ヴィーネ「本当に泣きたいの?」 (13)

それは私が天使どもに負けて、散々弄られた日のこと

「うぅ~…また負けたぁ……」

「もう、だからやめときなさいって言ったのに…」

「だってぇ~」

「だってー、じゃないわよ…まったく……」

天使どもに負けた私はヴィネットに泣きついたわ
ヴィネットは優しいから、私を慰めてくれるの

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私はそれが嬉しくって、何度も『慰めてもらうきっかけ』を作る
優しいヴィネットは、なんだかんだ言って私を慰めてくれる

──だから、私にとって天使どもは『慰めてもらうきっかけ』を作るために利用しているに過ぎない
天使という存在は、この私にとって好都合な存在ってわけ

「なんで勝てないのかしら……いつもいいとこまでいってると思うんだけど……」

「私からしたらどうしてそう思えるのかが謎なんだけど」

私が愚痴をこぼすと、ヴィネットは呆れたように否定した

「それに、ちゃんとガヴやラフィとも仲良くしなきゃダメよ?」

そう言ってヴィネットは私を見つめる
私はそんなヴィネットを見つめ返す

ヴィネットの瞳には私が映っていて、心臓が高鳴る

──この胸の高鳴りは、悪い方

まるで私の中身を見られているような
私の心情が見透かされているような

そんな気がして、焦っている
そんな感じの、胸の高鳴り

私はそんな焦りを隠すために、誤魔化すことにした

「うぅ~、ヴィネットまで私をいじめるー」

「……その言い方は卑怯じゃない?」

「ヴィネットまであいつらの味方するんだ……そして私をいじめるんだ……」

「あーもう、悪かったわよ……」

そう言ってヴィネットは私の頭を撫でてくれた

とても、心地が良い
いつまでも、撫でられていたい

「ヴィネットぉ~……」

「はいはい…なあに、サターニャ」

「私、大悪魔に向いてないのかも……」

「それは、そうかもね……」

「そこは否定しなさいよぉ!」

「あはは……」

「もう…泣きたい気分よ……」

「うーん……?」

なにか違和感に気づいたかのようにヴィネットは不思議な声を出す

撫でられていて心地よいはずが、だんだんと居心地悪くなっていくのがわかる

嫌な予感がしながらもヴィネットを見ると、自分が気づいた違和感を口に出すか悩んでいる様子だった


そしてヴィネットは決心したのか、真剣な顔をして口を開いた


「ねぇ、サターニャ………?」




『本当に泣きたいの?』



……やっぱり鋭いわね、ヴィネット
あんたのそういうところ……





──大好きよ



おわり

お題『本当に泣きたいの?』

サタヴィネにしたのはなんとなく、強いて言うなら少ないから

短くてごめんなさい

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