サザエ「東芝が危ないんですって」カツオ「東芝のためにお金を稼ごう!」 (24)

サザエ「東芝が危ないんですって」

フネ「そうみたいだねえ」

サザエ「東芝にもしものことがあったら、私たちどうなっちゃうのかしら……」

フネ「そんなことを私たちが考えてもしょうがないよ」

フネ「私たちにできることは、今まで通り生活することだけだよ」

サザエ「うん……そうよね」



カツオ「……」

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カツオ「ねえねえ、どうしたのさ?」

カツオ「東芝って有名な家電メーカーだよね? 東芝になにかあったの?」

フネ「カツオ……いつからそこにいたんだい?」

カツオ「ちょっと前からだよ。で、東芝がどうしたの?」

サザエ「子供には関係ないの、あっち行ってなさい」

カツオ「ちぇ~っ」

カツオ「なぁ、ワカメ」

ワカメ「なぁに、お兄ちゃん?」

カツオ「お母さんと姉さんが話してたんだけど、東芝が危ないんだってさ」

ワカメ「えっ、危ないってどういうこと?」

カツオ「ようするに、赤字で潰れちゃうかもしれないんだ」

ワカメ「ええっ、大変じゃない!」

ワカメ「東芝が潰れたら、あたしたちどうなるの?」

カツオ「東芝はぼくたちのスポンサーだからね……」

カツオ「もしかしたら、番組が終わっちゃうことも考えられる」

ワカメ「そんなぁ……そんなのやだ!」

カツオ「ぼくだってやだよ」

カツオ「だからさ、ぼくらはぼくらのやり方で東芝の経営を応援しようよ!」

ワカメ「どうやって?」

カツオ「東芝は赤字、赤字ってのは儲けが少なくてお金が足りないってことだ」

カツオ「つまり、お金があればいいってこと」

カツオ「だからさ……東芝のためにお金を稼ごう!」

ワカメ「うん、やろうやろう!」

タラオ「ぼくもやるですぅ」

カツオ「タ、タラちゃん!?」

タラちゃん「ぼくも東芝のために、お金かせぐですぅ」

カツオ「いくらなんでもタラちゃんにはまだ早いよ……」

ワカメ「そうよ、ここはあたしたちに任せて……」

タラオ「やです、やです、ぼくもやるでぇす!」

タラオ「ぼくも入れてくれなきゃ、ママにいってやるです!」

カツオ「わ、分かった、分かったよ!」

カツオ「よぉし、三人で東芝のために頑張ろう!」


オーッ!

カツオ「お父さん、肩を揉むよ」モミモミ

波平「おおカツオ、珍しく気がきくじゃないか」

カツオ「その代わり、ちょっとお駄賃を……」

波平「やっぱりそれが目的か。ちゃっかりした奴だ」

ワカメ「お母さん、あたしが買い物行ってくるー!」

フネ「おや、いいのかい?」

ワカメ「うん、だけどお釣りはあたしのお小遣いにしていい?」

フネ「しょうがない子だね、まったく」

タラオ「パパ、肩をたたくです」

マスオ「いや、今日はそんなに疲れてないからいいよ」

タラオ「やです、やです、叩かせて下さい~」

マスオ「わ、分かったよ……タラちゃん」

カツオ「だいぶ貯まったけど……」ジャラジャラ

カツオ「東芝を救うには、まだまだ頼りないかなぁ」

ワカメ「うん……お父さんもお母さんもそう何度もお駄賃はくれないし」

カツオ「こうなったら仕方ない。よその家にも協力してもらおう」

カツオ「外に出て、仕事をさがすんだ!」

ワカメ「うん、分かった!」

タラオ「はいですぅ!」

裏のおじいちゃん「ほっほっほ、草むしりをしてもらって助かるわい」

カツオ「いえいえ」

カツオ「その代わり、少々お駄賃を……」テヘヘ

裏のおじいちゃん「もちろんだとも、ちゃーんと払うわい」



ウキエ「部屋の模様替えを手伝ってもらって、ありがとう」

ワカメ「どういたしまして」

ワカメ「よかったら、少しだけお金を……」

ウキエ「もちろん払うわよ。あれだけ働いてもらったんですもの」

タラオ「カツオ兄ちゃんとワカメお姉ちゃんは頑張ってるです」

タラオ「ぼくだけなにもしないわけにはいかないです」

タラオ「ぼくもなにかお仕事をさがすですぅ~」トテテッ

タラオ「あれれ? ここはどこですか?」



タラオ「うぇ~~~~ん! 迷子になっちゃったですぅ~!」

サザエ「タラちゃん!?」

タラオ「ママァ~~~~~!」

タラオ「会いたかったですぅ~!」

サザエ「こんなところでなにしてるの、タラちゃん!?」

タラオ「東芝のために、おかねをかせごうとしてたら……」ヒックヒック

サザエ「東芝のため!? ……ちゃんと聞かせてちょうだい、タラちゃん」

波平「バッカモン!!!」

波平「お前たちが東芝の人にお金を届けたところで、会社の人も困ってしまうだろうが!」

波平「よその人からもらったお金はちゃんと返しなさい!」

カツオ「はぁい……」

ワカメ「ごめんなさい……」

マスオ「まあまあお義父さん、カツオ君たちも東芝のためを思ってやったんですから」

フネ「そうですよ、あまり叱らないでやって下さい」

波平「うむ……ならばこの辺にしておくか」

波平「二人とも、誰かのために働くというのは決して悪いことではない」

波平「だが、お前たち子供にはまだ他にやることがあるのも事実だ」

波平「大人の世界に首を突っ込むのは早い」

波平「だから、とりあえず宿題を片付けてきなさい」

カツオ「うげ~」

ワカメ「あたしはもう終わっちゃったもん」

カツオ「ちぇっ、ワカメはしっかりしてるなぁ」

サザエ「あんたがしっかりしなさすぎなのよ」

アハハハハハ……

波平(とはいえ、ワシとて東芝がどうなるのかは気になるところだ)

波平(それにカツオたちの心構え自体は決して悪いことではない)

波平(とりあえず明日、会社帰りにでも東芝本社に寄って、挨拶してくるとするか)

浜松町――

波平「こんにちは」

東芝社長「これはこれは、磯野さん! お久しぶりです!」

東芝社長「近頃はゴタゴタして、そちらにも大変ご迷惑をおかけして……」

波平「いえいえ、とんでもない」

波平「ただ、うちの子たちも心配して、東芝さんのためにお金を集めようとして……」

波平「……ということがありまして」

波平「せめて、子供たちの気持ちだけでも伝えようと思いまして」

東芝社長「そうですか、ありがとうございます」

東芝社長「……」

東芝社長(カツオ君やワカメちゃん、タラちゃんがそこまでしてくれたなんて……)

東芝社長「今のままではいられんな……よーし頑張るぞ!」



この後、カツオたちの熱意が伝染したように、東芝は少しずつ経営状態を回復させていくことになる……。







おわり

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