まり花「りんちゃんと久々のデート」 (44)

◆ひなビタ♪SSです
◆りんりん先生が帰ってきてから少し経った体でお読み下さい


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チュンチュン……ピピピー……

まり花「ん……」

まり花「んん……」

まり花「ふぁあ……」

まり花「……りんちゃん?」

まり花「……ああ、昨日、してないんだっけ」

まり花「パジャマも着てるし……」

まり花「……いるんだよね、りんちゃん?」

まり花「……」

まり花「よかった、いるみたい」

りんちゃんが帰ってきて暫く経ちました。
わたしたちにいつもの日常が戻ってきたのです。
でもなんだかわたしは、まだ不安で……。

まり花「おはようりんちゃんっ」

凛「おはよう……最近早いわね、レコード屋」

まり花「そ、そうかな?普通だよっ」

凛「ふむ……まぁ、なんでもいいのだけれど」

まり花「ね、ねえりんちゃん、今日予定あるかなっ?」

凛「そうね、今日は一日店番かしら」

まり花「あーっと……じゃ、じゃあ明日は?明日はどう?」

凛「明日は特に無いけれど……」

まり花「じゃあ!じゃありんちゃんっ!どこかお出かけしようよっ!ね!」

凛「ええ、いいわよ」

まり花「ほんと?よかったりんちゃん、最近忙しそうだから」

凛「いえそういう訳ではないのだけれど……なんだか久しぶりな気がするわ」

まり花「そ、そうかな?最近はちょっと、色々どたばたしてたし、ね」

凛「ふうん……まぁいいわ、明日ね」

まり花「うんっ、明日だよりんちゃん、忘れないでねっ」

凛「私が貴方との約束を忘れるわけないじゃない……」

まり花「えへへ」

……

凛「~♪」

一舞「鼻歌なんか歌ってゴキゲンだねー?」

凛「う、よ、洋服屋、いたの」

一舞「なんかいいことあった?」

凛「そ、そうね……れ、レコード屋にデートに誘われたわ」

一舞「へえ!相変わらずラブラブじゃん」

凛「い、いいじゃない」

一舞「まぁそれはいいけどね、仲がいいことはいい事だしっ」

凛「貴方なんか仲が良すぎるくらいでしょう」

一舞「い、今はさきこはどうでもいいでしょ!」

凛(喫茶店、とは一言も言っていないのだけれど……)

一舞「それにしても、なんだか久々じゃない?」

凛「まぁ、そうよね……レコード屋はそうでもないって言ってたけど」

一舞「いやいや!今までに比べたら本当に久々だと思うよ」

凛「やっぱりそうよね」

一舞「うん……最近まりかさ、ちょっとぼうっとしてるというか、そんな気がするし」

凛「風邪かしら?」

一舞「いや食欲はいつも通りだしそれはないかなー、まぁ、なんか、不安なんじゃないかな?」

凛「不安?」

一舞「そうそう、多分だけど、またりんがいなくならないかって、不安なんだし」

凛「もういなくなったりしないわよ……」

一舞「分かってるって」

一舞「だから、りん」

凛「な、何よ」

一舞「まりかに優しくしてあげてね」

凛「ま、全く、私がレコード屋に優しくない時なんてあるかしら?」

一舞「んー、りんってツンデレだから割とそうでもないと思うし」

凛「うぐぐ、わ、分かったわ、善処するから」

一舞「ふんふん、それでいいんだし」

凛「むむ……じゃあ明日は、私がリードしてあげようかしらね?」

一舞「おおっ!言ったねりん!じゃあその翌日あたしがまりかに確認するから!」

凛「じ、事情聴取は別にいいでしょう……!」

……

明日はりんちゃんとデートです。
久々だから、わたしは明日が楽しみでしょうがありませんでした。
こんな気分もなんだか、久々だなあって。

まり花「ふんふふーん♪」

まり花「どれ着ていこうかなあ」

まり花「りんちゃんがキュンと来るようなのにしたいなっ」

まり花「まぁりんちゃんなら、どれも素敵だって言ってくれると思うけどー」

まり花「どうせなら、いっぱいきゅんきゅんさせたいよっ!」

まり花「きっと顔を赤くしてくれるんだろうなあ」

まり花「えへへへ」

まり花「……」

楽しみなはずなのに、わたしはまだ不安な気持ちが拭えませんでした。
やっぱり、りんちゃんに対して不安なのです。
こんな気持ちは身勝手なものです。
とてもりんちゃんに言えるものではありません。

まり花「はぁ、わたしって、こんな性格だったかな……」

まり花「ううん、難しい事はよく分かんない……これは前と一緒だね」

まり花「……明日は早いし、もう寝よっと」

まり花「……」

まり花「今日も隣にりんちゃんいない……」

~翌日~

凛「えっと待ち合わせは駅前よね……」

凛「それにしても、大分早く家を出てしまったわ、まだ時間的に余裕があるのに……」

凛「こんなに早く出ても、時間を持て余すだけ……あら」

まり花「あ、りんちゃんっ」

凛「レコード屋……?もう来てたの?」

まり花「うん、りんちゃんとのデート楽しみにしてたらね、早起きしちゃったの」

凛「そう……大分早い時刻よ?」

まり花「りんちゃんも早めに来たでしょ?」

凛「まあ、そうね」

まり花「じゃあ早速どっか行こ!」

凛「ええ」

まり花「どこがいいかなー、実はあんまり決めてなくって」

凛「レコード屋」

まり花「はい?」

凛「今日は、その、私にリードさせてくれない?」

まり花「りんちゃんが?」

凛「ええ、久々だし、その、だ、ダメかしら?」

まり花「そんなことないよりんちゃん!わたし、とっても嬉しいよっ!」ギュ

凛「だ、だからって民衆の手前で徐に抱き着くのはよして頂戴///」

~ブティック「ゲシュタルト」~

まり花「お洋服?」

凛「ええ、たまにはいいでしょう?」

まり花「そうだねえ、でもりんちゃん、ここって甘めのロリータ服で有名なお店だよ?」

凛「う……あ、貴方にはこういうのが似合うかと思って……」

まり花「りんちゃんったらあ、えへへ♪」

凛「み、店の前で突っ立っていたら他の客の邪魔でしょう……入りましょ」

まり花「うんっ」

わたしのためにりんちゃんが選んでくれたお店。
その事を思うだけで、わたしは笑顔になりました。

まり花「わあ、このお洋服可愛いよっ、まるで」

凛「まるでマカロンみたい?」

まり花「り、りんちゃん、先読みはダメだよっ!」

凛「ふふ……私は、レコード屋にはこれが似合うと思うのだけれど」

まり花「すごいふりふりだよう……でもはスカート短いだね、
    なんだかケーキの上のクリームさんみたいだよっ!」

凛「その例えはよく分からないけど……着てみてくれる?」

まり花「いいよっ」

まり花「じゃあちょっと待っててね」

凛「ええ」

まり花「覗いちゃダメだよっ」シャッ

凛「わかっているわ」

凛「……」

凛「……」

凛(普段通りのまりか……よね?)

凛(少なくとも私に違和感は無いし、彼女の楽しそうな表情は相変わらず可愛らしいし……)

凛(不安なら、私に打ち明けて欲しいものだけれど……)

まり花「りんちゃーん」シャッ

凛「あら、早いのねレコード屋」

まり花「うん、それでね、どうかな?似合う?」

凛「そうね……控えめに言って、とても可愛らしいわ」

まり花「えへへ」

凛「ちょっと回ってみてくれる?」

まり花「回るの?いいよっ、くるくる……」

凛「……」

まり花「どうだった?」

凛「Goodよ、レコード屋」

まり花「?」

まり花「じゃあねじゃあね、りんちゃんはこれ着てっ!」

凛「これ?フリル塗れの明るいロリータ系……最近だと所謂サークルの姫と呼ばれる愚昧な者らが着ている奴ね……」

まり花「りんちゃんが着たらとっても可愛いと思うんだよっ!」

凛「そ、そう?あまり似合わないと思うけど……貴方が言うならちょっとだけ……」

まり花「えへへ」

凛「の、覗きは愚昧だから禁止よ」

まり花「分かってるよりんちゃんっ」

凛「じゃあ、少し待ってて頂戴」

まり花「うんっ」

お洋服の着せ合いなんて、本当に久しぶりでした。
わたしはついついりんちゃんがあまり着たがらないだろうなっていうデザインのお洋服を渡してしまいました。
だけど、りんちゃんは嫌がったりもせず、優しいなって思ったのです。

凛「で、出来たけど」

まり花「ほんと?じゃあカーテン引いちゃうよっ!れっつおーぺん!」シャーッ

凛「ど、どうかしらレコード屋……へ、変じゃない?」

まり花「おお、りんちゃん、普通の女の子みたいだよっ」

凛「も、元から普通よ?」

まり花「うーんとね、破滅願望とかちゅうにびょーとかとは無縁みたいな……」

凛「な、何よそれ」

まり花「つまりね、すっごく可愛いよりんちゃーんっ!」ギュ

凛「ひゃっ!?」

まり花「可愛いよぉりんちゃんむぎゅぎゅぎゅ~」

凛「あ、あの、服が皺になるから……」

まり花「買っちゃえば絶対大丈夫だよっ」

凛「か、買うの?」

まり花「だって似合うのに―」

凛「う……わ、分かったわ、購入しましょう」

まり花「わあい」

凛「その代わり、貴方のも、よ」

まり花「えへー」ギュー

凛(全然離してくれないわね)

ついついりんちゃんに抱き着いちゃいました。
これも久々だったのです。
やっぱりりんちゃんは照れ臭そうにほっぺたを赤くしていました。
何度もしてるのに、慣れないのかな。
そんなところも可愛いと思います。
わたしも、気分がぽかぽかしてきました。
だから前みたいにりんちゃんにべたべた。

まり花「えへへ、りんちゃんっ♪」

凛「れ、レコード屋、人前で手を繋ぐのは……」

まり花「りんちゃんのおててあったかい♪」

凛「う……そ、それは貴方もでしょう」

まり花「そうだねえへへっ」

凛「もう……///」

まり花(だけど、嫌だとは絶対言わないんだよねりんちゃんっ)

そう、手を繋ぐのも久々です。
今わたしはとっても嬉しい気持ち。
でも、まだどこか不安な気持ちもありました。
こんなに幸せなのに、なんでだろう。
そんなに心配性だったかな……?

凛「それで、もうすぐ正午ね」

まり花「もうそんな時間?はやいねえ」

凛「ええ、だからお昼にしましょ」

まり花「わあいおひるー!」

凛「何がいい?」

まり花「りんちゃん決めてないの?」

凛「いえ……こういうのは、貴方の意見を尊重した方がいいかと思って」

まり花「りんちゃんったらやさしー」

凛「そ、そう?」

まり花「もうりんちゃん、そんな事気にしなくてもいいのにー」

凛「どうしても気になってしまうのよ……」

まり花「ありがとねりんちゃん、じゃあね、あそこがいいな」

凛「あそこ?確か最近開店した……」

まり花「えへへ、面白いかもよ」

凛「飲食店は当たり外れが激しいから不安なのだけれど……まぁ、いいわ」

まり花「うん、じゃあ早くいこー!」

凛「そんなに急がなくても、大丈夫よ」

~飲食店「でぃすとぴあ」~

凛「昼時の割にはそんなに混み合ってないわね……」

まり花「ラッキーだねりんちゃんっ」

凛「そうだけど、少し不安ね……」

まり花「えーっと、何がいいかなー」

凛「ハンバーグにパスタに、ドリアにエスカルゴ……イタリア料理店かしら?」

まり花「でもうどんとかカツ丼とかうな丼とかもあるよー」

凛「変な店ね……やっぱり不安になってきたわ……」

まり花「大丈夫だよっ!あの、すいませーん!」

凛「もう注文?」

まり花「うん!わたしねー、このお昼のケーキ!あとドリーソースのパスタ」

凛「それランチセットよ……私はそれの蕎麦セット」

まり花「おそば?それもいいね!」

凛「ええ、なんか物珍しくて……これにもケーキが付くの?」

まり花「わありんちゃん!今日はなんだかラッキーだね!」

凛「でも蕎麦とケーキって合わないと思うのだけれど……」

まり花「食べてみなくちゃ分かんないよっ!」

凛「そ、そう?だけど不安な気持ちは募るばかりね……」

まり花「大丈夫だよっ!絶対大丈夫だよっ!」

……

まり花「あむ……ふぉおおおっ!このケーキ美味しいよっ!甘い甘い生クリームがたっぷり載ってるよおっ!」

凛「そうね、ケーキは中々……でも蕎麦は微妙だったわ」

まり花「確かにパスタはパサパサしてたけど……でもケーキでチャラだよっ!」

凛(ならシャノワールに行けばいいのに、とは言わないでおきましょう……)

まり花「ほらりんちゃん、私のショートケーキ美味しいよっ」

凛「……私のモンブランを食べたそうな顔をしてるわね?」

まり花「えへへ、おひとくちいかが?」

凛「ふむ……ええ、いいわよ」

まり花「はいりんちゃん、あーん♪」

凛「や、やっぱりそうなるわよね……」

凛「あ、あー……」

まり花「ふふふ、はーい♪」

凛「あむ……」

まり花「おいしい?」

凛「ええ、とっても……かなり甘いわね、これ」

まり花「クリームがたっぷりだようっ♪」

凛「というか本当にクリームが多いわよねそれ……」

まり花「わたしはこういうのも好きだよー♪」

凛「ええ、知ってるわ」

凛「まぁそれはいいとして……ほら、レコード屋、口を開けて」

まり花「えへへへへ、あーんっ♪」

凛「あーん……」

まり花「あむっ!」

凛「どうかしら?」

まり花「えへへへ、とっても美味しいよりんちゃんっ!」

凛「そう……」

まり花(あ、りんちゃん、綺麗な笑顔)

その表情はわたしが前に何度も見たものでした。
だけど、以前よりも綺麗に見えて。
そしてどこか儚げで。
他の人が見たら、特に思わないのかもしれません。
でも、わたしは、そう思ったのです。

……

凛「ほら、いつもの河原よ」

まり花「うん」

凛「私、この河原を歩くの好きなのよ」

まり花「そうなんだ?」

凛「ええ、何らかの思考に耽る時、でも爽やかな風を感じていたい時とかぴったりで」

まり花「……」

凛「前は一人でいれば十分だったけど……今はそうではないの」

まり花「それって?」

凛「もう、分かっているでしょう?」

凛「貴方がいないと、嫌なのよ」

そう言ってくれるりんちゃん。
以前なら、えへへ、とわたしは笑みをこぼしたかもしれません。
勿論嬉しいんです。
でも、今のわたしは素直に受け止められなかったみたいで。
りんちゃんの笑顔だって、今にも掻き消えてしまいそうに思えました。
そう、また、わたしの前からいなくなっちゃうんじゃないかなって。
わたしの胸の不安な気持ちは募るばかりで。
デート中も溜まり続けていました。

凛「……?レコード屋……?」

折角のデートなのに、心から楽しめないなんて。
わたしって嫌な子。
りんちゃんにだって、申し訳ない。
こんな気持ちになってるのはわたしだけ。
どうしてだろう?なんでだろう?
いや、わかってるよ。身勝手な理由。だからすっきりしないんだ。

凛「どうしたの、レコード屋、急に……」

じっと見てくるりんちゃん。
その視線もなんだかわたしの内心を覗かれている気がして。
自意識過剰だよね。分かってる。分かってるのに。
まぜこぜになった感情。わたしにもよく分からなくなって。
だから、だから。

まり花「ふ、ふぇっ」

凛「っ!?」

気付いたら、わたしの瞳からは涙がぼろぼろと溢れていました。
それを見て慌てるりんちゃん。
りんちゃんは何も悪くないのに、わたしは泣くのをやめられませんでした。

まり花「ふぇ、ええ、ええん」

凛「ちょ、ちょっとレコード屋?な、何故泣くの?
  わ、私、何か気に障る事とか、しちゃったかしら……?」

まり花「ち、違うよりんちゃん、りんちゃんは、何も悪くないの」

凛「なら……」

まり花「だけど、その、ふぇ、ふぇえ」

凛「レコード屋」

まり花「あ」

優しくわたしを抱き締めてくれるりんちゃん。
ぎゅ、と力を感じます。
りんちゃんの体温は、とても暖かでした。

凛「話したくないなら話さなくてもいいわ……だけど、せめて、貴方が泣き止むまでこうさせて頂戴」

まり花「……うん」

わたしは暫くりんちゃんの胸で泣きました。
りんちゃんの体温は、わたしの心を解き解してくれるようで。
少しだけ、気持ちが楽になりました。

まり花「……あのねりんちゃん、わたしね、不安なの」

凛「不安?」

まり花「うん……またりんちゃん、どこかに行っちゃうんじゃないかなって、
    またわたしの前から、いなくなっちゃんじゃないかなって……」

凛「レコード屋、私は……」

まり花「分かってるよ、でもね、どうしても、不安でしょうがなくって」

凛「レコード屋……」

まり花「どうしてかなあ?りんちゃんがそう言ってくれてるのに、わたし、どうして信じられないのかな?」

まり花「わたし、こんなに自分がやな子だなんて、思わなくて……ぐす」

凛「レコード屋、自分を責めるのはやめなさい、また泣いてしまうわよ」

まり花「うう、でもお」

凛「貴方の言い分は、分からなくもないわ、でも、まあ、改めて言いましょうか?
  私はもう、貴方の前から急にいなくなったり、しないって」

まり花「りんちゃん」

凛「信じてもらえない?」

まり花「信じてるよ!でも、まだ、なんか」

凛「ふむ……では行動で示してみましょうか」

まり花「こうどう?りんちゃ、あ」

ちゅ、と柔らかい感触がわたしの唇を塞ぎました。
それは、やっぱり久々のわたしとりんちゃんのキスだったのです。

まり花「ん……」

凛「……ふう、ど、どうかしら?」

わたしとりんちゃんがキスしていた時間はそれほど長くはありませんでした。
でも、久々のキスでわたしはまた気持ちが満たされた感じがしました。
そして、りんちゃんの存在をはっきりと感じる事もできて。
だけどまだまだ足りません。
わたしはじっとりんちゃんを見つめながら言いました。

まり花「りんちゃん」

凛「な、なに」

まり花「もっと……もっとして欲しいなあ」

凛「……それって、続きも?」

まり花「……好きにして、いいよ」

凛「……わ、分かったわ」

まり花「りんちゃん」

凛「じゃ、じゃあ、一旦私の家に行きましょうか、私しかいないし、幾らやっても平気よ」

まり花「何回もするんだ?」

凛「そりゃそうでしょう……以前だって、一回通りで終わった事はあまり無かったでしょう……」

まり花「そうだねえ」

凛「それに……私が貴方のそばからいなくなったりしない事を、しっかりと教えてあげないといけないものね?
  ねえ、まりか」

まり花「あ、り、りんちゃん」

凛「ま、まあ、道端で話すのもアレだし、早く移動しましょう……」

まり花「りんちゃん顔あかーい」

りんちゃんの部屋は、何一つ変わっていませんでした。
スペックの高そうなパソコンも、本がぎっしり詰まった本棚も。
前にりんちゃんの部屋に行った時と同じです。
そして、わたしも数え切れないくらい使った暖かそうなお布団も……。

凛「座って」

まり花「うん」スッ

凛「それで……まり、か」

まり花「り、りんちゃん」

いつの間にか目の前にあるりんちゃんのお顔。
相変わらず綺麗だな。
りんちゃんが積極的なのは、ちょっと珍しい。
わたしが我儘言ったからだよねっ。

凛「あーっと……何か気の利いた台詞を吐こうと思ったのに、忘れてしまったわ……」

まり花「じゃあシンプルなのでいいよっ」

凛「シンプル?」

まり花「折角だし、わたしから言うね、あ、我儘言ってもいいかなっ?」

凛「ええ、構わないわ」

まり花「えっと……りんちゃん、わたしの前からいなくなっちゃやだ」

凛「いなくならないわ」

まり花「ずっとわたしのそばにいて欲しいんだよう……」

凛「そ、それって、なんか、一種の告白にも聞こえるけど……」

まり花「そう受け止めてもいいよ?えへ」

凛「ま、全く……じゃあ、私はシンプルに言うわね」

まり花「うん」

凛「……あ、愛してるわ、まりか……」

まり花「りんちゃん……んん……」

それからしばらく、わたしとりんちゃんは激しく愛し合いました。
もう何度もしたことなのですが、飽きたりはしないのです。
それどころか、もっともっと欲しくなるくらいで。
りんちゃんに愛してもらう事に満たされていく気持ちはわたしながら単純だなあ、って思います。
でも、そんな細かいことが気にならなくなるくらいには、幸せだったのでした。
もちろん、一方的にされるだけじゃなくて、わたしからもしました。
相変わらずびくびくするりんちゃんは可愛かったです。
こういうのもわたしの気持ちを満たしてくれて。
なんだか不安な気持ちもかなり薄くなっていました。
完全に無くなった訳ではないんだけど。
愛って、こんな単純な感情だったのかなあ?

凛「……はぁ、疲れたわ……」

まり花「そうだねー」

凛「……これで、不安じゃなくなったかしら?」

まり花「うーんとね、大分マシにはなったかなって」

凛「マシって……まだ不安なの?」

まり花「まぁこれは、りんちゃんと毎日触れ合う事で徐々になくなってくものだと思うんだよっ」

凛「そう?」

まり花「だからー、ね?りんちゃん」

凛「ま、全く……私が嫌って言うはず、無いじゃない」

まり花「えへへへ、りんちゃーん♪」ギュ

凛「むぎゅ」

まり花「りんちゃんあったかーい♪」

凛「あ、貴方が暖かいのよ……もう」

まり花「ねえりんちゃん、もうお疲れ?お腹すいた?」

凛「い、いえ、まぁ疲れてはいるけど、大丈夫よ……」

まり花「そう?じゃあ、もっとしよ!夜中までいっぱい!」

凛「う、ま、まあいいけど……貴方も元気ね」

まり花「りんちゃんとすると、とっても幸せな気持ちになるんだよっ!」

凛「それは私もそうよ」

まり花「えへー」

凛「でも、依存し過ぎるのもちょっと考えもので」

まり花「大丈夫だよっ!絶対大丈夫だよっ!」

凛「い、言うと思ったわそれ、んん……」

~後日~

凛「……」

一舞「やっほりん」

凛「あら洋服屋、何か用?」

一舞「用っていうか、まりか知らない?さっきから携帯にメールしてるのに返事無くってさ」

凛「ああ、レコード屋なら私の部屋で寝ているわ……」

一舞「やっぱりあんたの家にお泊りしてたんだね」

凛「ええ、これで一週間目かしら?」

一舞「毎晩激しそうだね?」

凛「まぁそれは……って言わせないで頂戴///」

一舞「あははは、ラブラブだしっ」

一舞「最近まりか幸せそうでさ、よかったし」

凛「ええ」

一舞「あと常にりんの話をしてくるね」

凛「そうなの?」

一舞「まぁ、人のことは言えないから、勘弁してやるし」

凛「貴方の関係も変わらないわね……」

一舞「りんだって、そうじゃん?」

凛「そうかしら」

一舞「そうなの!」

まり花「あ、イブおはよー」

一舞「おっすまりか……もうお昼だよ?」

まり花「昨日いっぱいしてたから眠くって」

凛「は、はっきり言わないで頂戴」

まり花「えー?事実だよ?わたしとりんちゃんはずーっと一緒なんだもんっ!」ギュ

凛「あうう」

一舞「んー……なんか、更にバカップル度が増した気がするし……前のは一種の倦怠期?」

凛「いや、それは違うんじゃないかしら……」

まり花「何にせよ、大丈夫だよっ!絶対、大丈夫だよっ!」

一舞(強引に〆たなあ)

おわり

お疲れ様でした
TODからひなビタTシャツが発売されていますよ

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