梨子「壁クイへの情熱が……消えた……?」 (40)

曜「いやー、買いすぎちゃったなー。プロテイン」


曜「仕方ないよね、特売だもん。千歌ちゃん……は嫌がるから、果南ちゃんにお裾分けしようかなー」


曜「……あれ?梨子ちゃんだ。沼津の方で会うなんて珍しい。おーい!梨子ちゃーん!」


曜「お、気付いた。あはは、そんな走らなくても――速い速い待って何でそんな全速力で向かって来るの怖い怖い!!」


ドンッッ!!グイィイッ!!


梨子「ハァ……ハァ……こんにちは、曜ちゃん」


曜「ごめんなさい殺さないで……」


梨子「……?気でも触れた?」


曜「どの口が!?」

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いつも通りのキャラ崩壊サンシャインSSです
パロネタ、百合注意


前作
千歌「淡島のレズ河童伝説を追え!」
千歌「淡島のレズ河童伝説を追え!」 - SSまとめ速報
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梨子「私は至って正常よ」


曜「ぜ、全力疾走からの壁クイをキメた人間の言うこととは思えない……!」


梨子「欧米では挨拶みたいなものよ」


曜「梨子ちゃんが知ってる欧米は随分爛れてるんだね……とりあえず手、放そうか?」


梨子「嫌よ」


曜「嫌なの!?どうして!?」

梨子「……ねぇ、曜ちゃん。ちょっと相談したい事があるんだけど……」


曜「それは壁クイしながらじゃないとダメなんだろうか……」


梨子「こんな事、千歌ちゃんには相談出来なくて……いい、かな?」


曜「しおらしく言ってるけど壁クイしてるんだよなぁ……」


梨子「もう!壁クイ壁クイって、こんな時間から何盛ってるの!」


曜「怒っていいかな!?」

梨子「私はこんなに真剣に相談してるのに……」


曜「わかった、わかったから……。とりあえずどこか落ち着ける場所に移動しよっか?……周りの目も気になるし」


梨子「……わかった。じゃあそこの喫茶店に行こうか。壁伝いだから右から行った方が近いかな」


曜「意地でもこの状態で行くつもり!?何!?背中を見せられない新手のスタンド攻撃でも受けてるの!?」


梨子「……?何を言ってるの?」


曜「千歌ちゃぁあああん!!助けて千歌ちゃぁあああん!!」

◇◇◇◇◇


曜「はぁ……。壁クイへの情熱が薄れてしまった、ねぇ……?」


梨子「信じられない、って顔してるわね。無理もないわ、私自身が信じられないもの……」


曜「いや、まぁ、さっき壁クイしてた人が何言ってんだって意味では確かにそんな顔してたけどさ」


梨子「でも、本当なの。私自身、その事を自覚したのはつい最近の話なんだけど」


曜「最近って?」


梨子「1時間前かな」


曜「本当につい最近だね!?」

梨子「詳しく語るには、私の壁クイに対するスタンスから語らなきゃだから長くなっちゃうんだけど……」


曜「あ、そう?じゃあそこはまた今度で――」


梨子「私が壁クイというものを愛して止まないのは曜ちゃんは知ってると思うけれど……」


曜「逃げられないかー」


梨子「私自身もね?これがマイナージャンルだってことは分かってるの。あまり受け入れられてないネタ扱いだって」


曜「まぁ……否定はしないよ?私もそういう認識だし」

梨子「でも、紹介される事で本当に好きになる人だって出てくるだろうからって、ふざけて真似して『ほらwwwこれが好きなんでしょ?www』みたいな事する人も煮え繰り返る腑を抑えつつ我慢したわ」


曜「腑煮え繰り返ってたんだ」


梨子「具体的にはこの前1年生が『ぅゅwww壁ドンーwww』『ちょwwwやめるずらよwww梨子先輩が興奮しちゃうずらwww』とかやってたのを目撃した時は助走つけてぶん殴ろうかと思ったわ」


曜「バイオレンスな思考だね!?でも、1年生には後でちゃんと言っとくから……」


梨子「けれど私のチェックしてない雑誌の壁クイ特集を教えてくれたから全てを許したわ」


曜「許されてた!!梨子ちゃんも現金だね!?」

梨子「……それでね?さっきそこの本屋で立ち読みしてたんだけど……」


曜「うん」


梨子「…………ったの……」


曜「うん?なんて?」


梨子「思っちゃったの……壁クイが取り上げられてるのを見て……」


曜「……なにを?」


梨子「『ふふwww壁クイてwww』って……」


曜「……あー」

曜「わかる……うん、わかるよ?」


梨子「私が……この私が……っ!」


曜「バカにされてるけど、私はそこを認めた上で好きってスタンスでいると、いつの間にかバカにする側の感覚に傾いちゃう時があるんだよね」


梨子「この……ッッ!!私が……ッッ!!」


曜「梨子ちゃんは壁クイ界で一体どれほど上位にいるの」


梨子「私に太鼓判押された壁クイサークルは間違いなく売れると専らの噂である私が……ッッ!!」


曜「思ったより上位だった!?」

梨子「とにかく!このままではいけないと思うの!なんとかしないと駄目なの!」


曜「うーん……私に出来る事あるかなぁ?思ったより根が深いみたいだし、時間が解決するのを待つしか……」


梨子「だってさ……ゼロなんだよ……?」


曜「おおっと、やめろ?」


梨子「地味な私から壁クイへの情熱を取ったら、個性ゼロじゃない!」


曜「別にほら、ピアノとか、……ピアノとか、作曲とかある、よ……?」


梨子「曜ちゃんを以ってしてもピアノしかないじゃない!」


曜「ま、待ってよ!今考えるから!」


梨子「ピアノしかない私は、早朝に千歌ちゃんと抜け出してイチャつくことしか出来ない……!」


曜「煽りよる」

梨子「何もない……何もないの……」


曜「……わかった、協力するよ」


梨子「ほ、本当!?今、何でもするって言った!?」


曜「難聴かな?……梨子ちゃんが満足出来るように、協力してあげる」


梨子「満足?」


曜「壁クイに関しては詳しくないけど……梨子ちゃんはそれだけじゃないはずだよ?だから、梨子ちゃんが自信を持てるよう協力するよ」


梨子「そう、だね。自信、持てるといいなぁ」


曜「持てるよ。壁クイが無いと個性ゼロだなんて寂しい事言わないで?」


梨子「曜ちゃん……」


曜「ここから始めよう? 1から……ううん、ゼロから!」


梨子「それ以上いけない」

◇◇◇◇◇


曜「さて、まずはどうしようか?」


梨子「まぁ、個性探しもするけど、何はともあれ壁クイね。生き甲斐の一つだし」


曜「生き甲斐なんだ……」


梨子「昔の趣味を、あんなの卒業したよなんて言う人いるけど、何かを修めた訳でもないのに卒業って言うのおかしいわよね。中退が正しいわ」


曜「言わんとしてることはわかるけど」


梨子「私はまだ何も修めてない。だから、ここで終わるわけにはいかないの」


曜「壁クイに関してじゃなければ凄くカッコいいセリフなんだけどなぁ……」

曜「じゃあ、どうしよっか? 誰かに壁クイしてもらってキュンキュンすれば治るとか?」


梨子「そんな簡単に……」


曜「お、あんな所に通りすがりの果南ちゃんが。おーい!果南ちゃ――」


果南「おー、奇遇だね。どうしたの?」ビショビショ


曜「コイツいっつも濡れてんな」


果南「コイツ!?」


梨子「駄目よ曜ちゃん。人の個性をバカにしちゃ」


果南「個性じゃないからね!?」

曜「で、どうしてそんな濡れっ濡れのぐっちょぐちょなの?」


果南「いや、言い方……まぁいいや。そこで水撒いてたお婆ちゃんにひっかけられちゃってさ。鞠莉がタオル買いに行ってるとこ」


梨子「らんま1/2みたいな事してますね」


曜「鞠莉ちゃんも一緒なんだ。……なら今がチャンスだね」


果南「チャンス?」


曜「ちょっと梨子ちゃんのこと抱いてあげてよ」


梨子「言葉のチョイス!」


果南「そこのホテルでいい?」


梨子「快諾!?」

梨子「曜ちゃん!曜ちゃん!違うでしょ!?そんな話じゃなかったでしょ!?」


曜「わ、わかってるよーそろー……」


梨子「ほんとに!?壁クイに関しては面倒だから荒療治で終わらせようとか思ってない!?」


果南「それで、私はどっちを抱けばいいの?」


梨子「なんでこの人こんな乗り気なの」


曜「そして何故か私も標的に入ってるね」


果南「レズ100人斬りの松浦さんとは私の事だよ」


曜「おいおい聞いてもないのに語りだしたぞ」


梨子「レズしかいないわねこの町」

果南「もう!抱くの!抱かれるの!どっちなのさ!」


梨子「んんん……選択肢があるようで無い……」


ドンッ!


梨子「っ!?」


果南「それで……梨子はどうされたいのかな……?」クイッ


曜「か、壁ドンからの壁クイキターーー! まだ頼んでもないのに!」


果南「お姉さんに……教えて?」


梨子「っ!??! ッッ!????!?!?」


曜「いけない、梨子ちゃんがショートしてる」

梨子「め…………」


果南「め?」


梨子「滅茶苦茶にっ……して下さい……っ!」


曜「堕ちるの早いなオイ」


果南「…………ぷっ。あははっ!」


梨子「……か、果南さん?」


果南「ご、ごめんごめん!あはは……もう、冗談だよぉ」


梨子「え……」


曜「えぇ!?冗談!?どこからが!?ガチにしか見えなかったけど!?」


果南「失礼な」

果南「私は100人斬りなんてしてないし、する気も無いよ」


曜「ま、まぁ……確かに果南ちゃん、そういう話したがらなかったしね……」


果南「いつもからかわれてるから、仕返しに、ね?」


梨子「そ、そうだったんですか……良かったような、残念なような……」


果南「私が抱くのは鞠莉とダイヤだけだよ」


曜「おい今サラッとなんか言ったぞ」

梨子「それで……その、そろそろ壁クイを解除してくれません?心臓が保たないので……」


果南「あっ、そうだね。ゴメンゴメン。それにこんなの鞠莉に見られたら」


パサッ


鞠莉「………………」


果南「………………」


曜「知ってた」


鞠莉「MK5(マジでキレる5秒前)……」


果南「古い古い」

鞠莉「言い訳があるなら聞こうかしら……?」


果南「いやぁ……その……」


鞠莉「まさか私が濡れた果南の為にタオルを買いに行って、ついでにデートなのに着てきたそのクソダサいジャージの代わりの服を選んでる最中に他の女を口説いてた訳じゃないわよね?」


果南「クソダサい!?」


曜「わ。果南ちゃんデートなのにそれ着てきたんだ」


梨子「鞠莉さん可哀想……」


果南「そ、そんなに!? 待って待って! これ毎日着て寝るくらいお気に入りなんだけど!?」


鞠莉「寝間着じゃない!!」

曜「じゃ、私達はこれで」


梨子「修羅場頑張って下さい」


果南「ええっ!?待ってよ、曜達にも責任の一端はあるでしょ!?」


曜「無いよ」


鞠莉「言い訳無用!果南、右の頬を差し出しなさい……」


果南「や、ヤダよ!鞠莉のビンタ日に日に痛くなっていくんだもん!」


鞠莉「果南の事を想って鍛えてるからねー。いつの間にか1万回素振りしても日が暮れてなくなったわ」


果南「鞠莉の底すら無い悪意を感じる……!」


梨子「ていうか、毎日ビンタ受けるような事してる果南さんが悪いんじゃ」

果南「こうなったら奥の手を……」


鞠莉「何をする気か知らないけど、私はそう簡単には――」


果南「えぇい、ハグっ!」ギュッ


鞠莉「かなぁん……&#9829」トローン


曜「じゃあ行くよー」スタスタ


梨子「2人ともまた明日」スタスタ


果南「ふぅ……何とか何を逃れ――何ッ!?」


鞠莉「この距離ならバリアは張れないわね!」


バチィーーーーンッッ

◇◇◇◇◇


曜「さて……どうする?止める?」


梨子「やる気が感じられない……止めないわよ」


曜「だって梨子ちゃん、果南ちゃんにもときめいてたし。別にもう大丈夫なんじゃないの?」


梨子「そ、そんなことないよ!まだダメだもの!」


曜「でもなぁ……今みたいな実体験でも効果無かったんでしょ?他に何かあるかな……」


梨子「ううん……千歌ちゃんに壁クイしてもらってそのまま押し倒してもらえば覚醒するかも……」


曜「やらせないよ?ていうか、壁クイからの押し倒すって何?ドリフ?ドリフなの?」

曜「改めて聞くけど……ホントに続ける意味ある?」


梨子「よ、曜ちゃん……?」


曜「そもそもたった1回そう思っちゃっただけで、本質的に梨子ちゃんが壁クイ好きなのは変わらないでしょ?」


梨子「そ、それは……」


曜「気持ちの問題なんだよ。1回の過ちを梨子ちゃんが許せるかどうか。梨子ちゃんは別に壁クイに何の感情も抱かなくなった訳じゃないから治すものも何も無いし」


梨子「…………」


曜「そんな事は梨子ちゃんもわかって…………あれ?」


梨子「………………」

ありゃ、誤字った
>>26
× 何とか何を逃れ
◯ 何とか難を逃れ

曜「わかってる……そう、梨子ちゃんならそんな事はわかってるはずだよね。じゃあさっきまでの茶番は……?」


梨子「バレて……しまったようね」


曜「ま……まさか……ッ!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


梨子「ふふ……そのまさかよ」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


梨子「単純に曜ちゃんを利用して壁クイ成分を補給したかっただけよ」


曜「さ、最低!最低だよこの壁キチ!」


梨子「ありがとう、最高の褒め言葉よ」

曜「最初から……最初から騙してたんだね!?」


梨子「いいえ、それは違うわ。壁クイ雑誌を見て嘲ってしまったのは事実。それにショックを受けたのも事実よ」


曜「だ、だったら!」


梨子「それと同時にこの計画を思いついた自分に戦慄したわ」


曜「く、くそ、最早なんて言ったら梨子ちゃんにダメージを与えられるかわからないくらいに腹立たしい……!私帰るからね!もう知らないからね!」


梨子「曜ちゃん……やめる?」


曜「やめるよ!?千歌ちゃんじゃないんだから、それ言っても乗らないからね!?」

梨子「でも、曜ちゃん」


曜「もう!なに!?」


梨子「私が自信持てるようにって言ってくれて……嬉しかったのはホントだよ?」


曜「~~~~っ!もぉおおおおっ!!」


梨子「っ!?」


曜「そんな事言っても知らない!知らないんだからねっ!!」ダッ!


梨子「……ちっ、墜とせなかったか」

◇梨子宅◇


梨子「ふふふ、曜ちゃん可愛かったなぁ」


梨子「あの様子だったら明日ちゃんと謝れば許してくれそうね」


梨子「でもこの手はもう使えないなぁ。次は千歌ちゃんにでも試そうかしら」


梨子「そうだ、帰りに買った週刊壁ジャンプ読もうっと」


梨子「~~♪」


梨子「…………?」


梨子「んん?あ、あれ……?」

-翌日-


梨子「曜ちゃああぁああんっっ!!」


曜「わっ、ビックリした。おはよう梨子ちゃん」


梨子「おはよう。……じゃなくて!」


曜「どうしたのさ。……言っとくけど、私まだ許してないんだからね」


梨子「情熱が……」


曜「へ?」


梨子「壁クイへの情熱が……本当に薄れちゃったの!!」


曜「……梨子ちゃん、オオカミ少年って知ってる?」



おわり

◇◇◇◇◇


果南「うう……まだほっぺがヒリヒリする……。ダイヤ慰めてー」


ダイヤ「自業自得ですわ。誰彼構わず手を出すからこうなるんです」


果南「ダイヤまで!私別に誰彼構わず手なんて出してないからね!?」


ダイヤ「――では、私に手を出したのは?」


果南「ダイヤが好きだからだよ?ほら、誰彼構わずじゃないじゃん」


ダイヤ「この人は……」


果南「何さー。ダイヤは嫌なの?」


ダイヤ「知りません!」






ダイヤ「…………まぁ、私も私なんですけどね」


終劇

終わりです。コメントありがとうございました。
最近ダイヤ様に尊みを感じるようになりました。
次は3年生にするか1年生にするか……

μ’sSS
ことり「や、別に唐揚げは共食いじゃないから」
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