キャンディアイランドの当然毒にも薬にもならないおしゃべり (20)


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります



----事務所----

ガチャ
かな子「お疲れ様ですっ」

杏「おつかれー……とうっ」ボスッ

智絵里「わっ!? び、びっくりしたぁ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491313977

かな子「杏ちゃん、そんな風にクッションにダイブしたら、危ないよ?」

杏「へーきへーき。このうさぎクッション、ふかふか具合には定評があるからね」

智絵里「確かに、気持ちいいよね。杏ちゃんがいつもそこで居眠りしちゃうの、ちょっと分かるかも」

杏「でしょー? 一家に一台、欠かせないアイテムだよ」ドヤァ

智絵里「私も、家にクローバーのクッションは持ってるけど……」

かな子「へえ、そうなんだ」

智絵里「でも、杏ちゃんのうさぎさんみたいに大きくないから……抱き枕代わりに使ってるんだ」

杏「あのカブトムシぐらいのサイズ? 莉嘉ちゃんが置いてるやつ」

智絵里「あ、うん。それくらい」

かな子「あのカブトムシは、この間ドッジボールに使われてたね……」アハハ

杏「そうそう。莉嘉ちゃんとみりあちゃんと、遊びに来た薫ちゃんとでね」

智絵里「危ないからって止めようとしたみくちゃんまで合わせて、ちひろさんに注意されてたね」

かな子「災難だったよね、みくちゃん……」

杏「まったく、子供たちは元気というか、やんちゃだねぇ」

杏「その点、うちのメンバーは穏やかでいいや。平和が一番」ウンウン

かな子「えへへ……そうだね」

智絵里「穏やか、かぁ……」ウーン

かな子「智絵里ちゃん? 何か考え事?」

智絵里「あっ、いえ……二人に、ちょっと聞いてみたいことがあるんだけど……」

杏「なになに? 仕事休むための相談とか?」

かな子「もう、杏ちゃんじゃないんだから、そんなわけないでしょっ」

智絵里「……あのね」

智絵里「私が、ロックなアイドルになったら……どう思う、かな?」

杏「」ブフォ

かな子「ろ、ろっく……!?」

智絵里「うん」

杏「ちょっ、一体どういう風の吹き回し!? 李衣菜のロックが伝染った?」

かな子「そんな、風邪かなにかみたいに……」

智絵里「えぇと。そう、きっかけは李衣菜ちゃんなんだけど……」

杏「やっぱりか」

いいね

智絵里「この間李衣菜ちゃんとお仕事で一緒になって、いろいろお話したんだけど」

智絵里「その時に、李衣菜ちゃんに言われたんだ。『ステージで高いゴンドラに乗ったりとか、バンジージャンプとか、大変な仕事でも進んで挑戦しようとする智絵里ちゃんって、結構ロックなとこあるよね』って」

かな子「な、なるほ……ど?」

杏「本当、二言目にはロックだよね、李衣菜は」

かな子「そ、それだけ李衣菜ちゃんにとって、ロックが大切なものなんだよ……きっと」

智絵里「で、でも、私はまだまだ自分に絶対の自信があるわけじゃないから」

智絵里「挑戦することがロックなら、私もロックなアイドルになれれば、もっと前向きになれるのかなって」

杏「うーん……間違ってはないような、けどやっぱ的外れなような……むむむ」

かな子「智絵里ちゃんは、今でも充分頑張ってると思うよ?」

智絵里「ありがとう、かな子ちゃん。……でも、私もアイドルの端くれだから。もっと自分を高めるために、出来ることはやってみたいなって」

かな子「智絵里ちゃん……!」

杏「いや、そうは言うけど。具体的に、どうやってロックなアイドルになろうってのさ」

智絵里「うん……。私も、ロックな音楽に詳しいわけじゃないから、まずは試しにギターにチャレンジしてみようかなって」

杏「……まあ、悪くはないか」

智絵里「思ったんだけど、でもギターは持ってないから、とりあえず最初は家にある楽器を練習しようと……」ガサゴソ

智絵里「これを持ってきたの」

杏「ってリコーダーかよ!?」

かな子「さ、さすがにそれはロックには遠すぎるんじゃないかな!?」

智絵里「うう……やっぱりそうかな?」プピー

杏「渋谷から原宿に行くのに山手線を逆回りで行くぐらい遠回りだよ……」

智絵里「でも、頑張って Twilight Sky のサビは吹けるようになったんだよ?」

かな子「本当!? 凄いよ智絵里ちゃん!」

杏「いや、曲目の問題じゃなくてさ」

智絵里「えへへ……李衣菜ちゃんと一緒に練習したんだっ」

杏「しかも本人の前でなんだ……。李衣菜はそれでいいのか?」

かな子「……あれ? 李衣菜ちゃんが一緒なんだったら、李衣菜ちゃんにギターを借りればよかったんじゃ……?」

智絵里「でも、ギターは李衣菜ちゃんが使ってたから」

かな子「そっか。じゃあ、セッションしたんだ」

智絵里「うん。こうやって、トン、トンって拍を取ってくれて」

杏「弾けよ!!」

かな子「でも、ギターって難しいよねぇ。私も、音楽の授業で少し触ったことはあるけど、全然出来なかったよ~」

智絵里「あっ、李衣菜ちゃんも言ってた。難しいって」

杏「ただリズムを刻むだけなんて、もうそれメトロノームの仕事じゃん……」

かな子「あの、振り子みたいな?」

智絵里「カチ、カチ、って鳴るやつだよね」

杏「そうそう。……メトロノームにリコーダーって、もうロックどころか小学校の音楽の話みたいになってきたぞ」

かな子「みんなで合唱とかやったよね」

杏「杏は、口パクでごまかしてたけどねー」

智絵里「杏ちゃん……小学校の頃から、そんな感じだったんだ……」

杏「まぁね」ドヤァ

杏「歌の授業の時、みんなでピアノの周りに集まって歌ってたんだけどね」

かな子「ああ、私のところもそうだったなぁ」

杏「杏、背が小さいからさ。うまいこと先生の死角に陣取れば、口パクでもバレなかったんだよ」

智絵里「さ、さすがだね」

かな子「ふふっ。でも、そんな杏ちゃんが、今や大勢のファンの前で歌うお仕事をしているんだから、おもしろいよねっ」

杏「ホントそれ。まったく、何の因果かってね」

智絵里「ステージの上で口パクしちゃ、駄目ですよ?」

杏「えー……別にいいじゃん。CD音源流しとけば、歌声聴けることには変わらないんだし……」

かな子「だーめっ!」

杏「ちぇー。……あっ、じゃあさ。ほら、フェスの時とか、マイクを客席に向けて、ファンにコールしてもらうの、よくあるじゃん?」

智絵里「あ、うん。確かに、見たことあります」

杏「……そんな感じで、ずーっとマイクを客席に向けっぱなしにしとけば、ファンが勝手に歌ってくれないかなぁ?」

智絵里「それってもう、杏ちゃんのライブじゃなくなってるんじゃ……?」

杏「いやぁ、これはこれで、案外ロックだと思うよ?」

かな子「そんなこと言ってたら、李衣菜ちゃんに呆れられちゃうよ」

杏「歌をセルフサービスにする代わりに、チケット代は超安い、みたいなさ」

智絵里「えぇ……。そんな、定食屋さんじゃないんだから」

かな子「配膳がセルフなお店はあっても、調理そのものがセルフなお店なんて無いでしょ?」

杏「くそぅ、今日のかな子ちゃんは的確にツッコんでくるなぁ」

かな子「そう? えへへ……」

智絵里「かな子ちゃんって、普段からいろんな人とお喋りしてるから、やっぱりトークとかも上手だもんね」

かな子「そ、そんなこと無いよ? お喋りするのは好きだけど、別に上手だなんて……」

杏「謙遜しなくてもいいのに」

智絵里「私はまだまだ口下手だから、かな子ちゃんのそういうところ、見習いたいなって思いますっ」

かな子「じゃ、じゃあ! 私も、智絵里ちゃんの頑張り屋さんなところ、もっと見習うよ!」

杏「……二人とも、杏のだらけたところも見習ってくれていいんだよ?」グデー

かな子・智絵里「なんでやねん!」ビシ

杏「あぅ」

杏「くそぅ……双葉杏の人類だらだら化計画、未だ道は遠く…………ぱたり」

智絵里「あ、倒れちゃった」

かな子「おでこの上に飴を置いたら、起きるかな?」

杏「……直接口に放り込んでくれれば、起きるよー」

かな子「ふふっ。杏ちゃんのそういう、ぶれないところは、見習わなきゃ、かな?」

智絵里「しっかり者なところとか、頭の回転が速いところとかも、ですねっ」

杏「はいはい。おだてたって、何も出ませんよーだ」プイ

かな子「照れてる照れてる」クスクス

杏「ていうか智絵里ちゃんは、杏じゃなくて、ロックなアイドルを目指すんじゃなかったの」

智絵里「あっ、そうでした」

かな子「うーん、私はやっぱり、いつもの智絵里ちゃんのままで充分素敵だと思うけどなぁ」

智絵里「そ、そうですか……?」

杏「そうだよー。今更ロック化なんて明後日の方向に突き抜けなくてもさ」

杏「今まで通り、ちょっと弱気で臆病だけど、だからこそ積極的に頑張れる智絵里ちゃんが、私はカッコいいと思うな。ギターを弾けるよりも、よっぽどね」

かな子「うん、うん! 杏ちゃんの言う通りだよっ!」グッ

智絵里「杏ちゃん……かな子ちゃん……!」

智絵里「私……カッコいいなんて言われたの、初めてだな……」テレテレ

かな子「でも、李衣菜ちゃんも『いろんなことに挑戦する姿勢がロックだ』って言ってたんでしょ? それって、そういうことだと思うよ」

杏「だね。要は見た目とか技術じゃなくて、大事なのはハートだよ」

杏「……って、言っててなんか照れくさいけどさ」

かな子「ふふっ。名言だね」

かな子「けど、いいと思うな。可愛いけど、ハートはロックなアイドル!」

智絵里「大事なのはハート……気持ち……うんっ」

智絵里「二人とも、ありがとうございますっ。私、立派なアイドルになれるように……」




ガチャ
卯月「お疲れ様ですっ!」



智絵里「ロッカーの気持ちになって、精一杯頑張りますねっ!」フンス

卯月「ぅえぇっ!? そ、それはやっぱり、荷物とか預かっちゃう感じですかっ!?」



おわり


ロック、ロックってなんだ

以上、お付き合いありがとうございました。


前作
キャンディアイランドのただただ毒にも薬にもならないおしゃべり

も、よろしければどうぞ。

乙です

おつおつ

乙乙
リコーダーをプピーって吹いてる智絵里を想像したら和んだ

かわいい(かわいい)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom