モバP「だりやすかれんと春の休日」 (48)
―――暖かな日差しが差す、泰葉のお部屋
泰葉「――加蓮、加蓮。いい加減起きて」ユサユサ
加蓮「んんぅ~……。あと1時間~……」モゾモゾ…
泰葉「もう、バカ言わないで。せっかくのお休みなのに……」
加蓮「んーんー……。今何時ぃ……?」
泰葉「とっくに12時回ってます! 李衣菜がお昼ご飯作ってくれてるんだから、早く起き――」
加蓮「すやぁ……♪」
泰葉「……な、さいっ!」ボフッ!!
加蓮「う゛っ!?」
泰葉「あ」
李衣菜「オムライスできたよー。加蓮もう起きた? って」
加蓮「」
泰葉「か、加蓮! 目を開けて加蓮っ!」ユッサユッサ
李衣菜「なにしてんの?」
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加蓮「――いいパンチだったよ泰葉。布団の上から的確にみぞおちを狙うなんて、成長したじゃない」ジトッ…
泰葉「ご、ごめんなさい……。まさかあんな綺麗に入るとは思わなくて」
加蓮「もー、最悪の目覚ましだよ……」
李衣菜「あははっ、昼まで寝てるバチが当たったんだよ。加蓮が悪い」
加蓮「だ、だって春なんだから仕方ないじゃん。お日様の匂いに包まれたベッドで眠るなんて、あぁもう最高――♪」
泰葉「オムライス美味しい……いつもありがとう、李衣菜」モキュモキュ
李衣菜「へへ、どういたしまして。今日は自信作なんだー」モグモグ
加蓮「聞いてないし」
李衣菜「はいはい、なんでもいいから。加蓮も食べなよ、お腹すいてるでしょ?」
加蓮「言い訳くらいさせてよ……食べるけど。すっごく食べるけどっ」グゥゥ…
泰葉「あ、お腹鳴ってる」クスッ
加蓮「なんだか最近、よくお腹すくようになったんだよね。いただきまーすっ♪」
泰葉「体力付いて、レッスンもたくさん頑張ってるものね」
李衣菜「へへ、だね。味はどう?」
加蓮「もぐもぐ……」
加蓮「……! こ、これは……!」
李衣菜「え、なんか嫌いなの入ってた?」
加蓮「ぁむっ……! ふわとろのタマゴ、パラッとしたチキンライス……!」
加蓮「美味。非常に美味だよ李衣菜……!」パァァ…!
李衣菜「い、言い方は変だけど喜んでるのは伝わったよ……」
泰葉「ふふ、本当に美味しいもの。初めて作ってくれたときも充分美味しかったけど……」
加蓮「うん、どんどん上達してる気がするっ」
李衣菜「そう? でも、上手くなろうって思ったのはアイドルになってからだよ」
加蓮「ふぅん、そうなんだ……どうして?」
李衣菜「どうしてって、簡単だよ。美味しい美味しいって喜んでくれる友だちができたからね」
泰葉「あ……私たち?」
李衣菜「へへ、うん。こんなに四六時中一緒にいる友だちなんて、さすがにいなかったしさ。単純に嬉しいんだ」
李衣菜「それにアイドルは、みんなを笑顔にするためにいるんだから」
李衣菜「まずは身近な人を笑顔にできないとねっ♪」
加蓮「…………。もぐ」
泰葉「……はむ。…………」
李衣菜「あ、あれ……? 滑った?」
泰葉「……李衣菜」
李衣菜「は、はいっ」
泰葉「私も……嬉しいよ。私、今まで周りには大人しかいなかったから」
泰葉「この部屋だって、私の物だけじゃなくて、2人の物もたくさん増えたし……」
泰葉「もう独りじゃないって思えて、とっても嬉しいの」
李衣菜「泰葉……。そっか、泰葉もなんだ。よかったぁ」
泰葉「ふふ♪ それっぽく言ってみただけっ」
加蓮「……んー、それじゃ私もいい? なんか言っとく流れみたいだしっ」
李衣菜「お、聞くよ聞くよっ」
泰葉「加蓮はどんな感動的なこと言ってくれるのかな」クスッ
加蓮「ちょっと、そんなたいそーなこと言えないってば。……ま、私はさ。今まで入院生活長かったから――」
加蓮「おはようもおやすみも規則正しく、ご飯は味の薄い病院食ばっかりだったんだよね」
加蓮「それが今じゃ、お泊りして一緒に夜更かしして、お昼までぬくぬく眠って、起こしてもらって……」
加蓮「その上、友だちが作ってくれた美味しいご飯まで食べられて。それがもう嬉しくて嬉しくてね♪♪」ニパッ
李衣菜(お、重いっ……重いよ加蓮……!)
泰葉(か、加蓮は今までが今までだったから、まぁ……!)
加蓮「ん? どしたの2人とも。変な顔して」
李衣菜「いやぁ……加蓮が今幸せならいいよ、うん」
泰葉「え、ええ……加蓮の幸せが私たちの幸せ。うん」
加蓮「ふふっ、なに言ってるの?」
李衣菜「ほ、ほらオムライス! あったかいうちに食べて食べてっ」
加蓮「うん、食べる食べるー。はぁ~、人生満喫してるなぁ私♪」
李衣菜「も、もういいから! おしまいおしまい!」
加蓮「え、なに? 怒ってるの李衣菜?」
李衣菜「怒ってないよ! あーもう、加蓮のバカっ!」
加蓮「はぁ!? 怒ってるじゃん、なんで急にそんな――!」
泰葉「あ、あはは……。冷めちゃうから早く食べましょう?」
―――
――
―
―――
加蓮「――ん~、お腹いっぱい♪ ごちそうさまっ」
泰葉「ふぅ……美味しかった。ごちそうさまでした、李衣菜」
李衣菜「うん、おそまつさま。いい食べっぷりだったよ、2人ともっ」
加蓮「ふふっ、李衣菜の手作りならいくらでも食べられるからね」
泰葉「舌が肥えてきた、って言っても過言じゃないかも。ふふふっ」
李衣菜「い、いやいやさすがにそれは言い過ぎだって!」テレッ
加蓮「プロフィールを書き換えるなら、好きな食べ物に『李衣菜の手料理』って書きたいくらい♪」
泰葉「あ、じゃあ私もそうしようかな……♪」
李衣菜「ま、またまたぁ。そんなこと言って、フライドポテトとかカステラとかのがいいんでしょ?」
加蓮「…………」
泰葉「…………」
李衣菜「黙られるとちょっと負けた気がするなぁ」
加蓮「じゃあ『ポテトと李衣菜の手料理』で」
泰葉「そうね、まったく同じだと個性がね。『カステラと李衣菜の手料理』で」
李衣菜「……まぁいいんだけどさ、好きでいてくれるなら」
加蓮「もちろん李衣菜もすきー」
泰葉「ふふ、すきー」
李衣菜「なんだよ、その気の抜けた告白……。ふふ、ロックじゃないなぁ」
―――
加蓮「――さてと、午後からどうしよっか。どこか出かける? 映画館とか!」
泰葉「うーん……移動時間も考えると、ひとつ映画観ただけでも夜になっちゃいそう」
李衣菜「電車乗り継がないとだもんね。……誰かさんがぐーすか寝てなきゃ午前中から動けたんだけどね」
加蓮「う。わ、悪かったってば……」
泰葉「となると、近場ね。……あ、少し歩くと公園があるんだけど、お散歩なんてどう?」
李衣菜「おー、いいね。たまには外でのんびりしたいし」
加蓮「お散歩かぁ。そういえば私も李衣菜も、あんまりこの辺りは知らないよね」
李衣菜「そだね、いつも駅と泰葉の家までの往復だし」
泰葉「ならお散歩で決まりでいい? 少し遠回りして、お話しながら……」
加蓮「うんっ。それじゃ善は急げ、ってことで――」
李衣菜「よし、早速出発♪」
泰葉「ふふ、おーっ」
泰葉「――出かける前に。加蓮、風邪ひかないようにしっかりあたためないと」
加蓮「だからってカイロはおかしくない? 春だよ? こんなぽかぽか陽気なんだよ?」
泰葉「万が一ってことがあるし……」
加蓮「いやないでしょ!」
李衣菜「お徳用カイロ、まだ残ってたんだ……しかも箱単位で」
泰葉「加蓮用に買い溜めしてたら、冬越しちゃって……」ペタペタ
加蓮「買いすぎ! って言いながら貼らないでよもうっ」ベリベリ
李衣菜「薄手のカーディガンにカイロ……うーん、ロックだね!」
加蓮「コメントに困ったらとりあえずロックって言うのやめない?」
泰葉「私はこんなに加蓮のことを想ってるのに……くすん」
李衣菜「いつか理解してくれるよ、泰葉。加蓮は優しいから」
泰葉「ありがとう李衣菜……。私、諦めない……!」
加蓮「なんでコント始まっちゃうかなぁ」
泰葉「コントだなんて、ひどいな加蓮。――忘れ物ない? お財布持った?」
李衣菜「持ったよー」
加蓮「んー、おっけー。……んもう、隙あらばふざけるんだから」クスッ
泰葉「心外。ふざけてるんじゃなくて、トークスキルを磨いてるだけなのに」
加蓮「はいはい、ものは言いようだよねー」
李衣菜「あはは。じゃあ行こっか!」
「「はーいっ」」
―――
李衣菜「――んーっ、いい天気!」
泰葉「うん……風も気持ちいいね」
加蓮「絶好のお散歩日和、って感じ♪」
てくてく……
泰葉「遠回りすると、知ってる街でも全然違うなぁ……。ひょっとすると迷っちゃうかも」
李衣菜「え、泰葉が頼りなんだから頼むよ?」
泰葉「ふふ、大丈夫。……あ、こっちの路地とか入ってみましょうか」トコトコ
加蓮「ま、待ってよ不安すぎっ」
てくてく
李衣菜「――やっぱり表通りとは雰囲気違うね」
加蓮「うん、静かだね。こんなところを夜1人で歩いてたら……襲われちゃうかも♪」ギュッ
泰葉「ひゃっ!? もう、加蓮っ」
加蓮「ふふっ♪」
李衣菜「もー、ちゃんと歩かないと転ぶよ――」
てくてく……
てくてく
ネコ「にゃーん……」テチテチ
李衣菜「――お、ネコ。野良かな?」
泰葉「かわいい……♪ おいで、おいで……」
ネコ「にゃ?」テテテ
泰葉「あぁ! かわいい、かわいいっ!」ナデナデ
李衣菜「テンション高いなぁ泰葉」
ネコA「にゃー」
ネコB「にゃにゃーん」
加蓮「なんか私すごい囲まれてるんだけど」
ネコC「にゃおーん」
ネコD「なーんなーんっ」
てくてく……
加蓮「――はぁ、もうっ……追い払っても追い払っても次々と……!」
李衣菜「大人気だったね、加蓮。さっすがアイドル♪」
加蓮「あのねぇ……」
泰葉「ふふ、路地裏は野良ネコの楽園だったみたいね。新しい発見……♪」
加蓮「も、もうあんなところ行かないからっ」
てくてく
泰葉「――うーん……」キョロキョロ
加蓮「……ねぇ、ここさっきも通らなかった?」
李衣菜「私も同じこと思ってたんだけど……いや、まさかね? 泰葉に限ってそんなことは」
加蓮「そ、そうだよね。気のせいだよね――」
泰葉「李衣菜、加蓮――」
泰葉「ここ、どこだと思う……?」
「「ウソでしょー!?」」
てくてく……
泰葉「ここを曲がれば……!」
李衣菜「もう3回目だよ、このポスト見たの……」
てくてく……
泰葉「あっ、ここは見覚えあるから大丈夫――」
加蓮「うん、つい10分くらい前に来たよね」
てくてく……
ネコ「――にゃーん?」テチテチ
李衣菜「ってさっきのネコパラダイスじゃんここ!」
泰葉「また会えた……よしよし♪」ナデナデ
李衣菜「いやそうじゃないでしょ……」
ネコ「なーんなーんっ♪」
「「「にゃーにゃー」」」ワラワラ
「「「にゃにゃーん」」」ワラワラ
「「「にゃにゃにゃー」」」ワラワラ…
加蓮「さっきより増えてるんだけど!? 助けてぇ!」
―――
――
―
―――公園
泰葉「――つ、着いた……着いたよ2人とも!」
李衣菜「や、やっとぉ……?」
加蓮「うぅ、ネコぉ……ネコの毛がぁ……」グスン
泰葉「ご、ごめんなさいっ! こんなに迷うなんて思わなくて……!」
李衣菜「ま、まぁいいって。時間かかったけど無事着いたんだし」
加蓮「はぁ、ネコがいないならもうなんでもいい……」
李衣菜「か、加蓮、公園広いよ! 花壇も綺麗だし、小さな噴水まである!」
加蓮「うん、そうだね……はぁ」
泰葉「げ、元気出して加蓮……。あ、そうだ。こっち来て2人ともっ」タタタッ
李衣菜「ん、なになに? なにかあるの?」
加蓮「……ネコじゃないよね?」
李衣菜「も、もう大丈夫だってば……」
泰葉「――ほら、見て……!」
加蓮「……!」
李衣菜「うわー……大きな桜の樹!」
加蓮「綺麗だね……。何年かかるのかな、こんなに立派になるまで」
泰葉「分からないけど……私たちもこの樹のように、大きな存在になりましょう?」
加蓮「……うんっ。いつか必ずね!」
泰葉「ええ! よかった、元気出たみたいで」
加蓮「ふふ、だってこんな綺麗な桜を見せられたらね。ほんと、すごく鮮やかな――」
泰葉「そうね……とっても素敵な――」
「「緑の葉っぱ」」
李衣菜「うん、もう完全に花散っちゃってるね」
加蓮「んー、残念。もっと早く来ればお花見できたのにね」
泰葉「お休みが合わないとどうしてもね……。もうどこもとっくに葉桜になってるし、諦めるしか――」
李衣菜「――じゃあ次は来年だね」
泰葉「え……」
李衣菜「来年、また来ればいいじゃん。まさか今年っきりで離ればなれになるわけでも無し!」
加蓮「いや……まぁそうだけど。そんな先のことなんて」
李衣菜「うん、分からないけどさ。もしダメだったら再来年があるよ。それもダメなら3年後!」
泰葉「李衣菜……」
李衣菜「ずーっと一緒なんだから、いつやったって同じだよ。むしろ楽しみは後に取っておく、みたいな?」
加蓮「ポジティブ~……。李衣菜のこういうところ、見習うべきなのかなぁ」
泰葉「私たち、もうだいぶ李衣菜に影響されてる気がするけどね……」クスクス
加蓮「えー、それってバカが伝染ったってこと?」
李衣菜「んなっ、いきなりバカ呼ばわり!?」
加蓮「ふふ、お昼ご飯のときのお返しだよっ。っていうか、バカはバカでもいいバカだから♪」
李衣菜「いいバカってなんだよー!」
加蓮「気にしない気にしない♪ あっ、あっちベンチあるよ。ちょっと休憩しよっ」タッ
李衣菜「あっ! 待てーっ!」タタッ
泰葉「……ふふ。来年、再来年か……。ううん、もっとずっと一緒に……♪」トコトコ…
―――
ぽかぽか
ぽかぽか……
李衣菜「――やー……あったかいねぇ……」
加蓮「うん……。ふふ、ここまで歩いてきた甲斐があったかな……♪」
李衣菜「へへ、充分あったよ。……っくしゅっ!」
加蓮「ん、大丈夫?」
李衣菜「んん……加蓮の服に付いてるネコの毛がね……、へっくちゅ!」
加蓮「あぁごめん……うぅ、お気に入りのカーディガンなのにぃ……」ズーン…
李衣菜「ど、どんまい……」
加蓮「ね、泰葉……帰ったらコロコロ貸して――って、あれ?」
泰葉「…………」
泰葉「……すぅ……」
加蓮「……寝てる」
李衣菜「静かだと思ったら……疲れてたのかな」
泰葉「……ん……」コテン…
加蓮「ちょ」
李衣菜「あはは、加蓮枕だ」
泰葉「……くー……」
加蓮「……まぁ、今日は私がねぼすけだったし。ちょっとくらいいいかな」
李衣菜「これだけあったかいなら、風邪ひく心配もないよね……ふあぁ」
加蓮「あ、李衣菜も眠い?」
李衣菜「ん……少し」クシクシ
加蓮「ふふっ。いいよ、李衣菜にも肩貸してあげる」
李衣菜「ほんと? なら遠慮なく……」コテッ
加蓮「んっ。夕方までには起こしてあげるから♪」
―――
李衣菜「――くぅ……くぅ……」
加蓮「もう寝ちゃった……。ほんとにお疲れだったんだね」
泰葉「すー……」
李衣菜「くー……」
加蓮「ふふふ♪ ちょっとやそっとじゃ起きないかも。さすがに私まで寝ちゃったらまずいかな……」
加蓮「…………♪」
加蓮(うん、いい天気♪)
「なーん……」テチテチ…
加蓮「ん?」
ネコ「なーん!」テテッ
加蓮「あっ……! あ、アンタついてきたの?」
ネコ「なー、なーんなーんっ」
加蓮「ちょっと静かにっ。起きちゃうでしょ」ヒソヒソ
ネコ「なん?」
李衣菜「ん……」
泰葉「…………」ムニャ
ネコ「なーんっ」スリスリ
加蓮「く、くすぐった……あ、あんだけスリスリしてきたくせにまだ足りないわけ?」
ネコ「なんっ♪」
加蓮「……ま、いっか。アンタもひなたぼっこするの?」
ネコ「ふなーぉ」ノビーッ
加蓮「ふふっ、そう。静かにしててね?」
李衣菜「むにゃ……」
泰葉「んゅ……」
ネコ「……なー……」ゴロゴロ…
加蓮「……ふふ」
加蓮(こんなふうにのんびりするのも……悪くないよね)
加蓮「明日から、また頑張ろう。……ね♪」
ぽかぽか
ぽかぽか……
―――
――
―
―――次の日、事務所
P「――へぇ……。久しぶりの休日、充実してたみたいだな」
李衣菜「えへへ、はい! だいぶリフレッシュできましたよ!」
P「また今日から忙しくなるけど、よろしくな」
泰葉「はい。……たまにはPさんとも、一緒に休日を楽しみたいですけどね?」
P「あはは、俺がいても邪魔なだけだろ?」
李衣菜「そんなことないですって。Pさんだってそんなにお休み取れてないでしょ?」
P「俺は、まぁ……疲れたら一杯引っかけに行ってるしな。愚痴れる相手もいるし」
ちひろ「ふふっ♪ その代わりごちそうになってますけどねっ」
加蓮「オトナってずるーい。お酒飲んじゃえば嫌なことも忘れられるもんね」
泰葉「ふふ、お酒の席で企画がまとまることもあるから……」
李衣菜「あー、偉い人と話すとか? なるほどねー」
P「そういうこと。でも、3人にお酌してもらうのもいいかもしれないな……いつになるか分からないけどさ」
加蓮「あっ、それならさ!」
P「ん? なんだ?」
加蓮「お花見っ。今年はもう無理だけど……」
泰葉「うん、来年にでもどうですか?」
P「花見? 来年って随分気が早いな……。そんな先のこと、それこそ分かんないぞ?」
加蓮「じゃあ再来年ね♪ それもダメならもっと先があるし!」
泰葉「いつまでも待ちますよ、Pさんとお花見できるのを。ふふふっ♪」
P「お、おお……分かったよ。いつか必ず、な」
加蓮「うん♪」
泰葉「はいっ」
李衣菜「……今の、ほとんど私が2人に言ったことなのに……」
ちひろ「あら、ふふふ。いいと思いますよ、私も楽しみにしてます♪」
李衣菜「へへ、はい。そうですね!」
P「――さ、仕事だ! 今回は他の事務所の子と一緒だぞ」
李衣菜「おー! 誰ですかっ?」
P「李衣菜は何度か一緒に仕事してるな。前川みくさんとだよ」
李衣菜「みくちゃん! 楽しみだなー♪」
泰葉「たしか、ネコが大好きなアイドルでしたよね? もしかして……」
P「ああ、ネコと一緒の撮影になるな」
加蓮「ね、ネコっ!?」ビクッ
P「ん? どうした加蓮」
加蓮「な、なんでもない……ネコ、ネコね……うん、大丈夫。うん……」
P「……なにがあったんだ」
李衣菜「あー……昨日、お散歩中に野良ネコ軍団と遭遇して……」
泰葉「なぜか加蓮だけ襲われ……もとい、懐かれたんですよね」
P「あぁそうだったのか……ちょっとタイミング悪かったかな」
ちひろ「大丈夫、加蓮ちゃん? ネコミミつけて行きます?」
加蓮「う、ううんいらない……お仕事だもん、わがまま言うわけには――」
―――
――
―
――撮影現場、お仕事前
「「「にゃーんにゃーん!」」」
「「「にゃーんにゃーんにゃーん♪」」」
「「「にゃーんにゃーんにゃーん(ry」」」
加蓮「だからなんでなのもぉぉぉおおおおお!!」
わらわらわらわら……
みく「ど、どうなってるにゃあ!? 加蓮チャンはいったいどんな魔法を!?」
李衣菜「な、なんでだろう……。これ撮影になるのかな……」
泰葉「あぁ、ネコの雪崩……。かわいい……♪」
みく「か、加蓮チャンに弟子入りしなくちゃ……!」キラキラキラ…!
加蓮「ちょっ、ほんと助け――いやぁぁ毛がぁぁ!」
おわり
というお話だったのさ
いつの間にかネコの話になったがなに、気にすることはない
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