久「清澄高校の端緒」【咲】 (44)

京太郎「清澄高校麻雀部黎明」【咲】
京太郎「清澄高校麻雀部黎明」【咲】 - SSまとめ速報
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上記の久視点です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493125494



『全国大会で優勝できたきっかけですか?』

『はい。失礼ですが、無名だった清澄高校が、優勝まで辿り着いたきっかけがあれば是非とも教えて頂けないかと。』

『それは、簡単ですよ。ある1人の部員が入部してからです。
そこから、清澄高校麻雀部は始まったと言っても過言ではありません。』

『それは、―――』




今でも、鮮明に思い出せる。昨日のことのように。
それは、晴れた春の出来事だった。

若い草の芽ものび、桜の咲き始める、季節が今年もやってきた。

我が清澄高校には新たに320名が入学した。
その中から、麻雀部に興味を、関心を持ってくれる人は何人いるのだろうか?

議会長権限でどうにか廃部は免れているが、今年入部希望者がいなければ、廃部となってしまう。
そうなれば、夢でもある全国制覇にも手が届かない。

「はぁ。弱気になっちゃ駄目ね。まだ、入部希望者が0っていう訳でもないのに。」

そう言って、自分に活を入れる。



でも、心の何処かでは諦めている自分がいる。


去年はやっとの思いで、実家が「Roof-top」という雀荘を営んでいる“染谷まこ”を入部させられることができたのだ。

今年はいないのかもしれないという暗雲に包まれる。

長野で麻雀をやるならば強豪校―――名門風越女子か龍門渕―――に向かうだろう。



部室がある旧校舎から少し距離がある所からは、部活勧誘の声が聞こえる。

今日で、4日も経ったというのに、戸が叩かれる気配がない。


部員が少ない上に、生徒議会で忙しく十分な勧誘もできていないので、
叩かれる事自体が稀有なのだが。

それでも、期待というもの人はしてしまうものだ。



権限で強制的に入部させても、意味がない。

それでは、2年前と同じ轍を踏むことになる。

それだけは、避けたい。

何よりも、目標であり、夢でもある全国制覇を成し遂げるためには、経験者のほうが望ましい。


と、物思いに耽っていた時だった。


何か視線を感じる。

入部希望者か見学者かしら?と思い、振り返ってみる。

そこには、金髪の少々あどけなくも、体付きはしっかりとした、青年が佇んでいた。



「部活動見学者かしら、それとも入部希望者? 」

そうであって欲しいという願いで聞いてみる。

只の希望的観測でしかないが。

この際、男子生徒だからといって拒否をしてはいけない。

仲の良い女子生徒を連れてきてくれるかもしれないという思いにフタをする。


「いや、違うんです。迷子を探していて。」

現実というものは非情で
世知辛いものである。

「そうなの。」

表情が変わっていないか不安になる。

残念そうな表情を見せるわけにはいかない。

あからさまに目の前でがっかりされると辛いのだ。

私にも経験があるので、そんな思いをさせたくはない。



さて、どうしようかと頭を悩ませていると、向こうから質問が飛んできた。

「此処は一体何をするんでしょうか。」

先程、迷子を探していると言っていたからか、よく確認もせずに入ってきたのだろう。

意外とおっちょこちょいというか、可愛らしい所があるものだ。


「麻雀よ。知ってるかしら?」

現代の大人気競技となった麻雀。今や知らない人はいないとでも言えるモノ。

「耳にしたことはある程度ですね。細かいルールは知りません。」

男子麻雀の黄金期から結構な時が経った今では、男子が麻雀から離れていても可笑しくはない。

実際に、男性雀士の数は年々減少傾向にある。

「そう。なら、教えて上げるわ。其処の卓の椅子に座って。」

あわよくば、このまま麻雀に興味を持ち、入部してくれたらという思いを秘めつつ話を進める。

>>1
正確には久視点のようなものになります。


「麻雀は、四人制で行うの。その中で一番得点が高い人の勝利。
使うものは雀牌と言われる萬子、索子、筒子、字牌の四種類、百三十六枚を使用するの。そして、役を作って和了る。ここ迄は良いかしら?」

そういえば、麻雀の説明って初めてじゃないかしら、

中学時代は、他の子がやっていたし、高校に進学してからは言わずもがな。


「はい。」

物覚えはいい方なのかしら?

「ふふっ、続けるわね。萬子、索子、筒子は数牌と呼ばれ各種に一~九まで区別されているの。
字牌はそれぞれ東、西、南、北の四風牌、白、發、中の三元牌に分けられるのよ。
これらを様々に組み合わせていく競技よ。分かったかしら?」



私って、教師に向いているのかもしれない。

そう思うほどに良く出来ている。我が事ながら自分の才能が恐ろしいわね。


「はい。あの、その役って何種類あるんですか?」

「良い質問ね。一般的に採用されているのは三十八種類よ。ローカル役を含めると大凡九十近くね。」

役の数を教えると、驚いた表情を見せてくれる。

慣れてる此方からすれば、何てことはないが、初心者でもある彼からすれば驚天動地なのも頷ける。

「そんなにあるんですか!?」

実際に大会で採用されているのは、一般に普及してる38種類。

国際大会ともなると、話はまた別となるが。


「といっても一般的な三十八個だけで十分よ。本当なら、体験させてあげられたらいいんだけど……」

本当に、惜しい。

まこが居てくれたら、彼にも実際に触れさせてあげれるのに。

麻雀の楽しさを教えてあげられる絶好の機会を逃してしまうなんて。


「ごめんなさいね。本当なら二年生の娘がもう一人居るんだけど、今日は家庭の事情で来れなくて。
せめて三麻だけでも体験させてあげられたら良かったのに。」


幸運の女神は前髪しかない。それを掴み損ねた者に次はない。


「なら、明日はその先輩は居るんですか?」

「え?」


逃したと思っていた幸運の女神は私にもう一度微笑んでくれるらしい。



「ですから、明日はその、三麻?でしたっけ。それは出来るんですか?」

思い掛けず彼を抱きしめてしまいたい感情に駆られるも、それを押さえ込む。

「えぇ!明日なら出来るわ!私が、どんな事をしてでも、らt,連れてくるわ!」

「今なんか、不穏な言葉が聞こえた気が……」

「気のせいよ。気のせい。」


どんな事をしてでも明日は、まこを連れてこなくてはならない。




「俺、一年生の須賀京太郎って言います。」

彼が、自己紹介をしてくる。
もしや、私自己紹介してない?

「へ?……そうね、自己紹介がまだだったわね。
麻雀部部長で生徒議会長を務めてる三年の竹井久よ。
よろしくね、須賀くん。」


思いがけず興奮して、失敗したわ。という囁きは聞こえていないだろうか?

聞かれていたら、結構恥ずかしい。


「それでは、また明日来ます。」

「えぇ、待ってるわね。明日こそ須賀くんに麻雀の楽しさをお姉さんが教えてあげるわね。」

ウィンクをしながら彼―――須賀くん―――を見送る。



明日は大きな仕事ができた。

思わず笑みが零れそうになるのを抑える。

事がうまく運べば、部員が増えることになる。

まぁ、女子じゃないのがネックだけど。それには目を瞑りましょう。

我儘を言える立場ですらないのだから。




「あぁ、まこ。丁度良かったわ。今日は部室に顔を出しなさい。」

「いきなり、何を言うとるんじゃ?」

探していた相手は、見つかった。まこを、部室に来るようにしなければいけない。


「何って、言ったままよ? 今日は、部室に顔を出しなさい。」

「なんでじゃ。まさか、入部希望者でも来たとか言うんじゃなかろうな?」

「惜しいわね、見学者よ。その子は麻雀をやったことのない、初心者なのよ。
昨日来てくれたんだけど、流石に打たせることはできなかったわけ。
それで、今日も来るみたいだから。三麻でも、ってね。」

昨日起きたことを説明する。

「ほんまか?」

疑い深いわね。

「本当よ。だから、本日は部活にくるように。分かったわね?」

「あぁ、了解じゃ。これで、おんしの夢じゃった女子団体での全国制覇に近づいたのぅ。
楽しみが増えたのぅ。なぁ、部長。」

「そうかもしれないわね。それじゃ、放課後に会いましょう。じゃーね。」

嘘は言っていないわね、嘘は。

「おう。放課後な。」

まぁ、誰も女子生徒だなんて言ってないんだけどね。


さてと、まこは今日は来る。

あとは、須賀くんの為に簡単な役一覧表を完成させないとね。





「どんな奴なんじゃ、その女子は?」

「んーー。そうね、見ての楽しみね。きっと、驚くわ。」

「そうか?驚くほどか。」

「えぇ。」

驚くでしょう、女子だと思ったら来るのは、男子生徒なんだから。


というか、本当に須賀くんは今日来るのかしら。

昨日のあれはリップサービス所謂、お世辞だったのかしら。

あ、ヤバイ。舞い上がってたのかしら私って。


ドアがノックされ、昨日の声が聞こえる。

「失礼します。」

そこには、昨日の彼―――須賀京太郎―――がいた。

笑みが零れそうになる。来てくれるかどうかで不安になってた私がなんだか阿呆みたいだ。

「待ってたわ、須賀くん。こっちが昨日言っていた二年生の染谷まこよ。」

「おい、部長。わしは、一年生の初心者と三麻やるっちゅうから来たんじゃが、男子生徒とは聞いとらんぞ。」

「だって、言ってないもの。昨日来た一年生と三麻を今日やるから、と言っただけよ。」

「はぁ、お主は。わしの名前は、染谷まこじゃ。よろしくの。」

「は、はい。一年生の須賀京太郎です。よろしくお願いします。」

「自己紹介も終わったみたいだし、早速三麻を打ちましょう。」


まこがぶつくさ言いつつ、手伝ってくれる。

なんだかんだ、手を貸してくれるまこは、出来た可愛い後輩だ。


「あの、俺にも何か手伝えることはありますか?」

そんな折、須賀くんが手伝いを申し出てくれる。
とは言っても、手積みではないので準備なんてすぐに終わる。


「いいから、須賀くんは座って待ってて。」
「京太郎は、待ってんしゃい。準備は先輩たちに任せときぃ。」


まこと、ハモる。
中々のコンビネーションじゃない?と目で訴えるも、まこはこちらを見向きもしない。


ぐぬぬ。なんて可愛げのない後輩なのかしら。

さて、須賀くんに飲み物を渡したことで、準備が終わる。

競技中に食事は許されていないが、飲み物を飲むことまでは却下されていない。


長丁場となる麻雀では集中力を維持するために。
また、脱水症状を防ぐという理由で飲料の持ち込みは許可されている。


「それじゃ、三麻のルールを説明するわ。三麻の場合昨日教えた萬子の二~八が除外されるわ。また、北牌については今回、共通役牌として使用するわ。
それで、須賀くんにはこれを渡しておくわ。」

そして、ここで登場するのは、竹井久が手作り、『初心者でも理解る、麻雀役一覧』

創作期間1日を費やして創った大作よ。


「これは、なんですか?」

「役の一覧よ。例も載ってるわ。これを参考に打ってみてちょうだい。」

「なに、今回はゆっくり慌てず打ってみるとえぇ。時間はたっぷりとあるけぇ。」

 
三麻 が 始 ま る 。

 
 

須賀くんは、初めての麻雀ということもあってか視線を私お手製の役一覧と手牌を行ったり来たりしたり、長考したりする。

仕方がないのかもしれない。


他にも部員がいたら、実際に須賀くんの前で打つことができるのに。

彼はろくにルールを教えれていない。

心配である。彼はちゃんと楽しめているだろうか。

ある程度のルールは把握してくれただろうか、と不安が積もる。

小さい子をみる母親というのはこういう気持ちなのだろうかと思っていると、此方をニヤニヤと見てるまこと視線が合う。


―――何かしら?
―――いや、何も。
―――何も無いっていうことではないでしょ。ニヤニヤして。
―――ほんに、気にすることじゃないんじゃ。

アイコンタクトで会話をしていると、不意に須賀くんが声を上げる。

「あ。」

何かしらの役が出来たのかしら。


「どうかしたの、須賀くん。」

「何か役でもできたんか?」

「はい、出来ました。」

何ができたのかしら。ちょっと、興味がある。

そして、須賀くんは先程渡した、役一覧の一つを指す。

「えーっと、この、国士無双って奴ですね。」

指したのは一番上のモノだった。

まさか、初麻雀で役満それも、国士無双を和了るなんて。

「嘘。凄いじゃない、須賀くん!」

「初めての三麻で、というか、初麻雀で国士とはのぅ。」

 
 
私は須賀くんを褒め、まこは国士で和了ったことに驚いている。


そんな彼は、喜びを噛みしめるように小さくガッツポーズをしていた。

そして彼の口元には、小さな微笑が浮かんでいた。





切りが良い所で、休憩を入れる。

先程の国士で味を占めたのか、役満ばかりを狙う須賀くん。

うーん。仕方がないとは言え、そればかり狙っていては、分かり易い。


狙い撃ちとまでは行かないものの、中々和了ることができない時間が続いた須賀くん。

嫌気が差さなければ良いのだけど。

けれども、やはり。

須賀くんには悪いとは思うが、この部室で麻雀を囲えるのは嬉しい。


「やっぱり、三麻とはいえ、麻雀を打てるって良いわね。」

「そうじゃのう。家とは違い、学校で部活として打つのでは何とも言えない嬉しさっちゅうもんがあるのぅ。」

まこも、同じようだった。


私にとって、長い長い時間が過ぎて、漸く私はちゃんと麻雀を打てている。

雀荘で顔馴染みになった面子でも、知り合いのプロとでもない。


清澄高校の麻雀部として部室で打てるという喜ばしさが湧き出てくる。


「あの、この麻雀部って何か目標とかあるんですか?」

須賀くんが此方に質問を投げかけてきた。

「えぇ勿論。目標は、団体での全国制覇よ!
と言っても、五人制だから只の夢なんだけどね。」


そう、団体戦の必要最低限の人数は、5人となっている。

個人戦で、応募申し込みをしても意味は無いのだ。

私は、竹井久は、『清澄高校麻雀部』として、全国制覇を夢見ているのだから。



「まぁ、言うのは勝手じゃけぇ。減るもんでもないしのぅ。」

まこが、言うように言うだけならタダである。

勿論、言うだけで終わらせるきは毛頭無いのも自膣なのだが。

私とまこは、顔を合わせて笑い合う。


そうだ。まだ、何も終わっていない。

なにしろ、まだ何も始まってはいないのだから。


そう、意気込んでいると、須賀くんから衝撃の言葉が聞こえた。



「俺。この麻雀部に入部します。今日しか、まだ麻雀は打ってないですけど、楽しかったですし。」



あまりの展開に言葉が出てこない。

人はあまりにも驚くと言葉は出ないし、呼吸を忘れるようだ。


思考が再開される。


これは、本当に現実なのだろうか?

最近の生徒議会の多忙さ故に見える幻聴・幻覚の類ではないのだろうか?


そう思えるほどに、眼の前にいる彼の発言は予想を上回っていた。

「本当に?本当に入部してくれるの?」

私にとっては、棚から牡丹餅だ。

この後、如何に麻雀の楽しさを教え、素晴らしさを刷り込み、

麻雀部に所属した場合のメリットを示すかを考えていたというのに。


世の中はそんなに甘くはない。

本当のことなのかという不安に押しつぶされそうになる。


「そんな簡単に決めてしまってええんか?まだ、体験入部期間はある。
色々と周って見てから決めたほうがええんじゃないか?」

まこは、まこで、彼を労っている。


彼女の気持ちも分からなくはない。

まこは条件付きでこの麻雀部にいる。

このまま他に1年生が入部してこなければ、彼はこの部に1人になってしまう可能性がある。




今でこそ2人でも麻雀部として存在できているのも、廃部になっていないのも
私の、生徒議会長という肩書を十二分に活用してこその現状なのだ。

「いいんです。決めたんです。俺は、麻雀部に入部します。
久々にこんなに楽しいって思えたんです。
それに竹井先輩の夢である全国制覇を手伝いたいんです。」


そう、楽しそうに笑って言う彼に私たちは何も言えなかった。

「だから、これから、よろしくお願いします!竹井先輩、いや、部長!染谷先輩!」

何が同じ轍を踏むか、だ。

私は彼を、須賀京太郎を、策略を以て入部させようとしていた。

そんな事を思考させていた自分自身が恥ずかしい。

それでは、意味がないじゃないか。何れ、あの時のように幽霊部員になってしまう。


麻雀を楽しむことが大事じゃないか。楽しむという気持ちが大事なのに。

彼は、何かを忘れていた私にソレを思い出させてくれた。


「ううん。此方こそ宜しくね、須賀くん。入部したからには厳しくいくわよ。」

「わしにとっては、初めての後輩じゃ。頼もしくはないかもしれんが、宜しくのぅ京太郎。」



私達はその日握手を交わし、活動を終えた。





『全国大会で優勝できたきっかけですか?』

『はい。失礼ですが、無名だった清澄高校が、優勝まで辿り着いたきっかけがあれば是非とも教えて頂けないかと。』

『それは、簡単ですよ。ある1人の部員が入部してからです。
そこから、清澄高校麻雀部は始まったと言っても過言ではありません。』





『それは、大将を務めた宮永咲さんでしょうか?
それとも、副将を務め昨年のインターミドル覇者の原村和さんでしょうか?』

『いいえ、違います。
私達の、私の、清澄高校の麻雀部は、1人の男子生徒が部室に迷い込んだ所から始まりました。』



そう、それは桜が舞う季節のこと。

あの出会いから私の青春という幕が上がったのだ。






そして、私が知らず知らずのうちに彼―――須賀京太郎―――に、恋に落ちていた瞬間でもある。


カンッ


これにて、久視点は終わりです。

知らず知らずのうちに京太郎を目で追ってしまうヒッサとか
キャップとか、全国のおもちの雀士にデレッとする京太郎に不機嫌になる部長とか
合同合宿の際にパソコンを持ってくるように頼んだものの、
膝を壊した事を知って甲斐甲斐しく世話を焼こうとするおさげの似合う年上の女性とか

冗長になるので割愛しましたが。


だから、京久もっと増えろ。

続き期待

京豚ssならスレタイに書いとけクソ害悪が

なぜ割愛したのか

>>1です。
割愛したのが、なんか出来たんで投下します

私―――竹井久―――は、気になるヒトがいる。

そのヒトとは、とある麻雀部員で清澄高校の転機となった人物。

「だぁぁー。また、負けちまった。」

その人物は唯一の男子麻雀部員こと、須賀京太郎である。

1年生同士で打っていたが、決着はついたようだ。

「疲れたじぇー。京太郎、悪いがタコスを買ってきてくれー。」

「こら!ゆーき、駄目ですよ。今日初めて会った、須賀君にそのようなこと頼んでは。」

「そんな硬いこと言いっこなしだじぇ、のどちゃん。」

「ふふっ。二人共仲が良いのねぇ。流石同じ中学出身なだけあるわね。」

実際問題、この二人―――原村和と片岡優希―――は、仲が良い。
思いつき振り回す優希と振り回されつつも意外と面倒見が良い和。
非常に相性が良い二人だ。

「いえ、そんなことは。」
「私とのどちゃんはベストフレンドだじぇ。」

「それじゃぁ、俺はタコスでも買ってきますね。学食のメニューにありましたし、ずっと気になってたんですよねー。」

そして、気になってる子も思いの外気が利くというか、面倒見が良い。


理由を聞いたら、
「幼馴染の面倒見てたら、こういうことができるようになっちゃいまして。」

と言っていた。

いいなぁ、その幼馴染。私も面倒見てほしいなぁ。

グヘヘ。そしたら、あーんな事やこーんな事も。


「おおぅ。京太郎は話がわかるじぇ。頼んだぞ。」

「ゆーき!もう。申し訳ありません須賀君。」

「良いって、良いって。飲み物買う序だし。和は何か飲むか?」

「いえ、そんな。私は結構です。」

「私は、オレンジジュースが良いじぇ。」

「優希もああ、言ってるし。な。」

「……それでは、お茶をお願いしても良いですか。」



―――ほら、部長どうして欲しいんですか?教えて下さいよ。

―――よく出来ました。ご褒美をあげますよ。

―――部長、いや、久さん。俺、もう……我慢……出来ないッ

「任せろって。部長はどうします。」

ハッ。ヤバイ、妄想で話の半分も聞いてなかった。

落ち着くのよ、私。クールになりなさい。

恐らく、飲み物の話題。そして、何か欲しいものはあるか。

「私?私は、須賀くんにお任せするわ。」

正解の選択肢はこれね。

「一番難しいじゃないですか、ヤダー。」

「須賀くんのセンスが物を言うわねぇ。」

あ、ヤバイ。こんな軽口の応酬が、すっごい楽しいし、嬉しい。
こういうタイプじゃないって思ってたんだけどなぁ、私って。

「私も手伝います。任せっきりなのも嫌なので。」

「サンキュー、和。助かるよ。それじゃぁ、行ってきます。」

「行ってきますね。」

「タコス待ってるじぇー。」

「いってらっしゃい。気をつけてね。」

やるわね、和。

さり気なく手伝うことで高感度を上げ、同時に、二人っきりになれる。

ぬかったわね、私が行けばよかった。

「それにしても疲れたじぇー。」

「フフッ。お疲れ様。調子は中々よさそうね。」

「うおっ。流石は部長。よく見てるのは、京太郎のことだけじゃないんだな。」

え?何と言ったのかしら、優希は?

え?もしかしてだけど、気づかれてる?
すごい、恥ずかしいんだけど。

「どいうことかしら?」

「いやーそのまんまの意味だじょ。部長は京太郎の方よく見てるし。
対局中も視線を京太郎と行ったり来たりしてるし。」

嘘。私ってそんなに須賀くんのこと見てるのかしら。
バレない程度に抑えてると思ってたんだけど。

「そんなことは無いと思うけど。」

「いーって。気にすることないし。それより、部長は京太郎のこと好きなのか?」

意外と直球で来るわね。

「……そうね。きっと好きよ。1人の男性として。そいう優希はどうなの?」

「私?うーん、嫌いではないじぇ。
すごい美味いタコスを作れるようになったら考えてやらんでもないじょ。」

そんな人日本にいるのかしら?

「優希を唸らせる程のタコスを作れる人なんているのかしらね?」

「きっといるじょ。本場のメキシコとかになら。
そんなことより、部長は、京太郎の何処を好きになったんだ?」

須賀くんの何処を好きになったのか、かぁ。

「そうねー。私にも分からないわね。気付いたら須賀くんのことを目で追ってたわね。
これが、一目惚れなのかもしれないわね。」

柄でもないのは自分が良く分かってるし。

「部長って思ってたより乙女なんだな。のどちゃんも大変だじぇ。」

「それは、どういう意味かしら?そして、どうして和の名前がでるのかしら?」

「気にすることないじぇー。」

ちょっと気になるんだけど。
え?和もなのかしら? 嘘でしょう。



「買ってきました。」
「只今、戻りました。」

「お帰りだじぇ。さぁ、京太郎!私に、一刻も早くタコスを渡すんだッ!」

「はいはい。分かりましたよー。」

「ちゃんと、お礼を言うんですよ、ゆーき。」

うーん、そんな感じには見えないわねぇ。

「部長には、此方を購入してきました。」

「……水とは、まぁまぁね。」

「何でも良いって言ったじゃないですかー、ヤダー。」

和がどうなんて関係ないわね。
今は部活を楽しんで須賀くんと一緒にいれる時間を満喫しましょう。

カンッ


外で体育をしてるのは1年生かしら。元気ねー。

あの金髪の頭は須賀くんね。やっぱり格好いいわね。
此方に気づかないかしら。2階だし、無理かしら。

あっ、此方見た。手でも振ってみようかしら?

手を振ると、須賀くんもちょっと照れたように手を振り返してくれる。

やっぱり、可愛い所もあるなー。

「……ッ!……イッ!?」

もう、五月蝿いわね。もう少し静かにしてもらえないかしら?

「……けいッ!竹井ッ!?聞こえているか!」

「ハッ、ハイッ。」

「きちんと授業に集中するように。」

「はい、分かりました。」

怒られちゃった。
それにしても、須賀くんは楽しそうだなー

もいっこカンッ

以上です

なんかグダってごめんよ~

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