ウチウラの村を救え! (29)
pixivに投稿したものをこちらにも投稿したいと思います。
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ここはイズ地方。海に面した地方で漁業が盛んである。この話はイズ地方の小さな村ウチウラで起こった事件の物語である。
~ウチウラ村集会所~
千歌「おーい!果南ちゃん!梨子ちゃん!」
梨子「おはよう、千歌ちゃん。」
果南「お、千歌。今日も狩りに行く?」
千歌「うん!曜ちゃんも誘いたいんだけど、どこにいるかなぁ…?」
果南「曜は昨日の夜遅くまで狩りをしてたからなぁ。今日は寝てるんじゃない?」
千歌「そうかぁ…あれ?果南ちゃん大剣新しくしたの?」
果南「お!気づいた?そうなんだよ、昨日ようやくマボロシチョウが手に入ってさ。次で最終強化!」
千歌「ほえ~すごいなぁ果南ちゃんは。私じゃまだまだ追いつけないよ。」
梨子「この村じゃ一番のハンターだものね!」
果南「そりゃもちろん!まだまだ千歌や梨子に負ける気はないよ!」
鞠莉「ハァ~イ、果南、千歌!」
千歌「あ、鞠莉さん!鞠莉さんも一緒に狩りに行きませんか?」
鞠莉「いいわよ!ふふ、腕が鳴るわね!」
梨子「あれ?鞠莉さんもそのガンランス…」
鞠莉「オウ!気づいた?私もそろそろ果南と同じHR6ね~」
千歌「えぇ~鞠莉さんも?すごいなぁ…私も早く追いつきたいよ~」
果南「だから千歌と梨子のHR上げを手伝うんだよ!ほら、早く狩り、行こ?」
千歌「うん!」
鞠莉「レッツゴ~!」
千歌も自慢の片手剣を担ぎ、4人はクエストカウンターへ向かう。今日もとてもいい天気だ。絶好の狩り日和になるだろう。
同じ頃、ウチウラ村の村長の娘である黒澤ダイヤもまた、クエストに向かう準備をしていた。
ダイヤ「ルビィ!急ぎなさい!花丸さんと善子さんが迎えに来ていますわよ!」
ルビィ「わ、わかってるよぉ!」
ウチウラの立派な家元とは思えない慌ただしい朝に、姉である黒澤ダイヤは頭を抱える。
ダイヤ「はぁ…せめてもう少し落ち着いてくれたら…花丸さんに善子さん。ルビィを頼みますわよ。」
花丸「あはは…」
善子「でも、最近はアイツも的確な弾を打てるようになったわよ。段々とヘビィボウガンが板についてきたわね。」
ダイヤ「そうかもしれませんが…」
駄弁っているうちに当の本人、黒澤ルビィがお気に入りのヘビィボウガンを担いで降りてきた。
ルビィ「遅くなってごめん!お待たせ!」
善子「全く遅いわよ!朝イチが一番モンスターにたくさん出会えるんだから、早く集会所に行くわよ!」
花丸「あれ?そういえばダイヤさんは今日はどこへ?」
ダイヤ「私は今日、ヌマヅのギルド本部からお呼びがかかってきて、そちらに向かいますわ。」
花丸「はえ~~!さすが、ウチウラの綱元の長女ずら!」
善子「この時期だと春先の漁獲量の集計かしら?」
ダイヤ「ええ、それと、ウチウラ地区のモンスターの生息状況ですわ。一週間前から果南さんや鞠莉さん達に手伝ってもらい、完成したので。でも、おかしいんですの…今までにないほどモンスターの数が少ない。お父様に見せてみましたが、こんなことは初めてだと…」
ダイヤ「おっと、そろそろ時間が。では私はこれで。」
ルビィ「また今度、一緒に狩りに行こうね!お姉ちゃん!」
こうしてダイヤはヌマヅの集会所へ、3人はウチウラ村の集会所へ向かう。ぬけるような青空が4人を見下ろす。
ここウチウラは村の生計のほとんどを漁獲量が占めている。そのため、海の男たちは皆、魚を獲りに海へ出て、ついでにモンスターを狩ったりしながら生活している。そのため、この村で純粋にハンター稼業だけで生計を立てているのは、女性がほとんど。その中でもウチウラには特に強い9人のハンターがいて、他のハンターたちは彼女らを尊敬しこう呼ぶ。Aqoursと。
そんなAqoursの一員、渡辺曜は太陽が昇りきる頃にようやく目を覚ました。
曜「ううぅ~ん…」
昨日、HR上げのために昼夜を問わずぶっ続けで狩りを行ったためにさすがの曜も体に疲労を感じている。しかし、その疲労の原因は肉体的な疲労だけではないようだ。
曜(なんでだろう…?)
曜は昨日の狩りについて振り返ってみる。春先でモンスターも多いはずなのに、ほとんどモンスターがいなかった。森の中はいつも以上に閑散としており、モンスターの咆哮一つ聞こえない。
曜「昨日は骨折り損のくたびれ儲けだったなぁ…」
自嘲気味にそう呟く。そのときだった。
グラグラ……
曜「はっ!地震!?」
最初は小刻みな振動だった。てっきり、近くに大型のドボルベルクでもいるのだろうか、なんて思っていた。すぐに揺れは強くなり、曜は立っていられなくなる。ベッドの端に寄りかかり、揺れが収まるのをじっと待つ。
時を同じくして、こちらはウチウラ周辺の森丘。梨子の狙いすました曲射がジンオウガを撃たんとしていたその瞬間。
梨子「あれ?狙った場所と違う場所に?」
普段なら梨子の繊細な弓使いが狂いをもたらすことはない。しかし、事実狙った場所から3mもはずれてしまったのだ。
果南「梨子!しゃがんで!」
鞠莉「ワオ?地震?かしら?」
梨子が言われるままに座り込むとすぐに、下から突き上げるような激しい揺れ。
千歌「わっ!」
近くで立っていた千歌がバランスを崩し地面にぺたんと座り込む。ジンオウガの様子もおかしい。何かにおびえるように森の奥に逃げていく。4人はその様子をぼかんと見つめることしかできなかった。
ルビィ「今の揺れは大きかったね…」
花丸「でもウチウラで地震なんて珍しいずら。しかもこんなに大きい揺れは初めてずら…」
ウチウラの集会所はざわついていた。それも当然。ウチウラ村が誇る随一のハンター、Aqoursの面々でも経験したことのない揺れだ。周囲には悲鳴が飛び交い、その場に伏せる者、人を押しのけ一目散に集会所を出ようとする者、集会所はパニック状態だ。
善子「はいはい!みんな落ち着きなさい!」
善子は慌てふためく他のハンターたちに呼びかける。
ハンターA「わあ!あれ見て!Aqoursの善子様よ!」
ハンターB「本当だわ!スラッシュアックス使いの堕天使!善子様ー!」
たちまち周囲の黄色い声が違う意味のものになる。
善子「だぁぁぁぁぁ!もう!落ち着きなさいって言っているでしょうが!あと、私はヨハネ!」
なんて言いながらも顔はまんざらでもなさそうだ。花丸とルビィはこれ以上の騒動を避けるために静かに身を潜める。
ルビィ「お姉ちゃん…大丈夫かな…」
花丸「ダイヤさんは滅茶苦茶強いからきっと大丈夫ずら。」
そのときだった。
ハンター達「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
外から別の悲鳴が。慌てて花丸とルビィが外に出ると、さっきの揺れで暴れ出したのだろうか。ウチウラでも恐れられている轟竜ティガレックスの姿が!
花丸「行くよ!ルビィちゃん!」
ルビィ「オッケー!花丸ちゃん!」
息のぴったり合った2人の動作は非常に素早かった。ルビィがしゃがみ撃ちに移行し座り込む最中、花丸はご愛用のハンマーに力を溜めティガレックスへと駆け出し、タイミング良く力を解放!グルグル回りながら、距離を詰め、ティガレックスがこっちを向いたその瞬間、顎に強烈なカチ上げを決める!
花丸「ッずらぁ!」
ティガレックスは一瞬ひるんだが、カチ上げ後の隙を利用して花丸に飛びかかろうとする!
その瞬間、ルビィのヘビィボウガンが火を噴く!凄まじい威力を誇る弾の応酬に、たまらずティガレックスがひるんだ刹那、最大限に溜めた花丸のスタンプが頭を砕く!
たまらず森へ逃げ帰るティガレックスを見やり、花丸とルビィはハイタッチ。
花丸「やったねルビィちゃん!ナイスアシストずら!」
ルビィ「花丸ちゃんの一撃がなければできなかったことだよぉ…えへへ///」
たちまち周囲のハンター達は騒ぎ出す。それもそのはず。ものの数十秒でティガレックスを撃退したのだから。また騒ぎが大きくなりそうな集会所を目の前に二人は笑い合う。
一方その頃、ダイヤは緊迫したヌマヅギルド本部にいた。
ダイヤ「何ですの!?ウチウラのこの揺れは?」
ギルドマスター「前からこの村では予期されておったことじゃ……ついに伝説が現実となる……」
ダイヤ「いったい、それは何ですの?」
ギルドマスター「大海龍ナバルデウス……」
ダイヤが動揺する間にギルドマスターが指示を出す。
ギルドマスター「ウチウラ村は現時点をもって廃棄!村民の避難を優先しろ!」
ダイヤ「何をいっておられるのですか?村を破棄ですって!?」
ギルドマスター「残念だがこれは決定事項じゃ。君もウチウラ村に戻り、他の村民にこのことを伝えてはくれぬか?」
ダイヤ「お願いです!その判断、もう少し待っていただけないでしょうか?」
ダイヤは必死だった。生まれ故郷の村がなくなる。訳の分からないモンスターのせいで。そんなことを代々、ウチウラ村を守り続けてきた黒澤家が許せることではない。
ギルドマスター「……一週間だけ猶予をやろう。」
ダイヤ「ありがとうございます!」
すぐにAqoursのみんなに知らせなくては・・・!その思いでダイヤはウチウラへとひた走る。
曜「……」
曜「これはまずいね…」
曜が対峙していたのは尾槌竜ドボルベルク。こちらもさっきの地震のせいか、気が立っている。曜は地震の後、村のことが心配になって飛び出してきたら、普段は絶対に村の中にいないはずのドボルベルク。ここで戦闘になったら間違いなく家々は無事ではすまないだろう。そう考えた曜は、森の奥へドボルベルクを挑発して誘い出す。森へ入ったドボルベルクは曜を完全に敵とみなし、猛然と突進してくる。が、それよりも早く2度目の地震が2人を襲った。下から何かとてつもなく大きなものが出てくるのではないか、そう思わせるような破局的な揺れ。巨体を誇るドボルベルクの突進の方向を捻じ曲げ木に激突させるほどの揺れ。木にぶつかったドボルベルクは目を回している。その隙を曜は見逃さなかった。
曜「鬼人化ッ!」
曜の所持する双剣が赤く光る。凄まじい速度で攻撃する曜。曜は持ち前の瞬発力を生かして敵の隙を見逃さない。一度モンスターがひるむと素早く乱舞を叩き込み、一気に瀕死に追い込む。スプリンターとして優秀な曜が洗練した狩り技だ。
ブォォォォォ……
曜の双剣が元の色を取り戻すころには、ドボルベルクは森の奥深くへ逃げて行った。
曜「ふぅ…」
ひとまずほっとする曜。そこに何かが飛びついてきた。
千歌「曜ちゃん~!心配したんだよ~」
曜「千歌ちゃん///近いよ~///」
鞠莉「でも良かったわ、無事で。」
曜「鞠莉さん、果南ちゃん、梨子ちゃん!」
鞠莉「遠くからドボルベルクの悲鳴を聞きつけて駆けつけてみたら曜が一人でドボルベルクを狩っているんだもの!曜もそろそろHR6じゃないの~?」
Aqoursの仲間と合流できてほっとしたのか、しばらく時間を忘れて談笑する5人。
果南「さて、他の4人のことも心配だし、緊急事態だから早く村に戻ろ…っか…?ダイヤ?」
そこに現れたのは息を切らせたダイヤだった。
鞠莉「いったいどうしたのよ!ダイヤ!」
ダイヤ「急ぎAqoursのメンバーを集めてください。至急です!」
切羽詰まった様子のダイヤに5人はただ頷くしかなかった。
ダイヤはAqoursのみんなを十千万に集め、ギルド本部で聞いた一部始終をみんなに話して聞かせた。
善子「つ、つまり…」
花丸「私たちがそのなばるでうす?っていうのを倒さないと…」
ルビィ「この村が無くなっちゃうってこと!?」
ダイヤ「そういうことですわね。連日起こるこの地震の原因は恐らくそのモンスターが海底の岩盤に頭の角をぶつけているからだと。」
果南「陸上でこれだけの地震を起こすモンスター…いったいどんな大きさなんだろう…?」
ダイヤ「分かりませんわ。前々から出現は予期されていたものの、深海に生息しているため姿かたちは全くの不明。」
千歌「でも、倒すしかない!私たちが村を守らなきゃ!」
ダイヤ「その通りですわ!絶対に私たちが村を守りますわよ!」
「オー!」と声を掛け合い、みんなで固い握手を交わす。
ついに迎えた決戦の朝。他の村民たちは危険なため、一端別の村に避難している。がらんとした寂しげな集会所にダイヤ達はいた。
ダイヤ「いよいよ、今日ですわね…」
果南「できるよ、私たちなら。」
ダイヤ「ただ、一つ二つ心配が…」
鞠莉「何よ?」
ダイヤ「敵は深海…戦場にたどり着くまでに酸素玉が切れないか…そして、ルビィや花丸さん、善子さんたちが心配ですわ…彼女たちにはまだ早すぎるのでは…」
果南「じゃあ今更、危ないから来ないでって言って引き下がると思う?」
ダイヤ「それもそうですが…」
鞠莉「ダイヤは心配性ね?いざとなれば私の盾で守るわよ!」
ダイヤ「それなら…いいのですが。」
花丸「すいません!遅くなったずら!でも、これで空気の問題は解決ずら。」
息を弾ませた花丸が腕に抱えているものは不思議な形をしたお面のようなものだった。
善子「何よ、この汚いお面は。」
花丸「汚いなんて言っちゃダメずら!これは、マルのお寺に古くから納められていた由緒あるお面ずら!」
ルビィ「あ!私がかくれんぼしていたときに見つけたもの!」
花丸「その通り!じいちゃんが避難する前に渡してくれたもので、構造とかはよくわからないけどこのお面の中に大量の酸素を蓄えることが可能ずら!」
ダイヤ「でかしましたわ!全員このお面をつけて潜水。その後、戦闘中に酸素が足りなくなったら各自で酸素玉から補給!よろしいですわね!?」
8人「はい!」
ダイヤ「全員必ず生きて帰ること。条件はそれだけですわ!」
千歌「ここが私たちの正念場!私たちの村は私たちが守る!Aqours!」
Aqours「サンシャイン!!!!!!!!!」
あの地震は海の様子までも一変させたらしい。潜水した9人は目を疑った。本来なら、数えきれないほどの魚が見られるここウチウラの海。しかし、今はそんな賑やかな様子もすっかりなりを潜めてしまっている。不気味なほど静かな海をひたすら下へ、下へ。やがて、水深200mを過ぎ、9人はライトをつけて先へと進む。
1時間ほど潜っただろうか。
果南「あそこ!見て!」
果南が指差す先には広い空間が。海底遺跡だろうか。
花丸「すごい…お寺で見た文献にある通りだ…」
9人が雄大な海底遺跡に目を奪われていたその時。遺跡内に光が灯った。
ダイヤ「深海なのに…明るい…?」
ふとダイヤが上を見上げると、そこには眩い光を放つ「月」があった。
ダイヤ「皆さん!上ですわ!」
ダイヤは怒鳴りながら、さっと回避する。さっきまでダイヤがいた位置を「月」の尾びれがかすめる。
善子「こいつが…」
梨子「ナバルデウス…」
優に50mを超える巨体をうねらせる龍は、黄色く煌めく眼でダイヤ達を見下ろしていた。
鞠莉「こいつが震源ってわけね…」
果南「行くよ!鞠莉!」
鞠莉「ええ!ご挨拶よ!」
そう告げると鞠莉は怪物に向かって竜撃砲をぶっ放す。鞠莉はガンランスを使う上で無駄な動きが一切ない。彼女の行う動きの全てが攻撃・防御・回避につながっているのだ。洗練された動きから繰り出される盾と槍と弾の応酬はどんなモンスターでも黙らせる。
果南「食らえ!」
果南はその後すぐさま、大剣の溜め斬りを食らわせる。しかし、白き月はびくともせず、果南と鞠莉めがけて突っ込んでくる。しかし、これを2人はなんなくガードでやりすごす。
ダイヤ「畳みかけますわよ!」
ダイヤが腰から抜き放ったものは黒澤家に代々つたわる太刀。流れるような太刀裁きは、彼女が水中にいることさえ忘れさせるような動き。その動きから放たれる攻撃はすれ違いざまに対象のモンスターに傷を負わせるほど。すらり、と攻撃をかわした彼女の後には一条の赤い筋と悶えるナバルデウスの姿。
善子「やっぱり凄いわね…あの3人は」
ダイヤ「ひるみましたわ!まずは一回!」
曜「今がチャンス!鬼人化!」
凄まじい速度で近づき、曜が体勢を立て直そうとするナバルデウスを切り刻む。
梨子「危ない!曜ちゃん!避けて!」
狙いを曜へとつけた怪物の尾びれが迫る!
曜「痛っ!さすがに一撃が重いや・ってやばっ!」
ナバルデウスは尾びれを打ち付けた後すぐさま向きを反転、曜に向かって突進を繰り出す。
曜「この距離じゃ回避が…間に合わない・・・!」
千歌「曜ちゃん危ない!」
誰もが曜が力尽きてしまうと思ったその瞬間だった。
【♪♪♪体力回復(大)♪♪♪】
ルビィ「狩猟…笛…?」
音色の主は梨子だった。水中だと弓の飛距離は半減。防御が手薄なガンナーにとっては致命的だ。
梨子(これでもウチウラに来る前はカリピストだったんだから!)
そこで梨子が選択したのが狩猟笛。広いマップでしかも9人での特殊な環境での狩猟。梨子の美しい旋律が遺跡に、9人に響き渡る。しかし、笛は敵に狙われやすい弱点を持つ。
梨子「!」
自分に向かって突進してくる巨体を前に梨子に冷や汗が流れる。
千歌「させないよ!」
ルビィ「させません!」
千歌の盾突きとルビィの弾が頭に響いたのか突進をやめ、立ち止まる怪物。
曜「梨子ちゃん!ナイスアシスト!ありがとう!」
梨子は指をグッと突き出してそれに応える。
ダイヤ「油断禁物ですわよ!」
遺跡内を今度は赤い光が照らす。怪物が怒りに満ちた咆哮をぶつける。が、
【♪♪♪聴覚保護(大)♪♪♪】
善子「サンキュー、リリー!」
善子が剣モードに変換しながら叫ぶ。
善子「来なさい!デカブツ!」
猛然と突撃するナバルデウス!
善子「タイミングバッチシ!堕☆天!」
なんと突撃のスピードを読んだ善子はタイミング良く属性解放突きを繰り出し、鼻先で属性解放フィニッシュをお見舞い。
花丸「ナイスずら~善子ちゃん!」
善子「当ったり前でしょ!私を誰だと思ってるのよ!あと私はヨハネ!!」
ひるんだナバルデウスはゆっくりと後ろに倒れこむ。
ダイヤ「全員気をつけて!何かしてきますわ!」
ぐるりと一回転したナバルデウスは口元に膨大な水を溜め込んでいた。
鞠莉「全員避けて!」
高圧水流が辺り一面を薙ぎ払う。
ルビィ「うぅ…」
ダイヤ「ルビィ!しっかりしなさい!」
どこから飛んでくるかわからない高圧水流を避けるのは至難の技。しかも、鞠莉さんや果南さんのガードまで貫通する高威力。
花丸「ず~ら~☆☆」
千歌「大変!花丸ちゃんが気絶してる!」
ナバルデウスはそんな花丸に狙いを定め再び口元に水を溜め込み始めている。次の一撃を食らえば、ひとたまりもないだろう。そこに、飛来したのはバリスタの弾!
果南「させないよ!」
追撃弾を撃ちながら果南が千歌に合図。ナバルデウスがひるんだ隙に気絶した花丸を千歌が救出。ナバルデウスはゆったりと泳ぎながら果南に近づく。その瞬間!
善子「もう一発堕天しなさい!」
遺跡の側面から放たれたのは撃龍槍。絶大な威力を誇る槍が怪物の巨体を貫く。さすがにこれにはたまらず、苦しそうな悲鳴をあげるナバルデウス。
ダイヤ「一斉に攻撃しますわよ!」
9人が一斉に攻撃を仕掛ける。9人の使う武器はみんな違っていても、9人の想いは一つ。
Aqours「ウチウラ村は、私たちが守るんだ!」
怪物もかなり疲弊したのか立派な角も片方は折れ、身体のあちこちに傷が見られる。しかし凄まじい眼光を湛えた眼は衰えることを知らない。
だが、Aqoursのみんなもナバルデウスの動きがつかめてきたのか、だいぶ戦いになれてきた感じがある。梨子が回復や強化などのサポート中心で立ち回り、ルビィはバリスタを専門で扱う。一進一退の攻防が続き、ついにナバルデウスの動きが鈍くなってきた。
果南「もう少し!みんな最後まで気を引き締めていくよ!」
ここまでずっと常にモンスターのそばを離れず、回避、攻撃、ガードを一人でこなし続ける果南には、まだ疲れの色はない。ナバルデウスも満身創痍の身体に死力を込め、最後の怒りを体に滾らせる。深海に何度目かわからない赤い光が差す。
ダイヤ「最後まで気を抜かず!行きますわ!」
ダイヤの流れるような回避も未だに健在だ。
善子「いい加減!この村から出ていきなさいよ!」
強走薬を飲んだ善子がスラッシュアックスを振り回し、着実にダメージを与えていく。たまらず、ナバルデウスが首を振ったところにガツン!と梨子の狩猟笛と花丸のハンマーが決まる。水中だと言うのに打撃の音に衰えは見えない。
梨子「狩猟笛は吹くだけじゃないのよ!」
花丸「ズラッ!」
果南「ってい!」
果南の振り下ろす一撃が怪物の髭を完全に破壊する。
千歌・曜「「えい!」」
小回りの効くようちかコンビが背中の鎧皮を剥がし、
鞠莉「シャイニ~」
鞠莉のフルバーストが尻尾に傷を付け、
ルビィ「ッ!」
ルビィは正確な射撃で援護する。
ナバルデウスは一際大きい吼え声を上げると、最後の力を振り絞らんばかりに膨大な水量を口元に湛え始める。
千歌「ルビィちゃん!危ない!」
ルビィはちょうど回復薬を飲んでいたがために回避が間に合わない。
梨子「あの位置じゃ、水流で岩にたたきつけられる!毛がじゃ済まないわ!」
曜「避けて!ルビィちゃん!」
ルビィが避けようと動き始めた刻、怪物の口元から嵐のような水の帯が走る。深海を切り裂くその暴水は真直線にルビィを貫こうと疾る。
そのときだった!
ダイヤ「ルビィ!」
ダイヤが妹を突き飛ばす。
ルビィ「お姉えぇぇちゃぁぁん!!!」
荒れ狂う激流がルビィの目の前で姉を巻き込む。ダイヤの意識はそこで明滅し、目の前は真っ暗になった。
鞠莉「ダイヤが!いけない!」
果南「まずい!早く地上へ!」
言うが早いが果南がぐったりとして動かないダイヤを掴み、急速な浮上を開始する。ナバルデウスは再びハンターを殲滅せんと攻撃の準備を開始する。狙うは茫然自失となった黒澤ルビィ。
梨子「この距離じゃ誰もルビィちゃんのところまで行けない!ルビィちゃんしっかりして!」
ルビィ「お姉ちゃんが…私のせいだ……」
梨子の悲痛な叫びにもルビィは反応しない。
鞠莉「しっかりしなさい!黒澤ルビィ!」
何と鞠莉はナバルデウスの口元へ回り、激流が発射された瞬間、ありったけの力でその激流の方向を捻じ曲げ、間一髪でルビィの脇をかすめる。勿論、鞠莉も無傷ではすまない。しかし、そんなことを気にしていないかのように鞠莉は叫ぶ。
鞠莉「ダイヤが死ぬはずないでしょ!自分の姉を信じなさい!」
花丸「ルビィちゃん、しっかりするずらぁぁぁ!」
善子「敵は目の前にいるのよ!」
親友の2人が両脇からルビィを励ます。
千歌「誰一人!死なないってダイヤさんと約束したでしょ!」
「誰一人死なずに陸に帰ろう。」その心が折れかけていたルビィの心にもう一度火を付ける。
ルビィ「私が……やるんだ!お姉ちゃんも!村も!好きにはさせない!」
残り少ないバリスタの弾を震える手で発射台にセットする。スコープの先には怒りに震える白い巨神。でも、スコープの先には今まで一緒に狩りをして、助け合って来た仲間たちがいた。
ルビィ「頑張ルビィ!」
自分に奮い立たせるように声を張り上げるルビィ。ナバルデウスはゆったりと怒りに満ちた眼でルビィを睨み、近づいてくる。
カシュン!カシュン!バリスタを受けても怪物は留まらず、徐々にその距離を縮めてくる。
善子「最後の一発!食らいなさい!」
善子が放った撃龍槍は腹部を貫き、悲鳴をあげのたうつ怪物。
ルビィ「これで最後!」
ルビィの放った最後のバリスタは狂いなくナバルデウスの眼を射抜く。
ゴァァァァァァ!!!
断末魔の悲鳴をあげたナバルデウスはすごい勢いで泳ぎ去っていく。後に残ったのはどこまでも続く暗闇だけだった。
………
ここはどこ…?私は死んでしまったのでしょうか…?はっ!ルビィは? みんなは? 村は?
…………遠くから声が聞こえる。幼い頃から私の後を追いかけて、いつも私の助けとなってくれた妹の声が………
ルビィ「お姉ちゃん!!」
ダイヤ「………ここは…?」
果南「ダイヤの家だよ。」
ルビィ「うゎぁぁぁぁん!良かったよぉ!お姉ちゃん!」
ダイヤ「ちょ、ルビィ。いきなり抱き着いたら頭が…」
果南「おーい!みんな!ダイヤが起きたよ!」
鞠莉「わぁぁぁぁん!ダイヤぁ!」
襖を開け勢いよく駆け込んできたのは、鞠莉だった。
鞠莉「死んでなくて良かったぁ!ダイヤが言ったんだからね!全員で生きて帰りましょうって!」
果南「…何はともあれ、ホントに良かった……ダイヤ!」
ダイヤ「鞠莉さん!果南さん!私が死ぬわけないでしょう!?私は黒澤家の長女、黒澤ダイヤですわよ!」
ルビィ・鞠莉・果南「ダイヤぁぁ!」
いつまでも自分に抱き着いて泣きじゃくる3人にダイヤはあきれ顔だ。
ダイヤ「とにかく…」
ダイヤ「私たちの村を守りぬくことができて本当に良かったですわ…感謝します、皆さん。」
善子「マッタクー、私の剣捌きが特に光ってたわよねー!」
花丸「まーた善子ちゃんはそんなこと言ってるずら…」
9人の笑い声が屋敷に響く。時刻は朝の5時。稜線から美しく昇る朝日がウチウラの村を赤く染め上げる。
梨子「わぁ……綺麗……」
千歌「明日の夜は宴会だって!ナバルデウスが去って、魚やモンスター達も戻ってきたんだって!」
曜「それは楽しみでありますな!ヨーソロー!」
ダイヤは楽しそうに騒ぐAqoursのメンバーに優しい目を向ける。
ダイヤ「本当に…村を守ってくれてありがとうございます、皆さん。」
鞠莉「ノープロブレム!私たちは仲間じゃない!」
果南「そうだよ、ダイヤ。それにしても、モンスターが戻ってきたってことはまた前のように狩りができる!」
梨子「もう、果南さんは少し休まなきゃダメですよ。」
千歌「やっぱり私たちは9人で一つ!」
ニッと笑って、親指と人差し指を伸ばした手をみんなの前に出す千歌。8人もそれに続く。
千歌「アクア!」
Aqours「サンシャイン!!!!!!!!!」
9人の声が朝日煌めく海に響く。今日もきっといい天気になるだろう。
以上で終わりとなります。普段はpixivで活動しているので是非、そちらもご覧ください。
↓以下、私のURLです。駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
http://www.pixiv.net/member.php?id=23566584
サンシャイン×モンハンって面白いなぁ
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