高森藍子「ハムスター」安部菜々「んなっ!?」 (41)

安部菜々「藍子ちゃんに動物キャラの座を奪われるううううううううううううう!!!!!」

高森藍子「ひゃああああああああああああ!?」

北条加蓮「……動物キャラの座?」


※ほぼ単発

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490969073

――事務所――

菜々「藍子ちゃんは! 藍子ちゃんはそういうことしないと思ってたのに! 藍子ちゃんだけは!」ガックガック

藍子「あうぅぅぅぅぅ揺れ揺れっ苦しっ……!」

加蓮「はいはい興奮したうさぎさんごっこはそこまでにしようねー」(首根っこ掴んで)

菜々「離せー! 今まさにナナのピンチなんです! 藍子ちゃんと言えどもナナワールドの侵略は見逃す訳にはいかないんですよ!!」

藍子「ケホケホッ……ほっ」

加蓮「って言っても別に藍子ソロの舞台じゃないじゃん。むしろみんなで動物やってるし……。藍子がピンポイントに菜々ちゃんを侵略してるってことにはならないと思うけど?」

菜々「でも藍子ちゃんが主役じゃないですか! ナナにも主役の舞台を寄越せー!」

加蓮「……アンタ前の温泉LIVEの時に主役だったでしょ。っていうかこの手の大舞台があったら大抵主役になってるじゃん」

加蓮「むしろ私の方が欲しいんだけど。私こーいう時ってほとんど準主役ばっかりなんだけど……」ズーン

菜々「いや加蓮ちゃんは主役以上に歓声とファンレターをもぎ取っていくじゃないですか。聞きましたよ、前の水着撮影の時とか――水着、夏、ビキニ……店員の加蓮ちゃん……うっ頭が」

加蓮「そうだけどさー……。もー、菜々ちゃんも1回くらい譲ってよ」

菜々「草食系なんてもう流行らないんですよ! 時代は肉食系!」

加蓮「兎って草食系動物じゃなかった?」

菜々「ナナは肉食系なんです! アイドルに関することだけはね! 例え藍子ちゃんが相手でも全力で狩ってやりますよ!」クワッ

藍子「ひゃっ」(加蓮の後ろに隠れる)

菜々「既にその動作が小動物っぽいじゃないですか! 始まる前から早速動物キャラのアピールですか!?」

加蓮「大丈夫。藍子が小動物なら菜々ちゃんは獣だから。今の菜々ちゃんは獰猛な獣だよ。ライオン辺りの」

藍子「ライオンって実は温厚な性格なんですよ。怖いイメージがありますけれど……」

加蓮「へー、そうなんだ」

藍子「菜々さんは怖くありませんけれど、本当は優しいってところでは同じですねっ」

藍子「でも、怖がられているのに実は優しい性格なのって、誤解されちゃいそうで少し切ないですね……」

加蓮「ねー」

菜々「外敵の多い環境で必死になって子供を護る優しい母親ライオン……あのドキュメンタリーにはナナも泣かされたものですよ……!」

菜々「ってちが~う! ……ハッ! そうやって話題を逸らすつもりですね!!」

藍子「え、いやそんなつもりでは」

>>3 1行目の加蓮のセリフを修正させてください。
誤:加蓮「兎って草食系動物じゃなかった?」
正:加蓮「うさぎって草食動物じゃなかった?」



菜々「いつの間に狡猾さを身に着けたんですか! さては加蓮ちゃんですか。藍子ちゃんに余計なこと教えるのホントやめてくださいよ! ナナのオアシスを奪うのはNG!」

加蓮「何もしてないし藍子も何もしてなくて菜々ちゃんが勝手に暴走してるだけでしょ」

加蓮「というか菜々ちゃん、ちょっと落ち着きなって。さっきから藍子が私を盾にしてるし」

藍子「……も、もうつかみかかってきたりしませんか?」ビクビク

菜々「あー……。ちょっと興奮しすぎましたね申し訳ない」

加蓮「とりあえずテンション上げてればJKっぽく見られると思ったら大間違いだよ~菜々ちゃん。パリピってそういう物とはちょっと違うと思うよ?」

菜々「うぐっ。善処します。できればその辺を加蓮ちゃんや藍子ちゃんからご教授もらえれば嬉し――いやナナはJKですけどね! ほら、JKですけどJKだからこそ勉強って大切ですからね!」

藍子「3回も言っちゃいましたね」

加蓮「3回も言ったね」

菜々「おっほん! まぁその、藍子ちゃんが動物キャラの……ハムスターでしたか? をやると聞いてナナはいてもたってもいられなくなった訳ですよ」

藍子「どうして菜々さんがいてもたってもいられなくなっちゃうんですか?」

菜々「だって、このままではウサミンワールドが侵食されてしまう……! すべてゆるふわ空間に書き換えられてしまう……!」

藍子「し、侵食?」

加蓮「ごめんわかんない」

菜々「ナナしょぼーん」

藍子「菜々さんがウサミンワールドで、私がゆるふわ空間……あ、あはは、自分で言うと照れちゃいますね、これ」

藍子「それなら、加蓮ちゃんは何になるのかな……?」

加蓮「私?」

菜々「言われてみれば、加蓮ちゃんってこういうのあまりありませんよね」

加蓮「ふふっ。なんたって王道アイドルだからね。色物とは違うのだよ色物とは」ドヤッ

菜々「誰が芸人枠じゃー!」

加蓮「そこまでは言ってないけど」

藍子「私も、芸人さんになれますか?」

加蓮「……………………」

藍子「どうして無言で顔を逸らすんですかっ」

菜々「加蓮ちゃんはもう加蓮ちゃんっていう1つのジャンルでいいと思いますよ」

加蓮「それを言うならウサミンだってウサミンっていう1つのジャンルでしょ」

藍子「……ゆ、ゆるふわ空間も、ジャンルになれるように頑張りますね」

菜々「って加蓮ちゃんの話ではなくて! また話が逸れちゃってますよ! ……ハッ! これがゆるふわ空間というジャンルの恐怖……!!」

加蓮「はい藍子の勝ちー」(藍子の手を掴んで挙げる)

藍子「や、やりました~?」

加蓮「動物キャラを奪われるって言うけど、そもそも菜々ちゃんは動物キャラじゃないでしょ?」

菜々「むむ? いくら加蓮ちゃんでもナナのウサミンを貶すのであれば許しませんよ? この2つの耳にどれだけのドラマが詰まっているか」ピョコピョコ

加蓮「ごめん、けなしてる訳じゃないけど。……ちなみにドラマって? ちょっと興味あるなぁ」

藍子「私も、聞いてみたいです」

菜々「へっ? あー、そ、それを話すにはまずウサミン星の起源から――……え、ええと、また別の機会でいいです?」

加蓮「つまり何もないと」

藍子「残念ですっ」

菜々「違うわー! ただあまりにも壮大で膨大すぎるからまとめるのに苦労するって話ですよ! あんまり遅くなると加蓮ちゃんや藍子ちゃんだって疲れちゃいますからね!」

菜々「だから、ナナのウサミミの話はまた後日ということで!」

加蓮「ま、そうしておいてあげるね」

藍子「今度、たっぷり時間を用意しておきますから、その時に聞かせてくださいね♪」

菜々「え、ええもちろんですとも!」

加蓮「話が逸れたけどつまり菜々ちゃんって別に動物キャラじゃないし、そもそも動物キャラにこだわるならみくちゃんとか仁奈ちゃんとかライバルいっぱいいるでしょ。それで藍子に噛み付くってちょっと違わない?」

菜々「みくちゃんや仁奈ちゃんは最初から動物キャラだからいいんですよ。普段そうじゃない人が新しいジャンルを切り拓くことの恐怖感と言いますか」

藍子「恐怖感……?」

菜々「ナナ、これでもいつも焦っているんですよ? 今でこそアイドルランクは2人よりちょっと高いかもしれませんが、いつ加蓮ちゃんや藍子ちゃんに追いつかれてしまうかと」

加蓮「……」

菜々「この業界、追い抜かされたら一瞬ですからねぇ……。昨日までの後輩が今日になったら先輩。そうしてナナはいつしか時代に取り残されて……ううっ、想像するだけでも身震いが!」

菜々「加蓮ちゃんならこの気持ち、なんとなく分かってくれると思うんですが……」

加蓮「……うん。分からなくもないよ。確かに、後ろから走ってきた人に追い抜かされるのって怖いし、その人が自分より高いランクになったらすごく悔しいよね」

加蓮「私もあのクリスマスライブで、菜々ちゃんと似たことを感じたもん」

加蓮「私より後からデビューしてきた子が、私よりずっと高いポテンシャルを持ってる。いつ追い抜かれるか分からない。……そう思うと、足元がぐらついちゃった気がして」

藍子「加蓮ちゃん……」

菜々「キャハッ☆ 加蓮ちゃんなら理解してくれると――」

加蓮「でもさ」


加蓮「そもそも菜々ちゃんって動物キャラじゃなくない?」


菜々「なんですと!?」

加蓮「動物キャラじゃなくてウサミンでしょ。ウサミン星人。藍子もそう思わない?」

藍子「確かに、菜々さんはうさぎというよりウサミン星人という気がしますね」

加蓮「なら別に藍子に侵略されるーとか焦らなくていいと思うんだよね。それとも何? 藍子は今回のLIVEでウサミンデビューとかするの? メルヘンデビュー歌っちゃうの?」

藍子「歌いませんっ。あれはやっぱり恥ずかし……わ、私には少し早いですから」

菜々「今恥ずかしいって言いました!?」

藍子「い、言ってないです」

加蓮「……むしろメルヘンデビュー(ハムスター版)って見てみたいかも」

藍子「歌いませんってばっ」

加蓮「ミミミンのかわりに……ハムスターってなんて鳴くっけ? ちゅう? ちゅっちゅっ言ってたらなんか別の歌になりそうだね」

藍子「具体的に話を広げないで~っ」

菜々「――確かに。ナナはナナであり、ウサミン星人である……!」

加蓮「……哲学?」

藍子「菜々さんの標語になりそうですっ」

菜々「ありがとうございます加蓮ちゃん藍子ちゃん! ナナ、大切なことを忘れかけていましたよ! そう! ナナはウサミン星人だった!」

加蓮「う、うん。どういたしまして?」

藍子「そうですよ。菜々さんは、立派なウサミン星人です」

加蓮「菜々ちゃんがやるべきことは藍子に掴みかかることなんかじゃなくて、ウサミン星人としての腕を磨くことだと思うんだ」

加蓮「ひたむきに頑張ってる姿を見てくれる人は、いっぱいいる……それこそ、菜々ちゃんも知ってることだよね」

加蓮「ふふっ。あんまりがっかりしたくないなぁ。私、これでも菜々ちゃんの努力家なところはすごく尊敬してるんだよ?」

菜々「加蓮ちゃん……!! グスッ……ゴシゴシ! キャハッ☆ そこまで言われちゃやらない訳にはいきませんね!」

菜々「ナナ、さらにウサミンワールドを広げちゃいますよ! 藍子ちゃんのハムスター王国には負けませんから!」

藍子「えっ、ハムスター王国……!?」

菜々「そうと決まれば今から! ちょっとウサミン式特訓をしてきますね! また後で!」ダッ

藍子「あっ菜々さ――」

<ハムスター王国には負けませんからねー!

藍子「行っちゃった……。勝負なんてしかけてないのに……」

加蓮「脱兎のごとくってよく言うよね……。アレ、例えじゃなくてマジだったんだ」

藍子「に、逃げた訳ではありませんから」

加蓮「あそこまで素早く動けるなら、ハムスターの才能もあるんじゃないかな。ほら、ハムスターってすばしっこいし」

藍子「ハムスターの才能って?」

加蓮「……藍子のライバルになれる相手ってこと?」

藍子「菜々さんがライバルになっちゃったら、すっごく大変そうですね」

加蓮「きっと菜々ちゃんも同じことを思ったんだよ」

藍子「ハムスターの菜々さん……」

加蓮「……ウサミミつけてるハムスター」

藍子「うさぎとハムスター?」

加蓮「うさムスター」

藍子「なんだか、ファンタジー小説に出てきそうな名前ですね」

加蓮「うさムスター」

藍子「……気に入ったんですか?」

加蓮「うさムスター」

藍子「気に入ったんですね」アハハ

加蓮「ハムスター王国、作るの?」

藍子「……作りませんよ?」

加蓮「菜々ちゃんのウサミン星と、藍子のハムスター王国。両方からスカウトされたらどっちに入ろっかなー、困っちゃうなー」

藍子「作りませんってば~」

加蓮「自分で言っておいて何だけど、ウサミン星人の腕を磨くってどういうことなんだろ」

藍子「うーん。もっとウサミミをぴょこぴょこさせられるようにする、とか?」

加蓮「うさぎじゃなくてウサミン星人って話はどこに」

藍子「メルヘンデビューをもっとうまく歌えるようにする、とかどうでしょう」

加蓮「藍子もやってみる? ウサミン式特訓」

藍子「加蓮ちゃん、私にメルヘンデビューを歌ってほしいだけですよね……」

加蓮「ダンス付きだとなおよし」

藍子「むー」

加蓮「ちょっと恥ずかしさが抜けない藍子が見られるなら、私は何だってやってみせる」

藍子「その情熱は、もっと別の方向に向けてください」

加蓮「菜々ちゃんがいなくなっただけで随分静かになっちゃったね」

藍子「菜々さん、いつも元気いっぱいですから」

加蓮「今日はちょっと興奮しすぎてたよね」

藍子「掴みかかられた時は、ちょっとだけ怖かったです」

加蓮「ごめんねー。怖がるのは分かるけど、菜々ちゃんも悪気があったワケじゃないから、避けないであげてね?」

藍子「ふふ、分かってますよ。ちょっとびっくりしちゃっただけで……」

加蓮「よかった」

加蓮「ハムスターかぁ……」

藍子「加蓮ちゃんなら、何の動物がやりたいですか?」

加蓮「私? んー、どうだろ。ありきたりなところで猫とか?」

藍子「猫の加蓮ちゃん……」


加蓮『加蓮だにゃ~っ。いっぱいかわいがって欲しい、にゃっ♪』


藍子(…………)


加蓮『……加蓮だよ。餌をくれるだけで懐くと思ったら大間違いだよ。懐いて欲しいなら高級モンペチを用意するところから始めるにゃ』プイッ


藍子(こっちの方が似合いそう……)

加蓮「?」

藍子「あっ、いえっ、なんでも! あ、そうだ! 犬はどうですか?」

加蓮「犬かぁ。どっちかっていったら凛が犬っぽいし私は猫派だし……犬なら藍子の方が似合いそうじゃない?」

藍子「そんなことないですよ~。加蓮ちゃんだってきっと似合いますっ」

>>15 4行目、加蓮のセリフ(?)修正させてください。
誤:~懐いて欲しいなら高級モンペチを
正:~懐いて欲しいなら高級なキャットフードを

モンペチってあの作品の固有名詞だって投下してから気づきました……! 大変申し訳ない!



加蓮「そんなことないって。ほら、」


藍子『一緒にお散歩にいきたいわんっ♪ わんわんっ♪』


加蓮「こんな感じで」

藍子「わんわんっ♪ ……………………」バッ

加蓮「顔真っ赤にして逸らす藍子。レアだね」ガサゴソ

藍子「…………」バッ

加蓮「はいはい、両手を抑えなくても撮ったりしないから」

加蓮「他の動物だと……鳥とか?」

藍子「鳥、ですか? ふふっ、空を飛ぶのって気持ちよさそうですよね……」

加蓮「でも鳥を演じるのってどういう風になるんだろ。ほら、犬ならわんわんって言うし猫ならにゃーにゃーって言うけど」

藍子「にゃーにゃー?」

加蓮「にゃーにゃー」

藍子「にゃーにゃー」

加蓮「にゃーにゃー」

加蓮「……何?」

藍子「ううん。加蓮ちゃんがにゃーにゃーって言うの、なんだか可愛いなって♪」

加蓮「犬の藍子には負ける」

藍子「忘れてください」

加蓮「演じれそうな動物って言ったら……狸とか?」

藍子「童話や絵本では、よく人を騙したりしていますよね」

加蓮「騙すって言えば狐もかな」

藍子「騙す……」


加蓮『油揚げげっとー♪ ふふっ、騙される方が悪いんだよ?』
加蓮『私の狐火があれば、人を騙すなんて簡単なことだよね。次は誰を化かしちゃおっかなー♪』


藍子(……あはは、普段から言いそう)

加蓮(……)

加蓮(…………)


藍子『だ、騙したりしてしまってごめんなさいっ。でも、どうしても油揚げが食べたくて……!』


加蓮(んー……)

加蓮(…………)


藍子『――外見で素直そうって思いました? お話……話していて優しそうだって勘違いしました?』
藍子『あはっ♪ そんなのぜんぶ、演技ですよ? あなたが騙される顔を見るの、楽しかったです♪』


加蓮「うん。断然こっちかなぁ」

藍子「???」

加蓮「なんでもない」

加蓮「そう考えるとさ。ハムスターってどんなキャラなんだろ」

藍子「ハムスター……そういえば、私たちが小さい頃、ハムスターが主人公のアニメってやっていませんでしたか?」

加蓮「私も見たことあるなぁ。へけっ、って」

藍子「へけっ」

加蓮「へけっ」

藍子「へけっ」

加蓮「……何?」

藍子「くすっ。変な顔になっちゃってます♪」

加蓮「へけっ」

加蓮「ハムスターの特徴といえば」

藍子「走ってますよね。あの、ぐるぐる回る車輪みたいなの」

加蓮「あれ何って言うんだろうね。車輪でいいのかな? あと、ひまわりの種をかじってる」

藍子「ほっぺいっぱいに頬張って、もぐもぐしています」

加蓮「試しにひまわりの種を食べてみたら分かるんじゃないかな? ほら、ちょうどいい具合にあっちに飼い主候補がいるよ」

藍子「飼い主候補?」


<ひまわりの種ならいつでも準備できてるよ~!
<今日も持っているんですね
<当然だよありすちゃん! 女子必携のアイテムだもんっ
<え?


藍子「試しに食べてみよっかな……」

加蓮「行ってらっしゃーい」

藍子「ちょっと行ってきますね」テクテク

加蓮「んー」フリフリ


<おひとつ、もらえますかっ
<いいよー。ありすちゃんもどう?
<いらないです
<・ワ・
<……なんですか、その顔


加蓮「おかえり」

藍子「ただいま戻りました。それでは早速」モグ

藍子「……」モグモグ

加蓮「どう?」

藍子「…………これ、殻がついてて食べにくいです……」

加蓮「殻!?」

藍子「加蓮ちゃんの分も、もらってきたんですよ。一緒に食べてみますか?」

加蓮「う、うん。もらうね」モグ

加蓮「…………」モグ

加蓮「……殻がついてる……」

藍子「これ、どうやったら上手く食べられるんでしょうか? そのまま食べちゃっていいのかな……?」

加蓮「なんか消化できなさそうじゃない……?」

藍子「お腹が痛くなりそう……」

加蓮「何か食べ方とかあるんでしょ。スマフォで調べてみよーっと」


<ねえ、ありすちゃんっ。ふくろうって何を食べるのかな?
<ちょっと待ってください。タブレットで調べてみます


加蓮「ふんふん……。見て藍子。平たいところを摘んで力を入れると……ほら、出てきた!」

藍子「こんな感じですか?」ンー

藍子「……うぅ、出てこない」

加蓮「こう、指を立てるようにしたら力が入りやすくならない?」

藍子「んん~~~~!」ギュー

藍子「……あっ、出てきましたっ。この中身を食べればいいんですよね?」

加蓮「歯で咥えた方が食べやすいんだって」

藍子「あむっ」

<ふくろうの主食は、ねずみやひよこ、それから虫のようですね
<…………えー…………
<なんで無言で引くんですか!?
<い、いや、虫とかを食べるのはちょっと……
<私はふくろうそのものではありません!


藍子「でもハムスターって、ひまわりの種の中身を取り出したりしませんよね」

加蓮「そういえばそうだねー。あれって殻ごと食べてるのかな?」

藍子「じゃあ、私も殻ごと食べられるようにしなきゃ……!」

加蓮「……実際食べる時があったら殻が無い種を出してくれると思うよ?」

藍子「そうなんでしょうか……」

加蓮「逆に、なんで夕美は殻がついた種を渡してきたんだろうね……」

藍子「あはは……夕美さんなりのこだわりなのではないでしょうか」

加蓮「こだわりねー」


<殻付きのしか持ち歩いていない訳じゃないよー! ちいさい子でも食べやすい種も持ち歩いているからねっ
<なら、藍子さんにもそれを渡せばよかったのでは?
<・ワ・
<だからなんですか、その顔。百歩譲ってひまわりの種が必携品だとしても、殻のついた物を持ち歩いているのは夕美さんくらいだと思いますけど
<(・ω<)
<…………。
<ありすちゃん? 目が冷たいよっ!?


加蓮「だってさ」

藍子「あ、あはは……」

加蓮「そっか。そういえば、ありすと共演するんだね」

藍子「はいっ。私がハムスターで、ありすちゃんがふくろうなんですよ」

加蓮「ありすかー。…………」

藍子「加蓮ちゃん?」

加蓮「……これはぼやぼやしていられないかもね。贅沢言ってる場合じゃないかも」

藍子「ぜいたく……?」

加蓮「ずっと前に一緒に仕事をしたことがあるんだけど、すごかったからね。チョイ役なのにすごく目立ってて、スタッフさんからも気に入られてて……ファンからの反響もすごかったらしいし」

藍子「へえ~……。一緒にお仕事したことがあったんですね」

加蓮「ちょっとね」

<懐かしいですね
<何のお仕事だったのかなっ?
<ウェディングドレスの撮影です。……12歳に花嫁衣装なんて、今考えても変ですよね。モバP(以下「P」)さんは何を考えているんでしょう
<と言いつつ?
<何ですか
<いーなー。私もドレス、着てみたいなー。Pさんにお願いしちゃおっかな?
<……け、結婚前に着ると婚期が遅れるそうですよ? いいんですか?
<にやにや
<何ですかその顔!


加蓮「藍子も今から特訓しなきゃ」

藍子「ですねっ」

加蓮「まずはひまわりの種を食べるところから」

藍子「できれば、殻のついていない物でお願いします」

加蓮「ハムスターといえばあの車輪」

藍子「いっぱい走り込んで、体力をつける必要がありそうですね」


菜々「あれっ、2人ともまだいたんですか!」


藍子「お帰りなさい、菜々さん」

加蓮「お帰りー」

藍子「修行は、終わったんですか?」

菜々「ええもうばっちりですよ! ちょうど今使っている大学ノー……じゃなくてウサミンノートがいっぱいになってしまって、ついでに軽く自主レッスンもしたんですよ。様子を見に来たらまだいたとは」

藍子「お疲れ様ですっ」

菜々「ふっふっふー、これで次のLIVEの準備もバッチリですね!」

加蓮「そして自爆するウサミンさんじゅうななさい」

菜々「自爆って言うなー! ナナは17歳ですからね! じゅー・なな・さい!」

藍子「大学ノート――あっ、じゃなくてっ、ウサミンノートがいっぱいになったんですか?」

菜々「え? ええそうですよ。久々に設定作……じゃない! えと、う、ウサミン星のシークレットを……その……」

藍子「あはは……地球の皆さんにお話できる場所を探して、整理したんですよね?」

菜々「そうそうそれそれ! さすが藍子ちゃん! キャハッ☆」

加蓮「あーあー藍子にまでフォローされちゃって。……っていうか、ノート1冊が埋まったの? この短時間で?」

菜々「なんだかんだある程度まで埋めてはいましたからね。イチからってワケじゃありませんけどそれでも結構時間が経っちゃいましたよ」

藍子「え?」

加蓮「時間……げ、もう夕方じゃん!? 私たちそんなに話してたの!?」

藍子「ほ、本当ですっ。いつの間にこんな時間になってしまったんでしょう」


<!?
<!?
<わ、わぁ……。ホントだ。ありすちゃん、時間は大丈夫かなっ?
<今日は大丈夫ですが……藍子さんはやっぱりすごいですね


加蓮「やっぱり藍子と話してるとすごい時間が経過しちゃうね」

藍子「うぅ、ごめんなさい。気をつけてはいるんですけれど、いつもこうなっちゃって」

菜々「藍子ちゃん……恐ろしい子!」

加蓮「?」

藍子「?」

菜々「あ、あれ?」

加蓮「あー……後で調べとこっか」

藍子「Pさんにも聞いてみましょうか」

菜々「き、きゃは。……まあそのー、ほら、やっぱり藍子ちゃんは油断ならない子だってことですよ!」

藍子「そんなっ」

菜々「で、何の話をしてたんです? ナナも混ぜてくださいよ! キャハッ☆」

加蓮「確か……あ、そうだ! いいところに、」

菜々「おおっとナナちょっと用事が」バッ

加蓮「用事が終わったから帰ってきたんでしょ」ガシ

菜々「離せーっ!」ジタバタ

加蓮「離すもんかーっ」

藍子「もうっ、加蓮ちゃんっ」

<そういえば、ふくろうってうさぎも食べちゃうんじゃなかったかなっ?
<そうなんですか? ……そうみたいですね。このサイトにも書いてあります
<ふくろうのありすちゃんが、うさぎの菜々ちゃんを食べる……!?
<はい?
<そ、そんなのよくないと思うなっ。ひ、人の趣味嗜好は自由だけどー、その、そういうのはありすちゃんにはまだ早いんじゃないかなっ!?
<……はい??


菜々「ぜーっ、ぜーっ」

加蓮「はーっ、はーっ……もう、菜々ちゃん、暴れすぎ、だよ……ゲホッ」

菜々「な、ナナっ、軽くですけど、自主レッスン、してきたから、体力ないんですよゲホッ」

藍子「おふたりとも、落ち着きましたか? これ、お水を持ってきましたから――あ、加蓮ちゃん、もっとゆっくり飲まないと……」

加蓮「ふうっ……。ありがと、藍子。……もう。菜々ちゃん? 人の顔を見て逃げるって失礼じゃない?」

菜々「感謝感激ですよ藍子ちゃん! 加蓮ちゃんのその悪巧みする顔、さんざん見てきましたからね! 何度痛い目に遭ったことか!」

加蓮「あははーそんなこともあったっけー」

藍子「加蓮ちゃん、すっごく棒読みになっちゃってます……」

菜々「ごほんっ。で、ナナに何か用です?」

加蓮「とか言いつつ話を聞いてくれる菜々ちゃん、大好きだよー」

菜々「聞かないと加蓮ちゃん拗ねちゃうでしょうが」

加蓮「今ね、藍子がどうやったらハムスターになれるのか話してたんだ」

菜々「ほうほう。……んなっ!? 藍子ちゃんによるウサミンワールド侵食作戦はまだ続いていたんですか!?」

加蓮「……アンタ、ハムスターキャラでも目指してんの?」

藍子「落ち着いてください。菜々さんはウサミン星人だって結論が出たじゃないですかっ」

菜々「ハッ。いけないいけない。ナナ、またまた自分を見失うところでしたよ」

加蓮「とりあえず、ひまわりの種を食べつつ体力をつけるといいって話になったんだ」

菜々「ひまわりの種は分かりますが、体力とは?」

藍子「ハムスターって、車輪を走ってるから……私も、あれくらい走れるようになった方がいいのかな? って」

菜々「ああそういうことですか」

加蓮「ひまわりの種は夕美に任せるとして、」


<任されたよーっ
<……やっぱり私も、もらっていいですか? 殻のついていない種
<お、ありすちゃんも良さに気付いたのかな?
<別に、ちょっと食べてみたくなっただけですから。他意なんてありません


加蓮「体力をつけるといえば菜々ちゃんでしょっ」

菜々「はあ。といっても藍子ちゃんってナナよりずっと体力ありますよね?」

加蓮「体力をつけると言えば菜々ちゃんでしょっ」

菜々「だから、別にナナが教えるまでもなく――」

加蓮「ね?」ガシ

菜々「ってこれナナを巻き込みたいだけじゃないですかー!?」

加蓮「ほらほら、せっかくの藍子の大舞台なんだよ。協力してこそ仲間でしょ。ユニット仲間でしょ。まさか面倒見の良いお姉さんが健気でひたむきに頑張る子をポイってしたりしないよね? ほらほらっ」ガシ

菜々「ここぞとばかりにいい言葉ばっかり並べて!」

加蓮「さーもう夕方だけどレッスンルームへレッツゴー! 今日はオールでやるよ! ほら、その方が菜々ちゃんもJKになれたみたいでいい感じでしょ?」ズルズル

菜々「外堀を1つずつ埋めるのホントやめてくれませんかねぇ!? ギャー! 引きずらないでください! ウサミミが、ウサミミが取れちゃいますから!!」

藍子「…………」ポカーン


<私たちも行ってみよっか?
<顔を出すくらいなら邪魔にもなりませんよね

――その後――

藍子「はあっ、はあっ……これくらい走れたら――あれ?」

加蓮「」チーン

菜々「」チーン

藍子「……あはは……。加蓮ちゃんも菜々さんも無理しちゃうから……」

藍子「でも、……うんっ。私も、おふたりに負けないくらい頑張らなきゃっ」

藍子「もう1セット、やってみようっ」


<藍子さん……
<これは応援しちゃうねっ。ふれーっ、ふれーっ、藍子ちゃんっ♪

□ ■ □ ■ □


――LIVEが終わった数日後・事務所――

<ガチャ

加蓮「おはようございまーす」

藍子「もぐ?」ペコッ

加蓮「……あー。食べ終わってからでいいよ?」

藍子「モグモグゴクン……おはようございます、加蓮ちゃんっ」

加蓮「おはよう、藍子。またひまわりの種を食べてるんだ。もうハムスターは終わったんでしょ?」

藍子「あはは……あれからついハマっちゃって」


<藍子ちゃーん! おかわりもあるからいつでも言ってねー!


藍子「はーいっ! ありがとうございまーす!」

加蓮「あっちもあっちですっかり餌付け役になっちゃってるし」

菜々「藍子ちゃん藍子ちゃん! ついでに落花生もどうですか! ほらっ、これウサミン星の特製なんですよ!」

藍子「そっちもいただきますね。ありがとうございます、菜々さん」

菜々「ハムスターの次はウサミン星人とか! やってみる気、ありませんか?」

藍子「え、えーっと……それはちょっと……」

菜々「むむむ。なかなか上手くいきませんねぇ。でも、興味が湧いたらすぐに言ってくださいね!」

藍子「ふふっ。その時が来たら、菜々さんにお願いしちゃいますね」

藍子「もぐもぐ……」

加蓮「で、こっちもこっちでなんか勧誘してるし」

菜々「ナナ、気付いたんですよ! 藍子ちゃんが強力なライバルになり得るなら、その前に味方につけてしまえばいいって!」

菜々「おおっと落花生といえば渋めのお茶ですよね! ナナとしたことが! 藍子ちゃん、今淹れてきますからね!」タタッ

藍子「ありがとうございますっ。……もぐもぐ」

加蓮「ホント、ハムスターっぽくなっちゃって。そんなに一気に頬張って大丈夫なの?」

藍子「モグモグゴクン……。これも、いっぱい経験しましたからっ」

加蓮「あはは……」

加蓮「……菜々ちゃんはウサミンだけどうさぎでもあるし、藍子はハムスターか。私も何かやってみたいなぁ――」

菜々「お茶、淹れてきまし――」

菜々「!」キュピーン

菜々「それならウサミン星人はどうですか!?」

加蓮「だから何の勧誘なのよ!?」

藍子「もぐもぐ……」


<ありすちゃん、そのふくろうの髪飾り、気に入っちゃったのかなっ?
<……これをつけていると、聡明になれる気がして
<うんうん。ありすちゃんに似合ってるよ! それをつけてると、すごく賢そうに見えるもんっ
<そ、そうですか。ありがとうございます。……賢そうに見える……えへへ



おしまい。
読んでいただき、ありがとうございました。クリスマスメモリーズばんざーい!!

北条加蓮と相葉夕美の共演を切に望みます。

誠子「スチール缶がスレ建てましたね」

照「まな板に比べれば私は巨乳」

菫「お前ら現実を直視しないで空しくないのか」

尭深「菫様>私>淡ちゃん>照先輩>誠子ちゃん」

淡「胸の差で女性の魅力が決まるわけないでしょ」

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