勇者・魔王『彼女ほぴぃぃいいいい!!!!』 (15)

勇者「え?魔王?」

魔王「…おお、誰かと思えば勇者じゃないか。調子はどうだ?」

勇者「こんな場末の酒場にいる時点で察してくれよ…」グビグビ

魔王「お互い同じ目的か」ドポドポ、ゴクゴク

勇者「樽一杯飲むかバケモノめ」

魔王「魔界の酒場で飲んだくれている奴にそんな暴言言われたか無いわい。というか何故いる」

勇者「流れ流れてこんなところにな」

魔王「何をどうしてそうなった」

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勇者「だってよぉ、あの国にいたって彼女出来ないんだぜええ。自分探しの旅したらいつの間にか魔界にまで来てたんだよぉぉ」

魔王「泣くな泣くな、我を負かした英雄がそんな情けない顔をしているのなんか見たか無いわい」

勇者「へ、へへ…そういうお前はどうなんだよ。さっきの言葉聞いたぜ?ヒック」

魔王「………聞かれていたか」

勇者「おら、言ってみろよ魔王様?この酔っ払い勇者様が聞いてやるぜ」

魔王「…彼女が出来ない、それだけだ」

勇者「何言ってんだ。王だろ?しかも魔界全体のよぉ。いないわきゃねえだろ」

魔王「貴様の…」

勇者「あ?」

魔王「貴様のせいだ!!!!貴様に負けたから『こんな弱い魔王に用はないわ』なんて許嫁に逃げられたのだ!」

勇者「っぷ、プックククククク」

魔王「!?」

勇者「っがははははは!!!うひぃぃ、うひゃはひゃひゃひゃひゃ、たし、たしかにぃっ、弱かったからなぁ、しかたねえや、くひぃひひひ」

魔王「貴様!よりによって笑うとはどういうことだ!これでも歴代最強と謳われた魔王だぞ!」

勇者「顔真っ赤な酔っぱらいが言ってると大言壮語にしかきこえねえぜえ。やーいバーカ!弱小魔王!」

魔王「ぶち殺してくれるわっ!立てや酔っ払い元勇者!」

勇者「誰が元勇者だ!必要無いだけで肩書は今だ勇者じゃい!」

魔王「うわははは、泣いたり笑ったり怒ったり忙しい元勇者だ!元!勇者!」

勇者「ぶち殺す!!!!」

魔王「来たまえ元勇者。我に連なりし一族の真名、魔族が凶皇の全力を以て迎撃してやr」


ガンッ!ガガガンッ!


マスター「てめえらがマジ喧嘩したら町一つ吹き飛ぶわ!考えろバカども!」


勇者「はい…」

魔王「すいませんでした…」


六つの腕を組んで鬼の形相で睨むマスターに委縮する

魔王「ところで勇者、負けた我はともかく勝って人間界を救った貴様に言い寄る女がいないのはどういうわけだ?道理が通らぬではないか」

勇者「魔物は強い奴ほどモテるんだろうけどよぉ、人間の女はそう単純じゃねえんだよ。何が『暴力的な男は嫌い!』だよ、何が『DVしそう』だよバーロォー!」

魔王「お互い上手くいかぬものだな」

勇者「もう誰でもいいから彼女がほしいんだよぉぉおお!!」

魔王「うむ。誰でもいいから妃候補はいないものか」


勇者「まぉーぅ、そういやお前結構可愛い顔してるよなあ」

魔王「貴様も貴族の出とだけあって端正な顔立ちをしているな」


勇者「…」

魔王「…」



『ぷっ』

勇者「ぷあははははは」

魔王「くはははははは」

勇者「ないわ、それだけはないわぁ」

魔王「まったくだ、馬鹿馬鹿しい」


勇者「そもそも男で妥協しちまったら子孫残せねえしな。血が絶えちゃ勇者も魔王もやべえだろ」

魔王「魔物を見くびるな、人間の男に卵を産み付けるなど容易なことだ」

勇者「やめろよおぞましい」

魔王「そういえば貴様のパーティーに女いたろう。吊り橋効果とやらは起きなかったのか?」

勇者「…………………それを聞くか?」

魔王「あ、いや、言いたくないなら言わなくて良いぞ?」

勇者「それがさあ!あいつら!」

魔王「だから言いたくなければ言わなくても良いと…」


勇者「それがさあ!あいつら!」


魔王「お、おう…」

勇者「女魔法使いは戦士とくっつくわ、女商人は遊び人とくっつくわ」

勇者「何だよ遊び人とって!女商人ならもっと計算高くあれよ!遊び人なんかより勇者選べよクソビッチが!」

魔王「勇者がそんな言葉使うな」

勇者「うぅ、ぐすっ、故郷で幸せそうにしてるあいつらの手紙と写真が送られてくる度に哀しくて悲しくて…飲まなきゃやってらんねえよっぉおおおおお」

魔王「………マスター、此奴に例の秘造酒を」

マスター「あいよ」


勇者「情けなんかいらねえよ!驕りなんてごめんだい!ちゃんと魔界用の通貨持ってきてんだからな!」

魔王「だったら金は自分で払うんだな。ただ、これは魔界でも幻と言われる秘造酒でな。たった一種の種族しか作り方も材料も知らない特別な酒だ。魔王にすら何も明かさない超頑固種族だぞ」


酒場のマスターが六つ腕を全て組んで今度は得意げに笑っている


魔王「その中でもここのは特別美味しくてな、マスターが直接教えた客にしか出さない秘蔵中の秘蔵酒だ」

魔王「せっかく魔界まで出向いてきたんだ。魔界でしか味わえない、いや魔界ですらめったに味わえないものを嗜んでいくといい」

勇者「グビグビグビ、なんだこれめちゃうめぇぇぇえぇええええ」

魔王「聞いていたのか…?まあいい、少しは悩みもとんだか?」

勇者「え、ああ。ありがとうよ。こんな美味しいもの飲んだら彼女いないことなんて…なんて…」

魔王「ぁ」

勇者「欲しい!!!!」

魔王「だよな。欲しいわな」

勇者「なあ魔王、もう魔物でいいよ。人間好きの魔物とかいないの?」

魔王「そんな物好きがいたら紹介してやろう…………………………………魔物好きの人間がいたら頼むぞ」

勇者「ししし、いたらな」

勇者「なあなあ、今思いついたんだけどよ、魔物娘の風俗を人間界に作れば売れるんじゃね?」

魔王「ほう?」

勇者「サキュバスはもちろんスライム娘のプニプニした体、ラミアの尻尾でぐるぐる巻き、触手娘の触手やスキュラのタコ足、獣人のモフモフ、人魚、ケンタウロス、ハーピー、単眼娘、どれも人間には需要あるぜ。インキュバスの男の娘なんかもいいだろうな」

魔王「あ、あるのか?」

勇者「あるある。人間界と魔物界を繋ぐ懸け橋となることに間違い無し」

魔王「確かに。エロは種族をも超える!」

勇者「だろ!?」ニヤニヤ

魔王「ふむ。ふむふむ」ニヤニヤ

勇者「そうと決まればこっちの王に話し通しておくぜ」

魔王「ならばこちらも魔族の風俗で人間相手にしてもいいという女を探してみよう」


ガシッ


と手を握り合う二人

勇者「そろそろお開きといくかな。ふぁーあ」

魔王「宿は決まっているのか?」

勇者「ああ。この町に泊まってるよ、あの大きな宿な」

魔王「そこの女将さん綺麗だろう?」

勇者「あのハーピーの人か。確かに天使のような羽に飛びつきたいおっぱいだった」

魔王「分かる」

勇者「それじゃ、じゃあな。何かスッキリしたよ」

魔王「我もだ。自分より取り乱している奴を見ると自分の悩みがちっぽけに見える」

勇者「ハッハッハ、美味しい酒を飲ませてもらったお礼にその嫌味は聞き逃してやる」


勇者「そうだ、今度人間界に来いよ。人間界にも幻と呼ばれる秘蔵酒はあるんだぜ、美味しいぞ」

魔王「楽しみにさせてもらおう。それではまたな」

勇者「ああ、またな」

終わり

たまにはこういう魔王勇者も書いてみたかっただけ

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