「エイプリルフール」 (7)
今日は4月1日、世間ではエイプリルフールと言って嘘をつくことを許されている日だ。
卑怯者の僕はそんな日にしか思いを伝えることができず、放課後に後輩を呼び出したのだった。
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男「ねぇ後輩ちゃん。」
後輩「なんですか先輩? 」
言うぞ言うぞと思うと顔が熱くなるのを感じる。だが、ダメならエイプリルフールだということにすればいいじゃないか。
男「ずっと前から好きでした。」
後輩「先輩知らないのですか? エイプリルフールって嘘をついていいのは午前中だけなんですよ。」
彼女は少し考えるとふと思い付いたかのようにそう言った。
男「えっ! 嘘! 」
僕は自分の心が見透かされたと思った。
後輩「まあ嘘ですけどね、さっきのお返しです。」
騙されたと思いつつも僕は胸の高まりが収まらなかった。
後輩「先輩は本当にどうしようもない人ですね、こんな日に乙女の純情を傷つけるなんて。」
彼女は微笑みながら僕にそう言った。僕はこの気持ちを伝えるのにエイプリルフールを使ったことが恥ずかしいと思った。すると彼女はなにかを思い付いたかのように言った。
後輩「先輩、私もずっと前から好きでした。」
男「えっ! 」
顔を赤らめながらそう言う後輩の姿を見て、僕は胸の鼓動がさらに早くなるのを感じる。
後輩「勿論、これも嘘なんですけどね。」
男「そ、そんな。」
僕はとても辛い気持ちを味わった。それと同時に、さっきの後輩はこんな気持ちなのかと罪悪感を感じた。
後輩「ふふふ、冗談は置いといて早く帰りましょう。こんなに遅くに呼びだしたのだからちゃんと送ってくださいね。」
男「わかったよ、ごめんね。」
こうして僕の青春は終わった。
後輩(まあ、嘘っていうのが嘘なんですけどね。)
後輩はしてやったりと思いながら微笑むのだった。
エイプリルフールという事でなんとなく思い付いたネタです。
エイプリルフールが午前中だけなのは海外とかの一部で、日本では一日中ついても大丈夫ですよ。
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