神谷奈緒「家の鍵忘れた」P「どうした?」 (475)


※ゆっくりと書いてきます
※台本形式

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491216226



〇某所 某アニメグッズショップ

奈緒「この限定BDボックス前からほしかったんだよなぁ、いくらだろ?」

サクラ〇戦 BD box ¥12,500

奈緒「うっ、ちょっと高いけど……今ここで逃したら次買えない気がするし……」

奈緒「もうっ買いだ、買い!!店員さーん、これくださーい!!」

アリガトウゴザイマシター



〇神谷邸前 18:30時

奈緒「うぅ、財布の中がすっからかんになっちゃったけど」

サク〇大戦 BD box

奈緒「でも、後悔はないな。むしろ満足だ!明日は休みだし今日はたくさん楽しむぞー!」

ガチャガチャ

奈緒「あれ?ドアが開かない、なんでだろ?」

奈緒「まあいいや、鍵もってきてるはずだしそれで開け、よ……」

ゴソゴソ

奈緒「あれ?あれれ?」

ガサガサ



奈緒「鍵、持ってくるの忘れた……」



奈緒「そうだ、お母さんに電話してみよう」

ポパピプペー

奈緒母「今日から町内会の旅行で3日間家空けるって、朝言ってたはずなんだけど」


奈緒「やばい、寝ぼけててちゃんと聞いてなかった……」

奈緒「もう、どうすんだよぉ」クスン

グゥー

奈緒「……お腹減ったし、先にご飯食べにいこう」トボトボ



〇某ファミレス 19:20時

奈緒「はぁ、これからどうしよう……」

奈緒「凛の家は……ダメだ、久々の休みだから明日家族でどこかに行くって言ってたし」

奈緒「加蓮は……加蓮も病院の定期検診に明日行くっていてたから駄目だな」

奈緒「あーもう、どうすんだよ……」

?「おっ、奈緒じゃないか」

奈緒「誰……ってプロデューサーさん!?」

P「おっす奇遇だな。とりあえず相席いいかな?」

奈緒「あ、どうぞ……ってそうじゃないそうじゃない、プロデューサーさんはどうしてこんなところに?」



P「いや、どうしても何も飯食いに来たんだよ。男の独り身だからな外食か出来合いのものしか最近食べてない気がするよ」

P「それで、奈緒はどうしてファミレスに?」

奈緒(どうせ本当のこと言ったら馬鹿にされるんだろうな……)

奈緒「別に、ちょっと余裕があるから外食でもー、と思っただけだし」

P「うらやましいなぁ。俺なんてまだPS4すら買えてないってのに」

P「まあ、腹も減ったし先にメニュー決めて頼んじゃおうよ?」





〇某ファミレス前 20:00時

P「いやー食った食った。このファミレス結構おいしいな、次もここに来ようかなぁ」

奈緒「あの、プロデューサーさん……ありがとう、奢ってくれて」

P「いやなに、担当アイドルの前で少し格好つけたかっただけだからいいよ」

P「それじゃ、俺明日も仕事だし帰るわ。久々の休日だ、奈緒も楽しめよ」

キュッ

P(踵を返して、家路につこうとした俺の袖を奈緒が掴んだ)



P「どうしたんだ、奈緒?」

P(うつむいて顔はよく見えないけど、湯気が出そうなくらいに耳まで真っ赤になってるのはわかった)

奈緒「……プロデューサーさん、お願いが、あるんだ」


奈緒「……今晩、泊めてほしいんだ」




〇某マンション P宅 20:40時

P「それにしても驚いたな。あの奈緒が『泊めて?』なんて言うんだもんな」

奈緒「わ、忘れろよ!!絶対に凛や加蓮には言うなよ!」

P「おう、気が向いたら忘れるよ」

奈緒「だから絶対だって言ってるだろ!」

P「はははっ、はいはい、わかりました」




P「でもさ、災難だったな。こんな日に家の鍵忘れるなんて」

奈緒「本当、今日ほど自分を呪った日はないよ」

P「それで、あの時ファミレスに俺が来なかったら誰のところに泊まろうとしてたんだ?」

奈緒「え、えっと……凛か加蓮の家に……」

P(なんて言うか、あれだな。奈緒は嘘が下手だよな)

P「……奈緒。怒らないから、本当のこと言ってごらん」

奈緒「……適当な安宿でも、とか考えてた」



P「あのな奈緒、俺の職業は何だ?」

奈緒「プロデューサー、だろ?」

P「そうだ。そしてプロデューサーってのは担当アイドルが困っているときに手を差し伸べるのが仕事なんだよ。だからな、今度から困ったときには頼ってほしいんだ」

奈緒「ん、わかったよ。次からはちゃんと頼むから」


とりあえず今日はここまで



〇某マンション P宅 21:00時

P「それにしても俺の部屋って殺風景だよな」

奈緒「それを自分で言うのかよ。でもそうだよな、娯楽品なんてテレビくらいしかないし」

P「ごめんな、こんな面白くない部屋で」シュン

奈緒「いや、別に責めてるわけじゃないから落ち込まないで!」アセアセ

P「うん、じゃあ落ち込まない」シャキ

奈緒「立ち直り早いな……っとプロデューサーさんあれ何?」



P「ん?あれはブルーレイデッキだけど」

奈緒「まだ使えるのか?」

P「おうよ!買ったけど仕事で時間なくて結局一度も使ってない新古品だぜ!」

奈緒「そうか、まだ使えるんだな……なあ、プロデューサーさんアニメ見ないか?」

P「見たいけど、俺アニメのディスクなんて持ったないぞ?」

奈緒「そこは心配ご無用、じゃじゃーん!!」



〇クラ大戦 BD box



P「おお、これまた懐かしいものを」

奈緒「なあなあ一緒に鑑賞会しないか、これの」

P「えーでも俺明日仕事……まあ昼出勤だし大丈夫か。いいぞ見るか」

奈緒「よっしゃ、そうと決まれば再生再生!」ポチットナー



〇某マンション P宅 02:00時

奈緒「あー面白かった、どうだったプロデューサーさん?」

P「……」zzz

奈緒「……やっぱりお仕事で疲れてるのかな?なんか悪いことしちゃったな……」

奈緒「お布団、持ってこなきゃ寒いよな」

奈緒「タオルケットと薄い毛布で足りるかな?」ファサ

奈緒「よしこれで……アタシは、ソファ借りればいいか」

不在の間にすごくスレ伸びてる...
この作品はあくまでも作者の「こういうのがあったらいいな」を書き連ねたものだから
ご都合主義なところは勘弁してください



携帯電話<pipipi!!pipipi!!

奈緒「おわぁ!!なんでこんな時間になるんだよ!?」

奈緒「はい、もしもし?」

凛「あ、奈緒?」

奈緒「凛か、どうしたんだよこんな時間に?」

凛「ちょっと心配だったから連絡したの。今日、家の鍵忘れたんでしょ?締め出されてないか気になって」

奈緒「ん?ちょっと待て、なんでそのこと知ってるんだ?」



凛「携帯の充電なくて私もさっき気付いたんだけど、奈緒のお母さんからメールが来てて……

『奈緒が家の鍵忘れて締め出されたみたいなんです。もしご迷惑でないのでしたら泊めてあげてくれませんか?』

みたいな内容だったから。こんな時間だけど確認だけでも取れたらなって思ったの」

奈緒「そうか、なんかごめんな無駄な心配かけちゃって。アタシは知り合い?の家にお世話になってるから大丈夫だよ、たぶん」

凛「なんで疑問形なの……まあ、大丈夫ならよかった」

奈緒「それじゃあ、次は P「おーいなおー、なおー」 ん”ん”っ、次は事務所でな、じゃあな!!」アセアセ

凛「あ、ちょっとま――――プツッ




凛「……今の声、プロデューサーの?」



奈緒「もう、なんだよプロデューサーさん」

P「でんき、けしてくれなぃか……」ムニャムニャ

奈緒「はいはい」

カチッ

奈緒「これでいいか?」

P「ぁぃがとー……」zzz

奈緒「どういたしまして、あとおやすみ、な」



〇某マンション P宅 07:00時

(・8・)チュンチュン…

P(ん、もう朝か......そう言えば昨日いつ寝たんだっけ?)

?「あぁ、目玉焼き焦げちゃったぁ」

?「って、お湯吹きこぼれてる!!」

pipipi!!pipipi!!

?「あー、トースト焼けた?」



P(誰か、いるのか?)

P「だ、れ......?」

?「あ、おはよ。起きたんだなプロデューサーさん」

奈緒「アタシだよ、奈緒だよ。というか『誰?』はないだろ、自分から部屋に招き入れといてさぁ」ヤレヤレ

P(奈緒『......今晩、泊めてほしいんだ』)

P「あーそういえばそうだった」

奈緒「まだ寝ぼけてるのか?とりあえず朝ごはんもう少しでできるから、顔でも洗って来いよ」

P「そうするよ……」


〇某マンション P宅 洗面所

P(あー冷水が沁みるなー)バシャバシャ

P(それにしても、あの奈緒が朝ごはん作ってくれるなんて、まるで夢みたいだ)バシャバシャ

P(家庭的な奈緒……そういった売り出し方もありかもしれないな。一応企画として進めておくか)バシャバシャ

P(しかし、なんだか今日の朝はいつもと違って気分がいいなぁ。なんでだろ?昼出勤だからかな?)フキフキ


――――――
P『くそっ!寝過ごした!!とりあえず寝ぐせ直して、顔洗って……あと書類持たなきゃ!朝飯は……今日も抜くしかないか……いってきます!!』
――――――


P(……違う、いつもみたいに慌ただしくないからだ。時間にゆとりがあって、それで心に余裕ができて……)

P(こりゃ奈緒に感謝しないとな)

奈緒「……なに鏡の前でぼーっとしてんだよ?朝ごはんできてるぞ?」

P「おう、すまん今行く」


〇某マンション P宅 食卓 07:30時

P「なあ奈緒、真っ黒いこれ何?」

奈緒「……ベーコン」

P「じゃあこれは?」

奈緒「……一応、目玉焼き」

P「……これは分かるぞ当ててやる、黒糖のふ菓子だろ?駄菓子にある」

奈緒「......、だよ」

P「え?」


奈緒「シュガーバタートーストだよ?悪かったな全部真っ黒コゲで!!」

P「なんか、ごめん」

奈緒「いいよ、別に謝らなくても......お母さんの手伝い何回かやったことあったから、このくらい余裕だろって侮ってたアタシも悪いんだし」

奈緒(でも、......こんな、はずじゃなかったのになぁ)

奈緒「最近、出来合いのものしか食べてないって言ってたから、ここらでマトモなの食べとかないといい加減体調崩すかなって、だから作ったんだけど......これだったら出来合いの方がマシ、だよな......」シュン

P(奈緒が、後輩や小さい子たちから慕われる理由がわかった気がする。純粋で優しいんだな、こいつは。料理はこんなだけど……)


グゥー

P「なんか腹減ってきたし、早速食べるか」

奈緒「食べなくていいから、こんなのだったらまだ出来合いの方が体にいいって」

P「そんなことないぞ?この料理には奈緒の愛情が詰まってるからな」

奈緒「はぁ!?そ、そんなモン詰まってねぇし!」

P「照れるなって、俺は全部知ってるんだからな?」

奈緒「て、照れてねぇし!てか、何を知ってるんだよ?地味に怖いな!?」


奈緒「もう、なんで朝からからかわれなきゃならないんだよ、最悪だよぉ」

P「ははは、すまんな。奈緒をからかうと楽し、ゲフンゲフン面白いからな」

奈緒「なんで言い換えた?しかも全然意味変わってないし!」

P「それもそうだな。まあ、とりあえず飯食べるか?」

P「あ、そうだ。冷蔵庫にヨーグルトとシリアルコーンとバナナが入ってたから持ってきてくれないか?」

奈緒「はいはい、わかったよちょっと待ってて」スタスタ


P(よし、これで準備は整った)

P(奈緒が見ていない今の隙に、俺の分そして奈緒の分合わせて2食分の朝ごはん(仮)を食べなければならない)

P(なに、簡単なミッションだ。しかし、妥協はしない。最初から全力で行かせてもらおう)

P(TRANS-AM?)

イタダキマス、バクバク、ゴクン、ガツカツ、ゴクン


奈緒「なあ、なんでアタシがヨーグルトとか取ってきてる間に、コゲた朝ごはんが全部なくなってるんだ?」

P「いやー、俺って結構食いしん坊でさ……待ちきれなかった?」

奈緒「へー、そうなんだ……っていう訳ないだろ!」

P「いやでも、すごい味がしたぞ?コゲてる割にあまり苦くないし、かといって甘くもしょっぱくもなく……独特の風味があって……ミステリアスな味だった」

奈緒「なんだよ『ミステリアス』って……別に無理して食べなくてもよかったんだぞ、あんなの」

P「せっかく奈緒が作ってくれたんだ、無理なんかしてないぞ?むしろうれしかった、ありがとう」

奈緒「か、感謝されるようなことなんかしてねーし!……あとで、ちゃんと胃薬飲んどけよ」


P「おう、わかってる。奈緒も早くシリアルコーンとヨーグルト食べちゃいな」

奈緒「……もしかして最初から、アタシに食べさせるつもりで取りに行かせたのか?」

P「そんなの、当たり前だろ」

奈緒「なんだか手の平で踊らされてるようで腑に落ちないけど……いただきます」ムッスー


〇某マンション P宅 09:00時

P「あー暇だなー……やることないなー」ゴロゴロ

奈緒「確かにな、平日だからアニメもやってないし......」

P「かといって時間も時間だから、あんまりお店もやってないだろうから遊びにも行けないもんな」ゴロゴロ

奈緒「そうだよな......あのなぁ、いつまでゴロゴロするつもりなんだよぉ?」

春休みだっていう設定です、脳内変換オナシャス

というか、「!」を打ち込んだつもりが気づいたら「?」になってる......
誤変換、申し訳ないです


P「でもよー、ほんとやることないんだよ」ゴロゴロ、ピタッ

奈緒「いつもは、昼出勤の時何やってるんだよ?それやればいいんじゃないのか?」

P「いつもは……何やってたっけな?」


――――――
P『せっかくの昼出勤だってのに、結局ぎりぎりまで寝ちゃってたな……やりたいこととかあったんだけどなぁ、洗濯とか掃除とか。……次の休日に持ち越しかな?いつになるかわからないけど……』

P『まあ仕方ないか、この業界休みは不定期だっていうし……何よりあいつらと約束したもんな、トップにするって。俺が、俺が頑張らないと……とりあえず会社に行くか』
――――――


P「……いつもゴロゴロしてるかな」

奈緒「はあ?そんなんだと運動不足になっちまうぞ?」

P「そこは……あれだ、営業とか売り込みで走り回ってるから、さ」

奈緒「走り回ってるのは変な黄緑色のプロボ〇クス(ト〇タ製)だけどな」


P「変とかいうなよ、あの社用車のプロ〇ックス(〇ヨタ製)はちひろさんのオーダーだって聞くぞ?」

奈緒「え……ちひろさんのセンスって最あ P「奈緒、ダメだ」」

P「それ以上はいけない」

奈緒「……うん」


〇某マンション近辺 路上  09:30時

P「えー、ということで私不肖プロデューサーは、アイドル神谷奈緒さんとともにお散歩に出ているのであります」ビシッ

奈緒「誰に説明してるんだ?プロデューサーさん」

P「わからん、なんとなく?」

奈緒「なんで自分でやっておいて首かしげるんだよ……とりあえず、適当に歩こうぜ」


P「そうだな、にしても久々だなこうやって時間に追われずに、景色を見ながらゆっくり歩けるのも」テクテク

奈緒「たまにはこういうのもいいだろ?アタシも暇なときは散歩することにしてるんだ」テクテク

P「何か理由とかあるのか?」

奈緒「息抜き、かな?新しいものや綺麗なもの、可愛いものを見つけて、それに感動したり癒されたり……そうやって自分の世界が広がっていくのが楽しいんだ」

P「……息抜き、か。なあ奈緒、今度暇なときは俺も散歩に誘ってくれないか?」


――――――
P『(頭痛いな、どこかで風邪ひいたかな?……あーPCのやりすぎで目も痛い……)』グゥー

P『(そういや朝から何にも食べてなかったっけ?どのみち胃が荒れてるからろくなもの食べれないだろうけど......スタドリ飲んでおけばいいか……)』

ちひろ『すみません、この企画を明日中に提出してほしいと先方から連絡がありまして……お願いできますか?』

P『ははっ、大丈夫ですよ、任せておいてください』

P『(今日も残業か......もうひと踏んばりだ、頑張ろう……)』
――――――


P(息抜きしないと、いつか潰れてしまう……)

奈緒「おっ、プロデューサーさんも興味わいたか?だったら、この間見つけた雰囲気のある喫茶店に連れて行ってやるよ!ついてきて!」タッタッタ

P「お、おい走るなよ俺革靴なんだよ?」タッタッタ

ヒャーッハッハッハー!!


〇某喫茶店内 11:30時

P「おぉ、こんないい店が近くにあったなんて、全然知らなかったよ」

奈緒「アタシも偶然見つけたんだけどさ、なかなかいい所だろ?」

P(静かで、落ち着いてて……日頃の喧騒を忘れるにはうってつけの場だな)

奈緒「でな、この喫茶店のマスターもすごく面白い人でさ……マスター!また来たよ!」


マスター「ウィ、なんだあの時の小娘ではないか。私のセレブな喫茶店に何の用だ?」(CV子安武人)



P「面白いというかなんというか……キャラが濃すぎやしないか?」

マスター「おい、そこのへっぽこと小娘、オーダーするなら早くしたまえ」

P「あ、じゃあ……アメリカンコーヒーとサンドウィッチで、奈緒はどうする?」

奈緒「じゃあアタシは……ス、ストロベリーサンデーとアイスティーにするよ」

A・T「す、ストロベリーと聞いて」ニュッ

S・M「サンデーと聞いて」ニュッ

K・M「甘いものと聞いて」ニュッ


マスター「アメリカンとアイスティー、あとサンドウィッチとストロベリーサンデーか……ウィ、承った。しばらく待っていろ」

P「……あのマスター、どこかで見たことあるような気がするな」

奈緒「案外芸能関係者だったりしてな、あそこ見てみろよ」

P(奈緒の指さす先には、きれいな額に入れられた写真が数枚貼ってあった)


P「あれは……プロジェクトフェアリーにジュピター、それに......芸能関係者との写真か」

P(その写真の全部が、どこにも出回っていないオリジナルのものだというのだから驚きだ)

奈緒「結構アイドル好きだったりしてな、あのマスター」

マスター「……待たせたな、セレブな私が作ったサンドウィッチとストロベリーサンデーだ。飲み物も置いておくぞ」コトッ

マスター「それでは、せいぜいゆっくりしていくがいい」


P「さて、いただくか……それはそうと奈緒、これからどうする?俺はこのまま事務所に行こうと思うんだけど」

奈緒「アタシは……そうだな、もう少しプロでユーサーさんの部屋にお邪魔になってもいいかな?」

P「それは構わないよ。そういうことなら、はいこれ」

奈緒「なんだよ?」

P「俺の家の鍵だよ。奈緒は、なんだかんだ言って信頼できるからな、預けておくよ」


奈緒「お、おう……」

奈緒(い、家の鍵預けるとかまるで、こ、こ、こい、恋人みたいじゃないか!///)

P「……どうした?顔赤いぞ」

奈緒「し、知らない!バカっ!」

P「えー、なんで……」


〇某喫茶店内 12:00時

P奈緒「「ごちそうさまでした」」

P「マスターお会計いいですか?」

マスター「ウィ、961円だ」

P(え、2人でこの値段て、安すぎない?)


P「じ、じゃあ千円で」

マスター「39円のおつりだ……またの来店、待っていないこともないぞ」

奈緒「なあマスター、最後に『あれ』、やってくれないか?」

P「ん?奈緒、『あれ』ってなんだ?」

奈緒「まあ見てればわかるって」

マスター「ウィ、仕方ないな……少しだけだぞ」


マスター「WRYYYYYYYYYY???????ッ!!」


マスター「月光蝶である!!」


マスター「殺人的な加速だ!!」


マスター「悪いことした人お手上げ―――はいナ――――――シ!撤収!!」


〇路上 12:15時

P「家にいるときでも、一応鍵は閉めておけよ」

奈緒「わかったって、プロデューサーさんは心配しすぎなんだよ」

P「うぐっ、これくらい普通だろ……」

奈緒「はいはい、フツーフツー……いい加減いかないと遅れるぞ?」

P「おっと、もうこんな時間か……いってくるよ」

奈緒「おう、お仕事頑張ってな」

奈緒「あと……い、いってらっしゃい///」ニコッ


〇某マンション P宅 13:00時

奈緒「さて、と……朝の料理は散々だったけど……」

洗濯物の山<面妖な!!

散乱した仕事の書類やゴミ<はいさい!!

奈緒「掃除や洗濯は毎日やってるからな、アタシにだってできるはず!」

奈緒「そうと決まれば、まずは洗濯からだ!」


奈緒「洗濯かごの中にたまってる衣服を……ワイシャツ、肌着とそれ以外に分けて……」

奈緒「先にワイシャツと肌着を洗濯機に入れて、コースは『おいそぎ』で回すか……じゃないと明日の朝まで乾かないかもしれないもんな。明日着るワイシャツなかったらプロデューサーさんも大変だろうし」

洗濯機<piーーー!!センタクヲハジメマス、ジャバー

奈緒「洗濯が終わるのは40分後か……その間にお布団天日干しするか!」


〇某マンション P宅 16:00時

奈緒「これは燃えないゴミだからこっちで……あーまたスタドリの空き瓶出てきたよ」

奈緒「もう何本目だよ、ほんとに……いつもこれしか飲んでないんじゃないのか?」

奈緒「しかも、カップ麺とかコンビニ弁当のゴミもたくさん出てくるし……コンビニ弁当に至っては全部食べれてないのもあるじゃんか」


奈緒「不健康な生活過ぎるだろ、まったく……今度はエナドリの空き缶発見」

奈緒「……胃薬も買いだめしてあるし」

奈緒(本当はこんなこと思っちゃダメなんだろうけど、鍵忘れてよかったのかもしれないな)

奈緒「こんな生活、見せられたんじゃなぁ……」


〇某マンション P宅 17:30時

奈緒「ふぅ、ようやく全部終わったなー」

奈緒「洗濯物は乾くの待つだけだし、部屋もゴミとか整理して掃除機かけて……ピカピカになったし」

奈緒「……ちょっとテレビでも見るか」ポチットナー

TV<「えー今日は家庭でもできる本格ベルギー料理を作っていきたいと思います。挑戦するのはワーテルゾーイです」

奈緒「料理かぁ……」


――――――
P『外食か出来合いのものしか最近食べてない気がするよ……』
――――――


奈緒(嘘つき、外食だってあまりできてないじゃん……スタドリばっか飲んでさ)

奈緒「もう一回、料理頑張ってみるか」


〇事務所 12:30時

P「おはようございます!」ガチャ

ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん」

P「あ、ちひろさんお疲れ様です」ニッコリ

ちひろ「あれ、プロデューサーさん今日はいつもより顔色がいいですね?」

P「本当ですか?息抜きできたからかな」


ちひろ「ふふっ、よかったですね……そういえば、あの企画書はもうできてます?」

P「もちろんですよ!ニュージェネとトライアドの合同フェス、しかも会場はドームの貸し切りでTVの生放送も来るって言うじゃないですか!抜かりはありませんよ!」

ちひろ「二週間近くかけて仕上げた企画ですもんね、きっとうまくいきますよ!」

電話<pipipi!pipipi!

ちひろ「はい、お電話ありがとうございます。こちら346プロダクション、千川と申します……はい、はい……わかりました。そのように伝えておきます。はい、失礼します……」


ちひろ「……先方さんからお呼び出しですよ、プロデューサーさん。合同フェスの打ち合わせがしたいとのことらしいです」

P「早速か……少し緊張するなぁ」

ちひろ「大丈夫ですよ!今やニュージェネとトライアドはAランクアイドルユニットなんですから」

P「そう、ですよね……よしっ、それじゃあ行ってきます」

ちひろ「頑張ってくださいね」


〇合同フェス会議室 14:00時

P「……最後にニュージェネレーションとトライアドプリムス、合わせて5人がステージで『STORY』を歌い、閉演のあいさつとMCを入れて終了という流れで進めていこうと考えております」

P(あれ?先方さんの担当者変わってる……前の人は結構うちの事務所ひいきにしてくれてたんだけどなあ……今回の人はどうなんだろ?)


フェス担当者「うーん……君、プロデューサーくんとか、言ったかな?」

P「あ、はい。何でしょうか?」

フェス担当者「この企画、まあ悪くはないね」

P「ありがとうございます!」

P(これは好感触だ!よっしゃ、家帰ったら奈緒に一番に報告してやろう!)


フェス担当者「だけどねぇ……今回の企画うちは降りさせてもらうよ」


P「え……」

P(いま、なんて……?)

フェス担当者「すまないが今回の企画はなかったことにしよう」

P「えっと、なぜだか聞いてもよろしいですか……?」

フェス担当者「『なぜ』か……まあ、一方的に断られたんじゃそちらも腑に落ちないだろうしね」


フェス担当者「プロデューサーくん、君はこの会議室に入ったとき、最初に何を感じた?」

P「それは……」

フェス担当者「『担当者が変わった』、そう思わなかったかい?それが答えだよ」

フェス担当者「大手○○エンターテイメントにわが社は吸収合併されたんだ。そして、経営陣はすべて一新さ。君の事務所とよろしくやってた連中も今はいない」

フェス担当者「それに、わが社の上層部は君たちの事務所のことが嫌いでね……ぽっと出の弱小プロダクションのアイドルがなぜか爆発的に人気を獲得している……そんな状況がとてもじゃないが受け入れられないらしい」


フェス担当者「単なる嫉妬だね。大手のくせにくだらない……まあ、これが今回の企画を白紙にしたり理由さ」

P「わかり、ました……」

フェス担当者「じゃあ、私はこれで失礼するよ……また機会があればよろしく、その時は『枕用』のアイドルでも用意しておくんだな」

ガチャ、バタン


P「……ッ!!」ガンッ

作者です
豆腐メンタルなんで「つまらない」とかやめて!
胃に穴あくどころじゃなくホントに死んじゃうから!!


〇事務所 19:30時

P「……、……」カタカタカタ

ちひろ「あ、あの……私、これで失礼しますね」

P「はい、お疲れさまでした」カタカタカタ

ちひろ「……あまり、自分を責めないでくださいね?」

P「わかってます……」カタカタカタ


ちひろ「……それじゃあ、お疲れさまでした」

ガチャ、パタン


P「……、……」カタカタカタ

P「……、……」カタカタカタ

P「クッ……ッ……!」ガタガタガタ

P「ぐぅ……!」バン、バンバン!

P「俺は、俺が……もっと頑張らないと……」

P「……今日は帰るか……」


〇某マンション P宅 20:00時

P「……もう、家か」

P「そういえば、家に奈緒いるんだっけ……」

P(変な心配かけたくないし、いつも通りに振る舞うんだ)パンパン

P「よしっ……ただいま」ガチャ


奈緒「おっ、おかえりープロデューサーさん」ニコッ


P(エプロンでニッコリお出迎え奈緒だとォ!!誰がこんな高等テクニックを教えたんだ!?)

P「......可愛い」

奈緒「は、はあぁぁ!?い、一体何言ってんだよぉ!?」

P「すまないけど、もう一回『おかえり』をやってくれないか?」

奈緒「えっ!いや、でも……」

P「頼むよ!この通り!」


奈緒「い、一回だけだからな……」


奈緒「お、おかえり///」ニコッ


奈緒「あーもう!くだらないことやってないで早く入れよ!荷物、持ってやるから」

P「おっと、悪いな」

奈緒「気にすんなって、それとご飯、できてるからな」

P「え……また真っ黒いの?」

奈緒「今回は真っ黒くねえし!失礼だな、まったく!」


〇某マンション P宅 食卓 20:20時

奈緒「どうだ!ちゃんと料理できてるだろ!」ババーン

P「こ、これは……スクランブルエッグに野菜炒め、白いご飯にみそ汁……」

奈緒「どうだ?アタシのこと少しは見直しただろ?」

P「朝の一件で奈緒には料理できない属性が付与されたはずなのに、なぜだ!?」


奈緒「あ、朝のはちょっと調子に乗っただけだから……それに今の時代、クック〇ッドとかの料理サイトもあるんだし、あまり凝った料理じゃなきゃ誰だってこの程度はできるだろ?」

P「そういうもんか?」

奈緒「そういうもんだ」


グゥー

奈緒「お腹減ってるんだろ?食べようぜ?」

P「そうだな……」

P(ダメだ、誤魔化そうとすればするほどおかしなテンションになってく……様子、おかしいとか思われてないよな?)


P奈緒「「いただきます」」

P「へー、この野菜炒めってシーチキン入ってるんだ」パクッ

奈緒「お、おう……冷蔵庫の中にお肉なかったからさ、せめてシーチキンでも入れておこうかなとか思って」ドキドキ

P「もぐもぐ……うん、おいしいぞ、奈緒」

奈緒「ふ、ふん!!当たり前だ!」ニパー

P(言葉とは裏腹にめちゃくちゃ笑顔なんだけど)

奈緒「ささっ、どんどん食べろよたくさんあるから、な!」

P「あんまりせかすなよ、ちゃんと食べるって」


P(不思議とたくさん食べれるな、奈緒の料理……外食とかだったら胃が受け付けてくれない時もあったのに)

P「もぐもぐ……」

奈緒「でさー、卵焼きに挑戦したんだけどやっぱり難しいな。丸めるところで失敗して……だから今日はスクランブルエッグなんだ」

P「じゃあ、卵焼きは次に持ち越しだな……もぐもぐ」

奈緒「楽しみにまってろよ」

P「楽しみに待ってるよ」

卵焼きが簡単だと!?
あれは上手く丸められた試しがない……大抵ちぎれる


奈緒「ん~♪やっぱ自分で作ると料理もおいしく感じるよな」

P「もぐもぐ……」

奈緒「少し不安だったけど……うん、お味噌汁もおいしくできてるな!」

P「もぐ、もぐ……」

奈緒「……なあ、今日何かあったのか?」

P「もぐもぐ……」

奈緒「おーい、プロデューサーさん聞いてる?」

P「あ、すまん考え事してた……え、えとなんの話だっけ?」


奈緒「……ちょっと待ってろ、今、風邪薬持ってきてやるから」スクッ

P「い、いや、少しぼーっとしてただけだからさ問題ないよ、うん」

奈緒「うそ、本当はあまり調子よくないんじゃないのか?」

P「そ、それは……」

奈緒「風邪はひき始めが肝心なんだから……すぐ戻ってくるから待ってろって」スタスタ


P「奈緒、少し勘違いしてたな……本当は風邪じゃないんだけど……」

P「飯、食べて待ってるか……」

P「ずずっ……」

P(あ、味噌汁もおいしいな……なんて言うんだろう、温かみがあるって言うのかな……)

P「もぐもぐ……」


――――――
P『すみません!こちらのミスです!』

ディレクター『困るんだよなぁ、こういうことされるとさぁ……今回のでどれくらいの損害が出てるかわかってるの?』

P『申し訳ありません!本当に申し訳ありません!次回からはこのようなことがないように最善を尽くしますので……』

ディレクター『……次回があるなんて思ってんじゃねえよ』
――――――


P(大丈夫だ、今までだって一人で戦ってきたじゃないか……)


――――――
偉い人『使えないな君のところのアイドルは……外見がいいわけでもない、かといって優れた演技の才能もない……出来損ないばかりではないか』

P『(我慢だ、耐えろ……)』

偉い人『で、何人用意しているんだね?私のところに(枕として)寄越すアイドルは?』

P『……ッ!!』ギリッ
――――――


P(そうだ……一人で頑張ってきたんだ……)


――――――
P『よし、次の仕事は……』スクッ

P『(あ、れ?世界が歪んで……真っ暗に……)』

バタン

P『あーくそ、貧血か……最近食べても吐き出すことが多いから、鉄分とかあまり補給できてないのかな』

P『あともうひと踏ん張りだし、10分……いや5分休んだら再開しよう』

P『あいつらも段々人気出てきたし、俺が頑張って働かないといけないんだよな』
――――――


(だから……なのに……なんでだろう、今回は頑張れそうにもない……)

P(限界、なのかもな……体も、心もボロボロだ……)

P「俺、みんなのために頑張るから……だから、誰か俺を……支えてくれ……」

あれ?酉間違ってる......
すみません、上のヤツも作者が投下したものです


グイッ、ギュッ

P「え……?」

奈緒「……、……」

P「な、お……」

奈緒「こんなのアタシのガラじゃないって、わかってるんだけどさ……」

奈緒「いいんだよ、こんな時くらい泣いても……アタシが受け止めてやるから、さ」

P「ごめん……ごめん……」ポロポロ

P「……ははっ……情け、ないよな……こんな、大人にも……なってさ」ポロポロ

P「年下の……奈緒に……気……使わせちゃって……っ!」

P「でも……少しだけ……でいいから……!」

P「このまま……抱きしめて、いて……くれないか……っ!」ポロポロ

奈緒「ああ……」ギュッ


〇某マンション P宅 21:00時 

奈緒「はい、あったかいココア入れてきたぞ……少しは落ち着いたか?」コトッ

P「ありがとう……その、えっと、さっきのことなんだけどさ……」

P「気が動転してたっていうか、混乱してたっていうか、その、あれだ……見苦しいところみせちゃったな」

奈緒「別にアタシは気にしてないよ、誰だって辛くてクヨクヨしちゃう時はあるんだしさ」

奈緒「それに……少し嬉しかったんだ」

P「嬉しい?」

奈緒「ああ、さっきプロデューサーさんに『抱きしめてくれ』って言われたときにさ、始めて信頼してもらえたような気がして……あ、いや、今までが信頼されてなかったってことじゃないぞ!勘違いすんなよ!」

奈緒「ただなんて言うのかな……本当の意味で信頼してもらえた気がしたんだ」


P「本当の意味で……」

奈緒「昨日、プロデューサーさん言ったよな『俺はプロデューサーだから、困ったことがあったら頼ってくれ』って」

奈緒「確かにそうかもしれない。プロデューサーさんは大人でアタシらより何でもできるし、頼りにもなる」

奈緒「でもさ、その関係って結局一方通行なんじゃないのかな?」

P「……、……」

奈緒「アタシとプロデューサーさんの関係は、『担当アイドル』と『担当プロデューサー』。どちらか一方がいて成り立ってるわけじゃないし、どちらかが欠けても成立しないんだ」

奈緒「だから、今日プロデューサーさんがアタシを頼ってくれて、本当に嬉しかったんだ」

奈緒「これで正真正銘の『パートナー』って奴になれたんだな、ってさ」

P「……ぁ……」


奈緒「アタシこんなだからさ、あんま役に立つこととかしてやれないかもしれない」

奈緒「凛みたいにキレイな歌声で癒してあげられないし、加蓮みたいに可愛くもない……だけどさ」

奈緒「アタシ、ここにいるから……そばに立って、プロデューサーさんのこと支えるからさ……もっと頼ってほしいんだ」

奈緒「アタシじゃなくてもいい、他のアイドルの子たちでもちひろさんでもいいから……だから、もう一人で抱え込まないで、な?」

ガバッ、ギュッ

奈緒「ぷ、プロデューサーさん!?いきなり、なんだよぉ!?」

P「すまん……少しの間このままでいさせてくれ……」ギュッ

奈緒「う、うん……」

P「……奈緒、ありがとうな」

奈緒「……こちらこそ、ありがとう……今まで一人で戦ってくれて」

P「……おう」グスッ


〇某マンション P宅 寝室 23:00時

――――――
P「ベッドは奈緒が使うんだ」

奈緒「いや、プロデューサーさんだろ。今日くらいはゆっくり休めって」

P「だが、担当アイドルを床で寝せる訳には……」
――――――

P(なんてやり取りのすえに出した折衷案が……)チラッ

奈緒「こ、こっち見んな、バカッ!」

P(シングルベットで背中合わせにに寝ることだった)

奈緒「も、もっと詰めてくれないかプロデューサーさん、このままじゃくっついちゃう……///」

P「もうこっちも限界だよ、これ以上は落ちちゃうって」

奈緒「うぅ~、じゃあこのまま寝るしかないのか……恥ずかしい///」

P「恥ずかしいけどさ、明日も仕事あるわけだし……早いとこ寝ておかないと」

奈緒「そ、そうだよな……明日仕事だもんな」

P「じゃあ、おやすみー」

奈緒「お、おやすみ///」


P「……、……」ウツラウツラ

奈緒「ぁ、ぁぅ……」ドキドキ

P「……、……」ムニャムニャ

奈緒「ぅぅ……」モゾモゾ

P「……、……」zzz


奈緒(くぅ、なんでアタシがこんなに緊張してるってのに、プロデューサーさんは何も感じてなさそうなんだよ!)

奈緒(ていうか、もう寝てるし!あーもう、一人で振り回せれてバカみたいじゃんか……)

奈緒「納得いかない……なんでアタシだけこんなにドキドキしてるんだよ……」

P「……、……」zzz

奈緒「不公平だ、こうなったらプロデューサーさんもアタシと同じ目にあわせてやる……」

奈緒「まずは……」


ゴロゴロ、ギュッ

奈緒「う、後ろから抱き着いてみたりして……///」

奈緒「……、……///」

奈緒「いやいや!何にやってんだよアタシ!ただ、抱き着いてるだけじゃないか!」

奈緒「もう、なんだか疲れた……寝よう」

奈緒「……、……」ウズウズ

奈緒「……、……」チラッ

P「……、……」zzz

奈緒「ね、寝てるよな……」

奈緒「えいっ……」ギュッ

奈緒「……すぅ……」zzz


〇某マンション P宅 07:00時

P「やっぱりインスタントじゃ敵わないな、あの喫茶店のマスターのコーヒーには」ズズッ

P「奈緒はどうする?コーヒーにするか、それとも100%のオレンジジュースとかあるぞ?」

奈緒「……コーヒーでいい、うんと苦いのにして」

P「おう、……よしっと、はいどうぞ」コトッ

P「あと、飲みながらでいいから聞いてほしいんだが、今日のスケジュールは覚えてるか?」

奈緒「……10時からダンスレッスン、14時から雑誌の撮影だろ」

P「そうそう、それで雑誌の撮影には俺が引率することになってるから……」


奈緒「……なんだよ!なんなんだよ、もう!!」

P「ど、どうした?」

奈緒「なんでいつもみたいにからかわないんだよ!朝起きたらアタシがプロデューサーさんに抱き着いて寝てたっていうのに、まったくその話題には触れようとしないし!」

奈緒「プロデューサーさんにもなんだか気使わせてるみたいで、すごく恥ずかしいし!」

奈緒「もういっそ、これでもかってぐらいにいじり倒された方がまだマシだよ!」

P「え、えっと……うん、まあ、あれだな……」

P「なんだかいい匂いとかしたし、背中を預けれるくらいには俺も男として信頼されてるんだと思うと、少しうれしかったかな」

P「あといい匂いしたし」

奈緒「なんで二回も言ったんだよ……もう、何やってんだよ昨日のアタシ……」


奈緒「うぅ、恥ずかしい……恥ずかしすぎてもうお嫁にいけないよ……」

P「はははっ、それだったら俺が奈緒を貰ってやろうか、なんて……」

奈緒「えっ」

P「あっ」

奈緒「……、……///」

P「……、……///」


P「お、おおっと!も、もうこんな時間だ、今日は早番だからもう家出ないと、ま、まずいな!い、行ってきます!」アセアセ

奈緒「ほ、本当だ!いってらっしゃい!」アセアセ

ガチャ、バタン!

奈緒「うぅぅ……あ、アタシがプロデューサーさんのお嫁さんだなんて……」

奈緒「……、……」

奈緒「はぅ……///」ボンッ



――――――
P「はぁ……俺なに言ってんだろ……担当アイドル相手に」

P「でもなー奈緒って可愛いし、料理はまだまだだけど掃除とか洗濯とかは並みかそれ以上はできるし、こんな取り柄のない俺のことも気にかけてくれて、支えてくれるって言ってくれたし……」

P「……あれ?奈緒って結構嫁力高いんじゃね?」


〇事務所 

ちひろ(う~ん、おかしいですね……)

ちひろ(合同フェスの企画が打ち切りになったのは、確か昨日のはずなのに)

P「~~♪」カタカタカタ

ちひろ「なぜかすごく吹っ切れたような、いい顔してます……」ボソッ

P「何か言いましたか、ちひろさん?」

ちひろ「い、いえ、ただ昨日あんなことがあったのにプロデューサーさんが元気そうだったので……」


P「フェスのことは残念でしたけど、ここで止まっていてはあいつらと約束したトップアイドルにするっていう夢は実現しませんからね」

P「それに、そばで支えてくれるパートナーもできましたので、ちょっと意地っ張りなのがアレですけど……ってなんだか照れますね、こういうの」

ちひろ「よ、よかったですね!」

ちひろ(なに、なんなの、『そばで支えてくれるパートナー』って!?もしかして……)

ちひろ(こ、恋人とかそんな感じの関係じゃないですよね!?なんだかすごく気になりますね、それとなく話を振ってみましょうか……)


ちひろ「そ、そういえば昨日の朝に『息抜きできた』って話をしたじゃないですか、もしかしてどなたかと一緒に何かしたんじゃありません?」

P「え!?よくわかったですね、ちひろさんももしかしてサイキッカーだったり?」

ちひろ「い、いえ勘ですよ、勘」

ちひろ(あら……これは完全に黒ね、それにしてもプロデューサーさんのハートを射止めたのはどんな人なのかしら)

P「っとそろそろ時間なので、卯月と未央を迎えに行ってきますね」ガチャ

ちひろ「あ、お気を付けていってきてくださいね」


ちひろ「……とりあえず凛ちゃんにメールでもしておくかしら」ポチポチ


〇件の黄緑色プロボック〇車内

未央「んー……」

卯月「どうしたんですか未央ちゃん?」

未央「いや-毎回思ってるんだけどさー、この社用車の色ってなんかダサくない?」

卯月「ど、どうなんでしょう?私は嫌いじゃないですけど……」

P「おい未央今言ったことは絶対事務所では言うなよ、この車をオーダーしたのちひろさんらしいからな」


未央「うぇっ!それを早く言ってよプロデューサー!!危うく事務所で口にするところだったじゃん!」

P「はははっ、それだったら未央には伝えない方が良かったか」

未央「もー!いくら寛大な未央ちゃんでも今の発言は許せないよ!」

Pの携帯電話<メールダヨ、メールダヨ

卯月「プロデューサーさん、メール来てますよ?」


P「すまん、運転で手が離せないからちょっと読み上げてくれないか」

卯月「はい、じゃあ読み上げますね

『一回、家帰ってから事務所に行くことにするよ。戸締りはしっかりしたから安心して。
 あと、お昼ごはん用にお弁当……とまではいかないけどおにぎりとか作って持っていくから、カップ麺とか買うんじゃないぞ』

ですって」

未央「おやおや!プロデューサーも隅には置けないですなー、彼女?彼女でしょ?」

P「黙秘権を行使します……つーか彼女じゃないって」

未央「も~つれないなー、教えてくれたっていいじゃんかー!そうだ!しまむー、メールの差出人って誰だかわかる?」

卯月「えーっと、あ、これですね!差出人は……」


卯月「神谷、奈緒ちゃんです!」


〇事務所

奈緒「おーっす、おはよ……プロデューサーさんはいるか?」ガチャ

ちひろ「おはようございます、奈緒ちゃん。プロデューサーさんなら未央ちゃんと卯月ちゃんを迎えに行ってて……もう少ししたら戻ってくると思いますよ」

加蓮「おはよ、奈緒……事務所に来て早々にプロデューサーさん探すなんて、奈緒のプロデューサーさん好きにも困ったね」

奈緒「は、はあぁ!?べ、別に好きとかじゃねえし!ただちょっと用事が……ってあれ、凛は?」

加蓮「凛ならあそこにいるよ?ソファのところ」


凛「ふーん……」ゴゴゴ……


奈緒「凛、なんか怒ってるっぽくないか?あんなオーラ出してたら声かけにくいんだけど……」

加蓮「大丈夫怒ってないから、ちょっとめんどくさいモードに入ってるだけだよ」

奈緒「そ、そうか、じゃあちょっと声かけてくるな」

加蓮「ふふっ……なんだかおもしろくなりそうな予感」


奈緒「凛、おはよっす」

凛「……おはよう、奈緒」

奈緒「あのさ、家の鍵のことなんだけど……改めてお礼言いたくて、さ」

奈緒「心配して電話かけてきてくれて、正直嬉しかったよ……ありがとな」

凛「別に、お礼言われるようなことじゃないよ……それより、色々と聞きたいことがあるんだけど」

凛「家の鍵忘れてどこに泊まったのかとか、電話口で聞こえた声の人は誰なのかとか」ゴゴゴ……

奈緒「り、凛!とりあえずそのオーラ出すのはやめてくれ!べつにやましいことなんかなかっ……」


ガチャ

P「だー!!もう離れろよ!」

未央「かみやんとどんな関係なのか話してくれたら離してあげるってば!!」


凛「ねえ卯月、未央はどうしたの?」

卯月「あ、凛ちゃん……さっき、プロデューサーさんの携帯に奈緒ちゃんからメールが来たんですけど……
『一回、家帰ってから事務所に行くことにするよ。戸締りはしっかりしたから安心して。
 あと、お昼ごはん用にお弁当……とまではいかないけどおにぎりとか作って持っていくから、カップ麺とか買うんじゃないぞ』
という内容だったので、未央ちゃんが『二人の関係を暴こう!』って盛り上がっちゃったんです……」


凛「ふーん……ねえ奈緒、さっきやましいことはなかった、って言おうとしてなかった?これ、どういうことか説明してもらえる?」

奈緒「あ、あはは……とりあえず逃げる!」ダダダッ

ガシッ

加蓮「だーめ、逃げちゃダメだよ奈緒」

奈緒「か、加蓮まで……離してくれよー!」

凛「ちひろさん、会議室は今空いてるよね?」

ちひろ「はい!今の時間は大丈夫ですよ、思う存分使っちゃってくださいね」

凛「ん、ありがとうちひろさん」


〇会議室

凛「奈緒は昨日、一昨日とプロデューサーの家に泊まっていたってことで間違いない?」

奈緒「そ、そうだよ……家に鍵忘れて締め出されちゃったところでちょうどプロデューサーさんに会ってさ」

凛「ふーん……それでプロデューサーの言葉に甘えちゃったんだ」

奈緒「だって、凛も加蓮も用事あるって言ってたからさ……迷惑かけれないかなって思って……」

加蓮「そんなこと気にしなくてもいいのに、って過ぎたこと言っても仕方ないか」

凛「うん、でもね加蓮の言うとおりだよ、奈緒のお母さんからメール来た時は本当にびっくりしたんだから」

奈緒「う、ごめん……」

凛「あとね、これ以上言うと長くなりそうだからやめるけど、一つだけ最後に言っておきたいことがあるんだ」ゴゴゴ……

奈緒「お、おう」


凛「ありがとう、奈緒」


奈緒「へ?なんで、アタシ?」

凛「さっきのプロデューサーを見て、加蓮は何か気付いた?」

加蓮「うーんと……やっぱり少し顔色は良くなってたかな、あと元気だったし」

凛「そうだね、私も見た感じ顔色は良くなってたって思う。でね、それってきっと奈緒のおかげなんじゃないのかな?」

奈緒「あ、アタシは何もしてないぞ?ただ、ご飯つくってあげたり、散歩に連れ出したりしただけでさ」

凛「ううん、それだけでも十分プロデューサーのためになってるよ」

加蓮「私たちなんて、奈緒の言ったこと何一つできてないんだもん」


奈緒「それだってたまたまアタシが締め出されて、プロデューサーさんにお世話になったからできたことだろ?」

凛「たまたまでも、だよ……それでプロデューサーが元気になって、そのきっかけが奈緒だったことに変わりはないんだし」

加蓮「そういう意味での、私たちからの『ありがとう』なんだよ」


凛「まあ、だからと言って奈緒に全部譲る気もないんだけどね」ゴゴゴ……

奈緒「は?いきなりだな……譲るって、何をだよ?」

加蓮「へー、ここで宣戦布告しちゃうんだ」ゴゴゴ……

奈緒「加蓮はなんだか納得してるし……ってち、ちょっと待て、二人ともなんだか怖いって」

凛「私ね、プロデューサーのこと、好きだよ……もちろんライクとしてじゃなくラブのほうで」

加蓮「私だって、ずっと夢見てた舞台に立たせてくれたプロデューサーさんのこと……大好きだから、凛にだって譲る気はないよ」


凛「奈緒は、どうなの?」

奈緒「はあ!?アタシ!?あ、アタシは別に好きとか、よくわかんねえし……」

加蓮「ふーん、奈緒はそれでいいんだ?」

奈緒「え?」

加蓮「後悔しない?」

奈緒「……、……」


奈緒(少し、そんな状況を想像してみる……)

奈緒(楽しそうに笑うプロデューサーさん、その隣にはアタシじゃなくて、誰か知らない女の人がいる、そんな状況)

奈緒(散歩して、ご飯作って、時には慰めたり……アタシと同じことをその女の人はするんだけど、プロデューサーさんはアタシの時よりもすごく喜んでる、そんな状況)

奈緒(正直、嫌だ)


奈緒「譲れない……たとえ凛や加蓮にも譲りたくない……」

凛「ふーん、じゃあ今からアタシたち三人はユニットの仲間でもあり……」

加蓮「恋のライバルってことだね!」

奈緒「て、手は抜かないからな!」

凛「正々堂々勝負、だよ!」


凛「(それにしても、私たちって本当に奈緒好きだなって思うんだ)」ヒソヒソ

加蓮「(ふふっ、確かに、わざわざこんな塩を送るような真似してね)」ヒソヒソ

あー、すみません書き忘れです……
修正版を後で投下しておきます

訂正版↓

〇会議室

凛「奈緒は昨日、一昨日とプロデューサーの家に泊まっていたってことで間違いない?」

奈緒「そ、そうだよ……家に鍵忘れて締め出されちゃったところでちょうどプロデューサーさんに会ってさ」

凛「ふーん……それでプロデューサーの言葉に甘えちゃったんだ」

奈緒「だって、凛も加蓮も用事あるって言ってたからさ……迷惑かけれないかなって思って……」

加蓮「そんなこと気にしなくてもいいのに、って過ぎたこと言っても仕方ないか」

凛「うん、でもね加蓮の言うとおりだよ、奈緒のお母さんからメール来た時は本当にびっくりしたんだから」

奈緒「う、ごめん……」


凛「それと、私が夜中に電話した時、なんで慌てて切ったの?」

奈緒「それは……変に誤解されたくなかったから、アタシとの噂とかプロデューサーさんも嫌だろうし……」

奈緒「そういった話とか、アニメじゃ結構あるからさ、反射的に電話切っちゃったんだよ」

加蓮「反射的だったんなら仕方ないね……まあ、その結果が今の状況なんだけど」

奈緒「うぐぐ……迂闊だったなぁアタシ……」

凛「ほかにも、奈緒には色々と聞きたいこととか山ほどあるんだけど、一つだけ最後に言っておきたいことがあるんだ」



凛「ありがとう、奈緒」


奈緒「へ?なんで、アタシ?」

凛「さっきのプロデューサーを見て、加蓮は何か気付いた?」

加蓮「うーんと……やっぱり少し顔色は良くなってたかな、あと元気だったし」

凛「そうだね、私も見た感じ顔色は良くなってたって思う。でね、それってきっと奈緒のおかげなんじゃないのかな?」

奈緒「あ、アタシは何もしてないぞ?ただ、ご飯つくってあげたり、散歩に連れ出したりしただけでさ」

凛「ううん、それだけでも十分プロデューサーのためになってるよ」


加蓮「私たちなんて、奈緒の言ったこと何一つできてないんだもん」

奈緒「それだってたまたまアタシが締め出されて、プロデューサーさんにお世話になったからできたことだろ?」

凛「たまたまでも、だよ……それでプロデューサーが元気になって、そのきっかけが奈緒だったことに変わりはないんだし」

加蓮「そういう意味での、私たちからの『ありがとう』なんだよ」

凛「まあ、だからと言って奈緒に全部譲る気もないんだけどね」ゴゴゴ……

奈緒「は?いきなりだな……譲るって、何をだよ?」

加蓮「へー、ここで宣戦布告しちゃうんだ」ゴゴゴ……

奈緒「加蓮はなんだか納得してるし……ってち、ちょっと待て、二人ともなんだか怖いって」


凛「私ね、プロデューサーのこと、好きだよ……もちろんライクとしてじゃなくラブのほうで」

加蓮「私だって、ずっと夢見てた舞台に立たせてくれたプロデューサーさんのこと……大好きだから、凛にだって譲る気はないよ」

凛「奈緒は、どうなの?」

奈緒「はあ!?アタシ!?あ、アタシは別に好きとか、よくわかんねえし……」

加蓮「ふーん、奈緒はそれでいいんだ?」

奈緒「え?」

加蓮「後悔しない?」

奈緒「……、……」


奈緒(少し、そんな状況を想像してみる……)

奈緒(楽しそうに笑うプロデューサーさん、その隣にはアタシじゃなくて、誰か知らない女の人がいる、そんな状況)

奈緒(散歩して、ご飯作って、時には慰めたり……アタシと同じことをその女の人はするんだけど、プロデューサーさんはアタシの時よりもすごく喜んでる、そんな状況)

奈緒(正直、嫌だ)


奈緒「譲れない……たとえ凛や加蓮にも譲りたくない……」

凛「ふーん、じゃあ今からアタシたち三人はユニットの仲間でもあり……」

加蓮「恋のライバルってことだね!」

奈緒「て、手は抜かないからな!」

凛「正々堂々勝負、だよ!」


凛「(それにしても、私たちって本当に奈緒好きだなって思うんだ)」ヒソヒソ

加蓮「(ふふっ、確かに、わざわざこんな塩を送るような真似してね)」ヒソヒソ

今日はここまで
訂正版しか投下できなくてすみません
明日は多めに投下しようと思ってます


〇数日後 撮影スタジオ楽屋

加蓮「ねえプロデューサーさん、今日の撮影どうだった?」

P「すごくよかったぞ、笑顔とかも自然にできるようになってきたし……もう俺が付き添わなくても大丈夫かな」

加蓮「ううん、それは嫌かな……プロデューサーさんがいてくれるからお仕事だってうまくできるんだよ?私ひとりじゃ不安で、全然ダメなんだから」

P「そうか……そういうことなら、加蓮の不安がなくなるまで、できるだけ仕事には付き添うことにするよ」


加蓮「やった!ありがと、プロデューサーさん」ギュッ

P「お、おいちょっと加蓮、腕に抱き着くなって」

加蓮「ふふっ、いいじゃん今日の撮影頑張ったご褒美ってことじゃ……だめ?」

P(うぐ……上目遣いでお願いとは、なんともハイレベルな組み合わせ)

P「し、仕方ないな、少しの間だけだぞ……それで、今日も行くのか?」

加蓮「うん、この近くに新しくできたバーガー屋さんがあるみたいなんだ」

P「わかった、一緒に行くか」


P(最近、俺は休憩時間や仕事終わりの時間に、加蓮と『デートごっこ』と称する遊びのようなものをしている)

P(別にルールなんてものはない、ただ俺と加蓮の二人きりでバーガー屋さんやファストフードのお店に行き、他愛のない雑談をしながらジャンクフードを食べたりする、といったものだ)

P(もともと加蓮は『デート』とかに憧れを抱いているような節があったし、今回の『デートごっこ』も、その憧れを実現するための一種の手段なのかもしれない)

加蓮「あ、そうだ……バーガー屋さん行く前に、頭撫でてほしいな」

P「これも、撮影のご褒美なのか?」ナデナデ

加蓮「そうだよ、んっ……なんだか気恥ずかしいね、ふふっ」

P(それはそうと、以前よりも加蓮が甘えんぼになったような気がするのは俺だけだろうか?)


〇数日後 事務所

P「ふぃ~、ただいま戻りました!」ガチャ

凛「プロデューサー、おかえり」

P「おう凛か、ただいま、お出迎えありがとうな」

凛「別に気にしないで、私が好きでやってることだから……コート脱がしてあげるね」

P「おっと悪いな」

凛「ん、じゃあ向こうに掛けておくね」

P「頼むな」


P「そんじゃ、デスクワークでも始めますか」

P「……、……」カタカタカタ

P「……、……」カタカタカタ

凛「じー……」

P(なんか凛にすごく見られてるような気がする)カタカタ

P「よし、スケジュールはだいたいこんな感じか、次は……」

P(なんだか日も落ちてきたし、事務所の中暗くなってきたな……)

凛「……、……」スクッ、スタスタ

ピカッ


P(おお、明るくなった……なんだか近頃の凛は前以上に気配りができるようになったな)カタカタカタ

凛「プロデューサー、そろそろ終わりそう?」

P「ああ、今終わるところだけど」

凛「じゃあ終わったらソファの方で待ってて、今コーヒー入れてくるから」スタスタ


凛「はい、コーヒーはブラックでよかったよね?」コトッ

P「おう、すまないな」

P(コーヒーカップを置いて、さりげなく俺の隣に座る凛)

凛「コクコク……んっ、ふぅ……」

P「ズズッ……」

P(交わす言葉はないけど、それでもこの静かな空間が心地よく思える)


P(最近の凛は、すごく大人っぽくなったように感じる)

P(外見じゃなく内面で、だ……気配りができて、口で言わなくてもある程度察して動いてくれたりする)

P(まさに正妻とは、よく言ったものだ)

凛「コーヒー、なくなっちゃったね……おかわり、いる?」

P「それじゃあ、貰おうかな」

凛と加蓮のアタック編ですね
次回からはまた奈緒が登場します
加蓮ってすごく甘えてきそうなイメージがあるな


〇神谷邸 自室

奈緒「凛と加蓮に『譲らない』なんて言っちゃったけど……実際何していいのかわかんないな」

奈緒「プロデューサーさんの喜ぶこととかしてあげたらいいのかな?でも……プロデューサーさんて何したら喜ぶんだ?」

奈緒「……メイド?……いやいや!それはないな……でも前にメイドの衣装着たときは……」

奈緒「って、あーもう!なんでアタシ、こんなに悩んでるんだよ!」

奈緒「明日はマストレさんのレッスンあるし……今日は寝よう、考えすぎて疲れたよ……」


〇翌日 事務所

奈緒「……散歩にでも誘ってみるか、『今度、また誘ってくれ』ってプロデューサーさんも言ってたし」


奈緒「なあ、プロデューサーさんちょっといいか?」

P「なんだー?」

奈緒「今やってる事務処理って、もう終わりそう?」

P「そうだな、あとちょっとで終わるけど、なんか用事でもあるのか?」


奈緒「うん、これから散歩に行こうかなって思ってるんだけどプロデューサーさんもどうかなって」

P「あーごめん、この後加蓮とバーガー屋に行く約束してるんだ……また次の時に誘ってくれないか」

奈緒「そ、そうか……先に約束してるんだったら仕方ないよな」


奈緒「べ、別にさみしいとか思ってねえからな!」


〇数日後 路上 散歩中

奈緒(結局、あれから一度もプロデューサーさんと散歩に行けてない)

奈緒(3、4回くらい誘ったけど、大体『加蓮とどこかに行くから~』って断られて……毎回誘ってるアタシがみじめに思えてきて、誘うのをやめた)

奈緒「おっ、こんなところにきれいなガーベラ咲いてるんだ……プロデューサーさんにも見せてあげたいな……」

奈緒「一輪だけ、摘んで持って帰ろっと」


奈緒「ふんふんふ~ん♪ほんと、散歩してると気持ちいいよなー、プロデューサーさんも来ればよかったのに」

奈緒「って、あれ?あそこにいるのプロデューサーさんじゃないか?おーい!おー……」

奈緒(よく見たら隣に女の人がいる、仲良さそうに手つないでて……あの人は……)

奈緒「かれ、ん……」


〇神谷邸 自室

奈緒「はは、は……」

奈緒「なんだ、今日も加蓮と遊びに出てたんだ……アタシが誘ってもこないくせに……」

奈緒(そういえば、まだガーベラの花握りっぱなしだったっけ……)

奈緒「こいつも、摘んできた意味なかったなー……部屋にでも飾っておくかな、そのまま捨てちゃったら可哀そうだし」

奈緒「……はぁ」

奈緒「アタシなんかより、可愛くて、たくさん甘えてくる女の子の方が好みなのかよ……あ、アタシだってそのくらいで、できるし……」


奈緒「ね、ねえ……一緒にお散歩に行きたいなーって、だめ?」キュピピーン、ギャルルルーン


奈緒「ないな、これは永久封印だ……つーか、何やってんだよアタシ……」

奈緒「はぁ……もう、プロデューサーさんの、バカ……」


〇さらに数日後 事務所

奈緒「今日のレコーディングの仕事は上手くいったから、ちょっと早めに終わったな」

奈緒「本当は直帰してもいいんだけど……少しくらい事務所に寄るかな」

奈緒「ちょっとくらい、褒めてくれたりとか……いや!別に褒めてほしいとかじゃないぞ!うん!」

奈緒「って、誰に言い訳してんだろ……それに事務所に着いちゃったし」

奈緒「お疲れ様でーす」ガチャ


P「いや~、いずれ片付けなきゃとは思ってたんだけど時間がなくて……」

凛「最初から、出したものは元の場所に戻しておけば、こんなにデスクが汚くなることなんてないじゃん」

P「うぐぐ……次からは気を付けることにするよ……」

凛「そんなこと言っちゃって……いいよ、プロデューサーも忙しいみたいだし、汚れてきたなって思ったら私が定期的に片づけることにする」

P「ほ、本当か!?ありがとう、凛!!」

凛「でも、私が片づけるからって何もしないのもダメだからね」

P「えぇ……なんでさ……」


凛「こういうのは、少しづつでも自分で意識していかなきゃダメなんだよ、私が片づけてあげるのは忙しい時期だけだから」

P「そ、そんなぁ……わ、わかったよ……」

凛「うん、わかればよろしい……そうだ、喉乾いてない?コーヒー入れてこようか?」

P「おう、凛の入れたコーヒーは美味しいからなー、頼むよ」

凛「もう、調子いいこと言っちゃってさ……じゃあ淹れてくるからちょっと待ってて」スタスタ


P「さてと、デスクも凛のおかげできれいになったし、仕事の続きでも……っと」

奈緒「……、……!」ビクッ

P「なんだ奈緒来てたのか、今日は直帰のはずだったけど、どうした?」

奈緒「あ、ああ、いやその……わ、忘れ物をしちゃってさ……もう見つかったし気にしないで!そ、それじゃ!」

ガチャ、バタン

P「どうしたんだ、奈緒……」

P(ただの忘れ物じゃないんだろうけど……表情も暗いし……)

凛「コーヒー、入ったよ……どうしたの?」

P「いや、なんでもないよ」

P(奈緒……)


〇さらに数日後 再び事務所

奈緒(よしっ、今日こそは頑張るぞ!)

奈緒(いつもより、ちょっとかわいい感じの服を着て、髪型だって、普段より念入りにセットしたし……大丈夫だよな)

奈緒「なんで普通に事務所行くだけなのに、こんなに本気になってんだろ」

奈緒「でも、最近あんまり話せてないし……今日はたくさん話せたらいいな……」


奈緒「お、おはようございます」ガチャ

ちひろ「あら、おはよう奈緒ちゃん、今日は早いんですね」

奈緒「あ……おはようちひろさん」シュン

ちひろ(あからさまに元気がなくなったような……き、気のせいよね)

ちひろ「今日の奈緒ちゃん、可愛い服着てますね、髪型もいつものシニヨンじゃなくておろしてて……なんだか新鮮です」

奈緒「あ、ありがとうちひろさん」ソワソワ

ちひろ(なんだかソワソワし始めたし……)

奈緒「……、……」キョロキョロ

ちひろ(落ち着きなく辺りを見回して……ははーん、そういうことですか……)


ちひろ「奈緒ちゃん、プロデューサーさんなら会議室にいますよ……」

奈緒「ほ、本当か!?」ガタッ

ちひろ「……ただ凛ちゃんも一緒で、今後の方向性についてのミーティングを……ってあれ?奈緒ちゃん?」


ちひろ「もう、行っちゃったのかしら……」


〇会議室

奈緒「会議室に来たのはいいけど……今になってすごく緊張してきた」ドキドキ
 
奈緒「あ、アタシ変じゃないよな?髪はねたりとか、してないよな?」ドキドキ

奈緒「し、深呼吸して……すぅ、はぁー……よ、よし!行くぞ!」



?「……私は……のほうで……が、いいと思うんだ」

P「だったら……のときは……にするべきだ……」


奈緒(あれ、プロデューサーさん以外の人の声が聞こえる)

奈緒(誰なんだろう……ドアの隙間から覗けないかな?)

カチャ……

奈緒(う~ん……あまりよく見えないけど……)

奈緒(髪の長くて……あれは……)

奈緒「凛だ……」ボソッ

奈緒(あんなに、肩がくっつくくらいに寄り添って並んで……)

奈緒「なにやってんだよ……アタシも、プロデューサーさんも、凛も……」

奈緒「やっぱり、アタシじゃダメなのかよ……」

奈緒「ちょっと時間早いけど、レッスンルーム鍵空いてるかな……」

とりあえずここまで
なんだか書いてて胸が痛くなってきた
次回は少しプロデューサーさんに頑張ってもらう予定


〇神谷邸 奈緒自室

奈緒(凛や加蓮との宣戦布告からもう2週間が経った)

奈緒(日に日に、プロデューサーさんと凛、加蓮の仲が良くなっていって)

奈緒(逆にアタシは、日を追うごとにプロデューサーさんを避けるようになった)

奈緒(本当は二人みたいに、いっぱい話とかして、一緒に出掛けたりもしたい)

奈緒(だけどそう思うたびに、恥ずかしがりな自分自身が邪魔をする)

奈緒(素直になれないアタシが嫌いで……きっとプロデューサーさんも可愛げがないって思ってるんじゃないのかな、なんて考えると……)

奈緒(不安だ……)


〇某マンション P宅

P(2週間ほど前からだろうか、担当アイドルである凛と加蓮が積極的になったのは)

P(よく甘えてくるようになったし、一緒にコーヒーを飲んだり……デートごっこに付き合ったり、ただ二人で話したりするようにもなった……)

P(凛や加蓮と一緒にいるとなんだかんだ言って楽しいのも事実だし、二人とも可愛いから、男として悪い気もしない……正直、今の二人に結構好意を持っていたりもする)

P(だけど……なんでだろう……)

P(一緒にいる機会の多くなった二人よりも、どうして奈緒のことがすごく気になるんだ……?)



〇事務所

ちひろ「最近、奈緒ちゃんの元気がありませんよね……」

P「ええ、俺もそこは気になってました」

ちひろ「プロデューサーさんは何か聞いてないんですか?『悩みがある』とか、『誰かと喧嘩した』とか……」

P「うーん……そういった感じの話は聞きませんし……何より、俺の勘違いだったらいいんですけど、奈緒が俺のこと避けてる気がするんですよね……」

ちひろ(凛ちゃんや加蓮ちゃんの、プロデューサーさんに対するアピールに嫉妬してるのかしら?)

ちひろ「でも、それにしてはダメージを受けすぎな気がします……」ボソッ

P「今度のTV収録の後、ちょっと奈緒本人に聞いてみることにします……それで、できる限り力になってあげれたらなと……」

ちひろ「そういうことなら、プロデューサーさんに奈緒ちゃんのことお願いしますね」

ちひろ(私が行くよりも、プロデューサーさんが行ってくれた方が奈緒ちゃんも喜ぶと思いますし……それに、この問題はプロデューサーさんにしか解決出来ないですから)


〇事務所 

P「やっぱり天気予報の通り、雨になちゃったな……」

凛「収録は室内なんだし、問題はないよ」

加蓮「そうそう、それに今日はプロデューサーさんが送迎してくれるんだよね?」

P「おう、そのつもりだよ、流石にこの雨の中歩いて行けとは言えないさ」

加蓮「だったら、私たちの収録も見ていってほしいな」


P「そうだな……確かに急ぎの仕事はないし、久しぶりに収録風景でも見てやるか」

凛「だったら、いつもより気合入れないとね」

P「そんな力まなくてもいいよ、いつも通り頼む」

奈緒「……そろそろ時間じゃないのか?アタシ、先に車に乗ってるからな……」

P「お、おう……じゃあ俺たちも行くか」

凛「そうだね、ちひろさん行ってきます」

加蓮「行ってきまーす」

ガチャ、バタン


〇TVスタジオ

『鮮やかな色纏う波紋は 風受けて飛び立った
 キラキラとひかる まぶしい空へと―――』

スタッフ1「はい、オッケーです!収録、お疲れさまでした!」

スタッフ2「セットの片づけ急げよー!」


P「三人ともお疲れ様、すごくよかったぞ!」

凛「そんなの当たり前、だってプロデューサーが育てたアイドルだよ?」

加蓮「そうそう……それにしても、やっぱり三人で歌うステージってすごく楽しいね」


奈緒「……うん、そうだな」

P「ステージを楽しめるってことは、それだけお前たちが成長したってことだ……っとそういえば、お前たちはまだステージ衣装のままだったな」

P「俺は今日の収録に協力してくれた関係者の人たちへ挨拶に行こうと思ってるから、その間に着替えて帰る準備しておいてくれ」

凛 奈緒 加蓮「はーい」

P「あ、それと奈緒、後で大事な話あるから時間空けておいてくれよな」

奈緒「……わかった」


〇TVスタジオ 楽屋

凛「ふぅ……やっぱり全国放送用の収録ともなると、少し緊張するね」

加蓮「なに言ってるの、いつもより調子よかったじゃん、動きがキレキレですごくかっこよかったよ」

凛「そんなことないよ、ダンスだったら私より奈緒の方が上手かったし」

加蓮「だってさ、奈緒は今日の収録どうだった?」

奈緒「……、……」


加蓮「奈緒?どうしたの?」

奈緒「……へ?あ、いや別に何でもないぞ!」

凛「?変な奈緒……ってあれ、奈緒の衣装のリボン、一つ足りなくない、かな?」

奈緒「え!?ほ、本当だ……スタジオの方で落としてきちゃったのかな?」

加蓮「今ならスタッフさんとかも残ってると思うから、見てきたら?」

奈緒「うん、そうするよ」


〇TVスタジオ

奈緒(……プロデューサーさん、大事な話あるって言ってたけど、なんなんだろう?)

奈緒「あ、あったあった……やっぱりスタジオで落としてたのか、リボン」

奈緒「今度からは落とさないよう、気を付けないとな……っと」

奈緒(あそこにいるのは……今日の収録のスタッフさんだ、一応挨拶とかした方がいいのかな?でも、なんか話してるっぽいし、邪魔するのも……)


スタッフ1「やっぱ生で見るアイドルはすごいよな!見たか、あの渋谷凛と北条加蓮の笑顔!」

スタッフ2「それには同感、ってお前、神谷奈緒ちゃんはどうなのさ?」

スタッフ1「いやあれは……ぶっちゃけいらないだろ」

スタッフ2「まあな、確かに俺がプロデューサーだったら使ってないな」

スタッフ1「ってことは、今神谷奈緒の担当プロデューサーも結構苦労してるんじゃないのか?」

スタッフ2「それは言えてるな、取り柄のないアイドルのお守とか苦痛以外の何物でもないしな」


奈緒「……、……」

奈緒(ああ、そうだったんだ……プロデューサーさんはもうアタシのことなんて……)

奈緒(これっぽっちも……好きじゃないんだ……)

奈緒「……、……」グスッ


〇TVスタジオ 楽屋

P「お前ら、帰る準備はできてるか?」ガチャ

凛「遅かったね……ってプロデューサーじゃん」

P「どうした……奈緒がいないけど?」

加蓮「さっき、スタジオに衣装のリボン落としたからって探しに行ったきり戻ってこないの」

P「……俺、ちょっと探してくるよ、凛と加蓮は楽屋で奈緒に電話してみてくれ」

凛「わかった」

加蓮「うん、電話してみるよ」


P「ダメだ、どこにもいないぞ……」

凛「こっちもダメ、電話の電源入ってないみたい」

加蓮「ね、ねえ私たちどうしたらいいの?」

P「……とりあえずお前たちは事務所に戻れ、ちひろさんに迎え頼むから」

凛「プロデューサーは、どうするの?」

P「もしかしたら、奈緒がスタジオの外に出ちゃってるかもしれないからな、周辺を探してみる」

加蓮「雨も降ってるし、気を付けてねプロデューサーさん」

P「おう、絶対奈緒を見つけて戻るから」

次回から後半戦に入っていきたいと思ってます


――――――TVスタジオ周辺

P「いない……いったいどこに行ったんだ?」


――――――事務所周辺

P「ここもダメか……くそっ、さっきより雨が強くなってきた、早く見つけないと!」


――――――散歩で通った道

P「ここじゃない……!」


――――――某喫茶店周辺

P「ここでもない……!」




P「いったいどこにいるんだ……」

P「あと、探してない場所で心当たりがあるのは……」

P(焦るな、落ち着け……落ち着いて考えれば何か解決策が思い浮かぶはずだ……)

P「……もしかして、あそこかもしれない」

P(だけど確証が持てない……凛に電話してみるか)

ポパピプペー

凛「どうしたのプロデューサー?」

P「少し聞きたいことがあってな、もしかして奈緒の荷物とか預かってないか?」

凛「あ、それなら預かってるよ……奈緒は着替えてからすぐにいなくなっちゃったから、荷物は楽屋に置きっぱなしでさ、見つかるまでは私が預かっていようかなって」

P「わかった、ありがとうな」

凛「……まだ、見つからないの?」

P「ああ、まだ見つかってない……だけど、なんとなく確証が持てたから、そこにあたってみようと思う」

凛「うん、わかった、奈緒のこと頼むよ」

P「おう」


〇神谷邸前

P「奈緒……やっと見つけたぞ」

奈緒「あ……プロデューサーさん……」

P「楽屋に荷物と一緒に鍵忘れてたからさ、もしかしたら締め出されてないかなって思ったけど……案の定だったか」

奈緒「……、……」

P「ほんと、結構探したんだからな……って、傘も差さずに出てったからびしょ濡れじゃないか」

奈緒「……なんで、追いかけてきたんだよ」


P「なんで、って……」

奈緒「アタシ、プロデューサーさんのこと避けて嫌な思いさせて……今日だってスタジオから勝手にいなくなくなって迷惑かけてさ……」

奈緒「アタシみたいな嫌な奴、なんで追いかけてきたんだよ……」

P「……奈緒……」

P「……どうしてだろうな、自分でもよくわかんないけど奈緒がいなくなったって聞いたらいてもたってもいられなくてさ」

P「それに俺は奈緒のパートナーだから……できるだけ支えてやりたいなって思って」

P「あとさ、なんか勘違いしてるみたいだから言うけど、俺は奈緒のことはこれっぽっちも嫌ってなんかいないぞ」


奈緒「ほ、本当か……?」

P「こんなとこで嘘ついてどうするんだよ……というか正直、俺が奈緒に嫌われてるのかと思ったよ、避けられたりしてさ」

奈緒「はぁ……なんなんだよ、もう……こんだけ悩んだって言うのに、実際はこれっぽっちも嫌われてなかったってことかよ……」

奈緒「結局、アタシのひとり相撲……クシュン!」

P「大丈夫か?結構雨に打たれたからな……風邪ひく前にどこかで着替えないとな」

奈緒「……でも、どこで着替えるんだよ……アタシ、家の鍵楽屋に置いたまま、忘れちゃったんだけど……」

P「そうだった……」

奈緒「な、なあ……プロデューサーさんの家は、だめか?」

とりあえずここまで
次回からは積極的になった奈緒ちゃんでも書こうかなと


〇某マンション P宅 バスルーム

奈緒「ふぅ……やっぱりお風呂はあったかいなー」ジャバ

奈緒「雨で冷えてたから尚更かもしんないけど……ん、んー、体がほぐれるよ」

奈緒(それにしても……)

奈緒「プロデューサーさんに嫌われてなくて、ほんとよかったな……」バシャバシャ

奈緒「だけど油断もできないよな……」


奈緒「だって、プロデューサーさんはアタシのこと『嫌ってない』って言ってくれたけど『好き』だって言ってもらえたわけじゃないし……」

奈緒「それに明日からはまた普通の日常に戻っちゃうから……そうしたら凛と加蓮に、プロデューサーさん付きっきりになっちゃうよな……」

奈緒「そんなの嫌だ……」

奈緒「……だったら、今日頑張るしかない、よな……」

奈緒「うぅ……ちょっと恥ずかしくなってきた……」


P<オーイ、キガエオイテオクカラナー


奈緒「お、おう……!」ビクッ

奈緒「……せ、積極的に攻めの姿勢で……頑張れアタシ!」


〇某マンション P宅

P「……とりあえず、奈緒が風呂入ってる間に色々と電話しなきゃ」

P「まずはちひろさんからだな……」

pipipi

ちひろ「はい、もしもし」

P「あ、俺です……無事奈緒を見つけることができました」

ちひろ「それは良かったです、でもすごい雨でしたけど、大丈夫でしたか?」

P「そのことなんですが……奈緒は傘もってなくて結構雨に打たれちゃったみたいなので、俺の家で風呂に入れてます」

ちひろ「……襲うつもりですか?」


P「んな!?なに言っちゃってるんですか!?」

ちひろ「冗談です、ふふっ……それじゃあ、今日はもう事務所に戻らなくてもいいですよ、プロデューサーさんも、奈緒ちゃんも」

P「ほ、本当ですか!でも事務仕事とかが残ってますし……」

ちひろ「全部私が引き受けますよ、それと親御さんへの連絡も私がやっておきますから」

P「なんだかすみません……」

ちひろ「同じ事務所の仲間ですからね……でも、一つ条件があります」

P「なんですか?」

ちひろ「奈緒ちゃんに『頑張ってね』って伝えておいてください」

ガチャッ、ツー、ツー

P「ちひろさんには頭が上がらないなぁ……それにしても奈緒に『頑張って』ってどういう意味なんだろ?」


奈緒「ぷ、プロデューサーさん、お風呂あがったよ」

P「おう、どうだった?ゆっくりあったまれたか?」

奈緒「うん、十分あったまれたよ……だけどさ、着替えってもう少しマシなのなかったのかよ……」

奈緒(中には下着代わりのダボダボのTシャツとトランクス、外には、同じくダボダボのスウェット……プロデューサーさんの匂いがして、なんだか恥ずかしい///)

奈緒「……しかも、スースーする……」

P「少しは我慢してくれよな、女物の服とか、俺持ってなくてさ……」

奈緒「わ、わかってるよ、我慢するって……そうだ、事務所にはもう戻らなくてもいいのか?」

P「ああ、そのことなんだが……もう事務所には戻らなくてもいいってちひろさんが言ってたぞ、あと奈緒に『頑張って』とも……なあ、『頑張って』ってどういう意味だか分かるか?」

奈緒(もしかして、ちひろさんアタシの思いを知ってて……今度事務所行ったときに感謝しなくちゃな)

奈緒「……今日中に教えてやるよ」

P「?今じゃダメなのか」

奈緒「ダメだ、心の準備とかあるから……」

奈緒「と、とりあえずいい時間だし、ご飯作ってやるよ」


〇某マンション P宅

奈緒「~~♪」

トントン、ジュー

P(エプロン着て、料理してくれる人がいるって……なんだか見てて安心するな)

P(誰かが料理作ってくれるって状況が、社会人になってから全然なかったからな……人知れず孤独感とかあったのかもしれない)

P(それに、奈緒だから……そう感じるのかもな……)

P「……って何考えてんだ、俺……」ボソッ

P携帯<メールダヨ、メールダヨ

P「ん?誰からだろ……差出人はちひろさんか」


P「えーっと……『親御さんからの許可もいただきました、22:00時までに責任をもって自宅に届けてくれればいいそうです』か……」

P「あと3時間くらいは大丈夫かな……」

P(少し短いな……なんて……)

奈緒「おーい、プロデューサーさんもう少しでご飯できるぞ」

P「わかった」


P「す、すごい、上達してる……それにこれは」

奈緒「卵焼き、だけど……どうだ?ちゃんと作れてるだろ?」

P「おう、きれいに焼けてるな……それじゃあ食べるか」

P奈緒「「いただきます」」

P「まずは、もちろん卵焼きからだな」モグモグ

奈緒「ち、ちょっと甘めに味付けしたんだけど……」ドキドキ

P「おいしくできてるな、上出来だ」


奈緒「本当か!?よかったぁ……前回はできなかったからさ、次は絶対に成功させようって練習したんだよ」

P「練習の成果、ちゃんと発揮できてると思うぞ……おいしくて箸がどんどん進むよ」モグモグ

P「おかわり、貰えるか?」

奈緒「その、おかわりなんだけどさ……あんまり材料とか冷蔵庫になかったから、今盛り付けてある分しかないんだよ」

奈緒「だ、だから、その……アタシの!食べて、いいからさ……」

P「そ、そうか?じゃあ、いただくぞ?」

奈緒「あ、ち、ちょっと待って……スーハー……よしっ」


奈緒「ぷ、プロデューサーさん……はい、あーん……///」


P「」

奈緒「は、早く食べてくれよ、アタシ恥ずかしいんだからさ///」

P「お、おう……あ、あーん」

パクッ

P「……、……」モグモグ

奈緒「あ、あわ……///」プシュー

P「……、……」ゴクリンコ

奈緒「うぅ……お、おいしい?」

P「……奈緒、おかわり」

奈緒「……ッ!し、知らない、もう自分で食べろバカッ!///」




P(奈緒に夕食を作ってもらったので、食後の皿洗いくらいは俺がやることにした)

P「よし、これが最後の一枚っと……」ジャー、キュッ

P「これで全部きれいになったな……そういえば今何時だろ?」

時計<20:00ダヨー

P(あと1時間30分くらいか……何しようかな?)


P(そんなことを考えながら、奈緒が待っているリビングへ足を踏み入れた時だった)

P「あれ?奈緒、どこだ?」

プツン、シーン

P(突然部屋の電気が全部消え、暗闇で辺りは何も見えなくなった)

P(停電かな?なんて思いながらポケットから携帯電話を取り出そうと手を伸ばし……)


スタスタ、ギュッ

P(誰かに……いや、奈緒に抱き着かれた)

奈緒「……、……」ギュッ

P「どうした?いきなり電気なんか消して……」

奈緒「……、……」

P「……話しにくいことか?」

奈緒「……、……」コクン

P「だったら急かさないから、話したくなったら言ってくれ、俺ちゃんと聞くからさ……」

奈緒「うん……、……」

くそう、寝落ちしてしまった……
GWなんで多分残業ないと思うので、今日は早めに投下したいです


奈緒「……アタシ、恥ずかしがりだからさ」

奈緒「今まで、プロデューサーさんが取ってきたお仕事に文句つけることとかあったよな……」

P「それでも、最後にはきっちり仕事してくれただろ……それで十分だよ」

奈緒「ありがと、そう言ってくれると助かる……」

奈緒「でもアタシは……そんな、自分の恥ずかしがりなところが嫌いなんだ」

P「……、……」


奈緒「最近だって、凛や加蓮がプロデューサーさんと一緒にいるのを見て、楽しそうにしているところを見てさ……正直、すごく羨ましく思ってたんだ」

奈緒「アタシも、プロデューサーさんと仲良くお話したりとかしたかった……だけど恥ずかしくて、大事なところでへたれちゃって……」

奈緒「そうしたら、プロデューサーさんはどんどん凛と加蓮と仲良くなっちゃってさ……」

P「それは……」

奈緒「いいんだ、別にプロデューサーさんを責めたいわけじゃないから……それに元はと言えばアタシが恥ずかしがりだったのが悪いんだし」


奈緒「今だって、部屋の電気消してないと、こんなこと言えないだろうしさ……」

P「奈緒……」

奈緒「あーあ……今日、本当はこんな話するつもりじゃなかったんだけどな……」

奈緒「だけど、ここは事務所じゃないんだ……プロデューサーさんの家で、アタシとプロデューサーさんしかいない」

奈緒「きっとこんな機会、もう二度とないのかもしれない……だから、聞いてほしいんだ」

P「……わかった」


奈緒「……プロデューサーさんが、アタシのこと好きなのか、嫌いなのかはよくわかんない」

奈緒「だけどアタシは、アタシは……」

奈緒「プロデューサーさんのこと……あなたのことが、す、好きなんだ……」

P「……、……」

奈緒「好きになっちゃったんだよ……アタシのことからかってばかりで!仕事はできるくせに私生活はだらしないくて!……だけどアタシたちのことを一番に考えてくれる、そんな人のことが」

奈緒「アタシは、好きになっちゃったんだよ!」


P「……、……」

P(ああ、なんだそんな事だったのか……)

P(どうして、奈緒に避けられたときにずっと気になったのか……ようやくわかった)

奈緒「なんだよ……何とか言ってくれよ」

P(俺も、奈緒のことが好きなんだ)

P「なあ、俺からも言わせてもらってもいいか?」

奈緒「お、おう……」


P「俺も、奈緒のことが好きだ」


奈緒「……、……」

P「奈緒?」

奈緒「……本当、なのか?」

P「……ああ、本当に、本気で奈緒が好きだ」

奈緒「……、……」ギュッ

P「どうした?」

奈緒「これで、アタシたちって両想い、になれたのか?」

P「そうだと思うぞ」

P(青白い月明かりが、俺と奈緒を照らし出す)

P(奈緒は頬を朱に染め、涙でうるませた瞳を俺に向けていた)

奈緒「……だったら、両想いになれた……プロデューサーさんがアタシを好きだって言う、証をくれよ……」

P「……わかった」

P(そう言って、俺は奈緒の肩を抱き……)

奈緒「んっ……///」

P(キスをした)

何だかんだやってたら、結局こんな時間か……
次からはエビローグに入っていこうと思ってます

すみません、諸事情で今日は投下できません……
明日頑張ろうと思います

とりあえず落ち着いたので投下していきます


〇神谷邸 奈緒自室 帰宅後

奈緒(キスの後は、特に何もしなかった)

奈緒(と言うより、アタシの帰る時間になっちゃったから出来なかった)

奈緒「でもそうか……アタシとプロデューサーさんはもう、両思いなんだもんな……」

奈緒(ふと、プロデューサーさんの告白を思い出す)


――――――

P「本気で、奈緒が好きだ」

――――――


奈緒(思い出して、プロデューサーさんのことを考えて……なんだか胸が切なくなる)

奈緒(くちびるに指を当てて、感触を感じて……)

奈緒「あ、アタシ……キス、しちゃったんだよな」

奈緒「し、しかもファーストキスだし!///」

奈緒「もう、なんで今頃恥ずかしさが襲ってくるんだぁ!!///」ゴロゴロ

奈緒「あー!あーあー!!」ジタバタ

奈緒「だ、だけど、これでプロデューサーさんはアタシのか、彼氏になった訳だよな……」

奈緒「だったら、凛とか加蓮も大人しく……」


―――――
凛「ふーん……ふーーーーーーん……」ゴゴゴ……
―――――

奈緒「大人しく……」

―――――
加蓮「また体調悪くなっちゃったー、なーんて……ふふっ、なに慌ててるの?」
―――――

奈緒「大人しくなるような気がしない……」

奈緒「でもっ!アタシ、プロデューサーさんの彼女なんだから!」

奈緒「そうと決まれば、頑張れアタシ!」

まだ続きます


〇某マンション P宅 翌朝

目覚まし時計<pipipi!!

P「ふぁ~あ……もう朝か……」

――――――
奈緒「プロデューサーさんのこと……あなたのことが、す、好きなんだ……」
――――――

P「あぁ、くそう……あん時の奈緒すげー可愛かったな……」

P「本当はこんな目覚まし時計じゃなくて奈緒のモーニングコールとかだったら良かったのに……」

インターホン<ピンポーン!


P「ん?誰だろこんな朝早くから……はーい、今開けますよー!」

ガチャッ


奈緒「おはよーっす、プロデューサーさん!も、モーニングコールに来てやったぞ!」


P「」

奈緒「な、何か言ってよ、もう!せっかく早起きしてきてやったんだからさ!」

P「お、おうすまん……こんな都合よく奈緒に会えるなんて、てっきりまだ夢の中にいるのかと思ってさ」


奈緒「へ?都合よくって、何がだ?」

P「いやー、毎朝奈緒がモーニングコールで愛を囁いてくれたらーなんて考えてたんだよ」(棒読み)

奈緒「……、……」

P「まあ、やってくれたらいいなーくらいの考えだから……」

奈緒「……アタシが、愛を囁いたら、プロデューサーさんは嬉しい、のか?」

P「え?」

奈緒「どうなんだよ?」

P「そりゃあ、まあ……嬉しいと思うぞ」

奈緒「じ、じゃあ……やる」

P(そう言った奈緒は、おもむろに俺の顔を優しく引き寄せて囁いた)


奈緒「起きて、もう朝だぞ……?お、起きないとち、チューしちゃうんだから///」



P「」

奈緒「う、うぅぅ……ど、どうだった?///」

P「……なあ、奈緒」

奈緒「な、なんだ……んむっ!///」

奈緒「ぷはっ……ぷ、プロデューサーさん、今あたしにチューしただろ!?」

P「さあ、立ち話もなんだし部屋に入ってくれよ」

奈緒「ああ!はぐらかすなよ!」

P(やべぇ、もう少しで襲うところだった……)


〇某マンション P宅

奈緒「はい、朝ごはん」コトッ

P「おう、すまんな……しかし、どうしたんだ?いきなり朝ごはん作りに来たなんて」

奈緒「どうせ、朝ごはんなんてマトモなの食べようとしてなかったんだろ、プロデューサーさん?だからアタシが作りに来たんだ……それにアタシ、プロデューサーさんのか、彼女だしさ///」

P「お、おう、彼女に朝ごはん作ってもらえてし、幸せだなぁ///」


P奈緒「……、……」

奈緒「さ、冷めちゃうし早く食べなよ」アセアセ

P「そ、そうだな……奈緒は朝ごはんどうしたんだ?」

奈緒「朝ごはんは食べてきた、これからプロデューサーさんの弁当作るから先に事務所行く準備しててよ」

P「なんだか、色々してもらってばかりで悪いな……」

奈緒「いいって、アタシが好きでやってるんだし」

P(……そういや、こうして通いながらお世話してくれるのってなんだかアレみたいだな……)

P「通い妻だな……」ボソッ

奈緒「ん?なんか言ったか?」



P奈緒「「おはようございます!」」ガチャッ

ちひろ「おはようございます……あら」

ちひろ(奈緒ちゃん、プロデューサーさんと一緒にだなんて……頑張ったのね)

P「それじゃあ奈緒、俺は資料の編集しなきゃいけないから」

奈緒「大丈夫。レッスンの時間には遅れないようにするし、そろそろ加蓮と凛も来るだろうしさ」

P「車で送ってやれないけど……レッスン頑張れよ」

奈緒「分かってるって、それより仕事始めたらどうだ?」

P「お、おう、そうする」


奈緒「んじゃ、アタシはソファで雑誌でも読んでよっかなー」スタスタ、ポスン

卯月「おはようございます、奈緒ちゃん」

奈緒「おっ、おはよー卯月、いたならさっき声かけてくれればよかったのに」

卯月「そうしようかなって思ったんですけど……なんだか奈緒ちゃんとプロデューサーさんが仲良くて邪魔しちゃ悪いかなって」

奈緒「そ、そんなに仲良さそうだったか?」テレテレ

卯月「はい!……もしかして奈緒ちゃんとプロデューサーさんってお付き合いしてたり?」

奈緒「ふぇっ!?い、いやぁそれは……」

奈緒「……うん///」

卯月「わー!おめでとうございます!それじゃあ今日、一緒に事務所に来たのも、もしかして……」


奈緒「だ、誰にも言わないでくれよ?」

卯月「はい!大丈夫です、誰にも言わないよう島村卯月頑張ります!」

奈緒「……も、モーニングコールして、朝ごはんと弁当作ってあげたんだ///」

卯月「ラブラブなんですね、奈緒ちゃんとプロデューサーさん」

奈緒「は、はあっ!?な、何言ってんだよ!?」

奈緒「そ、そんなわけないだろぉ!?アタシとプロデューサーさんが、ら、ら、ラブラブだなんて……///」

作者です
日を空けてしまい申し訳ないです、今週中には投稿しようかなと思ってます


卯月「ふふっ、じゃあそういうことにしておきますね……でも」

卯月「良かったですね、奈緒ちゃん!プロデューサーさんとお付き合いできるようになって」

奈緒「……う、うん、ありがとう卯月」

卯月「これは、凛ちゃんや加蓮ちゃんにも報告しなきゃですね!」

奈緒「はぁ!?どうしてここで凛と加蓮が出てくるんだよ!」



凛「どうしたの?」ヒョコッ

加蓮「呼ばれたような気がしたんだけど?」ヒョコッ


卯月「あ、凛ちゃん加蓮ちゃんおはようございます!」

奈緒「い、いつから聞いてたんだ!?」

凛「別に今来たばかりだから、会話の内容までは知らないよ」

加蓮「だけど私たちの名前呼んでたから、なんか関係あるのかな、って思って」

奈緒(聞かれてたら修羅場になってたかも……ぎりぎりセーフだな)

凛「それで、どんな内容だったの?」

加蓮「あ私も気になるなーそれ」

卯月「あ、じゃあお二人にも話しちゃいますね」

奈緒「ば、バカ、卯月ダメだって!」

卯月「大丈夫ですよ奈緒ちゃん!」

奈緒「なにが大丈夫なんだよ!?」

加蓮「それでそれで、どんな内容だったの?奈緒の恥ずかしい話とか?」

卯月「違いますよ、もっとおめでたい話です!」


卯月「奈緒ちゃんがプロデューサーさんとお付き合い始めたんです!!」


凛「」

加蓮「」

卯月「あ、あれ?お二人とも、どうかしたんですか?」

奈緒「あー、スイッチはいちゃったな、これは……」

凛「ふーん……」ゴゴゴ……

加蓮「なーおー、どういうことかなー?」ゴゴゴ……

卯月「あわ、あわわ……凛ちゃんと加蓮ちゃんが阿修羅のような顔になっちゃってます!」

奈緒「誰がそうしたと思ってるんだよ……」

凛「いろいろと聞きたいことあるんだけど、いいよね奈緒?」

加蓮「安心して、たぶんすぐ終わると思うから、ね?」

奈緒「あーもう……こうなりゃ自棄だ!いいぜ、どんなことでも聞いてくれ!」


ワーワーギャーギャー



P「あいつら、仲いいですよね」

ちひろ「なんだかんだ言っても、皆さん奈緒ちゃんのことが好きなんですよ、きっと……まあ、プロデューサーさんには敵いませんけど」

P「ええ、そうです……ってどういう意味ですか!?」

ちひろ「どうも何も、そのままの意味ですよ?ふふっ、お似合いじゃないですか」

P「あ、ありがとうございます?でいいのかな……それにしてもあいつらなんの話で盛り上がってるんですかね?」

ちひろ「案外、プロデューサーさんの話だったりして」

P「まさか、そんなわけないですって」


電話<pipipi!!

P「あ、俺が出ますね……はい、お電話ありがとうございます……」

ちひろ「それじゃあ私もお仕事お仕事……」カタカタ

P「ええぇ!!ほ、本当ですか!ありがとうございます!!……わかりました、失礼します!」

ちひろ「どうしたんですか?結構驚いてたみたいですけど」

P「この前、フェスの開催について打ち合わせしたじゃないですか」

ちひろ「はい、でも断られちゃいましたよね」

P「ですけど、今、そことはまた違う企業から連絡があってフェスを開催してくれることになったんです!」

ちひろ「え!?本当ですか!?よかったですね!」

P「はい!大手とは言えないですが、そこそこ規模のある企業のようなので、一応信頼もおけると思います」

ちひろ「そうですか……でしたら、私は前回使った資料をもう一回まとめておきますね。プロデューサーさんは、アイドルの皆さんに、このことを伝えてあげてください」

P「そうですね、よしっ早速あいつらにも伝えてこよう!」

P「おーいお前ら。朗報だ!!」

投下しようしようと思いながら気付けば一週間以上経過してましたorz
もう少し投下する間隔短くしたいけど……無理しない程度に完結まで持っていきたいと思います

史上最悪のSS作者◆ゴンベッサこと先原直樹
http://i.imgur.com/Kx4KYDR.jpg
痛いssの後書き「で、無視...と。」の作者。

2013年、人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者を詐称し、
売名を目論むも炎上。そのあまりに身勝手なナルシズムに
パー速、2chにヲチを立てられるにいたる。

以来、ヲチに逆恨みを起こし、
2017年現在に至るまでヲチスレを毎日監視。バレバレの自演に明け暮れ、
それが原因で現在も炎上が続く→ http://Goo.gl/GWDcPe

しかし、自分はヲチスレで自演などしていない、別人の仕業だ、
などと、3年以上にわたって稚拙な芝居でスレに降臨し続けてきたが、
とうとう先日ヲチに顔写真を押さえられ、言い訳ができなくなった。

2011年に女子大生を手錠で監禁する事件を引き起こし、
警察により逮捕されていたことが判明している。

SS作者ゴンベッサとは何者か?
http://www64.atwiki.jp/ranzers/

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