しんのすけ君はまだポケモン勝負とはどういうものか、そして野生のポケモンの捕まえ方を知らないと聞きました」
イリマ「なので、僕がレクチャーしたいと思います!」
しんのすけ「手短にね」
ガサガサッ!
ヤングース「シャー!」
イリマ「おっと、野生のヤングースが草むらから飛び出して来ましたね! 野生のポケモンが出てきたら、こちらも手持ちのポケモンを出して応戦するんです!」
イリマ「出番ですよ! ドーブル」
ポンッ
ドーブル「ドー!」
イリマ「そして、ポケモンにどんな技を出して戦わせるか、指示を与えるんです!」
イリマ「ドーブル! にどげりです!」
ドーブル「ドー!」
ヤングース「キュウ……」
パタッ
イリマ「……とまあ、ざっとですが、ポケモン勝負とはこうして行うんです。相手のポケモンが戦闘不能になればこちらの勝ち。逆に、手持ちのポケモン全員が戦えなくなったらこちらが負けです」
イリマ「そして、野生のポケモンの場合ですが、相手が弱っている時にこうしてモンスターボールを投げると――」つ○
イリマは モンスターボールを 投げた!
ポンッ! コロコロコロ……カチッ
イリマ「はいっ、こうしてポケモンを捕まえることが出来るんです!」つ●
しんのすけ&ハウ「おーっ」パチパチパチ
ロトム図鑑「ふんっ、トレーナーとして当然のことだ」
イリマ「じゃあしんのすけ君、今度は君が野生のポケモンと戦ってみてください!」
ガサガサ
コラッタ「チュウ!」
イリマ「今度はコラッタが飛び出して来ましたよ! さぁ、戦う準備はできてますか?」
しんのすけ「よーし!」シナイトボクシンググローブ ソウビ
イリマ「あなたじゃなくてポケモンが戦うんです!」
しんのすけ「んもー、なら早くそう言ってよね」スッ
イリマ「あなたは何を見ていたんですか……」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
モクロー(カザマ)『……ったく、今度はしっかりやってくれよ』
しんのすけ「おうっ、今しっかりカザマくんの技調べてるからへーきへーき」ピコピコ
ロトム図鑑「あんっ、そこ触っちゃダメっ……///」
モクロー『今じゃ遅いんだよ今じゃ!』
コラッタ「シャー!」ダッ
リーリエ「しんちゃん、来ましたよ!」
しんのすけ「カザマくん! タイヤキ!」
モクロー『たいあたり、だろっ!』ダッ
ドンッ!
コラッタ「チ、チュウ!」ピョンッ
モクロー『おいっ、コラッタが飛びかかってきたぞ! 早く次の指示を出せよ!』
しんのすけ「えーとえーと……かれは!」
モクロー『かれはじゃなくて、このは!』バッ
カザマが翼をはためかせると、葉っぱの塊がまっすぐコラッタに飛んでいった!
ドカッ! バサバサッ!
コラッタ「チュウ……」
ドサッ!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
ハウ「しんのすけ、カザマー、おつかれー」
モクロー『なんでだろう……大した相手じゃないのにすごく疲れたよ』
イリマ「うーん……ギリギリ50点ってところでしょうか」
リーリエ「と、言いますと?」
イリマ「できることなら、ロトム図鑑無しで技を覚えて欲しいですね。図鑑を見ている間、相手は待ってくれるとは限らないですよ」
しんのすけ「ほーい」
ククイ博士「しんのすけ、あとはポケモンのタイプと技には相性があることも覚えておくんだ!」
しんのすけ「タイプ? オラは年齢が20代前半でボン・キュッ・ボンでいつも耳掃除してくれるきれいなおねいさんがタイプ」
ハウ「そのタイプ違うよー」
リーリエ「あの……例えば、燃えている火に水をかけると消えますよね? そんなふうに、ほのおタイプのポケモンに、みずタイプの技を与えると、ダメージがバツグンに効くんです」
しんのすけ「ほうほう、つまりとーちゃんはかーちゃんに弱くて、かーちゃんはとーちゃんの足の臭いに弱くて、とーちゃんの足の臭いはとーちゃんに効果がないのと同じってことか」
イリマ「喩えがよく分かりませんが……まぁ、そういうことです」
ハウ「ちなみにー、おれのニャビーはほのおタイプだから、くさタイプのモクローは相性が悪いんだよー。草に火を点けたらすぐ燃えちゃうもんねー」
しんのすけ「そーゆーときってどーすんの?」
イリマ「基本的には、相手のタイプに合わせて、こっちに有利になるポケモンを出せばいいんですよ」
ククイ博士「ある程度腕を上げたトレーナーなら、苦手なタイプの対策として自身とは違うタイプの技を覚えさせるパターンもあるけどね」
ロトム図鑑「マニア用語でサブウェポンと呼ばれているヤツだ」
しんのすけ「ほうほう」
イリマ「というわけで、今回特別にモンスターボールを10個プレゼントしますよ。これで是非、モクローの弱点を補うポケモンをゲットしてください」つ○×10
しんのすけ「ありがとござますぅ家宝にいたしますぅ」
イリマ「そこまでしなくていいですよ」ハハハ
イリマ「ちなみにイリマのお得情報ですが、ポケモンセンター内のショップでもモンスターボールが売っているのですが、今ならなんと、10個まとめて買うとプレミアムボールもひとつオマケでついてくるんです! お得でしょう?」
しんのすけ「なんか深夜にやってる通販番組みたいなノリだね」
イリマ「最後に……ボク、イリマの試練は茂みの洞窟で行います! しんのすけ君のチャレンジをお待ちしていますよ! それでは」スタスタ
しんのすけ「お土産買ってきてねー」フリフリ
ククイ博士「ありがとう、イリマ! かえんほうしゃのように勢いのある熱血指導だったぜ!」フリフリ
ククイ博士「それじゃ改めて、二人とも、しんのすけの案内頼んだぜ! 僕は先に茂みの洞窟の先で待ってるからさ!」
リーリエ「はい!」
ハウ「じゃーさじゃーさ! さっそく行こうよー! しんのすけにアローラのいろんなところ、案内させなきゃ!」ダッ
リーリエ「あっ、ハウさんったら……」
しんのすけ「おーおー近頃の子供は元気に走り回ってよろしいですな」
リーリエ「しんちゃんも子供でしょう? 私たちも行きましょう」
ハウオリシティ ビーチサイドエリア
ハウ「うーみー!」
ハウ「あ、そーだ! しんのすけってロトム図鑑持ってるんでしょー?」
しんのすけ「いえすいっといず」
ハウ「それでねー、ロトム図鑑ってポケファインダーっていう機能があるんだってー」
しんのすけ「ボケファンタ? そんな機能があるの?」
ロトム図鑑「ポケファインダー。いわゆる写真・動画撮影機能だ。SNSやポケチューブにもアップロードできる。私もよく使っているぞ」
しんのすけ「ポケモンなのに?」
ロトム図鑑「私はハイカラなポケモンだからな。ちなみに、私はさる有名なポケチューバーでもあるのだ!」
リーリエ「それって凄いのか凄くないのか、イマイチわかりませんね……」
しんのすけ「ほーほー、じゃあさっそく」トテトテ
ハウ「しんのすけーどこいくのー?」
しんのすけ「おねいさ~ん! アロ~ラ~♪」パシャパシャパシャ
ビキニのおねえさんたち「アロ~ラ~♪」ピース
ロトム図鑑「よくわかってるではないか、しんのすけ!」
しんのすけ「いやぁどういたまして」パシャパシャ
リーリエ「しんちゃん……なにしてるんですかっ!」カオマッカ
ハウ「あははー! リーリエ顔真っ赤だよー!」
リーリエ「ロトム図鑑さん、さっきの写真は消してくださいね。しんちゃんの教育上よくないですから」ズカントリアゲッ
しんのすけ「えーっ?! 鬼! 悪魔! メノクラゲ!」
ロトム図鑑(消したフリしてバックアップ取っとこ)
ハウオリシティ ショッピングエリア
リーリエ「では、わたし……ブティックでショッピングをしていますね。ハウさん、お願いします」
しんのすけ「ふんだ」プイッ
ハウ「まだ怒ってるのー? いーじゃん、水着のお姉さんの写真なんてこの先いっぱい撮れるんだからさー」
ロトム図鑑「ぶぁかもの! ただ写真を撮れればいいというわけではないのだ!」
しんのすけ「そーそー! その時、その場所で、そのポーズ、その水着の色のおねいさんの写真が撮れないと価値がないの!」
ロトム図鑑「その通り! 肝心なのは量じゃない、質なんだよ!」
ハウ(ただテキトーに撮ってるようにしか見えないけどなー)
ハウ「まぁいいやーそれよりーしんのすけに紹介したいものがあるのー」
しんのすけ「なぁーに? おねいさんがいないと、オラ行かないよ」
ロトム図鑑「もしくは金になりそうなところでも可」
ハウ「どっちも無いけど、とってもおいしいところだよー」
テクテク
ハウ「ここだよーおいしいものー! マラサダ食べればーポケモンとなかよしー! なかよしポケモンー勝負でいい動きー!」
しんのすけ「マサラダってなに?」
ハウ「アローラ名物の食べ物だよー。しんのすけもカザマも、ぜひ食べてみてよー。とにかくポケモンがかわいくてーマラサダあげちゃうんだよねー」
しんのすけ「チョコビはないの?」
ハウ「チョコビー? なにそれー?」
しんのすけ「カスカベ地方で売ってるお菓子。くーぜんぜつごの人気のオヤツなんだゾ」
ハウ「知らなーい。アローラじゃ売ってないかもー」
しんのすけ「あ、そう……」
ハウ「そうがっかりしないでよーマラサダ分けたげるからー」
しんのすけ「どれどれみふぁそ」ムシャムシャ
ハウ「さーて、ビーチエリアに戻って叫ぶとするかなー。「本気のじーちゃんに勝つぞー!!」ってねー!」トテトテ
しんのすけ「うーん……あま~い。あつーいおちゃちゃが欲しいな」ムシャムシャ
サラリーマン「……たか?」
しんのすけ「お? なんだろ」
サラリーマン「スカル団の連中、またポートエリアでたむろっているみたいだぞ……」
OL「じゃあすぐにキャプテンに知らせないと。あの人たち、ロクなことしないもんね」
しんのすけ(スケスケおパンツ団!?)
しんのすけ「ぶりぶりざえもん! ボンドエリアまで案内してよ!」
ロトム図鑑「それをいうならポートエリアだ。一体何があったのだ?」
しんのすけ「スケスケおパンツ団っていうのがポートエリアにいるんだって!」
ロトム図鑑「スケスケおパンツ団……?」
~しんのすけ&ロトム図鑑の妄想~
スケスケおパンツのおねえさんA「うっふ~ん。あたしたちと一緒にポケモン勝負しましょ?」
スケスケおパンツのおねえさんB「もし私たち勝てたら、さっき穿いてたスケスケのおパンツ、あ・げ・ちゃ・う」
~妄想終了~
ロトム図鑑「おっしゃあ! 見に行くぞしんのすけ! ポートエリアはこっちだ!」
しんのすけ「うおーっ!」
しんのすけ&ロトム図鑑「スケスケおパンツ♪ スケスケおパンツ♪」ドドドドド!!!!
ハウオリシティ ポートエリア
スカル団したっぱB「ヨヨヨー! そのバッグの中に入ってるもの、オレたちにくれないッスカ?」クネクネ
したっぱA「気になるんだよなーそのバッグの中、ガサゴソなにか動いてるなんてよー」クネクネ
リーリエ「だ、ダメですっ! 渡せませんっ!」
したっぱB「それじゃ、いっちょ力づくでやっちゃいまスカ?」
リーリエ「あ、あぅ……」
ドドドドド!!!!
しんのすけ「スケスケおパンツ!」ドドドドド
ロトム図鑑「スケスケおパンツ!」ドドドドド
しんのすけ&ロトム図鑑「スケスケおパンツどこだーっ!」
リーリエ「し、しんちゃん?!」
しんのすけ「お?」
キキーッ!!
しんのすけ「あ、リーリエちゃん! この辺でスケスケおパンツのおねいさん見かけなかった?!」
リーリエ「え? スケスケ……?」
したっぱB「ヨヨヨー! いきなりなんなんスカ? このじゃがいも頭。弟ッスカ?」
したっぱA「それにしちゃ似てなさすぎだろ。せめてイトコとかそのへんじゃね?」
リーリエ「あ、あの……いまこの人たちに絡まれてて……その、ククイ博士かイリマさんを呼んで頂ければ……」
しんのすけ「え? だれ? これ?」
したっぱA「オレたちを代名詞で呼ぶな!」
したっぱB「オレたちの事を知らないなんて、世間知らずにも程があるじゃないッスカ」
しんのすけ「いやぁ、オラこないだアローラに来たふつつかものでして」
したっぱB「ケッ、よそ者ッスカ。じゃあいっちょ、教えてやるッスカ!」
したっぱA「オレたちは!」クネクネ
したっぱB「泣く子も黙る! スカルのマークが目印の!」クネクネ
したっぱA「スカル団!」ジャキン!
したっぱB「スカ!」ジャキン!
しんのすけ「え? スケスケおパンツ団?」
ロトム図鑑「お前たちが?」
したっぱA「スカル団! どんな耳してたらそんな風に聞こえるんだ!」
したっぱB「このガキどもお下品すぎじゃないッスカ?!」
しんのすけ「えー……さっき街でスケスケおパンツ団って聞いたから、てっきりおねいさんだらけだと思ってたのに。男ばっかでガッカリ」
ロトム図鑑「なるほど、スケスケおパンツ団の正体は、スケスケおパンツ専門の下着ドロボー集団だったのか。いやはや、なんと下賎な連中よ」
しんのすけ「ねー」
したっぱA「スカル団っていうワードからそんなふうな発想できる奴に言われたくねーよ!」
したっぱB「いっちょ、このじゃがいも小僧に世の中の怖さ、教えてやらないッスカ?」
したっぱA「さんせー! そこの女の子のバッグ取るのも後ででも出来るしー」
リーリエ「し、しんちゃん……」オロオロ
しんのすけ「…………」チラ
――ロトム図鑑さん、さっきの写真は消してくださいね。しんちゃんの教育上よくないですから!
――し、しんちゃん……
しんのすけ「ハァーやれやれ、しょーがないなぁ」スッ
したっぱB「オレがポケモンを使いこなして、身の程を教えてやるとしまスカ!」
スカル団の したっぱが
勝負を しかけてきた!
したっぱB「ズバットの恐ろしさ、見せてやるッスカ!」ヒョイッ
ポンッ
ズバット「ズバッ!」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
モクロー(カザマ)『初のトレーナー戦か! しんのすけ、イリマさんから教えてもらった事を実践してみるんだ!』
しんのすけ「オラがメイクアップアーティストになるための特訓だっけ?」
モクロー『んなこと教わってないだろっ! もういい! お前に構ってたら先制されちゃうから僕が勝手に行くよ!』バサッ
しんのすけ「あらあら、気が早い子ね……」
したっぱB「なに独り言ブツクサしゃべってるんスカ!」
したっぱA「しかも命令も無しに勝手に突っ込んできたし。懐いてすらいないんじゃね?」
したっぱB「ズバット! おどろかすッスカ!」
ズバット「ズバーッ!」
モクローがクチバシを突き出してズバットにつつくをしようとした瞬間、ズバットの姿が消えた。そして――
チョイチョイ
モクロー『えっ?』クルッ
ズバット「ズ゙ババッ!」バッ!
モクロー『うわああっ!』
したっぱB「かみつくッスカ!」
ズバット「ズバッ」
ガブッ!
モクロー『いででで!!』ジタバタジタバタ!!!
したっぱA「出た! ボス直伝のおどろかしてかみつくコンボだ!」
しんのすけ「ほうほう、ユニークな作戦ですな」
モクロー『離せよ、この!』ブンブンッ
ズバット「ズバーッ」バッ
しんのすけ「おいしかった?」
モクロー『お前どっちの味方だよ!』ダラダラ
したっぱB「さーてじゃがいも頭、どうするッスカ?」
しんのすけ「んー……作戦ターイム!」
したっぱB「認めてやるッスカ」
リーリエ「認めちゃうんですか!?」
……
モクロー『……で、どうするんだよ』
しんのすけ「そりゃ、決まってるでしょ。ゴショゴショゴショ……」
モクロー『えーっ? そんなの通用するかなぁ……』
しんのすけ「だってぇ、向こうも出来たんならこっちもできるでしょ? ね、ぶりぶりざえもん」
ロトム図鑑「ま、カザマの技なら可能だ。ガンバレ」
モクロー『お前ら他人事だと思って……ああもう、わかったよ!』
……
したっぱB「終わったッスカ?」
しんのすけ「おたまたませー」
したっぱB「じゃあズバット! もう一度かみつくッスカ!」
ズバット「ズバーッ」ガパァーッ!
ズバットが再び口を開けて、牙をむき出しにしながらモクローに襲いかかってくる!
モクロー『同じ技を二度も受けてたまるか! このは!』
バサバサバサッ!!!
ズバットの目の前に、モクローの翼から放たれたいくつもの葉っぱ状の羽根が飛び散っていく。
ズバットが葉っぱの羽根に惑わされていると、なんといたはずのモクローの姿が消えていた!
ズバット「ズバーッ?」ドコイッタ?
バッ!
モクロー『ばあっ!』
ズバット「ズバッ?!」ウヒャア!
したっぱB「お、おどろかすッスカ?!」
しんのすけ「今だ! カザマくん!」
モクロー『よーし、思いっきりつっついてやる! 喰らえ!』シャキーン!
ドドドドドドド!!!!
何度も何度も、モクローのクチバシがズバットの身体に打ち込まれていく!
ズバット「ズ、ズバ……!」
ピクピク……
相手の ズバットは 倒れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワーッハッハッハッ!」
したっぱB「まじっスカ!? じゃがいも頭に負けちゃったッスカ!?」
しんのすけ「これがオラ考案の、このはおどろかすつつくコンボだゾ!」
したっぱB「オレの作戦のパクリじゃないッスカ!」
しんのすけ「そういうの幼稚園でまだ習ってませんから」エッヘン
したっぱA「きったねぇ~!」
イリマ「それは果たしてあなた達が言えることでしょうか?」
全員「!?」
イリマ「はい! キャプテンのイリマです!」
イリマ「街の人から、あなた達が悪さしているという通報を受けたので、やってきました」
イリマ「これ以上、僕の知人に迷惑をかけるというのなら、ゼンリョクでお相手しますよ? キャプテンを倒せる、良い機会だと思いますけど」ニコニコ
したっぱA「うっ……」
しんのすけ「おおっ、かっこい~」
したっぱA「ヘッ! イリマのポケモンなんか、いりませーん!!」
したっぱB「ここはいったん、ズラかるッスカ!」
しんのすけ「お風呂入れよー」
スタスタスタコラサッサ!
イリマ「……やれやれ、です」
しんのすけ「助けて下さり、ありがとございまするぅ」ペコリ
リーリエ「それ、私のセリフです……」
イリマ「しんのすけ君。失礼ながら、今の戦いの一部始終、しっかり見てましたよ」
イリマ「戦い方はまだまだ未熟ですが、友人を守るために、スカル団に立ち向かったその勇気は満点です。きっとしんのすけ君なら、僕の試練を突破できますよ」
しんのすけ「ま、オラの手にかかればチョチョイのチョイでござる」
イリマ「改めて茂みの洞窟で、お待ちしております。ロトム図鑑でご確認くださいね。では、アローラ!」テクテク
リーリエ「……あの」
しんのすけ「なに?」
リーリエ「また、助けられました……ありがとうございます」
ロトム図鑑「お助け料百億万円ね、ローンも可」
モクロー『お前なんもしてないだろ!』
しんのすけ「カザマくん、まだいたんだ」
リーリエ「その……しんちゃんは試練の場所に向かうんですよね……。一緒に行ってもいいですか?」
しんのすけ「どーして?」
リーリエ「わたし……その、よく迷うんです。服も買えませんでしたし……試練の場所へ向かう2番道路を探していたら港に出てしまって……スカル団の方たちに絡まれて……」
リーリエ「なので、ロトム図鑑さんを持っているしんちゃんと一緒なら……迷うこともないと思うんです」
しんのすけ「あのねぇリーリエちゃん、それって他力本願って奴じゃない?」
リーリエ「そ……れは」
しんのすけ「ところで他力本願ってどんな意味だっけ?」
リーリエ「」ズルッ
2番道路
ロトム図鑑「茂みの洞窟はここからまっすぐ進めばあるぞ」ピコピコ
しんのすけ「ごくろーさん」
リーリエ「……しんちゃん」
しんのすけ「お?」
リーリエ「ポケモンさんと力を合わせて、スカル団と戦う姿……。すごかったです。だからしんちゃんはあの時、トレーナーでもなかったのに、ほしぐもちゃんを助けられたんだって……」
リーリエ「しんちゃんは……ポケモンに選ばれたんだって、わたし、わかったんです」
リーリエ「カプ・コケコさん……。ポケモン勝負が好きだと、リリィタウンで聞きました。カプ・コケコさんに会えたら、どうしてしんちゃんやほしぐもちゃんを助けてもらえたのか、わかるのでしょうか……?」
リーリエ「しんちゃん……?」
しんのすけ「ヘイヘイそこのおねいさん! オラと愛の試練を受けに行きませんか~?」
リーリエ(全然聞いてません……)ガクリ
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
リーリエ「ほしぐもちゃんも、そう思いますか?」
リーリエ「さっき、頼もしく助けてくれたのかと思うと……ああやってすぐ女の人に声をかけるなんて……しんちゃんは、ハウさんとはまた違う掴みどころのなさで困ります」ハァ
茂みの洞窟 ポケモンセンター前
ハウ「おー! しんのすけーリーリエー!」フリフリ
しんのすけ「ほっほーい! ハウくーん!」ピョンピョン
ハウ「これから試練受けるんでしょー?」
しんのすけ「まぁね」
リーリエ「どちらから先に、試練を受けるんですか?」
しんのすけ「オラ先やりたい! オラ先やるー!」
ハウ「いいよー。じゃあ、おれはしんのすけが終わるまで、ポケセンで待ってるねー」
リーリエ「私もポケモンセンター内のカフェで待ってます。試練、頑張ってくださいね」
しんのすけ「ほいほーい!」
ハウ「茂みの洞窟はねーカプ・コケコにゆかりがあってねー、島巡りとかで許されて、やっと入れる場所なんだー。だからポケモンも強いと思うよー」
しんのすけ「だいじょぶだいじょぶ、スケスケおパンツ団に勝てたからへーきへーき!」
ハウ「スケスケおパンツー?」
リーリエ「スカル団、です!」
しんのすけ「じゃ!」
茂みの洞窟 キャプテンゲート前
イリマ「はい! キャプテンのイリマです!」
しんのすけ「本日4回目ー」
イリマ「お待ちしていましたよ、しんのすけ君!」
しんのすけ「『いや~ん待った~?』『いや、今来たとこだぜ!』『嘘ばっかり。でもアタシ、そんなあなたの優しさに惚れたの~』」
イリマ「え、えーっと……試練の説明をしてもよろしいでしょうか?」
しんのすけ「おかまいなくー」
イリマ「コホン……。僕の試練は、ここから歩いて散歩! この茂みの洞窟で行います! ただ、茂みの洞窟で暮らすポケモンは、かなり手ごわいですよ」
しんのすけ「そんなんでいいの?」
イリマ「もちろん、ただの散歩ではありません。キミがするべきことは……洞窟奥の台座から、Zクリスタルを手に入れて僕のもとへ持って帰ってくること!」
しんのすけ「おつかいみたいなものか。確かにオラにとっては試練みたいなものですな」
イリマ「ポケモンももちろん、襲ってきますので、君のモクローとのコンビネーションが試されます」
???「キーキーキークー!!!!」
しんのすけ「おおっ、何いまの音?」
イリマ「ああ! 言い忘れていたことがひとつあります。強いポケモンがたむろする洞窟ですが、さらに強い『ぬしポケモン』が住み着いています。……試練をクリアするための、最大の障壁となるでしょうね!』
しんのすけ「ほーほー……」
イリマ「ちなみに、試練を達成するまで外に出られませんし、ポケモンも捕獲できませんからよく覚えておいてくださいね」
しんのすけ「おトイレ行きたい時はどーすんの?」
イリマ「そ、それは先に済ませるべきです。というか、今もよおしているんですか?」
しんのすけ「ううん、今は平気」
イリマ「じゃあ用を済ます前に、試練を先に済ませちゃいましょう」
しんのすけ「うまいこというねー」
イリマ「さて、島巡り7つの試練、そのうちの1つ――それでは……イリマの試練、はじめ!」
試 練 開 始 !
しんのすけ「うっしゃあー! なんでもかかってこーい!」ドタドタドタ!!!
茂みの洞窟の中
キー キー クー クー ワルイデー ザコチャーウ
しんのすけ「いろんなポケモンの鳴き声がするー」テクテク
ロトム図鑑「茂みの洞窟とかけまして、あくむを見せるポケモンと解く」
しんのすけ「その心は?」
ロトム図鑑「だぁー暗い」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんの座布団全部持ってって」
ロトム図鑑「おいっ! そこは「座布団一枚やって」って言うもんだろうが!」
モクロー『おいおい……今は試練中だぞ? ふざけてる場合じゃないだろ』
しんのすけ「あれ? カザマくんいつの間に?」
モクロー『君たちだけだと心配だから出てきたんだよ。それより、早く試練を達成しようよ』
ダダダダッ!
???「ヨヨヨー!」
しんのすけ「お?」
モクロー『こいつら確か……』
したっぱA「リベンジ・オブ・ポートエリア! おれらのこと、覚えてるか?」クネクネ
しんのすけ「どちら様だっけ?」
したっぱA&B&モクロー「」ガクッ
したっぱB「そうでスカ……」
ロトム図鑑「ネタがベタベタだな。もうちょっと捻りを入れるべきだ」
しんのすけ「あ? やっぱりィ?」
したっぱB「……って、覚えてるじゃないスカ! 忘れたふりッスカ!?」
しんのすけ「んもー分かってるよー。スケスケおパンツ団の人たちでしょ?」
したっぱB「スカル団! いい加減覚えて欲しいッスカ!」
したっぱA「って、どうでもいいよ! こいつの試練をジャマするため、忍びこんできたんだぜ!!」
したっぱB「そうでした! それではさっそく、コイツのポケモン、奪いまスカ!」
しんのすけ「えー? それじゃあおにいさんのポケモンちょーだい」
したっぱB「それじゃただの交換じゃないッスカ!」
モクロー『てゆうかボクを取引に使うなよ!』
したっぱA「ええい! どうでもいいって言ってるだろ! 始めるぞ!」
スカル団の したっぱが
勝負を しかけてきた!
したっぱA「スリープ! じゃがいも頭をひねり潰せ!」ヒョイッ
ポンッ
スリープ「スリィィィプ!」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」
モクロー『ったく、トレーナーとしての自覚をもっと持って欲しいよ……』バッ
したっぱA「スリープ! モクローにねんりきで石を飛ばせ!」
スリープ「スリィィィ……」ムゥ~ン
スリープが目を閉じて一心に念じると、洞窟に転がっている小石や岩がふわりと浮き始めた。
スリープ「……ィィップ!!!!」
スリープが目を見開くと、岩が一斉にカザマへ向かって飛んできた!
モクロー『うわっ! 危ない!』バサッバサッ!
したっぱA「逃がすんじゃねーぞ! 岩でメッタ打ちだ!」
スリープ「スリィィィプ!」
カザマが空中を飛ぶと、その後ろを岩もついていく!
モクロー『くそっ! このままじゃ技が出せないよ!』バサバサバサ!
ロトム図鑑「おいっ、なんとかならんのか?」
したっぱA「なるわけないだろバーカ!」
したっぱB「スーッカスカスカスカ!」
しんのすけ「んー……」
しんのすけはスリープとスカル団、そして岩と逃げるカザマを順に見据える。
しんのすけ「カザマくん、そのままあっちに突っ込めばいいじゃん」ユビサシッ
カザマ「え? あ、なるほど!」クルッ
したっぱA「はーっはっはっは!」
したっぱB「スーカスカスカ! ……スカ?」
ゴウウウウッ!!
したっぱA「なんかこっち来てないか?」
したっぱB「まさか正真正銘のダイレクトアタックっスカ!?」
カザマはスリープを横切り、更にスカル団も横切っていく。その後にやってくるのは、もちろん……
したっぱたち「うわあああああっ!」
ドカドカドカドカ!!
したっぱA「」ピクッピクッ
したっぱB「」スカッスカッ
スリープ「」ピクッピクッ
ロトム図鑑「フッ、口ほどでもない」
モクロー『だからお前何もやってないだろっ!』
しんのすけ「じゃ、いこいこ」テクテク
モクロー『でも、相手の攻撃を利用するなんて、しんのすけにしちゃ考えたな』
したっぱB「お、覚えてろ……ッスカ」
したっぱA「……いいか? 相棒がスカ スカ言ってるのは、記憶に残るためだからな……。本当におぼえておけよ……スケスケおパンツって言うなよ……」ガクッ
茂みの洞窟 ぬしの間
モクロー『あっ、あれがZクリスタルかな?』
しんのすけ達の目の前には、台座があった。その中には、透明のZクリスタルが輝いている。
しんのすけ「ほっほーい!」ダッ!
ロトム図鑑「ふん、結構あっけないもんだったな」
モクロー『でも待って。僕たち、なにか忘れているような……』
???「ぬしゃしゃ!!」
モクロー『!?』
ロトム図鑑「んあ?」
しんのすけ「?」
ピョンッ!
ズシンッ!!
ラッタ「ぬっしゃーっ!」
茂みの洞窟 ぬしポケモン
ラッタ 出現!
モクロー『そうだ! ぬしポケモンだ!』
ラッタ「ぬっしゃああああっ!」ゴウッ!!
モクロー『なんかオーラ纏ってる!』
しんのすけ「本気でキレた時のかーちゃんみたーい」
ロトム図鑑「どうやら能力が上がっているようだな。あれがぬしポケモンの強さの秘訣か」
モクロー『よーし! 試練達成してZクリスタルを手に入れるぞ! それっ!』バサバサッ
モクローはこのはで、葉っぱ状の羽根がラッタへ飛び散っていく。そしてすぐに急接近すると――。
モクロー『ばあっ!』ヒョッイッ
ラッタ「キークー?!」ビクッ!
モクロー『よしっ! 今のうちに!』クチバシツキタテッ!
ドスドスドスドス!!!
ラッタ「シャーッ!」
しんのすけ「おおっ、やるー」
ロトム図鑑『いいぞ我がしもべよ。そのままぬしポケモンを蜂の巣にしてしまえ』
ラッタ「ッシャー!」ブンッ
モクロー『うわっ!』
ラッタがカザマを振り切ると、いきり立って前歯をむき出しにして襲いかかってきたっ!
ガブッ!!
モクロー『いっでぇぇぇっ!』
しんのすけ「おおっ、二度目のかみつき」
ロトム図鑑「いや、あれは『いかりのまえば』だ。死にはしないが、体力の半分は持ってかれたな」
しんのすけ「おいしい?」
ラッタ「ッシャ!」b
モクロー『だからお前はどっちの味方だよっ!』
ラッタ「……キィーッ! シャーッ!」
ラッタがさっきまでと違う、甲高い声を上げた。すると……。
コラッタ「シャー!」ピョンッ
モクロー『うわっ、なんでコラッタが!?』
しんのすけ「飲みに誘ってきたんじゃない?」
ロトム図鑑「あとはラッタに告白してきたとか」
モクロー『どう見ても違うだろっ!』
コラッタ「ヂュッ!!」ダッ
ドカッ!
モクロー『ぐあっ!』
しんのすけ「カザマくーん!」
ロトム図鑑「今のはでんこうせっか、か」
ラッタ「シャーッ!」
コラッタ「シャー!」
モクロー『いてて……どうしよう、これじゃ2対1だ』
ロトム図鑑「私にいい作戦がある。私一人だけではダメだ。しんのすけも協力する必要がある」
しんのすけ「なに?」
ロトム図鑑「……カザマをラッタたちの餌にして、その隙にZクリスタルをいただき、ふたり揃って茂みの洞窟を脱出するのだ」
モクロー『…………』ブチッ
ドカッ! ドカッ! バキッ! ドカッ!
モクロー『いいかげんにしろよこのブタ! ガブリアスのサンドバッグにしてやろうか?!』ドカッ! ドカッ!
ロトム図鑑「ジョーク! ジョーク! アローラジョーク! あっいいこと思いついた!」
モクロー『もしまたくだらない作戦だったら、お前をラッタの餌にするからな?』
ロトム図鑑「あれを見よ」ユビサシ
ロトム図鑑が指さした場所……崖の上に、大岩があった。
ロトム図鑑「あれをなんとかラッタの頭に落とせば、それだけで勝てるのではないか?」
しんのすけ「ラッタくんを煽って、壁にぶつければいいんじゃない?」
モクロー『よーし、それでやってみよう』
モクロー『やーい、来てみろ来てみろー!』バッサバッサ!
ラッタ「…………」
テクテク
モクロー『お、おい、どこ行くんだよ?』
ラッタは大岩のある崖近くに来ると、カザマの方へ一度振り返った。まるで、しんのすけたちを嘲笑うように。そして――
ラッタ「ぬっしゃーっ!」タックル!
ドンッ!
ゴロッ…
ズシン! !
モクロー&ロトム図鑑「」
しんのすけ「見抜かれましたな」
ロトム図鑑「この作戦は失敗だな……」
モクロー『なに冷静に実況してんだよ! おバカ!』
ラッタ「シャーッ!」ダッ!!
コラッタ「シャーッ!」ダッ!!
モクロー『うわわわーっ!』
ラッタとコラッタが、前歯をむきだしにしながら、逃がさないと言わんばかりに左右からカザマに挟み撃ちを仕掛けてくる!
ドドドドド!!!
モクロー『もうダメだー!』
しんのすけ「カザマくん! 上、上!」
カザマ「えっ? ……ハッそうか!」バサッ!!
カザマは飛び出すように上空へ羽ばたいた! そして、後に残ったコラッタとラッタが向かい合うように走ってくる!
ラッタ「シャ?! シャーッ!」バタバタ
コラッタ「シャーッ!?」バタバタ
ドシンッ!
ラッタ「ヌ……シャー……」ピクピク
コラッタ「」ピクピク
モクロー『やった! 同士打ちだ!』
しんのすけ「車は急に止まれないもんだ。気をつけなきゃ」
ラッタ「シャー……」フラフラ
ラッタは 洞窟の奥に 姿を 消した!
イリマ「なんというトレーナーでしょう!」
しんのすけ「お?」
イリマ「ボクが鍛えに鍛えあげた、ぬしポケモンをああいう形で倒すだなんて……! 悔しいですが、さすがとしか言いようがありません」
ロトム図鑑「ふん、私の完璧な計画が功を奏したな」
モクロー『お前結局役に立ってなかったじゃないか!』
イリマ「ポケモンと力をあわせ、イリマの試練――達成です!」
イリマ「さあ、台座のZクリスタルを!」
しんのすけ「ほっほーい!」トテトテ
しんのすけは ノーマルZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
イリマ「いま、手に入れたのがノーマルタイプのZクリスタル……! その名も、ノーマルZ!」
イリマ「それをたいあたりなど、ノーマルタイプの技を使えるポケモンに持たせて!」
バッ! バッ! バッ! ジャーン!
イリマ「このように、エレガントなポーズをすることで、ノーマルタイプの技を強める、Zパワーを放てますよ!」
しんのすけ「おーっ! かっこいー! オラもやってみよーっと!」
バッ! バッ! バッ! プリッ! ジャーン!
しんのすけ「こうですな?」
イリマ「お、おしりは出さなくて結構です……」
しんのすけ「んーこの方がしっくりくるんだけど」
イリマ「コホン……。そうそう、言い忘れていたことがひとつ、ありましたね」
イリマ「試練を行う場所には、先ほどのラッタのように、一際強いポケモンがいます。それに、アローラ地方のポケモンは助け合いなのか、戦いのときに仲間をよぶのですよ!」
モクロー『なるほど、僕はずっとククイ博士の研究所の中で育ってきたから知らなかった……』
しんのすけ「世間知らずだな、カザマくん」
モクロー『るさい』
イリマ「しんのすけ君も、ポケモンもひとまずはお疲れ様です。洞窟の入口まで戻りましょうか」
しんのすけ「ほーい」
茂みの洞窟 ポケモンセンター前
イリマ「さて、しんのすけ君! メレメレ島にいるキャプテンは、ボク1人! つまり試練も1つです。試練を終えたことを、しまキング……ハラさんに、報告しておいてくださいね!」
しんのすけ「なんで?」
イリマ「島のキャプテンの試練を全て乗り越えたら、今度はしまキングに挑戦するからですよ。それが島巡りのルールなんですから、忘れちゃダメですよ」
ククイ博士「おお! しんのすけ! イリマの顔を見るに、試練達成かな」フリフリ
しんのすけ「ハカセー!」フリフリ
ククイ博士「Zクリスタルを手に入れたみたいだね。では、僕からのプレゼントだ! Zパワーについて、お教えしよう! よーく見ておくんだぜ!」
しんのすけ「なるべくシリプリにね」
イリマ「シンプル、です」
ガサガサッ
ガーディ「アオオオン!」
ククイ博士「ゆけっ、イワンコ!」
イワンコ「ワンッ」
しんのすけ「おおっ、都合よくポケモンが草むらから飛び出してきた!」
ククイ博士「ノーマルZと、ノーマル技を持っていれば、Zパワーが使える! さあ、見ててごらん!」
バッ! バッ! バッ! ジャーン!
ピカッ! ゴウッ!!
イワンコは Zパワーを 身体に まとった!
イワンコが 解き放つ
全力の Zワザ!
ウ ル ト ラ ダ ッ シ ュ ア タ ッ ク !
ククイ博士「よーし! 思いっきり行くんだ!」
イワンコ「ワオオオン!」
Zパワーを纏いながら、イワンコが全速力でガーディに向かって突っ込む!
ドドドドドド!!
ドカッ!
ガーディ「ヤナカンジー!」
キラン!
しんのすけ「おーっ!」パチパチパチ
ククイ博士「ふう……! トレーナーの思いをポケモンに重ねるZパワーは、くたびれるね……」
イリマ「そう、Zパワーはトレーナーの体力と思いを使って発揮されるんです。一回の勝負では、一回が限度。更に言えば、しんのすけ君はまだ子供ですから、勝負が終わったあとは長時間の休憩をおすすめします」
しんのすけ「ますます必殺技っぽいですな」
イリマ「ところで、心なしか博士の顔が浮かないようですが……」
ククイ博士「ああ! ドわすれしていた! あれなんだ!3番道路でリーリエとはぐれてしまってね……」
しんのすけ「えーっ? 迷子になったの? 世話がかかりますな」
ククイ博士「しんのすけ、彼女を探してくれないか?」
しんのすけ「めんどくさ、自分でやれば?」
ククイ博士「そうかぁ……しょうがないなぁ。さっきたまたま、ポケモンセンターで知り合いから巨乳のおねえさんの生ポスターを貰ったんだけど、いらないかぁ」ガサガサ
しんのすけ「いりますやります! うおーっ! リーリエちゃんどこだーっ!」ドドド!
ククイ博士「おおっ、全力のZワザに負けずとも劣らないスピードだ!」
イリマ「それじゃあ、僕も念のため、洞窟の様子を見にいきますね」
ククイ博士「ああ、手分けして探すとしよう!」
3番道路 メレメレの花園
太陽の光を浴びて明るい金色に咲き乱れる花々。そこにリーリエはいた。
だが、そばに居るはずのコスモッグは、リーリエから花畑と草むらで隔たれたように、はるか遠くの場所で花を眺めていた。
リーリエ「ほしぐもちゃん……無茶しないで」
ほしぐもちゃん「ピュイ! ピュイ!」
ドドドド!
リーリエ「?」
しんのすけ「ほっほーい! リーリエちゃんみっけ! 早くハカセからポスターもらってこよ!」
リーリエ「あ、あの……」
しんのすけ「なに? 今オラいそがしいの」
リーリエ「ほしぐもちゃんが、草むらの奥に入っちゃったのです……」
ピューイピューイ>
しんのすけ「ほんとだ」
リーリエ「吊り橋でひどい目にあったのに、あのコったら……。野生のポケモンさんがでてきても、戦える技、ないのに……」オロオロ
リーリエ「それで、私の代わりに助けに行ってくれませんか?」
しんのすけ「えーめんどくせ……ま、ポスターを貰うためにはしょうがないかぁ」ヌギヌギ
リーリエ「え? あの、なんでズボンを脱いでるんですか?」
しんのすけ「お花畑に出現したケツだけ星人、ただいまお花摘みちゅう~! ブリブリ~ブリブリ~!」
ガサガサガサッ!
リーリエ「」
しんのすけ「ブリブリ~ブリブリ~!」ガサガサガサッ!
オドリドリ「ピョッ!?」ビクッ
アブリー「リッ!?」ビクッ
チュリネ「チュリ!?」ビクッ
観光客「わっ! なになに!?」ビクッ
しんのすけ「ブリブリ~ブリブリ~!」ガサガサガサッ!
ほしぐもちゃん「ぴゅ?」
しんのすけ「よ! ほしぐもちゃん。オラのおケツに乗れば~?」
ほしぐもちゃん「ぴゅい! ぴゅい!」ピョンッ
ガサガサガサッ!
しんのすけ「ブリブリ~ブリブリ~!」ガサガサガサッ!
ほしぐもちゃん「ぴゅーいぴゅーい!」ピョンピョン
ガサガサガサッ!
しんのすけ「戻ったぞみさえ~」
ほしぐもちゃん「ぴゅいぴゅーい!」
リーリエ「…………」カオマッカ
しんのすけ「さ、バッグの中にお戻りなさい」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」モゾモゾ
しんのすけ「また後でやったげるからね。いい子にしてるんだよ?」
ほしぐもちゃん「ぴゅ? ぴゅーい!」ジブンデチャックシメル
リーリエ「あの……恥ずかしくないんですか……?」フルフル
しんのすけ「いつもやってることなんでーほーらブリブリ~!」
リーリエ「やめてくださいっ! こっちが恥ずかしいですっ!」
しんのすけ「んも~せっかく助けてあげたのに」
3番道路
ハウ「しんのすけー! あーリーリエいたー!」
リーリエ「ハウさんはどうして?」
ハウ「試練をこなしたからさー。新しいポケモンと一緒にこなしたんだよー」
ピカチュウ「ぴっかー!」
しんのすけ「ほうほう、通ですな」
ハウ「ねーねーどれだけ強くなったのか確かめさせてー」
しんのすけ「いやオラ、試練とケツだけ星人で疲れちゃったからいいや」
ハウ「ケツだけ星人?」
リーリエ「わたしに聞かないでください……」
ハウ「????」
ククイ博士「おお! さすがしんのすけ! リーリエを見つけてくれて感謝してるぜ!」
しんのすけ「まったく参っちゃうよね。方向音痴を探すのにも一苦労ですよ」
リーリエ「花畑でおしり出してる人に言われたくないです……!」
ククイ博士「ハウも試練達成おめでとう! ニャビーとピカチュウと一緒にいい技を出したんだろ?」
ハウ「えへへー。ぬしに勝って、しんのすけもおれもー強くなってるよねー! じーちゃんに勝てるかなー?」
リーリエ「どういうことでしょうか?」
ハウ「試練をこなせばー、次はしまキングと戦うんだよー!」
ククイ博士「そう! しまキングとの戦い――その名も大試練! 技の研究をしている僕からすれば、興奮のポケモン勝負が続くわけだ!」
ハウ「いやいやー」
ククイ博士「おーし! めざすぜリリィタウン! おいかぜ吹かせて、3番道路を下ろうぜ!」
しんのすけ「ハカセハカセ、例の物は?」チョイチョイ
ククイ博士「ああ、そうだったね! お礼のポスターだ!」つポスター
ハウ「なんのポスター? 見せて見せてー」
ペラッ
ハウ「ミルタンクのポスターだー」
ククイ博士「アーカラ島のオハナ牧場にいる、オカミという妙齢のミルタンクだよ。これだけ乳が大きいと、ミルクのみの回復量もすごいだろうなぁ」
しんのすけ「」
ハウ「ねーなんで落ち込んでるのー?」
リリィタウン 広場
ククイ博士「帰ってきたぜ! リリィタウン!」
リーリエ「ぐるっと島を一周してきたんですね」
しんのすけ「長いようで短い旅でしたな」
ハラ「やあ、皆の衆。どうやら、無事、キャプテンの試練をこなしたようですな!」
ハウ「じーちゃーん! 俺もしんのすけも試練、達成したよー」
ハラ「おお! 確かに、二人ともZクリスタルを持っているようですな。大試練を受ける資格、バッチリおありですぞ」
リーリエ「ところで、この騒ぎは一体何ですか?」
ハラ「ちょうど、明日、ゼンリョク祭りがありましてな」
ハラ「アローラ地方には4つの島があり、守り神のポケモンがいるのです」
ハラ「守り神ポケモンがわれらのそばにいてくれること。それに感謝をあらわすのが、明日の祭りなのですな」
しんのすけ「お祭り? もしかして屋台とかテキヤとか出る?」
ハラ「ハッハッハッ。しんのすけ、残念ながら祭りといっても田舎の小さなもので、みんながカプ・コケコに捧げる勝負を見てはしゃくだけですな」
しんのすけ「ちぇーがっかり」
ククイ博士「ハラさん、二人の大試練はそこで……?」
ハウ「ちょうど良いところで、試練を達成してくれた、ということですな。明日のお祭りで、大試練も兼ねて行おうと思いますな」
リーリエ「なにがあるのでしょうか?」
ほしぐも「ぴゅい!」
ククイ博士「ごきげんなポケモン勝負。技と技のぶつかりあい! ゼンリョク祭りでは、カプにポケモン勝負を奉げるんだぜ!」
リーリエ「では、おふたりがハラさんと勝負なさるのですね。ポケモンさんが戦うのは傷ついたりするので苦手ですが、わたし……きちんと見ます」
ククイ博士「しんのすけ、ハウ、君たち二人が明日のお祭りを盛り上げるんだ!」
ハウ「おー! 盛り上げちゃおーね! しんのすけー!」
しんのすけ「おー!」
ククイ博士「しんのすけ! メレメレのしまキング、ハラさんは強いぜ! かくとうタイプのポケモンを使いこなすトレーナーだよ!」
ククイ博士「ひこうタイプやエスパータイプの技を鍛えておくといいかもね!」
ハウ「だからーカザマとは相性がいいんだよー。がんばってー」
しんのすけ「ほいっ!」
ククイ博士「それじゃあ今日は日も暮れているし、家まで送ろうか」
しんのすけ「やれやれ、これからうるさい中年ブロイラーのところへ帰るのか」
ハウ「しんのすけーそんなこと言っていいのー?」
しんのすけ「へーきへーき、かーちゃんが中年ブロイラーなのは事実ですし。なんならもっと言ってあげようか? 妖怪ケチケチオババ、三段ハラ、たいしぼうポケモンミサイドn」
げ ん
こ つ
みさえ「帰ってきたと思ったらいきなりママに対してなんてこと言ってるのよアンタはぁぁぁ!」グリグリグリグリ
しんのすけ「あへぇぇぇぇ!」
ハウ(後ろに居たのになんで気付かなかったんだろー?)
ククイ博士「お、この間見たあの技だ! 奥さん、後でその技、ぜひ僕にも掛けてくれませんか?」
リーリエ「は……博士?」
自宅
みさえ「へぇ~じゃあ一個目の試練が終わって、今度はハラさんに挑戦するの? 早いわね~」モグモグ
しんのすけ「それにオラ、スケスケおパンツ団の人たちとも戦って、勝ったんだよ」モグモグ
みさえ「す、スケスケおパンツ団?」
モクロー『スカル団!』モグモグ
ロトム図鑑「スケスケおパンツ専用の下着ドロ集団、だからスケスケおパンツ団なのだ」
みさえ「あら、や~ねぇ。一昔前に世間を騒がせたロケット団とかプラズマ団と比べると大したことなさそうだけど……」
モクロー『だから違うって言ってるだろ! あぁ、なんでこんな奴らだけしか、僕の言葉が分からないんだ……?』
ひまわり「たいや、とうていやったい!」
しんのすけ「あーんダメっ! オラのZクリスタルなんだから」
ひまわり「ぶーっ! たいっ!」バッ
ダダダダダ!!!
ガラガラガッシャーン!!
みさえ「わっわっ! ご飯が!」
しんのすけ「うわーっ! なんとかしてぶりぶりざえもーん!」
ロトム図鑑「こっそり撮ってあったイリマの生写真!」カシャカシャ
ひまわり「きゃーっ! でへへへ……」キラキラ
モクロー(……この兄にしてこの妹あり、だな)
モクロー『ところでしんのすけ、明日のハラさんの試合どうするのか考えてるのかよ?』
しんのすけ「だいじょぶだいじょぶ」
モクロー『本当かよ。しっかりしてくれよな、ホント。試練だって、実質マグレみたいなものだし』
しんのすけ「トオルちゃん心配性ねぇ、ママのオッパイ飲む?」
モクロー『やめろよその言い方! なんかムカつくな!』
モクロー(まぁ、相手はかくとうタイプの使い手だからタイプ相性では心配ないけど、コイツだからなぁ……)
みさえ「こーら、カスミの水着写真集なんて読んでないで、早く寝なさい。明日、大試練なんでしょ?」
しんのすけ「えー? これからがオールナイトなのに」
ロトム図鑑「コラ! 画面を舐めるな! 私は精密機器なんだぞ!」
ひまわり「レロレロ~」ペロペロ
モクロー(不安だ……)
翌日
リリィタウン・広場
ワイワイ ガヤガヤ
みさえ「芋洗い状態ってわけじゃないけど、人がいっぱい来てるわねー」
しんのすけ「そうだね」オイモゴシゴシ
みさえ「本当に芋洗ってるんじゃないの! どっから持ってきたのよ……」
ククイ博士&ハウ「おーい、しんのすけー!」フリフリ
リーリエ「……こんにちは」ペコリ
しんのすけ「ハカセー! ハウくーん! リーリエちゃーん!」フリフリ
みさえ「あ、どうもー」
ひまわり「やっ」
ハウ「ねーねーしんのすけーどっちが先にやるー?」
しんのすけ「なにが?」
ロトム図鑑「トイレの順番か?」
リーリエ「ハラさんと戦う順番じゃないですか?」
ハウ「そうそう。おれ、どっちでもいいよー。最初に出てもートリを飾ってもーどっちもみんな盛り上がるしー」
しんのすけ「じゃあオラ先やるー!」
ハウ「やっぱりー言うと思ったー」
しんのすけ「ハウ君にハラのおじさんの手の内を見せてやるという、オラのしんこー心に、カンシャするがいいー!」
みさえ「おいおい……」
ククイ博士「それを言うなら、親切心だぜ!」
ハウ「あははー結構しんのすけって計算高いんだねー」
ハラ「決まりましたかな?」
しんのすけ「ハラのおじさん!」
ハウ「じーちゃん、しんのすけが最初にやるってー」
ハラ「ほうほう、先にしんのすけからですか。カプ・コケコに選ばれた期待の新人と最初にバトルとは、このハラ、ハラハラしますぞ!」
しんのすけ「ほうほう、やっぱりオヤジギャグはトシを重ねるにつれてセンスが磨かれるのですな」
ハラ「お! しんのすけもこのハラの渾身の駄洒落、分かってくれますかな?」
しんのすけ「うんうん」
ハラ「……さて、駄洒落はここまでにして、それでは祭りを始めるとしますかな」
土俵上
ハラ「島に暮らす命。島巡りを楽しむもの」
ハラ「すべての無事を、祈ります」
ハラ「ではこれより、しんのすけとハウに対する大試練と供に、島の守り神カプ・コケコに奉げる、ポケモン勝負をはじめます」
ククイ博士「試練をこなしたしんのすけと、ポケモンたちの勝負……どんな技に魂をこめて繰り出すのか、楽しみだぜ!」
リーリエ「はい、あの……トレーナーではない私にも、スゴイことだと、わかります」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
ハウ「お互いが楽しく思えるなら、きっといいポケモン勝負になるよねー」
みさえ「しんのすけーっ! 頑張ってー!」
ひまわり「たいやーい!」
シロ「アンアンッ!」
しんのすけ「ほっほーい!」
スゥーッ
ドシンッ
ハウ「……せいっ!」
しんのすけ「おおっ、ごこふみ」
しんのすけ「おおっ、ごこふみ」
ククイ博士「しんのすけ、それを言うなら四股踏みだぜ」
ハラ「お待ちしておりました、島巡りに挑む者たちよ。あらためて、あいさつをしますかな」
ハラ「メレメレ島のしまキング、ハラと申します」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳」
ハラ「では、始めるとしますか。メレメレ島、最後の試練にして、しまキングとのポケモン勝負!」
――その名も 大試練!
ハラ「では、しんのすけ! カプ・コケコにかがやく石を託されたきみと! パートナー、カザマのゼンリョク、みせていただこう! こちらもゼンリョク! オニのハラでいきますぞ!」
ハラ「大試練っ! はじめぃ!!」
しまキングの ハラが
勝負を しかけてきた!
ハラ「ゆけぃ! マクノシタ!」ヒョイッ
ポンッ
マクノシタ「マクーッ!」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
モクロー『よーし! 負けないぞ!』
しんのすけ「おっしゃー! カザマくん、突撃~!」
モクロー『オーケー!』バッ
ハラ「マクノシタ、猫騙し!」
カザマがマクノシタをつつくより先に、マクノシタが体格に合わない動きで、急接近する。
マクノシタ「ホーッ!」スゥーッ
パチンッ!
モクロー『うわっ!』
ハラ「そのままつっぱり!」
マクノシタ「マクーッ!」
ドンッ!
モクロー『ぐあっ!』
ドサッ!
しんのすけ「カザマくんっ!」
モクロー『平気だよ! このまま行くぞっ!』バサバサッ
モクローは勢いよく飛び出し、マクノシタにつつくを繰り出す!
ハウ「反撃ですぞ!」
マクノシタ「マクッ!」
マクノシタがもう一度つっぱりを出そうとする直前、モクローは急上昇して回避。そして背後へ回り込んだ!
モクロー『えいっ! えいっ!』ドスッ! ドスッ!
マクノシタ「マッ、マクッ!」ブンッ
モクロー『おっと!』ヒョイ
しんのすけ「カザマくん! 今のもっかい!」
モクロー『よーし!』バッ!
マクノシタ「マクッ!」ブンッ
モクロー『遅いよ! 喰らえ!』
カザマはつついては回避するを繰り返し、マクノシタを翻弄していく。マクノシタも反撃を試みるが、カザマのすばやさに追いつけない!
マクノシタ『マ……マクゥ』
モクロー『へへん、どうだ!』
しんのすけ「もーいっちょー!」
みさえ「その調子よー!」
ククイ博士「つつくのヒットアンドアウェイか。回避しつつ、多角的に相手を攻めるいい戦法だ!」
リーリエ「でも、しんちゃんは何も命令しないまま、カザマさんが勝手につつくを繰り出してますよ? トレーナーは、ポケモンさんに技の命令をして戦わせるんですよね?」
ハウ「そこはしんのすけもカザマも分かってるんじゃないー? だってしんのすけはカザマの言葉が分かるんでしょー?」
ロトム図鑑「私もポケモンだから言葉が分かるぞ。ほめ称えろ」
リーリエ「あれはしんちゃんがしゃべってると思い込んでるだけだと思いますが……」
モクロー『よしっ、そろそろ向こうも弱ってきたな! とどめを刺すよ!』
しんのすけ「おっしゃー! 行けー!」
カザマが急降下して、クチバシを突き立てながら弱ったマクノシタへ突っ込む!
ハラ「マクノシタ! 砂かけですぞ!」
マクノシタ「マ……クッ!」
ザッ!
モクロー『わっ! 目に砂がっ!』
しんのすけ「カザマくん! そのまま真っ直ぐ!」
ドスッ!
マクノシタ「マ……ク」
ドサッ
相手の マクノシタは 倒れた!
ククイ博士「まずは一匹、倒したな!」
みさえ「でも……」
モクロー『ううっ……目が……』フラフラ
ハラ「一つの技に拘り過ぎて、慢心致しましたな! まだもう一匹、ポケモンが残っていますぞ!」スッ
ハラ「ゆけぃ! マケンカニ!」ヒョイッ
ポンッ
マケンカニ「カァ~ニッ!」
ハラ「それでは、私とマケンカニのゼンリョク、とくとお見せいたしましょうぞ」スッ
ククイ博士「出るぞ、ハラさんのZワザが……!」
ハウ「じーちゃん、ここで決める気ー?」
ハラ「ウーッ! ハーッ!」
バッ! シュッ! ドスドスドスッ!
ピカッ! ゴウッ!!
マケンカニは Zパワーを 身体に まとった!
マケンカニが 解き放つ
全力の Zワザ!
マケンカニ「カァァニィィィ!!」
ぜ ん り ょ く む そ う げ き れ つ け ん !
マケンカニ「カニカニカニカニカニカニカニカニカニカニ!!!」
ゼンリョクのマケンカニが放つ無数の拳がカザマを襲う!
しんのすけ「カザマくん!」
モクロー『ハッ!』
ドゴドゴドゴドゴドゴ!!!!
マケンカニ「カニカニカニカニカニカニカニカニカニカニカニ」
モクロー『ぐあっ! ああっ! があっ!』ガガガガガッ!!
マケンカニ「カニィッ!」
フィニッシュに、マケンカニ自身がオーラを纏ってカザマへ突っ込んでくる!
ドドドドドドド!!!
ドッゴォ!!
モクロー『うわぁぁっ!』
ドサッ ゴロゴロッ
しんのすけ「カザマくん、だいじょぶ?」
モクロー『うっ、ボクは大丈夫……』ムクッ
モクロー『しんのすけ……アレをやるから、タイミングを教えてくれ。じゃないと、僕らはこのまま負けちゃうから……頼んだよ』
しんのすけ「ほ、ほい!」
リーリエ「カザマさん、とってもボロボロです……」
ククイ博士「マクノシタとの戦いでのダメージも引いているからね。ひこうタイプ故の身軽さで、攻撃をある程度回避して持ちこたえたってところかな」
みさえ(しんのすけ……)ギュッ
モクロー『うっ……』フラッ
ハラ「これでとどめですな! マケンカニ、おいうち!」
マケンカニ「カニッ」ジリジリ
ハウ「うわー! 負けちゃうよー!」
スッ!
マケンカニが拳のようなハサミを振りかざしたときだった!
しんのすけ「……今だ!」
ムクッ!
モクロー『わっ!』
マケンカニ「カニッ?!」ビクッ
ハラ「!」
ククイ博士「おおっ、倒れたフリして驚かせたのか!」
しんのすけ「カザマくん! ゴーッ!」
モクロー『くらえっ! さっき喰らった分だっ』キランッ
ドスドスドスドスドスッ
マケンカニ「カ、カニッ!」
ハラ(この技の組み合わせは――)
ハラ「マケンカニ! グロウパンチ!」
モクロー『おっと、危ない!』スカッ
モクロー『しんのすけ! Zワザで決めるぞ!』
しんのすけ「ブ・ラジャーッ!」
バッ! バッ! バッ! プリッ! ジャーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ウ ル ト ラ ダ ッ シ ュ ア タ ッ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
カザマ『おりゃああああ!』
Zパワーを纏いながら、カザマが全速力でマケンカニに向かって突っ込む!
ドドドドドド!!
ドカッ!
マケンカニ「カニィィィ!」
ヒュウウウ
ロトム図鑑「え? ブヒッ!」ドゴォ
土俵の場外まで吹き飛ばされたマケンカニは、ロトム図鑑を巻き込みながらヤシの木に激突! そのまま目を回して動かなくなった。
マケンカニ「」ガクッ
ロトム図鑑「」ピクピク
相手の マケンカニ(ついでにぶりぶりざえもん)は 倒れた!
シーン
みさえ「……やったの?」
ククイ博士「はい、あれでは動けないでしょうね」
リーリエ「じゃあ、しんちゃんの勝ちなんですね!」
ハウ「勝った勝ったー!」
ワァァァァ!!!
モクロー『はは……しんのすけ! 僕たち、勝ったんだ!』
しんのすけ「へぇぇ……疲れた」グダッ
ハラ「……おおう、あっぱれ!」
傷ついたポケモンを労うようにボールに戻しながら、ハラはしんのすけに近付いた。
ハラ「けして番狂わせなどではない。なんと……よいトレーナー。そして、よいポケモンですな!」
しんのすけ「いやぁどういたまして」
モクロー(だけど、不思議な気分だ。戦い終わった途端、身体の奥底から、Zパワーとは違う、なにか別の力が湧き上がってきた気がする。なんだろう、これは)
――カプゥーコッコ!!
ハラ「おお! カプ・コケコのさえずり!」
ハラ「ふむう! カプ・コケコは、強くなった君たちと戦うのが楽しみなのか……」
ハラ「よし! パートナーのポケモンに、トレーナーの力をわけあたえるZクリスタルを 受け取られよ」
しんのすけ「ほいっ!」
しんのすけは カクトウZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
モクロー『これでメレメレ島の試練はクリアーだ!』
大 試 練 達 成 !
ハラ「しんのすけよ、かくとうタイプのZパワーを使うには、腕をこうして……腰をこのようにしたポーズをとれ」
バッ! シュッ! ドスドスドスッ!
しんのすけ「ほいっ! こうですね!」
バッ! シュッ! ブリッブリッブリッ!
みさえ「尻は出さなくていいの!」
ハラ「しんのすけ! これにてアローラ地方1つめの島! メレメレ島での試練をすべて達成、ですな!!」
しんのすけ「ほっほーい!」
みさえ「よかったわね、しんちゃん!」
しんのすけ「みさえのダイエットよりは上出来だもんねー」
げ ん
こ つ
しんのすけ「」
みさえ「アンタはいちいち一言無駄が多いのよ!」
ハラ「……ゴホン!」
ハラ「ところで、しんのすけ。さっきの、おどろかすからのつつくの流れですが……」
しんのすけ「お?」
ハラ「相手をひるませて、追撃を加える技の組み合わせ。……本来は、バトル開始に行い、相手に攻撃させる間を与えず一気呵成を体現した戦法です。かつて、このハラの弟子が好んでいた戦い方ですな」
ハラ「その戦い方、どこで教わりましたかな?」
しんのすけ「スケスケおパンツ団の人たちがやってたのを真似したの」
リーリエ「スカル団です。ハウオリシティのポートエリアで、絡まれていたところを助けてもらったんです」
ハラ「スカル団……なるほど」
ククイ博士「さ、次はハウの番だ! しんのすけのようにゴキゲンな技の応酬、期待してるぜ!」
しんのすけ「おおっ、頑張ってハウくん!」
みさえ「私たちも応援するわよー!」
ハウ「ありがとー! じゃあ頑張ってくるー!」フリフリ
ロトム図鑑「誰か私を助けろ……!」ボロッ
ハウの大試練戦終了後
ハウ「えー?! おれの活躍カットなのー?!」
しんのすけ「この作品のしゅやくはオラですから」エッヘン
ハウ「そんなー」ガックリ
ロトム図鑑「現実は厳しいのだよ、少年」
リーリエ「あの……なにを二人でお話しされているんですか?」
しんのすけ「オトコ同士のお話です」
ククイ博士「二人とも、まずは大試練突破おめでとう! ハウもハラさんからZリングが貰えたようだな!」
ハウ「えへへ、これでおれもしんのすけみたいにZワザが使えるんだよねー」
しんのすけ「これで、オラとハウくんは切っても切れないカンケーになったのね~」
みさえ「しんちゃんがハウ君と戦った時、カザマくんにロクに指示が出せなかったのが遠い昔の出来事に思えるわ~」
ハラ「二人とも、凄まじい成長性ですな」ポンポン
ハウ「えへへー」
ククイ博士「さて、次の舞台はアーカラ島だ! 川からジャングル、火山とアローラの中でも様々な自然に富んだ場所なんだ!」
しんのすけ「おージャングル! マンキーさんとアクション仮面を思い出しますな。ね、ひま」
ひまわり「たいやー!」
リーリエ「あの……しんちゃんとハウさんにお願いしてもいいでしょうか?」
ハウ「なにー?」
しんのすけ「サインが欲しいなら、事務所を通したまえ」
リーリエ「ほしぐもちゃんを……もとの住処に戻してあげたいのです。……以前、お話したように、このコのおかげでわたしは危ないところを助けられました。ですから、お礼をしたいのです!」
リーリエ「でも、ポケモントレーナーではないわたしにはできないことばかり……。だからお二人に助けてもらえたら……! ワガママだというのは、よくわかっているのですが……」
ハウ「おれは別にいいよー」
しんのすけ「ま、リーリエちゃんはオラが面倒見なきゃダメダメみたいですからな」
みさえ「こーらっ、そういうこと言うんじゃないの!」
リーリエ「……ありがとうございます。うれしいです、とっても困ってましたから。では、私たち、次の島にもついていきますね!」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」モゾモゾ
ククイ博士「さーて! そうと決まればヨットの整備だ。リーリエ、手伝ってくれるかい?」
リーリエ「はい!」
ハラ「では、ここらでお開きにするとしますかな」
ハウ「じゃあまた明日ねー!」フリフリ
リーリエ「こういうとき、さよならというのですね」
しんのすけ「違うよ。オラが引っ越してくる前、みんなこう言ってたよ。『またね』って」
リーリエ「そうなんですか?」
しんのすけ「うん、さよならだとずっと会えなくなるから縁起が悪いって、よしなが先生が言ってた」
リーリエ(そういえば、しんちゃんは遠いカスカベ地方からアローラへ引っ越してきたんでしたっけ……。お友達や学校の先生など、大勢の人達と別れてきたのでしょう)
リーリエ(また会えることを信じて別れたのですから、確かに、「さよなら」と言うのはふさわしくないのかもしれません)
しんのすけ「じゃ、そゆことで~」
リーリエ「」ガクッ
リーリエ「そこは『またね』じゃないんですか……」
今日はここまで。
次回の更新は明日の夜予定。
じゃ、そゆことで~!
【おまけ】
しんのすけ「それなーにー?」
リーリエ「これですか? ブティックでいただいたのです。なにも買っていないのですが……なんでも来店99999人目記念だそうです。でも、しんちゃんにあげても、しょうがないですよね」
しんのすけ「おーこの化粧品知ってるー」
リーリエ「えっ? 知ってるんですか?」
しんのすけ「うん、かーちゃんがよく使ってるから。ちょっと失礼して」
ヌリヌリ
しんのすけ「ほーら、オラいつもかーちゃんの化粧品でイタズラしてるから、お化粧がすごくうまくなったのよ~ん」
リーリエ「そ、そうですか……」
時間が取れたので、ちょびっとだけ投稿します。
翌日
ハウオリシティ ポートエリア
しんのすけ「ほっほーい!」
ククイ博士「お、ようやく来たか!」
みさえ「スミマセン、寝坊してしまって……」
しんのすけ「うわっ、ボロっちいヨット」
ロトム図鑑「私たちが乗り込んだらすぐ沈没するんじゃないのか? ええ?」
みさえ「コラッ! 失礼でしょ」
ククイ博士「古いんじゃないぜ、クラシックスタイルだからさ」
リーリエ「味わい深さがあって、わたしは好きですけれど……」
ハウ「でもやっぱ不安になるかもー」
ハラ「では、全員揃ったことですし、そろそろ行かれますかな?」
ククイ博士「そうですね、向こうで人も待たせていますし」
しんのすけ「誰?」
ククイ博士「会ってからのお楽しみさ」
ハウ「じゃあじーちゃん、行ってくるねー」
ハラ「うむ、ハウよ。ポケモンと供に島巡りを終えて、いつか本気のハラと戦えるようになるのを、楽しみに待っていますぞ!」
ハウ「うんー! 頑張ってくるー!」
みさえ「しんちゃんも、3人の言うこと、ちゃんと聞くのよ」
しんのすけ「えーっ! かーちゃんも来ないの?」
みさえ「当たり前でしょ。引越しの荷物整理しないといけないし。ひまとシロもいるのよ?」
ひまわり「たーよたーよ!」
しんのすけ「……」
みさえ「ママと離れ離れになって寂しい気持ちは分かるわ。でもね、これは一人でやらなきゃいけないことだから」
みさえ「しんちゃん?」
しんのすけ「やったやったー! オラ自由だー! フリーダーム! イエーイ!」
みさえ「」ガクッ
みさえ「……そういうヤツよね、アンタは。えぇ、分かってたわよ」
みさえ「そういえば、パパがお仕事でアーカラ島にいるみたいだから、ひょっとしたら会えるかもね。もし会ったら、島巡りで体験したこと、ちゃんと話しなさいよ」
しんのすけ「その時にはとーちゃんも、たくさんの女巡りを体験しているわけですな」
みさえ「だから縁起でもないこと言うなっつーの!」
トコトコ
イリマ「おめでとうですよ、しんのすけ君、ハウ君!」
しんのすけ「お、イリマ君」
ひまわり「キャーッ!」キラン
みさえ(あら、イケメン)
イリマ「お二人がアーカラ島へ行くと聞いて、見送りに来ました!」
イリマ「二人共、ゴキゲンなZパワーでしたね。また今度、ポケモン勝負をしましょう!では、キミたちの島巡りに! 未来に、幸ありますように!」
ハラ「しんのすけ! ハウ! ポケモンや人に出会うことで、人生はおもしろくなりますぞ!」
しんのすけ「ほいっ!」
ハウ「はーい!」
ククイ博士「よーし! そろそろレッツ・クルージングといこうか!」
しんのすけ「それじゃーアーカラ島に出発おしんこーオボンのぬか漬けー!」
しんのすけ「じゃーねー! かーちゃーん! お土産買ってきてねー」フリフリ
ハウ「じーちゃーん!」フリフリ
シロ「アンッアンッ!」
みさえ「しんのすけ……気を付けてね」
イリマ「心配いりませんよ、しんのすけ君は僕の試練も、ハラさんの大試練も乗り越えたんですから。あの子達なら、きっと島巡りを終えられますよ」
ハラ「昼間の月……夜の太陽……」
ハラ「見えなくても存在するものに、思いを馳せられるかどうか。アローラの島を巡り、いろんなポケモンや人の見えるもの、見えないものを考え、いつか、カプ・コケコに会うのですな」
みさえ「私たちも、二人の成長を楽しみにしながら待ちましょう。私たちにできることはそれだけですものね」
ハラ「うむ。では、それぞれの場所に戻りますかな」
イリマ「はい!」
海上
ハウ「うみー!」
ハウ「ねーねー博士! もっとスピードだしてー!」
リーリエ「博士のヨットに無理をさせると、海のもくずになります」
ハウ「アハハー! それに、リーリエの帽子が飛んじゃうよねー」
しんのすけ「おーっ! モーレツー!」バタバタ
ククイ博士「そんな古いネタ、よく知ってるなぁ」
ハウ「ジャングルに川に、火山かぁ、なんかいっぱいあってわくわくするよねーしんのすけ!」
しんのすけ「オラはきれいなおねえさんがいれば、たとえ火の中水の中あの子のスカートの中ー」
ロトム図鑑「ポケファインダーの準備はいつでもOKだ、しんのすけ」
しんのすけ「うーん、どんなおねいさんがいるのか楽しみになってきた」
ハウ「しんのすけとぶりぶりざえもんは平常運転だねー」ヘラヘラ
リーリエ「はぁ……」
…… …… …… …… ……
【メレメレ島編 おしまい】
…… …… …… …… ……
…… …… ……
【アーカラ島編】
…… …… ……
アーカラ島 カンタイシティ
ピョンッ
ドスン
ハウ「あらよっと! わーい! アーカラ島上陸ー!!」
リーリエ「あらよっと! といいながらヨットから降りたのは、もしかしてギャグでしょうか?」
ロトム図鑑「ふっ、レベルの低いギャグだな」
ハウ「えーっ?! しんのすけ、こういうときどーするのー?」
しんのすけ「それじゃあハウくんにケツだけ星人を伝授してあげよう! これさえあれば、どんな時でもみんなに人気もn」
リーリエ「それはダメです! 絶対ダメです!」
ハウ「リーリエーどうしたのー? 顔真っ赤だよ?」
ほしぐもちゃん「ぴゅい! ぴゅい!」
ククイ博士(バスでぶっとばす……ってフォローする必要はなかったね)
???「あいかわらず、白衣をひっかけるスタイルなんだね、ククイ」
みんな「!」
???「それ初対面の人、驚くでしょって、言ったよね?」
リーリエ「……ほしぐもちゃん、バッグに戻ってください」
ククイ博士「リーリエ 大丈夫だよ」
ライチ「あんたたち初めまして、あたしはライチ。アーカラ島のしまクイーンをしているよ」
マオ「はい! まいどどーも! あたしはマオ! キャプテンしてまっす!!」
ライチ「あんたらの顔を見に来たら、出前してたこのコに会ってね」
マオ「はい! あたしの試練は、素材のよさを光らせます!」
マオ「特にあなたとあなた! ポケモン、いい感じ!」
ハウ「あははーなんか褒められたー」
ライチ「アーカラ島のキャプテンは、マオの他にもいるけどね。で、あんたらこれからどうするの?」
しんのすけ「えへ~オラ、野原しんのすけ5歳。おねいさんモモンのみ食べられる? オラという恋のしまキングに惚れてみませんか~?」
ライチ「えっ!?」ピクッ
リーリエ「し、しんちゃん……」ハァ
ハウ「しんのすけ、相変わらずだね~」
ライチ「……あ……ねん……」
マオ「ライチさん?」
ライチ「あ、あと15年、あと15年この子が来るのが早ければ……」フルフル
しんのすけ「おねいさん?」
ライチ「ねっ、マオ! 子供でもナンパされるなんて、みんながあたしの魅力に気付いていないだけよね? やっぱ男が女の子見る目無いだけよね?!」
マオ「ラ、ライチさん……」
しんのすけ「おねいさん、ひょっとしてモテないの?」
ライチ「はっきり言うんだね。これ内緒だけど、あたし今までしんのすけにされるまで、ナンパだってされたことないんだよ」ゴショゴショ
しんのすけ「もったいないですなー。じゃあオラが貰ってあげましょう」ゴショゴショ
ライチ「う、うれし~! 子供でもこんなこと言われたの初めて! いっそ持って帰って15年キープすれば……」キュンッ
マオ「ライチさん、さすがにそれは犯罪です」
リーリエ「なんというか、クイーンの貫禄があるのかないのか……」
ククイ博士「彼氏がいないのは事実だけど、しまクイーンとしての実力は本物だぜ! やわなポケモンで挑めば、あっという間に押しつぶされるぞ」
ライチ「エ、エフン! エフン! じ、じゃあ、あんた達、ポケモンといっしょに、島巡りを楽しんでよ。あたしもあんたらとのポケモン勝負を待ってる。今から期待してるからね! ほら行くよマオ」テクテク
マオ「それじゃ、失礼しまっす!」フリフリ
ライチサン、カオマッカデスヨ
イワナイデヨ! コドモデモイワレタノガウレシイノ!
ククイ博士「相変わらずのライチさん。優しい、しまクイーンだな」
しんのすけ「なに? ハカセも狙ってるの?」ジロリ
ククイ博士「ハハハ、まさか!」
ククイ博士「さて、本題に入ろうか。アーカラ島には3つの試練があるんだ! さっそく試練に挑むなら、4番道路を越えてオハナタウンに行くといいぜ!」
ハウ「とりあえずーポケモンセンター探すねー! アーカラ島では、どんなマラサダ売ってるかなー?」
リーリエ「ちょっとだけ、ブティックを見てみようかなんて考えています……後は、ほしぐもちゃんのため、遺跡のことを調べようかと……」
しんのすけ「じゃあオラ、ライチさんを追っかけてこよーかなー」
リーリエ「それはライチさんに迷惑なのでやめましょう。しんちゃんは私と一緒にいてください」
しんのすけ「えー」
ロトム図鑑「心配するな、ライチの写真は撮っておいたから」ゴショゴショ
しんのすけ「おお~ぶりぶりざえもん、太もも~」
リーリエ「…………」ハァ
カンタイシティ ブティックショップ前
リーリエ「そういえば、メレメレ島で初めて出会ったときのこと……覚えてますか?」
しんのすけ「確かオラがかっこよくほしぐもちゃんを助けた時だっけ?」
リーリエ「その時調子に乗って吊り橋から落ちたじゃないですか……。それはともかく、その時ほしぐもちゃんは、カプ・コケコさんのいる、戦の遺跡に興味を示していたんです」
しんのすけ「ほうほう」
リーリエ「このコ……。この島にあるという命の遺跡にも、興味を示すかもしれません。アーカラの守り神さんは、カプ・テテフさんと言うそうです」
しんのすけ「ふーん」
リーリエ「そのときはご一緒に……。このコ、しんちゃんのこと、お気に入りのようですから」
しんのすけ「ほー、オラが好きなの?」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
しんのすけ「そうか、これが見たいんだな?」ヌギッ
しんのすけ「ケツだけ星人ブリブリ~ブリブリ~!」ブリブリブリブリ!
ほしぐもちゃん「ぴゅい! ぴゅい!」ピョンピョン
リーリエ「街中でそれするのやめてください! ほしぐもちゃんも喜ばないで!」
しんのすけ「んもぅ、つれないなあ」
ほしぐもちゃん「ぴゅーい! ぴゅーい!」ソーダ! ソーダ!
しんのすけ「じゃあオラのインドぞうさんを……」
リーリエ「インドぞうさんもケツだけ星人さんも、金輪際禁止ですっ!」
しんのすけ「えーっ!? おケチ!」
リーリエ「常 識 で す っ ! !」シャーッ!
しんのすけ「うおお、リーリエちゃん、なんかコワイ……」
ほしぐもちゃん「ぴゅ……」ウンウン
ハウ「なんかリーリエのおっきい声が聞こえたから何事かと思ったよー」テクテク
リーリエ「なんでもないです……」ハァ
リーリエ「ハウさん、本当にしんちゃんって変わってますよね……いろんな意味で5歳児っぽくないというか……」ゴニョゴニョ
ハウ「でもそこがいいんだよー。一緒にいると飽きないっていうか、楽しいっていうかー」ゴニョゴニョ
リーリエ「そうですか?ナンパしたりお尻出したり、すごい疲れますけど……」ゴニョゴニョゴニョニョ
ハウ「でもなんだかんだ言って、リーリエってちゃんとしんのすけの面倒見てるよねー」ゴニョゴニョドゴーム
リーリエ「それが博士の頼みですから……トレーナーでもないわたしは、このくらいしかお役に立てませんし」ゴニョゴニョバグオング
ハウ「ところでしんのすけーいっしょにオハナタウンまで行かないー?」
しんのすけ「えぇ~? いやだぁ~ん」ウネウネ
ハウ「そんなぁ~いっしょにいこぅよぉ~ねぇねぇ~」クネクネ
しんのすけ「ダメよぉ~ダメダメェ~ハウくぅ~ん」ウネウネ
リーリエ「気色悪いですからやめてください……!」
ほしぐもちゃん「……ぴゅ」オエッ
ハウ「ところで、リーリエはどうすんのー?」
リーリエ「私たち、ホテルしおさいにいますね。大事な人と待ち合わせなんです。大丈夫です、建物は見えていますから。さすがに迷ったりしません」
しんのすけ「ホントに大丈夫なの?」
ロトム図鑑「こーゆー人こそ、曲がり角曲がった途端に迷ったりするのだ」
しんのすけ「ほうほう」
ハウ「へぇーそうなんだー」
リーリエ「聞こえてますよ……!」
ほしぐもちゃん「ぴゅう!」
リーリエ「あなたは、バッグですよ。ハウさん、しんちゃんのこと、お願いしますね」
しんのすけ「じゃあ、オラたちも行きますか」
ハウ「うんー!」
ちょびっとなので今回はここまで。
次回の更新は今夜予定。
じゃ、そゆことで~!
【おまけ】
しんのすけ「……」
ハウ「しんのすけー!」
リーリエ「空なんか見上げて、どうなさったのですか?」
しんのすけ「今後の将来について考えてた」
リーリエ「まぁ……それは立派ですね。それで、将来なにをするのか見つけたのですか?」
しんのすけ「これから何して遊ぼうかまだ決まってなくて」
ハウ「ええー? それって将来って言うのー?」
しんのすけ「後はねー、リーリエちゃんの方向音痴はどうしたら治るのか考えてた」
リーリエ「大きなお世話ですっ!」プンプン
ハウ「あーあ、行っちゃったー。でもー空を見上げてのほほんとするのもいいよねー。今日もいい天気だしー」
しんのすけ「まあねー」
オハナタウン オハナ牧場付近
ハウ「ところでしんのすけってさー、カザマ以外にまだポケモンって捕まえてないのー?」
しんのすけ「そういやそうだね」
ハウ「それってまずいんじゃないー? おれのニャビーのようにほのおタイプのポケモンが来たとき、一方的に倒されちゃうよー」
しんのすけ「ほうほう、それは困りましたなー」
ロトム図鑑「人ごとみたいに言うな! まったく、そろそろ埋めてくれないと、収入が無くなってしまう」
ハウ「へー、図鑑埋めってぶりぶりざえもんにとってはアルバイトみたいなものなんだー」
ロトム図鑑「そう、見つけたポケモン1匹につき200円、捕まえたポケモン1匹につき400円だ」
しんのすけ「ティスティングのアルバイトみたいだね」
ハウ「それを言うならポスティングでしょー?」
ロトム図鑑「ついでに副業で、ポケチューバーもやっているから、それで収入を得ている」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんって、アナーキーなポケモンなんだね」
ハウ「ねーね一ヶ月の収入はどれくらいなのー?」
ロトム図鑑「月に2000円」
しんのすけ「なんだ、もっと稼いでるのかと思った」
ロトム図鑑「ええいやかましい! 大体ぶりぶりざえもんという名でわたしを呼ぶな! なんなのだ、その名は!」
ハウ「おれも聞きたいなー。なんでそんなヘンな名前にしたのー?」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんはねー、オラの友達で、救いのヒーローポケモンなんだよ」
ロトム図鑑「救いの……ヒーロー?」ピクッ
ハウ「どしたのー?」
ロトム図鑑「……その話、少し聞かせてくれないか?」
しんのすけ「いいよー。むかしむかし、おじいさんとおばあさんがあちこちにいましたが……」
マオ「あっ、いたいたー!」
しんのすけ「お?」
ハウ「あー?」
マオ「まいどどーも! マオでーすっ」フリフリ
しんのすけ「……誰だっけ」
マオ「」ガクッ
ハウ「しまクイーンのライチさんと一緒にいたキャプテンだよー」
しんのすけ「ああ、誰かと思ったら、ライチおねいさんのオマケの子でしたかー」
マオ「ライチさんのオマケって……」
ロトム図鑑「私は今忙しいのだ。救いのヒーローの話を聞かねば……」
ハウ「ぶりぶりざえもんは静かにしててー」
しんのすけ「で、何の用?」
マオ「オハナ牧場のモーモーミルクを仕入れに来たんだけど、ちょうどアナタたちを見かけてね。あたし、二人に興味があるの」
しんのすけ「オラに惚れても無駄だゾ、ライチおねいさんがいるし」
マオ「い、いや、そういうわけじゃなくて……」
マオ「かたやしまキングのハラさんの孫! かたやカプ・コケコに選ばれた最年少の島巡り挑戦者! あたしたちキャプテンの中でも、あなた達のことが話題になってるの!」
ハウ「そんな有名なんだーおれたちー」
マオ「で、まぁ今回は改めてそのご挨拶ってわけ。そんなあなたたちに、これをあげちゃう!」つクリティカット
しんのすけ「なにこれ?」
マオ「その名も、クリティカット! これをポケモンに使うと短い時間だけ、ポケモンの六感が研ぎ澄まされて、相手の急所を見つけやすくなるッス!」
ハウ「キャプテンがこんなものあげちゃっていいのー?」
マオ「いいのいいの、そのクリティカットという素材を、二人は試練でどう活かすのか、あたしはそこに興味があるから!」
ロトム図鑑「感覚が研ぎ澄まされるか……雑誌の袋とじの透視に使えるかな」
しんのすけ「いやいや、むしろオラ好みのおねいさんを見つけるのに使えるでしょ」
マオ「そ、そういうことに使って欲しくないかなー……」
マオ「ともかく、試練を受けるならこの先のせせらぎの丘にあたしの友達のスイレンって子がいるから、その子に聞いてね。よろしく!」
スタスタ
ハウ「へぇーっ、いいもんもらっちゃったー」
しんのすけ「しまっとこ」
ハウ「ねーねー! どっちが先にせせらぎの丘まで行けるか競争しない? で、先についたほうが、試練を受けるってのはどう?」
しんのすけ「やれやれ、ハウ君ってば子供ですな」
ハウ「おれもしんのすけも子供でしょー! じゃ、スタート!」ダッ
しんのすけ「ほいほい……」スタスタ
ロトム図鑑(救いのヒーローの話、聞きそびれた)
5番道路
しんのすけ「あれー? ハウ君どこに行ったんだろ?」
ニャー……
アハハーヤラレチャッタ!
しんのすけ「お? 今の声ってハウ君?」
ロトム図鑑「なにやら、戦闘音が聞こえたが……」
トコトコ
???「オマエ……本気でそれか……?」
ハウ「そうだよー! 本気でー! ポケモン勝負楽しんでるよー」
???「……フッ、楽しむか……。持てる力を、勝負で出し尽くしてから言うんだな」
しんのすけ「ハウくーん!」
ハウ「わー! しんのすけー! この人怖いよー!」
???「しんのすけ……?」ピクッ
しんのすけ「いえ、オラはツワブキ・ダイゴです! ういっしゅ!」
ハウ「嘘つけー」
???「ほう、警戒してるのか? そういうの、キライじゃない……」
???「オレはグラジオ。相棒のヌルを鍛えるため、戦いつづけている! ま、今はスカル団の雇われ用心棒だがな」
しんのすけ「ほうほう。で、スケスケおパンツ団のクジラ君がオラに何の用?」
グラジオ「クジラじゃない……グラジオだ。それにオレはスカル団の雇われ用心棒、一員じゃない」
グラジオ「そして、オレはこれからお前に勝負を申し込む。何も言わず、オレ達の相手をしな」スッ
しんのすけ「ぬーっ乳首相撲か! オラ負けないゾ!」
グラジオ「……ポケモン勝負でだ。行くぞ」
スカル団の グラジオが
勝負を しかけてきた!
グラジオ「行け……その名、その貌、その力を忌まわしきカブトに封じられしビーストキラー……ヌル!」ヒョイッ
タイプ:ヌル「グォォォォ……」ポンッ
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
モクロー『なんだあのポケモン……見たことないぞ』ポンッ
しんのすけ「ぶりぶりざえもーん、あれなーにー?」
ロトム図鑑「私が知るわけないだろう」
しんのすけ「ポケモン図鑑なのに?」
ハウ「あれにニャビーもピカチュウもやられちゃったんだー」
グラジオ「ヌル、たいあたりだ」
ヌル「オォォォ……」ダッ
しんのすけ「カザマくんも負けず行けーっ!」
モクロー『相手の様子を見たほうがいい気もするけど……』ダッ
モクロー『でもちょうどいいや、ボール内で練習した僕の新技を見せてやる!』
モクロー『行くぞっ! はっぱカッター!』
カザマは一度両翼を交差させ、勢いよく広げると、鋭い切れ味を持った葉がタイプ:ヌルに向けて空を切って飛んでいく!
カキンカキンカキン!
ヌル「オォォォッ!」ドドドド!!
モクロー『あれっ……効いてない』
しんのすけ「ダメだなぁ、カザマくん。カッコ悪い」
モクロー『違うよ! あいつの被ってる兜が硬いんだ!』
ドンッ!
モクロー『だあっ!』
ドサッ ゴロゴロッ
モクロー『うっ……このたいあたりの威力、普通のポケモンとはケタちがいだ……!』
モクロー『しんのすけ! Zワザだ! もっと高い威力の攻撃で押し切るんだ!』
しんのすけ「よぉーし!」
バッ! バッ! バッ! プリッ! ジャーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ウ ル ト ラ ダ ッ シ ュ ア タ ッ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
モクロー『いっくぞぉぉぉっ!』
Zパワーを纏いながら、カザマは全速力でヌルに向かって突っ込む!
ドドドドドド!!
ヌル「……ォオオオッ!!」
ガキンッ!
モクロー『え……?』
しんのすけ「あら……」
ハウ「と、止められちゃった……Zワザなのに」
グラジオ「フッ……」
グラジオ「ヌル、つばめがえしだ!」
ヌル「ウォォッ!」ドドドド!
モクロー『うわぁぁぁ!』
ズパッ!!
ハウ「は、はやいー!」
ヌル「オォォォッ!」
しんのすけ「カザマくん!」
ハウ「あわわー! しんのすけも負けちゃうのー?」
ヌル「オオオォ……」ギロッ
モクロー『もうだめだ……!』
グラジオ「終わりだ。シザークロス!」
ヌル「オォオ!!!」
ズパズパッ!
モクロー『うっ……うぅっ』フラフラ
ドサッ
しんのすけ「カザマくーん!」
グラジオ「――よくやったな、ヌル」ナデナデ
ヌル「オォォ……」スリスリ
モクロー『ごめん……手も足も出なかった』ガックリ
ロトム図鑑「使えない奴だ」
モクロー『お前に言われたくない!』
しんのすけ「ぬめぬめくん強いねぇ」
グラジオ「……ヌルだ。タイプ:ヌル」
グラジオ「……それより、お前は今の勝負、どう思ったんだ?」
しんのすけ「どうって?」
グラジオ「お前のポケモンも、そいつのように弱くはない。勝負を楽しむやつがいてもいいさ」
グラジオ「だが、ソイツは! しまキングに……しかも本気のハラに勝てないから、そうやって言い訳してるのさ。しんのすけ、お前はどうだ?」
しんのすけ「オラたちって強いのかなー? ねーっ」
ハウ「ねーっ」
グラジオ「どちらも自分たちのコトも、勝つという意識も自覚できていないとは……先が思いやられるな」ヤレヤレ
したっぱC「なんだ、グラジオも大したことねーな! お子様相手にしか戦えないのか?」クネクネ
ジャキン!
したっぱD「いずれにしても、根なし草。根性はいってないのよ、代わりに、あたいらが 根性入れてやっから!」
しんのすけ「あ、スケスケおパンツ団のしたっぱだ!」
したっぱC「スカル団だ!」
したっぱD「このガキ、チョームカつくんだけど。先にこいつからやっちゃう?」
グラジオ「……やめておくんだな」
したっぱC「あん?」
グラジオ「オレに勝てないくせに……ポケモンを無駄にキズつけるな」ギロッ
したっぱC「……!」
グラジオ「しんのすけ、ハウ。お前たちはいいポケモンを持っている。だが、それだけではこの先、島巡りで勝ち続けることはできない。二人とも自分と向き合い、いかにバトルで勝つかを考えろ。負ければ、それまでだ」ザッザッ
したっぱD「わざわざ来たのに、骨折り損のくたびれもうけ。あなたが止めなきゃ、せせらぎの丘にいるぬしポケモン奪ってたのに!」
したっぱD「帰ろ帰ろ、ヤミカラスが鳴くから帰ろ」
したっぱC「グラジオさんよ、おまえよ、ボスに気に入られてるけどよお、雇われ用心棒なの! 正式なスカル団じゃないの!」
したっぱC「わかってるよなあ? なあ? なあ?」
ザッザッ
しんのすけ&ハウ「…………」ポツン
せせらぎの丘前 ポケモンセンター
回復後……
ハウ「しんのすけ、ありがとーカザマもありがとー。おつかれだったねー」
しんのすけ「ま、口ほどにもなかったもんね」
モクロー『負けたじゃないか。偉そうに言うなよ』
ハウ「でもさー、あのグラジオっていう人のこと、おれよくわかんないやー」
ハウ「勝つより、楽しむ方が相手も自分も幸せになれるのにねー」
モクロー『スカル団に賛成するわけじゃないけど、僕はあの人の意見に同感だな。しんのすけはもうちょっと反骨心ってものを持つべきだよ』
しんのすけ「ぶりぶりざえもんみたいな機械のこと?」
モクロー『それはポンコツだろ!』
ロトム図鑑「誰がポンコツだ!」
ハウ「しんのすけとカザマってなに話してるのか分かんないけどー元気そうでよかったー」
ロトム図鑑「それで、お前たちはどうするつもりなのだ?」
ハウ「せせらぎの丘の試練に挑むなら、ポケモンを鍛えないとー! しんのすけは先に挑むんでしょー?」
しんのすけ「うーん……」
モクロー『僕たちもハウさんのように一度鍛えた方がいいよ。それに、そろそろ新しい仲間が欲しいし』
しんのすけ「というわけですからー」
ハウ「そっかー。よくわかんないけど、ファイトだよー」テクテク
しんのすけ「ばいばーい!」フリフリ
モクロー『それじゃ、僕たちも行こうか。まずは僕の弱点を補えるようなポケモンを探そうよ』
しんのすけ「ほうほう、でも気が弱くてマザコンなところをカバーできるポケモンっているのかな?」
モクロー『みずタイプのポケモンだよっ! 誰がマザコンだよ!』
???「そこの小さなトレーナーさん」
しんのすけ「えっ? オラが超絶美男子のトレーナー?」
モクロー『誰もそんなこと言ってないだろっ』
???「はい、そうですよ。小さくてかわいい島巡りさん」
しんのすけ「はぁ~い♪ ほれ見なさい」
モクロー『乗ってあげただけだろ』
???「初めまして、私、せせらぎの丘のキャプテンを務めております、スイレンと申します」
スイレン「あなたを腕の立つトレーナーと見込んで、よろしければお手伝いして欲しいことがあるのです」
しんのすけ「お手伝い?」
モクロー『キャプテン……?』
ロトム図鑑「お助け料百億万円ね、ローンも可」
しんのすけ「何すればいいの?」
スイレン「はい、ちょっとした調査をしていただけたら」
しんのすけ「えーっ? リーリエちゃんの頼みごとと同じくらいめんどくさ」
モクロー『そういうなよ、キャプテンが困ってるんだから。ひょっとしたら、試練が免除されるかもしれないだろ』
しんのすけ「ほいほい、わかったよー」
スイレン「よろしいですか?」
しんのすけ「ほい」
スイレン「ありがとうございます。さあさ、こちらへどうぞ。私についてきてください」
せせらぎの丘
バシャバシャ ゴボッゴボッ
スイレン「ほら! あそこをごらんください。ダイナミックな水しぶき!」
しんのすけ「誰かがオナラしていたりして」
スイレン「さすがにそれはないでしょう。あったとしたら、いきのいい海パンやろうのものですね」
しんのすけ「スイレンちゃん、ボケがわかってるねぃ」
スイレン「もしかすると、とんでもないポケモンが待ちかまえているのかも……」
スイレン「そこで、島巡りさんに水しぶきの原因を調べてもらいたいのです」
しんのすけ「あれを調べればいいの?」
スイレン「はい、ですが泳いでとは言いまs……」
しんのすけ「よーし!」ヌギヌギ
スイレン「え? あの、ここにライドギアが……」
しんのすけ「桃型潜水艦、発進! とおっ!」ザブン!
スイレン「」ポカーン
スイレン「泳いで行っちゃいました……あの子の方が、いきのいい海パンやろうみたいです」
ゴボゴボ
しんのすけ(水しぶきー水着のおねいさんはどこたー?)キョロキョロ
クスン……クスン
しんのすけ(お?)
ヨワシA「ヨワッ!」
ヨワシB「ヨワッ!」
ドカッ バキッ
???『痛いよ~やめてよぉ』グスン
しんのすけ「ま゛ばぼぶん゛?!(マサオくん?!)」ゴボゴボッ
???『え?』
しんのすけ「ま゛ばぼぶぅぅぅん゛!!」ゴボボボボ!
ヨワシたち「!?」ビクッ
???『に、人間!? ひいいい!』
スタコラピュー!
しんのすけ(ああん、逃げちゃった……マサオくん)
ゴボゴホ
ザバァ
しんのすけ「ぷはぁ!」
スイレン「あ、上がってきました。いかがでしたか?」
しんのすけ「んっとねー、魚のポケモンとマサオくんがいたー」
スイレン(マサオくん?)
スイレン「魚のポケモンとは、ヨワシの事ですね。水しぶきを上げていたのは、ヨワシだったのですね」
しんのすけ「カントーのいわタイプのジムリーダーの……」
スイレン「それはタケシです。さあ、風邪をひいちゃうので早く上がってください」
しんのすけ「おおっ、こってり忘れてた!」
スイレン「タオル、持ってきました。これで身体をお拭きください」
しんのすけ「お、気が利くねぃ」フキフキ
スイレン「本当に泳いで調査しに行く人は初めてです。ラプラスのライドギアがあるのに……」
しんのすけ「そこに川があるからです」
スイレン「それを言うなら、川じゃなくて山ですよ。さ、水しぶきは他にもあるので、ご案内します」
しんのすけ「あーっ!」
スイレン「ど、どうしました!?」ビクッ
しんのすけ「オラ、オシッコ行きたくなってきちゃった……ちょっとおトイレ行ってきていーい?」モジモジ
スイレン「は、はぁ……ではここで待ってますね」
しんのすけ「オシッコオシッコ~!」ダダダダダダ!!!
スイレン「マオさんから話は聞いていましたが……中々釣りごたえのある子ですね」
~10分後~
しんのすけ「たまたませ~」
スイレン「では、次へ行きましょうか」
テクテク
スイレン「そういえば、お名前なんでしたっけ?」
しんのすけ「オラ? オラはレオナルド・ディカプリオです」
ロトム図鑑「おいっ、私の名前をパクるな!」
スイレン「当ててみせましょうか? ……野原しんのすけ、さん」
しんのすけ「ええ!? なんでオラのほんとの名前知ってるの?」
スイレン(ふふ、釣られましたね)
スイレン「なにを隠そう、私はカントーのジムリーダー、ナツメの再来と言われるエスパー少女なのです!」ムフー
しんのすけ「んなわけ無いじゃん。マオちゃんから聞いたんでしょ」
スイレン「」ガクッ
スイレン「す、鋭いですね……」
しんのすけ「オラ、ゆーめーですから」エッヘン
バシャバシャバシャ!!!
スイレン「あらあら、なんでしょう? あちらから、更に激しい水しぶきが聞こえます」
ザーザー
しんのすけ「雨も降ってきたね」
スイレン「またポケモンかもしれませんが、もしかしてもしかすると、いきのいいかいパンやろうが溺れている可能性もあります」
しんのすけ「それはヘンタイですな」
スイレン「しんのすけさん、様子を見にいきましょう!」
しんのすけ「ちょっと待って!」
スイレン「はい? 今度はなんですか?」
しんのすけ「傘ささなきゃ」バサッ
ロトム図鑑「精密機器は水に弱いからな」
スイレン「」ズルッ
しんのすけ「よーし! かいパンこぞうの救出に向けて、レッツラゴー!」ダッ!
スイレン「えっ? ちょ、ちょっと待ってください!」ダッ
せせらぎの丘 ぬしの間
しんのすけ「カスカベ防衛隊隊長野原しんのすけ! ただいま救出にさんじょー!」
しんのすけ「おーい! 溺れてるかいぱんこぞうどこだーっ!」
ロトム図鑑「待て! しんのすけ!」
試 練 開 始 !
しんのすけ「あら?」
スイレン「ハァハァ……やっと釣られましたね」ゼーゼー
しんのすけ「スイレンちゃん!?」
スイレン「しんのすけさん……私につられて、ここまで来ましたね……」
スイレン「そう! キャプテンゲートを越えたということは、試練に挑むということ!」
しんのすけ「えーっ!?」
ロトム図鑑「このバカチンが! 周りをよく見て行動しろっつーの!」
スイレン「フフフ……逃げれるチャンスはいくらでもありましたのに」エッヘン
しんのすけ「ぬーっ! ひきょおものー!」
スイレン「私、スイレンの試練は、海のドンと呼ばれるぬしポケモンを倒すことです!」
ザザザザザザッ!!!
しんのすけ「水の中になんかいっぱいいる!」
ロトム図鑑「ヨワシの群れだ!」
スイレン「先程のヨワシやその仲間が、リベンジに来たようですね」
ロトム図鑑「ヨワシが集まって、大きくなっていくぞ!」
ゴゴゴゴ
ザッパ~ン!!
ヨワシ(群れた姿)「ギョエエェェエェ!!」
しんのすけ「うお~っ! でっけぇ!」
スイレン「あれが、大勢のヨワシが群れることで力を結集させた姿です。別名を、海の魔物といいます」
スイレン「さぁしんのすけさん、このぬしに打ち勝ち、あなたの力、見せてください! では、スイレンの試練――始め!」
ヨワシ(群)「ギョオォォォォォォ!!!」
せせらぎの丘 ぬしポケモン
ヨワシ 出現!
ヨワシ(群)「ギョエェェェェッ!!」ゴウッ!
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
モクロー『うわっ! なんてデカさだ! こんなの倒せるかな……』
しんのすけ「カザマくん、これで負けたら立つ磯がないぞー」
ロトム図鑑「それを言うなら座る浜がない、だ」
モクロー『立つ瀬がない、だろ! 余計なお世話だ!』バサッ
モクロー(でも、相手はどう見てもみずタイプ。くさタイプの技を中心に攻めていけば!)
モクロー『喰らえ! はっぱカッター!』バサササッ!
鋭い切れ味の葉っぱが飛んでいき、次々と群れたヨワシにダメージを与えていく。しかし、群れたヨワシははっぱカッターなど意に介さず、大きく口を開けた。
ヨワシ(群)「オォォォッ!!」ガパッ
ドパーッ!
モクロー『うわっ! 危なっ』サッ
ロトム図鑑「今のはハイドロポンプか?」
スイレン「あれはハイドロポンプじゃないですよ。みずでっぽうです。ヨワシたちが力を合わせて放つみずでっぽうは、ハイドロポンプ並みの威力があるんです」
モクロー『しんのすけ! Zワザだ!』
しんのすけ「よしきたー!」
バッ! バッ! バッ! プリッ! ジャーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ウ ル ト ラ ダ ッ シ ュ ア タ ッ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
カザマ『これで決めるぞ!』
Zパワーを纏いながら、カザマが全速力でヨワシに向かって突っ込む!
ドドドドドドド!!
ドシンッ!!
ヨワシ(群)「オオオオッ?!!」
ゴゴゴ……
ロトム図鑑「やったか!?」
スイレン「なかなかいきのいいZワザです。ですが――」
ヨワシ(群)「ギョエェェッ!」
モクロー『そんな……』
スイレン「わずかばかりのヨワシを散らせただけ、ですね」
しんのすけ「あーあ、ぶりぶりざえもんがフラグ立てるから」
ロトム図鑑「私のせいにするな!」
ヨワシ(群)「ギョオォォォッ!」
バシャッ!
ヨワシ(単)「ヨワッ!」
しんのすけ「ヨワシからヨワシが産まれたー」
ロトム図鑑「いや、あれはただ単に仲間を呼んだだけだろう」
ヨワシ(単)「ヨワ-ッ!」ゴォォォ…
モクロー『なんだ? 単体のヨワシからオーラが出て、ぬしのヨワシに移ってる……』
ドドドドド
ザッパァァァン!!
しんのすけ「ぬぉぉ……遊園地のアトラクションみたーい」
スイレン「フフ……単体のヨワシが手助けして、ぬしのヨワシの技をパワーアップさせたのです」
スイレン「そして、雨が降っていると、みずタイプの技の威力が、1.5倍になります。水に強いくさタイプといえど、強化されたヨワシの攻撃を喰らえばただでは済みません」
バシャッ
モクロー『ううっ……このままじゃ体力が持たないよ』プカプカ
しんのすけ「ぶりぶりざえもーん、なんとかならないのー?」
ロトム図鑑「さっき調べたが、群れたヨワシたちは体力を削って数を減らすことで群れを散らせるのだ。そうすれば、群れをコントロールしているヨワシだけになるのだが」
しんのすけ「うーん……困りましたなぁ」
――二人とも自分と向き合い、いかにバトルで勝つかを考えろ。負ければ、それまでだ
しんのすけ「考えろって言われてもねぇ」
――大勢のヨワシが群れることで力を結集させた姿です
――群れたヨワシたちは体力を削って数を減らすことで群れを散らせるのだ。そうすれば、群れをコントロールしているヨワシだけになるのだが
しんのすけ「!」ピーン!
ゴソゴソ
しんのすけ「あった! よーし!」ヌギヌギ
スイレン「えっ? また泳ぐ気なんですか?!」
しんのすけ「じゃ、オラ行ってくる!」
ザブン!
スイレン「危ないですっ! 今の海は雨とぬしポケモンのせいで荒れているんですよ! 今すぐ戻って来て下さい!」
しんのすけ「カザマくーん!」バシャバシャ
モクロー『しんのすけ! なんで来たんだよ? 危ないぞ!』
しんのすけ「オラ、あいつをやっつける方法思いついた!」
モクロー『あいつをやっつける方法だって? どうやるんだ』
しんのすけ「これ使って!」つクリティカット
モクロー『……そうか、そういうことか! お前の言いたいことが分かったよ』
しんのすけは カザマに クリティカットを 使った!
モクロー『よーし、あとは……』
ザッパ~ン!!
しんのすけ&モクロー「!!」
ヨワシ(群)「オォォォッ!」
しんのすけとカザマの目の前にも群れたヨワシの大きな口が襲いかかる!
スイレン「ああっ!」
ロトム図鑑「しんのすけ!」
バグン!!
ゴボゴボ……
スイレン「そ、そんな……」アゼン
ロトム図鑑(今のうちに弔っておくか)
ヨワシの群れの中
しんのすけ「モゴモゴ」ダイジョブ?
モクロー「コクコク」b
モクロー(どこだー?)キョロキョロ
しんのすけ(カザマくん、カザマくん)チョイチョイ
モクロー(?)
しんのすけ(潜水するインドぞうさん!)ブーラブーラ
モクロー(ふざけてる場合かよ、このバカ!)ゴボボボボッ
モクロー(……いた! あのヨワシを狙えばいいんだな!)ザバッ!
ぬしヨワシ(単)「ギョッ!?」ピュッ
モクロー(逃がさないぞ!)バッ
ガッシ!
しんのすけ(お尻でゲット~)
ぬしヨワシ(単)「ギョギョッ……!」ジタバタジタバタ!
モクロー(あ、あんまり触りたくない……)
スイレン「……!」
ロトム図鑑「どうしたのだ? 線香の準備は出来ているぞ」
スイレン「ヨワシの群れが……散り散りになっていきます……!」
ロトム図鑑「そうか、とうとう骨の髄まで――」
スイレン「そうじゃないです! これは……」
ザバン!
モクロー『ヨワシ!』
しんのすけ「獲ったど~!!」
ぬしヨワシ「」
スイレン「……!」
スイレン「しんのすけさん、おみごとです!」
スイレン「私、今でもドキドキが止まりません! クリティカットを使って、群れを操ってるヨワシを探し当てて倒すなんて! 相当勇気と知恵と実力がなければできない事です!」
しんのすけ「いやぁ照れるなぁ」
ロトム図鑑「今回の戦いぶりは見事なものだった。バトルビデオに記録しておいた」
ロトム図鑑(ついでにポケチューブにアップして再生数&収益ゲットだぜ!)
しんのすけ「ぶりぶりざえもんもたまには役に立つんだね」
ロトム図鑑「たまにはとはなんだ、たまにはとは」
スイレン「私が丹念に育てたヨワシが倒されたのももちろん悔しいですが……しんのすけさん達の試練達成を、祝わずにはいられないのです」
スイレン「これを受け取ってください!」
しんのすけは ミズZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
スイレン「よろしいですか!? みずのゼンリョクポーズは、こうしてこうして、こうするのでございます!」
バッ バッ ザバァ~ザバァ~ バァーン!
しんのすけ「フラフラダンスみたいですな。こう?」
バッ バッ プリッ プリィ~プリィ~ バァーン!
スイレン「おしりは出さなくても大丈夫ですよ」クスクス
スイレン「そして、さらにさらに、です。私が作った、スイレン印のつりざおをどうぞ」
しんのすけ「おー! とーちゃんの持ってるヤツよりかっこいー!」
スイレン「ちなみに、私、赤いギャラドスを釣ったこともあるんですね」ムフー
しんのすけ「あ、そ」
スイレン「」ズルッ
モクロー『う……うぅ』ブルブル
しんのすけ「カザマくん、どうしたの? 風邪ひいた?」
モクロー『ヨワシを倒した時から、なんか変なんだ。力が溢れるというか、どんどん自分が輝いていくというか……!』ピカー
しんのすけ「てゆーかホントに輝いてるよ、カザマくん!」
スイレン「……これは進化です! ぬしのヨワシを倒して経験値を得たことで、進化し始めたのです!」
しんのすけ「カザマくーん!?」
シュウウウ……
???『う、うぅ……ボクはどうなったんだ? あっ、羽が……!』
スイレン「おめでとうございます! モクローは、フクスローに進化なされたようです!」
フクスロー(カザマ)『わぁ! ホントに進化したんだ! あはは……』
しんのすけ「カザマくん……ちょっと太った?」
フクスロー『もっと他に見るべきところがあるだろっ!』
ロトム図鑑「フッ、チープな進化だ。私が進化すれば、伝説のポケモンなどへのかっぱだ」
フクスロー『お前進化しないだろ!』
スイレン「しんのすけさん、お疲れになられましたよね? ポケモンセンターまでお送りしましょうか?」
しんのすけ「オラいーや、これでマサオくん探したいから」つ釣竿
フクスロー『そうだ、試練ですっかり忘れてた! ボクたち水ポケモンを探しに来たんだ』
スイレン「釣りをなさりたい気持ち……スイレンにはよーくわかります! せっかくですし、私もご一緒しますね」
せせらぎの丘
スイレン「しんのすけさんには本当に驚かされっぱなしです。普通、ヨワシは攻撃して群れを散らせて倒すのがベターなのですよ」
しんのすけ「弱点をそのまま突けば楽に倒せると思いましてー」
スイレン「……今回は無事だったのでよかったのですが、次からはああいう危険なことはしないように、お願いしますね。さっきは本当に、命を落としかねないほど危ないことをしていたのですから」
しんのすけ「ほーい」
スイレン「ところでさっきから気になっていたのですが、マサオくん、とはなんですか?」
しんのすけ「んっとねー、オラの友達で、オニギリ頭で泣き虫なの」
スイレン「まぁ……そんな方が、水の中にいたのですか?」
しんのすけ「んーちょっと違うかも」
フクスロー『しんのすけ、ひょっとしてボクと同じように言葉が分かるポケモンを見つけたってことか?』
しんのすけ「そーそー」
スイレン(さっきから独り言が多い子ですが……まるでフクスローと会話しているみたいです)
ウッ……ウウッ
しんのすけ&フクスロー「!」
フクスロー『今の泣き声がそうなのか?』
しんのすけ「うん」ヒュッ!
ポチャ
スイレン「ここは……しんのすけさんが泳いで水しぶきの調査をしていただいたところですね」
しんのすけ「こいこーいオニギリ頭くーん……こいこーいオニギリ頭くーん」
フクスロー『そんな言い方して普通来るかよ。もっと興味を引くようなこと言わなきゃ……』
ピクッ!
スイレン「あっ、かかりました!」
フクスロー『はやっ!』
しんのすけ「よっしゃー!」グイグイ!
スイレン(浮きの沈み方と食いつきからして、あれはヨワシでしょうか?)
しんのすけ「秘技! ケツだけ釣り!」グイッ
ザバッ!
???『うわぁぁぁ!』
しんのすけ「おおっ、マサオくんビンゴ!」
フクスロー『あのヨワシが泣き声の正体か!』
スイレン(あっ、あのヨワシは……)
ヨワシ(マサオ)『う、うう……ここ、どこ?』
しんのすけ「よっ、マサオくん!」
ヨワシ『え? 君、さっきの人間? 僕の言葉が分かるの?』
フクスロー『そう、こいつ……しんのすけは、僕や君のように一部だけど、ポケモンと話すことが出来るんだ』
ヨワシ『そうなんだ……それで、僕に何の用なの?』
フクスロー『単刀直入に言うと、僕らは君をスカウトしに来たんだ。僕らと一緒に、島巡りをしないか?』
ヨワシ『島巡り? ……あぁ、他のみんなが言っていた、スイレンさんのような試練を他の島で受けるっていうあれ?』
フクスロー『そうそう』
ヨワシ『ううん……いいよ。だって僕、他の仲間からいじめられて……さっき、ぬし様の仲間からも「人間に負けたのはお前のせいだ」って言われて……』グスン
しんのすけ「ほーほーいじめられてたのかーますますマサオくんっぽい」
スイレン「!」
フクスロー『じゃあ、君をいじめる奴らに対して目に物を見せてやろうよ! 君だって、ひょっとしたら群れを率いるヨワシになれるかもしれないだろ』
ヨワシ『外に出たって、怖い目に遭うだけだよ』
フクスロー『でも、君にしか出来ないことがあるんだ! 僕はくさタイプでほのおタイプに弱いけど、君はみずタイプだから、僕の弱点を補えるんだ。僕らには、君が必要なんだ! な、しんのすけ?』
しんのすけ「うんうん、アローラ版のカスカベ防衛隊を作るには、マサオくんは必要おケツですからな」
フクスロー『それを言うなら、必要不可欠、だろ』
ヨワシ『……本当に? 本当にこんな僕でも戦えるのかな?』
しんのすけ「もろちんです!」
ヨワシ『……わかった。でも、僕をいじめたりしないでね』
フクスロー『大丈夫! それどころか僕たちと一緒に強くなって、ここにいるヨワシたちに見返してやろうよ!』
ヨワシ『うんっ!』
しんのすけ「よっしゃー! マサオくんも仲間入りですな! イェーイ!」
ヨワシ『マサオ……って僕のこと? なんかパッとしない名前だね……』
フクスロー『まぁ、僕も似たようなものだから……。ちなみに僕は、フクスローのカザマ。よろしくね!』
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ五歳! よろちくびー」
ヨワシ(マサオ)『うん……よろしく!』
しんのすけ「じゃあさっそく!」スッ
しんのすけは モンスターボールを 投げた!
ポンッ! コロコロコロ……カチッ
やったー! ヨワシを ゲットした!
ロトム図鑑「二番目の仲間、だな」
スイレン「はい、ヨワシをゲット、ですね! ヨワシが群れを率いるためには、相応の修羅場と経験を積ませる必要があります。辛抱強く育てていけば、きっと心強い味方になりますよ!」
しんのすけ「だいじょーぶ! マサオくんはいざとなるとスゴいことになるから!」
スイレン「まぁ、それなら心配はいりませんね」
しんのすけ「じゃ、オラ次の試練に行くから」
スイレン「次はカキの試練……ヴェラ火山公園ですね。オハナ牧場からせせらぎの丘に向かってきた時と反対へ歩くと、ロイヤルアベニューという建物が見えますので、その建物のすぐ近くに公園があります。ロトム図鑑のタウンマップを参考に進むといいですよ」
しんのすけ「ほーい! じゃ、そゆことでー!」フリフリ
スイレン「しんのすけさんの島巡り、応援しますね」フリフリ
――しんのすけたちが立ち去った後
スイレン(あの子……ずっと前から仲間のヨワシにいじめられていた子でしたね。そのせいで周りと馴染めず、いつも一人ぼっちでした)
スイレン(でも、その事は一言も説明していないのに、しんのすけさんはピタリと当ててびっくりしました)
スイレン(しんのすけさんはひょっとしたら、ポケモンと会話して心を通わせることができるのでしょうか。まったく、不思議な子です)
スイレン(ふふっ、ポケモンと心を通じ合わせるしんのすけさんとあの子が、島巡りを達成した後どう成長するのか、私とっても楽しみです)
スイレン(しんのすけさん、あの子……マサオさんのこと、よろしくお願いします)
6番道路
しんのすけ「おなかーがすいたーはらへったー♪」
少女「そこのポケモントレーナー。ちと手を貸してくれぬか?」
しんのすけ「まんじゅうにようかん、アイスにサブレ、マサラダ~♪」
少女「コラ! 無視するでない!」
バンバドロ「ムヒイウン!」
しんのすけ「お?」
少女「娘っ子と、か弱いポケモンが1人と2匹、男ふたりに囲まれておるのじゃ。なにか思うところはあるじゃろうに」
ロトム図鑑「なんだ、子供じゃあ張り合いがなぁ……」
しんのすけ「若いのに大変だねぇ」
少女「そうじゃなくてだな……」
したっぱB「ヨヨヨー! ケツむけんなよーって、ユー! メレメレのじゃがいも頭じゃないスカ!」
少女「こやつらポケモン泥棒だが、おぬし知り合いか?」
しんのすけ「あっ、スケスケおパンツ団の人たちか! お久しぶりぶりー」
したっぱB「だから違うって言ってるじゃないスカ!」
したっぱA「ス カ ル 団 !」
少女「……都会は面白いのう。堂々とポケモン泥棒が歩いているどころか、更に下着ドロだったとは。世も末じゃな」
フワンテ「……ふわわん」
したっぱA「これ、ひょっとして間違いが広まっちゃうパターンっスカ?」
少女(む? この少年、島巡りの証を下げておる。なるほど、こやつが噂の……)
少女「……ふむう、こやつらはお主一人に任せるかの」
しんのすけ「えぇー? めんどくさ」
少女「レディと弱きものを守るのが、男の仕事じゃろう?」
ロトム図鑑「レディというには背丈と年齢に無理がある気が……」
少女「バンバドロ、こいつを踏みつけてやれ! スクラップにするのじゃ!」
バンバドロ「ムヒヒーン!」
ロトム図鑑「わーっ! やめろやめろ! 来るな!」
しんのすけ「仕方ないなぁ」
したっぱB「メレメレでしくじってアーカラに飛ばされて……もう負けるもんでスカ!」
スカル団の したっぱが
勝負を しかけてきた!
したっぱB「更に強くなったズバットの恐ろしさ、見せてやるッスカ!」ヒョイッ
ポンッ
ズバット「ズバ-ッ!」
しんのすけ「それじゃーマサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ(マサオ)『ひぃぃ~っ! いきなり?』ビクビク
少女(お手並み拝見かの)
したっぱB「新顔ッスカ? よーし、ならズバット、おどろかすッスカ!」
ズバット「ズバッ!」バサッ!
ヨワシ『えっ? えっ? どこ行ったの?』キョロキョロ
チョイチョイ
ヨワシ『えっ?』クルッ
ズバット「ズ゙ババッ!」バッ!
ヨワシ『ひっ!』ビクゥッ!
したっぱB「ズバット、お決まりのかみつくッスカ!」
ズバット「ズバッ!」
ガプッ
ヨワシ『いやああ! いたいよぉぉ~放してぇぇ!』ジタバタ!
しんのすけ「あ~んマサオくーん」
ヨワシ『ひーっ……!』ビクビク
したっぱB「スーッカスカスカスカ! 戦意喪失しているっぽいッスカ?」
しんのすけ「やっぱりカスカベのマサオくんみたい。仕方ない、戻っていいよー」シュンッ!
少女(ふむう……まだ捕まえてばかりというところかの。ヨワシは群れを従えるまで根気強く育てる必要があるが……今後に期待するかの)
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『またスカル団か! 性懲りもない奴らだな!』バサバサッ
したっぱB「ヨヨヨー! そいつひょっとしてフクローが進化した姿ッスカ?!」
しんのすけ「いや、ちょっと太っただけです」
フクスロー『太ったわけじゃないよ! 進化したんだよ!』
したっぱB「たかが一回進化した程度で負けるもんでスカ! ズバット、エアカッターッスカ!」
ズバット「ズババッ!」バサバサッ!
ズバットが高速で翼をはためかせると、風の刃がカザマを襲う!
フクスロー『おっと!』スカッ!
フクスロー(進化して身体が軽くなった気がする! これなら負ける気がしないぞ!)
フクスロー『行くぞっ! はっぱカッター!』バサバサッ!
ズバット「ズバッ?!」
ズバットは葉っぱの刃を避けようとするが、葉っぱの数の多さの前に回避しきれず傷を負ってしまう。そして更に、カザマが急接近する!
フクスロー『そして、みだれづきだ!』
ドドドドドド!
ズバット「ズ、ズバ-ッ……!」フラッ
ドサッ……ピクピク
したっぱB「マジっすか!? 強すぎじゃないッスカ!」
しんのすけ「おーカザマくんすごーい!」
フクスロー『僕もびっくりしたよ。進化したらこんなに強くなるなんて!』
少女(ほう、こっちのフクスローはよく育てられておるな。あのズバットじゃ勝てんな)
少女(じゃが、それ以上に気になるのはこの子の戦い方じゃ。さっきからまるで命令しとらん。ポケモンが勝手に行動しておる。ポケモンがトレーナーを無視しとる雰囲気でもないし、どういうことじゃ?)
したっぱB「いっぱい失敗……涙すっぱいじゃないでスカ」チーン
しんのすけ「ダジャレのセンスないね」
少女「バンバドロ、こやつらを踏むのか? ようし、やれ! 後できちんと洗うでな!」
バンバドロ「ムヒヒーン!」ブルルッ
したっぱB「おれら逃げるっスカ!? さよなら告げるっスカ!?」
したっぱA「もう一度言っておくぞ! 相棒がスカ スカいってるの記憶に残るためだからな! 本当に覚えておけよ!! 次にパンツっつったら怒るからな!」
しんのすけ「お土産買ってきてね!」
スタスタスタコラサッサ!
少女「ほら 帰れるか?」
フワンテ「ふわわん」
フワフワー
少女「おお! 自分で戻っていく! よかったのう……」
少女「そなたのおかげじゃ。名前はなんというのだ?」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳! 趣味は釣られたまま放置されるヒンバスごっこ」
ロトム図鑑「私の名はレオナルド・ロトブリオ。宇宙一のポケモン図鑑であり、救いのヒーローだ」
少女「しんのすけか。よい名前じゃな! わらわはハプウ、目的のためあちこち島巡りをしておる」
ロトム図鑑「おい、私を無視するな! ロリババァ!」
ふ み
つ け
ロトム図鑑「」
ハプウ「そうだ、しんのすけ。バトルロイヤルは知っておるか」
しんのすけ「バトルロイヤルチョコビ?」
ハプウ「チョコビは余計じゃ」
ハプウ「4人のトレーナーが各々のポケモンを出して、一斉に戦わせる、普通とは一味違うバトルのことじゃ」
ハプウ「そなたとポケモンにとっても、良い経験になると思うぞ」
しんのすけ「楽しそうですなー」
ハプウ「あそこに施設が見えるじゃろ?」
しんのすけ「ほい」
ハプウ「あの施設はロイヤルアベニューと言ってな、あそこで行われておるんじゃ。ほれ、バンバドロの背中に乗っけてやろう。入口まで送ってやる」
ノッシノッシ
ハプウ「しんのすけ、お前はどこの島からやってきたのじゃ?」
しんのすけ「オラ? オラ、メレメレ島から来たんだよ」
ハプウ「メレメレ島――ということは、ハラの大試練を達成したのか」
しんのすけ「うん。ハラのおじさん、すっごく強かったよ」
ハプウ「そうじゃろうな。だが、本気になったハラはもっと強いぞ。このアローラで、かくとうタイプの使い手でハラの右手に出るものはおらんじゃろう」
しんのすけ「ほうほう。ねぇ、なんでそんなヘンなしゃべり方なの?」
ハプウ「じい様と暮らしていくうちに自然とこういう口調になったのじゃ。むしろ、そなたのように都会の子がそういうしゃべり方をするのが驚いたのう」
しんのすけ「ほーほー」
ロイヤルアベニュー
ハプウ「見よ、あれがロイヤルドームじゃ」
しんのすけ「おっきいねぇ」
ハプウ「あの建物内でバトルロイヤルが行われておるのじゃ。一人で降りられるか?」
しんのすけ「だいじょぶ、お世話様でした」スタッ!
ハプウ「なあに、礼には及ばん。いずれまた、助けてくれたお礼もしようぞ」
バンバドロ「ムヒヒィン!」ブルルッ
ハプウ「おお、バンバドロもしんのすけ応援しとるようじゃ。ではな、どこかの島で会おうぞ!」
しんのすけ「おたっしゃでー」
パカラパカラ
ロトム図鑑「し……死ぬところだった……」フラフラ
しんのすけ「お元気そうだね」
ロトム図鑑「どこがだ! あのロリババァ、バトルタワーで負けたことのない私をコケにしやがって、いつかひどい目にあわせてやる!」
ロイヤルドーム 受付
グラジオ「……やはりなにかあれば、ロイヤルドームに来てしまうよな」
グラジオ「行くぞ、ヌル。オレたちの孤独を埋めよう……」
テクテク
しんのすけ「お? クジラくん?」
しんのすけ「おーいクジラくーん!」
???「よくぞ来た!」
しんのすけ「お?」
ワーワー!
キャーロイヤルマスクサーン!
ロイヤルマスク「われこそはバトルロイヤルの伝道師! その名もロイヤルマスク!!」
しんのすけ「……ハカセ、こんなとこでアクション仮面のコスプレしてなにやってんの?」
ロイヤル「ロイヤルマスク! ところで、君はここに来るのが初めてのようだね」
しんのすけ「ハプウちゃんのおすすめらしいのでー」
ロイヤル「では、アローラに古くから伝わるポケモン勝負のスタイル……。バトルロイヤルを教えるぜ!」
ロイヤル「バトルロイヤルとは! 4人のポケモントレーナーが、それぞれ3匹ずつポケモンを繰り出すポケモン勝負!」
ロイヤル「誰かが戦えなくなったとき! 倒したポケモンの数! そして残りのポケモンが多いトレーナーが勝利者となる!」
ロイヤル「まずはお試しだ! 1匹ずつポケモンを出してやってみよう!」
しんのすけ「よーし、やるぞー!」
ハウ「わーロイヤルマスクー! おれも試合したいー!」ヒョコッ
しんのすけ「おおっ、ハウくん! さっきぶりですな」
ハウ「スイレンの試練おえてーこっちにきたらしんのすけがいたの見えたんだー」
ロイヤル「よーし! じゃ、そこの君!」
グラジオ「…………」
ハウ「げげー!」
しんのすけ「クジラくーんやっほー!」フリフリ
グラジオ「……クジラじゃない、グラジオだ」
ロイヤルドーム 試合会場内
『ここはロイヤルドーム、バトルロイヤル会場です! 満員となったスタジアムには熱気が包まれておりますっ!』
『さあ、これから選手の入場となりますッ!』
『緑コーナー! 今回が初バトルロイヤルのニューカマー野原しんのすけ!』
しんのすけ「イェーイ! カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
フクスロー『バトルロイヤルか、どんな戦いになるんだろう?』ポンッ
『黄色コーナー! しんのすけ選手と同じく今回がバトルロイヤル初参戦のハウ!』
ハウ「おー! しんのすけのカザマ、進化したんだー。奇遇だねー」ヒョイッ
ニャヒート「シャー!」ポンッ
『赤コーナー! 我らがロイヤルマスク!』
ロイヤル「行くよ、イワンコ!」ヒョイッ
イワンコ「ワンワンッ!」ポンッ
『青コーナー! 突如このロイヤルアベニューに現れ、連勝を重ねる凄腕トレーナー、グラジオ!』
グラジオ「混沌とした戦場に交じり合い、勝利を我が手に――ヌル!」ヒョイッ
※修正
ロイヤルドーム 試合会場内
『ここはロイヤルドーム、バトルロイヤル会場です! 満員となったスタジアムには熱気が包まれておりますっ!』
『さあ、これから選手の入場となりますッ!』
『緑コーナー! 今回が初バトルロイヤルのニューカマー野原しんのすけ!』
しんのすけ「イェーイ! カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
フクスロー『バトルロイヤルか、どんな戦いになるんだろう?』ポンッ
『黄色コーナー! しんのすけ選手と同じく今回がバトルロイヤル初参戦のハウ!』
ハウ「おー! しんのすけのカザマ、進化したんだー。奇遇だねー」ヒョイッ
ニャヒート「シャー!」ポンッ
『赤コーナー! 我らがロイヤルマスク!』
ロイヤル「行くよ、イワンコ!」ヒョイッ
イワンコ「ワンワンッ!」ポンッ
『青コーナー! 突如このロイヤルアベニューに現れ、連勝を重ねる凄腕トレーナー、グラジオ!』
グラジオ「混沌とした戦場に交じり合い、勝利を我が手に――ヌル!」ヒョイッ
タイプ:ヌル「グォォォォ……」ポンッ
ロイヤルマスク「さあ、なんでも発見! 体験! 大冒険! ポケモンバトルロイヤル……レディ――ファイト!!」
カーンッ!
ハウ「へへー、じゃあしんのすけの力試しさせてもらうねー! ニャヒート、ほのおのきば!」
ニャヒート「フー!」ダッ
ロイヤル「僕も、しんのすけの実力を確かめさせてもらおうかな、イワンコ! かみつく!」
イワンコ「ワンワンッ!」ダッ
フクスロー『うわっ! いきなり2匹も来た!』ダッ
『しんのすけのフクスロー! いきなりイワンコとニャヒートの2匹にマークされたようだッ! 距離を取って逃げる逃げるッッ!』
グラジオ「……いや、3匹だ。ヌル、おいうちだ!」
ヌル「ォオオッ!」ダッ!
フクスロー『みんなから狙われちゃった! でも、これはチャンスかもしれない。しんのすけ! はっぱカッターで一網打尽にするから合図くれ!』
しんのすけ「ブ・ラジャー!」
『グラジオのヌルも攻撃に加わり、いよいよフクスローは袋叩きかッッ!?』
しんのすけ「今だ、カザマくん!」
フクスロー『はっぱカッター!』バサッ!
ザクザクザク!!
ニャヒート「ニ゛ャッ!」
イワンコ「キャインッ!!」
ヌル「オオッ……」
ワー!ワー!
『おおっと! 全員がフクスローに集中したところで、逆にフクスローがはっぱカッターで三人全員に反撃ィ! 特にいわタイプのイワンコには効果抜群ですッッ!』
ロイヤル「3人一気にダメージを与えるなんて、やるじゃないか! よーし、今度はハウの番だね! イワンコ! がんせきふうじ!」
イワンコ「ワンワンッ!」ブンッ!!
『イワンコ! どこから取り出したのか、その見た目とは裏腹に巨大な石を持ち上げ、ニャヒートに投げつけるッッ! そのたくましさ、まさに小さな巨犬(リトル・ビッグドッグ)ッ!』
ドスン! ドスン!
ニャヒート「ニャッ!」
ドスン! ドスン!
『岩石に囲まれたッ! ニャヒート、身動きがとれないッッ!』
フクスロー『よしっ、リリィタウンのリベンジだ!』バサッ
『追い打ちと言わんばかりにフクスローもニャヒートに攻撃を仕掛けるッ! さぁどうするッ!?』
ハウ「ニャヒート! そのままジャンプしてひのこー!」
ニャヒート「ニャッ!」ピョンッ!
ニャヒート「ニャーッ!」ボッ! ボッ! ボッ!
フクスロー『うわ、とととっ!』サッ
イワンコ「キャインキャイン!」ボウッ!
『ニャヒート! 持ち前の素早さで岩石から脱出し、ひのこで反撃! フクスローはあわや火だるまでしたが、イワンコにひのこが直撃ッッ! 先ほどのダメージも合わさってそろそろピンチですッ!』
グラジオ「それはどうかな……これで終わりだ。ヌル、つばめがえしだ」
ヌル「ウォォッ!」ドドドド!
ズパッ!
イワンコ「ギャンッ!」
イワンコ「アォォン……!」
ドサッ
カンカンカン!
『イワンコ戦闘不能! 試合終了ですッ!』
ワー! ワー! ワー! ワー!
しんのすけ「オラたちの勝ち?」
ハウ「みたいだねー」
グラジオ「…………」
~観客席~
???「あーあ、もう試合が終わっちゃったかーせっかく早く切り上げてきたのに……」
???「ん? あれは……しんのすけか?!」
失礼。
>>217の後にこれを入れるの忘れてた
ハプウ「ところで、こっちからも質問してよいか?」
しんのすけ「オラのカラダに関する質問は禁止ね……///」
ハプウ「100パーセントせぬわ!」
ハプウ「さっきの戦い方、見ていて非常に興味深かったぞ。なぜしんのすけはポケモンに技の命令を下さぬまま、戦わせておるのじゃ?」
しんのすけ「んっとねー技覚えんのめんどくさいから!」
ハプウ「面倒とな。……面白いこと言うのう、しんのすけは」
しんのすけ「いやぁ褒めたってなにも出ないって~」
ハプウ「褒めとるつもりで言ったわけではないがの……」
ロイヤルドーム 受付
しんのすけ「あーおもろかった!」
ハウ「ねー」
ロイヤル「どうだい? バトルロイヤルは手軽に楽しめるし、なにより強い相手に勝てるチャンスもあっていいだろ?」
ハウ「うんー!」
???「燃えるような試合だった。次はオレの試練で燃えてください」
しんのすけ「お?」
スタスタ
カキ「ほのおのキャプテン、カキです」
しんのすけ「オラたち、アイドルグループのB6(ブリシックス)です」
ハウ「違うでしょー」
グラジオ「勝手に入れるな……!」
カキ「7番道路から行けるヴェラ火山公園……。その頂上で待ってます。島巡りをやり遂げるなら、最高の仲間と登ってこい!」
スタスタ
ロイヤル「カキも相変わらず、だな」
ロイヤル「しんのすけ! ハウ! 君たち、試練はどうだい? ポケモンと力をあわせてエンジョイするといいぜ!」
ハウ「ロイヤルマスク……」
ハウ「どうしておれたちが試練をこなしてるの知ってるのかなー?」
しんのすけ「ハウくんするどい!」
ハウ「って、あー島巡りの証かー!!」
しんのすけ「ハウくんニブい!」
ハウ「あのー、おれはー! ポケモン勝負楽しんでるよー!」
ハウ「ねぇ、君はなんでーバトルロイヤルしてるのー?」
グラジオ「…………」
グラジオ「俺とヌルだけで生きていく。それを忘れないためだ」スッ
しんのすけ「いや~んクジラくぅん、恥ずかしがっちゃダメよ~ん」クネクネ
グラジオ「やめろ……気色悪い!」
スタスタ
ハウ「……しんどそう。みんなと仲良くする方が絶対楽しいし、すごいことができるのになー!」
しんのすけ「うーん、あのツッコミの切れ味、どこかで見たことあるような、ないような」
ハウ「なんだかよく分からないけど、なんだかすごくおもしろかったー! ポケモンもうれしそうだしー!」
ロイヤル「そう言ってくれるとうれしいな。さて、僕は次の試合があるからこれで。試練、頑張れよ!」
ハウ「うんー!」フリフリ
???「おっ、いたいた! しんのすけー!」
ハウ「誰?」
しんのすけ「おっ、どこかで見たありきたりの顔かと思ったらとーちゃん!」
ひろし「みさえからアーカラ島に来ていることは聞いてたけど、まさかここにいたとはなぁ」ナデナデ
ハウ「しんのすけーこの人はー?」
しんのすけ「オラのとーちゃん。足がとっても臭くて、万年係長なんだよー」
ひろし「足が臭いのと万年係長は余計だろ」
ハウ「アローラ! おれハウ、しんのすけの友達ー!」
ひろし「君がハウくんか。オレはしんのすけの父の野原ひろし、よろしくな」
しんのすけ「なんでとーちゃんここにいるの?」
ひろし「もともと、会社の仕事でこっちにいてポケモンの調査をしていたんだ。で、休みが取れたんでロイヤルマスクの試合でも見に行こうかと思ったら、お前がいたわけだ」
ハウ「その大工さんみたいな白いツナギと帽子は制服なのー?」
ひろし「ああ、これか? そう、これはエーテル財団っていう、今勤めている会社の制服みたいなものかな。ポケモンの保護と調査をするのが、仕事なんだ」
しんのすけ「はっきり言って合ってないよね。正直、いつものくたびれた背広姿の方がいいかもー」
ひろし「おいおい……褒めてんのかそりゃ?」
ひろし「ところで、二人とも島巡りの最中なんだろ? この近くに、試練が行われているヴェラ火山公園っていう場所があるから、そこまで送っていこうか?」
しんのすけ「いいの?」
ハウ「ありがと、おじさんー。でも、おれはもう少しバトルロイヤルしたいから残るねー」
ひろし「そっか、じゃあ火山まで行くか、しんのすけ!」
しんのすけ「おーし、しゅっぱつおしんこー! オボンのぬか漬けー!」
ハウ「またねー!」フリフリ
ヴェラ火山公園
ひろし「よーし、着いたぞしんのすけ!」
しんのすけ「SSだから展開が早い早い」
ひろし「それじゃあ登ろうぜ、しんのすけ!」
しんのすけ「あれっ? とーちゃんも来るの?」
ひろし「しんのすけがどうやって試練を達成するのか見たいからな。ま、幼稚園の授業参観だと思えば楽なもんさ」
しんのすけ「えーっ、オラ、なんか恥ずかしい……///」
ひろし「人前で尻を出してるヤツがよく言うぜ……」
テクテク
しんのすけ「とーちゃんって、ここに来たことある?」
ひろし「あぁ、ほのおタイプの調査にな。この辺はブビィやヤトウモリっていうポケモンが住んでるんだ」
しんのすけ「ヤマトなコウモリ?」
ひろし「ヤトウモリ! どくとほのおタイプのポケモンで、実はメスしか進化しないポケモンなんだ。だけどメスの個体は数が少ないみたいでな、トレーナーでも三日三晩探しても見つからない時があるんだ」
しんのすけ「メスしか進化しないって、なんだかオラんちみたいだね」
ひろし「どういう意味だよ?」
しんのすけ「とーちゃんがキャバクラから帰ってくるたびに、かーちゃんが怒りのパワーで進化していくってこと」
ひろし「なるほど、そりゃうまい――ってうるせえよっ!」
ひろし「ところで、しんのすけが今持ってるポケモンってどんな奴がいるんだ?」
しんのすけ「んっとねー、今はカザマくんとマサオくんがいるの」
ひろし「おいおい、ニックネームだけじゃなんのポケモンか分からないだろ。カザマくんは知ってるけどさ。ポケモン図鑑とか持ってないのか?」
ロトム図鑑「私を呼んだか?」ヌッ
ひろし「うおお!? 図鑑がしゃべった!」
ロトム図鑑「ガタガタ騒ぐな、人間。今ネットでお楽しみ中だったのに……」
しんのすけ「ポケモン図鑑のぶりぶりざえもんだゾ」
ひろし「へぇーっ、これが噂のロトム図鑑か。実物を見るのは初めてだ」
ロトム図鑑「見物料十億万円、ローンまたはウェブマネーでも可」
ひろし「なんかどっかで聞いたことある言い回しだな……。ひょっとして偽物掴まされたんじゃないのか」
ロトム図鑑「なんだと!? いいか? 私はかつて国際警察のハッカー&サイバーテロ部隊に所属していた、超エリートのロトムなのだ!」
ひろし「ほーっ、言うじゃねぇか。しんのすけ、こいつに助けられたことはあるか?」
しんのすけ「ぶっちゃけ、そんな役に立ってなーい」
ロトム図鑑「そんなはずはない。私のスペックを舐めるな。ポケモンを一目見ればすぐに図鑑登録できる他、タイプ相性診断、インターネット、通販、写真・動画撮影・配信も可能なのだ」
ひろし「じゃあでんきタイプの攻撃じゃ効果がないタイプを言ってみろ」
ロトム図鑑「…………」
ロトム図鑑「…………」シンノスケ、タスケテ
しんのすけ「…………」フェアリーダゾ、フェアリー
ロトム図鑑「フェアリータイプ!」
ひろし「お前やっぱニセモンだろ! でんきタイプのくせに!」
ヴェラ火山公園 試練の間
しんのすけ「着いたねとーちゃん」
ひろし「もっと歩くもんかと思ってたけど、結構あっという間だったな」
カキ「……カキです」
しんのすけ「よ!」
ひろし「なんだか雰囲気あるなぁ」
カキ「アローラに古くから伝わる踊りを、ガラガラと供に学んでおります」
カキ「しんのすけ、これまでの試練とは一風異なる内容ですが、もちろん挑みますね?」
しんのすけ「もろちんです!」
ひろし「もちろん、だろ」
ロトム図鑑「あーっ男の踊りとかダメダメ。もっとこう、アローラガールの姉ちゃんが腰使って踊るようなヤツじゃないと」
試 練 開 始 !
ガラガラ×3「ガラガーラ!」
しんのすけ「ガラガラ? なんかちがーう」
ひろし「あれはリージョンフォームと言ってな、アローラ地方で独自の進化を遂げたガラガラなんだよ」
カキ「カキの試練は、観察力をもとめる! 1度目の踊りと2度目の踊り……どこが違うのか、答えてもらうぞ!」
カキ「では、始め!」
ハイッ!
ハイッ!
ハヤハヤハヤ
ハーイ!
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira138953.png
カキ「今の踊りの形、よーく覚えておいてくれ」
ハイッ!
ハイッ!
ハヤハヤハヤ
ハーイ!
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira138954.png
カキ「先程の踊りと、どこが違うだろうか?」
ひろし「ちょーっとレベルが低いんじゃないか? なぁしんのすけ」
しんのすけ「……え? オラ、ライチおねいさんのこと考えてたから見てなかった」
全員「」ズコッ
ひろし「ちゃんと見てろよ!」
~結局もう一度踊りを見せられ、正解したしんのすけ~
カキ「なっ、なんということだ! おみごとです! では、2問目まいります!」
カキ「では、始め!」
ハイッ!
ハイッ!
ハヤハヤハヤ
ハーイ!
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カキ「今の踊りの形、よーく覚えておいてくれ」
ハイッ!
ハイッ!
ハヤハヤハヤ
ハーイ!
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カキ「先程の踊りと、どこが違うだろうか?」
※みんなも考えてみよう!
▷ひだりのガラガラ
▷まんなかのガラガラ
▷みぎのガラガラ
▷ やまおとこ
▷ケツだけ星人
ひろし「余計なヤツ入りすぎだろ! しんのすけもケツだけ星人するなっ!」
カキ「なっ、なんということだ! おみごとです! おみごとですから」
カキ「おいでませ、ケツだけ星人!」
しんのすけ「ぶりぶり~!」ブリブリ!
ひろし「俺が答えるのかよっ! てゆうかこれのどこが踊りなんだ!」
カキ「正解に喜んだケツだけ星人は、うれしくてついおしりを出したくなるのです!」
カキ「では、最後の踊り、参ります!」
やまおとこのダイチ(えっ? 俺の出番は?)
カキ「では、始め!」
ハイッ!
ハイッ!
ハヤハヤハヤ
ハーイ!
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カキ「今の踊りの形、よーく覚えておいてくれ」
ハイッ!
ハイッ!
ハヤハヤハヤ
ハーイ!
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カキ「先程の踊りと、どこが違うだろうか?」
※みんなも考えてみよう!
▷ぬしポケモン
▷くろいポケモン
▷みしらぬポケモン
▷あやしいポケモン
ひろし「突っ込みきれるかっ! しんのすけもいい加減おふざけして試練の邪魔するのやめろ!」ガシッ
しんのすけ「いや~んダメぇ」
エンニュート「どくどく~!」バッ!
カキ「間違うと、怒り狂ったぬしポケモンに襲われるのです。注意してください」
ひろし「いや、そっちも間違ってるだろうが!」
ヴェラ火山 ぬしポケモン
エンニュート 出現!
エンニュート「どくどく~!」ゴウッ!
ひろし「うおっ、ぬしポケモンだけあって、さっきとは一転して迫力満点だな!」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『さっきから外がうるさかったけど、なにかあったのか?』
しんのすけ「とーちゃんが終始ツッコミに徹してたの」
ひろし「誰のせいでツッコミしてると思ってるんだ!」
フクスロー『なんだかよくわからないけど、あの感じはぬしポケモンか。よし、行くぞ!』バッ
ひろし(カザマくん……フクスローはくさ・ひこうタイプ。どく・ほのおのエンニュートとは相性が最悪だ。しんのすけ、お前はこの場をどう切り抜けるんだ?)
フクスロー『よしっ、みだれづきをくら――』
エンニュート「どくどく~っ!」ガパッ!
バシャッ!!
フクスロー『うわっ!?』ビシャビシャ
カキ「喰らいましたね……どくどくです」
しんのすけ「どきどき?」
ひろし「どくどく!」
フクスロー『な、なんだ? 身体に力が入らない。背筋も寒いし、胸も苦しい……!』ハァハァ
カキ「エンニュートのどくどくを食らうと、どく状態になって、どんどん衰弱していくのです」
カキ「そして更に――」
エンニュート「キークククク!!」
バッ!
ヤトウモリ「ギギギッ!」
カキ「おいでませ、ヤトウモリ!」
ひろし「新手が増えやがったか……」
フクスロー『くそっ、毒なんかに負けるもんか!』バサッ
ヤトウモリ「ギーッ!」ガパッ
モワッ
フクスロー『うわっ、なんだこのニオイ……』クラッ
しんのすけ「あま~い」
フクスロー『頭が……フラフラする……』
エンニュート「どくどく~!」バッ!
エンニュートが再び口を開くと、火の玉が飛び出す!
ボウッ!
フクスロー『あちちちっ!』メラメラ!
フクスロー(ダメだ……毒も相まって視界が霞んできた……せめて、一撃だけでも!)フラフラ
フクスロー『はっぱ……カッター!』バッ!
カザマは翼をはためかせて、なんとか葉っぱを飛ばす。しかし……。
エンニュート「どくどーくッ!」バッ!
ゴォォォッ!
フクスロー『うわぁぁぁっ……! ここまでか……』
ドサッ
しんのすけ「カザマくん!」
ひろし「葉っぱごと焼いて、カザマを戦闘不能にしやがった。毒に炎か、強敵だぜ……!」
カキ「そのフクスローはどうやら戦闘不能のようだな。次のポケモンをお出しください」
しんのすけ「えーっと……」チラッ
ロトム図鑑「私の出番のようだな」ズズイッ
フクスロー『お前戦えるのかよ……』
ひろし「なんだか嫌な予感がしてきた」
ロトム図鑑「やれやれ、今まで黙って見てきたが状況が状況だけに仕方がない。私の本気を見せてやる」
エンニュート「…………」
クルッ
ロトム図鑑「ぐへへへへ! 私は常に強いものの味方だ! まいったか腰抜けどもめ!」
フクスロー『お前やっぱりそう言う奴だったのか!』
ひろし「……やると思ったぜ」
ロトム図鑑「さあ、存分に力を振え、忠実なる我がシモb」
エンニュート「どくどく~!」
ドカッ!
ロトム図鑑「ブキッ!」
ロトム図鑑「くっ、味方の背中を攻撃するとは、なんたる屈辱! この裏切り者!」
ひろし&フクスロー「『裏切り者はお前だろ! このブタ!』」ゲシゲシゲシ!
ロトム図鑑「イタイイタイ! 誰がブタだ!」
オマエダヨ!
ワタシガブタナラオマエハチキンダ! ナントカイッタラドウナノダコノヘッポコヤキトリポケモン!
ナンダトコルァ! モウユルサン!
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ(マサオ)『えっ? ま、また戦うの?』ビクビク
フクスロー『ごめん、マサオくん……今回の相手は、僕にとって相性が最悪なんだ』
ヨワシ『えーっ!』チラッ
エンニュート「どくどく~!」シャーッ
ヤトウモリ「ギギギッ!」シャーッ
ヨワシ『ひぃっ、あんなの無理だよっ』
フクスロー『それでもやるしかないんだ……! 大丈夫、君ならできる』
ロトム図鑑「負けたら今晩のおかずは焼き魚な」
ヨワシ『ひいいっ! そっちもやだよーっ!』
フクスロー『余計な事を言うなよっ!』
エンニュート「どくどく~っ!」ガパッ!
ひろし「またどくどくだ!」
ヨワシ『ひっ!』サッ
紙一重でどくどくを躱すマサオ。しかし、次にヤトウモリがマサオに飛びかかり、ひのこを仕掛ける!
ヤトウモリ「ギギッ!」
ボッ!
ヨワシ『もういやだぁ~!』ブシューッ!
ヤトウモリ「ギッ?!」ジュッ
ヨワシ『……え?』
ひろし「みずでっぽうだ!」
しんのすけ「おおっ、やるじゃんマサオくん」
フクスロー『もう一回今のをやるんだ!』
ヨワシ『う、うんっ』
ヤトウモリ「ギギーッ!」バッ
バシャーッ!
ヤトウモリ「ギギィーッ!」
ドサッ
ひろし「よしっ、一匹目倒れたっ!」
ヨワシ『や、やったっ!』
フクスロー『気を抜いちゃダメだ! まだもう1匹来るよ!』
エンニュート「どくどーくッ!」ダッ!
フクスロー『しんのすけ! スイレンさんから貰ったZクリスタルで、マサオくんにZワザを使わせるんだ!』
しんのすけ「うっしゃあー! 行くぞ! マサオくんっ!」
バッ バッ プリッ プリィ~プリィ~ バァーン!
マサオは Zパワーを 身体に まとった!
マサオが 解き放つ
全力の Zワザ!
ス ー パ ー ア ク ア ト ル ネ ー ド !
しんのすけ「マサオくん! ファイヤーッ!」
ヨワシ『うんっ!』
Zパワーを得たマサオを中心に、水が次々と溢れ出て、エンニュートを水中に引きずり込む!
エンニュート「どくっ?!」ゾクッ
マサオがひとつの水の流れとなってエンニュートに突進すると、巨大な水の渦となってエンニュートを巻き込む!
ゴゴゴゴゴ!!!
エンニュート「どくっ! どくっ! どくどくっ!」ドカドカドカドカッ!!!
ひろし「す、すげぇ、これがZワザなのか……!」
やがて、渦が消えるとそこには……。
エンニュート「ど、どくっ……」ピクッ ピクッ
ヨワシ『はぁ……はぁ……』
しんのすけ「おーっ!」パチパチパチ
ヨワシ『お、終わったの? ……勝ったの?』
フクスロー『うん、君がぬしポケモンを倒したんだよ! やればできるじゃないか!』
ヨワシ『ほ、ホントに? あ、あはは……』
ロトム図鑑「ちっ、晩飯になりそこねたか」
フクスロー『だから余計なこと言うなっつーの!』
カキ「クッ……! お、おみごとです!」
カキ「おれらの踊りの細やかな違いを見破り! 火山最強のぬしポケモンを、あざやかに 打ち破るとは……!」
ひろし「どこに細やかな違いがあるんだよ!」
カキ「ぬしポケモンが持っていたホノオZ! あなたにお渡ししましょう」
しんのすけ「かたじけない。オラはおもちゃを片付けない」
しんのすけは ホノオZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
ひろし「やったな、しんのすけ!」
カキ「ほのおのZパワーポーズは、こうだ!」
バッ バッ ボウッ ボウッ ゴウッ バァーン!
しんのすけ「こうですな?」
バッ バッ ブリッ ブリッッ ゴウッ バァーン!
ひろし「尻は出さんでいい、出さんで」
カキ「ガラガラたちよ、ありがとう……!」
ガラガラたち「ガラーラ!」スタスタ
カキ「スイレンのみずZ……そしておれのほのおZ、後はマオの試練だけだ。この火山を下って8番道路に向かうといい。そこにシェードジャングルと呼ばれる密林地帯があるから、そこでマオが待っているはずだ」
しんのすけ「ほい」
カキ「おれらは踊りを続けます。アローラに伝わる、人とポケモンの思い……。Zパワーが なにか、わかるまで!」
ひろし「いや、あの踊りで何かわかるもんなのか……?」
カキ「それにしても、しんのすけの腰使いには独特のセンスを感じる。どうだ、島巡りを終えたら、オレと一緒にアローラの踊りを学ばないか?」
しんのすけ「うーん、考えとく」
ひろし「考えんでいい、考えんで」
今日はここまで。
次回の更新は明日、時間があるときに投稿します。
じゃ、そゆことで~!
8番道路
しんのすけ「あーおもろかった」
ひろし「まぁ、試練の内容はバカバカしかったけど、ぬしポケモンとのバトルはすごかったぜ」
しんのすけ「マサオくんはやればできるんですよ」
ひろし「そんなしんのすけに、ちょっと一緒にやってもらいたい事があるんだ」
しんのすけ「えっ? まかさ、草葉の陰でいかがわしいことでも!?」
ひろし「そんなことしねーよ! いかがわしいの意味も知らないくせに!」
ひろし「ま、わかりやすく言うならポケモンの調査だよ。今、とーちゃんたちはアーカラ島のポケモンを調査と保護しているのは知ってるだろ?」
しんのすけ「銀座とホモ?」
ひろし「調査と保護! それでな、今とーちゃんたちは『ヌイコグマ』っていうポケモンを探しているんだ」
しんのすけ「ヌイコグマ?」
ひろし「そう、なんでもぬいぐるみみたいな見た目で、とっても力が強いらしいんだ。なんでも、女性や子供に人気があるポケモンらしくてな」
しんのすけ「ほーほー」
ひろし「それで、しんのすけにはヌイコグマの調査をとーちゃんと一緒にやってほしいんだ。もしヌイコグマを捕まえて、連れてきてくれたらいいものやるぞぉ」
しんのすけ「なになに? いいものって」ワクワク
ひろし「わざマシン86『くさむすび』だ!」ジャンッ!
ひろし「相手のポケモンが重ければ重いほど、威力が増す強力なくさタイプのわざマシンだ。これをカザマくんに覚えさせれば、なかなか強力な技になるんじゃないか?」
しんのすけ「かーちゃんに使ったら効果抜群だね!」
ひろし「ははっ、違いねぇな……」ビクッ キョロキョロ
しんのすけ「どしたの?」
ひろし「なんだか、みさえがそばにいる気がしてな……ここにはいないはずなのに」
ロトム図鑑「このオヤジも哀れだな。ま、女性が強い社会だからな……」
ひろし「まぁともかく、しんのすけはここら一帯の草むらを探して欲しいんだ。とーちゃんはあっちを探してるから、見つけたら教えてくれ」
しんのすけ「ほっほーい!」
しんのすけ「とゆーわけで、カザマくんたちにもお手伝いしてもらいます」
フクスロー『僕は賛成だね。ここでポケモンを捕まえておけば、パーティーの増強にもつながるし、僕も新しい技を覚えられていいとこずくめだ』
ヨワシ『仲間が増えれば、旅もにぎやかになるもんね』
ロトム図鑑「おっと、充電モードに入らなきゃ。ロトム図鑑のバッテリーは3時間しか持たないのだ」プチン
フクスロー『お前ずっと電源つけっぱだったじゃないか! ただ探すのめんどくさいだけだろ!』
ヨワシ『でも、どんなポケモンなのか、僕わからないや』
フクスロー『ヌイコグマはその名のとおり、ぬいぐるみのような見た目なんだ。ピンクと黒の毛並みが特徴的なんだよ』
しんのすけ「カザマくん、詳しいね」
フクスロー『博士の研究所で住んでいたからね。あそこには友達のヌイコグマが住んでいたんだ』
フクスロー『ちなみに、可愛いからって抱きしめたりしちゃダメだよ。暴れて怪我しちゃうから。力がすっごく強いからね』
ヨワシ(なんとなくロトム図鑑の立場がなくなってる気がする……)
ヨワシ『とりあえず、どう探せばいいかな?』
フクスロー『まぁ、地道に探すしかないかな。僕たち三人で手分けして探すんだ』
しんのすけ「ふっ、カザマくんって単純なお子様」
フクスロー『じゃあ、どんな探し方があるんだよ?』
しんのすけ「ポケモンが見つかるまで、えっせらほいさらみんなで草の根分けても探し出せ大作戦!」
フクスロー『僕が言ったのとおんなじ探し方じゃないか!』
ガサゴソ
しんのすけ「ヌイコグマーどこーヌイコグマーできればきれいなおねいさんは脱いで欲しいなー」
ドスッ! ドスッ!
しんのすけ「ほほー? 何の音だろ」
ガサガサッ
ヌイコグマ(ネネちゃん)『ラランテスの奴、ぬしポケモンだからってぶりっ子しやがって~っ! このっ! このっ!』ドスッ! ドスッ!
しんのすけ(ターゲットはっけ~ん)
ヌイコグマ『あースッキリした。でもこのピッピちゃん、ちょっと柔らかめじゃないかしら?』
しんのすけ「ねーねー、そこでなにしてんのー?」ガサガサ
ヌイコグマ『きゃっ! なに? 人間!?』
しんのすけ「よ! オラ野原しんのすけ」
ヌイコグマ『えっ? あたしの言葉が分かるの?』
しんのすけ「なんかそのやりとり、いい加減聞き飽きてきた……」
ヌイコグマ『へぇー人間の中にもあたしたちの言葉がわかる人がいるのね~』
ヨワシ『しんちゃーん!』
フクスロー『ヌイコグマ見つかった?』
しんのすけ「おうーネネちゃんに性格がよく似てるヌイコグマ見つけたよー」
ヨワシ『ネネちゃん……?』
ヌイコグマ『あんたたちはなんなの?』
フクスロー『初めまして、僕たちはトレーナーのしんのすけと一緒に、島巡りをしているポケモンだよ。僕はフクスローのカザマ』
ヨワシ『僕はヨワシのマサオだよ』
ヌイコグマ『島巡り? あぁ、マオさんのところに人間が集まって、ラランテスのヤツと戦っているあれ?』
フクスロー『そうそう、それで僕らは、君を仲間に入れたいんだ。どうかな?』
ヌイコグマ『まぁ、本当?』
ヌイコグマ『でもどうしようかしら? あたし、これからシェードジャングルのアイドルになってーそれから引退後は芸能活動しつつ、女優の道を目指そうと考えてるから……』
しんのすけ「んーこのレアリティあふれる人生設計、まさにネネちゃん!」
ヨワシ『リアリティ、でしょ』
フクスロー『大丈夫だよ。僕らと一緒に島巡りチャンピオンになれば、ポケモンにも人間にも名前が知られて、アイドルへの近道になるかもしれないよ。アイドルだって、名前が知られなきゃただの女の子だろ?』
ヌイコグマ『……そうねー、あんたたち強そうだし、有名になるって言うならついて行っていいかも』
しんのすけ「おおっ!」
ヨワシ『やったね、カザマくん!』
フクスロー『よーし、仲間が3人に増えた!』
しんのすけ「じゃあこれから、ネネちゃんって呼んであげよー!」
ヌイコグマ『ネネちゃん? ……なんかパッとしない名前―』
フクスロー『だろ? でも、しんのすけの友達から取ってるみたいなんだ』
ヨワシ『僕もマサオって名前、正直気にしてるんだ……』
しんのすけ「うんうん、あと一人、ボーちゃんですな」
フクスロー『まだ名前のネタがあるのかよ……』
ヌイコグマ『人間のネーミングセンスってイマイチよくわからないわー。で、そのネネちゃんって人はどんな子なの?』
しんのすけ「んっとね、簡単に言うとー人のプライベートをほじくるのが好きでーリアルおままごとをしてオラたちをいっつも巻き込むの」
ヌイコグマ『リアルおままごと? どんなおままごとなのかしら、ねぇ教えて!』キラキラ
しんのすけ「あ、ヤバ……面倒なとこ食いついちゃった」
しんのすけ「オ、オラ、しらない……」シラー
ドスッ
ヌイコグマ『お し え な さ い よ !』
ヨワシ『ひいっ!』
しんのすけ「おおう……やっぱりネネちゃんだ」
フクスロー『しんのすけ、そこまで言っちゃったんなら、責任もって教えなよ』
しんのすけ「えーっ、カザマくんたちにとっても身のタメになることなのにー」
しんのすけ「とーちゃーん……」クタクタ
ひろし「おっ、しんのすけ! ヌイコグマは見つかったかー?」
しんのすけ「う、うん……」
ヌイコグマ『あんなままごとがあるなんて知らなかったわ! 人間たちがみてる昼ドラのような展開! 現実的な人間関係! これからのおままごとはこれよ! しんちゃんと出会えてよかったわ!』キラキラ
フクスロー『確かに知らなきゃよかった……』グッタリ
ヨワシ『いきなり別れ話を切り出されちゃった……』シクシク
ひろし(心なしかみんな疲れてる……。捕まえるのに手間取ったかな?)
ひろし「よくやったな、しんのすけ」ナデナデ
ひろし「よーし、それじゃあ一度エーテルベースに戻って休むか。エネココアでも飲んでいけよ」
しんのすけ「ほぉーい……」
~エーテルベース~
ゴクゴクゴク
しんのすけ「ぷはぁ~っ」
しんのすけ「ここがとーちゃんの仕事場?」キョロキョロ
ひろし「ま、そんなところかな。ホントはもっと別の場所にあるんだけど、今はここが、とーちゃんの仕事場だ」
しんのすけ「ふーん。なんか殺風景」
ひろし「ここはあくまでもこの島で調査するうえでの拠点だよ。いつも行ってる会社はもっとすごいぞぉ。なんてったって、人工の島だからな」
ひろし「ほらこれ、約束のわざマシンだ」つ わざマシン86
しんのすけ「なんかCDみたーい」
ひろし「適性のあるポケモンの頭にくっつければ、その技が覚えられるんだ。しかも、使っても無くなったりしないんだよ」
ひろし「とーちゃんがトレーナーだった頃は、ひでんマシンを除けば基本的に使い捨てだったんだ。時代は流れてるんだなぁ」
しんのすけ「とーちゃんの頭も時代とともに薄くなっていく……」
ひろし「おおっ、うまいなぁ……ってうまくねえよ!」
ひろし「そうだ、これも渡しておくか」つポケマメ
しんのすけ「なにこれ?」
ひろし「ポケマメっていう、ポケモンの大好物だ。ポフレみたいなもんだよ。頑張ってるカザマくんとマサオくんにあげてやりなよ」
しんのすけ「んーしつこいお味」モグモグ
ひろし「お前が食ってどうするんだよ!」
しんのすけ「いやぁおいしそうだからつい」
しんのすけ「そういやとーちゃん、次の試練も来るの?」
ひろし「いや、そろそろとーちゃんは仕事に戻らないといけないからな。次の試練は、しんのすけとポケモンたちでやるんだ」
しんのすけ「えーっ?!」
ひろし「大丈夫だよ、しんのすけにはカザマくんたちがいるじゃないか。それに、ハウくんという新しい友達だっているんだろ? みんなで力を合わせれば、きっと乗り越えられるさ」
しんのすけ「ま、まぁ……オラとみんなで挑めば、どんな試練だってとーちゃんがいなくてもヘッチャラだもーん」エッヘン
ひろし「ははっ、頑張れよしんのすけ。またどこかで会おうぜ」ポンポン
しんのすけ「ほいっ!」
シェードジャングル
マオ「まいど! マオの試練の場、シェードジャングルへようこそ!」
マオ「やっぱりあなたとポケモン……素材のよさが光ってる!」
しんのすけ「ふむふむ、このマグロとイクラとイカのテカリ具合、なかなかですな」
マオ「そういう意味じゃないよ。てゆうかなんで海鮮モノ限定なのよ?」
マオ「ともかく……試練にチャレンジしちゃいましょ! だって、カプ・コケコに直接かがやく石をもらったんでしょ!」
しんのすけ「あげるって言われたからもらっちゃいました」
マオ「ジャングルの息遣い……そこから感じとれる本日のおすすめは……」ウーン
マオ「決めました! マオの特別料理、その名もマオスペシャル!」
しんのすけ「パロ・スペシャル?」
マオ「マオスペシャル!」
マオ「今回、あなたに集めてほしいのは4つ! マゴのみ、ちいさなキノコ、ふっかつそう、きせきのタネです!」
しんのすけ「えー野菜ばっかじゃん。もっとこう、リキのつくもんじゃないとー」
マオ「もうっ、好き嫌いはしちゃダメって親から教わってるでしょ! ほらほら! 試練に挑むあなたに、材料袋だよ!」つ材料袋
しんのすけ「ほいほい」
マオ「探すなら、ポケモンと一緒に探すといいよ! くりかえすね! あなたに集めてほしいのは4つ!」
マオ「マゴのみ、ちいさなキノコ、ふっかつそう、きせきのタネです!」
しんのすけ「ゴマすりのみ、ちいさなチンチン、ぶりぶりそう、きせきのネタですな」
マオ「一つも合ってないよ! マゴのみ、ちいさなきのこ……って、何度も言わせないでよ!」
しんのすけ(自分でくり返し言ったくせに)
マオ「キリがないから、シェードジャングル――マオの試練、はじめ!」
試 練 開 始 !
マオ「さ、行った行った! 試練頑張ってね!」
しんのすけ「やれやれ……」
しんのすけ「とゆーわけで、またまたカザマくんたちにお手伝いしてもらいます」
フクスロー『材料が4つかぁ。それじゃあ、二手に分かれて探そうよ』
ヨワシ『ちょっと待って。僕、その材料のこと全然知らないよ?』
しんのすけ「ぶりぶりざえもーん」ポチッ
パッ
ロトム図鑑「ああんアマージョ様ァ……もっとふみつけてぇ//」ビクンビクン
ロトム図鑑「……あ」
フクスロー『……なにしてるんだ?』
ロトム図鑑「お前たちこそ。せっかくネットを通じて裏ポケリゾートでSMプレ……」
げ ん
こ つ
ロトム図鑑「」
フクスロー『少しは対象年齢を考えろ、バカ!』
ロトム図鑑「……で、なにをすればよいのだ」
しんのすけ「かくかくしかじかで、試練に使う材料を検索して欲しいんだけど」
ロトム図鑑「面倒だな、どうせなら通販サイトでお急ぎ便を使えばいいだろ」
フクスロー『ダメだよ、それじゃ試練の意味がないだろ』
ヌイコグマ『どんなものなのか、写真だけ見せてくれればいいの』
ロトム図鑑「ん? 新参者か? 新参者なら、まず私に服従を誓うのだ」
ヌイコグマ『なんでアンタに服従を誓わなくちゃいけないのよ!』
しんのすけ「くんくん……オラってそんなに臭う?」
ヨワシ『それは体臭……』
ロトム図鑑「決まっておろう、私はかのメタグロスとガブリアスに並ぶ絶対強者。弱者はみな強者である私にひれ伏すのが自然の摂理だ」
げ ん
こ つ
ヌイコグマ『くだらない事言ってないでさっさと調べなさいよオラオラァァァ!』バンバンッ!
ロトム図鑑「イタイイタイ! やめろぉぉぉ!」
ヨワシ『ひいい~っ! ネネちゃん怖いよぉぉっ』
ぶりぶりざえもんの画像検索機能でお目当てのモノがどんなものなのか分かったしんのすけたちは、それぞれ二手に分かれて探すことになった。
フクスロー『僕たちが探すのは、ふっかつそうとちいさなキノコだね』
しんのすけ「なにそれ」
フクスロー『ふっかつそうは、倒れたポケモンを完全復活できるほどのエネルギーを秘めた薬草なんだ。だけど、とっても苦いらしいよ』
ロトム図鑑「漢方薬に使われているからな」
しんのすけ「ほうほう……じゃあ今度カザマくんに飲ませてみよーっと」
フクスロー『あ、あのねぇ……』
しんのすけ「で、もういっこのちいさなチンチンは?」
フクスロー『ちいさなきのこ! わざとらしくボケるな!』
ロトム図鑑「だからネタがベタすぎると言っているだろう」
しんのすけ「うむむ、反省」
フクスロー『ったく……。ちいさなきのこは、その名のとおり、手のひらに収まりそうなキノコだよ。なんでも、その手のマニアの間では、高額で取引されているらしいよ』
しんのすけ「なんで取引されてるの?」
フクスロー『さ、さぁ? キノコマニアの間で珍しい、とか?』
しんのすけ「ほーほー……」ジトー
フクスロー『なに?』
しんのすけ「実は、本当の意味を知ってたりして」
ロトム図鑑「吐いちまえよ、楽になるぞ」
フクスロー『だから本当に知らないんだってば!』
ネタハハワテイルンダ、サッサトハケヨ ドンナネタダヨッ!
しんのすけ「お? ねぇねぇ、これじゃない?」
フクスロー『え? ……あ、ホントだ。でもおおきなきのこもあるね』
しんのすけ「どれどれ」ズルッ
フクスロー『なにしてるんだよ!』
しんのすけ「ぬーっ負けた……」ガクッ
ロトム図鑑「そう気を落とすな、時々大きくなるのだからその時また比べればよかろう」ポンッ
フクスロー『なに下らないことで比べてるんだよ!』
その頃、マサオくん(ヨワシ)とネネちゃん(ヌイコグマ)はと言うと……。
ヌイコグマ『えーっと、きせきのタネね。これで全部かしら』
ヨワシ『後はしんちゃんたちを探すだけだね』
ヌイコグマ『ただ黙って探すっていうのも暇ね。ねぇ、マサオくんはどうしてしんちゃんの仲間になったの?』
ヨワシ『え? 僕は、その、カザマくんたちに誘われて……』
ヌイコグマ『ふーん、で、戦績とかどうなの?』
ヨワシ『一応、火山の試練でぬしポケモンをなんとか……』
ヌイコグマ『そんなふうには見えないけれども』
ヨワシ『ほ、本当の事だよ!』
ヌイコグマ『だってアンタ、強そうに見えないもん。ポケモンとしての名前も、『ヨワシ』だし』
ヨワシ『ひどいよネネちゃん……僕だって、いつか強くなるもん』
ヌイコグマ『いいこと? ポケモンの才能なんて生まれた時から決まってるものなの! 努力でどうこうできるだけの世界じゃないのよ!』
ヨワシ『そんなぁ、じゃあ僕は?』
ヌイコグマ『さぁ? ひょっとしたら才能があるかもしれないし、ないかもしれないわねぇ』
ヨワシ『えーっ? そんな無責任だよぉ』
ヌイコグマ『だったらせめて弱く見られないように気を強く持ちなさいよ! あんたオスでしょ! 本当にぬしポケモン倒したって言うなら、もっと自信持ちなさい!』
ヨワシ『つ、強くったって……僕どうしたらいいのか分からないよぉ! え~ん!』ピーピー!
ヌイコグマ『…………』ビキッ
バッ
ヌイコグマ『うるせぇんだよ! 言われたくらいでいちいち泣いてんじゃねぇよおにぎり!』ドッドッドッ!
ヨワシ『はっ、はぃぃぃ!』
フクスロー『二人とも材料を探してるのかと思ったら、なにやってるんだ……?』
しんのすけ「やっぱりアローラのマサオくんもネネちゃんも、力関係は変わりませんなぁ」
しんのすけ「ほっほーい! 材料全部集めたよー」
マオ「おお! ジャングルの材料揃えた? どれどれ……」
マオ「うん、ばっちり! 4つの材料はそろったわね。後は……」
スタスタ
カキ「待たせた」
スイレン「マオさん、お元気ですか」
しんのすけ「お? どっかで見た顔ですな」
スイレン「スイレンですよ、もう忘れちゃったんですか?」
カキ「ふといホネと、きちょうなホネだ」
スイレン「いつものように、おいしいみずとゴツゴツメット、お持ちしました!」
マオ「スイレン、カキ、ありがとう! これで全部揃ったわ!」
マオ「さぁ、しんのすけ君! ぬしポケモンを呼びだす料理を作りましょう!」
しんのすけ「ほいっ!」ビシッ
マオ「はい! スイレン、ひっくりかえしたゴツゴツメットに、おいしいみずを注いでね!」
スイレン「はい! おまかせください」トクトクトク
マオ「マゴのみ! ちいさなキノコ! ふっかつそう! そして、きせきのタネをぶっこんで!」バシャッ
マオ「カキ! ふといホネときちょうなホネ、貸してね!」
カキ「うむ」つホネ
マオ「はい! しんのすけ! あなたは2本のホネで叩いて!」
しんのすけ「よーし!」
ツンツン
カキ「あはん……んはぁ……んほぉ///」クネクネ
マオ「カキの乳首を突っつくんじゃなくってメットの中身を叩くの!」
ポカポカポカポカ!
しんのすけ「うんしょうんしょ……」
マオ「砕いて!」
ドカドカドカドカ!
マオ「すりつぶして!」
しんのすけ「よーし!」
グニグニ
カキ「おおぅ……あへぇ……みゅう///」ビクンビクン
マオ「だからそっちじゃないって!」
グシャグシャグシャ!
マオ「ドロドロにして!」
しんのすけ「うっしゃー!」スッ
スイレン「真面目にやってください」サッ
しんのすけ「ち」
マゼマゼマゼ
モワッ
しんのすけ「うわっ、なんか変なニオイ……」
ズシン……ズシン
スイレン「!」
ズシン……ズシン
カキ「……!」プルプル
ズシン……ズシン
マオ「!」
しんのすけ「うへぇ、なんか気分悪くなってきた」
マオ「しんのすけ君、後ろ!」
しんのすけ「え? 後ろ?」クルッ
ラランテス「しゃらんしゃらんら!」バッ
しんのすけ「ラッキー! でかいきんのたまみっけ!」
全員「」ズコッ
スイレン「しんのすけさん、前です! 前!」
しんのすけ「お?」
ラランテス「しゃらんしゃらんら!」バッ
しんのすけ「ああ、君ね。オラと戦いたいのね。ほいほい」スッ
マオ「緊張感なさすぎでしょ……」
シェードジャングル ぬしポケモン
ラランテス 出現!
ラランテス「しゃらんらッ!」ゴウッ!
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『現れたな、ぬしポケモン! 僕が相手だ!』バサッ
ラランテス「ららんらん!」ブンッ
ラランテスがカザマに向けて両手のカマをX字に斬り下ろす!
フクスロー『遅い遅い!』サッ
フクスロー『今度はこっちの番だ! 思いっきりつっついてやる!』バサッバサッ
ドスッドスッ!
ラランテス「らんっ!」ブンブンッ
フクスロー『おっと! 当たらないよ!』サッ
マオ「あのフクスロー身軽だねー」
スイレン「ひこうタイプが入っていますからね。ラランテスとの相性が良いです」
カキ「だが、果たしてそううまくいくかな……」
ラランテス「しゃらんしゃらんら!」
フワフワー
ポワルン「ポワポワ~」フワフワ
しんのすけ「なにあれ? なんかのマスコットキャラ?」
ロトム図鑑「もしくはどこかの地方のゆるキャラ」
フクスロー『てんきポケモンのポワルンだよっ! お前図鑑なんだから知ってるはずだろ!』
ロトム図鑑「私が知ってるのはネットと黒い任天堂的な知識だけだ!」エッヘン
フクスロー『いばるな!』
ポワルン「ポワッ!」
ピカーッ!
ひざしが 強くなった!
しんのすけ「うおっ、眩しっ! それに暑っ」
フクスロー『にほんばれだ!』
ポワルン「ポワポワ~!」
ズズズズ……
ポワルン(太陽の姿)「ポワーッ!」ボウッ
しんのすけ「おおっ、変身した! かっこいー!」
マオ「ポワルンは天候によって姿を変えられるの! ただ姿が変わるだけじゃないけどね」
ポワルン「ポワッ!」バッ
ポワルンが透明な玉を発射! そして日光に照らされた玉は一瞬のうちに炎が燃え上がり、カザマに向かって飛んでいく!
フクスロー『うわっと! 今のはほのおタイプの技……!?』
そこへ更に、鎌を光らせたラランテスが突っ込んでくる!
しんのすけ「カザマくん避けて!」
ラランテス「ららんっ!」ギラッ
ザンッ!
フクスロー『あああっ!』
ポワルン「ポワポワッ!」バッ
ボウッ
フクスロー『あちゃちゃちゃ! またこの展開!?』メラメラ
フクスロー『……っあ』ドサッ
しんのすけ「おお……また焼き鳥コースですか」
カキ「ポワルンが天候をひでりにしてラランテスをサポート。そして本来、日光を溜めて放つ強力なソーラーブレードがすぐに使えるようになり……」
スイレン「さらに、ほのおタイプになったポワルンをじめんタイプやみずタイプで倒そうとすれば、ラランテスのソーラーブレードで相手の体力を一気に奪う……。改めて、マオさんのぬしポケモンには隙がありません」
マオ「さぁ、しんのすけ君! この試練、どう乗り切る?」
フクスロー『またやられちゃった……ごめん、しんのすけ』
しんのすけ「やれやれ、カザマくん焼き鳥になってもあんま美味しそうじゃないしね」
フクスロー『焼き鳥って言うな!』
フクスロー『それで、次は誰を行かせるんだ?』
しんのすけ「んー……」
――ほのおタイプになったポワルンをじめんタイプやみずタイプで倒そうとすれば、ラランテスのソーラーブレードで相手の体力を一気に奪う……。
――今のはほのおタイプの技……!?
しんのすけ「あ、そーだ!」
しんのすけ「ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ(ネネちゃん)『やっとネネの出番ね! 頑張っちゃうんだから!』
しんのすけ「ちょっと待ってネネちゃん」
ヌイコグマ『え? なに?』
しんのすけ「ほいコレ」つ大きな葉っぱ
ヌイコグマ『これでなにをするの?』
しんのすけ「これでポワルンルンの技を受け止めてーあいつに当てるんだゾ」
ヌイコグマ『なんだかよくわからないけど、分かったわ』
カキ「なるほど、ポワルンのウェザーボールを利用するという戦法か」
スイレン「ラランテスはくさタイプ、ほのおタイプは効果抜群です。考えましたね」
マオ(火山公園でほのおタイプのポケモンを捕まえれば良い気もするけど……)
ヌイコグマ『さーてラランテス。アンタとこうして戦えるなんて夢にも思わなかったわ』
ヌイコグマ『ジャングルのアイドル……ぬしポケモンの座、ネネが奪ってみせるわ! おりゃああああ!』ドタドタドタ!
しんのすけ(あいちゃんに張り合ってる時のネネちゃんみたい)
ポワルン「ポワポワッ!」バッ
ホ゛ッ!
ヌイコグマ『きゃっ! なに?』サッ
ラランテスをかばうように現れたポワルンがネネに向けて放たれたウェザーボールは、咄嗟に盾として利用した大きな葉っぱに直撃した!
ヌイコグマ『熱っ!』ポイッ
マオ「燃えた葉っぱが――」
スイレン「ロトム図鑑に……」
ロトム図鑑「~♪」
ボウッ!
ロトム図鑑「ん……?」
メラメラ
ロトム図鑑「あ゛っぢい゛い゛い゛い゛!!」
ロトム図鑑「あ゛ぢあ゛ぢあ゛ぢあ゛ぢ!!」バタバタバタ!
ラランテス「しゃららんっ?!」
ドシン!
しんのすけ「ネネちゃん! チャンス!」
ヌイコグマ『え? あ、うんっ!』ダッ
ガシッ
ラランテス「しゃらっ!?」
ネネはラランテスに掴みかかると、腰を深く落とし、両腕に力を込めて自分より大きいラランテスを持ち上げた!
ヌイコグマ『オラァァァ!』グオオッ
ブゥンブゥンブゥンッ!
ラランテス「ららん! ららんっ!」
しんのすけ「おーネネちゃんすごーい!」
スイレン「ぶんまわす、ですね!」
ヌイコグマ『おんどりゃあああっ!』バッ!
ゴウウッ!
ラランテス「しゃららっ?!」
ポワルン「ポッ、ポワッ!!?」
ネネにぶんまわされ、投げ飛ばされたラランテスは、そのままポワルンに激突した!
またまた失礼。
>>291の後にこれを入れるの忘れてました
ラランテス「ら゛ん゛ら゛ん゛ら゛ん゛!!」バタバタバタ!
ロトム図鑑「あ゛ぢあ゛ぢあ゛ぢあ゛ぢ!!」バタバタバタ!
カキ「おおっ、あれぞほのおタイプ最強の物理技、フレアドライブ! ロトムにもできるとは……」
マオ「どう見ても違うでしょ!」
ラランテス「ら、らん……」
ポワルン「ポワ……」
しんのすけ「よーしっ、Zワザ、行くぜい!」
バッ! バッ! バッ! プリッ! ジャーン!
ネネちゃんは Zパワーを 身体に まとった!
ネネちゃんが 解き放つ
全力の Zワザ!
ウ ル ト ラ ダ ッ シ ュ ア タ ッ ク !
しんのすけ「ネネちゃん! ファイヤーッ!」
ヌイコグマ『力がみなぎってきたわ! 行くわよっ!』
Zパワーを纏いながら、ネネが全速力でラランテスたちに向かって突っ込む!
ドドドドドド!!
ラランテス「ららっ!?」
ドドドドドドド!!!
ドッゴォ!!
ラランテス「しゃ……しゃらら……」ピクピク
ポワルン「ポ……ポワ……」ガクッ
ヌイコグマ『ふんっ、どうよ! ぶりっこなんかには負けないわっ!』ムフー
ラランテス「しゃ……しゃらら……」ピクピク
ポワルン「ポ……ポワ……」ガクッ
ヌイコグマ『ふんっ、どうよ! ぶりっこなんかには負けないわっ!』ムフー
マオ「びっくり! 一気にぬしポケモンも呼び出したポワルンも倒しちゃうなんて……!」
カキ「ああ、火山公園でも自慢のエンニュートを打ち破られた」
スイレン「わたしが丹念に鍛えたヨワシたちも倒されました」
しんのすけ「えっへん!」
ヌイコグマ『しんちゃんひとりで威張らないでよ。ネネも頑張ったんだから』
マオ「じゃあ、アーカラの試練3つとも達成なんだね! その中でも大変なマオの試練を、見事にこなしたすごいあなたにこれを!」
しんのすけは クサZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
マオ「くさのゼンリョクポーズは、クゥーーーーサァ!! だからね!」
バッ バッ ニョキッ ニョキッ パァァッ バァーン!
しんのすけ「ほうほう、かーちゃんがおベンピ治った時にしたポーズにそっくりですな」
バッ バッ ブリッ ブリッ パァァッ バァーン!
マオ「お、おしりは別に出さなくていいかなー……」
ロトム図鑑「おいっ! 誰か私を助けてあげようと言えんのか!」コゲコゲ
しんのすけ「チャーシューがしゃべった!」
ロトム図鑑「誰が豚だ!」
マオ「あれ? ラランテス、料理を残してる? ほら、みんな食べて食べて!」
カキ「それでは……」パクッ
スイレン「ペロッ! っと……」ペロッ
しんのすけ「オ、オラはいいや、先急いでいるんで」
ガシッ
マオ「なーに言ってるの。ちょっとしたお祝いみたいなものなんだから、食べていってよ!ほら、あたしが食べさせてあげるから! あーんして、あーん!」
しんのすけ「いやオラいいって言っt」
パクッ
スイレン「きちょうなホネのフレーバーが口の中に広がって……」
カキ「ほっぺがとろけるだけでなく舌がしびれ、しびれて……?」
しんのすけ「お腹にクルこのしょーげき……!」
カキ「うっ……!」ビクッ
スイレン「こっ これは……!?」ビクッ
ふたり「みっ、みずッッッーーーーー!!!」ドタドタドタ!!
しんのすけ「お、おトイレーーーーーッッ!!!」ゴロゴロゴロ
マオ「ええっ! どうしたのみんなっ! ちょっと待ってよー! なあに!? 大試練のため、ライチさんのところに行くの!?」タッタッタッ
8番道路 ポケモンセンター
ジャー
ガチャッ
しんのすけ「はぁー……死ぬかと思った」
ククイ博士「おっ、しんのすけ! マオの試練、終えたんだろ?」
しんのすけ「ハカセー、オラしばらくマオちゃんのお料理食べたくない……」グギュルルル
ククイ博士「まあまあ、それより、島巡りの一環としてみてほしい施設があるんだ」
ククイ博士「その名も空間研究所! スパークで行こうぜ!」
しんのすけ「オラその前におトイレにしんそくで行きたいゾ……」
ククイ博士「入ったばかりなのにかい?」
ライモンシティ 空間研究所前
リーリエ「いけ! ほしぐもちゃん、はねるです……!」
ほしぐも「ぴゅう?」
リーリエ「トレーナーさんのマネをしてみました。あなた……キズついてばかりだったでしょ?」
リーリエ「ですから、ポケモントレーナーへの憧れはなかったのですが、しんちゃんやハウさんたち、未来の扉を開けているようで、なんだかステキだなって……」
ほしぐも「ぴゅう!」
リーリエ「?」クルッ
カプ・コケコ「……」
リーリエ「ひゃああっ!? か、カプ・コケコさん!?」ビクウッ!!
カプ・コケコ?「んもーリーリエちゃん叫びすぎ」パカッ
リーリエ「えっ? その声、しんちゃんですか?」
しんのすけ「そ、これここに来る途中で作ったカキ・クケコの衣装なの」
リーリエ「それを言うならカプ・コケコ、です。あぁ心臓が飛び出すかと思いました……」ドックンドックン
リーリエ「ところで、試練は……? 3つもあって、大変そうですけど」
しんのすけ「もう終わったよ。らくしょーでした」
リーリエ「まあ! アーカラの試練を3つすべてこなしたのですか……! だからなのですね! カザマさんとも、心が通じあっている……そんな風にみえます! それに、新しいポケモンさんも捕まえたのですね!」
しんのすけ「いやぁ、照れるなぁ」
リーリエ「博士がお待ちですので、中へ案内いたしますね」
しんのすけ「その前にオラトイレいきたいんだけど、案内してくんない……?」グギュルルル
リーリエ「え? え?」
しんのすけ「あ……もう頭が出てきて……」ブルッ
リーリエ「ちょっ、ちょっと待ってください! 今案内しますから!」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
空間研究所内
ククイ博士「おっ、二人とも来たね!」
しんのすけ「ほーい……」
リーリエ「疲れました……」グッタリ
ククイ博士「どうしたんだい2人とも、げきりんかあばれるでも使ったのかい?」
リーリエ「博士……しんちゃん、お腹の調子が悪いみたいですけど、なにかあったんですか? お薬とか飲ませたほうがいいでしょうか?」
ククイ博士「まぁ、詳しくは僕も知らないんだけど、試練でなにかあったようだね」
???「こんな場所でもおかえりって言うべきなのかしらね、ククイ」
しんのすけ「おねいさん!?」シャキッ
ククイ博士「やぁ、ハニー!」フリフリ
しんのすけ「え? ハニー?」ピタッ
ククイ博士「紹介するよ、彼女はバーネット博士! 空間研究所の所長――そして、僕の奥さんだぜ!」
バーネット「ふふっ、堂々と言われるとちょっと恥ずかしいわね」
しんのすけ「えーっ!? 奥さん?」
ロトム図鑑「なぜこんな奴と結婚したのだ」
ククイ博士「こんな奴とは何だ、こんな奴とは」
バーネット「ふふっ、色々あるのよ。色々ね」
バーネット「あなたがしんのすけね。さっき、リーリエから聞いたわ。ユニークなトレーナーさん、だって!」
しんのすけ「いやぁユニクロなトレーナーなんて、オラかーちゃんがケチって買った安もんの服しか……」
リーリエ「ユニクロじゃなくて、ユニークです」
バーネット「ん、ハウはいないの?」
ククイ博士「ハウはしんのすけに劣らずマイペースだからね。ハラさんみたいな大物……しまキングにだってなれるよ!」
ハウ「そうかなー」サッ
ククイ博士「おわっ!」
しんのすけ「ハウくんおひさー」
バーネット「いらっしゃい、ハウ、ひさしぶりね」
ククイ博士「ああ、本当だとも! なれるさ、君なら」
ククイ博士「そうだ、しんのすけにアローラの不思議な現象を教えてあげてほしいんだ」
しんのすけ「不思議なげんしょー?」
バーネット「もちろん! アローラの謎……それはウルトラホール!」
バーネット「アローラでは、ごくごく稀に、空に穴が開くとされています。そしてその先には、未知の空間があるらしいの」
しんのすけ「ほうほう」
バーネット「なぜ、未知の空間があると推測されているのか――それはウルトラホールから怖いポケモンがやってきた、との伝承が残されているから」
しんのすけ(きれいなおねいさんが降ってくればいいのに)
リーリエ(あの顔……またしょうもないこと考えてますね……)ジロー
バーネット「根拠としては貧弱だけど、無視できないのよね。これまでのポケモン図鑑にも、別世界に関する説明はいくつか散見できるし」
ハウ「怖いポケモン……?」
バーネット「野生のポケモンは人を襲うこともあるでしょ? ウルトラホールからやってくるポケモンは特にすごかったそうよ」
バーネット「ウルトラビーストと呼ばれ、恐れられ……島の守り神と激しく争ったりもしたみたいね。
しんのすけ「あ、でもオラ、別の世界に行ってアクション仮面と一緒に宇宙からやってきたハイグレのトレーナーさん達をやっつけたことがあるよ」
ククイ博士「宇宙からやってきたトレーナー?」
ハウ「またまたーテレビの話でしょー?」
しんのすけ「ホントだもん!」
バーネット「まぁともかく、さっきも言ったとおり伝承があるだけで、どこまで本当か不明だけど空間のゆがみを調べてウルトラホールの謎を解ければ、サイコー! なんだけどね」
バーネット「ポケモンと空間の関係なら、研究所の本棚にいくつか事例をまとめているわよ。でも、しんのすけ君には難しすぎるかしら?」
リーリエ「じゃあ、私が要約して読ませてあげます」
しんのすけ「めんどくさいからいいや」
リーリエ「めんどくさがっちゃダメです。しんちゃんにとって、良い勉強になると思いますよ」
バーネット「ふふ……リーリエ、お姉さんみたいね」
リーリエ「そ、そんなことないです! ただ、私はククイ博士に頼まれて……」
しんのすけ「そーそー冗談きついって。オラのおねいさんになるなら最低でも女子大生以上じゃないと」
リーリエ「もうっ!」
バーネット「……ところで、コスモッグの調子はどうかしら?」
リーリエ「あ、はい、元気です」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
しんのすけ「オラのケツだけ星人を見せるととっても元気になるんだよ」
バーネット「ケツだけ星人?」
リーリエ「深く聞かないでください……」
バーネット「あら、そう」
バーネット「そういえばちょうど3カ月前……浜辺で倒れているリーリエを見つけたのよね。バッグの中にいた、コスモッグもぐったりしていたし」
しんのすけ「海水浴でもしてたの? カナヅチ?」
リーリエ「してません! ほしぐもちゃん……コスモッグについて教わろうと、バーネット博士をおたずねしようとして……でも、道に迷い、浜辺で倒れてしまったのです」
しんのすけ「方向音痴なのに無茶するから」
リーリエ「あ、あのですね……」
リーリエ「ともかく、夜中にも関わらず、わたしの話を真剣に聞いてくださっただけでなく、だんなさまのククイ博士に連絡なさって……ほしぐもちゃんの調査と、ロフトを貸すように手配してくださったのです……」
リーリエ「バーネット博士は……本当のおかあさまのようです」
バーネット「ふふっ、リーリエったら」
しんのすけ「じゃあリーリエちゃんのホントのかーちゃんってどんな人なの?」
リーリエ「それは……ごめんなさい。言いたくないんです」
しんのすけ「あ、そ。別にいいけど」
ロトム図鑑(会話に入りにくい……)
ククイ博士「しんのすけ! ウルトラホールとビーストは興味深い話だったろ? ウルトラビーストがいたとしたら、どんな技を使うか気になるね」
しんのすけ「オラはおねいさんがホールから降ってこないか気になるね」
ククイ博士「さて、アーカラでの3つの試練をすべて終えたんだろ! すごいぜ! 次はいよいよしまクイーン、ライチさんとのポケモン勝負……アーカラ最大にして最後の大試練だね!」
しんのすけ「ライチおねいさん! 早く会いに行きたーい!」デレデレ
バーネット「じゃあいってらっしゃい! ライチさんの家はすぐ近くのディグダトンネルを抜けた先のコニコシティにあるからね! スカル団には気をつけるのよ!」
しんのすけ「ほいっ、オラ、スケスケおパンツ団には負けません!」
バーネット「スケスケ……?」
リーリエ「スカル団、です」
ククイ博士「リーリエはどうするんだい?」
リーリエ「あっ、はい……わたしはバーネット博士とお話してます」
ハウ「おれもねー一緒にディグダトンネル行くよ! ポケモンが作った穴でしょー! 早く行きたい行きたいー!」
しんのすけ「んもー子供なんだからー」テクテク
ハウ「しんのすけも子供でしょー! 行こ行こー!」ダッ
バーネット「2人とも元気な子ね。でも、びっくりしたわ、5歳でカプ・コケコに選ばれて――その上、ハラさんにも勝っちゃうなんて」
ククイ博士「ちらっとカキとマオの試練を覗いたけど、しんのすけと彼の連れているポケモンたちのパワーはすごいよ。まだまだ、彼の内に秘めたパワーはこんなものじゃないと思うぜ」
バーネット「ところでリーリエ……なんだか、見ないうちにずいぶん明るくなった気がするね」
リーリエ「そうでしょうか? ……あまり、自覚はありませんが」
バーネット「なったなったよ、声も話し方もなんだか張りが出てきたって感じ!」
ククイ博士「きっと、しんのすけの面倒を見てくれたからだよ。メレメレでは散々、しんのすけにツッコミを入れてたからね。ひょっとしたら、しんのすけがリーリエに、元気を分け与えてるのかもしれないね」
ほしぐもちゃ「ぴゅい!」
リーリエ「正直……わからないです。ですが、しんちゃんといると、ものすごく疲れるんですよね……。なんていうか、わたしの思い描いていた5歳の男の子とずいぶん違うというか」
リーリエ「さっきも、カプ・コケコさんの仮装をしてわたしをびっくりさせたかと思ったら、お腹が痛いらしくて、お手洗いに連れて行きましたし……なんだか落ち着かないです」ハァ
バーネット(ふふ、なんとなくククイ君の言っていること、分かるかも。リーリエにも分かる日が来るといいわね)
ディグダトンネル
しんのすけ「ハウくーん!」
しんのすけ「やれやれ、先走ったせいでハウくんが迷子になるなんて、オラ困っちゃう」
ロトム図鑑「むしろ、こっちが迷子になった気がするぞ」
ライチ「ん、しんのすけじゃないか」
しんのすけ「ライチおねいさん! いやぁオラ、ライチおねいさんに会うと胸がキュンってして」
ライチ「嬉しいこと言ってくれるね。トンネルの中じゃ、ポケモンのディグダがてんこ盛り暴れててさ、並のトレーナーじゃ通れないよ」
ライチ「で、島巡りはどうなのさ? ちょいとZクリスタルをみせてごらん」
しんのすけ「オラのハートも全部見てぇ」
ライチ「それはまた今度、ね。どれどれ……」
ライチ「お、しんのすけすごい! マオの試練もこなしたんだね」
しんのすけ「えへへー」
ライチ「こっちもそろそろだね。ディグダも落ち着いてきたし、しんのすけの実力なら トンネルだって抜けられるさ」
ライチ「ディグダトンネルを抜けると、コニコシティが近くにあるの。あたしのお店があるから、そこで待ち合わせしようか」
しんのすけ「おデートのお誘い!? そ、そんな、オラたちまだ知り合ったばかりなのに……」
ライチ(本当にこの子が15年経ってそのセリフ言ってきてたら飛び上がって喜んだんだけどなぁ)
ライチ「大試練、受けるんでしょ? その約束だよ。先に行って待ってるからね」
しんのすけ「ほいほーい」
しんのすけ達はディグダを倒しつつトンネルを進んでいくと……
ディグダ「ディグ……」パタッ
フクスロー『ふうっ、こんなものかな』
ヨワシ『少しは通りやすくなったかな?』
ロトム図鑑「ふっ、たかがディグダに苦戦しおって」
フクスロー『お前なんもやってないじゃないか!』
ズズズズ……
しんのすけ「お? あっちで変な音聞こえなかったー?」
ヨワシ『うん、聞こえた。なんだろう』
フクスロー『行ってみようよ!』
テクテク
『う……』
しんのすけ「!」ピクッ
ロトム図鑑「どしたのだ?」
しんのすけ「今、声が聞こえた」
フクスロー『僕たちと同じポケモンかな?』
ヨワシ『また新しい仲間ができるね!』
しんのすけ「あーっ!」
しんのすけが指さした先、そこには白いポケモンが倒れていた。
???『……』
ヨワシ『き、きれい……』ポッ
フクスロー『うん、なんて上品そうなポケモンだろう』
ロトム図鑑「1匹見かけたら100匹いそうな見た目だな」
フクスロー『なんだよ、その喩え……。でも、こんなポケモン、僕も見たことがないぞ』
ヨワシ『虫タイプっぽいけど……』
???『……うぅ』ピクッ
フクスロー『あっ、しゃべった!』
???『誰……ここは……?』
しんのすけ「どしたの? ゆきだおれ?」
ヨワシ『君、なんてポケモンなの?』
???『わたし……は』
しんのすけ「お腹すいた? これ食べる?」つポケマメ
???『これ……は?』
フクスロー『ポケマメっていう、食べ物だよ。大丈夫、とってもおいしいから!』
???『…………』スッ
パクッ モグ モグ
???『……まぁ、とても美味ですわん』ニコッ
フクスロー『』ズッキューン
ヨワシ『』ズッキューン
ヌイコグマ(ボールの中)『なんか見ててイラっとするわ。……気のせいかしら』
しんのすけ「よかったよかった、じゃ、そゆことでー」
フクスロー『待てよしんのすけ! ここはキチンと倒れてた理由を聞くべきだろ』
ヨワシ『そうだよ、ひょっとしたら怖いポケモンに襲われたのかも……』
しんのすけ「えぇ、オラ早くライチおねいさんに会いたいんだけど、しょうがないなー」
???『あの……命を助けていただき、感謝していますわ。あなた方のお名前をお教えいただけますか?』
フクスロー『いやいや、名乗る程の者じゃありませんが、一応僕はフクスローのカザマと言います』デレデレ
ヨワシ『僕、ヨワシのマサオですっ』デレデレ
ロトム図鑑「アローラ唯一のロトム図鑑、レオナルド・ロトブリオ、またはアレッサンドロトム・フランチェスカ・デ・ニコラとも呼ぶが良い。ま、ひとつよろしく頼む」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳!」
???『まぁ、しんのすけ君にカザマ君、マサオ君ですね』
ロトム図鑑「おいっ、無視するなっつーの!」
???『ごめんなさい、今、わたしは追われていて……いつか、この御恩はお返し致しますわ。それでは、失礼いたしますわん』
フッ
ヨワシ『消えた!?』
フクスロー『いや、一瞬だけど走っていくのが見えたよ。あのポケモン、とてつもなく足が早い!』
ロトム図鑑「白光りするGとでも呼んでおくか」
しんのすけ「なんでGなの?」
ロトム図鑑「語呂がいいからだだ」
フクスロー『なんとなく不愉快だからやめてくれ』
しんのすけ達は更にトンネルを進んでいくと……
ギャーギャーワーワー
しんのすけ「お?」
エーテル財団職員「スカル団! 人のポケモンは返しなさい!」
ヤドン「……やん」
???「だって、そんなこと言われてもねぇスカりん」
スカりん「そうだよね、スッチー。プルメリさんから課せられた僕たち一日のノルマを達成できなきゃ、スカル団やめさせられちゃうもん」
スッチー「そうしたら私たち、行き場を失くししちゃうかも……そんなことになったら、どうしよう」グスッ
スカりん「大丈夫だよ、スッチー。路頭に迷うことがあっても、僕はずっとそばにいるよ!」ギユッ
スッチー「スカりん……!」ギュッ
スカりん「スッチー!」
スッチー「スカりん!」
エーテル財団職員「…………」
しんのすけ「おおっ、どこかで見たことのあるカップルですな」
フクスロー『てゆうか、あの二人スカル団だよ!』
???「ちゃんとしてくださいよ! 代表になんて言われるか」
エーテル財団A「……支部長、いつも口だけでなにもしないじゃないですか。というか、あんなのと正直関わり合いたくないです」
???「わたしこそが、エーテル財団最後の砦! なにかあれば大変でしょう!」
ハウ「しんのすけーどったのー?」
しんのすけ「お、ハウくん。実はスケスケおパンツ団の人たちがいてねー……」
???「おお! そこのお二人のトレーナー! わたしの代わりに、スカル団を退ける名誉を与えたりしますよ!」
ハウ「わーい! おもしろそー!」
しんのすけ「お知り合いのそっくりさんを倒すのもひがきけるけど、仕方ないですな」スッ
スカりん「むっ! どうやらあの子たちは僕とスッチーの愛を引き裂こうとするみたいだよ!」
スッチー「そうみたいね、やっつけちゃいましょ、スカりん!」
スカル団の したっぱとしたっぱが
勝負を しかけてきた!
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」
ハウ「行けーピカチュウ!」ヒョイッ
バサッ ポンッ
フクスロー『よーし、行くぞ!』
ピカチュウ「ぴっかちゅう!」
スカりん「行くよ! ズバット!」ヒョイッ
スッチー「お願い、カリキリ!」ヒョイッ
ポンッ ポンッ
ズバット「ズバ-ッ!」
カリキリ「キリーッ」
ハウ「ピカチュウ、ズバットに電気ショックー!」
しんのすけ「テキトーにやっていいよー」
フクスロー『いつもそうだろっ! とりあえずカリキリにみだれづきっ!』バサッ
ピカチュウ「ぴっか……ぢゅううっ!」
ドスドスドスドスッ!!
ビリビリビリ!!
ズバット「ズ、ズバーッ?!」
カリキリ「キリーッ?!」
スカりん「うわーっ! スッチーが捕まえてくれたズバットが!」
スッチー「いやああっ! スカりんが捕まえてくれたカリキリが!」
スカりん「なんてひどいことするんだ!」
ハウ「いや、だってこれポケモン勝負だしー」
スッチー「早くポケモンセンターに連れて行きましょ!」ダキッ
スカりん「そうだねスッチー!」ダキッ
スタコラスタコラサッサ!!
ハウ「……なんだったんだー?」
しんのすけ「アローラでもミッチーとヨシりんは変わりませんなぁ」
エーテル財団職員「よかったあ……」
ヤドン「……やん」
エーテル財団職員「君たち、ありがとうね!」
しんのすけ「オラ、おねいさんと連絡先を交換できればそれで」キリッ
???「やあやあやあ、お二人とも島巡りですか? すばらしいトレーナーさんですね!わたし、いたく感動しました!」
ハウ「えへへー照れちゃうなー」
しんのすけ「あーんオラのセリフー」
???「素晴らしいものをお見せしますので、まずはアーカラの大試練をこなすのです!そうすれば、ハノハノリゾートから素晴らしいところに案内します」
エーテル財団職員「助けてくれてほんとありがとう! あなた達がいてくれてよかった。じゃあ、島巡りがんばってね!」
テクテク
ハウ「素晴らしいものだってーなんだろーねー?」
しんのすけ「おねいさんがいっぱいいるとかー?」
ハウ「あのねーたまにはおねいさん以外のものを想像しなよー」ヤレヤレ
ハウ「でも、しんのすけって面白い戦い方するよねー。ポケモンに技の指示出さないで戦わせてるもんねー」
しんのすけ「オラ、ホウスイ主義ですから」
フクスロー『それを言うなら、放任主義だろ。お前がいつまで経っても技を覚えないからだ』
ハウ「さーて、ディグダと遊ぼー!」ダーッ
しんのすけ「オラもライチおねいさんに会いに行こーっと!」ダッ
コニコシティ
しんのすけ「ライチおねいさんのお店ってどこだろ?」キョロキョロ
しんのすけ「ぶりぶりざえもん、知ってる?」
ロトム図鑑「どうやらライチはジュエルショップを経営しているようだぞ。あそこだ」
『ライチのジュエルショップ』
しんのすけ「おおっ、ホントだ! ライチおねいさーん!」ダッ
ガチャッ
しんのすけ「おねいさ~んあいたかったァ~ン」ピョン
???「ダノッ!?」
しんのすけ「んーチュッチュッ」ブチュブチュ
しんのすけ「ん? なんだかライチおねいさん、石のようなかた~い感触……」
ダイノーズ「ダノノー///」ポッ
しんのすけ「うわっ! ペッペッ!」
店員さん「いらっしゃいませー!」
しんのすけ「あのーライチおねいさんは?」ウェー
店員「ライチさん? あぁ、あなたが島巡りしてるしんのすけ君ね! ライチさんは今、出かけてるんだけど、確かそこにいるダイノーズがライチさんからあなた宛の書き置きを持ってるはずよ」
ダイノーズ「ノズズ……///」つ書き置き
しんのすけ「おー?」ペラッ
『しんのすけ ライチです
このコは ダイノーズ
いつも 留守番してもらってるの
待ち合わせは メモリアルヒルの 奥
命の遺跡に 来てね よろしく』
しんのすけ「いや~んライチさん、オラを焦らすなんてだ・い・た・ん」
店員「えーっと、命の遺跡は街を出て海沿いに進んでいけば、メモリアルヒルっていう墓地があるから、その奥にあるわよ」
しんのすけ「ほーい! よーし行くぞ、ぶりぶりざえもん!」ダッ
ロトム図鑑「だから私の名前はレオナルド・ロトブリオと言っているだろう!」
しんのすけ「まだ言ってるー」
メモリアルヒル
ロトム図鑑「この先が命の遺跡のようだな」
しんのすけ「よーし待ってろーライチおねいさん!」
ザッ
???「あんたね……グラジオが言ってたの。……なんにも感じない、ふつーの小さいコにみえるけどねえ」
しんのすけ「お?」クルッ
???「あたいはプルメリ、スカル団を束ねている――言うなれば姉御ってところ」ザッザッ
しんのすけ「おお、ちょいワルなスケスケおパンツ団のおねいさん」
ロトム図鑑「下着ドロの幹部が女性とな、面妖な連中だ」
プルメリ「なるほど、あたいらのことをやれ下着ドロやれスケスケと周りに言いふらしてるのもアンタたちだったんだね」ギロリ
しんのすけ「えっ? そうなの?」
ロトム図鑑「事実ではないのか?」
プルメリ「なわけないだろっ!」
プルメリ「アンタも知ってのとおり連中バカばっかりでねえ、でもさあバカだからこそかわいいってことあるじゃあない? わかる?」
しんのすけ「おバカとてんさいは、かみともえと言いますからな」
プルメリ「……ゼンゼン意味が違うよ。それに、かみともえじゃなくて、紙一重」
しんのすけ「そーともゆー」
プルメリ「……アンタもあたいらと同じだったら可愛がってあげたんだけどねえ」
プルメリ「でもさ、かわいいあいつらをいじめて、あまつさえうちの名前を変なふうに世間に言いふらしてるアンタが、すっごく邪魔なのよ」スッ
しんのすけ「いや~ん、オラをてごめにする気~?!」クネクネ
プルメリ「ポケモン勝負だよっ!」イライラ
しんのすけ「なんだぁ、だったら早く言ってよね」スッ
プルメリ「ホント、ムカつくね……アンタ」
スカル団幹部の プルメリが
勝負を しかけてきた!
プルメリ「行きな、ゴルバット!」ヒョイッ
ポンッ
ゴルバット「ゴルール!」バッサバッサ
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」
ポンッ
ヨワシ『よ、よ~し!』
ヨワシ(大丈夫、ぬしポケモンを倒したボクなら勝てる!) ビクビク
プルメリ「ゴルバット、あやしいひかり!」
ゴルバット「ゴルルッ!」バサバサッ!
パァァーーッ!
ヨワシ『ひっ!? 目がチカチカ……あれ?』キョロキョロ
しんのすけ「マサオくん? どうかしたの?」
ヨワシ『だ、大丈夫! えいっ!』
ブシュー
しんのすけ「あーんもう、上に撃っちゃってどうすんの!」
ヨワシ『え? だってボク……』
プルメリ「やっちまいな、ゴルバット! エアカッター!」
ゴルバット「ゴルッ!」バサバサッ!
空気の刃がマサオに飛んでくる!
しんのすけ「マサオくん、避けて!」
ヨワシ『え? え?』グルグル
ザクザクッ!
ヨワシ『ひいいいっ! 痛いよぉぉ』
しんのすけ「んもーなにしてるの! 同じところぐるぐる回って」
ヨワシ『そ、そんなぁ、だって……』
フクスロー(ボールの中)『しんのすけ、今のマサオくんは混乱状態になっているんだ!』
しんのすけ「いんらん?」
フクスロー『混乱だよっ!』
プルメリ「やっと気付いたんだね。今のはあやしいひかりっていう技でね、光を浴びたポケモンを惑わして混乱状態にさせるのさ」
フクスロー(ボールの中)『しんのすけ、このままじゃマサオくんが不利だ! ボクを代わりに出すんだ!』
しんのすけ「ほーい! そーゆーわけだから、戻っていいよー」
ヨワシ『う、うんっ!』シュンッ
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『大試練前なのに、とんでもない敵が現れたな……』バサバサッ
プルメリ「ゴルバット、もう一度混乱させちまいな!」
ゴルバット「ゴルルッ!」バサバサッ!
パァァーーッ!
フクスロー『そうは行かないよ!』サッ
カザマは目を閉じて移動して回避! 更にはっぱカッターを繰り出す!
プルメリ「エアカッターで撃ち落としちゃいな!」
ゴルバット「ゴルッ!」バサバサッ!
ヒュンヒュンヒュンッ
フクスロー『おっとっとっ、今のは囮さ! 本命はこっちだ!』
フクスローが一気にゴルバットへ距離を詰め、みだれづきを放つ!
ズドドドドッ!!
ゴルバット「ゴッ、ゴルッ?!」
プルメリ「あやしいひかりで振りほどいちまいな!」
ゴルバット「ゴルルッ!」パァァーッ
フクスロー『うわっと! 危ない危ない!』バサッバサッ
フクスロー『しんのすけ! 今のうちにマオさんから貰った、くさのZワザを使うんだ!』
しんのすけ「ブ・ラジャー!」
バッ バッ ブリッ ブリッ パァァッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ル ー ム シ ャ イ ン エ ク ス ト ラ !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
フクスロー『新しいZワザだ! 行くぞっ!』
カザマがZパワーを周囲へ放出すると、次々と花が咲き乱れていく! そして日光がゴルバットに照射され、どんどん威力を増していく!
パァァァッ!!
ドゴォォォン!!
ゴルバット「ゴルーッ!!」
ゴロゴロゴロ……ガクッ
プルメリ「……チッ、Zワザとはね。やるじゃない」
しんのすけ「えっへん」ドヤッ
プルメリ「威張ってるんじゃないよ、今のはほんの脅しさ。次、ジャマしたら本気でやっちまうから」ギロッ
スタスタ
フクスロー『スカル団幹部か……1匹だけでも、Zワザを使うほどの厄介さがあるなんて……』
しんのすけ「ねえねえ、スケスケおパンツ団のおねいさん、髪解いたらもっとキレイになると思わない?」
ロトム図鑑「いや、あのままでも充分イケると思うぞ」
フクスロー『ちったあ緊張感持てよお前ら!』
命の遺跡
しんのすけ「ここがいせき?」
バーネット「しんのすけ君!」
しんのすけ「お? 今度は何?」クルッ
テクテク
バーネット「リーリエが迷ってたから連れてきちゃった!」
リーリエ「ほしぐもちゃんのため、やってきました……! ご覧のとおり、連れてきてもらったのですが」
バーネット「ホテルしおさいでの待ち合わせでも迷っていたのよね」
しんのすけ「やっぱり迷ってたんだな」
ロトム図鑑「だから言ったとおりじゃん? だいたい迷うって」
バーネット「あはは、まぁスカル団を見かけて避けていたのが理由らしいけど」
しんのすけ「ホントにそうかな……?」ジロー
リーリエ「……そんな目で私を見ないでください」
バーネット「じゃね! わたしはこれから、ロイヤルマスクの試合があるの!」テクテク
しんのすけ「またねー!」フリフリ
バーネット「……それにしてもロイヤルマスクって……覆面の下、どんな顔かしら?」ブツブツ
しんのすけ「バーネットのおねいさん、ニブい!」
先へ進む2人……。
リーリエ「しんちゃん、奥にあるのがアーカラの守り神、カプ・テテフさんの遺跡ですよ」
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
リーリエ「もう…… メレメレ島でも、戦の遺跡に行こうとしたり……あなたにとって遺跡とは? 島の守り神さんとはなんですか?」
しんのすけ「元カノ?」
ロトム図鑑「あるいはストーカー」
リーリエ「それは絶対に違うと思います……」
スタスタ
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
しんのすけ&リーリエ「!」
ライチ「あら? 確か、ククイの……」
リーリエ「わたし、リーリエです。ククイ博士の助手をしています」ペコリ
しんのすけ「おねいさん、オラを焦らすなんてひどい~」
ライチ「ごめんごめん! わざわざ会いに行ったのに。カプ・テテフに呼ばれて、遺跡をきれいにしていたのさ」
ライチ「しんのすけ……アローラの人を、ポケモンを知ってくれてありがとう」
しんのすけ「オラ、おねいさんのことが知れればそれで……」クネクネ
リーリエ「し、しんちゃん……」
ライチ「ま、それはそれで嬉しいけど……」
ライチ「さてと、アーカラの3人のキャプテンの試練をこなし! 挑むはしまクイーン、ライチの大試練! アーカラで一番ハードなポケモン勝負、ガツンといくよ!」
しんのすけ「ほいっ!」キリッ
ライチ「お、切り替えがいいね! アタシに見とれてたらどうしようと思ってたけど、中々いい目つきじゃないか!」
しんのすけ「それほどでも!」
しんのすけ(大試練勝ったらライチおねいさんとおデートできるかもしれないし)
ライチ「あたしらのゼンリョク、あんたらにぶつけるよ!」
ライチ「ライチさんの相棒はごつくてかわいい、いわタイプのポケモンばかりさ!」スッ
しんのすけ「オラのお友達は、性格がいろいろ変わってるポケモンばかりだゾ!」スッ
リーリエ(あなたがそれを言うんですか……)
しまクイーンの ライチが
勝負を しかけてきた!
ライチ「ノズパス! 出番だよ!」ヒョイッ
ポンッ
ノズパス「ノズー……」
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『二つ目の大試練、気を引き締めて行こう!』バサバサッ
リーリエ「あ……カザマさん、進化したんですね!」
しんのすけ「せんてひっはい、だよカザマくん」
フクスロー『それを言うなら先手必勝、だろ! 負けてどうするんだ!』
フクスロー『行くぞっ、はっぱカッター!』バサッ
ライチ(命令しないで飛び出した? でも、なにか仕掛けてくるね)
ライチ「ノズパス、攻撃を耐えながらでんじはだよ!」
バババババッ!
ノズパス「ノズッ……ノズズッ!」バチッ!
バチチチッ!
フクスロー『うっ!?』バチッ
フラフラフラ
しんのすけ「どしたの?」
フクスロー『かっ、からだが……しびれて……』ビクッビクッ
ライチ「そのままいわなだれ!」
ノズパス「ノズッ!」バッ
ゴロゴロゴロッ!!
フクスロー『ぐああっ!』ズンッズンッ
しんのすけ「カザマくーん!」
リーリエ「ノズパスさんっていわタイプのはずですが、なぜでんきタイプの技も使えるのでしょう……?」
ライチ「ノズパスは磁力と強い関わりがあるポケモンだからね。だから電気のワザも使えるのさ」
ロトム図鑑「まさしくひこうタイプのカザマは絶好のカモってか」
フクスロー『うまくない! だいたい僕はくさ・ひこうだよ!』
フクスロー(だけど、相手がいわタイプならあのワザが抜群に効くかもしれない……!)
ライチ「ノズパス、スパークだよっ!」
ノズパス「ノズ-ッ!」バッ
ノズパスは電撃をまといながら、カザマへと突進する!
フクスロー(今だっ!)
シュルシュルシュル
ガッ!
ノズパス「ノズッ?!!」フラッ ドスンッ
リーリエ「地面から草が……!」
ライチ「これは……くさむすび!」
しんのすけ「あれ? とーちゃんからもらったわざマシン、カザマくん使ったの?」
フクスロー『お前が覚えさせる気配見せないから、僕が勝手に使って覚えたんだよ!』ブルブル
ノズパス「ノッノズッ……」
ライチ(あのフクスロー、厄介なワザ覚えてるね。くさむすびは重ければ重いほど威力を増していく上、くさタイプの技だからノズパスには効果抜群だからね)
フクスロー『もう一度――はっぱカッターッ!』バッ
バババババッ!
ノズパス「ノズ-ッ!!」ザクザクザク!
フクスロー『ダメ押しでもう一度、くさむすびだっ!』
シュルシュルシュル
ズンッ
ノズパス「ノ、ノズッ……!」
ガクッ
フクスロー『よし、まず1匹だ……』ブルブル
しんのすけ「だいじょぶ? 戻る?」
フクスロー『いや……次に繋げてから引っ込むよ。フォア・ザ・チームさ』
しんのすけ「フォーザちんちん?」
フクスロー『フォア・ザ・チーム! チーム全体が勝つために、一人ひとりが役割を背負うってことだよ。ちなみに僕は、いかに相手の戦力を削いでいくかっていう役割をしてるんだ』
しんのすけ「マサオくんとネネちゃんは?」
フクスロー『そりゃ、もちろん――』
ヨワシ(ボール)『えっ? 僕に役割なんてあるの?』
ヌイコグマ(ボール)『ネネも、今知ったけど』
フクスロー『』ガクッ
フクスロー『今はテキトーに戦ってくれればそれでいいよ……』
ライチ「さて、次だよ! ガントル!」ヒョイッ
ポンッ
ガントル「ガンガンッ!」ズシンッ
ライチ「麻痺してる今のうちに――ガントル、ロックブラスト!」
ガントル「ガンガーンッ!」ドンッ!
ヒューッ
フクスロー(せめてもう一発っ!)バッ
ライチ(ん、またくさむすび!)
シュルシュルッ
ライチ「ガントル、かわして!」
フクスロー『させるかっ!』
ゴッ!!
フクスロー『ぐうっ……』フラッ ドサッ
リーリエ「!」
しんのすけ「カザマくんっ!」
ガッ!
ガントル「ガ、ガンッ!」フラッ ドスンッ!
ライチ「遅かったか……」
フクスロー『しんのすけ……僕ができるのはここまでだ。後はネネちゃんとマサオくんに任せるよ』
しんのすけ「ほいっ」
ライチ「とりあえず、これでそれぞれ1匹ずつ倒れたね。さ、次のポケモン、出しなよ」
しんのすけ「よーし、ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『今度は私が相手よ!』
リーリエ「あのポケモンさん、しんちゃんの新しい仲間ですね」
ライチ「ガントル、もう一度ロックブラスト!」
ガントル「ガンガンッ!」ドンッ!
ヌイコグマ『きゃっ!』ドッ!
ヌイコグマ『痛いじゃないの! なにするのよ!』
ガントル「ガンガンッ!」ドンッ!
ヌイコグマ『いたいっ! だから』ドッ
ガントル「ガンガンッ!」ドンッ!
ヌイコグマ『やめてってば!』ドッ
ガントル「ガンガンッ!」ドンッ!
ヌイコグマ『…………』ドッ
ブチッ
ヌイコグマ『うがああああああ!!』ドドドド!!!
ガントル&ライチ「!?」
バキッ!
ガントル「ガンッ!?」フラッ
ヌイコグマ『やめろっつってんだろがこの漬物石が! さっきから岩ばっか撃ちやがって!』ドカッ! ボカッ! ドカッ! ボカッ!
ガントル「ガ、ガンッ! ガンッ!」
しんのすけ「ほうほう……」
ロトム図鑑「がまんの限界だったようだな……」
ヌイコグマ『おりゃああああっ!』グオオッ
ブゥンブゥンブゥンッ!
ガントル「ガンッ! ガンッ!」
リーリエ「あんなに重そうなポケモンさんを、片手で振り回すなんて……」
ヌイコグマ『おんどりゃあああっ!』バッ!
ズズンッ! メキメキ
ガントル「ガ……ガガ……」ピクピク
ヌイコグマ『ゼェ……ゼェ……』
ライチ「アンタのヌイコグマ、すごいパワーだね……アタシにもビリビリ伝わってきたよ」
しんのすけ「ま、ネネちゃんですから」
ライチ「だけど、ロックブラストを我慢してる間、ヌイコグマはずいぶん傷ついたみたいだね。こっちも早いとこ片付けておこうか」スッ
ライチ「ラストだよ、頑張ってルガルガンっ!」ヒョイッ
ポンッ
ルガルガン(夜)「ワオーンッ!」
ライチ「ルガルガン、いわおとし!」
ルガルガン(夜)「ワンワンッ!」グワッ
ヌイコグマ『きゃーっ!』
ゴロゴロゴロッ!!
ヌイコグマ『も……ダメ』ドサッ
しんのすけ「ネネちゃん……すごいタンコブ」
ヌイコグマ『突っ込むところそこじゃねーだろ!』
ライチ「どうやらお互いにあと1匹、だね」
フクスロー『僕にネネちゃんが倒れちゃったか……後はマサオくんだけか』
ヨワシ(ボール)『う、嘘でしょ?!』
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ『そんなぁ、無理だよぉ』ビクビク
ヌイコグマ『無理でもやるしかないの! 戦わなかったらおにぎりの具の刑よ!』
ヨワシ『ね、ネネちゃんひどいや……』
ライチ「それが最後の1匹? でも、すぐに終わらせるよ!」
バッ バッ ガシィン! ガシィン! ジャーン!
リーリエ「あのポーズは……」
フクスロー『マズイ! Zワザだっ!』
ルガルガンは Zパワーを 身体に まとった!
ルガルガンが 解き放つ
全力の Zワザ!
ワ ー ル ズ エ ン ド フ ォ ー ル !
ライチ「ルガルガンっ!」
ルガルガン「ワオオオオン!!!!」
Zパワーを持ったルガルガンがジャンプすると、両手を広げた! その両手の中に、磁力で引き付けられるように周囲から次々と岩石が集まってくる!
やがて集まった岩石はルガルガンの何十倍もの大きさを誇るひとつの岩石となった!
ヨワシ『ひっ、ひいいいいっ!』
ルガルガン「ワオッッ!!」
ブンッ
ヒュウウウ
しんのすけ達「マサオくんっ!」
ヨワシ『うわあああっ!』
ズ ズ ン ッ !
リーリエ「ど、どうなったのでしょうか……?」
ほしぐもちゃん「ぴゅ……」
ゴゴゴ……
ヨワシ『うっ……ううっ』フラフラ
ライチ「ん……!」
フクスロー『まだ立ってる!』
ヨワシ(も、もう無理……だよ)
ヌイコグマ『倒れちゃダメっ! マサオくんっ!』
フクスロー『そうだよっ! 今、いわタイプに対抗できるのは君だけなんだ! 君だけが頼りなんだよ!』
ヨワシ『もうできないよぉ……力が出ないよぉ』
ライチ「ルガルガン、そろそろトドメ行くよ!」
ルガルガン「ワンッ!」ダッ!
ヌイコグマ『やばっ! 来たわよマサオくん!』
フクスロー『なんでもいいから反撃するんだ!』
ヨワシ『無理だよぉぉ……』
ロトム図鑑「ここで負けると刺身になって今晩の夕食になるかも……」
ヌイコグマ『余計なこと言ってんじゃねぇよブタ!』
しんのすけ「ディグダの穴にいた白いポケモンが、マサオくんを見たらなんて言うんだろうなぁ」ボソッ
マサオ『……え?』ピクッ
――マサオ
フクスロー『そ、そうだよ! 君のことだって覚えてるはずだよ! また会った時も、そうやって惨めな姿で再会する気か?!』
しんのすけ「決めるときは決めちゃったほうがかっこいいゾ!」
――私も、しんのすけさんたちの仲間になりましたの。一緒に戦いましょう!
ルガルガン「ワォォンッ!」グワァァッ
しんのすけ「マサオくんっ! 男見せろーっ!!」
――マサオさん、素敵よ!
プッツ-ン
ヨワシ『――ッッ!!』カッ
ルガルガン「ワンッ?!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ヌイコグマ「な……なに?!」
リーリエ「マサオさんが一瞬光ったと思ったら――これは地震ですか?!」
しんのすけ「進化?」
フクスロー『いや、違うよ。これは……!』
ライチ「まさか……!」
~その頃、せせらぎの丘にて~
ポチャン
スイレン(しんのすけさんとハウさんは、そろそろライチさんと戦っている頃でしょうか)
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
スイレン「……!」ピクッ
ザザザザザザッ!!
スイレン「ヨワシたちが――!」
スイレン(この島のどこかで、誰かが群れを率いる力を得たヨワシが出てきたのでしょうか? でも、誰が?)
スイレン(まさか……!)
~場所は戻って命の遺跡前~
ザザザザザッ
ヌイコグマ『なに……これ!?』
フクスロー『ヨワシの群れだ!』
リーリエ「マサオさんにどんどん集まっていきます!」
ズズズズズッ!!
しんのすけ「おおーっ!」
しんのすけたちの目の前には、大勢のヨワシの群れに囲まれて、ひとつのポケモンの姿となったマサオの姿があった!
ヨワシ(群れた姿)『ぶ っ 飛 ば す ぜ ベ イ ベ ェ ! ! !』
ライチ「このタイミングで、ヨワシに群れが集まるなんて……!」
リーリエ「本で読んだことがありますが……初めて見ました! 大迫力ですっ!」
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
ヨワシ『うりゃあ!』ドッ!!
群れたマサオの口から、ハイドロポンプクラスの威力が伴った水鉄砲がルガルガンに襲いかかる!
ルガルガン「ワ、ワンッ?!」
しんのすけ「マサオくん! オラと一緒にZワザ行くゾ!」
ヨワシ『おうよ!』
バッ バッ プリッ プリィ~プリィ~ バァーン!
マサオは Zパワーを 身体に まとった!
マサオが 解き放つ
全力の Zワザ!
ス ー パ ー ア ク ア ト ル ネ ー ド !
しんのすけ「マサオくん! ファイヤーッ!」
Zパワーを得たマサオを中心に、水が次々と溢れ出て、ルガルガンを水中に引きずり込む!
ヨワシ『派手に行くぜ! イェーイ!』
そしてマサオがひとつの水の流れとなってルガルガンに突進すると、巨大な水の渦となってルガルガンを巻き込む!
ゴゴゴゴゴ!!!
ルガルガン「ワ、ワンワンワンッ!」ドカドカドカドカッ!!!
バシャッ シュウウウ
ヨワシ(単)『……ハァ、ハァ』
ルガルガン「」ピクッピクッ
リーリエ「」ポカーン
ライチ「……」
ライチ「すてき、ね」フゥ
ヨワシ(単)『ぼ、ぼく……やったの?』
ヌイコグマ『うんっ! すごいわよマサオくん! 見直したわ!』
フクスロー『君はやれば出来るじゃないか!』
しんのすけ「さすがマサオくん、スイッチが切り替わるとホントすごいよね」
ヨワシ『え、えへへ……』テレテレ
ロトム図鑑「今晩の食卓に並べられる事態は免れたか……」
げ ん
こ つ
ヌイコグマ『いい加減にしなさいよこのブタ!』
ロトム図鑑「じょ、ジョークなのに……」
ライチ「今のヨワシのように、ゼンリョクを出し切ってこそ、更なる輝きを得るからね」
ライチ「あんたら最高だね!」ニコッ
しんのすけ「いやぁそれほどでもぉ」
ライチ「はい! いわタイプのZクリスタル……イワZを授けましょう!」
しんのすけは イワZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
大 試 練 達 成 !
ライチ「いわタイプのZパワー……引きだすのはこの動き――腰のひねりと、力強さがポイントだからよくみていて……」
バッ バッ ガシィン! ガシィン! ジャーン!
ライチ「…………」ニヤッ
しんのすけ&リーリエ「…………」ポカン
ロトム図鑑(あんなポーズ取ってるから結婚できないんだな)
ライチ「いい感じに使ってよ、いわタイプ……硬くて、ゴツくて、攻撃するのが得意……アタシとはあんまり似てないけど、かえって惹かれるんだよ」
しんのすけ「ギャップ萌えという奴ですな」
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
リーリエ「しんちゃんが大試練を達成できたことが、本当に嬉しそうですね」
ライチ「で、リーリエ。変なコト聞くかもしれないけど、トレーナーでもないアンタがどうして命の遺跡に?」
リーリエ「あっ、このコ……遠くからやってきたのです。元の住処に戻したいのですが、何もわかっていなくて……」
リーリエ「で、遺跡が気になるようですから、なにか手がかりになればと……」
ライチ「珍しいポケモンだね」チラッ
ライチ「カプ・テテフは守り神といえど、暴れたりもするポケモン。会おうとするなんて、彼らより強いポケモンぐらいよ」
ほしぐもちゃん「くう?」
ライチ「……まさかね」フフッ
ライチ「あんたらの旅がよき驚きであふれ、さらなる優しさに包まれるように」
しんのすけ「オラ、ライチおねいさんの優しさに包まれるのならそれで……」
ライチ「ふふっ、ありがとう」ナデナデ
ライチ「リーリエ、送るわ。トレーナーじゃないのにポケモンのためにがんばる人って好きだから、応援しないとね!」
しんのすけ「ええっ!? じゃあオラ、トレーナーやめます!」
フクスロー『こらこらこらーっ!!』
リーリエ「そういう意味での好きじゃないと思います……」
命の遺跡付近
テクテク
ハウ「わーライチさん! リリィタウンのハウです! 勝負させてー!」ダダダ!!
ライチ「あら、アンタはハラの孫ね」
しんのすけ「よ!」
ハウ「あーしんのすけー! 大試練が終わったのー?」
しんのすけ「まぁね」
ハウ「じゃー先にハノハノリゾートホテルに行っててー。おれも後で来るからってエーテル財団の緑の人に言っといてよ」
ライチ「エーテル財団……? なんの用だか分からないけど、いってらっしゃい、しんのすけ」
リーリエ「エッ……エーテル財団ですか……? あっ、あの、わたし、ハウさんの勝負もかふ見ていきます」ビクッ
リーリエ「ポケモンさんがキズつくのは苦手ですけれど……しんちゃんやハウさんのポケモンさん、ひたむきですから……」
しんのすけ「えー? おねいさん、来ないの?」
ライチ「ハウの大試練しなくちゃいけないからね。大丈夫、しんのすけ達がこの島を出るときには見送りに行くから」
しんのすけ「ほっほーい」
ハウ「じいちゃんみたいにおれ、強くないけどーニャヒートたちのいいところ、引きだすー!」
ライチ「ハウはハウでしょ。しまキングハラさんの孫とか関係なしに、ハウたちのゼンリョクだしなよ」
しんのすけ「じゃ、そゆことでー!」タタタッ
ライチ「空間研究所の先にある橋を渡ればハノハノリゾートよ! 気をつけてね!」
誤字があったので修正
リーリエ「エッ……エーテル財団ですか……? あっ、あの、わたし、ハウさんの勝負も見ていきます」ビクッ
ハノハノリゾート ホテル
しんのすけ「でけー」
ロトム図鑑「予約は一年先まで一杯。それも一泊だけでとてつもない値段がかかるそうだ」
しんのすけ「ま、オラんちには無縁の場所ですな」
???「お待ちしておりました」
しんのすけ「あんた誰?」
???「いやいや、これは失礼。あいさつが遅れました。わたし、ザオボーと言います」
しんのすけ「ああ、ヨシりんとミッチーコンビに困らされていた、ヘンなグラサンかけてたおじさんか!」
ザオボー「ヘンなグラサンは余計です」
ザオボー「以前、あなたに素晴らしいものをお見せすると言いましたよね? その素晴らしいものとは……エーテルパラダイス!!」
しんのすけ「パラダイス?」
ザオボー「そう、エーテルパラダイスとは、アローラの海に浮かぶ楽園! ポケモンを保護するための人工の島!」
ザオボー「わたしが約束を守る大人だと証明するために、エーテルパラダイスに来ますよね!?」
しんのすけ「…………」
~しんのすけの妄想~
おねいさんA「エーテルパラダイスにようこそ!」
おねいさんB「ディグダの穴では私たちを助けてくれてありがとう!」
おねいさんC「お礼に高い高いしてあげる!」
しんのすけ「おーーーーーっ!」
しんのすけ「行きます行きます!」ギンギンッ
ザオボー「ええ! ええ! お乗りください。エーテルパラダイスはすごいですよ」
しんのすけ(あれ? でもエーテルってどっかで聞いたことあるよーな)
ダダダッ
ハウ「待ってー! おれも連れてってー!」
しんのすけ「ハウくん早っ! それにライチおねいさんとハカセも」
ザオボー「あら? しまクイーンのライチさんまでお見送りとは」
ライチ「島巡りをするトレーナーは、しまクイーンにとってかわいい子供みたいな存在だからね。……結婚したことないけどさ」
しんのすけ「だぁからオラが貰ってあげるってー」
ライチ「ふふっ、15年待ってくれるならね」
ライチ「いいかいふたりとも、競う相手は、自分自身。ともに歩むのは、ポケモンだよ」
しんのすけ「オラ、今後の人生はライチおねいさんと歩いていきたいと思いますぅ」
ライチ「そのセリフ、15年たったらもう一度聞かせてよ。そうしたらライチさんも、その気持ち、ゼンリョクで応えてあげるからさ」
ハウ「博士はー?」
ククイ博士「ボクにはやるべきことがたくさんあるからね! ボクの代わりに、すごいといわれる財団のテクノロジーを見てきてよ」
ククイ博士「うーん……そうだな! 今度は次の島……ウラウラ島のマリエ庭園で会おうぜ!」
ハウ「うん! さよならーアーカラ島ー! なんかあれば、また戻ってくればいいだけだもんねー」
ザオボー「それでは、しばしのあいだ、船旅をお楽しみください。……連絡船ですけどね」
しんのすけ「機内食とか出る? 指名料取られる?」
ザオボー「出ませんし何を指名するんですか……」
…… …… ……
【アーカラ島→エーテルパラダイス】
…… …… ……
エーテルパラダイス 船着場
ザオボー「さあさ、おふたりさま。エーテルパラダイスでございます」
ザオボー「エーテルパラダイスはポケモンを保護するため、最新の技術をつぎこんでいるわけなのです。地下ではポケモン保護のために、新しいモンスターボールを開発していたりもします!」
ザオボー「……もっとも、エーテルパラダイスではモンスターボールは使えませんがね。ボールの捕獲機能を封じる、妨害電波を出しておりますよ」
ロトム図鑑「ホントだ、ポケチューブが見れない」
ザオボー「ネットもセキュリティの都合で遮断しております。特定の回線しか使えませんよ」
しんのすけ「…………」ガックリ
ハウ「どうしたのー? しんのすけー」
ザオボー「おやおや、船旅で酔われましたかな? 医務室へお連れしましょうか?」
しんのすけ「ううん、オラのそーぞーしてたパラダイスとゼンゼン違ってたから……」
ザオボー「????」
ウィーン ガシャンッ
???「ザオボーさん」
しんのすけ「!」ピクッ
ザオボー「ちょっとちょっと! わたしのことは名前ではなく、肩書きでお呼びなさい!すごさを伝えてほしいのです!」
???「はい、支部長……」
しんのすけ「へいへいおねいさん! オラと一緒に愛のパラダイスを築き上げませんか?」
???「え? え?」キョトン
ザオボー「こらこら、大人同士の会話を邪魔しちゃいけませんよ」
しんのすけ「おじさんもオラとおねいさんの会話を邪魔しちゃいけませんよ」
ハウ「あれー? しんのすけってライチさんと結婚するんじゃなかったのー?」
しんのすけ「ライチおねいさんはライチおねいさんだもん」
ハウ「都合のいい考え方してるなー」
ザオボー「ちょうどいいです。わたしはアーカラ島でのポケモン保護について、代表にアッピールしてきます。そのコたちを案内しつつ、代表のもとにお連れしなさい」
テクテク ガシャッ ウィーン
???「ふう……」
クルッ
ビッケ「ようこそ、しんのすけさん、ハウさん、わたしはビッケです」ニコッ
しんのすけ「えへえへぇ、初めましてオラ野原しんのすけ5歳……あれ?」
ハウ「ってなんでなんでーおれたちのこと知ってるのー?」
ビッケ「ええ、アローラでのこと、しんのすけさんのお父さんに教わりました。ハウさんも、ポケモン保護のお手伝いをなされたとか」
しんのすけ「オラのとーちゃん知ってるの?」
ビッケ「はい、彼は――」
ひろし「よう、お前たちもここに来たのか!」
しんのすけ「あれっ? とーちゃん!?」
ロトム図鑑「別名、あきりきたりの顔の男」
ハウ「あ、そっかー。おじさんもエーテル財団のお仕事してたんだっけー」
ひろし「お前、ビッケさんに失礼なことしてないだろうなぁ?」
しんのすけ「まーさーかー」
しんのすけ「ハッ、もしかしてビッケおねいさんはとーちゃんの不倫相手!?」
ひろし「バカっ! 違うよ! ビッケさんは俺の上司だよ!」
しんのすけ「ほうほーう……」ジロー
ビッケ「しんのすけさん、大丈夫ですよ。野原さんとは、あくまで上司と部下の関係で、それ以上はなにもありませんから」ニコニコ
ひろし「そうだよ、まったく……」
しんのすけ「でも、ビッケおねいさんが新しいママならいいかも」
ひろし「こらっ!」
ひろし(しんのすけに同感だけど)
ビッケ「あはは……それでは上のエントランスにまいりますね」
ビッケ「ポチッとな!」ポチッ
しんのすけ「上にまいりまーす」
エーテルパラダイス エントランス
ひろし「ここはエントランスだ。この先にある受付で、ポケモンを元気にできるんだ」
ビッケ「しんのすけさん、ハウさん、島巡りで試練をこなし、チャンピオンを目指すということは、11歳なんですね」
しんのすけ「オラは5歳だよー」
ハウ「11歳になるとー望めば島巡りに挑めるんだー! しんのすけは例外だけどー」
ハウ「いつか本気のじーちゃん倒したいけど、強すぎるからなー!」
しんのすけ「オラ、おねいさんたちにキャーキャー言われたくて島巡りしてますぅ」
ひろし「お前、そんな理由で島巡りしてるのかよ……」
ハウ「しんのすけらしいっちゃらしいけどねー」
ビッケ「そう……ですよね。ハウさんぐらいになれば自分の考えで行動しますよね。なんといっても、トレーナーはポケモンの親、ですものね」
しんのすけ&ひろし&ハウ「????」
ビッケ「ではみなさん、上の保護区に参りますね。ぽちっとな!」
エーテルパラダイス 2F保護区
サニーゴ! ヘアッ!
ビッケ「エーテルパラダイスでは、ポケモン保護のためモンスターボールの使用を禁止しております」
ハウ「保護区ー!」
しんのすけ「家の中なのに木とか水とかあるね」
ひろし「ま、保護区だからな。ポケモンにとって過ごしやすいように工夫しているのさ」
ビッケ「ここでは、スカル団に襲われたポケモンをかくまったり――守るべきポケモン、例えばサニーゴですね。ドヒドイデというポケモンに襲われて大変なのです」
ビッケ「わたしのポケモン図鑑を読みますね」
ドヒドイデ
12本の足で 海底を はう
ドヒドイデの はったあとには サニーゴのカスが 散らばっている
ハウ「自然には厳しい一面もあるって、じーちゃん言ってたしなー」
ハウ「でもさ、エーテル財団で全てのポケモン守れるのー?」
ひろし「鋭い指摘だな、ハウくん。ここで働いている身で言うのもなんだけど、全てのポケモンを守りきるっていうのは難しいことなんだよ。必ず、どこかでほころびが出ちゃうもんなんだ」
ビッケ「そうですね、自然のバランスもありますし。人がどこまで関わるのか、難しい問題ではありますね」
ロトム図鑑「私が保護されたら、ハノハノリゾートのスイートルームクラスの待遇にして欲しいものだな」
しんのすけ「いいなあ、オラも」
ひろし「お前らは保護されるような心配はないだろ」
ハウ「エーテル財団すごいー。でね、思ったんだけど、どうしてアローラ地方に来たのー!?」
ビッケ「さあ……? 代表はなにをお考えなのか、わかりにくい方ですから。代表のルザミーネでしたら、保護区にいらっしゃいますから是非お会いになってください」
ひろし「くれぐれも失礼の無いようにな」
しんのすけ「ルミザーネって人、どこにいるんだろ?」
ひろし「ルザミーネさんだ。あそこにいる、ポケモンに囲まれた金髪の人がそうだよ」
???「愛おしいポケモンたち……わたくしが守ってあげます。深い、深い愛で……」
しんのすけ「ほっほーい! ルミザーネさーん」
ひろし「バカっ、ルザミーネさんだ!」
???「おや?」
ひろし「あ、どうも、代表」
ビッケ「代表、お連れいたしました。この子がしんのすけ君で、こちらの子がハウくんです」
ルザミーネ「しんのすけくんに、ハウくんね。エーテル財団の島、エーテルパラダイスへようこそ」
ルザミーネ「わたくし、代表のルザミーネ。お会いできて、うれしいの」
ルザミーネ「あなたたちのように、島巡りでポケモンと知りあう人もいれば、身勝手な理由で、ポケモンを傷つけたりお金もうけをする、残念な人たちもいる……」
ルザミーネ「ですから、わたくしがかわいそうなポケモンたちの母となり、愛情を注ぎ込むのです。アローラから遠く離れた世界にいるポケモンにもわたくしが愛してあげるの」
しんのすけ「いやーオラもかーちゃんより、おねいさんのママになって愛情を注がれたいですぅ」
ひろし「こらっ」
ルザミーネ「うふふ、あなたみたいな素直なコ、私好きなの。でもその服、ちょっと地味だから、今度ぴったりな服を一緒に選んであげる」
しんのすけ「はい! 喜んで!」
ルザミーネ「あらあら、かわいい」ナデナデ
ひろし「ぐぬぬ……うらやましいぞ、しんのすけ」
ハウ(なるほどーしんのすけはおじさん似なんだなー)
ロトム図鑑「血筋か……」
ルザミーネ「でもね、しんのすけくん。私はもう40を越えてますのよ? おねえさんなんて歳じゃないわ」
しんのすけ「あはーえへえへ……え?」
しんのすけ&ひろし&ハウ&ロトム図鑑「ええーーーーっ!」
しんのすけ「嘘だ……かあちゃんより若く見えるのに」
ひろし「あぁ……現代のアンチエイジングってここまで進んでるのか」
ロトム図鑑「そうか、彼女は毎日あおいポロックを山盛り食っているのだな」
ひろし「んなわけねーだろ!」
しんのすけ「ところで、おねいさんってオラのお友達に似てるね」
ハウ「あー、そういえば似てるよねー」
ルザミーネ「ふうん? 誰かしら?」
ハウ「リーリエって言うんだー。ルザミーネさんみたいに金色のながーい髪の女の子なんだよー」
ルザミーネ&ビッケ「!」
ひろし「へぇー」
しんのすけ「方向音痴で困った子でしてな。全く、親の顔が見てみたいですぞ」
ルザミーネ「ふふふ……それよりしんのすけ君。あなたはまだ幼いからいいこと教えてあげる」
しんのすけ「なになに? おねいさんの電話番号? メアド?」
ひろし「おいおい……」
ルザミーネ「すべて、わたくしに任せればいいの。子供は大人の言うとおり……それが、幸せの近道です。だからしんのすけ君も、わたくしやひろしさんのような大人の言うことに従いなさい」
しんのすけ「いやァいいこと聞きました! オラ、ルザミーネおねいさんの言うことならなんでも聞いちゃいますぅ」
ルザミーネ「しんのすけ君は本当に素直でいい子ね……。あの子達に見習わせたいくらい」ナデナデ
しんのすけ「えへへー40越えててもいいや、もっとなでてぇ」
ハウ「なんでも聞くのっておねいさんだけでしょー」
ズズズンッ!!
ハウ「うえっ?」
ひろし「な、なんだ? 今の揺れ?」キョロキョロ
ビッケ「今の揺れ……地下から……でしょうか」
しんのすけ「ねぇ、あれなに?」
ルザミーネ「え――?」
しんのすけが指さし、みんなが一斉に視線を集中させた場所。
その場所の空間が歪み、不思議な穴が開いていた。
ブゥゥゥン……!
その穴の中から、光が溢れると同時に、『なにか』が出てきた……!
ズズズズ……
???「…………」フヨフヨ
ハウ「なにあれー!?」
ジュルルルルッ
ひろし「あれは……ポケモン、なのか?」
???「…………」フヨフヨ
ルザミーネ「あなたは……」
???「じぇるるっぷ……」
しんのすけ「メノクラゲみたーい」
ハウ「そんなのんきなこと言ってる場合じゃないよー! ルザミーネさんもさがろー! なんか普通じゃないよー!」
ルザミーネ「…………」
ルザミーネ「……かわいそうに」
ハウ「しんのすけー! あいつの相手頼める? おれ、ルザミーネさん守るからさー」
ひろし「お、おいっ、それこそ危ないんじゃないのか? 誰か他の職員呼んで――」
ハウ「そんなことしてる間に襲われちゃうよー! それともおじさん、ポケモン持ってんのー?」
ひろし「うっ……」
しんのすけ「とーちゃんのポケモン、トレーナーやめちゃったあと、実家に置いてきちゃったんだ。ま、ここはオラにまっかせなさい!」スッ
ひろし「しんのすけ、気をつけろよ!」
???「じぇるるっぷ……!!」ゴウッ
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『なんだあのポケモン……? 人間の女の子に見えるけど……』バサバサッ
???「じぇるるっ!」バッ
バシャッ
フクスロー『うわっ! 毒の攻撃か!?』サッ
ハウ「じゃああいつ、どくタイプのポケモンなのかー?」
フクスロー(それだけじゃない、あいつの纏ってるオーラは僕らが今まで戦ってきたぬしポケモンと同じものだ! どうなってるんだ?)
ズズズズ……
???「じぇるるっぷ……」スゥー
ひろし「こ、今度はなんだ?」
ブゥゥゥン
謎の生き物の姿が透けていくと同時に、穴も次第に小さくなっていき、やがて消えてしまった。
ハウ「消えちゃった……」
フクスロー『なんなんだ、あのポケモン……』
しんのすけ「世にも奇妙なポケモンですな」
ルザミーネ「……やはりあのコが必要ね。連れ去られた あのコが……」
ハウ「ん? ルザミーネさんなにー?」
ルザミーネ「今のはきっと、ウルトラビースト……ウルトラホールと言われる、定かでない次元の生き物……」ニィッ
ひろし「じゃああれが噂の……! つまり、別の世界のポケモンってところか」
ルザミーネ「あの時と同じ……見知らぬ場所に来て、苦しんで……そうみえたわ。そう! わたくしが助けて、深く深く、愛してあげないと」ギンッ
ルザミーネ「皆さん……丁重な対応、感謝いたしますわ」
しんのすけ「オラなんもしてないけどね」エッヘン
ひろし「威張るなよ……」
ルザミーネ「ビッケ、ひろし、お二人は島巡りの途中でしたよね。次の島までお送りしなさい」
ビッケ「あっ、はい……!」
ルザミーネ「わたくしは、保護している愛しいポケモンたちがみんな無事なのか、見ます。あと、地下でなにがあったのか、ザオボーにも聞かないとね」
ルザミーネ「それと……わたくしのエーテル財団で、ウルトラビーストを保護できるよう、準備を進めないといけません」
ひろし「じゃあ、ウラウラ島まで送ってくぜ」
しんのすけ「おねいさん! またねー」フリフリ
ルザミーネ「ふふっ、そうね、いつかまた会いましょう……しんのすけ君」フリフリ
ガシャン ウィーン
エーテルパラダイス 船着場
ハウ「まさかウルトラホールを見るなんて思わなかったー! 今度、バーネット博士に教えてあげよーっと!!」
ビッケ「アクシデントといっていいのか言葉に迷うところですが、そう言ってもらえてよかったです」
ビッケ「出会いを感謝して、記念にこれをお持ちください。マラサダですが……」
しんのすけ「オラ、おねいさんのお気持ちさえあればあとは要りません」キリッ
ハウ「じゃあおれ貰っちゃうねー」
ひろし「しんのすけ、頑張ったな。とーちゃんからご褒美だ」つ わざマシン90
しんのすけ「えーまたわざマシンー?」
ひろし「いらないのか? じゃあ俺が貰っちまうぞー?」
しんのすけ「あーんいるいるー!」
ビッケ「あなたたちの島巡りが、ステキなものでありますように……」
ハウ「うん! ビッケさんありがとー!!」
しんのすけ「オラ、またビッケさんとルザミーネさんに会いにこっちに来ようかなー」
ひろし「また今度な、勝手に来て迷惑かけちゃダメだぞ」
しんのすけ「とーちゃんもうっかり浮気しないようにね」
ロトム図鑑「スクープ写真はいつでも撮れるからな……」
ひろし「するかっ!」
連絡船
ハウ「はあーまだドキドキしてるよー。ウルトラホールとかビーストってホントなんだー! 世界広すぎー!」
ハウ「きっと次の島も、ワクワクドキドキでいっぱいだねー!」
しんのすけ「オラもビッケとルザミーネのおねいさんに出会えてドキがムネムネ~来てよかったー!」
ハウ「こりゃ、腹ごしらえをしておかないとだねー!」モグモグ
ハウ「ねーねーマラサダ食べるー?」
しんのすけ「おーありがとござますぅ」
しんのすけ「んーネネちゃんのママみたいにしつこいお味―」モグモグ
ハウ「そういえばさー、カバンにつけてるそのバッジってー」
しんのすけ「これ?」つカスカベ防衛隊バッジ
ハウ「ずっと気になったんだけど、それってなんのマークなのー?」
しんのすけ「カスカベ地方を守る、カスカベ防衛隊のマークだゾ。オラのお友達からもらったの。これを持ってると、いつでもどこでもカスカベ防衛隊なんだ」
ハウ「へぇーカスカベ地方って、しんのすけがこっちに来る前に住んでたところだよねー? おれ、カスカベ地方ってどんなところなのか気になってたんだー教えてよー」
しんのすけ「いいよー。オラが住んでたカスカベ地方はねー……」
【アーカラ島編 おしまい】
今日はここまで。
次回の更新は明日の夜です。
じゃ、そゆことで~
【おまけ】
しんのすけ「マサオくん、たくさんのヨワシくんと群れると強くなるんだねえ」
ヨワシ『まあね、僕たちはもともと群れで行動しているから』
フクスロー『スイレンさんが言うには、みずでっぽうでもハイドロポンプクラスの威力になるみたいだね』
ヌイコグマ『でも一番の変わりっぷりはアンタの性格よ。一体なにが起きたの?』
ヨワシ『僕でもよく分からないんだ。なんていうか、目の前が真っ白になったっていうか……』
しんのすけ「ますますカスカベのマサオくんっぽいな」
ヌイコグマ『ねぇマサオくん、群れた姿って、必ずあのでかい魚のようになるの?』
ヨワシ『え? どういうこと?』
ヌイコグマ『朴念仁ねえ、群れているときの姿形もマサオくん次第で変えられるんじゃない? って言ってるの』
ヨワシ『どうかな? 試したことないし』
フクスロー『でも、悪くない案だと思うよ? 姿形を変化させて戦えば、戦略の幅も広がるだろうし』
ヌイコグマ『もしできるなら、ピッピみたいな形に群れてみてよ! デカさとキュートさで勝負するっていうのもありじゃない?』
しんのすけ「じゃあオラ、カンタムがいい! マサオくん、カンタムの姿になってよー!」
ヨワシ『か、簡単に言わないでよ……』
…… …… ……
【ウラウラ島編】
…… …… ……
ウラウラ島
マリエシティ
ハウ「あらよっと! わーい! 上陸ー!!」タッタッタッ
しんのすけ「ハウくんは今日もお元気ですなぁ」
ハウ「ウラウラ島ってーまた雰囲気が違うねー! ポケモンたちにも新しい空気吸わせたいなー」
しんのすけ「フゥーハァーフゥーハァー……んー、これは中古の空気ですな」
ロトム図鑑「大人の色気がムンムン……」
ハウ「あははー、そういう事じゃないよー」
ハウ「ところでー、さっきのカスカベ防衛隊っていいよねー『カスカベ防衛隊! ファイヤー!』っていう掛け声とかさー。まるでテレビのヒーローみたいー」
しんのすけ「お? このセンス分かる?」
ハウ「おれも真似してみようかなー『アローラ防衛隊』とかさー」
しんのすけ「オラたちのアイデア、パクっちゃダメ!」
ハウ「いいじゃんいいじゃんー。となるとメンバーだよなー。カスカベ防衛隊は5人だったんでしょー? リーリエに博士に、おれとしんのすけーあと1人誰にしようかなー」
しんのすけ「んもぅワガママなんだから、隊長はオラね」
ロトム図鑑「何を言う、私に決まっているだろ」
ハウ「博士と言えばー、こっちに来たら博士に会うんだよねー! たしかマリエ庭園だっけー」
しんのすけ「マリエ庭園って、ぞうきんみたいなにおいがするポケモンがいる帝国……」
ハウ「それはマリル帝国だよー」
ハウ「でも、なんでマリエ庭園なんだろー? まあ行けばわかるさ! だよねー」
ウラウラ島 マリエ庭園
ククイ博士「……おっ、来たね!」
ハウ「あーククイ博士ー!」
しんのすけ「ハカセー! 10年ぶりにあー痛かったよー!」タタッ
ククイ博士「なんだい二人とも、いい顔しているな。すごいことでもあったのかい?」
しんのすけ「いやぁビッケおねいさんにルザミーネおねいさんと、オラにとってパラダイスでしたよー」
ハウ「あのね! 博士あのねー! ウルトラホールが開いたよー! でーウルトラビーストがホントにいたんだよー! バーネット博士に教えてあげてー」
ククイ博士「すごいね! ウルトラホールに、ウルトラビーストだって? よーし、それじゃあなおのこと、島巡りで鍛えておかないとね! いつかウルトラホールの先に行けるようになるかもしれないしね!」
しんのすけ(無視された)ムスー
ククイ博士「よし! 次の試練はホクラニ岳のてっぺん! バスで行くからね。10番道路のバス停においでよ」
ハウ「博士ーお先にどうぞー! マラサダショップに寄るのが、おれなりの島巡りなのー!」
ククイ博士「なるほど、わかった! じゃあしんのすけ、バス停で待ってるぜ!!」
しんのすけ「シャワーは?」クネ
ククイ博士「浴びなくていいよ」
テクテク
ハウ「しんのすけー知ってるー?」
しんのすけ「ビッケおねいさんのスリーサイズ?」
ロトム図鑑「もしくは働かなくても贅沢に暮らせる方法か?」
ハウ「ちがうよー! ホラクニ岳には、天文台があるんだよー! おれ、天文台がなんなのかちっとも分かってないけどー」
しんのすけ「ふ、ハウくんも勉強不足ですなぁ。てんもんだいって言うのはね……」
ハウ「外国語で10の問題って言うつもりかなー?」ニコニコ
しんのすけ「うっ、ハウくん鋭い……」
ハウ「おれもしんのすけと一緒にいてコツ掴んだからねー!」ムフー
ハウ「じゃーねー!」
しんのすけ「オシッコのあとのインドぞうさんはよく振るのよー」フリフリ
マリエシティ 街道
しんのすけ「みーてみたいーなホンキだしたカビゴン~」
リーリエ「あ、しんちゃん……」
しんのすけ「お? リーリエちゃん、3ヶ月ぶりー」
ロトム図鑑「老けたか?」
リーリエ「老けてません! 命の遺跡で別れて数時間ぐらいしか経ってないですっ」
しんのすけ「会ってそうそうツッコミごくろーさん」
リーリエ「それより、よろしいですか?」
しんのすけ「なにを? おデート?」
ロトム図鑑「ルチアのライブに連れてってくれるのか?」
リーリエ「違います……ほしぐもちゃんをこの島の遺跡に連れて行きたいのです」
ほしぐもちゃん「ぴゅい!」
しんのすけ「行けばいいじゃん」
リーリエ「それがウラウラの遺跡は砂漠の奥にあって……無理は言えないのです」
リーリエ「今、行こうとしているのはマリエ図書館なのです」
しんのすけ「……で?」
リーリエ「いっしょに本を探してほしいのです。マリエ図書館ですけれど、マリエの街中にありますから、わたしにも辿り着けるはずです!」クルッ
しんのすけ「えー疲れるからいいやー」
ロトム図鑑「行ってやれ、ああやって威張ってるけどまた迷うぞ」ボソッ
リーリエ「聞こえてますよ……!」
そして街道を歩いていると……。
???「おや、君が持っているその図鑑は……?」
しんのすけ「お?」
ロトム図鑑「その声は……」
しんのすけ「おおっ、ガングロのオーキド博士!」
???「やあやあはじめまして、わたしはナリヤ・オーキド。リージョンフォームを調べておるポケモン研究家です」
オーキド「君がしんのすけくんだね! ククイくんから聞いておるよ」
しんのすけ「ハカセはなんでガングロになったの? やさぐれたから?」
オーキド「長いこと、アローラにいたら、自然とこんなふうになったのです」
オーキド「ロトム。図鑑の中の居心地はどうかな?」
ロトム図鑑「もう少し快適にして欲しいところだな。サーナイトやミミロップのサービスが欲しい」
オーキド「多く求めすぎです!」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんとお知り合い?」
ロトム図鑑「少し、な」
オーキド「ほうほう、ぶりぶりざえもんと呼んでおるのですか。ロトム図鑑のパーツが完成する前、私のところにいた時期があったのですよ」
オーキド「ところで、ロトム図鑑の方はどうかの? 裏切ったり救い料とか求められたかの?」ボソボソ
しんのすけ「まぁね、でも扱いは手馴れてますからー」ボソボソ
オーキド「それは心強い限りですな。私らも最初、国際警察から引き取った時は手を焼きましたからな――」ボソボソ
しんのすけ「けーさつ?」
オーキド「あぁ、こっちの話です」
ロトム図鑑「私の話題で勝手に盛り上がるな、バカ者どもが!」
オーキド「……しんのすけ君、このロトムを頼みますぞ。カロスの発明少年も、生みの親の一人として、気にかけておるからな」
しんのすけ「ひょっとしておじさん、オラに押しつけてなーい?」
オーキド「うっ……正直に言うと、本当に参ってのう。君みたいな子がいてくれて助かりました」
しんのすけ「ま、お気持ちはわかりますから」
オーキド「ふむ……わたしはこの街にいますから、何か困ったことがあれば会いに来ておくれ。歓迎しますぞ」
しんのすけ「あ、そーだ。じゃあ図書館ってどこか知ってる?」
オーキド「図書館には、地面の黒い丸、黒い三角、黒い四角の記号が描かれたタイルを順に辿ると到着できますぞ」
しんのすけ「ありがとうございわぱれすはなんえるでぃーけー」トタトタ
ロトム図鑑「さらばだ、博士。アップデートに期待しているからな」
オーキド「二人とも気をつけてな! 島巡りを楽しんでいってくれ」フリフリ
オーキド(……しんのすけ君にぶりぶりざえもんと呼ばれたあのロトム、ユキナリと国際警察が言うには少々特殊な生まれのロトムと聞いたが……いったい何者なのか――)
マリエ図書館前
しんのすけ「リーリエちゃん遅いなぁ。またどこかで迷ってるのかしら」
ロトム図鑑「もしくはフードファイトをしているとか」
リーリエ「しんちゃん……ごめんなさい、待たせましたか?」
しんのすけ「うん、おケツを伸ばして待ってました」
ロトム図鑑「それを言うならインドぞうさんを長くして、だ」
リーリエ「首を長くして、です……。あなたたちにデリカシーはないんですか……?」
しんのすけ「そんなことより、その紙袋は?」
リーリエ「えっ? その……迷ってたときに……つい、ふらふらとブティックに入ってしまい……最後の一着と言われ、つい服を買ってしまいました……気合を入れないと、着れそうもない服ですが……」
しんのすけ「ほほーう? オラたちが待ってる間にお洋服を買ってたのですか。それも、気合を入れないと着れそうもない服なんて買って」ジロッ
リーリエ「うっ……」
ロトム図鑑「どう責任をとらせたものか……」
リーリエ「で、でも店員さんからマリエ図書館の場所を教わったからいいですよね?」アセアセ
しんのす「すぐ近くにお店あるけど」
リーリエ「うっ……!」
しんのすけ「どうしてやりやしょうか、親分」ジリジリ
ロトム図鑑「どうしてやろうか、子分」ジリジリ
リーリエ「えっと……あの……」
パカラッパカラッ
バンバドロ「ヒヒウン!」
リーリエ「ひえっ!?」ビクッ
ロトム図鑑「ブキッ! 火事か地震か!? それともきんのたまおやじか?」
しんのすけ「おおっ、バ バンババンバンバン」
???「バンバドロじゃ、バンバしか合っとらんじゃろうが」テクテク
ロトム図鑑「貴様は……」
ハプウ「久しいのう、しんのすけ」
しんのすけ「ハプウちゃん、おっひさー」
ハプウ「ここにいるということは、アーカラ島の大試練は達成したようじゃな。きっと、カプも喜んでるであろう」
しんのすけ「まぁね、マサオくんが大活躍しましたから」
ハプウ「マサオ? ……ああ、あのヨワシか。そうか、それは喜ばしい限りじゃ」
ハプウ「で、しんのすけ、そちらは?」
リーリエ「あ、はい……わたしはリーリエと申します」ペコリ
しんのすけ「実は方向音痴なんです」
リーリエ「ほっといてください!」
ハプウ「先程はバンバドロが驚かせてすまなかったな。どうやら島巡りではないようだが、何を?」
リーリエ「あの、訳がありまして……遺跡を調べたりしています」
ハプウ「ほう、感心じゃな。では、どこかに行きたいときは案内してやろう。わらわのバンバドロは特別力自慢でな、2人乗りでも大丈夫」
しんのすけ「じゃあ100人は乗れる?」
ハプウ「わらわのバンバドロはどこぞの会社の物置か……」
ハプウ「ま、しばらくこの街にいるから、用事が終わったら話しかけてくれ。案内しようぞ」
リーリエ「はいっ、ありがとうございます」ペコリ
しんのすけ「ハプウちゃんを見つけられたらね……」ボソッ
リーリエ「何か言いましたか?」
しんのすけ「なにもー? さ、いこいこー」テクテク
ハプウ(仲睦まじいのう)
マリエ図書館
リーリエ「探しているのは古い本なのです。バーネット博士に教わった伝説が書かれた本……。なんでも、アローラの伝説のポケモンは、別の世界からやってきていたとのことです……」
しんのすけ「別の世界? んーどっかで聞いたよーな」
しんのすけ「まぁオラも別の世界に行ったことあるけどね」エッヘン
リーリエ「そうですか。それより本は二階にあるのでしょうか?」テクテク
しんのすけ(また無視された……)ズーン
ロトム図鑑「さっきのあてつけか……」
~図書館2F~
リーリエ「貴重な本ですので、貸し出しているかわかりませんが……」
ロトム図鑑「マンガないかなマンガ」
しんのすけ「オラ、アクション仮面読みたーい」
???「これでしょ、ひらひらのお姉ちゃん」
リーリエ「え?」
???「読ませてあげる!」
リーリエ「ええ……わかりました」
リーリエ「ええと……『アローラの光』。では、読ませていただきますね」
なにもない 空
突如として 穴が開き
一匹の 獣 姿を みせる
月を 誘いし 獣と 呼ばれ
アローラの 王 敬う
月を 誘いし 獣
辺りを 暗く 染め
持てる すべての 力 放ち
島の守り神を 従える
月を 誘いし 獣
アローラの 王朝に
闇を もたらし
生を 終えた 命 導く
月の獣 太陽の獣
交わり 新たな 命 呼ぶ
島の守り神
命 見守ると する……
アローラの王朝
祭壇にて 二本の 笛を吹き
音色 捧げ
月の 獣 ルナアーラに
感謝の 気持ちを 表す
???「お父さんの本、おもしろいでしょ!!」
リーリエ「え? ええ……?」
しんのすけ「そうかな? 文字がいっぱいでなんかつまんなーい」ヒョコッ
???「君にはまだ難しいかもね、今度アセロラが読んで聞かせてあげる」
しんのすけ「別にいーや」
リーリエ「お父さんって……これ、相当古い本ですよね?」
アセロラ「うん、お父さん! アセロラ、こうみえて大昔すごかった一族の娘なの」
しんのすけ「なにしたのー? 自動車の創業?」
アセロラ「違うよ。アセロラ、大昔のアローラの王家の末裔なの」
リーリエ「そ、そうなんですか?」
アセロラ「よかったら、他にもアローラの伝説を教えてあげるよ! いっぱい知ってるから!」
リーリエ「ありがとうございます。わたし、こちらで……お話を聞いてますね。しんちゃんは試練ですね! 本で読みましたが、ウラウラ島の電気の試練は、10番道路からバスに乗って行くそうですよ」
しんのすけ「知ってるー。ハカセがそこで待ってるから」
アセロラ「試練……? あ、キミがカプ・コケコに選ばれたっていう、5歳の野原しんのすけくんね!」
しんのすけ「そうだよ、サイン欲しい?」
アセロラ「ハプウちゃんから話は聞いてたけど、うちにいる子供たちよりちっちゃーい!」ベタベタ
しんのすけ「いやん、ベタベタさわんないでよ、エッチ!」クネクネ
アセロラ「実はアセロラもキャプテンなんだよ! 電気の試練が終わったらまた会おうね!」
しんのすけ「ほいほい」
10番道路 バス停前
スカル団したっぱ1「いじっぱりのドラコ!」カーン!
したっぱ2「れいせいのおキン!」カーン!
したっぱ3「ひかえめのマミ!」カーン!
3人「三人合わせて、『スカル団黒ガバイト隊』!」
バァーーーン!!!
トレーナーA「」
トレーナーB「」
ヒソヒソ ナンダアレ
ドラコ「ふっ、あたいら3人にビビってるみたいだぜ」
おキン「リーダー、やっぱ恥ずかしいっすよ、これ」
マミ「せめて人目のないところでやって欲しい……」
しんのすけ「おおーーーっ!」パチパチパチ
ドラコ「あん?」
しんのすけ「そのポーズ、その掛け声、オラ、今モーレツに感激してる!」パチパチパチ
ドラコ「へへっ、ガキに感激されても嬉しくねぇっつーの」
おキン「逆に言うとガキにしか受けてねーと思う……」
しんのすけ「いやぁカスカベ地方でも似たようなお笑い芸人がいたけど、こっちにもいたなんて、オラうれしーゾ!」
ドラコ「お笑い芸人じゃねぇよ! いいか? あたいらはな、スカル団の中でも特に不良の三人衆! 泣く子も黙るスカル団黒ガバイト隊なんだよ! 覚えときな!」
マミ(覚えなくていい、改名したい……)
しんのすけ「オラのいたカスカベ地方にも、サイタマ紅さそり隊っていう、同じポーズを取ってる3人のお笑い芸人がいたよ。師匠たちお仲間?」
ドラコ「師匠って言うのやめろ!」
マミ「てゆうかリーダー、こいつ島巡りの子っスよ。バッグにいっちょまえに証なんかぶら下げてる」
しんのすけ「オラ、島巡りをしてる野原しんのすけ! ねぇねぇ、オラ師匠の弟子になりた~い!」
ドラコ「しんのすけ? ……そうか、お前がグラジオと姉御の言っていたじゃがいも小僧か」
しんのすけ「お? オラって有名?」
おキン「ああ、スカル団じゃ有名なんだよ。あたいらに盾突く生意気なじゃがいも小僧だってな」
しんのすけ「あー、師匠たち、スケスケおパンツ団の人たちだったのかー。どおりでどこかで見たような衣装してるもんね」
おキン「スケスケおパンツ団じゃねーよ! スカル団だ!」
ドラコ「マミ、お前が行きな。ちょいと痛い目に合わせてやれ」
マミ「へいっ」
しんのすけ「もしオラが勝ったら、師匠の弟子にしてよー」
ドラコ「だからお笑い芸人じゃないっつーの!」
スカル団のしたっぱのマミ が
勝負を しかけてきた!
マミ「行きな、タツベイ」ヒョイッ
ポンッ!
タツベイ「ギャーッ!」
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴーッ!」ヒョイッ
ポンッ!
ヨワシ(群)『おうよ! 張り切って行くぜい!』
しんのすけ「おおっ、マサオくんいきなり強気……」
フクスロー(ボール)『ヨワシは一度群れを従えられるようになったら、そのまま群れと一緒にいるんだ』
しんのすけ「ほうほう」
おキン「む、群れたヨワシ?!」
マミ「リーダー、流石にこれは予想外っスよ!」
ドラコ「バカっ、黒ガバイト隊ならこんなものにビビってるんじゃねぇ! 気合で乗り切るんだ!」
しんのすけ「マサオくん、思いっきり行けーっ」
ヨワシ『派手にかますぜ! オラァ!』ドッ!
ドドドドド!!
タツベイ「ギッ?!!」
ザッパーン!
タツベイ「……」ピクピク
ヨワシ『やったぜぃ!』
しんのすけ「マサオくん、ごくろーさん」シュンッ
マリ「やっぱ相手が悪すぎるっスよ……」
しんのすけ「じゃ師匠、これからもよろしくお願いします」
ドラコ「だから師匠って言うな! くそっ、覚えてやがれ!」
おキン「師匠、落ち着けよ」
マリ「そうだよ、次リベンジすればいいじゃんか、師匠」
ドラコ「お前らも師匠って言うなああああ!」
スタコラスタコラサッサ!
ククイ博士「お? しんのすけ、走っていくスカル団とすれちがったよ!」
しんのすけ「いやいや、あの人たちはスケスケおパンツ団のお笑い芸人ですから」
ククイ博士「お笑い芸人? それはいいな! スカル団がアローラを笑いで包んでくれたら、もっと世の中もにほんばれのように明るくなるだろう!」
ククイ博士「ところで、周りがびしょ濡れだけど、しんのすけの仕業かい?」
しんのすけ「いえ! マサオくんのせいです」
ヨワシ(ボール)『ちょ、ちょっと~僕が悪いみたいな言い方やめてよ』
ククイ博士「マサオ? ひょっとしてリーリエが言っていたヨワシの事かな? それじゃいいことを教えてあげるよ!」
しんのすけ「なになに?」
ククイ博士「ヨワシは群れて力を合わせると、確かに強力な技が使えるんだ。だけど、相手からの攻撃で群れが散ってしまうと、技の威力もヨワシ単体のモノに戻っちゃうんだ。そこに気をつけるといいよ!」
しんのすけ「ほーい」
フクスロー(ボール)『ホントに聞いてるのか? 結構大事なことだぞ?』
ククイ博士「さて、ホクラニ岳山頂に行くなら、ここから出るバスがオススメだからね! スカイアッパーのような勢いで登っていけるぜ!!」
プップー
キキッ
しんのすけ「お、さっさと次の展開に移りたいからバスが来た!」
アナウンス『はいはいナッシーバス! 安全運転でぶっぱなしますよ! 乗って乗って!』
ククイ博士「さ、乗るよ! しんのすけ!」
しんのすけ「ほっほーい」
ホクラニ岳山頂
しんのすけ「おー高い高い」
ロトム図鑑「ここは……」
ククイ博士「ぉーい! しんのすけ、こっちだぜ!」フリフリ
しんのすけ「ハカセーここがアローラで一番高い山?」
ククイ博士「惜しいな! 2番目に高い山だ! では、一番高いのは……」
ククイ博士の指差す方向、そこには、夕陽に照らされた雪山のてっぺんが雲を突き抜けて姿を現していた。
ククイ博士「ごらんしんのすけ! 神々しさを感じる山があるだろ! アローラで一番高いラナキラマウンテンだぜ!」
しんのすけ「おおっ、かき氷みたいで美味しそう」
ククイ博士「食べちゃダメだぜ! 月の化身とされるアローラの伝説のポケモンに一番近い聖地! ラナキラマウンテンのてっぺん! あそこで島巡りの総仕上げである大大試練を受けるんだ」
しんのすけ「だいたい試練?」
ククイ博士「大大試練! しんのすけが全ての島の大試練を終えたら、あそこに登って最後の試練を受けるんだ。それを乗り越えることが出来れば、晴れて君は島巡りチャンピオンになれるんだ!」
しんのすけ「ほーほー」
ククイ博士「――なぁ、しんのすけ。僕には夢があるんだ」
しんのすけ「なーに?」
ククイ博士「ラナキラマウンテンのてっぺん! あそこにポケモンリーグを造ること!」
ククイ博士「過去に島巡りをこなしたものは、ラナキラマウンテンのてっぺんで大大試練を受け、島巡りチャンピオンとなった!」
ククイ博士「僕はアローラの昔からの風習を大事にしつつ、世界に通じるチャンピオンを生み出すため、あそこにポケモンリーグと! リーグを守る四天王を擁立させたいんだ!」
ククイ博士「島巡りチャンピオンから世界のチャンピオンに! そしてチャンピオンを通じ! 世界のみんなに、アローラのポケモンやトレーナーの魅力を知ってもらうんだ!!」
ククイ博士「……と、言っても、まだまだ先の話だけどね。四天王候補はいくつか挙がってるんだけど、別の地方に行って、四天王やジムリーダーのことに関する勉強をいっぱいしなきゃ――ってしんのすけ?」
しんのすけ「おねいさーん、オラと山ガールになりませんかー?」
ククイ博士「……やれやれ、しんのすけにはちょっとスケールが大きすぎて、想像しづらかったかな?」
ロトム図鑑「…………」
ククイ博士「どうしたんだい、ロトム――いや、ぶりぶりざえもん」
ロトム図鑑「違う! 私はレオナルド・ロトブリオだ!」
ククイ博士「わかったわかったよ、で、どうしたんだい? 夕陽なんか見て」
ロトム図鑑「この眺めを見ているとなんとなく何かを感じる……」
ククイ博士「なにか、とは?」
ロトム図鑑「さあな……。だが、ひとつだけかすかに思い出したことがある」
ロトム図鑑「私は大昔、誰かとインドぞうさんの大きさを比べていたような気がする。この景色を見ていると、それを思い起こさせる」
ククイ博士「そ、そうかい……」
ロトム図鑑「…………」
しんのすけ「ハカセー、ぶりぶりざえもーん、そろそろオラ試練受けにいきたーい!」テクテク
ククイ博士「ああ、そうだね。それじゃ、天文台まで案内するよ」
ロトム図鑑(この感じは……一体。私は……)
ホクラニ岳山頂 天文台前
ククイ博士「よお!」
???「あいかわらず熱いね、ロイヤルマスクくん!」
しんのすけ「誰? このちょっとオタクなメガネ君はキャプテン?」
ククイ博士「こーら、初対面の人にそういうこと言うんじゃない。しんのすけ、彼はマーレイン。天文台の所長にして、パソコンのボックス管理者だがキャプテンではないぜ」
マーレイン「気にしてないよ。それに、元キャプテンだよ、ロイヤルマスクくん」
マーレイン「しんのすけくんだね。わざわざ来てくれてありがとう」アクシュ
しんのすけ「行けと言われたので来ちゃいました」アクシュ
マーレイン「ただ、うちのキャプテンのマーマネは忙しくてね。その間、天文台の中を案内してあげよう」
しんのすけ「いいの?」
マーレイン「本当は君の資質も確かめたいところだけど、外でポケモン勝負をして、開発中の装置のアンテナを傷つけるわけにもいかないからね」
ククイ博士「まぁしんのすけは島巡りをしていた時の僕らより強いと思うぜ! あと、僕はククイであってロイヤルマスクじゃない!」
しんのすけ(バレバレだと思うけど)
ククイ博士「じゃあ僕はマリエ庭園に戻るよ。マラサダを食べ終えただろうハウを、案内しないとね」スタスタ
しんのすけ「バイバーイ」フリフリ
マーレイン「あいかわらず面白い男だ。わが親友は……!」
しんのすけ「お友達なの?」
マーレイン「君とハウくんのように、昔、僕とククイは島巡りをしていたんだ」
しんのすけ「ふーん」
マーレイン「ところで……ククイのいない今だから言うけど、ロイヤルマスクの正体は彼って、気付いちゃってるかな?」
しんのすけ「アレで気付かないっていうのが無理あるでしょ」
マーレイン「君もそう思うだろう? でも、ああやってムキになって隠しているんだ。だからククイは面白い!」
しんのすけ「ハカセも変わってるよね、かーちゃんのグリグリを自分から受けたいって言ってるもん」
マーレイン「さて、しんのすけくん! われらの天文台にようこそ!」
ホクラニ岳山頂 天文台屋内
しんのすけ「おーっ、秘密基地みたーい」
マーレイン「この天文台では主に、彗星の観測をしたり、星の観測をしているよ。たまに彗星のかけらが落ちてくることもあってね、それを分析して宇宙の謎を解いているんだ」
マーレイン「後は、アローラで役に立つような機械をマーマネと一緒に作っているのだよ。例えば、今君の持っているロトム図鑑のパーツの一部は、僕が作ったものなんだ」
ロトム図鑑「だったらもっと女性の目を惹くものをだな……」
マーレイン「デザインと機能を両立させるのは難しいのだよ、ロトム図鑑くん。それに、僕はそれはそれで、中々いいデザインだと思うけどね」
しんのすけ「やれやれ、ぶりぶりざえもんはワガママですから」
マーレイン「そうそう、今、僕はポケモンの強さを数値化している機械を作っていてね。テストも兼ねて、君たちのポケモンの強さを見てみようか」
しんのすけ「見る見るー!」
マーレイン「本当はポケモン勝負で実力を見るのが一番なんだけれどもね、一度やってみたいことがあると、やりたくなっちゃう気質なんだ。僕もマーマネもね」ガサゴソ
マーレイン「ああ、ポケモンは出さなくても大丈夫だよ。ボールに入れたまま、並べてくれるだけで測れるんだ」スチャ カチカチ
しんのすけ「どっかの漫画で見たことあるデザインだね」
マーレイン「さて、どうかな?」ピピピピ!
フクスロー(ボール)『なんかドキドキするなぁ』
ヨワシ(ボール)『どうなるのかな? 弱く見られないかな?』
ヌイコグマ(ボール)『やあねぇ、ネネは可憐な乙女だから低く見られて欲しいわ。高すぎると戦い慣れして野蛮に見られちゃう気がするもの』
フクスロー&ヨワシ(僕らの中じゃネネちゃんが一番レベル高そうな気がする)
マーレイン「おや、これは……」ピピピ
しんのすけ「どしたの?」
マーレイン「君たちのレベルの合計を測ってみたんだけど、数値が7と出たんだ」
しんのすけ「ほうほう」
フクスロー『そんな馬鹿な! 僕たち合わせてなのに、そんなに低いはずないだろ?』
ロトム図鑑「ふんっ、島巡りで鍛えた我々のレベルの合計がたかだか7だと? 壊れてるんじゃねぇのかジャンク野郎」
マーレイン「もうちょっと細かく調べてみよう。今度は手持ち1匹ずつでどうかな?」ピピピ
マーレイン「君のフクスローのレベルが30!」
マーレイン「ヨワシが26!」
マーレイン「ヌイコグマが32!」
マーレイン「ロトム図鑑のレベルが-81!」
ロトム図鑑「誰がマイナスだ!」
マーレイン「いやぁここまで戦闘に不向きなポケモンも珍しいね。いいデータが取れたよ!」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんよっわ~い」
ロトム図鑑「ふざけんな! もっかいやり直せ!」
マーレイン「さて、そろそろ向こうも準備ができたかな? キャプテンに会いに行こうか」
しんのすけ「ほっほーい」
マーレイン「あのドアの向こうだよ。マーマネの試練、頑張って」
ウィーン
しんのすけ「おじゃましまるまいんばくはついちびょうまえー」
マーマネ「目標接近……おそらく試練が目的だと思われ」ブツブツ
しんのすけ「え? オラの身体が目的? いや~んだいたーん!」
マーマネ「言ってない言ってない……」
マーマネ「いいや、始めよ」
しんのすけ「サタデーナイトフィーバーを?」
マーマネ「試練を、今ここで」
マーマネ「呼びだしたぬしポケモンに、おのれの強さを示す。これが試練の基本形……」
マーマネ「そこでぼくは考えたよ。いきなりぬしポケモンを呼べばいいのではないか、と」
マーマネ「そして作ってみたのが、ぬしポケモンを呼びだすマシンだったりする……」
マーマネ「なぜマシンを作ったか? そもそも天文台では、宇宙の音も調べている……人には聞こえなくてもポケモンには聞こえる音……集めた音を地上に流し、ポケモンの反応を確かめる。この仕組みを利用したのが、ぬしポケモンを呼ぶマシン……」ブツブツ
しんのすけ「おおっ! これオクタントゥーン2? いいなぁ、風間くんちでしかやったことないんだー」
マーマネ「あっ、機械にもゲームにも勝手に触っちゃダメ……」
しんのすけ「だって話長くて難しいもん」
マーマネ「……簡単に言うと、ポケモンしか聞こえない音を利用して、ここにぬしポケモンをおびき寄せて、試練をしようということ」
しんのすけ「最初からそう言えばいいのに」
マーマネ「ちなみに……マシンは初めて使うから、実験にお付き合いください」
しんのすけ「痛くしないでね……///」ヌギッ
マーマネ「そういう実験じゃないよ」
マーマネ「『ぬしポケモンこいこい マーク2』スイッチオン!」
カチャカチャッ
ウィィン
しんのすけ「なになに?」キョロキョロ
マーマネ「さあ、ぬしポケモ……」
ブゥゥゥン
マーマネ「うひゃあ! 停電でござるか!?」
ロトム図鑑「おいっ、暗くて何も見えん。明かりをつけろ」
ピロピロピロ ウィーン
しんのすけ「今の音なに?」
マーマネ「あいたたた! ドアが閉まった!?」
しんのすけ「いやん、今はオラとマーくんとふたりっきりなのね……」
マーマネ「セキュリティを解除してドアを開けるには……! クイズ! です!
しんのすけ「クイズ? オラクイズなら負けなしだゾ! てゆうかぬしポケモンは?」
マーマネ「だ、大丈夫……ただならぬ気配を感じるよ」
マーマネ「来てます。ぬしポケモンがやってきてます。ですから、このままマーマネの試練、はじめ! です」
試 練 開 始 !
音声「ドアヲアケルタメニ、3問ノクイズニコタエテクダサイ」
しんのすけ「ばっちこーい!」
音声「1問目、ポケモン『ゴースト』ハ、サンカイシンカスルポケモンデアル。○カ×カ?」
フクスロー(ボール)『しんのすけ! 答えは×だ!』
しんのすけ「なんで?」
フクスロー『ひっかけ問題だよ。ゴースは、ゴースト、ゲンガーと進化するけどゴーストの次はゲンガーしか……』
しんのすけ「まる!」
フクスロー『僕の話聞けよ!』
ピンポンピンポーン!
音声「セイカイ!」
フクスロー『えっ? なんで?!』
音声「ゴースト、ゲンガー、ソシテ、メガ「シンカ」スル、メガゲンガーノ三種類デス!」
マーマネ「さすがしんのすけ君!」
フクスロー『そんなのありかよ……』
しんのすけ「ジョーシキないな、カザマくん」
ロトム図鑑「ククイの下でなにを勉強してきたのやら」
フクスロー『お前らが言うな!』
音声「ヌシポケモンノソンザイヲ、エンポウニカクニンシマシタ!」
マーマネ「ぬしポケモンは、来ています! 2問目も行きましょう」
音声「ドアヲアケルタメニ、3問ノクイズニコタエテクダサイ」
音声「2問目、ワザマシン28トハ、シネシネコウセンデアル。○カ×カ?」
しんのすけ「しねしねこうせん?」
ロトム図鑑「かつてカイリューを従えてたトレーナーが人間に向けて撃って騒ぎになった例の技だ」
フクスロー『それははかいこうせん! ×だよ、×』
しんのすけ「ばつだって。違ってたらカザマくんが責任もつから」
フクスロー『なんでだよ!』
ピンポンピンポーン!
音声「セイカイ! ワザマシン28トハ『きゅうけつ』デアル」
フクスロー『ほらみろ』
ブーーーン
しんのすけ「お?」
音声「ヌシポケモン、サラニセッキンチュウ!」
マーマネ「き、来てます! ぬしポケモンが、すぐ近くに、来てる、気配が!」
音声「サイシュウモンダイデス!」
音声「ロイヤルマスクノショウタイハ、ククイハカセデアル。○カ×カ?」
しんのすけ「……え?」
マーマネ「えっ? こんな問題、ぼく作ってないよ! 誰がこんな問題にしたの?」
マーマネ「うわー! ロイヤルバトルなんてキョウミないから、答えがわかんないでごさるー! どうしよう! そもそもロイヤルマスクって誰なんですか?」
しんのすけ「……まるでしょ」
ピンポンピンポーン!
音声「セイカイ! ロイヤルマスクノショウタイハ、ククイハカセデアル」
マーマネ「す、すごい! さすがしんのすけ君です! 暗くてよく見えないですけど、握手したいです!」
しんのすけ「いや、とーぜんでしょ」
音声「セキュリティカイジョ、ドアヲヒラキマス」
プシュッ ウィーン
ブゥゥゥゥゥン!!!!
マーマネ「こ、この気配……! この音……! まさか……」
???「ヤ ッ テ キ マ ッ シ ャ ー ! !」
マーマネ「でっ、でたー! ぬしポケモン!! しんのすけ君っ、出番ですー!!」
しんのすけ「暗くてよく見えないけどね」
天文台 ぬしポケモン
??? 出現!!
しんのすけ「ま、いいや! マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ!
ヨワシ(群)『ぬしポケモンだかなんだか知らねーが、一撃で決めてやるよぉ!』
ヨワシ『暗いなんて屁でもねーぜ! 下手な鉄砲だって数うちゃ当たるんだよ! おりゃ!』ブシュッ!
バッシャアアア
マーマネ「ひゃっ! 冷たい! しんのすけ君が出したのはみずポケモンでござるか?!」
ブゥゥゥン! ブゥゥゥン!
???「ぎゅぎゅーんっ!」バチチチチッ!!
暗闇の中で何かが光ったと思うと、流星のようにマサオへ突っ込んでいく!
ドンッ!!
ヨワシ『うわっ!』グラッ
しんのすけ「今なんか光った!」
ロトム図鑑「あれはスパークだ!」
???「マッシャー!」バチチチッ!!
ビリビリビリビリ!!!
ヨワシ『ひいい~っ! 身体がし、しびれれれれれれれれ!』バチバチバチ!!
しんのすけ「『れ』は一個だけで大丈夫だよ」
ヨワシ(単)『そ、そういう問題じゃ……ないよ……しんちゃん』ピクッピクッ
フクスロー(ボール)『マサオくんの性格が戻ってる! 群れが散って単独の姿に戻っちゃったんだ』
ロトム図鑑「マサオは人望がないな」
ヌイコグマ(ボール)『違うわよ! きっと、さっきのダメージで群れが散っちゃったのよ!』
フクスロー(ボール)『だけど、わかったこともある。ぬしポケモンはでんきタイプで、かなり素早いってことだ。これ以上マサオくんを戦わせても、こっちが不利になるだけだ』
しんのすけ「ほいほい、マサオくん戻っていーよ」
ヨワシ『まだ身体がしびれ、びれ……』
しんのすけ「ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『でも困ったわねぇ、周りが暗くてよく見えないもの』キョロキョロ
ロトム図鑑「ほのおタイプのポケモンがいれば明かりを付けられたものを」
ブゥゥゥゥン!
ヌイコグマ『さっきからなんなのかしら、この音』
しんのすけ「むしポケモンが飛んでる音みた~い」
ブンッ!
ギュッ!
ヌイコグマ『きゃっ! なになに!? いやあああ!』
しんのすけ「どしたの?」
ヌイコグマ『なにかに挟まれてるの! 痛い! 離して!』ブンブン
ヌイコグマ『離しなさいよ! このっ! ふぬぬぬ……』ググ
???「ぎゅ……ぎゅん!」
バチチチチッ!
ヌイコグマ『ひいっ! しびびびびびびびび!』ビリビリビリ!!
しんのすけ「だから『び』は一個だけでいいって」
ヌイコグマ『そういう問題じゃないっつーの!』ビリビリビリ!
ヌイコグマ『ぬ……おりゃあああ!』グググッ
???「ぎゅん!?」
ヌイコグマ『乙女の身体に軽々しく触ってるんじゃないわよ! ヘンタイ!』ガシッ
ヌイコグマ『ぬおりゃあっ!』ブンッ!
???「ぎゅぎゅん!?」
ドシンッ!
マーマネ「ぎゃあ! 何かがぶつかってきた!」
ヌイコグマ『暗がりに隠れてないで堂々と出てきたらどうなのよっ』
ヨワシ(ボール)『ね、ネネちゃん……暗いから無理だよ』
???「ぎゅぎゅーんっ!」バチチチチッ!!
ヌイコグマ『きゃあっ!』ドンッ!!
しんのすけ「またスパークだ!」
ヌイコグマ『もうっ! さっきからどこから攻撃してきてるのよ!』
フクスロー(ボール)『ちょっと待って……おかしくないか?』
しんのすけ「オラもおかしいと思ってた。……なんでルザミーネのおねいさんは40以上なのにあんなにきれいなのか」
フクスロー(ボール)『そっちじゃないよ! そっちもある意味気になるけどさ……』
フクスロー(ボール)『暗い中で戦うっていう条件は向こうも同じなのに、マサオくんやネネちゃんをこの暗闇の中で正確に攻撃しているってことさ』
しんのすけ「んーひょっとしたら、ネネちゃんの普段の態度に原因があるのでは?」
ヌイコグマ『どういう意味よ!』
ブンッ!
ヌイコグマ『きゃっ! また来たっ!』
フクスロー(ボール)『そうか……! わかったよ! 音だ!』
しんのすけ「音?」
フクスロー(ボール)『相手は音でこっちの居場所を判断してるんだよ! 二人とも大きな声を出してぬしポケモンに挑発してただろ? 向こうはその声を頼りに攻撃してたんだ!』
ヨワシ(ボール)『そういうことだったんだ……』
フクスロー(ボール)『ネネちゃん、僕と一旦変わろう! ネネちゃんはダメージを受けちゃってるし、たぶん場所も特定されてると思うから』
ヌイコグマ『分かったわ、お願いカザマくん!』
しんのすけ「ほっほーい! じゃ、カザマくんと交代ね」ヒョイッ
ポンッ!
フクスロー『よしっ……って、喋っちゃいけないんだった……』
フクスロー(こっちも相手の音を聞いて、反撃してやる!)
しんのすけ「カザマくん、どしたの? 急に黙っちゃって」
フクスロー『シッ! しんのすけも静かにして。相手に場所を探られちゃうよ』ゴショゴショ
しんのすけ「ほーい!」
フクスロー『それをやめろって言ってんだよ!』ゴショゴショ!
ブゥゥゥン
ブゥゥゥン
フクスロー「…………」
ブゥゥゥン
ブゥゥゥン
しんのすけ「…………」
マーマネ(???? 急に静かになった……)
ブゥゥゥン
ブゥゥゥン
プゥ~オ
マーマネ「……オナラ?」
フクスロー『……誰がやった?』
ブゥンッ!
ガプッ!
ロトム図鑑「でーっ! なんだなんだ!?」
???「クライツキマッシャー!!」
しんのすけ「おならしたのぶりぶりざえもんだったのかー」
ヌイコグマ(ボール)『やあねぇ、もう』
フクスロー『でもチャンスだ! ぶりぶりざえもんの悲鳴で相手の場所が分かる!』バッ
フクスロー『これでも喰らえっ!』
ドスドスドスドス!!
???「ぎゅぎゅん!?」
ロトム図鑑「いだだだだ! 誰だ私を攻撃してるのは!」
フクスロー『まだまだ!』
ザクザクザク!!
ドスドスドスドス!!
ロトム図鑑「やめろやめろ!」
???「ぎゅぎゅっ……!」
フクスロー『しんのすけ! とどめだ! Zワザ頼む!』
しんのすけ「ほいっ!」
バッ バッ ブリッ ブリッ パァァッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ル ー ム シ ャ イ ン エ ク ス ト ラ !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
フクスロー『これで終わりだ!』
カザマがZパワーを周囲へ放出すると、次々と花が咲き乱れていく! そして日光がぬしポケモンのクワガノンとロトム図鑑に照射され、どんどん威力を増していく!
パァァァッ!!
マーマネ「まっ、眩しい!」
ドゴォォォン!!
クワガノン「ぎゅ、ぎゅーーーん!!」
ロトム図鑑「ブヒィィィィィ!!!」
ジュウウウ……
クワガノン「」ピクピクッ
しんのすけ「やったの?」
フクスロー『うん――』
プツン ウィィィン
フクスロー『あ、電気が戻った!』
しんのすけ「んー目がチカチカするぅ」
プシュー
マーレイン「マーくん!」ドタドタッ
マーマネ「マーさん!」ニコッ
しんのすけ「マーちゃん///」
マーレイン「ナイスキャプテンだよ! しんのすけくんを成長させ、実験も成功させた!」
マーレイン「もっとも……『ぬしポケモンこいこい マーク2』は、電力を使いすぎのようだ。デンヂムシの協力をあおぐとか、改善の余地ありだね」
マーマネ「あ……しんのすけ君……ぬしポケモンを倒した君に、デンキZをあげる……」
しんのすけは デンキZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
マーマネ「……みてて」
バッ バッ ブゥンブゥン ビリリッ!
マーマネ「…………///」カアッ
クルッ
マーマネ「停電だと平気だったけど……ああ……人に見られてると、うまく話せなくなっちゃう」
しんのすけ「マーちゃん恥ずかしがらなくてもいいのよぉ~ん」グネグネ
マーマネ「うぅ……///」
マーマネ「ありがと……おめでと……マーマネの試練、達成だよ」
マーレイン「試練達成おめでとう! マーマネもキャプテンおつかれ」
マーマネ「ぼくもドキドキ……」
しんのすけ「オラはムネムネ」
マーレイン「あぁ、いとこだけどマーマネをキャプテンに選んでよかった」
マーレイン「本来であれば、しまキングがキャプテンを任命する。だが、ウラウラ島は事情がやや特殊でね」
しんのすけ「ほうほう」
マーマネ「なんとかかんとか、キャプテンしてる。しんのすけ君、セキュリティのクイズも答えて、暗くて何も見えない中でも戦って、すごかった」
マーレイン(そういえば、セキュリティの最後のクイズ、マーくんには教えてなかったね。答えられたようだから良かったけど、念のため後で教えてあげないと)
マーレイン「なるほど……ではいいものを進呈しよう! ハガネZだ!」つハガネZ
しんのすけ「おおっ、いいの?」
マーレイン「ポケモンとともに強さを求め、島巡りで手に入れたZクリスタル。僕より、きみにふさわしいだろう! 遠慮せずに使ってほしい」
しんのすけ「ありがたく頂戴します」
ロトム図鑑「……ひどい目にあった」フラフラ
フクスロー『オナラなんかするからだよ。静かにって言ったのに』
フクスロー(変な気分だ――力が沸いてくるような感じ。前にもこんなことあった気がする……)
ロトム図鑑「……そう言えば、ひとつ言い忘れていた」
フクスロー『なに?』
ロトム図鑑「ライト機能があったの、忘れてた」カチッ ピカー
フクスロー「…………」ピキッ
ポンッ! ポンッ!
フクスロー&ヨワシ&ヌイコグマ『最初に言えこの豚ァァァァ!!』ドカドカッゲシゲシッ!!
ロトム図鑑「ブヒィィィィィィィィィ!!!」
しんのすけ「やれやれ」
マーレイン「さて、しんのすけくん。お使いを頼まれてくれるかな。ククイ君の忘れものだよ」つ はかせのふくめん
しんのすけ「これハカセの被ってる覆面? かっこいー!」
マーレイン「ククイ君、マリエ庭園に戻ると言っていたよね。お手数をかけるが、よろしく」
しんのすけ「お手数かけられましたー!」
マーマネ「今度は、勝負……」
ウラウラ島 マリエ庭園
しんのすけ「オーラーはしんのすーけ。おねいさんのーしもべー♪」
ザワザワ
しんのすけ「ほほー?」テクテク
したっぱE「おいおいおいククイさんよお!」
したっぱF「ポケモンリーグを造るって? なにトチ狂ってんだ!」
ククイ博士「4ターンだ!」ビシッ
したっぱE「はあ?」キョトン
ククイ博士「まとめてかかってくるといい! ボクもポケモン技の研究家!」ニイッ
ククイ博士「スピードスターや、やきつくすなどで、まとめて倒せるよう、バトルロイヤルでお相手しよう!」
したっぱE「マジかよ……」
したっぱF「や、やっちまうぞ……!」
ハカセ ガンバレー! チョーシノリスギ、スカルダン!
???「バトルロイヤル、いいよな! 一気に3匹もブッ倒せてよお」
ククイ博士「…………」
スタスタ
野次馬「グズマだ……」
したっぱE「ボスのおでましだ!」
グズマ「ブッ壊してもブッ壊しても、手を緩めなくて嫌われるグズマがここにいるぜ」
グズマ「やあ、皆の衆! スカル団ボスグズマと、ポケモン博士ククイのカード! よだれもののスペシャルマッチだろ」
グズマ「ククイさんよ、あんたとオレはお互いキャプテンになれなかった者同士、アローラ地方に残る古臭い風習――しまキングやキャプテンなんて、くだらない連中に変わる新しいものが欲しくなるよなあ?」
グズマ「だがよ、ククイさん。ポケモンリーグはいけないぜ。最強のトレーナーはもう決まっているんだからよ」
ククイ博士「ボクは『なれなかった』ではなく『ならなかった』んだ。夢のために、ね」
クルッ
ククイ博士「ハラさんに勝つため、どの技が強いか探り……やっとたどりついた答え――そのとき、ベストの技を選べるポケモンとトレーナーのコンビが繰りだす技が最強だと!」
ククイ博士「なら、『そのとき』を生みだす場、ポケモンリーグを造らねば、とね! グズマくん! キミも口だけでなく、自慢の技を見せてくれよ」
グズマ「言うじゃねぇか――」
――ワッハッハッハッ!
ククイ博士&グズマ「!?」
パーパーパラパーパッパーパーパーパー
しんのすけ(はかせのかめん装備)「アクションロイヤル仮面! さんじょー! とおっ!」
クルクルクル スタッ!
ククイ博士「し、しんのすけ……!」
ククイ博士(そういえば天文台にマスクを間違って置いていったんだっけな……)
しんのすけ「やいっ、スケスケおパンツ団のリーダー! オラの目が白いうちは、悪さなんてさせないゾ!」ビシッ
ククイ博士「目が黒いうちに、だろ。それにそのマスク、勝手に被っちゃダメじゃないか」ズポッ
しんのすけ「お?」
グズマ「あぁ? ククイさんよ、とうとう子守まで始めたのか? ハラの孫じゃなさそうだが」
ククイ博士「いや、この子は野原しんのすけ。最近アローラに来たばかりでね。発見、体験、大冒険を楽しんでいるところだよ」
しんのすけ「主にアローラのきれいなおねいさん探しです」
グズマ「……Zリングか。それに、そんなガキが島巡りかよ?」
ククイ博士「カプ・コケコに認められて、特例でね。だけど、しんのすけが一緒に旅しているカザマたちも、さぞや強力な技を使うだろう。だからグズマくん、キミが最強なら、戦えばいい!」
グズマ「技マニアが……あおってくれる」
しんのすけ「うちわ持ってないよー」
グズマ「そっちのあおるじゃねぇよ!」
グズマ「おいクソボーズ、島巡りなんかしてなんになるんだよ?」
しんのすけ「おねいさんにモテモテになるためです!」キッパリ
グズマ「あぁ? なにもねえよ、くだらねえよ」
しんのすけ「見るからにワルくてモテなさそうな、くさやのおじさんに言われてもなぁ」
グズマ「くさやじゃねぇ! グズマだ!」
グズマ「まずはククイさん、あんたを壊す前に、あんたが大事にしているものを壊す!」
しんのすけ「そんなこと、させないもん!」バッ
ククイ博士「しんのすけ……」
しんのすけ「ハカセの貞操は、オラが守る!」
ククイ博士「い、意味知ってて言ってるのかな、しんのすけ……」
しんのすけ「深くは知らない!」
グズマ「ハッ、ぶっ壊してやるよ! 破壊という言葉が人の形をしているのが、このオレさま――グズマだぜえ!」
スカル団ボスの グズマが
勝負を しかけてきた!
グズマ「オラァ行けっ! グソクムシャ!」ヒョイッ
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「ネネちゃん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ヌイコグマ『行くわよ、しんt……』ポンッ!
グズマ「であいがしらだ!」
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
ドカッ!
ヌイコグマ『きゃっ! いきなりなにすんのよ! まだセリフ終わってないじゃない!』
しんのすけ「そーだそーだ! ひきょーだぞ!」
ククイ博士「しんのすけ! であいがしらは出した瞬間のみだが、必ず先制できる技だ! グソクムシャの得意技だよ!」
グズマ「そういうこった! どんどんぶっ壊しに行くぜ! シェルブレードだ!」
グソクムシャ「オオオオッ」ブンッ!
ガシッ!
ヌイコグマ『ぬくく……』プルプル
グソクムシャ「オオオオ……!」グググッ
しんのすけ「ネネちゃんガンバレーっ!」
グズマ「そのまま押し切っちまいな!」
ヌイコグマ『そうやすやすと攻撃されてたまるもんですか……!』ズズズ
野次馬「おおっ! あのヌイコグマ、見た目以上の怪力だ! グソクムシャを押している!」
ヌイコグマ『おりゃあああ!』ドンッ!
グソクムシャ「ズモォォ……!?」ズズズ
ヌイコグマ『今度はこっちの番よ! ネネ・パーンッ……』
グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ
ドンッ!
ネネが攻撃を仕掛けようとした瞬間、素早くグソクムシャが隙を突いた。
ヌイコグマ『え――!?』
しんのすけ「おわっ!?」
グズマ「不意打ち、成功だぜ」ニヤッ
ドサッ ゴロゴロ
ヌイコグマ『い、いたい……』
ククイ博士(グズマくん、相変わらずだね。相手に攻撃させる隙を与えず、一気に攻め込んで制圧する戦法。それも以前より磨きが掛かっている)
ククイ博士(さて、しんのすけ……君はどう出るつもりだい?)
しんのすけ「ネネちゃん、平気?」
ヌイコグマ『……しんちゃん、ちょっとタイム取っていい?』フラッ
しんのすけ「くさやのおじさん! ちょっとターイム!」
グズマ「あぁ?」キョトン
ヌイコグマ「…………」バッ!
ククイ博士「ピッピ人形?」
グズマ(あんなん持たせて、何するつもりだ?)
ヌイコグマ『……ふんっ!』
ドッ!
ドッ!
ドッ!
ヌイコグマ『ムカつくぅ!! さっきっから卑怯な手ばっかり使いやがってぇ~っ! フンッ! フンッ!』ドッ! ドッ!
グズマ「……いい性格してんじゃねぇか」
しんのすけ「いやぁ、それほどでも」
グズマ「オメェじゃねーよ!」
ヌイコグマ『あースッキリした。いいわよ、しんちゃん』スッキリ
しんのすけ「ほーい! それじゃ再開ねー!」
グズマ「それで何か変わるってのかよ? そろそろトドメ刺しちまいな! シェルブレード!」
グソクムシャ「オオオオッ」ブンッ!
ヌイコグマ「オラァッ!」ブンッ!
グソクムシャより先にネネが動き出し、グソクムシャの白い甲殻に向けて渾身の力を込めた拳を振り下ろした!
ズンッ!
グソクムシャ「グモッ!?!?」メキッ
グズマ「はぁ!?」
ククイ博士(今のはアームハンマーか!)
ヌイコグマ『これでトドメっ! ネネ・パーンッ……』グワッ
シュンッ!
ヌイコグマ『え――!?』スカッ
しんのすけ「ボールに戻っちゃった! なんで?」
グズマ「危機回避だよ。オレのグソクムシャは頭が良くてよぉ、傷付いて身の危険を感じると自分から戻ってきてくれるんだよ」パシッ
ヌイコグマ『なにが危機回避よ! 逃げただけじゃないの!』
しんのすけ「そーだそーだ!」
グズマ「あぁ? ひとりで何言ってやがる? さっきからそのヌイコグマに一つも命令してねぇし、変なガキだ」
グズマ「まぁいい、行きな! アリアドス!」ヒョイッ
アリアドス「シャーーッ!!」ポンッ
ヌイコグマ『ひいっ、気持ちワル~い。こっちも危機回避したい気分……』
しんのすけ「うまいこと言うね」
グズマ「アリアドス! そいつに糸をまとわりつかせてやれ!」
アリアドス「シャーッ!!」ブシャーッ
シュルルルッ!
ヌイコグマ『えっ? なにこれ? 動けない!』モゾモゾ
ギュウウウッ
ヌイコグマ『ううっ……どんどん締め付けて来るっ!』
しんのすけ「ネネちゃん痩せて抜け出すんだ!」
ヌイコグマ『うっさいわね! 無理言わないでよ!』
グズマ「叩き潰せ!」
アリアドス「シャッ!!」グイッ
アリアドスはそのまま勢いよく、ネネを締め付けている糸を空中に向けて勢いよく振り上げた!
ヌイコグマ『えっ? やっ……!』ブンッ
ズズンッ!
しんのすけ「ネネちゃん!」
ヌイコグマ「」ピクピク
グズマ「ハッ、ぶっ壊してやったぜ!」
ヌイコグマ『悔しい……いつか絶対仕返ししてやる……覚えてなさいよ!』
しんのすけ「ぬー……おのれ、さすがスケスケおパンツ団のボスのくさや!」
グズマ「スカル団のボスのグズマだ! そうか、テメーが下っ端とプルメリの言っていた例のじゃがいも小僧か!」
しんのすけ「お? オラもアローラでますます有名になっていきますなぁ」
ロトム図鑑「それにしてもスケスケおパンツ団のボスか。盗んだ下着の数も凄そうだぞ」
しんのすけ「まあリーダーですし」
グズマ「下着ドロじゃねぇよ!」
ククイ博士「で、しんのすけ。次はどうするつもりだい?」
しんのすけ「じゃあカザマくん、行きますか! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
フクスロー『じゃあってなんだよ、じゃあって』
フクスロー『でも、一番レベルの高いネネちゃんを、ほとんど攻撃させずに倒すなんて』
しんのすけ「不意打ちとかしてくるから気をつけたほうがいいよ」
フクスロー『わかってる。ネネちゃんのカタキは僕が取るよ』
グズマ「そいつが2匹目か。同じようにぶっ壊してやるよ!」
グズマ「さっきみたいに糸をまとわりつかせろ!」
しんのすけ「カザマくん、飛んで避けて!」
フクスロー『!』サッ
フクスロー(このままみだれづきと思わせて――)バサッ
アリアドス「シャッ!」ブンッ
ククイ博士「また不意打ちだ!」
フクスロー『そう来ると思ってたよ!』サッ
シュルシュルシュル
ガッ!
アリアドス「?!!」フラッ ゴロンッ
グズマ「不意打ちを躱してくさむすびで反撃だと? ずいぶん器用なことしやがる」
ククイ博士(だけど、どく・むしタイプのアリアドスにくさむすびはダメージとしては微々たるものだ。むしろ動きを止めることを優先しているように見えるね)
フクスロー『このままみだれづきだ!』バッ
ドスドスドスッ!
アリアドス「シャッ?!!」
グズマ「アリアドス、どくばりだ!」
しんのすけ「カザマくん、離れて!」
フクスロー『え――!』
アリアドス「シャーッ!」シュッ!
ドスッ!
フクスロー『うっ……!』ビクッ
しんのすけ「ああん、カザマくん!」
ロトム図鑑「あの様子だとまた毒になったようだな」
グズマ「そのままみだれひっかき!」
アリアドス「シャーッ!」ブンッ!
ザクザクザクッ!
フクスロー『くうっ、このまま負けるもんかっ!』バッ
身を翻したカザマは羽を折り畳みそのまま地面を蹴り、低空飛行でアリアドスへ突っ込む!
ギュンッ!
ドンッ!!
アリアドス「シャッ?!」
グズマ「おい! アリアドス!」
フクスロー『ハァハァ……どうだっ!』
アリアドス「シャ……」ガクッ
ククイ博士(今のはブレイブバードか! 見る限り習得したというより、身の危険を感じて無意識に使ったのか?)
フクスロー『よし……まず1匹だ!』
グズマ「チッ……すまねぇな、アリアドス」
グズマ「もう一度来な! グソクムシャ!」ヒョイッ
ポンッ!
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」
フクスロー(ネネちゃんとの戦いで、一度ボールに戻った奴か……)
グズマ「ヤツは虫の息だ! であいがしらでぶっ壊しちまいな!」
グソクムシャ「ォォォッ!!」ドスドスドス!
フクスロー(ここまでか……)
しんのすけ「カザマくん……!」グスッ
フクスロー『しんのすけ……泣いているのか』
カザマは自らの身体が毒で蝕まれると同時に、薄れゆく意識の中で目元を抑えるしんのすけが視界に映った。
フクスロー『ごめん……僕はここまでだ』
しんのすけに詫びながら、迫り来るグソクムシャの攻撃を受け入れるように、カザマは静かに目を瞑る。
フクスロー『……』
本当に、これでいいのか? (自称)エースの自分がここで倒れていいのか?
島巡りを始めたとき、曲がりなりにもしんのすけと供に旅をして島巡りチャンピオンになろうと決めたじゃないか。ここで倒れて、マサオも倒れれば、しんのすけの未来は閉ざされるだろう。
フクスロー(いや、諦めたって何も始まらない!)
フクスロー(今の僕が、出来ることをしなくちゃ!)ググッ
意を決して、立ち上がった時だった!
カッ!
フクスロー『えっ?』ピカーッ
グズマ&グソクムシャ「!?」
ズズズズ!
フクスロー『これって……!』
しんのすけ「んー目にゴミ入ったぁ~って、おおっ! またカザマくんの身体が輝いてる!」
ククイ博士「これは――進化か! さっきのアリアドスとの戦いでちょうど進化する段階まで成長したのか!」
カザマの姿が進化の光に覆われ、どんどん姿が変わっていく。
翼はさらに大きく、そして深い緑色を帯びる。貴族然とした姿から、外套を被った狩人のものへ、進化していく!
ズズズズ!
『……!』ファサァッ
ククイ博士「しんのすけ、やったな! カザマはジュナイパーに進化したんだ!」
ジュナイパー(カザマ)『これは……!』
野次馬「おおっ!」
しんのすけ「いや~ん! オラの想いが届いてくれたのね~」
ジュナイパー『気色悪い言い回しするなよ……』
グズマ「はっ、進化したからなんだってんだ! 弱っているのに変わりねぇだろ! グソクムシャ、トドメ刺しちまえ!」
グソクムシャ「ォォォッ!!」ブンッ
しかし、グソクムシャの爪は空を切った。カザマが跳躍し、真上に飛び立つと矢羽根を弓に模した翼につがえて発射した!
グソクムシャ「グモッ!?」
グズマ「なにぃ?! 不意打ちだと!?」
ジュナイパー『これで終わりだ!』ググッ
カザマの手には黒いオーラを放つ矢が握られていた。それを真っ直ぐ飛ばすと、グソクムシャの地面に触れて、爆発を起こした!
ドガァァン!!
グソクムシャ「グモォォォッ!!」
グズマ「グソクムシャ!」
グソクムシャ「グ……モ……」ガクッ
しんのすけ「かっこい~! ハカセ、今の技なんていうの?」
ククイ博士「かげぬい、だね。ジュナイパーの得意技で、あたかも影を縫ったように相手を逃がさない技だよ」
しんのすけ「ほうほう、オラも是非覚えたいですな」
ククイ博士「どうしてだい?」
しんのすけ「だってきれいなおねいさんを逃したくないものですからー!」
ジュナイパー『お前はそういう発想しかできないのかよ!』スタッ
しんのすけ「でも、進化したって言うから期待したのになんか地味な見た目」
ジュナイパー『悪かったな、地味で!』
ヌイコグマ(ボール)『そう? ネネはかっこいいって思うけど』
ヨワシ(ボール)『うんっ! うらやましいなァ』
ロトム図鑑「相変わらずチープな進化だぜ。私もかみなりのいしで進化すれば無敵に……」
ジュナイパー『だから進化しないだろお前は! 同じツッコミを何度もさせるな!』
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
しんのすけ&ククイ博士「!」
グズマ「自慢のポケモンたちに、もっと破壊させてやれよお!!」
しんのすけ「ほうほう……」
グズマ「フゥーフゥー……しんのすけ、だったか」ギロリ
しんのすけ「なに? くさやのおじさん」
グズマ「壊しがいのあるヤツとして、胸に刻んでおくぞ! オラ行くぜ!」スタスタ
したっぱE「ボスによ、本気ださせるなよ!」ダッ
しんのすけ「お風呂入れよー!」フリフリ
ジュナイパー(……進化してなかったら危なかった。グズマにグソクムシャ……あなどれない人だ)
ザワザワ
野次馬「スカル団もおとなしくなるよな。なんたってあんなちっさい子供に負ければ」
野次馬「いやーしんのすけ君だったか。すごかりしトレーナーですよ!」
野次馬「まだ小さいのに、グズマに勝っちゃうなんてすごいわ! 島巡り応援してるね、しんのすけ君!」
しんのすけ「いやん、オラおねいさんのためならどんなことだって出来ちゃいますよ~」
ククイ博士「よしっ、しんのすけのポケモンは元気にしといたよ!」
ククイ博士「さっきはいい技だったぜ! 魂が震えたよ!」
しんのすけ「まあねー」
ククイ博士「そのご褒美ってわけじゃないけど、ジュナイパーにのみ使えるZクリスタルをあげるよ!」つジュナイパーZ
しんのすけ「いいの? やったやったー!」ピョンピョン
ククイ博士「Zクリスタルの中には、特定のポケモンにでしか力を発揮しないモノがあるんだ。そして、そのZクリスタルを使えば、カザマは特別なZワザも使えるだろう!」
しんのすけ「他にもこーゆーのあるの?」
ククイ博士「ああ、そのジュナイパーZもそうだし、後はハウのニャビーの最終進化であるガオガエン、アシマリの最終進化のアシレーヌ、そしてピカチュウとライチュウのZクリスタルが今まで発見されているんだ!」
ロトム図鑑「私のZクリスタルはないのか?」
ククイ博士「残念ながら、まだ見つかってないんだ」
しんのすけ「日頃の行いが悪いから……」
ロトム図鑑「なんだとー! 私ほど公明正大で清廉潔白なポケモンもそうそういないだろう!」
ククイ博士「ははは……。でも、ZクリスタルもZワザもまだまだ分からない部分は多いからね。ひょっとすれば、ロトム専用のZクリスタルが見つかるかもしれないね」
しんのすけ「じゃあ、アクションビームとかカンタムパンチとか使えるZクリスタルとか出てくるかな?」
ククイ博士「それがどんなものなのか分からないけど……そういう力を持ったZクリスタルがあって、トレーナーの想いがポケモンに届けば、君の言う技は実現できるかもね。だからZワザって奥深いんだ!」
しんのすけ「よーし! 島巡りが終わったら、今度はそれを探してみよーっと!」
ククイ博士「ところで、リーリエはどうしてるんだっけ?」
しんのすけ「さぁ? また道に迷ってるんじゃない?」
リーリエ「ここにいます」テクテク
アセロラ「アセロラもいっしょ!」
ククイ博士「ハウは……まだマラサダショップかな」
リーリエ「博士もしんちゃんも、スカル団とやりあうなんて……怖い人たちだと聞きますから、わたし……心配になります……」
アセロラ「そうそう! アセロラも結構ハラハラして見てたんだから」
ククイ博士「そうかい? 技をぶつけあえば、相手がどんなトレーナーでもすぐにわかりあえるけどね!」
しんのすけ「オラとしてはスケスケおパンツ団より、リーリエちゃんがまた道に迷ったりブティックに寄り道しないかどうかが心配だぞ」
リーリエ「大きなお世話です……!」
ククイ博士「さて、そろそろハウを迎えに行かなきゃね。しんのすけもこの調子で試練をこなし、ポケモンを鍛えてくれよ!」テクテク
しんのすけ「ほーい!」
今日はここまで。
次回は明日の夜予定。
じゃ、そゆことで~
【おまけ】
夕陽に照らされた荒野。
風が吹く音と供に、少女の泣き叫ぶ声が響いてくる。
ミミ子「助けて! アクション仮面!」
アクション仮面「ドラピオン教授! 今日こそ年貢の納め時だ!」
ドラピオン教授「ヒャーッハッハッハッ! 貴様に我が忠実な眷属であるこのドラピオンが倒せるかな?」
ドラピオン教授「行け、ドラピオン! だましうちだ!」
アクション仮面「なにっ!?」
ドラピオン「ドラッ!」フッ
ドラピオンの姿が消えたかと思うと、紫色のハサミをルカリオに振り下ろした!
ルカリオ「グアッ?!」ドゴッ!
アクション仮面「馬鹿な、ドラピオンはレベルでもわざマシンでも、だましうちは覚えないはずだ!」
ドラピオン教授「だましうちは、タマゴ技で覚えるのだ! このドラピオンは、私が厳選に厳選を重ね、スコルピから育てた自慢のポケモンなのだ!」
アクション仮面「ぬう……悪役のくせに育成をばっちりこなすとは! 敬意を表する!」
アクション仮面「だが、私とルカリオの絆はそれ以上に強い! 行くぞ、ルカリオ!」
ルカリオ「グルゥゥゥァ!!」
アクション仮面「ルカリオ! メガシンカだ!!」カッ!!
ルカリオのルカリオナイトと アクション仮面の メガベルトが 反応した!
キィィィィン! ドゴォォォォッ!!
メガルカリオ「グォオオオオッ!!」
ドラピオン教授「なにっ?! ルカリオがさらなる進化だと!?」
アクション仮面「これが進化を超えた進化――メガシンカだ!」
ドラピオン教授「メガシンカだと?」
アクション仮面「私は悪を倒すため、ルカリオと供に世界各地を渡り、修行を続けた。その果てにこのチカラを得た!」
アクション仮面「そして、メガシンカを会得した私は今週から、アクション仮面LMSに改名する! 」
ドラピオン教授「なにがアクション仮面LMSだ! そんなくだらん肩書きはジャージのサイズだけにしておけ!」
アクション仮面LMS「行くぞメガルカリオ! ドラピオンにインファイトだ!」
メガルカリオ「グルゥゥア!!」ダッ!
メガルカリオは疾風怒濤の勢いでドラピオンに急接近すると、拳のラッシュをドラピオンの身体に次々と打ち込んだ!
メガルカリオ「オオオオオッ!!」ドドドドドドド!!!
ドラピオン「ドラッ!! ドラピッ!?」
ドラピオン教授「なにい、なんだこのダメージはっ!」
アクション仮面LMS「――ルカリオは、あくタイプの攻撃を喰らうとこうげきを上げるせいぎのこころを持っている」
アクション仮面LMS「そしてメガルカリオは、自分のタイプと同じタイプの技のダメージを2倍にするてきおうりょくに特性が変化するのだ!」
ドラピオン教授「バ、バカなっ!」
アクション仮面LMS「行くぞ! メガルカリオ!」
メガルカリオ「ガァッ!!」
アクション仮面LMSとメガルカリオは同時に飛び上がると、ドラピオン教授とドラピオンに向けて、それぞれ両手の肘を向ける!
アクション仮面LMS「メガアクションビーム!!」
メガルカリオ「ルァァァッ!!(はどうだん!!)」
ビビビビビ!!
ゴウッ!!
アクション仮面LMSの両腕から虹色のビームが発射され、メガルカリオの両手から、はどうだんが放たれた!
ビームとはどうだんが合わさり、ドラピオン教授とドラピオンに直撃すると、爆風を巻き起こした!
ドラピオン「ドラアアアア!!」
ドラピオン教授「ぐわーーっ! 厳選しても絆の力には勝てなかったか……地獄で待ってるぞ! アクション仮面LMS!!」
ドゴォォォン!!
ミミ子「ありがとう! アクション仮面LMS! メガルカリオ!」
アクション仮面LMS「なあに、毎週のことだ! そして、メガルカリオと力を合わせれば、どうということはない!」
メガルカリオ「ガウッ!!」
ミミ子「それではテレビのみなさんもご一緒に!」
アクション仮面LMS「ワッハッハッハ!!」
ミミ子「ワッハッハッハ!!」
メガルカリオ「グルゥワッハッハッハッ!!」
……
ロトム図鑑「……」<ワッハッハッハッ
しんのすけ「ワッハッハッ!! 正義は勝つ!」
ハウ「その人がカスカベ地方のチャンピオンなんだー」
しんのすけ「そ、オラのそんけーしてるトレーナーで、一緒に戦ったこともあるんだよ」
ハウ「へぇー、それにメガシンカかー……もしおれも出来るようになったら、もっと勝負が楽しくなるかもねー!」
マリエシティ街道
アセロラ「でもしんちゃん、マーマネの試練達成ってすごい! 次の試練は11番道路を越えて、カプの村に行くんだよ!!」
しんのすけ「オラ、その前にハラが減りましたぞ」
リーリエ(今のはハラさんの真似とお腹が空いた事をかけたのでしょうか?)
アセロラ「じゃあ3人で家まで行こうよ! みんなで晩ご飯作ろう!」
リーリエ「お料理、作れるのですか?」
アセロラ「任せて! これでもしんちゃんくらいの年の子供たちの世話をしてるんだから!」ムフー
リーリエ「すごいですね……子供の世話だけでなく、お料理も出来るなんて……」
しんのすけ「オラも料理できるもーん!」
リーリエ「カップラーメンっていうオチではありませんよね?」
しんのすけ「違うもん! レトルトカレーだもん!」
アセロラ「同じでしょ!」
アセロラ「でも、その前に買い出ししなきゃ! 二人とも付き合ってよ!」
リーリエ「はい!」
しんのすけ「えー? オラ疲れちゃった」
アセロラ「付き合ってくれたら、1個だけお菓子買ってあげてもいいかなー?」
しんのすけ「ホント? 約束だよ?!」キラキラッ
リーリエ「……クスッ」
マリエシティ ポケモンセンター
アセロラ「えーっとこれ買ってこれもー……」
しんのすけ「これも買ってーこれもー」ドサドサ
アセロラ「こぉら、勝手にお菓子入れちゃダメだよ!」
???「……また増えたのかい」
しんのすけ「お?」
アセロラ「あー! クチナシおじさん!」
クチナシ「……ずいぶん騒がしそうなヤツだね」
アセロラ「違うよー。この子はしんちゃんで、いま島巡りしてるの」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳! 好きな女性のタイプはシロナのようなおねいさん」
クチナシ「……島巡り? 5歳じゃ出来ねぇんじゃないのかい?」
アセロラ「この子はカプ・コケコから直接かがやく石をもらったんだって! だから、特別に5歳から島巡りしてるの」
クチナシ「……そうかい」ジロリ
しんのすけ「お、おじさん……そんな目で見られたら、オラ照れちゃう///」モジモジ
クチナシ「……まぁ、カプに認められたんなら何も言うことねえけどよ」
アセロラ「しんちゃんすごいんだよ! マーマネの試練も達成して、さっきはスカル団と戦ってフクスローをジュナイパーに進化させたんだよ!」
クチナシ「スカル団……ね。坊主、あんまり騒ぎを起こすんじゃないよ」
スタスタ
しんのすけ「アセロラちゃん、今の幸薄そうなおじさん誰?」
アセロラ「クチナシおじさんだよ。ああ見えてあの人警察官で、この島のしまキングなんだから!」
しんのすけ「あ、そう……」ズーン
アセロラ「……? どうしたの?」
しんのすけ(オラがっかり、こんなおじさんじゃなくてライチおねいさんのようなピチピチのしまクイーンがよかった……)
アセロラ「そういえばリーリエちゃんどこ行ったんだろ?」キョロキョロ
アセロラ「アセロラちゃん、お口あんぐりしちゃったよ。リーリエちゃんポケモンセンターの中なのに迷子になっちゃうなんて」
リーリエ「恥ずかしいです……」
しんのすけ「まったく、世話を焼かせますなぁ。オラやアセロラちゃんに頼ってばかりですと、将来ロクなオトナになりませんぞ! 方向音痴くらい治しなさい!」ビシッ
リーリエ「うぅ……」
アセロラ「まぁまぁ。ともかく、エーテルハウスに行ってしんちゃんも試練を受けちゃおうよ」
しんのすけ「アセロラちゃんの試練ってなにするの?」
アセロラ「ナイショだよー。まぁこの時間帯にやるのがすっごくピッタリかも」クスクス
しんのすけ「わかった! 合コンして王様ゲームするのが試練の内容だな!」
アセロラ「全然違うよ! しかも今時王様ゲームって……」
リーリエ「あの、アセロラさん。前の道なんですが……」
三人の目の前には、凹凸の激しいゴツゴツとした岩の道が広がっていた。
アセロラ「あー、ウラウラ島ではこういう道が多いの。だからね……」
ハプウ「おーい! しんのすけ! リーリエ!」フリフリ
バンバドロ「ムヒヒウン!」
※地名入れるの忘れてました
12番道路
アセロラ「アセロラちゃん、お口あんぐりしちゃったよ。リーリエちゃんポケモンセンターの中なのに迷子になっちゃうなんて」
リーリエ「恥ずかしいです……」
しんのすけ「まったく、世話を焼かせますなぁ。オラやアセロラちゃんに頼ってばかりですと、将来ロクなオトナになりませんぞ! 方向音痴くらい治しなさい!」ビシッ
リーリエ「うぅ……」
アセロラ「まぁまぁ。ともかく、エーテルハウスに行ってしんちゃんも試練を受けちゃおうよ」
しんのすけ「アセロラちゃんの試練ってなにするの?」
アセロラ「ナイショだよー。まぁこの時間帯にやるのがすっごくピッタリかも」クスクス
しんのすけ「わかった! 合コンして王様ゲームするのが試練の内容だな!」
アセロラ「全然違うよ! しかも今時王様ゲームって……」
リーリエ「あの、アセロラさん。前の道なんですが……」
三人の目の前には、凹凸の激しいゴツゴツとした岩の道が広がっていた。
アセロラ「あー、ウラウラ島ではこういう道が多いの。だからね……」
ハプウ「おーい! しんのすけ! リーリエ!」フリフリ
バンバドロ「ムヒヒウン!」
しんのすけ「おーハプウちゃん」
リーリエ「こんばんは、ハプウさん」ペコリ
アセロラ「ハプウちゃん、どうしたの?」
ハプウ「いやなに、しんのすけたちがここに来ているのを見てな。きっとこの道を通るのに困るだろうからついて来たのじゃ。そういえばリーリエは遺跡に来る時に通ったの」
リーリエ「はい、また乗せてくださるのですか?」
ハプウ「もちろんじゃ。それにしんのすけにはアーカラで世話になったからの。ウラウラを巡るうえで、必要不可欠なバンバドロのライドギアを登録させようと思ってな」
アセロラ「あれ? しんちゃんどこ行ったんだろ?」キョロキョロ
リーリエ「……まさか」
ヘイヘイオネイサン! オラトコイノショウガイトイウデコボコミチヲイッショニノリコエテイキマセンカー?>
ハプウ「なんと――バンバドロでもなければ通れん道を普通に行きおった……」
リーリエ「またですか……」ハァ
ほしぐもちゃん「ピュイ!」
アセロラ「しかもさりげなく買い物袋置いてってるし」
ハプウ「ま、元気なのはいいことじゃ。ほれ、二人ともバンバドロに乗っていけ。向こう側まで送り届けてやろうぞ」
カプの村付近 モーテル前
しんのすけ「あれー? リーリエちゃんたちどこ行っちゃったんだろ?」
ロトム図鑑「またあいつは道に迷ったのか。手間のかかる奴だ」
しんのすけ「オラがしっかり見守ってあげナイト。夜だけに」
ロトム図鑑「月が綺麗だな……」
しんのすけ「こーゆー夜はお月見チョコビがいいんだよね」
ハウ「あー! しんのすけだー!」
しんのすけ「今度はハウくんか。今日はたくさんの出会いがありますなぁ」
ハウ「マーマネから聞いたよー! ぬしを呼びだすマシンの、動作テストに付き合ったんでしょー? おれもお手伝いしてさー、なんとか試練こなせたよ!」
しんのすけ「ま、まーね」
ハウ「うー、少しは強くなったかなー? しんのすけーせっかくだし勝負しよーよー! アーカラのバトルロイヤルの時からずっと戦ってないしー」
しんのすけ「じゃあ付き合ってやりますか」
ハウ「わーい! しんのすけがどんなポケモン捕まえたのか、楽しみー!」
ポケモントレーナーの ハウが
勝負を しかけてきた!
ハウ「行くよー! イーブイー!」ヒョイッ
イーブイ「ブイブイ!!」ポンッ!
しんのすけ「ネネちゃんレッツラゴー!」ヒョイッ!
ヌイコグマ『行くわよ!』ポンッ!
ハウ「わー! 新しいポケモン捕まえてたんだねー!」
しんのすけ「捕まえたの結構前だけどね」
ハウ「よーし、お手並み拝見だよー! イーブイ、スピードスター!」
イーブイ「ブイブイ!」キラキラッ
ヌイコグマ『きゃっ!』ドンドンッ!
ヌイコグマ『この!』ダッ!
ネネは走り出すと、イーブイにアームハンマーを繰り出した!
ヌイコグマ『エイッ!』ブンッ!
イーブイ「ブイッ!?」ドゴッ!
ハウ「おおースゴいパワー! ならこっちも噛みついちゃえ!」
イーブイ「ブイブイッ!」ガプッ!
ヌイコグマ『いったああい!!』
しんのすけ「おいしい?」
イーブイ「ブイッ!」q
ヌイコグマ『ちょっと! 2人ともどーゆー意味よ!』
ハウ「怯んだスキにーとっしんだよー!」
イーブイ「イーッブイッ!」ダッ!
イーブイがネネに向かって走り出した時だった。急にネネは膝を崩した体勢になり、涙目でイーブイに訴え始めた!
ヌイコグマ『ううっ……! どうしてあなたってすぐ手をあげるの? 』フルフル
イーブイ「ブ、ブイッ?」ビクッ!
ハウ「どうしたのー? イーブイ?」
ジュナイパー(ボール)『まさかこれって……』
ヌイコグマ『せっかくあなたのために洗濯して晩御飯を作っても、暴力を振るって。いつもあなたが家をメチャクチャにする!』ウルウル
イーブイ「ブイッ! ブイブイブイッ!」
ヨワシ(ボール)『リアルおままごと……』
ロトム図鑑「しかも向こうもノリノリだな」
ハウ「え? えー??」キョトン
ヌイコグマ『たまには家族サービスもしてよ! あたしのことも考えてよ! なんとか言いなさいよ!』ガシッ
イーブイ「ブ、ブイッ?!」
ヌイコグマ『おりゃあああ!!』グルングルン!
イーブイ「ブイッ! ブイーッ!」
ジュナイパー(ボール)『リアルおままごとから自然にぶんまわす攻撃へ移ったな……』
しんのすけ「恐るべしリアルおままごと」
ヌイコグマ『どりゃあ!!』ブンッ!
イーブイ「ブイーッ!!」
ぶん回された後に投げ飛ばされたイーブイは、そのまま空中を飛んで地面を落下して転がると、目を回して動かなくなった。
イーブイ「ブ、ブイッ……」グルングルングルン
ハウ「うわー、力持ちなんだね、そのヌイコグマ!」
しんのすけ「ネネちゃん、だゾ」
ハウ「よーし、そっちがパワーならこっちはスピードで勝負だ! 行くよーライチュウ!」ヒョイッ
ライチュウ(アローラ)「ライラーイッ!!」ポンッ
しんのすけ「あれ? なんかオラの知ってるライチュウと違う」
ロトム図鑑「あのライチュウはアローラ特有の姿をしたライチュウだ。エスパータイプが加わり、サイコエネルギーで浮かんだサーフテールに普段乗っている」
しんのすけ「ふーん。なんか肌も黒いね、日焼けした?」
ハウ「パンケーキでも食べたんでしょー? さー行くよー!」
ハウ「ライチュウ! スパーク!」
ライチュウ「ライッ!」ギュン!
サーフボード型の尻尾に乗ったライチュウは急発進すると、電気を纏いながらネネに突進する!
ライチュウ「ラーイッ!」ドンッ!
ヌイコグマ『きゃあっ! なにすんのよ! 危険運転反対!』
ハウ「続いてサイコキネシスー!」
ライチュウ「ライッ!」ギンッ!
ライチュウの青い目が輝くと、ネネに怪しい波動が広がる!
ヌイコグマ『う、ううっ!』ビビビ
ジュナイパー(ボール)『マズイぞ……ネネちゃんはかくとうタイプだから効果が抜群だ!』
ヌイコグマ『うううっ!』ガクガク
ライチュウ「ライライ!」
ライチュウの念力でネネは身体を震わせて悶え苦しみながら、じっと堪える。
しかし、その我慢も限界を迎えようとしていた!
ヌイコグマ『うがあああっ!』バチッ!
ライチュウ「ライッ!?」
ハウ「サイコキネシスを自力で解いた?!」
しんのすけ「さすがネネちゃん」
サイコキネシスを力ずくで解いたネネは、怒りの形相でライチュウに向かって走り出すと、拳を振り上げた!
ヌイコグマ『おりゃあッ!!』ブンッ!
ライチュウ「ライッ!」サッ
しんのすけ「ああん外した!」
ハウ「間一髪だねー」
ヌイコグマ『このっ!』ブンブンッ!
ライチュウ「ライライッ!」サッサッ
ネネのがまんで溜まったエネルギーを込めた攻撃を、ライチュウは軽い身のこなしで次々と躱していく。
ついには、ネネの攻撃が届かないところまで距離をとった。
ライチュウ「ライラーイッ!」ギュンッ!
ヌイコグマ『ああもう! ちょこまかちょこまかと……!』ゼェゼェ
ロトム図鑑「ふん、ノロマめ」
ジュナイパー(ボール)『敏捷力は圧倒的に向こうが上だ!』
しんのすけ「あは~♪」
ジュナイパー(ボール)『それは微笑(びしょう)! 僕が言ってるのは敏捷(びんしょう)!』
ハウ「ライチュウ! 10まんボルト!」
ライチュウ「ラーイッ……」チチチチ
ライチュウ「ヂュウウウッ!!」ビリビリ!!
ライチュウの全身から発せられた電撃が、ネネへと降り注ぐ!
ヌイコグマ『あああっ!!』
しんのすけ「ネネちゃん!」
ヌイコグマ『マーマネさんの試練に続いてライチュウに電気でやられちゃうなんて……』ドサッ
ハウ「やりいー! これで残りのポケモンは同じだねー」
ジュナイパー(ボール)『動きの軽さに加えてエスパータイプか。ネネちゃんにとって相手が悪かったかもな……』
ハウ「さー! 次のポケモン出してよー! おれ、しんのすけの新しいポケモンもっと見てみたいー!」
しんのすけ「ほうほう、じゃあリクエストに応じまして……」スッ
しんのすけ「マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヨワシ(群)『オッケー! 任しときなぁ!!』ポンッ
ハウ「わー! 群れたヨワシー!? 」
しんのすけ「マサオくんだゾ」
ジュナイパー(ボール)『しんのすけ何やってるんだ! でんきタイプに対してみずタイプ出したらマーマネさんの試練と同じ事の繰り返しになるぞ!』
しんのすけ「いやー、ハウくんが見たいって言うから」
ジュナイパー(ボール)『あ、あのなあ……』
ハウ「うー、ちょっと予想外。でもー、でんきタイプだからこっちが有利だもんねー! ライチュウ、10まんボルト!」
ライチュウ「ラーイッヂュウウウッ!!」バチチチッ!
ヨワシ『うおっ! おおおおっ!?』ビリビリビリ!
ヨワシ『……はっ! こんなもの、さっきの試練と比べりゃマッサージみてえなもんだぜ! うりゃあっ!』ドッ!
10まんボルトを喰らいながら、なんとか群れを維持しつつ、マサオとその群れはライチュウに向かってみずでっぽうを発射した!
ハウ「ライチュウ、避けてー!」
ライチュウ「ライッ!」ギュンッ
ヨワシ『逃がすかよ!』
マサオは放っているみずでっぽうの形を一点に集中させた直線状のものから、広範囲に及ぶ扇状に変えた。
さしものライチュウもこれには避けきれず、みずでっぽうを受けてしまう!
バシャッ!
ライチュウ「ラ、ライッ!」フラッ
しんのすけ「いいぞーマサオくん!」
ヨワシ『褒めたって何も出ねえよ! このまま押し潰してやるぜ!』
みずでっぽうを受けてバランスを崩したライチュウにマサオは接近すると、身体を大きく一回転させた!
群れたマサオの巨大な尾ひれ(の形になったヨワシたち)がライチュウに迫る!
ズズンッ!!
ライチュウ「ライーッ!!」
大地が揺れて、ライチュウが地面にめり込む!
ライチュウ「ラーイッヂュウウウッ!!」ビリビリ!
しかし、ライチュウも負けじとめり込んだまま、10まんボルトをマサオに流し込む!
ヨワシ『ぐぁぁぁっ!』バチチチチッ!
ジュナイパー(ボール)『マズイ! ヨワシたちが離れつつあるぞ!』
ハウ「ふうっ! もう少しで群れはいなくなりそうだねー」
ヨワシ『このままヤツをチカラずくでねじ伏せてやるぜ!』
しんのすけ「ほうほう、押しの強いゴーリキー、略してゴリ押しですな」
ハウ「ライチュウ! マサオをかく乱しながらもう一度スパークだー!」
ライチュウ「ラーイッ!」ギュンッ!
ヨワシ『!』
ライチュウは全身に電気を纏いながら、空中を素早く舞ってマサオを惑わしていく。
マサオを纏うヨワシたちも、必死でライチュウの姿を目で追っていく。
ハウ「今だよー!」
ライチュウ「ライッ!」ドッ!
ヨワシ『しゃらくせえ!!』ブンッ
マサオの背後に回ったライチュウがスパークを出したと同時に、マサオも身体を勢いよく回転させてしなりをつけながら尾ひれを動かす!
ライチュウ「ライヂュュウッ!」バチチチッ!
マサオ『おりゃああああ!!』ブンッ!
ドッゴォォッ!!
ヨワシ(単)『うわーっ!』
ライチュウ「ライーッ!!」
ドサッ
ジュナイパー(ボール)『マサオくんを纏っていたヨワシの群れとライチュウが同時に吹っ飛んだ!』
ライチュウ「ら……ライ……」オメメグルグル
ハウ「わー、そのまま倒せると思ったのに!」
ヨワシ『はあ……はあ』
ハウ「んー……マサオの群れはいなくなったけどー、代わりにライチュウが倒れちゃったかー。群れたヨワシってやっぱりとんでもないねー!」
しんのすけ「まあね」
ハウ「でもーそっちのヨワシも群れがいなくなったから結果オーライだよねー!」スッ
ハウ「さぁ、出番だよー! ニャヒート!」ヒョイッ
ニャヒート「ニャー!」ポンッ!
ヨワシ『ひいい~っ、これって戻ったほうがいいよね』
ヌイコグマ(ボール)『戻んなくて平気よ! なんのためのみずタイプよ』
ジュナイパー(ボール)『そうだね。いくら群れがいなくなっても、君はみずタイプ。ほのおタイプのニャヒートに対して、優位に立てられるよ!』
しんのすけ「魚が猫に勝つ絵面ってなんとなくかっこいいかも」
ヨワシ『そ、そうかな? よーし! 来いっ!』
ニャヒート「ニャッ!」バッ!
ガプッ
ヨワシ『ひえええ助けてぇぇ~!』
ニャヒート「ニャ~」カプカプ
しんのすけ「早っ!」
ハウ「あははー食べちゃダメ、食べちゃダメだよーニャヒート」
ロトム図鑑「マサオ加えたニャヒート追いかけて、か」
ニャヒート「ニャッ」ペッ
ヨワシ『うう……』
ジュナイパー(ボール)『タイプ相性でどうなるかと思ったけど、さすがに無理か……。しょうがない、しんのすけ、僕を出すんだ!』
しんのすけ「ほーい! というわけでマサオくんチェンジね」シュンッ
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『最初に戦った時は負けたけど、今度は勝つぞ!』ポンッ
ハウ「ん……カザマ、ジュナイパーに進化したんだねー! おれのニャヒートより先に進化するなんてやるなー!」
ニャヒート「ニャー……」
ハウ「よーし、おれも負けてられないねー! ニャヒート、ひのこ!」
ニャヒート「ニャーーッ!!」ボッボッ!
ジュナイパー『新技の威力、見せてやる!』スッ!
カザマは片翼に影の矢羽根を3つ作り出すと、それを素早くつがえて放った! カザマのかげぬいが空を切り、ニャヒートのひのこを2つの矢羽根が打ち消し、最後の1つがニャヒートの影に突き刺さって爆発を起こす!
ドゴォォン!!
ニャヒート「ニャッ……!」
ハウ「ニャヒート! そのままほのおのきばだー!」
ニャヒート「シャーッ!」クワッ!
ジュナイパー『!』
爆風に煽られながらも、ニャヒートが大きな口を開けながら、炎をまとった牙をむき出しにカザマへ迫る!
ジュナイパー『おっと、そうはさせるか!』ブンッ!
ニャヒート「ニャアッ!!」ザクッ
しんのすけ「おーかっこいい! 今の居合抜き見たいのなに?」
ジュナイパー『リーフブレードさ! 一度コレやってみたかったんだ!』
ハウ「やっぱそう簡単に行かないかー! それならー!」
バッ バッ ボウッ ボウッ ゴウッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
ニャヒートは Zパワーを 身体に まとった!
ニャヒートが 解き放つ
全力の Zワザ!
ダ イ ナ ミ ッ ク フ ル フ レ イ ム !
ジュナイパー『Zワザか!』
ハウ「ゴーゴー! ニャヒート!」
ニャヒート「フシャアアアッ!!」ゴウウウッ!
ニャヒートは身を固めると、炎を纏い始めた!
そして、ニャヒートが巨大な火球そのものになると、カザマに向かって猛進してきた!
ジュナイパー『……!』
カザマは火球に飲み込まれると、そのまま火球は風船のように膨らんでいき、そのまま大爆発を起こした!
ドゴォォォッ!!
ジュナイパー『うわっ……ああっ!』
しんのすけ「おわーっ! カザマくんが焼き鳥になっちゃう!」
ロトム図鑑「焼き鳥といえばせせりが食べたくなってきたな」
しんのすけ「オラはつくねがいいなぁ」
ロトム図鑑「ふっ、まだまだお子様よのう」
ジュナイパー『お前ら僕の前でなんて会話してるんだ!』シュウウウ
しんのすけ「おおっ、生きてた!」
ハウ「おれとニャヒートのゼンリョクを受けても倒れないなんてー……」
ジュナイパー『結構……ギリギリ、だけどね』
ジュナイパー『しんのすけ! 僕たちもZワザだ! 博士からもらったZクリスタルを使ってみようよ!』
しんのすけ「おっけー!」
しんのすけ(あれっ? でもZワザのポーズ教わってねーや。ケツだけ星人にしちゃお!)
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
ジュナイパー(なんなんだそのポーズ……)
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
ジュナイパー『気を取り直して――行くぞッ!』バサッ
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
ジュナイパー『気を取り直して――行くぞッ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にニャヒートへ急降下する!
そしてニャヒートに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がニャヒートや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
ドッゴォォォォン!!
ニャヒート「ニャアアアッ!!」
ドサッ ゴロゴロッ
ニャヒート「ニ……ニャア」
ハウ「……!」
ジュナイパー『――っふう! 結構危なかったな』
しんのすけ「イエーイ、オラたちの勝ちー!」
ハウ「うんー、いい勝負だったー! しんのすけの新しいポケモンもごきげんだねー」
ハウ「ポケモン勝負ってさー、勝ったり負けたりだからー、楽しまなきゃ損だよねー」
しんのすけ「そう? なんかさっきマサオくんとかカザマくん出した時のハウくん、なんか楽しむより焦ってたように見えてたけど」
ハウ「えー? そうかなー?」
しんのすけ「うん、なんだか……『まくれまくれ! あ゛ー負けたー』みたいな」
ハウ「うー……競馬じゃないんだからー」
ハウ「……なーなー、しんのすけってーカプ・コケコから石をもらったんだよねー」
しんのすけ「そうだよー。どうせならサインもくれたらよかったのに」
ハウ「でも、周りから石をもらった事とか、5歳で島巡りってすごいとか言われてー結構プレッシャーにならないー?」
しんのすけ「プレッシャー? 別に?」
ハウ「ホントー?」
しんのすけ「でもー、島巡りしてライチおねいさんとかビッケおねいさんにぃ、ルザミーネおねいさんに褒められたのは嬉しいですなぁ~あは~」
ハウ「……」
ハウ「おれ、しんのすけのそーゆー自分に正直で素直なところ、羨ましいなーって思うー」
しんのすけ「いやーそれほどでも。ハウくんも素直になれば?」
ハウ「うんー! 勝負してくれてありがとーしんのすけ! ポケモン、元気にしてあげるねー」
???「軽く見られていいなら、せいぜい騒がしくしてな……」
しんのすけ&ハウ「!」
グラジオ「……」
ハウ「わー! でたー!!」
しんのすけ「……誰だっけ?」
グラジオ「……」ジロッ
ハウ「スカル団の用心棒の人だよー!」
しんのすけ「あ、クジラくんかぁ!」
グラジオ「……クジラじゃない、グラジオだ」
グラジオ「ところで、スカル団がコスモッグというポケモンを探している……。オマエら、なにか知っているか?」
しんのすけ「オラ知っt……ムグッ」
ハウ「お、教えないよー!」
グラジオ「……フッ、コスモッグ自体は強くないポケモンだ。だが、あいつはとんでもないポケモンを呼びよせかねない……。なにかあれば、アローラに災厄が訪れるぞ……!」
ハウ「災厄って、ひどいことー? もしかして……」ゾォォッ
しんのすけ「…………」
~しんのすけの妄想~
おとなのおねえさん「ぎゃおー食べちゃうぞー!」グワー
バトルガール「たかいたかいしてやるー!」グイッ
ビキニのおねえさん「ふみつけてあげる!」フミッフミッ
~妄想終了~
しんのすけ「うひゃーたまりませんなぁ///」
グラジオ「お前はナニ考えてるんだ……!」
ハウ「じゃあ、どうすればいいのー?」
グラジオ「……コスモッグを知っているなら、守ってやれ! まがりなりにもスカル団の用心棒をしているが、これだけはアドバイスしてやる」
グラジオ「コ ス モ ッ グ だ け は 守 れ ッ ! !」ギンッ
しんのすけ&ハウ「……」
スタスタ
ハウ「どういうことー? それに、どこに行くのー!?」
グラジオ「……それにしてもスカル団、コスモッグの存在をどこで知ったというのだ?」ブツブツ
ハウ「行っちゃったー……」
ハウ「とにかく、リーリエとコスモッグを守ればいいんだよねー!! よーし! 次の試練もこなして、もっともっと強くなるー!」ボッ
しんのすけ「うーん、オラはそろそろ晩ご飯を食べたい気分」グゥ
カプの村
ハウ「しんのすけー」
しんのすけ「お?」
ハウ「おれさー島巡りをこなして、カプ・コケコに認められ、しまキングになるんだー!勝ち負けを競いつつも、楽しいポケモン勝負を広めたいしさ」
しんのすけ「ハウくんならしまキングになれるよ」
ハウ「ほんとー?」
しんのすけ「タブンネ」
ハウ「」ズルッ
ハウ「多分かよー。でも、ありがとーしんのすけ。いっしょにチャンピオン、めざそーね!!」
しんのすけ「おねいさんにモテモテになるためやってやりますか。で、オラたち、どこに向かってるんだっけ?」
ハウ「エーテルハウスでしょー? しんのすけもアセロラの試練受けるんじゃないのー?」
しんのすけ「おおっ、こってり忘れてた! あれ? ハウくんもアセロラちゃんとお尻合いなの?」
ハウ「うんー場所を教えてもらったのー」
ハウ「ねーほら、あれ! あれがラナキラマウンテンの入口なんだよー」ユビサシ
しんのすけ「なんかエレベーターみたいなのがあるね」
ハウ「博士が言ってたんだけど、あれでちょっと登ったあと、雪の中を歩いててっぺんまで行くらしいよー」
ハウ「そういえば、ラナキラマウンテンのてっぺんにポケモンリーグができるらしいねー。遠い地方にあるポケモンリーグにはー、四天王と呼ばれるめっちゃ強いトレーナーが4人いるんだってー!」
しんのすけ「オラ知ってる! カスカベ地方にも四天王がいるもん」
ハウ「四天王としまキングって、どっちが強いのかなー? なんかワクワクするよねー!」
しんのすけ「そりゃカスカベの四天王が一番でしょ! アクション仮面なんてチャンピオンだもん」
ハウ「へぇー、四天王なら本気のじーちゃんと戦わせてみたいなー」
しんのすけ「うんうん、きっといい勝負を繰り広げるでしょうな」
ハウ「カスカベ地方も、島巡りできるかなー? 行ってみたいなー」
しんのすけ「ハウくんもカスカベ地方においでよ。なんもないけど楽しいところだから」
ハウ「あははーなんか矛盾してるよそれー!」
カプの村 エーテルハウス
ハウ「おー! しんのすけ、エーテルハウスだねー!」
しんのすけ「ここがあの女のハウスね!」
ハウ「さ、入ろ入ろー! アローラ!」プシュー
しんのすけ「おじゃましますとらいくはばったーあうと」
子供たち「!」
しんのすけ「あれ? アセロラちゃんいないの?」
男の子「知らないヤツだ!」
女の子「ポケモンしょうぶね!」
ハウ「えー? えー!?」
子供たち「アセロラねーちゃんの留守を守るー!!」
ヤングース「きゅう!」ガブッ
ハウ「うわー! なんか噛まれたー!」ジタバタ
女の子「まいったかー!」
しんのすけ「正義は勝つのだ! ワッハッハッハッ!」
男の子「ワッハッハッハッ……あれ?」
ハウ「しんのすけはこっちの味方でしょー?」
プシュー
アセロラ「ただいま! おー! もう仲良くなってる! しんちゃんとハウくん一緒に来たんだね!」
ハウ「痛いほど仲いいのかー」ダラー
しんのすけ「頭から血ィ出てるよ。あれ? リーリエちゃんは?」
アセロラ「ハプウちゃんと一緒! そのうち来るんだって。その間に試練を終わらせてみんなでご飯作ろうよ!」
ハウ「おーいいねー! みんなでご飯食べれば楽しいもんねー」
しんのすけ「ハウくんは現在進行形で食べられてるけどね」
ナニヲスルノデス、ヤメテクダサイッ!>
アセロラ「なんだろう? 外に誰かいるみたい」
しんのすけ「お祭りかな? オラ見てくるー」ダッ
プシュー
したっぱB「だってよ……! メレメレの時もおまえのバッグ動いたじゃないッスカ! なに入ってるか気になるじゃないスカ!」
しんのすけ(お、リーリエちゃんとスケスケおパンツ団だ! よーし)スーッ
リーリエ「触らないでください!」
しんのすけ「……」フリフリ
リーリエ(しんちゃん……?)
しんのすけ「……」シーッ
リーリエ「……」コクコク
したっぱB「珍しいポケモンなら、奪ってお小遣い稼ぎしたいっスカ。珍しくないポケモンでも、ちょいお小遣い稼ぎしたいのがスカル団の心理じゃないッスカ」
リーリエ「そ、そんなの勝手です!」
しんのすけは気配もなくしたっぱの真後ろに立つとしゃがんで両手を合わせ、人差し指と中指を立てた。そして鈍感なしたっぱのお尻に両手を狙い澄ますと……。
したっぱB「お前の理屈なんて知ったことじゃない――」
しんのすけ「アクションカンチョービーム!!」
ズ ボ ッ !
したっぱB「スッカァァァァァァァ!!」
しんのすけ「おー飛んだ飛んだ」
したっぱB「」ビクビクッ
リーリエ「え? えぇ?」キョトン
したっぱB「カンチョーくらって、カンショーに浸るっスカ……」
しんのすけ「覚えてろ!」
したっぱB「それこっちのセリフでスカら!」フラフラ
リーリエ「はあ……しんちゃん。ありがとうございます……!」
しんのすけ「おケツが大したことなかったから、ラクショーでした」
リーリエ「トレーナー気分を味わいたくて、歩いていたんです。ハプウさんとお別れして……。そうしたらほしぐもちゃんが、バッグからでようとしちゃって……」
リーリエ「ほらあなたも、しんちゃんにお礼を」
ほしぐもちゃん「ぴゅう!!」
しんのすけ「んもー勝手に出ちゃ危ないでしょ。ケツだけ星人見せてあげないよ?」
ほしぐもちゃん「ぴゅ……」
リーリエ「それは見せなくていいです……」
しんのすけ「ずっと気になってたんだけどさー。なんでほしぐもちゃん、ボールん中入れないの? 入れるの嫌なの?」
リーリエ「そういうわけじゃないんです。……この子、なぜかモンスターボールを使っても入らなくって。バーネット博士によると、モンスターボール側がほしぐもちゃんをポケモンとして認識していないようで……」
しんのすけ「ふーん、大変なんですなぁ、ほしぐもちゃんも」
ほしぐもちゃん「ぴゅうぴゅう!」
リーリエ「それで、私からもお礼を。島巡りに役立てばうれしいのですが……」つ やみのいし
しんのすけ「なにこれ?」
ロトム図鑑「それはやみのいしだ。ほのおのいしのように、ポケモンを進化させられるぞ。売ったらちょっとした小遣いになるからくれ」
リーリエ「地域センターの掘り出し物市で見かけて、つい……」
しんのすけ「また寄り道したんだな」
ウィーン
アセロラ「あ、リーリエちゃんとしんちゃん? なんか騒がしかったから来ちゃった! 何があったの?」
しんのすけ「スケスケおパンツ団をカンチョーで倒してた」
アセロラ「スケスケおパンツ?」
リーリエ「スカル団、です。実はかくかくしかじかで……」
アセロラ「それは大変な目にあったねー。くたびれちゃったでしょ? エーテルハウスで休んでってよ」
リーリエ「はい、アセロラさん。お言葉に甘えますね!」
アセロラ「しんちゃん! アセロラの試練は、カプの村から行くんだよ! ついてきて!」
しんのすけ「ほいほーい!」
リーリエ「試練、頑張ってくださいね。応援してます」
スーパー・メガやす跡地前
アセロラ「はーい! アセロラの試練する場所はここです!」
しんのすけ「なんかこわーい。ここじゃなくて別のところにしようよ」
アセロラ「しんちゃんはこれまでの試練を達成したんでしょ? 男の子なんだから、怖がらない怖がらない!」
アセロラ「では、どんな試練か説明しちゃいます! 跡地には、ゴーストタイプのポケモンがたくさんいるんだ。アセロラの試練はね、ここのぬしポケモンを、ポケファインダーで撮影することです!」
しんのすけ「じゃあ撮るよー。はい、チーズ!」
アセロラ「チーズ……って、アセロラちゃんを撮ってもしょうがないでしょ!」
ロトム図鑑「ぬしポケモンって、どんなポケモンだ?」
アセロラ「ナイショ。ヒントをいうと、ピカチュウにそっくりなポケモンだよ! 跡地にはぬしポケモンと同じ種類のポケモンが住んでるけど、ぬしポケモンは特有のオーラをまとっていて、ちょうどアセロラの腰までありそうなくらい大きいから違いはひと目でわかるよ!」
アセロラ「じゃあ、ちょっとロトム図鑑借りるね。ゴーストタイプのポケモンを写せるようにしてあげるから」
しんのすけ「ほい」
ロトム図鑑「丁寧に扱えよ」
アセロラ「ヘヘ、ロトムもゴーストタイプのポケモンだもんね! ここをこうしてっと!」カチャカチャ ピピピ
ロトム図鑑「ああん……そこダメェ///」
アセロラ「気色悪い声出さないでよ。はい、これで大丈夫」ハイ
アセロラ「じゃ、跡地に入ればアセロラの試練、はじめ! だからね。終わったら晩ご飯だからガンバって!」
しんのすけ「ほーい……怖いなぁ」シブシブ
試 練 開 始 !
ギィ……
メガやす跡地に入るしんのすけ。それを建物の窓から覗く、謎の影が……
???『……ボー』
今日はここまで。
次回の更新は明日の夜。
ポケモンダイレクトでサンムーンの続編出るのだろうか……。楽しみでもあり、不安でもあります。
じゃ、そゆことで~
【おまけ】
気がつくと、ネネは草原に立っていた。
空には赤い月が浮かんでおり、夜空を赤黒く照らしていた。
ヌイコグマ『ここ……どこかしら?』
???『……ネネちゃん』
ヌイコグマ『だ、誰っ?!』クルッ
ピッピ人形「……」
ヌイコグマ『ピ……ピッピさん?』
ピッピ人形『そうだよ……やっと会えたね。へへー♪』フラフラ
ヌイコグマ『ひっ……! 』
ピッピ人形『ねぇ、ネネちゃんは、ずっと私を殴り続けているよね? なんで? なんで?』
ヌイコグマ『え……あの、その……』
ピッピ人形『なんで? なんで? な ん で ?』
ヌイコグマ『ひ、酷いことしてごめんなさい!』
ピッピ人形『ダメダメ、全てのピッピ人形の名にかけて、絶対に許さない』
ピッピ人形『大昔から言われてるでしょ? 人形をいじめたらバチが当たるって!』
そう言うと、ピッピ人形は突然巨大化して、ネネに覆いかぶさってきた!
ヌイコグマ『ぐ、ぐるじい……! だずげで! もう殴ったりしないから……』グググッ
ピッピ人形『殴ったりしない? 私はあなたに殴られ続けて、殴られることが存在意義になっちゃったのよーー!』
ヌイコグマ『じゃあどうしたらバチが当たらなくて済むの?』
ピッピ人形『そうねえ、あなたには生きて私を殴ってくれないと困るの。だから、これからのポケモン勝負に勝ち続けなさい』
ヌイコグマ『勝てば……勝てばいいのね?』
ピッピ人形『負けるのは許さないから。ポケモン勝負で最低でも1匹は倒しなさい。分かった?』
ヌイコグマ『は、はいっ!』
ピッピ人形『へへー♪ ネネちゃんが勝ち続けて私を殴ってくれるの、楽しみー』スッ
へへー♪ 楽しみ楽しみ
へへー♪ 楽しみ楽しみ
もし約束破ったら……ネネちゃんを私のものにしちゃうから
へーへーへー♪
……
ヌイコグマ『……ハッ! なんだ夢か』
ヌイコグマ『よかった、嫌な夢、見ちゃったな……』
ヌイコグマ『……ピッピ人形さん。まさか、ピッピ人形さんがまさか、ねぇ』
ふと、ネネは上を向いていた顔を前に向けると、そこにはピッピ人形が腹に乗っていた。
ピッピ人形「」
ヌイコグマ『ひいっ! いやあああああ!!』
へーへーへー♪
スーパー・メガやす跡地
しんのすけ「ううっ、なんだかおまたが寒くなってきてる……」ブルブル
ジュナイパー(ボール)『それを言うなら背筋が凍る、だろ』
ヨワシ(ボール)『ひいい……でもホントに暗くて寒くて怖いよぉ』
ヌイコグマ(ボール)『みんな情けないわね、こんなのさっさと終わらせればいいじゃない』
ロトム図鑑「さっきポケチューブで『悪夢の赤い霧』を見たせいで余計こわい……」
ジュナイパー(ボール)『お前ゴーストタイプだろ……僕もだけどさ』
ヌイコグマ(ボール)『あら? カザマくんってくさ・ひこうじゃなかったっけ?』
ジュナイパー(ボール)『進化してゴースト・くさになったんだ。こおりタイプに少し強くなって、ノーマルとかくとうタイプの技が効かなくなったのはおおk……』
ガタタッ!!
しんのすけ「うわっ!」ビクッ
ジュナイパー(ボール)『ひっ!』ビクッ
ロトム図鑑「お、おい……今の音はなんだ?」ガクガク
ガタタッ! ガタタッ!
ヨワシ(ボール)『ひいい~っ! なんか動いてるよぉ!』
しんのすけ「よし、マサオくん! 見てくるんだ!」
ヨワシ(ボール)『え~っ!? やだよぉ! カザマくん行ってよ!』
ジュナイパー(ボール)『なんで僕が! こういう時はレベルの高いネネちゃんが行くべきだろ!』
ヌイコグマ(ボール)『なんでよ! か弱い女の子を行かせるなんて最低! 最近役に立ってないぶりぶりざえもんが行きなさいよ!』
ロトム図鑑「ふざけんな! 私はか弱いロトム図鑑だぞ! したっぱのキサマらが行くべk」
ユラッ
ヌイコグマ(ボール)『 行 け 』
ロトム図鑑「ブ……ブキッ」
しんのすけ(ネネちゃん、ボールの中でピッピ人形殴ったな)
~結局ロトム図鑑が行くことに~
ロトム図鑑「…………」ソロソロ
しんのすけ「ぶりぶりざえもーん、調子どう?」
ロトム図鑑「うるさい! 話しかけんな! 気付かれちまうだろ!」
ジュナイパー(ボール)『何にだよ……』
ヨワシ(ボール)『もしかして幽霊? ひいい……』
ロトム図鑑(……このカートが動いたのか?)
ガタタッ!
バッ!
ゴース「イッショニノロワレーーッ!!」
ロトム図鑑「ぎゃああああ!」
しんのすけ「うわわーっ!」ダダダッ
ロトム図鑑「待て! 置いてくな!」
しんのすけ「あーびっくりした」ドックンドックン
ロトム図鑑「というか、ここはどこだ?」
ジュナイパー(ボール)『もとはスーパーだから、そんなに広いはずはないけど……』キョロキョロ
フワフワ
ロトム図鑑「お、おい……今度はぬいぐるみが浮かんでるぞ」ブルブル
しんのすけ「わはは、時代遅れだなぁ。最近のぬいぐるみはホバー機能つきなんだよ」ガクガク
ジュナイパー(ボール)「そっちのほうがありえないだろっ!」
???『……気付いた』
しんのすけ「わ゛ーっ今度は誰かの声が聞こえたー!」ビクッ
???『落ち着いて』
しんのすけ「……え?」
ガサッ
???『ごめんごめん、驚かせるつもりはなかった』
しんのすけ「ボーちゃんの声だ!」
モゾモゾ
???『……ボ』
しんのすけ「……ピカチュウ? なんかぬいぐるみみたーい」
ジュナイパー(ボール)『ミミッキュだ! ピカチュウを模した布を被っているゴーストポケモンだよ!』
しんのすけ「ほうほう」
ミミッキュ(ボーちゃん)『きみ、ボールの中のポケモンと会話してたね。ポケモンと会話出来る人はとっても珍しいから、ついて来た』
ポンッ
ジュナイパー『君がぬしポケモンなの?』
ミミッキュ『ううん、僕じゃない。ぬしポケモンは僕と同じミミッキュだけど、あの部屋のなかにいるよ』スッ
ミミッキュが鼻水のように垂らした影を手の形に変えて示した先には、閉ざされた両開きの扉があった。
ジュナイパー『あの中か……』
しんのすけ「ねぇねぇ、石集めるの、好き?」
ミミッキュ『うん、好き』
しんのすけ「わーい! やっぱりボーちゃんだ!」キャキャ
ミミッキュ『ボーちゃん……?』
ジュナイパー『おいおい、試練中はポケモン捕まえちゃダメだぞ。ルールなんだから』
しんのすけ「えー? したかない、じゃあお近づきの印にどうぞ」つ やみのいし
ミミッキュ『ボ! いいの?』キラキラ
しんのすけ「けっこうけっこう、かぷこけこー!」
ミミッキュ『ありがと、このお礼は試練が終わったあと、必ずするから。じゃ、また後で』
モゾ モゾ
しんのすけ「最後にボーちゃんが見つかってよかったー」
ヌイコグマ(ボール)『間が悪かったわねぇ、試練じゃなかったらゲットできたのに』
ヨワシ(ボール)『でも、もし仲間になってくれたら、もっとにぎやかになって楽しくなるね!』
ジュナイパー『そうしたら4人目の仲間だよ、試練が終わったら、また会いに行こう!』
みんな『「おーーーっ!」』
そして扉の前にやってきたしんのすけたち――。
ロトム図鑑「というわけで、ここにぬしポケモンがいるわけだな。さっさと撮って引き上げようぜ」
しんのすけ「おうっ」
ジュナイパー(ボール)『さっきまでみんな怖がってたけど、仲間になりそうなポケモンが見つかって、やる気になってる。いいぞ、この調子で達成しちゃおう』
ギィーッ
しんのすけ「なんかせまーい」
ロトム図鑑「壁に写真が貼り付けてあるな……ピカチュウばっかりだ」
しんのすけ「ほうほう、いわゆるピカチュウ推しって奴ですな」
ギロッ
しんのすけ「!」クルッ
ミミッキュ「…………」
しんのすけ「おわっ、ボーちゃん? いるならいるって言ってよね」
ミミッキュ「……」スッ
ロトム図鑑「なんだ? さっきとは様子が変だぞ」
ジュナイパー(ボール)『さっきのミミッキュとはサイズが違う! こいつがぬしポケモンだ!』
ミミッキュ「ミ タ ァ ァ ァ !」ゴウッ!!
メガやす跡地 ぬしポケモン
ミミッキュ 出現!
しんのすけ「おおっ、ぬしポケモンだったのかー! よーし、マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ(群れ)『おうっ! 任せとけぃ!』
ヨワシ『ぶっ潰してやるぜ! オラッ!』ブッシャーッ!
マサオの口から、いつもの水鉄砲とは比べ物にならない威力の水が勢いよくほとばしる!膨大な量の水が、ミミッキュに押し寄せる!
ドドドドド!!!
ミミッキュ「タ……ッ!」
しんのすけ「おおっ! 新しい技?」
ロトム図鑑「あれはハイドロポンプだ。みずタイプ最強の技だぞ」
しんのすけ「おおっ、すげー!」
シュウウウ……
しんのすけ「やっつけたのかな?」
ヨワシ『へっ、これ食らって生きてられる奴は――』
部屋から水が引くと、そこには無傷のミミッキュが立っていた。先ほどと様子が違うのは、被っているピカチュウの首が傾いているだけだった。
ミミッキュ「キュー」コテン
ヨワシ『……いないはずなのに』
しんのすけ「ダメだなぁマサオくん」
ヨワシ『ンな馬鹿な! オレは確かに攻撃を当てたぜ!』
ミミッキュ「ミ タ ァ ー ッ ! !」
スゥーッ
ゴースト「タマシイヨコセーッ!!」カッ
呼び出されたゴーストの目が怪しく輝く!
ヨワシ『――あ』クラッ
しんのすけ「マサオくん……?」
ヨワシ「……ZZZ」
しんのすけ「どうしたの? マサオくん!」
ジュナイパー(ボール)『催眠術だ! マサオは眠らせられたんだ!』
ミミッキュ「キューッ!」ジャキンッ!
ゴースト「ケケケーッ!」ブゥゥン
ミミッキュが影の爪で切り裂くことで、ゴーストはナイトヘッドでマサオを纏うヨワシを散り散りにしていく!
ヨワシ『う、うう……痛いよネネちゃん……!』
しんのすけ「マサオくん! 起きなさい! 朝ですよーっ!」
ロトム図鑑「ジリリリリリリ!!!」(※アラーム音)
ミミッキュ「タタリーッ!」ジャキンッ!
ズバッ!
バララッ
ヨワシ(単)『ご、ごめんなさい、ボクの甲斐性が悪いだけだから……離婚届は出さないで』
しんのすけ「あ~ん、群れが散っちゃった……!」
ロトム図鑑(夢の中でもリアルおままごとか)
しんのすけ「じゃ、しょうがない。ネネちゃんに頑張ってもらおうかな」スッ
ジュナイパー(ボール)『いや、待ってくれ。僕を出して欲しい』
ヌイコグマ(ボール)『なんでよ? しんちゃんが出てって言うんだからいいじゃない』
ジュナイパー(ボール)『ネネちゃんの攻撃技って、ほとんどノーマルとかかくとうタイプがほとんどだろ? 相手はゴーストタイプだから、ダメージが通らないんだ』
ヌイコグマ(ボール)『そんなの、やってみなきゃ分からないでしょ? ホントは出番が欲しいだけじゃないの?』
ジュナイパー(ボール)『そうじゃないって、ホントのことだよ!』
しんのすけ「オラどっちでもいいんだけど……」
しんのすけ「ま、いいや、適当に投げちゃお」ヒョイッ
ポンッ
ジュナイパー『よーし、いい判断だぞしんのすけ!』
ヌイコグマ(ボール)『けっ、次は絶対ネネが出るんだから』
ゴースト「ヒヒヒ……!」カッ
ジュナイパー『眠らされるのはまずい! 目を閉じなきゃ!』ギュッ
カザマが目を閉じたと同時にミミッキュが飛び出して、影の爪でカザマの身体を切り裂く!
ミミッキュ「キュッ!」ブンッ
ジュナイパー『ぐあっ!』ザクッ!
ジュナイパー(先にゴーストをどうにかしないと、同じことの繰り返しだ!)
ジュナイパー『喰らえ、かげぬい!』バッ
ゴースト「ヒッ!?」ドゴンッ!
ミミッキュ「キュウウウッ!」ゴウッ
ミミッキュが影の手を作ると、カザマの両翼を模して、黒いオーラを放つ弓矢を放った!
ドスッ
ドガァァン!!
ジュナイパー『うわぁぁぁっ!』
ジュナイパー『い、今のはかげぬい!? しまった、これじゃ動けない!』
しんのすけ「カザマくんの技をパクったのか」
ロトム図鑑「まねっこか」
ゴースト「ゾゾンビーッ!」カッ
ジュナイパー『うっ、マズイっ!』メヲトジルッ
ミミッキュ「キュッ!」ブンッ
ジュナイパー『うわぁぁっ!』ザクザクッ
ロトム図鑑「袋叩きか。カザマならぬ無様な姿よのう」
ヌイコグマ(ボール)『だからあたしに任せてって言ったのに……』
しんのすけ「困りましたなー」ウーム
――ゴースト「タマシイヨコセーッ!!」カッ
――ゴースト「ゾゾンビーッ!」カッ
しんのすけ「そーだ!」ピーン!
しんのすけ「ぶりぶりざえもん、ちょっといい?」
ロトム図鑑「おいっ、ポケファインダーにしてなにをするつもりだ」ピコピコ
しんのすけ「えーっと、自撮りモードってこれだっけ」
ゴースト「チニウエテイルッ!」カッ!
ジュナイパー『くっ……このまま何もできないまま、やられちゃうのか……?』
しんのすけ「やいっ、これでも喰らえっ!」バッ
ジュナイパー『しんのすけ……?』
ブンッ
ロトム図鑑「コラーッ! なにするんだきさまーっ!」グルグルグル!
ゴーストの目が光った瞬間、しんのすけが投げたぶりぶりざえもんのポケファインダーがさいみんじゅつを使ったゴースト自身の姿を映し出した!
ゴースト「レ!? ……ZZZ」ガクッ
ヌイコグマ(ボール)『ポケファインダーの機能を鏡代わりにしたのね!』
ジュナイパー『よしっ、しんのすけでかした!』
ロトム図鑑「私は無事じゃないぞ……!」
ジュナイパー『今度はこっちの番だっ! かげぬいをお返ししてやるっ!』バシュッ!
ミミッキュ「キュッ!?」ドンッ
ジュナイパー『しんのすけ! Zワザだ!』
しんのすけ「おーし!」
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
ジュナイパー『行くぞッ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にミミッキュへ急降下する!
そしてミミッキュに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がミミッキュや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
ミミッキュ「キュ、キュウーッ!」
しんのすけ「おーっ、効果は抜群だー!」
ジュナイパー『しんのすけ、ポケファインダーで撮るのを忘れるなよ!』スタッ
しんのすけ「おっと、ぽっきり忘れるところでした」スッ
ミミッキュ「た……たりぃ……」
カシャカシャ
しんのすけ「んー、オラおねいさんの方がいいけど、仕方ありませんか」
ジュナイパー『でもこれで、試練達成だね!』
しんのすけ「あー、やっと晩ご飯が食べられる」
ジュナイパー『さっきのミミッキュも探さなきゃね』
ロトム図鑑「まったく、ひどい目にあった……」ブツブツ
ガチャッ バタン!
ゴソッ
ミミッキュ(ボーちゃん)『ボー……あれがZワザに、Zリング』
ミミッキュ(ぬし)「きゅ……」
ミミッキュ(ボーちゃん)『やっぱり、あの子について行けば、なにかわかるかも』
メガやす跡地、入口前
ギイッ
しんのすけ「ほっほーい! 撮ってきたよー」
アセロラ「おかえり、しんちゃん! さっそく写真確認ね! どれどれ……」ピコピコ
アセロラ「うん! ミミッキュだ! あのコ、うまく撮影するの難しいのにすごい! では、試練達成の証にゴーストZをあげちゃいます!」
しんのすけは ゴーストZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
試 練 達 成 !
アセロラ「ゴーストタイプのZパワーを使うなら、こんなポーズを決めちゃってね!」
バッ バッ ヒュウウ……バァーン!
しんのすけ「ほうほう」
バッ バッ ブリブリ……バァーン!
アセロラ「おしりは出さなくていいの!」
しんのすけ「あ、そうだ! さっきオラ、ボーちゃんを見つけたんだっけ。仲間にしなきゃ」
アセロラ「ボーちゃん……って?」
しんのすけ「オラのお友達。さっきもぬしポケモンのいる奥の部屋を教えてくれたの」
アセロラ「え? もう、しんちゃんってばわたしを驚かせようとして。でもバレバレ! だって、跡地の奥に部屋なんてないんだよ……」
しんのすけ「????」
アセロラ「あれ……? なんだか冷えてきた……? って、そんなわけないか」
ジュナイパー(ボール)『え? じゃあ僕たちがあのぬしポケモンと戦っていた部屋って……?』ブルブル
???「ボー……」
しんのすけ&アセロラ「!」
しんのすけ&アセロラ「!」
ミミッキュ(ボーちゃん)『試練おつかれ』
しんのすけ「おー、ボーちゃん! 来てくれたんだぁ」
ミミッキュ『石のお礼、まだしてなかったから』
アセロラ「その子がボーちゃんなの?」
しんのすけ「まーね、石が好きで、ここらへんの黒い鼻水みたいなの垂れてるところがカスカベ地方に住んでるボーちゃんに似てるからボーちゃん」
アセロラ「そういえば、石を集めている変わったミミッキュが跡地に住んでるって話、他の島巡りの人から聞いたことあるかも」
しんのすけ「ボーちゃん、オラたちと一緒に来てくれるの?」
ミミッキュ『うん、石をくれたお礼に島巡りのお手伝いしたい。それに、外に出て知りたいこともあるから』
しんのすけ「うっひょー! 来てくれるならなんでもオーケーオーケーふろおーけー! ボーちゃん、よろしくね!」ギュウウウ
ミミッキュ『ボ!』
ジュナイパー(ボール)『これで4匹目の仲間だ! ボクはジュナイパーのカザマ、よろしくね!』
ヨワシ(ボール)『僕、ヨワシのマサオ。一緒に頑張ろうね』
ヌイコグマ(ボール)『あたしはヌイコグマのネネ。よろしくね!(仲間が増えたから、リアルおままごとでも出来ることも広がったわ! 彼にどんな役にさせようかしら?)』
ミミッキュ『よろしく』
しんのすけ「よーし! これでアローラのカスカベ防衛隊全員揃ったぞー! カスカベ防衛隊ならぬアローラ防衛隊完成だーイェーイ!」パンパカパーン
アセロラ(なんでしんちゃん、ミミッキュに向かって話しかけてるんだろう? ひょっとして、ポケモンとしゃべってるつもりなのかな?)
アセロラ「なんだかよくわからないけど、ミミッキュゲットおめでとう! この子はとっても心強い味方になってくれるはずだから、大事に育ててね!」
しんのすけ「もろちんっ!」
アセロラ「それを言うならもちろん、でしょ。じゃあエーテルハウスに戻って、晩ご飯の準備しよっか。その後はハウくんに試練を受けさせなきゃね」
しんのすけ「ほーい!」
~エーテルハウスに向かう途中、ボールの中では……~
ヨワシ『ボーちゃんってなんで石を集めてるの?』
ミミッキュ『ボ、石の不思議な魅力に惹かれたから。ほのおのいしやかみなりのいしのように進化する石もあれば、かわらずのいしのように進化させない石もある。知れば知るほど、奥が深い』
ジュナイパー『へぇー研究家なんだね』
ミミッキュ『こだわりもある。石の色、つや、形、肌触り、みんな大事。しんちゃんがくれたやみのいしは、僕が見てきた石の中でも一番だった』
ミミッキュ『ひんやりとした冷たい光沢、深淵そのものを表現したような黒さ、不安感を煽らせる複雑な形、これほど僕が惹かれた石は随分久しぶり』キラン
ヌイコグマ『だから、しんちゃんにお礼として仲間になったのね』
ミミッキュ『うん、だけど僕は、進化の石の他にも、Zクリスタルも興味がある』
ヌイコグマ『どうして?』
ミミッキュ『Zクリスタルは、人とポケモンをつなぐ不思議な石。だけど、その力は、ぬしポケモンが纏うオーラとどことなく似てたから。しんちゃんがZわざを出した時に、それを見て気になった』
ジュナイパー『なるほど、ボーちゃんはやみのいしをくれたお礼と、しんのすけのZクリスタルに興味があって仲間に加わったんだな』
ミミッキュ『うん、僕はZクリスタルとぬしポケモンがまとうオーラの秘密が知りたい』
ヨワシ『すごいなぁ、ぼくそういうの全然考えたことないや』
ジュナイパー『でも確かに、ボクも気になってたんだ。ぬしポケモンがまとうあのパワーはなんなのか――』
エーテルハウス付近
アセロラ「二つも試練があって、お疲れだったね。晩ご飯なに作ろっか?」
しんのすけ「そうですなぁ、やっぱりバカうまな焼きそばとかたこ焼きとかコロッケとかー」
アセロラ「なんでそんなにB級グルメにこだわってるの?」
しんのすけ「B級グルメにはちょっとした思い出がありましてー」
アセロラ「あれ? エーテルハウスの前に誰かいる……?」
???「……おや?」
ハウ「あ、しんのすけー! スカル団がまた来たんだよー!」
アセロラ「スカル団!?」
しんのすけ「あ、いつぞやのスケスケおパンツ団のおねいさん!」
プルメリ「スカル団のプルメリだよ! いい加減覚えな」
したっぱB「ヨヨヨー! さっきはよくもカンチョーしてくれたな!」クネクネ
プルメリ「あんたら、子供だからと舐めてたからああいう結果になったんだろ?」
プルメリ「さてと、しんのすけだったね。アーカラ島であたいが言ったことまで忘れちゃいまいね」
しんのすけ「なんだっけ?」
ロトム図鑑「一緒にハチクマン3見に行く約束だったか?」
プルメリ「誰があんたらと行くかよ!」
プルメリ「次、邪魔したら本気でやるって言ったよね? 聞いたよ、したっぱを邪魔したどころか、ボスにも因縁つけたってね」スッ
しんのすけ「そんなの向こうが勝手に突っかかってきただけだし、オラわるくないもーん。モーンスターボールー」
プルメリ「ホントにムカつく子供だね……! あんたらはそこの子供とキャプテンの足止めしてな!」
したっぱB「そういうわけでスカら」
したっぱE「ここでばっちり足止めして姉御に褒めてもらうぜ!」
ハウ「あわわーしんのすけ、気を付けてー!」
しんのすけ「だいじょぶだいじょぶ、すぐ終わらせるから」スッ
プルメリ「その減らず口、いい加減塞いでやるよ!」
スカル団幹部の プルメリが
勝負を しかけてきた!
プルメリ「行きな、ゴルバット!」ヒョイッ
ポンッ
ゴルバット「ゴルール!」バッサバッサ
しんのすけ「よーし、ボーちゃん! レッツラゴー!」
ポンッ
ミミッキュ(ボーちゃん)『ラジャ!』
プルメリ「そいつは新顔かい? 悪いけど、すぐにご退場してもらおうか。ゴルバット、あやしいひかりだよ」
ゴルバット「ゴルルッ!」バサバサッ!
パァァーーッ!
ミミッキュ『ボ……!』
ヨワシ(ボール)『た、大変だ! あの光を浴びちゃったら混乱しちゃうんだ!』
プルメリ「ゴルバット、エアカッターで痛めつけてやりな!」
ゴルバット「ゴルッ!」バサバサッ
ゴルバットが大きく翼をはためかせて空気の刃を放ち、ボーちゃんを切り裂こうとする!
キンキンキンッ!
ゴルバット「ゴル?!」
しかし、空気の刃が途中で弾かれて、空中で消滅した!
プルメリ「エアカッターが見えない何かに阻まれた……?」
ミミッキュ『ボッ!』メラッ
ボーちゃんの周りに青白い炎が出現すると、一斉にゴルバットへと襲いかかった!
ボウウッ
ゴルバット「ゴルルッ?!」メラメラ
プルメリ「チッ、おにびかい!」
ゴルバット「ゴルル……」シュウウ
更に、やけどを負っているゴルバットの背後に、影の手が素早く現れる!
ミミッキュ『えい!』
ザクッ!
ゴルバット「ゴッゴルル!?」フラッ
プルメリ「怯むんじゃないよ! もう一度、エアカッターだよ!」
ゴルバット「ゴルッ!」バサバサッ!
再びゴルバットは翼をはためかせて、空気の刃をボーちゃんに向けて飛ばした!
しかし、またもやエアカッターは透明の壁に阻まれてしまった。
プルメリ「……やっぱりね、そいつは光の壁を張っているのか。しかもその様子じゃ、混乱してないみたいだね」
しんのすけ「オオタヒカルの壁?」
ジュナイパー(ボール)『光の壁! 相手の特殊攻撃を守るバリアーみたいな技さ』
プルメリ「なら――どくどくのキバだよ!」
ゴルバット「ゴルルルッ!」バサッ
ガプッ!
ミミッキュ『ボ……!』カクッ
しかし、ボーちゃんにどくどくのキバのダメージは入らず、被っているピカチュウの布の頭部が、コテンと傾いただけだった。
しんのすけ「あれ? ボーちゃん傷ついてない?」
アセロラ「ミミッキュはね、1回だけどんな攻撃も防ぐことができる、ばけのかわって言う強力な特性を持っているの。ただばれた姿になったら、普通に攻撃が通っちゃうから気を付けて!」
ジュナイパー(ボール)『そうだったのか、だからぬしポケモンのミミッキュにマサオくんのハイドロポンプが効かなかったんだな!』
ミミッキュ『せい、やーっ!』ブンッ
ボーちゃんが空中に飛び出し、鼻水型の影を伸ばして、ゴルバットを切り裂く!
ザクッ!!
ゴルバット『ゴルッ!』
ドサッ
しんのすけ「おー、さすがボーちゃん!」
ミミッキュ『ボ』b
プルメリ「……チッ、厄介なポケモン持ってるね。だけどここからが本番さ」スッ
プルメリ「行きな、エンニュート!」
エンニュート「キーククククッ!!」
しんのすけ「どっかで見たぬしポケモンだ! ボーちゃん、イケる?」
ミミッキュ『任せて』グッ
プルメリ「エンニュート、どくどくだよ!」
エンニュート「どくどく~!」バシャッ!
ミミッキュ『――ボ!』サッ
プルメリ「そのままドラゴンクローだよ!」
エンニュート「キークッ!」ブンッ
回避直後を狙ってエンニュートが素早く飛び出し、ボーちゃんに向けて鋭い爪を立てて一閃する!
ミミッキュ『ボっ?!』ザクッ!
しんのすけ「あーっ! ボーちゃん!」
ミミッキュ『……ボ!』ギンッ
ボーちゃんの目が妖しく光った瞬間、エンニュートの全身に寒気立つような恐ろしい感覚が襲いかかった!
エンニュート「!」ビクゥ
フラフラ
ミミッキュ『……しんちゃん、ごめん。他の誰かと変わって欲しい』
しんのすけ「えっ? もう?」
プルメリ「はんっ、一発もらっただけでおしまいかい」
ミミッキュ『大丈夫、しんちゃんたちが有利になれるように『置き土産』しておいたから』
しんのすけ「おみやげ? なになに? カンタムロボ基地セットとか?」
ミミッキュ『そういう意味のおみやげ、じゃないよ』
しんのすけ「えーそうなの? ま、いいや、マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ!
ヨワシ『おうっ! このままぶっ倒してやるぜ!』
プルメリ「あの時のヨワシか。メンドーなヤツに育っちまったね」
プルメリ「まぁいいさ、エンニュート! メロメロにしちまいな!」
しんのすけ「メロメロン?」
エンニュート「ウッフゥーン」クネッ
しんのすけ「……え?」
エンニュートが取ったセクシーなポーズに、しんのすけは目が点になった。
しかし、マサオには……。
ヨワシ「」ズッキューン
>>554 修正
プルメリ「そのままシャドークローだよ!」
エンニュート「キークッ!」ブンッ
回避直後を狙ってエンニュートが素早く飛び出し、ボーちゃんに向けて影に染まった鋭い爪を立てて一閃する!
ミミッキュ『ボっ?!』ザクッ!
しんのすけ「あーっ! ボーちゃん!」
ミミッキュ『……ボ!』ギンッ
ボーちゃんの目が妖しく光った瞬間、エンニュートの全身に寒気立つような恐ろしい感覚が襲いかかった!
エンニュート「!」ビクゥ
フラフラ
ミミッキュ『……しんちゃん、ごめん。他の誰かと変わって欲しい』
しんのすけ「えっ? もう?」
プルメリ「はんっ、一発もらっただけでおしまいかい」
ミミッキュ『大丈夫、しんちゃんたちが有利になれるように『置き土産』しておいたから』
プルメリ「そして、もう一度どくどく!」
エンニュート「どくどく~!」バシャッ!
ヨワシ「」ビシャッ!
しんのすけ「あーんマサオくん、なんで避けないの!」
ヨワシ『あ、あはは……天使が見えるよ』
しんのすけ「はぁ? いいから早く攻撃してよー!」
プルメリ「無理だね、そいつはエンニュートに夢中になっちまってるのさ。きっとオスだろうとアタリを付けてたよ」
しんのすけ「どゆことー?」
ロトム図鑑「恋の虜だ」
しんのすけ「片栗粉?」
ハウ「つまりマサオはー、エンニュートのメロメロで好きになって攻撃しにくくなっちゃったんだよー! しんのすけがおねいさんに攻撃できないのと一緒!」
しんのすけ「マサオくん……趣味悪っ」
プルメリ「さて、反撃と行こうか。ドラゴンクロー!」
エンニュート「キークククッ」ゼェゼェ
ブンッ
ヨワシ『い、いたいって、じゃれつかないで~』ザクッ
ヌイコグマ(ボール)『あぁもう、なにやってるのよあのバカッ!』
プルメリ「もう一度やりな! ぶっ倒れるまで続けるんだ」
エンニュート「キクーッ!」ハァハァ
ブンッ
ヨワシ『もうっ、エン子ちゃんったら~マイスイートハニー』ザクッ デレデレ
しんのすけ「だめだこりゃ」
ヌイコグマ(ボール)『しんちゃん! あたしを出して! あいつの根性叩き直してやる!』
ジュナイパー(ボール)『待って、なんか様子が変だぞ?』
しんのすけ「マサオくんならとっくに変じゃん」
ジュナイパー(ボール)『そっちじゃない! エンニュートの方だよ』
エンニュート「ハァッ! ハァッ!」ドクンドクン
カザマの言うとおり、エンニュートは明らかに様子がおかしかった。さっきと比べて全身から汗が吹き出て、顔色も悪くなり、左胸を抑えている。
プルメリ「どうした? エンニュート」
プルメリ(毒? いや、しんのすけが出してきたポケモンの中に、『ふしょく』の特性を持ってるヤツはいなかった。でも、今エンニュートは弱ってるのはどういうことかね?)
しんのすけ「風邪でも引いたのかな?」
ジュナイパー(ボール)『わからないけど、今がチャンスだ! マサオくんを引っ込めて別のポケモンを出すんだ』
しんのすけ「ほいほい、じゃあマサオくんとネネちゃんチェンジねー」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『マサオくん、後で覚えておきなさいよ!』ダッ
プルメリ「エンニュート! はじけるほのおで迎撃だよ!」
ヌイコグマ『しゃらくさいわよ!』ブンッ
はじけるほのおを打たせる前にネネが先制してアームハンマーを放つ!
エンニュート「ぎギッ!」ドズムッ
ヌイコグマ『あんたみたいにぶりっこしてるポケモンが一番ムカつくのよ!』
エンニュート「キキ……クククッ」ボッ
ヌイコグマ『キャッ!』メラメラ
プルメリ「そのままドラゴンクローで返り討ちにしな!」
エンニュート「キ……ク」ユラリ
姿勢を崩したヌイコグマに、エンニュートが爪を立てながら近づく。
ヌイコグマ『う……!』
ピタッ
プルメリ「!?」
ヌイコグマ『え?』
エンニュート「キ、キ……」ブクブクブク
ドサッ!
エンニュートは攻撃する直前、眼球が上を向いて口から泡を吹くと、そのまま力尽きて倒れてしまった。
ヌイコグマ『なんで? なんか急に泡吹いて倒れちゃった……』
エンニュート「」ビクビクッ
プルメリ「気を失ってる……何が起きた?」
アセロラ(あれってひょっとして……のろい?)
しんのすけ「……あ!」
――大丈夫、しんちゃんたちが有利になれるように『置き土産』しておいたから
しんのすけ「ボーちゃん、なんかやった?」
ミミッキュ(ボール)『……ボ』b
しんのすけ「おお、にひる」
プルメリ「……ハンっ、こんな子供に、得体の知れないやられ方で負ける自分がイヤになるね! 大したもんだよ。ま、子供相手に手間取るのもわかる強さか」
プルメリ「ただ、ポケモンを返してほしければ、あんた一人で来るんだ」
しんのすけ「オラひとりで? いやーん、おデートのお約束?」
プルメリ「ハァ……ある種うらやましくなるね、その能天気さ」
アセロラ「ちょっと! ポケモンを返すってどういうこと!?」
プルメリ「あの家ン中見てみりゃわかるよ」
プルメリ「さて、しんのすけ。あんたはボスがお待ちかねなんだ。ポータウンの、あたいらのアジトで! せいぜい覚悟しておくんだね」
ザッザッ
しんのすけ「顔を洗って待ってろよー!」
アセロラ「首を洗って、でしょ!」
ハウ「うう……負けちゃいけない勝負は楽しくないよー」ガックリ
しんのすけ「みんなそれだけ必死ってことだゾ、ハウくん。トイレ駆け込む時だっていちいち楽しんでらんないでしょ」
ハウ「それって、正しい喩えって言えるのー?」
アセロラ「そんなことより、みんな大丈夫なの?!」ダッ
エーテルハウス
アセロラ「ねぇ、みんな大丈夫?!」
リーリエ「は、はい。この子達は大丈夫です。ですがスカル団の方が……」
男の子「ふええ~ん! ヤンちゃんが! ヤンちゃんが!」
女の子「ヤンちゃん……グスッグスッ」
リーリエ「この子達のヤングースさんが、スカル団の人たちに取り上げられたのです……」
アセロラ「……許せないっ! ていうか、スカル団のわりに頭いいことしちゃって!!」
しんのすけ「盗むのはスケスケおパンツだけじゃなかったのね」
ハウ「ポケモンを返してほしければ、しんのすけ一人でポータウンのスカル団のアジトに来いって、あいつら言っていたよね……」
リーリエ「そんな……! しんちゃん一人で来てって、とても危険です。スカル団になにをされるか……」
ほしぐもちゃん「ピュイ……」
しんのすけ「じゃあ、お助けに行ってきますか」
リーリエ&ハウ「えっ!?」
アセロラ「ちょっと、リーリエちゃんの話聞いてたの?」
しんのすけ「うん、ヤンちゃんがさらわれたからオラがお助けに行けばいいんでしょ?」
リーリエ「あの……そうじゃなくて、みんなしんちゃん一人で行かせるっていうのが危険ってことを話してたんです」
しんのすけ「へーきへーき! カスカベ防衛隊隊長のオラがいて良かったですな。あ、今はアローラ防衛隊の隊長かー」
アセロラ「おバカなこと言わないで! ヒーローごっこしてる場合じゃないんだよ!」
アセロラ「みんなしんちゃんの事が心配なの! しんちゃん一人危ない目に合わせられないでしょ!」
しんのすけ「ほーほー、じゃあなにすんの? ここでじっと考えてスケスケおパンツ団のところからヤンちゃんが帰ってくるの待ってるの? 助け呼んでる間にヤンちゃんあんなこととかこんなこと、されちゃうかも」
アセロラ「……っ、それは」
しんのすけ「ひょっとしたら、あっはんでうっふんなことされて、ヤンちゃんスケスケおパンツ団に夢中になっちゃうかも」
アセロラ「ヤンちゃんにそんなスケベなことするわけないでしょ! さすがに!」
しんのすけ「やれやれ、ここでそれどれ言っててもしょーがないし、向こうがオラをお呼びならお助けに行かなくちゃ」
ハウ「それどれじゃなくて、あれこれでしょー」
しんのすけ「そうともゆー」
アセロラ「…………」
しんのすけ「というわけで君たち、アローラ防衛隊隊長のオラがヤンちゃんをお助けに行ってくるから、泥船に乗った気持ちで待っててね。だから泣かないの」
男の子「う、うん……」グスッ
女の子「これ……あげる」つマラサダ
女の子「だから……ヤンちゃんのこと……お願い」
しんのすけ「おうっ、オラにまっかせなさいっ!」ドンッ
しんのすけ「じゃ、そゆことでー!」ダッ
リーリエ「あっ! しんちゃん! ダメですっ、戻ってください!!」
ハウ「危ないよー! ホントに行っちゃうのー?!」
アセロラ「……しんちゃん」
15番水道 浜辺
しんのすけ「……あれ? そういえばスケスケおパンツ団のアジトってどこにあるんだっけ?」
ロトム図鑑「私は面倒だから行かないぞ」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんも来るの! ぶりぶりざえもんだってアローラ防衛隊の一人なんだから」
アセロラ「しんちゃん!」タタタッ
しんのすけ「お?」
アセロラ「よかった、まだ遠くに行ってなかったんだね」
しんのすけ「どしたの?」
アセロラ「……スカル団たちのいるポータウンの近くまで連れて行ってあげる。一人じゃどう行けばわからないでしょ?」
ロトム図鑑「猛反対してたのにか?」
アセロラ「さっきは怒鳴ったりしてごめんね。アセロラ、しんちゃんのこと心配だったから」
アセロラ「でも、カプ・コケコから石をもらって、2つの島の大試練を乗り越えて、こうしてゴーストの試練も達成して……アセロラ、しんちゃんはただものじゃないって、わかってたのに」
アセロラ「ずっとエーテルハウスに住んでるあの子達の面倒を見てたから、どうしてもしんちゃんとその子を重ねちゃってたの」
しんのすけ「オラは積み木じゃないゾ」
アセロラ「そういう意味の重ねる、じゃないよ」
しんのすけ「あれ? リーリエちゃんとハウくんは?」
アセロラ「2人は子供のことを任せてるよ。ハウくんも、ハラさんの孫ならきっとあの子達とリーリエちゃんを守ってくれるもんね」
しんのすけ「じゃあさっさと行きますか。スケスケおパンツ団のアジトってどこ?」
アセロラ「この浜辺の海を越えた向こうの16番道路だよ。しんちゃん、ライドギア持ってる?」
しんのすけ「持ってないよ。なにそれ?」
アセロラ「エー!? 持ってないの?! よく島巡りできたね!」
しんのすけ「それほどでも~」
アセロラ「うーん……仕方ないか。確かしんちゃんは、群れたヨワシがいたよね? その子に乗って16番道路に行こうよ!」
しんのすけ「おーし、マサオくん! レッツラゴー!」
ヨワシ『おうっ! 派手に飛ばすからしっかり捕まってなァ!』ザバァ!
16番道路
アセロラ「でもさっき、アセロラちゃん、お口あんぐりしちゃった。しんちゃんって、見た目より大人なんだね」
しんのすけ「インドぞうさんはまだ子供だけどね」ジー
アセロラ「人格の話! 女の子の前でそういうこと言っちゃダメだよ!」
アセロラ「……アセロラも、ただ子供たちを守ってるだけじゃダメかもね。しんちゃんに負けないくらい、あの子達も強くなって誰かを守れるようにしなきゃ」
しんのすけ「うーむ、ならあの子たちは将来ムボウなアローラ防衛隊隊員ですなぁ」
アセロラ「将来有望、でしょ。アローラ防衛隊ってなに? アローラ地方を守る秘密組織?」
しんのすけ「そうそう、もともとはカスカベ地方にある、愛と正義のカスカベ防衛隊の兄弟みたいなものでー、隊長はもちろんオラ! 隊員はオラのポケモンとハウくんと、リーリエちゃんなんだゾ」
アセロラ「しんちゃんが隊長? なら、アセロラも隊員になっちゃおうかな」
しんのすけ「おおっ、隊員しぼーなら歓迎だよ」
アセロラ「でも、こっそりしんちゃんの寝首をかいて、アセロラが隊長になっちゃうかも」
しんのすけ「背中をかく?」
アセロラ「寝首をかく、だよ。 まぁ、隊長さんは知らなくていい言葉かもねー」ムフフ
しんのすけ「????」
アセロラ「あ、しんちゃん……この先だよ。ウラウラの花園を抜けたら18番道路に出るよ。そこにスカル団がたむろしているポータウンがあるから」
しんのすけ「ほうほう」
アセロラ「くれぐれも、真正面から突入して、真っ向からスカル団と相手をするようなことはしちゃダメだよ。スパイのように、こっそり忍び込むんだよ」
しんのすけ「ほーい! アローラ防衛隊最初の任務は、スケスケおパンツ団にさらわれたポケモンの救出! 隊長のオラが直々にお助けしまーす!」ビシッ
アセロラ「うん、頑張って隊長さん! アセロラ、応援してるから」ビシッ
17番道路 ポータウン入口前
ドラコ「いじっぱりのドラコ!」カーン!
おキン「れいせいのおキン!」カーン!
マミ「ひかえめのマミ!」カーン!
3人「三人合わせて、『スカル団黒ガバイト隊』!」バァーーーン!!!
ドラコ「ったく……グズマさんも人使いが荒いぜ。こんな雨の中入口を守るなんてよ」
おキン「しょーがないっスよリーダー。くじ引きで負けちゃったんスから」
マミ「そうそう、でも中でバリケードを守ってる奴らもこの雨の中つっ立ってないといけないから、お互い様だって」
ドラコ「あーあヒマだなぁ、ウラウラの外に出て刺激的なことしてぇな」
テクテク
おキン「……!」
マミ「リーダー、誰か来やすよ」
ドラコ「あいつは、じゃがいも小僧か!」
しんのすけ「おー誰かと思ったら、お笑い芸人の師匠!」
ドラコ「師匠じゃねーよ! あたいらはスカル団の中でも屈指の不良! 『スカル団黒ガバイト隊』だ!」
しんのすけ「お笑いの不良品?」
ドラコ「不良品でもねーよ! 絶対に売れてやるから!」
マミ「リーダー、それお笑い芸人と認めてるようなもんスよ……」
おキン「つーかお前、こんなとこまで何しに来たんだ? スカル団に入りに来たのかよ?」
しんのすけ「あ、そーだ。オラ、ヤンちゃんのお助けしに来たから、今は師匠たちのお相手してるヒマないんだった」
マミ「ヤンちゃん? 知らねーな、そんなの」
おキン「どうします? リーダー。こいつ追い払っちゃいますか?」
ドラコ「そうだな、また師匠だなんだと言われたらたまらねぇしな。おい、おキン、アンタが相手してやれ」
おキン「へいっ! というわけだじゃがいも小僧、痛い目遭いたくないなら帰んな」スッ
しんのすけ「オラ、帰らないもん。アローラ防衛隊として、ヤンちゃんをお助けしなきゃ!」スッ
おキン「ハッ、じゃあ無理矢理にでも追っ払ってやるよ!」
スカル団のしたっぱのおキンが
勝負を しかけてきた!
おキン「行きな、ナックラー」ヒョイッ
ポンッ
ナックラー「クァウッ!」
しんのすけ「ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヌイコグマ『ネネが相手よ! かかってきなさい!』
ドラコ「あん? ヨワシじゃねーのか?」
マミ「なら楽勝じゃん、とっとと倒しちゃいな!」
おキン「ナックラー! かみつく!」
ナックラー「クァーッ!」ガブッ
ヌイコグマ『痛いじゃない! なにすんのよ!』ブンッ!
ナックラー「ナクッ!」ドゴォ!
ネネちゃんに投げ飛ばされたナックラーが壁にぶつけられる。更にネネちゃんは右腕を振りかざして、ナックラーに飛びかかる!
ヌイコグマ『ネネ・パーンチッ!(アームハンマー)』ブンッ
ナックラー『ヤナカンジーー!!』ヒュウウゥゥ……キラン
おキン「ナックラー!」
マミ「う……うそだろ? ただのヌイコグマなのに」
しんのすけ「どーだまいったか! ワッハッハッハッ! さあ観念して門を開けなさい!」ビシッ
ドラコ「チッ、おい! お前ら門の中に入れ!」
おキン&マミ「へ、へいっ!」ダッ
ガラララッ ドタドタッ
ドラコ「わりぃけど、じゃがいも小僧は入れられないな! ここは遊び場じゃないんでね」
しんのすけ「こらーっ! 逃げるなんて卑怯だぞ!」
ガラララッ ピシャッ
しんのすけ「ぬーっ! このっこのっ開けろー!」ドンドンッ
???「坊主……」
しんのすけ「ん?」クルッ
クチナシ「そんなか、入りたいのかい」
しんのすけ「……どちら様?」
クチナシ「クチナシ、だよ」
しんのすけ「ああ! ポケモンセンターにいた幸薄そうなしまキングのおじさん!」
クチナシ「で、入るつもりなのかい?」
しんのすけ「だって入らないと、ヤンちゃん助けられないじゃん」
クチナシ「中に進むなら、覚悟が必要だぜ? 誰かを助けるにしろ、スカル団と戦うにしろ、あるのかい? 覚悟ってやつ」
しんのすけ「うん!」
しんのすけ(ところで、かくごってなんだろう?)
クチナシ「まぁ、色々あるわな。おじさんもワケありでね、扉を開けてもらえるしよ」
ロトム図鑑「まさか、貴様はスケスケおパンツを盗んだ前科でもあるのか?」
しんのすけ「えぇ、そうなの?」
クチナシ「なんでそういうふうになるんだよ……。ま、ホネは拾ってやる」
しんのすけ「チキンのホネ拾いのお掃除? 大変だね、おじさん」
クチナシ「違うっての……大丈夫か、お前」ハァ
ポータウン
ザーザー
しんのすけ「なかなかハイザラな街だね」
ロトム図鑑「それを言うならサハラ」
スカりん「ハイカラ、だよねースッチー」
スッチー「ねースカりん」
しんのすけ「おおっ、アローラのはた迷惑バカップル」
スッチー「てゆうかスカりん、子供が勝手に入ってきたけどどうしよう?」
スカりん「ほっとけばいいよ。だって僕にはスッチーがいるもん」
スッチー「それもそうね!」
スカりん「このバリケードだって、抜け道を見つけられなきゃ越えられないもんね!」
スッチー「雨が降ってるけど、スカりんが温めてくれて、こうして立ったまま仕事できてラクよねー」
スカりん「スッチーのくじ運がいいおかげさ!」
スカりん「スッチーのくじ運がいいおかげさ!」
スカりん「スッチー!」ギュッ
スッチー「スカりん!」ギュッ
しんのすけ「ぶりりん!」ギュッ
ロトム図鑑「しっチー!」ギュッ
ジュナイパー(ボール)『二人とも何やってるんだよ! 早く助けに行くんだろ?』
しんのすけ「あ、そうだった」
ロトム図鑑「どうやらあの奥のお化け屋敷がヤツらの本拠地のようだな」
しんのすけ「スケスケおパンツ団の基地なのに、なんか地味ー。もっと盗んだスケスケおパンツがぶら下がってるもんだと思ってた」
ジュナイパー(ボール)『それじゃあただの変態集団の住処じゃないか!』
ミミッキュ(ボール)『確か二人はどこか抜け道があるって言ってたね』
しんのすけ「あの穴じゃない? あの家の垣根」
ヨワシ(ボール)『案外近くにあったね……』
ジュナイパー(ボール)『間抜けなスカル団っぽいけどね。さ、早く助けに行こう』
ロトム図鑑「え~やだぁ、怖ぃ~」
しんのすけ「かわいいなぁ」
ジュナイパー(ボール)『あ、あのねぇ……』
~いかがわしき屋敷周辺~
しんのすけ「うーん、SSだからラクラクに進めましたな」
ヌイコグマ(ボール)『しんちゃん、なに言ってるの?』
ジュナイパー(ボール)『なんとかここまで進められたけど、入口付近にスカル団がたむろしてるな……。真正面から入っていくわけにもいかないし』
ミミッキュ(ボール)『僕たちの力を合わせればいい』
ポンッ!
ミミッキュ『僕たちがしんちゃんのサポートをして、屋敷の中に入れば大丈夫!』
ジュナイパー(ボール)『なるほど、その手があったか!』
しんのすけ「さすがボーちゃん!」
ミミッキュ『ボ!』シュパッ
ボーちゃんが影の手を伸ばすと、屋敷の2階のテラスに届いた。
ミミッキュ『しんちゃん、掴まって』
しんのすけ「ほいっ」
シュルシュルシュル
スタッ
しんのすけ「ワッハッハッハッ、見事に潜入できましたな。ボーちゃんありがとーちゃんのあしはベトベトンよりくさい!」
ミミッキュ『ボ』b
ミミッキュ『でも、気を付けて。中にもスカル団がいっぱいいるから』
しんのすけ「ほーい! それじゃアローラ防衛隊結成はじめての仕事、ヤンちゃん救出作戦いくぜい! アローラ防衛隊ポケモン部隊、ファイヤー!」
カザマたち『ファイヤーーッ!』
ポータウン いかがわしき屋敷 屋内
したっぱB「まったく、思い出せばメレメレのじゃがいも小僧に出会って、散々じゃないッスカ」
したっぱA「アーカラに飛ばされ、ウラウラに飛ばされ、最後は屋敷の雑用なんて……」
したっぱB「ユーはいいじゃないッスカ。オレなんてカンチョーされちゃいましたからね! お尻の穴が裂けるかと思ったッスカ」
したっぱA「というか、いつまでスカ スカ言い続ける気なんだ? 相棒」
したっぱB「ん? おい、あれはなんなんスカ?」
ニャース?「んみゃ~お」
ヌイコグマ「ガウ……」
したっぱA「ニャースとヌイコグマ? なんでこんなところに?」
したっぱB「誰かが放置したとかじゃないッスカ?」
したっぱA「まぁいいや、さっさとモンスターボールに入れて倉庫に置いてきちゃおうよ」
スタッ
したっぱB「スカ?」クルッ
ミミッキュ「ボ!」バチチチッ!
したっぱA&B「ビリっときたあああああ!!」ビリビリビリ!
したっぱA&B「」ピクピクッ
ニャース?(inしんのすけ)「ボーちゃん、電気技使えたの?」
ミミッキュ『でんじはだよ。見せる機会がなかった』
ヌイコグマ『ねぇ、天井に穴が空いているわ。屋根裏に入れないかしら?』
しんのすけ「入ろー入ろー! ネネちゃんボーちゃん、ごくろーさん」シュンッ
ピョンッ
ゴソゴソ
しんのすけ(んーこの感覚。アクションスパイやってた昔を思い出しますなぁ)
しんのすけ(レモンちゃん、お元気にしてるかな? あ、レモンちゃんって名前じゃなかったっけ。ま、いーや)
したっぱG「姉御、あのガキ本当に来るんですかねぇ?」
しんのすけ「?」ユカニミミアテ
プルメリ「どうだかね。やることはやったんだ。来ようが来まいが、どちらでもいいけどさ」
したっぱG「あいつら、なに考えてるんだか分からないっスね。ポケモンを保護する裏でこれからなにをしでかすのか……」
プルメリ「……そうだね」
しんのすけ(ほうほう)
したっぱG「姉御、そろそろポケモンが元気になってるはずです。ボール受け取りに行きましょう」
プルメリ「ああ、分かったよ」
テクテク
ガチャ……バタンッ!
パカッ
しんのすけ「この部屋の中にヤンちゃんいるかなー?」ヒョコッ
ジュナイパー(ボール)『うん、まずはこの部屋から探してみようよ! あのプルメリって人はヤンちゃんをさらった張本人だし』
しんのすけ「ほーい」スタッ
しんのすけ「ヤンちゃんどこに行ったのかなー? 出ておいでー」
ロトム図鑑「……!」
ガサゴソガサゴソ
ロトム図鑑「しんのすけ、これを見よ!」つプルメリの下着
しんのすけ「スケスケじゃないのね」
ロトム図鑑「これをその手のマニアに売り飛ばせば高く値が付くぞ」
しんのすけ「ほうほう」
げ ん
こ つ
しんのすけ「」
ロトム図鑑「」
ヌイコグマ『アンタたちが下着ドロになってどうするのよ! 最低!』
ミミッキュ(ボール)『ネネちゃん、声大きい』
天井裏
ジュナイパー(ボール)『結局、あの部屋にヤンちゃんはいなかったね』
ヨワシ(ボール)『この建物じゃなくて別の場所に連れ去ったとか?』
ミミッキュ(ボール)『ボスがお待ちかね、って言ってたから、たぶんスカル団のボスのところの部屋にいると思う』
ジュナイパー(ボール)『スカル団のボス……あのむしタイプ使いの人か』
しんのすけ「……」
ゴソゴソ
しんのすけ(お、いた!)
ジュナイパー(ボール)『ボーちゃんの予測通りだったね』
しんのすけは開いている穴から下を覗くと、連れ去られたヤングースを見つけた。
しかし同時に、マリエ庭園で戦っていたグズマがすぐそばで椅子に座ってふんぞり返っており、したっぱも一人控えている。
ヤングース「きゅう……」
グズマ「…………」
したっぱH「…………」
ヌイコグマ(ボール)『みんなヤンちゃんから背中を向けているからいいけど、結構距離近いわよ? 大丈夫?』
ジュナイパー(ボール)『しんのすけ、物音を立てずにゆっくり降りながらヤンちゃんを助け出すんだ』
しんのすけ「ほい」
しんのすけ「ボーちゃん、レッツラゴー」
ミミッキュ『ボ……』スッ
しんのすけボーちゃんの鼻水状の影を腰に巻くと、静かにグズマたちのいる部屋へ下り始めた……。
しんのすけ「…………」スルスルスル
ヤングース「きゅ?」
しんのすけ「…………」ヨッ
しんのすけ「…………」サ、オラノウデニオノリ
ヤングース「きゅう」タッ
グズマ「……おい」
しんのすけ&ヤングース「!!」ビクッ
グズマ「新しいエネココア取ってこい。今すぐだ」
したっぱH「へ、へいっ」ダッ
グズマ「…………」
しんのすけ&ヤングース「……ホッ」
ロトム図鑑(あの宝石はZクリスタルか? ひとつくすねちゃお)ソロソロ
カチャッ
コロコロ
グズマ「ん!?」ガタッ
ロトム図鑑「あ」
しんのすけ「い!」
グズマ「うぉ、お前らは……!」
ロトム図鑑「ち、ちわー、宅配便ですぅハンコーお願いしますぅ」
グズマ「あ? なんも頼んでねーぞ」
しんのすけ「オラたち、幸せを運ぶ宅急便なんで……」
グズマ「はっ、スカしてるなあ。そのヤングースが目当てかよ」
ヤングース「きゅうぅ……」
しんのすけ「ぬーバレたか! オラはアローラ防衛隊の隊長として、ヤンちゃんをお助けしに来たんだゾ! しんみょーにお縄につけ! スケスケおパンツ団のくさや!」
グズマ「グズマだっつってんだろーが!」
グズマ「で、そんなことのために、わざわざ乗りこんできたのかよ」
しんのすけ「そーそー!」
グズマ「はっ、大事なのはてめえのポケモンだけでいいじゃねーか!」
しんのすけ「防衛隊ルールその1! 困ってる人とポケモンがいたらお助けすること!」
グズマ「くだらねぇよ、んなもん。あんな奴ら、助ける価値もねぇよ」ギロリ
しんのすけ「ううっ……そんな目で見ないで」
グズマ「……てめーよ、目の前にブッ壊れたテレビとかがあったらどうするよ?」
しんのすけ「……叩く?」
グズマ「だろ? とりあえずブッ叩くよな! 少なくともオレはそうする。まあ、大抵はよ、跡形もなく壊れちまうけどな」
グズマ「おまえも、ガキにしちゃ相当ブッ壊れているな。バカっぽく振舞っちゃいるが、オレの目は誤魔化せねぇ。分かるぜ、おまえそこらの奴らと比べ物にならないくらい修羅場を乗り越えてやがるな。そこらのガキがする目つきじゃねえ」
しんのすけ「くさやのおじさんは目のクマがすごいけどね。寝不足?」
グズマ「んな言葉でごまかしてるんじゃねーよ。おまえ、直してやらあ!」
しんのすけ「悪いけどオラ、お腹すいてるからおじさんに構ってるヒマないの」スッ
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ヨワシ(群)『よっしゃー! 派手にブチかますぜ!』ガパッ
群れたマサオの巨大な口は、グズマに向けられていた。どこからともなく、何かが押し寄せるような音が聞こえてくる。
グズマ「は――?」
ブッシャァァァァァァァ!!
グズマ「なっ、おおおっ?!」
マサオの口から発射されたハイドロポンプが、グズマを勢いよく部屋の外へ、そしてそのまま屋敷の外へと押し出していく!
~いかがわしき屋敷 外~
スカりん「スッチー!」
スッチー「スカりん!」
ドラコ「あいつら、まだやってるのか……」
マミ「ウザイというか、なんというか……」
バリン!
ドドドドドド!!
おキン「!?」
ドラコ「なんだ!?」
マミ「屋敷から大量の水が!」
グズマ「ゴホッ! ペッ! ペッ!」
ドラコ「グズマさん!」
ザワザワ
ヤシキガ!
グズマサン、ダイジョウブッスカ?
グズマ「…………」ポタポタ
グズマは天を仰ぐと、カザマに掴まって空からポータウンを脱出するしんのすけとヤングース(と、こっそりムシZを手に入れたぶりぶりざえもん)が……。
しんのすけ「…………!」フリフリ
ドラコ「あのじゃがいも小僧、いつの間に……」
マミ「急いで追ってきやす!」
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
マミ「ヒッ!」ビクッ
グズマ「……あのじゃがいも小僧。おまえはブッ壊す! あいつらの力を使ってもな!」ワナワナ
17番道路
バサッバサッ
しんのすけ「ほっほーい!」フリフリ
アセロラ「あ、帰ってきた!」
スタッ
しんのすけ「あー疲れた」
ヤングース「きゅう!」ピョン
アセロラ「おーよしよし、怖かったねー」ナデナデ
アセロラ「しんちゃんありがとう! ホント、すごいんだ! 尊敬だよ!!」
しんのすけ「いやいやーアローラ防衛隊としてとーぜんのことをしたまでですからー。カザマくんもごくろーさん」
ジュナイパー『まったく、ぶりぶりざえもんが勝手なことしなきゃ穏便に済んだのに』
ロトム図鑑「魔が差しただけだ、まいったか」
ジュナイパー『威張るなって』
クチナシ「急にスカル団が騒がしくなったと思ったら、お前さんたちか」
アセロラ「あー! クチナシのおじさん!」
アセロラ「おじさん! 腕利きのおまわりさんだよね? ちゃんとスカル団をみておいてよ! なんのため、ここにいるんだよ!」
クチナシ「安いんだよ、家賃が」ヤレヤレ
クチナシ「スカル団の近くにいるなんて、酔狂者だからよ」
アセロラ「スカル団にキズつけられたポケモンなら、エーテル財団に預ければいいのに。自分で世話してるからでしょ?」
アセロラ「しんちゃん! ヤングース! エーテルハウスに帰ろ!」
しんのすけ「ほーい!」
ヤングース「きゅう!」
アセロラ「あ、おじさん、また来るね!」フリフリ
しんのすけ「達者で暮らせよー」フリフリ
クチナシ「静かに暮らしたいんだがな」
タッタッタッ
クチナシ(それにしてもスカル団の連中、なんだか少ねえな。まあ、屋敷が吹っ飛んだら逃げ出すやつもいるよな)
クチナシ「ボールの中のポケモン、街の中のスカル団……どっちが幸せなんだか」
今日はここまで。
次回の更新は明日の夜。
ポケモン勝負での文体ミスが多くてすみませんでした。せっかくのボーちゃんの初陣なのにドラゴンクローとシャドークローを間違えたり、のろいとおきみやげを勘違いするよう書いてしまって……。
じゃ、そゆことで~!
余談ですが……最初にスイレンを見たとき、どこかで見覚えが有るなと思ったら、黄金のスパイ大作戦のレモンちゃんに似てると思いました。
エーテルハウス
しんのすけ「おっかえりー!」
アセロラ「ただいま! ヤングースも帰ってきたよ!」
ヤングース「きゃうきゃう!」ダッ
男の子「○×□△※★!!」ギャーギャー
女の子「○△※×□△!!」ピーピー
ハウ「…………」ガックリ
アセロラ「エー!? どういう感じなの? これ?」
しんのすけ「あれ? リーリエちゃんは?」
ハウ「しんのすけ……ごめん!! おれ、ちっとも楽しくないよ……」
アセロラ「だから、どういうことなの?」
ハウ「リーリエ、いなくなっちゃったー」
~数時間前~
リーリエ「なんて人たち……」
プルメリ「今日は消えないんだねえ。聞いてた話と違うじゃないか」
リーリエ「あのときは……このコも絶体絶命のピンチでした……。ですから、能力を使ってわたしを……」
リーリエ「わたしにはなにもできませんが、能力だけは使わせない……そう決めたのです。ですから……わたしが頑張るのです……!」
したっぱB「今もピンチじゃないスカ? お花畑なお嬢さまスカ」クネクネ
プルメリ「いいさ、これ以上あんたから奪えるモンなんてないし」
プルメリ「それに……あんたをポケモン泥棒と言っていいのか、わからないところもあるからね」
リーリエ「あなたたちについていきます。ですから、他のみなさんには、手を出さないでください……!」
ハウ「アセロラがいなくなったあと、プルメリっての戻ってきてー」
アセロラ「えー!?」
ハウ「おれ、トレーナーなのにー!」キッ
ハウ「トレーナーじゃないリーリエに守ってもらったんだ……」ガックリ
しんのすけ「んもー今度はリーリエちゃん? オラがいないとすぐどっか行っちゃうんだから」ヤレヤレ
ウィーン
みんな「!!」
グラジオ「……コスモッグと一緒にいたのが、まさかリーリエだったとは!」
ハウ「わー!! リーリエ知ってるのー?」
しんのすけ「ほーほー、リーリエちゃんはクジラの一種だったのかー」
ハウ「そーじゃないってー!」
グラジオ「オマエらが頼りないから、コスモッグも! リーリエも! ……オレの怒り、ぶちまける!」ギロッ
グラジオ「まずはしんのすけ、お前からだ!」スッ
しんのすけ「いやん、オラってモテモテー」
ハウ「違うと思う……」
スカル団の グラジオが
勝負を しかけてきた!
グラジオ「……オレの怒りと重ね合わせ、無力な者どもに制裁を! 行け、ヌル!」ヒョイッ
ポンッ
タイプ:ヌル「オォォォォッ!」
しんのすけ「カザマくんっ、レッツラゴー!」ヒョイッ
ポンッ
ジュナイパー『あのポケモン……! 今度は勝つぞ!』
ハウ「うわわー! 始まっちゃった!」
グラジオ「ヌル! シザークロス!」
ヌル「オォォォッ!」ブンッ
ジュナイパー『今までの僕と一味違うところを見せてやるっ!』バサッ
カザマはヌルのシザークロスをかわしつつ、天井近くまで大きく羽ばたくと、矢羽根によるはっぱカッターを放った!
ヌル「オオッ!?」ドスッ
グラジオ「ヌル……! ブレイククロー!」
ヌル「ウォォッ!」ドドドド!
ズパッ!!
ジュナイパー『うわっ……と。あれ?』キョロキョロ
グラジオ「なぜ、効かない!?」
ロトム図鑑「ブレイククローはノーマルタイプの技のようだな」
しんのすけ「クジラくん、オラのカザマくんはゴーストタイプ。ジョーシキだゾ」
グラジオ(しまった。ヤツのモクローは進化して、ゴーストタイプになったのか。うかつだった……!)
ジュナイパー『お返しだ!』
矢を放たず、ジュナイパーは翼を広げると、ヌルに向かって突っ込んだ!
ジュナイパー『えいっ!』ブンッ
ザンザンザンッ!!
ヌル「オオオッ?!」ズパッ!
グラジオ「チッ、ヌル! おいうちだ!」
ヌル「ウォォォッ!」ダッ
シュルシュルシュル
ガッ!
ヌル「?!!」フラッ ドタッ
グラジオ「なっ……くさむすびか!」
しんのすけ「よーしカザマくん! このままZワザ行っちゃいますか!」
ジュナイパー『うん、頼む!』
バッ バッ ブリッ ブリッ パァァッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ル ー ム シ ャ イ ン エ ク ス ト ラ !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
フクスロー『行くぞっ!』
カザマがZパワーを周囲へ放出すると、次々と花が咲き乱れていく! そして日光がヌルに照射され、どんどん威力を増していく!
パァァァッ!!
ドゴォォォン!!
ヌル「オォォォォォッ!」
ドサッ ゴロゴロ
グラジオ「ヌル!」ダッ
ヌル「オォォ……」ブルブル
グラジオ「……!」
グラジオ「……なにしてやがるんだ、オレ。怒りに身を任せて、お前に余計な傷を負わせてしまったな」
グラジオ「……すまない、ヌル」
ヌル「グゥゥ……」
グラジオ「……しんのすけも、感情に任せて意味のない勝負に付き合わせて悪かったな」
しんのすけ「どってことないゾ」
ロトム図鑑「ふっ、怒りに任せて戦うなど、まだまだ二流だな」
ジュナイパー『なんでお前が偉そうに言うんだよ』
グラジオ「……だが! 前にも言ったはずだ。コスモッグは、アローラに災厄を招きかねない……取り戻さねばならない! この島の乗船所に来い!」
グラジオ「……ついてくるか?」
しんのすけ「いいよーリーリエちゃんとほしぐもちゃんを連れて帰るのは慣れてますから」
ハウ「……おれ、もう少しここにいる。もうちょっと、考えたいのー」
グラジオ「そうか、じゃあ行くぞ」ダッ
アセロラ「……しんちゃん、今度はリーリエちゃんを助けに行くんだよね?」
しんちゃん「まぁね、せっかくみんなで晩ご飯作ろうとしてたのに、ごめんね」
アセロラ「気にしないで! リーリエちゃんを助けたら、またみんなでここに来ればいいだけだから!」
しんのすけ「じゃ、リーリエちゃんのお助けにいってきまーす! ハウくんのことよろしくねー」ビシッ
アセロラ「うんっ、気をつけてね。隊長!」ビシッ
しんのすけ「あ、そーだ。カザマくん。とーちゃんからもらったわざマシンがあったんだ。使う?」
ジュナイパー『今更かよ! それで、どんな技なんだ……?』
マリエタウン 乗船所
しんのすけ「あー腹減った。もらったマサラダ食べよっと」ムシャムシャ
グラジオ「フッ……ハウも待つよな?」
しんのすけ「たぶん来るんじゃない?」
グラジオ「そうだな……あいつはおもしろいよな。しまキングという、偉大な祖父と向きあっている。……オレにはできないことだ」
しんのすけ「クジラくんも島巡り?」
グラジオ「いや……」
しんのすけ「どうして? スケスケおパンツ団に入っちゃったから?」
グラジオ「違う、オレの場合はそもそも親がそれを許してくれなかったからだ。かといって、そのときは島巡りに憧れる余裕もなかったが」
しんのすけ「ふうん」
グラジオ「オレからもひとつ聞きたい。お前とハウはリーリエと一緒にいたのか?」
しんのすけ「うん」
グラジオ「リーリエは……オマエ達と一緒にいてどんな様子だった?」
しんのすけ「えー? そりゃ、リーリエちゃんにはずーっと振り回されてばっかでさー、道には迷うし、すぐスケスケおパンツ団に絡まれるし、人を待たせてすぐムダな買い物するし、ケツだけ星人もインドぞうさんも勝手に禁止にしようとするし、オラがいないとホントだめな人なんだから」
ロトム図鑑「人を散々振り回しているからな、あいつは」
しんのすけ「うんうん。家族の顔が見てみたいもんですなぁ」
グラジオ「フッ……そうか」
しんのすけ「そだ、クジラくんってなんでリーリエちゃんのこと知ってたの? 恋人?」
グラジオ「まさか。あいつはオレの……」
ザッザッ
クチナシ「…………」
グラジオ「……クチナシさん!?」
しんのすけ「おおっ、幸薄そうなおじさん!」
クチナシ「……スカル団も、ポータウンで好き勝手してるだけなら、どうでもいいんだけどなあ」
クチナシ「坊主。おじさん、しまキングなのよ。だから、相手しなよ。島巡りチャンピオンになるための経験ってのやるからよ」
しんのすけ「えっ? これって大試練?」
グラジオ「……そういうことになるな」
しんのすけ「なんか他の島と比べると地味ィー」
ロトム図鑑「それに胡散臭い」
クチナシ「で、やるのかい? やらないのかい?」
しんのすけ「んーしょーがないなぁ」スッ
クチナシ「……ま、軽くね」スッ
しまキングの クチナシが
勝負を しかけてきた!
クチナシ「行こうか、ヤミラミ」ヒョイッ
ヤミラミ「ヤァミィィ!」ポンッ
しんのすけ「ボーちゃん、レッツラゴー!」
ミミッキュ『ボッ!』ポンッ
クチナシ「ミミッキュか……。ヤミラミ、シャドーボール」
ヤミラミ「ヤミッ!」ブンッ
ミミッキュ『ボーッ!』ピカー!
ヤミラミの放ったシャドーボールが、ボーちゃんに直撃するより前に、現れた光の壁に阻まれる。だが……
ヤミラミ「ヤミィィ!」ズズズ
しんのすけ「おわっ、影から出てきた!」
グラジオ「かげうちか……!」
ブンッ!
ミミッキュ『ボッ!?』カクン
クチナシ「これでばけのかわは剥がしたね」
ミミッキュ『せいっ!』ボウッボウッ
クチナシ「おにびか。それを喰らうのはまずいね。パワージェムで応戦しな」
ヤミラミ「ヤミッ!」
宝石のように煌く光がヤミラミの周囲から発射され、次々とおにびをかき消していく。しかし、その合間を縫うように、ボーちゃんがヤミラミに急接近する!
ザザザザッ!!
ミミッキュ『抱っこ』バッ
ヤミラミ「ヤミッ?!」ドカッ
ポカポカドカドカ!
ヤミィィィ!
しんのすけ「……なにやってんの、ボーちゃん」
グラジオ「あれはじゃれつくだ。自分のポケモンの技くらい把握しろ……!」
しんのすけ「いやぁ、そんなに褒めちぎってもなんも出ないって~」
クチナシ「褒めてねぇと思うぞ。ヤミラミ、シャドーボールで迎撃だ」
ヤミラミ「ヤ、ヤミッ!」ギュオオオッ
ミミッキュ『ボッ?!』ドンッ!
しんのすけ「ボーちゃん!」
クチナシ「そんな密着した距離で打たれちゃ、光の壁もあまり意味はねぇだろ」
ミミッキュ『……出来る』ゼイゼイ
ヤミラミ「ヤミィ……」ゼイゼイ
クチナシ(とはいえ、やっこさんもヤミラミも、互いに馬鹿にならないダメージを負ったな。次でどっちかが倒れるね)
クチナシ「ヤミラミ、シャドークロー」
ヤミラミ「ヤミッ!」ダッ
ミミッキュ『ボ!』ジャキンッ!
ヤミラミ「ヤミィィィィッ!」ブンッ
ミミッキュ『ボーッ!』ブンッ
ザ ク ッ !
ミミッキュ「…………」
ヤミラミ「…………」
しんのすけ「…………」
クチナシ「…………」
ヤミラミ「ヤミ……」ドサッ
ミミッキュ『無念』ドサッ
グラジオ「引き分けか……!」
ロトム図鑑「フッ、どちらも大したことないぜ」
クチナシ「じゃ、仕切り直しと行こうかね」スッ
しんのすけ「ほい」スッ
クチナシ「出な、ワルビル」ヒョイッ
ワルビル「ワルワール!」ポンッ
しんのすけ「マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヨワシ(群)『おうよ、行くぜぃ!』ポンッ
グラジオ「これは、群れたヨワシか……?」
クチナシ(今度は群れたヨワシか。まいったね、こりゃ)
クチナシ「ワルビル、ヨワシに威張りな」
ワルビル「ワルルッ!」ピョンッ
ヨワシ『あん?』
ワルビル「ワルワル! ワルルルッ」
ヨワシ『ンだとてめぇ!』ブチッ
しんのすけ「なに言われたの?」
ヨワシ『ぶっ飛ばしてやらあ! オラッ』ブッシューッ!
ワルビル「ワルッ」ヒョイッ
ヨワシ『避けてんじゃねー! オレ様が一番ってところを見せてやるっ!』ブシュッ! ブシュッ!
ワルビル「ワルッ! ワルッ!」サッ サッ
グラジオ「凄まじい威力だ……!」
クチナシ「でも、当たんなきゃ意味ないんだよ」
しんのすけ「ダメじゃん、マサオくん」
ロトム図鑑「またお刺身コー……ブヘッ!」(※マサオの放ったみずでっぽうの流れ弾が当たった)
クチナシ「それじゃあ仕上げかね。すなじごくに閉じ込めちまいな」
ワルビル「ワルーッ!!」ズオォォォォ!
ワルビルの口から吐き出されたおびただしい数の砂粒が渦巻いてすっぽりと覆われていく!
ヨワシ『な、なんじゃこりゃ!? 目が回る!』ズザザザザッ!!
しんのすけ「すげー」
グラジオ「マズイな、ヨワシの群れがどんどん散っていく……!」
ヨワシ(単)『ひいいいーっ!』グルグルグル
クチナシ「ワルビル、かみついてとどめ刺しちまいな」
ワルビル「ワルッ!!」ダッ
ガプッ!
ヨワシ『ひいい~っ! 痛いよ痛いよ~っ!』ジタバタジタバタ
ワルビル「ペッ」
ヨワシ『痛いよぉ……グスン、グスン』ドサッ
グラジオ(タイプ相性上不利なヨワシをこうもいなすとは……改めてクチナシさんは恐ろしい人だ)
クチナシ「さ、そいつは戦えないみたいだし、次出しなよ」
しんのすけ「ぬぬぬ……ネネちゃん、レッツラゴーッ!」ヒョイッ
ヌイコグマ『まったく、最近マサオくんだらしないわね! ネネが相手よ!』ポンッ
クチナシ「ワルビル、もう一度、相手に威張りな」
ワルビル「ワルワル! ワルルルッ」
ヌイコグマ『え?』
ワルビル「ワル! ワルルワルッ!」
ヌイコグマ『なんですってぇぇぇ!』ビキッ
しんのすけ「だからなに言われたの……?」
ヌイコグマ『うがーっ!』ドスドスドスッ
クチナシ「ワルビル、穴を掘って逃げな」
ワルビル「ワルッ」
ザクザクザクッ
ヌイコグマ『逃げてんじゃないわよ!』
ヌイコグマ『うおりゃああああっ!』ブンッ
ズ ズ ン ッ !
ワルビル「ワルビッ!?」メキッ
しんのすけ「おおっ、地面がゆれた!」
グラジオ「今のは『じしん』か?!」
ヌイコグマ『みぃつけた……!』ニィッ
ワルビル「ワ、ワルッ?」ビクッ
ヌイコグマ『よくもあたしにイモおんなって言ったわね! 許せない!』ブンッ
ワルビル「ワルワルッ!?」
ド ズ ム !
ワルビル「ワ、ワルッ……」ピクピクッ
クチナシ「ん……いばるが裏目に出ちまったね」
クチナシ(今のアームハンマーか。アレが使えるってことは、あのヌイコグマの嬢ちゃん、もう進化してもおかしくないってところか)
しんのすけ「いもおんな?」
ロトム図鑑「説明してやる。イモとはつまり、田舎のことだ。ワルビルはネネに田舎者と言ったのだ」
しんのすけ「ほうほう」
クチナシ「やれやれ、おじさんのポケモン、あっという間に最後の1匹になっちまったね」
クチナシ「頼むぞ、ペルシアン」ヒョイッ
アローラペルシアン「ニャーゴ!」ポンッ
ヌイコグマ『あームシャクシャする! あんた倒せば終わりでしょ?』ダッ
クチナシ「ペルシアン、躱してかみくだく」
ヌイコグマ『おらっ!』ブンッ
ヌイコグマがアームハンマーを繰り出した瞬間、ペルシアンの姿が消えていた。気が付くとネネの横に回り込み、その大きな口を開けていた!
ペルシアン「フシャアアアアッ!」
ガブッ
ヌイコグマ『いっだあ゛あ゛あ゛いっ! なにすんのよっ!』ブンブン
クチナシ「一旦離れて、辻斬りをするんだ」
ペルシアン「シャッ!」バッ
クチナシの命令通り、ペルシアンはネネと距離を取ると、爪を立てながら一気に跳躍してきた!
ペルシアン「フシャァッ!」
ザクッ!
ヌイコグマ『うあっ!』
クチナシ「もう一度、辻斬り」
ペルシアン「フシャッ!」
ザクッ!
ヌイコグマ『いッ!』
しんのすけ「やられっぱなしじゃん。なんで反撃しないの? がまんしてるから?」
ヌイコグマ『したいけど……疲れて身体が思うように動かないのよ』
クチナシ「坊主。お前さん命令しないからどんな技なのかよくわからないけどね、あれがおじさんの見立て通りアームハンマーだったら、そのヌイコグマは反動で動きが鈍くなってるのよ。なにせ相当スタミナを使うからね」
しんのすけ「おぉ……」
クチナシ「そろそろ、終わらせるとするか。パワージェム」
ペルシアン「シャーッ!」
ペルシアンの周りに現れた光が、次々とネネに襲いかかる。しかしネネも負けじと、攻撃を耐えながらペルシアンに向けて走り出す。
ヌイコグマ『うおりゃああっ!』ブンッ
ペルシアン『シャッ!?』
ドゴォッ
ヌイコグマ「…………」ハァハァ
ネネの豪腕は、ペルシアンをすれすれで外しており、地面にめり込んでいた。
ペルシアン「……ニャッ!」
しんのすけ「ネネちゃん……」
クチナシ「……危なかったね。ペルシアン、辻斬り」
ペルシアン「フシャッ!」
ザクッ!
ヌイコグマ『……!』フラッ
ドサッ
しんのすけ「ネネちゃん!」
ヌイコグマ『しんちゃん……ごめん』
グラジオ「後は……」
クチナシ「あのジュナイパーだろ? ポータウンの時に見かけたからね。それがお前さんの相棒かい?」
しんのすけ「……カザマくん」
ジュナイパー(ボール)『……しんのすけ。僕は進化してゴーストタイプになった。この意味、わかるよな』
グラジオ(ジュナイパーはくさ・ゴースト。アローラのペルシアンとは相性が悪い。更にクチナシさんはZワザも残してる……どうするつもりだ?)
クチナシ「坊主、お前さんは今、ずいぶん悔しい思いをしてるだろうよ。だけど、これが現実なんだよ」
しんのすけ「現実?」
クチナシ「現実はねテレビのヒーローのように正義が必ず勝つとは限らないのよ。悪には、悪なりの信念ってものがあるんだよ。最後に勝つのは意志の強いほうだぜ。坊主、お前はどうだ?」
しんのすけ「……オラ」
――まだまだ正義のことがよく分からないゾ。アクション仮面、正義って何?
――しんのすけ君。その答えは、自分で出すものだ。大丈夫、キミなら出来るさ
――しんのすけ君、キミの守りたいものってなに?
――最後に勝つのは意志の強いほうだ。坊主、お前はどうだ?
しんのすけ「……オラ、まだ正義のこととか、よくわかんないけど!」
――えっ? はい……リーリエと申します
――常 識 で す っ ! !
――その……迷ってたときに……つい、ふらふらとブティックに入ってしまい……最後の一着と言われ、つい服を買ってしまいました……気合を入れないと、着れそうもない服ですが……
――また、助けられました……ありがとうございます
――しんちゃん
グラジオ「…………」
しんのすけ「でもオラ、リーリエちゃんをお助けしたい! それが今のオラの正義で、シンネンなんだゾ! だからオラ、こんなとこで負けたくないもん!」
クチナシ「――なら、その信念を、ゼンリョクでおじさんとペルシアンにぶつけて来な。おじさんも、おじさんの信念をゼンリョクで坊主にぶつけるつもりだよ」
しんのすけ「ほいっ!」スッ
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒュッ
ジュナイパー『しんのすけ。お前がリーリエさんのために負けたくないっていう思いが本気なら、僕もそれにゼンリョクで応えるよ! 絶対に勝とう!』ポンッ
しんのすけ「おうっ!」
クチナシ「じゃ、ぼちぼち行くかね」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
グラジオ(……クチナシさんのZワザ)アンナポーズスルノカ……
しんのすけ「カザマくん……来るゾ! 「アレ」できる?」
ジュナイパー『ああ、ばっちりさ!』コクン
ペルシアンは Zパワーを 身体に まとった!
ペルシアンが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ラ ッ ク ホ ー ル イ ク リ プ ス !
ペルシアンを覆っているZパワーから禍々しい黒い球体が形成されると、それが頭上に向けて放たれた。
それは急激に膨張すると、赤黒い光を発しながら、次々と周囲のものを吸い込んでいく!
ジュナイパー『うっ……!』バサッ
カザマはなんとか黒い球体から逃れようと飛翔するが、海すら飲み込みかねない吸引力に、なすすべはなかった。
ジュナイパー『うわぁぁぁぁっ!』
しんのすけ「カザマくーーーんっ!!」
カザマはいとも簡単に吸い込まれてしまった。そして、カザマが吸い込まれたのを皮切りに、黒い球体が収束し、大爆発を起こした!
ジュナイパー「…………」
……後に残ったのは、爆発に巻き込まれ、傷だらけになったカザマだけだった。
ドサッ
ジュナイパー「」
グラジオ「……しんのすけ」
クチナシ「…………」
しんのすけ「……カザマくん」
クチナシ「……坊主」
しんのすけ「今だっ!」
バサッ!
一陣の風のように翼がはためく音が聞こえたかと思うと、ペルシアンの背後から緑の閃光が飛来してきた!
ジュナイパー『行くぞっ!』
グラジオ「なっ!?」
クチナシ「……!」
ガシッ!
ジュナイパー『おおおおおっ!!』
ペルシアン「ニャッ!?」
カザマはカギ爪でペルシアンを掴むと、そのまま空へ投げ飛ばすと同時に6つの矢羽根をつがえて、一斉に発射した!
ジュナイパー『はあああっ!』ドドドド!!!
ペルシアン「ニ゛ヤッ!? ニ゛ャ゛ニャァッッ!!?」ドスドスドスッ!
ドサッ!
ペルシアン「ニャアアアッ……!」
ジュナイパー『……決まった!』
グラジオ「馬鹿な、さっき間違いなくZワザで倒されたはず――」
グラジオは、Zワザで倒れたはずのジュナイパーへ目を向けると、そこには草で編まれた人形が転がっていた。
グラジオ「あれは……!」
ジュナイパー『しんのすけ! Zワザ、行くぞっ!』
しんのすけ「ブ・ラジャー!」
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
ジュナイパー『これで決めるっ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にペルシアンへ急降下する!
そしてペルシアンに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がペルシアンや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
ドカァァァン!!
ペルシアン「フニャアアアァァッ!!」
ドサッ
ゴロゴロ
しんのすけ「……!」
ジュナイパー『……』スタッ
グラジオ「しんのすけが……勝ったのか?」
ペルシアン「」グッタリ
クチナシ「…………」ニヤッ
クチナシ「一本取られたね。Zワザを読んで、みがわりを出すとはよ」
しんのすけ「それほどでも」
ジュナイパー『しんのすけのおじさんからもらったわざマシンのおかげで、勝てた……!』
クチナシ「……まいったなあ。あいつらの屋敷に乗りこむ度胸と強さの持ち主とわかっていたが、これほどとはね」
しんのすけ「まったく、ちくびらないで欲しいですな」エッヘン
クチナシ「見くびる、だろ。カザマ、だったか? ポケモンもおつかれさん! ほら元気にしてやっからよ」
クチナシ「そら、持っていきな」
しんのすけは アクZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
大 試 練 達 成 !
クチナシ「あくタイプのZパワーは、こうしてこうすればいいからよ」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
グラジオ「……」アゼン
しんのすけ「こうしてこうしてこうですな?」
バッ バッ ブリリィ バァーン!
クチナシ「……いや、尻は出さなくていいけどよ」
クチナシ「ま、おめでとよってやつだな。ウラウラ島での島巡り、達成だよ」
スタスタ
ピタッ
クチナシ「なんかあるんだろ? まあ、ほどほどにしときなよ」
しんのすけ「ほいっ、ほどほどにヘンタイなことしてきます!」
クチナシ「……ところで、坊主」
しんのすけ「お?」
クチナシ「そいつ……ロトム図鑑だっけか? 面白い奴を連れているな」
しんのすけ「面白い奴というか、変な奴というか。ぶりぶりざえもんって言うんだ」
ロトム図鑑「お前は私を知っているのか? ずいぶん馴れ馴れしいな」
クチナシ「ぶりぶり……ね。あんまりしょうもないことして、余計な騒ぎを起こさせるなよ。そんだけだ」
クチナシ「それと……グラジオのあんちゃん、強くなりたいのならスカル団を頼ってどうするよ?」
グラジオ「………」
スタスタ
しんのすけ「行っちゃったー……やっぱり地味ィ」
ロトム図鑑「あいつ、私を知っていたな。いよいよ私も有名人になってきたな」
ジュナイパー(ボール)『そういう意味じゃない気がする……』
グラジオ「……クチナシさんはああいう人でな。面倒見がいいというか、ドライというかな」
ハウ「しんのすけー!」
しんのすけ「お、ハウくーん! オラ、ウラウラ島の島巡り、達成したよー!」
ハウ「ホントー? すごいー!」
グラジオ「……楽しいとか、言ってられないんだぜ?」
ハウ「おれが強ければーリーリエは……。だから、みんなを笑顔にするため、腹くくったのー!」
しんのすけ「えっ? ハウくんのお腹ってなんか結べちゃうの?!」
グラジオ「そういう意味じゃないだろう……」
ハウ「それにーおれもアローラ防衛隊だしねー」
しんのすけ「うんうん、防衛隊メンバーならしっかりしてもらわないと困るよ」
ハウ「で、リーリエはどこに連れていかれたの? ポータウンは違うでしょ。そのころ、しんのすけがいたんだし」
グラジオ「フッ……甘いワリには、案外するどいじゃないか」
グラジオ「エーテルパラダイスだ」
ハウ「エーテルパラダイスー!?」
しんのすけ「わーい! またビッケおねいさんとルザミーネおねいさんに会えるー!」
【ウラウラ島編 おしまい】
…… …… ……
【エーテルパラダイス編】
…… …… ……
海上 グラジオの小型船
グラジオ「スカル団とエーテル財団は、表向きでは敵対しているが、その裏では繋がっているんだ」
しんのすけ「どしてー?」
ハウ「スカル団は他人のポケモンを奪ってるけどー、エーテル財団の人たちはポケモンの保護してるから、方針が食い違うと思うけどー」
グラジオ「ボスのグズマはなにか理由があって、財団のある目的の為に手を貸しているようだ」
しんのすけ「なになに? 世界征服?」
グラジオ「フッ……それと同じくらい厄介なことではあるな」
グラジオ「コスモッグの力を使って、ウルトラホールを開き、そこから現れる異次元の生命体――ウルトラビーストを呼び寄せることだ」
ハウ「ウルトラビーストって、しんのすけがエーテルパラダイスで戦ったあのー?」
グラジオ「ほう、奴らを知っているのか? なら話は早い」
グラジオ「コスモッグはそれ自体弱いポケモンだというのは話したな? だが、コスモッグはストレスを与えたり、身の危険が迫ると、ウルトラホールを開く能力を持っている」
ハウ「ウルトラホールを開くー? じゃあコスモッグって、ウルトラビーストなのかなー?」
グラジオ「……そう、やつもまた、ウルトラビーストだ。リーリエが連れ出したのも、きっとストレスを与え続けられたコスモッグの身を案じての行動だろう」
ハウ「じゃあさーじゃあさー、このままウルトラホールが開かれたら、どうなっちゃうのー?」
グラジオ「言われなくともわかるだろ? アローラ……いや、世界がビーストで溢れかえる。そうなれば、人とポケモンの生態系のバランスが崩壊し、やがて世界はビーストが支配してしまう」
ハウ「なんでそんなことするのー! アローラになにか恨みでもあるのー?」
グラジオ「……オレにもわからん。理解できれば、説得できたかもな」
ハウ「それじゃー早くリーリエとコスモッグを見つけて取り返さなきゃ! ねぇ、しんのすけー……」
しんのすけ「ZZZ」
ロトム図鑑「」スリープモード
ハウ「うわわー! 大事な話なのに寝ちゃってるよー!」
グラジオ「フッ、寝かせてやれ。スカル団のアジトへ一人で乗り込み、更にクチナシさんの大試練までこなしたんだ。疲れないというのが、無理があるさ」
ハウ「でも、よく寝られるよねー。おれ、マイペースってよく言われるけど、しんのすけはそれ以上だよー」
グラジオ「だが、まんざらではなさそうに見えるぞ」
ハウ「まあねーしんのすけと一緒にいると、楽しいもんー。それにーリーリエとかアセロラとかってしんのすけのこと心配してるけどー、おれはしんのすけってなんでもできそうな気がするのー」
グラジオ「そうだな、そいつは変わってはいるが……子供とは思えない、凄まじいパワーを発揮する。しまキングとのポケモン勝負でそれを見せつけられた」
ハウ「見てみたかったなー、しんのすけの大試練ー」
グラジオ「オレも冷静さを欠いていたとはいえ、負けてしまったからな。次に戦う時は――!」
ハウ「どしたのー?」
グラジオ「チッ、財団のボートだ……!」
ハウが前方に目をやると、エーテルパラダイスの周囲に、エーテル財団のボートらしきものがいくつも警戒に当たっていた。
グラジオ「おそらく、誰にも邪魔されないように警護に当たっているんだろうな。憎い奴らだ……!」
ハウ「どうするのー?」
グラジオ「正面突破する! 向こうはポケモンを使って迎撃してくるだろうが、こちらもポケモンを出してボートを蹴散らして進むしかない。まずはしんのすけを起こせ!」
ハウ「しんのすけー! 起きてー!」ユサユサ
しんのすけ「ZZZ」
ハウ「世界の危機だよー! 早く起きてー!」ユサユサ
しんのすけ「ZZZ」
グラジオ「なにしてる! 早く起こせ!」
ハウ「起きないんだよー! 揺さぶってもなかなか起きないー! ……あ、そうだ!」
ハウ「……ライチさんとビッケさんが来たよ」
しんのすけ「えっ?! どこどこどこっ?」ガバッ
ハウ&グラジオ「…………」ハァ
しんのすけ「あれ、ライチおねいさんとビッケおねいさんは?」
グラジオ「しんのすけ! 説明は後だ! エーテルパラダイスに入るために、お前とポケモンの力借りたい! いいな?」
しんのすけ「え? あ、そうだ! オラたちエーテルパラダイスに行くんだっけ」
ハウ「だからそのためにあいつらを追い払わなきゃー! じゃないとビッケさんにもルザミーネさんにも、リーリエにも会えないよー!」
しんのすけ「よーし、オラに任せなさいっ!」
グラジオ(ハウ……手馴れているな)
しんのすけ「カザマくん! マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『オーケー! 任せてくれ!』ポンッ
ヨワシ(群)『全部ぶっ飛ばしてやるぜィ! イェイ!』ポンッ
ハウ「ライチュウ! はりきってこー!」ヒョイッ
ライチュウ「ライラーイ!」ポンッ
グラジオ「……飛ばすぞ!!」
ブォォォォン!!
財団職員A「ん? 誰か来るぞ」
職員B「そこのボート! 止まれ! 止まらんと……!」
ヨワシ『ひ ゃ っ ほ う !』ザバァッ
職員の真下からマサオが現れ、大ジャンプした! その勢いに巻き込まれて、ボートが転覆し、職員も海に放り出される!
職員C「侵入者だ! ポケモンで応戦しろ!」
ライチュウ「ラーイッ……チュウウッ!」バチチチッ!
職員D「ぎゃあああ! しびれびれーっ!」
職員E「おのれ! よくも!」スッ
ヒューッ ドスッ!
職員E「イタッ! これは矢か!?」
ジュナイパー『ポケモンは出させないぞ!』スッ
ポンッポンッポンッ!
ジュナイパー『……!』
ペリッパー「グアッグアッ!」
フワライド「フワワー」
レディアン「レディー!」
ジュナイパー『僕が相手だ! 来いっ!』ギリリッ
ザバン!
ヨワシ『吹っ飛ばしてやるぜ!』ブシャアアアアッ!!
ペリッパー「グアッ!?」
フワライド「フワワー?」
レディアン「レディッ?!」
ジュナイパー『うわわっ!』バサッ
ドドドドド!
ジュナイパー『マサオくん! 少し抑えろ!』ポタポタ
ハウ「いくよーライチュウ!」
バッ バッ ブゥンブゥン ビリリッ!
ピカッ! ゴウッ!!
ライチュウは Zパワーを 身体に まとった!
ライチュウが 解き放つ
全力の Zワザ!
ラ イ ト ニ ン グ サ ー フ ラ イ ド !
ライチュウ「ライラーイッ!」ゴウッ!
ライチュウは電気をまといながら夜空へ飛翔すると、ハウが職員たちの出したポケモンを指さした。
ハウ「ライチュウ! ゴーゴー!」
ライチュウ「ラーイッ!」
ライチュウはそれらのポケモンたちに狙いを定めると、急降下し突撃。すると、雷の柱が周囲に発生し、ポケモンと職員たちのボートを巻き込むと同時に颯爽とライチュウが通り抜けていった!
バリバリバリ!!
職員たち「うわぁぁぁぁっ!」
職員F「くそっ! 追え追えーっ!」
財団職員たちの運転するボートが、次々としんのすけたちの後ろから追いかけてくる!
しんのすけ「おー、ネコバス運転してたときを思い出しますなぁ」
しんのすけ「ううっ、思い出しちゃったらおしっこしたくなっちゃった……」ブルブル
ハウ「しんのすけー! どこ行くのー?」
しんのすけ「おトイレー」
ハウ「えー?」
トテトテ
職員F「エーテルパラダイスに入れるもんか――ん?」
エーテルパラダイスに入ろうとするスカル団のマークが目印の一艘の小型船。その上に、しんのすけがこちらに向けて立った。いぶかる職員F。
そしてあろうことか、ズボンを下ろし始めたではないか!
しんのすけ「うーん、月が綺麗~」
職員F「えっ? ちょっとまって、まさか――」
ジョボボボボボ!
職員F「うわーっ! きたねきたね! バックしろバック!」
しんのすけ「おおう、出る出るー」
グラジオ「なんだ? 職員たちの船がオレたちを避けている? よくわからんが、チャンスだ! ハウ、しんのすけ、ポケモンをボールに戻せ!」
ハウ「わかったー! ありがとーライチュウ!」バシュッ
しんのすけ「ふースッキリした。カザマくん、マサオくんごくろーさん」バシュッ
グラジオ「一気に進むぞ……!」
エーテルパラダイス 船着場
職員G「あの下品なお子様たちどこに行った?」ドタドタ
職員H「しらみつぶしに探せ!」ドタドタ
ハウ「うう……! で、どうするのー?」
しんのすけ「職員さんに聞いてみたら?」
グラジオ「……とりあえずエレベータに向かうか」サッ
ハウ「とりあえず、っていったよー! この人ノープランだよー!」
しんのすけ「ふつうのー人なんかにゃなりーたくないー♪」テクテク
ロトム図鑑「やきゅうせーんしゅになってーパイロォーットになってー♪」テクテク
ハウ「そっちじゃない……って、おいてかないでよー!」
スタスタ
グラジオ「……やはり、エレベーターには見張りがいるか」
しんのすけ「じゃあワイロでも渡しますか」
ロトム図鑑「このZクリスタルを渡せば見逃してくれるかな」
ハウ「そんなことしちゃダメだよー。でも、なんで職員さんたち、おれたちを襲ってきたんだろー。前来た時は優しかったのに……」
グラジオ「そんなことを考えても仕方ない。出番だ、ヌル」ヒョイッ
ヌル「オオオオーッ!」ポンッ
グラジオ「あの見張りにでんじはだ」
ヌル「オオオォッ!」ダッ
職員J「ん? なんだ?」
ヌル「オオオッ!」バチチッ
職員J「――おがッ!」ビリビリッ
ドサッ
しんのすけ&ハウ「おおーっ」パチパチパチ
グラジオ「フッ、感心してる場合じゃない。エレベーターに乗るぞ」
タッタッ
グラジオ「…………」ピコピコカチカチ
ハウ「あれー? 動かないのー?」
グラジオ「まっ、そうだろうな。動かせるのは関係者のみか。地下にも降りられんとは、わかっていたが……かなりクルもんだな」
ロトム図鑑「私の出番のようだな」ズイッ
しんのすけ「おーぶりぶりざえもん」
グラジオ「……図鑑ごときに何ができるんだ?」
ロトム図鑑「私は国際警察のハッカー兼サイバーテロ対策部隊に所属していたポケモンだ。ここのサーバーにハッキングしてセキュリティを解除し、エレベーターを動かしてやる」
ハウ「そんな部隊あるのー?」
グラジオ「なるほど……ロトムはもともと電化製品の中に入り込む性質を持つポケモンだったな。ならば、うまく応用すればハッキングすることも不可能ではない……か」
ロトム図鑑「ゴーストタイプだから、やろうと思えば人間の頭の中にでも入れるからな」
ハウ「科学とポケモンの力ってすげー」
ロトム図鑑「そういうことだ。ふむふむ……」
ロトム図鑑「……これは!」
ハウ「なにかわかったのー?」
ロトム図鑑「このエレベーターはシルフカンパニー製だな」
グラジオ「そんなことどうでもいいだろ……! 認証を解除しろと言ってる!」イラッ
ロトム図鑑「慌てるな、こわっぱども。どこか接続できるプラグの差し込み口的なモノがあるはずだ」
ハウ「なんか不安になってきたー……」
ロトム図鑑「あった! さて、接続するぞ」スルスル カチッ
しんのすけ「どう?」
ロトム図鑑「黙れ、今ハッキングしている最中だ」ピコピコ
ロトム図鑑「ふむ……厄介なことになった」
グラジオ「まさか、探知されたのか?」
ロトム図鑑「いや、世界中のネットワークを通してハッキングしているから短時間は逆探知される心配はない。だが、最後のセキュリティを破るためには2つの選択肢のうち、1つを選ばないといけないようだ」
ハウ「なになにー?」
ロトム図鑑「単純なモノだ。赤か緑、どちらかのウォールを破ればセキュリティーが解除されるが、もう一方はトラップになっている」
しんのすけ「クジラくん、どっちにしたらいいの?」
グラジオ「……赤か緑か」ムムム
ハウ「ねぇ、聞こえてるー?」
グラジオ「……」
ハウ「グラジオってさー黙ってればかっこいいと思ってるところあるよね」ボソッ
しんのすけ「いやですわ~あれが今時の若い子のスタイルなのかしら~」ボソッ
グラジオ「……聞こえてるぞ!」
ロトム図鑑「思い出した! 確かこういうとき、赤を選ぶのが正解だった」
ハウ「じゃあ早く破ろー!」
ロトム図鑑「よーし……」
しんのすけ「と言いつつ緑だったり」
ブチッ
ピーッ
ハウ「あ」
ロトム図鑑「バカ! なんということを!」
・・・
ハウ「……あれー?」
しんのすけ「何も起きないじゃん」
ロトム図鑑「……ふう! 私の的確な判断がセキュリティーを解いたようだな」
グラジオ「どこが的確だ! このブタ!」ガシッ
ロトム図鑑「待て! まだ安全に接続を――あ゛っ」ブチッ
アナウンス『ビーッ!ビーッ! 船着場から不審な反応あり! 至急財団職員は侵入者の確保へ向かわれたし! 繰り返す……』
ドカドカ!
イタゾー!
しんのすけ「あららー」
ハウ「うわわー!結局バレてるじゃん!」
グラジオ「こんな奴を信じたオレがバカだった……」
ロトム図鑑「お前が勝手に私をいじるからだ! バカ!」
コツコツ
ザオボー「エーテル財団の支部長といえば、世界にただ一人……このザオボーだけで、ございます」
ザオボー「おやおや、招いていないのにまたいらしたのですか?」ニヤァ
しんのすけ「よ! 課長!」
ザオボー「支部長です!」
グラジオ「……言わなくとも、用件はわかっているよな? ザオボーともあろうお人なら」
ザオボー「ヒヒヒ……! グラジオさま、世間にもまれたようですね。ですが教えられません! あなたともあろうお方なら、この状況で言える立場なのか、わかっていますよね」
財団職員たち「…………!」スッ
グラジオ「……クッ」
ロトム図鑑「おねげえしますだ、こいつらのポケモンは渡しますから命だけはお助けくだせえ」
ハウ「こいつー!」
ザオボー「ほうほうほう、面白いことを言う図鑑ですね。わざわざハッキングしていたのはあなたでしたか。いいでしょう」
職員K「では私が彼らのポケモンと身柄を拘束します」
ザオボー「ではロトム図鑑、あなたの身柄はこの支部長のザオボーが保証いたしますよ」
ロトム図鑑「へへーん、悔しかったらかかってこい」ブリブリ
しんのすけ「裏切り者ーっ!」
グラジオ「このブタ……覚えてろ」
ザオボー「彼らは地下1階の空いているラボにでも閉じ込めておきなさい!」
エーテルパラダイス 地下1階 とあるラボ(空き部屋)
グラジオ「くっ……」
しんのすけ「ぬーっ! オラの青春返せーっ!」
ハウ「そこはポケモンじゃないのー?」
職員K「安心しろ、後でお前たちをエーテルパラダイスから追い出した時にポケモンを返してやる」
職員K「もっとも、グラジオ様が持ち出したタイプ:ヌルは返してもらいますが」
グラジオ「貴様……!」ギロッ
ハウ「持ち出したー? どういうことー?」
しんのすけ「もしかして禁断の恋ってやつ?」
職員K「それを君たちが知る必要はない。そこでおとなしくしているんだな」
ウィーン
ハウ「ねえグラジオー。ヌルってどんなポケモンなの?」
しんのすけ「クジラくんの元カノ?」
グラジオ「…………」
グラジオ「……ヌルは、ウルトラビーストに対抗するために創られた、人工のポケモンだ」
しんのすけ「!」ピクッ
ハウ「創られたポケモンー!? それってポリゴンみたいなヤツってことー?」
グラジオ「……そうだ。だが、プログラムで創られたポリゴンと違うのはヌル自体、シンオウ地方に伝わる伝説のポケモンをモデルに、バイオテクノロジーでありとあらゆるタイプのポケモンの力を組み合わせて創られたポケモンだ」
グラジオ「……元々はARシステムと呼ばれるプログラムを組み込むことで、あらゆるタイプになり、あらゆる技を使いこなすように設計された。だが……起動テストを行った結果……成功するどころかヌルは暴走してしまった。それを制御するためにあの兜を被せられたんだ」
ハウ「なんでグラジオはーヌルと一緒にいるのー?」
グラジオ「……オレとヌルは似てるんだ」
しんのすけ「えーっ! あの兜がパックリ割れると、クジラくんそっくりの顔が出てくるの?!」
グラジオ「そういう意味の似てるじゃない……!」
グラジオ「作られた存在なんだ……。オレは母の飾りとして、いつも選ばれた服で、言われたとおりに振る舞い……ヌルはビーストと戦う。そのためだけに、準備された」
グラジオ「ビーストを倒すためだけに存在しているヌルを放っておくことはできなかった……自分を見ているみたいでな。それで2年前、オレはヌルを連れてここを出て行った」
ハウ「それじゃーグラジオってここの人だったのー?」
グラジオ「……そうだ」
ウゴッ! ウグァァァァッ!
3人「!?」
ハウ「今度はなにー?」
今日はここまで。
次回の更新は明後日の夜。つまり明日はお休みです。
じゃ、そゆことで~
【おまけ】
ハウ「あのさー気になってることがあるんだー」
しんのすけ「なに?」
ハウ「グラジオってポケモン勝負中、いつも左腕震わせてるよねー。あれなんだろーね?」
しんのすけ「血圧測ってるんじゃない?」
ハウ「違うと思うー。もっとこう、日頃の癖というかそんな感じがするんだよねー」
しんのすけ「お! わかった、手相を見てるとか?」
ハウ「Zポーズのイメトレ?」
しんのすけ「バイブ機能が付いてるとか」
ロトム図鑑「ラーメンの湯切りの練習だろ」
しんのすけ「あ、それだ!」
ハウ「ポケモン勝負してる最中にラーメン作る練習なんてへんなのー」
しんのすけ&ハウ&ロトム図鑑「あはははー!!」
グラジオ「ンなわけあるか! お前らオレをなんだと思っているんだ……!!」ビキッ
ウィーン
ひろし「しんのすけ! ハウくん! 無事か!?」
ビッケ「ぼっちゃま……」
グラジオ「ビッケ……!?」
しんのすけ「ビッケおねいさーん!」
ひろし「俺は無視かよっ!」
ハウ「おじさん、助けに来てくれたのー?」
ひろし「ああ、お前たちが地下のラボに閉じ込められたって聞いて、ビッケさんと一緒に降りてきたんだ」
ビッケ「みなさんのポケモンです。職員の方から取り戻しました」
しんのすけ「おおっ、ありがとー!」
ハウ「おじさんー。なんで職員の人たち、あんなに変わってしまったのー? 前来た時は、みんな親切にしてくれたのに」
ひろし「俺にもわからないんだ。ただ、代表と支部長から『誰ひとりとしてここを通させるな』って放送が入ったら、みんな目の色を変えて警備に乗り出したんだ」
ひろし「それで俺も保護区の警備に当たっていたら、お前らが捕まったことが伝わってな。事情を知っているビッケさんと一緒にここに来たんだ」
ビッケ「……ひろしさんは、もともとフタバカンパニーから転勤してきたばかりですので、こちらの内情についてまだご理解されていないからでしょうね」
ひろし「内情って?」
ビッケ「我々エーテル財団は、代表の意志に逆らわないように、金銭や人質、脅迫など、強行的な手段を取ってでも命令に従わせるときもあります。これらをしてでも命令するケースは今回くらいで滅多にありませんが……」
ハウ「そうだったのかー……」
しんのすけ「ま、とーちゃんがまたおかしくなったら、靴の臭いを嗅がせますから」
ひろし「はは、分かったことを言うなよ」
ハウ「においー?」
ひろし「そういうお前たちだって、なんでこんなところに来たんだ? 今ここが危ないところだって、外から見てもわかるはずだろ?」
ハウ「実はこういう事情があってー……」
~ハウ説明中~
ひろし「コスモッグ……ウルトラビーストに、リーリエ」
ひろし「つまり、しんのすけたちの友達のリーリエって子が連れていたコスモッグを、財団が取り返して、その能力でウルトラビーストを呼び出すのを、しんのすけ達は止めに来た……ってことか?」
グラジオ「……そういうことだ」
しんのすけ「オラたち、リーリエちゃんもほしぐもちゃんもお助けしに来たんだ!」
ひろし「……本当なら、親として大人として、お前たちを止めるべきなんだろうな」
ビッケ「ひろしさん。しんのすけさんもハウさんも、顔を見られている以上遅かれ早かれ、いずれエーテル財団とスカル団に狙われます。なので、まずは今回の命令を下している代表を止めることが最善と思われます……」
ひろし「……わかった! とーちゃんも手伝ってやる! 世界の危機なんてどうでもいいけど、息子を危ない目に遭わせるわけにはいかないしな」
しんのすけ「おおっ、とーちゃんも加われば、フンバリキだね!」
ひろし「それを言うなら、百人力、だろ?」
ハウ「おじさん、ポケモン持ってないのに戦えるのー?」
ひろし「大丈夫だ、おじさんはポケモンを持ってないけど、代わりに武器になるものはある。それでお前たちをサポートするさ」
グラジオ「リーリエのこと、なにか知っているか?」
ビッケ「恐らく……代表のところかと」
グラジオ「なら、会いにいく。それだけの話だ」
ハウ「代表ってルザミーネさんだよねー。いい人だから、話をきいてくれるよー」
しんのすけ「そーそー、オラなんて素直でいい子だから、きっと止めてくれるって」
グラジオ「興味のない相手になら、優しくふるまえるだろうさ……」
ビッケ「ただ、代表の御自宅へ向かうための扉はカギがかかっていますから……」
グラジオ「関係ないね」
ひろし「あの扉のカギか……。おそらくだが、支部長ならなにか知ってるかもしれないな」
しんのすけ「ぶりぶりざえもんも一緒かなー?」
ビッケ「支部長なら、1階におられます。どうかお気をつけて……」
しんのすけ「よーし! じゃあ3人はリーリエちゃんを追って! オラはビッケおねいさんとコーヒーでも!」
ひろし「お前も来るの!」
ハウ「こんな時でもしんのすけってブレないねー」
グラジオ「頭痛くなってきた……」
ウィーン
ドタドタドタッ!
ビッケ(みなさん……グラジオさまの事、よろしくお願いします……。思いつめると、後先考えずポケモンを連れだすところとか、おふたり、似ておられますから……)
エーテルパラダイス地下一階 エレベーター前
ひろし「くそー……さっきのおかげで、警備が厳重になっているな」
グラジオ「このまま通り抜けるのは、不可能か……」
しんのすけ「オラにいい考えがあるゾ!」
ハウ「なにー?」
しんのすけ「とーちゃん以外、みんなこれ着ればいいんだよ!」バサッ
ひろし「そうか、その手があったか!」
ハウ「エー! それ着るのー?」
グラジオ「俺はそんなもの着ないぞ……!」
しんのすけ「じゃあオラととーちゃんとハウくんで、リーリエちゃんに会いにいくもん。クジラくんはここでじっとしていればー?」
グラジオ「クッ……!」ピクピク
ハウ「グラジオー仕方ないってー。他に方法がないんだもん」
グラジオ「ハァ……憎いヤツだ」
しんのすけ「それほどでも~」
ひろし「褒めてないって……」
ひろし「すいませ~ん、エレベーター使ってもいいですか?」
職員L「ん? そのポケモンは?」
ひろし「あ、あぁ、これから保護区に連れて行くポケモンたちですよ。ほら、さっきも侵入者がいたでしょ? 戦闘に巻き込まれないために保護区に避難させようと……」
ルガルガン(夜)?「…………」
ピカチュウ?「ぴっかぁ!(裏声)」
カプ・コケコ?「コイケェーエイコー!」
職員L「この……ポケモンたちが?」
ひろし「は、はい」
職員L「この……ポケモンたちが?」
ひろし「は、はい」
職員L「なんかピカチュウが普通のサイズより頭身が高く見えるけど……」
ひろし「えっと、突然変異です。色違いと似たようなものですよ」
職員L「……ちょっと待て、じゃあなんでカプ・コケコがこんなところにいるの?! コイツメレメレ島の守り神だろ!?」
ひろし「えーっと、それが……」
カプ・コケコ?「オラたちーバカンス中ーでしてー!」
ひろし「そうそう、旅行中らしいんですよ」
職員L「オマエラあやしい! オマエのようなしゃべるカプ・コケコと頭身が高いピカチュウがいるか!」
ルガルガン?「……!」
ピカチュウ?「ピカァ!?(裏声)」
ダッ
カプ・コケコ?「カプ・カンチョー!」
ズ ボ ッ !
職員L「あおおおおーっ!!」ビクビク
ひろし「よし、今のうちだ!」
カプ・コケコ?「よっしゃー!」
ルガルガン?「なにしてやがる、オレ……」
ピカチュウ?「でもちょっと面白かったー」
ルガルガン?「……だいたい、カプ・コケコに変装なんて無理がある」
カプ・コケコ?「オラのコスプレに不可能はない!」
ルガルガン?「そうじゃない! 不自然すぎると言っている!」
ピカチュウ?「まぁ今更だけどねー」
エーテルパラダイス 1階 扉前
グラジオ「ザオボー……!」
ザオボー「おやおや……下でおねんねしていればいいものを」
しんのすけ「よ! 副課長!」
ザオボー「支部長です! なんでさっきよりランクが下がっているんですか!」
ザオボー「ひろしさん……あなたは確か、保護区の警備を任せていたはずですが。なぜお子様たちを連れているのですか? まさか、我々に逆らうなんて言うんじゃありませんよね」
ひろし「俺の子供のポケモンを取り上げて、ラボに閉じ込めるやつらを信用できるかよ」
ザオボー「侵入してきたのはそちらのお子様たちでしょうに。いいのですか? フタバカンパニーから異動してきたあなたが、財団の方針に口出しできる立場ではないのですよ?」
ザオボー「そうですねぇ、そこのお子様たちを説得して、さっきのラボに戻して頂ければ今回のことは代表に報告しないでおきましょう。いかがですか? 慈悲深い支部長の取引ですよ?」
ひろし「支部長、俺が家族をお前たちに売る男に見えると思ったら大間違いだ」
グラジオ「……」
ザオボー「……」ヤレヤレ
しんのすけ「ま、とーちゃんの甲斐性じゃヒラか係長止まりだもんね」
ひろし「うるせーよ! せっかくかっこよく言ったのに……」
ハウ「ザオボーさん、奥の扉のカギ持ってるのー?」
ザオボー「ええ! もちろんですとも。カギというより、パスワードですが」
ハウ「だったらー隠れていたら、先に進まれることもないのにー」
ザオボー「!?」
しんのすけ「そうだよねー。子供でも分かることなのに、おバカさんだなぁ」
ザオボー「ええい! こうなったら、人呼んでエーテルパラダイス最後の砦! 支部長ザオボー! その力をとくとお見せしましょう! ええ! マルチバトルでお相手しましょう!」
グラジオ「時間がない、しんのすけ! オレを助けろ! ハウは誰かが乱入してこないように周囲を見張れ!」
ハウ「おーし!」
しんのすけ「めんどくさいけど、行きますか」スッ
エーテル支部長の ザオボーが
勝負を しかけてきた!
ザオボー「行きなさい! スリープ! スリーパー!」ヒョイッ
スリープ「スリィィプ!」ポンッ
スリーパー「スリィィィパァー!」ポンッ
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイ
グラジオ「深緑の射手と並び立ち、供に愚鈍なる力をねじ伏せろ――ヌル!」ヒョイ
ジュナイパー『早くケリを付けよう! しんのすけ!』ポンッ
ヌル「オオォォッ!」ポンッ
グラジオ「ヌル! スリープにシザークロス!」
ヌル「オオォォッ!」ダッ!
しんのすけ「それじゃ早速Zワザ行っちゃいま~す」
バッ バッ ブリブリブリブリ!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
ジュナイパー『行くぞッ!』バサッ
カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にスリーパーへ急降下する!
そしてスリーパーに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がスリーパーや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!
スリーパー「スリィィパァァ!!」ドサッ ゴロゴロ……
ヌル「オオオォッ!!」
ザンザンッ!
スリープ「スリィィィプ!?」
フラッ ドサッ
ひろし「すげぇ……秒殺だ!」
ハウ「よーし! ナイスバトルだよー二人ともー!」ピョンピョン
ザオボー「あ、あああ、ありえないでしょう? お子さまに追い詰められるなんて!? しかも何もできずにっ」
グラジオ「助けあう、か……悪くないな」
しんのすけ「オラとクジラくんのハートとハートが重なり合った結果なのねぇん」クネクネ
グラジオ「その気色悪い言い方、やめろ」
ハウ「おれたちーリーリエ助けたいから、もう行ってもいいよねー!」ニコニコ
グラジオ「ザオボーともあろうお人なら、用件、わかっていますよね」
ザオボー「クッ……皮肉が言えるほど、世間にもまれましたか」
ザオボー「ですが、パスワードを教える気はありませんよ。なにせ私は、エーテル財団最後の砦! 支部長ザオボーですから!」
ハウ「あー! 勝負に勝ったのにきったなーい!」
ひろし「じゃあ、その最後の砦とやらの強さ、試してみるか」ズイッ
ひろし「しんのすけ、ハウくん、グラジオくん、そいつの手足を抑えてくれ」
しんのすけ「もうしてるよー」ガシッ
ハウ「オッケー!」ガシッ
グラジオ「…………」ガシッ
ザオボー「な、なにをする気ですか? ぼぼぼ暴力ですか? そんなことで私が屈すると思っているのですか?」
ひろし「そんなものを子供に見せるわけにいかないだろ。その代わり、ある意味暴力よりきついことをするけどな」ズルッ
ザオボー「なぜ靴を脱ぐんですか? ちょっとそんなもの近づけないでください臭いますからやめてくださいホントに!」ガタガタ
ツーーーーン
ザオボー「ウグッ!!」
グラジオ「……!?」ビクッ
ハウ「なんかくさいー!」ウルッ
しんのすけ「出た! とーちゃんの靴下攻撃!」
ザオボー「オオオオッ! オッ!! オオオオォォォ!!!」ジタバタジタバタ
ひろし「どうだ? 話してくれるか? 支部長」ツーン
ザオボー「話します! 話しますからもうやめて……ウェップ」
グラジオ(なんて臭いだ……そこらの毒タイプの放つ臭いとは比べ物にならない。ザオボーはこれを間近で受けているのか)
ザオボー(だからお子様と親バカは好きになれないんです……)ピクピク
エーテルパラダイス1階 ルザミーネの屋敷前広場
グラジオ「一気に行くぞ、ヌル……!」ダッ
ヌル「オォォォッ!!」ダッ
スカル団したっぱI「こいつらを止めろ!」
したっぱJ「グズマさんのお手を煩わせるな!」
ハウ「わー! スカル団のみなさん、いっぱいいるよー! 本当にスカル団にお仕事頼んでたんだー! すごいショックー!」
しんのすけ「エーテル財団も下着ドロボーだったのか!」
ひろし「なんでだよっ!」
ハウ「考えるのはあとだよねー! しんのすけ! スカル団、やっつけるよー!!」
しんのすけ「おっしゃー!」
ひろし「オレも靴の臭いでサポートするぜ!」バッ
したっぱI「行け、ラッタ!」
したっぱJ「あいつらを倒せ、ゴルバット!」
したっぱK「ヤドラン! ゴーッ!」
ラッタ「シャーッ!」ポンッ
ゴルバット「ゴルーッ!」ポンッ
ヤドラン「ヤン……」ポンッ
ハウ「いくよーガオガエン!」ヒョイッ
ガオガエン「ガルルルッ!」
しんのすけ「ネネちゃん! レッツラゴー!」
ヌイコグマ『どこからでもかかってきなさいよ!』
グラジオ「グズマ……!」
グズマ「グラジオ、ここまで来たってことはよ、生みの親に逆らうつもりってことだな?」ニヤッ
グラジオ「ああ、親が間違っていることをしてたら、逆らってでも止める!」
グズマ「ハッ、反抗期ってやつか。おまえのことは、ずいぶん気に入ってたんだがよ。この親不孝者が!」
グズマ「お前のその性根、ブッ壊してやらあ!」
グラジオ「孤独と戦ってきた日々で鍛えた力、ぶつける!」
グズマ「破壊という言葉が人の形をしているのが、このオレさまグズマだぜえ!」
ハウ「ガオガエン! DDラリアットー!」
ガオガエン「ガオォォッ!!」ギュルルルン!
バキッ!
ヤドラン「ヤン……」
しんのすけ「ピッピ人形を殴るように打ち込めー!」
ヌイコグマ『ふんっ!』ブンッ
ドズムッ!
ラッタ「シャッ!?」
ゴルバット「ゴルルッ!!」バサバサッ
ひろし「食らえっ!」バッ
ツーーン!
ゴルバット「ゴ、ゴルッ!?」ピクッ
したっぱたち「ひっ! く、クサッ!」フラッ
バタバタッ!
ひろし「フッ、この臭いに勝てる奴などいるものか」ハキハキ
しんのすけ「」
ハウ「」
ひろし「……お前ら嗅いでねえだろ! わざとらしく気を失うな!」
したっぱL「あのオヤジが一番厄介だな! おい、あのオヤジをやれ!」
ひろし「しんのすけ! ハウくん! ここは俺が引き受ける! お前らは早く代表のところへ行け!」
しんのすけ「とーちゃんは?」
ひろし「後で行くぜ! とーちゃんを信じろ、しんのすけ!」
しんのすけ「……とーちゃんはいつか、課長になれるよ!」ダッ
ひろし「課長どまりかよ!」
ハウ「おれは残るー。おじさん、ポケモン持ってないでしょー? おれが手伝ってあげるー!」
ひろし「ハウくん……! よし、臭いに巻き込まれないよう気をつけろよ!」
ハウ「うんー!」
しんのすけ「ほっほーい、クジラくーん!」
グラジオ「クッ……強くなってない。孤独と戦ってきた日々、まるでムダだったというのか……」ガクッ
ヌル「オ、オオ……」ピクピク
しんのすけ「クジラくん、ヌルヌルくん、せーり痛?」
グラジオ「……ホントにそう見えるなら眼科行けっ!」
グズマ「ブッ壊しても、ブッ壊しても、手を緩めなくて嫌われるグズマ様が、ここにいるぜ」
しんのすけ「よ! くさやのおじさん」
グズマ「グズマだ! そこのおぼっちゃんは、オレさまが壊してやったよ。家を飛びだし……強くなりたいって、スカル団に来たりしてよ。それなりに気に入ってたがよ……。生みの親に逆らうなんて、親不孝にもほどがある!」
しんのすけ「えっ? クジラくんとくさやのおじさんって親子なの?! ってことはクジラくんがお父さん?」
グズマ「ちげぇよ! バカかお前は!」
グラジオ「勘違いするにしても逆だ……!」
しんのすけ「ほーほー」
グズマ「そんで、次はお前をブッ壊す番だ。いつまでもチョロチョロまとわりつく、目障りなじゃがいも小僧が!」
グズマ「お前のじゃがいも頭ブッ壊して脳みそストローでチューチューすすってやるぜクソボーズ!!」
スカル団ボスの グズマが
勝負を しかけてきた!
グズマ「オラァ行けっ! グソクムシャ!」ヒョイッ
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「…………」
――グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
――しんのすけ! であいがしらは出した瞬間のみだが、必ず先制できる技だ! グソクムシャの得意技だよ!
しんのすけ「ボーちゃん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ミミッキュ『ボッ!』ポンッ!
グズマ「挨拶がわりにであいがしらをブチかませ!」
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
ドゴッ!
ミミッキュ『ボ! 早い!』カクン
しんのすけ「ボーちゃん、今だ!」
ミミッキュ『オッケイ』バチチチッ!
グソクムシャ「ググッ!?」ビリビリ
グズマ「こいつ……麻痺にしやがったか」
ミミッキュ『ボーッ!』ジャキンッ!
グソクムシャ「グモッ!?」ザクッ!
ミミッキュ『もう一度!』ジャキン!
グズマ「今だ! ふいう――」
しんのすけ「ボーちゃん、一旦戻ったほうがいいよー!」
ミミッキュ『ボ! 分かった』サッ
グズマ「チッ……ふいうちを読んだな」
グズマ「グソクムシャ! いったん戻りな!」シュンッ!
ミミッキュ『ポケモンを取り換えた……?』
しんのすけ「ワッハッハッハッ、ボーちゃんに恐れをなして逃げたか!」
グズマ「ハッ――行きな! アリアドス!」ヒョイッ
アリアドス「シャーーッ!!」ポンッ
グズマ「アリアドス、どくのいとだ!」
アリアドス「シャーッ!!」ブシュッ
しんのすけ「あっ! ネネちゃんみたいに図体がおっきいと抜け出せないから気を付けて!」
ヌイコグマ(ボール)『どういう意味よ!』
ミミッキュ『ボーッ!』ジャキンッ
ザクザクザクッ!
どくのいとをシャドークローで切り裂いた瞬間、ボーちゃんの背後にアリアドスが現れた!
グズマ「クロスポイズンだ!」
アリアドス「シャッ!!」ブンッ
ザクザクッ!
ミミッキュ『うっ……!』ブルッ
しんのすけ「ボーちゃん、大丈夫?」
ミミッキュ『たぶん、毒を受けたかも。これから光の壁を張って、アリアドスにのろいをかけてくる』
しんのすけ「のろい?」
ミミッキュ『しんちゃんは、次のポケモンを出す準備しといて』
しんのすけ「ほいっ」コクン
ミミッキュ『ボーッ!』ピカー!
グズマ「あん? 光の壁か? 面倒なことしやがる。アリアドス! かげうちだ!」
アリアドス「シャーッ……」ブゥゥン
ミミッキュ『ボ!?』ドカドカッ
ボーちゃんの影からアリアドスが現れて、攻撃を加える。
しかし、振り向きざまにボーちゃんの目が妖しく輝く!
ミミッキュ『……ボ!』ギンッ!
アリアドス「シャ……!?」ドクン!
グズマ「ん……?!」
ミミッキュ『しんちゃん……交代』ハァハァ
しんのすけ「ボーちゃん、ごくろーさん」シュンッ
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ヨワシ(群)『うっしゃあ! ヤローども、行くぜい!』ポンッ
グズマ「あん時のヨワシ……。さっきのミミッキュといい、バカなわりに面倒なの連れてやがる」
しんのすけ「マサオくん、思いっきり行っちゃえー!」
ヨワシ『おうっ! ウラウラのときはほとんどだらしねぇところ見せちまったが、汚名返上だぜ! ファイヤーッ!』ブシャーッ
マサオの口から勢いよくみずでっぽうが放たれる。
アリアドス「シャッ?!」ドドドッ!
グズマ「アリアドス! もう一度どくのいとだ!」
アリアドス「シ、シャーッ!!」ブシュッ
グズマ「そんなでけぇ図体じゃ避けようもねえだろうよ!」
しんのすけ「押し返しちゃえ!」
ヨワシ『やらいでかっ!』バシュッ!
マサオのみずでっぽうと、アリアドスのどくのいとが互いに迫っていく!
アリアドス「シャアッ……!」ズドドッ!
ヨワシ『うっ……糸が!』
マサオにどくのいとが締め付けられたものの、アリアドスの体力も限界を迎えた。
アリアドス「シ……シャッ」ガクッ
グズマ「おうおう、ヤツはどくに出来たみたいだな。よくやったぜ、アリアドス」シュン
ヨワシ『……このくらい!』ググッ
しんのすけ「ちょっとずつヨワシくんが逃げちゃってるけどね」
ジュナイパー(ボール)『やっぱり、でかさが仇になってる時があるね』
しんのすけ「群れなんだから、バラバラになれないの?」
ヨワシ『バラバラ?』
ジュナイパー『なるほどね! 群れを一旦散り散りにさせて技を回避したあと、もう一回戻るんだよ!』
ヨワシ『……考えてみるぜ。すぐにできることじゃねぇけどよ』
グズマ「カイロス、出てこいやぁ!」ヒョイッ
カイロス「カイロォォッ!」ポンッ
しんのすけ「おおっ、新手か!」
ヨワシ『誰が来ようが関係ねぇ! ぶっ飛ばしてやるぜぇ!』ブンッ
マサオは全身を一回転して尾ひれ(の形に群れたヨワシ)をカイロスに向けて叩きつける!
カイロス「カイッ!」メキッ!
マサオのアクアテールを食らって、地面にめり込んだものの、カイロスは尾ひれを挟んだ!
グズマ「よーし! そのままやまあらしだ!」
カイロス「ロォォォッ!!!」グワァァ
ヨワシ『な、なにっ!?』ズズズ
しんのすけ「おーっすげー! マサオくん持ち上げてる!」
ジュナイパー(ボール)『関心してる場合かよ!』
カイロス「ォォッ!!」ブゥンッ
ズシンッ!
ヨワシ『うわぁっ!』バララーッ
ヨワシ(単)『ううっ……』
グズマ「へっ、群れが散ったみてえだな。所詮、群れのないヨワシなんて文字通りの雑魚だよ。ぶっ壊す価値もねぇ。とっとと引っ込めな」
しんのすけ「マサオくんは雑魚なんかじゃないもん!」
ヨワシ『し、しんちゃん……』
しんのすけ「ところで雑魚ってどういう意味だっけ?」
ヨワシ「」ズルッ
グズマ「……おまえのバカなやりとりに付き合うつもりはねぇよ。カイロス、かわらわりで止めさしちまえ!」
カイロス「カイッ!」ドタドタッ
ヨワシ『ひっ、ひいいっ……!』ビクビク
カイロス「ロオオオッ!」ブンッ!
しんのすけ「マサオくん!」
ヨワシ『――ッ!』スゥゥゥッ
ブシャアアアアッ!
カイロス「!?」ドドドドッ
しんのすけ「おー! やるじゃん」
ヨワシ『ハァハァハァ……』
グズマ「今のはハイドロポンプか? しぶてぇヤツだ! とっととやっちまえ!」
カイロス「ロォォッ!」ブンッ!
ヨワシ『うわぁぁっ!』ドカッ
ドサッ
ヨワシ『し、しんちゃん……も、限界だよ……』ピクピク
しんのすけ「ほい、マサオくん頑張りましたな」シュンッ
しんのすけ「じゃあ次カザマくん――」
ヌイコグマ(ボール)『ちょっと待って、あたしが出ていい? あのグソクムシャにリベンジしたいの』
ジュナイパー(ボール)『えぇ? だったら先に僕がカイロスを倒したほうが――』
ヌイコグマ(ボール)『いいでしょ? カザマくんはアセロラさんの試練で出番もらったんだし』
ジュナイパー(ボール)『わ、わかったよ……』
しんのすけ「じゃあネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヌイコグマ『今度こそあいつにリベンジしてやるわっ! とっととカイロスをやっつけちゃいましょ』ポンッ
グズマ「あのヌイコグマか。さっきの奴らと比べりゃ大したことねぇ相手だ。カイロス、もう一度かわらわりだ!」
カイロス「カイッ!」ブンッ!
ヌイコグマ『あんたなんかに用はないのよ! とっとと失せなさい!』ブンッ!
ググググッ
ヌイコグマ『ふぬぬぬっ……!』ググッ
カイロス「ロォォォッ」ググッ
ネネの腕とカイロスのハサミがつばぜり合いをするようにぶつかりあう!
しかし、先に動いたのはネネだった!
ヌイコグマ『ふんっ!』ガシッ
カイロス「カイッ!?」
ヌイコグマ『おぉぉりゃぁぁっ!』ブゥンブゥン
しんのすけ「久しぶりに見た、ネネちゃんのぶんまわし……」
ヌイコグマ『ふんっ!』ブンッ!
ヌイコグマに投げ飛ばされたカイロスは、壁に激突する!
ズズンッ!!
カイロス「ロォォッ……」ガクッ
グズマ「ケッ……相変わらずの怪力だ。カイロス、戻んな」シュンッ
グズマ「後はお前だけだ! グソクムシャ!」ヒョイッ
グソクムシャ「ズモォォォ……ッ」ポンッ!
ヌイコグマ「やっと出てきたわね。マリエ庭園でのお返し、たっぷりすr」
グズマ「であいがしらだ!」
グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!
ドカッ!
ヌイコグマ『……っと! そう何度もさせないわよっ』グググッ
グソクムシャ「ズモォォ!」
ヌイコグマ『あーら、最初にやった時よりずいぶん動きが遅いじゃない』ニヤッ
しんのすけ「ボーちゃんがまひまひにさせましたからー」
ヌイコグマ『まぁ、それなら今度、リアルおままごとでいい役をやらせなきゃね』
ミミッキュ(素直に喜べない……)
グズマ「グソクムシャ! シェルブレードだ!」
グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ!
振り下ろされるシェルブレードに対して、すかさずネネは横へ回避するとグソクムシャの腹に向けて拳を突っ込む!
ヌイコグマ『ネネ・パーンチッ!!(カウンター)』ブンッ
グソクムシャ「ズモッ!?」ドスンッ!
ヌイコグマ『そしてネネ・タックル!(とっしん)』ドンッ!
グソクムシャ「ズモォッ!」
しんのすけ「そろそろ避けたほうがいいよー」
ヌイコグマ『まだいけるでしょ! これでとどめよっ! ネネ・パーン……』
グソクムシャ「ズモォッ!」ブンッ
ドンッ!
ヌイコグマ『きゃっ!』フラッ
しんのすけ「あーん、だから戻ったほうがいいって言ったのに」
グズマ「歴史は繰り返すってな!」
グズマ「調子に乗ってると、そうやって不意打ちされてブッ壊れるキッカケになるのさ。そこのお坊ちゃんのようにな!」
グラジオ「くっ……!」
グズマ「こっから一気にブッ壊してやるぜぇ! グソクムシャ! シェルブレード!」
グソクムシャ「ズモッ!」ブンッ!
ヌイコグマ『痛いっ!』ザンッ!
グズマ「そらそらァ! どんどん行くぜぇ! グソクムシャ、アクアジェットだ!」
グソクムシャ「ズモォォォォッ!!」ドドドドッ!
ヌイコグマ『ううっ!』ドンッ
ジュナイパー(ボール)『ネネちゃん! ライチさんとの戦いでしたように、一度攻撃を我慢して耐えて一気に攻めるんだ!』
ヌイコグマ『わかって……るわよ!』ググッ
グズマ「もう一度シェルブレード!」
グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ!
ヌイコグマ『く、ううっ!』ザシュッ
ヌイコグマ『はぁ……はぁ……!』
グズマ「まさに虫の息ってな! そろそろ、ブッ壊すとするか」
しんのすけ「ネネちゃん、また負けちゃうよ? 悔しくないの?」
ヌイコグマ『悔しいに決まってるでしょ! 同じ相手に負けちゃうなんて、そんなのイヤッ!』
しんのすけ「じゃあ、今思いっきり行っちゃえ!」
ヌイコグマ『うんっ!』ダッ!
ドドドドド!!
ヌイコグマ『うおおおおっ!』
咆哮とともに、今までがまんして溜めてきたエネルギーを解放した、その時!
カッ!
グズマ「なにっ!?」
しんのすけ「ネネちゃんも光った!」
ジュナイパー(ボール)『進化だよ! ネネちゃんが進化するんだ!』
まっすぐグソクムシャに突進しながら、ネネの身体がどんどん巨大化していく。
女の子が抱きかかえられるぬいぐるみから、しんのすけはおろか、グズマでさえ見上げるほどの巨躯へと変わってゆく!
ズズズズ!!
グズマ「グソクムシャ! アクアジェットで止めろ!」
グソクムシャ「ズモォォッ!!」ドドドッ!
ドンッ!
グソクムシャは進化を阻止しようとネネに攻撃を仕掛けようとするが、先ほどのネネとは比べ物にならない力で、アクアジェットを食い止められた。
???「…………」ググッ
グソクムシャ「ズモ……!?」
???『おりゃああああっ!!』ゴウッ!
バキッ!
グソクムシャ「ズモォォォッ!?」グワッ!
光に包まれたネネがグソクムシャの下顎にアッパーを食らわせると、彼の身体が一度宙に浮かんだ!
かろうじて着地して体勢を整えるが、進化したネネのパワーに、全員が驚愕していた。
グズマ「なん……だと?」
グラジオ「……!」
しんのすけ「おおーっ! ネネちゃん!」
キテルグマ(ネネちゃん)『あたしを舐めるんじゃないわよ!』
進化の光が払われると、ネネはヌイグルミの姿から一転、ピンクと黒の体表が目に付く着ぐるみのような姿――ごうわんポケモンのキテルグマに変わっていた。
しんのすけ「ネネちゃんずいぶん太りましたなー大きくなったゾ」
キテルグマ『あ゛あ゛? 誰が太ったですってぇ?!』ドスドスッ
しんのすけ「おわわっ! なんでもないなんでもない!」
グズマ「なんて奴だ。また進化させやがっただと……」
グソクムシャ「ズモ……ォォッ!」ユラッ
しんのすけ&キテルグマ「!」
キテルグマ『しんちゃん! Zワザで決めちゃいましょ!』
しんのすけ「おうっ!」
バッ! シュッ! ブリッブリッブリッ!
ピカッ! ゴウッ!!
ネネは Zパワーを 身体に まとった!
ネネが 解き放つ
全力の Zワザ!
ぜ ん り ょ く む そ う げ き れ つ け ん !
キテルグマ『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』
グソクムシ「グッ、グモッ!?」
ゼンリョクのネネが放つ無数の拳がグソクムシャを襲う!
ドゴドゴドゴドゴドゴ!!!!
キテルグマ『オラァッ!』バキッ!
グソクムシャ「グモォォッ!!」
フィニッシュに、キテルグマ自身がオーラを纏って突っ込む!
しんのすけ「ネネちゃん! ファイヤー!」
キテルグマ『おりゃああああっ!』
ドドドドドドド!!!
ドッゴォ!!
グソクムシャ「グモォォォッ!!」
ドサッ ゴロゴロ
グソクムシャ「グ、グモ……」ガクッ
グズマ「グソクムシャ――」
キテルグマ『……ふうっ! ようやくリベンジできたわ』
しんのすけ「まいったか! これがオラたちのゼンリョクだゾ!」
グズマ「…………!」ブルブル
グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ
しんのすけ「おおっ、また騒いでる。くさやのおじさんカルシウム足りないのかな……?」
グズマ「しょうがねえ……通りな!」スッ
しんのすけ「あ、どうもねー」テクテク
グラジオ「しんのすけ……! 後でオレも追いつく! リーリエと母上を頼む!」
しんのすけ「ほいほーい!」
しんのすけ(ん? 母上?)
グズマ(……あのじゃがいも小僧をブッ壊すには! 俺様をブッ壊すほど追い詰め、自分自身を強くしないとな!!)ガンッ!
ルザミーネの屋敷 屋内
ウィーン!
しんのすけ「ほっほーい! リーリエちゃん生きてる?」
リーリエ&ルザミーネ「……!」
しんのすけ「あ、ルザミーネのおねいさん、やっほ~!」フリフリ
リーリエ「ウソ……です。しんちゃんが、助けに来てくださるなんて……」
しんのすけ「なんか文句ある?」
リーリエ「そ、そういうわけじゃないですけど……」
ルザミーネ「ふうん、知り合いなの。しんのすけ君のような素直で可愛いコと、あなたが仲良くしてるの。わたくし、がっかりです」
しんのすけ「そうかっかしないでおねいさん。オラとリーリエちゃんの仲を嫉妬するのはわかりますけど、別に恋人じゃありませんから……」
リーリエ「かあさまの許しがなくても! わたしはコスモッグを助けます!!」ムシ
ルザミーネ「あなた……よく分からないことを言うのね。だってわたくしには、娘も息子もいないのよ?」
ルザミーネ「わたくしの愛を受け入れずに、いなくなる子供たちなんて!」ギロリ!
リーリエ「……!」
しんのすけ「え? え?」
リーリエ「……!」
しんのすけ「え? え?」
ルザミーネ「それにリーリエ、あなたになにかできて? 親を説得できない! トレーナーとしての強さもない! やったことと言えば、人の実験材料を黙って持ち出したことぐらい」
しんのすけ「あと、方向音痴だったり寄り道して買い物したり」
リーリエ「しんちゃん、今は黙っててください……!」
ルザミーネ「美しさが足りていないのよ……。まあ、いいとしましょう! せっかくですから、ビーストちゃんを招くところ、ご覧なさい」
しんのすけ「ビーストちゃん……?」
リーリエ「ワガママではありません。お願いなのです……! かあさま! ビーストのためにコスモッグを犠牲にしないで!」
リーリエ「ウルトラホールを開ければ……! コスモッグ……死んじゃう……!」
ルザミーネ「そうよね、死んじゃうかも。だって、コスモッグの能力を無理やり使っちゃうもの!」コツコツ
しんのすけ「……!」ピクッ!
スウッ
ルザミーネ「あなたがわたくしの子供なら、少しは考えてあげたかも……なんてね!」ニイッ!
ブゥン
しんのすけ「消えちゃった……」
リーリエ「……しんちゃん、来てくださってありがとうございます」
しんのすけ「まったく、オラがいないとダメなんだから」
リーリエ「そう……ですね。なのにわたし……ワガママしか言えなくて……」
しんのすけ「ほしぐもちゃん、危ないの?」
リーリエ「……はい」
リーリエ「お願いです……ほしぐもちゃんを……! ほしぐもちゃんを助けてくださいッ!」
しんのすけ「よーし、じゃあ行きますか!」
リーリエ「はい! あのワープパネルで追いましょう!」
ルザミーネの屋敷 秘密の地下室
しんのすけ達がルザミーネを追ってワープすると、真っ白な部屋へたどり着いた。
しんのすけ「なにあれ? ポケモン?」キョロキョロ
リーリエ「えぇ……なんですか……?」キョロキョロ
しんのすけ&リーリエ「!」
ルザミーネ「はやくこちらにいらっしゃい」ニヤニヤ
しんのすけ「あれなーに?」
ルザミーネ「あら、しんのすけ君、わたくしのコレクションに興味があるのかしら」
しんのすけ「こねくしょん?」
ルザミーネ「これはわたくしの愛する子供たち……。ポケモンを永遠に飾るの」
リーリエ「そんな……!」
凍ったピカチュウ「」
凍ったヤドン「」
凍ったナマコブシ「」
しんのすけ「みんな凍ってる……」
ルザミーネ「しんのすけ君も、ここのコレクションに加えようかしら?」
しんのすけ「えっ……オラ、いい」ビクッ
ルザミーネ「そう、残念……」
リーリエ「かあさまッ!」
ルザミーネ「まぁいいわ。ねぇしんのすけ君、以前保護区に来たとき、ビーストちゃんと戦ったでしょう? あの時、あなたはビーストちゃんがどんなふうに見えたかしら?」
しんのすけ「んっと……オラを見て一目ぼれした!」
ルザミーネ「ふふ……相変わらず、面白いこと言うのね。わたくしには、こちらの世界に来て、戸惑って暴れちゃったように見えたの」
しんのすけ「ほーほー……」
ルザミーネ「だけど、ケースに閉じ込めるのはかわいそうなのよね……。だからアローラで、気ままに暴れてほしいなって思うの」
しんのすけ「かわいそうならなんで自慢の子供は閉じ込めてんの……?」
ひろし&ハウ「しんのすけーっ!」ドタドタッ
グラジオ「リーリエ!」タタタッ
リーリエ「!」
しんのすけ「とーちゃん! ハウくん! クジラくん!」
ハウ「あーリーリエ!! わーよかったー!!」ピョンピョン
ひろし「あの子がリーリエちゃんか。それにしても、この部屋……代表はずいぶんまともじゃねぇな。しんのすけ、大丈夫か?」
しんのすけ「まぁね」
ルザミーネ「あら、ハウくんとひろしさんまでいらしたの? ……ふぅ、グズマもだらしないコ」ヤレヤレ
グラジオ「オレからも頼む。ウルトラホールは開けるな! ビーストを暴れさすとか、ない!」
ルザミーネ「…………」コツコツ
グラジオ「…………」
リーリエ「…………」オロオロ
ルザミーネ「コスモッグを連れだす娘に、タイプ:ヌルを奪った息子……。あれだけ愛情を注いだのに、わたくしは裏切られたのよ? 今更なにを聞くと言うの!」ギロッ!
グラジオ「……!」キッ!
ひろし「なに……?」
ハウ「へえ、娘に息子……」
リーリエ「……」
グラジオ「……」
ハウ「って、えー!! リーリエたち家族なのー!?」
しんのすけ「ハウくん鈍いなぁ」
ハウ「嘘つけーしんのすけも今知ったでしょー!」
ルザミーネ「元家族ね……ハウくん。その人たちは、出ていったのだから」
ひろし「代表……あんたは、本気でそう言ってるのか? 自分の娘と息子だぞ!」
ルザミーネ「なにをおっしゃっているのですか? ひろしさん。親の言うことに従えない子供を、なぜ娘と息子として扱わなければいけませんの?」
ひろし「リーリエちゃんとグラジオくんは、お前の欲を満たす道具だっていうのか?!」
ルザミーネ「ひろしさん……。あなたは聞き分けのいい息子さんを持っているから理解しがたいでしょうね。その子達がわたくしの愛を受けながら身勝手な理由で裏切ったせいで、ここがどれだけの損害を被ったか、どれだけめちゃくちゃになったか分かりますか?」
ひろし「それはお前が子供たちの言葉を聞かなかっただろうが! なんで耳を傾けなかったんだ!」
リーリエ「……」
グラジオ「……ひろし」
ルザミーネ「当然でしょう? この子達は黙ってわたくしの愛を受けて、美しく育っていればそれで良いのですから。わたくしに歯向かうような言葉なんてそんなコト、口を開くことすら許しませんよ」
ひろし「てめぇ、同じ親として許せねぇ……なんてやつだ」ワナワナ
ルザミーネ「というか、そんな下らないこと、どうでもいいの! 財団に残されたコスモッグのガスだけで、ウルトラホールが開いたでしょう?」
ハウ「あの時の揺れかー!」
ルザミーネ「ケージの中のコスモッグをまるごと使えば、ウルトラホールもたくさん……。ふふっ、どれだけのビーストちゃんが来るのかしら?」クルッ
ほしぐもちゃん「ぴゅ……!」
リーリエ「お願い……やめて……。ほしぐもちゃん……力を使うと、動けなくなるの……パラダイスから逃げたあともしばらく……固まっていて……」
リーリエ「力を使いすぎたら、本当に死んじゃいます……!」
しんのすけ「……とーちゃん」ボソッ
ひろし「……ああ」ヌギッ
ルザミーネはリーリエの言葉を無視し、コスモッグの入ったケージを手に持って、しんのすけたちへこれみよがしにぶらさげた。
ルザミーネ「ほら……ウルトラホールを開けるから、おいでなさいビーストちゃ――」
ひろし「しんのすけ! 行けっ!」バッ!
しんのすけ「ほいっ!」ダッ!
ひろしが片方の靴を飛ばすと、走り出したしんのすけが素早くキャッチ。そしてしんのすけは目にも止まらぬスピードで、ルザミーネへ一気に距離を詰めた!
しんのすけ「くらえっ! とーちゃんの靴攻撃!」バッ!
ルザミーネ「!?」
ツーーーン!!
ルザミーネ「ウッ! ゴホッゴホッ!」
パシッ!
しんのすけ「ほしぐもちゃんいただき!」ダッ!
グラジオ「!」
リーリエ「しんちゃん……!」
ひろし「みんな! ここから逃げるぞ!」ダッ
リーリエ「は、はいっ!」
ハウ「待って待ってー!」ダッ
ケージを抱えるしんのすけを先頭に、みんながワープパネルに向かうと、今度はグズマが現れる!
グズマ「代表! 首尾はどう……」
ルザミーネ「グズマ! しんのすけ君を捕まえなさい!」
グズマ「だ――?」
しんのすけ「あ、やば」
???「……!」ヒュンッ!
金ッッ!
グズマ「おおーーーーーッ!! おっ! おおーーーっ!!」
ロトム図鑑「ん~変な感触だ……」
ハウ「あーっ!」
しんのすけ「ぶりぶりざえもん!」
ロトム図鑑「職員に解体されかけたから逃げてきた」
グラジオ「なにをしてる! 早く行くぞ!」ダッ
シュン! シュン! シュン!
グズマ「あ……ああっ……あ……きんのたまが……」ビクッビクッ
ルザミーネ「……なんてひどいの!」ワナワナ
ルザミーネ「グズマ! 早く追いなさいっ!」ゲシッ!
グズマ「あ、ああっ、わかってる! あのじゃがいも小僧ッ……!」マタヲオサエナガラハシルッ
シュンッ!
ルザミーネ「……行きなさい! 愛しい子供達! コスモッグを取り戻しなさい!」スッ
エーテルパラダイス1F
ドタドタドタ!
ハウ「でかしたよー! しんのすけー!」
しんのすけ「いやぁそれほどでもー!」
グラジオ「船着場に向かうぞ!」
マチヤガレェ!
みんな「!」
グズマ「うおおおお! コスモッグをよこしやがれぇぇ!!」ダダダダダッ!
ハウ「わー! 追ってきたよー!」
ひろし「エレベーターに乗るぞ!」
リーリエ「はいっ!」
ズルズルッ!
ミロカロス「ミロォォッ!」
ハウ「わー! ミロカロス?!」
リーリエ「あのポケモンさんは、かあさまの……!」
ミロカロスがれいとうビームを放つと、エレベーターが凍りついてしまった!
ビキビキビキッ!!
リーリエ「エレベーターが……!」
グラジオ「仕方がない! 住居区の非常階段を下るぞ!」
ドタドタドタッ!!
ひろし「あの奥が居住区だ!」
スーッ
バリンッ!
ムウマージ「ヒヒヒッ!」ユラァ
キテルグマ「クーーーーッ!!」グワッ
しんのすけ「おわっ、こっちにもネネちゃん?!」
グラジオ「違う! あれも母のポケモンだ! ハウ、行くぞ!」スッ
ハウ「わかったー! ここはおれたちがやるから3人は急いでー!」
ひろし「2人とも、頼んだぜ!」ダッ
リーリエ「にいさま! ハウさん! 気をつけて……!」ダッ
しんのすけ「お風呂入れよー」ダッ
グラジオ「行くぞ! ヌル!」ヒョイッ
ハウ「ガオガエン! 出番だよー!」ヒョイッ
ヌル「オオォォォッ!!」←回復済み
ガオガエン「ガォォォッ!!」ポンッ
ハウ「グラジオー。負けられない戦いって、揺るがない強さがいるんだねー!」
グラジオ「ああ、だが……ロイヤルドームでのオマエの言葉こそが、真実かもな」
ハウ「そうかなー? まぁいいや! ガオガエン! ムウマージにDDラリアット!」
グラジオ「ヌル! キテルグマにエアスラッシュ!」
ガオガエン「ガオォォッ!!」ギュルルルン!
ヌル「オォォォッ!」ブンッ!
エーテルパラダイス 職員居住区
ドタドタドタッ!!
しんのすけ「リーリエちゃん大丈夫?」
リーリエ「だいじょう……ぶです!」ゼェゼェ
サッ!
ピクシー「ピッピクシーッ!」
しんのすけ「また来たーっ!」
ひろし「どきやがれ! このっ!」バッ
ツーーーン!!
ピクシー「ギエピー!!」ビクビクッ
しんのすけ「とーちゃん!」タタタッ
リーリエ「大丈夫ですか?」タタタッ
ひろし「……そうだ! リーリエちゃん、バッグを!」パカッ
ひろしがゲージを開くと同時に、グズマが接近してくる!
グズマ「逃がさねぇぞてめぇら! さっさとそいつをよこせっ!」ダダダッ!
ひろし「こんな箱! 欲しけりゃくれてやるっ!」ぷ ―・
グズマ「おっとと!」パシッ!
パカッ
ロトム図鑑「いや~ん見ちゃめ///」
グズマァ! ナニヤッテルンダァァ!!>
ブヒィィィィィ!!>
ひろし「さ、行け! あいつらは俺が止める!」
ほしぐもちゃん(inバッグ)「ピュ……」
リーリエ「ありがとうございます!」ダッ
しんのすけ「名刺じゃないのね」ダッ
ひろし「かかってこいっ! フタバカンパニー営業二課係長野原ひろしが相手だ!」
ピクシー「ヤロー!」
しんのすけ「もう少しで非常階段だよ!」
リーリエ「はいっ!」
ズルズルズルッ
ミロカロス「ミロォォォッ!!」グワッ
ドレディア「ドレディー」
リーリエ「ま、またっ!」
しんのすけ「ぬーっ、しつこい奴らだなー! しつこいってどんな意味だっけ、くそっ!」
ミロカロス「ミィロォォッ!」ズピーッ!
しんのすけ「!」ダッ!
リーリエ「しんちゃんっ!」
しんのすけ「とおーっ!」ピョンッ!
ミロカロスのれいとうビームをジャンプして回避すると、そのままミロカロスの頭に向かってお尻を出しながらダイブした!
ミロカロス「ミロッ!?」
しんのすけ「くらえーっ!」
ブッ!
ミロカロス「オオォォッ!!」ジタバタジタバタ
リーリエ「…………」アゼン
しんのすけ「よーし! カザマくんボーちゃんレッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『任せてくれ!』ポンッ
ミミッキュ『ボ!』←こちらも回復済み
しんのすけ「さ、リーリエちゃん!」ダッ
リーリエ「は、はいっ!」ダッ
ミロカロス「ミッ、ミロォォッ!!」ズピーーッ!!
ドレディア「ディア~ッ!!」バサバサバサッ!!
ミロカロスはれいとうビームを、ドレディアははなびらのまいを、カザマたちに向けて放つ!
ミミッキュ『ボーッ!』カッ!
しかし、素早くボーちゃんがカザマの前に立つとすぐさま光の壁を張った! れいとうビームと無数の花びらが弾かれて、周囲の壁を破壊する!
すかさず、カザマが影の矢を翼につがえる!
ジュナイパー『やあっ!!』ドシュドシュッ!!
ドカンッ! ドカンッ!
ミロカロス「ミロッ!」
ドレディア「ドレッ!?」
ミミッキュ『カザマくん、僕がミロカロスとドレディアの動きを止める。合図を出したら、すぐに威力の高い攻撃を叩き込んで!』
ジュナイパー『分かった!』
エーテルパラダイス 船着場
しんのすけ「ついたー! ゴール!」
リーリエ「にいさまの……ふねは?」ハァハァ
しんのすけ「てゆうかリーリエちゃん、船動かせんの?」
リーリエ「えっ?」
しんのすけ「お?」
しんのすけ「…………」
リーリエ「…………」
リーリエ「あ、あの、ではマサオさんのなみのりで……」
しんのすけ「あ、その手があったかー」
コツコツ……
ルザミーネ「ここにいたのね……」
しんのすけ&リーリエ「!」
ルザミーネ「さぁ、コスモッグを返しなさい」コツコツ
リーリエ「……!」
しんのすけ「リーリエちゃんには指一本触れさせないゾ!」バッ
ルザミーネ「……しんのすけ君、あなたにもがっかりです」
ガシッ
しんのすけ「うわぁぁ離せぇぇっ」ジタバタ
ルザミーネ「そこでおバカな頭を冷やしたらどう?」ポイッ
ザブン!
しんのすけ「うわっぷ!」ジャブジャブ!
リーリエ「しんちゃん!」
ルザミーネ「さあ、早くわたくしにコスモッグを渡しなさい!」
リーリエ「かあさまっ……!」フルフル
ルザミーネ「渡しなさいと言っているの!!」ギロッ!
リーリエ「い、いやです!」
ルザミーネ「…………」
ルザミーネ「……そう」スッ
バシンッ!!
激しい音が船着場に響いた。
頬を叩かれた勢いで、一瞬リーリエは自分は今、何をされたのかわからないまま、地べたへと崩れ落ちた。
リーリエ「――っ」
しんのすけ「あーっ! リーリエちゃんっ!」
ルザミーネ「ふぅ……いい加減目障りなのよ。あなた」
リーリエ「かあ……さま?」ガクガク
ルザミーネ「邪魔なのよ? わかる? もうあなたは必要ないの。いい加減コスモッグ、返してもらいます!」
ドッ!
リーリエ「うっ……!」
ルザミーネはハイヒールでリーリエを蹴るように押しのけると、彼女のバッグをもぎとった。
ルザミーネ「ふふ……これで邪魔されず、ビーストちゃんを呼び出せるわ」
ほしぐもちゃん「ぴゅ……ぴゅう」
ルザミーネ「あなたはこっちのゲージに入ってなさい!」
しんのすけ「こらーっ! ほしぐもちゃんになにするんだーっ! リーリエちゃんにも謝れーーっ!!」バシャバシャ
ルザミーネ「さぁ、おいでなさい! ビーストちゃん!」
ルザミーネがコスモッグの入ったケージを掲げると、ケージから光が漏れ出した。そして光が天井に到達すると、空間に穴が空き、ウルトラホールとなった。
同時にエーテルパラダイスを中心に、暗雲が広がっていき、アローラ地方に拡大していく。4つ島あちこちに、ウルトラホールがいくつも開かれていく。
そして、ホールの内側からビーストが現れてくる。この船着場に開かれたホールからも、しんのすけが保護区で対峙した、少女のシルエットを持つウルトラビーストが這い出てきた。
UB「じぇるるっぷ……」
ルザミーネ「まあ! アローラのあちこちにも!」
しんのすけ「リーリエちゃん、ほしぐもちゃん、大丈夫?」
リーリエ「…………」
ほしぐもちゃん「……ぴゅ」
ルザミーネ「もう……コスモッグったら、ケージの中でもうるさいわね。わたくしが好きなのは、あなたの能力だけですのに」
ルザミーネ「でもその能力……わたくしの役に立ったようね! 今頃アローラに、たくさんのビーストちゃんが来てるはず……!」
ルザミーネ「ほら……! アーカラ島やポニ島にも……メレメレ島にもいるみたいね……!! ウフフ!」
同時刻 メレメレ島 マハロ山道
ハラ「しまキングはやるキング♪」ドスンッ
ハラ「胸騒ぎを覚えれば……」
UB「…………!」ビリビリビリッ!!
ハラ「珍しい客ですな」
ハラ「しまキングとして……!」スッ
キランッ!
バチチチチッ!
ハラ「!」
UB「!」
カプ・コケコ「カプゥーコッコォーッ!!」
ハラ「守り神としてか、ただ戦いたいだけか」
空を見上げると、青と桃色、二つの光が。
ハラ「他の島も同じだろうか。頼みますぞ仲間たち……」
ハラ「しまキングとして、このハラ、お支えしますぞ!」
カプ・コケコ「カプゥーッ!!」ダッ!
UB「デンデンジュッ!!!」ビリビリビリッ!
エーテルパラダイス 船着場
ルザミーネ「うふふ……ビーストちゃん」
ドタドタッ
グズマ「代表……実験は成功なんだな」ニヤッ
ドタドタッ!
ひろし「しんのすけっ!」
グラジオ「リーリエ!」
ハウ「2人とも無事ー?」
ミミッキュ『あれがウルトラホール……!』
ジュナイパー『ウルトラビーストが……!』
ルザミーネ「やだ……無粋な人ばかり。ビーストちゃんが驚くでしょ」
ルザミーネ「グズマ、いらっしゃい。開発していたウルトラボールで、あのコ達を捕まえに行きますよ。正直、この数じゃまだ足りないもの」
グズマ「お、おうっ」
ひろし「お前ら! まさか!」
グラジオ「……!」
UB「じぇるるっぷ……」ブゥゥン
ルザミーネ「ふふふっ……ビーストちゃん」
グズマ「……はっ」
ウルトラビーストがホールの中へ戻っていき、グズマが後を追うように先に入っていく。
リーリエ「……かあさま」
ルザミーネ「フフ……」フリフリ
そして最後に、ルザミーネはしんのすけたちに不気味な笑みを浮かべながら、手を振り、歩き出す。
ブゥゥゥン
穴が小さくなっていき、ルザミーネたちの姿もホールの向こうへと消えていってしまった……。
ハウ「リーリエー大丈夫? どうしたのー?」
リーリエ「……」
しんのすけ「ほしぐもちゃんも、お元気?」
ほしぐもちゃん「…………」
グラジオ「どうした?」
しんのすけ「クジラくん、とーちゃん、ほしぐもちゃんが動かないの」
ひろし「姿もさっき見た時と違ってる……。生きてるみてぇだが……」
コツコツ
ビッケ「みなさま、ご無事で……」
ハウ「ビッケさん……」
グラジオ「そう……だな……」
ロトム図鑑「私は無事ではないぞ……」ボロッ
グラジオ「ただ、やることが山積みだけどな……。ウルトラホールに消えた代表とグズマ……動かなくなったコスモッグ……」
グラジオ「あんな人でも親だ。ビーストの世界に放っておいて良いわけない」
ひろし「グラジオくん……」
グラジオ「アローラで崇拝されていたという伝説のポケモンでもいれば、未知の世界にも行けるだろうが」
ハウ「いるよー! だってビーストもいるんだし。だから会えるよ、伝説のポケモンだって! ね、しんのすけ!」
しんのすけ「どうかな?」
ハウ「そこは嘘でも「うん」って言おうよー!」
リーリエ「…………」
ビッケ「あのう……リーリエさまも、みなさまもお休みになられたら。職員の住居スペースに、ベッドを用意しましたので……」
グラジオ「ああ、頼む」
ハウ「おれもくたくたー」
しんのすけ「じゃあオラ、ビッケさんと同じ部屋で……」
ロトム図鑑「なにを! 私もだ」
ひろし「お前らは俺の部屋で寝るの!」
しんのすけ「えーっ、とーちゃんとー?」
ロトム図鑑「こんなシケヅラと寝てもな」
ひろし「あのなァ……!」
リーリエ「あの……しんちゃんのお父様……」
ひろし「え? どうしたんだ? リーリエちゃん」
リーリエ「しんちゃん、貸してもらえませんか……? わたし1人じゃ……」
ひろし「え……」
ひろし「……あ、ああ! うちの息子でよけりゃ好きに使ってくれ。しんのすけもいいよな?」
しんのすけ「ほ、ほいっ」
リーリエ「じゃ、しんちゃん……」ギュッ
リーリエは、蒼白な顔のまま、しんのすけの手を握って連れて行った。彼女の周りの空気だけ、ぜったいれいどになっている。口調も、まったく抑場がない。
ハウ「……ほしぐもちゃんが動かなくなっちゃったからかなー? なんか、急に元気なくなったねー」
グラジオ「……リーリエ」
ルザミーネの屋敷
ルザミーネが使っていたベッドに座って俯くリーリエを、しんのすけはおとなしく眺めていた。リーリエの宝石のような翠眼は濁っていて、なにも映っていない。
しんのすけ「……」
リーリエ「……」
ほしぐもちゃん「……」
リーリエ「かあさま……ほしぐも……ちゃん」
しんのすけ「り、リーリエちゃん……?」
リーリエ「……」
しんのすけ「お、お元気出しなよ。オラなんてしょっちゅうかーちゃんからげんこつとかグリグリ攻撃されてるから……」
リーリエ「ううっ……うううっ」ポタポタ
しんのすけ「ほ、ほらっ、ケツだけ星人ブリブリ~ブリブリ~! ほしぐもちゃんも大好きでしょ~? だから目ェ覚まして~! ブリブリ~ブリブリ~!」
リーリエ「くうっ……うっ……あぁっ」
しんのすけ「ケツ顔マン! ぷっぷす~ぷっぷす~! ぷっp」
ギュッ
リーリエ「うぁぁっ……ぁぁぁぁっ!! かあさま……かあさまっ!!」
しんのすけ「……リーリエちゃん」ポンポン
しんのすけ「今日はオラが布団になったげるから。いっぱい泣いていいよ」
リーリエ「ううっ……うううっ……!!」ブルブル
しんのすけ「よしよし……」ナデナデ
1時間後
リーリエはようやく胸の内から溢れる悲しみを吐き出し尽くすと、そのまましんのすけを抱きかかえたままベッドへと転がった。
ルザミーネが使っていたベッドは、どこまでも深く沈んで、リーリエを包んでくれるような柔らかさがある。
リーリエ「……しんちゃん」
しんのすけ「……」
リーリエ「……寝ちゃいましたか」
リーリエ「さっきは、びっくりしたでしょう? ごめんね……」
しんのすけ「……」
リーリエ「まだかあさまのこと、引きずってると思ってます? いいえ、たくさん泣いて……むしろスッキリしちゃいました」
リーリエ「かあさまがいなくなって……ほしぐもちゃんも動かなくなって……こんなに悲しいこと、きっとこの先無いと思います」
リーリエ「ですけど、今でもほしぐもちゃんを元の世界に帰して、かあさまをビーストの世界から連れて帰りたいという気持ちもあるんです」
リーリエ「だから……わたしもゼンリョクを出してもっと、もっと頑張ってみせます」
リーリエ「ポケモンさんとたくさんの試練を乗り越えたしんちゃんとハウさんのように……」
リーリエ「……かあさまと一緒に寝てたベッドですが、まさかしんちゃんと一緒に寝るとは思いませんでした」
リーリエ「ですが……ここで寝るのも、今日が最後です」
リーリエ「……しんちゃん。そばにいてくれて、ありがとうね」ギュウ
リーリエ(……こんな小さな背中がわたしとほしぐもちゃんを守ってくれたのですね)
しんのすけから伝わってくる温もりと優しさが、悲しみと惨めさでボロボロになったリーリエの心を埋めるように癒していった。
もっともっと、この子が欲しい。この子の優しさと勇気が、欲しい。
自然と、しんのすけを抱きしめる力が強くなっていった。
リーリエ「今度は……わたしが……ほしぐもちゃんと……しんちゃんを守りたい……な」
リーリエはしんのすけの小さな身体だけでなく、想いと決意も手放さないようにきつく抱きしめながら、ゆっくりと眠りに落ちた。
リーリエ「……」スースー
モゾモゾ
しんのすけ「ぶはっ!」
しんのすけ「あー苦しかった。リーリエちゃんきつく抱きしめすぎだって」
リーリエ「……」スースー
しんのすけ「うんうん、よく寝てますな」
しんのすけ「えーっと、オラのリュックどこだっけ」ゴソゴソ
しんのすけ「あったあった! さーて、作りますか」チョキチョキ
リーリエ「……ほしぐもちゃん」
しんのすけ「……」
ナデナデ
その頃、ボールの中では……。
ヨワシ『リーリエさん、かわいそう……』
ジュナイパー『自分の親に暴力を振るわれて、大切なコスモッグも動かなくなっちゃったらね……』
キテルグマ『しんちゃんも優しいね。リーリエさんの辛さを受け止めてあげてるもの』
ヨワシ『でも、女の人も怖い時は怖いんだね』
キテルグマ『当たり前でしょ! 女の人はね、時には男の人よりおっかないことをしでかすことだってあるんだから!』
ヨワシ『ネネちゃんが言うと、説得力あるね……』
キテルグマ『どういう意味よ? えっ? ボールから出てあんたをピッピちゃんの刑にしたろか?』
ヨワシ『ひいいいーっ! 深い意味はないって!』
ミミッキュ『……』
ジュナイパー『……ボーちゃん、どうしたの?』
ミミッキュ『あ、ごめん、ちょっとウルトラホールのこと考えてた』
キテルグマ『ウルトラホールって、あの変なポケモンが出てきた穴のこと?』
ミミッキュ『うん。カザマくん、気付いた?』
ジュナイパー『え? なにが?』
ミミッキュ『ウルトラホールから、エネルギーが流れていたこと』
ジュナイパー『そういえば、どこかで感じたことが……あーっ!』
ヨワシ『ど、どうしたのカザマくん?!』
キテルグマ『急に大声ださないでよ。びっくりするじゃない!』
ジュナイパー『あのエネルギー! Zパワーとぬしポケモンがまとうオーラに似ているんだ!』
ミミッキュ『ボ……カザマくん、大正解』
ミミッキュ『ぬしポケモンは、たぶん、ウルトラホールのエネルギーを浴びてパワーアップしたポケモンだと思う』
ジュナイパー『じゃあZパワーの正体は……ウルトラホールから流れているエネルギーってことか!』
ヨワシ『ネネちゃん、意味わかる? 僕ちっともわからないや』
キテルグマ『さぁ?』
ジュナイパー『それじゃあZクリスタルもウルトラホールから生まれたものなのかな?』
ミミッキュ『……わからない』
ミミッキュ『僕の仮説だけど、ZリングとZクリスタルは、人間の体力をウルトラホールのエネルギーに変えて、僕たちをパワーアップするためのアイテムだと思う』
ジュナイパー『なんのために?』
ミミッキュ『たぶん、ウルトラビーストからアローラ地方を守るためにカプと人間が作ったかも』
ジュナイパー『目には目を、ZパワーにはZパワーを、ってところか』
ミミッキュ(だけど、Zパワーは人間の強い心にも反応する。人間の心とポケモンの心の繋がりがZクリスタルの誕生と深く関わっているのかも……)
翌日
しんのすけ「ふわぁ~あ……」
しんのすけ「あれ? リーリエちゃんがいない……」
ドンドンッ
ひろし「おーい、しんのすけー! 起きてるか?」
しんのすけ「とーちゃん?」
ウィィン
ハウ「おはよー! しんのすけー」
しんのすけ「とーちゃんにハウくん……結婚したの?」
ハウ「なに寝ぼけてるのー? もうみんな起きてるよー」
ひろし「てゆうか、なんで部屋ン中紙くずが散らばってるんだ?」
ハウ「リーリエとグラジオが外で待ってるよー。早く行こ行こー!」
しんのすけ「お? もうリーリエちゃん起きてたのかぁ。早起きですなぁ」
ひろし「お前が寝坊しすぎなの!」
ハウ「しんのすけーリーリエの姿見たら、きっとびっくりすると思うよー」
しんのすけ「?」
ルザミーネの屋敷の前
リーリエ「……」
しんのすけ「ほっほーい!」
リーリエ「あ……しんちゃん」
しんのすけに笑いかけたリーリエは、がらりとイメージチェンジしていた。
白のワンピースとロングヘアーから一転して、半袖のシャツとポニーテールに変わっており、活発的なイメージを感じさせる。
リーリエ「マリエで買ったままの服……似合いますか?」
しんのすけ「ふつー」
リーリエ「もうっ! せっかく気合を入れて着たのに……」
ひろし「こーらっ、こういうときは『似合ってる』って言うもんだろ」
しんのすけ「ふつーはふつーだもーん」
リーリエ「ほしぐもちゃんの事も……かあさまの事も……わたしには、やらねばならないことばかりです。わたし……しんちゃんのように、どんな試練にも立ち向かえるようになりたいのです!」
リーリエ「ですからわたし、気合いれてみました! はい、全力の姿です!」
バッ! バッ! バッ! ジャーン!
リーリエ「…………」ニコッ
しんのすけ「ち、ち、ゼンリョクのポーズするなら、お尻を出したほうが締まるんだよ」
リーリエ「出せませんよ!」
スタスタ
グラジオ「起きたか。ずいぶん寝てたようだな」
しんのすけ「クジラくん、おっはー」
グラジオ「リーリエ、コレクションルームで見つけた太陽の笛だ。アローラに古くから伝わるものと聞いた。太陽の下で吹くものらしい」つ太陽の笛
グラジオ「太陽の笛、月の笛、2本そろえ、音色を捧げ、伝説のポケモンを呼びだす……そんな話があるらしいな」
グラジオ「……伝説のポケモンすら、自分のコレクションに加えるつもりだったのかもな」
しんのすけ「オラは? ねぇオラにはなんかあるの?」
グラジオ「お前のロトム図鑑を見てみろ」
しんのすけ「え? ぶりぶりざえもん?」
ロトム図鑑「こんなこともあろうかと、財団のサーバーに潜入して、ウルトラビーストのデータを入手したのだ」
ハウ「ビーストの情報ー!?」
グラジオ「……と、言っても一種類だけだ。昨日、オレ達の前に現れたあのビースト……母がウツロイドと名付けたウルトラビーストのデータだがな」
しんのすけ「なんだ、たかが一種類かぁ」
ひろし「一種類でも無いよりマシだろ」
グラジオ「もし伝説のポケモンを呼び出し、向こうの世界に行くことになったら、そのデータを活用しつつリーリエのサポートを頼む」
しんのすけ「えーっ、オラが? めんどくさ」
リーリエ「にいさまは、なにをなさるのですか?」
グラジオ「後始末。エーテルパラダイスのな。相棒のヌルと遠くへ……そう願っていたが、結局ここにとどまるのか」
しんのすけ「とーちゃんは?」
ひろし「俺は一度メレメレに帰るよ。メレメレにもビーストが現れたみたいだし、かーちゃんたちの無事かどうか確かめなきゃな」
しんのすけ「心配しなくてへーきだよ、かーちゃんならたぶんビーストを返り討ちに出来るから」
ひろし「ははっ、そうかもな。でも、ひまわりやシロだって心配だろ?」
しんのすけ「ハウくんは?」
ハウ「おれねー鍛えるのー! もっともっとだよー! しんのすけやーポケモンにー助けてもらってばかりでしょー。やっぱり、自分でポケモンを助けられないとねー! しまキングになれないし、みんなを笑顔にできないよねー!」
ハウ「それに、アセロラの試練とかぜんぜんほったらかしだしー」
しんのすけ「そーいえば、全然やってなかったね」
グラジオ「……家族の話に巻きこんで、悪かったな」
ハウ「そーだよー。でもすごかったー! スペクタクルってやつー!? 鍛えれば、あんな不思議なこと、また体験できるかもだしー!」
グラジオ「スケールがでかくてな……オレらの母親は……」
リーリエ「ハウさん、来てくれてうれしかったです!」
ひろし「……グラジオくん、リーリエちゃん」
リーリエ&グラジオ「?」
ひろし「……あんまり無理すんなよ。どれだけ頑張ったって、お前たちはまだ子供なんだ。もし、また苦しいことや辛いことがあったらメレメレにあるうちに来な。いつでも歓迎するぜ」ニッ
リーリエ「はいっ! ありがとうございます!」
グラジオ「……そうだな」
しんのすけ「あ、そうだ! みんなーこれあげる」つアローラ防衛隊バッジ
ハウ「なにこれー?」
リーリエ「ダンボールで作ったのですか?」
しんのすけ「オラが夜なべして作ったアローラ防衛隊のバッジ! これを付けてれば、いつでもどこでもアローラ防衛隊だゾ!」
ハウ「へーお揃いだねー!」
リーリエ「アローラ防衛隊……とはなんですか?」
しんのすけ「アローラ地方を守る、愛と正義の戦士たちのことをアローラ防衛隊というの。隊長はオラね」
ひろし「なんだなんだぁ? カスカベ防衛隊の真似か?」
しんのすけ「ほい、クジラくんにもお一つ」
グラジオ「……必要ない」
しんのすけ「なになにー照れてるのぉ?」
グラジオ「そういう馴れ合いをするつもりはないだけだ……」
リーリエ「にいさま、そう言わないであげてください。きっと、私たちはひとりじゃないっていう、しんちゃんなりのメッセージですよ」
しんのすけ「いや、そこまで考えてないけどね」
リーリエ「」ズルッ
グラジオ「……フッ、面倒なやつだ」スッ
しんのすけ「よーし! 掛け声行くぞ! せーの、アローラ防衛隊、ファイヤーッ!」
リーリエ&ハウ&ひろし「ファイヤーーッ!」
グラジオ「しんのすけ、リーリエ、次の島……ポニ島に案内する」
リーリエ「ではしんちゃん! ゼンリョクで行きましょう!!」ギュッ
しんのすけ「いやん、いきなり手をつなぐなんて……。リーリエちゃん、なんかキャラ変わったねぇ。オラびっくりだよー」
ひろし「じゃ、しんのすけ。最後の試練頑張れよ。時間があったら、家族で応援に行くからな」
しんのすけ「ほーい!」
★挿入歌 ひとりぼっちじゃない★
【エーテルパラダイス編 おしまい】
今日はここまで。
次回の更新は明日の午後から少しずつ。
じゃ、そゆことで~
【おまけ】
キテルグマ『ついにネネも進化したわよ! これで女子力アップなんだから』
ジュナイパー『じょ、女子力って……』
ヨワシ『ヌイコグマと比べるとずいぶん大きくなったね』
ミミッキュ『マサオくんが言っても、説得力ないと思う』
しんのすけ「うーむ、主に食べ過ぎですな」
キテルグマ『食べ過ぎじゃないわよ! これでも体重には気を遣ってるんだから! 失礼しちゃうわ』
キテルグマ『ねえねえ、ところで新しいリアルおままごとのネタ考えたの。アンタたちどうせ暇だし、せっかくだからやりましょうよ』
しんのすけ「えぇ……」
ジュナイパー『またリアルおままごと?』
ヨワシ『もういい加減離婚するのやなんだけど』
ミミッキュ『僕も、ポニ島にある石を集めたい』
ドゴッ!
キテルグマ『やるわよねぇ? みんな』
全員「『はっ、はいいっ!!』」
しんのすけ(前の夫との間に生まれた子供役)「わーい! オラ、このきあいのたすき、欲しかったんだあ!」
ミミッキュ(赤ん坊役)『おぎゃあおぎゃあ』
キテルグマ(未亡人で現在3度目の結婚生活を送る美人妻役)『いったいどうしたの? いつもケチなあなたがあんな高いものをお土産に買ってくるなんて』
ジュナイパー(夫の会社の先輩役。この後、妻を寝取る予定)『マサオくん、すごいんですよ。ホラ、奥さんに伝えなよ』
ヨワシ(夫役。ごく普通の冴えないサラリーマン)『え? えっとね……』
ヨワシ『……実は今日昇進して、課長になったんだ』
キテルグマ『ホントに? 嬉しい! 愛してるわ! あなた!』ギュッ
しんのすけ「おお、ママも新しいパパもラブラブですなあ」
ヨワシ『ま、待ってネネちゃん! なんかすんごく苦しいんだけど! 力強すぎだよ!』メキメキ
ミミッキュ『凄い音、出してる……』
キテルグマ『だって昇進よ昇進! あなたがようやく社会に認められたのよ? こんなに嬉しいこと、他にあるの?』
ヨワシ『ひいいい! 嬉しいけど痛いよおお!!』バキボキメキ!!
しんのすけ「じゃあオラ、そろそろ島巡り続けなくちゃいけないんで……」
ジュナイパー『い、いやあ、仲睦まじくてよろしいですなあ奥さん! それじゃあ、お邪魔みたいなので私はこれで……』
ミミッキュ『おぎゃあおぎゃあ』
ヨワシ『ねえみんな! 僕を見捨てないで! ヨワシのみんなも助けて! ぎゃああああああ!!』メキメキ
※キテルグマは愛情表現として抱きしめてきますが、背筋力は1トン以上あるので思い切り抱きしめられた途端全身が粉砕します。たとえリアルおままごとでも、絶対にキテルグマに近付かないようにしましょう。
ジュナイパー(この日ほど自分がゴーストタイプであることに感謝する日は来ないだろう)
ミミッキュ(僕も……)
時間が取れたので、少し更新していきます。
…… …… ……
【ポニ島編】
…… …… ……
ポニ島 海の民の村
しんのすけ「おー、お船ばっかりー」
グラジオ「ポニ島……暮らす人もほぼいない、自然豊かな島だ」
ロトム図鑑「裏を返せば田舎、ということだ」
グラジオ「しまキングを訪ねろ。しまキングでありながら、伝説のポケモンにまつわる祭壇の番人も兼ねるという。なにか聞けるといいがな」
リーリエ「にいさま……ありがとうございます! ただ……にいさまがヌルさんとエーテルパラダイスを出たあと、かあさま、大変だったのですよ! ビッケさんがいてくれなかったら……」
グラジオ「悪かったな……。大事な時にそばにいなくて。オレもヌルを守るので必死だったんだ……」
グラジオ「……しんのすけ」
しんのすけ「お?」
グラジオ「お前は子供だろうが、3つの大試練を乗り越えた1人のポケモントレーナーだ。島巡りとリーリエのサポート、両方やってみせろ」
しんのすけ「オラがサポート……。ま、リーリエちゃんはオラがいないとすぐ道に迷ったりしますから」
リーリエ「しんちゃん。もうわたし、困っていませんし、迷いません。やること、わかってますから! それに……おかしな話ですけれど、ドキドキもしています」
しんのすけ「フッ、やっとオラのみりんに気がつきましたか。リーリエちゃんも男というものがわかってきましたな」
リーリエ「そういう意味でドキドキしてるワケじゃないです。それにみりんじゃなくて魅力、です」
グラジオ「それじゃ、任せるぞ」テクテク
リーリエ「本当に船だけなんですね。村というより、船着場という感じがします」
しんのすけ「船酔いする人には相当きつい村だね」
リーリエ「船に住んでいる人たちは、平気でしょうけれども……」
???「よう来たな!」
リーリエ「ひゃあ!」ビクッ
しんのすけ「ひゅうひょう!」
リーリエ「ど、どなたでしょうか」
海の民 団長「わし? 海の民をまとめてる団長や!」
しんのすけ「あーキミキミ、次の日出れる?」
ロトム図鑑「ごめんなさい。その日用事があって……」
しんのすけ「困りますなー、商品の品出しできる人がいないじゃないかー」
団長「そりゃバイトをまとめる店長やろが!」
リーリエ「海の民……さん?」
団長「そや! 周りの船、船、船! なんやと思う。海の民は長年かけて世界の海を渡りゆき、不思議という不思議を求め! 珍しいものをみつけては、アローラで交換しとるんや」
しんのすけ「んー男のマロンがあっていいですな」
リーリエ「ロマン、です」
団長「他の島にある港は立派になったんで、なんとなくポニに来るんやな」
団長「で、キミらなにしに来たん? わしらみたいにきのみ集めか?」
リーリエ「はい! わたしたち、しまキングさんを訪ねるのです!!」
団長「しまキング? ハプウちゃんところかいな。まあ、ポニにある家は一軒だけやし、そこやろな!」
ロトム図鑑「島に家がひとつだけって……どんだけ田舎なのだ」
しんのすけ「おーハプウちゃんかー懐かしいですな。ここに住んでたのか」
団長「ああ、ハプウちゃんの家、ごっついバンバドロがおるから、一発でわかると思うで!」
リーリエ「団長さん、ありがとうございます!」ペコリ
リーリエ「しんちゃん、ハプウさんやバンバドロさんに会えるといいですね!」
しんのすけ「うん、でもオラ、ひとつ心配事が……」
リーリエ「なんですか?」
しんのすけ「ここにおねいさんがいるかどうか、そこがちょっと心配で……」
リーリエ「やっぱり……さ、行きましょう」
ポニの原野
しんのすけ「リーリエちゃーん、オラ疲れちゃったよー」
リーリエ「なーに言ってるんですか? 置いていきますよ、しんちゃん」
しんのすけ「それはそれでなんか心配。またリーリエちゃん迷っちゃうんじゃない?」
リーリエ「むっ……! しんちゃん、わたしはゼンリョクを出したんです。今までは、自分に何ができるのかわからなかったから、迷っていたんです」
リーリエ「ですけど、やりたいことは決まってますから、道にも、自分が決めた目標にも、もう二度と迷いません!」
しんのすけ「じゃあ、もしオラがいなくなったら?」
リーリエ「え……?」
しんのすけ「オラがいなくなっても、リーリエちゃんはルザミーネおねいさんにハッキリ言いたいこと言える? 行きたいトコロとかもちゃんと行ける? 一人でもやってける?」
リーリエ「……」
リーリエ「やってみせます。その覚悟をしてゼンリョクを出したんですから!」
しんのすけ「ほうほう、じゃあリーリエちゃんに期待しますかー。リーリエちゃんが無事独り立ちしてニート生活から脱却できるかを!」ビシッ
リーリエ「なんか質問の意図が違ってきてませんか……?」
ガサガサッ
デカグース「ぬっしゃぁぁっ!」ドスンッ!
リーリエ「きゃっ! で、デカグースさんっ!」
しんのすけ「ゆけっ、リーリエちゃん!」
リーリエ「私はポケモンじゃありませんっ!」
しんのすけ「あ、そ。じゃ、ボーちゃんレッツラゴー!」ヒョイッ
ミミッキュ『ボ!』ポンッ
デカグース「しゃあああっ!」ガアッ!
ドンッ!
ミミッキュ『……ボ!』カクンッ
デカグース「しゃっ?」
リーリエ「わ……っミミッキュさんの首が……」
しんのすけ「ミミッキュじゃなくて、ボーちゃん。それにあれは首じゃないゾ」
ミミッキュ『ボー!』ジャキンッ!
ザクッ!
デカグース「しゃ、しゃーっ?!」
スタコラサッサ!
ミミッキュ『ボッ。去る者追わず……』フッ
しんのすけ「ボーちゃん、ごくろーさん」シュンッ
リーリエ「これが……ポケモンさん同士の戦いなんですね。何度も見てきましたが、改めてすごい迫力です」
リーリエ「トレーナーさんってすごいです。厳しい道だけでなく、ポケモンが傷つく姿も、ともに乗り越えて……」
しんのすけ「リーリエちゃん、トレーナーなる?」
リーリエ「そう……ですね。でも、まずはやらなきゃいけないことをやらないと!」
しんのすけ「よーし! じゃあ目指せ! トップアイドル!」
リーリエ「なりませんっ!」
ポニの古道
リーリエ「いつのまにか、お日様も傾き始めてますね……」
しんのすけ「オラもう疲れたー有名人に送る手紙はファンレター」クタクタ
リーリエ「もう少しでハプウさんの家ですよ。頑張ってください」
しんのすけ「てゆうか、この道であってんの?」
リーリエ「大丈夫ですよ。人が通ってきた道そのまま歩いているので。トレーナーさんもたくさん見かけたでしょう」
しんのすけ「へええ……歩きたくなーい」
リーリエ「さんざん島巡りでたくさん歩いてきたのにですか? ほら、ひょっとしたら、しんちゃんが好きなきれいなおねえさんだっているかも……」
しんのすけ「甘い甘い。こーゆーところにいるのは、たいがいオバちゃんばかりだから」
ドンッ
しんのすけ「……お?」
バンバドロ「ムヒイウン!」
リーリエ「バンバドロさん、おひさしぶりですね! お元気そうでなによりです」
しんのすけ「よ!」
ロトム図鑑「フン……」
バンバドロ「ムヒヒン!」
ハプウ「おや、しんのすけに……それにリーリエか?」
しんのすけ「ハプウちゃん! 背ぇすごい伸びたね」
ハプウ「わしはラーメンではないぞ。一日や二日でそうやすやすと背が伸びるか」
リーリエ「ハプウさん! お会いできて嬉しいです」
ハプウ「見違えたのう……。なんだか、ゼンリョクを感じる!」
リーリエ「はい! やるべきことがありまして。わたしの全力の姿です!」
ハプウ「おお! がんばるリーリエ、いわば、がんばリーリエじゃのう!」
リーリエ「はいっ!」グッ
しんのすけ「ほうほう。……ふんばリーリエ」ボソッ
リーリエ「なにか言いましたか?」チラッ
しんのすけ「なんも?」
リーリエ「あのう、ハプウさん。しまキングさんをご存知ですか?」
ハプウ「しまキング……? うーん、ポニにはおらぬのだ」
リーリエ「え……!? そんなことって……。どうしましょう、しんちゃん」
しんのすけ「じゃあ帰りますか」
リーリエ「そうもいかないですよ!」
ハプウ「ふむう……。今なら大丈夫かの。空の穴から出てきた、けったいじゃがかわいいポケモンの相手もしたしな」
リーリエ「それって……ウルトラビーストさんですか?」
ハプウ「ウルトラビースト? なるほど、あれはウルトラビーストというのかあ」
しんのすけ「ハプウちゃんの見たやつってこんなの?」ピコピコ
ロトム図鑑「ウツロイド、というぞ」
ハプウ「ふむう……。わしが見たビーストとやらはこんなものではなかったな。なにせ、写真すら撮っている暇がなくてな」
ハプウ「ま、ともかく、これから遺跡に行こうぞ! しんのすけたちもついてくるのだ!」
リーリエ「しんちゃん……。行くしかないですよね! ……って、トレーナーですものね。行くに決まってますよね!!」
しんのすけ「えー、また歩くのぉ?」
ハプウ「お前さんも1人のトレーナじゃ、もそっとしっかりせい」
ハプウ「このまま道をまっすぐ行くと、ポニの荒磯という場所にたどり着いてな、地面の色も濃くなっていく。そこを先に進んだところに、彼岸の遺跡があるのじゃ」
リーリエ「いろいろ教えてくださって、ありがとうございます!」
リーリエ「彼岸の遺跡……。ポニの守り神である、カプ・レヒレさんがいるところですね。では、参るとしましょう!」ギュッ
しんのすけ「あーん、手ェ繋がなくっていいってばァ」
ハプウ「ふむう、ウラウラのときと比べると、ずいぶん2人の距離が縮んだように見えるぞ。まるで姉弟じゃ」
しんのすけ「オラたち……ひとつのベッドの上で忘れられない夜を過ごした仲ですもの。それにしてもリーリエちゃんって、おしっとりな草食系女子かと思ったらガツガツ行く肉食系女子だったなんて……」
ハプウ「うん? 忘れられない夜? 肉食?」
リーリエ「な、なんでもないですっ! なんでも!」カアッ
しんのすけ「リーリエちゃんって、あんなことをする時もがんばリーリエですもの~////」
ハプウ「????」
リーリエ「誤解招くようなこと言うのやめてくださいっ!!」
彼岸の遺跡 入口
リーリエ「彼岸の遺跡……。どこか重々しい感じがいたします」
しんのすけ「かーちゃんの見た目……どう見ても重々しい感じがします」
リーリエ「ほしぐもちゃん……。遺跡の中に入れば、元気になるかも……!」
リーリエ「彼岸の遺跡の守り神、カプ・レヒレさんは、不思議な水でけがれを清めていたそうです」
しんのすけ「……ミネラルウォーター?」
ロトム図鑑(一儲けできそうだな……)
リーリエ「このコを元気にして、いい意味でしんちゃんを困らせますよ。ですから……待っててくださいね、ほしぐもちゃん! 今度こそ、わたしがあなたを助けるんですから!」
しんのすけ「やだーオラ困らされちゃうー」
リーリエ「ではしんちゃん、参るとしましょう!」
彼岸の遺跡内
リーリエ「道を切り拓くには、巨石を押すのですよね! 本で読みました!」
リーリエ「せーの……ううッ! ……ううッ!」ググッ
リーリエ「わたしにはムリみたいです。言葉にできないほど重くて……ライドギアで、ポケモンさんの怪力を借りないと……しんちゃん?」
しんのすけ「うんしょっと……なんか言った? 行くよー」
リーリエ「えっ? 巨石を登ったんですか? ちょ、ちょっと待ってください~!」
彼岸の遺跡 最奥
しんのすけ「どしたの? そんな疲れて」
リーリエ「し、しんちゃんみたいに、石を登ってきたんです……!」ハァハァ
キテルグマ(ボール)『女の子に無茶させちゃダメよ。岩を押し出すことぐらい、ネネだって出来るんだから』
ヨワシ(ボール)『ネネちゃんがかいりきをするってすごいピッタリだね』
キテルグマ(ボール)『どーゆー意味よ! えぇ?』
ヨワシ(ボール)『ひいい〜っ! 褒めてるだけだよぉ〜っ!』
リーリエ「アローラの遺跡……。これも本で読んだのですが、守り神ポケモンさんは。いつも好きな場所にいて、まず会えないのです。ただ、遺跡で呼びかければ姿をみせることもあるそうです」
リーリエ「……もっとも気まぐれなので、あてにならないとも書かれていました。だからでしょうか……遺跡に入っても、ほしぐもちゃん変わりませんね……」
ほしぐもちゃん「…………」
しんのすけ「こうなったらもう一回ケツだけ星人を見せて……」
リーリエ「ここでそれするのはやめましょう……」
しんのすけ「てゆうかハプウちゃんどこー?」
リーリエ「あ、あの祭壇に……」
祭壇にいるハプウは、穏やかに光が満ち溢れる中、かがやく石を両手に乗せていた。
ハプウ「確かに授かりました。ありがとうございます。しまクイーンとして、ポケモンのため、人のため、がんばります」ニコッ
しんのすけ「ハプウちゃん、なんかフインキ違う」
ハプウ「……おお、見ておったか」テクテク
ハプウ「しまキングやしまクイーンは、守り神が鎮守する島で暮らす者から選ばれるのだ。リーリエから聞いたが、しんのすけは遠いところからアローラに来たばかりであろう?」
しんのすけ「主にとーちゃんの甲斐性のせいだけどね」
ハプウ「なのに、かがやく石を授かるのは特別なことなのじゃ! カプはどういうお考えでそなたを選んだのか、興味があるのう」
しんのすけ「ま、オラほどの美少年なら選ばれて当然だゾ」
ハプウ「よく言うわ、こやつ」
ハプウ「……わらわのじいさまも選ばれていたのだが、数年前ぽっくりいってな。しまキングはいないままだった。で、受け継ごうとしたが選ばれず、島巡りのように各地を周り鍛えなおしてな」
ハプウ「リーリエ、そなたが探していたしまクィーンは、ここにおるぞ」
リーリエ「は、はい! しまクイーンさん!」
しんのすけ「ほうほう、ハプウちゃんがしまクィーンだったのか」
ロトム図鑑「何故こんな小汚いロリババアをカプ・レヒレは選んだのか」
ふ み
つ け
ロトム図鑑「」ピクピク
バンバドロ「ムヒヒウン!」
ハプウ「次ロリババアと言ったらスクラップにして売りつけてやるからの」
しんのすけ「もうなってるよ」
リーリエ「えっと……伝説のポケモンさんについて教えていただければ!」
ハプウ「……月輪(がちりん)の祭壇に祀られているという、ルナアーラのことか」
しんのすけ「ガチンコ祭りのアラモード?」
ハプウ「月輪の祭壇のルナアーラ、じゃ!」
リーリエ「母がビーストさんの世界に……別の世界に消えて……。ひどい人とはいえ、親ですので会いに行き、言いたいことを言うのです」
リーリエ「そのために、伝説ポケモンさんの力を借りたいのです……。見知らぬ世界を行き来する、伝説ポケモンさんの力を!」
ハプウ「ビーストの世界なあ……。さっきしんのすけとロトム図鑑が見せた未知のポケモンが住む世界か。カプ・レヒレと供に相手したが、くたびれたな。うむ! 知っていることを教えようぞ」
リーリエ「ハプウさん!」
しんのすけ「君の瞳に乾杯」
ハプウ「というてもな……祭壇で行う儀式とは、伝説のポケモンのため、2本の笛で音色を奏で、力を与えるだけだぞ」
リーリエ「太陽の笛です。母が持っていたようで……」つ太陽の笛
ハプウ「おお! ウラウラの湖にある笛じゃな。もう1本は、ナッシー・アイランドにある。なぜだか、そこに置いておくよう伝わっておるのだ」
しんのすけ「ナッシー・アイランド?」
ロトム図鑑「な、ナッシーたちの住む……無人島だ。ポニの島から離れたところにある……」バチバチ
ハプウ「よし! 善は急げじゃ。団長に会うぞ! 海の民の村に行くのだ! リーリエはバンバドロでな」
リーリエ「わたしは大丈夫です。それより、しんちゃんを乗せてあげてください。ここまで来て、きっと疲れてますから」
ハプウ「ほう」
しんのすけ「……お、オラまだ平気だもん。さ、いこいこー!」
ハプウ「これっ、年上の言うことを無碍にするものではないわ。あまり無茶して足を痛めたら、せっかくの島巡りも出来んじゃろ」
リーリエ「そうです。これはしんちゃんにとって大事な島巡りの旅でもあるんですから」
しんのすけ「もう、さっきは歩けとか言ってたくせに!」
ハプウ「リーリエ、お前も乗っていけ。なに、わしが歩いてバンバドロを率いれば良い話だしな。……向こうに着くのは、夕方になるじゃろうが」
リーリエ「じゃあ、一緒に乗りましょう、しんちゃん」
しんのすけ「えぇ~いいってば! オラどうせご一緒するならエリートトレーナーのおねいさんがいいもん」
ハプウ「ウラウラにいた時うっすらと気づいたが、5歳児のくせに色気付いておるのか、こやつ」
リーリエ「もう慣れました。さ、乗りましょう、しんちゃん。ハプウさんの厚意を無駄にしちゃいけません」グイッ
しんのすけ「ぶつぶつ……」
ハプウ「仲睦まじいのう。よきかな、よきかな」
リーリエ「今まで散々振り回されたんです。わたしが『お姉さん』として、しんちゃんを引っ張っていかないと」
ハプウ「そうか。それじゃ、改めて行くとするかの。海の民の村へ!」
リーリエ「はい!」
しんのすけ「ほーい……」
ポニの原野
リーリエ「そういえば、畑があるということは……ハプウさんは農家なんですか?」
ハプウ「ああ、いつもはばあさまとポケモンと供に畑仕事をしておる」
しんのすけ「オラのじーちゃんも農家だよ。野菜採るの手伝ったこともあるし」
ハプウ「ほぉ、そうか。なら今度、機会があればしんのすけにも手伝いをしてもらうとするかの。わしとばあさましかおらんから、男手が足りんのだ。……いっそ将来、わしの婿にして家を継がせるというのも悪くないかのう」
しんのすけ「え゛ーっ!」
リーリエ「え? ほ、本気なんですか?」
ハプウ「わしがしまクイーンになったんじゃ、決して周りからの扱いは悪くないと思うぞ」ニヤッ
しんのすけ「お、オラ、都会暮らしのほうが性にあってるんで、結構です」
ハプウ「ま、冗談はさておきじゃ……。リーリエ、お主らが行こうとしている月輪の祭壇は、ポニの大峡谷を通り抜けた先にある」
しんのすけ(ほっ)
リーリエ「はい」
ハプウ「ケンタロスで行けばあっという間じゃろうが、しんのすけはライドギアを持っておらん。だから、ナッシー・アイランドで笛を取って、歩きで行くとなると、着いた頃には朝日を拝んでいることだろう」
ハプウ「だから笛を取ったあと、今日は海の民の村のポケモンセンターで泊まって、身体を休めると良い。明日の昼、大峡谷の入口で待ち合わせるとするかの」
リーリエ「何から何まで……ありがとうございます」
ハプウ「気にするな。それに、しまクイーンとしてしんのすけにやらねばならぬことがあるからな」
しんのすけ「まかさっ、オラをてごめにするのっ?!」
ハプウ「おぬしに大試練をするんじゃろうが!」
リーリエ「でも、この島にはキャプテンがいるはずですよね? 試練はこなさないんですか?」
ハプウ「あぁ、あることにはあるが……。なにせ、キャプテンは1人、しかも旅して行方知らずでの。一応、大峡谷にドラゴンの試練の場があるんじゃが、そちらはキャプテンが不在なので、ほとんど機能しておらんのだ。ぬしポケモンはいるのじゃが」
リーリエ「そうなんですか……」
しんのすけ「なぁんだ、楽チンじゃん」
ロトム図鑑「ふっ、キャプテンもいない島など、カレールーのないカレーも同然だ」
ハプウ「ほう、子供とは言え舐められたものじゃ。その余裕が大試練後まで持つかどうか、楽しみじゃな。わしをただの田舎娘と甘く見たら、痛い目を見ることになるぞ」
しんのすけ「オラだって、舐めたって甘くはないゾ!」
ハプウ「そりゃそうじゃろ。面白いヤツじゃ、お前は」
海の民の村
ハプウ「……とりあえず、団長とは話をつけておいた。準備が出来次第、話しかけると良い」
リーリエ「ハプウさんもバンバドロさんも、ありがとうございます……!」
ハプウ「友達のためじゃ!」
リーリエ「ハプウさんがお友達……。憧れのトレーナーでもあるハプウさんが……」
リーリエ「はい! わたし、なにがあってもあきらめません!」
ハプウ「しんのすけの面倒もあって大変だろうが、無事を祈っておるぞ」
しんのすけ「ふんだ、クジラくんもハプウちゃんも、みんなリーリエちゃんのことばっかり。オラもうグレちゃうぞ」
ハプウ「しょうがないじゃろ。いくら3つ大試練を勝ち抜いたとは言え、お前はまだ子供だからの。それに、リーリエはトレーナーではないしな」
しんのすけ「でも、ここに来る前はオラがリーリエちゃんの面倒みてたんだから」
ハプウ「見ていたのではなくて、見られてたのではないか?」
しんのすけ「ホントだもん。方向音痴で、スケスケおパンツ団に絡まれたり、その度にオラがお助けしてるんだから。まったく、世話のかかる『妹』を持つと苦労するよね」
ハプウ「……そうか。次に相まみえる時は大試練じゃ。お前のゼンリョク、見せてもらうぞ」
しんのすけ「ほいっ、見せられちゃいます!」
バンバドロ「ムヒイウン!」
テクテク
団長「ハプウちゃん、しまクイーンになったんか。よかったなあ」
リーリエ「ひゃっ! びっくりしました」
しんのすけ「本日二回目ー」
団長「ははっ、すまんすまん。だが、ハプウのじいさんも喜んでるやろ」
リーリエ「そうですね……! ハプウさん、亡くなったおじいさんのために……。わたしも、かあさまのため、ほしぐもちゃんのため、がんばらないと!」
リーリエ「そっ、それでですね、行きたいところがあるのです」
しんのすけ「タマムシジムです」
リーリエ「ナッシー・アイランドです!」
団長「ナッシー・アイランド! ハプウちゃんから話は聞いておるで! 笛のあるところやろ?」
団長「まあ、お二人はしまクイーンに会えても、ポニのキャプテンはおらんし、島巡りの試練もできんわな。よっしゃ! コイキング丸で、のんびり行こうやないか!」
今回はここまで。
次回は今日の午後~夜にかけて更新します。
【おまけ】
ミミッキュ『うーん……ここらへんの石は、あまりいいのがない』
しんのすけ「ねぇねぇボーちゃん」
ミミッキュ『ボ、どうしたの?』
しんのすけ「ボーちゃんって、なんでピカチュウの布被ってるの? 健康ランドで刺青見られたくないから?」
ミミッキュ『違うよ。紫外線対策。僕たちミミッキュは、陽の光に弱いから』
しんのすけ「日焼けしやすいの?」
ミミッキュ『そうじゃない。陽の光を浴びちゃうと、体調が悪くなるの』
しんのすけ「ほうほう。オラ、ボーちゃんの中身、見てみたいなー?」
ミミッキュ『それはダメ。僕のプライバシーに関わるから』
しんのすけ「いいじゃんいいじゃん~オラたち、一度全部脱いでみんなあらわにするべきだと思うもの~」ワキワキ
ミミッキュ『ボ……! しんちゃんダメっ!』
しんのすけ「そーれっ」
バサッ!
しんのすけ「……!」
ボーちゃんの正体……布の中にあったのは、たくさんの石で固められた生き物だった。
しんのすけ「おわーっ! ボーちゃんのカラダって、石で出来てたのか!」
ミミッキュ?『……バレちゃったら、仕方ない』
ミミッキュ?『そう、僕はゴースト・フェアリーにみせたいわタイプだったの。それを隠すため、布を被ってた』
しんのすけ「ふーん、だから石好きなのかー」
ミミッキュ?『そうそう。石が僕の体だから、石集めは大事なんだ』
しんのすけ「ほうほう、若いのに苦労してますなぁ」
ガサガサ
ミミッキュ(ごめんね、それ予備の布で作った身代わりをサイコキネシスと腹話術で操ってるだけなんだ)
ミミッキュ(僕の本当の姿見せちゃうと、しんちゃんびっくりして死んじゃうかも知れないから……)
ナッシー・アイランド
団長「はあ……ようやく到着。ナッシー・アイランドやで! なんでもむかしは、ここが試練の場所やったらしいな。ほな、がんばりよし!」
しんのすけ「いってらっしゃーい」フリフリ
リーリエ「しんちゃんも来るんですっ」ガシッ
しんのすけ「いやん、リーリエちゃん、ゴーインなんだからぁ」
リーリエ「笛を求めて……ですね! ポケモンさんがいれば、どこにでも行くトレーナーさんの気持ち……少し、わかってきたようです」
テクテク
リーリエ「しんちゃん」
しんのすけ「お?」
リーリエ「ポケモンさんと供に、未来への扉を開けるのが。わたしのトレーナーのイメージです。しんちゃんも、ハウさんも、ハプウさんもそうですもんね!」
しんのすけ「いや、オラは別に……」
ジュナイパー(ボール)『そこは「うん」って言うもんだろ!』
リーリエ「じゃあ、しんちゃんにとって、トレーナーってなんですか?」
しんのすけ「オラ、トレーナーって言われてもさっぱりだし……」
リーリエ「あ……」
リーリエ(……そうでした。しんちゃんは、カプ・コケコさんに選ばれてポケモントレーナーになったのでしたね。しんちゃんには、まだトレーナーと言われても、分からないかもしれません)
しんのすけ「でもオラ、カザマくんたちと旅してて、とっても楽しいゾ。カスカベにいるみんながそこにいる気がするし。パラダイスでも、カザマくんたちとスケスケおパンツ団と戦った時も、ドキがムネムネしたし」
しんのすけ「オラ、島巡りしてよかった。カザマくんたちと一緒に旅したり、一緒に戦ったりできるのが楽しいもん。カザマくんたちは、アローラで出来たオラのお友達だよ」
ジュナイパー(ボール)『しんのすけ……』
リーリエ「……それがしんちゃんにとっての、トレーナーさんなんですね」ニコッ
ガサガサッ!
しんのすけ&リーリエ「!」
ユサユサッ!
ズボッ
アローラナッシー「ナッシー!」
リーリエ「ひゃあ! し、しんちゃん!」
しんのすけ「おー、首なげー」
リーリエ「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですって!」
しんのすけ「へいへい、よーし、オラが相手だ!」ボクシンググローブソウビッ
ヨワシ(ボール)『しんちゃんが直接戦ってどうすんの……』
ナッシー『ナッシー!』
ドスン、ドスン、ドスン
リーリエ「……行っちゃいました」
しんのすけ「ふふん、オラにビビって逃げましたな」
キテルグマ(ボール)『たぶん、違うと思う』
リーリエ「ふう……ナッシーさんだったんですね。アローラの天候がいいからって、育ちすぎで驚きました!」ポカン
リーリエ「……クスッ! フフフッ!」
しんのすけ「急にどうしたの? 拾い食いでもした?」
ポツッ ポツッ
サーッ
しんのすけ&リーリエ「!」
リーリエ「えっ、雨ですね……あそこに洞穴があるので雨宿りしましょう」
しんのすけ「ほい」
リーリエ「アローラの雨……スカート、少し濡れました……」
しんのすけ「あーあ、おとなのおねいさんがいればなぁ」
リーリエ「悪かったですね……」
リーリエ「……しんちゃん。わたし、雨を見ると思いだすことがあるのです」
しんのすけ「伝説の探検家ジンダイ隊長を予約し忘れたとか?」
リーリエ「違います」
リーリエ「わたしがしんちゃんと同じくらいだったころ……映画の真似をして、雨の中で歌い踊っていたら、驚いたかあさまが傘もささずに飛びだしてきて……そしたらかあさま、笑顔で……いっしょに歌ってくれたのです……」
リーリエ「もちろん、ふたり風邪をひき……一緒に寝ることになったのに、わたし嬉しくて、何度も何度も、かあさま、起こしちゃって……」
リーリエ「なのに……かあさま、ウルトラビーストのことだけ考えるようになって……ヌルさんや、ほしぐもちゃんを……」
リーリエ「本当のことを言うと……まだ、かあさまが怖いです。あんなに変わってしまって、エーテルパラダイスでも……。ゼンリョクを出した今でも思い出すと……辛くて、悲しいです」
しんのすけ「…………」
リーリエ「それでも、わたしは昔の優しかったかあさまの事を信じたいんです。まだかあさまの心の中に、優しかった頃のかあさまがいるような……そんな気がするのです」
リーリエ「……でも、何をすればいいのかわからなくて、ほんとに困ってしまって」
リーリエ「……そういえば、わたしが困っていると、いつもしんちゃんがいましたね。最初の出会いも、ほしぐもちゃんが襲われていたのに、わたし、みているだけでした……エーテルパラダイスでも、わたし……しんちゃんやみなさんを待っているだけでしたし」
リーリエ「あの夜も……一緒にいてくれて、ありがとうございます。一人じゃ辛くて、立ち直れない気がして……」
しんのすけ「まぁ、リーリエちゃんはオラがいないと何も出来ませんから」
リーリエ「ふふっ、そうですね」
リーリエ「……ごめんなさい」
しんのすけ「何が?」
リーリエ「本当は、わたしがしんちゃんのことを見てあげなきゃいけないのに……わたし、逆に面倒を見られている感じがして。それに、わたしたち家族の問題にも巻き込んでしまって……」
しんのすけ「こーゆー問題はもう慣れっこだからへーき」
リーリエ「……しんちゃんってすごいですよね。まだ5歳なのに島巡りして、スカル団やエーテル財団にも立ち向かって……。時々、しんちゃんがわたしよりずっと年上の人のように見える時があります」
しんのすけ「……」
リーリエ「しんちゃん?」
しんのすけ「……リーリエちゃんさー、オラのことすごいって言うけど、オラそんなにすごくないよ?」
リーリエ「えっ?」
しんのすけ「だってオラ、アクション仮面とか、カンタムロボとか、それからおまたのおじさんのように強くなってないし」
リーリエ「お、おまたのおじさん?」キョトン
しんのすけ「そ、オラおじさんみたいに、とーちゃんもかーちゃんも、ひまもシロも、カスカベ防衛隊のみんなも、カザマくんたちも、ハウくんも博士も、リーリエちゃんもみんな、大切な人をお守りできるような強い男になりたいんだー」
リーリエ「なら、しんちゃんもわたしと同じなんですね。しんちゃんがその、おまたのおじさんに憧れたように、わたしもそんなしんちゃんに憧れてるんです」
しんのすけ「……褒められたって、ちっとも嬉しくないもん」プイッ
リーリエ(案外、素直じゃないところもあるんですね……)クスッ
しんのすけ「これ食べる?」スッ
リーリエ「それは……お菓子ですか?」
しんのすけ「チョコビ。カスカベ名物のおやつだけど、アローラ地方じゃ売ってなかったから、とっておいたの」
リーリエ「ふふっ、じゃあいただきます」パクッ
リーリエ(しけっちゃってますね……)
しんのすけ「チョコビ代十億万円ね。ローンも可」
リーリエ「ええっ?!」
ポリポリサクサク
リーリエ「えっと……しんちゃん」
しんのすけ「なーにー?」ポリポリサクサク
リーリエ「島巡りを終えたら……どうなさるんですか?」
しんのすけ「んー……オラ、やりたいことがあるの」
リーリエ「やりたいことが決まってるなんて、すごいですね。どんなことなんですか?」
しんのすけ「とにかくダラダラしてーおじいさんになってー」
リーリエ「それって決まってないようなものじゃないですか!」
しんのすけ「失敬な。これがオラのやりたいことなんだけど」
リーリエ「はぁ、よかった……さすがにしんちゃんでも決められないこと、あるんですね」
リーリエ「わたしはトレーナーになって、しんちゃんがどんな大人になっていくのか、そばで見守りたいな……。それで、どこか遠い地方をわたしとしんちゃんで旅して、色んな人やポケモンさんと出会ってたくさん冒険、したいです」
しんのすけ「えぇ……。リーリエちゃんと一緒? なんだかなぁ、疲れちゃいそう」
リーリエ「だって、しんちゃんはほっとくと、すぐナンパしたり人前でおしり出したりするんですから、わたしがキチンと見張っておかないと」
しんのすけ「方向音痴でブティックに寄り道する人に言われたくないけどね」
リーリエ「もうっ、しんちゃんしつこいですっ! それに、おしりを出すよりマシです!」ムスッ
しんのすけ「ま、トレーナーになるなら、オラのしゅぎょーはとても厳しいからね。でもリーリエちゃんにやる気があるなら、一から目取り口取り教えたげる」
リーリエ「それを言うなら、手取り足取りですよ」
しんのすけ「そーとも言うー」
リーリエ「……ふふっ。……しんちゃん」
ナデナデ
しんのすけ「……? どしたの?」
リーリエ「ずっと、わたしを守ってくれてありがとうね。今度はわたしが、ゼンリョクであなたを守ってみせますから。しんちゃんが、わたしを守ってくれたように」
しんのすけ「うむ、がんばリーリエたまえー」
リーリエ「無理やり言わなくていいですよ」
☆彡 ☆彡
リーリエ「あっ」
しんのすけ「おっ、流れ星!」
リーリエ「なにかいいことありそう……っというか、ありますよね!」
しんのすけ(島巡りチャンピオンになって、おねいさんたちに「しんちゃん素敵~」って言われますように)
リーリエ「さ、雨も上がりましたから……探しに行きましょう!」
しんのすけ「ほーい」
★挿入歌 月灯りふんわり落ちてくる夜★
リーリエは洞穴から出ると、しんのすけの手を引きながらナッシー・アイランドを走り出した。
リーリエはこれから起きるワクワクとドキドキを胸に秘めて笑顔を浮かべながら、しんのすけは女子大生のおねいさんだったら最高のシチュエーションなのに……まあいいや、と、ちょっと微妙そうな表情で。
月の笛を探し求めるそんな2人を、満月とダイヤモンドを散りばめたような星空は優しく見守っていた。
リーリエ「しんちゃん!」
しんのすけ「なにー?」
リーリエのそばに古びた台座が。その台座の上に、月光を浴びて輝く青い笛が飾られていた。
リーリエ「これが月の笛みたいですよ」
しんのすけ「オラが持つ~! オラが持つ~!」ピョンピョン
リーリエ「はいはい」
ロトム図鑑「ふむ……オークションにかければ、20万は行くかな」
リーリエ「そんなことしたらロトム図鑑さん、わたし怒りますから」
しんのすけ「おおっ、げきおこリーリエ……」
ロトム図鑑「ざぶとん一枚やろう」
しんのすけ「イェーイ!」
リーリエ「上手くないです……。とにかく、太陽と月、二本の笛が揃いましたね! 伝説のポケモンさんが現れるかわかりませんが、少なくとも音色を捧げられます!」
しんのすけ「リーリエちゃん、笛吹けるの? オラ吹けないから教えて」
リーリエ「え……」ピタッ
しんのすけ「…………」
リーリエ「…………」
リーリエ「で、では、団長さんといっしょに戻りましょう!」テクテク
ロトム図鑑「ごまかしたな」
しんのすけ「ごまかしたね」
コイキング丸
団長「やったなあ! 島巡りの人!! 祭壇で笛を吹くんやろ?」
リーリエ「はい!」
しんのすけ「笛の吹き方分からずじまいですけどね! えっへん」
ロトム図鑑「まいったか!」
リーリエ「威張らないでください」
団長「祭壇があるんは、ポニの大峡谷の奥の奥。ほんま自然の試練やで……」
リーリエ「はい、今日は身体を休めて、明日にも早く出発しようと思います!」
団長「ほな、がんばり!」
翌日 ポニの古道
しんのすけ「Zzz」
しんのすけ「……お?」
リーリエ「あ……やっと起きたんですね」
しんのすけ「ここはどこ? オラってミクリだっけ?」
リーリエ「野原しんのすけ、です」
リーリエ「ポケモンセンターで起こしてもまったく起きないんですから、おんぶしてここまで連れてきたんです」
しんのすけ「おお、それはそれはごくろーさんでした。じゃもっかいおんぶしておんぶ」ダキッ
リーリエ「わっ、ダメですっ! ちゃんとしんちゃんも歩いてくださいっ」
しんのすけ「いいじゃん、おねえちゃんおんぶ~」ユサユサ
しんのすけ「……!」ピタッ
リーリエ「……? どうかなさったんですか?」
しんのすけ「あれあれ」ユビサシッ
スカル団たち「…………」
リーリエ「……スカル団のみなさん!」
しんのすけ「なんでみんな横一列に並んで野グソしようとしてんの?」
全員「」ズルッ
したっぱA「そういう意味でしゃがんでるわけじゃねーよ!」
ドラコ「会いたかったぜ、じゃがいも小僧」
しんのすけ「よ! 師匠!」
リーリエ「師匠?」
しんのすけ「そう、スケスケおパンツ団のこの人、オラのお笑いの師匠なの」
ドラコ「笑わせまっせー見せまっせー! えんやこらしょー!」ペケペケペン♪
ドラコ「って、師匠じゃねぇよ! あたいらは――」
ドラコ「いじっぱりのドラコ!」カーン!
おキン「れいせいのおキン!」カーン!
マミ「ひかえめのマミ!」カーン!
3人「三人合わせて、『スカル団黒ガバイト隊』!」バァーーーン!!!
リーリエ「」ポカン
したっぱB「ヨヨヨー、そんなことするためにここにいるんスカ?」
ドラコ「あ、そうだな」
おキン「おい、あんたら、エーテルで聞いたけどよ、グズマさんを助ける方法、知ってるんだってな」
しんのすけ「くさやのおじさんのこと?」
マミ「てゆうか、必ず聞き出してやるから!」
ドラコ「お前ら手ェ出すんじゃねぇ。ここはあたいが行く!」スッ
リーリエ「しんちゃん……」
しんのすけ「仕方ないなぁ」スッ
スカル団のしたっぱの ドラコが
勝負を しかけてきた!
ドラコ「行きな! フカマルッ!」ヒョイッ
フカマル「ガァーッ」ポンッ!
しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『こっちは早く大試練をこなしたいんだ。さっさと決着をつけよう!』ポンッ
ドラコ「フカマル! ドラゴンクローだ!」
フカマル「ガウッ!」ダッ
ジュナイパー『かげぬい!』ググッ……ドシュッ!
フカマル「ガウッ!」サッ!
フカマル「ガウーッ!」ブンッ!
ジュナイパー『うわっと!』ザクッ!
おキン「おおっ! さすがリーダー!」
マミ「攻撃を避けて、あのじゃがいも小僧のポケモンにダメージを与えたぞ!」
しんのすけ「カザマくん、しっかりして」
ジュナイパー『わかってる!』ダッ
ジュナイパー『お返しだ! リーフブレード!』ブンッ!
フカマル「ガウッ!?」ザクッ!
ジュナイパー『そしてもう一度、かげぬいっ!』ドシュッ!
フカマル「ギャウウーッ!!」ドゴォォッ!
フカマル「ギャ、ウウ……」
ドラコ「フカマルッ! くそーっ!」
しんのすけ「師匠たち、やっぱスケスケおパンツ団より、お笑いの方が向いてるって」
ドラコ「だから師匠ってゆーな!」
おキン「こうなったらアタシら全員で……!」
ザッ
プルメリ「よしな! 負け犬がみっともない!」
ドラコ「あ、姉御!」
リーリエ「プルメリさん……」
プルメリ「だから言っただろ。お前らじゃこの子には勝てないって。あんたたちは下がってな。あたいはこの二人と話があるから」
ドラコ「へ、へい……」ズコズコ
しんのすけ「師匠ーまたあおーねー!」フリフリ
ドラコ「師匠って言うなっつってんだろーが!!」
プルメリ「ん、リーリエ、あんた……覚悟決めたのかい」
リーリエ「はい!」
プルメリ「つーかさ、あんたには悪いことしたよね。代表に頼まれた仕事とはいえ、あんなことを……今更謝っても、許されることじゃないけど」
ロトム図鑑「まったく……深く反省して欲しいものだ」
プルメリ「ああ……って、お前に上から目線で言われたかないよ!」
プルメリ「……グズマはさ」クルッ
プルメリ「代表が好きなのさ。あいつの強さを認めてくれる、唯一の大人だからさ。あいつ、今まで代表以外の誰にも、力を認めてくれなかったんだよ。自分の師匠にもね」
しんのすけ「なにやら複雑な恋愛模様ですな」
ロトム図鑑「子供もいるというのに」
リーリエ「話がややこしくなるので黙っててください」
プルメリ「……スカル団にいる奴らみんなそうなんだ。グズマのように、誰にも認められず、島巡りを脱落していった子たちばっかなんだよ。」
しんのすけ「プルメリのおねいさんもそうなの?」
プルメリ「そうだよ。だからスカル団のみんなは、人々に認められない辛さっていうものを分かっているのさ。特にグズマは痛いほどにね。だからみんな慕っているのさ。グズマが代表を慕っているように」
リーリエ「あの人は……かあさまはわがままです。自分が好きなものだけを自分勝手に愛でて……。でも、助けます! 言いたいこと、言うために!」
リーリエ「そうしたらグズマさんも、いっしょに助けられますよね!」
プルメリ「あんた……芯の部分は、代表に似ているかもね。種類は違うけれど、気持ちの強さを感じるよ」
しんのすけ「てゆうか、オラたちと一緒にくさやのおじさんをお助けに行こうよ」
プルメリ「そうしたいのは山々だけどね。今のあたいたちじゃ、はっきり言って力不足だよ。アンタの足を引っ張りかねない」
しんのすけ「みんなでお助けに行けばだいじょーぶだって!」
プルメリ「……優しいんだね、あんたは。だけど……あたいらも戦ったのさ、ビーストと」
リーリエ「えっ……?」
プルメリ「とてつもなく大きなビーストだったけどね、みんな一斉に挑んだけど、あっという間に消し炭さ。自分たちの無力さを思い知らされたよ」
プルメリ「だというのにあいつら、グズマを助け出すって聞く耳持たなくってね」
プルメリ「だからグズマのこと……頼めた義理じゃないけれど。どこかに消えたままでは償わせることもできやしない」
リーリエ「はい、グズマさんも、かあさまも、必ず取り戻します!」
しんのすけ「負けちゃったら、強くなればいいのに。おねいさんたちにとって、大事な人なんでしょ?」
プルメリ「……現実はそう簡単に行かないんだよ、しんのすけ。負けて強くなるで済めばあたいらはスカル団なんてやってないよ。アンタもいつかそれが分かる時がくる」
プルメリ「でも、しんのすけ。あんた、全然ふつーのコじゃなかったね。スカル団だけでなく、エーテル財団の闇にも物怖じせず立ち向かってさ。まだ5歳なのに、大したもんだよ」
しんのすけ「照れますな」
プルメリ「ほら、お姫様を守ってやんな。迷惑かけたお詫びとして、どくタイプのZクリスタルをやるからさ」つドクZ
しんのすけ「ありがとござますぅ」
リーリエ「プルメリさん、今度はわたしがしんちゃんを守るのです!」
プルメリ「……そうだね。ふつーのコじゃないって言ったってしんのすけはまだ小さいからね。でも無茶しちゃいけないよ」
プルメリ「そういやしんのすけ、カプ・コケコから直々に石をもらったんだって? 大事にしなよ、そのZリング。ポケモンがいて、はじめてポケモントレーナーなんだ」
プルメリ「それを忘れたらカプの罰を……あんたなら安心だけどさ」
リーリエ「……プルメリさん」
プルメリ「……帰るよ」
テクテク
しんのすけ「お土産買って来ねー」フリフリ
リーリエ「カザマさん、元気にしますね」
ジュナイパー『あっ、どうも……』
リーリエ「……スカル団にも、いろいろあるのですね」
ロトム図鑑「火サス一本作れそうな関係だったな」
リーリエ「あなたはそれしか思いつかないんですか……」
しんのすけ「さ、ハプウちゃんのところにいこいこー!」
ポニの原野
プルメリ「…………」
――オラたちと一緒にくさやのおじさんをお助けに行こうよ
――みんなでお助けに行けばだいじょーぶだって!
――負けちゃったら、強くなればいいのに。おねいさんたちにとって、大事な人なんでしょ?
プルメリ「……ふん」
大峡谷入り口
ハプウ「む……来たか」
しんのすけ「よ!」
リーリエ「ハプウさん!」フリフリ
ハプウ「首尾よく行ったか」
リーリエ「はい、笛はしんちゃんが……」
しんのすけ「ほい!」プリプリ
リーリエ「笛をお尻で挟まないでください!」
ハプウ「相変わらずじゃのう……」ハァ
ハプウ「しんのすけ、お前の戦いは一度アーカラで見せてもらったな」
しんのすけ「そうだっけ?」
ハプウ「ロイヤルアベニューの近くでスカル団からポケモンを助けてもらった時じゃ。あの時からどれほど成長したのか、見せてもらうかの」
ハプウ「そう、ハプウの大試練じゃ!」
バンバドロ「ムヒイウン!」ブルルッ
しんのすけ「んー、そんなに育ってる気はしないけど」チラッ
ハプウ「そこの話ではないわ!」
???「しんのすけー!」
3人「!」
ひろし「やっと見つけたぜ!」
みさえ「しんちゃん!」
ひまわり「たいっ!」
シロ「アンッ!」
しんのすけ「とーちゃんかーちゃん! ひまにシロ!」
ロトム図鑑「お前ら何しに来たのだ?」
ハウ「そっこーでウラウラの大試練終えて来たよー!」
ククイ博士「2人の最後の大試練を見届けようと思ってね」
リーリエ「ハウさんに博士……!」
ククイ博士「お、リーリエ! フォルムチェンジしたのかい?」
リーリエ「はいっ、ゼンリョクの姿ですっ!」
ハプウ「ほへえ……にぎやかになったのう」
ククイ博士「おや? 君は確かしまキングの……」
ハプウ「む、久しぶりじゃな、博士。カプから認められ、亡くなった祖父を継いでしまクィーンになったのじゃ」
ハウ「君がしまクィーンなんだー。よろしくー」
ハプウ「そういうお前は、ハラの孫か。しまクィーンのハプウじゃ」
ハプウ「ところでしんのすけ、そちらの方はお前の家族か」
しんのすけ「うだつの上がらないとーちゃんと、最近5キロぐらい太ったとみられるかーちゃんです」
ひろし「うだつが上がらなくて悪かったな!」
みさえ「5キロも太ってないわよ!」ギュウウウ
しんのすけ「いぢぢぢぢ! てゆーかなんで来たの?」
ひろし「そりゃ、もちろんお前が最後の島に行くって言うからな。みんなで応援に来たんだ」
ひろし(本当はエーテルパラダイスの一件でみさえが不安になって押し切られたんだけどな……)
みさえ「しんちゃん、どこにも怪我とかない? 大丈夫?」
しんのすけ「みさえこそ、そろそろ体脂肪率が30パーセント越えしてない? 大丈夫?」
げ ん
こ つ
みさえ「心配してくれてありがとよ」
しんのすけ「今のオラ……無事じゃない」
リーリエ「しんちゃんのお母様、お久しぶりです」
みさえ「あら、リーリエちゃん! ずいぶんイメチェンしたのね! 似合ってるわよ」
みさえ「……エーテルパラダイスでの話、聞いたわ。私たちでよければ、力になるわ。なんでも言ってね」ボソッ
リーリエ「はい! ありがとうございます!」ニコッ
ひまわり「や!」
リーリエ「あなたは……ひまわりちゃんですね? しんちゃんの妹さんでしたね。しんちゃんと一緒に旅してるリーリエです!」
ハプウ「しんのすけのご家族の方々。わしはポニ島のしまクィーン、ハプウじゃ。わざわざこのポニ島まで御足労頂き、感謝する」
ひろし「あ、こちらこそ……」
ハプウ「しまクィーンとしてそなたらの息子しんのすけに、最後の大試練を課し、ゼンリョクを確かめるのがわしの役目じゃ。しんのすけが島巡りを経てどれだけ成長したのか、それを見る良い機会と思う。ぜひ最後まで、お付き合い頂きたい」
みさえ「は、はい……(ずいぶんしっかりしてるわねぇ)」
ハウ「しんのすけー最後の大試練がんばって勝ってー! そしたらおれも勝ってー2人で一緒に島巡りチャンピオンになろうよー」
しんのすけ「ハウくんと一緒。いやん、オラたち、そんな関係じゃないのに……」
ハウ「そーゆー意味で言ったわけじゃないよー」
ククイ博士「しんのすけ! 君がどこまで強くなったか、見させてもらうよ! 君がラナキラマウンテンを登る資格があるか、楽しみだね」
リーリエ「しんちゃん、わたし、この目でしんちゃんとカザマさんたちの戦いをしっかり見てます。トレーナーはどういうものか、もっと知りたいです!」
しんのすけ「まっかせなさい!」
ハプウ「しんのすけ。わしは若いが、ほかのしまキング、しまクイーンにひけはとらん! むしろ、バンバドロたちとの絆は、アローラで一番の自負がある!」
ハプウ「わしとポケモンたちのゼンリョク、受けてみるかの?」
しんのすけ「オラだって、オラのお友達とゼンリョクでハプウちゃんに勝つ!」
ハプウ「その心構えや良し! しまクイーン、ハプウ。カプより頂いたかがやく石を、Zリングにさせていただいた!」
ハプウ「しんのすけも同じ! Zリングを持つということは、カプと共にあるということ!」
ひろし「しんのすけー! ポケモンを信じて戦うんだ!」
みさえ「がんばって!」
しんのすけ「あ、でもやっぱり、ギャラリーにおねいさんがいなきゃ張り合いがないなぁ」
全員「」ズルッ
ハプウ「おいおい……緊張感のないやつじゃ」
ハプウ「では、気を取り直して……しまクイーンハプウ――はじめての大試練! ゼンリョクを尽くし、心ゆくまで戦うぞ!」ギンッ!!
しまクィーンの ハプウが
勝負を しかけてきた!
ハプウ「さぁ、行くぞ! ダグトリオ!」ヒョイッ
ダグトリオ「ダクダグッ!!」ポンッ
しんのすけ「ボーちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ミミッキュ『ボ!』ポンッ
みさえ「あら? ダグトリオってあんな髪生えてたかしら?」
ひろし「あれはアローラ固有のダグトリオさ。それにあれは髪じゃなくて髭なんだ」
ハプウ「ダグトリオ、すなあらしじゃ!」
ダグトリオ「ダグッ!!」
ダグドリオが咆哮を上げると、あたり一面に砂嵐が巻き起こった!
みさえ「きゃあ! なにっ?」
ひまわり「いたいやー!」
ククイ博士「すなあらし、ですよ! あまごいのように場に直接干渉する技で、文字通り砂嵐になるんです!」
みさえ「砂嵐になると、何が起きるのよー!」
ミミッキュ『ボ……周りが見えない!』
しんのすけ「んー目にゴミが入っちゃいそう」
ハプウ「ダグトリオ、飛び出すのじゃ!」
ダグトリオ「ダグッ!」ボコッ!
ミミッキュ『ボ!?』カクン
ハプウ「これで化けの皮は剥がしたぞ。さて、ここからじゃ」
ミミッキュ『ボッ!』ブンッ
ボーちゃんはシャドークローで反撃するが、ダグトリオはすかさず穴に潜って回避した。
ダグトリオ「ダグダグッ!」サッ
ハプウ「ダグトリオ、アイアンヘッドじゃ!」
しんのすけ「……! ボーちゃん、そこっ!」
ダグトリオ「ダグッ!」バッ!
ダグドリオが地面から頭突きするために飛び出したと同時に、ボーちゃんがすぐさま反応して、おにびを繰り出した。
ミミッキュ『ボ!』メラッ!
ボーちゃんはダグドリオのアイアンヘッドを躱しつつ、すれ違いざまにおにびをぶつけた。
ハプウ「……!」
ダグドリオ「ダグっ……」ジュウウッ
ミミッキュ『……ボ。あぶないあぶない』ムクッ
ハウ「わー! ダグトリオがやけどしてるー!」
ククイ博士「ミミッキュのおにび、かなりのスピードだぜ!」
ハプウ(それもあるが、ダグトリオが出る場所をしんのすけが予測しおった。あのミミッキュもしんのすけのとっさの指示にすぐさま対応するあたり、相当経験を積んでおると見た)
ハプウ(……にしても、しんのすけ、相変わらずポケモンに技の命令をしとらんとは。だが、なにか違うのう。どれ、もう少し様子見してみるか)
ハプウ「ダグトリオ、一旦潜れ。かく乱しつつもう一度アイアンヘッドじゃ!」
ダグトリオ「ダグッ」ズポッ
ダグトリオが地面へ再び潜ると、四方八方からダグトリオが飛び出してくる!
ダグトリオ「ダグッ! ダグッ! ダグッ! ダグッ!」ズポッ ズポッ ズポッ
しんのすけ「もぐらたたきみたーい」
ミミッキュ『ボーッ!』ピカー!
ボーちゃんの周りに、うっすらと光る透明の壁が現れた。
ひまわり「たや?」
ひろし「あれは……光の壁を貼ったのか」
リーリエ「どうしてボーちゃんさんは攻撃しないのでしょうか?」
ハプウ(かく乱しようが構わず、攻撃よりも着々と守りを固めことを優先したか)
ハプウ(おにびに光の壁。あのミミッキュはサポートに徹するようじゃな)
モコッ
ダグトリオ「ダグッ!」バッ!
目の前にダグドリオが顔を出し、頭突きする。
ミミッキュ『ボッ?!』ドンッ!
ハプウ「よし、そのまま畳み掛けよ。メタルクローじゃ!」
しんのすけ「ボーちゃん、来るゾ!」
ダグトリオ「ダグダグッ!」ジャキンッ
ミミッキュ『――ボ!』ジャキンッ
ダグドリオの髭が硬質化したメタルクローが迫る中、ボーちゃんも鼻水状の影から変えたシャドークローで応戦する。
ザクザクッ!
ダグドリオ「ダグッ……!」
ミミッキュ『ボ……!』ザザザッ
しんのすけ「ボーちゃん、いける?」
ミミッキュ『大丈夫……』フゥフゥ
ひろし「まずいな……ミミッキュ――ボーちゃんはフェアリー・ゴーストタイプだから、はがねタイプのダグトリオとは不利なんだ」
ロトム図鑑「それに、すなあらしのダメージも入っている」
ハウ「だけどダグトリオやけどしてるみたいだからー、そこまでボーちゃんにダメージを与えられてないっぽいよー」
ハプウ「穴を掘って惑わせたところで無駄じゃな。ならば、じしんじゃ!」
ダグトリオ「ダグッ!」
ズズンッ!
しんのすけ「ボーちゃん、ジャンプ!」
ミミッキュ『ボ!』ピョンッ
地面が揺れてヒビ割れる瞬間、ボーちゃんはしんのすけの合図と供に振動を利用してジャンプし、再びシャドークローをダグトリオに繰り出す。
ザンッ!
ミミッキュ『ボ!』フッ
ダグトリオ「ダ、ダグッ……!」
シャドークローが急所に当たり、ダグトリオが髭を振り乱しながら力なく倒れる。
しんのすけ「ボーちゃんかっこいい!」
みさえ「やったわ! まず一匹目ね!」グッ
ひろし「いいぞ、しんのすけ! ボーちゃん!」
ハプウ「ほほう、じしんを利用するとは……かなり、やるのう。それにこんな砂嵐の中、ダグトリオにダメージを与えるとは」
ハプウ「ならば――ゆけい、トリトドン!」ヒョイッ
トリトドン「ポワーオ!!」ポンッ
ハプウ「あまりそやつを野放しにするわけにはいかないのでな。ストーンエッジじゃ!」
トリトドン「ポワーオ!」ドシン
トリトドンが地面を振動させると、ボーちゃんに尖った岩が襲いかかる!
ズズンッ!
ミミッキュ『うッ!?』ザクザクッ!
ククイ博士「まずいね、こっちも急所に当たったようだ」
ハウ「それに光の壁も切れかかっちゃってるー!」
ハプウ「とどめじゃ! トリトドン、だくりゅう!」
トリトドン「ポワァァッ!」ブシュウウウッ!
トリトドンの口から吐き出された土の入り混じった激流がボーちゃんに迫る。しかし、ボーちゃんは構わずトリトドンを見据えると、
ミミッキュ『……ボ!』ギンッ!
トリトドン「ポワッ……!」ズキンッ
ククイ博士「!」
そしてボーちゃんはだくりゅうに飲み込まれてしまった。
だくりゅうの勢いが収まると、ぐったりとしているボーちゃんの姿が。
しんのすけ「ボーちゃん!」
ミミッキュ『……後は、頼んだ』
リーリエ「これでお互いに1匹ずつ倒れましたね……」
みさえ「また振り出しに戻っちゃったのね」
ククイ博士「いや、それはどうかな……」
しんのすけ「うーし、ネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ
キテルグマ『あたしの出番ね。負けないんだから!』ポンッ
ハウ「わー! ネネちゃん、進化してたんだー!」
みさえ「あら、あんなかわいいポケモンゲットしてたのね。しんのすけったら、いい趣味してるじゃない」
ハプウ「ふむう、ストーンエッジじゃ!」
トリトドン「ポワーオ!」ドシン
ズズンッ!
キテルグマ『いたっ!』
ハプウ「トリトドン、更にどろばくだんじゃ! 奴を近づけるな」
トリトドン「ポ……ワッ!」ボシュッ
トリトドンの口から次々と泥の塊が発射されて、ネネに直撃する。ネネは手でガードするが、それでも攻撃に移れずにいた。
キテルグマ『これじゃ、思うように進めないじゃない! この砂嵐も、収まらないし……』ビシャッ ビシャッ
しんのすけ「じゃあそこの刺さった岩投げればー?」
キテルグマ『あ、その手があったわね! ふんっ!』ベキッ
しんのすけのアドバイスを聞いて、ネネは尖った岩の一部をへし折って持つと、それをトリトドンに向けて投げつけた。
キテルグマ『えいっ! えいっ! ふんっ!』ブン! ブン! ブンッ!
トリトドン「ポワッ! ポワ!?」ドンッ! ズグッ!
ハプウ「ぬう……ストーンエッジの残骸を利用するとは、なんて破天荒な攻撃じゃ」
トリトドン「ポッ……ポワッ」ブルブル
ハプウ「うん? どうしたトリトドン?」
ひろし「なんか様子が変だぞ」
ハウ「体調が悪いのかなー?」
キテルグマ『今がチャンス!』ダッ
ハプウ(この感じ……あのミミッキュ、倒れ際に呪いをかけおったのか! なんと油断ならないヤツよ)
ハプウ「トリトドン、自己再生じゃ!」
トリトドン「ポワーオッ!!」パアアッ
キテルグマ『な、なに?』
トリトドンの身体が光に包まれると、見る見るうちにネネに負わされていた傷が塞がっていく。
ククイ博士「向こうも気付いたようだね」
リーリエ「なににですか?」
ククイ博士「あのミミッキュ、呪いをかけていたんだよ。自分の体力を削ることで、どく状態のように相手の体力をじわじわと奪っていくんだ。しかも、呪いは自己再生しても治せないから、トリトドンが倒れるまで続くよ」
みさえ「ピカチュウみたいなかわいい見た目して随分怖い技を使うのね。あの子……」
ひまわり「たい……」
トリトドン「ポワーオッ!」
しんのすけ「おおっ、元気になっちゃった」
キテルグマ『元気になったからどうだって言うのよ! 倒すまで戦えばいいだけよ!』ブンッ
ネネが放ったアームハンマーが、トリトドンに命中する!
トリトドン「ポ、ポワァッ…!?」ドズムッ
ひろし「おおっ、あの一撃はでかいぞ!」
ハプウ「トリトドン、だくりゅうで押し戻せ! 距離を取らせるのじゃ!」
トリトドン「ポォワァァッ!」
アームハンマーの反動で動きが鈍くなったところで、口を大きく吸い込み、さっきとは比べ物にならない量のだくりゅうを迸らせた。巨体のキテルグマでも耐え切れず、流されてしまう。
キテルグマ『きゃあああっ!』ドドドドッ
しんのすけ「おおっ、ネネちゃんのような重くて巨体な身体でも押し流されるなんて……」
キテルグマ『やかましいッ!』
ハプウ「よし、自己再生じゃ!」
トリトドン「ポワーオッ!!」パアアッ
キテルグマ『あーん、また自己再生?』
しんのすけ「まるでダイエット中のかーちゃんみたい」
キテルグマ『どういうこと?』
しんのすけ「いくらダイエットして体重を減らしても、またリバウンドして元通り!」
ロトム図鑑「うまい、座布団一枚だ」
げ ん
こ つ
しんのすけ&ロトム図鑑「」
みさえ「うまくないわよっ! 失礼ね!」ドスドス
キテルグマ『こうなったら、あいつを一撃で倒すっきゃないわ!』
しんのすけ「ネネちゃん、あれを使えばきっと気合出せるんじゃない?」
キテルグマ『あれ? ……ひょっとして、あれ?』
しんのすけ「武器にしたら、きっと役に立つと思うよ。あっちのネネちゃんもそうしてたし」
キテルグマ『そうかしら……?』
ハプウ「ぶつくさしゃべってるヒマがあるかの? トリトドン、どろばくだんで攻撃じゃ!」
トリトドン「ポワッ!」ボシュッ!
キテルグマ『きゃっ! いたい!』グチャッ! ドッ!
しんのすけ「ネネちゃん、耐えるんだ!」
ひろし「さっきと同じ状況に戻っちまったな……」
ハウ「ネネちゃんだけ体力を一方的に奪われてるからねー、あのトリトドン結構タフだねー」
みさえ「このまま何もできずに倒れちゃうのかしら?」
ロトム図鑑「……それはどうだろうか」
みさえ「え?」
ロトム図鑑「見よ、攻撃をこらえるネネのがまんのボルテージを」
リーリエ「あっ、そういえばネネちゃんさんには……!」
キテルグマ『…………!』グチャッ! ドチャッ!
ハプウ(どうしたのじゃ? あやつめ、さっきと違ってまったく攻撃しようとせん)
ハプウ(なにかの前触れか? ともかく、呪いのダメージもそろそろ無視できん。あやつを倒しにかかろう)
ハプウ「トリトドン、そろそろだくりゅうで仕上げるぞ!」
トリトドン「ポワァァッ!」ブシュウウウッ!
三度目のだくりゅうが襲いかかってくる。しかし、同時にネネちゃんもどろばくだんを受け続けて、我慢の臨界点を超えた!
キテルグマ『うがあああああっ!』ダッ!
全員「!?」
キテルグマはだくりゅうの流れに逆らい、地面を踏みつけながら猛ダッシュしトリトドンへ急接近する!
ハプウ「な――!」
しんのすけ「やっちゃえネネちゃん!」
キテルグマ『いい加減女の子に向かって、ンなきたねーもん……』バッ!
ネネちゃんはジャンプすると、手に隠し持っていた「あれ」を握る。
ハウ「あれって……」
リーリエ「ピッピ人形さん……ですか?」
キテルグマ『ぶつけてんじゃねぇぇぇっ!』ブンッ!
ド ズ ム ッ!
トリトドン「ポワ゛ッ!!!?」
ひろし「行ったーっ!」グッ
ハプウ「む……がまんか!」
リーリエ「ピ……ピッピ人形さんを武器にするなんて……」ドンビキ
ククイ博士「すごいなぁ、自分の持ち物を武器に技を繰り出すなんて! あのキテルグマはヤレユータン並みの知能の高さと器用さがあるようだね」
リーリエ「そういう問題じゃないですって!」
キテルグマ『あーすっきりした。でも、悪くないわね、これ武器にするの。それに、まだまだ戦えるし』
しんのすけ「おおっ、さすが『ネネ』ちゃん!」
キテルグマ『よくわからないホメ言葉だけど、アドバイスありがと、しんちゃん』
トリトドン「ポワァ……」ピクピク
ハプウ「……さすがにトリトドンも自己再生できるほどの体力も残っとらんか。よくやったぞ、トリトドン。ゆっくり休め」シュンッ
ハプウ(今のピッピ人形に、さっきのミミッキュへの回避の指示。やはりしんのすけは……)
ハプウ「では次! 行くぞフライゴン!」ヒョイッ
フライゴン「フラァーッ!」ポンッ!
しんのすけ「エビフライゴン……?」
ハプウ「エビはいらん! フライゴン、騒いで攻撃せよ!」
フライゴン「ラァァァァァァッ!!」
キテルグマ『ひいっ!』キーンッ!
しんのすけ「うわぁぁっ、耳がキンキンする!」
ハプウ「フフ……さすがに飛んでる相手には、自慢の怪力はおろか手も足も出んじゃろ? フライゴン、ソニックブームじゃ!」
フライゴン「ラァァァ! フラッ!」ブゥーン!
騒ぐのをやめたフライゴンは、今度は衝撃波を放った。砂嵐を吹き散らしながら、ネネに直撃する!
キテルグマ『ううっ……!』
ハプウ「最後じゃ! フライゴン! ドラゴンテール!」
フライゴン「フラーッ!」バッ
砂嵐の中、急降下してきたフライゴンが、空中を一回転しつつ尻尾をネネに向けて振り下ろし、脳天に直撃した!
ゴンッ!!
キテルグマ「ぎゃんっ!」
しんのすけ「げんこつ……!」
キテルグマ「う、うーん……ピッピちゃんが1匹……ピッピちゃんが、2匹」フラフラ
ドサッ!
しんのすけ「あーんネネちゃん!」
ひろし「空を飛んでる相手じゃ、ネネちゃんにも分が悪いだろうな……」
ハウ「トリトドンでのダメージもあるしねー」
ロトム図鑑「情けない奴だ。せめて空を飛ぶことぐらいして見せろ」
キテルグマ『出来るわけないでしょっ!』ガバッ
ククイ博士「まさに一進一退! 技と技の応酬だ! 次はどんな技で戦うのか楽しみだぜ!」
ハプウ「さあ、次のポケモンを出すが良い!」
しんのすけ「んー……じゃ、マサオくん、レッツラゴー!」ヒョイッ
ヨワシ(群)『よっしゃあ! 行くぜい!』ポンッ
ひろし「でっけぇ……あれがマサオくん……群れたヨワシの姿か!」
ハプウ「おお! あの時のヨワシか! ずいぶん逞しくなったのう! さて、どれほど強くなったのか、見せてもらうぞ」
ハプウ「フライゴン、あやつにソニックブームじゃ!」
フライゴン「ラァァァ! フラッ!」ブゥゥンッ!
ネネちゃんにダメージを与えたソニックブームが、マサオを纏うヨワシの群れを少しずつ散らせていく!
ヨワシ『へっ、チマチマしゃらくせえ! 攻撃ってのはなぁ、こうやるんだよ!』ブシュウウッ!
フライゴン「ラァァァッ!!」
マサオの口から熱せられた水が発射された。フライゴンはすぐさま攻撃を中断して、回避しようとするが、しっぽに熱湯があたってしまった。
しんのすけ「マサオくん、いつの間にそんな技覚えてたのかー」
ヨワシ『ポケモンだって日々成長してくもんなんだよ!』ヘッ
ハプウ「こやつがねっとうを使えるのを知らんかったのか、しんのすけ」
しんのすけ「うん、いちいち技覚えんのめんどくさいし」
ひろし「お前なあ、そんな理由で命令しないって、よくここまで来れたな」
ハプウ「相変わらずじゃな、お前は……」
しんのすけ「いやあそれほどでも~」
全員「褒めてないっ!」
ハプウ「フライゴン、りゅうのいぶきじゃ!」
フライゴン「フゥラァァッ!!」ゴウッ!
フライゴンが口から青白い光が放たれ、ヨワシへ真っ直ぐに飛んでいく!
ヨワシ『ヤローども! 例のアレ行くぜい!』
ヨワシたち「ヨワーーーッ!!」
バララーーーッ!
りゅうのいぶきが当たる直前、マサオの号令の元、次々とマサオを纏うヨワシの群れが四方八方に散っていく!
そのままりゅうのいぶきは空を切り、岩壁に直撃する。
ハプウ「なにっ……?!」
ククイ博士「おおっ!」
しんのすけ「マサオくん、すげー!」
ヨワシ(単)『しんちゃんとカザマくんのアドバイスを実践してみたんだ!』
そして、再びマサオを中心に次々とヨワシたちが集まって、元の群れた姿のマサオに戻った。
ハプウ(まったく……技を覚えんかと思ったら、ヨワシの群れを散り散りにさせて回避か……先が読めん奴じゃ)
ハプウ「……フライゴン! 砂嵐に身を隠しつつ、騒いで攻撃せよ!」
フライゴン「フラッ!」ズズズッ
フライゴンはハプウの命令通り、砂嵐の中へとその姿を消していった。
そして一瞬の静寂の後……。
フライゴン「ラァァァァァァッ!!」キィィィンッ!!
しんのすけ「ぬわーっ! またきたぁぁぁっ!」
ヨワシ『ぐぅぅっ……!』ビクビクッ!
しんのすけは耳を塞ぎながらも、どこから声が聞こえるのか集中する。
しんのすけ「マサオくん! あっち!」
ヨワシ『おうっ、そこだなっ!』ドバッ!
さわぐで群れが少しずつ離れていく中、マサオはハイドロポンプを放った! 怒涛の水流が砂嵐を一直線に貫くように放出されていく!
フライゴン「フラァァッ!?」ドドドド!
ククイ博士「ハイドロポンプか!?」
ハプウ「なんと……あの砂嵐の中でフライゴンの位置を当てるとはのう」
しんのすけ「あーやっと静かになった。うるさいっての」キーン
ヨワシ『このまま押し切ってやるぜ!』
マサオは群れとともに前進すると、フライゴンがネネにやったように、その巨体を動かして空中で一回転する。
フライゴン「フラッ……!?」
フライゴンの目の前に、群れたヨワシで構成されたマサオのアクアテールが迫る!
ズシンッ!!
フライゴン『フラッ……!』ドンッ!
アクアテールに押される形で地面に叩きつけられたフライゴンは、反撃を試みようとするが、そのまま地面に突っ伏して力尽きた。
フライゴン「フ、ラァ……」
みさえ「やった! またしんのすけが一歩リードよ!」
リーリエ「群れたマサオさん……すごい攻撃力です!」
ハウ「しかもまだ群れは散ってないよー!」
ハプウ「ふむう……やはりな」
ハプウ(技はポケモンに任せ、己の直感を頼りにポケモンたちの死角を補うように助言する……。まるであやつ自身、ポケモンと一体になって戦っておるようじゃ)
ハプウ(時折、ポケモンとも会話する素振りを見せておる……。まるで馴染みの友と話しておるように。彼らとの間には、深い信頼が築かれておる。何も考えておらんわけがない)
ハプウ(アーカラの時はほとんど何もせず、見ているだけだったが、島巡りを経てようやくこの戦法を開花させたようじゃな)
ハプウ「しんのすけ、お前は本当に面白いトレーナーじゃ!」ニッ
しんのすけ「おー、今度は褒めてるの?」
ハプウ「もちろんじゃ、お前はわしが今まで戦ってきたトレーナーの中でも特に変わった戦運びをする!」
しんのすけ「オラちゃんと歯は磨いてるゾ。オラの歯ってそんな臭いかな?」
ひろし「歯くさ運びじゃなくて、戦運び! お前の戦い方をハプウちゃんは褒めてるってことだよ」
ハプウ「さて、これがわしの最後の1匹じゃ! といっても、しんのすけとリーリエにとってはもう馴染み深いだろうがの」
リーリエ「バンバドロさん、ですね!」
ハプウ「そうじゃ! さあ出番じゃ! しんのすけに我らの絆を見せようぞ、バンバドロ!」バッ!
ハプウの呼びかけに応じるように、彼女の背後に控えていたバンバドロが飛び出し、足を地面にめり込ませながらマサオを睨みつける。
バンバドロ「……!」
みさえ「ラスト一匹ね! これに勝てば試練達成よ! しんのすけ!」
ひろし「行けるぞ! ヨワシはみずタイプ、対して相手はじめんタイプだ。このまま押し切れる!」
ロトム図鑑「どうかな……」
ヨワシ『よぉーし! さっさとこいつを倒して、大試練クリアするぜ! おりゃっ!』
再びマサオは一回転して、バンバドロに向けてアクアテールを放った。水をまとった尾がしなりながらバンバドロへ落ちてくる!
バンバドロ「……!」
ズズンッ!
ハウ「やったー?!」
ククイ博士「……いや」
勝ちを確信した野原一家やハウたちの期待とは裏腹に、砂煙の中から現れたのは、アクアテールを喰らっても地面にめり込むだけで平然としているバンバドロの姿だった。
バンバドロ「…………」
しんのすけ「ほうほう」
ヨワシ『なにっ!?』
ハプウ「バンバドロ……10まんばりきじゃ」
バンバドロ「……ッ!!」ギラッ!
ドゴッ!!
ヨワシ『え……!』
バンバドロはマサオの尾を跳ね除けると、ぐるりと半回転させてマサオから背を向けた。そして違わずマサオに向けて勢いよく、後ろ蹴りを繰り出した!
ド ゴ ッ ッ ! !
ヨワシ(単)『うわぁぁぁっ!!』
リーリエ「一撃で、マサオさんの群れを……!」
ハウ「散らしちゃったよー!」
ヨワシ(単)『そ、そんなぁ……』
バンバドロ「……!」ブルルッ!
ククイ博士「バンバドロの放つ10まんばりき……恐るべき威力だ」
しんのすけ「10万まんボルト?」
ククイ博士「ボルトじゃなくて、ばりきだよ」
ハプウ「いいことを教えてやろうかの。10まんばりきは、バンバドロの全体重を蹴りに集中させて攻撃するワザじゃ」
ハプウ「そして、バンバドロの平均的な重さは920 kgじゃ。その重さを乗せて、マサオを蹴りつけたのじゃ!」
みさえ「きゅ、920kg!? ……って、どのくらいなの?」
ひろし「」ズルッ
ククイ博士「だいたい軽自動車と同じくらいの重さですよ。ポケモンの種類は豊富でも、あそこまで重いポケモンはこのアローラに存在しません」
ひろし「いや、そこらのポケモンにもいないんじゃないか?」
ロトム図鑑「コイツに二度も踏みつけられたが死ぬかと思った」
リーリエ(あの体重で踏みつけられて、よく無事でいられましたね……)
ヨワシ(単)『ど、どうしようしんちゃん……』オロオロ
しんのすけ「しょーがない、戻っていいよ」シュンッ!
ハウ「せっかくのヨワシも、単独じゃバンバドロに勝つのは難しいよねー」
リーリエ「残るのは……カザマさんだけですね」
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ
ジュナイパー『いよいよ僕の出番か!』ポンッ
ハプウ「最後はやはりお主か。マサオに劣らず立派になったのう。さあ、どうバンバドロに立ち向かうつもりじゃ?」
ジュナイパー『しんのすけ! マサオくんの技でダメなら、Zワザだ! くさのZワザで、一気にバンバドロを倒すんだ!』
しんのすけ「ブ・ラジャー!」
バッ バッ ブリッ ブリッ パァァッ バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
ハプウ「ほう、Zワザか!」
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ブ ル ー ム シ ャ イ ン エ ク ス ト ラ !
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」
フクスロー『行くぞっ! 一気に倒す!』
カザマがZパワーを周囲へ放出すると、次々と花が咲き乱れていく! そして日光がバンバドロに照射され、どんどん威力を増していく!
パァァァッ!!
バンバドロ「……!」
ドゴォォォン!!
ククイ博士「しんのすけ! 今のZワザは効果は抜群だぜ!」
ひろし「やった?!」
ジュナイパー『僕たちの勝ちだ!』
ハプウ「…………」
砂嵐が収まり、戦闘で穴だらけになったり、水たまりができて原型をとどめていないフィールドがあらわになる。
くさのZワザを受けて、誰もがしんのすけの勝利を確信した――ハプウを除いて。
ハプウ「なかなか良いZワザじゃ。バンバドロも驚いておるぞ」
ハプウ「じゃが、これでわしとバンバドロを乗り越えられると思ったら、大間違いじゃ!」ギンッ!
バンバドロ「……ッ!!」ブルルッ!
砂煙が収まると、バンバドロが凛然と仁王立ちしながら、カザマを睨みつけていた。その姿に、全員が仰天した。
ククイ博士「……これは!」
リーリエ「……!」ポカン
みさえ「どういうこと?」
ハウ「エー! Zワザを耐えたのー!」
ひろし「信じらんねぇ……」
ロトム図鑑「もはやバケモノだな」
ひまわり「たい……」
ジュナイパー『そ、そんなっ……!』
しんのすけ「ほーほー……」
ジュナイパー『でも、Zワザでも体力を削りきれないなんて……!』
しんのすけ「んーどうしよっかなー……」
しんのすけは腕を組んで困っていると、地面に目が行った。
しんのすけ「…………!」ピーンッ
ハプウ「今度はこっちの番じゃ! バンバドロ、ヘビーボンバーじゃ!」
バンバドロ「……!」ダッ!
バンバドロが駆け出すと、鈍重な身体でありながら跳躍した! そして全身を急回転させながら全体重を乗せてカザマへ襲いかかる!
ハプウ「さぁ、これを喰らえば瀕死は免れんぞ! どうする!」
ひろし「空に逃げても当たっちまうぞ!」
ジュナイパー『うっ、うわっ!』
ド ゴ ッ !
ジュナイパー『……!』
リーリエ「ああっ! カザマさんが!」
ククイ博士「いや、あれは――」
人形「」ドロン
ハプウ「ほう、みがわりか」
ジュナイパー『はっ!』
カザマは、ヘビーボンバーから体勢を整えているバンバドロへ向けて、かげぬいを放った!二つの影の矢が空を切り、バンバドロの影に刺さると爆発を起こした。
ドガンドガンッ!”
バンバドロ「……!」ユラッ
ジュナイパー『まだまだぁっ!』グッ!
シュルシュルシュルッ!
バンバドロ「!」
駆け出そうとするバンバドロの右前足に草が生えて、バンバドロを転ばせる!
バンバドロ「……!」ズシンッ!
ハプウ「む、くさむすびか……! ちと面倒な技を持っておるな」
ひろし「あいつ……俺があげたわざマシンをきちんと使ってるんだな……!」
バンバドロ「……ッ!」ムクッ
ハウ「あれでも倒せないなんてー……」
ハプウ「お主たちの技はしっかりバンバドロに通っておるぞ。じゃが、わしのバンバドロは鍛え抜かれた鉄の意志と鋼の肉体の持ち主じゃ。ちょっとやそっとの技を真正面から受けたところで、びくともせん」
みさえ「ねぇ、あなた。どうしたら倒せるの?」
ひろし「どうしたらって言われてもな……」
ジュナイパー『くそっ、どうしたら……!』
しんのすけ「カザマくんっ、あっちあっち!」
ジュナイパー『えっ……?』
しんのすけが指し示したのは、このバトルの序盤で、ディグダが掘りまくっていた穴の地帯だった。
そして次にしんのすけは、マサオの入ったモンスターボールを見せる。
ハプウ「ん……?」
ジュナイパー『……そうか! 分かった! しんのすけがやりたいことが分かったよ!』
カザマは羽ばたくと、しんのすけが指示した場所へと降り立った。そして、矢羽根をつがえてバンバドロへ放つ。
ジュナイパー『さあ、Zワザでもなんでもかかってこいっ!』
ハウ「あんなところに移動して、どうするつもりなんだろー?」
ハプウ(あれはダグトリオの掘った穴――大方、バンバドロを落として身動きが取れないところで攻めると言ったところかの)
ひろし「バンバドロを落とそうっていうのか?」
ロトム図鑑「バカ、そんなバレバレな作戦してどうするんだっつーの!」
ハプウ「……良いじゃろう、しんのすけ! おぬしの挑発に乗ってやろう!」
ハプウ「文字通り、穴に入ってやろうではないか。地の底の底まで潜ってやろうぞ!」
しんのすけ「!」
バッ バッ グルンッ ズンッ
ハプウ「ほにゃあ!」バァーン!
ピカッ! ゴウッ!!
バンバドロは Zパワーを 身体に まとった!
ククイ博士「Zワザだ! 来るぞ!」
バンバドロが 解き放つ
全力の Zワザ!
ラ イ ジ ン グ ラ ン ド オ ー バ ー !
バンバドロ「ムヒイウンッッ!」ズンッッ!!
ジュナイパー『うわっ!』
バンバドロが前足を踏みしめ地ならしをすると、地割れが起きてカザマがその中へ落下していった!
そしてカザマが落下してる最中に、Zパワーをまとったバンバドロが、全速力でカザマに突進! そのまま押し切りながら、地盤も貫きどんどん地の底へ向かってゆく!
バンバドロ「……ッ!」
ジュナイパー『うわぁぁっ! うっ! ぐぅっ!』
やがてマントルまで到達すると爆発を起こし、バンバドロとカザマが地割れの中から戻ってきた。
ジュナイパー『う、ううっ……』ピクピクッ
バンバドロ「ムヒィィーウン!」ブルルッ
静寂が訪れる。わずかに聞こえるのは、トリトドンとマサオが戦闘で放った水が、Zワザの余波で出来た大穴やダグトリオの掘った穴に流れる音だけだ。
しんのすけ「カザマくん……」
ハプウ「惜しかったの。しんのすけ」
ハプウ「ここまでわしとバンバドロが追い詰められたのは久方ぶりじゃ。あともう一息、と言ったところかの」
しんのすけ「……」
ひろし「しんのすけ……」
みさえ「そんな、しんちゃん負けちゃったの?」
リーリエ「しんちゃん……」
ハプウ「だが、この敗北は決して無意味なものではないはずじゃ。もっと精進して、再びわしに挑んでこい。いつでもわしとバンバドロはお前の挑戦を待っておるぞ」
しんのすけ「ハプウちゃん、なんかかっこいいコト言ってるけど――」
ハプウ「?」
しんのすけ「オラ、まだ1匹残ってるよ?」スッ
しんのすけが手に持っているのは、マサオの入ったモンスターボールだ。
ヨワシ(ボール)『えっ? 僕なの?』
ククイ博士「あれはさっきのヨワシ……マサオか?」
ハウ「でも、もう群れは散っちゃったんでしょー?」
ロトム図鑑「たたきにされるぞ」
ハプウ「……しんのすけ、降参するのもひとつの勇気じゃ。お前さんのポケモンはよく鍛え上げられておる。また挑戦すればよいじゃろ」
ハプウ「それとも、群れを纏う力も無いそやつを出して、無駄に傷つけることが望みかの?」
しんのすけ「オラ、諦めないもん。絶対に島巡りチャンピオンになって、おねいさんにモテモテになるもん!」
ハプウ(……自暴自棄になったわけじゃない。動機は不純だが、活路を見出しておる面持ちじゃ)
ハプウ「なら、そやつでわしとバンバドロを乗り越えてみせろ。お前の最後のゼンリョクを見せてみよ。野原しんのすけ!!」
しんのすけ「おっしゃー! レッツラゴー! マサオくん!!」ヒョイッ
ヨワシ(単)『え、ええっ? 僕が勝てるの? もう群れは纏えないよ?』ポンッ!
ジュナイパー(ボール)『大丈夫、いいかい? これから僕の言う作戦と、しんのすけの言うことを聞くんだ! そうすればあいつに勝てる!』
ヨワシ(単)『……でも』
ジュナイパー(ボール)『これは今の君じゃないとできないことなんだ!』
キテルグマ(ボール)『もうあんたしか残ってないの! 自信持ちなさい!』
ミミッキュ(ボール)『グッドラック!』b
しんのすけ「マサオくんかっこよかったってあの白いポケモンに伝えてやるゾ」
ヨワシ(単)『…………』
ヨワシ(単)『……わかった! 僕、みんなを信じる!』
ハプウ「では――ゆくぞ、しんのすけ!」
しんのすけ「こぉぉいっ!」バンバンッ!
ハプウ「バンバドロ! ヘビーボンバーじゃ!」
バンバドロ「……!」ダッ!
バンバドロはマサオに一直線に駆け出し、ジャンプ! そして回転するとマサオに向かって落下していく!
ドドドドドド!!!
しんのすけ「マサオくんっ!」
ヨワシ(単)「!」
ズ ズ ン ッ !
バンバドロのヘビーボンバーが地面に激突し、砂煙が巻き起こる。地面にヒビが入り、泥水が染み出した。
ひろし「ど、どうなったんだ?」
リーリエ「マサオさんは……?」
砂煙が晴れると、体勢を立て直すバンバドロの姿があった。
そしてヘビーボンバーを食らって戦闘不能になっているはずのマサオの姿は――なかった。
ハプウ「なに?!」
バンバドロ「……!」
ハウ「あれー?! マサオはー?」
驚く一同。ハプウもバンバドロも例外ではなく動揺していた。一体どこへマサオが消えてしまったのか、あたりを見渡す。
ハプウはそこで、ダグトリオが掘った、水で満たされた穴に目が行った。そこで、ハプウはしんのすけの企み全てを察した。
ハプウ「まさか――! そこから離れよ! バンバ……」
しんのすけ「マサオくんっ! ファイヤーーーッ!!」
ヨワシ『フ ァ イ ヤ ー ー ー ー ッ ! ! 』
しんのすけとマサオの掛け声と同時に、バンバドロの真下の地面がさらにひび割れて、地面を突き破りながら勢いよくハイドロポンプが噴射された!
激流はバンバドロの腹に直撃し、そのまま勢いよく空中へと放り出された。
バンバドロ「ヒヒウ……!?」
ハプウ「……!」
しんのすけとマサオを除く一同が唖然とするなか、バンバドロは大きな音を立てて、マサオのハイドロポンプやトリトドンのだくりゅうで出来た水たまりへ落下した。
バシャッ!!
バンバドロ「ムッ……! ムヒィ……」
水たまりの中で、バンバドロは横たわりながらもがいて脱出しようとするが、その体力は残っていなかった。ハイドロポンプを食らった際、急所である腹を直撃したからだ。
そのままバンバドロは負けを認めたように足を動かすのをやめて、悔しそうにハプウを見た。
ハプウ「バンバドロ……」
みさえ「……勝った」
ひろし「勝ったんだ……! しんのすけが、勝ったんだ!」
ハウ「やったーー!」
リーリエ「バンバドロさんをあんなふうに倒すなんて……!」
ひまわり「たいやー!」
ククイ博士「すごいぜしんのすけ! バンバドロの真下からハイドロポンプを打つなんて!」
しんのすけ「いやぁ照れますなぁ」
ジュナイパー(ボール)『マサオくんもお疲れ様! よくやったよ!』
ヨワシ『え、えへへっ……僕はただ、しんちゃんとカザマくんの言う事しか聞いてなかったから』
キテルグマ(ボール)『あんたもっと誇りなさいよ。群れがなくったって強いんだから!』
ミミッキュ(ボール)『ガッツが、ある』
しんのすけ「安心しなさい、会ったらちゃんと伝えたげるから」
ヨワシ『う、うん、ありがとう、しんちゃん』
ロトム図鑑「ふっ、私の綿密な作戦が功を喫したな」
ひろし&みさえ「お前なんもやってないだろっ!」
ハプウ「……しんのすけ」
しんのすけ「お?」
ハプウ「わしらの負けじゃ」
ハプウ「いやぁ、たまげたぞ! ダグトリオの掘った穴がトリトドンやマサオの技で水いっぱいになったところに、単独の姿になったマサオを潜り込ませ、ハイドロポンプで奇襲をかけるとは……」
しんのすけ「ま、こんなくらいどうってことありませんから」
ジュナイパー(ボール)『ほとんど即興だったんだろ?』
ミミッキュ(ボール)『でも、よく思いついた。しんちゃんすごい』
ハプウ「お前のゼンリョク……大胆な発想、最後まで諦めない意志、友を信じる心、この目でしかと見届けたぞ」
しんのすけ「いやぁ」テレテレ
ハプウ「本当に面白いヤツじゃ。ゼンリョクを尽くしても勝てないすごさ……いろいろ学べて感謝じゃ、しんのすけ!」ニィッ
ひろし「みさえ……俺たちが知らないあいだに、しんのすけはこんなに成長してたんだな」
みさえ「ええ、とっても誇らしいわ」
ひまわり「た!」
ハプウ「では、じめんタイプのZクリスタル……ジメンZを授けるぞ!」
しんのすけは ジメンZを 手に入れた!
しんのすけ「正義は勝つ! ワッハッハッハッ!」
大 試 練 達 成 !
ハプウ「ポーズも授けるから、しかとみておれ!」
しんのすけ「ほいっ」
ハプウ「うぅ……!」ギンッ!
バッ バッ グルンッ ズンッ
ハプウ「ほにゃあ!」バァーン!
しんのす「おお、なかなかいいターンですな。オラも!」
バッ バッ プリッ グルンッ ズンッ
しんのすけ「ぷるるん!」バァーン!
ハプウ「いや、尻は出さんでよい……」
みさえ「対抗して掛け声出さなくてもいいの」
リーリエ「しんちゃん! これで4つの島全ての大試練、達成ですね!」
しんのすけ「そーいえば、そうだね」
ククイ博士「後はウラウラのラナキラマウンテンに登って、大大試練を乗り越えれば、しんのすけの島巡りは達成だ!」
ハウ「わー! おれも早くしんのすけに追いつかなくっちゃ! ハプウさん! おれと戦ってー!」
ハプウ「これこれ、そう慌てんでもわしは逃げんぞ。まずはリーリエじゃ」
ハプウ「リーリエ、ここを通り抜け、祭壇に向かうのだ! 大峡谷は祭壇につながる道、修行するトレーナーもおって、道のりは厳しいぞ」
リーリエ「はい!」
ハプウ「リーリエもここが踏ん張りどころじゃ。なにかあれば、わしもバンバドロと駆けつけるでな!」
リーリエ「ハプウさん! わたし、やります!!」
――カプゥーレ!
全員「!」
みさえ「今の声は……ポケモン?」
ハプウ「おお! 珍しいのう。カプ・レヒレが我らの前でさえずりを上げるなど……」
しんのすけ「なんで?」
ククイ博士「カプ・レヒレは、ある理由で人間の前に姿をめったに見せないんだ。こうして声を上げることだって、そうそうないことなんだよ」
しんのすけ「ほうほう」
ハプウ「カプに選ばれたしんのすけが、4つの島の大試練を終えたことに対して祝福しとるのかもしれんな」
――カプゥーレ!
ハプウ「……!」ピクッ
ひろし「あ、また聞こえた!」
しんのすけ「どしたの?」
ハプウ「どういうことじゃ? ……『逃げろ』とは」
ハプウが言葉を言い終えた瞬間だった。
ズズンッ!
しんのすけたちの目の前――ポニの大峡谷の入口に、突然白い光が現れた。
みさえ「な、なにっ?!」
ハプウ「これは……!?」
白い光は空間にヒビを入れるように侵食していくと、巨大な穴へ変貌した。穴の奥は光に包まれ、そこから虹色の波動が外に解き放たれていく。
ハウ「ウルトラホールだよー!」
ククイ博士「これがバーネットの言ってたウルトラホール……!」
しんのすけ「誰かいる!」
全員がウルトラホールの出現に仰天していると、ホールの奥から、人影が現れた。コツコツというヒールの足音を響かせて、ホールの外へと出てくる。
???「フフフ……」
ひろし「あ、あんたはっ!」
リーリエ「かあさまっ!」
リーリエにかあさまと呼ばれた人物――ルザミーネは、不気味な微笑みを浮かべながら、ウルトラホールから現れた。
ルザミーネ「ウツロイドに導かれて出てきたと思ったら、まさかアナタたちがいるなんて……。奇妙な偶然もあるものね」
みさえ「この人って、あなたの会社の……」
ひろし「あぁ、エーテル財団の代表……そしてリーリエちゃんの母のルザミーネだ」
しんのすけ「40越えてるけどかーちゃんより美人だゾ」
みさえ「うるさいわねっ! 知ってるわよ!」
ククイ博士「まさかこんな形で、あなたと出会うとは思いませんでした。代表」
ルザミーネ「あら? あなたは確か……ククイ博士だったかしら? ポケモンの技に興味がおありで、研究を進めているとか」
リーリエ「かあさまっ! グズマさんはどうなさったのですか?!」
ルザミーネ「グズマ? あぁ、別にあんな人、もうどうだっていいのですよ。元の世界に連れて帰ろうとしてわたくしを困らせるのですよ? 愚かにも程があります!」
リーリエ「……そうやって、ここでもエーテルパラダイスでも、自分のことばかりっ!」
ルザミーネ「何を今更……だってそうでしょう! わたくしは! わたくしの好きなものだけがあふれる世界で生きるの!」
ルザミーネ「たとえ自分の子供でも!」
ルザミーネ「どれだけわたくしを慕っていても!」
ルザミーネ「珍しいとされるポケモンだとしても!」
ルザミーネ「わたくしが愛を注げる美しいものでなければ、ジャマでしかないのです!」ギロッ
みさえ「なんなの……この人。本当にあなたが言ったとおり……!」
ひろし「……だろ?」
ハプウ「……ご婦人、お取り込み中のところ失礼する。わらわは、ポニ島のしまクィーン、ハプウじゃ」
ルザミーネ「しまクィーン……それがどうかしまして?」
ハプウ「此度のビーストの事件は、そなたが元凶としんのすけとリーリエから聞かされていた。なにゆえ、このような事態を引き起こしたのじゃ? その目的は?」
ルザミーネ「そんなくだらないこと、聞くのですね。決まっているでしょう? ウルトラホールの向こう側にある世界から、ビーストちゃんたちをアローラに呼び寄せて、世界中をビーストちゃんで満たしていくのです」
ルザミーネ「異世界のポケモンであるビーストと、愛しいポケモンが混じり合う究極の愛に満ち溢れた世界。その理想郷を作り上げることがわたくしの夢なのですから」
ハプウ「馬鹿げたことを……このアローラがそのビーストとやらで溢れかえれば、間違いなくアローラ――いや、世界中が混乱に陥る。そなたの言う愛とは程遠い世界じゃ。それが望みなのか!」
ルザミーネ「えぇ、わたくしは愛しい子供たちを束縛したりしませんから。ここにいる人間の命など、どうでもいいことです」
ルザミーネ「ですが!」ギロッ!
ルザミーネ「そこにいる野原しんのすけくん……! その子だけは、絶対に許しません! 生かしておくわけにはいきませんの!」
しんのすけ「オラが? いやあ照れますなぁ」
ハウ「褒めてるわけじゃないよー!!」
みさえ「どうしてうちのしんのすけが! アンタに何したっていうのよっ!」
ルザミーネ「うちのしんのすけ? そう、あなたがしんのすけ君の母なのね。ならば、同じ母親同士、少しはわたくしの気持ちも分かるのではなくって?」
ルザミーネ「その子は、エーテルパラダイスでわたくしの計画を邪魔したからです。あんな穢らわしい異臭物をよくもわたくしの鼻に……!」
ひろし「……」
ルザミーネ「それに、しんのすけ君と出会ったから、リーリエは醜く変わってしまったからです! 幼い頃は、わたくしの言うことをなんでも聞いてかわいかったのに、親に逆らうだなんて……それもこれも全て、しんのすけ君の所為ですっ!!」
リーリエ「わたしが変わったのはわたし自身の意志です! しんちゃんは関係ありません!」
ルザミーネ「黙りなさい! ですからしんのすけ君! あなたを始末します!」
しんのすけ「ポケモンの散歩したらちゃんとフンは片付けなきゃね」
ひろし「それは後始末! しかもそういう意味じゃねぇよ!」
ハウ「ちょっとは空気読もうよー」
ククイ博士「それはどうかな? ここにいるしんのすけはたった今、4つの島をめぐり、全ての大試練を終えたところさ! あなたがどれほどの実力者か知りませんが、しんのすけをたかが子供と侮らないほうがいいぜ!」
ハプウ「当然じゃ、このハプウとバンバドロを打ちのめしたからのう。ビーストなど敵ではないわ」
ルザミーネ「……ふふっ」
ルザミーネ「ふっふふふふふふ!!」
ハプウ「……なにかおかしなことでも言ったかの?」
ルザミーネ「いや、アナタたちの無知さには、笑うしかなくってね! ビーストちゃんは、この世界の常識を超えたポケモン。ただ単純にバトルに用いるだけしか思いつかないなんて。その程度の発想で、ビーストを知ったフウに語らないでくださる?」
ハウ「どういうことー? だってポケモン勝負で決着つけるんじゃないのー?」
ルザミーネ「見せてあげる……このウツロイドの、本当の力を!」
ルザミーネ「ウルトラスペースで手に入れた、わたくしとビーストちゃんが築き上げた愛の力を!!」ヒョイッ
ウツロイド「じぇるるっぷ……!!」ポンッ!
ククイ博士「あれがウルトラビースト……!」
ルザミーネの頭上に現れたウツロイドは、そのままルザミーネへと真っ直ぐに下っていく。それをルザミーネは受け入れるように両手をウツロイドへ伸ばした。狂気に満ちた表情を湛えながら。
ルザミーネの身体をウツロイドが覆っていくと、光に包まれながら変化が起きた。
ハプウ「なにが起きようとしているんじゃ……!」
最初に光から飛び出したのは、黒く変色したいくつもの肥大化した触手だった。そして触手の持ち主である巨大化したウツロイドの頭部に入った、ルザミーネがあらわになる。ブロンドの髪から闇のように黒く染め上げられている。
みさえ「ひいいっ……!」
ルザミーネはまぶたを開き、金色の瞳で驚きに包まれる一同を順に見回し、狂気に満ちた笑い声とも言える叫び声をあげた。
ルザミーネ(マザービースト)「ウアァハハハハハッ! アハハハハッ……!」
ルザミーネ「どうかしら? この美しい姿! ウツロイドとひとつになることで、わたくしはすべてのビーストの母となったの!」
ルザミーネ「そしてこれから、本格的にアローラへウルトラホールをたくさん開けて、理想郷を創りあげるわ!」
ひろし「バカな……人間とポケモンが融合したっていうのか!?」
リーリエ「かあ……さま……!」
ハウ「うわ、うわわー! ルザミーネさんがー!」
ルザミーネ「しんのすけ君! あなたをビーストちゃんの世界に連れて行って、あの子たちのエサにしてあげる。まだまだウルトラホールには、お腹を空かせた大きなビーストちゃんがたくさんいるもの!」
ハプウ「いかん! まだしんのすけのポケモンは元気になっとらん!」
ひろし「や、やめろーっ!」
みさえ「しんのすけ!! 早く逃げてーっ!!」
リーリエ「しんちゃんっ!」
ルザミーネがその巨体とは裏腹に、とてつもないスピードでしんのすけに接近する!
しんのすけ「うおおーっ!?」
ハウ「おれが相手だーっ!」スッ
ククイ博士「僕も相手になるぜ!」スッ
シロ「アンアンッ!!」バッ!
ルザミーネ「邪魔です!」カッ!
ルザミーネが咆哮を上げると、10本の触手で巧みになぎ払い、ハウとククイ博士、シロを吹き飛ばした!
シロ「ぎゃんっ!」ドサッ!
ハウ「うわーっ!」ドサッ!
ククイ博士「うっ……トレーナーに攻撃を仕掛けるなんて……!」グググ
しんのすけ「シロ! はかせ! ハウくん!」
ルザミーネ「ふふっ! しんのすけ君っ!」シュルルッ
ルザミーネが触手を伸ばし、シロたちに動揺するしんのすけを捕まえた!
しんのすけ「ぬわーっ!」
ルザミーネ「さあ、わたくしと……」
しんのすけ「なんちゃって」
ズルッ!
ルザミーネ「!?」
しんのすけはズボンとパンツを身代わりに、ルザミーネの触手から縄抜けした!
しんのすけ「や~い来てみろ来てみろ~妖怪メノクラゲオババ~!」オシリペンペン
ルザミーネ「――ッ! なんて反抗的な子なの!」ビキキッ!
みさえ「早く逃げてっ!」
ルザミーネ「させませんわ! 絶対に捕まえます!」ブンブンブンッ!
しんのすけ「おそいおそーい! ほーれほれー♪」シュパパパパ!!!
ルザミーネが触手を次々と繰り出していくが、それをしんのすけは電光石火の速さで回避していく。
しんのすけ「ほれほれどーしたの? ひょっとしてオラのインドぞうさんに見とれちゃって、ゼンリョクだせないとか?」シュパパパパ!!!
ルザミーネ「くぅぅぅっ!」ブンブンブンッ!
ハプウ「煽ってる場合じゃなかろうが!」
リーリエ「しんちゃん! 早く逃げてくださいっ!」
ルザミーネ「……!」ニヤッ
ルザミーネはいきなりしんのすけから背を向けると、リーリエへと狙いを定め接近した!
リーリエ「ひっ……!」
しんのすけ「――ッ! リーリエちゃんっ!」ダッ!
ルザミーネがリーリエへ触手を伸ばしてきた!
リーリエは無意識に船着場で彼女から暴力を受けた記憶がフラッシュバックし、目を閉じて身をかがめ、頭を抑えた。
……しかし、リーリエの身体に何も起きなかった。リーリエはおそるおそる目を開けると……。
しんのすけ「おわわっ!」
ルザミーネ「ふう、やっと捕まえた。もう逃がさないわ」グググッ!
しんのすけ「ぬううっ! ホントに離せ離せっ!」ジタバタ
リーリエ「そ、そんな……! しんちゃん!」
みさえ「しんのすけーっ!」
ひろし「くそっ! しんのすけを離せっ!」バッ!
ひろしが靴を脱いでルザミーネへ突進する!
ルザミーネ「その臭いはもう嗅ぎたくありませんの」スッ
しんのすけ「うわぁぁぁーっ! とーちゃんそのニオイやめてーっ!!」ツーーーン!
ひろし「し、しんのすけ! ……ゲフッ!」バキッ
ルザミーネ「みなさん、無粋なんですから。……あら」
靴を構えるひろしを触手で殴り飛ばしたルザミーネは、しんのすけが縄抜けの際身代わりにした地面にずり落ちたズボンを覗いた。
そして、しんのすけのポケモンの他に、月の笛が転がっていることに気が付いた。
ルザミーネ「これは何かしら……ねぇ?」ヒョイッ
リーリエ「それは!」
しんのすけ「あーん! 触っちゃダメっ!」
ルザミーネ「ふうん、これは二人にとって大事なものなの。これがねぇ……こんなもの!」
ベキッ! バキッ! ボキッ!
しんのすけ&リーリエ&ハプウ「!」
ルザミーネは勝ち誇った笑みを浮かべながら、バラバラにへし折られた月の笛の残骸を、地面へと落とした。
ルザミーネ「ウフフッ! 伝説のポケモンを呼び出すつもりだったのでしょうけれど、そうはいきませんよ」
ハプウ「笛が……!」
リーリエ「そんな……っ!」
ルザミーネ「さぁ、しんのすけ君、招待しますわ。ビーストの世界へ」グイッ!
しんのすけ「うわわっ! とーちゃんかーちゃーんっ!」
ひろし「しんのすけ! しんのすけーっ!」
リーリエ「しんちゃん!!」ダッ!
ルザミーネと供にしんのすけがウルトラホールに入っていく直前、リーリエが走り出してしんのすけの手を掴んだ!
しんのすけ「リーリエちゃん……!」
リーリエ「んくっ……! んんんっ!」ググッ!
ハプウ「でかした! 皆の者! リーリエを引っ張るんじゃ!」
ククイ博士「おうっ! みんなでんこうせっかで急ぐんだっ!」
すぐさまひろしたちはリーリエのもとへ駆け寄り、みさえがリーリエの腰に手を回し、さらにそのみさえの腰をひろしが、ひろしの腰をククイ博士が……というふうに引っ張り、しんのすけをウルトラホールから引きずり出そうとする。
リーリエ「しんちゃんっ……! 離しません! 絶対に離しませんから諦めないでっ……!」ググッ!
しんのすけ「ぬくくっ……」ググッ!
ギュッ
しんのすけ「1・2・3・4……」ギュウウウッ
リーリエ「指相撲してる場合ですかっ!」
ブンッ!
リーリエ「ごふっ!」ドゴッ!
パッ
しんのすけ「あ」
ウルトラホールから飛び出してきた触手に腹を殴られた拍子に、リーリエはしんのすけの手を離してしまった。しまった、とリーリエが目を見開いた時には、すでに遅かった。
しんのすけ「おわぁぁっ! リーリエちゃんっ! リーリエちゃんっ!」ズズズッ
リーリエ「しんちゃーーーんっ!!」
みさえ&ひろし「しんのすけーーーっ!」
しんのすけ「とーちゃん! 『やんちゃDEブリーダー』録画しといt……」
しんのすけが言い切るより先に、ウルトラホールの向こう側へと消えてしまった。
思わずリーリエがウルトラホールに入って追いかけようとするが、ひろしとハウがそれを抑える。
ブゥゥゥン
リーリエ「そんな……しんちゃん……! しんちゃん……ッ!!」
【ポニ島編 おしまい】
今日はここまで。
次回の更新は、明日の夜の予定です。
ポニ島編後半から急展開し、このSSはゲーム本編と異なるオリジナルの展開を迎えます。
アローラに未曾有の危機が訪れ、月の笛も破壊された上でしんのすけもルザミーネによってウルトラスペースへさらわれてしまうという絶体絶命の状況の中、アローラの人々と野原一家、そしてリーリエは力を合わせ、ビーストたちに立ち向かいます。
これまで出てきたキャラクターたちも登場し、中にはゲーム内では描かれなかった絡みもあります。
そういうわけで、『ウルトラスペース編』ご期待下さい。
じゃ、そゆことで~
【ウルトラスペース編】
ポニの大峡谷 入口前
リーリエ「しんちゃん……! いやぁぁっ……!」
みさえ「あなた……っ」ギュッ
ひろし「みさえ……」
ハウ「ど、どうしよー! しんのすけがルザミーネさんに連れ去られちゃったよー!」オロオロ
ククイ博士「ハウ、まずは落ち着くんだ」
ハウ「お、落ち着けって言われたってー!」
シロ「クーン……」
ハプウ「ん……?」
ハプウはシロが加えてきたしんのすけのズボンと手持ち、そして笛の残骸を拾った。
ハプウ(しんのすけの身に危機が迫っているのを、そなたらもなんとなくわかっておるのじゃな……)
――ルザミーネ「……!」ニヤッ
ハプウ(あやつめ……! しんのすけがリーリエを守ることを分かっててわざと襲ったのじゃな! 許せん!)ワナワナ
ズズンッ!
全員「!」
みさえ「今度は何っ?!」
再び地面が揺れて、しんのすけが消えた地点に、再び空間の歪みと供に光が出現する!
ハウ「またウルトラホールだー!」
ひろし「もしかして、しんのすけか?!」
再び全員の前に現れたウルトラホール。
ひょっとしてルザミーネの拘束を抜け出してしんのすけが帰ってきたのでは――。その場にいる全員が、期待を抱いた。
だが、ウルトラホールから現れたモノは、その儚い期待を簡単に打ち砕いてしまった。
???「オォォォォオォッ!!」
咆哮と供に現れたのは、全身が口と呼ぶような巨大なウルトラビースト――アクジキングだった。それがウルトラホールから飛び出した途端、口から生えている2本の舌を伸ばして、次々と岩や木を口の中へ放り込んでいく!
アクジキング「モォォォッ!!」バグバグッ!
ひろし「な、なんだよこいつっ! こいつもビーストか!」
ククイ博士「見た目からしてかなりヤバイぜ! ここから逃げるんだ!」
ハウ「リーリエ、逃げよー!」
リーリエ「……」
ハプウ「わしの家に避難するぞ! ついて参れ!」
――カプゥーレ!
カプ・レヒレの声が空に響いたと思うと、ハプウたちとアクジキングの周囲に、見る見る冷たい霧がかかった!
ハウ「なにこれー? またビーストー?」
ハプウ「案ずるな! カプ・レヒレの能力じゃ! わしらをビーストから逃がそうとしてくれておる! このまままっすぐ走れ!」
ハプウ(カプ・レヒレ……感謝します)
リーリエ「……しんちゃん」
同時刻
~メレメレ島 ハウオリシティ~
イリマ「ハラさん! こちらです!」
ハラ「……これは」
イリマとハラの目の前では、上空のウルトラホールから現れた、竹を模した一対の噴射口の腕が目印の巨大ウルトラビースト――3匹のテッカグヤが建物を破壊していた。人々は、パニックに陥りながら、四方八方へ逃げ回る。
テッカグヤ「……!」
テッカグヤは腕を振り下ろすと、役所の建物がいとも簡単に潰れ、空いたもう一つの腕で炎の弾を放つと、警察署が吹き飛んだ。
ハラ「イリマ……あなたは街の人たちの避難を誘導をお願いしますぞ。あの不埒なお客は、このハラが抑えます」
イリマ「はい! 分かりました!」
~アーカラ島 カンタイシティ~
マオ「アママイコ! マジカルリーフ!」
スイレン「オニシズクモ! バブルこうせんです!」
2人のキャプテンの命令で放たれた魔法の葉っぱと、勢いよく発射された泡がビーストに直撃する。
しかし、目の前にいる、鋭い口吻と巨大な筋肉が特徴的なウルトラビースト、マッシブーンは、「それがどうした」と言わんばかりに耐え切った。
マッシブーン「……!」ダブルバイセップス!
マオ「なんなのよ、このポケモン! むちゃくちゃすぎる!」
スイレン「この前現れたポケモンとは、また別の強さです……!」
~ウラウラ島 ホラクニ岳 天文台~
マーレイン「『穴』の反応はやはり前回同様、他の島にも現れているようだね」カタカタカタ
マーマネ「マーさん……マリエシティに反応が2つ……発電所に3つある……」カタカタカタ
マーレイン「他にも範囲が広がりそうだ。すぐに『穴』の反応を探知するための……」ピタッ
マーレイン「……どうやらこの近くにも、『穴』が出てきそうだ」
マーマネ「戦う準備……できてる!」
2人は天文台から飛び出すと同時に駐車場にウルトラホールが開いた。
その中から這い出るように飛び出したのは、先端に導線らしきものがあらわになった黒くしなやかな身体と、顔にあたる部分が光るトゲトゲになっているウルトラビースト、デンジュモクだ。
デンジュモク「デンジュジュ……!!」バチバチバチ
マーマネ「ターゲット確認……!」スッ
マーレイン「ウルトラホールから現れた異次元のポケモン、存分に分析させてもらう」スッ
ポニ島 ハプウの家
ガンッ!
ひろし「くそっ! どうして……どうしてこうなっちまったんだ……!」ワナワナ
みさえ「あいつはいったいなんなのよ! どうしてしんのすけが……!」
ひまわり「ふぇっ……えっ……えっ!」
ひろし「だいたいお前がしんのすけを島巡りさせるからだろ!」
みさえ「それを言うなら、あなただって積極的だったくせに!」
ひろし「なんだとっ!」
みさえ「なによ!」
ククイ博士「奥さん、落ち着いて……」
ハウ「おじさんもー……」
みさえ「なに? 元はといえばアンタがしんのすけを……!」
ハプウ「や め ん か っ ! !」
ひろし&みさえ「!」ビクッ!
ハプウ「今は責任の擦りつけあいをしてる場合ではなかろう!」
ひまわり「ふええん! ふええん!!」
ひろし&みさえ「ひまわり……」
ハプウ「おお、びっくりしたじゃろう。大丈夫じゃ、きっと兄は無事に帰ってくる。あやつは強いからの」ユサユサ
ひろし「……すまん、みさえ。怒鳴っちまって」
みさえ「私も、ついカッとなって……ごめんなさい」
ひろし「しんのすけが奪われたって言うなら、オレ達の手で取り返しに行けばいい。ただそれだけだ」
みさえ「ひまわりがさらわれた時も私たち、そうしたものね」
ひろし「愛してるぜ、みさえ。必ずしんのすけを取り戻そうな」ダキッ
みさえ「私も……」ギュッ
ククイ博士&ハウ「…………」
ハプウ「……お前の家族は面白いのう、ひまわり」
ひまわり「……たい」
ハプウ「リーリエも、しゃきっとせんか。あれは決してお前のせいではない。そう自分を責めるな」
リーリエ「……」
リーリエはほしぐもちゃんの入ったリュックを抱きしめながら、しんのすけが連れ去られた光景を思い返していた。
――ふう、やっと捕まえた。もう逃がさないわ
――ぬううっ! 離せ離せっ!
リーリエ(しんちゃん……っ!)
ククイ博士「まずはクリアスモッグのように、1からやり直して状況を整理してみよう」
ひろし「まずは……しんのすけがハプウちゃんとの大試練を達成して、その直後にルザミーネが現れた」
ハウ「それでーウツロイドっていうビーストと合体して、しんのすけをウルトラホールの向こうへ連れ去ったんだよねー」
ハプウ「その直前に笛が壊され、ホールが消えたあとにビーストが現れ、カプ・レヒレの助けを借りながらここに戻ってきた……」
ククイ博士「逃げる途中、空にいくつものウルトラホールが開かれているのを見たんだ。おそらくだけど、前回のように……いやそれ以上に、アローラにウルトラホールが開かれている!」
ハウ「ルザミーネさんはービーストと合体してホールを開けられるようになったって言ってたよー。ひょっとしたら、コスモッグの力なしでホールを開けられちゃうのかもー」
ククイ博士「彼女の言葉が本当なら、今のところビーストが現れているのはアローラだけ……。他の地方に広がってないだけ、不幸中の幸いだね」
ハウ「ルザミーネさんを止めれば、アローラに来たビーストもいなくなるかなー?」
ハプウ「どうかな……仮に元凶を倒し、ホールを閉じたところで、あやつらが煙のように消えるとは限らん。穴へ戻さねばならんだろう」
みさえ「こっちから穴を開けて、ウルトラホールの向こうへ行く手段はないの?」
ハプウ「ある。……正確には『あった』と言うべきじゃが」つ壊れた月の笛
ひろし「そいつは……グラジオくんがリーリエちゃんにあげた笛そっくりだ」
ハプウ「これなるは月の笛。かつてアローラ王朝が太陽と月、それぞれの笛を用いて伝説のポケモンを呼び出した道具じゃ」
ハプウ「本来の流れでは、しんのすけとリーリエはこの2つの笛を用いて、ポニの大峡谷の先にある月輪の祭壇で笛を吹き、伝説のポケモン『ルナアーラ』を呼び出し、その力でルザミーネを連れ帰ろうとしていたのだ」
リーリエ「……」
ハウ「そのルナアーラっていうポケモン、ウルトラホールを開けられるのー?」
ハプウ「伝承通りならば、ルナアーラもまたウルトラビーストじゃろうな。空間に穴を開け、別世界を行き来する能力……恐らくウルトラホールを自由自在に開けられる力を持っておるのじゃ」
ククイ博士「だけど、その笛が壊れているってことは……」
ハプウ「伝説のポケモンを呼び出すのが不可能になった、ということじゃ」
みさえ「そんな……直すことはできないの?」
ハプウ「そうしたいのは山々じゃが、わしはあくまで祭壇の番人の末裔でしかない。月の笛も太陽の笛も、作り方はおろか、どんなもので作られているのか、わしには全くもってわからん。そもそもそんな知識を持っている人が今のアローラにいるかどうか……」
ククイ博士「最善の手段がダメなら、次善の手段で挑むしかないね。とにかく、やることが山積みだぜ」
コンコンッ!
ハプウ「む……こんな時に誰じゃ」
ガチャッ!
グラジオ「……」
ハプウ「お主は……?」
リーリエ「にいさま……?」
ひろし「グラジオくん!」
ハプウ「なんじゃ、知り合いか?」
グラジオ「リーリエ、ハウ、ひろし、ここにいたのか。とりあえず無事で安心した」
リーリエ「にいさま、どうしてここに?」
グラジオ「今、アローラ全域に数え切れない程のビーストで溢れかえっている……。だからオマエらの身に何か起きたと踏んで、海の民から話を聞きながらここに来たんだ」
グラジオ「ところで……しんのすけの姿が見当たらないが。あいつはどこへ行った?」
リーリエ「……」
グラジオ「……何かあったのか?」
ハプウ「グラジオとやら、とにかく家に入れ。わしの口から話そう」
グラジオ「……ああ」
グラジオ「……そうか、月の笛が壊され、しんのすけが連れ去られた、か」
ククイ博士「グラジオくん、だったね? 君は何のためにここに来たんだい? ただ心配しただけでここに来たわけではないだろう」
グラジオ「ああ、リーリエたちをエーテルパラダイスに連れ戻しに来た。ビーストがアローラに溢れかえっている今、パラダイスが一番の避難場所になるからな」
ひろし「そうだな……ここに全員揃っているより、パラダイスに避難してからこれからのことを考えたほうがいい」
グラジオ「……その前に、ポニのしまクィーンにひとつ聞きたい」
ハプウ「なんじゃ?」
グラジオ「この壊れた月の笛についてだ。これを直すことは本当にできないのか?」
ハプウ「再三言うが、修復はほぼ不可能に近い。それが作り方はおろか、どんな素材で出来ているのかすら、誰にも分からずじまいじゃ」
グラジオ「果たしてそうか? 確かウラウラには、アローラ王家の血を引くというキャプテンがいるはずだが。そいつが笛についてなにか知っているはずだ」
リーリエ「……アセロラさん、ですか?」
ハプウ「あやつか……確かにアセロラは王家の血筋を引いておる。ひと握りしか知らんアローラの神話をまとめた本を出版したのもあやつの父じゃ。だからと言って、笛の作り方まで関わっているとは限らんぞ」
ひろし「だとしても、知ってる可能性はあるんだろ? だったら、そのアセロラって子から笛の作り方を教えてもらうべきだ」
グラジオ「幸い、エーテルパラダイスにはその手の設備も整っている。素材と製造方法さえ分かれば、修復は可能だろう。壊れた笛もここにあるしな」
ハプウ「……うむ! その通りじゃ! かすかな望みでも、捨ててはいかんな」
ククイ博士「よーし、ならアクアジェットのように急ごう!」
ハウ「よかったねー! おばさんー! リーリエー! しんのすけを助けられるよー!」
みさえ「ええ!」
リーリエ「……」
ククイ博士「ウラウラ島へはボクが行くよ。あそこはこの中じゃボクが一番詳しいからね! すぐにキャプテンを見つけ出して合流するよ!」
ククイ博士「ハウ、キミは野原さんたちとリーリエが、ビーストたちに襲われないようポケモンとてだすけして守りぬくんだ! 任せたよ」
ハウ「わかったー!」
ハプウ「わしはここに残る。ポニ島のしまクィーンとして、カプ・レヒレと供にここを守らねばならんからの」
ハプウ「リーリエ、前を向け。おぬしが諦めなければきっと全て取り戻せる! がんばリーリエ、じゃぞ!」
リーリエ「……はい」
ハウ&グラジオ「がんばリーリエ……?」
ハプウ「ひまわりも達者でな」ナデナデ
ひまわり「たい!」
ひろし「よし、それじゃあエーテルパラダイスに急ごうぜ!」
みさえ「……ねぇ、誰か忘れている気がするのよね。誰かしら?」
ハウ「誰かー? 誰だっけー?」
全員「???」
エーテルパラダイス
グラジオの小型船に乗ってポニ島からエーテルパラダイスに来たリーリエたちは、そこでウルトラビーストから逃げてきた人々やポケモンたちの光景を目の当たりにした。
財団の職員たちは避難してきた人達のために食事を作ったり、ポケモンの保護を行っている。
ビッケ「グラジオさま、リーリエさま、ご無事でなによりです」
グラジオ「ビッケ……出迎えて早々すまないが、これの解析を頼む」つ壊れた月の笛
ビッケ「これは……月の笛ですか?」
グラジオ「ああ、だが途中で壊されてしまってな……。可能なら修復を、それが不可ならせめて内部の構造や材質の解析を急ぎたい」
ビッケ「かしこまりました。至急技術部に回して解析、可能なら修復の依頼をします」
グラジオ「頼む。……それから、居住区に空いている部屋があれば、ひろしたちの部屋を用意して欲しい」
ビッケ「はい、とはいえ、避難している人たちのこともありますので……全員一人ひとりの部屋を用意することはできません。誰かと相部屋になりますが、よろしいですか?」
ひろし「俺はみさえたちと一緒で構わないです。なぁみさえ」
みさえ「ええ、私たち相部屋でいいです」
ビッケ「リーリエさまは、お屋敷の方でよろしいですか?」
リーリエ「……」コクン
ひろし「じゃあ俺は、職員たちの手伝いをしてくる」
ハウ「えー? ゆっくり休めばいいのにー」
ひろし「あんなことがあったとは言え、俺はまだエーテル財団職員の野原ひろしだからな。少しでも避難している人やポケモン手助けをしてやるのが仕事だ」
みさえ「あなた……!」
ハウ「おじさん、かっこいいー」
ビッケ「ひろしさん……ありがとうございます」
ひろし「いえいえ、ビッケさんのためならなんでも朝飯前です」キリッ
ビッケ「は、はぁ……」
みさえ「おい」
ひまわり「……けッ!」
ひろし「あ……で、では、まずなにをすれば……」
ビッケ「まずはザオボーさんから判断を仰いでください。今はあの方が一応、職員たちに指示を出していますから。2階にいます」
ひろし「じゃあみさえ、ひま、また後でな」
みさえ「永遠に帰ってこなくていいわよー」フリフリ
ひろし「み、みさえ……」トボトボ
ハウ「おじさん、かっこわるいー」ジトー
ビッケ「では、居住区にご案内いたしますね」
グラジオ「リーリエ……オレたちも行こう。今はお前もゆっくり休め」
リーリエ「……はい」
みさえ「……リーリエちゃん」
エーテルパラダイス1F ルザミーネの屋敷
~BGM しんみリーリエ~
リーリエ「……」
――おわぁぁっ! リーリエちゃんっ! リーリエちゃんっ!
――しんちゃーーーんっ!!
リーリエは屋敷の中のひと部屋に閉じこもり、ベッドの上に座り込みながら、しんのすけがさらわれた時を回想していた。
あの時、自分が母の攻撃に怯まないで、手を離さなければ、彼はここにいたかもしれないのに……。
今までしんのすけがいてくれたおかげで、ルザミーネに暴力を振るわれ、コスモッグが動かなくなっても何とか不安を抑えていられた。
しかし、心の支えが奪われ、堤防が決壊したように、あふれんばかりの悲しみと自責の念がリーリエに押し寄せ、押し潰そうとしている。
リーリエ(わたしが……わたしがわがままを言わなければ……! しんちゃんと一緒に、島巡りなんてしなければ……!)
リーリエ「うっ……ううっ……あああっ!」ポタポタッ
リーリエ「ほしぐもちゃん……わたし、どうすればいいのか……もうわからなくなっちゃった……」
ほしぐもちゃん「……」
リーリエ「わたしの……わたしのせいで……しんちゃんが……! 守るって決めたのに……!」
コンコンッ!
リーリエ「!」
グラジオ「リーリエ、お前に会いたいっていう人がいるが……いいか?」
ガチャッ
リーリエ「――ッ!」
みさえ「リーリエちゃん……」
ひまわり「や!」
リーリエ「しんちゃんの……お母様」
みさえ「急に押しかけてごめんなさいね、ちょっとあなたの様子が気になっちゃったから……。迷惑だったかしら?」
リーリエ「いっ、いえっ! 大丈夫ですっ」
みさえ「そう? それにしたら、ずいぶん目の周りが真っ赤になってるけど」
リーリエ「え? あ、あの、これは……」アタフタ
みさえ「大丈夫、今はグラジオくんもいないから。……ねぇ、ちょっと2人でお話しない?」
ひまわり「たいっ!」
みさえ「ああ、ごめんね。ひまも入れて3人ね。どうかしら?」
リーリエ「は、はい……上がってください」
みさえ「お邪魔しまーす」
ひまわり「たいやーい!」
みさえとひまわりが上がると、それぞれテーブルを挟んで向かい合うように座った。みさえは持っていた手提げバッグから魔法瓶と2つの紙コップを取り出すと、魔法瓶の中身であるロズレイティーを注いだ。部屋の中に甘い香りが漂う。
みさえ「さっき、避難所でもらってきたの。こんなこともあろうかと、魔法瓶を持ってきておいてよかったわ~」
リーリエ「そ、そうですか……」
みさえ「……」ズズズッ
リーリエ「……」
リーリエ「あ……あのっ」
みさえ「どうしたの?」
リーリエ「ごめんなさい……! わたしのせいで……しんちゃんが……」ブルブル
みさえ「リーリエちゃん、まずは落ち着いて」
リーリエ「…………」
みさえ「あのね、リーリエちゃん」
リーリエ「……はい」
みさえ「私はリーリエちゃんのこと、別に怒ったり責めたりするなんてこれっぽっちも思ってないわ。それどころか、あなたには感謝しているくらいだもの」
リーリエ「……え?」
みさえ「だって、しんのすけが島巡りしている間、ハウくんと一緒にあの子の面倒を見てくれたんでしょ?」
リーリエ「そんな……わたしは……一緒になんて。それに……わたしのワガママで、しんちゃんを振り回してました」
みさえ「本当? あの子を振り回せたとしたら、あなた大したものよ? 逆にしんのすけにさんざん振り回されたんじゃないかしら?」
リーリエ「それは……」
みさえ「でしょう? きっとケツだけ星人したり、インドぞうさん出したり、ナンパしたり……びっくりしなかった?」
リーリエ「え、ええ……。メレメレ島ではびっくりしました……ポケファインダーで水着の女性の方たちを撮ったり、花園ではケツだけ星人をしてほしぐもちゃんが喜んだり……わたしが怒っても、またやったり……」
みさえ「やっぱりね! あの子、帰ってきたらおしおきフルコース決定!」
リーリエ「……」
みさえ「……でもね、ああ見えてしんのすけはたくさん辛い思いをしてきたから、人の悲しみや痛みが分かる、優しい子なの」
リーリエ「……っ!」
みさえ「しんちゃんが身体を張ってリーリエちゃんを守ってくれたってことは、あの子……リーリエちゃんのことが大好きなのよ。口では言わないだけで」
――リーリエちゃんには、指一本触れさせないゾ!
――ッ、リーリエちゃんっ!
リーリエ「しんちゃん……!」ウルッ
みさえ「リーリエちゃん、今は泣いちゃダメ! だって、あの子はウルトラホールの向こうに連れ去られただけでしょ? まだ死んだってわけじゃないでしょ?」
リーリエ「……」
みさえ「リーリエちゃん、しんのすけのことをただの5歳児って侮っちゃダメ。あの子……私も夫も、ひまもそうだけど、リーリエちゃんが想像もつかないような冒険をたくさんしてきたのよ?」
リーリエ「そう、なんですか?」
みさえ「ええ、きっと信じてもらえないでしょうけども……。でもこれだけは言えるわ、しんのすけは、ビーストの母だかなんだかわからないけど、そんなのに捕まったぐらいじゃ絶対に死なないってこと! しんのすけの母親の私が言うんだから、間違いないわ!」
ひまわり「たいっ!」
みさえ「……だから、リーリエちゃんも諦めちゃダメ。あなたと私たちで、大切な人たちを取り戻しに行くんだから。あなたもグラジオくんも、しんのすけとお母さんをこの世界に連れ戻すんでしょ?」
リーリエ「……はい」
みさえ「下を向かないで。前を向いて、私の目を見て言いなさい」
リーリエ「……はいっ!」
みさえ「うん、その調子。最初に会った時よりも、ずっと良い顔になったじゃない」ニコッ
リーリエ「……あ、ありがとうございます」テレテレ
ひまわり「たやー」
リーリエ「……」
――ほっほーい! どしたのー?
――オラやアセロラちゃんに頼ってばかりですと、将来ロクなオトナになりませんぞ! 方向音痴くらい治しなさい!
――今日はオラが布団になったげるから。いっぱい泣いていいよ
――大切な人をお守りできるような強い男になりたいんだー
リーリエ「……しんちゃんのお母様」
みさえ「みさえでもおばさんでもいいわよ」
リーリエ「では……みさえさん。お話しして、気分が晴れてきました。ありがとうございます」
みさえ「どういたしまして」
リーリエ「……わたし、改めて分かりました。わたしも、しんちゃんのことが大好きです!」
リーリエ「まるで自分に弟が出来たような気がして、一緒にいると落ち着かないけど、なんだか明るい気持ちになって、とっても楽しいんです」
リーリエ「ですからわたし、取り戻してみせます。かあさまも、しんちゃんも、みんな!」
みさえ「ふふっ、そうね。女の子は欲張りでなきゃ! それで、あなたはこれから何をするの?」
リーリエ「……かあさまや、ビーストさんと戦うための力を養います。もう、みなさんの戦いを見て憧れるだけのわたしとは、さよならです!」
リーリエ「……みさえさん、しんちゃんの手持ちのポケモンさん、お借りしてもよろしいですか?」
みさえ「私はいいけど、あの子達があなたの言うことを聞くかどうか……」
リーリエ「正直、わかりません。ですけど、カザマさんたちもわたしも、しんちゃんを助けたいという気持ちはきっと同じですから、この胸の内の想いを伝えれば、分かり合えると思います!」
みさえ「……そうね! わかったわ、じゃあついてきて。部屋に案内するから!」
リーリエ「はい!」
1時間後 ルザミーネの屋敷前広場
~BGM おこリーリエ~
みさえの言伝で、広場にハウとグラジオが来ると屋敷前に真摯な面持ちのリーリエが2人を待っていた。
ハウ「リーリエ、どうしたのー?」
グラジオ「なにかあったのか?」
リーリエ「にいさま……ハウさん……」
スゥーッハァーッ
リーリエ「……わたし、今からポケモントレーナーになります!」
グラジオ「……!?」
ハウ「へぇー、そりゃすごいねー」
ハウ「……って、え゛え゛え゛え゛え゛え゛ーっ!?」
グラジオ「……本気で言っているのか」
グラジオ「……本気で言っているのか」
リーリエ「はい、本気です! わたし、自分に甘すぎました」
リーリエ「ほしぐもちゃんを連れて飛び出しましたけれども、わたしは今日までずっと誰かにばかり頼ってきていました。ゼンリョクの姿になっても、結局口だけでしんちゃんに頼りっぱなしで……」
リーリエ「そのせいで、わたしは何も出来ないまま、ほしぐもちゃんは動かなくなって、しんちゃんはかあさまに拐われてしまいました……」
リーリエ「ですから! 誰かに甘えて見ているだけの自分とは別れを告げたのです。かあさまと、しんちゃんを取り戻すために!」スッ
グラジオ「それは……しんのすけの手持ちか?」
リーリエ「はい! ポケモンはしんちゃんの借り物ですが、今度はわたしも戦います! これが進化したわたしのゼンリョクの姿です!」キッ!
リーリエ「それに、わたしもアローラ防衛隊のひとりです。このアローラ地方を守る隊員なのに、何もしないなんて、隊員失格です」ニコッ
ハウ「……リーリエ」ポカン
グラジオ「……フッ、何を知りたいんだ?」
リーリエ「ポケモンさんとどうやって付き合っていけばいいのか、それに、ポケモン勝負について……学びたいことは、たくさんあります」
ハウ「だけどー、今のリーリエの持っているポケモンはしんのすけがおやでしょー? 人から借りたポケモンはートレーナーが強くないと言うことを聞いてくれないんだよー!」
グラジオ「とはいえ、イチから育てている猶予はない。いかにオマエがしんのすけのポケモンと心を通わせられるか……それがキモだな」
ハウ「それに、しんのすけってポケモンに命令しないからーどんな技使うのか分からないよー。本当に大丈夫ー?」
リーリエ「それが問題なんですよね……」
ハウ「うー……なんか不安」
ズズンッ!
3人「!」
グラジオ「この揺れは……!」
ハウ「グラジオー! 上っー!」
リーリエ「!」
リーリエたちのの頭上――上空に、空間がねじれてウルトラホールが開いた。
その中から現れたのは、筋肉で膨れ上がったウルトラビーストのマッシブーン、そして電気のウルトラビースト、デンジュモクだ。
2匹がリーリエたちの目の前に降り立つ。
マッシブーン「ブーーンッ!」サイドトライセップス!
デンジュモク「デンデンッ!」
グラジオ「クッ……ビーストが2匹も! ハウ、準備はできてるか?」スッ
ハウ「うんー!」スッ
リーリエ「……!」
突然、リーリエが抱えていたしんのすけのポケモンが入ったボールが光りだすと、次々とボールから飛び出した!
ポンポンポンポンッ!
ジュナイパー「ホーッ!」バサッ!
ヨワシ(群)「ギョオオオオッ!」
キテルグマ「クーーッ!」ブンブンッ
ミミッキュ「ボッ!」
グラジオ「……しんのすけのポケモンが!」
リーリエ「!」
ボーちゃんとネネが先陣を切ると、マッシブーンが拳を振り上げてネネに襲いかかり、デンジュモクが10まんボルトを、ボーちゃんに放つ。
マッシブーン「ブーンッ!」ブンッ
キテルグマ「クーーっ!」ガシッ!!
デンジュモク「デンンンッ!」バチチチチッ!
ミミッキュ「ボーッ!」ピカッ!
ネネがマッシブーンのメガトンパンチを両手で受け止め、10まんボルトを光の壁で防ぐと、その後ろで控えていたカザマが2本の矢羽根をかげぬいとしてデンジュモクに放ち、マサオがハイドロポンプをマッシブーンに放った!
ジュナイパー「ホッホーッ!」バシュシュッ!
ヨワシ「ギョオオオッ!」ブシャアアアッ
マッシブーン&デンジュモク「!?」
キテルグマ「クーッ」サッ
ネネが伏せたと同時にマッシブーンはハイドロポンプを真正面から食らってしまい、そのまま外へと押し出されて、オリバーポーズを決めながら海へ落下。
デンジュモクは次々とかげぬいで撃ち抜かれ、爆風で空中に浮かぶとボーちゃんが飛び出し、スパイクを決めるように鼻水状の影で殴ると、一直線に海へ落ちてしまった。
ドボンッ!
ザブンッ!
3人「……」
3人が唖然としていると、カザマたちはリーリエのもとへと歩み寄り、彼女に何かを試すように視線を集中させた。
リーリエ「……」
リーリエ「……カザマさん、マサオさん、ネネちゃんさん、ボーちゃんさん」
ジュナイパー「……」
リーリエ「あなたたちの大事なお友だちが、かあさまにさらわれこと、もう既にご存知かもしれません」
ヨワシ「……」
リーリエ「今回の出来事は、わたしがしんちゃんを巻き込んだせいです。あなたがたからそのことで責められても仕方ありません……」
キテルグマ「……」
リーリエ「ですが、わたしは……しんちゃんとかあさまを助けたいです! 弱い自分と決別するために! 全て元通りにするために!」
ミミッキュ「……」
リーリエ「図々しいことはわかっています。お願いします……わたしに、大切な人を助けるための力を、大切な人を守る力を、どうぞ貸してください! わたしと一緒に、戦ってくださいっ!」
ジュナイパー「……ホー」
リーリエの言葉を聞いたカザマたちは示し合わせたようにそれぞれの顔を見合わせ、互いに頷く。
ジュナイパー「……」スッ
最初にカザマが片翼を前に出した、続いて単独の姿に戻ったマサオがヒレを翼の上に重ね、その上にネネが黒まて大きな手を、ボーちゃんが影の手をそれぞれ重ねてリーリエを見据える。
リーリエ「……!」スッ
リーリエが最後に手を重ねると、カザマたちは自らボールに戻り、リーリエの胸へ飛び込んだ!
ハウ「これって……」
グラジオ「リーリエを認めたのか……」
リーリエ「……カザマさん……みなさん……ありがとうございます!」ギュッ
リーリエ「必ず、みんなでしんちゃんを助けましょう!」
ハウ「じゃーリーリエ! さっそくおれと戦ってみよーよ! でさ、カザマたちがどんな技使うのか分析してみよーね!」
リーリエ「はい!」
数時間後
エーテルパラダイス 1F 会議室
ビッケから「ククイ博士が帰ってきた」という連絡を受けたグラジオたちは、1階の会議室に集まった。
会議室には、ククイ博士とアセロラの姿があった。
ククイ博士「みんな来たね!」
アセロラ「はーい、古代のプリンセス、アセロラちゃんです!」フリフリ
リーリエ「お久しぶりです! アセロラさん!」
アセロラ「おーリーリエちゃん? なんかスッキリしたね!」
リーリエ「はい! 進化したゼンリョクの姿です!」
ヤングース「ぎゃうぎゃう!」ガブッ
ハウ「やっぱりこうなるのかー」ダラー
みさえ「ハウくん、頭から血ぃ出てるわよ!」
ハウ「もう慣れちゃったー。むしろ癒されちゃうくらいー」
アセロラ「えーっと、あなたたちはしんちゃんのご両親?」
みさえ「え?」
ひろし「ああ、俺はしんのすけの父の野原ひろし、こっちは母の野原みさえだ」
アセロラ「やっぱりね! なんとなく雰囲気が似てたもん。ウラウラ島のキャプテンのアセロラです! しんちゃんには大変お世話になりました!」
ひろし「お世話になった?」
アセロラ「スカル団にさらわれたこのヤンちゃんを助けてもらったの」
ヤングース「きゅう!」
みさえ「す、スカル団? スカル団って確か、アローラの人たちに迷惑かけてるっていう、あの……?」
アセロラ「うん、実はある事情でこの子がさらわれちゃって、しんちゃんが一人で助けに行ってくれたんだ」
ひろし「そ、そうだったのか……(ずいぶん派手にやってるなぁしんのすけ……こっちの心配もよそにして)」
アセロラ「あの時はちょっと慌ただしかったから、キチンとお礼も言えなかったからね。せめてこういう形で恩返しできればいいなって、アセロラ思ってるの」
グラジオ「オマエがアローラ王家の末裔だったのか……」
アセロラ「意外だった? 話は博士から聞いてるから分かってるよ。しんちゃんとリーリエちゃんのお母さんがいる、ビーストの世界に行くために月の笛を修理するんでしょ?」
リーリエ「はい! ですので、なにか少しでもいいので、笛のことについて知っていれば……!」
アセロラ「うん、アセロラも博士の話を聞いてね、お父さんが持っていた古い本を片っ端から調べてきたよ。そうしたら、笛のことについて書かれた本を見つけたの!」
グラジオ「どんな内容なんだ? 出来れば手短に頼む」
アセロラ「ちょっと待っててね!」
アセロラは古ぼけた本を取り出すと、それを長机に置いて、丁寧にページをめくっていく。
みさえ「見たことのない文字……本当にこれに書いてあるの?」
アセロラ「アローラ王朝で昔使われていた古代文字なの。それも、王家とか、神官しか読めない特別なものだよ」
ハウ「アセロラは読めるのー?」
アセロラ「ちょっとだけ。お父さんも少ししか読めないの」
ひろし「まさに王家秘蔵の本ってところか……」
みんなが注目する中、アセロラがページを次々とめくっていくと、ある1ページで止めてリーリエたちに見せるように一歩引いた。
リーリエ「このページに、笛の作り方が書いてあるんですか?」
アセロラ「んー、以前、リーリエちゃんに伝説のポケモンの事について書いた本を読ませていたでしょ? それの、もっと細かいところが書かれた本って思えばいいよ!」
ククイ博士「これは……島の守り神たちかな?」
ククイ博士は、カプ・コケコたちとちがみポケモンの絵が描かれた箇所を指で示した。とちがみポケモンたちのそばには、パートナーと思わしき人間の姿もある。
ハウ「この人たちって、しまキングとしまクイーン?」
アセロラ「……の、原型だね!守り神とアローラの王様に仕え、アローラの島を司ってる4人の神官たちなの。カプたちのメッセージを王様や人々に伝えたり、島の様子を王様や他の島の神官とやりとりしていたみたいだよ!」
ククイ博士「ますます今で言うしまキングとしまクイーンの立場にそっくりだね」
グラジオ「その神官が笛の制作に関わっているのか?」
アセロラ「うん、神官たち4人が力を合わせて、太陽と月、二つの笛を作ってアローラの王様に献上して、儀式で王様に選ばれた2人の人間が祭壇に立って笛を吹いてルナアーラに感謝を捧げてた……っていうのがこのページに書かれていることだよ」
ひろし「しまキングたちの原型である神官たちが力を合わせて太陽と月の笛を作っていた……」
ククイ博士「神官とカプが深いつながりにあるということは、カプも笛作りに関わっていることになるね」
グラジオ「神官とカプが関わって笛を作る……。この情報だけではなんとも、な」
アセロラ「きっと笛を作るための素材とか、道具とか何かを与えてたと思うんだ。カプが直接作るっていうより、きっかけを与えてたのかも」
リーリエ「きっかけ……ですか」
ハウ「あー! おれわかったかもー!」
グラジオ「なにがだ?」
ハウ「笛がなにで出来ているのかー!」
みさえ「なにで出来ているの?!」
ハウ「かがやく石ー! たぶん、Zリングと同じかがやく石で出来てるんだよー!」
全員「!!」
ハウ「当たってるー?」
ククイ博士「そうか! Zリングを加工するようにカプから石をもらって神官たちが笛を作っていたのだろう! 神官とカプが協力して作ったっていう事も間違っていない!」
ビッケ「失礼ながら……よろしいでしょうか」
今までドアのそばで控えていたビッケが一歩前に出て口を開く。
ビッケ「ハウさんのおっしゃるとおり、壊れた月の素材は、財団のデータベースに記録されているZリングの素材とほぼ合致していることが判明しました。ですので、かがやく石を用いれば、修復が可能かと」
ククイ博士「スピードスターの命中率と同じくらい大当たりだよ! ハウ! よく思いついたね!」
アセロラ「うん、盲点だったかも!」
ハウ「じーちゃんがかがやく石をZリングに加工してるの、何度も見てたからねー」
リーリエ「……カプさんたちは、しまキングの資質がある人に必ずかがやく石を渡すのがほとんどでした。ハプウさんがしまクィーンになられた際も、カプ・レヒレさんから渡されたのを見ました!」
みさえ「それじゃあかがやく石を手に入れれば……」
ひろし「月の笛を修復できるってことだな!」
グラジオ「……だが、カプはおろか、しまキングたちは島を離れることができない。住民を避難させたり、ビーストから島を守らなきゃいけないからな」
ククイ博士「そのうえ、今は連絡を取ることも困難だろうね」
みさえ「どうしてですか?」
グラジオ「一般回線は混雑して……ほとんど繋がらない状態だからだ」
ひろし「だとすると、誰かがしまキングたちに、直接このことを伝えに行かなきゃいけないってことか……」
ハウ「じゃあおれ、じーちゃんに月の笛のことを伝えに行くよー!」
ひろし「ハウくんは船、運転できないだろ? 俺も一緒にメレメレに行くぜ」
みさえ「あなた……平気なの?」
ひろし「大丈夫だ、俺がヘマする男に見えるか?」
みさえ「見える」
ひろし「」ガクッ
ククイ博士「そうだ、ならもうひとつ、僕の研究所のポケモンたちのことも頼む。みんなボールに入れてあるとは言え、研究所がビーストに襲われるかもしれないからね」
ハウ「わかったー!」
ククイ博士「後はポニ島のハプウだね。誰が行くんだい?」
ハウ「じゃあおれとおじさんで行くー! メレメレとポニは隣同士だしー。おじさん、いいよねー?」
ひろし「ああ、わかった。しんのすけを助けられるのなら、どこへでも連れてってやるさ」
>>922 修正
ククイ博士「それじゃあ僕はアーカラに行ってライチさんに会ってくるよ! 空間研究所のこともあるしね」
グラジオ「ならば……オレはウラウラのクチナシさんに会いにいくとしよう」
アセロラ「エー! アセロラがクチナシおじさんに話すよ! それに、ウラウラのキャプテンだもん」
グラジオ「アセロラ、お前はここに残って笛の修復を手伝ってもらいたい。ついでにもう一つ、リーリエのこともあるしな」
アセロラ「リーリエのこと?」
グラジオ「リーリエは、ポケモントレーナーになったんだ。……といっても、手持ちは全てしんのすけから預かったものだがな」
アセロラ「アセロラちゃん、またまたお口あんぐり! ほんとなの?」
リーリエ「はい! しんちゃんのポケモンさんたちと一緒に、ビーストさんの世界に行ってかあさまとしんちゃんを取り戻すのです!」
グラジオ「だからキャプテンのお前が、リーリエにトレーナーのことを色々教えてやってくれ。お前がウラウラを離れることについてはオレからクチナシさんたちに話しておく」
アセロラ「わかった! アセロラ、気合入れてリーリエちゃんを鍛えるからね! 覚悟してよ!」ビシッ
リーリエ「どんとこい、です!」
ククイ博士「後はポニ島のハプウだね。誰が行くんだい?」
ハウ「じゃあおれとおじさんで行くー! メレメレとポニは隣同士だしー。おじさん、いいよねー?」
ひろし「ああ、わかった。しんのすけを助けられるのなら、どこへでも連れてってやるさ」
グラジオ「決まりだな。後でそれぞれに財団専用の回線を使っている通信端末を渡しておく。連絡手段はそれで取ってくれ」
ククイ博士「それともう一つ。これも渡しておこうと思う」
ひろし「それは?」
ククイ博士「ウルトラホールみっけマーク3(※命名マーマネ)。ウルトラホールの発するエネルギーを探知できる機械で、もしビーストに近づいたり、ホールが開きそうになったら音と振動で伝えてくれるそうだ」
グラジオ「よくそんなものを……まだ各島に穴が開いてそう日は経っていないはずだが」
ククイ博士「ホラクニ岳の天文台所長で発明好きの親友と、カンタイにある空間研究所の所長の妻がいるからね。僕がパイプになって、ウルトラホールの情報や天文台の技術を交換しあっているから出来たことなのさ!」
みさえ「博士って……思ったよりすごい人なんですね……」
ククイ博士「あはは、これを機に見直してくれると嬉しいですよ、奥さん」
ハウ「それじゃあ早くしまキングたちのところに行こうよー!」ピョンピョン!
グラジオ「ああ」
ひろしたちは会議室を出て行くと、非常階段を下って船着場へ出た。船着場には、財団のが使用する小型船、グラジオの小型船、ククイ博士のクラシックヨットが並んでいた。
各々がそれぞれの船に乗ると、エンジンを起動させた。
最初にひろしとハウの乗った小型船が、次にグラジオの船、最後にククイ博士のヨットが、ビーストたちの蔓延るアローラの島へ向けて大海原を走り出した。
みさえ「あなた……」
リーリエ「みなさん……気をつけて」
アセロラ「頑張ってねー!」
ひまわりを抱えたみさえとリーリエが4人の身を案じるように、アセロラと彼女の連れてきた子供たちは4人を応援するように手を振って見送った。
――時間は遡って、しんのすけがルザミーネに攫われる直後
しんのすけ「おわぁぁっ! リーリエちゃんっ! リーリエちゃんっ!」ズズズッ
リーリエ「しんちゃーーーんっ!!」
みさえ&ひろし「しんのすけーーーっ!」
しんのすけ「とーちゃん! 『やんちゃDEブリーダー』録画しといてぇぇぇぇ!!」
ルザミーネの触手に引っ張られて、ウルトラホールの中に引きずり込まれるしんのすけ。ひろしとみさえ、そしてリーリエの姿も一瞬のうちに見えなくなってしまった。
一瞬全身がひねるような感覚がしたかと思うと、今度はしんのすけのZリングが熱くなるのがわかった。
そして気が付くと、しんのすけたちはポニの大峡谷から奇妙な植物の生えた、洞窟の中へと場所が変化していた。
しんのすけ「なに? ここ……」
ルザミーネ「ようこそ、わたくしとビーストちゃんだけの甘くて美しい真実のパラダイス、『ウルトラスペース』へ……!」
しんのすけ「えぇ? ここのどこがパラダイス? 甘いならお菓子とか用意してよね」
ルザミーネ「そういう意味での甘い、じゃないのよ」
しんのすけ「てゆうか、そろそろ離してよ。苦しいってば」
ルザミーネ「離すものですか。あなたは、何をしでかすか分かったものじゃないですからね……フフ、アクジキングの餌にでもすれば、喜ぶかしらね」
しんのすけ「あ……オラ、おしっこしたくなっちゃった」ブルッ
ルザミーネ「そんなつまらない脅しで、わたくしに揺さぶりをかけても――」
ジョボボボ
しんのすけ「おおう……おう」ブルブルッ
ルザミーネ「汚らわしいっ!!」ブンッ!
ルザミーネは用を足しているしんのすけを、勢いよく地面に投げつけた!
しんのすけ「いぢぢぢぢ! なにすんの! オラのきんのたま潰れるところだったじゃないか!」
ルザミーネ「よくも……よくもわたくしとビーストの世界にそのような汚物を!」ワナワナ
しんのすけ「汚物なんて……そんな放送禁止用語、使っちゃいけません」
ルザミーネ「下半身を丸出しにしているあなたに言われたくありません!」ブンッ!
しんのすけ「!」サッ
ルザミーネは怒りに身を任せるように触手をしんのすけの脳天めがけて振り下ろした。すかさずしんのすけが横に回避すると同時に、地面が揺れて砂煙があがる。
ドゴォッ!
ルザミーネ「あああうっ!!」ドンドンドンッ!!
ルザミーネがパワージェムをしんのすけに向けて放つ!
ドカンドカンドカンッ!
ルザミーネ「ちょこまかと……おいでなさい! ビーストちゃん!」ヒョイッ
ウツロイド「じぇるるっぷ……」ポンッ!
デンジュモク「デンデンッ!」ポンッ!
テッカグヤ「フー……!」ポンッ!
しんのすけ「ぬー! こっちだって、カザマくん、レッツラ……」
ボールを出そうと腰に手を触れるが、肝心のボールそのものは、向こうのズボンのベルトにくっついていることを、しんのすけは忘れていた。
しんのすけ「やべ……みんな忘れてきちゃった」
ルザミーネ「しんのすけ君を始末なさい!」
ウツロイド「じぇるるっぷ……!」
ウツロイドとデンジュモクがしんのすけに接近し、テッカグヤが腕の先をしんのすけへと向ける!
しんのすけ「ど、どうしよ~きゅうすがバンジーしてなんて言うんだっけ~!」
『……!』ダッ!
しんのすけ「うぉ、なんだ?」フッ
その時、しんのすけの身体が何者かに掴まれ、一瞬のうちに姿を消してしまった!
ウツロイド「じぇる……!」ドカッ!
デンジュモク「デンッ……!?」バキッ!
すると、次の瞬間ウツロイドたちに強烈な打撃が入り、その身体をふらつかせた。
ルザミーネ「!?」
ルザミーネ「今のは野生のビースト? でも、なぜしんのすけ君を助ける真似を……?」
ルザミーネ「……ともかく、しんのすけ君を早急に始末しなくてはいけませんね! ホールを開けつつ、消えたしんのすけ君を探さないと」
しかし、ルザミーネはふと足を止めて、考え込んだ。
ルザミーネ「……でも、しんのすけ君のあの身体能力……それに5歳ながら島巡りで大試練をこなしたものね。Zリングも持っている……」
すると、ルザミーネの頭の中に、悪魔のような発想が生まれた。このままあの幼くて強い子供を始末するのは非常に惜しい。だったら……。
そう考えると、かえってしんのすけの存在が愛おしく思えてきた。彼をどうにか掌中に収めることができれば、ビーストも……。
ルザミーネ「フフフッ……あはははっ!! しんのすけくん……あなたは殺さないであげる。たくさんたくさん、溢れるほどの深い愛をあなたに注いであげるわ」
ルザミーネ「愛に満たされて、わたくしのことしか考えられないくらいに、ね……」
今日はここまで。
次回の更新はいつものように明日の夜です。
じゃ、そゆことで~
ところで、そろそろ書き込みが限界に近いので、新しいスレを立てたほうがいいでしょうか?
アドバイスありがとうございます!
では先に立てておきますね。(内容の更新は予告通り明日になりますが……)
次スレ立てました→【ポケモン】しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」その2【クレしん】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497270152/)
>>915 修正
細かい箇所ですが、一応修正です
ジュナイパー「……ホー」
リーリエの言葉を聞いたカザマたちは示し合わせたようにそれぞれの顔を見合わせ、互いに頷く。
ジュナイパー「……」スッ
最初にカザマが片翼を前に出した、続いて単独の姿に戻ったマサオがヒレを翼の上に重ね、その上にネネが黒い大きな手を、ボーちゃんが影の手をそれぞれ重ねてリーリエを見据える。
リーリエ「……!」スッ
リーリエが最後に手を重ねると、カザマたちは自らボールに戻り、リーリエの胸へ飛び込んだ!
ハウ「これって……」
グラジオ「リーリエを認めたのか……」
リーリエ「……カザマさん……みなさん……ありがとうございます!」ギュッ
リーリエ「必ず、みんなでしんちゃんを助けましょう!」
ハウ「じゃーリーリエ! さっそくおれと戦ってみよーよ! でさ、カザマたちがどんな技使うのか分析してみよーね!」
リーリエ「はい!」
奈良敬子
萌ちゃん。
女子19番・武藤萌(むとう・もえ)
部活は無所属。大人しい。
日生吹雪(女子17番)・矢矧彩乃(女子20番)に虐められ、中3になってから不登校。
仲山行人(男子12番)に恋心を抱いている。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
中華包丁
kill:
なし
killed:
仲山行人(男子12番)
死亡話数:
36話
凶器:
トカレフTT-33
I=10エリアで吹雪・彩乃から暴行を受けていたが、斎藍(女子2番)に襲われ、2人が殺害されてしまったので、中野尋代(女子13番)と共に逃げた。
F=08エリアで尾花哲也(男子3番)に襲われるが、尋代が撃ち殺してしまったので難を逃れた。
E=06エリアで行人に出会う。銃を向けてきた行人を最後まで信じて自分から向かっていき、左胸・額に被弾。死亡。
真依子ちゃん。
女子12番・内藤真依子(ないとう・まいこ)
バレーボール部。タレ目が特徴。
行人グループの一員だが、仲山行人(男子12番)には興味なし。
鈴木明也(男子7番)との口喧嘩が絶えない。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
キリ
kill:
なし
killed:
仲山行人(男子12番)
死亡話数:
6話
凶器:
トンプソン SMG
F=09エリアで行人グループ全員で脱出方法を考えていたが、行人の指示によって武器を掻き集める。方法を聞こうと行人の側に寄り、行人にマシンガンで全身を撃たれ死亡。
和泉君。
男子1番・和泉直正(いずみ・なおまさ)
男子バスケットボール部キャプテン。
しっかりした性格。
西智美(女子14番)との口喧嘩が絶えない。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
シグ・ザウエル P230 9ミリショート
kill:
なし
killed:
斎藍(女子2番)
死亡話数:
29話
凶器:
カマ
実は智美に恋心を抱いていた。
G=08エリアで智美と再会。喜んだのもつかの間、藍に発見される。智美を先に逃がして自分も逃げようとしたが、カマで手首を切られ出血多量死。
かけちよ
@kakecho32
好き:テニミュ・ラルク・シド ・うたプリ・ラブライブ・おそ松さん。WJは毎週欠かさず読んでます。某ジャンルで物書き歴10年越。 眼鏡男子、最高。あとトラ子。キー太可愛い。はやた可愛い。大和大好き。
智美ちゃん。
女子14番・西智美(にし・ともみ)
女子バスケットボール部キャプテン。ハキハキしている。
女子主流派グループの1人。
和泉直正(男子1番)と口喧嘩が絶えない。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
フリッサ
kill:
なし
killed:
能勢杏奈(女子15番)
死亡話数:
30話
凶器:
フリッサ
実は直正に恋心を抱いている。
G=08エリアで直正と再会。喜んだのもつかの間、斎藍(女子2番)に襲われる。直正に「逃げろ」と言われたので1度は逃げたが、逃げ切れず戻ると直正は殺害されていた。泣いているところに杏奈が現れ、首を刺され死亡。
国本さん。
女子4番・国本弘美(くにもと・ひろみ)
美術部部長。根暗。成績優秀で生真面目。
親しい友達はいない。
ほめられることが何よりも好き。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
警棒
kill:
なし
killed:
斎藍(女子2番)
死亡話数:
14話
凶器:
カマ
親たちに誉められたい為に優勝しようとする。
E=10エリアでカマを持った斎藍(女子2番)を発見する。武器を奪うために殺害しようと襲い掛かるが、逆にカマで首を刺され死亡。
E=05エリアの集会所前に1組のペアがいた。
水原翔(男子17番)・鳥江葉月(女子9番)ペアである。
ワラ――藁路文雄(男子22番)といえば、空手が強い豪快で快活なヤツだ。
翔はその愛らしい外見から、『俺、お前に惚れそうだぜ』と何度かからかわれた記憶がある。
翔はVz61スコーピオンを構えながら進む。
その後ろを葉月がキュッと翔の服を掴みながら付いてくる。
少し、ドキッとした。
男子22番・藁路文雄(わらじ・ふみお)
空手部。実力は全国3位。快活・豪胆で正義感が強い。
政府に両親を殺され、養護施設に住んでいる。
森川達志(男子20番)とは幼馴染。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
ペア:
森川達志(男子20番)
支給武器:
イングラムM11
kill:
なし
killed:
金坂葵(女子5番)
死亡話数:
65話
凶器:
文化包丁
D=07エリアで達志と共に陸社(男子6番)・依羅ゆた(女子18番)に会うが別れる。脱出を計画している。
D=10エリアで土谷和(男子10番)・朝霧楓(女子3番)ペアと合流。
楓と材料探しへ。楓に過去を打ち明ける。
D=08エリアで水原翔(男子17番)を救出。
禁止エリア指定のため、移動開始。
達志を笠原飛夕(男子5番)に殺されたこと、飛夕がやる気だったこと、和が飛夕を殺したと勘違いしたこと、葵に襲われたことにより逆上。葵に襲い掛かるが、腹を包丁で刺され、失血死。
快活・豪胆・・・おっかしいなぁ、微妙だった(泣
好きだったんですけどね、彼。落ち着いてさえいれば、まだ生きていたはずです。
因みに、別に朝霧サンには惚れてません。ただ、「ちょっと良い子だな」程度で。
朝霧サンにアタックっぽいことをしてたのは、おちゃらけです。
(by バトロワマン様)
男子21番・矢口宗樹(やぐち・しゅうき)
バスケットボール部キャプテン。女嫌い。
過去に事故で両親を亡くして以来、バスケに打ち込んでいる。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
ペア:
金坂葵(女子5番)
支給武器:
文化包丁
kill:
なし
killed:
金坂葵(女子5番)
死亡話数:
9話
凶器:
ブローニング・ベビー
出発直後、家に帰ってバスケをするため、祖父母の世話をするため、とやる気になり葵に襲い掛かるが、返り討ちにあい左胸部・頭部に被弾。
設定が「バスケのため」だったんですけど、ちょっと弱いかな、と祖父母のためにも。
朝倉君の死体を発見した事により、やる気になる決心(?)がつきました・・・ということで。
それなりに設定を生かせたでしょうか・・・?むしろ金坂ちゃんの引き立て役?
(by 山下柳様)
2人は約3時間前にF=06エリアにある南村役場を出発したが、辺りを警戒しつつ、誰か信頼できそうな人を探しつつ移動していたので、少しの移動でもかなりの時間がかかってしまう。
由芽子
奈良敬子
小泉はるか
男子十一番 田中顕昌(たなか・あきまさ)
身長 169cm
体重 55kg
誕生日 7月30日
血液型 A
部活動 吹奏楽部
友人 相葉優人
雨宮悠希
川原龍輝
内藤恒祐
春川英隆
日比野迅
望月卓也
(男子主流派グループ)
愛称 顕昌・アキ・あっきー
出身小 上野第三小学校(東京)
親の
職業 大学教授(父)
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★☆☆☆
★☆☆☆☆
★★★☆☆
通常入試で合格し、帝東学院中等部に入学した。
温厚で気配り上手だが、控え目で目立たない。
グループ内では雨宮悠希・川原龍輝・内藤恒祐と行動を共にすることが多く、騒がしい面々に囲まれて日陰にいる印象を受けるが、本人は目立つことが非常に苦手なので今の状況に特に不満はない。
平野南海とは同じ小学校出身の縁があり、唯一まともに話せる女子。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
チーム: 7班(出発前に死亡)
支給武器: なし
kill: なし
killed: アキヒロ(軍人)
死亡話数: 第9話
凶器: ブローニング・ハイパワー
ルール説明中に、プログラム自体に対して異を唱える。アキヒロ(軍人)の反感を買い銃殺された。<第9話>
地味で普通で目立たない、それだけの設定の子でしたごめんよ顕昌…
余談ですがクラスで1番仲良くしていたのは恒祐。性格は真逆だけどなんだかんだですごく気が合った…のかな。
男子二十番 林崎洋海(りんざき・ひろみ)
身長 187cm
体重 70kg
誕生日 5月12日
血液型 A
部活動 文芸部
友人 なし
愛称 洋海・ヒロ
出身小 帝東学院初等部
親の
職業 国家公務員(父)
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★☆☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★☆☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
無表情で何を考えているのかわからない。
部活仲間との挨拶や、話しかけられた時の短い受け答え、教師に当てられた時の発言以外ではほとんど声を聞かない程無口。
細身だがクラス1の長身で、目の下にはいつも隈があり目つきも悪いので恐れられている。
休み時間は自分の席で読書をして過ごす。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
チーム: 第8班
支給武器: 金属バット
kill: なし
killed: なし(規定により首輪爆発)
死亡話数: 第20話
凶器: 首輪
E=05エリアにて潜伏。星崎かれん(女子十六番)の提案により、生き残るためにとりあえず協力体制を取る。<14話>
↓
G=03エリアで池ノ坊奨(男子四番)・上野原咲良(女子二番)を襲撃。奨をバットで何度も殴る。駆けつけた高須撫子(女子十番)に刺された上に頭部を殴られ失神。意識が戻らぬままリーダーの如月梨杏(女子四番)が殺害され、規定により首輪が爆発し死亡。<20話>
一っっ言も喋らないように書いたら、いるのかいないのかわからnry
ただ、撫子に殴られて気絶したまま逝ったのは、もしかしたら恐怖を味わわなかっただけマシなのかな…でもまあその前に刺されて殴られてますが。
ルールの特性を見せる犠牲になりました…
女子十九番 山本真子(やまもと・まこ)
身長 144cm
体重 40kg
誕生日 3月6日
血液型 A
部活動 バドミントン部
友人 小石川葉瑠
阪本遼子
蓮井未久
平野南海
広瀬邑子
(女子主流派グループ)
愛称 真子・真子っち
出身小 帝東学院初等部
親の
職業 国会議員(父)
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★☆☆☆
★★★★☆
★★★★☆
★★★★★
★☆☆☆☆
★★★☆☆
素直で明るい性格で、人懐こい。
いざという時の集中力は抜群で、小柄で体力は周りからやや劣るが部活ではレギュラー。
女子相手には誰とでも話ができるが、男子は少し苦手というか照れてしまう。
阪本遼子・広瀬邑子と共にチビッ子トリオと称される。
出席番号が近い湯浅季莉とは小説の話で盛り上がる仲。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
チーム: 第3班(リーダー)
支給武器: 大東亜広辞苑
kill: なし
killed: 松栄錬(男子九番)
死亡話数: 第27話
凶器: 金槌
E=06エリアにて潜伏。榊原賢吾(男子七番)と湯浅季莉(女子二十番)の襲撃を受けるが、鷹城雪美(女子九番)が現れそれを止める。佐伯華那(女子七番)と雪美の会話を見守る。雪美たちがやる気であることを華那が見抜き、班全員で逃げ出そうとするが、隠れていた松栄錬(男子九番)が現れ、発砲される。雨宮悠希((男子三番)に護られながら逃げようとするが、悠希が目の前で殺害され腰を抜かす。川原龍輝(男子五番)・佐伯華那(女子七番)も失う。逃げようとしたが錬に追い付かれ、金槌で何度も殴られ死亡した。<24~27話>
3班の中では一番怖い思いをしたと思います、真子でした。
謝られながら殴り殺されるという、あまり今までに書いたことのないパターンで退場した子でした。
多分ここで逃げ切っていれば、悠希といい感じになってたかと。という今更な話。
<<女子十五番 広瀬邑子 女子十七番 水田早稀>>
女子十六番 星崎かれん(ほしざき・かれん)
身長 161cm
体重 49kg
誕生日 10月11日
血液型 AB
部活動 無所属
友人 財前永佳
水田早稀
湯浅季莉
(ギャルグループ)
愛称 かれん
出身小 帝東学院初等部
親の
職業 パイロット(父)
CA(母)
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★☆☆☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★☆☆☆
★★★★★
★★★☆☆
非常に大人びており、冷めた性格とキツい物言い。
両親が家にいないことが多く、放任されて育った。
家政婦のいない時間帯に家を抜け出して夜遊びをしており、売春しているという噂もある。
好きなタイプは「大人の男」で、クラスの男子はガキにしか見えない。
湯浅季莉と共に奈良橋智子や室町古都美をいじめている。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
チーム: 第8班
支給武器: スタンガン
kill: なし
killed: なし(規定により首輪爆発)
死亡話数: 第20話
凶器: 首輪
E=05エリアにて潜伏。生き残るためにとりあえず協力体制を取ることを全員に提案する。<14話>
↓
G=03エリアで池ノ坊奨(男子四番)・上野原咲良(女子二番)を襲撃。奨をスタンガンで昏倒させる。駆けつけた高須撫子(女子十番)の叱咤により立ち上がった咲良に挑むが敗北し昏倒。目覚めた時にはリーダーの如月梨杏(女子四番)が死亡しており、規定により首輪が爆発して死亡。<20話>
キツい女の子が多いこのクラスでも多分トップクラスにキツくて冷たいのはかれん…だったのかなぁ←
補足すると、売春の噂は本当。遊ぶ金欲しさに。
ルールの特性を見せるために犠牲になったのです…ごめんよ。
NO.002
政府内部連絡文書二〇〇〇年度第〇〇〇〇四九号
総統府監房特殊企画部防衛担当官並専守防衛陸軍幕僚監部戦闘実験担当官発
共和国戦闘実験第六十八番プログラム二〇〇〇年度第一三号担当官宛
次回ノ戦闘実験第六十八番プログラム対象クラス
神奈川県四宮市立篠山中学校三年四組
男子十九名
女子二十名
計三十九名
コノクラスニハ戦闘実験体十六号ガ在籍シテイルトノコト
追加
志願者一名
兵庫県神戸市立春日第二中学校三年二組男子九番
周防悠哉(スオウ・ユウヤ)
志願理由不詳
過去ノ戦闘経験等ナシ
念ノタメ、動向ニハ注意スルコト
尚、出席番号ハ男子十一番ニ入ル
男子9番・真田勝(さなだ・まさる)
部活は無所属。不良グループ2リーダー。
喧嘩以外には無気力だが、才能はある。
基本的に人を見下すようなことはしない。
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★★☆☆
★★★★★
★★★★☆
★★★★★
★★★★★
★★★★☆
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
剣山(生け花の道具)
kill:
池田圭祐(男子3番)
新島恒彰(男子15番)
美作由樹(男子18番)
長門悟也(男子14番)
不破千尋(男子17番)
killed:
不破千尋(男子17番)
死亡話数:
89話
凶器:
ワルサーPPK
駿河透子(女子9番)に恋心を抱いている。
E=04エリアで圭祐の納得の上銃殺。キャリコM950入手。
F=05エリアで設楽海斗(男子10番)・曽根崎凪紗(女子10番)を襲うが麻酔銃で撃たれたため退いた。
F=01エリアで吉原遼(女子20番)に襲われている透子を救う。透子の優勝の為にクラスメイトを殺そうとしていたが、透子に止められる。他の生きる方法を考えようとしたところで、恒彰に襲われる。目の前で透子を殺害された事に怒り、恒彰を殺害する。自分を含めたクラスメイト・政府の人を全て殺害する為に優勝を決意する。
H=04エリアで由樹に襲われるが銃殺。 S&W M36入手。
F=03エリアで悟也を発見。 腹部に被弾するが銃殺。 S&W M10入手。
G=09エリアで海斗・黒川梨紗(女子5番)・遠江敬子(女子12番)を強襲。海斗・梨紗に逃げられる。敬子が自[ピーーー]る様を目の前で見る。シグ・ザウエル P220入手。
放送後、千尋に声を掛けられる。戦闘になる。プログラム中止の放送で油断した千尋を撃つが、駆けつけた海斗・凪紗を撃とうとした時に千尋に撃たれる。自分の過ちに気がつき、力尽きた。
書いてて1番苦しかった勝君でした。
全ては愛する人のため、それくらい尽くされてみたいもんだ。
ちぃと共に、プチオフでの思い出があるだけに辛いです。
女子1番・今岡梢(いまおか・こずえ)
バレー部。女子運動部グループ。体育委員。
女子の中では最も背が高い。運動神経抜群。
伊達功一(男子12番)の元彼女。
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★★☆☆
★★★★★
★★★★☆
★★★★★
★★★☆☆
★★★☆☆
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
フライパン
kill:
なし
killed:
坂本陽子(女子7番)
死亡話数:
35話
凶器:
ナタ
功一と別れた原因は功一の浮気。
G=10エリアで陽子を発見。軽い気持ちで声を掛けたが、陽子は狂っていた。説得も空しく首にナタが刺さり死亡。
運動神経をほとんど発揮できなかったのが心残りです。
彼女の本当の気持ちは彼女しか知らないですが、もしかしたらまだ功一が好きだったのかも・・・?
女子2番・岩見智子(いわみ・ともこ)
部活は無所属。特に親しい人物はいない。
三河睦(女子17番)らからいじめを受け、不登校になった。
内気で、人付き合いが苦手。
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★★☆☆
★☆☆☆☆
★★☆☆☆
★☆☆☆☆
★☆☆☆☆
★☆☆☆☆
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
S&W M10
kill:
なし
killed:
三河睦(女子17番)
死亡話数:
19話
凶器:
ジェリコ941
いじめの恨みから、クラスメイトを殺そうと考える。G=06エリアで睦を発見。殺そうとするが返り討ちに合う。
んー・・・「苛められる側は悪くない」と思うんですが・・・この子の場合はそうとも言い切れないようなそうでないような・・・
単に私が好きでないタイプだからかもしれないですが。
女子3番・金城玲奈(かねしろ・れな)
部活は無所属。女子ギャルグループ。
タカビーな性格のお嬢様。
岩見智子(女子2番)いじめをしていたこともある。
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★☆☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★☆☆☆
★★★★☆
★★★★☆
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
支給武器:
サバイバルナイフ
kill:
なし
killed:
桐島伊吹(女子4番)
死亡話数:
11話
凶器:
FN ブローニング・ベビー
クラスメイトを見下していた。
見下しているクラスメイトたちの為に死ぬのは嫌だ、とやる気になる。合流した伊吹を殺害しようとしたが、伊吹の罠にはめられ、銃殺。
出た、天上天下唯我独尊タイプ!
ただ、相手が悪かったですね、ご愁傷様です。
こういう子は・・・どうもなぁ・・・
No.001
ああ、どうして――
水色と朱色のグラデーションの空。
薄汚れた校舎の壁。
愛用していた錆びた非常階段。
一部が切り取られたように欠けた手摺。
そこから差し伸べられた手。
それらが遠ざかっていくのが、妙にゆっくりと感じられた。
大きな音。
後頭部に、背中に、走る衝撃。
全身を走る激痛。
悲鳴。
駆け寄る足音。
騒ぐ、いくつもの声。
ああ、落ちたのか。
そう自覚した時には、意識は朦朧としていた。
それでも、確実に、聞こえた。
声の主が誰かまでは、朦朧とした意識の中で判別することができなかったけれど。
「 」
どうして。
どうしてこんなことになってしまったのか。
わからない。
わからない。
ただ、これだけはわかる。
自分の考えは、間違っていたこと。
そして――
守護星は、偽りであったこと。
女子1番・相原香枝(あいはら・かえ)
陸上部。元文化委員長。
お人よしのために他人に押されている感じがある。
実月裕太(男子18番)とは幼馴染。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
ペア:
実月裕太(男子18番)
支給武器:
釣り糸&軍手
kill:
実月裕太(男子18番)
killed:
都竹航(男子11番)
死亡話数:
44話
凶器:
シグ・ザウエルSP2340
E=07エリアに裕太と潜伏していたが、裕太の冷たい態度に激怒。自分が殺されると考え、裕太を絞殺。スタンガン入手。
これ以上誰も殺さずに生き残る事を決意。
C=05エリアに潜伏していたが、隣の家から銃声が聞こえ、逃げ出した。それが原因で航に見つかり、頭部に被弾し死亡した。
この子もうちょっと引っ張るべきだったかも・・・
お人よしだったか?とかいうツッコミはご遠慮願います(をい
実はこの子も女子委員長だったんですけど、優ちんに譲りました(苦笑
(by あいすくろー様)
女子2番・赤木明子(あかぎ・めいこ)
バレーボール部リベロ。低身長。
いつも明るく元気ではじけている。
水城蓮(男子16番)に恋心を抱いている。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
ペア:
水城蓮(男子16番)
支給武器:
花火セット
kill:
なし
killed:
水城蓮(男子16番)
死亡話数:
11話
凶器:
シグ・ザウエルP230
出発直後、突然蓮に銃を向けられる。左胸部に被弾しながらも必死に逃げようとするが、力尽きる。
この子も可哀相な子ですよね。
好きな人に突然殺されて、思いは全く届いてなくて・・・
明るさの欠片もありませんでした(苦笑
(by 水金翔)
プレミアム幸子
男子10番・土谷和(つちや・かず)
陸上部長距離専門。
人当たりが良く、かなりお喋り。誰にでも気軽に話し掛けられる。
以下ネタバレです。白黒反転させると読めます。
ペア:
朝霧楓(女子3番)
支給武器:
ベレッタ M1934
kill:
なし
killed:
金坂葵(女子5番)
死亡話数:
76話
凶器:
ブローニング・ベビー
D=10エリアで森川達志(男子20番)・藁路文雄(男子22番)ペアと合流。脱出計画に同意。
D=08エリアで水原翔(男子17番)を救出。
禁止エリア指定のため、移動開始。
笠原飛夕(男子5番)・葵に襲われるが、楓に逃がされる。土方涼太(男子13番)を探すことに。
E=05で楓を探すために翔・鳥江葉月(女子9番)と別れる。葵を見つかり、逃げようとしたが銃殺。
気軽に話し掛けられる子のはずが、葵ちゃんを前に逃げ出してしまいました。。
それは目の前で葵ちゃんが人を[ピーーー]のを見ているので仕方ないことだと思いますけど。
沈む翔君たちを励ますムードメーカーにはなってくれたかと。
(by hiro0201様)
水原翔(男子17番)は土谷和(男子10番)・鳥江葉月(女子9番)と共にE=04エリアの中心あたりにいた。
リップル
他己紹介は、皆の個性がここで大体分かるので、いつも参考にしてます。
実は宏直くんは、クラス名簿を見た時点では、好きになれないタイプだなと思っていたのですが、凌くんのおかげで少し好きになれそうです。
マル
勝ってうれしいはないちもんめ
負けてくやしいはないちもんめ
あの子がほしい あの子じゃ分からん
その子がほしい その子じゃ分からん.....
「.....やっ、やめて」
相談しましょ そうしましょ 、そうしましょ
「あっ!」
ドサッ!
誰もが乾いた夏目井戸なつめいどを覗き込んだ。
「......」
誰もが言葉を失ったかのように、
その場に立ちすくんだ。
そして1人去り、2人去り......
全員が逃げるように夏目井戸に背を向けた。
夏が姿を少し隠し始めようとしていた頃だった。
超高層ビルの裏手通り
カラスが泣きながら群れを成している。
残飯を食い散らし、どんよりとした空に向かって吠えている。
始発が重い胴体を引きずりながら動きだす。
ギィーーーーー!!
という泣き声を漏らしながら動きだす。
街は大きく空気を吸い込み二酸化炭素を吐き出した。
この街には朝と夜の境がない。
常に呼吸をしている。
この街を人は東京と呼ぶ
決して微笑まない街。
闇と疑心に満ち溢れる街…。
それでも人は群がり社会という壁に這いつくばり
笑顔を忘れ生きるためにだけ力を注ぐ、その意味すらも知らずに。
浅田江見はクレヨンで模造紙に名前を書いていた。
...いきなり幹事なんて、どうして私なの?
LINEで千奈美に連絡して一緒に行こうって......。
なのにいきなり(名札当番)ってどうして私が?
ピッピッピッ
ピッピッピッ
ピッピッピッ
携帯が鳴り響く。
シスターナナ
柳セイコ
奈良子
長瀬杏奈
夏目真衣
J I R O★C93-2 ヌ38a
@apollo_jiro
▼同人サークル「APOLLO」※腐向絵/コスプレ混合 ▼ .hack//+デジモン+G00+HQ+MHA(爆豪右寄/轟爆、荼毘爆 ▼ ご依頼は此方
慎也はサブマシンガンの掃射の間隙を縫い、ショットガンを撃ち続けた。やはり、その反動は拳銃とは比べものにならない。いい加減、肩の痛みが限界に近付いていた。いまにもショットガンを放り出したい衝動を抑え、慎也は空のショットシェルを排出する。
真響
潔子
霧子
佐々木萌香
野島芽衣子
小泉はるか
萩野里未
と、そこで弾切れに気づいた。
「木原!」
傍らの尊に呼びかけ、立石幸美が置いていったデイパックからショットシェルを掴みだした。そして、手早くショットガンに装填していく。その間に、尊は隠れているソファーから身を乗り出し、リボルバー拳銃を連射していた。パン、パパパン、と銃声が交錯する。
尊の拳銃が弾切れを起こすと同時に、慎也は再びショットガンを肩で構え、連射した。尊は自分の拳銃に弾を込めている。
奈良敬子
莉莎子
さっきからそれの繰り返した。
――くそっ、何発弾があるんだ、あいつは!
由梨江
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