サターニャ「ヤンデレ?」 (84)


サターニャ「……って何よ?」

ラフィ「私も詳しくは知りませんが、人間界では「ヤンデレ」というものが非常に恐れられているらしいんです」

サターニャ「ほーほー」

ラフィ「ですから、サターニャさんがヤンデレをマスターすれば、より恐ろしく偉大な大悪魔に近付けるのではないでしょうか?」

サターニャ「なるほど!あんたもたまには良いこと教えてくれるじゃない!」

ラフィ「うふふ♪お役に立てたようで何よりです」


サターニャ「よーし!それじゃあ、最高に悪魔的なヤンデレになってやるわよ!」

ラフィ「頑張ってください、サターニャさん!」









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-サターニャ宅-


ガヴ「……で」

ラフィ「……」





サターニャ「ああん?何見てんのよガヴリール。ぶっ飛ばすわよ?」オラオラ



ガヴ「その結果があれか」

ラフィ「はい……」プルプル



サターニャ「ああん?何笑ってんのよラフィエル!この竹刀が見えないのかしら?」ビシバシ


ラフィ「わ……笑ってないです」プルプル



サターニャ「まったく、アンタはいっつもそうよね……アタイの事馬鹿にして、そんなに楽しいのかしら?舐めてんじゃないわよ!!」バシーン


ラフィ「はひぃ……す、すみません……」プルプル



サターニャ「ちっ……でもね、アタイはそんなラフィエルの事が……」


ラフィ「……」プルプル



サターニャ「……ちょっとだけ、好きよ」カァァ


ラフィ「」ブフッ

ガヴ「やめろサターニャ。ラフィがもう限界だ」


サターニャ「ふふん!どうよ私のヤンデレは!恐ろしくて声も出ないかしら?」

ガヴ「ああ。呆れて物も言えないな」

サターニャ「なんで!?」


ラフィ「……んふふっ」プルプル

ガヴ「つーかお前はそれのどこがヤンデレだと思ったんだよ」

サターニャ「え?だ、だって、ヤンデレって「ヤンキーデレ」の事じゃないの?」

ガヴ「全然違ぇよ」

サターニャ「」



サターニャ「だ、騙したわねラフィエル!!」

ラフィ「ごめんなさい……」プルプル

サターニャ「このぉっ!このぉっ!」バシバシ

ラフィ「あひぃっ……や、やめてください」プルプル

サターニャ「この悪魔天使!」



ガヴ「はぁ……もう帰っていい?」

ラフィ「……」ビクンビクン

サターニャ「待ちなさいガヴリール!あんた、そんなに偉そうにしてるってことはヤンデレが何なのか知ってるのよね!」

ガヴ「え?まあ、知ってるけど」

サターニャ「なら私に、本当のヤンデレを教えなさい!」

ガヴ「はあ?なんで私が……」




ガヴ「……いや」



ガヴ「いいだろう、サターニャ。私がお前に、本当のヤンデレを教えてやるよ」ニタァァ


サターニャ「ホント!?」

ガヴ「ああ」

ラフィ(あ、この顔は……)


サターニャ「そ、それで、ヤンデレの本当の意味は何なのよ?」

ガヴ「ヤンデレの「ヤン」は「病む」……病的なという意味だ。つまり、ヤンデレとは「病的なデレ」を意味する」

サターニャ「な、なるほど……ヤンキーじゃないのね」

ガヴ「そう。そしてこのヤンデレが恐れられている理由は……」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-病室-



ピッ…ピッ…



サターニャ「……」

ラフィ「先生!お願いします!サターニャさんを助けてあげてください!」

ガヴ「……」

ラフィ「先生!」

ガヴ「すみません、白羽さん。我々も出来る限りの手を尽くしたのですが……もう、これ以上は」

ラフィ「そんな……サターニャさん……」

サターニャ「……」



ラフィ「……」ガサッ


ラフィ「サターニャさん……これ、メロンパンです」

サターニャ「……」

ラフィ「言ってましたよね。最後にもう一度、メロンパンを食べたいって……」

サターニャ「……」

ラフィ「ほら、口を開けてください。あーん……」

サターニャ「……」

ラフィ「……食べないなら、私が食べちゃいますよ?これ、すごく美味しいんですから」

サターニャ「……」

ラフィ「……」パクッ


ラフィ「……」モグモグ

ラフィ「……んふふっ。美味しいです。甘くて、柔らかくて……懐かしい味がします」

サターニャ「……」

ラフィ「でも、サターニャさんと一緒に食べられたら、もっと美味しいだろうな……なんて」

サターニャ「……」

ラフィ「うっ……ぐすっ……サターニャさぁん……」ポロポロ

サターニャ「……」



サターニャ「……」ピクッ



ガヴ「なっ!?」

ラフィ「え?」



サターニャ「……」スッ…


ラフィ「サ、サターニャさん、目が……」


サターニャ「…ラ……フィエ…」


ラフィ「サターニャさん!」

ガヴ「し、信じられん……奇跡だ」


サターニャ「ラフィエル……」

ラフィ「はい!ラフィエルです!サターニャさんのラフィエルですよ!」

サターニャ「……」

ラフィ「ほら、メロンパンです!食べてください!すごく美味しいんですよ!」

サターニャ「……」フルフル

ラフィ「え……なんで首を振って……」



ピッ……ピッ……


ガヴ「マズい!心拍数が急激に下がり始めた!」

ラフィ「え!?」

サターニャ「あ……」

ラフィ「あ、サ、サターニャさん!?」

サターニャ「…りが……とう……」

ラフィ「サターニャさん!もう喋らないでください!」

サターニャ「だ……」

ラフィ「サターニャさん……!」ギュッ




サターニャ「だい……す…き」ニコッ



ラフィ「……サターニャさん?」




ピーーーーーー……




サターニャ「」ガクッ

ラフィ「サターニャさぁぁあああああん!!!」




















サターニャ「いやなんかコレ違くない?」ムクッ

ガヴ「ちっ、バレたか」


サターニャ「ていうかこれのどこが恐ろしいのよ!」

ガヴ「あー……それはあれだ。恐ろしいほど感動的、みたいな」

サターニャ「ふざけるなーー!!」

ラフィ「サターニャさん……良かったです。生き返って」グスッ

サターニャ「あんたはどんだけ演技に熱入れてんのよ!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



サターニャ「……で?」

ガヴ「え?」

サターニャ「結局、ヤンデレの本当の意味は何なのよ」ムスー


ガヴ「えー……まだその話題続けるの?もういいじゃん」

サターニャ「うるさーい!こうなったら維持でもヤンデレをマスターしたやるんだから!」

ガヴ「はぁ……」


ラフィ「うふふ、そう言うと思いまして……」

サターニャ「え?」

ラフィ「実はもう1人、助っ人を呼んでいるんです!」

サターニャ「え、そうなの!?」

ラフィ「はい♪」

ガヴ「……おいラフィ。それってまさか」

ラフィ「それはこの方です……さあどうぞ!お入りください!」




ガチャッ



ヴィーネ「ラフィ、急に呼び出して何の話……って病室!?」ビクッ



ガヴ「」

サターニャ「って、ヴィーネじゃないのよ!」

ヴィーネ「え?」

ラフィ「ヴィーネさん、今日はよろしくお願いします♪」

ヴィーネ「ごめん、話が全く見えないんだけど……」

ラフィ「それはですね……」ゴニョゴニョ



サターニャ「……まったく、ヴィネットが助っ人なんてラフィエルは何を考えてるのかしら」

ガヴ「……」

サターニャ「この私がヤンデレを知らないのに、ヴィネットが知ってるわけないでしょ。ねぇ、ガヴリー……」




ガヴ「あああああああ……!」ガタガタガタガタ

サターニャ「…………え」




ガヴ「いやだいやだいやだいやだ……!」ガタガタ

サターニャ「え、ちょっ!なんでそんなに怯えてるのよ!?」


ガヴ「……ヴィ、ヴィーネはダメだ。ヴィーネだけは……」ガタガタ

サターニャ「だから説明しなさいって!」



ヴィーネ「……なるほど。つまり、私がサターニャにヤンデレのお手本を見せてあげればいいのね?」

ラフィ「はい、そうです♪」

ヴィーネ「まあいいけど……一応、やり過ぎたらちゃんと止めてよ?」

ラフィ「お任せください♪」


サターニャ「え?やり過ぎるって……」

ガヴ「……ヴィーネは、ヤンデレのエキスパートなんだ」ガタガタ

サターニャ「へ?」


ガヴ「私が前に、軽い気持ちでヴィーネに「ヤンデレの真似をしてみて」って言ってみたら……」

サターニャ「い、言ってみたら?」



ガヴ「1週間、部屋から一歩も出られなくなった」ガタガタガタガタ

サターニャ「」



ヴィーネ「それで、相手はサターニャでいいのよね?」

ラフィ「はい♪」

サターニャ「え!?いいいやちょっと待って!!」

ヴィーネ「何よ。やるならさっさと……」


サターニャ「あの、今ちょっとお腹の調子が悪いというか……」

ヴィーネ「え?」

サターニャ「あ、そそそう!私はヴィネットのヤンデレを客観的に見て学びたいから、体験するのは別の人が良いと思うの!」

ヴィーネ「……なるほど。確かに一理あるわね」

ラフィ「え」

ガヴ「……」ガタガタ

ヴィーネ「それじゃあ、ガヴ……」

ガヴ「え〝っ!?いやだいやだ絶対にいやだぁぁぁぁぁあああ!!!」ズザザザッ


ヴィーネ「……仕方ない。じゃあラフィにしましょう」

ラフィ「えっ、いや、その」


ヴィーネ「他の2人もそれでいい?」


ガヴ&サターニャ「」コクコクコクコクコク


ラフィ「ちょっ!ガヴちゃん!?サターニャさん!?」

ヴィーネ「決まりね。それじゃ……」

ラフィ「待ってください!私は……」

ヴィーネ「ラフィ」




ヴィーネ「加減間違えたら、ごめんね?」ニコッ

ラフィ「」


サターニャ「Oh……」

ガヴ「……」ガタガタ




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ラフィ「……」

ヴィーネ「はい、ラフィ。あーん♪」

ラフィ「……」パクッ

ラフィ「……」

ヴィーネ「どう?美味しい?」

ラフィ「……」コクコク

ヴィーネ「うふふ、良かった。もっと食べていいのよ」




サターニャ「(……これがヤンデレ?)」

ガヴ「(そうだ)」

サターニャ「(なんか、あんまり怖そうには見えないんだけど……)」

ガヴ「(……甘いな。恐ろしいのはこれからだよ)」



ヴィーネ「それにしても……嬉しいなぁ」

ラフィ「……?」


ヴィーネ「ラフィが、私の髪の毛やだ液を、そんなに美味しそうに食べてくれるなんて♪」

ラフィ「!?」



サターニャ「!?」

ガヴ「(始まったな)」




ヴィーネ「出来るだけ味に違和感が無いように、だ液は少なめにして、髪の毛も小さく切ったんだけど……」

ラフィ「……っ」プルプル

ヴィーネ「涙目になるほど喜んでくれるなら、作った甲斐があったわ♪」

ラフィ「……」プルプル



サターニャ「(え!?本当に入れてないわよね!?)」

ガヴ「(多分な……とはいえ、あえて「髪の毛は小さく切った」と言うことで、ラフィにはシチューの黒いお焦げまで髪の毛のように見えてしまう)」

ガヴ「(更に緊張感のせいで、段々と味が変な風に思えてくるはずだ。さながら地獄だろうな)」



ヴィーネ「はい、あーん♪」

ラフィ「……」

ヴィーネ「どうしたのラフィ?」

ラフィ「……」

ヴィーネ「……まさか食べられないの?」

ラフィ「……」

ヴィーネ「そんなことないわよね?だってさっき、美味しいって言ってくれたのに」

ラフィ「……」プルプル



ヴィーネ「……もしかして、私のだ液や髪の毛が入ってるから?」

ラフィ「!」




ヴィーネ「そうなの?」

ラフィ「……!」コクコク

ヴィーネ「ふーん、そっかぁ……」





ヴィーネ「……ラフィは私の事、嫌いになっちゃったんだ」

ラフィ「!?」





サターニャ「(いやなんでそうなるのよ!!)」


ガヴ「(ラフィ……選択肢を間違えたな)」

サターニャ「(え?)」

ガヴ「(今のヴィーネにとって、「自分の身体の一部を食べてもらう」ということは、一種の愛情確認のようなものだ。それを拒否されるというのは、例えばバレンタインの本命チョコを目の前でゴミ箱に捨てられる事に等しい)」

サターニャ「(いやいやいや頭おかしいでしょ!?)」

ガヴ「(それがヤンデレだ。さあ、一気に雲行きが怪しくなってきたぞ……)」



ヴィーネ「私はこんなにラフィのことを愛しているのに……何がいけなかったのかな」

ラフィ「……」ダラダラダラダラ


ヴィーネ「ねぇラフィ、どうして私のことを嫌いになっちゃったの?ねぇ、どうして?」

ラフィ「……」

ヴィーネ「ねぇ」

ラフィ「……」

ヴィーネ「ねぇ」

ラフィ「……」

ヴィーネ「なんで無視するの?」

ラフィ「……」

ヴィーネ「黙ってちゃ何も分からないわよ」

ラフィ「……」


ヴィーネ「ねぇ」

ラフィ「……」

ヴィーネ「……」

ラフィ「……」


ヴィーネ「……そっか」

ラフィ「……」

ヴィーネ「ラフィはもう、私のことを好きになってくれないんだね」

ラフィ「……」

ヴィーネ「……じゃあ、仕方ないか」



サターニャ「(あれ?もしかしてこれ、すんなり諦めてくれるんじゃ……)」

ガヴ「(マズい!この流れは!)」

サターニャ「(え?)」



ヴィーネ「ラフィが愛してくれない私なんて……」

ラフィ「……」





ヴィーネ「もう、生きてる価値ないよね」スッ

ラフィ「!!?」





ガヴ「(自傷行為だぁぁああ!!)」

サターニャ「(えええええええええええ!?)」



ヴィーネ「私、馬鹿だなぁ。ラフィが愛してくれるなんて勘違いして」

ラフィ「……!」アセアセ



ガヴ「(ヤンデレにとっては意中の相手が世界の全てだからな。それに否定されるということはつまり……)」

サターニャ「(え、え、まさかヴィネット、本気でやる訳じゃないわよね?演技なのよね?)」

ガヴ「(分からない)」

サターニャ「(はあ!?)」


ガヴ「(それくらい、今のヴィーネはガチだってことだ)」

サターニャ「(嘘でしょ……止めてラフィエル!)」



ヴィーネ「さようなら、ラフィ……」スッ

ラフィ「っ!!」ガバッ

ヴィーネ「きゃっ!?」ガタッ



カランカラン……



ラフィ「……!」ギュゥウ

ヴィーネ「ラ、ラフィ……どうして」



ラフィ「……」

ヴィーネ「私のこと、嫌いになったんじゃ……」

ラフィ「……」フルフル

ヴィーネ「……違うの?」

ラフィ「……」コクコク

ヴィーネ「……じゃあ私のこと、好き?」

ラフィ「……」コクコクコクコク

ヴィーネ「……」

ラフィ「……」プルプル




ヴィーネ「良かった……」ギュッ

ラフィ「!」



ヴィーネ「ごめんねラフィ。怖がらせるようなことして……」ギュッ

ラフィ「……」フルフル


ヴィーネ「ふふっ。もうどこにも行かないから……安心して」ギュッ

ラフィ「……」



ガヴ「(ふぅ、なんとか一命はとりとめたみたいだな……)」

サターニャ「(ねぇ、ガヴリール。そろそろ私、胃が痛くなってきたんだけど……)」

ガヴ「(我慢しろ。お前が言い出しんだ)」



ヴィーネ「……でも、それならどうしてラフィはシチューを食べてくれなかったのかしら?」

ラフィ「!!」ビクッ


ヴィーネ「私のことを愛してるなら食べてくれるはずなのに……」

ラフィ「……」ダラダラ



ヴィーネ「んー……あ、分かった!ラフィ、お腹いっぱいだったのね?」

ラフィ「!」

ヴィーネ「そうなんでしょ?」

ラフィ「……!」コクコクコクコク

ヴィーネ「ふふふ、やっぱり。気付かなくてごめんね?」

ラフィ「……」フルフル

ヴィーネ「それじゃあ、シチューはまた後で、お腹が空いたら食べましょう」

ラフィ「……」コクコク


ヴィーネ「お皿片してくるから、ちょっと待っててね」

ラフィ「……」



ガチャッ バタン



スタスタ……



ラフィ「……」

ガヴ「……」

サターニャ「……」






ラフィ「……も」









ラフィ「もう無理でずぅぅううううううううう!!」ガバッ

ガヴ「うわっ、ちょ!」

サターニャ「ラフィエル!?」


ラフィ「助けてぐだざいぃぃいいい!!ガヴちゃぁあああああん!!ザターニャざぁぁああああん!!」ビェェエエ!!

ガヴ「お、落ち着けラフィ!」

ラフィ「このままじゃ私、ヴィーネざんに!ヴィーネざんにぃぃぃいいいいい!!」

サターニャ「だ、大丈夫よラフィエル。所詮演技なんだから……」


ラフィ「演技!?演技なんですかあれ!?演技で手首にカッター当てるんですかぁぁあああ!!?」ガクガク

サターニャ「そ、そそ、そうよきっと。だから安心して……」グワングワン

ラフィ「う〝わ〝ぁぁあああああん!!!」ビェー!

ガヴ「た、頼むから落ち着いてラフィ、な?」

ラフィ「無理でずよぉぉおおおおお!!!」ビェー!

ガヴ「いや、マジで!この状態でヴィーネが戻ってきたらシャレに……」



ガチャッ



ラフィ「」

サターニャ「あ」

ガヴ「ならない……」サァァ






ヴィーネ「……何してるの?ラフィ」

ラフィ「……」ガタガタガタガタ




ガヴ「……」ガタガタガタガタ

サターニャ(終わった…….)






ヴィーネ「答えて。ねぇ、そこで何をしているの?」

ラフィ「……」ガタガタ



ヴィーネ「……また、黙っているつもり?」

ラフィ「……」ブルブル



ヴィーネ「……ねぇ」



スタスタ……グイッ



ガヴ「」

ヴィーネ「これ、何?」



ラフィ「」

サターニャ(いやぁぁああああ!!ガヴリールゥゥウウウ!!)



ガヴ「」

ヴィーネ「なんだかガヴに似ている気がするけど……違うわよね?」


ラフィ「……」ガタガタ



ヴィーネ「だってこの部屋には、私とラフィしか居ないはずだものね?そうでしょう?」


ラフィ「……」ガタガタ



サターニャ(マ、マズい……このままじゃガヴリールが……)



ヴィーネ「ラフィ、もう一度聞くわ」




ヴィーネ「こ れ は な に?」



ラフィ「……」






ラフィ「……お」

ヴィーネ「お?」






ラフィ「お人形さん……です」






ヴィーネ「お人形さん……?」

サターニャ(いや無理があるでしょ!!)ガーン




ガヴ「」ブルブル

ヴィーネ「じゃあどうしてこんなに震えてるのかしら?」

ラフィ「それは……その」



ラフィ「……バイブ機能付きなんです」



ヴィーネ「……バイブ?」


サターニャ(誤魔化せるかぁ!!)


ヴィーネ「……」チラッ


ガヴ「……」←お人形さんっぽい顔





ヴィーネ「……」





ヴィーネ「……なるほど、確かにお人形さんみたいね」ポイッ

ガヴ「」ドサッ

ラフィ「!」

ヴィーネ「疑ってごめんなさい。ラフィ」



サターニャ(誤魔化せたぁぁあああ!!)




ヴィーネ「私、てっきりラフィがガヴやサターニャを連れ込んだものだと……」

ラフィ「……」フルフル

ヴィーネ「ふふっ、そうよね。そんなはずないわよね」

ラフィ「……」コクコク

ヴィーネ「危うく、あの人形を切り刻んじゃう所だったわ」

ラフィ「!?」



サターニャ「(ガ、ガヴリール!大丈夫!?)」コソッ

ガヴ「(て、天に召されるかと思った……)」


サターニャ「(ていうか、なんで急にヴィネットは私達のことを意識し始めたのよ!?)」

ガヴ「(ラフィが私達に干渉してきたからな……流石に、もう傍観者で居るのは無理だ)」

サターニャ「(じゃあどうすればいいのよ!)」

ガヴ「(……ずっとお人形さんで居るしかない)」コテン

サターニャ「(ちょっと!?)」



ヴィーネ「そうそう。私、ラフィにプレゼントを持ってきたの」

ラフィ「……?」

ヴィーネ「付けてあげたいから、こっちに来て貰える?」

ラフィ「……」コクッ




ガシャンガシャン!



ラフィ「!?」ビクッ

ヴィーネ「良かった。サイズはピッタリみたいね」

ラフィ「……!?」オロオロ

ヴィーネ「ふふっ、よく似合ってるわよ……」



サターニャ「(ちょっ!ヴィネットがラフィエルに手錠と足枷を!?)」

ガヴ「(落ち着け。ヤンデレにはよくある話だ)」


サターニャ「(なんであんたはそんなに達観してんのよ!!)」

ガヴ「(一度体験したからな……しかもあれ、ただの手錠じゃない)」



ヴィーネ「私ね……不安なの。目を離した隙に、ラフィがどこかへ行ってしまうんじゃないかって」

ラフィ「……」ブルブル

ヴィーネ「でもこれなら、もうどこにも行けないでしょ?」ニコッ

ラフィ「……」ビクッ

ヴィーネ「ほら、ラフィ。膝枕してあげるから、こっちへおいで……」

ラフィ「……」


ラフィ「……」スッ

ヴィーネ「ふふっ、良い子」




ラフィ「……」ポスン

ヴィーネ「どう?ラフィ。寝心地は悪くない?」

ラフィ「……」コクッ

ヴィーネ「ふふっ。良かった」ナデナデ




ヴィーネ「……ねぇ、ラフィ」ナデナデ

ラフィ「……」



ヴィーネ「子供の名前は、何にする?」

ラフィ「!?」



サターニャ「(えっ!子供!?)」

ガヴ「(落ち着け。これはヤンデレ特有の都合の良い妄想だ)」

サターニャ「(えっ。じゃあ子供は……)」

ガヴ「(居ない。妄想だ)」



ヴィーネ「ふふっ。今、私のお腹の中にはラフィとの赤ちゃんが居るのよ」

ラフィ「……!?」



サターニャ「(居るの!?)」

ガヴ「(居ない)」




ヴィーネ「私もびっくりしたんだけどね……最近、お腹が膨らんできていることに気付いたの」

ラフィ「」



サターニャ「(膨らんでるの!?)」

ガヴ「(膨らんでない)」



ヴィーネ「ふふふ♪男の子かなー……女の子かなー……ねぇ、ラフィはどっちだと思う?」

ラフィ「……」

ヴィーネ「私は女の子がいいなー。きっと、私とラフィによく似た、可愛い子になるわよ」

ラフィ「……」


ヴィーネ「そうしたら名前は……そうね。私とラフィの名前からとって、「ラフィーネ」にしましょう♪」

ラフィ「……」

ヴィーネ「ふふっ。楽しみね、ラフィ♪」

ラフィ「……」コクッ



サターニャ「(あああ……ラフィエルの目がどんどん曇って……)」

ガヴ「(頑張れラフィ……ここが正念場だ)」



ヴィーネ「……」ナデナデ

ラフィ「……」



ヴィーネ「……ねぇ、ラフィ」ナデナデ

ラフィ「……」


ヴィーネ「私、もう一つだけ聞きたいことがあるの」ナデナデ

ラフィ「……」


ヴィーネ「聞いてもいい?」ナデナデ

ラフィ「……」コクッ


ヴィーネ「ふふっ。ありがとう」ナデナデ

ラフィ「……」


ヴィーネ「……ねぇ、ラフィ」ナデナデ

ラフィ「……」
















ヴィーネ「私に嘘つくの、そんなに楽しい?」

ラフィ「!?」ゾクッ



ガヴ「」

サターニャ「」




ヴィーネ「ふふっ。さっきのシチューのことも、そこのお人形さんのことも、赤ちゃんが楽しみっていうのも、全部ぜーんぶ嘘なのよね?……気付かないとでも思ってた?」

ラフィ「……」ダラダラダラダラ


ヴィーネ「私、ラフィのことなら何でも分かるの。……私のこと騙して、楽しんでたんでしょ?」

ラフィ「……」フルフルフルフル


ヴィーネ「ほら、また嘘付いた……いい加減、素直になってくれてもいいのに」

ラフィ「……」ガタガタガタガタ


ヴィーネ「分かってるわよ。こんなに面倒で気持ちの悪い女、嫌よね……でも」グイッ

ラフィ「……!」



ヴィーネ「私にはもう、ラフィしか居ないの」ギュッ


ヴィーネ「私の事が嫌いなら、好きになってくれるまでずっと一緒に居てあげるわ。ずーっと……一生ね」


ヴィーネ「……絶対に、逃さない」ギュゥゥ

ラフィ「」




ラフィ「」





ラフィ「っ!!」バッ

ヴィーネ「きゃっ!?」




ラフィ「~~っ!!」ガシャガシャ



ヴィーネ「……ラフィ、まさかその格好で逃げられると思ってるのかしら?」



ラフィ「~~~~っ」バサッ!



ヴィーネ「え?翼を出して……まさか!」




ラフィ「……神足通っ!!」パァァ



ヴィーネ「……!」




ラフィ「……」パァァ…




ラフィ「……」




ラフィ「……え?」




ヴィーネ「……」


ラフィ「えっ、ど、どうして?」


ヴィーネ「……」



ラフィ「じ、神足通!神足通っ!」パァァ…


ヴィーネ「……ラフィ」


ラフィ「ひっ!?」


ヴィーネ「その手錠にはね……天使の力を封じる効果があるの」


ラフィ「なっ……」


ヴィーネ「言ったでしょ?逃さないって」


ラフィ「そ、そんな……」ガタガタ




ヴィーネ「ふふっ、それにしてもラフィは悪い子ね。私から逃げようとするなんて……」スタスタ


ラフィ「ご、ごめんなさい……許して……」ビクビク



ヴィーネ「そんな悪い子には、お仕置きをしなくちゃ」ギラン


ラフィ「ひぃぃぃっ!?」ズザザッ


ヴィーネ「ふふふ……私、気付いたの。ラフィが私から逃げようとするのは、「足」があるからだって」ユラリ


ラフィ「あ……あああ……」ガタガタ


ヴィーネ「なら「足」が無ければ、ラフィは逃げない……そうよね?」


ラフィ「い、いや……いやです……ヴィーネさん……!」ガタガタ


ヴィーネ「大丈夫よ。痛いのは一瞬だけだし、ちゃんと止血もしてあげるから」スッ


ラフィ「や……やめ……」


ヴィーネ「それじゃあラフィ……」








ヴィーネ「足、切るわね」ブンッ


ラフィ「いやぁぁぁあああああああ!!!!」




ザシュッ












ラフィ「」ブルブル

ヴィーネ「……とまあ、これがヤンデレよ。分かったかしらサターニャ」


サターニャ「は……はい……」ガタガタ

ガヴ「」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数十分後-

ヴィーネ「本当にごめんね!床に傷付けちゃって」

サターニャ「い、いや……大丈夫よ。気にしないで」

ヴィーネ「最初は寸止めするつもりだったんだけど……」

サターニャ「あ、あはは……」

ガヴ「包丁ってここまで綺麗に床を切れるものなのか……?」


ラフィ「」プルプル

ヴィーネ「ラフィもごめん……」

ラフィ「ひゃいっ!?だ、だだだ大丈夫ですよ!」ビクッ


ヴィーネ「怖がらせ過ぎちゃって……」

ラフィ「ひぃぃぃいい!!大丈夫ですからぁぁぁあああ!!」ズザザッ

ヴィーネ「……えっと、ラフィ?」

ラフィ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」ガタガタガタガタ


ヴィーネ「……」

ガヴ「完全にトラウマになってるな」

ヴィーネ「……もうやらない」グスッ



ガヴ「……で、サターニャはどうするんだ?」

サターニャ「え?な、何が?」


ガヴ「ヤンデレをマスターするんだろ?」

サターニャ「え?そ、それは……その」チラッ



ヴィーネ「……?」グスッ



サターニャ「……」




サターニャ「……わ、私にヤンデレは合わなさそうだからやめておくわ!」

ガヴ「やっぱりな」


サターニャ「だ、だってあんなの見せられたら無理に決まってるでしょ!!」

ガヴ「まあ、気持ちは分かる」

ラフィ「……」ガタガタ


サターニャ「……というか、ヴィネットはなんでそんなにヤンデレの演技が上手いのよ?」

ヴィーネ「え?」

サターニャ「どう見ても本気にしか見えなかったし」

ヴィーネ「そう言われても……なんというか、ラフィのことが好きって気持ちで頭の中をいっぱいにしたら、自然とああいうセリフが出てきたのよ」

サターニャ「マジですか」

ヴィーネ「マジよ」


サターニャ「うへぇ……」

ヴィーネ「何よそのリアクション!?」

ガヴ「ヴィーネのヤンデレ真似は上手いってレベルじゃないからな……私のときもめちゃくちゃ怖かったし」

サターニャ「あー、さっき言ってたわね。確か1週間……」

ヴィーネ「え、何言ってるの?」

サターニャ「え?」





ヴィーネ「私がヤンデレの真似をしたのは、今日が初めてなんだけど」



ガヴ「」

サターニャ「え、うそ……え?」




ヴィーネ「こんなこと、何回もやる訳ないでしょ」

サターニャ「いやだって、前にガヴリールが……」

ヴィーネ「知らないわよそんなの」

サターニャ「えっ……じゃ、じゃあまさか」

ガヴ「う、嘘だよねヴィーネ?嘘だと言ってよ……」

ヴィーネ「だから何の話だか……」

ガヴ「わ、私を脅かそうとしてるんでしょ?分かってるんだから。ヴィーネったら人が悪いなあ……ははは」

ヴィーネ「……」

ガヴ「ヴィ、ヴィーネ?」



ヴィーネ「……あ、そうだ」



ガシャン



ガヴ「え」

ヴィーネ「最近、あんまりガヴの家に行けてなかったわよね。今日、行ってもいいかしら?」

ガヴ「ヴィーネ……なんで手錠を?」

ヴィーネ「なんでって……逃げられたら困るじゃない」

ガヴ「」

ヴィーネ「ふふっ。今日は美味しいシチューを作ってあげるから、楽しみにしててね」スッ


ガヴ「い、嫌だ……やめろ…… 」

ヴィーネ「こら、ワガママ言わないの」

ガヴ「来るな……こっち来るな……!」

ヴィーネ「……」ニコッ

ガヴ「ひっ!?」



ガシッ



ヴィーネ「それじゃあサターニャ、お邪魔しました♪」

ガヴ「いやだぁぁぁあああああ!!離せぇぇぇえええええ!!!」ジタバタ


ヴィーネ「ほら、行くわよガヴ」グイッ

ガヴ「助けてサターニャァァァァァアアアア!!!」ズルズル



ガチャッ バタン



ズルズル……






サターニャ「……」


ラフィ「……」ブルブル








サターニャ「……ヤンデレこわい」


-おしまい-

このあとめちゃくちゃシチュー食べた


この話、最初はギャグ物にする予定でしたが、

・ヤンデレっぽいヴィーネを書きたい
・でもガチのヤンデレ描写は書きたくない
・たまにはラフィをいじめてみたい

という欲望が暴走した結果、こんな事になってしまいました。……というかこれ、ヤンデレなのか?

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