某日 事務所
P「おい まゆ、喉が渇いた、コーヒーを淹れて来い」
まゆ「わかりましたぁ、奈緒ちゃんも何か飲みますか?」
奈緒「お、悪りいなまゆ、ならあたしもコーヒーで」
まゆ「はい、奈緒ちゃんがコーヒーでPさんが紅茶ですね」
奈緒「あれ?まゆ間違ってないか?」
まゆ「間違ってませんよぉ、ですよね?Pさん」
P「チ、あぁ合ってるよ」
奈緒「ん?どういう事だよ?」
P「最近まゆにコーヒーを淹れさせてから
『あ、やっぱ俺紅茶が飲みたい』って言って
無駄に働かす嫌がらせをしてたらまゆに慣れられてコーヒーって言ったら紅茶を淹れてくるようになったんだよ」
奈緒「めちゃくちゃ性格悪い上にやることしょうもないな!」
P「しかも本当にコーヒーが飲みたい時はしっかりコーヒー持って来るこいつの謎に気がきく所がめちゃくちゃ鼻に付く」
まゆ「褒め言葉だと思っておきますねぇ」
奈緒「実はPさんとまゆってめちゃくちゃ仲良いよな?」
まゆ「ですよぉ」
P「んな訳ねえだろ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495387642
奈緒「そう言えばPさんがファンだった例のグラビアアイドルが熱愛発覚したって昨日ニュースでやってたぞ」
P「らしいな」
奈緒「今ネットとかで騒ぎになっててグッズを燃やしたり殺害予告とかしてる奴もいるってさ」
P「みたいだな、俺も持ってるグッズは破棄してCDは金槌で叩き割ってその写真をSNSで晒してやったよ」
奈緒「いやPさんもやってる側の人間なのかよ!?」
P「こちとら純粋可憐な美少女だと思って今まで応援してやってたのに、まさかあんな中古女に金をつぎ込んでたなんて思うと反吐が出そうだ」
奈緒「流石にそれは言い過ぎだろ」
奈緒「恋愛くらい自由にさせてやれよ、テレビでも真面目な付き合いをしてるって言ってるんだしさ。
本当のファンなら好きなアイドルの恋愛を応援するもんじゃないのか?」
P「はぁ、たまにいるんだよお前みたいに
『本当のファンは相手の幸せを願うのが普通』だとか
『その程度で嫌いになる奴は本当のファンじゃない』だとか
そんなアホ丸出しで的外れの説教かます奴が」
奈緒「なんだと、別に的外れじゃないだろ」
P「なら聞いてやるが、まずお前にとって本当のファンって何だ?」
奈緒「え?」
P「隠れて恋愛するのを許してやるのが本当のファンなのか?
それとも未成年のうちにタバコや酒をやるのを許せばいいのか?
努力不足でパフォーマンスの水準が下がり続けたり、整形を隠したり、裏で合コンしてたり、
そんな事をしても全て許して変わらずファンで居続けるのが本当のファンなのか?」
P「本当のファンは例えそのアイドルが何してもファンじゃなけりゃいけないのか?
そんな義務があるのか?」
奈緒「…それは」
P「違うだろ?そうじゃないんだよ。嫌いになればキッパリ嫌うのが本当のファンだ」
P「別に強制されてファンやってる訳じゃねえんだからさ、好きなら好き、嫌いなら嫌い、それだけの話でいいだろ?」
奈緒「……………」
P「なんでもそうだ、お前が好きなアニメもつまらなくなったらもう観なくてもいいし、作画が嫌いって理由で漫画を買うのを止めてもいいんだ。
俺達消費者には、常に取捨選択の権利があるからな」
P「好き嫌いが変わればその好みにただ従えばいいんだよ。
結局全部嗜好品なんだから好きなもの好きなだけ楽しんどきゃいいんだ」
奈緒「じゃあそういうお前が嫌いって奴が現れても、それはそいつの勝手って事で本当にPさんはいいのか?」
P「別に俺はそれでもいいぞ」
奈緒「そうやって本当に周りから嫌われたらPさんはどうするんだよ」
P「そうなりゃ、俺も俺を嫌う奴らを嫌う、お互い嫌い同士でそれだけで話は終わりだ。」
P「実際そうしてるしな、俺みたいなクズが嫌いな奴はごまんと居るし」
奈緒「…その通りなんだろうけど、なんか悲しい生き方だな」
P「ん?なんだお前、生意気にも俺に同情してんのか?」
奈緒「…ちょっとな」
P「同情するなら奈緒がその身体で一晩俺を慰めてくれてもいいんだぜ?」
奈緒「な、何言ってんだよPさん///」
P「奈緒もそろそろ食い時のいい女になってきたと思ってな」
奈緒「///」
まゆ「Pさぁん、何をしているんですかぁ?」
P「100%エロい事目的で奈緒を口説いてた」
まゆ「そういう事はまゆだけにして下さいって、いつも言ってるじゃないですかぁ!」
P「お前にやっても既に好感度MAXだし、その癖妙に身持ちが固いからエロい事一切俺にさせねぇじゃねえか」
まゆ「もうPさんのいけず」
奈緒「二人ともアイドルとプロデューサーがしていい会話じゃないけどこれ本当に大丈夫なのか!?」
まゆ「まゆは大丈夫ですよぉ?」
奈緒「いや世間体とかをだな?」
P「そもそもお前らアイドルが黙って俺に抱かれてたらする必要のない話だからな」
奈緒「このプロデューサー最低過ぎる!?」
ここまで書き溜めてたから休憩してくる
まゆ「Pさんお仕事に行っちゃいましたね」
奈緒「だな」
奈緒「なあ、まゆ」
まゆ「どうしましたか?」
奈緒「前から聞こうと思ってたんだけどさ、まゆってなんでPさんが好きなんだ?」
まゆ「どうしてそんな事を聞くんですか?」
奈緒「あ、別にあたしもPさんが好きだったとかそういう理由で聞いたんじゃないぞ?」
奈緒「ただPさんってあの性格じゃん?だからまゆがPさんに惚れちゃうのもそれなりの理由なりエピソードがあるのかな~とか思っちゃってさ」
まゆ「要するに奈緒ちゃんはまゆと恋バナがしたいんですね?」
奈緒「こ、恋バナ!?ち、違うぞ!…べ、別にあたしは気になったから聞いただけで…恋バナになんて興味ないんだからな!!少し気になってるだけなんだから///」
まゆ「ふふふ、奈緒ちゃんは可愛いですね」
奈緒「う、うるせー」
まゆ「えーっとまゆがPさんに惚れちゃった理由ですかぁ」
まゆ「まずそう思う様になった具体的なエピソードみたいなのはないですねぇ、その辺りはもう初めてあった時に運命を感じた以上の事はありません」
まゆ「それとPさんの好きな所ですよね?そこはやっぱりPさんは嘘をつかない所なんかでしょうか?」
奈緒「嘘をつかない所?」
まゆ「はい、自分に正直な所と言い換えても良いかも知れません」
まゆ「Pさんはよく配慮のない事や自分本位な事を言ったり、人に悪態を付いたりしますが、別に間違った事を言ったり本当に悪い事をする事をする訳ではないじゃないですか」
奈緒「まあ、確かにそれも好意的に見ると自分に正直な所なのかな?」
まゆ「そうですよ、例えばPさんはまゆをいやらしい目で見ていると公言していますよね?」
奈緒「そうだな、さっきあたしもそういう目で見てるって言ってきたし…」
まゆ「他の子はともかく、まゆに限れば本当にいやらしい事をまゆにしようと思えば嘘でも『好き』と言われればまゆはPさんに身体を許してしまうかもしれません」
まゆ「でもPさんはそんな事は決してしない人なんですよ」
奈緒「それはPさんが本心からまゆの事を好きだと思ってないって事でもあるんじゃ…」
まゆ「例えそうでも身体目的で嘘を吐いたり、好みじゃなくてもとりあえず『好き』だとか、一途にPさんを思うまゆに同情や優しさで『好き』と言われるよりもそっちの方が良いじゃないですか」
奈緒「確かにその通りなのかも知れないけどよ、だからって態度で好意がない事を表す必要なんてないじゃないか」
奈緒「別にPさんだって恋愛的にまゆが好きじゃないだけで嫌いな訳じゃないんだからそんな冷たい事しなくてもいいじゃん」
奈緒「自分の思いを態度で示すだけで何のフォローもしないのは自分に正直な人なんかじゃないだろ、それはただ思いやりに欠けてるだけの人だよ」
まゆ「それでも嘘をつかれるよりはいいんですよ」
まゆ「思いやられるのは疲れちゃいますし、まゆの為に気を使われてもこっちまで気を使ってしまうだけです、自分の思いを無視してまでまゆに構って貰っても申し訳ないですから…」
まゆ「Pさんの何も飾らずありのままに生きてる姿がまゆは好きなので」
奈緒「………」
まゆ「呆けてどうしちゃったんですか?奈緒ちゃん?」
奈緒「いや、まゆはカッコいいなって思ってさ」
まゆ「まゆが、ですか?」
奈緒「おう、だってあたしはどう頑張ったってそんな風に一人の人の事を真摯に思って考えて行動出来る自信がないからな」
奈緒「だからあたしにはまゆがなんて言うか眩しいって言うか輝いて見えるつーか、///とにかくカッコよくみえたんだよ」
まゆ「奈緒ちゃん…ありがとうございます、そんな事を言って貰ってまゆとても嬉しいですよぉ」
奈緒「/// べ、別にあたしはまゆの為にそんな事を言った訳じゃねーし!ただ思った事を言っただけなんだからな!」
まゆ「ふふふ、やっぱり奈緒ちゃんは可愛いですね」
奈緒「か、可愛くなんかねえし///」
疲れたからまた休む
次からスラッシュは半角にしとくよ
翌日
P「聞いてくれよ、奈緒」
奈緒「どうしたんだ、Pさん」
P「昨日上司共に『お前はアイドル達への口の利き方や態度が悪すぎる』とか言う理不尽な理由で説教されたんだが」
奈緒「普通の事じゃないのか?」
P「俺のような優秀なプロデューサー相手にな、今更口調だの態度について説教するのがまず可笑しな話なんだよ」
奈緒「あー、Pさんってそう言う事普通に言っちゃうタイプの人だったな」
奈緒「で、それを上司にそのまま言って問題になったとかそういう話か?」
P「いやそんな普通の話を今更お前にする訳ないだろ」
P「なんなら頭のおかしな上司共には
『お前ら誰に食わせて貰ってると思ってんだ?
この事務所のアイドルの殆どをプロデュースした俺のおかげでお前らは偉ぶれてるだけだかんな!調子に乗るなよ』と
言っておいたしな」
奈緒「色々と最低だ…Pさんそんな事言っててクビになったりしないのか?」
P「大丈夫なんじゃないのか、この事務所がやっていけてんのは偏に俺のお陰だからな」
P「あ、お前らアイドルのお陰とか思い上がるなよ?
結局お前ら全員が今日からこのプロダクションから居なくなったとしても、俺はお前らと同レベルかそれ以上のアイドルを見いだす事くらい簡単に出来るんだからな」
奈緒「はぁ、わかったわかった、Pさんが凄いのはわかったから落ち着けって」
P「お前も俺の扱い方が大体わかってきたみたいだな」
奈緒「まあね」
P「それで話を戻すが、要するに俺は頭の可笑しな上司共のせいで多大な精神的苦痛を受けた訳だ」
奈緒「Pさんがそんな事で凹む程可愛い性格してるとは思えないけどな」
P「うるせーよ」
奈緒「はいはい」
P「とにかく俺は精神的苦痛を受けた訳だよ、だからこの苦痛を補填する必要があるとは思わないか?」
奈緒「え、思わないけど」
P「まあそこはそう思っとけ、俺はお前の意見なんて聞いてない」
奈緒「じゃああたしに聞くなよな!」
P「何が言いたいかって、俺のこの精神的苦痛の補填をする為に今度の週末にお前らアイドル共を全員連れて俺の慰安旅行に行こうと思ってな」
奈緒「え?今何て言ったんだ?」
P「あ?お前聞こえてなかったのか?次の週末お前ら事務所の女共を俺の慰安旅行に連れてってやるって言ったんだよ!」
奈緒「…でもどうしてそんな事を?」
P「そりゃあ勿論、顔のいい女共を連れて盛大に騒いだ方が男冥利に尽きるってもんだからな」
奈緒「それにアイドル全員って、どうやって休みを取ったんだよ」
P「この事務所のエースであるこの俺の要求だからな、どんな無理難題でも事務所は呑むしかねぇんだよ」
奈緒「私達の為にそこまでしてくれたのか?」
P「んな訳ねえよ思い上がるな、さっきも顔のいい女共を連れて歩きたいだけだって言っただろ」
奈緒「ふ~ん、へぇ~」にやにや
P「ウザいからその顔やめろ!そしてその的外れで自意識過剰な勘違いもな!」
奈緒「えぇ~」
P「ならば聞くが俺がこれまでお前達に優しくしてやった事が一度でもあったか?」
奈緒「ない!」
P「だろ?だからだな…
奈緒「だからあたしは嬉しいぞ」
P「だからその的外れな勘違いやめろって言ってんだろ」
奈緒「て言うか何でそんな重大な話をあたし一人の時にしてんだよ?」
P「他の奴らにこんな話したら、お前以上にウザい反応するのは目に見えてるからな、だからお前に言ったんだよ」
P「わかったらお前はアイドル共にこの話をして何処に行きたいか聞いて来い、俺はもう帰る」
奈緒「あ、Pさん!」
P「何だよ、これ以上まだ何かあるのか?」
奈緒「いや、何で急にこんな事を言い出したのかなって思ってさ」
P「別に大した理由はない、ただ俺が好きな時にやりたい事してるだけだからな」
奈緒「そっか…」
P「じゃあな」
奈緒「……………」
奈緒「Pさんも素直じゃないよな…」
奈緒「とりあえず最初はまゆに報告しとくか」
おわり
前作SS
P「見た目だけは俺好みだから妥協して付き合ってやってもいいぞ」まゆ「やったー」
http://elephant.2chblog.jp/archives/52199365.html
このSSに出てくるPに対して嫌悪感や稚拙さを感じるのは正しい反応だと思います。
俺がそう言う風に書いているのもあるし、案外そこら辺にいる性格の悪い奴、ズルく生きる奴がそんな人間ばかりだからこそ身近な胸糞の悪さ的な物を感じれたのではないでしょうか
純粋な心を持つ人は普通に気持ち悪く感じて純粋でない人は「まあこんな奴もいるよね」みたいな感じでこのPを流すんだと思います。
このSSの意図としては、どうしようもない程のクズを相手にアイドルがどんな風に接するか的な物がテーマになっています。
なので一見Pがクズ過ぎる事に目がいきがちだと思うものの主役はあくまでアイドルです。
後はラストにPが少し優しい所を見せますが書き手としては、そこも踏まえてこのPをクズにしたかったと言う意図があります。
本当のクズは常に性格が悪い訳ではなく、自分の都合のいい時に気まぐれで優しかったりするものだと判断したのでそんな感じにしました。
確かにアイドル達への優しさが無かったかと言えばあったんでしょうが、このPがクズな自分を認識しているもののやっぱり周りから「何だかんだでいい奴」だと思われたい、みたいな考えを持つ浅ましさが表現したかったのでそれが伝わっていれば嬉しいです。
最後に一応SS単体ずつで成り立つ様に作っているものの前作も踏まえてこのSSを読むとまた少し違った印象で見る事が出来るかも知れないので是非読んでみて下さい
エレ速「転載拒否します」
きのこ「うわ…うっかり載せたら大炎上やでぇ…」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません