モバP「ファンクラブイベントにて」 (34)

初投稿モバマスSSです。

アニメ準拠ではありませんが、一部設定を使用しています。

※地の文あり

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495346714

季節は秋。寒さも強まってきた今日この頃。

現在、毎年恒例となっている我が346プロのファンクラブイベント真っ最中である。

うちの事務所はアイドルの数がやたらと多いので346プロのアイドル勢揃い!!とまではいかずとも、

結構な人数のアイドルが出演している。

それでもアリーナという大きな箱を用意することができたし、満員御礼、グッズの売り上げも上々。

まだ発表はしていないものの、映像化も行われる予定だ。

イベントはすでに中盤に差し掛かっており、少し長めのトークに入ったところである。


モバP「よし、今年も滞りなく進んでいるな。卯月の天然っぷりも遺憾なく発揮されてるし」

ちひろ「もう、プロデューサーさん。そんなこといったら卯月ちゃんが怒りますよ。」

そう、ちひろさんは言っているが、きっと彼女も同意見なんだろう。少し笑っている。


いつもナレータ役のちひろさんも今日は珍しく一緒に舞台袖から彼女らの様子を見守るつもりのようだ。

モバP「しかし、『舞台袖にいて』とはどういうことだ?」

ちひろ「開演前に言われたことですか?」

モバP「ええ、たぶん最近は忙しくて彼女たちを構ってあげられていなかったので、

    自分たちの活躍を見てほしいんでしょうね。」

ちひろ「きっとそうですよ。プロデューサーさんはみんなから好かれてますからね。」

モバP「好かれてるって…。まぁ、プロデューサー冥利に尽きますけど。」


そういってふふっと笑うちひろさんにかすかな違和感を覚えた。

先ほどとは違い、なんかこう、いたずらを仕掛けた子供のような感じ。

そんな思いを抱きつつも、再び卯月のほうに目やる。


未央「そしたらしまむーがさぁ~」

卯月「わわっ、未央ちゃん。その話は~」チラッ

モバP「ん?」


一瞬ではあるが、卯月と目が合った。

次の会話の内容でも忘れたのか?と思案していると耳を疑うような会話が聞こえた。

卯月「んん、それではここで突然ですが、私の大切な人を紹介したいと思います。」

モバP・ファン's「「「「え゛…」」」」


耳を疑った。

『大切な人=結婚』、『アイドル電撃引退』、『各所への謝罪』、『違約金』、『事務所への損害』等々

今後起こりうることが瞬時に脳裏を駆け巡った。


未央「しまむー!それじゃあしまむーが結婚するみたいだよ!!」

卯月「え、あっ、えぇ~~!!すみません!間違えました!!」

凛「もう卯月ってば…。ファンのみんなごめんね。正しくは『私たちの』大切な人を紹介するよ。」

卯月「えへへ、その人は毎日朝早くから夜遅くまで私たちのためにお仕事を頑張ってくださっていて。」

未央「私たちにキラキラと輝く魔法をかけてくれて。」

凛「いつも私たちのことを温かく応援してくれる。そんな大切な人。」

未央「それじゃあみんな、せーのっでいくよ!せーのっ!!」

アイドル「「「「「プロデューサーさん!!!」」」」」

…シーン


卯月「あれ?来ないですね。」


『いけるか!何も知らされず何万人ものアイドルのファンの前になんて立てっこないだろ!』

冷や汗だらだら、頭が混乱した状態でそう心の中で叫び、その場に立ち尽くす。


未央「きっと恥ずかしがってるんだよ!それいけ!おチビちゃんたち!!」

L.M.B.G「「「「は~いっ!!!」


『待て!話せばわかる!』そんな命乞いのような叫びも、のど元で通せんぼを食らっているようだ。

スタッフたちは誰も止めようとせず、みんなにやにやしており、

隣ではちひろが腹を抱えて笑っている。畜生、この守銭奴悪魔め…。


仁奈「P!!堪忍するでごぜーます!!」

雪美「P…行こ…?」

みりあ「プロデューサー!!早く早く~!」


俺はすでにチビ共に包囲されており、

なすすべもなくあの大衆の面前へと連れ去られようとしている。


薫「あ、そうだ!!ちひろさんも一緒に来る?」

ちひろ「いえ、私はここからみんなを見守ってますよ。」


おのれちひろ!自分だけ逃げおって…!!

あとで覚えていろよ!

仁奈とみりあに手を引かれ、ステージの前に立つ。

俺にとって敵か味方かもわからない何万もの軍勢が目の前にいる。

まるでサウナにでも入ったかというほど冷や汗が湧き出し、

極寒の地にいるかのように膝が震えている。


卯月「はい、プロデューサーさん。みんなに一言お願いします。」


そういって卯月からマイクを手渡される。

何を話そうか、話し出したら罵声が飛んでこないか、そんな考えが頭を駆け巡り

何も言えず佇んでいると、また卯月が声をかけてくれた。


卯月「プロデューサーさん。大丈夫ですよ。」ニッコリ


たった一言。一言であるが、それだけで『あ、大丈夫なんだ』と妙な安心感を覚え、

足の震えも止まった。

やっぱりアイドルってすげぇや。


モバP「え~、皆さんこんにちは。346プロダクション アイドル部門のプロデューサーを承っています。

Pと申します。

    本日はお忙しいながらも、このようなイベントに参加していただき、まことにありがとうございます。

    アイドルたちがこのような素敵なステージに立たせることができるのも、

    一重にファンの皆様の応援のおかげです。

    今後とも、アイドル達の応援をよろしくお願いいたします。」


とありきたりではあるが、嘘偽りのない言葉であいさつをし、深く頭を下げる。

パチ…パチ…とかすかに観客席のほうから音が聞こえてくる。

その音は次第に大きく、絶え間ないものとなっていく。

さらには四方八方から「こちらこそありがとう!!」、「これからも楽しみにしてます!!」など

さまざまな感謝の言葉が降り注いでくる。

ちくしょう、こいつら俺を泣かせる気か…。

涙をこらえるのに精一杯で頭を上げることができない。

それでも拍手は勢いが収まることはない。

様子に気付いた凛がそばに来て背中にそっと手を置く。

これまた不思議なもんで、それだけで顔を上げられる程度には気持ちも収まった。


未央「おやおや~?プロデューサー、もしや泣きそうだったのかなぁ~?」

モバP「うるせぇ…こちとら罵声が飛んでくるんじゃないかとビクビクしてたんだぞ。」

ファン's「「「ハハハッ」」」


そんな軽口を叩いてもファンは温かく笑ってくれる。

こいつら、なんて懐の広い奴らだ。


未央「ふふ~ん、我々のファンをなめてもらっては困るよ~。」

モバP「お前は何様だ!」

未央「アイドル様で~す。」


ドワッ。っと笑いが起こる。俺も一緒に笑うくらいにはリラックスしてきた。


未央「ん~、でも内容としてはちょっと物足りないよね~。」

モバP「えっ」


何言いだすんだこいつ、俺はさっきの挨拶で精一杯なんだぞ。

そんなことを思っていると、またもやとんでもないことを言い出す。


茜「はいっ!!!プロデューサーへの質問コーナーなどはいかがでしょうか!!!!」

モバP「は?」

未央「お、いいねぇ~、茜ちん、ナイスアイディア!!」

美穂「では、会場の関係上ステージ付近のファンだけになってしまいますが、

   プロデューサーについて質問がある方は元気よく挙手をお願いします。」


俺がまた独り置いてけぼりにされている中、あれよあれよと突発的なコーナーが進んでいく。

大体、裏方の俺になんて質問あるわけないだろう、と思っていると。


ファン's「「「「はい!!!!!」」」


とみんな勢いよく挙手をする。

ステージ付近って言ったにもかかわらず、アリーナ奥の人や

スタンドの2階、3階席の人まで手を挙げている。

こいつら話を聞いていないのかよ、というかこんな裏方の人間に対して何を聞くつもりだ。


卯月「それではそこのぴにゃこら太のパーカーを着たあなた!」

ファン「はい!346プロのアイドルはいつ見ても可愛かったり、恰好良かったりで素敵なんですが、

    プロデュースのコツはなんですか?」

卯月「ありがとうございます!プロデューサーさん、プロデュースのコツは何ですか?という質問です!」


よかった。まともな質問だ。

正直、答えることができない内容が来るかと思った。


モバP「プロデュースのコツ…。やっぱり各々の個性にあった仕事をさせるってことかな。」

幸子「異議あり!!ボクにあった仕事がバラエティばかりとはどういうことですか!!!」

晴「そうだそうだ!俺もフリフリばっかりじゃなくてもっとカッコイイ仕事をやりたい!」

モバP「あぁ、幸子に晴か…。2人についてもきちんと考えてそういう仕事をもってきている。

    まず晴だけど、見た目はボーイッシュで本人もカッコイイアイドルを目指している。

けれどボーイッシュな子が可愛く決めることで普段とのギャップが生まれる。

そのギャップがファンの心をつかんでいるんだよ。」

晴「いったいどんなやつに需要があるんだよ…」

モバP「聞いてみるか?ここには晴のファンじゃない人たちもいる。」

晴「え…。」


そういって未央に目配せする。

未央は俺のやりたいことに気づき、軽くうなずく。


未央「それでは会場にいるファンのみんなにアンケートを取りま~す。

   せーの、って言ったら…どうしようか?」

モバP「そうだな、かわいい晴がいいって人はピンクのペンライトを、

    かっこいい晴がいいって人は青のペンライトを上げてください。」

未央「おお、さっすがプロデューサー!あったまいい!!」

モバP「そりゃどうも、じゃあ合図は…晴にお願いするか。」

晴「え、俺?わ、わかった。じゃあいくぞ!せ~のっ!!」


晴が合図を出したその瞬間、目の前にはたくさんのピンクと青の光が広がった。

アイドル達はいつもこのような景色を見ているのか…。


晴「なぁ、P!どっちだ!?どっちのほうが多い?」


目の前の光景に晴も少し興奮しているようだ。

はて、ピンクに青、どちらの数もそれなりにいるが、少しピンクのほうが多いかな?

モバP「晴、実はなどちらが多いか、なんてそんなに関係ないんだ。」

晴「えっ」

モバP「ピンクを挙げている人もいれば青を挙げている人もいる。

それにほら、あそこの人なんて両方挙げている。」

晴「ん?どこだ?あ、見つけた!あの人だな!」

モバP「そう、だからファンはカッコイイ晴も見たければ、可愛い晴も見たいんだよ。」

晴「そっか…。でもなぁ」


理解はできたが納得はいかない。どうにも受け入れがたいような顔をしている。

しかたない、もうひと押ししてやるか。


モバP「それに可愛い恰好をさせているのはファンのためだけじゃない。

    将来、晴は美人さんになるからな。その時にカッコイイよさだけじゃなく

    女性らしさで売り出すためにも今のうちに可愛い恰好での下積みが必要なのさ。」

晴「ん?よくわかんねぇよ」

モバP「え゛、ん~あれだ!サッカーでもディフェンダーだろうとフォワードだろうと

    最初はみんな混ざって練習するだろ?そんな感じだよ。」

晴「あぁ、そういうことか。」

モバP「ちなみに次の仕事は期待しといてもいいぞ。」

晴「ほんとか!!」

ファン's「「「おぉ!!!」」」


なんとか晴は納得いってくれたようだ。

さてお次は…


幸子「どうやら晴さんの面談は終わったようですね。

   さぁ、プロデューサーさん、ボクのこの可愛さとバラエティ番組、

   どこに接点があるのでしょうか?」

モバP「あぁ、確かに幸子は可愛い。自他ともに認めるほどにな。

    だからといってその可愛さだけを売っているだけじゃ

    ファンは飽きてしまうし、下手したら鬱陶しささえも感じられてしまう。

    それを防ぐためにもバラエティで芸人たちと同じことをさせる。

    そうすることで幸子も隙が生まれて親しみやすさを覚えてもらえる。

    それに単純に幸子はリアクションがいいからな。

    バラエティが映える。」

幸子「結局そこじゃないですか!」

モバP「じゃあ、次の仕事は正統派で行くか。かわいらしく料理番組とか」

幸子「本当ですか!?」

ファン's「「おお!」」

モバP「外国で。」

幸子「外国!?」

ファン's「「「おおお!!」」」

モバP「さらに露店でいこか。」

幸子「露店!?やっぱりバラエティじゃないですか!!」

モバP「何を言ってんだ幸子!誰も幸子のことを知らない外国。

    そんなアウェイの中でも己の可愛さが認められれば、真の可愛さといえるんじゃないか?」

幸子「た、確かに…。僕のカワイさはワールドワイドですからね!

   いいでしょう!その話お受けします!」

モバP・ファン's(ちょろい…)

ヘレン「That's nice sound!それでこそ世界レベルよ!」

ファン's「「「「わははははっ!!!」」」」

とりあえずこんなもんだろう。

近くにいた奈緒に目配せする。


奈緒「それじゃあ、次の質問に行くぞ!質問がある人は手を挙げてくれ!」

ファン's「「「「は~い!!」」」

奈緒「ん~と、じゃあそこのサイリウムを虹色に持っている人!!」

ファン「やった!え~と、プロデューサーさんってどのくらい稼げるんですか!!」

奈緒「プロデューサーはどのくらい稼げるかだって!」

ファン's「「「あぁ~」」」

美嘉「あ、それアタシも気になる!こんなにアイドルをプロデュースしてるじゃん?

   いったいどんくらい貰ってるの?」


う゛…、ちょっと答えにくい質問が来たな…。

心なしか亜子や大人組が半歩ばかりこちらに寄ってきた気がする…。


モバP「え~、あ~、う~ん…。

    と、都内に一戸建てを買う余裕があるくらいには稼がせていただいてます…。」

ファン's「「おお!」」

アイドル's「「「えぇ~!!!」」」


だ、大体このぐらいだよな?

亜子、目がドルマークになってるぞ!

うわ…大人組が獲物を狙う目で見てるよ…。


亜子「p、ぴぴ、Pちゃん!アタシいい投資の話があるんやけど…!!」

モバP「そんな詐欺みたいな話真に受けるか!!」

川島「瑞樹のここ、空いてるわよ。あとは…わかるわよね?」

早苗「最近親から結婚しろ~ってうるさいのよねぇ~。

   どこかにいい物件いないかしら?」

心「うっし、そろそろはぁとあたっく決めるか☆」

モバP「おい、アイドル何言ってるんだ。

    というか俺なんかよりあなた達のほうが稼いでるでしょう。」

大人組「「「それとこれとは別よ!」」」


うん、この話題はよくない。

早く次の質問に行ってもらおう。

誰か近くにいないか…。

あぁ、大人組に囲まれて助け船がいない!!


モバP「あ~、次の質問に移ろうかな?」

川島「ちょっと!まだ話は終わってな モバP「藍子!よろしく!!」」

藍子「え、あ、はい。ではほかに質問がある人は手を挙げてください。」

ファン's「「「「は~い!!」」」

藍子「では、そこのオレンジのペンライトを持っている女の子。」

ファン「はい!アイドルになるためにはどうしたらいいですか!!」

藍子「ありがとうございます!アイドルになるためにはどうすればいいですか?だそうです!」

モバP「アイドルになるためには…か。

    そうですね、346プロではやはり個性が重視されています。

個性といっても取ってつけたようなものではなく、

    きちんと『自分はこういう人間なんだ!』といえるようなものです。」

李衣菜「取ってつけたような個性はダメだってよ?みくちゃん。」

みく「なんでそこでみくに振るにゃ!みくはきちんと猫ちゃんアイドルという個性をもっているにゃ!!」

モバP「そう、個性っていうのは性格そのものではないんだよ。

    みくや菜々さんは最初からそのキャラで押し通してきたからな。

    それも立派な個性さ。」

みく・菜々「「キャラじゃないにゃ!(です!)」」

ファン's「「「わはははっ!!」」」


モバP「仮にみくが猫キャラが売れないとわかって、

    すぐキリンキャラに乗り換えるようだったら

    俺はみくを拾ってないだろうしな。

    売り出し方はいろいろあるだろうけど、そんな簡単に方向性を変えていいものでもないし。

    こんな感じでどうですか?参考になりましたか?」

ファン「はい!ありがとうございます。」

卯月「それでは次の曲の準備もできたようなので、そちらに移らせていただきます。」

ファン's「「「え~!!」」」


え~ってなんだよ。まだ俺に聞きたいことがあるのか。

こちとら早く捌けたいというのに…。


卯月「すみませ~ん。最後にサプライズとして登場していただいたプロデューサーさんに

   大きな拍手をお願いいたします。」


パチパチパチ


未央「それじゃあ次の曲に行くよ!さぁ、プロデューサーさんも一緒に!次の曲は~。」

アイドル's・モバP「「「この曲です!!」」」


ステージが暗転し、即座に俺は袖へと向かう。

あ、ちひろさんがいる。野郎…にやにやしやがって…。


ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん。

    初のステージ、いかがでしたか?」

モバP「いかがもクソもないですよ!あなた、最初から知ってましたね!?」

ちふろ「ふふっ、そうですね。この企画が立ち上がった時にアイドルのみなさんから

    お願いされまして…。いい機会だと思いまして、裏でスタッフさんたちと調整していました♪」

モバP「そんなものいつの間に…」


「君たち、これはいったいどういうことだ。」


奥の方から凛とした、かつ威厳のある声が聞こえた。

やばい、この人も来てるんだった…。

一度は引いた冷や汗がまた噴き出してきた。


常務「私にはこのような企画を聞いていないが、説明をしてもらおうか。」

モバP「大変申し訳ございません。すべて私の監督不届きです。」


そういって頭を下げる。

『すべてアイドル達がやりました!私は何もしらなかったんです!!』なんて

口が裂けてもいえないし、いうつもりもないがな。


常務「まぁいい、今日は大目に見てやる。

   ファンの反応も良かったからな。

   ただし、二度とこのような突発的なことは慎むように。

   アイドル達にもそう伝えておきなさい。」

モバP「ありがとうございます!!」


どうやら首の皮一枚繋がったようだ…。

ただ、今期の評価が怖くなったな。


ちひろ「プロデューサーさん。約束は今日のイベント中ですから、

    休憩が終わりましたらまたこちらに戻ってきてくださいね。

    常務、ちょっとお話が…」


そういってちひろさんは常務と奥の方へと消えていった。

え、何?まだ何かあるの?


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あの後、何もないままイベントも終盤となった。

よかった。あとは純粋に見てほしかっただけか…。


卯月「イベントもあっという間で、次の曲が最後になります。」

ファン's「「「え~!!」」」

凛「私たちもまだまだみんなと一緒にいたいけど、大丈夫、またすぐに会えるから。

  最後は出演者みんなで歌うよ。」

未央「ちょっと待ってしぶりん!どうやら今日の出演者で1人足りないようですな~。」


は?誰かまだ準備中なのか?

そう思ってアイドル達を確認しているとみりあの発言にまたしても自分の耳を疑った。


みりあ「あ!わかった!プロデューサーがいない!!」

未央「みりあちゃん、大当たり!!

   じゃあ次はファンのみんなも一緒に呼ぼうね!せ~の!!」

アイドル・ファン's「「「プロデューサー!!!」」」



…シーン


卯月「来ない…ですね。こちらからは見えているんですが…。」

未央「どうやらうちのプロデューサーは恥ずかしがり屋のようですな。

   茜ちん!プロデューサーを迎えに行ってあげなさい!」

茜「わかりました!!いきますよ!!うおおぉぉ~~~~~~~~!!!!!」


そういって茜がこちらの方に走ってきた。

お前ドレスだろ!そんな全力で走らないの!!お願い待ってください!!

そんな思いも通じず、茜はどんどんスピードを上げる。


茜「ぷろでゅ~~さ~~~~さ~~~~~~~ん!!!!!」


速…!避…!無理…!死…!!


茜「トラぁ~~~~~イッッ!!!!!!」

モバP「ぬわぁあああああ!!!!」


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ずるずる…と半ば茜に引きずられるように連れていかれる。


茜「プロデューサーさん、捕まえてきました!!」

未央「ナイス!茜ちん!!じゃあ改めてプロデューサー一言お願い!」

モバP「なんで俺も出ることになるんだよ!これ映像化されるかもしれないんだぞ!!」

ファン's「「おお!」」

モバP「え!俺映像に残っちゃうの!!?」

ファン's「「「わはははっ!!」」」


しまった!ほかのことが衝撃すぎて映像化のことをすっかり忘れてた…!!

というかさっきの今で今度は本当に常務に叱られる!!


卯月「はい、プロデューサーさん。マイクです。」

モバP「え!?俺もマイクもって歌うの!?無理無理無理!!!」

卯月「みんなも一緒に歌うので大丈夫です!」

乃々「あのぉ…プロデューサーさんが無理なようなので、

   森久保も一緒に袖に引っ込んでます…。」

モバP「乃々が休むくらいだったら一緒に歌うぞ!森久保ぉ!!!」

川島「よし、言質は取れたわね!」

モバP「あ゛…」

まゆ「まゆ、プロデューサーの歌、聞きたいなぁ。」

薫「せんせぇ!一緒に歌おう!!」

モバP「はぁ…、わかったよ!」

卯月「それでは最後はこの曲です!せ~の!」

アイドル's・モバP「「「お願い!シンデレラ!!!」」」


そこから先はあまり思い出したくない…。

緊張して肩を縮め、マイクを両手にもつというど素人のような格好で歌う俺。

代わる代わるやってくるアイドル達。

なぜか俺に向かって手やサイリウムを振るファンたち。

袖に戻るとまた抱腹絶倒しているちひろさんやスタッフたち。

常務までもが今にも噴き出しそうな顔をしていた。

己畜生どもめ…。いっそ俺のことを殺してくれ…。


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件のファンイベントから1か月過ぎた。

イベント終了後、満面の笑みで駆け寄り、囲ってくるアイドル達。

すでに俺は生気が抜けていた。

これにて終了、と思いきや次の日には今回出演しなかったアイドル達が噂を聞きつけ、

根掘り葉掘り探ってきたり、大人組からの結婚についての追従が来たり、とさんざんな目にあった。

あ、映像化は問題なく進んでいるそうです。コンチクショウ。

そんなほとぼりも冷めた今日この頃。


モバP「はい、ちひろさん。次の晴の企画に関する資料です。」

ちひろ「ありがとうございます。では、確認させていただきます。

    あ、これこの前のイベントの時に言っていたやつですね。」

モバP「えぇ、元々案は練ってあったので早いうちに…と。」

ちひろ「でもよかったですね。プロデューサーさん、ネットではいまだに話題になっていますからね。」

モバP「どの口が言うんですか!でも本当に良かったです。

    俺はネットで大炎上するかと思っていたので。」

ちひろ「それもこれもプロデューサの今までの実績と人徳にやるものですよ。」

モバP「上手いこと言っちゃって…。」



コンコンコン


誰か来訪してきたようだ。アイドルではないようだな。

あいつらノックなんてしないして。


常務「失礼する。」

モバP「常務。お疲れ様です。いかがいたしましたか?」

常務「あぁ、先日のイベントの件についてだが…」

モバP「その件については、大変ご迷惑をお掛けいたしました!」


土下座でもするかの勢いで頭を下げる。

あの後、何も告知をせずプロデューサーたるものがイベントに参加、ということで

やれ減給だ、ボーナスカットだ、挙句の果てにはクビだ、など

上層部のほうで会議がすぐさま行われたようだが、

常務のご厚意により、とくに何も処罰が与えれることはなかった。

マジ常務神


常務「その件についてはもういい。

   とくに346について何か悪いことが起こったわけでもない。

   ただ、それに関連してではあるが…」


ん?と思い常務の顔をみる。

何やら嬉しそう。というかにやついている?

気味が悪い…。




常務「君にラジオ番組をやってもらうことになった。」

モバP「…は?」




ラジオ番組をやる…?あ、そうかそういうことか。


モバP「あぁ、新しい企画でしょうか?どのアイドルを出演させるおつもりでしょうか?」

常務「アイドルではない。君がパーソナリティとして出演する。」

モバP「え゛」

常務にお茶を差し出し、自席に戻ったちひろさんも吹き出した。

どうやら今回はグルではないようだ。


常務「あの後ネットでも話題になり、346にも電話が多数。

   ホームページのサーバもダウンしたことを知っているな?」

モバP「はい。」

常務「その内容も悪くなく、むしろ君に対する好意見ばかりだった。

   君をもっと出演させろ、などの声も多数あった。

   そこで私自ら企画したわけだ。受けてくれるか?」

モバP「そ、そんなこと言われましても、私は裏方です!!

    台本があるとはいえ独りでしゃべるのは無理があります!!」

常務「その点についても問題ない。毎回君のところのアイドル達をゲストを用意する。

   トーク内容についても君に関することやアイドルとの談笑で十分だ。」

モバP「でも…。というか毎回ってまさか定期的にやるんですか!?」

常務「そうだ。毎週金曜の予定だ。

   それとこれは君のラジオ番組出演について、

   事前にアイドル達にアンケートをとった結果だ。

   すべてのアイドルが君の番組に賛同している。

   ゲスト出演も了承済みだ。」

モバP「」

常務「受けて、くれるな?」

モバP「ハイ…。」



終わり



最後まで見てくださった方、まことにありがとうございます。

プロデューサーをファンイベントにサプライズ出演させる、というコンセプトで進めてまいりました。

実際のライブなどでは声優さんたちはもっと『私が!私が!』みたいな感じでカオスですし、

私たちプロデューサーの反応ももっと良くて楽しいです。

こんな稚拙な文でも誰かに気に入っていただければな、と思います。


オチでモバPがラジオ番組に出演ということになりましたが、

余裕があればそちらの方も書いていきたいと思います。

その際は地の文ではなく、また別の書き方で…。

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