【FEif】リリス(……これは、だめそう……ですね……) (640)

 ドサッ
  ドサリッ
   カランカランッ……

リリス(やっぱり無理ですよね……あんな攻撃を受け止めるなんてこと……)

 ポタッ
  ポタタタッ

リリス(血がたくさん……。たしかピエリさんは血みどろになるのが好きなんですよね……。これがそんなにいいものとは思えませんけど……。ああ、他人の血は別ってことかもしれませんね)

 コポポッ 

リリス(なんでこんなこと考えちゃうんでしょうか……。もう、死んでしまうのに……)

リリス「ごふっ……」ビチャッ……

 ブルブル

リリス(寒い……。血がこんなに出てるのにどんどん体が重くなる。おかしいですよね、体から血が抜けたなら軽くなってもいいはずなんですけど……)

リリス(……どうして、こんなことになったんでしょうか……。あのまま、神殿で静かに待つだけだったはずなのに、なんで……)

リリス(……)

リリス(……多分、あの日……)

リリス(二週間前のあの日、あの日が発端だったんですよね……)

リリス(……アクアさんが訪ねてきたあの日が――)

 ~二週間前~

アクア「つまり、お○んちんがほしいの……」

リリス「……え?」

アクア「え?」

リリス・アクア「………」

『え……?』

このスレは【FEif】セツナ「ヒノカ様?」の後半にやっていたお話の続きみたいなものです。
 【FEif】セツナ「ヒノカ様…?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472664951/#footer)

 基本的にキャラ崩壊していて、主にリリスが主役です。
 前回のを読まなくても大丈夫な感じですが、前情報として。

・竜状態のリリスに生えてます。
・レズとふたなり要素があります。
 
 そんな感じの話になっています。

リリス「あの、今お○んちんが欲しいって言いましたか?」

アクア「ええ、堂々と言うならペ○ス。可愛く言えばお○んちん……私が今一番欲している物よ」

リリス「……そうですか、私の聞き間違いじゃなかったんですね」

リリス「ふふっ、頭おかしくなっちゃったんですか?」

アクア「失礼ね、私は至って真面目よ。こうしてあなたに欲しいものを間違えることなく直接伝えているから狂ってもいないわ」

リリス「代わりにモラルの欠如が酷いことになってますけど?」

アクア「モラルは今さらな問題よ。ほら私のドレスって、ヒラヒラしているでしょ?」

リリス「ええ、そうですけど、それがなにか?」

アクア「カムイはスケベ衣裳って言っていたけど、確かにそうよね。こんな下着丸出しの格好じゃ逃れられないわ。そう、すでに私のモラルは欠如していたということよ」

リリス「少しは治す努力をして……」

リリス「あと、言い方も少しは考えてください。アクア様だって、一応女性なんですから」

アクア「注文の多い子ね。それじゃ、ちゃんと言い直すから見ててなさい」ポスッ

リリス(いきなり腰をおろして、一体何を――)

アクア「ん……はぁ、んんっ、おねがい、お、お○ん……ちん、お○んちんが、ほしいのぉ////」モジモジ

リリス「……」

アクア「……よっこいしょっと」スタッ

リリス「……」

アクア「これでくれるんでしょ?」スッ

リリス「あげません、あと私の神殿で公開オナニーとか勘弁してください。内部が穢れます」

アクア「おかしいわね。カムイは見るだけで喜んでくれるのに、あなたには伝わらないなんて…」

リリス「伝わると思ってたことにびっくりですよ」

リリス「この前の一件で懲りたと思ったのに、ピエリさんまで使って私を呼び出して…。一体何を企んでいるんですか」

アクア「お○ちんちんがほしいだけ、……ただそれだけよ。リリスだって世界の危機がお○んちんで救えると聞いたら、すぐにでも差し出すでしょう?」

リリス「もう世界は平和になってます」

アクア「なら、さっさとお○んちんをよこしなさい。リリス、私を救えるのはお○んちんだけなの」

リリス「もうお○んちんっていうのやめてくれません? 反響して聞くに堪えないんで」

アクア「その股間に立派な物を付けているのによく言うわ。今もそのスカートの下に隠しているんでしょう?」

リリス「いや、付いてませんから」

アクア「……」

アクア「え?」

ピエリ「え?」

リリス「ピエリさん、なんで驚いてるんですか……」

ピエリ「だってリリス、この前付いてたの。ピエリのお手々でもこぼれちゃうくらい大きいのがそそり立ってたの!」

リリス「いや、あれは竜の状態だったからで、っていうかその手振りで大きさを表現するのやめてぇ!」

アクア「……ねぇ、リリス」

リリス「はい?」

アクア「小股失礼するわね?」ササッ

リリス「小股失礼って――」

アクア「ふんっ!!!」ザッ

 ガシッ! 

リリス「ひゃあああああ!!!!」

アクア「動かないで、確認しづらいから」

リリス「か、確認ってどこ触って――」

アクア「……間違いない。これはメスの感触……、お○んちんは付いてないわね……」モムモム シュッシュ

リリス「んやっ、いたっ、アクア様、やめ、ひひゃっ、ううっ、はぅう///」

アクア「ふんっ」パッ

リリス「はふっ、んっ、んんっ……。ううっ、痛い……。あそこを思いっきり掴むなんて……」

アクア「ねぇピエリ、あなた嘘を吐いたの?」

ピエリ「う、嘘付いてないの! ピエリ、ちゃんとリリスにお○んちんが付いてるの見たの」

アクア「でも現にリリスのあそこはとてもすべすべしていたわ」

ピエリ「そ、それは……」

アクア「あと、毛が生えてないこともわかったわ」

ピエリ「毛?」

リリス「」

ピエリ「んー、おかしいの。リリスに生えてたから、ピエリが毒をいっぱい出してあげたの。毒が抜けるとね、リリスとっても気持ちよさそうに鳴いてたから、付いてたのは間違いないはずなの……」

アクア「……そういうことを理解出来てない子にさせるなんて、あなたも中々に業が深いわね」

リリス「すぐにそう解釈するアクア様の業はもっと深いです」

アクア「まぁどうでもいいわ。それより、ピエリの証言とリリスの状態が食い違ってるのはなぜ?」

リリス「わ、私の、お、お○んちんは人間状態の時はないんです。だから、今ないのは当たり前なんです……」

アクア「……つまり竜の状態だと生えてくるものということね」

リリス「理解が早くて助かります。その難儀な体質で色々と大変なんですよ」

アクア「ええ、ごめんなさい。常にあなたが掴んでいた球が金色だったのは、私は本物の金玉を持っているという乙女心のアピールだったのね。見えないけど気づいてほしい、この股間の高まり……そんな甘酸っぱい思い、今理解したわ」

リリス「ちがいます」

アクア「もしくは携帯型オナホール……毎日お盛んね?」

リリス「盛んなのはそっちでしょ!?」

アクア「それで、毎日オナホールに突っ込んでいるあなたのお○んちんは、どうやって作りあげているのかしら?」

リリス「まだ言いますか!?」

ピエリ「アクア様、オナホールってなんなの?」

アクア「そうね、カムイにとっての私と言えばいいかしら? 私はカムイ専用のオナホールだから。まぁ、いずれはカムイが私のオナホールになって毎日使われることになるのだけどね?」

ピエリ「ふーん」

ピエリ(よくわからないの……)

アクア「そういうわけだから、さっさとお○んちんを生やせる何かを寄越しなさい」

リリス「あの欲望を語ってもらったところでわるいんですけど。私は薬とか術とかを使ってるわけじゃないので出せるものはありません、諦めてください」

アクア「つまり、あなたのお○んちんは……」

リリス「はい、自前なんです」

アクア「そう、リリスはふたなり……」

 ポンッ

アクア「性竜・ふたなリリスということね」フフッ

リリス「は?」

アクア「でも、どうしてそんな体に?」

リリス「えーと、その星竜になったのに複雑な事情がありまして、その結果です……」

アクア「事情ね……。そう言えばあなたって色々と謎が多い存在よね」

リリス「………はい?」

アクア「普通の人間が竜になれるとは思えないのに竜になってるのも今考えるとおかしいわ。……なにか隠していない?」

リリス「な、何を言ってるんですか。ほ、ほら、ギュンターさんに与えられるかもしれなかった竜の血とかあるじゃないですか。ああいうことがあってですね…」

アクア「でも、竜の血を色濃く引いている者しか竜になることはできないとされている。実はあなた、透魔と密接な関わりがあったりしたんじゃ」

リリス「な、何の話でしょうか」

ピエリ「リリス、汗がいっぱい出てるの」

リリス「な、なんだか熱いですね。私だけ、不思議ですねー」

アクア「発情期? 竜と言ってもやっぱり獣ということね」

リリス(言い返したいけど、今は我慢、我慢ですよ私)

アクア「それで、その星竜モローだったかしら? そいつにあなたは性竜にされたのよね?」

リリス「まぁ、そうなりますね」

アクア「なら答えは簡単よ。そいつならお○んちんを生やす薬とか魔法の作り方を知ってるはずだから、それを聞いて来てちょうだい」

リリス「え、そんな方法あるんですか? 私聞いたこともありませんよ」

リリス(というか、そんなこと考えたこともないんですけど……)

アクア「きっと、あるはずよ。なかったら、私がモローを説得するわ。この力を使ってでも、最後の一撃は切ないってよく言うでしょ?」ポキキッ パキッ

リリス「できれば歌とか神秘的な一撃にしてください」

アクア「やっぱり、一撃で仕留めないとね?」シュシュッ シュッ

リリス(話し合う気ないですね、これ)

リリス「もう直談判してください。眼前までならご一緒しますから」

アクア「いいえ、できれば最初は穏便に済ませたいの。問答無用の実力行使は争いを生む、無駄な争いは避けるべきだということを私はあの戦争で学んだのよ」

リリス「いきなり両陣営に喧嘩を売るという結論に至った人の言葉だと信用できません。それに学んだなら野望そのものを諦めたらどうですか?」

アクア「……人はあやまちを繰り返す、私も例外じゃないの」

リリス「学んだんじゃないのかよ」

アクア「学んでも実践できるかはわからないわ」

リリス「実践できないなら学んでないのと同じですよね?」

アクア「ふふっ、そかもしれない。でも私は試みるつもりはないわ。それが私の選んだ道だもの」

リリス「人を巻き込むのやめてくれません!?」

リリス「そもそも、お○んちんが生える何かを手に入れてどうするつもりなんですか?」

アクア「そうね、私はカムイと愛を深めてる、今日まで色々なことをしてきたわ」

アクア「真夜中に外を全裸で歩いてスリルを味わったり、カムイに愛撫されながら会議に出席したりとか。誰かに見られるかもしれない、でもカムイと私の間柄をみんなに見せつけたいとも思ってしまう。そんな愛のコミュニケーションをね……」

リリス「アクア様もアクア様ですけど、カムイ様も大概ですね」

アクア「でも、この頃カムイのことをトロトロに蕩けさせたくなってね。そもそも私が攻められている今の状況はおかしいとおもった。だからお○んちんが必要なの……、カムイを蕩けさせて下剋上を成功させるために。この愛する人を思った上での辛い決断、あなたも理解できるでしょう?」

リリス「理解できませんし、したくないです」

アクア「そういうわけだから、さっさとモローに会って聞いてきなさい」

リリス「だけど、私がそれを調べるメリットって何もありませんよね。なので、拒否します」

リリス(流石に変態的なプレイに傾倒しているのをどうにかしたい気もしますけど、それは二人の問題ですし……ぶっちゃけ関わりたくない)

アクア「……そう、つまり協力できないのね?」

リリス「はい」

アクア「こんなに頼んでも?」

リリス「直立不動のままですけど?」

アクア「ふふっ、仕方無いわね。ピエリ、ちょっといいかしら?」

ピエリ「ん、アクア様、どうしたの?」テクテク

リリス「?」

アクア「ねぇ、ピエリ。リリスのお○んちんを扱いてあげたのよね?」

ピエリ「そうなの。毒をいっぱい出してあげたの! それでね、あれは友達になれる行為だってスズカゼが言ってたの。ピエリ、リリスと仲良しさんになれたの!」

アクア「ふふっ、そう。……実はあれって友達になるんじゃなくて、ただリリスが気持ちよくなるためにあなたをさせた行為で、とても卑――」

リリス「ちょ、ちょっとアクアさん、いきなり何を言い出すんですか!?」

アクア「あら、何を慌てているの? モローに会いに行かない・リリスには関係の無い話よ?」

リリス「いやいや、私にすごく関係してますよね?」

アクア「いいえ、モローに会いに行ってくれる・リリスには関係あるけど、モローに会いに行かない・リリスには関係ない話よ」

リリス「私の名前長くなりすぎ!?」

リリス「ピエリさんを人質にするなんて卑怯ですよ!」

アクア「私はそう思わない。人は何かを得るために何かを犠牲にしなくちゃいけない、私は仲間との絆を失ってでも得たいものがある。ただそれだけよ」

リリス「前回の件でアクアさんへの信頼は無限渓谷に捨てたので、私はもう失うものがないんですけど」

アクア「大丈夫、私が失うだけ、リリスはなにも失わないわ」

リリス「失いますよ!?」

アクア「ピエリに真実を教えてあげるだけだから、むしろ私はあなたの味方よ」

リリス(お父様との戦いの時に力を使いはたして消えてしまえばよかったのに……。どうして、この道であなたは生き残ってしまうんですか!?)

アクア「ふふっ、それでねピエリ……」

リリス「わかりました、わかりましたよぉ……」

リリス「今からモローに会ってきますから、ピエリさんに真実を教えるのはやめてください」

アクア「ふふっ、モローに会いに行ってくれる・リリスの頼みなら仕方ないわね。ピエリ、リリスが戻ってくるまで料理でもして待ちましょう」

ピエリ「ん、わかったの。アクア様にピエリがとってもおいしいごはん、作ってあげるの」

アクア「それは楽しみね。そういうわけだからリリス、あとはよろしくね?」

リリス「わかりましたから、あのこと絶対言わないでくださいよ」

アクア「ええ、約束は守るから安心して……大丈夫、行っても先っちょだけよ」

リリス「先っちょでも駄目です!」

アクア「冗談よ、いい報告を期待しているわね?」

リリス(まぁ、星竜モローにも無理なことはあるはず、ここは正直な答えを持ち帰ってアクアさんに直談判してもらいましょう)

リリス(モローごめんなさい……。あなたの死は無駄にしません……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

星竜モロー「お○んちんを一時的に生やしたりする方法かい?」

リリス「はい、そんなのありませんよね?」

星竜モロー「そうだねー」

リリス「ですよねー」

星竜モロー「あるよ」

リリス「……」

星竜モロー「……」

リリス「……はは、はははっ、モロー様ってば、ノリがいいです。でも、本当はないんですよね?」

星竜モロー「ううん、あるよ」

リリス「……」

星竜モロー「生やした体を君に与えることができるんだ、一時的に生やすのなんてお茶の子さいさいだよ」

リリス「…」

星竜モロー「リリスもついに人間状態でも欲しくなってしまったんだね。やはり性の衝動には逆らえないということだね……。うんうん、すぐに準備しようか」

リリス「」

リリス(モロー様、すごくノリノリですね。これって、つまりすぐにでも準備ができるってことですよね)

リリス(逃げ場無し……)

リリス(泣きたい……)

 今日はここまで
 
 それにしても、このモローノリノリである。

―マイキャッスル・食堂前―

リリス(はぁ、まさか、お○んちんを作れることができるなんて思いもしませんでした。これじゃアクアさんの念願が叶ってしまいます)

リリス(姉様も姉様で、そうなったらさらに色々と歪んでしまう気がしますし……。はぁ、世界を救うために戦っていた姉様はどこに行ってしまったんでしょうか……)

リリス(あの頃のしっかりとした姉様は……)

カムイ『今日はいっぱい頑張りましたね~』ナデナデ

カムイ『ふふっ、そんなに気持ちいいんですか? 御鼻のてっぺんヒクヒクしてますよ?』ツンツン

カムイ『だめです、今日は首を触りたい気分なんですから、おでこはお預けですよ?』サワサワ

リリス(あれ、あまり変わってない?)

リリス「と、ともかく、どうにかして姉様の貞操をお守りしないと……」

 ガタガタ

ピエリ「ふんふ~ん」

リリス(ん? この声はピエリさん、まだ料理をしているんですか。もう結構時間が経ったと思うんですけど……)チラッ

 ドンドンドンッ!

ピエリ「えへっ、えへへっ、食材がとっても格好よくなったの!」ビチャビチャ

リリス(みんなバラバラだぁ……)

ピエリ「えへへっ、お肉をコトコト煮込むの! 煮込み終わったらスパイスを入れて、混ぜ混ぜするのー。ふんふーん♪」

リリス(……口で言っている分には簡単そうですけど、ピエリさんって結構動き回ってますよね)

リリス(灰汁もちゃんと取ってますし、スパイスだって適量。姉様の料理と比べるのは失礼というくらいです)

ピエリ「ふふっ。いっぱいいっぱいできたの!」

リリス(料理が終わったみたいですね。それにしても結構な量ですけど……。アクアさんってこんなに食べるんでしょうか?)

リリス(……というか、アクア様はどこに行った? ピエリさんと一緒に料理を作りながら待ってるという話だったのに……)

ピエリ「えへへ、これだけあれば足りるはずなの! 早く戻ってこないかなー」ブラブラ

リリス(座って足をブラブラ、本当に子供ですね……。まぁ、待っているのはアクアさんのことでしょうし、私は神殿に戻ってアクアさんの帰りを――)

ピエリ「リリス、肉料理は食べられるはずなの。えへへ、楽しみなの」

リリス「ただいまー」

ピエリ「あ、リリス。お帰りなの。思ったより早かったの!」

リリス「ま、まぁ、その、早く終わりました」

ピエリ「よかったの。ピエリ、一人で退屈だったの! お料理一人で食べるの寂しいからリリスにも一緒に食べてほしいの」

リリス「はい、いいですよ」

ピエリ「わーいなの。それじゃ、ピエリの隣に座るの。えっとね、これが煮込んだお肉で、これが焼き葉野菜のブラックペッパー和えなの」

リリス「へぇ、料理ってこんなにあるんですね……」

ピエリ「リリス、久しぶりにお料理見たような顔してるの」

リリス「いつもは素材しかもらえなかったので、まれに拾ったのか砂だらけのもありましたし……」

ピエリ「あ……」

リリス「反応しないでください、逆に悲しくなるから……」

ピエリ「それじゃ、ピエリの料理を食べるの。ピエリの料理は絶品なのよ」

リリス「見ていればわかりますよ。さすがに北の城塞に勤めていた方でピエリさんの作る料理に釣り合う人はいないはずです」

ピエリ「そうなの?」

リリス「ええ、ピエリさんがもしも城塞に勤めていたら、カムイ様のお料理の腕も今みたいじゃなかったかもしれません」

ピエリ「カムイ様の料理、あれは駄目なの。殺された食材が可哀そうなの、みんなかっこ悪くて穢かったの」

リリス「ええ、魚がいっぱい犠牲になりましたよね……。本当に」

ピエリ「うん……」

リリス「ふふっ、暗い話はここまでにして、冷めてしまう前にいただきますね」

ピエリ「どうぞなの! あ、リリス、ちょっと待つの」

リリス「なんですか?」

ピエリ「はいなの」スッ

リリス「……え」

ピエリ「あ~ん、なのぉ」

リリス「……」

リリス(これは俗にいう、あーんでパクリってするあれですよね。まさか、こんなところで遭遇することになるなんて)

ピエリ「リリス、食べないの?」

リリス「いえ、その、食べますけど……」

リリス(ピエリさん、なんでそこはかとなく上目遣いなんですか。なんだかんだ可愛らしいんですけど……)

ピエリ「もう、リリス。早くするの!」

リリス「は、はい。それじゃ。はむ、うん、おいしい」

ピエリ「うー、やり直しなの!」

リリス「ええ、なにが悪かったんですか!?」

ピエリ「あーんはあーんなの!」

リリス「えっと、あーんはあ―ん?」

ピエリ「そうなの、あーんにはあーんするのが礼儀なの!」

リリス「……もしかして、あーんって言いながら食べないとだめってことですか?」

ピエリ「そういうことなの。リリスはすぐにわかってくれるから嬉しいの。マークス様はわかってくれなかったの」

リリス「そうなんですか?」

ピエリ「そうなの、それはサクラ様とトイレでするからって言って聞かなかったの」

リリス「あの二人トイレで何やってんの!?」

ピエリ「それじゃ、リリス。あーんなの」

リリス「はい、それじゃ。あーん……」

ピエリ「……おいしい?」

リリス「はい、とってもおいしいです。ピエリさんの手料理を食べられる将来の旦那さんは果報者ですね」

ピエリ「リリス、褒めすぎなの。でも、とっても嬉しいの」

リリス「ふふっ」

リリス(ああ、癒しです。ピエリさんとこうして食事していると、アクアさんのことを考えなくていいから、とっても気が楽になります。このまま、アクアさんが帰ってこなければいいのになぁ)

ピエリ「それじゃ、今度はこれをあーんするの。あ~~~ん」

リリス「はい、あ~~~~ん――もぐもぐ、ごっくん」

ピエリ「おいしい?」

リリス「はい、とってもおいしいです」

ピエリ「えへへ、うれしいの!」ニコニコ

リリス(ふふっ、なんでしょうか。今とっても幸せです。こんなに幸せでいいんでしょうか)

アクア「これで問題の人が帰ってこなければずっと幸せでいられるわね」

リリス「はい、ずっと幸せでいたいですね」

アクア「残念だけど、あなたの幸せはここまでね。問題の人が帰ってきたから」

リリス「自覚があるなら、帰ってこないでくださいよ」

アクア「それは不可能ね。私には帰る場所があるから、でもここはその途中なの」

リリス「ショートカットしていいですよ。私達は困りませんから」

アクア「ショートカットしてもいいけど、そのためには私の知りたい情報をあなたが教えてくれることが条件ね」

リリス「はいはい、わかってます。それを教えたら、あとは自力でどうにかしてくださいね」

アクア「善処するわ」

ピエリ「アクア様、お料理の準備出来てるの。あ~んしてあげるのよ」

アクア「ふふっ、ありがとう。でも、大丈夫だから気にしないで」

ピエリ「うー、リリスしかピエリのあ~んに付き合ってくれないの……」

リリス「その、恥ずかしい人には恥ずかしいものですから」

ピエリ「じゃあ、リリスは恥ずかしい人なの?」

リリス「どうしてそうなるのかなー?」

アクア「まぁ、確かに竜の時は全裸だからある意味恥ずかしい人で間違いないわ」

ピエリ「ピエリ間違ってなかったの! わーいなの」

リリス「ああ、もう、それより、なんでピエリさんを一人にしたんですか? その寂しかったみたいですし……」

アクア「悪いとは思うけど、こっちにも事情があるわ。さすがに、そこまで束縛されるのはね……」

リリス「私のこと、さんざん束縛した口が何か言ってますね」

アクア「とにかく、はずせない用事があったの。だからね?」

リリス「……ちなみに何をしてきたんですか?」

アクア「ええ、ちょっとカムイとトイレであーんしてただけよ?」

リリス「あんたらもかよ!」

今日はここまで

 こんな感じで進みます。

 ガチャッ バタンッ

カムイ「ふふっ、アクアさん、お待ちしてましたよ」

アクア「か、カムイ……その……トイレでこんなことするなんて……」

カムイ「なら来なくてもいいんですよ?」

アクア「そ、それは……」

カムイ「さぁ、便座の上に立ってください。股を隠しちゃ駄目ですよ。そう、足を広げて……、厭らしい、もうこんなに濡らしてるなんて」クニクニ

アクア「やっ、そんな、弄らないで……おねがい……」

カムイ「弄らないで? 誰に向かって言ってるんですか?」クチチチッ

アクア「はうっ、ご、ごめんなさい。カムイ、ふあああっ///」

カムイ「少し弄っただけなのに、アクアさんのエッチな香りが濃くなってきました。それじゃ、いつものようにしてくださいね?」

アクア「う、うん」ピトッ

 クチクチッ

アクア「……ん///」クパッ

カムイ「キレイですよ、アクアさん。もっと広げてください。そう、いいですよ。ふふっ、赤身のお肉がてらてら濡れていてとてもおいしそう」

アクア「はぁはぁ、カムイ……、んん////」

 クパァ

アクア「はい、カムイ。あーん」

カムイ「とってもおいしそうです、それでは、あーん」

~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「これが私のしてるあーんね」

リリス「知ってますか? 私食事中です」

アクア「いろいろとあーんがどういうものなのかを知りたい人もいると思ったから」

リリス「出来れば私がいないところでしてください、ピエリさんのおいしいごはんにそんなフレーバーはいりませんから」

ピエリ「リリス、もっと食べるの。あーんなの」

リリス「あ、すみません。そろそろ私のペースで食べたいので、あーんはちょっと……」

ピエリ「うー、つまらないの」

リリス「ふふっ、今度お願いします」

ピエリ「わかったの。ピエリ、今度もリリスにいっぱいあーんしてあげるの!」

アクア「ところで、さっきのあなたの反応を見る限り、生やす方法はあったってことでいいのかしら?」

リリス「非常に残念ですけど、あるらしいです」

アクア「ふふっ、やっぱりふたなりを作りだす竜だけはあるわね。破壊と謀略だけに心血を注ぐ竜とは大違いよ」

リリス「まるでふたなり作りだけしかしてないみたいな言い方ですね」

アクア「実際そうだったりするかもしれないわ」

リリス「そ、そんなわ――」

リリス(ないと思ったけど、モロー生やせることに対してノリノリでしたねぇ……)

アクア「それで、その方法っていうのは何? 薬、呪い?」

リリス「あー、それなんですけど。ちょっと、これを見てもらえます?」

アクア「これは……この大陸の全体図ね」

リリス「はい、それとこれが……」

ピエリ「変な地図なの。なんだか陸が浮いてるみたいなの」

アクア「これは透魔王国の地図ね。モローは何でも持っているのね」

リリス「ええ」

リリス(私が持っていた物ですけど)

アクア「それで、これがなんなの」

リリス「では、アクアさんに星竜モローからの言葉を伝えたいと思います」

アクア「……言葉、方法ではないの?」

リリス「はい、言葉です。その方法は教えていただけなかったというか……」

アクア「……私は方法が知りたいと言ったんだけど」

リリス「その……あれです。モローは、アクアさんにならこの言葉の意味がわかると言っていました」

アクア「つまり、リリスには理解できなかったということよね」

リリス「は、はい。その通りです」

アクア「ふーん、まぁいいわ。とりあえず、その言葉というのを聞かせなさい。私はね、今すぐにでもお○んちんを生やしてカムイを肉便器にしなくちゃいけないの」

リリス「主のこと肉便器って言うのやめてよぉ」

リリス「えっと、『天が七つを数える間、今だ覚醒せぬ二つの神器がそれぞれの玉座にある時、浮遊する島の顔に願いを込めよ。さすれば、望みのもの現われん』です」

ピエリ「なんだかオーディンの言葉みたいなの。意味がわからないのよ」

リリス「ええ、本当です」

リリス(正直、私には皆目見当もつきません。今だ覚醒せぬ神器の神器、これってジークフリート、ブリュンヒルデ、雷神刀、風神弓のことを言ってるとは思うんですけど。夜刀神は終夜になってますから、すべての神器が共鳴覚醒してる。すでに言葉と矛盾してる気がします)

アクア「………ねぇ、リリス」

リリス「先に言っておきますけど他にヒントみたいなのはありませんよ。モローはこれ以外のことを何も言ってくれなかったので」

アクア「そう、どうかしているわね」

リリス「ええ、ですからもう、諦め――」

アクア「違うわ。こんなものもわからないなんて、あなたがどうかしているって言ってるのよ」

リリス「ふぁ!?」

リリス「すみません。一体何が分かったっていうんですか!?」

アクア「ふっ、リリス。あなたの頭は固いのよ。ジェネラルくらい固いわ」

ピエリ「アクア様すごいの。ピエリ、全然わからなかったのよ」

アクア「ふふっ、そうね。まっすぐに考えていると永遠に辿りつけない、そう人生経験の差が出るといってもいいわ。ちょっとピエリには難しすぎる問題だったのよ」

リリス「解けなかった私は……」

アクア「あなたはただ頭が足りないだけだと思うわ。股についているものがあるっていうのに」

リリス「それって関係ありませんよね」

アクア「いいえ、関係あるのよ。この覚醒の意味、そして神器がなんであるかを考えれば……おのずと答えは出てくるというわけよ」

リリス「神器が何であるか……ですか……」

アクア「そうね、まずはこの『天が七つを数える間』だけど、これは七日間を意味しているはずよ。つまり、モローは言っているの、私の願いを叶えられるのは七日間だって……」

リリス「……な、なるほど。そう言われると確かにそう思えてきました」

アクア「ふん、これくらい理解しなさい。ただの飯喰らいじゃないところを見せてほしいわ」

リリス「こ、小判、小判も持ってきてます……」フルフル

ピエリ「リリス、お腹痛いの?」ポンポン

 ちょっと眠いので今日はここまでで

 モローの言葉
『天が七つを数える間、今だ覚醒せぬ二つの神器がそれぞれの玉座にある時、浮遊する島の顔に願いを込めよ。さすれば、望みのもの現われん』

リリス「じゃあ、残りはどういう意味なんですか? 特に覚醒していない神器、これって一体何を指しているんです?」

アクア「神器、ここでジークフリートや風神弓と言った武器を想像したらもうゴールにはたどり着けない。これは神器を持っている人物を指している言葉なのよ」

リリス「人物って……。リョウマ様達のことですか?」

アクア「ええ。そう考えてこれを見れば、モローが示す神器の正体がわかるのよ」

リリス「……二つってことは二人ですよね。その二人に共通点があるってことですよね?」

アクア「そういうこと。そして、その共通点とは覚醒していない神器となれば、その正体がわかってくるでしょう?」

リリス「わかりません」

ピエリ「わからないの」

アクア「……はぁ。そんなので私の手伝いが務まると思っているの?」

リリス「いや、もう手伝いたくないって言いましたよね? 自分でどうにかしてくださいって言いましたよね?」

アクア「ええ、聞いたわ。それに私は善処するって返したはずよ。勝手に解釈しないで」

リリス「さすがにわからないので、これ以上は手伝えませんよ」

アクア「だから、こうして答えを教えてあげようとしているじゃない。リリス、ピエリに色々と教えてあげたいことがあるのだけど、いいかしら?」

リリス「やめてくださいよ! もしもショックを受けて暴走したらどうするんですか!?」

アクア「大丈夫よ、叫びながらあなたがえいっとされるだけだから」

リリス「ピエリさんにえいってされたら、私バラバラになっちゃうんですけど」

ピエリ「えっ? リリス、バラバラになりたいの? なりたいの?」

リリス「少しは躊躇して……」

アクア「話を戻すけど。この覚醒していない神器、これを持っているのはおそらくレオンとリョウマよ」

リリス「え、リョウマ様とレオン様ですか?」

アクア「ええ、神器のことを思うと、たぶんこれで間違いないわ」

リリス「リョウマ様とレオン様ですか……」

リリス(あの雷神刀とブリュンヒルデ以外の神器って一体何なんでしょうか……)

アクア「さぁ、ここまでくればわかるでしょう。マークスとタクミが対象から外れる理由を考えればすぐにでもわかるわ」

リリス「そ、そんなこと言われても私はこの前、久しぶりに外へ出たばかりで世間には疎いんです……。マークス様と話したのもその時だけですし、タクミ様とは会話らしいことなんて……」

アクア「はぁ、これは本人と話をしてなくてもわかることよ。二人の噂くらいは耳にしているでしょう? まったく、時間を取らせないで」

リリス(だったら、すぐに答えを教えてくれればいいじゃないですか……アクアさんの意地悪)プクー

ピエリ「……あ」

リリス「ピエリさんどうしたんですか?」

ピエリ「うふふっ、ピエリわかっちゃったかもなの!」

アクア「あら意外な展開ね。それじゃピエリの答えを教えてくれるかしら?」

ピエリ「はーいなの。あのね、マークス様とタクミ様は結婚してるの」

リリス「結婚している、ですか?」

ピエリ「なの! マークス様はサクラ様と、タクミ様はエリーゼ様とそれぞれ結婚して幸せになってるの。ピエリの考えであってるはずなの。結婚してることが覚醒の条件、未覚醒神器は結婚してるかどうかで決まりなの!」

リリス「……さすがにこれはないですよね?」

アクア「ピエリ……」

アクア「……」

アクア「半分正解よ! すごいわね」

ピエリ「わーいなの!」

リリス「ええ!?」

アクア「で、本当の正解、未覚醒神器っていうのは二人のお○んちんのことよ」

リリス「どうして!?」

ピエリ「お○んちんって覚醒するの?」

アクア「ええ、覚醒するの。その味を知ったら最後、覚醒を止めることはできないわ」

ピエリ「すごいの! リリスのお○んちんも何時か覚醒するの?」

アクア「ええ、いつかきっと……」

ピエリ「リリス、頑張るの。ピエリ、応援してるのよ!」

リリス「ははっ、和気藹々とお○んちん談義しないで。っていうか、何を基準に覚醒とか言ってるんですか?」

アクア「レオンとリョウマは思った以上に堅物で同時に一途なの。たぶんこの世で愛する人のためだけにお○んちんを捧げる覚悟をもっていて、それまでなら女を我慢できる。そういう人間なのよ」

リリス「……たしかにそうかもしれません」

リリス(レオン様は姉様のことを好きだったようですし、リョウマ様からはそう言った雰囲気はありませんでした)

アクア「ええ。だからこそ、二人のお○んちんは未覚醒神器なのよ。ここまで言えば、さすがにわかるわよね」

ピエリ「うー、ピエリわからないの」

リリス「……あっ」

リリス(えー、そういうことですか。モローはなに考えてるんですか本当に……)

アクア「流石のリリスもわかったみたいね」

リリス「はい。ああ、何が悲しくてこんな問題に頭を使わないといけないんですか」

アクア「私のためよ」

リリス「改めて理解すると胃がムカムカします」

アクア「それで、あなたの答えは?」

リリス「そ、その、童貞ってことですよね?」

アクア「……ふふっ、正解」

ピエリ「ねぇ、どうていってなんのことなの?」

アクア「ピエリ、それはね……」

リリス「教えなくてもいいですから。アクアさん、少しは自重してください!」

アクア「でも、さっきからお○んちんって言ってるし、今さら童貞の一つや二つ、軽いものよ?」

リリス「軽いとかじゃなくてですね……」

アクア「あ、あなたも童貞だから、理解されると恥ずかしいというわけね? ふふふふっ」

リリス(怒りで言葉が出ません)

アクア「そういうわけだから、まずは暗夜王国に行きましょう。確かレオンはいたはず……」

リリス「そうですか。それじゃ、私はもう神殿に戻りますので、あとは――」

アクア「あなたも来るのよ」ガシッ

リリス「もう私に構わないで……」

アクア「いいえ、あなたがどんなに拒んでも連れて行くわ。外の世界に」

リリス「やめてー、やだやだぁーーー」ジタバタジタバタ

アクア「ふふっ、ピエリも行きましょう」

ピエリ「はーいなの。リリス、今回も一緒なの」ガシッ

リリス「ピエリさんと二人きりならまだしも、アクアさんも一緒なんていやです!」

アクア「運命は残酷ね」

リリス「ううっ、そのうち罰が当たりますからね!」

アクア「それは楽しみだわ。さぁ、まずはレオンを捕まえて童貞チェックからスタートよ」

アクア(ふふっ、もうなぞ解きはほとんど終わったわ。浮遊する島の顔の目星も付いてる。待ってなさいカムイ、あなたを従順なお○んぽ奴隷に仕立ててあげるから……)

 シュオオオオンッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―暗夜王国・クラーケンシュタイン『王の間』-

マークス「レオンなら、昨日の夜より白夜に向かったぞ」

アクア「」

マークス「戻ってくるのは一週間後位になる予定だが……一体どうかしたのか?」

アクア「」

 ―タイムリミット残り七日間―

今日はここまで

 リリスは竜の時と人の時、どちらも可愛くて困る。DLCでプレイアブルになることを期待してたけど……だめだった。
 
 今日のファイアーエムブレム維新大乱の完成度が高くてとても困った。

アクア「……どうして、この大切なタイミングに白夜へ行く必要があるというの?」

リリス「いやいや、暇なアクアさんと違ってレオン様には仕事があるんですよ」

アクア「私の手助け以上の仕事があるわけないわ」

リリス「あるよ、すっごいあるよ!」

ピエリ「うー、お出かけ中断なの?」

リリス「私としては中断してとてもうれしいです。アクアさんも変な野望に執着するのはやめてですね」

アクア「人を好きになったこともないあなたに私の悩みがわかるわけないわ。カムイの顔を快楽で歪ませたいっていう私の悩みが……」

リリス「わかりたくない」

ピエリ「よくわからないの」

アクア「とりあえず、レオンの動向を探る必要があるわ」

リリス「あきらめないんですか?」

アクア「あたりまえよ。こっちにはこの先の性活が掛っているの。このチャンスを逃すわけにはいかないわ」

リリス「だとしてもどうやって探るんですか?」

アクア「まずは近場から攻めるのが無難ね……。ギンギンロッドコンビに話を聞きましょう」

ピエリ「ギンギンロッドコンビって誰のことなの?」

リリス「……それって、レオン様の臣下であるオーディンさんとゼロさんのことですか?」

アクア「ええ、二人とも言動や振る舞いに問題はあるけど信頼は厚いから、きっとレオンの行き先を知っているはずよ」

リリス「でも、それなら一緒に白夜に行っているんじゃ……」

アクア「あ」

リリス「……」

ピエリ「……」

アクア「と、とにかく二人を探しましょう」テクテク

ピエリ「はーいなの」テクテク

リリス「前途多難ですね」テクテク

アクア「はぁ!?」

リリス「解雇されたんですか!?」

ゼロ「まぁ、そういうわけだ。と言っても、数日間の間、僕に構わないでくれって言われちまってな。まぁ、俺は長い付き合いだからどうにでもなるんだが、あいつは少し駄目そうだ」

リリス「あいつ?」チラッ

オーディン「……ああ、おれはなにも出来ない。おれにはなにもない、おれはだめなおとこだ」ブツブツブツ

リリス「うわぁ、これは重症ですね」

ゼロ「まあ、そういうわけだ」

ピエリ「ねぇねぇ、解雇ってどういう意味なの?」

アクア「クビという意味よ」

オーディン「うわあああああ!!!! レオン様、ごめんなさい。おれが俺があの時、ちゃんと更衣室の中を見張っておけば、こんなことには!!!!」

リリス「更衣室? なんのことですか?」

ゼロ「あぁ、この前のアミュージアでのダンスコンテストの格好。実は俺達が目を離している隙に、レオン様の衣装を奪われちまってな……」

リリス(あぁ、アミュージアであったダンスコンテストの件。レオン様が魔女っこ姿で踊っていたのはこれが原因だったんですか)

ピエリ「あの時のレオン様とっても可愛かったの! 女の子みたいだったの!」

オーディン「うわあああああああああああああああ!!!!」ガクッ

ゼロ「ピエリ、それを言うな。うるさい奴がさらにうるさくなる」

リリス「ちなみにその衣裳って、本当はどんなのだったんですか?」

ゼロ「ああ、黒い羽根をあしらったものだ。見た瞬間に、ああっ、これかみたいなのだから見間違えることもないだろうぜ」

オーディン「今さら出てきても何の意味もない……ううっ、レオン様」

ピエリ「オーディン、泣きやむの。背中撫で撫でしてあげるの」ナデナデ

オーディン「ううっ、せめて、漆黒の衣だけでも見つけ出せれば……」

アクア「まぁ、漆黒の衣が見つかったところで。レオンとの関係がすぐに戻るわけでは無いけどね」

オーディン「うあああああああああ!!!!」

リリス「アクアさん、本当に悪魔ですね」

アクア「ごめんなさい。突くと面白そうなところは突きたくなってしまうから、これが性ってやつよ」

リリス「そういう点ではゼロさんといい勝負してます。同じ人種だってはっきり分かりますよ」

ゼロ「照れるね」

アクア「照れるわね」

リリス「褒めてませんよー」

リリス「臣下であるお二人が知らないとなると、もう詰みですね」

アクア「……仕方ないわ。あの子を頼るしかなさそうね。あまり頼りたくはないんだけど……」

リリス「まだ誰かいるんですか?」

アクア「ええ、と言っても簡単に教えてくれるとは思えないから、少し準備が必要になるわ」

リリス「準備っていったいなんですか?」

アクア「準備は準備よ。だから、先にその子の部屋に行ってちょうだい。行かないなら、わかってるわよね」

リリス「……分かりましたよ。それで誰の部屋に行けばいいんですか?」

アクア「ええ、その相手だけど――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 コンコンコンッ

 ガチャンッ

ニュクス「はい。あら、珍しいわね。組み合わせも含めて」

ピエリ「ピエリなの!」

リリス「ど、どうもー」

ニュクス「どうしたのかしら? 私の部屋に来るなんて。まぁいいわ、入って」

リリス「お、おじゃましますー」

リリス(相手ってニュクスさんですか……。確かに魔法という関係ではレオン様と親しい可能性もありますけど……。臣下に伝えていないことを聞かせてもらえる仲なんでしょうか?)

ピエリ「うー、薬品のにおいがすごいの」

リリス「そ、そうですね」

ニュクス「ごめんなさい。さっきまで魔法薬の実験を行っていたから……」

リリス「魔法薬の実験?」

リリス(それにしては、部屋の中がかなり片付いているんですけど……。さすがに長く魔法に携わっている者は違うということですね)

ニュクス「ちょっとまっていて、お茶を入れるから……。ちょっとまってて」ガチャッ

リリス「二つ部屋があるんですか。それにしてもかなりの量の本が置いてありますね。あ、でも、魔法書とかじゃなくて小説が沢山……」

リリス(あ、これって結構有名な恋愛小説ですね。確か姉様も読んだことがあるものまで、小さな図書館みたいです)

リリス「こんなに恋愛小説を読んでるなんて、ニュクスさんにも乙女らしいところが……」

 ビチャッ

リリス(ん、何か水たまりを踏んだ気が……)スッ

リリス「……なんでこんなところに水溜りが……ん、これは何の本」スッ

 ベットリ ペチャペチャ

リリス「」

リリス(……)

 ベチャベチャ

リリス(なんでこの本、角がベチャベチャにぬれてるんですか……)

リリス(しかも、ほのかに温かい……。まるでさっきまで使われていたみたい。いやいや、使われていたみたいって私はなにをいって――)

ピエリ「あー。リリスだけ本を読んでるの。ずるいの、ピエリも読むの! よくわからないから、ピエリはこの赤い本を選ぶの!」パシッ 

リリス「ピエリさん、危険かもしれません! 今すぐその本を置いて――」

 ペラッ

ピエリ「……」

リリス「あ……」

ピエリ「……」

リリス「ピ、ピエリさん?」

ピエリ「……」

リリス「あ、あの、ピエリさん」チョンッ

ピエリ「……」フラッ

 ベチャリッ

リリス「ピ、ピエリさん!? ど、どうしたんですか」ガバッ

ピエリ「」

リリス「し、死んでる!?」

ニュクス「死んでなんていないわ。その本を勝手に開いた者の意識を奪う魔法を掛っただけよ」

リリス「そ、そうでしたか良かった……」

リリス(って、この状況って今一番に悪いんじゃ……)

ニュクス「ふふふっ」

リリス「あ、あのニュクスさん。えっと、この水たまりとか……って一体……」

ニュクス「気にしないで、している最中にあなた達がくるから、ちょっと掃除が間に合わなかっただけだから」

リリス「水をこぼしただけですよね? そうなんですよね?」

ニュクス「ふふふっ、部屋の中を勝手に物色しているあなたに応える義務はないと思うけど?」

リリス「そ、それもそうですよねぇ……」

リリス(あかん、あかんです。背中の冷や汗が止まりません。ピエリさんは水たまりに倒れたまま、何とか助けださないといけないのに。でも、本を開いたまま仰向けに倒れるって器用ですよね。って、困った時に違うこと考えても何の解決にもなりませんからね、私ぃ)

ニュクス「……」

リリス「……」

リリス(ど、どうする? どうするって言うか――

ニュクス「……」

リリス(ニュクスさんの無言、すごく怖い!)

ニュクス「……」

リリス「あは、あはは……」

ニュクス「ふふっ、冗談よ。そんなに怖がらないで」

リリス「え?」

ニュクス「言っているでしょう? 冗談だって、その床の水たまりは水だし、その本に付いているのも水よ」

リリス「あ、あはは。そ、そうですよね。私、その、てっきり……」

ニュクス「てっきり、何かしら?」

リリス「いいえ、なんでもありません。でも、それじゃピエリさんの手に取った本は」

ニュクス「流石に危ない本の一つや二つあるの。魔法に精通していない者が読んで、内容を把握してしまった瞬間に狂ってしまうものだってあるわ」

リリス「そういう本はちゃんと厳重に保管しておいてくださいよ」

ニュクス「そうね、今度からは隣の部屋ですることにするわ」

リリス「はい……ん?」

リリス(今ニュクスさん、するっていいましたよね。しまうとかじゃなくて、え、するって何のことですか……)

ニュクス「……たぶん、誤魔化せたはず……。さすがに、こんなのがばれたら……」ボソボソ

リリス(え、なにが、何を誤魔化せているんですか!?)

ニュクス「ふぅ」ガチャッ 

リリス(あ、奥の部屋が少しだけ見え――)チラッ

 ドドンッ!

リリス(黒い羽根をあしらった服が飾られてる)

リリス「……」

リリス(ああ、これか……)

 バタンッ

ニュクス「それじゃ、お茶にでもしましょうか?」

ピエリ「」

リリス「わ、わぁい。おいしそー」

リリス(……)

リリス(アクアさん、助けて……)

今はここまで

 夜にまた

ニュクス「……ところで、何の用事できたのかしら?」

リリス「え、えっとですね……」

ニュクス「気にせずに話してちょうだい。でも、私に話があるってことは魔法に関する話でいいのよね?」

リリス「はは、えっとですね」

リリス(レオン様について何か知りませんかって聞きたいところなんですけど。さっき奥の部屋に見えた服、あれってレオン様のですよね……)

リリス(アミュージアの更衣室から盗まれたって言う話ですけど、それがここにあるってことはニュクスさんが……)

ニュクス「何か話があるんじゃなかったの?」

リリス「え、そ、そうなんですけど」

リリス(ああ、どうしてこんな話しづらい雰囲気に……)

ニュクス「……」

リリス(し、仕方ありません。ここは軽く話を始めましょう……。アクアさんが来るまでの間を持たせるんです)

リリス「あの、ニュクスさん」

ニュクス「なに?」

リリス「となりの部屋の服はなんですか?」

ニュクス「……」

リリス「……」

 ズズズズッ

リリス「あ、この紅茶おいしいですね」

リリス(いきなり、何をかましてるんですか私は!?)


ニュクス「そ、そそそそ、そうでででしょよよよ」

ニュクス(お、落ち着くのよ私。こ、こんなこんな揺さぶりに動揺しては駄目、駄目よ。深呼吸深呼吸して落ち着かないと)

 スゥーハァー スゥーハァー
 ガタガタガタガタッ

ニュクス(はぁはぁ、この子、間違いないわ。無知を装って私の秘密を暴きに来た……刺客!)

ニュクス(私の偽装工作は完璧だった。床のアレも水だって言い切ったように、丸く収めればいいのよ)

ニュクス(あ、あの服はそう、あれはソーサラ―としての正装の装飾品ということにすれば、どうにかなるはず……)

リリス「あ、あのニュクスさん。とりあえず落ち着きましょう……。ね?」

ニュクス「な、なにを言ってるの。わ、わたしは、お、落ち着いているわ」ガタガタガタッ

 ガタッ パリンッ!

リリス「とりあえず貧乏ゆすりみたいな震えやめてください。部屋が、部屋が揺れてますから!」

ニュクス「と、とりあえず言わせてもらうけど、あれは決してレオン王子の服なんかじゃないわ」

ニュクス「ここは私の部屋よ。そう、私の部屋、そこにレオン王子がダンスコンテストで使おうとしていた黒い羽根をあしらった衣装があるわけないわ」

ニュクス「そう、あなたが見たのはソーサラーの羽根つきマントだった。これが真実よ」

リリス「……」

ニュクス(よし、反論なし。完全完封。私の勝ちね)

 スッ

リリス「すみません、私一言もレオン様の服なんて言ってないんですけど」

ニュクス「……」

リリス「それにコンテストの衣裳って単語、普通は出てきませんよね? ソーサラーのマントって言えばいいはずなのに」

ニュクス「……そ、それは、たまたまそう思っただけ――」

リリス「あと、黒い羽根をあしらった服がレオン様の衣装であるのを知ってるのって、臣下であるゼロさんとオーディンさんだけのはずなんですけど。どうしてニュクスさんが知っているんですか?」

ニュクス「あ、あう、あうあうあー」

リリス「ニュクスさん……」

ニュクス「魔が差したの……」

リリス「え?」

ニュクス「あの日、ダンスコンテストの日に……。レオン王子に声を掛けようと思って更衣室に行って、そこで、そこで……」

リリス(なんか自白してるますけど)

ニュクス「お願い、このことはレオン王子に言わないで」

リリス「ちょ、ちょっと落ち着いてください。そんな泣き付かれても、困りますから!」

ニュクス「なんなの、私がさっき部屋の中でレオン王子の幼少期姿を想像して楽しんでいたことも白日のもとに晒したいというの!?」

リリス「いきなり何言いだしてるんですか!?」

ニュクス「それだけはやめて、あなたにはすべて話す、話すから。だから、だからレオン王子だけにはこのことを言わないで」ウルウル

リリス「いや、私は脅しに来たわけじゃないんですよ。ただ、ただ気になったことを聞いただけで、そんな秘密を探ろうなんて――」

ニュクス「そう言ってまた私から色々と聞きだすつもりなのね。本をレオン王子のモノに見立てて焦らしプレイを楽しんでることとか。さっきピエリが開いた本がレオン王子の写し絵コレクションの一冊だとか。そういうことを白状させるつもりでしょ!?」

リリス「ちょ、聞きたくないから口閉じて!」

ニュクス「なんで、なんで虐めるの。ニュクス、悪くない悪くないのに! ふぇ、ふええええっ、ふええええんっ」シクシク

リリス「あ、ちょ、泣かないでください。ああ、どうすればいいんですか」

ニュクス「もう、帰る! ニュクス、お部屋に帰るぅ!!!」ダッ

リリス「ちょ、待ってください!」ガタタッ

 ガシッ

ニュクス「ふぇ?」

リリス「あっ」

 ドサッ
  ベチャリッ!

リリス「いたたたっ、ニュクスさん大丈夫ですか!?」

ニュクス「ふええええん、ふえええええん」

リリス「駄目です、あまりのショックに幼児化してます……。しかも、あの水たまりの上に倒れることになるなんて」ベトベトッ

リリス(これって、おそらくニュクスさんのあれですよね……)

リリス「どうしてこんな目に会うんですかぁ」

リリス(ううっ、くよくよしてもしょうがないです。ま、まずはこの状況をどうにかしないと……えーっとピエリさんは)チラッ

ピエリ「」カチコチ

リリス(まだ硬直したまま……)

ニュクス「ふえええええんっ」

リリス「……」

リリス(もしかしてこの状況を見られたら非常にまずいのでは?)

リリス(硬直して倒れたままのピエリさんに泣きじゃくるニュクスさん、そしてそれを前にしている私……)

リリス「絶対やばいです。すぐに何かしないと――」

 ポンッ

リリス「え?」クルッ

アクア「……」

リリス「あ、アクアさん……」

アクア「ふふっ、部屋の中から泣き声が聞こえるから入ってきたけど……」

リリス「……」

アクア「あなたも中々のやり手ね。星界から飛び出してすぐに二人の女の子を愛液の海に沈めるなんて、普通できることじゃないわ」

リリス「……ははは」

アクア「その手腕を称える意味でも皆に伝えないとね」クルッ

 ガシッ

リリス「……手伝います」

アクア「何をかしら?」

リリス「アクアさんのお手伝い、私に手伝わせてください……。お願いします……」

アクア「ふふっ、ありがとう。持つべきものは仲間ね」ニッコリ

リリス「……はい」

今日はここまでで
 
 リリスはアクアの仲間になった(脅し)

アクア「ねぇ、ニュクス?」

ニュクス「ふえええええん、ふえええん」

リリス「だめです。完全に幼児化してます……」

アクア「かわいそうに、リリスが抑えていた性欲のはけ口にされてしまったのね。やっぱり性竜も獣、油断も隙もないわ」

リリス「さすがに言っていいことと悪いことってありますよねぇ? ねぇ!?」

ニュクス「ふええええん、ふえええええん。ニュクス、ニュクスはわるくないのに、うええええん」

リリス「に、ニュクスさんは悪くないですよ。だから、泣きやんでください」ヨシヨシー

ニュクス「ほんとぉ? ニュクスわるくないの? わるくないならこの水たまりはリリスがつくったんだよね?」

リリス「はぁ!? これはあなたが本で――」

ニュクス「うえええええん!!! 怖い人がいじめるよぉ……」シクシク

リリス「もう嫌です……。まったく話を聞いてくれません……」

アクア「みたいね。リリス、あなたニュクスの秘密を知ったんでしょう?」

リリス「できれば知りたくありませんでしたよ。カムイ様と一緒に戦ってきた方々にこんなのがまぎれていたなんて……」

アクア「それで知った秘密を執拗に虐めて、どうにか交渉テーブルに引きずり出したのね。一点攻撃はカムイも好きとするところ、なんだか似ているわ」

リリス(全然うれしくない)

アクア「だけど、もう一歩届かないと言ったところかしら?」

リリス「もう一歩ってこんな子供みたいになったニュクスさんにどうやって話をしろっていうんですか?」

アクア「任せなさい、似非を崩すには真実の餌が必要なことを教えてあげるわ」タッタッタッ

リリス(アクアさん、すごい自信ですけどなにか方法があるって言うんですか……。あと似非っていったいなんのこと……)

アクア「ニュクス」

ニュクス「ひうっ、おねえちゃんもニュクスを苛めるの?」ガクガクブルブル

アクア「流石に歳を考えて、あなた私たちよりも上なんだから、そんな風に振る舞っても……」

リリス「あなたがそれを言いますか……」

ニュクス「にゅくす、わからない。わからないよぉ、うええええん」

アクア「そう……残念ね。ニュクスが力になってくれるなら、これをあげようとかと思ったんだけど……」

 ペラッ

リリス「……それは写し絵ですか? 結構大きいですね」

アクア「ふふっ、これはねただの写し絵ではないの。アンナ商会の力を合わせて作り上げた、動く写し絵よ。しかも音も出る優れ物よ」

 シュオオオッ

リリス「え、本当ですか。うわ、本当に中の絵が動き始め――」

アクア『んあっ、だめ、カムイ、いいっんいいいいっ……』

カムイ『ふふっ、何が駄目なんですか。アクアさん?』クチュクチュ

リリス「……は?」

アクア『こ、こんな恥ずかしいこと、記録しないで……カムイ……』

カムイ『ふふっ、どうですかアクアさん。お尻をいっぱい叩かれながら、お○んこぐちゅぐちゅされる姿を記録される気分は』
 
 パシンッ パシンッ

アクア『はああああっ。ふあああっ、だめ、かむいぃ、おしり……腫れちゃうから……。ふあああっ、やっ、なんで気持ちぃいいのぉ……』クチュクチュ

カムイ『アクアさんはマゾの変態さんなんですよ。無理やりされるのも大好きですし、記録してるって言われたからか今日は一段と濡れてます。永遠にアクアさんの痴態が残り続けると思うと、もっともっと淫らな姿にしてあげたくなっちゃいます』

アクア『だめ、だめよ……。あああっ、入ってる、カムイの指ち○ぽ、指ち○ぽが私の中、グリグリして……るぅ……。ふああああっ、だめえええ――』

アクア「あ、間違えた」

リリス「間違えたじゃ済まされませんよ!?」

アクア「さっき昂りを抑える為に使ってしまったから。失敗は誰にでもある、うろたえてはいけないわ」

リリス「少しはうろたえて……」

アクア「そうそう、本当はこれよ」

リリス「また変なものじゃないですよね?」

アクア「ええ、大丈夫。それじゃニュクス……」

ニュクス「ふええええ、ふええええ」

アクア「はぁ、いつまで続けるつもりか知らないけど、これを喰らいなさい!」バッ

 シュオオオオッ

リリス「えっとこれは……」

アンナ『では、改めましてレオン様に代わって降り立った魔法少女、ミストォル・ティン♪ティン♪さんのダンスです。どうぞ!!!』

リリス「……ミストォル・ティン♪ティン♪さんって、これってアミュージアのダンスコンテストの映像ですか!?」

リリス(うわ、あの魔女衣装で踊ってます。こんなものが動く絵として後世まで残るなんて知ったら、レオン様どうなってしまうんでしょうか……)

アクア「この映像が後世に残ることに問題はないと思うわ。まぁ、子供の成長とかに少し影響があるくらいでしょ」

リリス「結構な大事ですよ、それ」

アクア「それよりも、耳を澄ませてみなさい」

リリス「なんですかいきなり」

アクア「いいから」

リリス「はぁ……」スッ

 ハァハァ……ンンッ マジョマジョレオンオウジィィィ クチュクチュ

リリス「え!? ニュクスさんがいなくなって!?」ババッ

ニュクス「……」

リリス(真後ろ!? いつの間に――)

ニュクス「ふあああっ、魔女衣装のレオン王子、いい、すごくいい……んんっ!!」クチュチュチュ

リリス「えぇ……」

アクア「ふっ、化けの皮が剥がれたみたいね」

リリス「今さっきまでの幼児姿が演技だったということの方が衝撃的なんですけど」

アクア「チャイルドプレイが捗るわね。でも、もう今は素のニュクスよ。これで話ができそうね」

リリス(話ですか……)チラッ

ニュクス「はぁはぁ、もっと、もっと近くで見せて。はぁはぁ、ふあああっ」

リリス(これ、できるんですか?)

 続きは夜にでも

 カムイとアクアのスパンキングプレイ
  詳しい詳細は

ニュクス「はぁ、レオン王子……。魔女の姿も可愛いわね……。ふふっ。ふふふっ」

アクア「まぁ、ざっとこんなものよ」

リリス「なんていうか手際が良くて怖いです」

アクア「手際とかは関係ないわ。ただ、望みの品(写し絵)と情報(レオンの居場所)を交換することにしただけだし、最初からそのつもりだったのよ。正直、あなたがひっ掻きまわしたと言ってもいいわね」

リリス「うっ……」

ニュクス「……ごめんなさいアクア。情報なのだけど、少しだけ待ってもらってもいいかしら……その、ちょっと……」

リリス(もしかしてレオン様を裏切ることになる、そういう葛藤に悩まされているんでしょうか)

ニュクス「……」

リリス(そうですよね、ニュクスさんがレオン様に好意を抱いているのは間違いありません、好きな人を裏切るかもしれない行為となれば悩むことも――)

ニュクス「これを見て、思いっきりスッキリしたいの。だから、少しだけ……ね?」

アクア「まったく、少しだけよ?」

リリス「なかったかー」

リリス(もう、二人は放っておきましょう。それより――)

ピエリ「」カチコチ ベチャベチャ

リリス(ピエリさんを奇麗にしてあげないといけませんね)

~~~~~~~~~~~~~~~

 カポーン
 
ピエリ「……あったかいの」

リリス「ようやく魔方が解けてきたみたいですね。ニュクスさんの魔法はかなり強力でしたから一日中固まったままってこともあり得ましたし、まずは一段落ですね」

ピエリ「んんー、んにゅ?」

リリス「あ、ピエリさん気が付きましたか? 私が誰だか分かりますか?」

ピエリ「リリス? あれ、ニュクスのお部屋にいた筈なのに、どうしてお風呂にいるの?」

リリス「ちょっと、いろいろあったんです。それよりも体を洗いますから、ちょっと失礼しますね」

 モニュモニュ

ピエリ「ひゃふっ、リリス。いきなりお胸は駄目なの……背中からしてほしいの」

リリス「あ、すみません。それじゃ、背中から失礼しますね」ゴシゴシ

ピエリ「んっ、えへへ。きもちいいの……。リリス、お洗いするのとっても上手なの……」

リリス「ありがとうございます。といっても、誰かの体を洗ってあげるのは初めてなんですけどね」

ピエリ「そうなの? 手付きが取っても慣れてる気がするの」

リリス「よく馬のお世話をしてましたから、その所為かもしれません」

ピエリ「ピエリ、お馬さんと同じは嫌なの。酷いの、リリスのことえいってしちゃうの!」

リリス「ご、ごめんなさい。あの、今のはそのそういう意味で言ったんじゃないんです」

ピエリ「うふふっ、冗談なの」

リリス「ピエリさんのはあまり冗談に聞こえませんよ……」

ピエリ「んー、リリス。今度は前も洗ってほしいの」

リリス「はい、わかりました。それじゃ、胸から失礼しますね」

ピエリ「はーいなの」プルンプルン

リリス(……うわぁ、ずっしり重い。私なんか小振り程度なのに、どこで差が付いたんでしょうか)モミモミ

ピエリ「んゅ、リリス。お胸、もっと優しくしてなの……」

リリス「あ、はい。それにしても、ピエリさんって思ったよりも肌が白いですね」

ピエリ「ふふーん。ピエリの自慢なの、お母さんもピエリと同じくらい白かったのよ」

リリス「へぇ、そうなんですか」

ピエリ「そうなの。ピエリ一番きれいなお母さん覚えてるの、白と赤でとってもきれいだったのよ」

リリス「……白と赤ですか?」

ピエリ「そうなの。白いお肌がね、赤いお池に浮かんでて、とってもきれいだったの」

リリス(……その赤いお池って、血のことですよね)

リリス(たしか、他の世界のピエリさんは言っていましたね。ピエリさんのお母様がどう死んだのか……)

ピエリ「えへへ。お母さん、赤くてとってもきれいだったの」

リリス(多分、ここのピエリさんはあまり覚えていなんでしょう。自分のお母様が使用人に殺されたこと、ピエリさんの殺戮願望のある意味始まりとも言える出来事を……)

リリス(それはある意味幸せなことなのかもしれませんね……)

リリス(でも……。どうなんでしょうか、それがピエリさんのためになるんでしょうか……。……これに関しては私が気にすることじゃありませんね。私が気にする必要なんて……)

リリス「……」

ピエリ「んー、リリス、お手々が動いてないの」

リリス「あ、すみません。その、手に収まり切らない大きさなので……」

ピエリ「えへへ、ピエリのお胸、いっぱい触ってるのはリリスが初めてなのよ」

リリス「そんな手当たり次第に触らせるものじゃありません。そのお風呂以外は特別な人だけにした方がいいです」

ピエリ「なら、リリスは特別なの」

リリス「……え?」

ピエリ「えへへ、リリスはピエリの特別なの。友達なのよ」

リリス「……」

ピエリ「リリス、どうしたの?」

リリス「いえ、その、まだ私のことを友達だと思ってくれてることに驚いてしまって」

ピエリ「? なんで驚くの?」

リリス「いえ、その私と友達になっても意味なんてありませんから、それに私もよくわからないので……」

ピエリ「ピエリもよくわかってないの。でも、こうやって一緒に過ごしてるなら友達なの」

リリス「ピエリさん……」

ピエリ「だからアクア様も友達なの」

リリス「あれは間違いなく悪い友達です」

ピエリ「とにかく、リリスはピエリの友達なの。よくわからないけど、そうなの」

リリス「ピエリさんがそう考えてるならそれでいいですよ。そろそろ時間ですね。体をお流しします」

ピエリ「はーいなの。頭からしちゃめーなのよ」

リリス「ふふっ、わかりました。それじゃ、肩から失礼しますね」

 ザバアアアアッ

ピエリ「……ねぇ、リリス」

リリス「はい、なんですか?」

ピエリ「頭ナデナデしてほしいの」

リリス「? 別にいいですけど、こうですか」ワシャワシャ

ピエリ「……ん、きもちいいの……」

リリス「そうですか?」

ピエリ「うん、なんだかこうしてお風呂で頭を撫で撫でしてもらったことがある気がするの……。でも、誰なのか思い出せないの……」

リリス「ピエリさん……、思い出せるといいですね」

ピエリ「うん……」

リリス「それじゃ、上がりましょう? アクアさんとニュクスさんが待っているはずですから」

ピエリ「なの……」

~~~~~~~~~~~~~

ピエリ「お風呂に入ってすっきりなの!」

リリス「はい、とってもすっきりですね」

アクア「あら、二人ともすっきりしたみたいね。くんくん、ニュクスの体液の臭いもすっかりなくなっているわ」

リリス「いきなりテンションが下がるワードはやめてください」

アクア「止めてあげたいけど、さっきまでその臭いで満ちていた部屋にいた私の気持ちにもなってみなさい。ほら、言わずにはいられないでしょう?」

リリス「それは自業自得なので、全く共感できません」

アクア「で、ニュクスが仲間になったわ」

ニュクス「よろしくね」

リリス「……仲間になった?」

アクア「ええ、部屋でハッスルした所為でレオン成分が足りなくなったそうよ」

ニュクス「勘違いしないで。私はアクアをレオン王子の元に連れて行くだけよ」ファサツ

リリス「そうですか、ところでその羽織っている法衣は?」

ニュクス「アミュージアの戦利品ね。時間が経って香りも薄れてしまったから、これから充電しに行くのよ……」

アクア「ね、即戦力でしょ?」

リリス「嫌な仲間しかいない」

アクア「さて、これでレオンの問題はなくなった。あとはもう一人、リョウマの足取りね。このところ、まったく話を聞いていないわ」

リリス「たしかヒノカ様に白夜王国を任せて隠居したんですよね? というか、本当に何があったんですか」

アクア「その話は長くなるわ。できればリョウマ本人に聞いて頂戴。とにかく、リョウマがどこにいるのか、その手掛かりの一つでも手に入れないと……」

リリス「そう簡単に手に入るとは思えませんけど……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

マークス「リョウマの居場所か。すまないが、私は知らん……のだ」グッグッ

サクラ「ごめんな…さいアクア姉様……んくっ……」

アクア「そう、もしかしたらと思ったのだけど」

サクラ「はいぃ……ご、ごめんなさいぃ……」

リリス「あの、サクラ様はマークス様の腰の上に座ってなにしてるんですか?」

サクラ「そ、それは、はうううんっ」

マークス「ここが、サクラの特等席なだけさ。そうだろ、サクラ王女」

サクラ「はいぃ、ここが、私の特等席ですぅ……。あっ、奥まで、んっんんーーー」ビクビクン

アクア「二人ともほどほどにね? さすがにやりすぎはよくないから」

リリス「謁見の間でやってる時点でアウトだよ」

 ギィィイイガチャンッ

リリス「マークス様達も知らなかったですね」

アクア「はぁ、どうすればいいの」

リリス「もう、諦めてもいいと思います」

アクア「いいえ、まだ諦めるには早いわ。そう、どこかにチャンスはある、切羽詰っている今、すべてがチャンスよ」

リリス「前向きなのはいいんですけど、動機が不純過ぎるんですよ」

アクア「そんな動機で動けるのだからすごいと思わない?」

リリス「動く理由の大半って動機が不純ですから、全然すごくないです」

アクア「……?」

リリス「どうしたんですか?」

アクア「誰か来たみたいね……」

リリス「流石にこの中に通すとあれですね」

アクア「見られて二人がもっと興奮出来るから通すべきね」

リリス「はい、通せんぼですよー」

???「アクア様、こんなところでお会いするとは……」

アクア「あらカゲロウ」

カゲロウ「お久しぶりです、アクア様。それと……初めて見るが、お前は?」

リリス「あ、私はリリスと言います。カゲロウさん」

カゲロウ「む、私の名前を知っているのか。どこかで会ったことがあるのか?」

リリス「そうですね。カムイ様の監視のために、一度神殿にいらしたことがあるくらいでしょうか……。ふふっ、カゲロウさんは任務に一生懸命な方でですね」

カゲロウ「神殿……まさか、あの奇妙なトカゲか!?」

リリス「奇妙なトカゲ……。ま、まぁ、トカゲに見えなくもないですよね……。はは、はははは」

カゲロウ「うっ、すまぬ。少し言葉が悪かった。しかし、そうか、お前も人間の姿になれるのだな」

リリス「まぁ、もどきみたいなものですけどね」

アクア「それよりもどうして暗夜に? 今はヒノカの下で動いているんじゃなかったの?」

カゲロウ「それが、ヒノカ様よりある方へ書簡を渡すよう指示を受けている」

リリス「書簡ですか。誰宛てなんですか?」

カゲロウ「ああ、リョウマ様宛になる。どこにいるのかは前回の書簡で知っているのだが、その場所がどこか分からずこうして暗夜城にやってきたのだ」

リリス「……」

リリス「……何このアクアさんに有利な展開……」

今日はここまで

 ピエリの殺戮本能は元からなのか、それとも母親の死が原因なのか……

カゲロウ「どうもヒノカ様は急がれている様子だったのでな。いきなり謁見の間まで来てしまったしだいだ。おまえ達がいてくれて助かった」

リリス「いろんな意味で助かりましたよ」

アクア「そう、それは大変ね。早くリョウマを探し出さないといけないわ。リリスとピエリを預けるから役に立てて頂戴」

リリス「え、私達がリョウマ様を探し出すんですか!?」

アクア「ええ、そうよ。さすがにレオンの居場所は私が見に行った方がいいと思うから」

リリス「なんでですか?」

アクア「思い出して、重要なのは覚醒していないこと。つまり童貞であることが重要なの」

リリス「あー、たしかにそうですね。でも、モローがそう言ったということは、リョウマ様もレオン様も童貞ということですよね?」

アクア「多分そうでしょうね」

リリス「さすがに婚約者もいませんから問題ないと――」

アクア「でも、それは今の話よ。あれを見なさい」

リリス「あれ?」チラッ

ニュクス「婚前交渉の準備をしないと……。まずはこのコーヒーをそっと渡す。悪魔でも自然に。薬を入れて眠ったところで――」

アクア「レオンの息子の危険が危ないわ」

リリス「このパーティー解散しましょう」

アクア「とういうわけで、私はこれからニュクスと一緒に白夜王国に向かうわ。残りのリミットは六日くらいね。もしも準備できなかったら、リリスの将来は約束できないからそのつもりで」

リリス「私に対する脅ししかないのは何故?」

アクア「あなたくらいしか脅しが通じないからかしらね?」

リリス「はぁ。それでカゲロウさん、リョウマ様は一体どこにいるんですか?」

カゲロウ「うむ、最後の文通ではデーモンフォールで滝打ちの修行に励んでいるそうだ」

リリス「デーモンフォールって燃えてるはずなんですけど。どうやって修行してるんですか」

カゲロウ「リョウマ様は精神も鍛えられているそうだ。ただの滝では成果を得られないと判断したんだろう」

リリス「油混じりの滝で修行する時点で精神を病んでいそうなんですが……」

アクア「ともかく場所はわかったみたいだから、もう出発しましょう。リリス、リョウマの童貞だけは守り抜くのよ」

リリス「このメンバーでそれはないと思いますけど」

ピエリ「それでそのデーモンフォール、どう行くつもりなの?」

リリス「そうですね。船を借りていくにもすぐに手配できるわけではありませんし……。ドラゴンでも借りられればいいのですか」

ピエリ「そうなの、リリスがドラゴンになればいいの! ピエリとカゲロウを乗せてびゅーんって飛んで行くのがいけばいいのよ」

リリス「いや、なったらなったで問題が置きそうです。それにカゲロウさんとピエリさん、お二人を乗せて移動できる力は残念ながらありません」

ピエリ「ひ弱なのー」

リリス「ううっ、流石に傷つきます。ところでカゲロウさんはここまでどう来たんですか?」

カゲロウ「この足だけだ。リョウマ様の元へも何かを使おうとは考えていなかった」

ピエリ「たくましいの。カゲロウすごいのよ」

リリス「とってもたくましいです」

カゲロウ「す、すごいか……。その、ありがとう///」

リリス「さて、ではどうやって行きますか。さすがにデーモンフォールに至るまでの川が大きいので結構な船を借りないといけませんね」

ピエリ「リリス、そこに裏口とかないの?」

リリス「あるにはありますけど、こっちの道では使ってないからまだ開通してないでしょうし、その竜脈を使える人がいませんから逆に苦労するかも……」

ピエリ「リリスはその裏道がどこにあるのか知ってるの?」

リリス「え、ええ、まぁ、暗夜王都の近くにあるんですけど……」

ピエリ「なら簡単なの、リリスもドラゴンになれるから竜脈を使えるはずなの。これで目的地にすぐに到着できるの!」

リリス「え、えっと、期待してもらって悪いんですけど私は使えないんです。その竜は竜でも星竜なので」

ピエリ「そうなの、残念なの」

リリス(……実際は使えますけど、使ったら使ったで何か勘ぐられそうなのでやめておきましょう)

カゲロウ「仕方無い、ここから歩いて向かうとしよう。リリス、道案内をよろしく頼めるか」

リリス「はい、お任せください。それじゃ、ピエリさん行きますよ。まずは川の近くで船を借りる作業からです」

ピエリ「はーいなの。はぁー、竜脈が使えたら楽できるのに残念なのよ」

リリス(まぁ、竜脈が使えたら楽になりますからピエリさんの言っていることはわからないわけでもないんですけど。正直、王族関係に碌な人がいないから、これ以上に人が増えてほしくない)

???「竜脈が使えたら道中が楽になるなんて、なんだか楽しいことをしようとしているみたいね」

カゲロウ「む!」

リリス「誰ですか!?」

???「マークスお兄様とサクラ王女はお楽しみ、アクアとレオンは白夜へ、エリーゼとタクミ王子は弓道場で今日も訓練しているから、残るは私」

 スタッ

カミラ「そう、私よ」

ピエリ「カミラ様なの!」

カミラ「ふふっ」(E.闇の衣)

リリス「昼間からなんって恰好してるんですか!?」

カゲロウ「胸は女の武器だ、仕方無い」

リリス「カゲロウさん!?」

ピエリ「ピエリも負けないの」プルンッ

リリス「張り合うところじゃありませんからね、ここ」

カミラ「それで、竜脈なんて言葉が出てくるなんて何か困っているみたいだけど?」

ピエリ「ピエリたちリョウマ様を探しに行くことになってるの」

カミラ「あら、リョウマ王子を? 一体どうして?」

ピエリ「アクア様がお○んち――」

リリス「わーーーー!!! カゲロウさんがヒノカ様からリョウマ様に当てられた書簡を渡したいということでして」

カミラ「そう、なるほどね」

ピエリ「リリス、なんでお口閉じるの? アクア様、お○んちんほしいって」

リリス「これ以上、いろいろと変な所に飛び火させたくないんです。ほら、アクアさんだってこういうことはあまり知られたくないって思いますから」

ピエリ「そうなの、ピエリ気を付けるの」

リリス「はぁ……気を付けてくださいね」

ピエリ「はーいなの」

カゲロウ(お○んちんがほしい……!? 一体何の話をしているのだ?)

カミラ「それで今リョウマ王子がいるのがデーモンフォールなのね?」

リリス「はい、それでこれから船を借りて向かおうかと」

カミラ「そう、大変ね」

ピエリ「リリス、でーもんふぉーるに続いてる秘密の道を知ってるの。でも竜脈がないと逆に苦労するっていうの」

リリス「だって、滝は燃えてますし、それに竜脈がなければ道を作ることも……」

カミラ「そういうことね。ならあたしが付いて行ってあげるわ」

リリス「え?」

カゲロウ「良いのですか、カミラ様」

カミラ「ええ、ちょっと外に出たかったもの。その代り、ベルカも連れて行っていいかしら?」

リリス「ベルカさんですか?」

カミラ「そう、ベルカ」

 シュタッ

ベルカ「カミラ様、呼んだ?」

カミラ「ええ、よく来てくれたわね。これからお出かけするから準備をお願いね?」

リリス「ベルカさん一体どこから――」

ベルカ「……」(E.闇の衣)

リリス「あなたもですか!?」

リリス「ちょっと、ベルカさん。さすがにカミラ様の臣下だとしてもその恰好、場所は考えた方が……」

ベルカ「……そ、その私だって嫌よ。こんな恥ずかしい格好、碌に防御にもならない……」

リリス「ならどうして……」

ベルカ「でも、これをすれば男を悩殺できるってシャーロッテから言われて、カミラ様もその通りだって言うから……////」

リリス(そんな恥ずかしそうにモジモジしてたら、並の男は悩殺できますね)

ベルカ「もしかして、間違っているの?」

リリス「え、えーっとどうでしょうか」

ベルカ「悩殺できそう?」

カミラ「大丈夫よ、ベルカの魅力ならどんな男も悩殺できるわ」プルンプルン

リリス「ああもう、その大きな果実を揺らすのはやめてください。とりあえず、ローブでもいいから着てですね……」

 ファサー
 
ベルカ「……」

カミラ「これでどうかしら?」

リリス「」

リリス(どうしましょう、露出狂にしか見えません……)

カミラ「それでどこに向かえばいいのかしら?」

リリス「本当に付いてくるつもりなんですか?」

カミラ「ええ、私達がいれば早くリョウマ王子を見つけられるでしょう? それにデーモンフォールは燃える滝の場所だけど、ドラゴンがいれば問題ないわ」

リリス「いや、ドラゴンでもあんな熱い川の上さすがにばてちゃいますよ」

カミラ「ふふっ、安心して私とベルカの竜は一味違うのよ」

リリス「え、そうなんですか」

カミラ「ええ」

リリス(やっぱり王族の方とその臣下が駆る竜は一級品ということなんですね。さすがは王族です)

カミラ「あの子たち熱いの大好きなの、甘い声をあげちゃうくらい」

リリス「飼い主に似てますねぇ」

リリス(この人たちの竜とは友達になれそうにないです……)

―タイムリミット残り6日―

今日はここまで

 炎の上が大好きになれば竜は炎に強くなれる。暗夜の竜育成方針の基礎ですね

◇◆◇◆◇
―暗夜国境・無限渓谷-

アクア「あと半日もすればテンジン砦に辿りつけそうね。ところでレオンは白夜で何をしているの?」

ニュクス「由緒正しいお寺で乱れた心を落ち着けているらしいわ」

アクア「王城のリフォーム、その他もろもろで疲れがたまっていたのね……」

ニュクス「おもな原因はあなたとカムイ様よ。レオン王子、恋人を繋ぎで帰ってきたあなた達を見て目を点にしていた……とってもかわいかった」

アクア「ごめんなさい、あの時は握られたカムイの指を膣内シミュレートするのに忙しかったから……」

ニュクス「レオン王子、まるで寝取られにあったみたいだったわ。そう、すごく包容力のある大人の女として色々なところを慰めてあげたかったわ」

アクア「……包容力のある大人の女?」

ニュクス「ええ、レオン王子は言ってくれたの。私と話をするときは目を瞑って成長した君を想像するって……。それってつまり、大人の姿の私なら脈あり。そう考えてもいいって」

アクア「……でも、レオンは包容力のある人より、どこかおっちょこちょいで放っておけない子の方が好きよ。ほら、カムイなんていい例でしょ?」

ニュクス「……なら、どうすればいいの」

アクア「さぁね、自分で何とかしてちょうだい」

アクア(そういえばリリスはちゃんとリョウマを探し出せているのかしら……)

◇◆◇◆◇
―暗夜王国付近・地下洞窟―

ピエリ「あつい、あついのぉ!」

リリス「ちょっと、ピエリさん。くっつかないでください、持っと熱くなるじゃないですか」

カゲロウ「ふむ、しかしこの暑さは、この先がデーモンフォールである証拠でもあると言える」

ベルカ「そうね……」

リリス「ベルカさんはあまり熱くなさそうですけど……って、ローブの下があれでしたよね」

ベルカ「ええ、確かに熱いけど動けなくなることはないわ」

カミラ「ふふっ、でもこんなに熱いから汗が出ちゃうわ。胸の谷間に汗が溜まっちゃう……」プルンプルン

ピエリ「ピエリもなの。んー、お胸の隙間がベトベトするの」プルルンッ

カゲロウ「なるにはなるがあまり気にすることもないな」ブルンブルン

カミラ「リリスは大丈――そうね」

リリカ「顔色じゃなくて胸見ていったよね? ね?」

ベルカ「カミラ様、さっきからドラゴンが……」

カミラ「そうね……」

ドラゴン『グワーグワー』

ピエリ「そうなの、すごくうるさいの。カミラ様、いつもこんなにうるさいの?」

カミラ「うーん、いつもに比べたら妙に騒いでいるの。炎と熱風の上に来る前に騒ぐのは珍しいわ」

カゲロウ「ふむ、慣れない環境ゆえかもしれない」

カミラ「そうね、デーモンフォールに来ること自体は初めてだから、いきなりの暑さに驚いているのかもしれないわ」

ピエリ「うー、これ以上騒ぐとえいってしちゃうのよ。うるさくしたら八つ裂きにするのよ!」

カゲロウ「ピエリ、落ち着け」

ピエリ「そうなの。リリスは竜なの、竜ならドラゴンともお話しできるはずなの。リリスが問題を聞いて解決してあげればいいのよ」

リリス「……」

ピエリ「リリス? どうしたの」

リリス「あの、カミラ様。今、ドラゴンって繁殖期ですか?」

カミラ「ええ、そうよ。ちょっと種付けが終わって落ち着いた子たちを連れてきたんだけど。でもドラゴンの繁殖期なんて一部しか知らないことだけど、なんで知ってるの?」

リリス「……もと厩舎係ですから……」

ドラゴン『メス、メス竜ノニオイスルスル!ヤリタイマタヤリタイ』

ドラゴン『リッパナコウム、ウム。イッパイシタイ、イッタイシタイ』

ドラゴン『ドコダドコダ!』フゥーッ フゥーッ

リリス(ばれませんように、ばれませんように……)ガクガクブルブル

カミラ「……竜脈の気配がするわね」

リリス「そうみたいですね。この先からです……ありました、ここですね」

カミラ「そう、それじゃまずはここを吹き飛ばしちゃいましょう。……はああっ!」シュオンッ

 シィイイイッ ドゴオオオオオンッ

ピエリ「わー、カミラ様すっごいの!」

リリス「うわっ、すごい熱風ですね……。ああ、もう服が体に張りついて……」

ピエリ「リリス、体のラインがくっきりしてるの」

リリス「ちょっと、そんなに見ないでください」

カミラ「女の子同士じゃない、恥ずかしがることもないわ」

リリス「皆さんと比べて貧相なんです、少しは察してくださいよ」

ベルカ「そんなに気にすること?」

リリス「そ、それなりには気にしますよ。だって、大きいとその女性としてはやっぱり嬉しいですし」

カゲロウ「大きくても――」

リリス「そういう持ってる不幸自慢やめて」

カミラ「でも、大きいとか小さいとかそういうのは関係ないはずよ」

???『ああ、大きくても小さくても問題はないだろう。男もアソコの大きさで器が決まるわけでは無いからな』

リリス「え? 今の誰ですか!?」

カゲロウ「!! この声、間違いない」タタタタッ

カゲロウ「リョウマ様、カゲロウです。至急の要件のため、参りました!」

???『カゲロウか。今向かう、そこで待て! とうっ!!!』シュタッ

リリス「とうって、リョウマ様はどこにいらっしゃるんですか」

カゲロウ「……来られたようだ」

カミラ「……どこにいるの?」

ベルカ「姿が見えないわ」

ピエリ「熱いの……」

 ブクブクブク……

リリス「ん?」

 ブクブクブクブク!

リリス(なんか、ブクブクって泡立ってるんですけど……まさか)

 バッサンッ!!!

リョウマ「はああっ!!!!」

リリス「やっぱり、そこから出てくるんですか」

 ビチャビチャ

ピエリ「飛沫があっついの!」

カゲロウ「はぁ///」

 スタッ

リョウマ「待たせたな、カゲロウ」

カゲロウ「いいえ。申し訳ありません、本来ならば昨日中にここへと到着していなくてはならなかったのですが」

リョウマ「気にするな。カゲロウはよくやってくれている」

カゲロウ「リョウマ様……もったいない御言葉です」

リョウマ「ははっ、カゲロウは変わらないな……」

 ブランブラン

リリス「燃えてる川から出てきた時点で予想できてましたけど、せめて前を隠して話をしてください」

リョウマ「いや、ここで修行をしていると衣服は燃えてばかりだからな。もう代えがないんだ」

リリス「前を隠せって言ってるんですよ。何か穿くとかじゃなくて」

リョウマ「しかし、両手が使えなくては書簡も読めない。我慢してほしい」ブランブラン

リリス「揺らしながら話を続けないでください。あと近づかないで」

カミラ「ふふっ、リリスはプラトニックなのね」

リリス「変態から身を守ろうとするのは当然じゃないですか。現に他の皆さんだって警戒して――」

カゲロウ「リョウマ様、これが書簡です」

リョウマ「ありがとう。ん、あれはマークス王の臣下の……」

ピエリ「うえええ、もう服脱ぐの。暑いの耐えられないの」ヌギヌギ

リョウマ「服を脱いだだけでは意味はない、ちゃんと水も飲め。脱水症状に注意するんだ」

ピエリ「あ、ありがとうなの……」

ベルカ「水分補給は基本よ。特にこういうところで怠ると簡単に死んでしまうわ」

ピエリ「気を付けるの。リョウマ様、ありがとうなの」

カミラ「気配りもできる、流石は白夜の元王様ね」

リョウマ「もう昔の話だ……。今の俺はただの浪人にすぎん。雷神刀も白夜に残してきたからな……」

リリス「あれぇ……」

リョウマ「しかし、ヒノカから書簡が届くとはな。何かしらヒノカに縁談が決まったのであれば嬉しいのだがな」

カミラ「ふふっ、最近結ばれた子もいるから、ひょっとするかもしれないわね」

リョウマ「ほう、婚約した者たちがいるのか?」

リリス「ええと、まだ公にはしていませんけど」

リョウマ「そうか、それはめでたいことだ。こうして戦争が終わり、人と人との間に絆が生まれる。あの戦いを越えて育まれた絆がこうして実を結んでいるというのは、とてもいいことだ」

リリス「リョウマ様……」

リリス(フルチンじゃなかったらすごくかっこいいんだけどなぁ)

リョウマ「それでその者は誰なんだ?」

ピエリ「えへへ、なんとカムイ様なの!」

リョウマ「……え?」

ピエリ「カムイ様、好きな人と結ばれたのよ」

リョウマ「……」ピシィッ

リリス「リョウマ様?」

リョウマ「……カムイが……好きな者と結ばれたのか?」

カミラ「ええ、そうだけど。リョウマ王子?」

リョウマ「……俺では無い奴とか?」

リリス「……え、まさか」

リョウマ「……」

リリス「もしかして、そういうことなんですか、リョウマ様」

リョウマ「……そうか、カムイは……しあわせになったんだな。なら、祝福……してやらねばな……」フルフル

カミラ「……カムイも罪作りな子ね」

ピエリ「リョウマ様。ピエリ、おやつにクッキー持ってきたの、口の中パサパサしちゃうけど、甘くておいしいのよ。悲しいことも吹き飛んじゃうはずなの」

リョウマ「ピエリ、ありがとう……。ぽりぽりっ。あまいな……とても、甘いな……」

リリス「あ、あのとりあえず場所を変えましょう。その、ここすっごく熱いですから……ね、ね?」

リョウマ「そうだな。俺が見つけた横穴があるそこにいこう……」

 トボトボ

リョウマ(カムイ……)

リョウマ「…………グスンッ」

きょうはここまで
  
 リョウマ王子の次の恋にご期待ください。

リョウマ「取り乱してすまなかった」

カミラ「いいのよ。それにリョウマ王子がカムイのことを愛していたのは本当なんでしょう? なら、そうなっても仕方ないわ」

リョウマ「カミラ王女。確かにそうだが、取り乱してしまうのは心がまだ未熟ゆえだ。これではここでの修行の意味もあまりなかったということだろう……」

カミラ「未熟でもいいじゃない。何でもかんでも割り切れるのはとってもすごいことだけど、そうやってすぐに忘れちゃうのはとっても悲しいことよ」

リョウマ「……そう考えてもいいのだろうか」

カミラ「ええ、リョウマ王子にもそういうところがあっていいと思うわ。あなたさえよければ、カムイの良いところ、またいっぱい話しましょう?」

リョウマ「カミラ王女……ありがとう」

リリス「……あのいいところ悪いんですけど」

リョウマ「なんだ、リリス?」

リリス「とりあえず、何か穿いてください。目に毒なんで」

リョウマ「そうしたいところだが、服が無いんだ」

カミラ「仕方無いわね。私のものだけど、これを貸してあげるわ」

リョウマ「すまないカミラ王女。よし、これでいいか?」

E.色っぽい水着

カミラ「ええ、これでバッチリね」

リョウマ「少し締まるが、それがまたいいものだな」

リリス「あ、頭が……」

ピエり「リリス、頭痛いの? ナデナデするのよ」ナデナデ

リョウマ「それでカムイとアクアはまだ式を挙げていないのか?」

カミラ「ええ、カムイから聞いたけどアクアが式を挙げるのを拒んでるそうなの」

リョウマ「ふむ、やはり偏見などに晒されるのを恐れているのかもしれない。カムイとアクアが戦争を終結に導いたことで名が知れていることもある。しかし、そう言った点からカムイが変な眼で見られることをアクア心配しているのかもしれない」

リリス(多分、主導権を握ってから結婚に持ち込みたいだけですね。そのためにお○んちんを求めてるわけですし)

カミラ「どうかしら、アクアにもカムイとの関係性に色々と思うところがあるのかもしれないわ。たとえば夜の受け手と攻め手とか」

リョウマ「受け手と攻め手か……俺はカムイは攻め手だと思っている。ああやって笑っているが、夜のあいつは間違いなくけだもののように求めてくるはずだ」

カミラ「ふふっ、カムイが攻めなのは基本中の基本よね。あの子、好きなものにはとことんだもの。でも、そういうところがあるからアクアはカムイより優位に立ちたいと思ってるのかもしれないわ」

リョウマ「一理あるな」

リリス「何この二人こわい

リョウマ「できることなら俺がカムイに雷神刀でとことん付き合ってやりたいのだが」

リリス「それって武器のことですよね、ね?」

ベルカ「リリス、武器以外に何があるって言うの?」

リリス「え?」

ベルカ「リリス、今の言葉は一緒に訓練をしたい、戦い合いたいという意味じゃないの?」

リリス「べ、ベルカさん?」

ピエリ「訓練すごくいいの、リョウマ様の雷神刀といっぱい対決したいのよ」

ベルカ「リョウマ様の腕は一流だから、手合わせしてみるのもいいわね」

カゲロウ「ああ、リョウマ様との修業は確かに辛いが身に付くものも多い。傍にいるだけではやはりわからないこともあることを教えてくれる」

リリス「……」

リリス(なんか私だけが汚れているみたいな流れになってるんですけど。もしかしてリョウマ様は本当に武器としての意味で今の発言を……)

リョウマ「俺の雷神刀といっぱい対決……か」フッ

リリス(あ、これちがいますね)

ベルカ「でも、そんなリョウマ様もマークス様に負けてしまった」

リリス「え、何の話ですか?」

カミラ「あら、リリスは知らないのね。白夜平原での戦いのこと」

リリス「いつの戦いですか?」

カミラ「知ってる事だと思うけど、マークスお兄様とサクラ王女が結婚しているわ。で、その前提として二人が付き合ってることをリョウマ王子に伝えたら、リョウマ王子が怒っちゃったの。サクラ王女が欲しいなら俺を倒してからにしろって」

リリス「あぁ……」

リョウマ「……俺は納得できなかったんだ」

リリス(やっぱり大切な妹ですからね。不安になるのも無理は――)

リョウマ「妹はバブみに限ると言っている男にサクラを渡すなど……」

リリス(バブみってまた業が深いですねぇ)

リョウマ「俺はマークスのことを認めている。剣の腕は俺の方だ、ただの飛び道具とは違うからな。しかし国をまとめ上げる統率力に関して言えば奴の方が上だろう」

リリス「今さりげなくジークフリートをディスりましたね」

リョウマ「和解したあの日、カムイとの話をしながら共に理想の妹とは何か?という話題で朝昼夜を共に語り明かしたほど。マークスは幼いながらも母性を感じさせる妹という志、対する俺は架空の妹という志で凌ぎを削り合った」

リリス「か、架空の妹!?」

リョウマ「妹談義を続けているうちに俺とマークスは似ているそう思った。その趣向嫌いではないとな。だが、その趣向が自身の家族に向けられていると知ったらどうする。想像できるか?」

リリス「いや、今まさにその状態なんですけど……」

リョウマ「俺はその場でマークスを殺さなかった自分を褒めてやりたかった」

カミラ「そうね、サクラ王女はどこかほわほわしているけど、人の間違いを許せて包み込む包容力もあるわ。それにマークスお兄様も惹かれたのよ」

リョウマ「……わかっているんだ。あの日、俺の前に現れたサクラは明らかにマークスとナニかあった後だったと」

カミラ「サクラ王女が女の顔をしてたのね」

リリス「女の顔って……」

リョウマ「ああ。数日前、百物語をしようと張り切っているアクアを見た時、何かあると思うべきだった」

リリス「また、アクアさんですか。周囲にちょっかいを出さないと死ぬ病気にでもかかっているんですかあの人」

リョウマ「そしてマークスに決闘を申し込んだ。サクラが欲しければこの俺を倒して行けと……」

リリス「なんだか本格的に両国の確執になりそうなんですけど……」

リョウマ「勝負は簡単だった。相手を倒せば勝ち、ちなみに先手は俺だ」

リリス「リョウマ様が先手って……もうマークス様詰んでませんか?」

カミラ「私も話を聞いたときマークスお兄様の勝ち目はないって思ったわ」

リリス「実の妹からもこう言われちゃうんですね……。まぁ、実際そうですけど」

カゲロウ「あの白夜平原での決闘は多くの者が見物にやってきた。暗夜王と白夜王が刃を交えるとなれば噂が立たないわけがない……」

リョウマ「それもある意味狙いだった。俺はマークスを観衆の中で倒し、サクラの目を覚ましてやろうと躍起になっていたんだ」

リリス「でも逆にその場で負けちゃったんですよね?」

リョウマ「……ああ」

リリス(真正面から戦ってリョウマ様が負けるようには思えないんですけど……)

リリス「ちなみにリョウマ様は準備をされたんですか?」

カゲロウ「たしか、その時のリョウマ様はこのような準備をしていた」

装備【銀の刀+5】
・居合一閃
・剣の達人
・死線
・先手必勝
・剛剣
事前使用
・虹の秘薬
・力のしずく

リリス「うわぁ殺す気満々」

リョウマ「通信教育で培った技術に事前の漢方、俺はマークスを一撃で伏すつもりだった」

リリス「しかもリョウマ様が先行だったんですよね? 負ける可能性が見えないんですけど」

リョウマ「俺もそう思っていた。だがあいつは余裕だった」

リョウマ「しかもあいつは山伏の格好で現れた。サクラとのお揃いで笑みを浮かべる姿、明らかな挑発行為に温厚な俺も気が気でならなかった。俺は始まると同時に奴に切り掛り致命傷を与えた。確実に決まった攻撃だった」

リリス「ふむふむ」

リョウマ「だが、奴はなんとかぎりぎりで持ちこたえ反撃してきた。そしてその攻撃を受けた時、俺は負けを確信した……」

リリス「え、マークス様の攻撃にリョウマ様は一撃で倒されちゃったんですか?」

リョウマ「いいや、俺は後一撃に耐えられた。奴も後一撃で倒せるところ、だが俺は奴に攻撃できなかった……」

リリス「え?」

リョウマ「俺は……俺は……奴の術中に……くっ」

リリス「……カミラ様。ちなみにマークス様はどんな準備をしていたんですか」

カミラ「覚えている限りならこれね」

装備【剣薙ぎの薙刀】
・祈り
・待ち伏せ
・流星
・広所突撃
・流星
事前使用
・虹の秘薬

カミラ「あと始まる前にサクラが叫ぶように応援していたわね」

リリス(祈り待ち伏せ戦法かぁ……)

今はここまで
 
 エコーズ発売!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「ま、マークスさん……」ペロンッ

マークス「サクラ。サクラの体、とてもきれいだぞ」

サクラ「うれしいです……。その、触ってくださいマークスさん」

マークス「ああ。やはり柔らかい、サクラの胸はまるで出来たてのケーキのスポンジのようだ……」モミモミ

サクラ「んっ、はぁ、ふああっ……」

マークス「なのに、先端はこんなにも硬くなっている。いけない蕾だ」コリコリ

サクラ「だめ、マークスさん。やっ…ひうっ、私、咲いちゃいますぅ」

マークス「サクラ……もうこんなに芽吹いて、とても猥らで愛おしい……はむっ、ちゅうううっ」

サクラ「や、マークスさぁん、ふああっ」

マークス「サクラ、んちゅ、ああっ、サクラの母性が私の中に入ってくるようだ。もっと、もっと欲しい……」ジュルルルッ

サクラ「はぁはぁ、いいですよ。もっと、もっと、私に甘えてくださいマークスさん」

マークス「サクラ、いいのか?」

サクラ「は、はい、もちろんです。だって、私はマークスさんの奥さんですから、今日もいっぱい頑張ったこと知ってますから……」

マークス「サクラ……」

サクラ「今は私とマークスさんだけです、だからもっともっと甘えていいんですよ?」

マークス「サクラぁ」ダキッ

サクラ「きゃっ」

マークス「ううっ、今回の地方会議案件がどう転がるかがわからずとてもこわかった……。また何かしらの争いが始まってしまうのではないかと……」

サクラ「マークスさん、いっぱい頑張ったんですね」ナデナデ

マークス「……うん」

サクラ「ふふ、それじゃ御褒美にいっぱいお○んちんをいい子いい子してあげます。横になってください」

マークス「あ、ああ」ドサッ

 カチャカチャ ビクンビクンッ

サクラ「わっ。こんなに大きくして、マークスさんはさびしがり屋さんですね」サワワッ

マークス「ううっ、サクラの手とても気持ちがいい……うああっ」

サクラ「いい子いい子、マークスさんはとっても頑張ってますよ」ナデナデ

マークス「はうっ、さ、サクラ。く、口でもいい子いい子してくれ」

サクラ「今してあげますね。んあっ、んちゅ、れろ、ぷはぁ、はぁはぁ、ん、ひゃーふすひゃんのおひんひん、ひひほひひほ。んっ、ちゅちゅっ」

マークス「うああっ、サクラ。もう、出るっ!!!」

サクラ「ふぁい、ひひふぇふほ、ひっぱひ、ひっぱひふぁひへふははい。んじゅるるるっ!!!」

マークス「くあああああっ!!!!!!!」ビュルルルッ ドビュルル!!!

サクラ「んぶっ、んんっ、こくこくっ、ごくんっ、はぁ。マークスさんの濃くて臭いもすごい。いっぱい喉に引っかかっちゃいます」

マークス「サクラ、次はお前の中で私を抱きしめてくれ……」

サクラ「はい、いっぱい抱きしめてあげます。来てください、マークスさん」

マークス「サクラ――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カミラ「この前偶然見ちゃった時は、こんな感じだったわね」

リョウマ「」

ピエリ「リョウマ様、白目剥いているの」

リリス(なぜ、火に油を注ぐような真似をするんですか、カミラ様……)

リョウマ「すまない、今意識がどこかに行っていた」

リリス「そ、そのなんと言っていいかわかりませんけど、と、とりあえずヒノカ様からの手紙を確認しませんか?」

リョウマ「そ、そうだな。く、手に力が入らない」プルプル

リリス「精神的ダメージやばいですね」

 ビュオー

リリス「? なんですかこの音――」

 ビュオオオオオオオオンッ

リリス「わっ、すごい熱風が。ううっ、あっつい……」

ベルカ「すごく熱いというわけじゃないけど、結構な強さね」

リョウマ「先に言っておくべきだったな。時々この中にも熱風が入ってくることがあるんだ」

リリス「ううっ、また熱くなっちゃいました……。ああ、汗がまた出て、最悪ですよ本当に……」

ピエリ「ねぇねぇ、リリス」トントン

リリス「なんですかピエリさん。って、今の風で髪が乱れてますよ? 直してあげますから少し待ってください」

ピエリ「ありがとうなの。リリス、ピエリのこといっぱい構ってくれるから大好きなのよ」

リリス「それでどうしたんですか?」

ピエリ「うん、ピエリ見てたの。今の風でリョウマ様の手からお手紙が落ちて風で転がっていったのよ」

リリス「……え!?」

リョウマ「くっ、俺としたことが、一体手紙はどこに……」

ベルカ「もしかして、あれ?」

 バサッ バササッ

ピエリ「あれなの!」

リリス「このままじゃ、燃える川に落ちちゃうんじゃ」

リョウマ「なんだと!?」

リリス「一刻も早く追いかけましょう!」ダッ

一同『……』

リリス「あの、皆さん?」

カゲロウ「……熱いな」

カミラ「そうね、熱いわ」

ベルカ「ええ」

ピエリ「熱い場所に戻りたくないの」

リョウマ「下着だけでもかなりの暑さだ。ピエリの気持ちはわかるぞ」

リリス「つべこべ言わずにみんな動けよ!」

 トプンッ シュオオオオッ!!!

リリス「あー、川に落ちて燃えちゃった……」

リョウマ「く、俺としたことが一生の不覚だ」

リリス「本当に不覚ですよ! リョウマ様は大丈夫だったけど、流石に紙は駄目でしたね。跡形もありません」

リョウマ「リリス、何を言っているんだ。火の川に落ちた以上、燃えてしまうのは当り前だろう?」

リリス「あなたが言いますか?」

ピエリ「そうなの。リリスおかしいの」

リリス「え?」

カミラ「物が落ちたら燃えるのは当たり前ね」

カゲロウ「リリス、熱気にやられたのなら水分を取るといい、楽になるぞ」

ベルカ「倒れそうなら言って、私が担いであげるから」

リリス「……これって私がおかしい流れになんですか?」

リョウマ「しかし、ヒノカからの手紙の中身がわからなくなってしまったな。カゲロウ、一応聞いておくが何が書いてあったか知っているか?」

カゲロウ「ヒノカ様の命でリョウマ様にと承ったもの、私は目を通していません」

リョウマ「そうか……当然といえば当然か」

ピエリ「でも、手紙がないならどうするの?」

リョウマ「仕方無い、直接ヒノカに聞きくしかないだろう」

リリス「え、聞くってどうやって……」

リョウマ「白夜に向かうだけのことだ」

リリス「……え?」

リョウマ「ヒノカと顔を合わせるのは久しぶりだ。ヒノカのことだ元気にやっていることだろう」

ピエリ「リョウマ様、白夜王国に行くの? なら、アクア様との約束果たせる。リリス、やったの!」

リリス「どうして運命はアクアさんに味方するんでしょうか。まったく理解できません」

ピエリ「アクア様のお○んちんへの情熱ってすごいの。なんでも引き寄せちゃってるのよ」

リリス「そんな運命、燃える川に落として燃やしつくしてあげたいですね……」

ピエリ「なら、リョウマ様をここに落として燃やし尽せばいいの!」

リリス「しれっと怖いこと言いますよね、ピエリさんって」

ピエリ「?」

カミラ「それじゃ、白夜王国に向かうということでいいのかしら?」

リョウマ「ああ、手紙の内容がわからない以上、戻ってヒノカから直接聞く方がいい。もしも俺が必要な用事ならそれで事足りることだ」

カミラ「そう、それじゃデーモンフォールから出て白夜に向かう準備でもしましょう?」

リョウマ「ああ、まずは服が必要だな。さすがにこの格好で故郷に帰るわけにもいかない」

リリス「ヒノカ様に迷惑になりますから、是非そうしてください」

カミラ「一度ウィンダムに戻って準備をしましょう。リョウマ王子、ついでによかったらサクラ王女に会っていくのはどう?」

リョウマ「カミラ王女の提案は嬉しいが、今は止めておくことにする」

ピエリ「どうしてなの? リョウマ様、サクラ様のおにいさんなのに会ってあげないのはおかしいのよ」

リョウマ「出来れば会いたいが……今サクラと仲良くしているマークスを見てしまったら、俺は殺意の波動を抑えられる自信がない。たぶん、敵と認識して問答無用で切り掛ってしまうだろう」

ピエリ「そうなの。でも敵を見ると殺したくなる気持ち、ピエリすっごくわかるの!」

リョウマ「いつか、いつかサクラとマークスが並んで歩いているのを見ても大丈夫になる日が来るはずだ、だから今は――」ギリギリ

リリス「両国の確執は深まるばかりですね……」

リリス(はぁ、こちらはどうにか白夜に舵を切れましたけど、アクアさんはどうなんでしょうか?)

リリス(できれば失敗しているといいんですけど……多分、この流れだとそれは望めないんでしょうね……)

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・シラサギ城『王の間』―

ヒノカ「……ふぅ、これで地方への政策問題は大方片付いたな」

スズカゼ「お疲れ様ですヒノカ様、これをどうぞ」

ヒノカ「スズカゼか。お前の淹れてくれるお茶はとても安心できる」

スズカゼ「色々な漢方を入れています。少しでも気を落ち着かせられればと思いまして」

ヒノカ「ありがとう。はぁ、カムイを取り戻すため一心不乱に武芸を磨いていた日々が懐かしい。政と武芸を両立していたリョウマ兄様はやはりすごかったんだと改めて思い知らされる」

スズカゼ「ええ。でもそんなリョウマ様に、まさかあのような出来事が襲いかかるとは思いませんでしたね」

ヒノカ「ああ、あの白夜平原での戦い。マークス王に一気に切り掛った結果、攻撃できない状態に追い込まれ、挙句にはマークス王から手を差し伸べられる」

スズカゼ「見ている私達も最初何が起きたのか分からなかったですから、リョウマ様も相当混乱していたでしょう」

ヒノカ「敗北を受け入れた時に兄様は見てられないほどに痛々しかったな」

スズカゼ「腹を切ろうとしていましたからね」

ヒノカ「それすら手際よくマークス王に阻止されていたな」

スズカゼ「行動の全てを潰されたとき、人はあのような顔をするんですね」

ヒノカ「ああ……」

スズカゼ「その結果、王をやめてヒノカ様が王になることになったわけですね」

ヒノカ「はぁ、正直私などに務まるかはわからなかったが、できる限りのことをやるだけだ」

スズカゼ「ヒノカ様のことを多くの民は信頼しています。どうですか、雷神刀を腰に携えてみては……」

ヒノカ「いや、手に持ったところで何も付与されない私が身に付けて何の意味もない。それにリョウマ兄様を模倣するわけにもいかないからな」

スズカゼ「ヒノカ様」

ヒノカ「私は私として白夜を導く義務がある、リョウマ兄様のやってきたことをそのまま続けるというわけにいかないさ。それにあれはリョウマ兄様の腰にあるべきものだ。もっとも、もう要らないといわれてしまうかもしれない」

スズカゼ「たしかに、リョウマ様はすでに立派な物を腰に携えていますからね」

ヒノカ「しれっと下世話な話を入れるんじゃない」

スズカゼ「その指摘ができるとは、ヒノカ様も立派に成長されたんですね。スズカゼ、感服いたしました」

ヒノカ「私もスズカゼがこういうことを言う奴だとは思ってなかったよ。できれば知りたくなかったよ」

スズカゼ「そういえば、こちらを預かっています」

ヒノカ「む、これはサクラの手紙か?」

スズカゼ「はい、今回もとても長いようで手渡されたとき驚きました」

ヒノカ「ふふっ、マークス王と結ばれてからサクラは暗夜で過ごしているが、こうして文通を続けてくれて嬉しものだ。せっかくだ、スズカゼも読んでいくか?」

スズカゼ「私もいいのですか?」

ヒノカ「ああ。サクラには了承を得ている。だから大丈夫だ」

スズカゼ「そうですか、それでは失礼して」

ヒノカ「さてと、なになに『今日はマークスさんがいっぱい甘えてきました。国を導く立場ですから普段は寡黙ですけど、二人きりになるといっぱい甘えてくるんです』か、いきなりのろけ話か、しかし甘えられる相手がいるというのはいいものだな」

スズカゼ「ええ、心の支えとはやはり思想と言ったものでは無く、近くにいる大切な人なのでしょう」

スズカゼ(ヒノカ様にはそのような方はいないようですが)

ヒノカ(いなくて悪かったな)

スズカゼ「……」

ヒノカ「続きだ。『マークスさんは甘えているといつも「芽吹いた桜がみたい」って言ってきます』。芽吹いた桜か……、やはりサクラと同じ名前の花を見たくなるということかもしれない、暗夜に桜を送るというのも悪くないな」

スズカゼ「芽吹いた桜ですか……あ」

ヒノカ「えーっと『甘えている時のマークスさんは私の桜にべったりです。できればもっと優しく扱ってほしいんですけど、いつもとは違うマークスさんが見られるから許しちゃいます』、すでにサクラが桜を植えていたのか。なるほど、最後まで読んで考えるべきことが多い。今回は中々に理解するのが難しいものだったな。スズカゼのほうは意味がわかったか?」

スズカゼ「ヒノカ様はわかったのですか?」

ヒノカ「ああ。とても愛らしい文じゃないか。これほど幸せなことを色々な視点で教えてくれるものは無いだろう」

スズカゼ「そうですか……」

ヒノカ「ふふっ、二人きりの時だけ甘えてくれるマークス王とそれを支えるサクラ、二人で眺める桜。とても幸せな光景と思わないか?」

スズカゼ「……」

ヒノカ「何か言ってくれ……頼む」

 コンコンコンッ

ヒノカ「ん、誰だ?」

???『ヒノカ女王、僕だけど今は大丈夫かい?』

スズカゼ「もう、修練が終わる時間だったようですね」

ヒノカ「そのようだな。レオン王子入ってもらっても大丈夫だ」

レオン『そう、それじゃ失礼するね』

 ガチャンッ バタンッ

ヒノカ「ふっ、白夜に来た当初に比べれば落ち着いた顔立ちになったな」

レオン「ああ、これもヒノカ女王のおかげだよ。ありがとう」

ヒノカ「気にするな。しかし、貴殿もカムイのことを愛していたんだな。すまない、ここに来たばかりの時にそのことを告げたことを許してほしい」

レオン「謝らないでいいよ。むしろ謝るのは僕の方だ……その、王の間をめちゃめちゃにしてしまって」

ヒノカ「ああ、流石に木が一斉に生え始めた時はどうなるかわからなかったが、今処理は私の臣下たちがしている。特に大きな被害はなかったから気にしないでいい」

レオン「ごめん」

ヒノカ「ははっ。それでこれからどうするんだ?」

レオン「その、もう少しだけ修行をしようと思ってる。もう少しすれば落ち着いて受け入れられるはずだから、そのまだいてもいいかな?」

ヒノカ「わかった。その時が来るまでいてもらっても構わない。ゆっくりしていくといい」

レオン「その、僕がここにいるってことは……」

ヒノカ「ああ、大丈夫だ。そのことは伏せてある。だから何も気にせず修練に励んでくれ」

レオン「ありがとう……ヒノカ女王」

 コンコンコンッ

ヒノカ「む、また来客か?」

スズカゼ「本日は特に予定は無かったと思いますが……」

ヒノカ「じゃあ、誰だ。ここまで来れるものは限られているというのに……」

???『その限られている人間の一人ということよ』

ヒノカ「誰だ!!!」

???『はああっ!!!』

 ドゴォンッ!!! ガタンガタンッ ゴロゴロゴロ

ヒノカ「くっ、このようなこと一体何も――」

アクア「久しぶりね、ヒノカ」

ヒノカ「あ、アクア!?」

スズカゼ「勇ましい登場ですね。正直、歌姫の可憐さが微塵も感じられませんが」

ヒノカ「そんなことを言っている場合か! ともかくアクア、いきなり何をするんだ!?」

アクア「ごめんなさい。ちょっと、そこいる失恋ボーイに用があるの。勝手に暗夜から移動したレオンにね……」

ヒノカ「レオン王子に用事?」

レオン「アクア、君は一体何をしてるんだ。こんなことして暗夜王国と白夜王国の関係に亀裂が入ることになったりしたら――」

アクア「ごめんなさい、フィナーレよ」ドゴンッ
 
 ビタンッ!!!!

レオン「」シュウウウ……

ヒノカ「……な」

ヒノカ(何がどうなっているんだ……)

アクア「よし、被疑者確保と。ヒノカ邪魔したわね」ザッ

ヒノカ「ちょ、ちょっとまて。一体どういうことなんだ?」

アクア「ごめんなさい、ヒノカ。残念だけど何が起きているのかを教えることはできないの」

ヒノカ「そう言われて納得などできるはずがないだろう。もしかしてカムイに関係していることなのか?」

アクア「……」

ヒノカ「アクア」

アクア「ごめんなさい。でも、唯一言えることがあるとすれば……」

ヒノカ「な、なんだ」

アクア「この行動には(私の)未来が掛っているの……」タタタタッ

 ギィィ バタンッ

ヒノカ「……未来が掛っているだと、一体何のことだ?」

スズカゼ「ともかくその未来のためにはレオン王子が必要ということでしょう」

ヒノカ「そうか……。アクアたちはまた何か世界の危機を救おうとしているのかもしれないな」

スズカゼ「だといいんですが」

スズカゼ「しかしレオン王子も、いろいろと苦労されているのですね」

ヒノカ「未来のためなら仕方無いのかもしれん。こうして政に着手している私は幸せ者かもしれないな。それにそろそろカゲロウがリョウマ兄様に手紙を渡している頃、多分あと数日で戻って来てくれるはずだ」

スズカゼ「ちなみに何のご相談を?」

ヒノカ「あ、ああ。暗夜でちょっとあってな……直接リョウマ兄様に話を聞いてもらいたくてな……」

スズカゼ「なるほど、私もできる限りお手伝いいたしますが」

ヒノカ「ありがとう。でも今回のことは大丈夫だ」

ヒノカ(……レイプが友情と愛情を育むと言っているような人間とどうやって交友すればいいのかなんて聞けるわけがない。でも、リョウマ兄様なら何かしら助言をくれるはずだ。というか、なにか考えがないと――)

(怖くて暗夜にいけなくなってしまう……)

―タイムリミット残り5日―

今日はここまで

 レオンの古傷はまだ癒えない……

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『宿舎』―

 チュンチュン

ベルカ「……ん、んんっ。ここは……そうだ、カミラ様に連れられてデーモンフォールに…」

ベルカ(そのあと、そうだ白夜のリョウマ王子を見つけて一度もどってきた…)

 ガサゴソッ

ピエリ「うふふっ、ひやひやなのぉ」

リリス「ううっ、うぐぐっ……」

ピエリ「涼しいのぉ。むにゃむにゃ」ギュッギュッ

リリス「ううっ、あつ……い……」

ベルカ「ピエリたちと同じ部屋に泊まったんだった…」

ベルカ(カミラ様の屋敷でも…、自分の兵舎でもないからやることもない…)

ベルカ「……」

ベルカ(このまま、誰かが起きるまで待機して――)

 ブンッ ブンッ

ベルカ(この音…、剣を振る音みたいだけど…。誰かが外で剣を振っている?)

 ブンブンッ

ベルカ「……」

 ブンブンブンッ

ベルカ(一応確認しておくべきね…)

 ガチャッ バタンッ

ピエリ「んんっ、えへへ~」ギュウウウウ

リリス「ううううっ、ぐるじぃ……」

リョウマ「はぁっ! しゃあ! はああっ! ふぅ、こうしてちゃんとした剣で素振りをするのは久しぶりだが、まだ衰えていないようだな」

リョウマ(しかし、あまり用がなければ白夜に戻ることもないと思っていたが、よもやこんな形で戻ることになるとは、何が起きるかわからないものだ)

 ガチャ ギィィイイ

リョウマ「む?」

ベルカ「リョウマ王子…」

リョウマ「ベルカか、おはよう」

ベルカ「おはよう…」

リョウマ「ああ、おはよう。ベルカは思ったよりも朝が早いようだな」

ベルカ「何時もの時間に起きただけ…。そういうリョウマ王子も早いわ…」

リョウマ「まぁな。しかし、久しぶりにちゃんとした剣を握っているからかもしれないな。少しばかり剣の重さに引っ張られているようにも感じる」

ベルカ「そう…」

リョウマ「そういうベルカはなぜいつもこの時間に起きるんだ?」

ベルカ「私はいつも起きたら武器の手入れをしているから…」

リョウマ「それは暗殺者故の習慣というものか?」

ベルカ「そうなるわね…。武器の手入れができていれば相手を確実に殺せるわ…。たった一つの毒針でも目を通さないことで失敗する同業者もいる…」

リョウマ「仕事の内容はあまりいいものとは言えないが、お前は誇りを持ってことに従事しているということだろう。すごいことじゃないか」

ベルカ「普通のことよ…」

リョウマ「普通のことでもできないものにはできないことだ。俺は準備を怠ってマークスに負けたのだからな」

ベルカ「たしかにそう…。ちゃんとマークス様とサクラ様、二人がいることを想定してことを進める必要があった…」

リョウマ「ああ、俺は感情に左右されてそれを怠っていた。その結果がこの様なら自業自得というものだ」

ベルカ「暗殺者は一度の失敗で全てを失うことになる。そうならないために幾重にも考えるのは普通のことよ…」

リョウマ「ううむ、容赦なく言ってくれるな。正直、こうして直接話をするまでは、もっと口数が少ないと思っていたんだが」

ベルカ「……ごめんなさい」

リョウマ「あやまらなくてもいい。お前の言っていることにほとんど間違いはないのだからな。常にあらゆる可能性に目を通しておくことは必要なことだというのに、それを怠った俺にとって耳に痛い話だがその通りだからな」

ベルカ「……」

リョウマ「だが、一回の失敗で全てを失うということだけは間違っていると俺は思う」

ベルカ「それはリョウマ王子の生きている場所と私が生きている場所が違うから、そう感じるだけ…」

リョウマ「生きている場所が違う……か」

ベルカ「ええ」

リョウマ「なら、試してみるとしよう」

ベルカ「え?」

リョウマ「ベルカ、受け取れ」ポイッ

ベルカ「……これは、模擬剣?」

リョウマ「ああ、ベルカにも持てるくらいのものだ」

ベルカ「なんのつもり?」

リョウマ「実はまだ俺の日課は終わっていない。そこでベルカ、お前にも参加してもらうことにした」

ベルカ「何を言って…」

リョウマ「とりあえず、俺の横に立て。早くしろ」

ベルカ「これでいい?」

リョウマ「ああ、いいか腋を閉めて剣を上にあげ振り下ろす。ただ振り下ろすだけではだめだ、ちゃんと自分の中に標的を作りそれを倒すように行え」

ベルカ「自分の中に標的を作る?」

リョウマ「ああ、そこをずっと叩き続けるんだ。まずは千本行う。ちゃんと数えて行うんだ」

ベルカ「せ、千本!?」

リョウマ「行くぞ、一、二、三、四――」ブン ブン ブン ブンッ

ベルカ「! 一、二、三―――」ブン ブン ブンッ

~~~~~~~~~~~~~~

ベルカ「はぁ…はぁ……」

リョウマ「よし、ここまでだな」

ベルカ「まだ、私は終わってない…」

リョウマ「終わっていないがその腕ではもう動かせないだろう? 剣も震えているし途中から狙いもばらつき始めていた。今のベルカの限界はそのあたりということになるだろう、もう剣を下ろせこれ以上は意味がないことだ」

ベルカ「……」ガシャンッ

 ドサッ

ベルカ「はぁ……はぁ……」

リョウマ「ははっ、汗だくじゃないか」

ベルカ「そういうリョウマ王子も汗だくね…」

リョウマ「ああ、どんなに訓練してもこれは変わらないことだ。それに俺も久しぶりにやって後半は九百台までといったところだ。だが次は頑張って達成して見せる。一度の失敗で投げ出すというのはその可能性を潰すことだ」

ベルカ「え?」

リョウマ「ベルカ、お前が生きてきた世界は確かに俺の生きてきた世界とは比べることのできない厳しいものだったのかもしれない。だが、いつまでもそこに縛られている必要はない。カミラ王女の臣下として今ここにいるお前も失敗のまま終わらせないという選択をしてもいいと俺思う」

ベルカ「……まさか、それを言うためにわざわざ素振りに?」

リョウマ「まあな。言葉だけでは伝わらないこともあるなら、体を動かすことで得られる物にした方がいい。まぁ、俺自身もこの記録に挑戦するのは初めてのことだったからな。見事に叩きのめされてしまった。だが失敗が成功になるその日まで立ち向かい続けるだけのことだ」

ベルカ「ふふ…」

リョウマ「……ようやく笑ってくれたな」

ベルカ「あ……」

リョウマ「ふっ、ベルカも笑うとそのような表情になるんだな。年相応の女性の穏やかな表情だ」

ベルカ「これは違う…。笑ってなんてない…」

リョウマ「照れることはないと思うが」

ベルカ「笑ってない…」

リョウマ「ふっ、今度は不貞腐れているのか?」

ベルカ「機嫌が悪いわけじゃない…。ただ、朝からおかしなのに付き合わされたって思っていただけ…」

リョウマ「む、確かにそうだな。だが朝から体を動かすのも悪くはないだろう?」

ベルカ「…それには同意するわ」

リョウマ「ベルカさえよければ今後も付き合ってくれると助かる。一人でやるのもいいが、こういったことは隣で張り合うものがいてくれる方がやる気も出るからな」

ベルカ「考えておくわ…」

リョウマ「ああ、そうしておいてくれ。そろそろ、みんなが起きた頃のはずだ。戻るとしよう」

ベルカ「ええ…」

 スッ

リョウマ「掴まれ」

ベルカ「……ありがとう」

リョウマ「気にするな。よし、早いところ支度をして白夜を目指さなければいけないな」

ベルカ「……」ニギニギ

リョウマ「む、どうした? 手をそんなに閉じたり開いたり」

ベルカ「なんでもない…。行きましょう…」

ベルカ(リョウマ王子の手、思ったよりも大きかった…)

ベルカ(私の手は一回り小さい、あれくらい鍛えないと千本は辛そうだけど、別に参加するなんていってない…。参加したところで結局、失敗したままで死ぬことはないこと…)

ベルカ(でも――)

ベルカ「失敗のままだと、私は負けたままということ?」

リョウマ「ああ、今のままだとそうなる。それを悔しいと感じるなら乗り越える努力を惜しまず戦い続けて成功を勝ち取るしかない」

ベルカ「そう…」

リョウマ「まぁ、俺は負けるつもりはないさ。もしも、これを越えたいと考えているなら何でも聞いてくれればいい、力になろう」

ベルカ「……ええ、気が向いたらそうさせてもらうわ…」

 ガチャン バタンッ

~~~~~~~~~~~~~~

ベルカ「戻ったわ…」

ピエリ「あ、ベルカなの。起きたらいなくてびっくりしたのよ。どこに行ってたの?」

ベルカ「ちょっとね…」

ピエリ「なんだか汗臭いの。シャワーが出来てるから入ってくるといいの」

ベルカ「ありがとう…。ところで、ピエリ…」

ピエリ「なんなの?」

ベルカ「リリスが起き上がってこないけど、どうしたの?」

ピエリ「良くわからないの。たぶんお寝坊さんなのよ」

ベルカ(……人為的に締め付けられたような跡があるけど…。別に気にすることではないわね)

ピエリ「リリス、起きるのよ」ユサユサ

リリス「ううっ、やめて、ピエリさん。体痛いから、揺らさないでぇええ……」

今日はここまで
 
 今日はリョウマの誕生日

◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・王都ウィンダム『中央街道』―

カミラ「お土産?」

リョウマ「ああ、久しぶりに帰郷することもあるからな。何か手土産をと思ってな……」

カミラ「そう、それで買い出しにいくことにしたということね。ふふっ、顔に似合わず妹思いなのね」

リョウマ「顔に似合わずとは失礼だな」

カミラ「ふふっ、ごめんなさい。でも、なんでその相手に私を選んだの? 今、王ではないとしても臣下のカゲロウもいるんだから」

リョウマ「カゲロウはピエリとどこかへ行ってしまったようでな。それにカゲロウも贈り物となると勝手がわからないらしい」

カミラ「そうなの?」

リョウマ「ああ、前に旅先の風景を描いたと絵を貰ったが、鬼が人を喰らっているような絵だった」

カミラ「彼女は地獄にでも行ってきたのかしらね?」

リョウマ「それにカミラ王女とヒノカは交流があるだろう? そこでカミラ王女ならヒノカの好む物がわかるのではないかと思ってな」

カミラ「ふふっ、私のことをそんなに評価してくれてるのね」

リョウマ「ヒノカと打ち解けてくれたことや、進んで俺に話をしに来てくれたことも含めても色々と気を利かせてくれているからな。残念だが、俺から話しかけに行くということはあまりなかった」

カミラ「仕方無いわ。あの時は合流して間もない頃だったもの。でも、私はカムイにそう言われたからそうしただけよ。自分から進んでそうしたわけじゃないわ」

リョウマ「だとしても、あの時暗夜との関係を模索していた俺にとって、カミラ王女との会話はいい起点になった」

カミラ「なにも話題が出なかったけどね?」

リョウマ「それは言わない方がいいことだ」

カミラ「でも改めて言わせてもらうけど、初めての女性にする話題が刀は問題よ」

リョウマ「そ、そうだろうか?」

カミラ「ええ、この様子だとヒノカ王女へのお土産に武器を買っていきそうね」

リョウマ「武器ではだめなのか?」

カミラ「……言葉が見つからないわ」

リョウマ「やはり武器は駄目か?」

カミラ「苦笑いを浮かべて受け取ってるヒノカ王女の姿が簡単に浮かべられるわね。妹だとしても女の子なんだから、少しは考えてちょうだい」

リョウマ「女の子か。そう言えば、前に香水を付けていた時があったな」

カミラ「あら、そうなの?」

リョウマ「ああ、飾り立てるのは難しいがこれくらいならと練り香水を付けてくれたことがあってな。俺がめかしこんだヒノカの姿を見てみたいと言ったからなのだろうが、いつもとは違う姿が新鮮だった」

カミラ「なのに武器をお土産に持っていこうとしてるなんて……。本当に戦闘以外はからっきしなのね」

リョウマ「面目ない……」

カミラ「ふふっ、なら一緒に選んであげる。リョウマ王子はカムイの素敵なところを教えてくれたから、そのお返しをしてあげたかったの」

リョウマ「なら、俺もお返しをしないといけないな……ううむ、何がいいんだろうか」

カミラ「ふふっ、今はヒノカ王女へのお土産を見つけましょう? 早く選んで白夜王国に行かなくちゃね?」

リョウマ「そうだな」

カミラ「それじゃこのお店なんてどうかしら? 女性向けの商品が多いし、お土産ようの包装もしてくれるの」

リョウマ「そうか、ではここで選ぶとしよう。カミラ王女、助言を頼む」

カミラ「ええ、でもリョウマ王子が自分で決めるのよ」

リョウマ「わかっているさ。それじゃ入ろう」

~~~~~~~~~~~~~~^

ピエリ「うーん、やっぱり白夜に着くまで時々料理しないといけないから、いろいろと買わないといけないの」

カゲロウ「買いものというから何かと思ったが、ピエリは料理を嗜むのか?」

ピエリ「ピエリ、料理の腕は一流なの。みんなからいっぱい褒めてもらえてるのよ。カゲロウもきっと食べてる筈なの」

カゲロウ「そうか、お前とは戦いの最中ではあまり顔を合わせてはいなかった。すまない、本来なら知っているべきことだというのに」

ピエリ「大丈夫なの、ピエリもカゲロウのことよく知らないの。これから仲良くしてほしいのよ」

カゲロウ「別に構わない。だが、こんなに多くの食材、どこに置いておくつもりなんだ?」

ピエリ「それはリリスの星界なの。マイキャッスルのことなの」

カゲロウ「ほう、あの不思議な空間をリリスは使えるというのか」

ピエリ「そうなの。リリスはすごいの竜にも変身できて、抱きしめるとひんやり気持ちいいのよ。ポンポンもスベスベなの!」

カゲロウ「……カムイ様もそうだが、竜になった時は実際全裸と考えてもいいのだろうか?」

ピエリ「裸なの? 外で裸になってるなら、カムイ様もリリスもとっても可笑しいの。でも、たぶん竜の時は裸なのよ」

カゲロウ「どうしてそう言えるんだ?」

ピエリ「リリスのお○んちんが見えてたから裸なの」

カゲロウ「……え?」

カゲロウ「ピエリ、リリスに……なんだって?」

ピエリ「えっとね、リリスはお○んちんが生えてるのよ。これくらいのなの」

カゲロウ「……結構な大きさ。いや、ちがう、リリスは男なのか?」

ピエリ「違うのよ。変な話だけど、竜の時だけだって言ってたの。前とっても辛そうだったから毒を出してあげたのよ」

カゲロウ「毒?」

ピエリ「そうなの、お○んちんから白い変なのが出てきたの。あれは毒に決まってるの。だってお○んちんからはおしっこしか出ないはずなのよ。だからピエリ頑張って毒抜きしたの!」

カゲロウ「……ピエリ、その一つ聞いてもいいだろうか」

ピエリ「はーい、答えられることにしてほしいの」

カゲロウ「あ、ああ。そのだ、このニンジンを、その男性器だと思ってだな」

ピエリ「だんせいきってなんなの? ピエリわからないの」

カゲロウ「……男性器とはお、お○んちんのことだ///」

ピエリ「そうだったの? ピエリ難しい言葉わからないから、お○んちんって言ってほしいのよ」

カゲロウ「わ、わかった。お、お○んちん……」

ピエリ「うん、それでお○んちんがどうしたの?」

カゲロウ「そ、そのだな。ピエリはお○んちんをどう弄ったのか聞かせてほしいんだ」

ピエリ「もしかしてカゲロウも誰かから毒を出してあげようとしてるの?」

カゲロウ「そ、そういうことになる。どうやら私はお、お○んちんの扱いがあまりうまくないらしくてな。このままでは毒を抜いてやることが出来ないんだ」

ピエリ「それは大変なの。ピエリが今からこのにんじんで実演するのよ」

カゲロウ「いいのか?」

ピエリ「いいの。ピエリもリリスから毒を出すので必死だったから、カゲロウの気持ちわかるのよ。いっぱい出して楽にしてあげないといけないの。ピエリ、初めてだったけどいっぱいビュービュー出せたから、カゲロウも問題なくできるはずなの」

カゲロウ「すまない」

ピエリ「気にしないの。まずは先端を隠してる皮を剥いて、それから――」

ベルカ「あなたたち、市場のど真ん中で変な話を始めないで…」

カゲロウ「ベルカ」

ベルカ「それ以上続けたら確実に憲兵が寄ってくるわ…」

ピエリ「今、カゲロウに大事なことを教えてるの。邪魔しないでほしいのよ」

ベルカ「そういうことは部屋でやって、こんな場所ですることじゃない…」

ピエリ「……そうなの」

ベルカ「わかってくれればいい…」

ピエリ「カゲロウ、今すぐお買い物を終わらせて宿に戻るの。ピエリがリリスのを調べて、毒が溜まってたら目の前でやってみるの」

カゲロウ「実演ということか、確かに実際にやってもらえた方が得られる物は多いだろう」

ベルカ「二人とも何を言っているの…」

今日はここまで
 
 ピエリは無邪気でうまい、カゲロウは積極的だがあまりうまくない…そんな感じ

ピエリ「ふふふーん、いっぱい材料買ったの!」

カゲロウ「そうだな。しかし、量が多くないか?」

ピエリ「そんなことないの。それにリョウマ様がいるの、これくらいぺろりって食べられちゃうはずなのよ」

カゲロウ「なるほど、それならリョウマ様も喜んでくれるだろう」

ピエリ「そうなの。でもでも、リリスもいっぱいピエリのご飯食べてくれるのよ。この前、おいしいって言ってくれたの」

カゲロウ「……ふと思ったのだが、ピエリとリリスはどんな間柄なのだ?」

ピエリ「間柄?」

カゲロウ「ああ、もしかして互いに支え合うような関係なのかと思ってな、ちがうのか?」

ピエリ「ピエリとリリスはお友達なのよ。それだけで、難しい関係じゃないのよ」

カゲロウ「そうか…」

カゲロウ(あっさりと性行為を受け入れる友人関係か、私には理解できないが。やはり文化が違えばということもある。暗夜ではそういう繋がりが多いということかもしれない。つまり、交友の一環ということか…)

カゲロウ「ピエリとリリスは仲が良いということだな」

ピエリ「もちろんカゲロウもベルカも友達なの! ピエリ、友達がたくさんできてうれしいのよ、このままの勢いで友達百人作っちゃうの」

カゲロウ「百人か具体的にピエリにとっての友達とはどういう基準になる?」

ピエリ「人殺しをしてそうな人のことなの!」

ベルカ「思った以上に否定出来ない基準ね…」

カゲロウ「役割上避けては通れないことだからな」

ピエリ「えへへ、カゲロウもベルカも血の臭いがすっごくするの」スンスン

ベルカ「ピエリ、何嗅いで…」

カゲロウ「ピエリ?」

ピエリ「ここなの、ベルカは右の手からいっぱい血の臭いがして、カゲロウは胸元からいっぱい血の臭いがするの…。その場所にいっぱい血が掛ってる筈なのよ」

ベルカ「私は右手から…」

ピエリ「そうなの。いっぱい血が染み込んでるの、ピエリはごまかせないのよ」

ベルカ「……」

ベルカ(……暗殺道具を使って攻撃する時は右手で行っているからそれが原因ね)

カゲロウ「私は胸元か」

ベルカ「どうして胸元に、血が大量に掛るの?」

ピエリ「……真正面からえいってすればいっぱいかかるはずなの。でもそ血の臭い、なんだか不思議な匂いなの」

カゲロウ(多分、頼まれてお胸でパフパフというのを実践した時のものだな。大量に鼻血を出していたから血であることに変わりはないし、なによりその鼻血の香りが残っていると思うと、まるで何時も傍で見守られているようで安心できる…)

カゲロウ「この感覚悪くはないな」

ピエリ「なにがなの?」

ベルカ「気にしないでいいと思う…」

ピエリ「でも、戦争の最中はあんまりみんなとお話できなかったから、こうやってお話してお買い物するの楽しいの」

ベルカ「楽しい?」

ピエリ「うん、ピエリ。みんなとお買い物に行ったことあまりなかったの。だからカゲロウにベルカと一緒にお買いものに行けてとってもうれしいの」

カゲロウ「行軍の合間に交流する時間はなかったのか?」

ピエリ「時間はあったの、でも誰もピエリに話しかけてなんてくれなかったの。だから早く戦いが始まってほしいってずっと思ってたの」

ベルカ「敵を殺せるから?」

ピエリ「そうなの。敵をいっぱい倒すとみんな褒めてくれるの。マークス様もいっぱい活躍したら頭を撫で撫でしてくれるのよ」

ベルカ「……」

ピエリ「この頃、撫で撫でしてもらってないの。早く誰か殺して撫で撫でされたいのよ……」

カゲロウ「撫で撫でするか?」

ピエリ「ピエリ何もしてないから撫で撫でされてもよくわからないの」

カゲロウ「そうか……」

ベルカ「宿に戻ろう…。リョウマ様とカミラ様が戻ってきたらすぐに発てるように準備しないといけないから…」

ピエリ「うん」

カゲロウ「ああ、戻って――」

ピエリ「リリスに毒抜きさせてってお願いするの」

ベルカ「そんな時間はない」

 今日はこれだけ

~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス「んん……どうにか体を動かせるくらいにはなりましたね」

リリス(はぁ、体が動かないとはいえ、旅路に必要な準備をすべて任せてしまうなんて。これは何か別の形でお返ししないといけませんよね……)

 コンコン ガチャ

ピエリ「リリス、ただいまなの!」

カゲロウ「今戻った」

ベルカ「体の調子はどう?」

リリス「みなさん、お帰りなさい。体のほうはどうにか動かせるようになりましたから大丈――って、なんですかその両手いっぱいの袋……」

ベルカ「ピエリが買った食料よ…。こんなに必要ないとは思うのだけど…」

リリス「多いですよね、どうしてこんなに買ったんですか?」

カゲロウ「ああ、リョウマ様もご一緒される以上、食物は多くあったほうがいいとピエリが進言してくれたのでな」

リリス「そういうことですか、確かにリョウマ様はたくさん食べないといけないかもしれませんね。はぁ、何もできずにここで寝ていただけの私とは大違いです」

ピエリ「ピエリいいことしたの?」

リリス「はい、そうですよ」

ピエリ「えへへー」

リリス・カゲロウ(可愛い)

ピエリ「そうだったの。ピエリリリスにお願いしたいことがあるの」

リリス「私にですか?」

ピエリ「そうなの、実はカゲロウに協力してほしいの。これはリリスにしか頼めないことなのよ…三tん」

リリス「……え、カゲロウさんにですか?」

カゲロウ「ああ、ピエリから色々と話を聞いた結果、その出来たら頼みたいことがある。こう出会ったばかりだというのに図々しい行いだとは思っているんだが…」

リリス「そ、そんなことありませんよ。私にできることでしたらお手伝いします、そのお役にたてるのは嬉しいことですから」

カゲロウ「リリス、ありがとう」

リリス「いえいえ、それで私は何をすればいいんですか? できることだといいんですけど」

ピエリ「簡単なの、リリスは今すぐ竜になればいいのよ」

リリス「……え?」

ピエリ「カゲロウの目の前でお○んちんの毒抜きをみせてあげることになってるの。だから早く竜になるの!」

リリス「返して、私の感動を返して、今すぐ返して!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―暗夜王国・無限渓谷『暗夜側入口』―

カゲロウ「リリス、すまなかった」

リリス「まったく、カゲロウさんはそれほど変な人じゃないって思ってたのに、私がそのされてるのを見たいなんて……」

カゲロウ「すまない。そういった技術は持っておくべきなのだが」

リリス「え、やっぱり、そうなんですか?」

カゲロウ「ああ、戦闘だけがすべてでは無い。そう言った行為が結果的に情報収集に繋がることもあるのだ。影として生きるということはそういうことも含めてのことだ」

リリス「なんか生々しい話ですね。でも、だったらそのピエリさんの誘いに乗る必要なんて無いと思うんですけど、その恰好とかもそういう要素なんですよね?」

カゲロウ「実はそれが原因で前に付き合っていた者とも折り合いが悪くなってしまってな。私の未熟さゆえのことで申し開きもないことだが」

リリス(前、ああ元彼ですよね。たしかサイゾウさんでしたか……。まぁ、口にしたらしたでなんで知っているのかって問い詰められそうなので言いませんけど。しかし、サイゾウさん、こんな大きい人で満足できない人なんですね……)

カゲロウ「昔から新しいことをするときは無駄に力が入ってしまう。体術も今では褒められたものだが、最初のころは本当に無様で言葉にできないものだった」

リリス「初めてのことに対して、緊張して力んでしまうのは仕方の無いことだと思いますけど」

カゲロウ「そして初奉仕の訓練の際、木製の練習具をへし折ってしまったことがあってな。師匠は顔を青くしていた」

リリス「へ、へし折る!?」

カゲロウ「ああ、力加減がわからないんだ。技のカゲロウなどと呼ばれているが実際のところは力技ばかり、情けない話だ」

リリス「そ、そうですか」ソワソワ

カゲロウ「リリス、なぜ急所を抑えている? 近いのか?」

リリス「い、いえ、そのさっきの話を想像して、今は無いのにひゅんってなってしまって……」

ピエリ「やっぱり毒が溜まってるのよ。今すぐ抜き抜きするの!」

リリス「ちがいます。もう、そんなことばっかり言ってるピエリさんなんて知りません!」

ピエリ「ふえ、ふええええん! カゲロウ、リリスがピエリを知らんぷりするのぉ」

カゲロウ「ピエリ、今回ばかりは私たちに非がある。リリスの心境も理解してやるべきだろう」

ピエリ「うう、カゲロウの役に立てなかったの。何もできないピエリのこと嫌いになっちゃうの?」

カゲロウ「いいや、嫌いになどならない。むしろ、私のために色々考えてくれたピエリには感謝している」

ピエリ「カゲロウ。そう言ってもらえてピエリ、うれしいの!」

 ワイワイ ワイワイ

リリス(そこはかとなく、私が悪いみたいな空気になってて納得できない……)

リリス「はぁ……」

リョウマ「大丈夫かリリス?」

リリス「はい、体力的に問題はありません。精神的にはありますけど」

リョウマ「精神か、マークス王子と会うことを避けている俺が言えた義理では無いが、やはり立ち向かうしかないのだろうな」

リリス「あの問題に立ち向かうくらいなら、今すぐここから飛び降りたくなりますね」

リョウマ「それほど深刻なことなのか? カゲロウが関わっているなら俺も力になるが」

リリス「いいえ、その男性には少し荷が重いことですから……」

リョウマ「そうか、あまり俺では力になれそうにないな。だが、それ以外のことで困ったことがあればいつでも頼ってくれて構わない」

リリス「ふふっ、ありがとうございます」

リョウマ「そう言えばリリス、お前の家族について聞いたことはなかったな」

リリス「……その、お父様とお母様はすでにいません」

リョウマ「そうか、悪いことを聞いてしまったな」

リリス「もう昔のことですから、それにまだお姉様がいるから大丈夫なんです」

リョウマ「……ほう、リリスには姉がいるのか」

リリス「はい、でもあまりお話ができるわけじゃありませんので」

リョウマ「遠方に住んでいるということか?」

リリス「まぁ、そんな感じです」

リョウマ「そうか、寂しくなったりしないのか?」

リリス「今でも元気な姿をよく見せてくれるので、そんなに寂しくはありませんよ」

リリス(変わりに姿を見るたびに頭がジンジンしますけど)

リョウマ「そうか、だが悩みを話せる相手がいないというのは問題だろう。困ったことがあれば俺に話してくれ」

リリス「え、いいんですか?」

リョウマ「ふっ、さっき言っただろう。些細なことで構わない、頼りにされるのは悪いものでは無いからな」

リリス「ありがとうございます。最初全裸で現れた時はどうかと思いましたけど、やっぱりリョウマ様はリョウマ様でしたね」

リョウマ「ふっ、男たるもの動じないよう心身を鍛えなければいけないからな」

リリス(マークス様のことは全力で回避してますけどね)

リリス「でも、そんなことを言われると、まるでお兄様ができたみたいで不思議な気持ちになります」

リョウマ「……え」

リリス「なにか困ったことがあったら相談させてください、リョウマお兄様、なーんて冗談ですよ」

リョウマ「あ、ああ。任せてくれ。そんな俺から最初の助言だ、ピエリのことをそろそろ許してやるといい」

リリス「ふふっ、そうですね。さすがにこれ以上引き延ばすことでもありませんから。ありがとうございます」タタタタッ

リョウマ「……」

リョウマ「まるで兄のようか……」

リリス(リョウマお兄様、なーんて冗談ですよ)

 グッ

リョウマ(やはり、架空の妹は最高だな……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カミラ「ようやく、渓谷ね」

リリス「はい、ここから白夜に向かうんですよね。出来ればリョウマ様が見つからないで、すべてご破算になればよかったんですけど、うまくいきませんね……」

カミラ「それってどういう――」

 トントン

カミラ「ベルカ、どうしたの?」

ベルカ「カミラ様、あそこに誰かいる…」

カミラ「あら、本当ね。また山賊かしら?」

リリス「まだここって山賊いるんですか? てっきり、もう狩りつくされたと思ったんですけど」

カミラ「そうね、御金を出さないと山賊も出てこない状態にしたものね」

リリス(……今考えるとお金を払って現れる山賊って何なんでしょうね)

リリス「どちらにせよ、こんなところにいるっていうことは何かあるはずです。とりあえず話しかけましょう」

ベルカ「……こちらに気づいたみたいね」

カミラ「向かってきてるけど、あれはどこかで見た姿ね」

リリス「……私体が痛くなってきたので、向こうで休んでてもいいですか?」

アクア「その必要はないわ」

リリス「なんで、一気に加速して私に詰め寄ってくるんですか!?」

アクア「あなたを待っていたからよ。白夜に来るにはここを通らないといけないから来ると思ってた。でもできればあと半日早くしてほしかったわね」

リリス「できれば、もう会いたくなかったんですけど」

アクア「そんなことを言いながらちゃんとリョウマを連れて来てくれてる、どうやら私に奉仕する喜びを知ったみたいね」

リリス「そんなの知らないしいらないです」

アクア「ふふっ、上の口は嘘付きね」

リリス「それよりも、どうしてこんなところで待ってたんですか? 特に用がある場所には思えませんけど」

アクア「まぁ、そのことも含めてちょっとここで待っててちょうだい。今からレオンとニュクスを連れてくるから」

リリス「え、ニュクスさんとレオンさんを二人きりにしてるんですか!?」

リリス(え、それって大丈夫なんでしょうか。すでにレオンさん、ニュクスさんに食べられてるんじゃ……)

アクア「そんなに気になるなら、リリスも付いてくる? 面白いものが見れるから」

リリス「お、面白いものですか?」

アクア「ええ、いろいろと面白いものよ……」

今日はここまで

 リョウマは兄のように慕われてから結婚の流れが多い、つまり……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「……はぁ」

レオン(なんでこんなことになったんだろう。僕は白夜で精神修行に励んで、カムイ姉さんのことをきっぱり諦めようって思っていただけなのに……)

レオン「よりにもよって、なんでアクアがやってくるんだ……」

レオン(できれば、落ち着くまで一番会いたくなかった。アクアがカムイ姉さんから愛されてるって事実が憎くてたまらない……)

(もしも、姉さんを奪えたら……)

レオン「……!」

レオン(だめだだめだ。アクアはカムイ姉さんに選ばれたんだから、こんなこと思っちゃいけないはずなのに……)

レオン「くそっ、頭を冷やさないとだめだ」

ニュクス「そうね。そうじゃないと、すごい顔でカムイに会うことになるからね?」

レオン「ニュクス……」

ニュクス「レオン王子、コーヒーでも飲む? 少しは落ち着くと思うのだけど…」

レオン「……ああ、淹れてくれるかな?」

ニュクス「ええ、すぐに準備するわね」

レオン「……」

ニュクス(……)

ニュクス「できたわ。熱いから気を付けて」

レオン「ありがとう、ニュクス」ズズッ

ニュクス「……」

レオン「うん、ニュクスの淹れてくれるコーヒーはおいしいよ」

ニュクス「そう?」

レオン「ああ。ニュクスと生涯を共にする人は幸せ者だって思えるくらいかな」

ニュクス「大人の女性をからかうものじゃないわ////」

レオン「ははっごめんごめん。でも、最初に見たニュクスはただ背伸びをしたがるだけの子供だったけど、今思えば間違ってなかったのかもしれないね」

ニュクス「酷いわね。これで立派な大人なのよ?」

レオン「そういう風に大人っていうところとか、特に子供っぽい感じがするよ」

ニュクス「はぁ、話をするときは成長した私を想像してくれるんじゃなかったかしら?」

レオン「そうだったね、ごめんよ」

ニュクス「ふふっ、冗談よ。そんなことで、あなたを疲れさせるわけにはいかないから。今はゆっくりして」

レオン「ありがとう。ニュクスも立ってないでこっちに座ったらどうかな?」

ニュクス「そ、そう…。それじゃ失礼するわね…」チョコンッ

 ズズッ
  ズズッ

レオン「……ふぅ」

ニュクス「……」チラッ

レオン「ん? 僕の顔に何か付いてる?」

ニュクス「な、なんでもないの、気にしないで/////」バッ

レオン「そうかい?」

ニュクス(あーーー、隣にいるだけで口元がにやけるし、見つめられたら体中がポカポカする。こんなの想定してなかった……)ドキドキドキ

ニュクス(こ、これが本当の恋というものなのね////)



リリス「」

アクア「見なさい、あの初な子供の姿を」

リリス「……すみません、あれは誰ですか?」

アクア「ニュクスよ、レオンを性的な意味で食べたいと豪語していた」

リリス「なんであんな事になってるんですか? これただの恋する乙女ですよ? あんなにレオン様と色々したいって言ってたのに、毒素が抜けてます」

アクア「……知ってしまったのよ。本当の恋というものをね。恋は欲望を美しくするのよ」

リリス「アクアさん、恋を語れるほどの経験ありましたっけ?」

アクア「肉体経験ならそれなりにあるわね」

リリス「それは恋じゃないです。それと案の定というかアクアさん、レオン様に相当恨まれてますね」

アクア「……みたいね。おかしいわ、あまり痛まないように気絶させて連れてきたのだけど」

リリス「……。とりあえず、ちゃんと和解してくださいね。何か起きてからじゃ遅いんですから、たとえば――」

アクア「カムイを寝取られるとか?」

リリス「私が特殊性癖みたいに思われるので即答やめてくれません!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「ごめんなさい、今戻ったわ」

レオン「アクア……、もう用事は済んだのかい?」

アクア「ええ、丁度ばったり出会えたからね」

ニュクス「ばったり出会えた?」

リリス「ニュクスさん、お久しぶりですね」

ニュクス「リリス? どうしてここに」

リリス「はい。その、運悪くリョウマ様を見つけてしまって、これまた運悪くアクアさんに見つかった次第で」

ニュクス「そうだったのね」

アクア「私達はレオンをすぐに見つけられたというのにね?」

レオン「いきなり殴り込んで来て、無理やりここまで連れてこられたんだけど?」

アクア「細かいことを気にしても意味がないわ。レオンがここにいる事実は変わらないことだもの。過程じゃないの結果がすべてよ」

レオン「すごく腹立つなぁ」

リリス「レオン様、いちいち腹を立ててたら身も心も持ちませんよ」

レオン「わかってる……。それにしてもリリス、君がどうして外の世界に? 星界にいるんじゃ…」

リリス「アクアさん絡みでちょっとありまして……」

レオン「そう、リリスも苦労してるんだね」

リリス「レオン様ほどじゃありませんよ。多分……」

リリス「ところでニュクスさん、ちょっとこちらへ」

ニュクス「なに?」

リリス「あの、レオン様と二人きりなのになんで手を出さなかったんですか?」

ニュクス「な、何を言っているのかしら? 私がレオン王子と二人きりになったチャンスを見逃す女だと思って――」

リリス「あ、さっきのを一部始終見てましたから、そういう取り繕いはいらないです」

ニュクス「そ、そう……。あなたには色々と知られているから、話すべきことね」

リリス「いろいろはいいです。要点だけで――」

ニュクス「そ、そのね。一度薬は使ったの、ちゃんと眠る奴」

リリス「話を聞いてない。っていうか、本当に使ったんですか……。アクアさんにばれなかったんですか?」

アクア「それが、その時は私も盛られていたのよ。レオンを確保できたことによる安心故にね。目覚めた時、流石に焦ったわ」

ニュクス「……アクアも眠っていることを確認した私は、眠っているレオン王子の服に手を掛けて脱がしていったわ。そして、隠されていた逞しいブリュンヒルデを目の前に見た。とても神々しかったわ////」

リリス「でも、レオン様はまだ童貞なんですよね」

アクア「ええ、童貞よ」

リリス「なんでですか?」

ニュクス「……」

ニュクス「その……私の体ってあれでしょう?」

リリス「あれって、なんですか?」

アクア「マニアックということよ」

ニュクス「小柄って言ってほしいわ。それで、少しだけ指を使って、その太さであそこに手を添えたの。そしたら、とても入らないって思って……」

リリス「……」

ニュクス「私はレオン王子のそれを服に収めた……以上よ」

リリス「え!? そこまでしてあきらめたんですか!?」

ニュクス「だってこんなのよ、こんなのが入るなんて死んじゃうかもしれないじゃない!?」

リリス「ジェスチャーを交えて伝えないで、レオン様のそんな情報欲しくありませんから」

リリス(パッと見、竜の時の私の方が大きいかな……って何を考えているんですか私は……)

リリス「でも、流石にそれくらい想定していたんじゃないんですか?」

ニュクス「私の中のショタレオン王子のあれは、これくらいのキュートサイズだったのよ」

アクア「これくらい、大きさ的に八歳児くらいかしらね?」

リリス「ニュクスさんも相当やばい人種ですよね。そんなサイズを求めるなんて、捕まっても文句言えませんよ」

ニュクス「だ、だって、あんなのが入ったらきっと私壊れちゃう…」

リリス「だけど、どうしてあんな風にお話するだけになったんですか?」

ニュクス「その、近くにいて話しているだけで今は良いって思えたの。確かに前までは肉体的に結ばれたい、そう思っていたけど、今はこうやって過ごせるだけでも尊い、そう思えるようになった。レオン王子と話して心が温かくなるのを感じてるだけで幸せなのよ」

リリス「ニュクスさん……そんな清らかなことを考えられるようになったんですね…」

アクア「ふふっ、恋というのは素晴らしいものね」

リリス「はい、今回ばかりはそう思います」

アクア「ところでニュクス……」

ニュクス「なに、アクア?」

 スッ

アクア「下着、凄い染みだけど、着替えたら?」

ニュクス「レオン王子と話をした所為ね。ちょっと着替えるわね」

リリス「えー、結局こんなオチですか!?」

今日はここまで

 アクアが恋を語れる日は来るのか……

ニュクス「ふぅ、着替えたわ。ごめんなさい、待たせてしまったみたいね」

リリス「いや、着替えてもらって助かりましたよ。あんな格好で歩かれても困りますから」

ニュクス「そうね、レオン王子にはしたない女だと思われたくないから、余裕のある大人の女性として見てもらいたいもの」

リリス「余裕があるようには見えなかったんですけど…」

ニュクス「これから見えるようになるわ。もう、普通に振る舞っているでしょ?」

アクア「そうそう、レオンだけど……」

ニュクス「れ、レオン王子!?」キョロキョロ

アクア「だけど、もうカミラと合流しているけど……。ニュクス、何を慌てているのかしら?」

ニュクス「……こほん、なんでも無いわ」

リリス「アクアさん、今のわざとですよね?」

アクア「さぁ、どうかしら? それよりも早く来なさい」

リリス「はいはい」

カミラ「そう、修行をしてる最中にアクアに無理矢理連れてこられたのね……。ふふっ、困った子ね」

レオン「笑い事じゃないよ、ヒノカ王女やサイゾウに色々と迷惑を掛けたっていうのに、その礼もしてない。僕は王族失格だ」

リョウマ「いや、それほど気に病むことはない。ヒノカも何か事情があったと理解してくれるはずだ。兄である俺が保証する」

レオン「リョウマ王子……」

リョウマ「ふっ、それにレオン王子の悩みを俺はわかっているつもりだ……。敗れることは幾度重ねても慣れるものでは無い、いや慣れていいものでは無いのだからな」

レオン「え、まさかリョウマ王子も……」

リョウマ「……」

レオン「……知っていたんですか?」

リョウマ「いや、つい先日知ったばかりだ……」

レオン「あ……」

リョウマ「……」

レオン「……」

リョウマ「カムイは……幸せそうだったか?」

レオン「……うん」

リョウマ「そうか……」

レオン「……」

リョウマ「……」

 タタタタタッ

リリス「すみません、おまたせしま――」

リリス(え、一体何があったんですか……)

カミラ「あら、遅かったわね。こっちは落ち着いたところよ」

リリス「いや、確かに落ち着いているみたいですけど、すっごいお葬式な感じがしますけど」

アクア「お葬式なら他でやってほしいのだけど」

リリス「ちなみに何の話をお二人はしていたんです?」

カミラ「カムイのことね」

リリス(おぅ……、どちらがきっかけかはわかりませんけど、双方タイムリーにダメージが入る話題……)

アクア「カムイのことで落ち込むなんて、私も落ち込みたいというのに……」

リリス「それ二人の前で言ったら自慢にしか聞こえませんからね?」

アクア「だとしても、私がカムイを攻められないのは間違っていると思わない?」

リリス「私にその質問をするのが間違ってますねぇ」

カミラ「そう、アクアはカムイを攻められないのが納得できないのね?」

アクア「ええ、私も突破口を探っているのだけれど……」

カミラ「そう、ねぇアクア……」

アクア「なに、カミラ?」

カミラ「だから、お○んちんを求めているのかしら?」ボソッ

アクア「な、なんでそれを」

カミラ「ふふっ、ピエリが少し漏らしていたのを聞いたのよ」ボソッ

アクア「そう、だとしたら?」

カミラ「そんなに怪しまないで、大丈夫別にアクアの邪魔をするつもりはないわ。むしろ、協力してあげたいの」

アクア「……カミラ?」

カミラ「ふふっ、今回レオンを連れてきたのもそのためでしょう? あとリョウマ王子をリリス達が探してたのも、たぶんアクアが原因なんでしょう?」

アクア「……」

カミラ「アクアだって、そんな傍若無人に振る舞い続けるのもよくないわ。アクアだって私にとっては可愛い妹、オーバーに動き過ぎてるならそれを支えてあげないとね?」

アクア「カミラ……」

カミラ「おねえちゃんを頼って頂戴、あなたの力になってあげる。だから、少しだけ抑えるようにね?」

アクア「……わかったわ」

カミラ「ふふっ、いい子ね」ナデナデ

ピエリ「リリス、アクア様とカミラ様はなにしてるの?」

リリス「さぁ……。でも……」

リリス(悪いことでは無いようですから、まぁ気にしないで大丈夫そうですね)

リリス「え、カミラ様はアクアさんと一緒に行動されるんですか?」

カミラ「ええ、だからここで一度お別れね。そういうわけだからベルカ、リョウマ王子をちゃんと白夜に届けてね?」

ベルカ「わかったわ…」

リョウマ「そうか、カミラ王女。ヒノカへの土産を一緒に決めてくれたこと感謝している、ありがとう」

カミラ「ふふっ。喜んでくれるといいのだけど」

リョウマ「喜んでくれるさ。カミラ王女からの贈り物となればなおさらだろう。それに俺ではヒノカの、いや女性が喜ぶものなど選べたとは思えないのでな」

カミラ「そう言ってもらえると嬉しいわ」

リリス「ところでアクアさん、私達は白夜に着いたらリョウマ様を玉座に座らせればいいんですよね?」

アクア「ええ、タイミングは合わせた方がいいはずだから、3日後の正午でお願い」

リリス「三日後ですね」

ニュクス「こっちもその日時にレオン王子を玉座に座らせればいいわけね?」

アクア「そういうことよ」

リリス「ところでアクアさんは別行動を取ると言ってましたけど、一体どこに行くつもりなんですか?」

アクア「ええ、それだけど、ここよ」

リリス「……ここってどこですか」

アクア「わからないかしら、ここよ」

リリス(地面を指さしてますけど、ここに何があるって言うんでしょうか?)

アクア「モローからの言葉、覚えていないの?」

リリス「え、モローからの言葉って、あれですか?」

アクア「ええ、その中にあったでしょう?『浮遊する島の顔に願いを込めよ』って」

リリス「……確かにありましたけど。あれがここにあるって言うんですか?」

アクア「ここにあるわけないでしょう? ここにはそんな不思議な力はないもの」

リリス「それじゃ、ここでなにを……あ」

アクア「……」

リリス「も、もしかしてその浮遊する島の顔がある場所って」

アクア「ふふっ、ようやくわかったみたいね。私の指が差しているのは地面じゃなくて、その先の大地のことよ」

リリス「ちょ、ちょっと待ってください。まさか、透魔王国に向かう気なんですか!?」

アクア「ええ、そのつもりよ」

リリス「本気ですか、まだ危険かもしれないのに」

アクア「だとしても行かなくちゃいけないの。私の野望のためにもね?」

リリス「向こうとこっちの時間の流れは結構違いますけど」

アクア「だからあえて三日後にしたのよ。あ、それとあなたはリョウマを座らせたら、すぐに無限渓谷に戻って私を探しに来て頂戴、それが事を行った証拠になるから」

リリス「人使い粗すぎません?」

アクア「竜だから対象外に決まっているでしょ?」

リリス「ひどい」

アクア「そういうわけだから、よろしくね?」

レオン「よろしくって、僕は何も話を聞いてないんだけど」

ニュクス「まぁ、久しぶりに顔を出しに行くみたいなものと考えればいいと思うわ。大丈夫、帰るまでは私も一緒よ」

レオン「はぁ、腑には落ちないけど久しぶりにマークス兄さんやエリーゼと顔を合わせるのも悪くないからね」

レオン(それに決着はつけた方がいいだろうから、この……姉さんへの想いとも)

ニュクス(……レオン王子)

リョウマ「何か色々とあるみたいだが、アクアも気を付けるんだぞ」

アクア「ええ、そのつもりよ。ヒノカによろしく伝えておいて」

リョウマ「わかっている。それとカミラ王女」

カミラ「なにかしら?」

リョウマ「ベルカのことは俺に任せてくれ。必ず無事に白夜へ連れて行く」

ベルカ「……何を言っているの、あなたを守るように言われているのは私、その言い方だと立場が逆よ…」

カミラ「ふふっ、だそうよリョウマ王子」

リョウマ「これは手厳しいな。女性を守るのは男の務めと思っていたのだがな……」

ベルカ「よくわからないわ……」

アクア「そうね、結果的に入れたりするのにね?」

リリス「そういうのいらないんですけど……」

リリス「それじゃ、向かいましょうか。今日中に無限渓谷を抜けておきたいですし」

ピエリ「わかったの。ピエリが先頭を進むからリョウマ様はその後ろにいるの! リリスはピエリと一緒に進むのよ」ガシッ

リリス「わ、ちょっとピエリさん引っ張らないで。うわ、うわわわわわ」タタタタタッ

リョウマ「ふっ、仲睦まじいな」タタタタッ

ニュクス「とりあえず、私達も無限渓谷を抜けてウィンダムに急ぎましょう?」

レオン「ああ、何かあったら言ってほしい、できる限りは力になる」

ニュクス「そ、そう。必要になったら声を掛けるわ」タタタタッ

 ……

アクア「……全員行ったみたいね。それじゃ私たちも行くことにしましょう」

カミラ「ふふっ、わかったわ。それにしても、またこうして落ちることになるなんて思ってもいなかったけど……」

アクア「やっぱり怖いわね」

カミラ「それじゃ手を繋いで落ちるのはどうかしら、安心できるかもしれないわよ?」

アクア「大丈夫、心配してくれてありがとう」

カミラ「それじゃ、行きましょう?」

アクア「ええ、はっ!」バッ

カミラ「はいっ」バッ

 ヒューーーーーッ

―タイムリミット残り4日―

今日はここまで

―タイムリミット残り1日―

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・王都入口―

リリス「ふぅ、どうにかこうにか白夜王都に辿りつきましたね」

カゲロウ「ああ、アクア様の期日は明日と言ったところ。間に合ってなによりだ」

リリス「ええ、本当ですよ。これで私の首は繋がりましたから……」

ピエリ「リリス、アクア様の約束守れなかったら首取れちゃうの?」

リリス「社会的にですけどね……」

ピエリ「そうなの……。残念なのよ、首が取れちゃうなら、ピエリが奇麗にとってあげるの」

カゲロウ「それでいいのか?」

ピエリ「仕方ないの。そうなるしかないならピエリがえいってしてあげるの。だいじょうぶなの、痛くないはずなのよ。だから、駄目だった時はピエリに頼んで欲しいの」

リリス「ははは……」

リリス(そもそもピエリさんがレイプの意味を知ったら、私の首と胴体が離れてしまう気がします。この仕事が終わったらすぐに星界に引き籠りましょう、流石にこれ以上は――)

ピエリ「それよりも、ベルカとリョウマ様はどこなの?」

リリス「え、さっきまで後ろにいたはずですけど……」

リリス(へんな問題は止めてくださいよ、本当に……)

カゲロウ「ああ、リョウマ様は少し身なりを整えに行っている。ベルカはその手伝いだそうだ」

リリス「身なりですか? そんな変な格好ではなかったと思いますけど」

カゲロウ「いや、変な格好では無かったが。リョウマ様の顔は多くの民が覚えている、いきなり戻っても混乱させてしまう。それはまずいと言っておられた」

リリス「ああ、変装して向かうということですか」

カゲロウ「シラサギ城の門前までの間は、姿を隠していくということだ」

ピエリ「そうなのね。かくれんぼみたいで楽しそうなの! ピエリも変装するのよ」

リリス「はいはい、その手に持ってるノスフェラトゥのお面はボッシュ―トです」

ピエリ「ああっ、リリスひどいのぉ」

リリス「私達が目立ったりしたら、それこそリョウマ様に色々と迷惑を掛けてしまいます。それくらいはわかってください」

ピエリ「ううっ、うえええええん!!!! カゲロウ、リリスがリリスがいじめるのぉ」ガシッ グリグリグリ

カゲロウ「ピ、ピエリ……」

ピエリ「びえええええん!!!」

カゲロウ「こら、泣くんじゃない。よし、よし、大丈夫だ」ナデナデ

ピエリ「んー……なんだか落ち着くの」

リリス「あ、泣きやみました。すごいですね、カゲロウさん」

カゲロウ「ああ、こういうことには慣れているからな」

リリス「そうなんですか……。あやすのに慣れているんですね」

カゲロウ「そうだな。よく、あいつをあやしているからかもしれん」

リリス「あいつって……子供じゃないんですか?」

カゲロウ「子供も、こんな風にあやせるのか?」

リリス「え?」

カゲロウ「え?」

 ガサガサ

リリス「!?」

ベルカ「ごめんなさい、少し時間が掛ってしまって…。何かあったの?」

カゲロウ「む、ベルカか。気にしないでいい、それよりもリョウマ様は?」

ベルカ「もうすぐ来る…」

リリス「そ、そうですか。ところで一体どんな格好を?」

ベルカ「私は周囲を監視してただけ、覗き見てないからわからないわ」

リリス「いや、覗いているかどうかなんて聞いてないんですけど……」

カゲロウ「リョウマ様のことだ。無難な格好を選んでいることだろう」

リリス「いや、あの兜を見る限り無難というのはちょっと……」

 …ン …シャン……

ベルカ「どうやら来たみたいね」

リリス「……なんか変な音してますけど……」

 ガシャンガシャン……

カゲロウ「なんだこの重量な音は……」

ピエリ「なんだかとっても重そうな音なの……」

 ガシャンガシャンガシャンッ

リリス「え、こんな音のする変装ってなんですか?」

 ガササッ!!!

ジェネラル『……』

リリス「……誰!?」

ピエリ「なんでこんなところにジェネラルがいるの?」

カゲロウ「もしや野盗!? まさか、王都付近まで縄張りを広げているというのか!?」

ジェネラル『………ふっ』

ピエリ「あ、ピエリたちのことみて笑ったの! ちゃんとアーマーキラーも持ってきたからすぐに八つ裂きにしてあげるの!」チャキッ

カゲロウ「仕方無い、ベルカはリョウマ様の安全を確保してほしい。このジェネラルは私とピエリで倒す」

ジェネラル『おい、ちょっとまて!』

ピエリ「命乞いなんて見苦しいのよ。ピエリの前にひれ伏せばいいの!」

ジャネラル『まさか、これほどまでに分からなくなるとはな……。俺の変装技術も捨てたものではないようだ』

カゲロウ「変装……まさか、リョウマ様なのですか!?」

ジェネラルリョウマ『ああ、生憎今はヘルムを外すことはできないが、俺だ。リョウマだ』

リリス「そんなものどこに……」

ジェネラルリョウマ『カミラ王女からこれで変装も確実にできるはずと渡された。ここまで上手くいくとは思わなかったがな』

リリス「あの、髪の毛とはどうやって収納してるんですか?」

ジェネルラルリョウマ『なに、被れば自然と収まる。兜もこの中に収まるからな』

リリス「えぇ……」

 ガシャンガシャン

白夜市民「おい、あれ見ろよ……」

白夜市民「なにか問題でも起こす気かしら?」

リリス「……リョウマ様」

ジェネラルリョウマ『なんだ、リリス』

リリス「逆にすごく注目の的になってません。視線が刺さるように降り注いでるんですけど……」

ジェネラルリョウマ『……気のせいだ。大方、近くに酔っ払いがいるだけかもしれないぞ』

白夜市民「みてみて、あのでっかいの!」

白夜市民「あれって、暗夜の鎧だよな? すっげー固そう!!!」

ジェネラルリョウマ『……』

リリス「……」

ジェネラルリョウマ『なぜ、目を引いてしまうんだ!?』

リリス「もう一度吾人の格好を確認してから言ってくださいよ。こんなの注目の的じゃないですか!?」

ジェネラルリョウマ『シュヴァリエ公国で諜報活動をしていた時は、上手くいっていたというのに……。白夜王国の民は危機予知能力が高いということか……。嬉しく思う』

リリス「目に見えて危ないものと認識されてるのがなんでわからないかなー」

ベルカ「あえて目立つことによって相手をかく乱する方法もある、これも一つの手よ」

ジェネラルリョウマ『ベルカの言う通りだ。隠れず堂々といれば何も問題はない。俺はそう考えていた』

リリス「……もういいです、さっさと市街地を抜けましょう。ここにいるだけで頭痛が……」

ピエリ「リリス、良く頭痛くなってるの。とっても弱いの……」

リリス(否定できないのが悲しい……)

今日はここまで
 
 FEifも2周年。無双にピエリかリリスをお願いします。

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・シラサギ城『政の間』―

ヒノカ「………ふぅ、これでようやく一段落だな。はぁ、筆がもう乾いてしまっているな」

サイゾウ「お疲れ様です、ヒノカ様」

ヒノカ「サイゾウか。まさかこんなに次から次へとひっきりなしに案件が入ってくるとはな。はぁ、愛馬の面倒をこの頃見られていない。愛想を尽かされていないか心配になる」

サイゾウ「大丈夫でしょう。時折、ヒノカ様がやってくるととても喜んでいるように見えますから」

ヒノカ「はは、そうだといいのだがな。そうだ、これから一度愛馬を見に行こうと思うんだが、サイゾウも付き添ってくれるか?」

サイゾウ「お、俺がですか?」

ヒノカ「ああ、このところは城に籠りっきりだったこともある。それにサイゾウとスズカゼには色々と迷惑を掛けているからな。できれば、お前からスズカゼにも声を掛けておいてほしい」

サイゾウ「スズカゼも…ですか?」

ヒノカ「ああ、いろいろと情報集めをしてもらっているし、このところは仕事の話ばかりだ。少し軽い世間話をするのも悪くないと思ってな」

サイゾウ「……その俺達が行っても愛馬がおびえるだけかもしれません」

ヒノカ「ははっ、心配することはない。お前達のことを私は信用しているんだ、愛馬にもそれはちゃんと伝わるはずだ。お前たちのおかげでここまでやってこれた、私はそう思っているんだからな」

サイゾウ「わ、わかりました。しばし、お待ちください」

ヒノカ「ああ、急がなくてもいい、ちゃんとここで待っている」

サイゾウ「では……」サッ

ヒノカ「……。そう言えばカゲロウはまだ戻っていないようだな……。リョウマ兄様に何かあったということはないだろうか……」

 チャキッ

ヒノカ「……いや、それはないか。この雷神刀は何も変わらずここにあるのだからな」

ヒノカ(しかし、なんだか色に少し変化があるような……。なんだろうか、少しだけ禍々しいというか……)

ヒノカ「暗所に置きすぎたからか。やはり太陽の下に出して素振りでもするべきなのだろうか……」

 カチャッ

ヒノカ「いや、今の私は確かに女王ではあるが。これはやはりリョウマ兄様のものだ。私が握るべきものじゃない」

ヒノカ(そう、私ではとても国をまとめることなんて……)

 シュタッ

サイゾウ「ヒノカ様」

ヒノカ「ん、サイゾウか。早かったな、では早速……なにかあったのか?」

サイゾウ「はい、実はヒノカ様に来客が……」

ヒノカ「来客、私にか?」

サイゾウ「はい、先ほどスズカゼから知らせが入りました」

ヒノカ「そうか、愛馬の世話はもう少し後になるな。よし、行くとしよう。ところで来客の素性はわかっているのか?」

サイゾウ「はい、それが……」

◇◇◇◇◇◇
―シラサギ城『城門前』―

ジェネラル(リョウマ)「ぐっ、一生の不覚だ」

ベルカ「リョウマ様、変に動かないで。どんどん泥に嵌ってるから」

ジェネラル(リョウマ)「す、すまない。ベルカ、このようなことになるとは思っていなかった……」

衛兵「……リョウマ様なのか?」

衛兵「そうカゲロウ様はおっしゃっていたが……見た目があれではな」

ジェネラル(リョウマ)「やはり、ここはゴーレムの面をかぶるだけでよかったかもしれん」

ベルカ「さらに問題になるからやめて、ピエリたちが話を付けてくれるまでここで待ちましょう…」

ジェネラル(リョウマ)「ああ……」



リリス「まさかリョウマ様、ぬかるみに嵌って出られなくなってしまうなんて」

カゲロウ「ああ、予想外だった。シラサギ城周辺に作られた堀が雨で抜かるんでいたとは……」

リリス「これ、実際の戦闘だとタコ殴りにあってますよ」

ピエリ「でもすごいの。この仕掛けを作って敵が掛ったらいっぱい殺せちゃうのよ。ピエリ、いっぱいいっぱいの血の海が見たいの」

リリス「それはもう戦闘の時だけにしてくださいね。はぁ、危なかったですよ、ぬかるみに嵌ったリョウマ様を不審者と見なして、衛兵が来た時はどうなるかと思いました。カゲロウさんがいてくれたので大惨事にはなりませんでしたけど……。事前に連絡とかしてなかったんですか?」

カゲロウ「ああ、それにリョウマ様からも止められていたからな」

リリス「どこまでサプライズしたいんですか、リョウマ様は……」

ピエリ「それで、ピエリたちはここで何時まで待ってればいいの? こうやって槍を向けられてると攻撃したくなってきちゃうの」

リリス「安全だと思われるまでです。あと私より後ろにいてくださいね」

ピエリ「リリス、ピエリのこと守ってくれるの? とっても弱いのに?」

リリス「ううっ、確かにそれほど強くないですけど、そこまでいうことないじゃないですかぁ……」

ピエリ「リリス、お腹痛いの? すぐにポンポンをサワサワしてあげるから、ポンポン出すのよ」ガシッ

リリス「ちょ、なんで服を捲ろうとしてるんですか!? やめ、やめてくださいぃ」

ピエリ「我慢しなくていいの。えへへ、リリスの可愛いおへそが見えてるの、この上から優しく撫でてあげるのよ」サワサワ

リリス「やっ、ふああっ、だめ、ピエリさっ、ふぁああん」

 ギィイイイイイ

 タタタタタタッ

スズカゼ「すみません、少しお待たせしてしまったようで――」

ピエリ「はーい、リリスのポンポンな~でなでなの~」

リリス「おへそ、いや、淵にそんな指、這わせないでぇ……はっ!?」

スズカゼ「……おやおや、ちょっと来るのが早すぎたかもしれませんが。これはいいものを見せていただいました」

リリス「ちょ、スズカゼさん。少しは助けてくださいよ」

ピエリ「あ、スズカゼなの!」

スズカゼ「お久しぶりですピエリさん。リリスさんととても仲良くなれたんですね」

ピエリ「うん、これもレイプのおかげなの!」

カゲロウ「ピエリ、何を言って――」

スズカゼ「そうですか。それは良かったです。リリスさんとピエリさんの友情がきちんと育まれたようで、安心しました」

カゲロウ「!?」

リリス「も、もう、ピエリさん御臍をクニクニするの禁止、禁止です////」

ピエリ「ええ、つまらないの。もっとポンポンさわさわしたいの……」

スズカゼ「リリスさん、ピエリさんの御好意を無碍にするのはよくないかと」

リリス「スズカゼさん、あなたいつか痛い目にあいますよ。絶対に……」

スズカゼ「なるほど、肝に銘じておきます。それよりカゲロウさん、あなたが戻られたということは……」

カゲロウ「ああ、リョウマ様をお連れした。すまない、思ったよりも時間が駆ってしまった」

スズカゼ「いいえ、お疲れ様です。ところでリョウマ様は?」

カゲロウ「あちらだ」

スズカゼ「あちら……?」チラッ

ジェネラル(リョウマ)「ぐっ、だんだんと態勢を維持するのが辛くなってきたか……」

ベルカ「リョウマ様、もうその鎧を脱いで脱出した方が……」

ジェネラル(リョウマ)「流石に褌では、いろいろと問題が起きるかもしれん。それはできない」

ベルカ「これ以上、支えられないわ…」ググググッ

スズカゼ「あの方ですか? しかし、顔が見えないとなると証拠になりませんが」

カゲロウ「確かにそうかもしれないが、あれはリョウマ様だ」

スズカゼ「そうですか。ちょっと待っていてください、確かめますので」

 タタタタッ

スズカゼ「ちょっとよろしいですか?」

ジェネラル(リョウマ)「む、スズカゼか」

スズカゼ「その声、確かにリョウマ様に似ていますね。しかし、あなたがリョウマ様であるという確証が得られない限り、やはり中へお通しするわけにはいきません」

ジェネラル(リョウマ)「そうか。怪しいものは通さない、いい心がけだ」

ベルカ「感心してる場合じゃないわ。このままじゃ、城に入れないままよ?」

スズカゼ「ご心配なく、今からあなたがリョウマ様であるかを確認したいと思います」

ジェネラル(リョウマ)「確認か……いいだろう。俺がリョウマであること、証明してみせる」

スズカゼ「では、お聞きします。あなたにとって妹とはどういう方ですか?」

ベルカ「……え、何その質問……」

ルカ(質問の答えならサクラ様、ヒノカ様、それにカムイ様と言えばいいだけのこと。こんなのほとんどの者が知っている情報なのに、これでリョウマ様本人だと確認できるの……?)

ジェネラル(リョウマ)「ふっ、簡単なものだな」

ベルカ「ええ、本当に」

ジェネラル(リョウマ)「ずばり、答えは血のつながりの無い架空の妹……それが俺にとっての妹だ」

ベルカ「………え?」

ベルカ(いきなり何を言いだして……)

スズカゼ「ふっ、流石です。やはり、あなたはリョウマ様なのですね」

ベルカ「は?」

リョウマ「ふ、当然だ。俺にとって、架空の妹とは最高の存在。サクラやヒノカは妹だがそうではない。血が繋がっていなくとも俺を兄のように慕ってくれることが俺にとっての妹だ……」

スズカゼ「感服しました。正真正銘、あなたはリョウマ様なのですね。ではどうぞ、城の中へお入りください、ヒノカ様がお待ちです」

リョウマ「ああ、ベルカ。もうこのぬかるみから出ていいそうだ、手伝ってくれるか?」

ベルカ「……え、ええ」

リョウマ「ベルカどうした?」

ベルカ「……なんでもないわ……なんでもない」

リョウマ「そうか、何やら元気がないようにも感じるが……」

ベルカ「気にしないで……」

リョウマ「そうか……、なぜそんなに距離を取る?」

ベルカ「キニシナイデ……」

リョウマ「しかし―――」

 ヒヤアアアアアアアアアア!!!!!!

リョウマ「こ、この声は!?」

スズカゼ「どうやら城門からのようです」ダッ

ベルカ「ピエリ達に何かあったのかもしれない…」ダッ

リョウマ「ベルカ、まだぬかるみから出られて……ま、待ってくれ」ジタバタジタバタ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「ひいいいいっ」ガクガクガク

サイゾウ「ヒノカ様!? お前たち、ヒノカ様に一体何をした!」チャキッ

リリス「な、何もしてませんよ。ただあいさつしただけですよね、ピエリさん」

ピエリ「そうなの。ただあいさつしただけなの、そうしたら、ヒノカ様固まったと思った飛んであんな風に隅っこで震えるだけになっちゃったのよ」

カゲロウ「私が傍にいたが、二人が何かをしかけているようには見えたなかった……」

サイゾウ「ひ、ヒノカ様どうされましたか?」

ヒノカ「さ、サイゾウか。す、すまないが私の前に立ってくれ、頼む、この通りだ」

サイゾウ「ほ、本当に何が会ったというんですか、ヒノカ様――」

ヒノカ「お願いだぁ」ガシィ

サイゾウ「はうあっ!!!」

ヒノカ「今はサイゾウだけが頼りなんだ、たのむ……」

サイゾウ(ひ、ヒノカ様がおれ、俺の腰に抱きつい――いかん、冷静になれ、ヒノカ様の窮地、ここをどうにかするのが俺の役目だ!)

サイゾウ「わかりました。私の後ろへ」

ヒノカ「ううっ……ありがとう、サイゾウ」ガクガクブルブル

リリス「ほ、本当にどうしたんですか? こんなに怯えるなんて、ヒノカさんらしくないですし……」

ピエリ「本当におかしいの。お腹痛いの? なら、ピエリが撫で撫でしてあげるのよ」スッ

ヒノカ「ひいいいいいっ。そ、そうやって私のことをレイプするつもりなんだろう!?」

サイゾウ「」

カゲロウ「」

リリス「え……」

ピエリ「あ、そうだったの。レイプでとっても仲良しになる約束してたの! ピエリ、ヒノカ様といっぱいいーっぱい仲良くなりたいのよ」

サイゾウ「貴様!!!!」

リリス「ちょ、ちょっと待ってください! ピエリさん、それ以上は口チャックですよ!」

ピエリ「だってピエリ、リリスとレイプして仲良しさんになったのよ? それにヒノカ様とレイプする約束したの。約束は守らないと駄目なの」

ヒノカ「ううっ、聞こえない聞こえない、きこえないきこえない……」ガクガクブルブル

リリス(ま、まさか。前のアミュージアでの件をヒノカ様がこんなに引きずってるなんて……)

サイゾウ「貴様、ヒノカ様に指一本でも触れてみろ。その体を木っ端みじんに吹き飛ばす」

リリス(最高の険悪ムードに。これって本当に暗夜と白夜の国際問題に発展しそうな勢いですよ)

リリス「ふ、二人とも落ち着いてください。まずは冷静に話し合いましょう。ね、ピエリさん?」

ピエリ「ピエリ、ヒノカ様とレイプするの。リリスと仲良くなれたのもレイプのおかげだから効果は抜群なはずなの!」

リリス「笑顔でレイプレイプいうのやめて……」

サイゾウ「そうか、そんなに死にたいのだな。リリス、貴様がピエリにそのようなことを吹き込んだとするなら、お前もここで死んでもらうしかない」

リリス「えぇ……」

リリス(た、確かにレイプの事についてお茶を濁すくらいで済ませてしまった私にも問題はあります。でも、こんなに問題が大きくなるなんて思うわけないじゃないですか! ああ、ここをどうにか穏便に済ませないと、ピエリさんがレイプの真実を知って私は殺されるかもしれないのに、どっちを選んでも私死ぬしかないじゃないですか……)

ピエリ「ピエリ、ヒノカ様と仲良くなりたいだけなの。仲良くなるにはレイプが一番って教えてもらったから、ピエリそうしたいだけなのよ」

リリス「ピエリさん、それ以上はいけません!」

サイゾウ「リリス、貴様は黙っておけ、ピエリそれを教えた不届き者は誰だ。今すぐ、そいつを殺して――」

ピエリ「えっとね、スズカゼが教えてくれたの」

リリス「あ……」

カゲロウ「な……」

サイゾウ「……なん……だと」

ヒノカ「」

 タタタタタタッ

スズカゼ「ふぅ、どうしましたか。大きな悲鳴が聞こえましたが……。どうかしました皆さん?」

サイゾウ「」

カゲロウ「」

ヒノカ「」

リリス「……スズカゼさん」

スズカゼ「リリスさん、これは一体何事ですか?」

リリス「そうですね。わかりやすく言うなら……」

「ごまかしていたツケが一気に回ってきた、そんな感じですね」

今日はここまで
 
 レイプはだめ、絶対。

 ドスドススッ

 ズビシャアアッ

スズカゼ「ぬかりました……」ドサッドササッ

ヒノカ「二人ともすまなかった。まさか、スズカゼが原因だったとは思っていなかったんだ……」

サイゾウ「兄として謝らせてくれ、本当にすまなかった」ペコリッ

リリス「いや、お二人が謝ることじゃないですよ。それに、いろいろと復讐みたいなのはもう終わったようなものですし……」

スズカゼ「」

リリス(思った以上にボロボロにされましたね)

ピエリ「なんでスズカゼがボロボロにされてるの? スズカゼ、困ってたピエリに色々教えてくれただけなのよ?」

ヒノカ「ピエリ、スズカゼの言っていたその、レ……レイポぉというのはな……。仲良くなるための手段じゃなくてだな……。その無理矢理、だな……////」

ピエリ「無理矢理なんなの? もったいぶらずに言ってほしいの」

ヒノカ「うう……」

リリス(ヒノカ様、すごい言いにくそうにしてますけど、何とか丸く収めてくれるはずです。祈りましょう)

リリス(しかし、思ったよりスッキリしてしまうんですね。色々な問題の元凶がボコボコにされる光景っていうのは…)チラッ

スズカゼ「」

リリス「あー、清々しい。まるで朝はお米、昼はお肉、夜に野菜とバランス良く御食事をもらえた時くらいに清々しい気持ちです」

リリス(これで何もなければ大団円なんですけど……)

 チョンチョン

リリス「はい?」

ピエリ「……」

リリス「ピエリさんどうかしましたか?」

ピエリ「リリス、あのね……」チラッ

リリス「ああ、スズカゼさんのことですか? あれは放っておいていいんですよ、痛い目を見て反省する時間は必要ですから」

ピエリ「ちがうの……スズカゼのことじゃないの……」

リリス「?」

ピエリ「……ヒノカ様が、レイプって仲良くなることじゃないって言ってたの……」

リリス(……せやな)

ピエリ「誰かと仲良しになりたかったら絶対しちゃいけないことって言われちゃったの……」

リリス「ピエリさん……」

リリス(まあ、予想していた通りですか。スズカゼさんの悪事が公になった以上、ピエリさんがそういうことで悩むかもしれないと……。でも今なら大丈夫、ヒノカ様が色々と話をしてくれた後ですから、少しのことでどうにか出来るはず!)

リリス「えっとですね、ピエリさん。そのことなんですけど……」

ピエリ「だけど思ったの。ピエリとリリスは今も仲良しさんで、あれでいっぱい仲良くなれたから、あれはレイプじゃなかったの!」

リリス「……え?」

ピエリ「ヒノカ様言ってたの。レイプしたら仲良しになんてなれない、いろいろな物が壊れちゃうって。ヒノカ様の言う通り、ピエリがリリスをレイプしてたらこんなに仲良しさんになってないのよ」

リリス「……そ、それはそうかもしれませんけど。ヒノカ様も、そういうのはしちゃいけな――」

ピエリ「ヒノカ様、したけど仲良しになれたなら、それはレイプじゃないのかもしれないって言ってたの。さすがはヒノカ様なの」

リリス「え!? ちょっとどういうことですか?」

リリス(なんでまた変なことに、ヒノカ様はどちらに……)チラチラッ

ヒノカ「……」

リリス「ヒノカさん……」

ヒノカ「……」

リリス「ヒノカさん、なんで見てるんですか!!」

ヒノカ「……」ニコッ

リリス「なにその後は任せた的な微笑み、ここに来て丸投げとか止めて!」

ピエリ「あの時、リリス気持ちが良かったって言ってくれたの。だからピエリとリリスがしたのはレイプじゃないのよ」

リリス「あ、あの時はそう言わないと、ピエリさんが納得したいと思って仕方なく……」

ピエリ「じゃあ、本当は違うの……?」

リリス「あ……」

ピエリ「ひぐっ……ううっ……。リリス、ピエリと仲良しさんじゃないの? ピエリ、酷いことしちゃったの?」

リリス「え、えっとその……」

リリス(な、なんなんですかこれ、私のやること全部裏目になってばっかり。アクアさんと関わってからずっとこんなのばっかりじゃないですか……)

ピエリ「ふぇえええ、ふええええ……」

リリス(ど、どうすれば……)

スズカゼ「ピエリさん……まだ酷いことをしたとは限りません……」

ピエリ「ふぇ、スズカゼ……」

リリス「スズカゼさん!? 死んだはずじゃ……」

スズカゼ「ふっ。ピエリさん、良く聞いてください。確かにピエリさんがしたことはレイプかもしれません」

ピエリ「やっぱり、ピエリはレイプしちゃったの?」

スズカゼ「普通に考えればそうです。ですが、もしリリスさんがあなたに弄られることを喜んでいたのなら……それはレイプではなく、ただの絆を深める行為。つまりレイプには含まれないはず」

リリス(何を言っているんですか、この人は……)

ピエリ「ひぐっ、それも嘘なんでしょ? そういうのやめてほしいの……」

スズカゼ「いいえ、嘘ではありません」

リリス「嘘だ!!!」

スズカゼ「ピエリさん、リリスさんに聞いてください。あの時、嫌だったのか嬉しかったのかを……それが唯一の答えになるはずですから…」

ピエリ「スズカゼ……わかったの、ピエリ聞いてみるの!」

リリス「なんで信じちゃうの!? 本当にあなたはどこまで私を苦しめたら気が済むんですか!?」

スズカゼ「私はただ、公衆の面前で純真無垢な相手に色々とされて気持ち良かったと告白する女性を見たいだけですよ」

リリス「ここのカムイ様はどうして白夜を選んでくれなかったんでしょうか……」

ピエリ「そういうわけだから、リリス……聞かせてほしいの」

リリス「いやいや、そんなこと聞かなくても大丈夫ですから。な、何か違う話をしましょう、ね? ね?」

ピエリ「……」

リリス(やばい、ピエリさんの視線がこれまでにないほど真剣で逃れられる気がしない。スズカゼさん、なんてことをしてくれたんですか)

ピエリ「リリス…」

リリス(ぐっ……道は二つに一つ、ピエリさんをレイプ犯にするか。私が襲われたのに興奮していた変態になるか……)

リリス(どっちを選んでも、いいことなんてない……)

ピエリ「リリス……。何も言わないのは、ピエリのこと嫌いだからなの?」

リリス(ないけど、でも、でも選ぶとしたら……)

ピエリ「やっぱり、ピエリがしたのって酷いことなの……」

リリス(選ぶとしたら……)

ピエリ「…………」

リリス(……)

ピエリ「ひっぐ、リリス。ごめんなさ――」

リリス「……ったです」

ピエリ「ふぇ?」

リリス「…しかったです……」

ピエリ「……リリス」

リリス「う、嬉しかったです……。だから、ピエリさんは悪くありません……」

ピエリ「それ本当なの?」

リリス「……はい」

ピエリ「気持ち良かったの?」

リリス「……ハイ」

ピエリ「リリスとピエリは仲良しさんなの?」

リリス「……YES」

ピエリ「えへへ、やっぱりピエリはレイプなんてしてないの。だって、リリスが気持ちよくて嬉かったって言ってくれたから、ピエリとリリスがしたのは仲良しになれるおまじないなのよ」ニコニコ

リリス「ハハ……アハハハ……」

リリス(ああ……ピエリさんの笑顔がまぶしい……)

リリス(そして周りの私を見る目が、憐れんでいるのにどこか好奇を含んでて、もう乾いた笑いしか出ない……)

リリス(お父様が人間に絶望した理由、なんだかわかってきた気がします)

リリス(心が黒い何かに沈みそう、これがお父様の体験していたものの端くれなんですね……)

リョウマ「ううっ、ようやく追い付いたが。どうしたんだお前たち?」

ベルカ「あ、リョウマ様……。すごい泥だらけよ」

リョウマ「転んでしまったからな。だが体勢が変わったことで出ることが出来たというわけだ。不幸中の幸いだな」

ベルカ「そう……」

ヒノカ「え、今の声もしかしてリョウマ兄様!?」

リョウマ「ああ、そうだ。ヒノカすまなかったな、こうしてくるのが遅れてしまって。手紙のことなんだが不慮の事故で紛失してしまってな……」

ヒノカ「そうだったのか……。でも、その問題は解決したようなものだから。もう大丈夫だ」

リョウマ「そうか、俺が出る幕はなかったということは、自分ひとりで解決したということだろう。さすが俺の妹だ」

ヒノカ「いや、なんていうか。私は解決したんだが……」チラッ

リョウマ「ん?」

ピエリ「ふふ~ん、ピエリとリリスは仲良しさんなの~」ブンブン

リリス「」ブラブラ

リョウマ「……何があったか知らないが、とりあえず城に入ろう。話はそれからでもいいだろう」

ヒノカ「あ、ああ。そうしよう、それじゃ行くとしようか」

ピエリ「わかったの。リリス一緒に行くの! ふふ~ん」ブンブン

リリス「」ブラブラ ズルズル

リリス(……なんででしょうか、前まで退屈だと思っていたのに――)

(もらえる餌を考えるのが、とっても楽しく感じちゃいます……)

今日はここまで
 
 リリスにはバランスの取れた食事をあげるように心がけましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス「……」

ヒノカ「リリス……」

リリス「どうして、性欲なんてものがこの世に存在するんでしょうか……」

ヒノカ「……わからない」

リリス「……」

ヒノカ「そ、そのピエリと一緒じゃなくても良かったのか?」

リリス「晩御飯はなんでしょうか、根野菜とかいいですよね。いっぱい食べると心が豊かになるんです。精神的に強くなれるんですよ……」

ヒノカ「……そ、そうだ! 今日の夜は根野菜をふんだんに使った鍋にしよう。いろいろな食材が入っておいしいし、元気も出るさ」

リリス「……」

ヒノカ「……夕食ができたら呼びに来る。それまではゆっくり休んでくれ」

リリス「……」

ヒノカ「……リリス」

リリス「……」

ヒノカ「私はお前が変態だとは思っていない」

リリス「……」

ヒノカ「……だから」

リリス「今は、何も言わないでいいです…」

ヒノカ「……わかった……。失礼する」

 ピシャ

ヒノカ「……」

ヒノカ(リリス、すごくやつれていたな……)

サイゾウ「ヒノカ様……」

ヒノカ「サイゾウか。リリスはしばらく一人にしておこう。その、精神的に傷ついているようだ」

サイゾウ「わかりました」

スズカゼ「かわいそうですね、リリスさん。一体誰がこんな惨たらしい惨劇を呼びこんでしまったのでしょうか……」

サイゾウ・ヒノカ「おまえだ!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「スズカゼめ。あの顔の下ではあんなことお考えていたとは…」

リョウマ「戦時中ではなくなったからかもしれん。あの真面目なスズカゼにも、ああいった意地悪な一面があったということだろう」

ヒノカ「リョウマ兄様、他人事だと思って……。スズカゼには戦争が始まる前からサクラのとの書簡のやり取りなどをしてもらっていたんだ。今後、頼んでいいものか……。はぁ…サクラの書簡を見て色々と変なことを考えているんではないかと心配になる」

リョウマ「ははっ、いろいろとヒノカも頑張っているんだな。しかし……、ふむ」

ヒノカ「な、なんだ? そんなにジロジロと見て……。家族であってもそう見られては照れてしまうじゃないか」

リョウマ「いや、前とあまり変わっていないと思ってな。少しは煌びやかな服などに興味はないのか?」

ヒノカ「煌びやかな服といわれても、私のがそういうものを着るのは……」

リョウマ「もう戦いは終わった。そういった服に袖を通しても文句を言ったりするものはいないさ」

ヒノカ「しかし、リョウマ兄様から白夜王国を一時的とはいえ頼まれている身、そんな恰好をしては示しがつかない」

リョウマ「そんなことはない。どんな服を身にまとっていようとも、ヒノカの姿勢は理解されるはずだ」

ヒノカ「……だが、仕えてくれているサイゾウたちに申し訳ない。それに私のそう言った晴れ姿など見ても面白くもないだろう。到底喜ばれるとは思えない」

リョウマ「いや、サイゾウなら喜ぶと思うが……」

ヒノカ「そ、そうだろうか? 政をおろそかにして遊んでいるように見られて、民に不安や不信感を与えてしまう気がして……」

リョウマ「思ったよりもヒノカは心配性だな。安心して聞いてほしい、ヒノカは俺よりもずっと真面目に白夜を導けていると思っている」

ヒノカ「そんなことはない、リョウマ兄様が築いてきてくれた基礎があってこそだ。現に私が納めるということに反対的な人々がいるのも事実、私はまだまだ未熟で、とてもリョウマ兄様に太鼓判を押してもらえる器じゃないさ」

リョウマ「ヒノカ……。すまない、俺があの勝負であんな醜態を晒さなければ、こんなことにならなかったはずだ」

ヒノカ「いいんだ。リョウマ兄様はサクラの身を按じて起こしたこと、家族が心配で仕方無かったリョウマ兄様の行いを責められるわけがない」

リョウマ「ヒノカ、ありがとう」

ヒノカ「ただ、あんな大々的にやる必要はなかったと思う。そこだけはしっかりと反省してほしい」

リョウマ「………はい」

ヒノカ「それより、話しは戻るが、サイゾウが喜ぶというのはどういう意味なんだ?」

リョウマ「ん?」

ヒノカ「ほら、さっきの煌びやかな服がどうとかで……サイゾウの名前をリョウマ兄様は口にしていたじゃないか」

リョウマ「あ、ああ、そのことか。いや、わかるだろう?」

ヒノカ「いや、わからない……。私がそんな恰好をして喜ぶ理由、そんなものがあるのか?」

リョウマ(……まさか、そういうことか?)

リョウマ「……なぁ、ヒノカ一つ聞きたいことがある。例の書簡の事、覚えているか?」

ヒノカ「書簡?」

リョウマ「国家転覆を目論む者がいる。その件でサイゾウに疑いが掛ったことがあっただろう?」

ヒノカ「ああ、その書簡か。ふふっ」

リョウマ「?」

ヒノカ「いや、サイゾウに中身が気にならないかと何度も聞いてしまったことを思い出してな。今にして思うと余計なことだった、サイゾウは最後まで忠義を貫いていたんだから、それを私が崩してしまうところだったのだから……」

リョウマ「ふっ、ヒノカらしい。そういったお前の優しいところを俺は誇りに思っている」

ヒノカ「リョウマ兄様、こう言われると少し恥ずかしくなってしまうな。あはは///」

リョウマ「ところで、その後、サイゾウとは何かあったか?」

ヒノカ「その件の後、サイゾウはすぐにリョウマ兄様の任に戻ったよ。なんとも不思議な書簡のやり取りだったが、サイゾウとの距離が縮まったのを感じた。こうやって仕事を任せられるくらいに頼りにしているからな」

リョウマ「そうか」

リョウマ(……話を聞く限り、二人の関係はAで止まっているということか……。なら、ここはひとつ元主君である俺が一肌脱ぐとしよう。ふっ、最後に俺ができることはこれくらいだ、サイゾウ)

リョウマ「……ヒノカ、実はサイゾウは――」

 ヒュンッ ドスュ

リョウマ「ふぁっふ!!!!」ビクンッ

ヒノカ「な、どうしたんだリョウマ兄様。いきなり奇妙な声をあげて……」

リョウマ「い、いやなんでもない、なんでもないんだ。強いて言うなら、久しぶりの正座で足が痺れただけだ……」

ヒノカ「そ、そうか。リョウマ兄様が正座で足を痺れさせるなんてな」

リョウマ「ははっ、やはり離れ過ぎていた弊害だろう……」

ヒノカ「もう一度修行のやり直しだな。ところで、サイゾウがどうかしたのか?」

リョウマ「……そ、そのだな……」

リョウマ(真上に感じる気配、足に走った明らかな人為的な手裏剣の痛み……まさか)チラッ

サイゾウ「……」スッ シャキンッ

リョウマ(サイゾウ!!!!!)

サイゾウ「……」チャキッ

リョウマ(この気配、言葉によっては俺の命を奪うと言っている!)

リョウマ(ぐっ、しかし、サイゾウに関して何か話しがあると始めてしまった手前、誤魔化すことはできない。なにせ……)チラッ

ヒノカ「……それでサイゾウがどうしたというのだ?」

リョウマ(ヒノカの顔は、とてつもなく期待している顔。これはなんでも無いと言える状態では無い……)

リョウマ「じ、実はな……」

リョウマ(考えろ、考えろ。ヒノカに話しておくべき、サイゾウの秘密……秘密、ヒノカが知らない秘密……秘密……)

リョウマ「あ、甘いもの……」

ヒノカ「?」

リョウマ「サイゾウは甘いものが苦手なんだ」

ヒノカ「そうなのか? でも確かに、サイゾウが甘いものを食べているところを見たことはないな。そうか、今後は注意しなければ。リョウマ兄様が私に託してくれた大切な臣下に辛い思いはさせたくないからな」

リョウマ「ああ、気にかけてやってくれ」

ヒノカ「ふふっ、そうさせてもらうよ。それじゃ、カゲロウに会ってくる。今回の任の礼をしていなかったからな」」

リョウマ「わかった。俺はすこしのんびりさせてもらうことにする」

ヒノカ「ふふっ、ここは元からリョウマ兄様の部屋だ。夕食までは時間があるから、ゆっくりしていてくれ」

リョウマ「あ、ああ、そうさせてもらう」

ヒノカ「それじゃ、夕食になったら呼びにくるよ。兄様」

リョウマ「よろしく頼む」

 タッ タッ タッ ガサーッ パタンッ

リョウマ「………」

リョウマ「ぐっ、ぐぐぐっ……」ズサーッ

リョウマ「サイゾウ、どういうことだ?」

 シュタッ

サイゾウ「……」

リョウマ「サイゾウ、これはどういうことかと聞いている!」

サイゾウ「どういうことかというと?」

リョウマ「……ヒノカに告白していないのか?」

サイゾウ「……」

リョウマ「あの日、書簡の確認で俺の元を訪れた時、お前は言っていたはずだ。戦争が終わった暁には、ヒノカに思いを告げたいと」

サイゾウ「そ、それは……」

リョウマ「……サイゾウ」

サイゾウ「はい」

リョウマ「正々堂々勝負と切り出しておきながら、俺を先手滅殺で倒したお前の決意はそんなものだったのか?」

サイゾウ「……」

リョウマ「カゲロウとはちがい、ヒノカの胸は小さいがそれでもいいのかと聞いたとき、お前は胸ではなく心に惹かれたと言っていた。それも嘘だったというのか?」

サイゾウ「……」

リョウマ「たしかに、あの頃は復興などで色々と忙しかったとは思う。だが、もうそんな時期は過ぎた。なら、もうヒノカに伝えるべき時期だろう!?」

サイゾウ「ヒノカ様が女王になった時点で、言えることではなくなったのです」

リョウマ「……。ああ~、それもそうだな」

サイゾウ「ああ~、ではありません」

リョウマ「ヒノカも今は女王、そう簡単に結婚できる立場では無いか」

サイゾウ「俺の言葉でヒノカ様を惑わせるわけにはいきません。ヒノカ様は白夜王国のために最善を尽くしてくれています」

リョウマ「ああ、そのようだ。久しぶりに来た白夜の都は前以上に活気に満ち溢れていたからな……」

サイゾウ「私はヒノカ様のお役に立てるだけでもいいのです。ヒノカ様が成長しそれを見ていく、影である私にはそれだけでも身に余る光栄ですので……」

リョウマ「……そうか。お前がそういうのなら、俺からこれ以上言えることはない。だが……サイゾウ、一つだけ言っておくことがある」

サイゾウ「はい」

リョウマ「どんなに待とうともヒノカの胸は成長しない。それはわかってやってくれ」

サイゾウ「聞かなかったことにしておきます」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「くしゅん……。んんっ、誰かが噂をしているのか……。嫌な噂でなければいいが、確かここだったはず……」

 スーッ

ピエリ「ふふ~ん、なんだか変わった服なの…」

ヒノカ「む、ピエリだけか?」

ピエリ「あ、ヒノカ様なの。ピエリに何か用事なの?」

ヒノカ「あ、ああ」

ヒノカ(しかし、前のことより先のことがあって、あまりピエリとは仲良くなれる気がしない。いや、あれはスズカゼの間違った情報の所為、実際のピエリはもっと違うかもしれないじゃないか……)

ヒノカ「じつは……ん、その恰好は?」

ピエリ「あ、ピエリ、カゲロウと仲良しさんになったの。だから忍びの服を貸してもらってるのよ」

ヒノカ「へぇ、そうなのか。思ったよりも似合って――!!!!」

ピエリ「ヒノカ様? どうかしたの?」プルルンッ

ヒノカ「……」ジーッ

ピエリ「もしかして、ピエリのお胸についてるの? 触っても何か付いてるように見えないのよ?」モミモミッ プルンプルン

ヒノカ(あ、改めてみると。ピエリもかなりの物を持っている。なぜだ、何が違うというんだ。くそ、すごく柔らかそうだ、カミラ王女もそうだが、暗夜の女性はどうしてこう魅力的、暗夜的に言えばダイナマイツなんだ!?)

ピエリ「ヒノカ様?」

ヒノカ「はっ…な、なんでもない」

ピエリ「変なヒノカ様なの。でも、ピエリに会いに来てくれてうれしいの」

ヒノカ「あはは。そ、そう言えば、カゲロウは一緒じゃないのか?」

ピエリ「えっとね。カゲロウ、用事があるからって少し前に出ていったのよ。ピエリが教えたこと役に立ててくれるといいの」

ヒノカ「そうか、気付かないところで二人は仲良くなっていたんだな。ちなみにピエリはなにを教えたんだ。やはり料理の作り方などか?」

ピエリ「うん、えっとね、お○んちんから毒を出す方法なの!」

ヒノカ「………なぬ?」

ピエリ「えっとね、おち○ちんからはおしっこしか出ないはずなの」

ヒノカ「ピエリ?」

ピエリ「それでね、カゲロウ毒出しがうまく出来ないって言ってたの。だから、ピエリが毒の出し方を教えてあげたのよ。こうやってね、おっきくなったお○んちんをね……」

ヒノカ「へー」

ピエリ「むーっ、ヒノカ様、聞いてるの?」

ヒノカ(できれば聞きたくない)

ヒノカ「……なぁ、ピエリ。子供はどこから来るのか、知っているか?」

ピエリ「馬鹿にしないでほしいの。ピエリ、それくらい知ってるのよ」

ヒノカ「そ、そうだよな。それくらいは知っていて当然だよな」

ピエリ「当たり前なの! えっとね。とっても大好きな人とね」

ヒノカ「うんうん」

ピエリ「幸せなキスをするとダークファルコンが連れて来てくれるって、お父さんが言ってたの」

ヒノカ「うん?」

ピエリ「……?」

ヒノカ「それだけか?」

ピエリ「そうなの。えへへ、ピエリちゃんと知ってたの」

ヒノカ「……だな!」グッ

ピエリ「わーいなの。ピエリ、とっても物知りさんなのよ」

ヒノカ「ふふっ……」

ヒノカ(私は、助言することをやめた……)

今日はここまで
 
 ピエリはお父さんの言葉を鵜呑みにして、真実をベットの上で教えられるタイプだと思うのです。

◇◆◇◆◇

ツクヨミ「……ふぅ、このくらいでいいだろう。フウガ様への便りと呪いの札も作り終えた。まだ、カゲロウは暗夜から戻っていないのか……」

ツクヨミ(思ったよりも寂しいものだな……)

ツクヨミ「って、何を弱気になっているのだ。カゲロウにもやらなければならに責務がある以上、こうやって離れ離れになることくらいあって当然ではないか」

 ソワソワ

ツクヨミ「……む、またか……」

ツクヨミ(今までこんなことなどなかったというのに……)

ツクヨミ「……襖よし、外の廊下に人影なし……今なら大丈夫か。ううっ、このような昼間からこのような格好をすることになるとは……」

 ビクンビクンッ

ツクヨミ(ううっ、数日前におねしょをしてしまってから、おち○ちんが大きくなるようになってしまった。カゲロウにこんなものを見られたら心配されてしまうではないか……)

 ビクン ビクン

ツクヨミ「……はぁ、どうすればいいのだ」

ツクヨミ(自分のものだというのに、全く収まる気配がない……。カゲロウが何時戻るかはわからないが、早急に手段を講じなければ……)

ツクヨミ「し、しかし、カゲロウがこれを握りながら、いつも大きくならないと言っていた。もしかして、こうなることを望んでいたということなのでは……。いや、こんな気色悪いものをカゲロウが欲しがるわけがない。今の状況から逃げるのはやめなければ……」

ツクヨミ(ううっ、ずっとふるふる震えている。まずは手で押さえてみよう)

 ギュッ
  ピクンッ

ツクヨミ「な、なんだ今の感覚は……」

ツクヨミ(触れたことにとても敏感に反応したような……)

ツクヨミ「いや、触れてびっくりしただけ、そうに決まってる。そうだ、さすれば元に戻るかもしれない。下に引っ張りすぎると、皮が少し痛いから、手をこの位置にして……これで上下に動かせる……」

 シュコシュコ

ツクヨミ(一向に小さくなる気配がない、この方法は意味がないということか。なら、次の手段を……)

 シュコシュコ

ツクヨミ「んっ、はぁ……くぅ、なぜだ。もう、もう止めたいというのに……」シコシコ 

ツクヨミ(手が止まってくれない……)

ツクヨミ「ううっ、はああっ、気持ちいい、こんな感覚、今までなかったというのに」

 ビクビクンッ

ツクヨミ(な、何かが込み上げてくる。い、いま止めなければ、何かが出てきてしまう。止めないと、止めなければ……)

 シコシコシコ

ツクヨミ「ううっ、止められない、止められないよ。カゲロウ、カゲロウぅ……」

ツクヨミ(扱くたびに寂しさが、カゲロウがいてくれないことをずっと我慢していたというのに溢れてしまう。カゲロウと一緒にいたいという欲が……)

ツクヨミ「カゲロウ、カゲロウぅ……。はぁはぁ、カゲロウ!!!」

ツクヨミ(だ、だめだ。なにかが出る、出るぅぅっ!)

 ビュルルルビュルルルルルッ
 
ツクヨミ(あああっ、おち○ちんから何か、熱いものが……いっぱい出て。き、気持ちい、気持ちいいよぉ)

 ビュルンッ……

ツクヨミ「納まった……うああっ……」ビクンビクンッ

ツクヨミ「はぁはぁ、んくっ、はぁはぁ……」

ツクヨミ「…………」

ツクヨミ「……」

ツクヨミ「…はっ!」バッ

 ベッタリッー

ツクヨミ「こ、こんな昼間から私はお、お漏らしをしてしまったのか!? し、しかもなんだこの白いのは粘り気もあるこれは!?」

ツクヨミ(もしかしたら病気か何かなのか? ど、どうすれば、こ、こんなところを誰かに見られてしまったら、大きな問題に――)

 バタン!

ツクヨミ「え?」

カゲロウ「ツクヨミ大丈夫か! 先ほど、私を呼ぶ声が聞こえたのだ……が……」

ツクヨミ「」ベットリビクビクン

カゲロウ「ツクヨミ、それは……」

ツクヨミ(あうあう、あうあうあー。ど、どうすれば、どう説明すれば――)

カゲロウ「ツクヨミ、少し失礼するぞ」パタンッ

ツクヨミ「え? カゲロウ、何を……」

カゲロウ「……」

 ビクンビクン

ツクヨミ「か、カゲロウ。あまり、あまり見ないでく――」

カゲロウ「……こんなに大きくなるのだな。私に任せてくれ、大丈夫だ」

ツクヨミ「え、何をす――」

 ニギッ

ツクヨミ「ふあっ///」

 シコシコ ヌチヌチ

ツクヨミ「んやっ、だめだカゲロウ、そんなに手で弄らないでくれぇ」

カゲロウ「ん、手ではだめだったか。すまない、気持ち良くしてあげたいと思っていたのだが…。私では、お前を満足させてやることは……」

ツクヨミ「い、いや、ち、違うんだ。また、白いおしっこが出て、しまうから……。私はもしかしたら病気かもしれない、だから……」

カゲロウ「大丈夫だ。これは病気というわけではない、むしろ自然なことなのだからな」

ツクヨミ「そ、そうなのか?」

カゲロウ「ああ、しかし、私が奉仕しても大きくならなかったのは、まだツクヨミのが成長し切っていなかったからだったのだな」

ツクヨミ「ば、馬鹿にする出ない。私はもう大人だ!」

カゲロウ「そうだな。こんなに大きくして精子をたくさん出しているんだ。大人ではないわけがない」シュコシュコ

ツクヨミ「ひぃ、カゲロウ。ああっ、扱かないでくれぇ。ま、また出てしまう」

カゲロウ「いいんだ、出してくれ。出して私にいっぱい吐き出してほしい」

ツクヨミ「え?」

カゲロウ「ツクヨミ、私はお前の子種が欲しい。私にお前だけの女になったという証を吐き出してほしい。私が、お前を気持ち良くできたという証拠を見せてくれ……」

ツクヨミ「か、ゲロウ……」

カゲロウ「それとも、私ではお前を気持ちよくできないということだろうか……」

カゲロウ(だとするなら、私といてもツクヨミは……)

ツクヨミ「そ、そんなことはない!」

カゲロウ「ツクヨミ……」

ツクヨミ「カゲロウの手はとても気持ちいい……。その、今にも溢れそうなくらいで、我慢できているのが不思議なくらいで。その、えっと////」

カゲロウ「……そうか、とてもうれしいよ。私でもお前を気持ち良くさせることができるんだな」

カゲロウ(ピエリはリリスが苦しんでいたからそれをどうにかしたいと言っていた。それが相手を思う気持ちだというなら、私が今ツクヨミに感じてほしいものは一つだけだ)

カゲロウ「ツクヨミ、どうだ、気持ちいいか?」シコシコ

ツクヨミ「ああ、また、せり上がってくる…。カゲロウの手で気持ち良くなってっ、るぅ……」

カゲロウ「はぁんーっ、ツクヨミの魔羅から漂ってくる臭い、とても濃厚でくらくらする。私に構わず、出したくなったらいつでも出してくれ……」シコシコ

ツクヨミ「カ、カゲロウ……」

カゲロウ「この口でいっぱい受け止めよう。だから、お前の子種を私の口に……」

ツクヨミ(はぁはぁ、カゲロウの口に私のおち○ちんから出たものを入れる。カゲロウに、カゲロウに……)

カゲロウ「ツクヨミ……んあーっ」

ツクヨミ「ううっ、出るっ、出るぅぅ。カゲロウの口に白いのが、うあああっ!!!」ビクンビクンッ

 ビュルルル ビュルルルルルルルッ!!!!

ツクヨミ「ふああああっ」

ツクヨミ(ああ、カゲロウの口に、白いおしっこを注ぎ込んでしまった。いけないことなのに、なんでこんなにゾクゾクしてしまうなんて。ああ、今の快感が――)

カゲロウ「あっ、んくっ、んくっ、ごくりっ。はぁ……」ベタリッ

カゲロウ(んっ、口の中にツクヨミのが入ってきた……。とても濃い、私の伴侶の味……。私が気持ち良くしてあげられた証……。でもだめだ、これでは足りない。ツクヨミの精子が――)

ツクヨミ&カゲロウ(もっと欲しい……)

ツクヨミ「はぁはぁ、カゲロウ……。もっと……してもいいか?」

カゲロウ「ああ、今まで気持ち良くしてあげれらなかった分、お前を気持ち良くしてあげたい。お前の望むならできる限りこたえよう」

ツクヨミ「ん、で、ではそのむ、胸で同じようにしてもらえぬか……」

カゲロウ「ああ、わかった……。服を脱ぐ、少し待ってくれるか」

ツクヨミ「いいや、その必要はないぞ。こうすればいいだけだ」グッ バッ

 プルンプルンッ

カゲロウ「ん、以外に大胆なのだな、ツクヨミ。それとも服を来たままが良いのか?」

ツクヨミ「う、その……」

カゲロウ「ふふっ、そんな男らしい部分もあるのだなと思ってな。さぁ、私に向けてくれ、いっぱいしよう」

ツクヨミ「あ、ああ……」ビクンビクン

 ンッ、ツクヨミノガムネノナカデ――
  ハァハァ、カゲロウ、ヌルヌルシテ――

オロチ「ふむ///」

オロチ「……カゲロウに新しい絵を頼もうかと、ツクヨミの部屋に向かったと聞いて来てみたら、まさかこのようなことになっていようとは。これは昼間から刺激が強いのう」

オロチ(昼間からお盛んのようじゃし後日とするか。しばらく人が近寄られないように人避けの札でもあっておくかのう、事故とは言え見てしまったこともあるし親友の好ということで、このお札はわらわのおごりじゃ)ペタペタ

 テトテト

オロチ「……ふむ、生涯の伴侶。あまり、気にしても仕方の無いことか」スタスタ

(しかしわらわも考える時期かもしれん……。しかし、相手が浮かばぬのが何とも言えんところじゃのう……)

今日はここまで

 無双にエリーゼまで参戦か(ピエリとリリス参戦情報はまだですか)

◇◆◇◆◇

リリス「……ん、んんっ…」

リリス(あれ、ここは? えっと、確か白夜王国に辿りついて、それでピエリさんの……)


リリス(はぁ~~~~、ピエリさんの泣き顔に負けて、気持ち良かったとか言っちゃったんでしたね……)

リリス(ううっ、これから、淫獣とか性竜とか言われるんでしょうね。アクアさんの耳にもいずれは入るでしょうから、一生弄られるんでしょう)

リリス「はぁ……。辛い……」

ピエリ「リリス、辛いの?」

リリス「はい、辛いですよ。それもこれも……って、ピエリさん!?」

ピエリ「あ、やっと気づいたの。リリス、さっきから考えてばっかりでピエリのことに気づいてくれなかったの。ちょっと寂しかったの……」

リリス「はぁ、まったく、私の気苦労も知らないで。良くそんなことが言えますね。でも、すみません。寂しい思いをさせてしまったんですね」ナデナデ

ピエリ「んっ、えへへ、髪を撫で撫できもちいぃの~」

リリス「ふふふっ」

リリス「それよりも何かあったんですか?」

ピエリ「? 何かってなんのことなの?」

リリス「え、何か私に用事があったから、こうして来たんじゃないんですか?」

ピエリ「んー、ピエリに用事なんてないのよ」

リリス「……じゃあ、なんでここに来たんですか? それにカゲロウさんとお話は?」

ピエリ「そのお話は終わったの。見て見て、ピエリの新しい衣裳なの!」E:忍装束

リリス「え、衣裳って……忍装束!? っということはまさか――」

リリス(い、いつの間にか、ピエリさんとカゲロウさんの支援がAになっている。お茶菓子でのほのぼの会話より下世話な話のほうが強いなんて、この世界の絆って一体何なんですか?)

ピエリ「これってとっても動きやすいの! あとね、変な乗り物ももらったの。ピエリが乗るといっぱい動くからお胸が揺れて困っちゃったの」

リリス「そのからくり、今すぐ破壊して捨てましょうね~」

ピエリ「リリスも乗るの。きっと楽しいのよ!」

リリス「私にも揺れるものがあったら楽しめそうなんですけどね~。あははははははは」

リリス「まぁ、それは置いておいて。本当に何も用事はないんですか?」

ピエリ「そうなの。ピエリ、特に用事なんてなかったのよ」

リリス「はぁ、変わってますよねピエリさんって」

ピエリ「変わってるのはリリスのほうなの。ピエリとこんなに仲良くしてくれる子なんて、今まで誰もいなかったのよ?」

リリス「その原因が何かくらいピエリさんはわかっているとは思いますけど、私からすればそれでピエリさんと距離を置く理由にはなりませんから。来るもの拒まず去る者追わず……。私はそう言う立場でずっと過ごしてきましたから」

ピエリ「よくわからないの。ピエリにわかるように教えるのよ」

リリス「ふふっ、たとえるなら私が一人でいたいって思っていたら、起きてすぐにピエリさんを見つけて出て行けって言います」

ピエリ「ふえええん、リリス、ピエリに出て行けって言うの?」ヒッグッ

リリス「たとえ話、たとえ話です! 本気にしないでください。嘘ですから」

ピエリ「嘘ならいいの。リリスは意地悪なの、殺しちゃうのよ」

リリス「それは嘘ですよね?」

ピエリ「?」

リリス「あははは、ちょっと待ってください、その小槍しまって、あ、ごめんなさい。私が悪かったですから。その、許して……」

リリス「はぁ、もう冗談なら冗談ですぐにやめてくださいよ」

ピエリ「えへへ、怖がってるリリスも可愛いの」

リリス「全然嬉しくないですから、そんなこと言われても」

ピエリ「でも、眠ってる時のリリスはもっともっと可愛かったのよ」

リリス「……もしかして、結構前から部屋にいたんですか?」

ピエリ「うん、リリスの寝顔。見てるととっても落ち着いちゃうから、ずっとずーっと見てたのよ」

リリス「そんなに言わないでください、その恥ずかしいじゃないですか///」

ピエリ「えへへ、これでお○んちんもあったら、もっと可愛い顔にできたかもしれないの」

リリス「やめて、忘れてた現実を思い出させないで」

ピエリ「ピエリとリリスはお○んちんで仲良くなったの。つまり、お○んちんフレンズなのよ」

リリス「そんなフレンズいません。あきらめてください」

ピエリ「むーっ」

リリス「……はぁ、もういいでしょう? こんなことを話し合っても意味なんてありませんし、時間が無駄になるだけです。それに私とピエリさんは友達であることには変わりありませんから」

ピエリ「ならいいの!」

リリス「立ち直り早いですね」

ピエリ「えへへ、うー、リリス~」

リリス「んやっ、いきなり抱きつかないでくださいよ」

ピエリ「嫌なの。ピエリがしたいからしてるの。嫌なら嫌って言えばいいの」

リリス「嫌って言ったら、また泣きそうになるんでしょう、もう……」

リリス(とはいいながらも、ピエリさんに抱きしめられるのをまんざらでもなく思ってる私……)

リリス「本当に現金な性格をしてますね……」

ピエリ「リリス、何か言ったの?」

リリス「ピエリさんは温かいですねと言ったんです」

ピエリ「そうなの。なら、もっともっとぎゅぎゅってしてあげるの。ぎゅーーーーっなの!」ギューーーーッ

リリス「痛いたいたい!」

ピエリ「そろそろ夜になるのよ」

リリス「はぁはぁ、もう、いつまで抱きついてるんですか……。汗だらだらなんですけど……」

ピエリ「えへへ、リリスとってもポカポカしたの?」

リリス「別にしたいわけじゃないですから。もうさすがに離れてください。暑苦しいです」

ピエリ「はーい。えへへ、リリスの体温いっぱい感じちゃったの」

リリス「その発言、みんなの前では絶対に言わないでくださいよ。また変な誤解をされてしまいますから」

ピエリ「そうなの。ピエリ、何も嘘言ってないのよ?」

リリス「嘘じゃなくても如何わしく考える人がいるんです。だから、絶対に言っちゃ駄目ですからね」

ピエリ「うー……わかったの」

リリス「ふふっ、素直に聞いてくれてうれしいです。ピエリさんのそういうところ、私は好きですよ」

ピエリ「そこだけしか好きじゃないの?」

リリス「また、話がこじれそうになる進路変更、いただけませんねぇ」

リリス「それじゃ行きましょうか」

ピエリ「リリス、ピエリの質問に答えてないの」

リリス「全てのことに応えられるわけじゃないんです。それより、そろそろ夕食の準備があるはずです。泊めてもらっている身ですから、なにか手伝いをと思ってます」

ピエリ「リリス、お手伝いできるの?」

リリス「少なからずはできますよ。さすがにピエリさんのようにおいしいご飯は作れませんけど」

ピエリ「えへへ、ピエリのお料理の腕はピカイチなの。マークス様もそう言ってくれたのよ」

リリス「そうですか。はぁ、マークス様といえば、暗夜に向かったレオン様とニュクスさんはもう着いた頃でしょうか」

ピエリ「ゆっくりでももう到着してる頃なの。それよりも、リリスお手伝いに行くんじゃないの? 早く行くの」

リリス「え?」

ピエリ「ピエリも手伝うの。リリスが手伝うなら、ピエリも一緒に手伝うの!」

リリス「……ふふっ、わかりました。それじゃ行きましょう。ヒノカ様が今日は御鍋にするって言ってましたから。一緒に材料の仕込みをしましょうか?」

ピエリ「うん、そうするの! リリスと一緒にお料理楽しみなの!」

リリス「……本当にピエリさんはおかしな人ですね」

リリス(しかし、こちらはどうにかなりつつありますけど、レオン様の方はどうでしょうか……。ニュクスさんのこともありますし……)

(何か問題が起きていないといいのですが……)

きょうはここまで

 ピエリリスはとても可愛い。

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都ウィンダム正門前―

ニュクス「少し時間が掛ったけど、どうにか戻ってこれたわね」

レオン「ん、そうだね……」

ニュクス「どうしたの? 久しぶりで緊張しているとか?」

レオン「……うん、そうかもしれない」

レオン(正直、まだ心に整理がついてない。姉さんと顔を合わせても大丈夫なのかどうか……。まだ、僕は姉さんのことを諦め切れてるわけじゃないっていうのに……)

ニュクス「……王都入りするのは明日にする?」 

レオン「え?」

ニュクス「不思議そうな顔をしないで、そんな怖い顔をしていたら嫌でもわかるから」

レオン「……そんな顔してたかい?」

ニュクス「ええ。何時もみたいな可愛い顔じゃなかったもの」

レオン「か、可愛いって言わないでくれないかな。これでも結構気にしてるんだから……」

ニュクス「大丈夫、今の落ち込んでる顔も可愛いわよ」

レオン「それ、全然フォローになってないから」

ニュクス「でも、本当に辛いのなら戻らなくてもいいと思うわ」

レオン「ニュクスのことだから向き合わないといけないって言ってくると思ってたんだけど」

ニュクス「そんな怖い顔で歩いていたら、町の皆が気にするでしょう? それに、あなた自身折り合いがついてないの行くのはリスクが高いことくらいわかっていると思うけど?」

レオン「確かにそうだね。だけど、こればっかりは時間がどれくらい経っても変わらないよ。ニュクスの気遣いはうれしいけど、ずっと逃げてるわけにはいかない。ちゃんと、向き合わないといけないことだから。大丈夫、白夜で修行をしてたんだ。結果は実践しないとわからないからね」

ニュクス「そう、レオン王子がそう言うなら、もう何も言うことはないわ。自分だけで何としなさい」

レオン「そうするつもりだよ。でも、ありがとう」

ニュクス「?」

レオン「その、僕のことを気遣ってくれたからさ……」

ニュクス「べ、別に気にすることじゃないわ。そもそも、私はただその顔で街中に入ったらいろいろと問題があると思って……ゴニョゴニョ////」

レオン「やっぱり、お礼を言われるのは苦手なんだね。まぁ、これでお相子ってことで僕は満足かな」

ニュクス「もう知らない」プイッ

ニュクス「……」チラッ

レオン「ははっ」

ニュクス(うわああああああ、レオン王子の笑顔可愛いよぉ//////)

 ワーワーワー

ヤスイヨヤスイヨー

ニュクス「今日は市場が開かれてるのね。大通りに人が溢れているわ」

レオン「ああ、みんなの表情が柔らかくなったのは白夜との交易が盛んになったからだから、こうやって市場が立っているのを見ると、それが実感できてうれしいよ」

ニュクス「そうね。従来に比べて白夜の商品が並ぶ市場も増えてきて、暗夜から白夜へ旅をする人も多くなったわ。その逆も然りだけど、これはレオン王子の功績よ」

レオン「僕がしたのは交通網の整備だけさ。道ができただけじゃ意味はない、そこを誰かが歩いてくれないと何の意味もないからね。互いを理解して、それ以上に知りあうことを求めた人たちがいたから、今があるんだと僕は思ってる」

ニュクス「だとしても、その基礎を作ったのはあなたよ。そこは胸を張っていいことじゃないかしら?」

レオン「……僕がしたことなんて、姉さんや兄さんがしたことに比べれば大きなことじゃないよ。ただ、必要なことだったというだけで……ん?」

ニュクス「どうかした?」

レオン「今、見たことある影が路地に入っていった気がして……。なんであいつがここに?」タタタタッ

ニュクス「レオン王子?」

タクミ「……はぁはぁ」キョロキョロ

タクミ「こ、ここなら大丈夫だよね……」ガサゴソガサゴソ

タクミ「……こ、これはその浮気とかじゃないんだ。そう、勉強、勉強のために必要な物であって、決してやましい気持ちがあるわけじゃなくて……」

レオン「浮気とかじゃないって、どういうことかな?」

タクミ「え、レ、レオン王子!? なんでこんなあんたがいるんだ!」

レオン「それはこっちの台詞だよ、タクミ王子」

タクミ「わわっ」ガサゴソ

レオン「今隠したものは何だい?」

タクミ「な、なんでもないし、レオン王子には関係の無い!」

レオン「僕には関係ないとしても、お前は僕の妹の恋人だ。そんなお前が挙動不審な行動をしているのを放っておけるわけないだろう。さぁ早く、その包みの中身を見せるんだ。やましい理由がないなら、見せられるはずだろ?」ガシッ

タクミ「や、やめろ!」ガシィ

レオン「少し見せてもらうだけだ。確認したらすぐに返してやる」ググググッ

タクミ「だめだだめだだめだ! これは僕の物なんだ」ググググググッ

レオン「往生際が悪いよ、タクミ王子! 嫌でも渡さないなら、力づくで確認させてもらう」

タクミ「ふん、腕力で僕に勝とうっていうのかい? 残念だけどいくらレオン王子でも力勝負で僕に勝てると――」

レオン「タクミ王子、覚悟はいいね?」シュオオオンッ

タクミ「」

タクミ「ちょっと、魔力行使なんてひきょ――」

レオン「問答無用、ブリュンヒルデ!!!」

 バシュンッ!!!

タクミ「そ、んな……」ドサドササッ

 ヒューーーーン

レオン「あ、勢いあまって袋が!」

ニュクス「レオン王子、今の音は一体――」

 ポス

ニュクス「ん、何かしらこれは。袋に何か入っているけど」

レオン「ああ、タクミ王子の持ち物だ。ちょっと確認してくれるかな」

ニュクス「タクミ王子のね。一体何が入っているのかしら」スッ

ニュクス「」

レオン「……ニュクス?」

ニュクス「」

レオン「その袋の中に一体何が入って――」チラッ

『L○ ~暗夜の契り。差し出される幼い心・紐解ける夜の情事~』

レオン「」

レオン(こ、これは、いわゆるロリ雑誌!!!)

タクミ「う、うううっ、くそっ、本……本は……あっ」

レオン「……」

ニュクス「……」

タクミ「やめろ、僕を僕をそんな目で見るな!」

レオン「タクミ王子……」

タクミ「なんだよ、その憐れみを含んだ目は!」

レオン「いや、その、やっぱりエリーゼを好きになった理由って……」

タクミ「違う、僕はそんな体型が好きだからとかそんなことでエリーゼ王女と恋人になったわけじゃない!」

レオン「わかってるよ。タクミ王子がそんな風にエリーゼと接していたわけじゃないってことくらい」

タクミ「レオン王子……」

レオン「……ところでタクミ王子」

 ペラッ

レオン「この表紙の子達だけど、どれが好みなんだ?」

タクミ「選べるわけないよ。どのこもぷっくりしてて柔らかそうで、やっぱりこういう体系の子は……あ」

レオン「やっぱり、見た目じゃないか!」

ニュクス(……レオン王子、すぐに表紙から目を逸らしてた。やっぱり、幼児体形には興味ないってことよね……)ズーン

レオン(ニュクス……。ショックを受けているのか。当然だ、こんな本を僕の妹という存在がいながら買っているんだから、僕だって出来れば信じたくなかったけど……)

レオン「さぁ、吐いてもらうよ。なんでこんなものを買ったんだい?」

タクミ「そ、それは……」

レオン「まさか、エリーゼとの関係が冷え込んでるからとかそんな理由だったりしないよね。もしもそうだったら僕はお前を吹き飛ばさないといけなくなる」

タクミ「……」

レオン「タクミ王子」

タクミ「……僕だって僕だってこんな本に頼りたくないよ。でも、でも……だめなんだ」

レオン「なにが」

タクミ「出来る限りナニを空っぽにしておかないと、誘惑に負けそうになるから。読んでれば知識も手に入るし、空っぽに出来て一石二鳥だし」

レオン「……え、何の話?」

タクミ「レオン王子、一つ聞くけど裸の女性が素股してくれたとするよ?」

レオン「ちょっとまて、今ここでそんなことを僕に聞くな」

タクミ「そっちが言えって言ったんだろ! 責任取ってくれなきゃ困るんだよ! わかるかい、真夜中に裸で恋人が自分の息子を扱かれてるなんて、そんな状態を目の当たりにした僕の気持ちが!」 

レオン「……わかった。その話は王城で聞く、だからお願いだ」

「そんなもっこりさせながら、近づいてこないでくれ。頼む……」

今日はここまで

 タクミはおっぱい星人にもロリコンにもなれる系王子

◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王城クラーケンシュタイン『レオンの部屋』―

レオン「落ち着いたかい?」

タクミ「あ、ああ。ごめん、さっきは……その」

レオン「謝るのはやめてほしい。その、いろいろと思いだしたくないものを思い出すことになるから」

タクミ「わかった……。それで、さっきの話の続きなんだけど」

レオン「はぁ、やっぱりその話しなくちゃいけないのかい?」

タクミ「あ、当たり前だ。僕に色々としゃべらせるだけで終わりになんてさせないよ。これでもかなり悩んでいるんだから……」

レオン「……わかったよ。さっきの本のこともあるからね。ただし、話を聞いている限りでタクミ王子、君に非があるような内容だったら、ブリュンヒルデで……」

タクミ「殺すつもりか!?」

レオン「まさか、そこまではしないよ」

タクミ「そ、そうだよな。さすがに殺したりは――」

レオン「精々、君のイツモツが常に真下に向くように細工させてもらうだけだよ」

タクミ「」

レオン「それで、あの本を買った本当の理由はなんなんだい?」

タクミ「それはさっき説明したじゃないか」

レオン「説明? あれか空っぽにとか何とか言っていたけど、まさかそれが説明だって言うんじゃないよね」

タクミ「……そうだよ。そうしないと、僕はエリーゼ王女を傷つけてしまいそうだから…」

レオン「……どういうことだい?」

タクミ「……」

レオン「黙っていたら話が進まない。さっさと話してくれないかな?」

タクミ「わかったよ。……レオン王子、さっきの話の続きだけど、恋人が全裸で自分のアレを素股してくれてたらどう思う?」

レオン「僕は真面目な話をお願いしているんだけど?」

タクミ「真面目な話だよ。本当に、僕にとってはすごくまじめな話なんだ」

レオン「……」

レオン(内容はともかくとして、タクミ王子はとても真剣だ……。でも、正直聞きたくない。妹のそう言うところを耳に入れたくない……)

タクミ「レオン王子だって恋人にそう言うことしてもらいたいだろ?」

レオン「恋人なんていないからわからないよ」

タクミ「え、そうなの」

レオン「そうだ」

タクミ「……そうか、そうなのか……。ふーん、てっきりレオン王子にもいると思ってたけど、まさかいないなんてね」

レオン「それじゃ、僕は兄さんに報告があるからこの辺で――」

タクミ「冗談、冗談です。まってお願いします。ごめんなさい、なんでもしますから!」

レオン「それで、そんな生活も性活も順風満帆なタクミ王子が、僕みたいな経験皆無の男に何を聞きたいわけ?」

タクミ「やっぱり経験はないんだね」

レオン「話を逸らすなら本当にここまでにするよ」

タクミ「ご、ごめん」

レオン「まぁいいや。話を聞いてる限りだと、僕の妹が君に素股をしてくれているっていうことみたいだけど……」

タクミ「そうなんだ。その、すごく気持ちいいんだ」

レオン「君の感想は求めてないんだけど」

タクミ「エリーゼの素股は、本当に気持ちいんだ。その時々、本番の練習でしてることもあるんだけど」

レオン「そういう感想は自分の胸の中にだけしまっておいてほしい。正直、聞いてて複雑な気持ちになってくるから……」

タクミ「……まさか、欲情」

レオン「しないから」

レオン「で、まさかだけど、その最中に本番をしたいとか思ってしまったなんて話じゃないよね」

タクミ「僕はエリーゼ王女に触れながら達せただけで、すごく満足してるよ」

レオン「……満足してるなら、なんで誘惑に負けないように空っぽにする必要があるんだい? 君が満足しているなら間違いなんて……」

タクミ「僕は満足してるって言ったよね?」

レオン「……」

レオン「……え、ちょっとまって。満足できてないのって……」

タクミ「うん、エリーゼ王女のほうなんだ……」

レオン「」

レオン(聞きたくなかった……。え、エリーゼが? あのお花畑で花を摘んだり、盗賊を退治しないで治療する。そんなお子様みたいなエリーゼが、淫乱になってるなんて信じられない)

レオン「タクミ王子、エリーゼに何をしたんだ!」

タクミ「僕はなにもしてない。むしろされてばっかりだよ」

レオン「だけど、信じられない。あのエリーゼがそんな……」

タクミ「僕も正直信じられなかった。でも、この前の夜、僕は襲われたんだ……」

レオン「」

~~~~~~~~~~~~~~~

 ハァハァ、 ンッ ハァハァ

タクミ(なんだろう、誰かいる?)スッ

エリーゼ「んっ、ふあああんっ、あっ、あっ、あんっ」ズリュズリュ

タクミ(え、エリーゼ。な、何をして――)

エリーゼ「んっ、タクミさんのお○んぽ、いい、いいよぉ。ふああっ、先端のところ、あたしのココぉ、いっぱいいっぱい触れてるよぉ」グニュグニュ

タクミ(エ、エリーゼ。なんで下着を穿いてないんだ。間違って入ったりしたら、と、止めないと――)

エリーゼ「はっ、つぅ、ほしい、ほしいよぉ……。タクミさんのおち○ぽ、ほしいよぉ……。こんなに、いっぱいスキスキしてるのに、んっ、寂しいよぉ……」

タクミ(……エリーゼ)

エリーゼ「あっ、あっ、タクミさん、タクミさぁん、あたしいっちゃう、いっちゃう、タクミさんのお○んぽで、ココいっぱい触られて、きちゃう、タクミさぁん、あああああうううっ!!!」ビクビクビク

タクミ(エリーゼ!!!!んっくうっ!!!)ビュルビュルルルッ

エリーゼ「はぁはぁ、タクミさんの、いっぱい、いっぱいココについちゃったぁ……。タクミさぁん……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

タクミ「こういうことがあったんだ」

レオン「……ごめん、少しだけ、少しだけでいいんだ。整理する時間をくれないかな。正直、ちょっときつい……」

今日はここまで

 エリーゼのような子が、性におぼれている姿はとてもいやらしい

タクミ「落ち着いた?」

レオン「ああ、それなりにだけど……」

タクミ「なら話を戻すよ。エリーゼ王女が夜な夜な僕のあれを弄ってくる件なんだけど」

レオン「もう、この話やめないか」

タクミ「そうはいかないよ。話を聞くと言ったのはそっちじゃないか!」

レオン「確かにそうだけど、肉親の性事情を聞かされるこっちの身にもなってほしい……。正直、もう眠って忘れたいくらいなんだから、タクミだってサクラ王女の性事情なんて聞きたくないだろ?」

タクミ「それはそうだけどさ……」

レオン「でしょ? だから――」

タクミ「だけど、すでにその情事を見てしまったから、話程度じゃ動じないかもしれない……」

レオン「え? なんで二人のそう言うところ見てるわけ?」

タクミ「王城の中庭でヤってたら嫌でも見ることになっちゃうんだよ! 白夜から寄贈された桜の木の下で昼間からお楽しみだったんだよ!」

レオン「」

タクミ「もう、あの木を見るだけでも滅入るんだ……。だから、この頃は中庭を避けて歩いてる」

レオン「……その、ごめん」

タクミ「なら僕の話を聞くのは当然だと思うんだ」

レオン「いや、その理屈はおかしい」

タクミ「ともかく、僕はその……踏み外してしまいそうで怖いんだ。エリーゼ王女がそう言うことをしたいって思ってくれてるのは正直うれしいけど……。僕だって今のエリーゼにはまだ早いって言うことくらいわかってる」

レオン「タクミ王子……」

タクミ「でも、正直どこかエリーゼ王女を裏切ってるんじゃないかって思うこともあるんだ」

レオン「あの本を買ったことを悔やんでいるんだね」

タクミ「そっちじゃないよ」

レオン「ん、だったら何を裏切っているっていうんだい?」

タクミ「……僕はエリーゼ王女の期待に応えられていないんじゃないかって。それが原因でこうなってるなら、それは僕が十分にこたえられなかったからなんじゃないかって、そう思ってしまうんだ」

レオン「……」

タクミ「な、なんで無言になるんだよ!」

レオン「いや、その……あまりにも、タクミ応じらしくない言動だなって思って」

タクミ「僕らしくないってなんだよ」

レオン「いや、もっと自分本位なことを言うと思ってたからね。これもエリーゼのおかげかな?」

タクミ「あんたに言われると、すごい腹立つな」

レオン「でも、タクミ王子がそう思っているなら、やっぱりちゃんと話をするのが最善手だと僕は思うよ」

タクミ「そ、そんな、今言ったことをエリーゼ王女に話せって言うのかい!?」

レオン「そういうことだね。だって、タクミ王子はエリーゼのことを大切に思ってくれてる。今の言葉、できれば僕よりも先にエリーゼに伝えてあげてほしかったことだからね」

タクミ「……エリーゼ王女は話を聞いてくれるかな?」

レオン「それはタクミ王子の腕の見せ所だよ。こっちが条件を出すなら、相手の条件を満たしてあげるのも一つの手段だからね。自分だけに有利な交渉なんてものは存在しないし、相手に何かをお願いするっていうのは小さな交渉、結果を得るために譲歩するのは当然だからね」

タクミ「そうだよね。こんなのに頼ろうとしてた僕が馬鹿だったよ。これは後で捨てておくよ」

レオン「そうした方がいいさ。僕はタクミ王子がエリーゼの相手として認めてるんだ。その決定を裏切らないでくれると嬉しいよ」

タクミ「ありがとうレオン王子……」

レオン「僕へお礼をするよりも、やることがをさっさとしたらどうだい?」

タクミ「そうだね、そうさせてもらうよ」

レオン「あ、その前にその本はちゃんと処分してから――」

 ガチャ バタンッ

レオン「のほうがいい……って聞こえてないか」

レオン(まぁ、流石に本をどうにかしてから行くだろうし、要らぬ心配だよね)

 ガチャッ

レオン「ん?」

ニュクス「タクミ王子の件、解決したみたいね?」

レオン「まぁね。と言っても、僕は助言をしたに過ぎないよ。それに結構応えたかな」

ニュクス「みたいね……。一息入れましょう。レオン王子、すごい顔になってるもの」

レオン「そんな顔になってるかい?」

ニュクス「ふふっ。とっても疲れた顔をしてるわ」

レオン「……それは正直困るね」

ニュクス「でしょ? 今珈琲を淹れるわ。ちょっと待ってて……」

レオン「うん、ああ、奥にポットとかがあるから勝手に使ってかまわないよ」

ニュクス「ええ、そうさせてもらうわね」

 テトテトテト

レオン(はぁ……。少し落ち着いたら兄さん会いに行こう。タクミ王子から聞かされた件もあるし、一応注意しないと……)

 コンコンッ

レオン「あれ、だれだろう?」

レオン(もしかして、タクミ王子が戻ってきたのか?)

 ガチャ

レオン「はい」

カムイ「あ、レオンさん。本当に戻られていたんですね」

レオン「か、カムイ姉さん!?」

カムイ「お久しぶりです。あの、ちょっと失礼しますね」クンクンクン

レオン「え、ちょっとなに、いきなりなんで人の匂いを嗅いで――」

カムイ「動かないでください。くんくん、あ、ここら辺から匂いますね」

レオン「え、なに、何、僕なにか変な匂いがするの!?」

カムイ「ふむ、やはりそうです。レオンさん、アクアさんに会ってますね。私の鼻は誤魔化せませんよ」

レオン「!?」

カムイ「ここ数日の間にアクアさんを探してもいませんでしたから。その行方を探ろうとしていたんですけど、誰も知らないと言うので。突然帰ってきたレオンさんが何か知っていると思ったんです」

レオン「なら口で聞いてよ、こんな方法とらないでくれないかな////」

カムイ「ふふっ、顔を赤くして可愛いです。もしかしたらアクアさんに口止めされてるんじゃないかって思って、こういう形で探らせてもらいました」

レオン「僕としては普通に聞いてくれた方が良かったよ……って」

カムイ「?」

レオン「そ、その少し離れて……////」

カムイ「ふふっ、姉弟なんですから。そんなに恥ずかしがることじゃ無いと思いますよ」

レオン「姉さんが恥ずかしくなくても、僕は恥ずかしいんだよ」

カムイ「えへへ、わかりました。これ以上意地悪しちゃうと、レオンさんが怒ってしまいますからね」

レオン「はぁ、もう……」

カムイ「ふふっ、ごめんなさい。でも、怒ってるレオンさんも可愛いから、ついからかっちゃうんです」ニコッ

レオン「!!!」ドクンッ

レオン(ううっ、くそっ、辛いな。こういうの……タクミ王子にあんなこと言っておいて、僕のほうは……そのことをつげてもいないんだから)

レオン(正直、僕の方が道を踏み外しそうだって言うのに。タクミ王子がうらやましい、少なくともタクミ王子は好きない相手との悩みで、僕はすでに恋人のいる相手にまだ恋心を抱いてるなんて)

レオン(もしも、もっと前に僕が前に出ていたら。今探している人の名前が僕の名前になっていたのかな……)

カムイ「レオンさん?」

レオン「……え?」

カムイ「どうしたんですか、なんだかぼーっとしてますけど」

レオン「あ、ごめん。その、少し考えごとをしてて」

カムイ「そうなんですか。ここまでずっと歩いて来たんですよね? なら、ちゃんと休まないと駄目です」

レオン「うん、そうするよ」

カムイ「ふふっ。ところで、アクアさんがどこに行ったか知りませんか?」

レオン「それがよくわからなくて、無限渓谷で別れたときもどこに行くのかは言われなかったから」

カムイ「無限渓谷ですか。確かに全方位に道は開けていますけど。もしかして透魔王国に向かったのかもしれません」

レオン「何か企んでるんじゃないかな?」

カムイ「そうかもしれません。まぁ、それも後々聞き出します。方法も――」

レオン「いや言わなくてもいいよ。そこ、人差指と中指で何かを責め立てるみたいな動きしなくていいから!」

ニュクス「なんだか賑やかだと思ったら、カムイが来ていたのね」

カムイ「あれ、ニュクスさん。どうしてここに?」

ニュクス「レオン王子と一緒に帰ってきたのよ。ちょっと、用事があってね」

カムイ「そうなんですか。なんですか、二人一緒に珈琲を楽しむ仲になっていたんですね」

ニュクス「こ、これは私が淹れただけだから……。よかったらカムイもどう?」

カムイ「すみません、すぐに戻る用事があるので。レオンさんの無事を確認できたので、これで失礼しますね」

レオン「うん、それじゃね」

カムイ「はい、ニュクスさんも失礼しますね」

ニュクス「ええ」

 ガチャ バタンッ

レオン「……」

ニュクス「レオン王子、大丈夫?」

レオン「ああ、大丈夫だよ。その、もらっていいかな」

ニュクス「ええ、熱いから気を付けたほうがいいわ」

レオン「うん、ありがとう」

 ズズッ

レオン「苦いね……」

ニュクス「ええ、私は慣れたものだけど」

レオン「……ニュクスは大人だね。僕にはちょっと、苦みが強すぎたかもしれない」

ニュクス「そう、なら久しぶりに話をしましょう? 目を瞑って、大人になった私をあなたが思い浮かべてくれればそれでいいから」

レオン「ありがとう」

ニュクス「礼なんていらないわ。さぁ、始めましょう?」

レオン「うん」パチッ

ニュクス(私にもこれは苦すぎるわね。まだ、貴方の心にはカムイが燻っているのを知っている。こうやって、となりにいることが幸せに思えた今だからこそ、とても重く感じられる。あなたがそれに決着をつけない限り、動きだせないのが私だってわかっているから)

レオン「ニュクス」

ニュクス「なに、レオン王子?」

レオン「今日は魔術について話がしたい。いいかな?」

ニュクス「ええ、いいわよ。あなたの疑問にできる限りこたえてあげる」

「貴方が安らぎを感じられる、その時まで……」



 タイムリミットまで残り2日……

今日はここまで

 暗夜王城中庭は、マークスとサクラのベッドルーム。
 タクミが踏み外すとロリコンになり、レオンが踏み外すとNTRとなる。
 

◇◆◇◆◇
―白夜王国・シラサギ城『客間』―

リリス「……」

リリス「知らない天井ですね……」

リリス「……」

リリス「まぁ、暗夜王国じゃありませんし、当然ですよね。ふっ、んんーーーっ、はぁ~」ムクリ

リリス(昨日はなんというか色々と激動の時間でしたね。無理やりされて気持ち良くなっちゃう人って思われるし……)

リリス「それにしても……」

ピエリ「すぅ……すぅ……」

リリス「なんでお約束のように私の布団に入ってくるんですか。もう……」

ピエリ「んふふっ……リリスぅ……」ヌクヌク

リリス「ちょっと、寝ぼけて抱きつかないでくださいよ。昨日のこともあるんですから、こんなところ誰かに見られたら――」

 サーッ

スズカゼ「ピエリさんにリリスさん、おはようございます。朝から励まれているとは恐れ入ります」

リリス「誤解を生むような発言は慎んでくれませんか、本当に」

ピエリ「んっ、リリス?」

リリス「ピエリさん、おはようございます」

ピエリ「んっ、おはようなの……。ここどこなの?」

リリス「ふふっ、寝ぼけているんですね。白夜のお城ですよ」

ピエリ「白夜のお城……。あ、そうなの。ピエリ白夜に来たのよ!」

スズカゼ「はい、そうですよ」

ピエリ「あ、スズカゼなの! おはようなのよ!」

スズカゼ「おはようございます。もう少しで食事ができますので、お二人は準備ができましたら来てください」

ピエリ「わかったの!」

リリス「まさか、それを伝えるためだけに来たって言うんですか?」

スズカゼ「ええ、ヒノカ様からの命令ですから」

リリス「そうですか、ならさっさと帰ってください。何か問題を起こす前に!」

スズカゼ「ははっ、そうさせてもらいます。では、また後ほど」サッ

リリス「はぁ、まったくもう、こんな風にちょっかい出さなくてもいいのに」

ピエリ「スズカゼとリリス、とっても仲がいいのね!」

リリス「どう見たらそう解釈できるのかなぁ」

ヒノカ「む、少し遅かったな」

リリス「あ、ヒノカ様。すみません、お待たせしちゃいましたか?」

ヒノカ「いや、大丈夫だ。昨日はゆっくり眠れたか?」

リリス「はい、夜のお鍋とってもおいしかったです」

ヒノカ「そうか、そう言ってもらえるなら料理をしてくれた者たちも喜ぶだろう」

リリス「あれ。昨日のお鍋はヒノカ様も手伝ったんですよね?」

ヒノカ「な、なんでそう思うんだ?」

リリス「いえ、なんて言うか具材がとてもその、男らしく切れていたので……」

ヒノカ「な、なんでそれだけで私が手伝ったと思えるんだ」

リリス「そんな、包帯でぐるぐる巻きになった手を見せつけられても説得力がないんですよ」

ヒノカ「あ、こ、これは今日の朝にだな」

リリス「昨日の夜からでしたよ。もう、そんな嘘吐いても意味なんてありませんよ。だけど、どうして料理のお手伝いなんてしたんですか?」

ヒノカ「そ、その、臣下がおまえに迷惑を掛けた件もあるし、何よりも根野菜を食べたいと言っていたからな。せめてもの罪滅ぼしになるならと手伝ったんだ。まぁ、結果は見ての通りだがな……」

リリス「ふふっ、形がバラバラで不格好でしたけど。でも、とってもおいしかったです。ヒノカ様のその思いが最高の味付けだったんだって思いますよ」

ヒノカ「そ、そうか……。その、なんだかそう言われると恥ずかしいな」

ピエリ「だけど、ヒノカ様って野菜しか切ってないのよね?」

ヒノカ「そうだが……」

ピエリ「じゃあ、汁の味って……」」

リリス「まぁ、切るのがあれですから、出汁に取り掛かろうとしたあたりで料理担当が血相を変えて駆け付けたのかもしれません。見ているだけでもハラハラするクッキングだったんですよきっと」

ピエリ「包丁の持ち方がやばい奴かもしれないの。ほら、あの黒いところをもってやるのよ」

リリス「いくらヒノカ様で包丁の腹を持ったりしませんよ。ちゃんと柄だってありますし……」

ヒノカ(腹、包丁の腹ってなんだ!?)

リョウマ「む、リリス、おはよう」

リリス「おはようございます、リョウマ様。それにベルカさんも」

ベルカ「ん……」

ピエリ「もう、リリスがおはようって言ってるからおはようって返さなきゃ駄目なのよ」

ベルカ「そう……」

リリス「いいんですよ。さっきのがベルカさんのあいさつなんですから」

ピエリ「むー、リリスがそう言うのならいいの。それより朝ごはんなのよ」

リョウマ「そうだな、ヒノカ何を固まっているんだ? 早く座って飯にしよう」

ヒノカ「あ、ああ。わかった、ところでサイゾウとスズカゼはどうした?」

リョウマ「サイゾウならいる、今は隠れているだけだ」

ヒノカ「また、隠れているのか。こういう時くらいは一緒にいてもいいというのに。それとスズカゼは?」

リョウマ「至急の任務があると言っていたが、ヒノカの命令ではないのか?」

ヒノカ「いや、私はリリスたちを起こしてくるように頼んだくらいだ」

リリス(また、碌でもないことをしている気がしますが、平和な食卓を送れるなら今はそれでいいですね)

ピエリ(リリス、またスズカゼのこと考えてるのね。眉間にすごい皺が出来てるの)

リョウマ「ふぅ、そう言えば俺の用事は終わったわけだが、リリス」

リリス「はい?」

リョウマ「お前はなにをしに白夜にやってきたんだ? こんなところまで来たんだ、何か理由があってのことだろう?」

リリス「そ、それはですね……」

リリス(そうでした。私はアクアさんの命令で、リョウマ様を玉座に座らせないといけないんでした。確かアクアさんと別れてから三日後でしたよね。ということは、今日にはそれをして無限渓谷に行かないといけないんですか!?)

リョウマ「どうした、リリス」

リリス「いえ、そのですね……」

リリス(どうするべきでしょうか。別にアクアさんの野望を打ち砕いてもいいですけど。ここでどうにか物事を成功させて後顧の憂いを絶ちたいのも事実です。でも、なんて説明すればいいんでしょうか)

リリス『アクアさんがお○んちんの生える薬を欲しがっているので玉座に座ってくれませんか?』

リリス(駄目です駄目です。今の私がそんなことを言ったら、もっと変な誤解をされてしまいます。女の子はみんなお○んちんを欲しがっているとか、そんなことを思っている変態に思われるかもしれませんし、なにより……)

リョウマ「?」

リリス(アクアさんがカムイ様を犯すために欲しがってるなんて知れたら、どうなるかわかりません……)

今日はこれだけ

リョウマ「リリス、何か言い辛い事情でもあるのか?」

リリス「え、ええとですね……」

リョウマ「何か困っているのであれば、俺が力を貸すぞ。ここまでの旅路、色々と世話になったからな」

リリス「そ、そうですか」

リリス(すごくうれしい申し出ですけど、どう説明すればいいんでしょうか。今日の正午くらいから玉座に座ってくれませんかと言われたら、その理由を聞きたくなるのが人情という物ですし。私だってそんなことを頼まれたら理由を最初に聞きたいと思いますから、なんで私が椅子に座らなければならないのかと)

リョウマ「大分悩んでいるようだが。もしや、アクアと何か関係があるのか?」

リリス「な、なぜそんな風に、お、思うんですか?」

リョウマ「確証はない、俺の勘だ。渓谷の時もそうだが、真っ先にアクアとどこかへ行ってしまっただろう?」

リリス(状況証拠が揃い踏みとか、これどうやって誤魔化せばいいの?)

リョウマ「ひょっとしてだが、何か良心の呵責に悩まされるようなことを手伝わされているのではないかと思ってな」

リリス「え、心配してくださるんですか?」

リョウマ「当たり前だ。アクアは暗夜、いや透魔の人間であろうとも、俺たちにとっては義妹(かぞく)だ。その義妹(かぞく)のことで何か問題を抱えているのなら、それを正すべきだろう?」

リリス「なんか、フリガナがおかしい感じがしますけど。普通ならアクアさんのことを信じてあげるものじゃないんですか?」

リョウマ「ああ、信じているからこそ。アクアの真意を確かめたいというのが本当のところだ。カムイと結ばれたというのに、アクアはカムイと今離れて過ごしているのだろう? それが悪い理由であったらな俺は……」

リリス「リョウマ様」

リョウマ「暗夜王国に赴き、色々と進展させてしまうかもしれない」

リリス「なにを進展させるつもりなんですか?」

リョウマ「それは言えないが、カムイにとって悪いことではないはずだ、アクアにとってはわからないがな」

リリス(酷く邪悪な笑みですねぇ。これ、お父様が操ってるとかじゃないですよね)キョロキョロ

リリス(でも、このまま話を引き延ばしたところで言えるわけもないですよね。アクアさんの問題が表面化したら、カムイ様が幸せで無くなっちゃいますから。私はカムイ様に幸せになってほしいから、こうしてここにいるわけですし。はぁ、色々と難しくなりそうですけど、ここは――」

リョウマ「それで、実際のところはどうなんだ。リリス?」

リリス「カムイ様の事を心配して言ってくれているんですよね、ありがとうございますリョウマ様。安心してください、アクアさんにそう言ったことを頼まれているわけじゃありませんから」

リョウマ「そうか。なら今回アクアが一人で出かけているのは」

リリス「いつでも二人一緒というわけじゃありませんよ。ほら、リョウマ様も雷神刀といつも一緒というわけじゃないでしょう?」

リョウマ「この頃は別居状態だったが……」

リリス「……ごめんなさい」

リョウマ「いや、謝ることは無い。それに、今の雷神刀の持ち主はヒノカだ。事実、俺はもうこの国の王ではないのだからな」

リリス「と、ともかくです。いつでもどこでも一緒というのが幸せじゃないという証拠にならないということです。心の絆は何処に行っても強く結ばれているじゃないですか。カムイ様とリョウマ様の絆はとても強くて誇らしいものだと私は思います」

リョウマ「出来れば、鞘と剣の関係になりたかった」

リリス「……ぶち壊しだよ、もう」

リリス「ともかく、アクアさんからそういったお話は受けてません。白夜にはヒノカ様に会いに来た様なものですから」

ヒノカ「わ、私にか?」

リリス「はい、色々と誤解もありましたし、それを解いておこうかなと」

ヒノカ「そ、そうだったのか。すまない、その原因はスズカゼだったというのに」

リリス「まぁ、その点はヒノカ様とサイゾウさんが仇を取ってくれたと思うので。だから、私の白夜の用事というのはもう終わっています」

リョウマ「先ほどの狼狽ぶりを見る限り、そうは見えなかったが」

リリス「突然質問されて驚いてしまっただけですよ」

リョウマ「そ、そうか」

リリス(よし、どうにか話を誤魔化せました。とはいっても、ここからどうやってリョウマ様を玉座に座らせればいいんでしょうか?)

リリス(すでに王じゃないと宣言している以上、玉座に座るという行為そのものを嫌っている節がありますし……。懇願すればするほど、怪しまれますし。うーん、何か突破口は――)

ヒノカ「そうだ、リョウマ兄様。例の写し絵のことなんだが……」

リョウマ「いや、あれは俺ではなく、お前であるべきだろう。今この国を治めているのはお前なのだからな。絵になるべきはヒノカのほうだろう」

ヒノカ「しかし、私では……」

リリス「えっと、何の話ですか?」

リョウマ「ん、実はな。王族の肖像画を作る話がユキムラから上がっていてな。サクラとタクミにも追って話をすることにはなっているんだが」

リリス「肖像画ですか……。白夜の肖像画というと、あの浮世絵という奴になるんですか?」

ヒノカ「いや、今回は趣向を凝らしていてな」

リリス「?」

ヒノカ「まあともかく、その肖像画を作ることに反対はしていないんだ。ただ……」

リリス「ただ、なんですか?」

リョウマ「ヒノカは現在女王としてこの国を収めている立場、ならあそこにいるのはお前であるべきだ」

ヒノカ「いや、まだ私はあそこに座る資格はないと思っているんだ。とてもではないがリョウマ兄様のようにふるまえているわけじゃない」

リョウマ「いや、お前にとってもあそこは重要な意味を持つ場所だ」

ヒノカ「しかし――」

ピエリ「リリス、アソコって何のことなの?」

リリス「そうですね。少なくとも卑猥な物ではないと思いたいです」

ピエリ「そうなの? ピエリがあそこって言ったら卑猥になるの?」

リリス「それは――」

リョウマ「がをのにすると危なくなるのは確かだな。なんというか無邪気さの中に漂う、その……わかるだろう?」

リリス「わかりたくないです」

リリス「もう、あそこの話はいいですから。とりあえず、何の話かちゃんと説明してください」

リョウマ「そうだな。ここまで来てもらったんだ、お前たちの意見も聞きたい」

ベルカ「そう、わかったわ。それで何の話をしていたの?」

ヒノカ「実は――」

~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「――というわけだ」

リョウマ「ああ、つまりはそういうことだ」

ベルカ「……そう」

ピエリ「うーん、何がダメなのかピエリわからないの」

リリス「ああ、なるほどなるほど。そういうことだったんですね。確かにそれはリョウマ様が承諾したくないのも理解できますし、ヒノカ様が引き受けたくないのも分かります」

リリス(でも、これ場合によっては使えます。というよりもこれを使うしかないでしょうし、どうにかその線で攻めてみることにしますか)

リリス(そういえば、暗夜王国に向かったニュクスさんはどうやってレオン様を玉座に座らせるんでしょうか……)

「向こうも向こうで、一筋縄ではいかなそうですけど」

今日はここまで

 『が』を『の』に変えるだけで夢が広がる不思議。

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・クラーケンシュタイン城『大食堂』―

レオン「ううっ、思ったよりも寝られなかった」

レオン(ニュクスには恥ずかしい場所を見せちゃったし、結局カムイ姉さんのことを忘れられたわけでもない。かといって、思いを伝えられたわけでもないし……。そのことを思ったら悶々として中々寝付けなかった……)

レオン「はぁ……」

ニュクス「朝から盛大な溜息ね…。そんな溜息を漏らしたら、幸せが逃げてしまうわよ」

レオン「ニュクス」

ニュクス「おはようレオン王子。その様子だと、あまり眠れなかったのかしら?」

レオン「そ、そんなことないよ」

ニュクス「思いっきり欠伸をかみ殺しながら言う物じゃないわね」

レオン「それもそうだね。おはようニュクス。ニュクスはぐっすり眠れたみたいだね」

ニュクス「ええ、久しぶりにゆっくりと眠れたと思うわ。色々としたいことにも着手できたからかもしれないけど」

レオン(へぇ、戻ったばかりなのに研究をしてるのか、それに比べて僕は……)

ニュクス(久しぶりに自室に戻ったら昂ってしまって、まさか連続で四回もシてしまうなんて。レオン王子に攻め立てられる妄想で三冊ほど本をグショグショにしてしまったから、レオン王子が悲しんでいるといのに私っていう女は……)

エリーゼ「あ、レオンおにいちゃんだ! レオンおにいちゃーん。えーいっ!」ダキッ

レオン「おっと、危ないじゃないかエリーゼ。それにいきなり飛びかかってこないでくれるかな」

エリーゼ「もう、久しぶりなんだからこれくらいいでしょー」

レオン「はぁ、全くもう。こんなままじゃ、立派な王女になるのはまだまだ先だね」

エリーゼ「ぶーっ、いいもん。あたしだってあと数年したら、お胸もお尻も大きい女の人になるんだもん」

ニュクス「ふふっ、中々に理想が高いのね」

エリーゼ「ふふん。あたしの真の姿はこんなものじゃないんだから! それに、この頃はいっぱいいっぱい話し方の勉強もしてるの。立派なレディは話し方も優雅じゃないといけないって、マークスおにいちゃんが言ってたから」

レオン「へぇ、あのエリーゼがね……。少しは王族としての自覚が出てきたってことかな?」

エリーゼ「うん。この頃わかったの。タクミさんともっとエッチしたいなら、色々成長しなくちゃいけないって。お胸とお尻は特に重要なんだよ!」

レオン「りっぱなレディは何処に行ったんだい?」

レオン「もしかしてエリーゼ、昨日タクミ王子と何か話をしたんじゃないかな?」

エリーゼ「え、なんでそう思うの?」

レオン「いや、すぐにタクミ王子の話が出たからね。もしかしたらって思ったんだよ」

エリーゼ「あ////」

ニュクス(これ、メスの顔ね)

レオン「エリーゼ?」

エリーゼ「えっと、な、なんにもないよ! 何にもないからね!」タタタタタタッ

レオン「ふん、何にもないっていうようには見えないけど。でも、エリーゼが大人になろうって思ったってことは、タクミ王子何とか話が出来たってことかな?」

ニュクス「話をしたというよりも、ナニかしたっていう感じだけど……」

レオン「止めてくれ、わかってるんだ。今のエリーゼの顔で大体予想着くから、本当悲しくなるから……」

ニュクス「まぁ、その点はタクミ王子に聞いてみるのが一番ね。昨日、アドバイスがどういう結果を迎えたのか、教えてもらいましょう」

レオン「ああ、そのつもりだよ」

 カツンカツン

ニュクス「あら、噂をすれば……」

レオン「あ、タクミ王子。おは――」

タクミ「やぁ」ゲッソリッ

レオン「」

ニュクス「」

レオン&ニュクス(……なにがあった)

レオン「タ、タクミ王子、どうしたんだいその顔。すごく細いというか、げっそりしているっていうか」

タクミ「ああ、これ? これはあれだよ、なんていうか。僕の譲歩の結果っていうか、そのね?」

レオン「ね?じゃわからないから」

タクミ「本当に空っぽになるんだなって思ってさ」

レオン「は?」

タクミ「エリーゼに寂しい思いをさせてたみたいで、それで……」

ニュクス「ちょっと待ちなさい、タクミ王子順を追って話をしてちょうだい。エリーゼ王女と何があったの?」

レオン「正直、聞きたくないけどことの顛末を話してくれるかな」

タクミ「顛末? 顛末なんて簡単だよ。僕は搾り取られたんだ。もう、汁も出なくなるくらいにね」

レオン「それは終わりだけだよ。僕が聞いてるのはどうしてそうなったかなんだけど」

タクミ「……エリーゼ王女が僕を拘束して、僕は成すすべなくおち〇ちんを執拗に責められて、そこで持っていた本を見られて、こういう見た目の子が好きなのって話になって……」

レオン(タクミ王子、昨日の本を持ったままエリーゼに会いに行ったのか。正直引くよ)

タクミ「そしたら……。エリーゼが今すぐにでもしてあげるって言い始めて……」

レオん「まさか、手を出したんじゃないだろうね」

ニュクス「すでに、ここまでの段階で手を出したとか出してないとかの、レベルではないと思うけど……」

タクミ「僕はレオン王子と話したことを僕なりに話したんだ。エリーゼ王女がとても大切で、応えたいけど暴走したらエリーゼ王女を傷つけてしまうんじゃないかって」

レオン「タクミ王子……」

タクミ「もう少し大きくなったら、ちゃんと正式にしようって、そういう話になって……。エリーゼ王女は僕の気持ちを理解してくれたんだ」

ニュクス「そう、だから大きくなるって言ってたのね。好きな人のために理想を目指す、とてもいいことだと思うわ」

タクミ「うん、あの時のエリーゼ王女はとっても嬉しそうな顔をしてた。僕もエリーゼ王女に嫌われなくてよかったって思ったんだ」

レオン「そうか、二人が仲違いを起こしているわけじゃないってわかって、僕もホッとしたよ」

タクミ「うん、僕もすごくうれしかった」




タクミ「だけど……。そしたらエリーゼ王女がさ」

エリーゼ『だったら、おま〇こにいれる以外のことは我慢しないでいっぱいしてもいいんだよね?』

タクミ「そう、おち〇ちんを扱かれながら言われて……。僕思わずうんって答えちゃって……」

レオン「なんでそこでNOと言えないんだ!」ポロポロ

タクミ「僕だって僕だって男なんだよ‼‼‼ あんなのYESと答えるに決まってるじゃないか‼‼‼‼」ポロポロ

ニュクス「二人とも泣かないで」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

タクミ「あっ、え、エリーゼ王女、だめだぁ」

エリーゼ「んっ、じゅるるっ、んぱぁつ、タクミさんのおち〇んちん、どうしてこんなにおいしいのかな。すごく男らしい匂いがのどでいっぱいいっぱいになってるぅ。はむ、んふっ、ふうぅぅ」ジュルルルルル

タクミ「あ、くる、くるぅ……」

 ビュルルルルルッ ビュルッ

エリーゼ「んふっ、こくんっこくんっ。ぷはぁ……んあー、ふぃへぇ、ひゃふひひゃん、んあー」

タクミ(え、エリゼ王女の口の中、僕の精子があんなに粘ついてる)

エリーゼ「んっ、んっ。ぷはぁっ。全部ごっくんしちゃった。あんなに出したのに、もうこんなに硬くなってるよ?」ツンツン

タクミ「ひゃっ、も、もうここまでに――」

エリーゼ「だぁめ。今さっきタクミさん、うんっていってくれたもん。大丈夫、おま〇こはその時まで待ってるから、だからあたしの体の他の場所で、いっぱいイかせてあげるからね。えへへ、お胸は無いけど、ここならタクミさんのを挟んであげられる。ふああっ、お尻の穴にタクミさんの熱いの当たってるよぉ」ビクンビクンッ

タクミ(はうっ、エリーゼのお尻の谷間に僕のが挟まって、すごく暖かくて気持ちいいぃ)

エリーゼ「タクミさん、今から動くね? エリーゼのお尻の谷間に、いっぱいいっぱい吐き出してね?」ヌチュヌチュ

タクミ「はうっ、うあっ、ひあっ」

エリーゼ「はぁはぁ、お尻の穴、タクミさんの先端が当ってムズムズしちゃう。んんっ、はぁ、やだ、ヌルヌルしてお尻で変な気分になっちゃうよぉ」ズリュズリュ
タクミ「だめ、エリーゼ王女、このままじゃ僕、あああっ」

エリーゼ「ああ、すごい、すごいよぉ。タクミさん、もっともっと擦りつけて、エリーゼのお尻の穴の上にいっぱいタクミさんのザーメン、たくさん塗りたくってよぉ」グチュグチュ

タクミ「え、エリーゼ王女。あっ、きもちいいよ。エリーゼ王女のお尻の谷間、すごくすごく気持ちいい。お尻の穴、先端に感じてるよ」コスコスコス

エリーゼ「ふああん、だめ、そんなこと言われたら、お尻の穴敏感になっちゃう、タクミさんを感じたくて敏感になっちゃう。だめ、エリーゼエッチになっちゃう。タクミさんのエッチなお人形になっちゃうよぉ」ヌルヌル

タクミ「ああ、でる、出るよ。エリーゼ王女のお尻に、谷間にいっぱい、いっぱいい‼‼‼」

 ビュルルルルルルルルッ‼‼‼ ビュルルンンッ

エリーゼ「ああああ、お尻、お尻の穴にいっぱい掛かってる。ふああっ、お尻にあったかいタクミさんのザーメン掛かってぇ、はぁつ、やだ、腰止まらないよぉ。ヌルヌルでお尻の谷間がいっぱいいっぱいになってる……」

タクミ「エリーゼ王女……」

エリーゼ「えへへ、タクミさん。まだ、いっぱいいっぱいするよ。タクミさんが気持ちよくなれるようにエリーゼの体におち〇ちんの感触、覚えさせちゃうからね?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

タクミ「そうあれはエリーゼじゃなくて、エローゼだった」

レオン「最後にうまいこと言ったつもりか?」

ニュクス「まぁエロいから多少はね?」

レオン「ニュクスも納得しないでくれるかな!?」

今日はここまで

 エリーゼとタクミ、幸せな二人の今後にご期待ください。

レオン「とりあえず、エリーゼと仲違いしてるっていうわけじゃなくてよかったってことにするよ」

タクミ「よかったって、この先僕はどうすればいいんだい?」

レオン「そんなこと僕に利かないでくれない?」

タクミ「だってこのままじゃ僕、干からびて死んでしまう気がするんだ」

レオン「エリーゼだって、少しは自制できるはずだよ」

タクミ「僕が自制できるかわからないじゃないか。あの谷間、とっても柔らかいんだ。でもエリーゼ王女は、ちゃんとお尻を手で抑えてくれるから、程良く僕のを締め付けてくれる。もうあんなの味わったら、毎日期待してベッドインしちゃうだろ!?」

レオン「やめて、妹のことを好きになってくれてるのはうれしいけど、そういう生々しい感想なんて聞きたくない……」

タクミ「な、レオン王子はエリーゼ王女の事を馬鹿にしてるのか!?」

レオン「主に馬鹿にしてるのは君の事だよ! なんで僕にそんな話をするんだい、妹の痴態を聞かされ続けて、もう心がチェックメイト寸前だよ!」

タクミ「チェックメイト寸前って、まさかレオン王子……エリーゼ王女のこと」

レオン「それはないかな」キッパリッ

タクミ「よかったぁ」ホッ

レオン「なんで安心してんの!? 僕が実の妹に手を出すような人間に見えるわけ?」

タクミ「うーん、それもそうだね」

レオン「そうだよ、まったく近親だなんて――」

タクミ「だけど、姉だったらどうかな。……なーんて……」

レオン「」

ニュクス「とりあえず、食堂に入りましょう? ここでこんな話を続けるのはあれだから」

タクミ「それもそうだね。僕は先に行ってるよ」

ニュクス「ええ」

 タッ タッ タッ

ニュクス「レオン王子」

レオン「僕は動揺してないから」

ニュクス「ええ、わかってるわ。わかっているから、食堂に行きましょう?」

レオン「ああ……」

レオン(……もしも、カムイ姉さんが本当の姉弟だったら。僕はこうやって恋に落ちてなかったって言い切れない。それくらいカムイ姉さんは大きな存在で、そんな姉さんに『レ、レオンさん、私たちは姉弟なんですよ。こんなこと……』なんて言われたりしたら……)

レオン「……」ググッ

ニュクス「レオン王子? 急に屈んで、何かあった?」

レオン「ちょっと、靴紐が取れちゃってさ。すぐに直して追いつくから。先に行っててくれるかな」

ニュクス「そう、それじゃ先に行って席を取っておくわ」タッ タッ タッ

レオン「……全然、割り切れてないな。くそ、何のために白夜まで行ったのかわからなくなりそうだ……」テトテトテト

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「あ、レオンさん。お久しぶりです」

レオン「ああ、サクラ王女。おはよう、昨日は挨拶に行けなくてわるかったね」

サクラ「いいえ、白夜へ行っていたんですから、長旅の疲れもあったと思いますし、仕方ないと思いますよ」

レオン「ははっ、君はあの戦争の時から変わらないね」

サクラ「そ、そうでしょうか? その、マークスさんと一緒に色々と恥ずかしさを無くす訓練とかしてきたんですけど」

レオン「えっと、僕が言いたかった変わらないところっていうのは人を気遣う優しさの事だったんだけど……」

サクラ「え、そ、そうだったんですか……。その、ごめんなさい勘違いしてしまいました」

レオン「勘違いって、恥ずかしさとかのこと」

サクラ「は、はい。その今も訓練してるんですよ」

レオン「へぇ、そうなのかい。もしかしてマークス兄さんが提案したのかな?」

サクラ「どうしてわかるんですか? 誰にも話してないのに」

レオン「へぇ、そうなんだ。マークス兄さんってそういうところを正そうとする人だからさ」

サクラ「えへへ、私いっぱいマークスさんに鍛えられてますから。もう、どんなところでも応えられるようになってきたんですよ」

レオン(……雲行が怪しくなってきた)

 ガチャンッ

マークス「む、もう揃っていたのか。これは私たちが一番遅かったということか」

カムイ「ふふっ、みたいですね。お兄さんとお姉さんが一番遅刻なんて、ダメダメですね」

マークス「ははっ、そうだな」

レオン「マークス兄さんにカムイ姉さん。おはよう」

マークス「ああ、おはよう。サクラもおはよう」

サクラ「はい。もう、さっきお部屋でおはようは聞きましたよ」

マークス「そうだったな。では、聞かせるおはようではないほうにしよう」グッ

サクラ「あ、マークスさん。みなさんがいるのに……あっ」スッ

レオン(はぁ、朝からキスでおはようか。ずっと前からそうだったけど、マークス兄さんのそういうところ変わって――)

サクラ「んっ、んあっ、んんんっ、ちゅるるっ、はああっ」チュパチュパ レロォ

マークス「んんっ、はぁ、ふぅ、今日もとても熱いな。サクラの中は……」サワサワ

サクラ「ふあああんっ」ビクンッビクンッ

レオン「え、あの二人何してんの? おはようのキスってもっとソフトな奴だよね?」

カムイ「ふふっ、サクラさんとマークスさんは相変わらずですね」

エリーゼ「えへへ、サクラとマークスおにいちゃん、とっても仲良しさんだね!」

レオン「え、なにこの空気…。僕だけしか突っ込む人がいないくらい日常化してるわけ?」

ニュクス「朝からベロチュー、これが新しい暗夜の文化と受け入れるしかないというわけね」

レオン「少しはニュクスも反発してくれないかな……」

レオン「それにしてもカムイ姉さんはまた寝坊?」

カムイ「ふふっ、この頃あまり寝坊はしないんですよ」

レオン「え、城塞にいた時、フェリシアとフローラに起こされてたのに? 正直信じられないな」

カムイ「もう、これでも戦いを通じて色々と成長したんです。ダメダメなお姉ちゃんはもう卒業、これからは頼れるお姉ちゃんになっていくんです」

レオン「そう、それじゃチェスで僕と勝負しよっか?」

カムイ「ううっ、レオンさんは意地悪です、今日も先に起きてるなんて、これじゃお姉ちゃんの出る幕がありません」

レオン「出る幕って、いったい何をしようとしてるのさ?」

カムイ「本当は久しぶりに戻ってきたレオンさんを起こしてあげて、お部屋の外で待って出てきたところで法衣を逆にして着てるんじゃないか調べるんです。それで、逆になってたらお姉ちゃんらしく指摘して、ふふっレオンさんはかわりませんねって法衣を着せ直してあげようかと」

レオン「こ、子ども扱いしないでくれるかな。僕だってあのころとは違うんだから、法衣を間違って着ることなんてもうないよ」

カムイ「そうですか、残念です」

レオン(うう、時間を巻き戻す歯車とかあったら使って戻りたい……)

ニュクス「ないもの強請りは良くないわ、レオン王子」

レオン「こういう時だけ、心を読むのは止めてくれないかなぁ……」

ニュクス(そういえば……アクアからレオン王子を玉座に座らせるように言われていたわね。でも――)

レオン「そっか、暗夜の経済は思った以上にうまく回っているってことだね」

マークス「ああ、サクラ王女との婚約の印に送られてきた桜で白夜の文化に多くの者たちが興味を持ち始めて、物流もほぼ落ち着き始めている。細かな問題はあるが、暗夜の民も白夜の民も快く互いを尊重し合っている」

レオン「なら安心だね。やっぱり、マークス兄さんが王になって良かったと思うよ。僕にあの玉座はとてもじゃないけど似合わないからさ」

マークス「ははっ、うれしいことを言ってくれるな。あの玉座に見合う王として鍛錬を続けるつもりだ、レオン見ていてくれるか?」

レオン「もちろんだよ、兄さん」

ニュクス(こんな会話に水を差すようなことを言うわけにもいかない。ここはアクアの名前を出して強引にことを進めるっていうのは――)

カムイ「はぁ、アクアさんは何処に行ったんでしょうか。この頃、夜にすることが無くて寂しいです。どこにいるかわかれば、すぐに見つけに行くんですけど」

エリーゼ「アクアおねえちゃん、本当にどこに行ったんだろうね? カミラおねえちゃんもどこかに行っちゃったし、もしかして一緒なのかな?」

サクラ「そうかもしれませんね。でも、アクア姉様にいただいた練習書物はすべて試してしまいました。私もアクア姉様にお会いしたいですね」

カムイ「はい、はぁ、体がうずうずしてしてきます。もうここ数日、アクアさんに触れてないって、どうにかなってしまいそうです///」

ニュクス(ここでアクアの事を口に出すのはまずいわね。すぐにでもアクアがどこに行ったのか問い詰められそう……)

ニュクス「はぁ、八方塞がりみたいね……」

マークス「ところでレオン、一つお前に頼みがあるのだが。いいだろうか?」

レオン「何かな。しばらく暗夜にいなかったから財政とかの仕事は色々と目を通してからにしたいと思ってるんだけど……」

マークス「いや、戻ってきてすぐに仕事をしてもらおうとは思っていないさ。それに一度まとまった資料を読んでから事に当たってほしいのでな」

レオン「じゃあなにかな?」

マークス「暗夜が新体制を迎えて今日まで来た、そこで我々の肖像画を作ろうという話が持ち上がっている」

レオン「へぇ、肖像画をね……。それで僕のも必要ってことかな?」

マークス「理解が早くて助かる。すでにエリーゼと私は下書きを終えていてな、あとはカミラとお前ということになる」

レオン「あれ、カムイ姉さんは?」

カムイ「私は暗夜の人間ではありませんから。できれば皆さんと同じように描かれたいという気持ちもあるんですけど。やっぱり、私は暗夜の王族としてここにいることはいけないって思うんです」

レオン「そんなことないと思うよ。だって、姉さんはここでずっと育ってきたじゃないか」

カムイ「ありがとうございます、レオンさん。でも、私は透魔の人間で、一度国を持ちました。だから、暗夜の王族としていることは出来ないんです」

レオン「……そうだよね。ごめん、なんだか困る様なこと言っちゃって……」

カムイ「いいんですよ。その気持ちだけでとってもうれしいです。だから、そんな悲しい顔をしないでください。可愛い顔が台無しですよ」

レオン「な、なにをいきなり――」

ニュクス「そうね、可愛い顔が台無しよ?」

レオン「ニュクスまで、もう!」

ニュクス(怒ってるレオン王子……。今夜はこれで決まりね)

ニュクス「ところでその肖像画だけど、どこで描くか決まっているの?」

マークス「いや、決まってはいない。だが、私は玉座に座っているところがいいと思っている」

レオン「え、玉座って。ちょっと待ってよ、今さっき玉座は兄さんにしか似合わないっていったばっかりじゃないか」

マークス「いや、そうなのだが。レオンが座っている姿というのも見て見たいのだ」

レオン「そんな、僕が玉座に座っている絵なんて、変な勘繰りをする連中が出汁にするだけのものだよ。そんな危険なこと――」

ニュクス「レオン王子の指摘はもっともだけど、私はマークス王の意見を汲んであげてもいいと思うわ」

レオン「ニュクス?」

ニュクス「わからない? マークス王がレオン王子の違う姿を見て見たいっていう、その兄としての感情。確かに王族である以上、そういうものは度外視しなくちゃいけないものだと思うけど、今くらいそう言う試みを試してみてもいいって私は思うわ」

レオン「……だけど、僕なんかが玉座に座るなんて」

ニュクス「ふふっ、確かに玉座は王が座る物だけど、マークス王はレオン王子にその椅子に座る資格があるってそう言ってくれているの。兄弟としてじゃなくて、一人の暗夜の人間として、レオン王子を選んでくれているのよ」

レオン「……そうなのかい? マークス兄さん」

マークス「あ、ああ、そうだとも」

マークス(私はただ、玉座に座った直後にソワソワするレオンの姿が見たいだけだったのだが……)

レオン「……そ、そこまで言うなら構わないよ」

マークス「そうか、そう言ってもらえてうれしいぞ、レオン」

レオン「それで、もう始めるわけ?」

マークス「いや、まだ準備が整っていない。お前の返答次第だったからな。それに今回の肖像画は趣向を凝らしていることもある。少しばかり長丁場になるだろう」

レオン「よくわからないけど、できれば早く始めてほしいかな」

ニュクス「正午より前に始められるようにすればいいんじゃない?」

マークス「そうだな。よし、昼より前から作業に入るとしよう。レオンはそれまで部屋で休んでいてくれ。準備ができ次第、呼びに行く」

レオン「分かった」

ニュクス(……なんていうか、運が良く物事がつながった感じね。リリスの方はうまくやったのかしら?)

レオン「ところで趣向を凝らしているって?」

マークス「ああ、今回の件だが、白夜の軍師ユキムラから提案があり、互いの芸術文化交流も兼ねようということになっていて油絵と浮世絵、暗夜式と白夜式で描くことになっている。今頃、白夜でも同じように作業をしているかもしれないな」

ニュクス(意図的なめぐりあわせを感じるわね……)

レオン「へぇ、そうなんだ。ちなみにどんな服装でいけばいいのかな?」

マークス「ああ、規定があってな腰布だけで来てくれ」

レオン「…………」

レオン「えっと、僕の聞き間違えかな、今腰布だけだって――」

マークス「ああ、腰布だけだ」

レオン「……え?」

レオン「……」

「……………え?」

今日はここまで

 王族の美しさを出すためだから、腰布だけになるのは仕方ないね

~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「どうして、腰布一枚で肖像画を作る必要があるんだよ」

ニュクス「レオン王子、少しは落ち着いて」

レオン「こんなの落ち着いていられるわけない。星界に飾られてた誰かもわからない自分の銅像とはわけが違うんだ! 今回は肖像がなんだよ!」

ニュクス「あー、確かにあれ、誰も似ていなかったわ」

レオン「ここまでの、そしてこれからの暗夜の行く末を考えて作るべきものなのに。どうして、腰布だけでいいってゴーサイン出しちゃうんだよぉ……」

ニュクス「レオン王子……。とりあえず準備だけはしましょう? マークス王も準備を始めているみたいだし」

レオン「……わかったよ。どちらにしても準備だけはするよ、するしかないんだからさ……」

ニュクス「そうね」

レオン「……」

ニュクス「……」

レオン「……あのさ」

ニュクス「どうかしたの?」

レオン「その、着替えるからちょっと部屋の外にいてくれないかい? さすがに恥ずかしいんだ」

ニュクス「……私は一向に構わないわよ」

レオン「ニュクス!?」

ニュクス「冗談よ。外で待っているから、準備が出来たら声を掛けてちょうだい」

レオン「はぁ、ニュクスまで悪乗りしないでくれないか。正直、戻ってきてからあまり心が休まらないからさ」

ニュクス「わかったわ。それじゃ、待っているわね」ガチャッ バタンッ

ニュクス「……」

 ザッ

ニュクス(少しだけ、私のことを意識してくれたんじゃないかって思ってしまうわね…。でも、多分だけど私以外の女がいても同じことを言ったはず。私は特別じゃないわ)

ニュクス「……はぁ、思った以上に厄介な感情よね。こんな感情に揺らされる日が来るなんてね。本当に……」

 ポスッ

ニュクス(はぁ、もしも今私が恋人同士だったら、何のためらいもなく服を脱いでくれたのかもしれない……。いや、どうかしらね。もしかしたら……)

ニュクス「はぁ、こんなことを考えるなんて。焼きが回ったわね、私も」

ニュクス(レオン王子の準備は着々と終わりつつあるから、もう心配することは無いか……)

 コンコンッ

レオン『ニュクス、準備が出来たよ』

ニュクス「そう、開けるわね」

 ガチャッ バタンッ

ニュクス「それで、どんな感じに仕上がって……」

レオン「正直、こんな格好で肖像画になるなんて苦痛でしかないんだけど、ニュクスだってそう思うよね?」(E:腰布)

ニュクス「そうね、控えめに言ってそんな肖像画が後世に残るなんて……正直最高よ」

レオン「それは僕の求めてる答えじゃないなー」

レオン「はぁ、ニュクスも少しは暗夜の行く末を考えてくれないかな。こんな肖像画なんてつくったら……」

ニュクス「まぁ、もしも没になったら、新しくまじめな物を作ればいいだけの事よ。今のはお世辞ね?」

レオン「本当にいらないお世辞だよ、それ。はぁ、もう少しで正午かな。早くいかないと」

ニュクス「そうね……。まさかその格好で行くつもり?」

レオン「まさか、さすがにこれだと問題になるからね。そこでいつも付けてるマントの出番だよ。これを付ければ……ほら」

ニュクス(……え、これはなに、私を誘っているの? そんな裸マントだなんて)

レオン「着ないよりはマシだからね……。ニュクス?」

ニュクス「レオン王子、ちょっと失礼するわね」ピラッ

レオン「な、なんで捲るんだ! これじゃマントの意味がなくなる!」

ニュクス「あ、ごめんなさい。つい……ね?」

レオン「ね、じゃないよ。暗夜に戻ってゆっくりできたらって思ってたのに……」

ニュクス「と、とりあえず。現場に向かいましょう? マークス王も準備を終えて待っているはずだから」

レオン「そうだね。できれば準備ができてないと嬉しいんだけど」

レオン「……あれ、マークス兄さんは?」

美術係「それが、少し遅れると言われまして。ああ、ご安心ください、写生の準備はすでに整っておりますので」

レオン「うん、全然安心できないね」

ニュクス「それにしても、提案した側が時間にいないなんてね?」

レオン「一体どうしたんだい。まさか、何か問題でも?」

美術係「いえ、サクラ様が新しい衣装を手に入れたので、マークス王はそれを試すと言っておられました」

レオン「へぇ。新しい衣装?」

美術係「ええ、今度の収穫祭で白夜の方々も参加されるようでして、白夜に言い伝えられている妖怪と呼ばれるものですか? その衣装だとかで」

レオン「なるほどね。なら仕方ないかな、今度の収穫祭は暗夜と白夜の交流現場の一つになるから、ここで気を抜くわけにもいかないし、白夜の文化と暗夜の文化が互いに存在できることは、両国の関係をさらに深めるきっかけにもなるはずだよ」

ニュクス「そうね。確かにそういうものだったら先に見ておくのも悪くないと思うわ」

レオン「ああ、それなら遅れるのも仕方ないか……。はぁ、これ以上美術係を待たせるわけにもいかないから、準備を始めよう」

ニュクス「ええ……」

ニュクス(だけどさっきの美術係の言葉、見るじゃなくて試すだったのよね……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「んんっ、いや、まーくすさぁん……」

マークス「そんなにお尻を上げて、白夜の猫又というのは、こんなにもいやらしい妖怪なのか?」

サクラ「はううっ、ちがいます…。これは……ひゃっ」

マークス「この猫の手を模った暗器……。これでこうしてほしいのではないのか?」ペシンペシンッ

サクラ「やっ、マークスさん。ふああっ、だめ、今、そんな叩かれたらぁ、私…わたしぃ////」

マークス「こんなにも鈴をリンリンと鳴らしているというのにか? いけない尻尾だ、しかも一本では満足できず二本も挿入れているとはな。これは妖怪と呼ばれる所以もわかるというものだ」グリグリッ

サクラ「はああっ、お尻の穴、だめです、そんな掴んで、ひ、ふあああんっ」グチュグチュチュ

マークス「厭らしい音が響いているぞ、サクラ。部屋の中に響いている……」

サクラ「言わないで、いや、マークスさんそんなに激しく動かしたら、ふああっ、いや、うんちが出たり入ってるみたいで、きもちよくなっちゃいますぅ」ジュブジュブ

マークス「気持ちよくなっているんだろう。なら、もっと淫らな妖怪に私が染め上げよう。ほらサクラ、私に言いたいことがあったんだろう?」

サクラ「は、はひっ……。あ、甘いものぉ……下さらないとぉ、ひうんっ!!! はぁ、ふ、んっ、い、いたずらしちゃいますぅ……「」ブルブル

マークス「……」

サクラ「マ、マークスさん?」

マークス「すまない、少しだけにしようとしたが……。我慢できそうにない」ジュルジュル!

サクラ「ふああああっ!!! やっ、そんな、さっきより、はげしっ、ん、あ、あふ、私のお尻の穴、ガバガバにぃ、なっちゃいますぅ」

マークス「ああ、悪戯をするような妖怪は退治しないといけないからな……」

サクラ「ふやっ、や、だめ、奥までズって入ってきてぇ。あ、だめ、だめええええええっ!!!!」ビクンビクン!

マークス「さぁ、サクラ。最後に私のでお前の中にいる猫又を追い出すぞ。今のお前は猫に憑りつかれてのだからな……」

サクラ「は、はい……マークスさん。んっ、、マークスさんのを私の……私のここに」スッ

 クチッ

「挿入れてください……にゃん////」クパァ

 今日はここまで

  仮装の収穫祭は明日から!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

美術係「ではレオン様、作業を始めさせていただきます」

レオン「……」

美術係「時折休憩を挟ませていただきますので、すこし辛くなりましたら手を上げていただければ――」

レオン「……」スッ

美術係「おや、いきなりどうしましたか?」

レオン「君はいいよ、僕を描くことが仕事だからね。未だマークス兄さんが来ないから、文句を言うこともできないからね。だけどさ……、そこに並んでるのは何なんだい?」

ニュクス「レオン王子、今動かないで、最高の瞬間は今ここにしかないから」

エリーゼ「えへへー、タクミさん。どっちがうまく描けるかか勝負しよ。カムイおねえちゃんにどっちがよく描けてるか決めてもらうの」

タクミ「そんなこと言われても、僕は油絵って初めてやるんだよ。ずっと、暗夜に住んで来たエリーゼ王女に勝てるわけ――」

エリーゼ「もしもタクミさんが勝てたら、なんでもしていいよ?」

タクミ「やっぱり全力でやらないと駄目みたいだね…」

レオン「タクミ王子、君は本当にこらえ性の無い男だよね……」

カムイ「ふふっ、タクミさんとエリーゼさん、互いに切磋琢磨出来てうらやましいです。はぁ、アクアさんがいたら体に筆を走らせたかったんですけどねぇ」

ニュクス「殊勝なプレイね。ちなみに何をするのかしら?」

カムイ「まず筆を湿らせたいので指でこうアクアさんの肉壷をですね……」クイクイッ

レオン「カムイ姉さん、その指の動きやめて、本当にやめて」

ニュクス(そういえば、そろそろ正午になるけど、白夜の方はどうなっているのかしら?)

◆◇◆◇◆◇

リョウマ「まさか、もう一度この服に袖を通すことになるとはな……」

ヒノカ「兄様、とても似合っています。やはり、リュウマ兄様はこうでないと」

ピエリ「うん、とっても威厳があってかっこいいの!」

ベルカ「昨日のジェネラル姿や水着に比べることは出来ないわ…」

リリス「比べる姿が全裸とジェネラルしかないっていうのが、あれですけど。ともかく、もう絵描きの方々も待っているみたいですから、早く玉座に向かいましょう」

リョウマ「そうだな、今日中に浮世絵と暗夜の油絵だったか、それの下書きを終えなくてはいけないとなると、かなりの長丁場になりそうだ」

ベルカ「大丈夫よ、少なからずのサポートをするわ…。汗とかくらいは拭いてあげる」

ピエリ「そうなの。お腹がすいたら声を掛けてほしいの。ピエリが腕によりをかけておいしいの作ってあげちゃうの!」

リョウマ「そうか、色々と手を掛けることになるが、よろしく頼む」

ベルカ「気にしないで、これも成り行き…。カミラ様からの命令の延長だから…」

ピエリ「ピエリのお料理に期待してほしいの。とってもおいしいからほっぺたが斬り落ちちゃってもしらないのよ!」

リリス「ピエリさん、どうしてそう怖い表現をしたがるんですか。まったく……ん?」

リョウマ「……」

リリス(え、なにこの真剣な眼差し。今の流れでそんな顔になるところありましたっけ?)

リョウマ(この感じ……ベルカは寡黙だがきちんと手を貸してくれる妹。ピエリは人懐っこい妹といったところか。そんな二人が俺の妹であったなら、このような感じか?)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ベルカ『もう、お兄さんはダメね。じっとしていないと下書きが終わらないのに、こんなにフラフラしてる……』

リョウマ『すまないな、ベルカ。しばらく精神統一の修行を疎かにしてたツケが来たのかもしれない……』

ベルカ『いいわ…。これくらいのサポートならしてあげる…。こんなに汗を掻いて、今拭くわ……』フキフキッ

 クゥゥ……

リョウマ『あ……』

ピエリ『あ、おにいちゃんのお腹が泣いちゃってるの! もうだめなのよ、ちゃんといっぱい食べないと強くてカッコいいおにいちゃんになれないのよ』

リョウマ『ははっ、お前たちには恥ずかしいところばかりみせているな』

ピエリ『えへへ、任せてなの。ピエリ、おにいちゃんのためにとってもおいしいご飯を作ってあるの! おにいちゃんの泣いてるお腹もすぐに泣き止んじゃうのよ』

ピエリ『ふーっ。ふーっ。はい、あーんなの!』

リョウマ『ありがとう、ありがたくいただこう』

ベルカ『私もあげるわ…』

ピエリ『わかったの。はい、おにいちゃん! あーんなの』

ベルカ『はい、お兄さん…。あ、あーん……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リョウマ(これが二人に見る妹像ということか……。どこかよそよそしい現実では到底出会えないであろう存在……)

リョウマ「ふっ、やはり架空に勝るものは無いということか……」フッ

リリス「これ絶対よからぬことを考えてますよ」

美術係「いやー、まさかリョウマ様が快諾してくださるとは思いませんでしたよ」

ヒノカ「ああ、私だけではどうにもならなかったがリリスの進言のおかげで、リョウマ兄様が動いてくれたと言っていいだろう。本当に色々と迷惑を掛けてすまないな」

リリス「いいんですよ。こうしてリョウマ様がここに戻られたのも何かの縁ですから。それに白夜と暗夜の文化がこういった形で交流を深めることはとてもいいことだって思いますし、なにより……」

ヒノカ「?」

リリス「ヒノカ様がリョウマ様と久しぶりにお会いしてとてもうれしそうで、そのお手伝いが出来て良かったって思います」

ヒノカ「リリス……。ううっ……」

リリス「え、ヒノカ様?」

ヒノカ「すまない、この頃はスズカゼの暴走や。政の話ばかりでこのように私にそんなことを言ってくれる者などいなかったから……本当に身に染みて……」

リリス(思った以上に白夜の政って胃を痛めそうですね…。サイゾウさん、もう少しフォローしてあげてくださいよ)

リリス「え、えっと、そう言えばこの両国の文化交流、ヒノカ様が提案されたものなんですか?」

ヒノカ「いいや、これはユキムラの提案なんだ」

リリス「ユキムラさんの提案だったんですか。こんな素敵なことを思いつくものなんですね」

ヒノカ「ああ、しかし最初の案を見せてもらった時は、少し笑ってしまったな」

リリス「?」

ヒノカ「最初、ユキムラは暗夜の文化を調べていたようなんだが、白夜に出回っている資料が、その……裸体の銅像の写し絵ばかりでな」

リリス「あー。確かにそうですね。ローブを被っているのもありますけど、基本的には恥部を隠しているだけの物ばかりですからね。人間は人間の形を見せつけるべきだとかなんとかで……」

ヒノカ「ああ、ユキムラはこれも暗夜の文化だと考えるべきか悩んでいたそうだが。その、私はそんな腰布一枚や、布切れに身を包んでいるようなものは良くないと思ったんだ」

リリス「それはそうですよ。もしも、改定案じゃないままだったら。リョウマ様、褌一丁で玉座に座ってることになりますからね」

ヒノカ「ああ、それもあって私は数日間寝ずの晩で改定案を出し、それを暗夜へと送ったというわけだ」

リリス「なるほど、今回の一件が起きたのもある意味必然だったということですね。でもお疲れだったんですから、改定案じゃなくて原案を送ったりなんてしてませんよね?」

ヒノカ「はははっ、万が一にもそうなっていたら、従来の暗夜形式で私も肖像画を作るさ。まぁ、そんなことあるわけないとは思うがな」

リリス「ですねー………」



リリス(そこはかとなく『今回もダメだったよ』と感じるのは虫の知らせか何かでしょうか……)

リリス「それでヒノカ様、実はこの後なんですけども。私、暗夜に戻らなくてはいけないんです」

ヒノカ「え、そうなのか?」

リリス「はい。急用で申し訳ないのですが、ピエリさんのことをお願いできますか? ベルカさんは大丈夫だと思うんですけど、ピエリさんはその目を離すと何をするかわからないと言いますか」

ヒノカ「ああ、心配しないでいい。ピエリのことは私が責任をもって面倒を見るさ。なに、前のことも誤解だったとわかったんだ。今は気兼ねなく話をできるはずさ」

リリス「そう言ってもらえると助かります。ああ、すみません、時間が押しているので私は失礼しますね」

ヒノカ「そんなに急いでいるなら、馬を出すが……」

リリス「いいえ、大丈夫です。今からでも十分間に合いますし、このところ流通路が確保されて安全に行き来ができるようになりました。だから、へっちゃらなんです」

ヒノカ「そうか。リリスを見ているとなんだかカムイを思い出すよ」

リリス「え?」

ヒノカ「ふふっ、何だろうな。こう見た目はそうでもないが、その雰囲気が少し似ている気がするんだ。いや、もしかしたらカムイのことをちゃんと妹として見てあげることが出来なかったから、それをお前に重ねているのかもしれない」

リリス「大丈夫です。ヒノカ様はちゃんとカムイ様のお姉様ですよ。私はそう思っています」

ヒノカ「……そうか、ありがとう。少なからず食料を持っていてくれ、ここから暗夜までは長旅になる。気を付けていくんだぞ」

リリス「ありがとうございます。それでは、ピエリさんのことよろしくお願いしますね」

ヒノカ「ああ、私が玉座に向かうとする。それではな」

 タッタッタッタッ

リリス(そういえば、あの玉座って真実の姿を曝け出すものですけど、リョウマ様は座っても影響ないんでしょうか?)

リリス「まぁ、何も起こらないでしょう。多分」

リリス(さて、私はアクアさんの呪縛から逃れるために最後の仕事に取り掛かるとしましょう)

リリス(はぁ、透魔王国の入り口、星界に作っておくべきでしたね)タタタタタッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―透魔王国・浮遊島―

アクア「………」

カミラ「何もまだ起きないわね」

アクア「ええ、ずっとここで待っているけど、何も起きる気配がないわ」

アクア(あのモローからの言葉を読み解く限り、浮遊する島の顔はここにあった顔面石を指しているはず。なら、ここで待っていれば何か起きるはずと踏んだのだけど)

カミラ「まだ、来てから1日も経っていないけど……」

アクア「外と中で流れる時間が違う以上、ここでの一日が外の一日とは限らないもの。私はここで間違えるわけにはいかないの、カムイを肉奴隷にして私の肉便器にしないといけないから」

カミラ「アクアはカムイを愛していないの?」

アクア「……わからないのよ。こう、一方的に責められて私はカムイとそういうことをすることに気持ち良さを感じてる。でも、それが幸福な感情なのかと聞かれたら、返答にこまる私がいるの……」

カミラ「アクア」

アクア「ごめんなさい、こんなことを。カミラに話しても心配をかけるだけなのに」

カミラ「いいのよ。言ったでしょう? 私はアクアの力になるって」

アクア「……ありがとう、カミラ」

カミラ「ふふっ、それにしても本当に何も起きないわね?」

アクア「ええ、もしかしたらリリスかニュクス、どちらかが失敗してるんじゃないかって思えてきたわ。ニュクスが失敗してたらレオンに衣装の事でも話そうかしら?」

カミラ「本人のいない前でいうことじゃないわよ。でも、あのニュクスがレオンに御熱だなんてね」

アクア「まぁ、戦争の間に色々と交流もあったけど、最初からニュクスの呪いに気づいていたのはレオンだけだったみたいだから」

カミラ「ふふっ、まさに王子様ね」

アクア「だけど、もし失敗してるのがリリスだったら、ピエリの事も含めて白日の下に晒してあげる。慈悲は無いわ」

カミラ「リリス……」

 ホワンッ

アクア「?」

カミラ「どうしたの?」

 ホワンホワンッ

アクア「……どうやら、リリスとニュクスへのおしおきは無しになったみたい」

カミラ「ええ、そうみたいね。私は離れているわね。他人がいたら失敗する儀式かもしれないからね?」

アクア「ありがとう」

カミラ「それじゃ、事が済んだら呼んでちょうだい?」

 タッ タッ タッ

アクア「……」

ホワンッ シュオオオオオオオオオッ!!!! 

アクア(よし、どうにか条件は満たした。あとは、お○んちんを生やす薬を受け取るだけ。そう、私は条件を満たした。なら、私の願いはここで達成される!)

 ドゴオオオオオオンッ!!!!




カミラ「すごい音……。ふふっ、頑張りなさいね」

カミラ「さてと、あとはゆっくり待ち……?」

 カツンカツンッ

カミラ「あら……」

「思ったより早かったのね?

今日はここまで

 暗夜と白夜の文化交流はこうして平和に続いていくのです。

◆◇◆◇◆◇
―白夜と暗夜の国境・無限渓谷『谷底』―

 白夜出立から1日経過……

 ビュオオオオ

リリス『相変わらずすごい風圧ですね。私はこうやって動き回れるからどうにかなりますけど、カムイ様とかギュンターさんとか、風に煽られて岩壁にぶつからないでよく降りられましたね。私でも結構、苦労するっていうのに……』

 スタッ ホワンホワンッ

リリス『はぁ、ようやく着きました。変身して星界の治癒能力をフル活用して来ましたから、ここまで一日くらいですか。さてと、カミラ様とアクアさんはどちらにいるんでしょうか?』

 カツンカツン

リリス『ん、あちらから足音が……誰かいますね』フワッ フワッ

カミラ「あら……思ったよりも早かったのね?」

リリス『あ、カミラ様。こんなところにいたんですね。もしかして私が来たのに気が付いてくれたんですか?」

カミラ「まぁ、そんな感じよ。この状態の貴女と話をするのは初めてね」

リリス『あ、そうですね。いつもは神殿にいてプカプカしてるだけでしたから」

カミラ「ふふっ、ちゃんと星界のことを見てくれていたじゃない。みんながゆっくりできる場所を維持してたのに、何もしてないみたいなこと言っちゃいけないわ。リリスもちゃんと私たちのためにできることをしてくれた。それだけでも十分、貴女は義務を果たしているはずよ」

リリス『あ、ありがとうございますぅ……』ポロポロ

カミラ「それよりも、その状態だとこういう風にコミュニケーションするのね」

リリス『はい。この状態では人間としての声帯もなくなってしまっているので、鳴き声しか出せませんから。でも、私の言葉は直接聞こえますけど、みなさんの心の声が聞こえてるわけではないので安心してください』

カミラ「あらそうなの? てっきり、今私が考えていることが筒抜けになってるのかと思っていたのだけど」

リリス『筒抜けって、正直みんなの考えてることまでわかりたくありませんよ。その、口に出さないだけで皆さん思っていることがあるわけですから。流石に、心の声まで聞こえてたら、私も参ってしまいます』

カミラ「そう、でもあなたは思念で会話をしているでしょう? 何かを考えることは出来ないんじゃなくて?」

リリス『そうなんですよね。この状態の時は周囲にいる方々に私の思考は筒抜けですから、もう考えることは半ばあきらめています』

カミラ「そう、思ったより不便なのね?」

リリス『確かに困ることはありますけど、死ぬほど困るってことは無いです。愚痴を貯める必要もありませんから、嫌なことはすかさず嫌って言えますし、ある意味ストレスフリーですよ』

カミラ「つまり気持ちいいことをされたら、体はもちろん心も誤魔化す必要が無いということね?」

リリス『どうして、私のストレスになりそうなことを口にするんですかねぇ』

カミラ「ところであなたがここに来たっていうことは、白夜の玉座にリョウマ王子を座らせることが出来たということね?」

リリス『はい、暗夜の方はどうかわかりませんけど。少なくとも白夜の方の問題は解決してます。それで、約束通り飛んできたわけなんですけど……。そうでした、アクアさんです。アクアさんはどちらに?』

カミラ「アクアなら今一人よ。少し前に異変が起きたから」

リリス『ということはニュクスさんも玉座にレオン様を座らせることが出来たということですね。はぁ、これでお互いにアクアさんに邪魔されない平和を勝ち取ることが出来たということですね』

カミラ「あら、アクアに何か握られているのかしら?」

リリス『ノーコメントです。まぁ、その件については一つの終焉を迎えたので、もうどうでもいいことになってしまったんですけどね…』

カミラ「よしよし、頑張ったのね。偉いわ、リリス」ナデナデ

リリス『んっ、ふわあああ。カミラ様の手、とってもきもちぃ……』

カミラ「あらあら、そんな甘い声を出して。そんなにここを撫でられるのが気持ちよかったのかしら?」ナデナデ

リリス『ふにゅっ、んっ、はぁっ、だめです、そんな鼻先を爪先でカリカリッ、カリカリッ。ああ、ダメですダメです。これ以上は御障り厳禁ですよ!』フワッ フワッ

カミラ「そう残念ね。その竜の生態から甘い鳴き声を出したかったのだけど…。ふふっ、竜は竜でも星竜がどんな声で鳴くのか、ドラゴン乗りとしては気になるもの。ふふっ、もう少し鳴かせてあげたくなってきたわ」

リリス『早く人の姿に戻らないといけませんよ、これは』

カミラ「冗談よ、冗談。さぁ、アクアを迎えに行きましょう?」

リリス『はぁ、もうそうしましょう。アクアさんが薬を手に入れたことを確認して、さっさと地上に戻って神殿でゆっくりしたいんですから』

カミラ「あら、カムイのことを心配しないの?」

リリス『心配といえば心配ですけど……、正直アクアさんがカムイ様を襲っても、逆襲されてそうです。はっ、今のはですね……』

カミラ「いいの、アクアの目的は知っているわ。アクアはカムイとの関係を変えたいって思っているみたいだけど、リリスもうまくいかないと考えているのね」

リリス『もって……、カミラ様もそう思っているんですか?』

カミラ「ええ。だって、アクアはまだカムイのことをまだわかっていないみたいだから…」

リリス『そりゃ、レイプ相手の事なんて理解したくないでしょう』

カミラ「あら、アクアはカムイに無理やり?」

リリス『無理やり……ですよね。実際、アクアさん全力疾走で逃げてましたし。クラスチェンジで聖天馬武者になるくらいには必死でしたよ』

カミラ「そう、カムイの愛もなかなか伝わらないわね」

リリス『もっと平和的に解決すれば、こんなことにはならなかったと思うんですけど……。アクアさんもカムイ様の思いに全く気付いていなかったようですし』

カミラ「そういうものよ。世の中、自分に向けられてる感情をすべて理解できる人なんていないわ」

リリス『それはそうですけど……』

カミラ「ふふっ、アクアのことを色々言うけど、なんだかんだで心配しているのね?」

リリス『それは、その、アクアさんはカムイ様の恋人ですから。二人の関係がぎくしゃくしているのは見ていて不安になりますし、別にアクアさんが心配というわけではないんですよ?』

カミラ「そう言うことにしておいてあげる。さぁ、こっちよ。この先で儀式を行っていたはずだから……」

リリス『だから、ああ、もういいですよ。ちょっと、待ってくださいカミラ様!』フワッ フワッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「はぁ、はぁ、お○んぽ、しゅごい……、なんでこんなにムズムズして、はぁ、触りたい、こんなに触りたくなるなんて……」ビクンビクンッ

星竜モロー「そうだろ、そうだろ。でも、おさわりはだめだからね。今はお試し期間中だから」

アクア「ううっ、言われた通りにことを追えたのに、こんな生殺しだなんて……」

星竜モロー「いや、本当に条件をクリアするとは思ってなかったからね。これはそのご褒美みたいなものだよ、本当ならすぐに薬を渡して帰っちゃうところだったからさ」

アクア「な、なら、少し触るのだって……」

星竜モロー「だーめ。まずは馴れないと。薬飲んだ瞬間にドバドバ出て大変だよ?」

アクア「ああっ、ううっ、はち切れそう、はぁ、うあああっ」ピクピクッ

カミラ「……すごいタイミングで戻ってきちゃったみたいね」

リリス『ええ。それよりモロー様、何で全裸になってるんですか?』

星竜モロー「ん、リリスじゃないか。ほら、なんというか、その……うーん、うん! まぁ、なんとなくかな?」

リリス『今すぐ何か服を着てくださいよ、これじゃまるで――』

カミラ「ええ、アクアがあなたを見て勃起しているみたいじゃない」

リリス『カミラ様、気にするのはそっちですか……」

アクア「やっ、風だけで先端が、うううっ…んあん!!!」ガタガタッ

リリス『もう神殿に帰りたい……』

今日はここまで

  星竜モローって来年の新作に少しでも出てくるのかなぁ……

アクア「……ふぅ、どうにか落ち着いた。この感覚を制御できるくらいには馴れたみたい」

リリス『さっきまで生えたのを咥えようと必死にでんぐり返しを繰り返してましたよね?』

アクア「気が狂っていたのよ。話に聞くと男にも私と同じように、自分のナニを咥えようとしてでんぐり返しになっている人がいるらしいから、普通のことのようだけど」

リリス『誰から聞いたんですか、それ』

 スッ

星竜モロー「ああ、私が教えたよ。お○んぽというのがどういう物か説明しておかないといけないから、まずは禁断症状としての例を出したんだ」

リリス『どうしてそんな例を出したんですか? もっとこう、年頃にありがちなことでも良かったと思うんですけど』

星竜モロー「お○んぽを扱う上で75%の人が通る年頃にありがちなことだと思うよ」

リリス『その統計はどうやって……』

星竜モロー「もちろん、この目で見てだよ。ちなみに、この世界で最初に血迷ったのはタクミ様だったかな」

リリス『今、さらっとすごいこと言いましたよ』

星竜モロー「まぁ、色々と人生はあるからね。記憶が確かなら最後に血迷ったのはマークス様だったはず」

カミラ「あら、お兄様もそんなことを?」

星竜モロー「それくらい、お○んぽの力は恐ろしいものなんだ。騎士精神もお○んぽの前には敵わないよ」

リリス『格言ぽく言わないでください。でも、それってかなり前の事なんですよね?』

星竜モロー「そうだねー。たしかサクラ様とチョメチョメしだした頃かな?」

リリス『』

星竜モロー「というわけで、アクア。君はこうして試練を乗り越えた。その我慢強さ、その誇りを称えて、これを授けるよ」ホワンッ

リリス『我慢強さはわかりますけど、誇りっていったい』

星竜モロー「人の輝きかな……」

リリス『ただ、雰囲気出すためですね、わかります』

 キラキラッ コトンッ

アクア「これが……」

星竜モロー「ああ、これこそが『お○んぽを生やす薬』だよ」

アクア「これが『お○んぽを生やす薬』なのね」

星竜モロー『ああ、お○んぽを生やす薬、略して『お薬』さ!」

カミラ「すごいコンパクトに纏まったわね」

リリス『人を助けるために生み出されたお薬に失礼過ぎません?』

アクア「私は救われている以上、お薬は良薬よ」

リリス『アクアさんにとっての良薬は、他人にとって悪い薬ってことですね』

星竜モロー「いやそんなことはない。といっても、試したことのないリリスにはわかるわけもないか。だから思い切ってリリスも使ってみるといい。なに星竜の好で今回はなんとタダ!。今なら私の力で人にすぐ戻してあげるから、待つ必要もないとこれはお得だ!」

リリス『ハハハハ、ノーサンキュ』

カミラ「で、アクア。そのお薬、すぐに使うつもりなの?」

アクア「ええ、そのつもりよ。このまま暗夜に戻ったらカムイを部屋に呼び出して、後ろから獣のように襲うわ」

カミラ「……悪いことは言わないわ。すぐに使うのはやめておきなさい」

アクア「……どういうこと? カミラは私の味方をしてくれるのではなかったの?」

カミラ「味方だからこそ、今はやめておいた方が賢明だと私は思うの。特に今はまずいわ」

アクア「どうして?」

カミラ「アクア、何日の間、カムイから離れていたの?」

アクア「え……そうね、暗夜を出発して白夜でレオンを捕まえて、無限渓谷からここに落ちたから……大体五日くらい? カムイの事だから一週間は私がいないことに耐えてくれるはず。今なら普通にベッドインできるはずよ」

カミラ「それはここにいる私たちの感覚よ。レオンとリョウマ王子がそれぞれ玉座に着くまでにもう少し時間が掛かっているはず」

アクア「え、そうなの?」

リリス『そうですね。実際、私がリョウマさんを座らせられたのが約束の三日後ですし、それにここの時間の流れは不規則ですから。私は一日フル活動でここに来ましたけど、儀式は始まったばかりのようでしたから……』

アクア「……じゃあ実際どれくらいの時間が経っているの?」

リリス『憶測ですけど、今こうしている間にも時間は進んでるでしょうから、えっと八日?』

星竜モロー「うんうん、正確には十日だね」

アクア「……十日?」

星竜モロー「ちなみに、この水晶を覗くと今のカムイの様子が見れるよー」

アクア「貸しなさい!」パシッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カムイ『……ふふっ、アクアさん。アクアさん……』クニクニ

カムイ『んっ、はああっ。アクアさんの服だけじゃもう足りません。はぁ、それにこんなに濡らしてしまって、昂ぶりが抑えられません』シュオオンッ

カムイ竜状態『アクアさん、私に行き先も告げずに身を晦ますなんて……』

カムイ『これは戻ってきたときはいっぱい可愛がってあげないといけません。どうしましょうか、アクアさんのお○んこに水をいっぱい注ぎ込んだりとか、色々してあげたいですね』

カムイ竜状態『それとも、失神するまでずっとこの足で攻め続けるのも悪くありませんね。アクアさんが噴水みたいにイキ続ける姿、すごく楽しみです』

カムイ竜状態『ふふっ、ふふふっ。遅ければ遅いほど、いっぱいしたいことが増えてしまいます。早く帰ってくるといいですね……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「」

リリス『カムイ様もいい感じに病んでますね」

カミラ「ええ」

リリス『こんなカムイ様の前で薬を使おうとしたら……』

カミラ「すぐに奪われるでしょうね。それに事前に使って挑んだとしてもアクアの方が手玉に取られて射精管理させられるだけよ」

星竜モロー「まぁ、それもお○んぽ冥利に尽きるってものだね」

リリス『モロー様、お○んぽお○んぽうるさいです』

アクア「今回は諦めたほうがいいということね……」

カミラ「ええ、まずは帰ってカムイに謝りましょう? お姉ちゃんも一緒に謝ってあげるわ」

リリス『謝るっていっても一体何を謝るのか』

星竜モロー「まぁ、そこは人間の知恵に期待するよ。よし、ここは私が一瞬で暗夜王国へと行ける道を作ってあげよう」

アクア「そう、色々と悪いわね」

星竜モロー「はっは、久しぶりの出番だからね。今日は大盤振る舞いだよ。それっ!」

 シュオオオオオッ

星竜モロー「さぁ、ここに入ればすぐに暗夜さ!」

アクア「はぁ……。気が重くなるわね」

カミラ「ふふっ、リラックスしなさい。まぁ、今日は寝かせてもらえないでしょうけど」

リリス『まぁ、自業自得ですからね。私は何も言いませんよ』フワッ フワッ

アクア「もう言っているじゃない。とりあえず戻りましょう」タッ
 
 シュオンッ!

カミラ「先に行くわ。向こうでね、リリス」タッ

 シュオンッ!

リリス『それでは、私も戻るとします。モロー様』

星竜モロー「ああ、ところでリリス、ちょっと聞きたいんだけど」

リリス『何ですか? お薬の事なら何も言うことは――』

星竜モロー「いや、この頃、夢を見たりしたかい?」

今日はここまで

 でんぐり返し、それはいつか通った道……

リリス『……見ていませんよ。この頃は夢を見る暇もありませんし」

星竜モロー「いや、そっちの夢じゃないよ。私が言っているのは――」

リリス『わかっています。だけど、この姿では嘘を吐くことは出来ないことくらい、モロー様は理解していると思いますけど?』

星竜モロー「……それもそうだね。ならいいんだ。すまない、最後の最後に引き止めてちゃってさ」

リリス『いいえ』

星竜モロー「それじゃ、話は終わりだから、さっさと二人を追いかけないと。どんどん時間がずれてしまうからね」

リリス「わかってます。それでは、またお会いしましょう、モロー様』フワッ フワッ

 シュオンッ

リリス『夢ですか……』

リリス『また、私は夢を見るということでしょうか。ああいう夢を……』

リリス『……ありえません。だって、戦いはもう終わったはずですから……』

リリス『モロー様も人が悪いです。そんな脅かすようなことを言わなくてもいいのに……』

リリス『……本当にもう終わったことなんですから』

 シュオオオオンッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ポンッ!

リリス『ぷはっ、着きました!』

カミラ「あら、やっと来たのね。時差は少しの事だと思ったけど、数分も遅れてしまうのかしら?」

アクア「いいえ、私がカミラを追いかけてすぐに入った時は、こんなに時間差が無かったわ。多分、モローと何かしていたと思うのだけど、どうリリス?」

リリス『鋭いですね。少しモロー様とお話をしていたんです、内容は秘密ということで』

カミラ「秘密なのね。ならリリス、今からいっぱい質問していいかしら?」

リリス『はぁ、それをされたら今の状態の私はお手上げです。その……夢を見ているかどうか聞かれました』

アクア「夢? あなたでも夢を見るものなの」

リリス『失礼ですね。私だって見るときは見ますよ。まぁ、この頃は気疲れが多くて、寝て起きてばっかりですけど』

アクア「そう、一体何が原因かしら?」

リリス『主にアクアさんですね』

リリス『で、ここは何処でしょうか?』

カミラ「北の城塞の一室ね。どうやら空き部屋のようだけど」

リリス『北の城塞ですか、まぁ、空き部屋は結構ありますからそこに飛ばしたということ……って、ここ私の部屋じゃないですか!?』

カミラ「え、ここはリリスの部屋なの? ……女の子の部屋にしては少し寂しすぎるわ」

アクア「そう、ここはあなたの部屋なのね。さっきからベッドの下や机を探っていたのだけど、なにも出てこなかったわ。正直がっかりよ、つまらないわ」

リリス『なんで怒られてるのか、理解できません』

アクア「探りに来た誰かのためにお宝の一つでも用意しておくのが、部屋を持つ人間の礼儀という物よ」

リリス『そんな礼儀消えてなくなってしまえばいいんです。でも、北の城塞ですか……』

カミラ「モローはどうしてここに私たちを送ったのかしら? 王城に送ってくれてもよかったと思うのだけど」

リリス『会う前に遺書を認める準備時間をくれたんじゃないですか?』

アクア「ところで、それは誰の遺書かしら?」

リリス『アクアさんです。あ、失礼しました』

アクア「……。そうね、ちょっと書くものを貸して、今の気持ちを認めないといけないから」

リリス『え、冗談だったんですけど』

アクア「つべこべ言わないで、速く貸しなさい」

リリス『わかりました。そこの引き戸の中に入ってますから、勝手に使ってください』

アクア「ここね、ありがとう」スタッ カキカキ

カミラ「アクアにも命の危機が感じられるほどなのね?」

リリス『先の水晶に映ったものを真実と考えるなら、今日にもどざえもんになってしまうかもわかりませんからね』

カミラ「でも、アクアがこうしてカムイを意識しているのはいい事よ。少なくとも私はそう思うわ」

リリス『意識する意味のベクトルがとても正常とは思えませんけど』

カミラ「いいのよ。カムイとエッチなことをするばっかりで、そこに相手に対する思いが無いなら、それはもう破綻してることになりかねないわ。無関心な相手と恋愛なんてできない、そうでしょ?」

リリス『それはそうかもしれませんけど。でも、今から遺書を認めてその相手の下に向かうんですよね?』

カミラ「そうね。だからこそ、もしもの時のためにアクアはああして思いを認めてるのよ」

リリス『もしもを想定している当たり、すごくやばいと思うんですが』

アクア「もしもを想定しないなんて、やっぱり神殿でぬくぬくご飯を食べていただけの事はあるわ。リリス、甘い、甘すぎるわ。具体的に必殺確立3%の敵に確殺できないのに挑むくらい甘いわ」

リリス『具体的な数字出してきましたね。それで書き終わったんですか?』

アクア「ええ、ありがとう。とてもすっきりしたわ」

リリス『すっきり?』

アクア「それとリリス、あなたにこれを預けておくわ」

リリス『預けておくって何を……、これは、お薬!?』

アクア「……私の命より大切な物よ。あなたに託すわ」キリッ

リリス『こんなもの押し付けられる身にもなってくださいよ、嫌ですよこんなのを持っていなくちゃいけないなんて、アクアさんが管理してください』

アクア「だめよ、今それを私が持っているわけにはいかないわ」

リリス『どうして?』

アクア「そんな怪しい薬を持ってカムイのところへ行ったら、確実に奪われて私は――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ジュブジュブ パンパンッ

カムイ「はぁはぁ、あっ、出しますよ。アクアさんっ」ビュルルルル……ドプドプッ

アクア「ああっ、んっ、ふぁあぁっ……。カムイのザーメン、まだ、膣にぃ。やっ、だめ、まだ、まだイッてぇぅ、いってぇうのぉ…うごいちゃだめ…」パンパンパンッ

カムイ「ふふっ、今日が初めてだっていうのに、もうお○んぽの味を覚えちゃうなんて、歌姫の格好通り、やっぱりスキモノでしたね、アクアさんは。

アクア「あ、あ、あ、うううっ、やっ、カムイ、やめ、てぇ……やめへぇ、あっ、お○んこ、お○んこ蕩けちゃう、蕩けちゃうからぁ……。あひっ、んっ、やっ、イく、イきたくないのにぃっ」

カムイ「ははっ、アクアさんの膣、すごく締め付けてきて、口はとっても反抗期ですけど、体はとっても正直です。私をこんなに放っておいたこと、すごくわかっているじゃないですか。ほら、こんなにお尻の穴もヒクヒクしてて、ああ、皺が動いてとてもいやらしく私を誘ってます。すぐに穿ってほしいって」

アクア「だめ、みな、いでぇ……。もう……許してぇ……」

カムイ「許してということは罪の自覚があるっていうことですよね? ふふっ、罪滅ぼしにこんな便利な液体を持ってきてくれるなんて、もっともっと可愛がってあげますよ」ガバッ

アクア「ひゃっ、やっ、だめ、この格好、だめ、だめよ。こんな、入ってるところが見える格好なんて……んあ、くぅ……」

カムイ「ふふっ、どうですか。私の竜ち○ぽをおいしそうに咥え込んでるアクアさんのココ、自分で見てみてどう思いますか?」ズチュズチュ

アクア「いや、ふああっ、だめ、小突かないで、おく、奥まで響いて、だめ、ち○ぽ、ち○ぽだけになっちゃう」

カムイ「いいですよ、アクアさん。ち○ぽだけになってください、私のお○んぽから出たザーメンでアクアさんはち○ぽ狂いになるんですよっ」パンパンパンッ

アクア「んひゃ、んんぅ、あ、あ、あ、あうっ、ふあああっ、カムイ、いやっいやああああああーーーー」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「カムイち○ぽに凌辱されてこうなるに決まっているから」

リリス『自分がやられる側なのによくこんなところまで妄想できますね』

アクア「ともかく、これはあなたに預ける。それとこの遺書も一緒にね」

リリス『お薬はともかく、なんで遺書まで託されないといけないんですか』

アクア「渾身のギャグをスルーしたわね。まぁいいわ、つべこべ言わずにこれを持ちなさい。大丈夫、これがきっと未来を救うわ」

リリス『ここまでの流れで未来を救える要素なんてどこにもありませんし、未来がヤバイ展開にもなってません』

アクア「文句があるなら、カムイの下にあなたも一緒に連れていくわ。原因はリリスっていうことにして」

リリス『おおおおいいい。なんで、そうなるんですか!? 私巻き込まれただけの被害者なんですけど』

アクア「もともとお薬の可能性を示唆したのはあなただもの、原因を突き詰めれば……ね?」

リリス『ね?じゃありませんよ!』

アクア「まぁ、リリスがどう言おうと私はカムイにそう伝えるわ。あなたもカムイの性奴隷になるのよ。竜にも穴はあるから、大丈――」

リリス『まって、それだけは絶対にダメなんです、それだけは絶対にダメなんです。だからお願いです、そのお薬と遺書を私に託してくれませんか』

アクア「熱い手のひら返しね。カムイに抱かれたくない理由でもあるの?」

リリス『あります。あります。あります』

アクア「カムイが聞いたら悲しみそうだけど、まぁいいわ。この薬と遺書、あなたに託すことにするから」

リリス『はい、神殿に置いておきますね』

アクア「ところでカムイとエッチしたくない理由だけど」

リリス『あります。あります。あります』

アクア(よほどの理由があるってことかしら?)

アクア「それじゃ、カミラ。迷惑をかけるけどこれから王都に戻って……カミラ? なんで鍵穴を覗き込んでいるの?」

リリス『どうしたんですか、カミラ様』

カミラ「ねぇ、リリス?」

リリス『はい、なんでしょうか?』

カミラ「この部屋ってどれくらいの間、使っていなかったのかしら?」

リリス『そうですね。戦いが始まってからは一度も戻っていませんから、一年以上は使ってませんよ。空き部屋でも清掃はしていたでしょうから――』

カミラ「そういうことじゃないの。とりあえず、そんな部屋に誰か来る可能性ってどれくらい?」

リリス『多分来ないと思いますけど――』

 コンコンコンッ

リリス『え?』
 
 ドンドンドンッ!

アクア「もしかして、物音で気づかれたかしら? 確かに突然空き部屋から声や物音がしたら、様子を見に来ると思うけど」

リリス『ああ、外に誰か来ているんですね。それが誰かを確かめるためにさっき鍵穴を覗いていたということですか』

カミラ「ええ、それで鍵穴を覗いたんだけど……。アクア、覗いてみて?」

アクア「そうね。怒っているのが誰かはわからないけど、先に誰かを知っておけば打つ手も考えられるわ」

アクア(北の城塞、フェリシアはラズワルドと一緒に住んでる。となるとジョーカー? フローラももしかしたら戻ってきているかもしれないし、でもあの二人がこういった空き部屋の鍵を持っていないなんてことありえるのかしら)

アクア「こういう穴って壁に空いてたら覗きたくなるものよね」

リリス『覗いたら、大抵とんでもない目に遭いますからね、こういうのは』

アクア「まぁ、そんなことは無いと思うわ。それじゃ失礼して――」

アクア「……え?」

リリス『アクアさんどうしたんですか?』

アクア「いえ、その目が見えるのだけど」

リリス『目ですか?』

アクア「……あ、待って目が離れたみたい、どうやら外の相手も鍵穴を覗いてたみた……い」

???「ふふ、ふふふふっ、うふふふふっ」

アクア「……!」

 ザザザザザッ ドンッ!

リリス『え、アクアさん? 何が見えたんですか!?』

 ガチャガチャ ガチャガチャ
  ドンドンドンッ ドンドンドンッ!

リリス『ひっ、な、なんですか。誰がそこにいるんですか?』

カミラ「リリス、さっきモローが見せてくれた水晶だけど、私たち思い違いをしていたのよ」

リリス『え?』

カミラ「モローは今のカムイの様子が見れるだけで、どこにいるかなんて言っていなかったわ」

リリス『確かにそうでしたけど。それじゃカムイ様がいる場所って……。え、そういうことですか?』

カミラ「そういうことね」

 ガタンガタンッ バギィイイ!

リリス『ああ、私の部屋の扉が……で、ここに来たのはやっぱり……』

カムイ「……ふぅー、ふぅー」

アクア「か、カムイ……ま、まずは話し合いましょう? そう、落ち着いて考えるのよ。ね?」ガクガク

カムイ「こんなところにいたんですね。アクアさん。ようやく、ようやく見つけました」

アクア「え、えっとね。ほら、カミラにリリスもいるから、今は――」

カムイ「それでは、いただきます」ニコッ

アクア「え?」

リリス(そのあと、私はカミラ様と一緒にアクアさんを残して部屋を脱出。数時間後、部屋を訪れた私は凄く濡れてぐったりしたアクアさんと、つやつやしてすっきりしているカムイ様を見つつ、自分の部屋が汚染されたことを無言で受け入れるしかありませんでした)

今日はここまで

 相手にそこがどうなっているのか見せつけるのって、とても興奮するシチュだと思うんだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス(夢を視る事は私の生きてきた時間の中で珍しい事だった)

リリス(お父様の忠実なる僕として尽くして来た時は視なかったし、カムイ様と共にお父様を倒すために歩み始めたこの世界で、夢を見ることなんてありはしなかった)

リリス(私が見た夢は一度だけ、壊れかけた橋をぼんやりと眺める夢だった。その夢を見た時初めて私は星竜という存在になったんだと知って、それがどういう意味なのかを理解して夢が恐ろしくなりました)

リリス(私にとっての夢を見る意味、だから眠ることに私は休憩の意味だけを求めます。眠るときは火を消すように、起きるときはゆっくりと温まる水のように静かな目覚め。それが私の睡眠の始まりと終わり。でも、今日は……)

リリス(妙に明るい今日の目覚め、この光は――)

◆◇◆◇◆◇
―マイキャッスル・リリスの神殿―

 パチッパチッ

 キョロキョロ

リリス(瞼に感じた光……、外から入ってきた光の所為ですね……。ああ、眠る位置を調整しておけばよかったです……)

リリス(……ふあああっ、今日もプカプカと浮いて時間を潰しましょうか。別にもうやることもありませんし。アクアさんのお手伝いも終わりましたから、もう私を尋ねに誰かが来ることは……)

 ドンドンドンッ

リリス(……え、誰か来てる。私に会いに来る人なんていないと思うんですけど……。正直、出たくないなぁ……)

アクア「リリス、いるのはわかっているわ、今すぐ開けなさい。さもないと、扉を無理矢理開けて風の通り道にするわ」

リリス(出ないと、私の寝床が危ないです!)

アクア「おはよう、リリス」

リリス(おはようございます。アクアさん、朝からすごい挨拶でしたね)

アクア「そう? これでも快適な朝をお知らせするいい言葉だと思ったのだけど」

リリス(朝一番に玄関を破壊されたら堪ったものではありませんよ)

アクア「元々なかったものだから、無くなっても平気でしょ?」

リリス(星界も冬になるとやっぱり寒いんですよ。星界の天気が荒れてると、木枯らしが私の神殿の中を一回転して出ていくんですから。流石の私も縮こまりますよ)

アクア「その丸いのにあれを擦りつけながら、暖を取るのね。流石の私も寒い朝は布団から出たくなくて、時々猛烈にいじりたくなったりするから、その気持ちよくわかるわ」ナデナデ

リリス(同類に思われて、すっごく不愉快なんですけど)プイッ

アクア「まぁ、それは置いておきましょう。こんな無駄話をしていても、暖かくもならないし、腰の痛みが治るわけじゃないわ」

リリス(腰の痛みって。ああ、カムイ様に色々とされたんでしたよね)

アクア「ええ。ハードからソフトまで、でもさすがに竜の胴体にへばり付けられてクンニしろって言われたときは、正気を疑ったわ」

リリス(考えても意味の分からない光景すぎて……)

アクア「クンニしながら歌で獣の衝動を抑えて事なきを得たわ。ほんと一世一代の大舞台がこうやって訪れるなんてね」

リリス(酷い大舞台だぁ)

リリス(それで、どうして私のところにやってきたんですか? もう、私は手伝ったりしませんよ)

アクア「大丈夫、何かを手伝ってもらおうって思っているわけじゃないわ。貴女はちゃんと私に薬を提供してくれたもの、貴女に頼むことはもう無くなってる」

リリス(じゃあ、なんでこちらに?)

アクア「忘れてるのね。あなたに渡したもの、まだ受け取っていないの」

リリス(渡されたもの……。お薬!)

アクア「思い出したみたいね。そう言うことだから、それを早く返してちょうだい。それは私の希望よ」

リリス(カムイ様が難病とか、そういうときにそのセリフを口にしてほしかったです。ちょっと待っててください……はああっ!!!)

 シュオオオオオオ!

リリス「……ふぅ、久々の人間体です」

アクア「私の時間経過からするとそれほどでもないけど?」

リリス「星竜の生態は複雑なんです。こうやって人間の姿に戻れるのは奇跡みたいなものですから」

アクア「そうね、代償としてお○んちんを失ってしまうのだから」

リリス「別に気にならない代償ですよ。むしろ、この状態でついてたらカムイ様に会うことなく隠居する道を選びます」

アクア「なんで、もしかしたらカムイにイジってもらえるかもしれないのよ?」

リリス「えぇ……」

リリス「とりあえず、お薬と遺書です」

アクア「ありがとう、よかったわ。もしも私が溺れ死んでいたら、この遺書が白日の下に晒されてしまったんだもの。生きててよかったわ」

リリス「……」

アクア「そこは、何を書いたのか聞くところだと思うのだけど?」

リリス「いえ、その、正直お薬に関連することには触れたくないんです。なんか、変に巻き込まれそうなので」

アクア「もう巻き込まれてると思うけど、まさか気づいていなかったの?」

リリス「少しくらい現実逃避してもいいじゃないですか。本当ならもっと静かにプカプカしながら余生を満喫していけると思ってたのに、アクアさんが訪ねて来てからこれですよ?」

アクア「でも、最初はあなたもカムイが心配だったでしょう? 私も同じだったわ。どんな馬の骨とも思えない相手にお尻を振ってるんじゃないかと思ったら、心配になるものよ」

リリス「アクアさんの場合、心配2の好奇心8だと思います」

アクア「まぁ、当たらずも遠からずってところね。ともかく、少しくらいはカムイの事を心配していたわ。正直、裏切られたと言ってもいいけど」

リリス「……それもそうでしたね。ごめんなさい、その……」

アクア「いいの。それに無理矢理やられた時、ゾクゾクしてしまったのは事実だから////」

リリス「これじゃない、私が望んでた返しはこれじゃない」

アクア「……モローは回数に関して何も言っていなかったけど、中身を見る限り一回分くらいしかないわ」

リリス「そうですね。ここぞというときに使えっていう感じです。これを取りに来たということは、今日何かするんですか?」

アクア「いいえ、それは難しいわ。なにせ、カムイの部屋に行くときは全裸であることなんて言う条件を付きつけられてしまったから」

リリス「自分の家だからってやっていい事と悪いことってあると思うんですよ」

アクア「大丈夫、ちゃんと寒さ対策はしているから、風の心配はいらないわ」

リリス「そっちじゃないです」

アクア「ともかく、私の私室にもカムイの目は光っているわ。だからこれを持っているのはリスクが高いのよ」

リリス「え、じゃあ何で取りに来たんですか? 取りに来ない方が安全なんじゃ」

アクア「まぁ、こういっているけど、今日の朝までお薬のことをすっかり忘れていたのよね」

リリス「そのまま忘れちゃいましょう。忘れることって、それほど大事じゃないことが多いって言いますし」

アクア「そうね。カムイの性奴隷になることの方が大事なことかもしれないということね」

リリス「そっちでもないです」

今日はここまで
 
 寒い時の布団の中ってなんか色々なことが渦巻くよね

リリス「結局、これといったプランも無しに持ち帰るっていうことですよね。正直、危険すぎると思いますよ」

アクア「あなた、カミラと同じようなことを言うのね。そんなに私じゃ守り切れないと?」

リリス「守ろうとして守れる状態じゃないと思いますよ。カムイ様がそんな一日で許してくれるとは思えませんし」

アクア「そうね……。あの後、三日間は寝かせてもらえなかったわ。よく、今日まで生きてこれたと自分自身で感心してしまうくらいよ」

リリス「アクアさん防御関係は滅法弱いですもんね」

アクア「その代り先手を取れば大抵の相手はどうにか出来るわ。はぁ、薄幸の歌姫と思われていた頃が夢のように感じる」

リリス「まぁ、実際のあなたを見たら不幸とか思う前に、逞しさの方が先行しますからね。私もまさか白夜と暗夜両方に喧嘩を売るっていう選択肢を取るとは思ってもいませんでしたから」

アクア「結果良ければすべて良しというでしょ?」

リリス「経過の方こそ重要なんじゃないかと私は思うんですよね」

リリス「とにかく、お薬を持ち出すのはやめた方がいいと思います。せめて、アクアさんなりに勝機が生まれてからにした方がいいです」

アクア「……なんだかんだ言って、私の事を心配してくれるなんて。あなた、カムイレベルのお人好しよね。普通なら、私の事なんて放っておいて、さっさとお薬を渡すと思ったけど……」

リリス「流石にすべて放任というわけにはいきませんよ。アクアさんとカムイ様がこうして恋人同士になったけど、それがこう押し合い圧し合いで悪化してくなんてとこ見ているわけにはいきませんから。勘違いしないでください、アクアさんが心配ってわけじゃないんですからね」

アクア「な、なに、もしかしてリリス、私の事を?」

リリス「どうしてそう斜め上の解釈をしやがりますか。本当にアクアさんを心配しているわけじゃないです」

アクア「わかっているわ。でも、そうこれ見よがしに言われると、すこしだけ来るものがあるのも確かよ。ほら、カムイのおかげで私、そっちもOKなのがわかったから、ね?」

リリス「わたしはノーマルです」

アクア「ピエリにお○んちんをシコシコしてもらっておいて、よく言うわ」

リリス「あれは事故です。事故なんです、もう思い出させないでください」

アクア「だけど、貴方がそういうのなら、仕方ないわ。もう少し考えてみるわ」

リリス「そうしてください。……あの、少し気になったことがあったんですけどいいですか?」

アクア「気になったこと……。もしかして、三日間寝かしてもらえなかった話かしら?」

リリス「ええ、それです」

アクア「まぁ、ちがうでしょうけ……え、リリスもしかして今晩のオカズに私の濡れ場を……」

リリス「いえ、その内容ではなくて……。その、三日間というのは、私が部屋を確認してから三日間ということですか?」

アクア「あまり覚えていないけど、リリスの部屋でカムイに凌辱されて目が覚めてから三日ね、それがどうかした?」

リリス「……」

アクア「リリス?」

リリス「いえ、何でもありません。私の勘違いのようでしたから」

アクア「すっきりしないわね」

リリス「まだ頭が寝ぼけていたんですね。本当にどうでもいい事を考えてしまっただけですから」

アクア「そう、なら私は戻るとするわ。次に来るときは、対策案を考えて戻ってくるから楽しみにしてなさい」

リリス「対策案ではなくて、カムイ様と和解できたという知らせが欲しいですね」

アクア「……そうなれたらいいけど、それじゃね」カツンカツン

 ギイイイイッ ガチャンッ!

リリス「……どういうことでしょうか。こんなことが起きるなんて、今までそんなこと……」

リリス(これが何かの前触れなら、今朝のあのまぶしさは……)

 ぶんぶんぶんっ

リリス「いいえ、違います。もう、私が夢を見る事なんであるわけないんです。なら、これは多分、珍しい変化か何かに決まっています。この星界だって役目を終えてかなりの時間が経っているんですから……。もう、竜脈を使うこともありませんし、銅像を動かしたりもしませんし、何もやることなんてないんですから」

リリス「…………」

リリス「………」

リリス「……」

リリス「…改めて思うと、もう本当にここには何もないんですよね。世界の危機なんてもう訪れませんし、私が夢を見ることもないなら、ここが狂ったとしても何の問題もありませんからね」

リリス「そうですよね、もう私の役目なんてあるわけないんですから……」

リリス(また眠りましょう。外と内で時間の流れが変わっているなら、すぐにでも戻ってくるかも――」

 ガチャンッ!

ピエリ「リリス、おはようなの!」

ニュクス「おじゃまするわよ~」

リリス「なんか、違う人がやってきました!?」

ピエリ「あ、リリスなの。もうっ、ピエリを置いて暗夜に帰っちゃうなんてダメなの! 今度したら、槍でお腹を割いて悪いことするリリスの心臓、いっぱい叱っちゃうのよ」

リリス「それ、もう死んじゃってるから叱られても改心できませんよ」

ピエリ「なら、ここでピエリにごめんなさいするの。そしたら許してあげちゃうの」

リリス「わかりました。ごめんなさい、ピエリさん」

ピエリ「えへへ、許してあげちゃうの!」

リリス「それで、どうしてこちらに来たんですか? ここに来る用事なんて何もないと思うんですが。いったい何の用ですか?」

ピエリ「ん? ピエリはリリスに会いに来たのよ。一週間くらい会ってなかったから、寂しかったの!」

リリス「そ、そうですか。ははっ」ポリポリ

ピエリ「ん、リリス。顔が少し赤くなってるの、もしかして風邪引いてるの? ピエリの御凸にリリスの御凸を当てて、お熱を測ってあげるのよ」コツンッ

リリス「あうっ、勢いが過ぎます。少し痛かったじゃないですか」

ピエリ「ごめんなの。でも熱は無いみたいなの、よかったの!」

リリス「もう、ピエリさんは思い込み激しいんですから、ふふふっ」

ピエリ「えへへっ」

ニュクス「えっと、つまりどういうこと?」

リリス「あ、ニュクスさんお久しぶりです。その、レオン様とは……」

ニュクス「何もないわよ。うん、何もないけど、半裸の肖像画を手に入れられたから収穫はよかったほうね」

リリス「半裸の肖像画? あれ、確か肖像画って……」

ニュクス「まぁ、そのことがあってここに来たのだけどね。ピエリ伝いにヒノカ王女から支給身代わりを準備してほしいって」

リリス「えっ、なんですか命を狙われるようなことでも?」

ニュクス「命は狙われていないわ。ただ、柔肌を晒す必要が出来てしまって。例の肖像画の件、白夜と暗夜で話が食い違ってたみたいで。どこでどうなったのか、暗夜側だけ半裸ってことで話が進んでいたみたい。どうやら、ヒノカ王女がもしも間違っていたら暗夜の形式で肖像画を作らないといけないなと言っていたらしくてね?」

リリス「……あー、確かに言ってましたね」

ニュクス「ヒノカ王女も悪気があったわけではないみたいだけど、ことが事だから肖像画を一度は作らないとってことになったの。それで――」

リリス「身代わりとして魔符のヒノカ様が必要になったと、わかりました。とりあえず名鑑を覗いてみましょうか」

ニュクス「理解が早くて助かるわ。それと、出来ればなんだけど……」

リリス「はい?」

ニュクス「レオン王子の魔符もみせてくれないかしら。ほら、レオン王子の雄姿をこの目で見ないとあれじゃない?」

リリス「素直にレオン王子の魔符が欲しいって言っていいですよ」

 今日はここまで

 魔符システムはあらゆる局面で役に立つ星界の一品

ニュクス「それでどこに向かっているの?」

リリス「はい、名鑑や竜脈の事は執事さんに管理を任せていたので、その執事さんを探しているんです」

ピエリ「カムイ様が良く触ってた水晶の近くにいた人のこと? ピエリが話しかけても無表情だったのよ」

リリス「まぁ、基本的に管理だけが仕事ですから。誰にも無表情で接しますから」

ピエリ「だから一回、えいってしちゃったの」

リリス「ちょっと何をしているんですか」

ピエリ「だって、ピエリの事無視するから。喉にえいって刺しても無表情で、一回開いちゃったの」

ニュクス「なにしてるのよ、貴女は」

リリス「たしかにストレスが溜まると、私も彼らの頭からガブリとしまうことがありますので、ピエリさんの気持ちは少しだけ分かりますよ」

ニュクス「えぇ……」

リリス「そろそろ水晶が見えてきましたね、えっと確かあの壁の陰に……」

巫女「……」

リリス「あ、いました。よかったです。長い間、放っておいたのでどこかに行ってしまっているかと……」

ニュクス「大丈夫、大事な名鑑を落としてなんていないわよね?」

リリス「大丈夫ですよ、きっと。あ、私たちに気づいたようです。あ、久しぶりの仕事なのか、少し張り切っているみたいです」

ニュクス「久しぶりっていうレベル?」

リリス「ここ一年なら、まだ久しぶりですよ。やる気があるうちに用事を終わらせましょう」

ピエリ「それじゃ、ヒノカ様の魔符を回収してくるの! おはようなの! 名鑑を見せてほしいのよ」

巫女「……」ガサガサッ ペラッ

ピエリ「えーと、あ、あったの、ヒノカ様の魔符なの。ありがとうなの、これ貰っていくの!」スッ

巫女「……」パッ

ピエリ「……? なんで上にあげちゃうの」

巫女「……」スッ

ピエリ「その手は何なの?」

巫女「60000G」

ピエリ「え?」

巫女「60000G」

ピエリ「……え?」

巫女「60000G」

ニュクス「ねぇ、リリス。あのサンペキにそっくりの巫女、無表情で60000G要求してるけど……、何かの冗談?」

リリス「え、何を言っているんですか?」

ニュクス「そうよね、長い間放っておいたから、星界も狂って――」

リリス「いやいや、対価を要求するのは当然ですよ。ここはニコニコ現金払いがモットーの星界ですからね。皆さん、資金集めはちゃんとこなしていたでしょう?」

ニュクス「だとしてももう戦いは終わってるんだから、タダでもいいでしょ?」

リリス「ごめんなさい、モローが相場を決めているので。文句はモローに直接お願いします」

ニュクス「使えないわ……。まさか、お金を出さないといけないなんて」

リリス「それじゃニュクスさんはレオン様魔符を諦めるということでいいんですね?」

ニュクス「それとこれとは話が別よ。私はレオン王子のためなら100000G出すことも厭わないわ」

リリス「そうですか、とりあえずお値段を確認しましょう。えーっと、レオン様魔符のお値段は……と、あ、これですね」

ニュクス(レオン王子の魔符、正直100000Gで足りるか不安よ。ヒノカ王女が60000Gだとするなら、予測額は90000~120000G。お願い、100000Gで……)

巫女「20000G」

ニュクス「なんでヒノカ王女より安いの!?」

リリス「ツッコミはそっちですか」

ニュクス「だって、あのグラビティマスターなんていう二つ名があるレオン王子が、こんな安いわけ!」

リリス「それはレオン様のウィークポイントですから、触れないであげてください」

ニュクス「レオン王子のウィークポイント……、なら攻めるしかないでしょ? 恥ずかしそうに否定するレオン王子はとてもかわいいから……。だとしても、この価格は安すぎるわ」

リリス「でも、20000Gでレオン様が来てくれるんですよ? 100000Gならなんと五人も!」

ニュクス「お得よ、すごいお得。でも、なんだか納得できないのよ!」

リリス「はぁ、愛って複雑ですね」

ニュクス「ええ、複雑なの。というわけで五枚いただくわ」ジャラジャラ

巫女「毎度。おら、もってけ」バババッ

ニュクス「な、なんて雑な渡し方!? 気を付けなさいレオン王子がそこにいるのよ!? あ、待って待って―」タタタタ シュバッ!

リリス(これが暗夜にその名が伝わっている悪魔ニュクス、今の姿ですか……)

ニュクス「あああああああっ、仁王立ちしてるシューターレオン王子、カッコいい! あっ、こっちはアドベンチャラーレオン王子。こっちは――」

 ウヒヒヒヒヒヒッ

リリス(……ある意味、今の姿の方が怖いといえば怖いですね)

巫女「60000G」

ピエリ「………」

リリス「ピエリさん、大丈夫ですか?」

ピエリ「あ、リリス……。これ、お金払わないとだめなの?」

リリス「はい、こればっかりは仕方ないと言いますか。もしかして手持ちがないんですか?」

ピエリ「……ないわけじゃないの。無いわけじゃないのぉぉぉ」

リリス「え、何泣いてるんですか。ちょっと、ピエリさん?」

ピエリ「ううっ、この後お買い物するはずだったの。でも、ヒノカ様に頼まれたから仕方ないの」ウルルル

リリス(うわっ、ピエリさんのメイクが崩れて。しかも取り出す手、すっごい震えてます)

巫女「……」スッ

ピエリ「ううううっ、うわあああああんっ!」ドサッ

巫女「毎度、もってけ」ポイッ

ピエリ「魔符ゲット……したの」

リリス「ピエリさん……。無茶しなくてもよかったのに」

ピエリ「ううっ、ピエリ頑張ったの。リリス、なでなでしてなの」

リリス「はい、ピエリさんは偉いですよ~。とってもとってもいい子です」

ピエリ「ううっ、ぐすんっ」

リリス「……」

リリス(言えない。そのお金んの一部がまわりまわって食事三回のお礼、私がカムイ様に渡している小判に変わってしまっているなんてこと。死んでも口にできません。というか、口にしたら死んでしまいます)

ピエリ「ふぇえええん、うぇええええん」

リリス「ああ、ピエリさん泣き止んでください。もう、払ってしまったものは帰ってこないんですから。ね? ね?」

ニュクス「そうね、払ったものは帰ってこないわ。私は得る者は得られたけど、ピエリは何も得られなかったのね。うん、もっと撫でてレオン王子////」

レオン・魔符『……』ナデナデ

リリス「これ見よがしに見せつけて、あなた悪魔ですね」

ニュクス「こんな方法で搾取を続ける星界の方が悪魔的よ。うん、とっても悪魔的で、蕩けちゃいそう////」プシュウウウッ

レオン・魔符『……』ナデナデナデナデ

リリス「ピエリさん、まずはヒノカ様に魔符を届けましょう? そしたらお金も全部返してもらえるはずですから」

ピエリ「ううん、渡しに行くわけじゃないの。ヒノカ様を捕まえたって形で押し付けるだけなのよ」

リリス「え、じゃあヒノカ様はもうどこかに隠れているということですか?」

ピエリ「そういうことなの。だから、ピエリのお金、すぐに帰ってこないの。ううっ、ひっぐっ」

リリス(ヒノカ様、そんなに半裸の絵を描かれるのがいやだったのですね。アフターフォローとか何もしてない投げっぱなしじゃないですか)

リリス「とにかく、今はヒノカ様魔符を届けましょう。そのあと、そのお買い物のお手伝いとかしますから。私、これでも備蓄に自信はあるんです。60000Gくらいなら、どーんと御貸し出来ますから!」

ピエリ「ほ、本当? リリス、全然お金貰ってるイメージないけど、大丈夫なの?」

ニュクス「いくらピエリを慰めるためとはいえ、そんな嘘と背伸びはしない方が身のためよ。大人の私が言うんだから、間違いないわ」

リリス「そこまでストレートに言われると、さすがに傷ついちゃいますね~」

 今日はここまで

 私の魔符最高金額は133000Gくらいでしたね。
 戦巫女の見下してる感がすごい

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―暗夜王国・城下町の宿舎―

リリス「えっと、ピエリさん。こちらで本当にあっているんですか?」

ピエリ「うん、ヒノカ様からもらったお手紙にそう書いてあったの。だから間違いないの」

リリス「ちなみにここで待ってくれている白夜の方っていうのは、ヒノカ様が魔符の偽物であることは……」

ピエリ「えっと、わからないの。でも、話は通してあるって書いてあったから大丈夫なはずなの」

リリス「すでに国家間の親書で大失敗してるヒノカ様を信用していいんでしょうか」

ピエリ「……きっと大丈夫なの! それじゃ、おじゃましますなの!」ガチャッ

リリス「あ、ピエリさん。はぁ、ニュクスさんはレオン王子がもっとほしいってお金下ろしてくるって行ってしまいました。まぁ私がいない時の星界は現実と同じ時間が流れてますから、中に入って外に出てきたら、年代が変わっていたなんてことあるわけないですけど」

リリス「あ、そうです、まずはヒノカ様を召喚しておかないと……手ぶらで行くわけにはいきませんからね」

 シュオオオオオオッ

ヒノカ魔符「……」

リリス「槍聖ですか、そうですよね。天馬、戦闘面じゃあまり役に立ちませんからね……」

ヒノカ魔符「……」

リリス「よし、それじゃ行きますよ。付いてきてください」

ヒノカ魔符「……」フラッ

リリス「ちょ、何でいった傍から反対方角に向かっているんですか! ちょ、待ってください」ガシッ

ヒノカ魔符「……」テトテト

 ズザザー ズザザー

リリス「」ズルズルズル……

リリス(やだ、私の力低すぎ……)『リリス・力MAX数値28』

ヒノカ魔符「……」チョコン

ピエリ「もう、リリス何してるの。相手を待たせちゃダメなのよ」

リリス「はい、ごめんなさい。ピエリさん」

ピエリ「それにヒノカ様もヒノカ様なの。あなたの主人はお金を払ったピエリとここに連れてきたリリスなの。今度変なコトしたら、その体をえいって貫いちゃうのよ」

リリス「いや、魔符でも一応人と同じように血を出しますし、攻撃し続ければ死んだようにぐったりになっちゃいます。そんなところを見られたりしたら、また暗夜と白夜間で戦争になってしまいますよ」

ピエリ「このヒノカ様は偽物なの、殺しちゃダメなの?」

リリス「ダメです。わたしたちだってちゃんと調べないと魔符だと確認できないくらいなんですから、ヒノカ様が死んでいるところを誰かが見たら、本当に事件になってしまいます」

ピエリ「よくわからないの。言うこと聞かない悪い子はおしおきしてもいいはずなの」

リリス「それを言ったらピエリさんが一番お仕置きの対象だと思いますけどね」

 ガチャッ

???「騒がしくしている暇があるなら、さっさと入ってきたらどうだ?」

リリス「あ、すみません。って、サイゾウさん!?」

サイゾウ「む、ピエリと一緒に来るというのはお前だったのか……。それでこっちが……」

ヒノカ魔符「……」

サイゾウ「なるほど、人形か」

リリス「え、わかるんですか」

サイゾウ「これでも、今はヒノカ様の臣下だ。わからなくてどうする。ヒノカ様に変装した紛い者たちには注意しなくてはならないからな」

リリス「へぇー、ヒノカ様の事、大切に思われているんですね」

サイゾウ「当たり前だ、ヒノカ様は白夜を収めておられる。その命を守るのが今の俺の役目だ」

リリス「もう少し素直な返答をしてもいいと思いますよ?」

サイゾウ「わかった。ヒノカ様の影武者はこの後、白夜へきちんと送り届ける」

リリス「はい、よろしくお願いします。だけどヒノカ様が間違えたこと、何処でわかったんですか?」

サイゾウ「ああ、お前が白夜を発った次の日の夜、ヒノカ様は震えていた」

リリス「もう、あの会話がフラグのようなものだったんですね。でも、誰がそれに気づいたんです? さすがに肖像画がの確認に時間が必要だと思うんですけど」

サイゾウ「ああ、スズカゼだ」

リリス「また、スズカゼさんですか」

サイゾウ「また、スズカゼだ。話を聞く限り、どうやらお前とヒノカ様の話を盗み聞きしていたらしい、それで思い立ったようだ。盗み聞きしたところで情報収集を始めた様だ」

リリス「スズカゼさん、前日にヒノカ様とサイゾウさんにぼこぼこにされてましたから、その意趣返しを……」

サイゾウ「いや、そうではない。あいつなりに、ヒノカ様を守ったともいえる」

リリス「え!?」

サイゾウ「ことがわかるとスズカゼは一気に暗夜に飛んで、状況をマークス王子たちに説明したそうだ。出来る限り、ヒノカ様に害が及ばない形でな」

リリス「……なんていうか、スズカゼさん。本当に土壇場で頼りになりますね」

サイゾウ「ああ。それでカミラ王女が戻ってきたところでどうするかを皆で話し合い、結果として今の状況に落ち着いたということだ」

リリス(カミラ王女が戻ってきたとき、多分透魔王国から戻ってきたころでしょうか……)

リリス「つまり追われているわけではないんですね」

サイゾウ「ああ、ヒノカ様は今、カミラ王女やカムイ様、エリーゼ王女と一緒にいる。別に何かしらの罪に問われるわけでない。ただ半裸の肖像画を作るとスズカゼが証言してしまった以上、そこは通さなくてはならなくなったというわけだ」

リリス「スズカゼさん、そこも誤魔化してくれればよかったんですけどね……」

サイゾウ「……そういえばそうだな」

リリス「サイゾウさんはサイゾウさんで、時々抜けてますね」

 ガチャッ バタンッ

リリス「ふぅ、あとはサイゾウさんに任せておけば大丈夫そうですね」

ピエリ「うん、これで一件落着なの!」

リリス「はい、それでピエリさんまずはこちらを」ガサガサッ

ピエリ「ん、何なのリリス?」

 ジャラジャラジャラ

リリス「はい、先ほどお話しした60000G、ちょっとおまけもありますから70000Gくらいですかね」

ピエリ「り、リリス。本当にお金持ってたの!? いつも玉とカチーフしか持ってないイメージだったの」

リリス「どうして、私が素寒貧だと決めつけるんですかねぇ」

ピエリ「え、だってリリス、どうやってお金稼いでるかわからないの。星界でお金稼ぐ方法ってなにかあるの?」

リリス「い、色々あるんです。だから、そのお金のことは気にしないでください」

リリス(魔符と武器屋道具屋の収益は伊達じゃありません! でも、カムイ様が魔符や道具を買ってくれない違う世界の私はモチモチポンポンを300Gで疲れた方々に触らせるサービスでどうにか小判代金を稼いでいるって聞いてますから、私も一歩間違えたらそうなってたのかもしれませんね……)

ピエリ「それじゃ、リリス。今からお買い物なの! 一緒に選んでほしいのよ」ギュッ

リリス「ピエリさん?」

ピエリ「えへへ、リリスと一緒にお買い物~。ピエリ、とっても楽しくなっちゃうの!」

リリス「そうですか。でも、どうして買い物を? しかも60000Gって結構な金額ですけど……」

ピエリ「うん、実は旅行に行くのよ」

リリス「旅行ですか……」

ピエリ「そうなの。この前、アクア様が言ってたの。今度みんなで旅行に行きましょうって!」

リリス(……)

リリス(なんででしょう、どんなに頑張っても嫌な予感しかしません……)

今日はここまで

 リリスの全身パルレは一回500000G、さぁ盗賊を狩りに行こう。

リリス「ピエリさん、アクアさんが今どこにいるか知ってますか?」

ピエリ「うん、知ってるの。今、旅行の準備でお城にいるはずなのよ。もしかして会いに行くの?」

リリス「ええ、何を考えているのか正直わかりませんから」

ピエリ「リリス、アクア様の事信用してないのね」

リリス「信用っていうのは積み重ねだと思うんです」

ピエリ「リリス、アクア様といっぱい積み重ねしてきたと思うの」

リリス「……積み重ねてるものの質も重要だと思うんですよね。まずはお嬢に向かいましょう。話はそれからです」

ピエリ「うん、わかったの!」

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―暗夜王国・クラーケンシュタイン城―

カミラ「あら、久しぶりね、リリス」

リリス「カミラ様、お久しぶりです。その、アクアさんに会いに来たんですけ。今どちらにいらっしゃいますか?」

カミラ「アクアに? そうだったの、でも少し遅かったわね」

リリス「もしかして何処かへお出掛けに?」

カミラ「出かけてるわけじゃないのだけど、ちょっとね」

リリス「何かあったんですか!?」

カミラ「話すより見てもらった方がいいわ、こっちよ」ダッ

リリス「カミラ様、そんなに急いで……。まさか、本当に何か起きて。ピエリさんはここで待っていてください」

ピエリ「? わかったの、ピエリここで待ってるのよ」

リリス「はい、すぐ戻ってきますから!」タタタタタッ

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 クチュリッ

アクア「っ、んぁ! やめてぇ、カムイぃ……」

カムイ「そんなにお尻をフリフリしながら止めてと言われても、全然説得力がありませんね。こんなに溢れさせて、おもらししてるみたいですよ」

アクア「やっ、いわないで。ひゃうっ、そこ、だめ、感じちゃうから……」

カムイ「感じちゃうって、私の指に合わせて腰を動かしてるのに。まるで私がイケないみたいにいって、これはお仕置きが必要ですね」

アクア「やっ、お仕置きって……ひっ!」

カムイ「ふふっ、アクアさん、アソコだけじゃなくてこっちの穴もヒクついてますよ。欲しいんですね、私の指が……」ピトピト

アクア「やっ、そんなの欲しく、ほしくな、あああっ! だめ、お尻、なぞっちゃダメ、お○んこ、お○んこだけにして、おねがい……」

カムイ「自分でお○んこに欲しいだなんて、はしたないですよアクアさん。やっぱりお仕置きしないとだめです、ねっ」ヌププププッ

アクア「んおおおおっ。はぁっ……入って、入って来てぇ……るぅ……」

カムイ「すごい締め付けですよ、アクアさん。気の強い人はお尻が弱いって言いますけど、本当にその通りですね。こんなに私の指を咥え込んで、アソコをもっと濡らしているんですからっ!」

アクア「ちがう、お尻で感じてなんて、感じてなんて――んああああっ」ビクビクッ

カムイ「そうですか、それじゃ窓の外にいる皆さんに見てもらいましょう。アクアさんが感じていないかどうか」ガシッ

 ガタンッ

アクア「あっ……」キュッ

カムイ「あ、今お尻がキュッて締まりましたよ。もしかしてお尻を弄られてるのを誰かに見られてるから、興奮してしまったんですか?」グポグポッ

アクア「や、カムイ止めて、ふああっ。裸のままだからっ、誰かに見られちゃうっ」

カムイ「いいじゃないですか。私の部屋とアクアさんの部屋は隣同士ですけど、ここに来るとき何も身に着けてないんですから。もう、多くの人は知ってますよ、アクアさんがとてつもない変態さんだって」

アクア「う、嘘よ」

カムイ「ふふっ、ならそれが真実だって、まずはアクアさんに教えてあげますね。ほら、お尻の穴で感じた分、床の染みがとっても広くなってる。これ、アクアさんのなんですよ?」

アクア「あ……やっ、だめ、見せないで。いや……」

カムイ「なら顔を上げて窓の外を見ていいんですよ。あ、誰かがこっちを見てますよ、すごくいやらしい目つきで、アクアさんの痴態を……」

アクア「いや、見ないで見ないで……。ああ、だめ、いく、いくいく、全裸でお尻を指でズボズボされながら、イクとこ見ないで!!!!」

アクア「あああああああっ、あああああああっ」プシャアアアアアアッ!!!!

カムイ「ふふっ、イッてしまいましたね。アクアさん♪」

アクア「はぁ、はぁ……い、ちゃったぁ……おひりへ、ひっひゃったよぉ……」ビクッ ビクビクッ

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リリス「」

カミラ「ここからカムイの部屋が見えるでしょう? さっき、アクアがカムイの部屋に行くと言っていたから……。おそらくはと思ったんだけど」

リリス「なんてものを見せてくれるんですか、カミラ様。その、私の立場としてはすごく複雑な光景ですよ、これ」

カミラ「やっぱり、従者としては納得できないのかしら?」

リリス「いや、納得できないとか納得できるとかじゃなくて、誰が好き好んで知り合いの情事を覗こうとしますか?」

カミラ「覗かないのかしら?」

リリス「覗きませんよ」

カミラ「エリーゼからタクミ王子との情事で何か思うことがあったら教えてほしいって言われて、引き受けたことはあるのだけど」

リリス「カミラ様、家族のために色々と頑張りすぎです。そんなこと頼まれたら、数日寝込みますよ、私なら」

リリス(というか、ピエリさんを置いてきてよかったー。こんな光景見せられませんよ)

カミラ「ところで、アクアに話があるんでしょう? 色々と一段落してそうだから、離しに行きましょう?」

リリス「あれを見てから会いに行くって、カミラ様の神経は図太いですよね」

カミラ「二人が心配なだけよ。時々バランスを取ってあげないと、すぐに壊れてしまうかもしれないから」

リリス「カミラ様の爪の垢を煎じて二人に飲ませてあげたいです」

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アクア「はぁ、はぁ……。うう、カムイ容赦なく私のお尻を穿って……。まだヒリヒリしてる。リリス、従者であるあなたからも言ってあげて。お尻はダメだって」

リリス「出来れば関わりたくないので、そういうのは自己解決の方向でお願いします。ピエリさんから聞きました、なんか旅行に行くとかなんとか」

アクア「あら、もうその話を聞いているのね。今日にでも知らせに行こうと思っていたところなのに」

リリス「今日にもって、まだ一日も経ってないのに、旅行に行くって……」

アクア「一日? おかしいわね、私が貴女にあったのは一週間前の事よ」

リリス「……え?」

アクア「あなたに言われて色々考えてみたの。どうすればお薬をうまく使えるのか。考えた結果、入念な準備が必要だっていうことを突き止めたのよ」

リリス「使わない選択肢ならすぐに突き止められますよ」

アクア「そうはいかないわ。私のお薬ちんちんでカムイを性奴隷にしないと、私の気が済まないわ」

リリス(思ったよりも拗れてる。というか、関係が悪化してませんか。カミラ様の心配は的中してしまった形ですよ)

アクア「まぁ、そういうことで旅行に行くことになったのよ」

リリス「ごめんなさい、どういうことです?」

アクア「いい、ここはカムイのステージ。どんなに手を尽くそうとも私に勝機はないわ。なら、私だけが知っている新しい地で戦いを挑むのが一番でしょう?」

リリス「もう何から指摘すればいいのか……。とりあえず、どこに行くことになっているんですか?」

アクア「ええ、異界の南国にね」

リリス「異界の南国……。いつか、カムイ様が当てた券を王族の皆さんで争って勝ち取って行ったあそこですか?」

アクア「似ているけど少し違うところよ。もう、エリーゼとカミラを連れて下見をしてきたわ」

リリス「アクアさんの悪意に二人を巻き込まないでくださいよ。でも、そんな場所誰が見つけてきたんですか?」

アクア「細かいことは詮索しないで。ともかくそこなら私の野望が達成できる。そう思ったのよ」

リリス「話を聞いて――」

アクア「そういうわけだから、今すぐ星界に行きましょう」

リリス「四の五の言わせませんね。本当にその確固たる決意は世界を救うという意思だけにしてくださいよ」

アクア「……それは嫌よ。ようやく、私にも安心て何かをすることが出来る生活が来たんだから、貴女にはわからないことかもしれないけど。秘密を口にすることが出来ないまま、戦い続けることはとても辛いことなのよ。だから、今事の時は私にとってかけがえのないものよ」

リリス「そうでしたね……。ごめんなさい、軽率な発言でした」

アクア「いいのよ。とりあえず、星界に行きましょう? お薬を回収しないといけないから」

リリス「そうですね」

リリス(ニュクスさんの作業が終わってるといいなぁ)

アクア「……ところで他に誰か一緒に来ているの?」

リリス「えっと、実は先ほどまでカミラ様と一緒だったんですけど、アクアさんの様子を見る限り大丈夫そうだから、私に任せるって」

リリス(まぁ、いつも一緒にいるカミラ様がそういうんですから、大丈夫なんでしょう)

アクア「そう……。カミラにもやるべきことがあるもの、仕方ないわ」

リリス「?」

アクア「ともかく、早く星界に向かいましょう? 早くしないと、またカムイにお仕置きされてしまうかもしれないから……」

リリス(うっとりしながらお尻を触って言われてもですね……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「ふぅ、あまり変わっていないわね」

リリス「もう帰ることもありませんから、とりあえず少しここで待っていてくれますか、ちょっと調べたいことがありまして」

アクア「いいけど、手短にお願いね。時は一刻を争うっているのよ」

リリス「争わなくてもいい事だと思います」

リリス(えーと、確かここら辺に)

巫女「……」

リリス「あ、いました……。ニュクスさんも作業を終えているようですね、なんか、地面に黒い羽毛が散らばってますけど……って、なんですかこのお金!?」

リリス(うわっ、合計で350000Gはあります。すごい、カムイ様の魔符なら三つ、他の方の魔符でも約七つ出せるくらいはあります。ニュクスさん、どこまでレオン様の魔符につぎ込んだんですか!?)

リリス「その、私の懐事情は温まりますけど、何というか荒稼ぎしているようで若干、心が痛みますね。しかし、350000Gですか、レオン様の魔符だけにつぎ込んだとしたら、約十七人分!?」

リリス(詳細はわかりませんけど、出された魔符の数だけは確認しておきますか……。これもその星界を預かる物の義務ということで……)

リリス「えっと、巫女さん。私が出て行ってから、魔符が出された数は何枚でしたか?」

巫女「……5枚」

リリス「え?」

巫女「5枚」

リリス「あれ……レオン様の魔符にそんな高価な物なんてありましたっけ? ちょっと調べ――」

アクア「何をしているの、リリス。すぐに戻るはずじゃなかったのかしら?」

リリス「わっ、アクアさん。すみません、その気になることがあって」

アクア「それは後にしてちょうだい。まずはお薬を私に渡すことが先よ。あの神殿に隠してあるんでしょう?」

リリス「それもそうですね。お金の使い方は人それぞれですし、それに何か言う必要なんてありませんから……」

アクア「纏まったところで早くいきましょう? 旅行の開始まで時間がないの」

リリス「わかりました、わかりましたから。そう先に行かないでくださいよ」タタタタタッ

アクア「おじゃまするわよー」

リリス「いや、声を出しても誰もいるわけ」

???「どうぞ、お入りくださいアクア様」

リリス「」

アクア「返事? あなた神殿に誰か連れ込んでいたのね?」

リリス「いえ、連れ込んだ覚えはないんですけど。ちょっと本当にここで待っていてくれませんか。というか、多分ですけど、今はアクア様、中に入れませんから」

アクア「何を言っているの。扉は開いているのだから、入れないわけ――」テトテトテトッ

アクア「……」テトテト

アクア「…」テトッ

アクア「入れないというより、進んでいるのに進んでいないみたいな感じね」

リリス「はい、いわゆる外世界の諸事情を写さないための配慮なんです。今この中にいるのは、そういう相手ということです」

アクア「そう、なら待っているから、さっさと用事を済ませてきてちょうだい」

リリス「はい、それじゃ行ってきますね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 カツンカツンカツンッ

???「ふーん、思ったよりも仲良くやってるんですね。普通はこんな風に交流することなんてないと思うんですけど」

リリス「私の世界はイレギュラーなことが多いんです。そういうあなたも、こんな場所にやってくる暇なんてないと思いますけど」

???「ひどいですね。これでも自分のことを心配しているんですよ。こうやって互いに交流は出来るようにしてくれたモローには感謝しないといけませんよ」プカプカ

リリス「モローが私に力を貸してくれたことは感謝してますけど、その……」

???「あ、そうでしたね。あなただけ、珍しく生えてるんでしたよね。ふふっ、星竜ならぬ性竜とはこのことです」

リリス「ぐっ、それを私の口から聞くことになるとは思いませんでした。どこかの私……」

別世界のリリス「まぁまぁ、怒らないでください。出来れば土下座をしたいですけど、ここはあなたの世界です。人間としての姿にはなれませんから、竜のままで許してください」

リリス「そういうところはモローもしっかりしていますよね。別世界に向かった場合は、向かった側は必ず竜の姿になるっていう……」

別世界のリリス「その世界に存在する星竜としてのリリスは一人しかいないから、二人私たちがいるという矛盾を消すためだとかなんとか」

リリス「まぁ、どうでもいい話ですけど」

別世界のリリス「はい、そんなことはどうでもいいんです。今日はあなたにいいものを持ってきたんですから。ほら、あれが日々溜まってても中々発散できなくて辛いでしょう?」プカプカ

リリス「なんで別世界の自分自身に性欲処理の心配をされなくちゃいけないんですか?」

別世界のリリス「いいじゃないですか。はい、この水晶に良さそうな記憶を持ってきたんですよ。覗いたらきっと発散したくなるはずです。私が試したので間違いありません」

リリス「ただでさえ失礼なのに、使用済みとか……」

別世界のリリス「ちなみに記憶の登場人物は気になるあの子のものです!」

リリス「気になるあの子っていったい誰の事ですか?」

別世界のリリス「まぁまぁ、それは見てからのお楽しみ、ちなみに三つありますよ。どれがいいかはあなたが決めてください。ちなみに赤いのと青いのと紫があってそれぞれシチュが違います。一つだけ選んでくださいね」

リリス「一つだけですか……」

リリス(シチュが違うっていったい何のことかわかりませんけど、とりあえずさっさと選んで帰ってもらいましょう……。そうしないと、アクアさんに殴られてしまいますからね……)

 今日はここまで
  
  気の強い女はお尻が弱いというのは、何とも説得力のある言葉だと思う。
 
 リリスが見ることになる水晶を決めたいと思います。ご協力いただけると幸いです。
 気になるあの子は、ピから始まってリで終わる子です。

 赤・ラブラブエッチ
 青・一人エッチ
 紫・触手エッチ

 >>382のものにしたいと思います。すみませんがよろしくお願いいたします。

リリス「それじゃ赤でお願いします」

別世界のリリス「赤ですね。赤は気になる子とラズワルドさんが結婚した世界のものになります」

リリス(ラズワルドさんですか。まぁこちらではフェリシアさんの尻に敷かれていますから、それなりに普通な物になりそうです)

別世界のリリス「ちょっと待っててください。えっと、確か私の星界のここら辺に……ありました」ゴソゴソゴソッ

リリス「これですか。とりあえず、すぐに見せてください。さっさと戻りたいので」

別世界のリリス「え、後でもいいと思いますよ。ほら、星竜の姿になってからの方が色々とできるじゃないですか」

リリス「色々ってなんのことですか」

別世界のリリス「でも、下見してからの方が射精感のコントロールもできますよね。それを見越しての発言だったんですか。すみません、失念していました」

リリス「もっと失礼な解釈してますねぇ……」

別世界のリリス「では、つまらない部分はパパッと抜かしておきますね。主に馴れ初めとか告白とか」

リリス「そこの過程が重要なんじゃないんですか?」

別世界のリリス「良い話かもしれませんけど、それはオカズになりませんから」

リリス「すべての恋愛に喧嘩を売る様な発言ですね」

別世界のリリス「よし、これで情事直前から見れるはずです。それでは愉しんでくださいね」

 カチッ

 シュオンッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ピチャンッ

ラズワルド「はぁ、今日も疲れたよ。マークス様、今日くらいは仕事を大目に見てくれてもいいのに」

ピエリ「えへへっ、でもマークス様、ピエリの誕生日覚えててくれてたはずなの。ラズワルドがこんなに早く帰ってこれたのが証拠なの!」

ラズワルド「たしかにね、プレゼントを受け取りに行くのも全然余裕があったからね。まぁ、明日からはいつも通りだと思うと気が重くなるよ」

ピエリ「えへへ、プレゼントのリボンとっても嬉しかったの。ありがとうなの、ラズワルド」

ラズワルド「喜んでもらえてうれしいよ。でも、ごめんね。誕生日なのに料理手伝ってもらっちゃって、その本当は一人で何とかしようと思ったんだけど……」

ピエリ「いいの。それにラズワルドと一緒にお料理が出来て楽しかったの。ごはんもおいしくて、こうやって一緒にお風呂に入れて、ピエリとっても嬉しいの!」プルルンッ

ラズワルド「そ、そうだね////」チラッ

ピエリ「んー、ラズワルド。ピエリの御胸ばっかり見てるの。目を逸らしてもバレバレなのよ」

ラズワルド「いや、そんなこと……」

ピエリ「うふふ、そんなこと言って、ここ、もうカチコチなの」サワサワッ

ラズワルド「あ、ピエリ……」ピクピクッ

ピエリ「んっ、ラズワルド、少し腰を上げてなの。お風呂の中じゃ、ラズワルドのちゃんと見えないの……」

ラズワルド「う、うん」チャプンッ

ピエリ「わぁ、ラズワルドのとっても元気になってるの……。今日はピエリのためにお仕事頑張って、早く帰ってきてくれたから、とっても嬉しいの。この後ピエリの事をいっぱい愛してほしいの」

ラズワルド「……ピエリ、そのいいかな?」

ピエリ「どうしたの?」

ラズワルド「その……ピエリの体を見たりとか、その見られたりとかして、恥ずかしい話なんだけどベッドまで我慢できそうになくて。その……ここでもいいかな?」

ピエリ「うん、わかったの。えへへ、ラズワルド愛してるの」

ラズワルド「僕もだよ、ピエリ」チュッ

ピエリ「んちゅ、はむ、れろれろ、んじゅるるるるっ」

ラズワルド「ああっ、ピエリ…そこ、ううっ」

ピエリ「んはっ、ラズワルドのあそこ、とっても固くなってるの。ピエリのお胸からこぼれちゃいそうなの……。先端がヌルヌルしてる、ラズワルドのここの味だぁいすきなの……れろれろぉ」

ラズワルド「はぁはぁ、ピエリ、そんな先端ばっかり、っ!」

ピエリ「えへへ、ラズワルド。タマタマ弄られるのも好きなの知ってるの……。はむっ、ちゅっ、んっんっ……はぁ。ここからはお胸も使っていっぱい気持ちよくしてあげる」ユサユサ

ラズワルド「はぁ、ピエリのおっぱい、すごく熱くてエッチだよ」

ピエリ「うん、ピエリ。ラズワルドのためなら、もっとエッチになっちゃうの。んちゅちゅっ」

ラズワルド「あっ、そんな同時になんて!」

ピエリ「んちゅっんちゅっ! じゅるるるっ、はぁ、ラズワルドのおちんぽ、どくどくしてる。ピエリのお口にいっぱい出して、ピエリのお口にラズワルドの生クリーム、いっぱい出してほしいの」ズチュチュチュ

ラズワルド「ああっ、ピエリ、射精すよ。口で受け止めて、ううっ!!!」ビュルルルルッ ドビュッ ビュルルルルルルッ

ピエリ「んんっ、んっ、こくんっ、こくんっ……。はむっ、んあぁ。ダメなの、全部飲み切れないの……。お胸にいっぱい、ラズワルドの精子、零れちゃったの……。でも、とってもおいしかったの……」ベトベトッ

ラズワルド「ピ、ピエリ……」ビクンビクンッ

ピエリ「わかってるの。ラズワルド……」バシャッ

ピエリ「んっ////」クパァ

 トローッ

ピエリ「ピエリももう我慢できないの。ピエリのここをラズワルドの熱くて硬いのでいっぱい激しくしてほしいの」クチクチッ

ラズワルド「ピエリのココ、すごい濡れ濡れだね。もうこんなに糸引いてるよ」クチュクチュ

ピエリ「やっ、指じゃなくておちんぽが欲しいのぉ。ラズワルドのおちんぽがいいのぉ」

ラズワルド「わかったよ。それじゃ、挿入れてあげるね」ヌプププッ

ピエリ「ふああっ、挿入ってきてるの。ピエリの中に、ラズワルドが。ピエリこじ開けられちゃうのぉ……」

ピエリ(はぁはぁ、ラズワルドのおちんぽ、ピエリの中でもっと大きくなってるの。はぁはぁ、いっぱいいっぱいでとっても幸せなの……)

ラズワルド「はぁ、ピエリ。愛してるよ」

ピエリ「うん、ピエリも愛してるのぉ」

 クチュリッ チャプンッ!

ピエリ「んいいいっ。ふああっ、深いのぉ。ラズワルドのおちんぽが、ピエリの奥まで挿入ってきてるの。あっ、あっ、ひぅっ」

ラズワルド「はぁはぁ、ピエリの中とってもあったかい。はぁ、それにすごい締め付けてきて、僕のこといっぱい求めてくれてるよ!」パンパンパンッ

ピエリ「んっ、気持ちいの。ラズワルドのおちんぽ、ピエリをゴリゴリって、ふあああっ、だめ、お尻にラズワルドが当って、はひっ、気持ちよくなっちゃう、ひぅっ」

ラズワルド「そっちだけじゃないよ」スッ モミモミ

ピエリ「やっ、お胸まで一緒なんて聞いてないの。ひゃっ、らめっ、乳首クリクリしちゃだめなのよ」

ラズワルド「はぁはぁ、僕の精子で濡れ濡れのピエリのおっぱい、すごくいやらしくなってるよ。先端もこんなに硬くして、んっ、突くたびに揺れてたら弄ってくださいって言ってるみたいなものだよね?」パンパンッ モミモミ

ピエリ「やっ、ふああっ、お胸もあそこもいっぱいいっぱいなの。ふああっ、ラズワルド、ピエリ、もっとエッチになっちゃうの」

ラズワルド「うん、ピエリはとってもエッチな女の子だよ。だから、もっと見せつけてよ。こうやって」ガシッ ググッ

ピエリ「ふっ、や、こんなふああっ、足あげないで、見えちゃうの、ピエリからラズワルドと繋がってるとこと、見えちゃうのぉ」パンパンッ

ラズワルド「うん、すごくやらしいよ。僕のを咥え込んでるピエリのアソコ、ここも硬くなってきたみたいだね」コスコス

ピエリ「やっ、だめなの。ピエリのお豆、そんな指で押しちゃ、ふあああっ。だめなのぉ」

ラズワルド「そう、それならやめちゃうよ?」

ピエリ「やっ、止めちゃやなの……。止めないでほしいの、もっと気持ちよくしてほしいのぉ……」

ラズワルド「ピエリは嘘つきだね。誕生日だけど嘘はついちゃだめだよ、お仕置きしてあげないとね?」グッ グリグリ

ピエリ「あ、奥だめ、ピエリの奥におちんぽが届いてぇ、ふあああっ、赤ちゃんのお部屋グリグリされてるのぉ」ガクガクガク

ラズワルド「はぁ、ピエリ。あむっ、んちゅんちゅちゅ」

ピエリ「んちゅっ、はぁ、れろれろれろ。んんっ、ぷはぁっ、もっとキスが欲しいのぉ」

ラズワルド「いいよ、ピエリ。はむっ、んっ」パンパンパンッ

ピエリ「んっ、ひゃ、らじゅわりゅど、ふああっ、らめ、おまんこもお胸もお口も、全部一気になんてだめなのぉ」

ラズワルド「ぱあっ、ピエリ射精すよ。ピエリの奥に僕の、いっぱい!」パンパンパンッ

ピエリ「うん、来てラズワルド……、ピエリの、ピエリの膣内に、ラズワルドの精子、いっぱい、いっぱい!!!」

ラズワルド「ふっ、くあああっ!」ドビュッ ドプププッ!

ピエリ「ふあああああああっ」プシャアアアッ!

ピエリ「膣内に、膣内にいっぱい、らじゅわるどのしぇいし……いっぱいでてりゅのぉ……」ガクガク

ラズワルド「……」

ピエリ「んっんんっ、はぁはぁ。ねぇラズワルド、お風呂出るの。次はベッドでいっぱい、ラズワルド?」

ラズワルド「……」パンパンパンッ

ピエリ「ひゃっ、だめ、今されたらピエリ、ふあんっ!」

ラズワルド「我慢できないよ。こんなにエッチなピエリを見せられちゃったらさ」パンパンッ

ピエリ「ひゃっ、ひうっ、んんんっ~~~!!!」ビクンビクン

ピエリ(やっ、もうやめたいのに敏感になってるから、すぐにイっちゃったの……)

ラズワルド「ははっ、今イッたんだね」パンパンッ

ピエリ「んやっ、だめ、このままされたらピエリ、おちんぽだけになっちゃうの、エッチなだけになっちゃうのぉ」

ラズワルド「もっともっとピエリが気持ちよくなってるところ見たいから。ごめんね」

ピエリ「ふやっ、あっ、だめ、向かい合ってなんてだめなの、ふああっ、顔見ちゃだめ、だめぇなのぉ」パンパンッ

ラズワルド「ピエリ、ピエリ、すごいエッチな顔してる。舌まで出してすっごく蕩けてるよ」ガシッ グッグッグッ

ピエリ「あっ、あっ、ううっ、はっ、うううっ。ふああああっ」グチュグチュグチュ

ラズワルド「今度は正面から受け止めて、もっといやらしい顔になってね」ジャブジャブジャブ

ピエリ「らめ、今出されたらピエリ、だめになっちゃうのぉおおおおお。んあっ、やっ、あ、あっ!」

ラズワルド「はぁっ、射精る!射精る!!!」グッ ビュルルルルルッ!!!!

ピエリ「ふあああああああんっ、あうっ、んああああああっ!!!」ビクンビクンッ

ピエリ(もうだめ……。ピエリ、ラズワルドのおちんぽしか……考えられないのぉ)

ラズワルド「はぁはぁ、それじゃピエリ、もう一回舐めてくれてもいいかな?」

ピエリ「はぁい……らずわるどぉ、あむっ、ちゅるるっ、はっ、もっと、ほしいのぉ」クチュクチュ

ラズワルド「うん、いいよ。綺麗に全部舐め取れたら、またしてあげるからね」ナデナデ

ピエリ「ん、じゅるるるっ、んあっ、れろれろれろ……」チュパチュパッ

ピエリ(ラズワルドのおちんぽ、おいしいのぉ……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 シュオンッ

別世界のリリス「赤は以上です。どうでしたか? 中々の物でしょう」

リリス「はい。とりあえず、ラズワルドさんをしばかないといけ無いという事だけはわかりました」ニコニコ

今日はここまで

 ピエリ誕生日おめでとう。ピエリはとてもエッチだから仕方ないね。

リリス「はぁ、あんなに純真無垢なピエリさんが、ああなってしまうなんて。ラズワルドさんもやはりケダモノの血を引いているんですね」

別世界のリリス「ケダモノかどうかは知りませんけどね。まぁ、馴れ初めなんかは結構いい話ですよ」

リリス「世の中には順序というのがやっぱりあるでしょう? いきなり痴女にあったら、ほとんどの人は痴女の過去がどんなものであろうと痴女は痴女だと思うものです」

別世界のリリス「なるほど、私たちは素の彼女を知っているからこそ、こう乱れている姿に萌えるということですか」

リリス「私がこんなに物分かりが悪いとは信じたくないんですけど……」

別世界のリリス「まぁまぁ、その気持ちはわかります。私も普段のピエリさんの幼さのギャップと情事の時の淫らな姿に興奮して、思わず床を温めてしまいましたから」

リリス「自身のオナ事情を赤裸々に語るのを止めてくれません?」

別世界のリリス「というわけで、この水晶はお渡しします。さぁ、気負うことなく自家発電に励んでくださいね、私」

リリス「すごくいらない。もう用事は済んだんですから、さっさと自分の世界に帰ってください」

別世界のリリス「まぁまぁ、そう急かさないでください。少し気になることもあって足を運んだんですから、もう少しだけ付き合ってください」

リリス「正直耳を貸したくないんですけど、碌でもないことなんでしょう?」

別世界のリリス「碌でもないかを決めるのはあなたですから。別につまらないというのなら、すぐに帰れと言ってください」

リリス「はぁ、わかりました。それで気になったことっていうのは一体なんですか?」

別世界のリリス「この星界、時間の流れがおかしくなっていませんか?」

リリス「………」

別世界のリリス「その顔、図星ということでいいですか?」

リリス「……そうですね。今、この星界の時の流れはちょっとおかしくなっているみたいです。具体的には星界と現実世界の時の経過速度が逆転しているという感じです」

別世界のリリス「そうですか。原因が何かはわかりますか? 例えば、お父様がこの世界でまだ生きているとか……」

リリス「それはありません。お父様はカムイ様たちに倒され消滅しました。この異常は、星界に不具合が起きているだけだと思います」

別世界のリリス「その線は考えてみました。でも、不具合が起きたらさっきこの星界に単独で入ってきた人たちが何かしらの現象に巻き込まれているはず。だけど、そんな異常は起きていません。それに今はいつも通り時間の流れは正常みたいですから」

リリス「正常になっている?」

別世界のリリス「ええ。むしろ、ここにいる限り正常にしか思えないんです。外部から見ているとそのおかしい点はわかるんですけど、入り込むとその異常が形を潜めてしまうといいますか……」

リリス「異常が発生する原因があるということですよね?」

別世界のリリス「まぁ、私たちの生末を考えれば、その流れを気にする必要はないはずなんですけど」

リリス「では、なんでそんな話を持ち掛けたんですか?」

別世界のリリス「あなたは思った以上に外の世界と交流を持っています。このままだと寝て起きたら外の世界が一世代変わっていたなんて言う事態に陥りかねませんし」

リリス「それでも別にかまいませんよ。もうお父様が消え去って、戦いも終わった。それは私たち星竜の役割が終わったことを表しているようなものです。それが今さら外の世界に置いて行かれたところで、何も変わりませんよ」

別世界のリリス「……そう。私自身が気にしてないなら、もうこの話はおしまいです。でも、気を付けてくださいね」

リリス「え?」

別世界のリリス「あの水晶の映像、まだまだ続きがあってそこがもう――」

リリス「帰れ!」

 シュオンッ!

リリス「……はぁ、まったく。こんなものを私に押し付けて、誰かに見つかったら大変です。これは奥の茂みの部分にでも隠しておきましょう。私がいつも持っている星界と色が少し似てる……、間違えないようにしないといけませんね」

リリス(異常ですか……。やっぱり、そうだったんですね。アクアさんが私に会ったのは一週間前と言っていましたから……。あの日、アクアさんが星界から出て行って、ニュクスさんとピエリさんがやってきたわずかな間で、外の世界では一週間近い時間が経っていた)

リリス「……原因はわかりませんけど。少しだけ調べる必要があるかもしれませんね。まぁ、それも後回しでしょうけど……。まずはアクアさんにお薬を渡さないと……ありました」

リリス(しかし、南国の異界ですか。いったい誰が手配したんでしょう。異界というとやはり竜の門から行くことになるとは思うんですが……。なんというか、この星界の異常と何か関係があるのかもしれないと、勘ぐってしまいます)

リリス「といってもそれは無さそうですね。星界のコントロールは私が握っているわけですから、誰かにそれを弄られるなんて事、あるわけありませんし。さぁ、アクアさんに物を渡してさっさと帰ってもらいましょうか」

 テトテトテトッ

 ギイイイッ

リリス「アクアさん、お待たせしました。薬を持って――アクアさん?」キョロキョロ

リリス「外で待っていると言っていたはずなんですけど。どこかに行ってしまったんでしょうか」タタタタッ

 タタタタタタッ

リリス(お風呂にも闘技場にもいませんね。マイルームにも……いませんか)

リリス「あとは玉座だけですけど、今さらあそこに用事なんて……」テトテトッ

アクア「……」

リリス(いました。いましたけど……)

巫女「……」コクリコクリ

アクア「……」ペラペラ

リリス(執事の方と話をしているみたいですけど、一体どうしたんでしょうか?)

少しですが今回はここまで

 あけましておめでとうございます。

アクア「えっと、これとこれはこうで……。えっと、あとは……」

巫女「早く設定しろ」

アクア「確認しながら選んでいるのよ、少しは気を利かせて」

巫女「利かせてほしかったら金払え」

アクア「はぁ、口の悪さは天下一品ね……。もう少しで終わるから黙っていて、ええと……最後のは……」

リリス「アクアさん、何をしているんですか?」ヒョコッ

アクア「り、リリス!!!?」ツルッ

 シュキンッ!

リリス「あれ、今の音って……スキルの装着音?」

アクア「何を言っているのかしら、今の音はそこの巫女の関節が軋んだ音、断じて私がスキルを選んだ音じゃないわ」

リリス「……ちょっと、アクアさん。今身に着けているスキルを確認させてもらえますか?」

アクア「やっ、なにするの。乱暴するつもりでしょう、白夜の春画みたいに!」

リリス「しませんから、カムイ様の恋人に手を出すような真似はしません。それに、アクアさんにはこれっぽっちも興味ありませんから」

アクア「そう言われると、少しだけ複雑ね。カムイに愛されるようになってから、女性としてはそれなりに自信を持ってきたつもりなのだけど――」

リリス「隙あり、さぁ見せてもらいますよ」パシッ

アクア「しまっ――」ガバァ

・常備薬
・よく効く薬
・先手必勝
・切り込み
・魔法カウンター

リリス「……」

アクア「……」

リリス「……」

アクア「……やっぱり、ベッドの上で体位マウントを維持するためにも切り込みは必要でしょう?」

リリス「私、まだ何も聞いてないんですけど」

リリス「なんですか、このいかがわしいスキル構成は」

アクア「何とでも言いなさい、これが最高の組み合わせなのよ」

リリス「いえ、そのなんて言うか……なんでこんなに薬系を?」

アクア「お薬の効果を最大限に引き出せる可能性がある以上、試してみる価値はあると思うわ。何事も挑戦、そうでしょう?」

リリス「いやいや、モローのお試しの時にでんぐり返しを連発していた口が何を言うんですか」

アクア「あれは経験不足が招いた結果よ。それに、誰しも不測の事態には混乱してしまうもの……。リリスだって、ピエリに扱かれた時は冷静でいられなかったと思うけど?」

リリス「それを引き合いにするの止めてください。本当にやめてください」

アクア「ふふっ、でも少しだけ、あなたを尊敬しているのよ。あんな敏感な物をぶら下げて獣になり果てる事無く、性竜の姿でいられるなんて」

リリス「そんなことで尊敬されたくありませんよ……。それより、この下準備を見る限り、本気で実行する気なんですか?」

アクア「それは愚問という物よ…。ここまで頑張ってきたのだから、実行する段階まで揃い踏み。となれば躊躇する必要もないでしょう?」

リリス(でも、魔法カウンター? カムイ様ってそんな魔法をバンバン放つスタイルでしたっけ? その点を聞いてみたいところなんですけど……)チラッ

アクア「……」

リリス(カムイ様の放水が魔法属性であるとか、どうでもいい情報を手に入れる羽目になりそうで、二の足を踏んでしまいます)

アクア「ここまで準備した以上は、きちんとやり遂げないといけないわ」

リリス「……やっぱり、アクアさんはカムイ様を愛していないのですか?」

アクア「……」

リリス「形はどうあれカムイ様の好意は本物だと思います。あの戦いを通してアクアさんにカムイ様は惹かれていった。アクアさんもそれはわかっているんですよね」

アクア「ええ、それはわかっているつもりよ。でも、私は……」

リリス「アクアさん……」

アクア「カムイを性奴隷に仕立て上げて、毎日蕩けさせてあげないと気が済まないのよ」

リリス「もう少しシリアスな返答してもいいじゃないですか………」

リリス「とりあえず、お薬です。ずっと保管しておいたので、問題はないと思います」

アクア「ありがとう。それじゃ、行きましょう?」

リリス「え、行きましょうって?」

アクア「何を言っているの。あなたも来るのよ」

リリス「え、行きたくないです」

アクア「どうして? ただで南国へ行けるのよ?」

リリス「いや、タダより高い物はないって言いますし。それに、ぶっちゃけもうアクアさんの問題に巻き込まれたくないと言いますか」

アクア「そう……。確かにピエリにおちんちんを扱かれたことも、気持ちよかったことも暴露してしまって、私に従う通りは無くなったようなもの……。そういうわけね」

リリス「それもありますけど、これ以上関わってもいい事なんてない気がしまして。それに、私がこれ以上関わってもアクアさんには利益なんてありませんよ」

アクア「はぁ、別に私は利益を求めてなんていないわ。あなたには色々と迷惑をかけてしまったから、英気を養うとまではいわないけれど、少しはゆっくりするのも悪くないと思っただけなのだけど」

リリス「え……」

アクア「ここまで私が貴女にしてきたことを考えれば、信用できないのも分かる。でも、今回は嘘偽りのない気持ちで、貴方に感謝を返したいと思っているのよ」

リリス「アクアさん……」

アクア「それに、リリスには特等席で見てもらいたいの。私がカムイの尻を叩きながら、幸福な笑みを浮かべているところを。カムイの性の悦びに目覚めた輝く笑顔を」

リリス「そんな特等席、消えてなくなってしまえ」

リリス(はぁ、でも南国ですか……。他の皆さんも行くと言いますし、正直カムイ様とアクアさんのことは気になります)

リリス(あと、カミラ様が色々とカムイ様とアクアさんの関係修復に手を貸してくれてはいますけど、一人では難しいと思うところもあるでしょうし、二人のことが終わらないとカミラ様も安心できませんからね)

リリス「はぁ……わかりました。行きましょう」

アクア「ありがとう、その返事が聞けてうれしいわ。安心して、命の危険が無いような場所だから」

リリス「そんな危険な場所になんて行きたくありませんよ。ピエリさんも行くんですから、安全に越したことはありません」

アクア「ふふっ、確かに外敵の心配は無いわ。でも、敵は己の中にいる物よ、南国というのは人を開放的にするそうだから」

リリス「開放的ですか……。ピエリさんが開放するものって、殺戮本能とかそういう本面だけですよね?」

アクア「はぁ、そんなわけないでしょう? 思春期の子供の方が、もっとマシな回答をするわね」

リリス「なんで私は怒られてるの……」

アクア「それじゃ行きましょう」

リリス「わかりました。あ、出かける前に執事の方から表を回収してもいいですか?」

アクア「表?」

リリス「はい、さすがに図鑑を使って何が行われたかはわかりませんけど、一応確認はしておこうと思いまして。図鑑に登録されている方々のデータを見ておきたいんです」

アクア「豆なのね、あなた」

リリス「今回、過去稀に見る金額が使われたみたいなので、一応辻褄を合わせておかないといけません。報告とかいろいろあるので」

アクア「それって、ここ周辺に散らばっているお金のこと?」

リリス「はい。ニュクスさん、こんなにお金を持っていたんですね。まぁ、少し疑問点もあるんですけど……」

アクア「御託はいいから、手早く済ませて」

リリス「はい、執事さん図鑑のデータをいただけますか?」

巫女「わかった。ちょっと待ってろ……」テトテトテト

 ガサゴソガサゴソッ パシッ

巫女「……これ」

リリス「はい、ありがとうございます。少しの間、星界のことお願いしますね」

巫女「わかった。リリスも気を付けて」

リリス「はい。あ、執事さん。お金は纏めておいてもらえると助かります。戻ってきたら仕訳はしますので、それじゃ行ってきますね」

アクア「……」ジーッ

リリス「ん? どうしたんですか、アクアさん」

アクア「何でもないわ。それじゃ行きましょう」テトテトテト

リリス(アクアさん、今落ちているお金を見ていた気がしましたけど……)

リリス「お金に興味がある人には思えませんけど……。まぁ、どうでもいいですね」タタタタッ

リリス(南国の異界ですか。いったいどんな場所なんでしょうか。こうやって、どこかの異界に誰かと一緒に行くなんて、初めての事ですけど……)

リリス「はぁ、駄目ですね。いけないことだというのに、少しだけ頬をゆるんでしまいます」

リリス(どうやら、私はこの南国への旅に対して――)

(ドキドキとワクワクを感じているみたいです……)

今日はここまで
 
 常備薬とよく効く薬のコンボがカムイを襲う(予定)

~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国北東部・竜の門前―

ピエリ「あ、アクア様なの! みんな先に行ってるの」

アクア「ごめんなさい、主催なのに遅れてしまって。だけど、待っていなくてもよかったのに」

ピエリ「ピエリがしたいから、しただけなの。あれ、リリスはどうしたの? もしかしてピエリとアクア様のお見送りに来たの?」

リリス「見送りではなくて、合流と言った方がいいですね。どういうわけだか、私も一緒に行くことになったんです」

ピエリ「そうなの? わーい、とっても嬉しいの! リリス、向こうに行ったらピエリを背中に乗せてほしいの。竜になったリリスと海でプカプカするのよ」

リリス「ピエリさん、私は浮き輪じゃないんですから?」

アクア「え?」

リリス「なんでそこで、え?ってなるんですか?」

アクア「それは……。まぁ、直に確かめればいい事だから。そうね、なんでもないわ」ニコニコ

リリス「え、なに、この先に何が待っているっていうんですか?」

アクア「ともかく、早くいきましょう。他のみんなをこれ以上待たせるわけにはいかないから」タタタタタッ

ピエリ「あ、アクア様、ピエリを置いてかないでなの!」タタタタタッ

リリス「あ、ピエリさん。走ったら危ないですよ!」タタタタタッ

 シュオオオオオオンッ!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―???・南国の星界『小さな船着き場』―

 ピカーンッ
  ジワジワッ ジワジワッ

リリス「……」

ピエリ「………」

アクア「……」

リリス「……」

アクア「……」

ピエリ「ううっ、暑いのぉ……」

リリス「………はい、とても暑いです。リョウマ様を探しに行った場所によりはマシですけど……」

ピエリ「暑い暑い暑い、暑いの! ピエリ、トロトロの生クリームみたいになっちゃいそうなのぉ……」ヘロヘロ

アクア「二人ともだらしないわね。まだ入ったばかりだっていうのに」

リリス「さっきまで寒かったんですから仕方ないじゃないですか。ううっ、体温調節に結構な時間を掛けることになりそうです……。で、ここがそのリゾートなんですか?」

アクア「いいえ、ここはこの星界のゲートみたいなもの。向こうの船着き場から船に乗って、決戦の舞台へ向かう形になるわ」

リリス「私が行きたいのは南国リゾートなんですけど」

アクア「そうね。でも、島から帰るころにはカムイが従順な性奴隷になってる。そんな姿を貴方に見せるなんてむごいことはしたくないけど、これは仕方ないことなのよ。わかって、リリス……」

リリス「ピエリさん、島に着いたら何しましょうか。あ、私を浮き輪にするのは駄目ですよ?」

ピエリ「ぷーっ。リリスはケチなの」

リリス「プリプリ怒っても駄目な物は駄目ですからね。それでなんですか、アクアさん?」

アクア「あなた、最近私への態度が冷たい気がするのだけど。そういうフリをしても、あなたの思いには答えられないから……」

リリス「冷めたフリするほど親睦なんて深めていませんし。そもそも、アクアさんのことはそういう趣旨ではノーマークです」

アクア「なら、どうしてそんな素っ気ない態度を取るのかしら? そんなに悪いことをした記憶はないのだけど……」

リリス「今までの事を思い返して、悪い点が無かったと?」

アクア「……ごめんなさい、何も思い浮かばないわ」

リリス「これはひどい」

カミラ「やっと来たのね」

アクア「カミラ、ごめんなさい。少し遅れてしまって、荷物はもう準備できているの?」

カミラ「ええ、荷物はもう入っているから大丈夫。あら、ピエリ、そんなに熱い格好してどこに行くのかしら?」

ピエリ「好きでしてるんじゃないの。うえーん、すごく熱いのぉ」

カミラ「仕方ないわね。着くまでだけど、これに着替えてきなさい」

 スッ『貝殻の水着』

リリス「いやいやいやいや、なんでいきなりハードなもの渡しているんですか!?」

カミラ「仕方ないじゃない。今の手持ちはこれだけなんだもの」

リリス「いくら熱いからって……」

ピエリ「カミラ様、ありがとうなの! 向こうで着替えてくるの!」タタタタタッ

リリス「ピエリさんってある意味純粋ですよね」

カミラ「ええ、そこがとっても可愛いところだと思うわ」

アクア「そうね。どこかのご飯を食べるだけで態度の素っ気ない性竜とは大違いね」

リリス「アクアさんって思った以上に悪魔ですよね」

カミラ「アクアだもの。仕方ないわ」

アクア「カミラ、それフォローになってないわよ?」

カミラ「ところで、リリス。あなたも来ることにしたの?」

リリス「はい。カミラ様のお手伝いをしようと思いまして。その、アクアさんとカムイ様のことで色々と……」

カミラ「ふふっ、そうなの。ありがとう、でも今のところは問題もなさそうだから、気遣いだけで大丈夫よ」

リリス「そうですか?」

カミラ「ええ、アクアも色々と準備していたから、まぁ、うまくいくはずよ」

リリス「少し投げやりな返答ですね」

カミラ「それに、せっかく南国に来たんだから、少し羽を伸ばしなさい。リリスはずっと星界の維持ばかりだったんだから、ここで休むのは当然の権利みたいなものよ」

リリス「カミラ様」

アクア「まぁ、伸ばすのは羽じゃなくて背鰭だけどね?」

リリス「アクアさん、水を差すのが好きですねぇ」

アクア「そうでもないわ。ええ、ただあなたがこう、安らいでいる顔を見ると……わかるでしょう?」

リリス「わかりません」

カミラ「少しだけ分かるわ」

リリス「カミラ様!?」

カミラ「ふふっ、だって、あなたとっても可愛いもの。今度カムイに私、そうねピエリも誘ってお風呂に入りましょう? 体中キレイキレイしてあげるわ」

リリス(カミラ様に、カムイ様、それにピエリさんと一緒にお風呂ですか……)

カムイ(プルルンッ)

ピエリ(ポインポインッ)

カミラ(タユユンッタユユンッ)

リリス「……」

 ペタペタ

カミラ「あら、どうしたの?」

アクア「多分、エロイことを考えているのよ。ほら、あれでも性竜だから――」

リリス「惨めになってるだけだよ!」

リリス「それにしても、ピエリさん遅いですね」

カミラ「そうね。いくら貝殻の水着でも、こんなに時間は掛からないと思うのだけど。もしかして何かあったのかしら?」

リリス「仕方ないです。私が少し様子を見てきますから、少しの間待っていてください」

アクア「リリス、襲っちゃだめよ」

リリス「あの、それって私が男だった場合の台詞じゃないですか?」

アクア「あんなに立派な夜刀神を隠して置いて、白々しいわね」

リリス「世界を救った剣に対して何たる発言してるんですか、貴女は」

アクア「あ、ごめんなさい。カムイを無茶苦茶にするとき、私の夜刀神があるべき場所に収まってる、そう攻める予定だから。つい、うっかり漏れてしまったわ」

カミラ「ふふっ、お茶目さんね」

アクア「ええ、気を付けるわ。カムイに聞こえる場所で言ったら、どうなるかわかったものではないもの」

リリス「だったら常に気を付けてないと……?」

カムイ「……」ニッコリッ

リリス「」

アクア「リリス、どうしたの?」

リリス「え、えっと……」

アクア「?」クルッ

カムイ「」サッ

アクア「……?」スッ

カムイ「」ヌゥ

アクア「後ろを凝視しているから、カムイがいたんじゃないかと思ったじゃない。びっくりさせないで」

リリス「ソ、ソウデスネ。ワタシ、ピエリサンノヨウスヲミテキマス」

アクア「ええ、お願い……。どうしたのかしら」

カミラ「なにか悪いものでも見たのかもしれないわね。リリス、少し疲れているようだから」

アクア「そう、色々大変なのね」

カミラ「あなたもね」チラッ

カムイ「」ニコニコ

アクア「?」チラッ

カムイ「」サッ

アクア(……何も視線は感じない、感じないけど、何か、何か致命的な深手を負っている気がしてきたわ……)

今日はここまで
 
 カムイの影がアクアを捕らえた!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス「はぁはぁ……。あのカムイ様の顔、とても怖かったです。アクアさんは気づいていないようでしたけど、どうなんでしょうか」

リリス(まぁ、カミラ様も色々と準備してくれたわけですから、きっと大丈夫ですよね)

リリス「それよりもピエリさんです。えっと、確かこちらに向かったと思うんですけど」

 フエエエエエンッ フエエエエエンッ

リリス「え、この鳴き声……。ピエリさん大丈夫ですか?」

ピエリ「ふえっ、リリス?」グスンッ

リリス「はい、そうですよ。どうしたんですか、その泣いているみたいですけど」

ピエリ「リリス、ふえええっ、うえええんっ」

リリス「な、何があったんですか?」

ピエリ「ひぐっ、ピエリ水着に着替えるから服を脱いだの」

リリス「はい」

ピエリ「それで着替えたの。でも、でもぉ、うえええんっ」

リリス「どうしたんですか、ちゃんと話してください。私に出来る事なら力になりますから」

ピエリ「リリス、ありがとうなの」

リリス「気にしないでください、それで何があったんですか」

ピエリ「下は大丈夫だったの。でも、……ひぐっ、上の水着が壊れちゃったの……」

リリス「え、水着が壊れちゃったんですか? いったいどうして……」

ピエリ「えっとね、ピエリのお胸が大きいから、水着が入らなくて、無理やりやったら破裂しちゃったの。きっと、リリスくらいなら入るくらいのだったのよ」

リリス「それ、遠回しに私の胸が小さいって言ってますよね?」

ピエリ「ん? ピエリのお胸がリリスより大きいのは誰が見ても分かる事だと思うの」

リリス「なんであまり胸が無いことを、こんなにズバッと言われなくちゃいけないのかなぁ」

ピエリ「ううっ……」ポヨンポヨンッ

リリス「でも、これじゃ仕方ないですよ。リゾートに着くまではおとなしく元の服に着替えてですね……」

ピエリ「ううっ、リリスぅ」

リリス「?」

ピエリ「今、それが無いの……」

リリス「え、さっきまで着ていた服はどうしたんですか!?」

ピエリ「置いておいたら無くなっちゃってたの」

リリス「なんで、探さなかったんですか?」

ピエリ「このまま水着になるからって、気にしないでいたの。水着が壊れて、ピエリどうしていいかわからなくて……うえええええんっ」

リリス(いきなり下着ドロボウが現れるとか、ここは大丈夫なんですか? しかし、ピエリさんの服を盗む人って今回のメンバーにいるんでしょうか? というか、誰が参加しているのかもわかりません。犯人探し出来る状況じゃありませんね)

リリス「とりあえず待っててください。今、新しい服をカミラ様から頂いて来ま――」

ピエリ「………」ジーッ

リリス「えっと、ピエリさん?」

ピエリ「そうなの。リリス!」

リリス「はい、なんですか?」

ピエリ「リリスの服をピエリに貸すの。ピエリはリリスの服を着るの、リリスは竜に変身するの。これで問題なしなのよ!」

リリス「え、何を言って」

ピエリ「えへへ、そういうわけだから、覚悟するの!」ガシッ

リリス「え、ちょ、ま――」

 ガサガサガサッ

ピエリ「えいえいっ、リリスの服、脱ぎ脱ぎさせちゃうの!」

リリス「や、ちょ、ピエリさん。ひやあああっ、脱がさないで、脱がさないでください。ひゃっ、だめぇ! こんなの駄目です!」

ピエリ「安心してなの、下着まで取ったりしないの。上だけ貸してくれればいいの!」ハギハギ

リリス「だめ、やっ、やめてぇえええええ!!!!! やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―???『連絡船内部』―

ピエリ「わー。すごく青いの!ピエリの髪の色より、もっともっと青いの!」

エリーゼ「ほんとだー、あ、今何かいたよタクミさん! タクミさん?」

タクミ「………」

カムイ「顔色が悪いですね。何かあったんでしょうか?」

アクア「本当ね、もしかしてまたハイドラに憑りつかれたのかしら?」

レオン「いや、これはいわゆる船酔いっていう奴だと思う。島に着くまではそっとしておいてあげよう」

ニュクス「ええ、そうね。それにしても、潮の香りが心地いいわ、すこしだけ胸が高鳴るわね」

サクラ「え、も、もしかして匂いますか?」

マークス「サクラ王女、海のことを言っているんだ。お前の事じゃない、まぁ、私にはわかってしまうがな」

サクラ「島に着く前は駄目だって言ったのに、あんなに求めてきたから……私。もう、マークスさんのエッチ」

マークス「はっはっはっ、すまないな。島に着いたら、続きをしよう」

サクラ「は、はい/////」

リョウマ「……」チャキッ

ヒノカ「リョウマ兄様、抑えるんだ! 気持ちは、そのわからなくもないけど、今は駄目だ!」

ベルカ「リョウマ様も大変ね」

カミラ「ええ、ふふっ、楽しいバカンスになりそう。みんなのんびりできそうで何よりね」

リリス『私だって、人の姿でのんびりとしたかったのに、なんで……身包みを剥されなくちゃいけないんですかぁ……』シクシク

リョウマ「ふむ、しかしこうしてリリスの竜としての姿を見るのは久しぶりだな。あの戦いの後、星界に訪れることなどなかったこともある。すまなかったな、お前も共に戦ってくれた仲間だというのに」

リリス『いいえ、リョウマ様。星界は戦いの終わりと同時に要らなくなった場所で、本来なら使われることなどない方がいい場所なんです。ある意味、皆さんが星界の事を忘れた時こそが、戦いの終わりともいえますからね』

リョウマ「そう。しかし、なぜリリスの服をピエリが着ているんだ?」

リリス『まぁ、それは話すと少し長くなるので。どちらにしても、もうこうなってしまっている以上、何をしても無駄ですから……』

リョウマ「そうか……。てっきり、リリスがピエリの服を着てやってくると思っていたが」

リリス『……きっとブカブカです』

リョウマ「なるほどな、それがイイ!と思わなくもないがな」

リリス『は?』

リョウマ「いや、何でもない。気にするな、それよりベルカ、カミラ王女の付き添いだというのに、俺たちと一緒で大丈夫なのか?」

ベルカ「平気、今は自由にしていろと言われているから」

リョウマ「そうか。しかし、カミラ王女の誘いとはいえ、お前だけというのに驚いている。もう一人の臣下の方が、こういった話題に食いつくと思っていたが…」

ベルカ「ルーナも来たがっていたけど、今は大事な時期だからって」

リリス『大事な時期?』

ベルカ「……ルーナ、妊娠しているから」

リリス『あ、そうだったんですね』

ベルカ「ええ」

リョウマ「そうだったか。それによく考えればサクラの臣下であるツバキとの子供だ。万が一ということがあってはならないからな。カミラ王女の判断は間違っていないだろう」

リリス『へぇー、お相手はツバキさんなんですね…。うーん……』

リョウマ「む、どうした?」

リリス『いえ、なんでもありませんよ。これで三人組の未婚者は一人だけになってしまったわけですか』

ベルカ「もしかして、オーディンの事を言っているの?」

リリス『はい。一人だけ残っているところが何とも言えないんですが、まぁ大丈夫ですよね……』

リョウマ「ところで、リリスは結婚を考えたりはしないのか?」

リリス『ないです』

ベルカ「即答ね」

リリス『ええ、結婚なんて考えていませんし、そもそもこんな生物のお婿さんなんて、誰もなりたがりませんよ。それに、誰かに好意を寄せたこともありませんから』

リョウマ「……そうか。リリスにもいずれそのような相手が出来るといいな」

リリス『どちらかというと、リョウマ様に出来た方がいいと思いますよ』

リョウマ「お、俺か!?」

ベルカ「たしかに、リョウマ様も王族である以上、身を固めた方がいいと思うけど」

リョウマ「うーむ、そう言われてもな……」

リリス『相手がいないんですか?』

リョウマ「いや、こうして架空の妹に囲まれた生活を捨ててまで手に入れるべきものなのかどうか……」

リリス『その中に私を入れないでくださいね』

ベルカ「私も抜いてくれると助かるのだけど」

カミラ「あらあら、盛り上がっているみたいね?」

リョウマ「おお、カミラ王女。俺を誘ってくれたこと、感謝している。ありがとう」

カミラ「いいのよ。こっそり旅っていうわけじゃないから、こういうのは大勢で楽しむのがいいものだもの」

リョウマ「確かにその通りだな。こう大勢で賑わうのも悪くない」

カミラ「ふふっ。リリス、ごめんなさい。私がピエリに渡した水着を間違えたばっかりに、竜の姿になってしまうなんて……」

リリス『仕方ないですよ。誰にだって間違えはあります。それよりも、出発する前にピエリさんの服が紛失したらしくて、ここ本当は危ない場所だったりしませんか?』

カミラ「服が紛失、どういうこと?」

リリス『はい、ピエリさんが水着に着替えようとしていた時、置いておいた服が無くなってしまったそうなんです』

カミラ「そういうことね。実はこの星界、少し特殊な作用があるの」

リリス『特殊ですか?』

カミラ「ええ、他のみんなには話してあるけど、貴女には話していなかったから。ふふっ、だけどピエリは忘れてしまっていたのね。この星界の仕組み、いわゆるサービスの一つを」

リリス『サービス?』

カミラ「ここでは、誰も触れていない物体は一定の時間が過ぎると、中央の竜脈に送られる形になっているの」

リリス『え……竜脈の流れを調べてみます。あ、なるほど竜脈の流れが四方へと飛んでいますが、また戻ってきていますね』

カミラ「ええ、この流れを駆使して、不審物とかを回収しているみたい。ピエリの服も中央の竜脈所に移動しているだけだと思うわ」

リリス『すごいです。このシステムがあれば、マイキャッスルに落ちてる食材の鮮度は一定に保たれますし、衛生面的にも安全な物が多くなります。でも、これではあらゆるものが中央竜脈に集められてしまう気がするんですけど……』

カミラ「そうならないために手放したくないものを、あらかじめ登録できるようにしてあるの。登録したものは手元から離れてもその場にあり続けるようになるわ。その代り、失くしてしまったら自力で探すしかなくなるけど」

リリス『そうなんですか。結局、私が竜になった意味はなかったってことですよね……。はぁ……』

カミラ「いいじゃない、竜の姿で海をプカプカするのも気持ちがいいはずよ」

リリス『そうかもしれませんが、プカプカしてたらピエリさんに乗られてしまう気がします……』

カミラ「ふふっ、やっぱり竜だから乗られるのが好きなのね?」

リリス『すべての竜が乗られることを望んでいるわけではないと思いますよ』

カミラ「ふふっ、どうか知らね。残りの仕組みは島に着いたらわかるから、今は割愛ね」

リリス『え、まだなにかあるんですか?』

カミラ「ええ、と言ってもすぐに分かるものだから。説明する必要もないかもしれないけど」

リリス『わかりました。それは向こうで自分で調べます。えっと纏めると、私も何か荷物があったなら登録を行えばいいということですね』

カミラ「ええ、そういうことになるわ。安心して、中身は他人には確認出来ないようになっているから。口で言えないものでも大丈夫」

リリス『それはアクアさんの私物だけだと思いますよ』

カミラ「たしかにそうね。アクアもこの旅で色々と決めるつもりみたいだから、うまくいってほしいけど」

リリス『ええ、でもすぐに始めるわけではないんですよね?』

カミラ「それはね。ここでの滞在は一週間ほどを予定しているから、リリスも楽しい時間を過ごしてちょうだい」

リリス『はい、そうさせてもらいます』

カミラ「ふふっ。リョウマ王子、ちょっといいかしら?」

リョウマ「ん、なんだ?」

カミラ「少し話をと思って。この前、カムイの新しい一面を見つけたから、自慢したくなってしまってね?」

リョウマ「ほう、カミラ王女の眼鏡に適う一面か。いいだろう、この船旅の終わりまで話し合うとしよう」

カミラ「ふふっ、私のワンサイドゲームになってしまうかもしれないけど、いいのかしら?」

リョウマ「ふっ、勝負は出来る限り受けることにしているからな。その強力な一太刀が相手ならば、俺は昔の記憶にあるカムイの一面で勝負させてもらうまでの事だ」

カミラ「あら、もう多くを聞いたと思ってたけど、まだまだ引き出しがあるのね。ふふっ、楽しみね」

ベルカ「……」

カミラ「そうだ、ベルカも一緒に来る?」

ベルカ「……え?」

リョウマ「ベルカも一緒にどうだ?」

ベルカ「……」

リョウマ&カミラ「……」

ベルカ「……考えておくわ」

リョウマ「そうか、気が向いたなら来てくれて構わない。船が着くまではもう少し時間が掛かるようだからな」

カミラ「ふふっ、リョウマ王子はこう言ってくれてるから、気が向いたら来てちょうだい」

ベルカ「……わかったわ。カミラ様、リョウマ様」

 タタッ タタッ

リリス『リョウマ様とカミラ様、カムイ様のお話をよくあんなに続けられますよね』

ベルカ「そうね。昼に来て話を始めて、夜遅くまで話していることもあったから」

リリス『ふふっ、でもカムイ様がお二人の心を繋げていると思うと、なんだか不思議な気持ちになります。覆らないと思われていた運命を、あの人は覆したんですから』

ベルカ「……覆らない、か」タッ

リリス『あ、ベルカさん?』

ベルカ「奥でゆっくりしてるわ。それじゃ」タッタッタッ

リリス『……私もゆっくりしましょうか。ずっと動き続けていたから、なんだか疲れてしまいました』

リリス『……リゾートですか。あと数時間後に着くんですよね……』

リリス『カムイ様、アクアさん、リョウマ様、ヒノカ様、サクラ様にタクミ様……』

リリス『マークス様、カミラ様、レオン様にエリーゼ様、ニュクスさん……』

リリス『それに私とピエリさんと13人ですか……』

リリス『何があるかは知りませんけど……少しワクワク出来るくらいのことだけで、大きな何かが起きないと……いいなぁ……』ウトウト

リリス『………Zzzzz……Zzzzz……』



 ザブンッ ザブンッ


  ザブンッ ザブンッ……


 
リリス『竜脈が結束していく気配がする。小さないくつもの流れが束なって、大きなうねりになって、一つの方角に伸びている気配…』

リリス『とても力強い、この星界の中心を感じる……』



リリス『……ん』パチッ パチパチッ

 プカプカ

リリス『どうやら、目的地の近くになったみたいですね……』

『一体、どんな場所なんでしょうか。この強力な竜脈で作られたリゾートというのは……』

 >>418
 貼り直し

リリス『リョウマ様とカミラ様、カムイ様のお話をよくあんなに続けられますよね』

ベルカ「そうね。昼に来て話を始めて、夜遅くまで話していることもあったから」

リリス『ふふっ、でもカムイ様がお二人の心を繋げていると思うと、なんだか不思議な気持ちになります。覆らないと思われていた運命を、あの人は覆したんですから』

ベルカ「……覆らない、か」タッ

リリス『あ、ベルカさん?』

ベルカ「奥でゆっくりしてるわ。それじゃ」タッタッタッ

リリス『……私もゆっくりしましょうか。ずっと動き続けていたから、なんだか疲れてしまいました』

リリス『……リゾートですか。あと数時間後に着くんですよね……』

リリス『カムイ様、アクアさん、リョウマ様、ヒノカ様、サクラ様にタクミ様……』

リリス『マークス様、カミラ様、レオン様にエリーゼ様、ニュクスさんにベルカさん……』

リリス『それに私とピエリさんを入れて14人ですか……』

リリス『何があるかは知りませんけど……少しワクワク出来るくらいのことだけで、大きな何かが起きないと……いいなぁ……』ウトウト

リリス『………Zzzzz……Zzzzz……』



 ザブンッ ザブンッ


  ザブンッ ザブンッ……


 
リリス『竜脈が結束していく気配がする。小さないくつもの流れが束なって、大きなうねりになって、一つの方角に伸びている気配…』

リリス『とても力強い、この星界の中心を感じる……』



リリス『……ん』パチッ パチパチッ

 プカプカ

リリス『どうやら、目的地の近くになったみたいですね……』

『一体、どんな場所なんでしょうか。この強力な竜脈で作られたリゾートというのは……』

今日はここまで

 争奪戦DLC、カムイと一緒に出掛けるって内容じゃなかったのに、当時驚いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇

―???『異界の南国』―

 ザアアアッ―――
  ザザァァァァーーーッ

 ペタペタペタ

ピエリ「到着なのー!」

マークス「うむ、思ったよりもしっかりした施設のようだな。む、あれは?」

メイド「……」テトテト

バトラー「……」テトテト

ヒノカ「私たち以外にも人がいるようだが……ここには他に訪れている者がいるのか?」

アクア「あれはこの異界にいる使い魔みたいなものよ。私たちのために色々としてくれる召使いと言ってもいいわ」

リリス『すごいですね。こんなに多くの使い魔を配置できるなんて。すごい竜脈の力です』

アクア「ふふっ、寂しい夜の相手もしてくれるらしいわ。レイプ願望があるなら頼んでみるのも手よ」

リリス『そんなこと聞いてないです。あと、熱い視線を送らないでくれますか』

アクア「そうね、ごめんなさい。やっぱり、無知シチュレイプを体験したら普通のレイプじゃ満足できなくなってもおかしくないわ」

リリス『アクアさんと話をしてると、時々頭がおかしいのは私の方なのかもしれないって、思う事あります。思うだけですけどね』

カムイ「それで、これからどうするんですか?」

カミラ「まずは宿に向かいましょう。このままビーチに行くのもいいけど、まずは拠点の確認はしておいた方がいいから」

リリス『そうですね。それにピエリさんの洋服も回収しないといけませんから。良かったですねピエリさん』

ピエリ「? ピエリ、このままでも別にかまわないのよ? お胸がきついけど大丈夫なの!」

リリス『服が伸びるから返してください』

サクラ「それにしてもとっても大きな島ですね。歩くだけでも楽しそうです」

エリーゼ「うん、色々と見て回りたいなぁ」

カミラ「ふふっ、結構大きな島よ。その分、素敵な場所が多いから、足を運んでみるのも悪くないと思うわ」

マークス「ほう、そうなのか」

リョウマ「しかし、これほどの大きさだ。行ったり来たりしているだけで日が暮れてしまいそうだ」

ベルカ「宿泊施設に地図があるから、それを見てから行動するのがいいと思う」

リリス『そうなんですね。本当にすごい規模です。この竜脈の力、一体どこから来る物なんでしょうか』

ヒノカ「リリスにもわからないのか?」

リリス『はい、私にわかるのは竜脈の流れくらいです。中央から強力な物を感じますけど、それがどこからやってきているのかはわかりません』

アクア「タクミのロリコン具合がどういった遺伝性をもって開花したのかわからないのと同じね」

リリス『本人を前にそのたとえはどうなんでしょうか』

アクア「事実だから仕方ないわ」

タクミ「」

リョウマ「タクミ、落ち込むことはない」

タクミ「兄さん……」

リョウマ「父上も元は幼い子が好きだったからな。タクミはちゃんと遺伝子として受け継いでいるぞ」

リリス『もう少し、感動的なエピソードにしようよ……』

アクア「着いたわ。ここが今日から一週間、過ごすことになる宿になるわ」

リリス『へぇー、二階建てなんですね。みんなに一部屋ずつ分けてもあまりそうですね』

レオン「でも、そうすると費用が掛かりそうだね」

アクア「そういうところは気にしないで大丈夫。今回、私たちの貸し切りだから」

エリーゼ「すごーい!」

マークス「ふむ、だがすべての部屋を使うわけにもいかないだろう。清掃の手間も考えれば、使わない部屋があった方が、ここの主も助かるはずだ」

カミラ「ふふっ、お兄様らしい考えね」

リョウマ「さすがに王だけあって、そういう事には気を配れるのだな」

マークス「当然のことだ。多くあるからと言ってそれを使わなければならない理由はないからな。それに……」ガシッ

サクラ「あっ、マークスさん?」

マークス「どこでも使っていいと言われては、すべての部屋を使ってしまいそうだからな」

サクラ「んっ、もう、マークスさんは本当にケダモノです////」

マークス「ふっ、しかたないだろう。私はお前だけのビーストなのだからな」

リョウマ「……」チャキッ

リリス『とりあえず、殺人事件が起きかねないので、お二人は発言を控えてください』

リリス『……あれ、ここが中心っていうわけではないんですね』

カミラ「ええ、竜脈の中心点はあそこ。あの中央にある大山なの」

リリス『そうなんですか。これだと、紛失物を回収するのが大変ですね』

カミラ「大丈夫、そのために今さっき歩いていた使い魔たちがいるのよ。毎日、決まった時間に紛失物を宿に持ってきてくれるシステムになっているの」

リリス『へぇ、そうなんですね。ん、あ、これが地図ですか?』

ベルカ「そうよ、島の全体像はここで把握できるようになっているわ」

リョウマ「ふむ、こうしてみるとやはり大きいな」

ニュクス「だけど、いろいろと見て見たい場所があるのは本当ね。岬もあるし、ここは鍾乳洞がある場所みたいね」

マークス「洞窟もあるのか、ここに多くの兵を連れてきて訓練を行うのも悪くなさそうだ」

リリス『そうですね……。あの、すごく気になる事があるんですけどいいですか』

アクア「どうしたの?」

リリス『このそれぞれの場所にフックがあるんですけど、これは一体?』

アクア「それは使用中の札を掛けるための物よ」

リリス『使用中?』

アクア「ええ、男と女が使用中と言えば――」

リリス『突っ込みませんよ! 絶対に突っ込みませんよ!』

ピエリ「ねぇねぇ、マークス様。男の人と、女の人で洞窟を使うってどういうことなの?」

マークス「それはな、私のジークフリードがサクラ王女の白夜王国に総攻撃をだな……」

サクラ「もしくは、私の入り口をマークスさんのジークフリードがですね」

リリス『そこ、それ以上しゃべらない!』

ヒノカ「……ん、アクア、ちょっといいか?」

アクア「なに、ヒノカ?」

ヒノカ「この地図の下に映っている『13』というのは何だ?」

アクア「ああ、これね。これは今この島にいる人間の数を表しているの」

ヒノカ「む、彼らはカウントされていない様だが」

アクア「ええ、カウントされるのは生きている人間だから」

リリス『突然きな臭くなる発言はやめてほしいんですけど』

アクア「仕方ないでしょう。ただ、何処に誰がいるかまではわからないから、迷子を捜すのには向いていないわね」

リリス『なんだかよくわからないシステムです』

カミラ「そうね。でも、何人いるのかを確認するのには使えるはずよ」

レオン「さすがに使えるかどうかはわからないけどね。それじゃ、そろそろ宿に入ろうか?」

ピエリ「えへへ、ピエリが一番乗りなの!」タタタタッ

リョウマ「ふっ、とても無邪気なのだな」

アクア「ふふっ、こうして誘った手前、こうして喜んでくれるとうれしいものね」

リリス『それには同感で――ん?』

 タタタタタッ

ピエリ「リリス! ちょっと来るの!」ガシッ

リリス『え、ちょ、ピエリさん!?』

ピエリ「この先にリリスがいっぱいいたの! すごいから見てほしいの!」

リリス『え!? 私がいっぱい!? どういうことですか!?』

 タタタタタッ


ピエリ「ここなの! 見るの!」

リリス『……』

リリスの浮き輪「」

リリス『……何でこんなのあるんですか?』

今日はここまで

 異界のリゾートだから売ってるのは仕方ないね。

リリス『アクアさん、門の前で言おうとしていたことって、これのことですか。いや、これの事ですよね? 私の反応見て今笑ってますもんね?』

アクア「星界ではあなたを模した浮き輪が、こんなにも人気なんて思わなかったもの」

リリス『え、いや、そんな人気だなんて……。照れちゃいますよ』

アクア「まぁ、この前来たときと数も種類も変わってないけど」

リリス『』

ピエリ「えへへ、あれどうしたの? リリス、すごい顔してるのよ」

リリス『どうせ私なんて、そこらへんで拾った肉とか野菜とか押し付けられて、挙句に魚を食べたら共食いしてるとか言われるのがお似合いなんです。そうですよ、あんなけったいな形をした浮き輪、好き好んで買う人なんて――』

ピエリ「リリス、見て見て! リリスの浮き輪買っちゃったの。これで一緒に、海の上でプカプカできるのよ」

リリス『ピエリさん、好き!』フワッ!フワッ!

ピエリ「えへへ、ピエリもリリスのこと大好きなの!」

ニュクス「はぁ、浮き輪が無いと泳げないなんて、ピエリは思ったよりも子供なのね」

アクア「その見た目で言われても説得力がないわ」

ニュクス「ふふっ、大人の女は軽く泳げないとね。私、自慢ではないけど、それなりに泳げる方なの。驚いても知らないわよ」

アクア「そうね、あなた抵抗が少ないから、およぎが得意なのも頷けるわ」

ニュクス「……」

ニュクス「……ふふっ、ふふふふっ」フルフルフル

マークス(リリスの浮き輪か……。よし、念のために一つ買っておこう。どんな浅瀬であろうとも、危険があることに変わりはない。これがあるだけでも精神的に助かるやもしれんからな)チャリンッ

サクラ「……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―???『海岸』―

タクミ「まったく、エリーゼ王女もカムイ姉さんもそうだけど、ちょっとはしゃぎすぎだと思う。部屋で少し休んでから海でもいいと思うのに」

リョウマ「ふっ、それにしては一番乗りに浜辺に来ているじゃないかタクミ」

タクミ「べ、別に楽しみっていうわけじゃないから。ただ、エリーゼ王女が怪我したら大変だから、先に下見をして置こうって思っただけだよ」

リョウマ「ふっ、そういうことにしといてやるさ」

レオン「すごいね。こんなに広いビーチを貸し切りだなんてさ」ザッザッザッ

リョウマ「おお、レオン王子。む、マークスはどうした?」

レオン「なんでも用があるからって、まぁ、特に問題はないと思うけどね」

タクミ「まさか、着替えを覗きに行ってるとかじゃないよね」

レオン「はぁ、盛りの着いた獣じゃあるまいし。マークス兄さんの事だから、何か必要なものがあるんだと思うよ」

リョウマ「それにしても、不思議なものだ。こうして暗夜の王族たちと浜辺に遊びに来る日が訪れるなんてな」

レオン「そうだね。戦争が起きた当初からは考えられなかったよ。特に、妹であるエリーゼがタクミと結婚するなんて、誰も予想できなかったからね」

リョウマ「たしかにな。タクミはあまり素直じゃないところがある、それを考えるとエリーゼ王女とは反りが合わないかもしれないと思っていたが」

レオン「ははっ、タクミって人と距離を置いているくせに、突き放しすぎると罪悪感にかられるっていう面倒くさい性格だからね」

タクミ「め、面倒くさいって何だよ」

レオン「ごめんごめん。まぁ、そういうタクミにだからこそ、エリーゼの事を任せられるって思ったんだけどね。ああいう風に我侭なところまで、好きになってくれるのって稀だからさ」

タクミ「レオン……」

リョウマ「ああ、タクミは束縛されるのが嫌いと言いながら、実際愉しんでいる節があるからな」

レオン「うーん、もう少し違う落としどころを見つけてほしかったかな」

レオン「よし、ここら辺に傘を立ててと……それにしても姉さんたち遅いね」

リョウマ「なに、のんびり待てばいいさ。海に飛び込みたくてうずうずしているタクミには悪いがな」

タクミ「べ、別にうずうずなんてしてないよ」ウズウズ

レオン「……こういうところ、すこし子供っぽいよね」

リョウマ「ああ、少しだけほっこりしてしまうな」

タクミ「なんだよ、なんでそんな暖かい目線送るんだよ。正直気持ち悪いから!」

レオン「そういう想像されると僕たちの方が困るんだけど……。ん?」

 ガヤガヤッ
  ワーワーッ

リョウマ「む、ようやく来たようだな。おーいこっちだ」

レオン「ようやく来たの、まったく、どれだけ僕たちを待たせるつも…り…」

カムイ「あ、レオンさん。すみません、お待たせしちゃいましたか」ポヨンポヨンッ

レオン「」

カムイ「傘で拠点づくりも終えてるなんて、さすがはレオンさんです。あの、レオンさん?」

レオン「あ、うん、えっと……」

カムイ「ふふっ、おかしなレオンさん」ポヨヨンッ

レオン「///////」

レオン(そ、そうだよね。浜辺っていったらこういう水着だよね。くそ、どうして水着っていう奴はこうも開放的なんだ。あの姉さんの胸が、こう重力に従って――あ)

カムイ「? どうしたんですか、レオンさん。いきなり屈んで?」ポヨンッ

レオン「な、なんでもないよ。気にしないで姉さん」

アクア「これ、まさにチェリーの反応ね」

レオン「アクアは黙っててくれないかな!」

ピエリ「わー、とってもきれいなの! 一番乗りしちゃうの!」プルルン プルルンッ

カミラ「ふふっ、ピエリったらあんなに慌てちゃって。ダメな子ね」ボインボインッ

ヒノカ「ほぉ、思ったよりも広い場所じゃないか。ここなら思う存分訓練が出来そうだ!」

ニュクス「ヒノカ王女、今日くらいはそういうのから外れて、休暇を楽しみなさい。ただでさえ、仕事疲れであんなミスをしたんだから」

ヒノカ「うっ、しかし。遊ぶと言われてもな……。何をすればいいのか」

カミラ「ふふっ、色々と遊べることがあるはずよ。そうね、まずは海に入ってみるのはどうかしら?」ポヨヨン

ピエリ「もう我慢できないの! ピエリ、海をやっつけに行くのよ!」プルルン プルルン

リリス『あ、走ると危ないですよ!』

ピエリ「あっ」ボフンッ 

リリス『もう、言った傍から、大丈夫ですか?』

ピエリ「えへへ、転んじゃったの。でも、砂がとっても気持ちいの~」

マークス「はぁ、気を抜くのは構わないが、怪我だけはしないようにするんだぞ。休暇が終わったらいつも通りの勤務に戻るのだからな」

ピエリ「はーい、マークス様。わー、マークス様の腹筋、とっても引き締まってるの!」

マークス「ふっ、日々の鍛錬を欠かしていないからな」

サクラ「はい、何処で見ても逞しいです、マークスさん」

マークス「ああ、だが出来れば私の肉体は、お前だけに見てもらいたいのだがな」

サクラ「そんな、マークスさん//////」

リョウマ「よし、マークス、西瓜割りをしよう。そこに今すぐ吸われ、己の頭から赤い果肉が散らばるところを見せてやる」チャキッ

リリス『それは兜割りですよ、リョウマ様』

エリーゼ「あ、見つけた!タクミさーん」

タクミ「あ、エリーゼ王女、どうかし――」

エリーゼ「えへへ、どうかな? 似合ってるかな?」クルクル キラキラ

タクミ「そ、そうだね。とっても似合ってるよ////」プイッ

カミラ「だめよ、タクミ王子、ちゃんと見て言ってあげないと。エリーゼの恋人なんだから」

エリーゼ「そうだよー。これタクミさんに見てもらいたくて選んだんだよ。もっと、ちゃんと見て欲しいよぉ」

タクミ「う、うん。そうだよね。それじゃ……」ススッ

エリーゼ「……んっ、じっと見られるの、なんだか恥ずかしいね。えへへ、その、どうかな?」

タクミ「その、とっても可愛いよ。エリーゼ王女らしくてとってもいい。抱きしめたいくらい」

エリーゼ「えへへ、ありがとうタクミさん」

リョウマ「しかし、こうしてみると皆それぞれ個性的な水着だな。こんなにも種類がある物なんだな」

カムイ「そうですね。エリーゼさんのフリルが付いてるワンピースタイプもありますけど、カミラ姉さんのみたいにビキニタイプもあります」

アクア「そうね。ところで、カムイのビキニだけど色は黒が好きなのね?」

カムイ「はい、黒ってとっても強い色ですから。どんな華やかな色も、これには勝てませんから」

アクア「そう、なら私はその黒を塗りつぶせる白で決めさせてもらったわ」

カムイ「いいですね。穢し甲斐があります」

リリス『え?』

カムイ「あ、間違えました。汚し甲斐がありますね」

リリス『……うん、どっちもアウトです』

今日はここまで

 リリスはやっぱりワンピース水着が似合うと思うのね。

 ザザーッ

ヒノカ「はぁー、海とはこんなにも心地よいものなのか……」プカプカ

ピエリ「んー、海の冷たさが気持ちいのぉ……」プカプカ

リリス『はい、太陽がとてもいい具合で眠ってしまいそうですよ』プカプカ

ピエリ「リリスの浮き輪、大きくてとっても使い勝手がいいの。これなら武器にも使えそうなの」

リリス『それは流石に無理じゃないかなー』

ピエリ「そんなことないの、マークス様を見るの!」

リリス『え?』チラッ

マークス「はっ! せやっ!」ブンブンッ

 パカパカパカッ!

サクラ「すごいです、マークスさん! 西瓜が全部綺麗に割れてます」

マークス「なに、これくらいできて当然のことだ。このリリスの浮き輪、思ったよりも頑丈に出てきているみたいだ。これは色々と使い方の幅が広がるというもの。いい買い物をした」

リリスの浮き輪「ポタポタッ」真っ赤っ赤

ピエリ「リリスの浮き輪、西瓜の液体一杯浴びて、真っ赤に染まっててカッコイイの!」

リリス『頑丈さよりも自分の死体を見ているようで、内心穏やかじゃありませんよ』

ヒノカ「しかし、マークス王子はなんであんなものを買ったんだろうか。泳げないわけでもないだろうし」

ピエリ「ううん、マークス様って泳げないのよ」

ヒノカ「そ、そうなのか!?」

ピエリ「うん。えっとね、臣下になった時にね、私はおよげん!ってカッコよくピエリに教えてくれたのよ」

リリス『堂々としてるのに、言ってることが締まらないですね……。というか、ラズワルドさんにはなんで伝えなかったんですか』

ピエリ「きっと信用されてなかったのよ」

リリス『ド直球ストレートな意見入りました』

ヒノカ「しかし、泳げないことをサクラは知っているんだろうか?」

リリス『さすがに知らせているんじゃないでしょうか……。それに隠すほどの事でもないと思いますよ、現にピエリさんには教えていますし、ねぇ?』

ピエリ「えっとね、万が一私が川に落ちた時に助けてほしいって言われたの。あと他言無用って言ってたの。あ、ピエリ話しちゃったの……」

リリス『別に気に病むことは無いですよ。でも、命にかかわるレベルで泳げないとすると……』

ヒノカ「……さすがに教えているか。まぁ、そろそろ海に入るだろう。ほら、サクラが入りたくてうずうずしている」

サクラ「うー……」チラチラッ

リリス『本当ですね、海とマークス様を行ったり来たりしてます。リョウマ様との西瓜割りも終わりましたから、そろそろ頃合いのはずです』

マークス「ふぅ、サクラ王女」

サクラ「あ、はい、マークスさん!」キラキラッ

マークス「まずは西瓜を食べないか。割ったばかりの物はとてもおいしいと聞いているし、私の割ったものをお前に食べてもらいたいんだ」

サクラ「はい、ありがとうございます。えっと、マークスさん、西瓜を食べ終わったら、少し海に行きま――」

マークス「……サクラ王女、海は見ているだけでも心に安らぎを与えるものだとは思わないか?」

サクラ「あのマークスさん?」

マークス「……サクラ王女もそう思うだろう。とても青い。海はとてつもないほどに青く大きい。これだけの広大な世界を前にしているだけで、私は海を感じられる。そう、サクラ王女にもきっと――」

サクラ「もしかして……泳げないんですか?」

マークス「」ピタッ

サクラ「………」

マークス「……」

リリス『これ、話してませんよ絶対』

ヒノカ「だな」

ピエリ「なの!」

マークス「は、ははっ、ははははっ」

サクラ「笑ってごまかさないでください! マークスさん、本当は泳げないんですよね。だから、リリスさんの浮き輪を買っていたんですよね!」

マークス「そ、それはだな……。いや、すまなかった。あまり、こういったところに遊びに来ることもないと思っていた故、事実を話せずにいたんだ」

リョウマ「マークス、お前泳げなかったのか」

マークス「……」

リョウマ「泳げなかったのか」

マークス「なぜ二回言う必要がある!? いいだろう、笑いたければ笑うがいい。私は泳げんのだ!」

リリス『開き直りましたよ、マークス様』

サクラ「どうして話してくれなかったんですか。旅行の日程は少し前には決まっていましたし、南国っていう話もありました。なのにどうして……」

マークス「……サクラ王女に嫌われてしまうのではないかと思ってしまったのだ。泳ぐことのできないひ弱な男と知ったら、私以外の泳ぎの得意な男の元へと行ってしまうかもしれない、そう考えてしまったんだ。すまない」

サクラ「……マークスさん」

リリス『……色々と考えてしまったんですね。マークス様はサクラ様を失いたくないばかりに、話さずにいたということですか』

ピエリ「よくわからないの、マークス様は恥ずかしかったから、サクラ様に話してなかったの?」

リリス『もっと、複雑なことがあったんですよ。その葛藤は私たちにはわからないことですから』

ヒノカ「ああ、まさかこんなことになるなんて、これは悲劇だな」

リリス『いや、まだ悲劇は起きていませんから』

サクラ「……マークスさん、顔を上げてください」

マークス「サクラ王女……」

サクラ「そんなことで、マークスさんを嫌いになったりなんてしません。自信を持ってください、私の世界で一番カッコいい王子様はマークスさんしかいないんですから」

マークス「しかし、泳げないのはやはり……」

サクラ「一緒に練習しましょう。私があがり症を克服すために、マークスさんを頼っていたんですから、今度は私が頼られる番だと思うんです」

マークス「い、いいのか。私は本当に泳げないんだぞ。かなりの苦難の道かもしれない」

サクラ「マークスさんとならどんな道でもへっちゃらです。それとも、私では力不足でしょうか?」

マークス「そんなことはない、私もサクラ王女と一緒ならば頑張っていける。これほどに頼りになる相手はいないからな。それとすまない、少しでもお前のことを信じることが出来なかった私を許してほしい」

サクラ「いいんです。それにマークスさん、最後にちゃんと私に話してくれたじゃないですか。それだけで、もう十分です」

マークス「サクラ王女……」

リリス『どうやら、悲劇は回避されたみたいですね』

ヒノカ「ああ、サクラのマークス王子を思う心は素晴らしいものだな」

ピエリ「マークス様、とっても嬉しそうなの!」

サクラ「それじゃ、マークスさん、まずは浅瀬から水に馴れていきましょう」

マークス「うむ、行くとしよう」ガシッ

サクラ「マークスさん……それは?」

マークス「む、やはり海に入るときには必要だと思ってな。万が一ということも……」

サクラ「………」

 テトテトテオッ パシッ

マークス「サクラ王女?」

サクラ「……えっと、この石でいいかな」

マークス「まて、サクラ王女、何をしようとしている。まさかだとは思うが……」

リリスの浮き輪「」

サクラ「えいっ」ブンッ

リリスの浮き輪「」パァンッ!!!!

マークス「リリース!!!!」

ピエリ「ほぇー、サクラ様すごいの、一撃で仕留めちゃったの! リリスの浮き輪、お腹からぱぁんって破裂しちゃってるの!」

リリス『やっぱり、私ってこうなる運命なんですかね……』

今日はここまで

 リリスの運命はニクダルマに殺されるか、生き残る代わりに出番がなくなるか、課金で出番を増やすか、浮き輪になるかしかないのよ。

サクラ「マークスさん、こっちですよ」

マークス「ま、待つんだサクラ王女。いきなり海に入るのは、私には難しい…」

サクラ「大丈夫ですよ、ここは足が全然届きますし、徐々に慣れていかないといけません」

マークス「し、しかし……」

サクラ「ふふ、本当に怖いんですね。そ、それじゃ……これでどうですか」ギュウッ

マークス「な、サクラ王女」

サクラ「わ、私がちゃんと近くにいるってわかれば、そのマークスさんが怖がらなくなるって思って……。だ、駄目でしょうか?」ムニムニ

マークス(くっ、落ち着くんだマークス。サクラ王女は私の事を思ってしてくれているのだ。断じて、断じてその柔肌を押し付けているわけではない。これは、そういう卑猥なものでは……。い、いかん……)

サクラ「……あ///」

サクラ(ま、マークスさんの大きくなってる。ど、どうしましょう。その、ここは一度すっきりさせてからの方がいいんでしょうか。いえ、駄目です。ここで甘やかしたらマークスさんのためになりません、ここは心を鬼にしないと!)

サクラ「マ、マークスさん。今は駄目ですよ!」

マークス「わ、わかっているとも」

サクラ「しようとしたら怒っちゃいます。こ、こう、ぷんって!」

マークス「」

サクラ「あれ、マークスさん何を――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ピエリ「ねぇ、リリス。向こうの岩壁の奥からサクラ様の苦しそうな声が聞こえるの。何かあったかもしれないのよ」

リリス『私には何も聞こえませんし、きっと大丈夫ですから、こっちで遊びましょう』

ピエリ「リリスが大丈夫っていうならもう気にしないの。えへへ、リリス、一緒に向こうまで泳ぎに行くのよ」

リリス『別にかまいませんけど、あまり遠くに行かないようにしましょう。波に攫われたら一溜りもありませんから』

ピエリ「その時は、リリスがピエリを乗せてここに戻ってくればいいのよ」

リリス『簡単に言ってくれますね』

アクア「だけど、そういう風に頼りにされるのはまんざら悪くないと思っているでしょう?」

リリス『まぁ、悪い気はしません』

アクア「そうね、背中に乗られながら舵を取ってもらいたいわよね」

リリス『同意を求められてもなぁ。それより、アクアさんはカムイ様と一緒にいなくていいんですか? カムイ様、向こうでのんびりしていますけど』

アクア「え、ええ。ほら、恋人同士だからと言って四六時中一緒にいるわけではないでしょ。こういう一人だけの時間も大切なのよ」

リリス『アクアさんとカムイ様を見ていると少し心配になります。思ったよりも疎遠になっているようにも思えますし』

アクア「疎遠って、昨日の夜も――」

リリス『ああ、そういう話はいいんです。というか、ピエリさんの前でそういう話は駄目ですし、私が言っているのは肉体関係以外の関わりですよ』

アクア「肉体関係以外……。常に相手を思って自慰に励んでいるかどうか?」

リリス『ただのオカズじゃないですか』

ピエリ「なになに、アクア様とリリス、おかずの話をしてるの? ピエリも混ぜてほしいの」

アクア「いいわよ。私もピエリのオカズ事情には興味があるから。一体どんなものを使っているのか見物ね」

リリス『ピエリさん、勘違いしてませんか?』

ピエリ「馬鹿にしないでなの! ピエリ、おかずくらいわかるの! ライスにつけるステーキのことなの!」

リリス『やっぱり駄目じゃないですか』

ピエリ「ちなみにピエリ、昨日の夜のおかずはハンバーグだったのよ」

アクア「ハンバーニーとは、ピエリの趣味はすさまじいわね。でも確かにハンバーグはミンチだから、その光景に欲情するということなら、ギリギリピエリの性癖と思えなくないわ」

リリス『こねくり回したパティを見て興奮するピエリさんなんて見たくないですし、実際きっと健全ですよ……多分』

ピエリ「うー、ピエリは話したのに二人ともずるいの! アクア様もリリスもピエリに昨日のおかずのこと話すの! まずはアクア様からなのよ!」

アクア「あら、指名されてしまったら答えないわけにはいかないわね。リリス、ハードルをあげておくわ」

リリス『潜り抜けますので安心してください』

アクア「そうね、昨日の夜のオカズは……前、カムイに放水ク〇ニをされたことがあって――」

リリス『は?』

アクア「それはもうすごかったわ。入り込んで来たカムイの放水が私の中でこう渦を巻いてね?」

リリス『いや、もういいから。もう話さなくてもいいし、その身振り手振りも即刻中止してください』

ピエリ「アクア様、ク〇ニって何なの? おいしいものなの?」

アクア「えっと、ク〇ニっていうのは、まず私のここにカムイが顔をくっつけてね?」

リリス『それいじょういけない!』

ピエリ「リリス、邪魔しないでなの。ピエリ、アクア様がク〇ニを作ってるの見てるの!」

アクア「ちなみに正式名称は、クン〇リングスよ」

ピエリ「わかったの。ピエリ、賢くなったのよ」

リリス『それ賢くない、賢くないですよ!」

リリス『どうにかして軌道修正しないと、えっと、そう、そうです。あの、そうやって見ているところを悪いんですけど、実は材料が無いから作ることが出来ないんですよ。だから、アクアさんはこう作業風景だけをですね……』

ピエリ「アクア様、今は作れないの?」

アクア「まぁ、そうね。今できる物じゃないわ」

リリス『ほっ……』

アクア「そこでだけど、今度リリスに作り方を教わりなさい。あの子も作り方は知っているから」

リリス『……は?』

ピエリ「リリスも作り方知ってるの? ピエリの知らないお料理だから、とっても楽しみなのよ!」

リリス『アクアさん、なんてこというんですか!?』

アクア「いいじゃない。シコシコしてもらった仲でしょう。今さらク〇ニも変わらないわ」

リリス『変わる! すっごい変わるよ!』

ピエリ「リリスの手料理楽しみなの。この旅行中に作ってくれるの?」

リリス『え、えっと。ちゃんとした材料が無いと作れないので。その―』

ピエリ「残念なの。暗夜に戻ったらちゃんと作ってなの。約束なの」ズイッ

リリス『あ……』

ピエリ「指切りげんまん、嘘ついたら八つ裂きにしてやるの!」

リリス『物騒! すっごい物騒!』

ピエリ「指切ったなの! えへへ、ピエリとリリスの新しい約束なのよ」ニコニコ

リリス『……』

ピエリ「ピエリ、ちょっと泳いでくるの!」バシャバシャ バシャバシャ

リリス『…』

 ポンッ

アクア「……大丈夫、あなたならできるわ。だって性竜でしょ?」

リリス『出来ません!』

今日はここまで
 
 ピエリは付き合ってる相手色に染まってく系女の子だと思ってる

カムイ「……」ジーッ

アクア「ふふふっ。あ、もうピエリやってくれたわね! えいっ」

ピエリ「ひゃあああっ。顔を狙うなんてひどいの。お返しなのよ」

リリス『ちょ、私を挟んで水のかけっこしないでください――わぷっ、辛い、口に海水が!』

カムイ「……はぁ」

カミラ「どうしたの、カムイ? 大きなため息なんて吐いちゃって…」

カムイ「カミラ姉さん……。いえ、何でもありませんよ」

カミラ「そう、何か困り事や悩んでいることがあるならおねえちゃんに話してちょうだい。話すだけでも気が休まることもあるでしょう?」

カムイ「大丈夫ですよ、悩みも困っていることもありませんから」

カミラ「でも……」

カムイ「気分転換に少し泳いできますね」タタタタタッ

カミラ「……カムイ。アクアたちがいる場所には行ってあげないのね……」

リョウマ「やはり、何か思うことがあるのかもしれないな」

カミラ「あら、女の子同士の会話を聞くなんて趣味が悪いわね」

リョウマ「うっ、すまない」

カミラ「ふふ、素直に謝ったから許してあげるわ」

リョウマ「ありがとう、カミラ王女」

カミラ「ふふ。そんなところに立っているのもあれだから、隣にでも座ってちょうだい」

リョウマ「いいのか?」

カミラ「ええ、立っていられると落ち着かないもの」

リョウマ「そうか、ではその言葉に甘えるとしよう」

カミラ「風が心地いわね。暗夜の風は思ったよりも冷たいことが多いから、新鮮に感じるものね」

リョウマ「ああ、陽の光は強いがあまり湿気を感じさせない分、ここは過ごしやすくていい。それにカミラ王女のような美しい女性もいるのだから、文句のつけようもない」

カミラ「あらあら、お世辞でもうれしいわ」

リョウマ「世辞ではない。誰が見てもカミラ王女のことを美しいと思うはずだ」

カミラ「ふふ、ありがとう。リョウマ王子のような逞しい男性に言われるのは悪くないわ。これでカムイがもっとのびのびとしていたら文句なんてなかったのだけど……」

リョウマ「……やはり、カムイは何か悩み事があるのか」

カミラ「ええ。それはリョウマ王子も気づいていたことでしょう?」

リョウマ「まぁな。カミラ王女ほどではないにしろ、俺もカムイの事はよく見てきたつもりだ。ああやって物思いに耽っている姿も悪くないが、出来れば笑顔で過ごしてもらいたい」

カミラ「少し不安になるわね。あの子たちを見ていると……」

リョウマ「カミラ王女が心配しているのは、二人の関係の事か?」

カミラ「ええ、二人には幸せになってほしいもの。どちらにも、幼い頃に手に入らなかった分の幸福を手にしてもらいたいと思うのはおかしなことかしら?」

リョウマ「おかしなことではない、むしろ立派なことだと俺は思うぞ」

カミラ「リョウマ王子は優しいのね」

リョウマ「ありがとう」

リョウマ「出来れば力になってやりたいとは思うが、アクアもアクアで何を考えているのかわからない。それも分からないままに相談には乗れないだろう、カミラ王女はなにか知っていることはあるのか?」

カミラ「ふふ、それなりに知ってはいるけど、これは話しちゃいけないことよ。ごめんなさいね」

リョウマ「なに、そういう返事になるだろうことは予想していたさ。しかし、正直に言えば羨ましいものだ」

カミラ「……だけど、カムイから好きな人がいるからどうすればいいか、なんて相談されたら、リョウマ王子ショックで気を失うかもしれないわよ」

リョウマ「ふっ、そんなことあるわけないだろう。カムイに信頼されているとわかっただけでも俺は十分だ……」

カミラ「じゃあ、イメージしてみましょう」

リョウマ「イメージ?」

カミラ「ええ、まずは目を瞑って」

リョウマ「あ、ああ」スッ

カミラ「ん、んんっ、こほんっ」

カムイ?「リョウマ兄さん!」

リョウマ「カムイ!?」ガタッ

カミラ「フフッ、驚いたかしら? 私の声真似も中々の物でしょう?」

リョウマ「まさか、カミラ王女にこのような特技があったとはな。しかし、発音や抑揚もまさにカムイそのものだった」

カミラ「長い間一緒にいるからね」

リョウマ「カミラ王女。その、リョウマおにいちゃんと言ってみてくれないか」

カミラ「ふふ、いいわよ。中々にマニアックなのね」

リョウマ「……」

カムイ?「……リョウマおにいちゃん!」

リョウマ「…………ふぅ」

リョウマ「では、再開してくれ」

カミラ「ええ、仕切り直しね」

カムイ?「リョウマ兄さん、少しお時間良いでしょうか?」

リョウマ「どうしたカムイ?」

カムイ?「いえ、その実は……。ああ、でもこんな相談をされても、困りますよね?」

リョウマ「何を言っているんだカムイ。困ったことがあるなら気兼ねなく言ってくれ、それが家族という物だろう?」

カムイ?「ですが……」

リョウマ「それとも、俺ではやはり力不足だろうか?」

カムイ?「そんなことありません。すみません、こちらから切り出して置いて……」

リョウマ「いいんだ。それで相談というのは……」

カムイ?「はい、実はその……私好きな人がいるんです」

リョウマ「……ほ、ほぉ」

カムイ?「どうやって伝えればいいのかわからなくて、そこでリョウマ兄さんに相談に来たんですけど……」

リョウマ「そうか、好きな人が出来たのか……。好きな人、好きな人……誰か好きな人が出来たのか……」

カムイ?「はい」

リョウマ「……」

リョウマ「ごふっ!」ドサッ

カミラ「え、リョウマ王子!?」

リョウマ「……こんな気持ちになるなら、海を泳ぐ海老に生まれたかった。好きな相手から相談を受ける。異性として見られていないと失恋の二太刀が、これほどまでに辛いものだとは……」

カミラ「リョウマ王子……」

ベルカ「二人とも、一体何をしているの?」

リョウマ「……失恋だ」

カミラ「失恋よ」

ベルカ「???」

今日はここまで

 好きな人から恋愛相談をされた時の一瞬空気が凍り付くあれ、結構好き

レオン「ふぅん、海水だからとても冷たいと思ってたけど、丁度いいくらいの水温なんだね」

ニュクス「ふふ、いくらレオン王子でもやっぱり海に入るのは初めてなの?」

レオン「まぁね。幸い、遠洋航行で水難に見舞われたことは無かったからさ。ニュクスは海で泳いだ経験はあるのかい?」

ニュクス「まぁ、あるわね。追ってから逃げるために色々と苦労したから、私を見て高く売れるとかなんとか、あの頃はまだ悪魔の魔女としての触れ込みもあったし、報奨金目当てに私の命を狙っていた矢からもいたと思う」

レオン「高く売れるっていうあたりで、違う報奨金目当ての輩だと思うけどね。よし、ここまで来て海に入らないのもなんだから、ちょっと入ってみよ」

ニュクス「ええ、いってらっしゃい」

レオン「あれ、ニュクスは来ないのかい?」

ニュクス「大人の女には準備がある物なの。すぐに行くから心配しないで」

レオン「そうかい? それじゃ先に行ってるよ」バシャバシャ

ニュクス「……ええ。じっくり観察してからいくわ」

レオン「ブクブク、プハァ!」バシャンッ

ニュクス「水に濡れたレオン王子、今夜はおいしい夜食になりそうね」

レオン「ふぅ、ようやく水に馴れてきたかな」ポチャンッ

レオン(……それにしても、まだ全然胸のドキドキが収まらない。あの、重力に従って揺れてたカムイ姉さんの……。白夜の文学にああいうのをたわわに実ったっていうけど、白夜の表現はどうしてこうも悩ましいものばっかりなんだろう)

レオン「ああ、だめだ。もう、カムイ姉さんはアクアと恋人同士になってるんだ。そんな目で見ちゃだめだ」

レオン(っていうのに、全然頭から離れない。はぁ、白夜で修行しても意味なんてなかった。結局僕は姉さんの特別に、まだなりたいって思ってるわけだし)

レオン「はぁ、カムイ姉さん……」

カムイ「なんですか、レオンさん?」

レオン「……え? カカカ、カムイ姉さん!?」

カムイ「わ、どうしたんですか。そんなに慌てて」

レオン「う、ううん、何でもないよ」

カムイ「ふふ、嘘を言わないでください。あんなに難しい顔をしながら名前を呟かれて何もない、そんな言葉信じられませんよ。何かあったんですよね、私で力になれる事なら言ってください」タプタプッ

レオン「ち、力になるって」チラッ

 タユンタユン

レオン(だ、だめだ。今さっき考えていたことがことなだけに、変な事しか思い浮かばない!)

レオン「ほ、本当に何でもないから!」

カムイ「ふふ、そうやって強がるところは変わりませんね。だけど、家族であるレオンさんが悩んでいるのを見過ごすほど、私も幼くはありません!」

レオン「その、思いっきり動かないでくれないかな」

カムイ「あ、水が掛かってしまいましたか?」

レオン「いや、そうじゃなくて……」

カムイ「じゃあ、教えてくれますか?」ズイズイッ タユユンタユン

レオン(ま、まずい。非常にまずい。こんな至近距離まで近づかれたら、もっと意識が向いて……。僕のブリュンヒルドが……あっ)

 バッ

カムイ「どうしたんですか?」

レオン「な、何でもないよ!」

レオン(もう、反応し始めてる。ううっ、体と欲望が正直すぎる、僕自身恥ずかしいくらいこらえ性が無い。ど、どうにかしないと……)キョロキョロ

カムイ「?」

レオン(早くカムイ姉さんがもっと近づいてくる前に、何か気を紛らわせるもの、紛らわせるもの……ん?)

 バシャバシャ

ニュクス「カムイ王女、それくらいにして置きなさい。レオン王子が困っているわ」

カムイ「ニュクスさん」

レオン「ニュクス……」ジーッ

ニュクス(え、なに、なんでこんな熱い視線でレオン王子が私を見ているの。もしかして、私の格好にも魅力を感じるようになってくれたということ!?)

レオン(……よし、落ち着いた)

カムイ「でも、私の名前を言っていましたし」

ニュクス「だとしても、時には詮索しないのも姉としての務めだと思うわ。それに、あなたはあなたで悩みを抱えているようにも見えるわ。そんなあなたにレオン王子の悩みが解決できるとは思えない」

カムイ「……」

ニュクス「……」

カムイ「さすがはニュクスさんですね。こんなにたやすく見破ってくるなんて」

ニュクス「伊達にあなた達より大人をやっていないわ。もしも困っていることがあるなら、私が相談に乗るけど?」

カムイ「いえ、大丈夫です。ふふっ、ニュクスさんはレオンさんのこと、よく見ていてくれるんですね」

ニュクス「た、偶々よ。それに問題を抱えているもの通しを一緒にして、何か起きたらあれでしょう?」

カムイ「問題って、どんな問題ですか?」

ニュクス「ともかく、一度わき目は降らずに問題と向き合いなさい。それがあなたのためになるはず、大人からの助言よ」

カムイ「……わかりました。ごめんなさい、レオンさん。ちょっかいを出してしまって」

レオン「いやいいんだ。僕の方こそごめん、心配してもらったのに」

カムイ「いいんですよ。私も少し自分で考えるべき問題だと思っていますから。失礼しますね」

 バシャバシャバシャ

レオン「ニュクス、ありがとう。おかげで助かったよ」

ニュクス「別にいいわ。ところでレオン王子……」

レオン「どうしたの、ニュクス」

ニュクス「ずっと見つめられるのは、さすがに恥ずかしいわ。いくら何でも見つめすぎよ」

レオン「あ、ああ、ごめん」

ニュクス(……あれ、思ったより素っ気ない。さっきまでの熱い視線から、なにか余韻みたいなのがあると思ったのだけど……。どういうこと?)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エリーゼ「ん、タクミさん、どうしたの?」

タクミ「……もしかしたら、僕とあいつって似た者同士なのかなって思ってさ」

エリーゼ「もしかしてレオンおにいちゃんのこと?」

タクミ「う、うん」

エリーゼ「うーん。言われてみればそうかも」

タクミ「正直、あんまり気に入らないけど」

エリーゼ「ダメだよー。レオンおにいちゃんはタクミさんにとっても家族なんだから」

タクミ「じゃあさ、エリーゼ王女から見て僕とレオン王子ってどこが似てると思う?」

エリーゼ「えーとね……趣味(チェスとか将棋)が似てると思うなー」

タクミ「趣味(性癖)?」

エリーゼ「うん、タクミさんといい勝負ができると思う。すごく熱心にけんきゅうしてるから」

タクミ「そ、そうか。だから、あんなに熱い視線をニュクスに向けてたのか……」

タクミ(……今度、ちょっと話してみようかな。その、どんな幼さが好きなのかとか、どういうのが心に来るのかとか。うん、これも一種の異文化交流と考えれば問題ないはず)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「な、なんか悪寒が……」

ニュクス「少し冷えたのかもしれないわね」

今日はここまで
 
 ニュクスはロリなのか?
 なんだかんだ難しい問題の一つだと思う

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス『ふぅ、海も十分満喫しました。上がりましょうか、ピエリさん』

ピエリ「えー、ピエリ、まだまだ遊び足りないの。だからリリスはまだ出ちゃダメなの!」

リリス『さすがにもう漂っているのは飽きましたから、一度上がってからにしましょう?』

ピエリ「やーなのー! ピエリが出ていいって言うまで、出ちゃダメなの!」

リリス『はぁ、一体どうすれば……』

アクア「大丈夫?」

リリス『アクアさん……。ピエリさんが出でいいって言うまでは出ちゃダメだって。このままだと、ふやけちゃいます』

アクア「そうね、あなた皮被りだから。さらにふやけると大変だものね」

リリス『よーし、ピエリさん。もうすこし海にいましょうね』

ピエリ「わーいなの!」

リョウマ「ふう、これだけ泳いだんだ。俺は今日は上がることにする」

タクミ「うん、わかったよ。僕はそうだな……、エリーゼ王女はどうする? まだ海で遊ぶかい?」

エリーゼ「今日はもういいかな。明日も来れるし、残りの時間はタクミさんと島の中を歩いて回りたいな」ギュッ

タクミ「わかったよ。僕も色々と見て回りたい場所もあるし、エリーゼ王女はどこか行きたいところとかあるかな?」

エリーゼ「えっとね、この島の中央にある洞窟とかどうかな。さっき地図で見た所なんだけど」

タクミ「え、洞窟に? てっきり島の南にある花園とかに行くのかと思ったけど」

エリーゼ「その、タクミさん、ちょっと耳を貸して?」

タクミ「なんだい?」

エリーゼ「うん。えっとね……」ゴニョゴニョ

ヒノカ「ふふっ、二人だけで内緒話か。ほほえましいものだな」

カミラ「そうね、エリーゼがあんなになつくなんて思ってもいなかったから、本当にうれしいわ」

ヒノカ「ああ、しかしエリーゼ王女が洞窟に行きたいとは、一体どういう事情があるんだろうか。タクミの様子で内容が分かるわけ――」チラッ

タクミ「……」モッコリッ

ヒノカ(あ……)

 ワイワイ ガヤガヤ

リリス『あ、皆さん上がったみたいですね』

ピエリ「うー、みんな海から上がって行っちゃったの。ピエリとリリスしか、今海の中にいないの」

リリス『長い時間あそんでましたからね、疲れも出てくるころですし、やっぱり一度上がりませんか?』

ピエリ「そうするの。リリスの浮き輪で、もっともっとぷかぷかポヨポヨしたかったのよ」

リリス『明日にしましょう。そう言えばアクアさんはどちらに向かわれたんでしょうか?』

ピエリ「アクア様ならマークス様とサクラ様の様子を見に行ってくるって言ってたの」

リリス『……ピエリさんは先にあがっていてください。私はちょっと野暮用を思い出したので……』バシャバシャ

ピエリ「ん、わかったの! あとでなの!」

リリス『もう、興味があるのはわかりますけど。そういうのを覗きに行くのはどうかと思うんですよね』バシャバシャ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「やっ、んんっ、はぁ、マークスさん、ふああっ、深いですぅ。マークスさんの太いのが、ふあああああっ。だめぇ」

マークス「そんなことを言いながら、私のモノをこんなに包み込んでいるじゃないか」パンパン

サクラ「だって、だってぇ。ふああっ、マークスさんの腰が当る度に、奥が、んんっ、奥がぐりゅってなってますぅ」

マークス「そうか、このような感じか?」パンッ! パン!

サクラ「ひゃあああ!!! だめ、マークスさんのお〇んぽで来ちゃう、来ちゃいますぅぅぅ!!!」ガクガク

 プシャアアアア!

サクラ「ふああああっ。あっ、はひっ、んんんっ。んあっ、あああっ」ピクピク

マークス「またイッてしまったんだなサクラ」

サクラ「だめって、だめって言ったのに。やっ、腰を抱えないでください。やっ、見えちゃう、水面に反射して全部見えちゃいますから!」

マークス「ほぉ、何が見えてしまうんだ?」ユッサユサッ

サクラ「はあああっ、だめ、や、言えま……ひゃんっ、せん…。そんな恥ずかしい事……」パチュパチュ

マークス「ふっ、そうだな。こんなにビクビクと震えさせながら、サクラ王女が私のペ〇スを頬張っている。確かに恥ずかしい光景だな」

サクラ「やっ、言わないでくださ、あっ、んんっ、あ、いあっ……ううっ、やっ、だんだん、はげしくぅ、なってぇ……」

マークス「はぁはぁ、サクラ王女。どんどん締め付けが強くなっているぞ」パンパンパンッ

サクラ「あううっ、だめ、どんどん、敏感になってりゅ……。マークスさぁん」

マークス「サクラ、んっ」

サクラ「はむっ、んんっ、レロレロ、ちゅ。んんっ」パンパンパンッ

サクラ「ぷはっ、あん、マークスさん、胸も……いっぱいいじってくらはい」

マークス「ああ、サクラの蕾。こんなにも愛おしく可愛いらしい」モミモミ

サクラ「あっ、んっ、ふああっ、だめ、お〇んこも乳首も、きもちぃいですぅ」

マークス「はぁ、こんなに固くして、そろそろ芽吹いてしまうのではないか?」

サクラ「ああっ、んっ、マークスさんに咲かせてほしいです。愛してるマークスさんに、私の、蕾を咲かせてもらいたいです」

マークス「なら、もう遠慮はいらないな。サクラ王女、激しくなるがいいか?」

サクラ「いいですよぉ。いっぱいいっぱい私を激しく求めてください……」

マークス「ああ、サクラ王女の膣、こんなにも締め付けてくるぞ」

サクラ「んっ、はい、私はマークスさんだけの物だから、もっともっとマークスさんの形を、擦り込んでくださぃ!」

マークス「サクラ、私はお前を愛している。これだけでは足りないくらいに!」

サクラ「私も、私もです。やっ、だめ、一番大きなの来ちゃう、来ちゃいます、マークスさぁん」パンパンッ

マークス「私もだ。もう限界が違い、サクラ受け止めてくれ」

サクラ「きて、来てください。私のお○んこに子宮に、マークスさんの熱いザー〇ンを、ビュルルって、送り込んでほしいです……」

マークス「サクラ! ううっ、出るぅ!」ビュルルルッ ビュルルンッ

サクラ「んあああっ、んっはぁ……。マークスさんのお〇んぽが私の中で、びくびくいっていっぱい熱いのが入り込んできてます。あ、だめ、あふれちゃう……」ドロリッ

マークス「はぁはぁ、サクラ」

サクラ「マークスさん、んっ。んんんっ。まだ欲しいです」

マークス「私もだ、サクラ。もう少しだけ、お前が欲しい」

サクラ「はい、もっとシてください。マークスさん」クパァ……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「………」

アクア(二人とも気持ちよさそうね。まぁ、性行為はそう言うものだもの。当たり前よね)

アクア「でも……」

リリス『あ、見つけましたよ。アクアさん』プカプカ

アクア「リリス?」

リリス『さぁ、戻りましょう。覗き見なんて趣味が悪いですから。まぁ、そう言ったところで意味は無いと思いますけど』

アクア「そうね、確かにそうかもしれないわ」

リリス『え、どうしたんですか。いつもなら、開き直るところだと思うんですけど』

アクア「そういう時もあるだけの事よ」

リリス『えっと、何かあったんですか?』

アクア「大きなことは無いわ。ただ、二人とも気持ちよさそうにシてた」

リリス『まぁ、そういうものですからね』

アクア「あと……」

リリス『? 何かあるんですか』

アクア「いいえ、何でもないわ。戻りましょう? あの二人なら私たちが上がったことくらい気づくはずだから」

リリス『は、はい』

アクア(性行為を気持ちよさそうにしている事は何の問題もない。でも、私にはあの二人が気持ちいい以上に――)

(幸せを感じているように見えたのよね……)

今日はここまで

 サクラは乱れるとき、すごく乱れる。そんな女の子に違いない。

◆◇◆◇◆◇
―???・南国リゾート『リリスとピエリの部屋』―

ピエリ「わーい、ふかふかなベッドなのぉ。えへへ、ベッドも大きいから暴れても落ちないのよ」ポフンポフン

リリス『なんで特に説明もなく、私はピエリさんと相部屋になってしまうんでしょうか?』

ピエリ「リリスは、ピエリと一緒の部屋は嫌なの?」

リリス『嫌ではありませんよ。ただ、今私はこういう恰好なわけですから。その、ですね』

ピエリ「?」

リリス『……いいえ、何でもありません。ピエリさんは午後はどうされるんですか?』

ピエリ「んー、ピエリの荷物を中央に取りに行く予定なの」

リリス『中央、ああ竜脈で送られたピエリさんの服とかですね』

ピエリ「そうなの。はやく、ピエリもお洋服に着替えたいのよ」

リリス『あれ、さっきまで水着だったじゃないですか、もう荷物は取りに行ったのかと思っていましたけど』

ピエリ「あの水着はリリスの浮き輪が売ってた場所で買ったの。ピエリが準備したのは、明日お披露目なのよ」

リリス『そうですか、ところで私の服はどこに?』

ピエリ「えっと……脱衣所で脱いで気づいたら無くなってた気がするの」

リリス『やっぱりかー』

ピエリ「それじゃ行ってくるのー」ガチャン バタンッ

リリス『はぁ、私も後で取りに行かないといけませんね。荷物なんて服と星界の図鑑の一覧だけですし……』

リリス『あ、そうでした。一応、調べておかないといけませんね。ええと、たしかここに、ありました』ガサゴソッ

 バッ

リリス『えっと、執事の報告だと5枚の魔符が出されたそうで、支払われた合計金額は350000Gですか。そんなに高いレオン様の魔符なんてありましたっけ?』

 ペラペラペラ

リリス『……変ですね。レオン様の魔符、上から下を調べてもそんな高価な物がありません。もしかして、魔符を提供したことでニュクスさんがお礼を置いて行ってくれたとか……』

リリス『いいえ、そんなことする必要性ありませんよね。というか、ニュクスさんが手に入れてないレオン様の魔符は3つくらいしかないみたいですし。そう考えるとなぜ5枚も排出があったんでしょうか?』

リリス『えーっと、カムイ様にアクア様、ベルカさんにリョウマ様、レオン様、ゼロさんにルーナさん、サイゾウさんにヒノカ様、サクラ様、マークス様……。うーん、金額を無理矢理合わせれば5枚分で350000Gを出すことは出来ますけど……。レオン様以外の魔符を取り出したところで、ニュクスさんに利益があるように思えませんし……』

リリス『……』

リリス『これは、中々に謎ですね』

アクア「本当に謎ね」

リリス『……ノックもせずに入ってこないでくださいよ』

アクア「あ、ごめんなさい。今から激しい運動に取り掛かるところだったのなら謝るわ」

リリス『その謝罪は適切でない』

リリス『それで何が謎なんですか? 私の資料を見たから、口にしたことじゃないでしょう?』

アクア「鋭いわね、さすがに私の頼みを聞いてくれただけはあるわ」

リリス『はぁ、正直察したくはないんですけど。もうこの状態だと筒抜けになりますから』

アクア『そうね、この状態ならあなた、嘘を吐けないものね』

リリス「不本意ですがそうなりますね」

アクア「ピエリにおち〇ちんをシュッシュってされて気持ちよかった?」

リリス『はい』

アクア「清々しいくらいに即答するのね、若干引いてしまうわ」

リリス『アクアさんが答えさせたんじゃないですか!』

アクア「ええ、そうね」

リリス『そっちも清々しいくらいの即答ですよね。悪気は一切ないくらい清々しい顔してますし』

アクア「さぁ、あなたがピエリに気持ちよくしてもらったことはもうどうでもいいの」

リリス『だったらなんで聞いたんですか……』

アクア「まぁ、面白そうだったから?」

リリス『あなたってやっぱり悪魔ですよ』

アクア「悪魔じゃないわ、アクアよ」キリッ

リリス『決まった!みたいな顔しても許しませんからね」

リリス『まぁいいです。それで相談っていうのは、やはりカムイ様とのことですか?』

アクア「うっ、鋭いわね。あなたに見透かされてしまうなんて、もうお嫁に行けないわ」

リリス『で、もしかして思い直したということですか? モローから頂いた薬を使わない方がいいのかもしれないと思うようになったとか』

アクア「何を言っているの。あれを使ってカムイをアヘアヘさせるのは最低限の目的なんだけど」

リリス『最低が最高の難易度になってるんですがそれは』

アクア「カムイには今のところ全戦全敗だけど、これはそれを崩すもの。いうなればスケベ界のドラゴンキラーね」

リリス『あなた、槍使いじゃないですか。ドラゴンキラーは装備できませんよ』

アクア「細かいことを気にしていたら、勝利はつかめなくなるわ」

リリス『そんな勝利いらないので、もう諦めてください』

アクア「ともかくよ。その作戦を起こす前にちょっと聞きたいことがあったの」

リリス『聞きたいことって言われても、アクアさんの方がカムイ様の事は詳しいでしょう?』

アクア「ちがうわ。私が聞きたいのはカムイの事じゃなくて……その」

リリス『なんです?』

アクア「え、えっとね……。やだ、こうやって聞くとなると、案外恥ずかしいものね////」

リリス『そんなに恥ずかしいことなんですか?』

アクア「ええ、この感じは初めて野外露出プレイを強要させられた時に似ているわ。こう、誰かに見られてしまうっていう、わかるでしょう?」

リリス『共感できないし、共感する気もありません』

アクア「でも、あなただってピエリにされたのは屋外――」

リリス『共感しませんから!』

リリス『で、そろそろもったいぶってないで話してください』

アクア「そ、そうね。ごめんなさい。えっと、さっきマークスとサクラの濃厚なセックスを見てたと思うけど」

リリス『待って、そのセックスの下りは必要なんですか?』

アクア「二人とも互いを激しく攻めていた。特にマークスのち〇ぽがサクラのま〇こを出たり入ったりする度に、愛液が隙間から溢れていたの。二人ともとても気持ちよさそうだったわ」

リリス『あの、もしもし?』

アクア「二人が絡まってトロトロのアヘ顔を晒している。それは多分、私とカムイも変わらないことだって思ってた。だけど……私たちとは違うところがあったの」

リリス『違うところ?』

アクア「ええ、それについてあなたに相談に来たというわけ」

リリス『……すみませんが、ち〇ぽがあるとか無いとかっていう話じゃないですよね? そうだったら失礼してもいいですか、私中央にいって荷物を持ってこないといけないんで』

アクア「早とちりしないでちょうだい。私の話はここからが本番だから」

リリス『手短にお願いしますよ』

アクア「……そのね、リリス」

リリス『はい、なんでしょうか?』

アクア「……あなたに教えてもらいたいの」

リリス『おしえてもらいたい?』

アクア「ええ、その……について」ゴニョゴニョ

リリス『?』

アクア「その、教えてほしいの。私に……」

「私に愛というものが、どういう物なのかを……」

今日はここまで

 リリスの苦難が再び始まる。

リリス『あ、あいですか?』

アクア「そうよ」

リリス『……えっと、あいっていうのは『あいうえお』のあい?』

アクア「違うわ、愛よ。愛情の愛、暗夜的に言えばラブね」

リリス『正直、今のアクアさんが口にするのに違和感しかないんですけど、何か悪いものでも食べましたか? そこら辺に落ちているお肉を食べたとか』

アクア「そんなもの食べないわ、あなたじゃあるまいし」

リリス『察してくれてるなら、広場で拾った食材をカムイ様にあげないでくださいよ。時々砂利が付いてたりするんですから』

アクア「あなたの食事事情なんてどうでもいいわ。それで愛ラブについてなんだけど」

リリス『す、すみません。なんで私にそれを聞こうと思ったんですか?』

アクア「あなたなら答えてくれると思っただけよ。ほら、色々と覗き見てるんでしょう?」

リリス『あなたは私をなんだと思っているんですか』

アクア「それはもちろん、性竜フタナリリスだと思っているわ」

リリス『まだそのあだ名を引っ張るんですか!?』

アクア「そういうわけだから、まずリリスの思う愛について教えてもらいたいのよ」

リリス『愛ですか。正直、抽象的な課題で何とも言えないところなんですけど。アクアさんって愛を知ったんじゃないんですか?』

アクア「そうね、カムイの思い通りにされてそれに興じていたのだけど、やっぱり周囲の交際してるみんなを見ていると違う気がして、愛っていうのは腰のぶつけ合いじゃないと思い始めたの」

リリス『愛の例えが腰のぶつけ合いって……』

アクア「私にとってはそうだったの。だけど、それだけじゃないでしょう?」

リリス『おそらくはそうでしょうけど……。愛ですか、正直私では助言の一つも出来ません』

アクア「なぜ? そんなハートマークみたいな模様が体にあるのに?」

リリス『それだけで愛の伝道師にされたらたまったもんじゃありません。正直に言えば、私は恋愛経験もありませんし、誰かに愛されていると思ったこともなかったので』

アクア「そう、ごめんなさい。悪いことを聞いてしまったみたいね」

リリス『いいんです。もう過ぎたことですから』

アクア「で、愛についてなんだけど」

リリス『あれれ、私の話聞いてましたか?』

アクア「聞いていたわ」

リリス『ならなんで聞くんですか?』

アクア「気づいたの。私も愛を知らない、そしてあなたも知らない。一見意味のないことに思えるかもしれないけど、こうして知らない私たちだからこそ愛について考えられる……。そう思わない?」

リリス『……?』

アクア「例えば、リリスは星界という言葉を聞いて何を思う?」

リリス『それは星竜モロー様が管理されている星界ですね。私も星竜の一員ですから、それ以外に思いつくことがありません』

アクア「そう、私も同じように地面に食材や武器が散乱しているマイキャッスルを思い浮かべるわ」

リリス『辛辣…』

アクア「だけど、星界というものを知らない人に聞いたら?」

リリス『……あ』

アクア「そう、私たちでは想像できないようなセイカイを思い浮かべるはず、それはある意味もっとも価値のあるものだと思わない?」

リリス『なるほど、だから考えてみようという話だったんですね』

アクア「ええ、そういうわけで、まずは互いに持っている愛に関するイメージを口にしてみましょうか?」

リリス『わ、わかりました。ではせーので行きましょう』

アクア「ええ、行くわよ」

リリス&アクア『せーの』

リリス『家族』アクア「……セッ〇ス!」

アクア「家族でなんて、あなたって意外と……」

リリス『今、間を置きましたよね?ねぇ?』

リリス『で、今の話で何か得られたものってありますか?』

アクア「リリスは家族でのセックスに興味があるってことくらいかしら?」

リリス『興味ないですよ』

アクア「ともかく、やっぱり何もわからないもの通しで考えても意味がないということはわかったわね」

リリス『ええ、時間の無駄ですよ。そういうわけで、私はこれで』

アクア「待ちなさい。まだ話は終わっていないわ」

リリス『話は終わってないって、これ以上何の話があるっていうんですか?』

アクア「リリスには愛について色々と探ってもらいたいの。幸いにもここにはカップルとして成立しているのが二組もいるでしょう?」

リリス『なんで私が探らないといけないんですか? 直接アクアさんが聞いてくださいよ』

アクア「だめよ。そんなことを誰かに聞いたら、色々と問題になるでしょう?」

リリス『すでに私に問題が発生しているんですけど。というか、私ここには休養のつもりで来たんですけど? アクアさんもそう言ってましたよね?』

アクア「そうね、もう昔の話よ。あれはまだ、無限渓谷が開いていた頃の事だから」

リリス『今も開いてますよ、あなたが開いたおかげでね?」

今日はこれだけ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―???・中央竜脈地に続く道―

リリス『……』プカプカ

アクア「ともかく、私は愛について知らないといけないの。出来れば早急にね」

リリス『あの、なんで付いて来るんですか?』

アクア「突然背中を向けたから……、話は分かった。付いて来なさい、私が愛について教えてあげるから、っていう意味だと思ったのだけど?」

リリス『それは間違いです。正解は、ついてこないでください、私は愛について教えられませんって意味です』

アクア「愛を知らない者同士、意思疎通もままならないなんて……。こういう事故を防ぐためにも、愛についてよく考えるべきだと思うわ」

リリス『アクアさんと意思疎通するために愛を学びたくはないんですけど……』

アクア「仕方ないじゃない。正直、頼りになるのが貴女しかいないのよ。他のみんなにカムイとの仲がうまくいっていないなんて知られたら……」

リリス『アクアさん……。そうですよね、心配をかけてしまいますよね』

アクア「きっと、カムイを寝取りに来るに決まってるわ」

リリス『……』プカプカ

リリス『なんでそう思うんですか?』

アクア「だってほら、人の物を奪うのって、こう……背徳感がすごいでしょう?」

リリス『そういうのは先に罪悪感が生まれる物なんですよ。罪悪感』

アクア「結果的には同じものでしょう? 罪悪感があってもしてしまったら、それは背徳感になるわ」

リリス『多くの人は踏み留まりますよ……きっと』

アクア「だってわからないものはわからないのよ……。初めて好きとか愛しているとか言われたけど、今のこれが本当にそうなのかわからない。分からないままに、カムイと過ごし続けるのは難しいわ……」

リリス『……』

アクア「……ぐすっ」

リリス『はぁ、わかりましたよ。まだ表面的にあなたとカムイ様の関係に揺らぎが生じていることを知っている人は少ないですから、何も起きないに越したことはありません』

アクア「リリス……」

リリス『それに、こうして多くの方々と交流を持つようになったのはあなたのおかげでもありますからね。少なからず、楽しい日々を送らせてもらっていますし。あなたの力になるのも悪くありません』

アクア「……あ、ありがとう////」

リリス『ふふっ。それで、根本的な話ですけど、今カムイ様の事をどう思っていらっしゃるんですか?』

アクア「この頃はどうやってカムイと接すればいいのかわからないの。部屋に行けばいつも肉体関係ばかりで……。その、これでいいのかって思ってしまって」

リリス『恋人と言うより、セフレのような気が……』

アクア「……そうね、あなたの言う通りセフレなのかもしれないわ。毎日抱かれているだけだもの……」

リリス『いきなり返答に困る空気にシフトしないで……』

アクア「ところで、なぜ中央竜脈に向かっているの?」

リリス『私の服を回収しようと思っていたんです。人に戻れるようになっても、服を脱いでから変身したので、戻ると下着姿になってしまいますから』

アクア「……つまり、今のリリスは外を下着だけで歩いているという事ね」

リリス『はい』

アクア「もしかして、その恥部の場所だけオープン出来るジッパーが付いてるような奴を付けているの?」

リリス『普通のパンティーとブラだよ!』

???「んー、誰かいるの?」タタタタッ

アクア「あら、誰か中央竜脈に来ているみたいね?」

リリス『多分ピエリさんです。ピエリさーん」

ピエリ「あ、リリスなの。もしかして、ピエリのお荷物を持ちに来てくれたの?」

リリス『いえ、服を回収しに来ただけです。それに、ピエリさんの荷物はそんなに多くないじゃないですか』

ピエリ「ぶー、リリスのケチー……。おりょ、アクア様も一緒なの?」

アクア「ピエリ、回収されてしまった荷物を取りに来てたのね」

ピエリ「そうなの。ピエリ荷物が無くなっちゃってびっくりしちゃったの。ところで、アクア様はどうしてここにいるの?」

アクア「えっと、それはね……」

リリス『私が服を取りに行くところで会いまして、散歩のついでに付いて来たというだけですよ』

ピエリ「そうなの? アクア様はカムイ様と一緒にいるのかと思ってたから驚きなの」

アクア「どうしてそう思ったの?」

ピエリ「だって、カムイ様とアクア様は恋人同士で愛し合ってるから、一緒にいるのが当たり前じゃないの?」

アクア「」

リリス『……気まずい。非常に気まずいですよぉ』

リリス『何とか話の流れを……。そ、そうでした。ピエリさん、私の服はありました?』

ピエリ「うん、あそこにあるの。いっぱいメイドと執事がいて、回収品の整理整頓してたのよ。ピエリがリリスのお洋服取ってきてあげるの!」タタタタタッ

リリス『……アクアさん、大丈夫ですか?』

アクア「大丈夫、大丈夫。かなり深く精神に刺さって抉って来たけど、どうにか大丈夫よ」

リリス『うわぁ、唇強く噛んで耐えてるようにしか見えないんですけど』

アクア「無邪気っていうのは時にどんなものより恐ろしい物だというのは本当だったわ……。今の私に、あの純粋な問いかけは……」

リリス『気をしっかり、あの背中摩りましょうか?』

アクア「お、おねがい」

リリス『……』ナデナデ

アクア「はぁ、はぁ、んんっ……」

リリス『どうですか?』

アクア「ええ、いいわ。うん、だいぶ良くなった気がする……」

リリス『これ、愛について調べている間にアクアさん、粉微塵になってしまうんじゃ……』

アクア「大丈夫、平気だから……」

ピエリ「リリス、持ってきたの!」テトテトテトッ

リリス『あ、ありがとうございます、ピエリさん』

ピエリ「こんなの朝飯前なのよ。リリスはこれからどうするの?」

リリス『え、私ですか。えっと……愛について調べに行くなんて言えませんよね』

ピエリ「? 愛について調べに行くの?」

リリス『……そうですね、はい。愛について調べに行こうと思います』

ピエリ「アクア様に聞かないの? アクア様なら――」

アクア「やめて、ピエリ。その言葉は私に効く……」ズギズキ

ピエリ「アクア様、どうしたの? お腹痛いの? ピエリがナデナデするのよ。カムイ様のお手手の方が愛情たっぷりだと思うけど、ピエリでも少しは楽にできるはずなの」ナデナデ

アクア「もう、愛は堪忍して……」

リリス『……ピエリさん、アクアさんをお部屋までお連れしましょう。どうやら疲れているようですから』

ピエリ「やっぱりそうなの? ならピエリ、カムイ様にお伝えしてくるの」

アクア「……や、やめ……」

リリス『いいえ、カムイ様にアクアさんも心配を掛けたいとは思っていないはず…。そうですよね、アクアさん?』

アクア「え、ええ……。少し寝れば大丈夫だから……。だから、カムイに伝えるのだけは……」

ピエリ「……わかったの。ここから泊まる場所まで遠いから、ピエリがアクア様をおんぶして連れてくの! リリスはピエリの荷物を持ってきてほしいの」

リリス『状況が状況ですからね。よいしょ、口で咥えていても話せるのはなんだかんだ便利です』

ピエリ「それじゃ、まずは山を下りるの! えーいえいっ!」ユッサユッサッ

アクア「うぐっ、はぐっ……。ちょ、ピエリ、もう少しやさしく、しっ、て……」グワングワン

リリス『すごい振動……、あれじゃ乗ってる人は疲れてしまいそうです。さてと、私も後を追って――』

 シュオンッ!ドサッ

リリス『ん、誰かの落し物が届いたみたいですね。タグ付けを忘れていたんでしょうか?』
 
リリス『まぁ、何れ取りに来るでしょうし、そもそも落とし物の主が分からない以上、届けられませ――』チラッ

『レオン王子魔符コレクション』

リリス『誰の物かわかるのが悲しい……』

リリス『……このままにしておくと事件が起きそうですし、仕方ありません』

 パクッ

リリス『よし……色々とがんばろう。頑張れ私……』プカプカ

今日はここまで

 ピエリの無邪気な発言が、アクアを襲う!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―南国の異界・

ニュクス「んっ……んんっ、レオン王子……」コスコスッ

アドベンチャラーレオン「」

ニュクス「はあっ、見られてる……。レオン王子に、オナニーしてるところ見られちゃってる。レオン王子、レオン王子……。え、もっと、足を開いて見せて? いや、そんなこと、は、恥ずかしいわ……」

アドベンチャラーレオン「」

ニュクス「んっ、じっと見ないでくれるなら……。んっ、こ、これでいい?」

アドベンチャラーレオン「」

ニュクス「そ、そんな急かさないで……。ち、小さいんだから、やっ、んっ、そんないきなり入れちゃ!」

アドベンチャラーレオン「」

 ズビュズビュ

ニュクス「ふああっ、わたし、ふああっ、子供になっちゃう。レオン王子に見られて子供になっちゃうよぉ。おっしこ出る所、ぐちゅぐちゅさせて、子供になっちゃう、なっちゃううううっ」グチュチュチュ

ニュクス「―――っ!!! んんっ――――!!!!」ビクンビクンッ

アドベンチャラーレオン「」

ニュクス「はぁ、んっ、はぁ……はぁ……はぁ……ふぅ」ピチャピチャ

ニュクス「……」

ニュクス(……また、自分の手をレオン王子の物だと思ってしてしまったわ……。目の前にレオン王子の魔符を置いて臨場感もあげてるから、かなりの快感を得られるけど……)

ニュクス「この終わった後の空しい感じは、馴れないものね」

ニュクス(むしろ、なんだか切なくて――)クチュ

ニュクス「あっ/////」

ニュクス(物足りなくなっちゃう……)コスコスコス

ニュクス(でも、さすがに同じ魔符はヌキ辛いから……。そうだ、さっき見てた魔女っ子レオンちゃんで……)ガサゴソ ガサゴソ

ニュクス「……?」

 ガサゴソガサゴソ

ニュクス「無い、無い!? 無いーーーー!?」

ニュクス(おかしいわ。今さっきまでそこに置いて会ったはずなのに、ちょっと目を離した隙にいなくなるなんて。魔符書どこ、どこ? ここ?)ガサゴソガサゴソ

ニュクス(……ど、何処に行った!?)

ニュクス「ん? これって……」ヒラヒラ

ニュクス(この異界で回収されないようにするための紋章が掛かれた紙……。私がこれを張り付けたのは魔符書と衣類だけ。衣類はまだ鞄の中に入ってる。魔符書は消えて、これだけが残っているということは……)

ニュクス「……落とし物として回収されてしまったってこと?」

ニュクス(と、取りに行かないと。でも――)チラッ 

アドベンチャラーレオン「」

パラディンレオン「」

ダークマージレオン「」

ニュクス(こんなところ誰かに見られでもしたら…。いや、落ち着きなさい、私。そんなものは記憶を飛ばす呪術でどうにかできる、重要なのは取りに行かないとこの子たちを収納できないという事よ)

ニュクス「そうと決まれば行動よ。まずは鍵を……、あれ?」

 ガサゴソガサゴソ

ニュクス(……鍵、受け取ってなかったみたい……私としたことが、うっかりね)

ニュクス「……どうしたものね」

ニュクス(鍵を取ってくるしかない。でも、このわずかな間に万が一にもレオン王子が訪ねて来て、これを見られてしまったら……)

レオン『ニュクス、これは一体どういう事かな?』

ニュクス『れ、レオン王子、こ、これには深くてその思い出深い理由があって』

レオン『……最低だよ、ニュクス。君がこんな人間だったなんて……』

ニュクス『え? れ、レオン王子……』

レオン『近づかないでくれないかな。汚らわしい! 見た目は子供でも中身は大人だって言ってたけど、こういうはことに関してだったなんてね……』

ニュクス『レ、レオン王子、違うのこれは――』

レオン『近寄らないでくれるかな、この変態!』

ニュクス『い……』

ニュクス「いやああああっ!!!! そんな汚物を見るようなめで、私を見ないでェ!!!」ジタバタジタバタ

ニュクス「……」ピタッ

ニュクス「……いや、むしろ見てぇぇぇぇ!?」ジタバタジタバタ

 コンコン

ニュクス「だ、だれ!? い、今は立て込んでるところだから、あとにしてくれる?」

リリス『あの、ニュクスさん。私です、リリスです』

ニュクス「り、リリス? 何の用かしら、今はとっても大事な用があるの。悪いけど、後にして――」

リリス『レオン様の魔符コレクションが中央竜脈に届いてたのでお持ちしたんですが……』

 ガチャッ

ニュクス「ほ、ほんとぉ? ニュクスのコレクション、もってきてくれたのぉ……」フルフル

リリス『あの、まずは服を来てくれませんか。その、色々とシてたことの跡が見るに堪えないので……』

 シュオオオッ
  シュオオッ
   シュオオオオッ
    パタンッ

ニュクス「これでみんな収納できた。ふぅ、一時はどうなるかと思ったわ。やっぱり、何事も落ち着いて対処するのが基本ということよ」

リリス『幼児後退するくらい慌てていたように思えますが……』

ニュクス「……だ、だって、レオン王子に汚物を見るような眼で見られながら変態って罵られることを想像していた所だったから……」

リリス『ああ、扉越しに聞こえていた叫びの正体はそれでしたか。何考えてるんですか?』

ニュクス「だって、レオン王子の視線って元から冷たいでしょ?」

リリス『いや、そうでもないと思いますけど……』

ニュクス「そんな冷徹な視線に軽蔑が加わったら……。これはとても危険な組み合わせね」

リリス『今後、魔符に「汚物を見るような眼で」という意味不明な命令を下すあなたの姿が手に取るようにわかります』

ニュクス「とりあえず、ありがとう。まさか、魔符を呼び出してその目の前でオ〇ニーしている拍子に紋章を入れた紙が取れるなんて思わなかったわ」

リリス『紙が取れるとは思わなかった、それだけで纏めてください』

ニュクス「でも、こうして届けてくれたあなたには真実を伝えるべきだと……」

リリス『それを知っても私に利益なんてないんですけど。ともかく、今後は気を付けた方がいいですよ。今回は運よく私がいましたけど、いなかったらこの南国での休暇が休暇ではなくなってしまいますから』

ニュクス「安心しなさい。今度からは本を主体に行うから、体の一部に触れていれば回収はされないでしょう?」

リリス『その閃き、いらない』

ニュクス「それで、何の用かしら? 魔符書を届けてくれたのはうれしいけど、それだけだったら部屋に入ることもないでしょう?」

リリス『察しがいいですね』

ニュクス「それとも、私がいっぱい体内ファイアした部屋の香りが……、その好きだったりするとか?//// ほら、あなたってそうやって竜の姿になるでしょう、その極度の臭いフェチだったりするのかと思って……」

リリス『外で話しましょうか。ココの空気は酷く淀んでいますので』

ニュクス「ストレートに言われると傷つくわ」

リリス『在らぬ疑いを駆けて置いて良く言います。その少し魔符書をお渡しする際にお聞きしたいことがありまして』

ニュクス「いいわよ。あなたは命の恩人だから、そのエッチをしたいっていうこと以外なら……」

リリス『私、お聞きしたいことがあるとだけ言ったはずですけど?』

ニュクス「聞くセッ〇スっていうのもあるから……」

リリス『ないそれ、怖い』

リリス『そういったことに興味はありませんから、安心してください。私はノーマルですから』

ニュクス「そう、ピエリに色々と気持ちいいことをさせたってアクアから聞いているけど」

リリス『なんで私が無理矢理奉仕させたみたいな話になっているんですか?』

ニュクス「でも、ピエリよね。あの子、体は大人なのに中身は子供でしょう? 私は中身が大人で見た目が子供、少し不公平だと思うわ」

リリス『正直、この頃のニュクスさんを見ていると身も心も成熟していないとしか言えません』

ニュクス「ふん、大人の女性の魅力がわからないからそう言えるのよ。あなたも、まだまだ子供という事ね。それで、そんな私に何を聞こうというの?」

リリス『自分からハードルを上げてるのわかってます?』

ニュクス「ふん、何でもいいから聞いてみなさい。この私が答えてあげるわ」

リリス『はぁ、それじゃお聞きしますね』

ニュクス「ええ、来なさい」

リリス『あの、ニュクスさんは愛についてどう考えていますか?』

ニュクス「愛? なんだか抽象的な質問ね、私のが答えになるとは思えないけど……」

リリス『それはわかっていますよ。この答えは十人十色で、決まり切った答えがあるとは思っていませんから』

ニュクス「まあいいわ。愛ね、私からすると……。もう、私が手に入れられない物、そう答えるしかないわ。私がしてきたことを考えれば、愛なんて物を受け取れるわけもないことくらい、わかるでしょう?」

リリス『でも、ニュクスさんはレオン様が好きなんですよね?』

ニュクス「私が好きな事とレオン王子が私を愛してくれるかは別問題よ……。私は自分が幸せになるべきじゃない、その幸せには誰かに愛してもらうというのも含まれるわ」

リリス『ニュクスさん……』

ニュクス「だから、独りよがりな妄想に逃げ込むのかもしれない。だって、それが賢いことだって、少なくとも私は思っているんだもの……。傷つかない方法はこれくらいしかないって、わかってしまうんだから」

リリス『……あの、ニュクスさん』

ニュクス「……なに、リリス」

リリス『そこまで考えているなら……自室に置いてある盗んだレオン様の衣装を返してもいいのでは?』

ニュクス「あれは、そう、うん、私の愛を増幅させるための物だから、ギリギリセーフよ」

リリス『どうみてもアウトです』

今日はここまで

 ニュクスの一人エッチは、幼さと精神年齢のギャップがあって凄そう

 ガチャ バタン

リリス『はぁ、あまりアクアさんのためになるようには思えませんけど、一応の答えは得られましたね。しかし、得ることのできないものですか……』プカプカ

リリス『アクアさんに言ったら色々と再び拗らせそうな回答ですよね。もう少しわかりやすい答えを出してくれる人を探さないと』

ピエリ「あ、リリス。ここにいたの!」テテテテッ

リリス『ん、ピエリさん? どうかしましたか?』

ピエリ「どうかしてるの! ピエリを置いてどこかにいっちゃ、駄目なの! リリス、アクア様に頼まれごとがあるんでしょ? ピエリには御見通しなの。ここからはピエリも一緒に調べてあげるのよ」

リリス『ピエリさん。そのうれしいお言葉なんですけど、その情操教育にですね、とてつもない悪影響を与えるかもしれない内容を探らないといけないので……』

ピエリ「ひぐっ、リリスはピエリのことをひとりぼっちにするの? ピエリとリリス、同じお部屋だから仲良しさんじゃなかったの? うええええんっ」

リリス『ああ、泣かないでくださいピエリさん。私は、ピエリさんと仲良しさんですよ』

ピエリ「ほ、本当?」

リリス『そうですよ、私とピエリさんの仲じゃないですか。ここまで色々と交流してきたでしょう? ほら、思い当たることの一つくらいはあるでしょう?』

ピエリ「うーん、そうなの! リリスのお〇んちんをなでなでしてあげたことなの!」

リリス『ああ、はい、そうですね。もう、それでいいです』

ピエリ「愛について、なの?」

リリス『アクアさんにも色々とあるみたいですから、愛についてみんなの意見を聞いてきてほしいと頼まれているんです』

ピエリ「ふーん、リリスは愛ってどんなものだと思ってるの?」

リリス『家族でしょうか』

ピエリ「家族、ピエリのお父さんとお母さんみたいなものなの?」

リリス『多分そういうものだと思っています』

ピエリ「リリスおかしいの。お父さんとお母さんがいるからリリスがいるのに。リリスにはお父さんもお母さんもいないみたいないい方に聞こえるのよ」

リリス『それに近い存在ですから……』

ピエリ「え?」

リリス『いいえ、何でもありません。とりあえず、誰に最初尋ねるべきでしょうか?』

ピエリ「はいはーい! まずはピエリに聞くべきだと思うの」

リリス『……ピエリさん、愛と好きの違いが分かってますか?』

ピエリ「言い方が違うの」

リリス『そんなお決まりの返答されても……』

ピエリ「えっと、愛は重くて好きは軽い気がするの」

リリス『そこはかとなく正解に思えますね』

リリス『わかりました。それじゃ、手始めにピエリさんの考えている愛というものを教えてください』

ピエリ「わかったの。愛っていうのはキスすることなの!」

リリス『キスですか?』

ピエリ「そうなの。あ、リリス、キスはキスでもほっぺとか、御凸とかじゃないのよ。唇と唇を重ねる奴なのよ。ピエリ、お父さんとお母さんがキスして愛してるって言ってるの聞いたことがあるの!」

リリス『ふむふむ、思ったよりも健全な意見ですね』

ピエリ「でも、お父さんとお母さん裸で絡み合ってたの。あれ殺し合いしてるようにしか見えなかったの。だけど、二人とも愛してるっていっぱい言ってたの。意味が分からないのよ」

リリス『そうですね、意味が分かりませんねー』

ピエリ「だけど二人とも笑顔だったの。だからピエリは愛ってそういうものだと思うの。抱きしめあってキスをすると愛してるって言えるようになるの!」

リリス『……もう、これをアクアさんに提出すればいい気がしてきました』

ピエリ「ピエリ、リリスの役に立てたの?」

リリス『はい、とっても。ここで調査を切り上げてもいいくらいに、素晴らしい答えでした』

ピエリ「わーい。ご褒美にナデナデしてほしいの!」

リリス『仕方ないですね。ほーら、よしよし』ペトペトッ

ピエリ「んふー、くすぐったいのぉ////」

リリス『うん、かわいい』

リリス『まぁ、さすがに二人ではアクアさんは納得しませんよね。それに、まだカップルになっている方々には意見を頂いていませんし』

ピエリ「なの?」

リリス『ですが、皆さんがどこにいるのかわからないことには、どうにかして場所を探れるといいんですけど』

ピエリ「あ、リリス。外にある地図の場所に行けばわかるかもしれないの」

リリス『え? どうして地図で場所が?』

ピエリ「リリスは忘れん坊さんなの。早くいくの!」テテテテッ

リリス『え、ちょっと、ピエリさん!?』スィー

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「ふむ、やはり思ったよりも広いな。天馬を持って来れれば向こうにいったりと色々と捗るのだが……ん?」チラッ

ピエリ「あ、ヒノカ様なの! ヒノカ様―」ブンブンブンッ 

ヒノカ「ああ、ピエ……」

ピエリ「えへへ、えへへへ~」ブルン ブルンッ!

ヒノカ「……」ピョンピョン

ピエリ「? ヒノカ様、どうしてジャンプしてるの」

ヒノカ「ちょっと、ちょっとは揺れるかと思ったんだ」

ピエリ「揺れる? なにも揺れてないのよ」

ヒノカ「そうだな、何も揺れるわけない、よな……」

ピエリ「リリス? ヒノカ様は何を揺らしたかったの」

リリス『何でもできる証拠、ですかね……』

ヒノカ「ああ、リリス。お前はまだ人の姿に戻れないのか?」

リリス『はい、さすがにまだ力が溜まっていませんから。しばらくはこのままですよ。それより、ヒノカ様は何をしていらっしゃるんですか?』

ヒノカ「少し休んで泳ぎの疲れも取れたのでな、島の中を歩いて回ろうと思っていたんだ。しかし、思ったよりも広くてどこから手を付ければいいかと悩んでいたところだ」

リリス『確かに改めて見ると結構大きな島ですね。ここも竜脈の一つで作られたと考えると、いやはや万能な力だなって私も思います。だけど、これを見ても誰がどこにいるのかはわからない気がするんですけど』

ヒノカ「これで誰がどこにいるのかわかるのか?」

リリス『ピエリさんがそう言っていたんです。でも、地図の前にいる私たちの事さえ表す記号とか名前もありませんよ』

ピエリ「少し待つの。誰かがいる場所がそろそろわかるはずなの!」

リリス『ええ、このまま待っていてもわかるようになるとは思えな――』

島のバトラー「お客様、失礼いたします」スッ

ヒノカ「おわっ、この島の使用人か。む、何をしているんだ?」

 ガチャガチャ カタンッ カタンッ カタンッ

リリス『何かを掛けているようですけど。これは……』

島中央の洞窟『使用中』
北にある小さな小屋『使用中』
南にある小さな浜辺『使用中』

ピエリ「えへへ、これでここには誰かがいるってわかるの。ピエリは嘘なんて吐いてないの」

リリス『そう言えば、こんな説明してましたね。マークス様の発言で忘れていましたけど』

ヒノカ「しかし、誰が利用しているのかはわからないのか。誰かを見つけるために仕えるというわけではないのだな。しかし、その使用中というのは……その、あれのことだったりするのだろうか……////」

リリス『いやいや、それだけっていうことは無いと思います。でも、これで誰かがいることは分かりますね』

ピエリ「ピエリの言った通りだったの」

リリス『ええ、ありがとうございます、ピエリさん』

ピエリ「うー、お礼はなでなでにしてほしいの」

リリス『はいはい、ピエリさんはいいこー、いいこー』ピトピトッ

ピエリ「わーいなの」

ヒノカ「ところで、リリスとピエリは何をしているんだ? 見た所、人を探しているみたいだが…」

リリス『ああ、その愛について色々と人の意見を聞いているところなんです』

ヒノカ「あ、愛だと!? なんでそんなことを聞いているんだ?」

リリス『まぁ、これにはそれなりの訳がありまして。唐突ですけど、ヒノカ様は愛って何だと思いますか?』

ヒノカ「あ、愛か……。うう、私には恋愛経験もない、そんなことを突然聞かれても答えられる自信が無い」

リリス『それでは質問の形を変えましょう。愛し合っているって思う場面というのはありますか?』

ヒノカ「あ、愛し合っているだと……。ま、まぁそうだな。それくらいなら……答えられるかもしれない。その、笑わないでくれると助かるのだが……」

リリス『笑いませんよ。ねぇ、ピエリさん』

ピエリ「ん、おかしいことだったらピエリ笑っちゃうの!」

リリス『容赦ないなぁ…』

ヒノカ「そ、その…手をこう繋いで……」

リリス『ふむふむ…、続けてください』

ヒノカ「そして互いに見つめ合いながら、今日の事を話したりしてな。庭先で取りが休んでいたとか、今日の空模様はとても美しいとか、そんな他愛ない話をして、その時折笑顔を向け合って……」

リリス『ほうほう……』

ヒノカ「そんなまったりとした空気の中で、自然と接吻を交わし合うのが、その愛し合っているという事なんじゃないだろうか……。そ、そのすまない、どう伝えればいいのかわからなくて、このような長い語りを……。リリス、どうしたんだ。目が痛いのか?」

リリス『いいえ、あなたが眩しすぎて。こんな胸を打つ愛の調べを聞けるとは思っていませんでした』

ヒノカ「や、止めてくれ。私には似合わないことくらいわかっているんだ。いつも長刀を振り回しているような女が、そんな愛について語るなど……ああ、顔の火照りが止まらない///」

リリス『なに、この破壊力?』

ピエリ「うーん、よくわかんないの。リリス、ヒノカ様の言ってたこと、ピエリに教えてほしいの」

リリス『キスをすることが愛、そんな感じです』

ピエリ「ヒノカ様、ピエリと同じ考えだったの。やっぱり、ピエリとヒノカ様はお友達なの!」

リリス『正直、これだけ意見を貰えればもう十分だと思うんですけど。やっぱり、カップルからの意見も取り入れるべきですよね。マークス様とサクラ様、そしてエリーゼ様にタクミ様、二組からはちゃんとお話を聞かないと……』チラッ

島中央の洞窟『使用中』
北にある小さな小屋『使用中』
南にある小さな浜辺『使用中』

リリス『いるとすればこの三カ所のどこか……。さて、何処に行くべきでしょうか……』

リリス『あまり、良い予感はしませんけど……』

今日はここまで

 赤面したヒノカ、とてもいいぞ。

 リリスが向かう場所を決めたいと思います。参加していただけると幸いです。
◆◇◆◇◆◇
・島中央の洞窟
・北にある小さな小屋
・南にある小さな浜辺
 
>>498

洞窟がいいかなー
声が超響いてそう

◆◇◆◇◆◇
―南国の異界『島中央の洞窟』―

ピエリ「ほえー、大きな穴なの。これじゃ洞窟って感じがしないのよ」

リリス『はい、洞窟ということですからもう少しこじんまりとしている物を考えていましたが、思ったよりも立派な穴ですね』

ヒノカ「洞窟の途中までは天井が裂けていて太陽が照らしている。それに奥の方も所々割れ目があって、光が注ぐ構造になっているのか。おどろおどろしい場所を想像していたが、いやはや美しい場所じゃないか」

リリス『自然の芸術ですね。まぁ、こういうところだからこそ、何かしらが潜んでいるという可能性もありますが』

ヒノカ「リリス、脅かすのをやめてくれ。今私たちにはそんな存在に抗う術はないんだぞ」

リリス『ふふっ、冗談です。さすがにここは管理が行き届いているみたいですから、そんな危険は――』

???「やめ、やめてぇぇぇぇぇ!!!!」

リリス『え、今の声は!?』

ヒノカ「洞窟の奥の方から聞こえた。今の声、タクミじゃなかったか?」

リリス『え、タクミ様ですか? 私には誰だか……』

ピエリ「リリス、しーっなの。また聞こえてくるの」

タクミ?『うああああっ、そんな、の、だ、だめぇぇぇぇ!!!!』

ヒノカ「くっ、何かに襲われているのだとすれば、一刻を争う事態だ。今すぐ助けに行かないと!」

リリス『ここは使用中で、この叫び声がタクミ様だとする。つまり、タクミ様がいるということは……あ』

ヒノカ「よし、私が先行する。武器は……こんな棒切れだが無いよりはマシだろう。リリス、ピエリも万が一に備えて武器を取るんだ」

リリス『あ、あのヒノカ様』

ヒノカ「何だリリス?」

リリス『えっと、ここは少し待ちませんか。具体的には叫び声が収まるまで…』

ヒノカ「何を言うんだ。叫び声が止まったということは、タクミがやられてしまったということになってしまうではないか!? 私に弟を見捨てろというのか!?」

リリス『私はここで待つのがいいと思います。多分、お互いにそれが一番いいと思うんです。きっと平和に解決できます』

ヒノカ「お互いとは誰の事だ!? 今タクミを襲っている何かにとってか? リリス、お前がそんな薄情者だとは思わなかった」

リリス『いや、だから――』

ヒノカ「聞こえてくる悲鳴を聞いてお前は何も思わないのか。この身を引き裂かれているような悲鳴を聞いて!」

タクミ?「んほぉぉぉぉぉおおおおお!!!!! んぎぃぃもぅ、んいいいいっ!!!!!」

ヒノカ「かなり苦しんでいるのが分かるだろう!?」

リリス『これは苦しんでいるのでしょうか?』

ピエリ「ヒノカ様、ピエリは準備できてるの!」

ヒノカ「そうか、リリス。お前とは親友になれると思っていたのに、残念だ。お前が仲間を見捨てるような奴だったとはな」

リリス『私はあなたを助けたいんです。もう、正直に言います、この先で行われてるのは――』

ヒノカ「わかっている。獰猛な何かによってタクミがボロボロに引き裂かれているんだろう。今行っても間に合わないかもしれないことはわかっている。だけど、私は弟を見捨てることは出来ない!」ダッ

ピエリ「ヒノカ様、ピエリも一緒に行く――」

 グイッ

リリス『ピエリさんはここで待っていてください。ヒノカさんは私が追いかけますから』

ピエリ「えー、ピエリだけ仲間はずれなの?」

リリス『違いますよ。ピエリさんにはここで私たちの背中を守っていてほしいんです。ヒノカさんが突入すれば、間違いなくこの洞窟は地獄と化します。その騒ぎに誘われて何かが現れて挟み撃ちを狙ってくる可能性もあります。私では守り切れませんが、ピエリさんならきっと守り切れるはずです!』

ピエリ「リリス…。わかったの、ピエリが洞窟の入り口をちゃんと守るのよ! だからヒノカ様のことをお願いするの」

リリス『はい』

ピエリ「リリス、生きて帰ってくるのよ。絶対なの!」

リリス『ええ、なんとか帰ってきます。ヒノカさんを連れて必――』プカプカ

タクミ?「あ、あ、あいいいいぃっぃ~~~~!!!」

リリス『あんなこと言ったけど、もう帰りたいなぁ……』スィ~

ヒノカ「タクミ! どこだ、タクミ!」

ヒノカ(くっ、油断していた。幾らあの戦争を乗り越えたからと言っても、タクミはまだ未熟な所がある。それを知っていれば、事前に何とかできたことかもしれないというのに!)

ヒノカ「そうだ、タクミがいるということはエリーゼ王女も一緒にいるはずだ!」

ヒノカ(でも、聞こえるのはタクミの声だけ、まさかエリーゼ王女はすでに!? いや、考えるなそんな最悪の可能性。そんな、そんなことが起きるはずがない!)

タクミ?「や、やめぇぇぇぇ、そ、それ以上は、だめだから!」

ヒノカ「近い、この先か!」ダッ

リリス『ヒ、ヒノカ様!? そちらに行っては駄目ですよ!』ビュンッ!

ヒノカ(リリス!? 私を追ってきたのか、あんなことを言ったのに私の身を案じて……。だが私はここで退くわけにはいかない。この先にタクミがいるんだ。待っていろ私が必ず助け出してやるからな!)

タクミ「も、もうだめ……」

ヒノカ「タクミ!!!!」ダッ

リリス『ヒノカ様、駄目です!!!』

ヒノカ「タクミ、助けにき――」

 ビュルルルルルルッ ビュルンッ 
  ビチャアアアッ

タクミ「ふえぇぇええ、んっ、あぁ、あひぃ……」ビクンビクンッ

ヒノカ「へ?」

リリス『間に合わなかった……』

エリーゼ「えへへ、タクミさんいっぱい出たね。やっぱり、お尻を弄られちゃうと、出る量が多くなってる。あたしのライブ、そんなに気持ちよかった?」ズニュズニュ ジュポンッ

タクミ「う、うん……すごく、気持ちよかったよぉ。んっ、ああ、だめ、そこまたされると、うあああっ」ギンギン

エリーゼ「ふふっ、タクミさんいけないんだ。女の子にお尻の穴をこんなにホジホジされて、恥ずかしいって思うはずなのに、こんなに元気にしちゃってるなんて、いけない子だね♪」シコシコ

タクミ「え、エリーゼ王女、んあっ、はぁはぁ」

エリーゼ「ふふっ、タクミさんのをあたしのお尻で受け止めるよりも先に、あたしがタクミさんのお尻をいいようにしちゃうなんて思ってもなかったよ」プニプニ

タクミ「んっ、はぁはぁ、エリーゼ王女。んんっ、穴を撫でないでくれな……うあああっ」ビクンビクン

エリーゼ「だって、タクミさん触られる度に体をビクビクさせるんだもん。すごく可愛くて、もっともっと苛めたくなっちゃうよ」ヌプヌチュ

タクミ「はっ、ううっ」

エリーゼ「今日初めてなのにすごく気持ちよさそうにしてたよね、タクミさんっておち〇ちんじゃなくて、こっちの方がいっぱい感じちゃう変態さんなのかな」

タクミ「そ、そんな、これは初めてだっただけで――」

エリーゼ「それじゃ、試してみよっ」ガバッ

タクミ「な、え、エリーゼ。こ、こんな格好!!!」

エリーゼ「えへへ、これでお尻の穴もおち○ちんも、どっちも弄ってあげられるね。あ、お尻の穴がキュッてなったよ。ふふっ、期待してるんだね」

タクミ「そ、そんなわけ――あうっ、うあああっ」ガクガク

エリーゼ「はぁ、タクミさんのお尻、すっごく暖かいよぉ。指が溶けちゃいそうだよ。はぁはぁ、おち〇ちん、いただきまーす、んじゅるっ、じゅるるるっ、んはぁ、さっきの残り臭くてドロッてしてるぅ。じゅるるるるるっ」

ヒノカ「」

リリス『ふぬぬぬ……だめ、全然動きません』グイ―ッ

エリーゼ「んっ、んっ、……んん、はぁ、お尻の出し入れすると、ピクピクって震えて少しだけしょっぱいの出てきてるよぉ」

タクミ「え、エリーゼ王女、も、もうこれ以上は、これ以上は駄目だから。ああっ、お尻が締まらなく、なっちゃうよぉ」

エリーゼ「そんなことないよぉ、だってタクミさんのお尻、あたしの指をこんなにギュンギュン締め付けてくるんだもん。いっぱい、いーっぱい気持ちよくなりたいんだよね、タクミさん」

タクミ「あっ、エリーゼ王女。エリーゼ王女!!!」

エリーゼ「あ、タクミさんの臭い濃くなってきたよ。もう出そうなの、出そうなんだよね?お尻とおち〇ちん、一緒に弄られて気持ちよくなっちゃってるんだよね? ね?」

タクミ「う、うん、きもひいいっ。お口でお○んちんをしゃぶられて、指でお尻を攻められて、とっても気持ちいいんだよぉ」

エリーゼ「うれしい、タクミさん。あむ、ひょのまま、だしゅて、あむ、んじゅるるっ…ぷはぁっ。エリーゼのお口に、喉奥にいっぱい、いっぱいぃー」

タクミ「ふあああっ、エリーゼ王女、でるぅ、出るぅぅぅぅ!!!!」

 ドプッ ドププッ ビュルルルルッ

エリーゼ「んぶっ、んっ、んっ、はぁっ、顔にいっぱい掛かってる…。タクミさんの臭くてネバネバなザーメン、いっぱいだよぉ……」

タクミ「はぁはぁ、エリーゼ王女……こ、今度は僕がエリーゼ王女のお尻に……してもいいかな?」

エリーゼ「う、うん、いいよ。でも、初めてだから……優しくし――」

 カランッ

タクミ「ん、何か音がしたような気が――」チラッ

ヒノカ「タ、タクミ、お前は一体何をしていたんだ?」フラッフラッ

タクミ「」

ヒノカ「タクミ?」

タクミ「」

リリス『今すぐにでも死にたいって顔してますね…」

今日はここまで

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ピエリ「ふんふ~ん、嫌いな敵はえいえいえいっ、ちみどろぶしゃぶしゃえいえいえいっなの♪」

 ガサガサッ!

ピエリ「! だ、誰なの!?」チャキッ

レオン「あ、やっぱりピエリだったか。見間違えじゃなくてよかったよ」

ピエリ「あれ、レオン様なの、どうかしたの?」

レオン「君の姿が見えたからちょっとね。とりあえず持ってる棒を下げてくれないかな、当たりそうで怖い」

ピエリ「はーい」コトッ

レオン「ありがとう、何をしてるんだい? 洞窟に用事があるなら入ればいいと思うけど?」

ピエリ「ん、ピエリ、今ここを守ってる最中なの。この奥に変な生き物がいて、タクミ様がそれに襲われてるの!」

レオン「えっと、よくわからないんだけど……。タクミ王子は今ピンチなのかい?」

ピエリ「わからないの。でもリリスが、ヒノカ様が中に入ったらここは地獄になるって言ってたの。だから、ピエリはここで入り口を見張ってるのよ! リリスとヒノカ様に中の事は任せてあるのよ」

レオン「中にヒノカ王女とリリスが向かったのか。それで何か変わったことは?」

ピエリ「今さっきね、『でぃるぅ、でぃるぅぅぅぅ!!!!』って変な叫びが聞こえてから洞窟が静かになっちゃったの。多分、タクミ様の声だったと思うの」

レオン「あー、タクミ王子を襲ってる変な生き物が誰なのかわかる自分が嫌だなぁ……」

ピエリ「え、レオン様。わかるの?」

レオン「まぁ、本人たちの事は知っているつもりだから……。だけど、自分の家族ってこともあって何とも言えない気持ちだけどね……」

ピエリ「およ?」

レオン「ん、どうしたんだいピエリ」

ピエリ「誰かが中からこっちに向かってくるみたいなの」チャキッ

レオン「え?」

 タタタタタタッ
  タタタタタタッ

レオン「うーん、この聞こえ方からすると、逃げているのを追っている奴がいるみたいだ」

ピエリ「あ、見えたの!」

ヒノカ「いやあああああああっ!!! タクミが、タクミがああああぁぁぁぁ!!!!」
 
タクミ「ちょ、ちょっと待って、姉さん待って、僕の話を聞いて、お願いだから!!」ブラブラ

リリス『ちょ、タクミ様。せめて下を履いてください。今すぐ履いてください。ヒノカ様が見てしまわない様にするのにも限界があるんですから!』フワフワッ サッ ササッ

タクミ「今は誤解を解く方が先決なんだ! わかってくれる、ヒノカ姉さんならきっと今さっきの事も――」

リリス『このままじゃ親族としての信頼に地割れが起きて、無限渓谷になってしまいます!』

レオン「ピエリ、今すぐあの変質者にその棒を投げるんだ!」

ヒノカ「しくしくしく、しくしくしく……」

リリス『だから言ったじゃないですか、見たらきっと後悔しますよって』

ヒノカ「私は、私はタクミが、危険な目に、危険な目にぃ、うええええん」

レオン「ヒノカ王女、変質者はこっちで捕らえておいたから。もう安心して、ね?」

ヒノカ「レオン王子……。ぐすん」

ピエリ「あははは、ヒノカ様いっぱい泣いて子供みたいなの!」

リリス『もっと子供っぽいピエリさんには言われたくないでしょうけどね。で……』

タクミ「……」

エリーゼ「……」

リリス『まさか、エリーゼ様が縄で縛られている姿を見る日が来るとは思いませんでしたね。ビジュアル的に私たちが悪いことをしているみたいに思えてきます』

レオン「それは言わないでくれないかな。それで誰がこの騒ぎの元凶なんだい?」

タクミ「エリーゼ王女は関係ないんだ。彼女だけでも放してくれないか。これは、僕が原因で――」

エリーゼ「た、タクミさん。そんなことないよ、あたしがしたいってお願いしただけで。それにタクミさんが付き合ってくれただけなんだよ!」

レオン「……ところでリリス。この二人は洞窟の中でなにをしていたんだ?」

リリス『そうですね。万が一にもヒノカ様みたいになる可能性がありますけど、いいですか?」

レオン「……」チラッ

ヒノカ「そうだ、これは夢だ。私はまだ白夜にいて、大量の政を前に現実逃避の転寝をしているだけなんだ。早く覚めないと、あははおかしいな夢ならほっぺを摘むと痛くないはずなのに、なんだかとても痛いぞ。あはは、あはははは」ギューッ

レオン「うん、遠慮しておく」

リリス『賢明な判断、さすがはレオン様です』

レオン「タクミ王子もタクミ王子だよ。エリーゼのことを大切に思っているなら、こんなところで変な事はしないようにしてくれ。誰も見ていないって考えで、場所を選ばなかったら獣と同じだからね」

タクミ「ぐっ、返す言葉もないよ……」

エリーゼ「タクミさん。ごめんなさい、あたしが変な事おねがいしちゃったから……」

タクミ「もう、いいよ。それにエリーゼ王女がしてくれたこと、そのすごく気持ちよかったから。だ、だからそんな顔しないでくれないかな。その、エリーゼ王女にはいつも笑っててほしいから……」

エリーゼ「タクミさん……うれしい」

レオン「二人の世界に入るのは今度にしてほしいね。まったく、これで異界から戻ってこのままじゃ、正直先が思いやられるよ……」

ヒノカ「……レオン王子」

レオン「あ、ヒノカ王女。もう大丈夫?」

ヒノカ「……なぁ、私の義弟にならないか?」

レオン「……えっと、ヒノカ王女、頭でも打ったかい?」

リリス『頭もそうですが、他にも色々と痛めてしまった部分があると思いますよ、あんなものを見てしまったら』

レオン「大体、ヒノカ王女にはタクミ王子っていう弟が――」

ヒノカ「何を言っているんだ? 私に弟なんていないぞ」 

タクミ「」

レオン「お、おう……」

ヒノカ「どうだ、お前なら白夜王国の王族として相応しい人間のはずだ」

レオン「いやいや、ヒノカ王女、少し落ち着こうか? 僕は暗夜の人間だよ? そんな人間が白夜の王族の席に特に理由もなく着けるわけないでしょ?」

ヒノカ「私が何とかしよう。そうだ、お前は実は元は白夜の子で、昔暗夜に攫われたということにすればいいんだ」

レオン「それはカムイ姉さんの特権だから!」

タクミ「ヒノカ姉さん、どうしてそんなこと言うんだい!? 僕が何かしたっていうんだ!?」

ヒノカ「あんな趣味(濃厚菊座プレイ)を持っているなんて思っていなかったんだ。タクミが、こんなにも変人だったなんて知りたくなかった……」

タクミ「趣味(ロリコン)って……。レオン王子だって僕と同じ趣味なんだけど……」

ヒノカ「……ふぁっ?」

レオン「……は? 何を言ってるんだ、僕がなんでお前と同じ趣味になるんだ?」

タクミ「エリーゼ王女もそういってたよね?」

エリーゼ「うん、タクミさんとレオンおにいちゃんってやってる趣味(将棋やチェス)が似てる気がするの。もしかしたら二人が仲良しになれたのも、そういうところが似てるからかなって」

レオン「ちょっとまって、これってなんかひどい勘違いが始まってるだけだよね!?」

ヒノカ「……ははっ、あははははは……。そうかー、レオン王子もあんな趣味をモッテイタンダナー」スゥーッ

レオン「いやいや、どんな趣味か知らないけどそんなことないから! まずは話を聞いてくれ、ヒノカ王女!」

リリス『不憫すぎて、言葉に出来ませんね……」

ピエリ「そう、みんな楽しそうで、ピエリうれしいの」

リリス『ええ、見てる分には楽しいですよね……。当事者にとっては地獄に違いありませんが……」

今日はここまで

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヒノカ「そうか、私の誤解だったのか」

レオン「そうだよ、どうして僕があんな変態と同じ趣味を持たなくちゃいけないんだい?」

ヒノカ「……よかった、レオン王子は私が思っているような人物だったんだな。これからも交流を深めていけるといいな」

レオン「ヒノカ王女はそれなりに常識人だからね。ただ、時々おっちょこちょいなことをするから。例の肖像画の件、忘れるつもりはないからね」

ヒノカ「本当にあの件はすまなかった……」

レオン「はぁ、僕もマークス兄さんもそうだし、王族揃って布切れ一枚の絵画とか、この休暇が終わったら新しいものを作るよ」

ヒノカ「色々と苦労を掛けてすまないな……。はぁ、やはり私では白夜を纏めていけるとは思えない」

タクミ「そんなことない、ヒノカ姉さんは頑張ってるじゃないか」

ヒノカ「それでレオン王子、前回の話にあがった暗夜と白夜の主要交通網の件に関してなんだが、意見を聞かせてくれないか?」

レオン「ああ、あの件か。でも、今は休暇中なんだから、忘れておくのがいいとは思う。こんなところまで仕事を持ってくるのは、それこそ愚行だからね」

タクミ「なんで、あいつの言葉には答えるのに、僕の言葉には答えてくれないんだ……。もしかして、これもハイドラの仕業なんじゃ……」

リリス『ふふっ、何でもハイドラの所為ですかー。便利に使ってくれますねー』ピキピキ

ピエリ「リリス、額に筋が通ってるの」

エリーゼ「本当ー、リリスって思ったより表情豊かだよね」

リリス『褒められてる気がしない』

レオン「で、どうしてここにいるド・変態を見つけることになったわけ?」

リリス『実はですね……カクカウシカジカでして……』

レオン「なるほどね。だけど愛についてみんなの意見を聞くって、あまり意味があるとは思えないんだけど」

リリス『それは重々承知しているんですが。これも一つの人助けみたいなものでして』

レオン「それで、ここの洞窟が使用中だったから誰かいると思って、話を聞きに来たっていうことだね?」

ピエリ「そしたら洞窟の中からすごい声がしたの! それでヒノカ様、居ても立っても居られないって感じだったの。木の棒もって中に走って行っちゃったの。それで――」

ヒノカ「うわああああっ」ガクガクガク

リリス『ピエリさん、そこでストップです。思い出してヒノカさんガクガクしてます』

エリーゼ「挿入れてあげた時のタクミさんみたい……」

タクミ「え、僕あんなふうになってたのかい……」

エリーゼ「やっぱり、姉弟なんだね。タクミさんとヒノカさんは」

レオン「エリーゼ、その辺にしておくんだ。ヒノカ王女の呼吸が弱々しくなってる」

ピエリ「リリス、ピエリとヒノカ様からも意見を聞いたの。でも、出来ればお付き合いしてる人の意見も聞くべきだって。だから、使用中の場所に来て話を聞くことにしたのよ」

レオン「で、リリスはタクミ王子とエリーゼから話は聞いたのかい?」

リリス『いえ、色々と終わってから話を聞こうって思っていたんですけど、それを待たずにヒノカ様が突貫してしまいまして』

レオン「うん、わかった。このまま進むと、ヒノカ王女の心臓が止まるかもしれないから、経緯はここで終わりにしよう」

リリス『配慮助かります』

レオン「だそうだけど、エリーゼはどう思っているんだい?」

エリーゼ「ん、なんのこと?」

リリス『実は皆さんに愛とは何なのかということを聞いて回っていて、独り身の方々よりも今こうしてお付き合いをしている方の意見の方が重要なのではないかと思って、こうして足を運んできたんです』

エリーゼ「そうなんだ、でも愛だよね……。うーん、よくわかんないよ」

リリス『それじゃ、エリーゼ様はタクミ様と一緒にいるときに、その愛を感じる事っていうのはありますか?』

エリーゼ「……えっと、愛かどうかはわからないけど、タクミさんといるとね。ポカポカしてくるの」

ピエリ「ポカポカ? 何かに叩かれてるの?」

リリス『ピエリさん、これは暖かくなるとかそういう意味の発言なんですよ』

エリーゼ「そうだよー。タクミさんので顔を叩かれてるときはペチンペチンって感じだから」

レオン「え、なんだって?」

リリス『とりあえず、エリーゼさんはポカポカしてくるんですね。なんていうか、一番子供っぽい意見と言いますか、可愛らしい意見ですね』

エリーゼ「むーっ、リリスひどい! あたし、もう立派なレディなのに!」

レオン「はぁ、そういう風に声を荒げる時点で立派とは言えない気がするけどね」

エリーゼ「うー、レオンおにいちゃんまで……。あたし、いっぱい成長してるって思ってたのに……」

タクミ「……そんなことないよ。エリーゼ王女はいっぱい成長してる。僕が近くで見てるんだから、間違いないよ」

エリーゼ「タクミさん……そ、そうかな////」

タクミ「そうだよ」

レオン「……まったく、エリーゼは単純だね」

リリス『なんていうか昔のタクミ様からは想像できないような言葉ばっかり出てきますね』

レオン「そうだね」

エリーゼ「えへへ、タクミさんだーい好き」ギュウッ

タクミ「あ、ちょ、エリーゼ王女。みんなの前で恥ずかしいよ……」ムクリッ

リリス『ただ、欲望に忠実すぎるのが玉に瑕ですね』

レオン「傷だらけだからどれが瑕なのかわからないなー」

リリス『それで、タクミ様。タクミ様は愛についてどう思いますか?』

タクミ「え、それって僕も答えないといけないの?」

リリス『はい、有力なサンプルですからね』

タクミ「そ、そうだね。僕はその、愛っていうのはこうして一緒に過ごしながら変わっていくことだって思ってる」

レオン「変わっていくこと?」

タクミ「うん。昔の僕と今の僕で違うところは、エリーゼ王女と出会って変わっていった部分が大きい。いつも一緒にいてくれて、僕と一緒に歩いてくれる彼女がいる。毎日少しずつだけでも、僕にエリーゼ王女の思いが伝わっているから、僕はここまで来れたんだ」

エリーゼ「タクミさん……」

タクミ「みんながどう思うかはわからないけど、僕はそういうものだって思ってる。エリーゼ王女と一緒に過ごして、少しずつ変わっていくのが愛なんだって」

リリス『なるほど、タクミさんの意見、思ったよりもいいものだったと思います』

タクミ「そ、そうかな?」

リリス『ええ、とても。まぁ、その行き着く先が目を覆いたくなるような現実なわけですけど……』

レオン「どんな現実なんだよ、それ……」

リリス『えっと、エリーゼ様がタクミ様のお尻にライブを突き立てて、一気に――』

レオン「それ以上はだめだ!」

今日はここまで

リリス『多大な犠牲が出てしまいましたが、それなりに良い意見が手に入りました』

リリス『ですが、レオン様とヒノカ様が犠牲に……。でも、これも仕方のないことです。一人を助けるためにその何倍もの人に危険が及ぶ…、これが逃れられない悲しみの連鎖なんですね』

レオン「僕が精神的に抉られたのは、君の不注意なんだけど?」

リリス『あ、レオン様。もう起き上がって大丈夫なんですか?』

レオン「僕はまだいいよ、あれを見て」

リリス『あれ?』チラッ

ヒノカ「そうだ、ライブを突き立てるのはきっと暗夜の民間療法なんだ。ほら、なんか葱を指すといいとかそんな話があるじゃないか、あれと同じでライブを使うと健康になれるんだ。あはは、あはははは」カタカタ

レオン「ヒノカ王女、君の説明を聞いて完全にどこかに行ってしまったじゃないか!」

リリス『いや、止めたのに先に走って行ったりと、若干自業自得な部分もありますし。ぶっちゃけ、もう自然治癒に任せるしかないかと』

レオン「ぶっちゃけないで、少しはケアに励んでよ」

タクミ「ううっ、僕が何をしたっていうんだ」シクシク

エリーゼ「タクミさん、大丈夫だよ。あたしが抱きしめてあげるから、元気出してね?」ギュッ

タクミ「ううっ、エリーゼ王女ぉ~」

エリーゼ「うんうん、大丈夫大丈夫、タクミさんは何も悪くないよ?」

タクミ「……もっとハグハグして」

エリーゼ「いいよぉ、ハグハグ~」

タクミ「はー、いい、すごくいい」

レオン「まったく、エリーゼもエリーゼだ。少しは物事を考えて行うようにしてくれないと……」

エリーゼ「うん、ごめんなさい」

レオン「それにタクミ王子も、少しはその自分の特殊な趣味は隠すようにしてほしい。二人の仲がいい事に文句はないけど、やっぱり受け手の気持ちを考えてほしい」

リリス『そうですね、嫌な気持ちになる人もいるのは確かですから』

エリーゼ「ねぇ、タクミさん、されるのいやだった?」

タクミ「最初は少し抵抗があったんだけど……。実際やってみると、そのとっても気持ちよかったっていうか……」

エリーゼ「レオンおにいちゃん、タクミさん、気持ちよかったって!」

レオン「僕たち、第三者の事を言ってるんだよ!」

リリス『いやー、レオン様がいると代わりにツッコミを入れてくれるから助かります』

レオン「まったく、尻に棒を入れるなんて正気の沙汰じゃない。普通なら入れたりしないよ?」

タクミ「え、でもエリーゼ王女は……」

レオン「ごめん、それ以上何も言わないでくれないかな。家族として、本当に知りたくないことを知ることになりそうだから」

レオン「ともかく、今度は場所をきちんと選ぶようにして、さすがにタクミ王子だって誰かに見られたいわけじゃないだろ?」

タクミ「わ、わかったよ。今度から気を付ける」

エリーゼ「レオンおにいちゃん、ごめんなさい」

レオン「まったく、エリーゼがタクミ王子の御願いを叶えたい気持ちはわからなくもないけど、いくら何でもライブを使うなんて願いを叶える必要はないと思うよ」

リリス『そうですね。ライブは回復の杖なのに、それを挿入しては回復どころではありません』

レオン「そうだね。うん、リリス。もう、それ以上はやめてくれないかな、主に僕の心が砕けてしまいそうだし、ヒノカ王女の様子がとてもおかしくなってる」

ピエリ「リリス、ヒノカ様がぐったりし始めちゃったの! なんか息がか細くなってるのよ」

リリス『とりあえず、背中をさすってあげてください』

タクミ「えっと、レオン王子……ちょっといいかな?」

レオン「なんだい、タクミ王子。ライブのすばらしさを語りたいなら、地獄で語っててもらうことになるけど?」

タクミ「いや、そうじゃなくて……。そのライブの事なんだけどさ」

レオン「うん?」

タクミ「あれ、エリーゼ王女が使いたいって言ってきたことなんだよね……」

レオン「……」

リリス『……』

レオン&リリス『……は?』

レオン「えっと、どういう事かな? あれってタクミ王子の変態趣味の産物なんじゃなかったの?」

リリス『あのエリーゼさん、タクミ様の言っている事なんですけど。本当なんですか?』

エリーゼ「……えっとね、実は――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―数日前の暗夜王国―

エリーゼ「南国の異界。みんなで行くの楽しみだよー」

サクラ「あ、エリーゼさん。異界の下見はどうでしたか?」

エリーゼ「うん、すごくよかったよー。いっぱい遊べる場所があったし、タクミさんと一緒に行きたい場所もいっぱい見られたから!」

サクラ「そうなんですね。ところで、エリーゼさん」

エリーゼ「ん、なにサクラ?」

サクラ「タクミ兄様のお尻に興味はありませんか?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リリス『ちょ、ストップストップストップですよ!』

エリーゼ「え、どうして?」

リリス『すみません、いきなり回想が始まったこともそうですけど、脈略もなくお尻に興味はありませんかって、そこで話を切り上げるべきじゃないんですか?』

エリーゼ「そうかな? でもね、あたし興味があったから」

リリス『あったんですか……』

レオン「……聞きたくはないんだけど、どうして興味があったわけ?」

エリーゼ「えっとね、タクミさん、あたしのお尻でいつも気持ちいいって言ってくれて、それにあたしも気持ちいいから。タクミさんもお尻で気持ちよくなれるのかなって思って……」

リリス『ア〇ルの虜になっていたんですね』

レオン「リリス、言わないでくれ……。たのむから……」

リリス『で、話はどんなふうに落ち着いたんですか?』

エリーゼ「えっとね、タクミさんに気持ちよくなってもらいたいって思ったの。でも、あたしにはお〇んちんが無いから。そこでサクラが代りに道具を使って気持ちいい事をしてあげるのはどうでしょうって話になったの」

リリス『おかしいですね。お〇んちんが無いことに悩む女性なんて、世界広しと言えど一人だけだと思っていたんですが』

レオン「で?」

エリーゼ「それでね。最初は春祭りがいいかなって思ったんだ。真っ直ぐだし、挿入れやすそうだなって思ったの!」

リリス『どうして祈祷とか治療とか、神聖な行為を行う棒を選びたがるんですか? 春祭りとライブの気持ちになってくださいよ』

エリーゼ「え、だって、ライブとかってその、する時のお供だったから……。今日タクミさんに使ってあげたのも、あたしのお気に入りなの///」

レオン「」

ピエリ「レオン様が固まっちゃったの」

リリス『肉親の性事情暴露大会に耐え切れなくなったみたいですね』

タクミ「エリーゼ王女……。今度、それを使ってるところ直に見せてもらいたい、かな?」

エリーゼ「た、タクミさん。それは恥ずかしいよぉ……」

リリス『恥じらう部分が違う気がするなぁ』

リリス『それで、どうしてライブに?』

エリーゼ「えっとね、サクラが文化交流を兼ねて互いの文化的象徴を相手にいれるのがいいと思うんです。って言ったの。すごいよね、サクラ。こんなところでも白夜と暗夜の事を考えてたんだよ」

レオン「それは異物混入であって、文化交流じゃないよ!」

リリス『レオン様、落ち着いて。確かに異物混入と文化交流は似ていますけど』

ヒノカ「なぁ、エリーゼ王女。もうそこまでにしてくれないか、このままじゃ、私は家族を誰も信じられなくなってしまう……」フルフル

リリス『ヒノカさん、もう耳を塞いで倒れていてください。ケアとかしている暇がありません』

レオン「……? ねぇエリーゼ、サクラハ文化的対象を相手にいれるって言ってたんだよね?」

エリーゼ「うん」

レオン「サクラ王女、そのほかに何か言ってなかった?」

エリーゼ「えっとね、私も今度は頑張るって言ってた。マークスおにいちゃんに文化交流してもらうんだって!」

レオン「……」

リリス『……』

ヒノカ「……」

三人『マークス(兄さん、様、王子)の危険が危ない!?』

レオン「リリス、二人以上が利用してる場所って何処なんだい?」

リリス『えっと、北にある小さな小屋と南にある小さな浜辺でしたね。今はどうなっているかわかりませんけど』

レオン「どっちだ、どっちに兄さんとサクラ王女はいるんだ……。どうにかして探し出して――」

「文化交流を止めさせないと!」

今日はここまで
 
 ライブと春祭りで行う、暗夜と白夜の文化交流、始まります。


 次にリリス達が向かう場所を決めたいと思います、参加していただけると幸いです。

◆◇◆◇◆◇
 この後向かうことになる場所
 ・北の小屋
 ・南の浜辺

 
 >>526 

 すみませんが、よろしくお願いいたします。

北へ。

◆◇◆◇◆◇
―南国の異界・北側―

レオン「……ここがその小屋?」

リリス『はい、ここがその誰かが利用している小屋ですね』

ピエリ「とってもきれいなの。小屋っていうより、小さなお家なのよ」

ヒノカ「そうだな。……それで中に誰かいるのか?」

レオン「誰かいるのは間違いないよ。ほら、そこの看板、宿舎の場所の奴と同じだ」

ヒノカ「……使用中になっているな。む、浜辺もまだ使用中みたいだが」

リリス『ですが、これであの小屋の中に誰かがいるのは明白です。ですが、このまま乗り込むのは難しいです……。なにせ、突入した瞬間にマークス様の御開帳を見る羽目になるかもしれませんから』

レオン「止めてくれ、想像しちゃうから」

ピエリ「マークス様の御開帳って何なの?」

リリス『大きく開くことですよ』

ピエリ「何を開くの?」

リリス『言いたくはありませんけど、マークス様のですね、ア――』

レオン「リリス、少しの問答は控えて。僕はね、出来ればさっきまでのヒノカ王女みたいになりたくないんだ」

ヒノカ「レオン王子、私の仲間になってくれてもいいぞ。むしろなってくれるか?」

レオン「うん、丁重にお断りさせてもらうよ」

リリス『そういえば、どうして北の小屋を選んだんです?』

レオン「さすがに浜辺でそんなことしないでしょ。サクラ王女もマークス兄さんも、国を背負ってるんだ。そんな多くの人がドン引きするようなこと、人目の着く場所でするわけないよ」

リリス『はぁ……。例の浜辺で青姦に励んでいたお二人のことは言わない方がいいですね』

レオン「」

リリス『……言わない方がよかったですね』

レオン「僕、このバカンスが終わるのが怖くなってきたよ。バカンスが終わった時には、兄さんやエリーゼに対する接し方が変わってしまう気がして……」ガクッ

リリス『私もここ数ヶ月でカムイ様やアクア様との接し方がかなり変わりましたから、心中お察しします』

レオン「兄さんは、もっとまじめな人だったのに……。あの扉を開けたらすべてが終わってしまうような気がする…」

リリス『いや、まだ間に合うかもしれません。あれを見てください』

レオン「何を見ろっていうんだい? サクラ王女に春祭りで開拓されてる兄さんの姿をその目に焼き付けろって言いたいの?」

リリス『いいえ、よく見てください。あの小屋の外観、多くの窓が開かれています。なのに獣みたいな声が聞こえてきません』

レオン「もう事が終わったから、換気してる最中なんだよ、きっと。ほら、サクラ王女もマークス兄さんも綺麗好きだと思うから」

リリス『ともかくです、敵が事を起こしていない可能性のある今がチャンスです。もしかしたら、寸でのところで思いとどまらせることが出来るかもしれないんですよ?』

レオン「リリス……」

リリス『まぁ、すでにセッティングが完了しているなら、かなりやばいものを見ることになりますね』

レオン「士気を挫くことにかけて今の君は天才的だよ」

リリス『でしたら、ここで待ちますか? タクミ様の一件もありますからおすすめはしませんよ』

レオン「進められても聞きたくないから。くそっ、どうしてこんな役回りばっかりなんだ」

リリス『そういう星の下にいるのだと諦めてください』

レオン「星竜の君が言うと、無駄に説得力があるから勘弁して」

ピエリ「……あ、いま窓に人影が見えたの!」

ヒノカ「なに!?」

レオン「ピエリ、それは誰だった!?」

ピエリ「わからないの。でも、多分男の人だったと思うの」

リリス『下準備を終えたという事でしょうか。しかし、窓を閉める気配はありませんね。包み隠さずにいたいというマークス様の心の表れでしょうか』

レオン「隠す場所だよ! そういう暗夜の暗部みたいなのは隠すところだから! リリス、今すぐあの扉を行き破って来るんだ!」

リリス『え、なんで私なんですか?』

レオン「いいから」

リリス『いいからって、私にだって見たくないものの一つや二つあるんですけど?』

レオン「僕にとって、それは見たら一生のトラウマだよ」

リリス『はぁ……、これでその光景を見ることになったら、その光景をねっとりレオン様の枕もとで囁いてあげますからね』

レオン「無音の魔術を使っておくから、好きなだけしゃべるといいよ」

リリス『ううっ、レオン様がこんなに薄情な人だったなんて……』フワフワッ

リリス『……そ、それじゃ行きますよ』フワフワ

レオン「」コクリッ

ヒノカ「」コクリッ

ピエリ「なんでピエリ、耳を抑えられてるの? 声がよく聞こえないの」

ヒノカ「ピエリ、私も出来れば耳を塞いでいたい。でも、もう私の耳の中にはあの獣の声が……反復して……。でも、まだ理解していないお前だけは、お前だけでも助けられるなら……私はこの身を薪にしてでも……」

ピエリ「?」

リリス『そ、そのレオン様。この先にマークス様の御開帳が無いことを祈りながらドアを開けるって、今後することない体験ですよ。今が変われる最後のチャンスです!』

レオン「いらない」

リリス『そうだ、一緒に開けて見ればダメージが半分になりますよ。ほら、見る人が増えれば損害もきっと――』

???「あら、人を見て損害とかダメージとか、失礼なことを言ってくれるじゃない?」

 ガチャンッ

リリス『え?』

ヒノカ「カ、カミラ王女、あなたがなぜここに?」

カミラ「あら、私がここにいるのがそんなに不思議な事かしら?」

レオン「ど、どういうことだい? ここにはマークス兄さんとサクラ王女がいるんじゃ……」

カミラ「あら、マークスお兄様に用事だったのかしら。残念だけど、ここにはいないわよ」

リリス『では、カミラ様は一体だれとここに――』

???「む、騒がしいと思ったが。こんなに大勢でどうした?」

ヒノカ「え、リョウマ兄様!?」

リョウマ「む、ヒノカか。どうした、何というか一度死んだような顔をしているが?」

ヒノカ「……何でもないんだ。本当に何でもないんだ、だからそれ以上聞かないでくれ。そこにいる筒抜けの竜が全てを話してしまう」

リョウマ「ふむ、わかった。これ以上はやめておこう。それにしても、俺とカミラ王女の話しに混ざりに来たのか?」

リリス『話ですか?』

カミラ「ええ、少し前からここでずっと『カムイの素敵なトコロはどこ?』っていう話で盛り上がっていたのよ。ベルカは途中で飽きちゃって、出て行ってしまったけど」

リリス『さすがに一臣下の身には、お二人の談義は荷が重すぎるでしょう。どうしましたレオン様?』

レオン「……じゃあ、マークス兄さんとサクラ王女は、南の浜辺に!!!」ダッ

リリス『……レオン様、いけません』フワフワ

レオン「リリス、そこを退いてくれ。僕は、僕は!!!」

リリス『もう間に合いません。私たちは間違えてしまったんです。私も迂闊でした、さっきまで浜辺で楽しんでいたんだから浜辺を選ばない、そう思ってしまったんです。もう、二人の文化交流は……止められないんです』

レオン「ううっ、兄さん……。兄さん……」ポロポロッ

ヒノカ「レオン王子……」

ピエリ「レオン様、具合悪いの? 背中をピエリがなでなでしてあげるの」ナデナデ

リリス『……南の浜辺、今日はあんまり近づきたくないですね。本当に……』

カミラ「南の浜辺ね……。今日は行くこともないけど、何が起きているのかしら?」

リョウマ「さあな……」

リョウマ(そういえば、ベルカは確か南の方に気分転換に行くと言っていた気がするが……)

リョウマ「まぁ、大丈夫だろう」

今日はここまで

 容赦ないとばっちりが、ベルカを襲う!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―南国の異界・南の浜辺周辺―

ベルカ「……気分転換に歩くのも悪くないわね」

 ――! ――!

ベルカ(ん、この先の浜辺に誰かいるみたい…。いったい誰が――)チラッ

サクラ「んんっ、んひっ、だ、駄目ですぅ。マークスさぁん」

マークス「何がダメなんだ、サクラ王女?」グリグリ トントンッ

サクラ「そ、それを宛がうのを止めてくださいぃ。やっ、お尻の穴、そんなトントンしちゃだめです、マークスさん」

ベルカ「」

マークス「ふっ、日焼け止めのオイルを塗るというからどんなものかと思えば、このようなものを準備していたとはな。ふっ、残念だが背後で蠢く企みには少々鼻が利く性質だ。少し準備が不足していたな、サクラ」グポグポ

サクラ「ふああっ、やっ、指……んんっ!!! 広げないでください、は、はずかしいです/////」

マークス「私にこれを入れようとしていたのに何を言うかと思えば。反省していない罰としてこちらを開拓させてもらうとしよう」ズブブッ

サクラ「んんっ、はうぅぅ////」

マークス「ふむ、良い締まりだ。こんなにも私の指を締め付けてくる……。それに淵回りがとてもキュートだぞ」グチグチ

サクラ「あっ、だめ、お尻の入り口、撫でまわさないで、んっ、くうぅぅ」ピクピク

マークス「こんな公衆の面前に見られそうな場所で、局部を晒して尻を弄られて感じているとは、やはりサクラはスキモノということだな」

サクラ「お、お尻を弄られて感じてるわけじゃ、ひゃううううぅっぅぅぅ!」

マークス「ふっ、こんなにお尻を震わせ、恥部からはしたなく涎を垂らしていてはな」

サクラ「こ、これは違うんです。これはぁ……ひゃっだめ、だめ、お尻、なんで、こんなにぃ、ふあああああっ」ビクンビクンッ

サクラ(や、私、お尻でしたことなんてないのに。どうして、こんな……。きもちいいんですかぁ)

マークス「んじゅるる、はぁ。これだけ湿らせておけば入るだろう。さぁ、私にもっと尻で善がる姿を見せてくれ」ピトッ

サクラ「や、らめ、いまわらめです。マークスさ――」

マークス「……ゆっくりと入れてやるからな」ヌプ、ヌププッ

サクラ「―っ! はああっ。んっ、んんんーーーっ!!!」

サクラ(入ってる。お尻の中に、あんな太いの挿入って……)

マークス「ふっ、指の次にこんなものを取り込むとはな。どうだ、サクラ、中でお前がいつも使っている杖が動いているのを感じているか?」ヌププッ ズリュリュ

サクラ「やっ、んっ、だめ、ふああっ、きちゃう、またキちゃいます!!」

マークス「オーガズムを持続できるほどにこちらが好きなのか。ふっ、サクラはこちらの方が弱点だったとはな。良い発見が出来たぞ。さぁ、もう一度はしたなくイってしまうといい」

サクラ「やっ、んやっ、はぁはぁ。声、とめられない、あっあぁんっ!」

サクラ(こ、こんなのだめ。お尻の中で何かが動いてるのに、こんなに気持ちよくなってる。こんなの誰が見ても変態です。そんな姿をマークスさんにいっぱい見られちゃってる。私のアソコ、あんなにテラテラしてお尻でいっぱいベチャベチャに――。だめ、感じちゃ、感じちゃダメなのに!!!)

サクラ「あっ、あっ、んっ、ふあっ、あああっ。マークスさん、だめ、でちゃううううっ!!!!あああっんんんんーーー!!!」ビクンビクンッ

 チョロ チョロロロロロロッ

サクラ「や、だめ、おしっこ、とまって、とまってよぉ/////」ビチャチャ

サクラ(自分のおしっこいっぱい掛かっちゃってる…。お尻をいっぱい穿られて、おもらしまでしてしまいました……)

マークス「おもらしまでするとは。粗相を働くいやらしいココを私のジークフリード躾けてやらなければ」クチュリッ

サクラ「ら、らめです。そんな、お尻に挿入れてるのに、今は――ふああああんっ!!!!」

マークス「はぁはぁ、おしっこに塗れたサクラのヴァギナ、ヌルヌルしていてそれでいて暖かい。すぐに出てしまいそうだ!」パンパンパンッ

サクラ「そ、そんなこと言わなでください、マークスさ、あっ、あんっ。んっ、ああ、おま〇こもお尻も奥まで、あっ、そんなに激しくしちゃ、だめ、だめえええぇ」

マークス「こんなにも欲張りなアナルを見て、興奮するなというのが無理な話というものだ! ああ、サクラ!!!」ビュルルルルルッ

サクラ「んんんっ! 熱い、熱いマークスさんのザーメン、私の中に出て、ふああっ、だめ、また出ちゃうぅぅ」チョロロロロッ
 
 ビチャチャチャチャッ

サクラ(ああ、私お尻で感じちゃう変態さんなんだ。だって、こんなにお尻をもっと苛めてほしいって思っちゃってる……。冷たい棒じゃなくて、マークスさんのおち〇ぽで苛めてほしい……。私のお尻でいっぱい気持ちよくなって、いっぱいいっぱいザーメンを注いでほしいって……)

サクラ(お尻にほしいよぉ)ドキドキ

 ヌポンッ

サクラ「はぁはぁ……。んんっ、はぁはぁ……」クテンッ

マークス「こんなにアナルをクパクパとさせて、まだもの足りない様だな?」

サクラ「ま、まーくすさん……」

マークス「サクラ、これからどうしてほしい?」

サクラ「……ください」

マークス「聞こえないな?」

サクラ「お、お尻に、お尻にマークスさんのおち〇ぽ入れてください。いっぱい、もっといっぱいお尻で感じたいんです!」

マークス「わかった、それでは望みどおりにしてやろう。……ふんっ!」ズボッ

サクラ「ひゃあああっ、ああっ、いいですぅ、大きいの入ってます。熱くて逞しいマークスさんのおち〇ぽが入って、いっぱい中をゴリゴリされて気持ちイイですぅ」アヘェ

マークス「そうか、ではもっともっといやらしくしてやろう」ヌププッ ヌブッ!

サクラ「ああ、マークスさかぁん。いっぱい、いっぱい押し広げられて気持ちイイよぉ」グチュグチュ

サクラ(マークスさんに文化交流するのは失敗しちゃったけど……これでいいよね?)

サクラ「ああっ、マークスさん、来て、来てください。私のお尻にいっぱい受精させてください」

マークス「サクラ、ううっ!!!!」ビュルルルルルッ ビュルルッ

サクラ「んひいいいっ、お尻、いっぱい出されて、はぁはぁ、んああああっ!!!!!」ビクンビクンッ

サクラ(だってこんなに幸せなんだもん……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ベルカ「」

ベルカ「……」

ベルカ「………」

「うん、西に行こう……」フラフラ

今日はここまで

 ベルカは西に舵を取った!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―南国の異界・北の小屋―

カミラ「そう、愛について……。とっても素敵なことを調べているみたいね」

ピエリ「素敵な事なの?」

カミラ「そうよ、誰かを愛さることはとても素敵なこと。ピエリもいつか誰かの事を愛せるようになるとわかるようになるわ」

ピエリ「んー?」

リリス『カミラ様、ピエリさんにはまだ早いことだと私は思うんです』

カミラ「ふふっ、リリスはピエリのお母さんみたいなことを言うのね」

ピエリ「リリスはピエリのお母さんじゃないのよ。カミラ様、おかしなこと言っちゃダメなの!」

リリス『そうですよ。ピエリさんにもちゃんとお母様がいるんですから』

ピエリ「そうなの。ピエリと同じくらいお胸が大きかったから、リリスは絶対にお母さんじゃないの!」

リリス『違う。その決め方は違う』

カミラ「胸の大きさね、例えば私はどうかしら?」

ピエリ「カミラ様は……お母さんなの!」

カミラ「ふふっ」

リョウマ「なるほど、貧乳は母に非ずということだな」

リリス『リョウマ様、頭をガブッてしてもいいですか?』

リョウマ「しかし、どうして愛について調べているのか、よくわからないところだ。もしかして、リリスは結婚を望んでいるということか?」

リリス『いいえ、全然。結婚の予定もありませんし、誰かを好きになる予定もありません』

リョウマ「心の声が筒抜けである以上、本当に浮いた話は無いという事か。では、何ゆえそのようなことを――」

カミラ「リョウマ王子、そういうことを探るのは良くないわ。女の子は、誰でも愛について深く考えちゃうときがあるの」

リョウマ「……ということはヒノカも愛について考えたりするということか?」

ヒノカ「な、なんで私に話を振るんだ!?/////」

リョウマ「四六時中、槍の振り方や天馬の兵法ばかりを考えているのではないかと少し心配でな。で、実際どうなんだ?」

ヒノカ「い、言えるわけないだろう! さっきリリスに言うだけでも恥ずかしかったんだ。もう一度なんて口が裂けても言えないし、言うつもりもないぞ!」

カミラ「そう……。ところで、リリス、ちょっと――」

リリス『なんですか、カミラ様?』

カミラ「ねぇ、ヒノカ王女は愛についてどんな回答をしたのか、教えてちょうだい」

リリス『えっと、手を繋いで互いに見つめ合いながら――カクカクシカジカ』

ヒノカ「」

カミラ「ふふっ、情景が思い浮かぶくらいに良いものね」

リョウマ「なるほどな、日々の中で育むものということか」

 ドタリッ

ヒノカ「コロシテ……コロシテヨォ……」

リリス『出来れば、お付き合いをしているマークス様とサクラ様にご意見を伺いたかったんですけど……』

リョウマ「なるほど、そういう事だったか。なら今からでも遅くない、南に赴いて二人に意見を聞いてみるのはどうだ?」

リリス『いえ、今お二人に遭遇すると精神崩壊を迎えてしまう人がいるので、後日改めてお伺いしようと思います』

リョウマ「そうか? それでその愛についての意見というのは、集まったのか?」

リリス『そうですね。十分だとは思いますが、もう少しあるといいなって思います』

ピエリ「あ、そうなの! だったらカミラ様とリョウマ様に答えてもらうのがいいの!」

リョウマ「お、俺もか?」

カミラ「あら、面白そうね。リョウマ王子はどんな愛を考えているの、興味があるわ」

リョウマ「うーむ、愛、愛か……うーむ」

リリス『難しく考えなくても結構ですよ。リョウマ様が愛だなと感じることを言ってもらえれば……』

リョウマ「…愛……愛……」

ピエリ「はやく、早くするのぉ」

リョウマ「……ピエリ、俺を兄だと仮定して、もう一度言ってみてくれないか」

ピエリ「おにいちゃん、早くしてほしいのぉ」

リョウマ「……ふぅ」

リリス『ふぅ、じゃないです』

リョウマ「……共にいられることもそうだが、やはり互いに愛していると思えることが愛だと俺は思う」

リリス『互いにですか?』

リョウマ「ああ、ヒノカの言った愛に近いかもしれないが、俺は一方だけの愛だけでは本当の愛だとは言えない。そう考えている。片方がどれほど心中でそのものを思っていたとしても、相手が意識していないのあれば、それは育まれることもないものだ」

ピエリ「んー、よくわからないの」

リョウマ「例えばピエリが誰かを愛していたとする」

ピエリ「……うん」

リョウマ「しかし、その誰かはピエリの事を愛していないとなれば、その思いが結びつくこともないということだ」

ピエリ「ピエリ、その人に嫌われちゃったの?」

リョウマ「嫌っているわけではないさ。ただ、互いに愛を共有していく間柄になることは出来ないというだけの事さ。ピエリにはまだわからない話ではあると思うがな。長くなってしまって済まない、これが俺の考えている愛というものだ」

リリス『なるほど、共有してこそ愛というわけですね』

リョウマ「ああ。もっとも俺は共有することは叶わなかったがな……」

リリス『その返しは雰囲気が重くなるのでやめてください』

今日はここまで

 

ピエリ「ねぇ、愛って共有できるものなの?」

カミラ「ふふっ、共有できるものかもしれないわね。少なくともリョウマ王子はそう思っているという事よ」

ピエリ「そうなの? ねぇねぇ、リョウマ様」

リョウマ「なんだ、ピエリ?」

ピエリ「リョウマ様の共有する愛って何なの?」

リリス『ピエリさん、それはですね。互いを心の底から愛しているという相互理解の――』

リョウマ「やはり、鞘と刀のような関係だろうな」

ヒノカ「なるほど、守られる者と守る者のような関係ということか。流石はリョウマ兄様だ」

カミラ「そうね、守り守られる関係は愛が無いと成立しないものだから」

レオン「え、これって文面通りの意味に取るところ?」

リリス『レオン様、今は文面通りに取っておきましょう』

リリス『それで、カミラ様は愛についてどうお考えなんですか?』

カミラ「あら、私にも聞くのね?」

リリス『はい。そもそも、ここまであまりいい回答が無いので……』

カミラ「そう、ヒノカ王女の回答なんて理想的な物だと思うわ。私はとても気に入っているもの」

ヒノカ「カ、カミラ王女。止めてくれ、恥ずかしくて死にたくなる……」

ピエリ「ヒノカ様の顔、髪と同じくらい真っ赤かになってる。えへへ、とってもおかしいの」

ヒノカ「ううっ……」

リリス『確かにヒノカ様の愛についての考えはとても素晴らしいものです。でも、その後が色々と言葉と行動がかみ合っていないと言いますか……』

カミラ「そう、中々リリスのお眼鏡には適わない答えばっかりっていう事ね?」

リリス『そ、そんなことは……』

カミラ「ふふっ、少なくともあなたの主観で選別しているんだから、あなたの価値観に会っていないのは事実でしょ?」

リリス『……そう、ですね。ごめんなさい』

カミラ「ふふっ、愛の形は人それぞれ。尖っているのもあれば丸まってるのだってあるの。今リリスは人が思う愛を探っているのだから、噛みあっていないなんて言い方はしちゃダメ。きちんとお願いしてくれるなら、話してあげるわ」

リリス『はぁ、カミラ様には敵いませんね。では、改めてカミラ様から愛について意見を聞きたいんですけど、よろしいですか?』

カミラ「ふふっ、良く出来ました」ナデナデ

カミラ「それで愛についてね。ふふっ、まだ結婚もしてない私の意見だから鵜呑みにはしないでね?」

リリス『はい、それはもちろん。それで、カミラ様はどういったことを愛だと思ったり、感じたりしますか?』

カミラ「そうね……。ふふっ、その誰かが幸せになるように尽くしてあげること、それが愛だと私は考えてる」

リリス『尽くしてあげること、ですか?』

カミラ「ええ、臣下が主のために尽くすことと、主が臣下のために最善を尽くすみたいに。幸せという大きな目標に向かって、尽くしてあげることが愛なのかもしれないわ」

ピエリ「カミラ様の愛ってピエリしてるの。ピエリ、戦争中はマークス様にいっぱい尽くしてきたの!」

レオン「ピエリ、それはマークス兄さんとサクラ王女の前では言わないようにしてね。要らない誤解ってふとした言葉から生まれるからさ」

リリス『尽くしてあげることですか』

カミラ「ええ、その子が幸せになれるのなら、おねえちゃんはなんだってしてあげるの。言い方を変えるとね、私がその子を幸せにするために尽くすと言えばいいわね」

リリス『まさに良妻って感じですね。というか、カミラ様は見た目も相まって色々と良妻賢母と言いますか……』

リョウマ「ああ、カミラ王女の夫となれる者はとてつもないほどの幸せ者なのだろう」

カミラ「大袈裟よ。でも、その人の事は世界で一番の幸せにしてあげたいわ」ニコッ

リリス『ううっ、まぶしい……』

リリス『ふぅ、やっぱりカミラ様ですね。慈愛に溢れているというのは絵に描いた餅ではないというのがわかりました』

カミラ「ふふっ、私の答えはあなたのお眼鏡に適ったみたいでよかったわ」

リリス『うう、そう言わないでください。先ほどの言葉、結構ダメージあったんですよ?』

カミラ「ふふっ、ごめんなさいね」

リリス『もう……。しかし、これだけデータが集まれば大丈夫でしょう。色々とご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした』

カミラ「気にしないで。色々とみんなの愛についての価値観が知れて有意義な時間だったわ。リョウマ王子もそう思うでしょ?」

リョウマ「ああ。特にヒノカも愛について興味を持ってくれていたこと、俺はうれしく思う」

ヒノカ「だから、その話をぶり返さないでくれ……」

レオン「はぁ、愛なんかよりも色々なことが重なって頭が痛いよ。特にエリーゼとタクミ王子の事とか……」

ヒノカ「止めてくれ、レオン王子。その名前は、私の心を抉る刃のように鋭い……」

レオン「あ、ごめん」

ピエリ「そういえば、マークス様とサクラ様から聞かなくてもいいの? 南の浜辺に行けばいるんでしょ?」

リリス『……気が向いたらお聞きします。ええ、気が向くことなんて今日は無いでしょうけど』

ピエリ「そうなの?」

リリス『そうなの!』

カミラ「ふふっ、一息ついたみたいね。それじゃ、ここで少しだけゆっくりしていって、もう夜が近づいているみたいだから」

レオン「あ、本当だ。陽が落ち始めてる。暗夜ではあまり見ることが出来ない光景だね」

リョウマ「ああ、少しばかりの気分転換にと思ってきたが。思った以上の効果を得られる旅になりそうだ」

カミラ「ええ。とってもいいものになるといいわね」

リリス『まぁ、色々と問題があるメンバー構成ではありますけどね』

カミラ「ふふっ、それも旅の醍醐味でしょう? それに雨が降った後の地面が固くなるみたいに、この旅で固まるものもあるはずよ」

リリス『もう、カミラ様は天使か何かなんですか? 私はそう楽観的に構える余裕もありません』

カミラ「ふふっ、リリスは苦労人ね。いいえ、苦労竜かしら?」

リリス『こんな形での苦労はしたくありません。出来れば皆さんの戦いのサポートだけに専念していたかったくらいですから』

カミラ「あらあら、戦いが終わった後は隠居するみたいな言い方ね」

リリス『まぁ、そのつもりでしたから……』

カミラ「ふふっ、予定が狂っちゃったみたいね。でも、ならその予定になるまではゆっくりとしていきなさい、それが今できることならね?」

リリス『カミラさ、それもそうですね。出来れば明日はゆっくりと――あわわわ』ガシッ

カミラ「あら?」

リリス『ちょ、誰ですか。いきなり持ち上げないでください、ってピエリさん!?』

ピエリ「リリス、ペタンってしてる場合じゃないの! 外に出て綺麗な夕陽を一緒に見るの!」タタタッ

リリス『ピエリさんダメ、そんな風に持ち上げたら、あれが、あれが――』

『隠せないからやめて――――!!!!』

今日はここまで

 リリスのあれ

◆◇◆◇◆◇
―異界の南国・宿泊施設『ロビー』―

ニュクス「ふぅ、どうにか魔符の確認は終わったわ。少し堪能するのに時間が掛かったけど、これは大人の時間の楽しみ方。背に腹は代えられないと白夜では言うように、時間と幸福は等価交換というのを改めて実感したわ」

アクア「時間と幸福が等価交換ね、私はそうは思わないけど?」

ニュクス「あら、アクア、あなたもここにずっといたの? てっきり、外に出ていると思っていたのだけど」

アクア「ちょっと気分ではなかったから……。それに外に出ても面白いことがあるかどうかはわからないでしょ?」

ニュクス「それもそうね。外に出て行った他のみんなもそろそろ戻ってくるはずだけど、お土産話に期待しておきましょう」

アクア「そうね……。リリスはうまくやってくれているかしら?」ボソッ

ニュクス「? あら、噂をすれば……」

ピエリ「えへへー、ただいまなの! あ、アクア様とニュクスなの!」

ニュクス「こんなに暗くになるまで歩いているなんて、ピエリは悪い子ね」

ピエリ「ぶー、ピエリもう立派な大人なの! 心配される子供じゃないのよ」

ニュクス「ふふっ、ごめんなさいね」

リリス『はぁ、なんだかんだ北側からここに来るまで結構な距離がありますね。浮遊しているとはいえ、なんだかんだ疲れました』

ヒノカ「ああ、疲れたな」ゲッソリ

ニュクス「?」

アクア「あら、他のみんなは?」

リリス『はい、リョウマ様とカミラ様はベルカさんを探してから戻って来るそうです。他の方々はわかりませんが、少しすれば戻ってくると思いますよ』

アクア「そう、ところでリリス、夕食の事なんだけど」

リリス『はい、カムイ様に夕食の準備が出来たらお伝えしておきますね』

アクア「そう、ありがとう」

アクア(どうやら、きちんと情報は集めてくれたみたいね……。もしも、あまり多く手に入らなかったら、夕食の事を私からカムイに伝える様に返すことになっていたから)

アクア「それじゃ、夕食の時間に会いましょう。失礼するわね」

リリス『はい、またその時間に』

ピエリ「リリス、戻って来たばっかりなのにカムイ様を呼びに行ったり大変なの。アクア様は呼びに行かないの?」

リリス『いいんですよ。それに私はカムイ様にお仕えしていたんですから、主のために出来ることはしたいですし、そのアクアさんにすべてお任せするのは、なんだか少し悔しいじゃないですか』

ニュクス「リリス……」

リリス『……』

ニュクス「アクアと仲良くしておきながら、実は主の隣を虎視眈々と狙っている。あなた、中々やるじゃない」

リリス『どうしてストレートに受け止めてくれないかなぁ……』

 タッ タッ タッ

リリス「ん?」

リョウマ「む、リリス達の方が先に着いていたか。もしかしたら、俺たちの方が早く着けるかもしれないと思ったが、やはりそうもいかないな」

カミラ「さすがにベルカと合流してからだと、真っ直ぐに帰ったリリス達には敵わないわね」

ベルカ「……」

リリス『あ、リョウマ様にカミラ様、お帰りさないませ』

ピエリ「えへへー、ピエリたちのほうが先にゴールしてたのよ」

リョウマ「ああ、どうやら俺たちの負けのようだな。しかし、ベルカはどうして浜辺に腰を下ろし、じっとしていたんだ?」

ベルカ「別に……。特に何もすることが無かっただけ……。あと、気分転換をしたかった……」

カミラ「ふふっ、ベルカらしいわね。さぁ、ベルカ、一度シャワーを浴びに行きましょう。海水はきちんと洗い流さないと肌も髪も痛めちゃうから」

リョウマ「そうなのか?」

カミラ「ええ、そうなのよ。それじゃリョウマ王子、また夕食の席で会いましょう」

リョウマ「ああ、ベルカも」

ベルカ「ええ、リョウマ様……」

 タッタッタッ

リリス『カミラ様とベルカさん、主と臣下というよりも仲の良い友人のような関係になりましたね』

リョウマ「……ああ、見ていてとても穏やかな関係だ。まるで寡黙な妹に寄り添う姉のように思えてくる」

リリス『大体そうなんですけど、リョウマ様が言うとなぜか釈然としませんね』

ヒノカ「私は部屋に帰って休むことにする……」

リリス『はい、そのゆっくり休んでくださいね』

ヒノカ「……ああ、なんとか夕食の時間には顔を出せるようにするよ……。ああ、まだ耳の奥に……あの獣みたいな叫びが……」フラフラッ

リリス『……ヒノカ様、とても不憫です』

レオン「所々、君が原因な部分もあると思うけど?」

リリス『いや、そうは言われても、さすがに予測可能でありながら回避不可能な行動をされてしまっては止めようもないと言いますか』

ニュクス「一体何の話をしているの? 少し興味があるわ」

リリス『えっと、実はですね――』

レオン「そうだニュクス、少し魔法について色々な意見が聞きたいんだけど、時間はあるかな?」

ニュクス「と思ったけど、リリスの話はそれほど面白くなさそうだから、また今度にしましょう」

リリス『あ、はい』

ニュクス「それで、レオン王子ともあろう人が、魔法にまだついて知りたいことがあるの?」

レオン「それなりにはね。それにニュクスの呪いの件、忘れてるわけじゃない。そのことも少し気に掛けているつもりだよ」

ニュクス「そ、そう///// それじゃ、上にテラスがあるから、そこで話しましょうか。夕食までの短い間だけど……」

レオン「ああ」タタタタッ

リリス『……レオン様もなんだかんだ鈍感な人ですよね』

ピエリ「レオン様、鈍感なの?」

リリス『ええ、だからある意味、これはこれで良いことなのかもしれませんね』

ピエリ「リリスがそう言うなら、きっといい事なのよ」

リリス『だといいんですけどねぇ……』

リョウマ「では、俺も部屋に戻って一息つくことにする。何か用があったら気にせずに声を掛けてくれ」

リリス『はい、わかりました』

 タッタッタッ

リリス『さて、私たちだけになっちゃいましたね。マークス様にサクラ様、タクミ様とエリーゼ様の姿は見えませんけど、さすがに夜になったら帰ってきますよね』

ピエリ「ふわぁ~、ピエリもちょっとおねむなの……」

リリス『今日は色々とありがとうございました。ピエリさんには色々と助けられてばかりですね』

ピエリ「んー、気にしてないの……。ピエリもお部屋に戻ってお昼寝するの……。リリス、夕ご飯になったら起こしに来てほしいのよ」

リリス『はい、わかりました。って、ピエリさん。今にも寝落ちしそうじゃないですか、私の背中に寄り掛かってもいいですから、ちゃんと部屋に行きましょう』

ピエリ「んー、えへへ、リリスの背中ひんやりしてて気持ちぃの」

リリス『やっ、ちょっと背鰭に頬ずりしないでください。バランスが崩れたら倒れちゃいますよ』

ピエリ「うー、リリス意地悪なの。はふぅ……」

リリス『ひゃっ、背鰭に吐息を当てないで』

ピエリ「あ、リリス面白いの。ふーっ、ふーっ」

リリス『あ、ちょ、いやんっ』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―異界の南国・宿泊施設『ピエリとリリスの部屋』―

ピエリ「すぅ……すぅ……」

リリス『はぁ、ベッドに倒れたと思ったらすぐに眠っちゃいました。眠っている時の顔もそうですけど、やっぱり子供みたいですよね、ピエリさんって』ナデナデ

ピエリ「んー、えへへ……」

リリス『ふふっ、ゆっくり休んでくださいね、ピエリさん』フワフワ……

 ガチャ バタンッ

リリス『さて、おそらく夕食の支度が出来るまではあと一時間位でしょうか」

リリス「ここは夕食のお知らせを受けてからピエリさんを起こしてカムイ様を呼びに行くことにしましょう。アクアさんへの報告は夕食後にするとして………』

 フワフワ

「少しの間、どうしましょうか」

今日はここまで

 ピエリの寝顔は絶対に可愛いと思う。

 次にリリスがすることを決めたいと思います、参加していただけると幸いです。

◆◇◆◇◆◇
 この後のリリスの予定
・「レオンとニュクスの様子を見に行く」
・「まだ帰ってきていない文明開化組の到来を待つ」
・「ヒノカの様子を見に行く」
 
 >>559

 すみませんが、よろしくお願いいたします。

取ってしまえ
ヒノカの様子で

◆◇◆◇◆◇
―異界の南国・宿泊施設『ヒノカの部屋』―

ヒノカ「はぁー、タクミにあのような趣味があったなんて…。それにサクラもマークス王子に、その……文化交流を試したいなどと思っていたとは……」

ヒノカ「……はぁー」

ヒノカ(これほど心の底からため息が漏れるとは思っていなかった。しかも、政などではなく、家族の事でなんて……)

ヒノカ「はぁ~。ううっ、どうしてこうなってしまったんだ。カムイが手繰り寄せてくれた暗夜と白夜の絆、その絆を確かなものにしながらハイドラに立ち向かった日々に戻れたらと思ってしまうなんて」

ヒノカ(それにしても、その、排泄をする穴を弄って何がいいのかわからない。その、男女が付き合い子を成すための行為が、副次的に気持ちが良い事だというのは聞き及んでいるが、不浄の穴に何かをしてとても気持ちがいいのか?)

ヒノカ「とてもそうは思えないのだが……。それとも男には女性のような物が無いから、その代用として?」

ヒノカ(いや待て、私は何を考えている。こんなことを考えている暇があるなら。一度、すべてを忘れて眠るべきだろう……)

ヒノカ「そうだ、一度寝れば色々と整理が付くかもしれない。武術の鍛錬も行き詰ったら、少し間を置くことで上達したことだし」

ヒノカ(今考えたことも、きっと疲れているからに決まっている。そうだ、一度眠ってしまえれば――)

 コンコン

ヒノカ「む?」

リリス『ヒノカ様、まだ起きていますか?』

ヒノカ(リリス?)

ヒノカ(どうしてリリスが私の部屋に? もしかして、心配してきてくれたのか?)

リリス『……』 

ヒノカ(……その、とてもうれしいが今は出来れば休んでいたいんだ)

リリス『もうお休みになられてしまったんでしょうか?』

ヒノカ(ああ、今から休むつもりだ。疲れて色々と壊れそうな精神に一時の休息を与えたいんだ。だから、すまないが――)

リリス『さすがに色々あったのですから仕方ないです。でも、ヒノカ様は強いお方ですから、きっと大丈夫ですよね……』

ヒノカ(ふっ、聞き耳を立てているようで少しばかりの罪悪感は生まれるが、こうして心配されていることが分かるのは、なんだかとても心地がいいな。あ、安心したらなんだかウトウトと――)

リリス『タクミ様のア〇ルプレイとか、サクラ様のマークス様文化交流疑惑とかいろいろありましたけど――』

ヒノカ「うわああああああああああっ!!!!!! それは言わないでくれええええ!!」ジタバタ!


リリス『すみません、てっきりおやすみになられたと勘違いしてしまって、その色々と思ってしまいました』

ヒノカ「いやいいんだ、お前が来た時にきちんと出なかった私にも責任がある」

リリス『ヒノカ様』

ヒノカ「うん、でもだ、もう少し思うべきことがあると私は思う。来るまでに見た海の景色とか、皆で泳いだ海水浴場の事。色々他にもあっただろう?」

リリス『すみません。ヒノカ様の事を考えますと、やはりタクミ様の光景が過ってしまいまして。あの光景はちょっとやそっとでは忘れ去ることもできませんから、運が悪かったと諦めるしかありません』

ヒノカ「……ううっ、私の頭の中、穢されてしまったよぉ……」

リリス『まぁ、あれを見て興味を持ってしまったのならある種の変態になってしまいますからね。色々とリカバリー出来ることはしようと思ってきたのですが……。真逆の事を行ってしまったみたいですね』

ヒノカ「もういい、いいんだ。はぁ、タクミもタクミだ。幾ら、その……。あれだからといって……。あんなふうに従順になってしまっては、男としての威厳は無い様なものじゃないか」

リリス『最初の頃は威厳というより我侭っていう感じでしたけどね。それをエリーゼ様が紐解いてくれたんでしょう。その、お二人の性的趣向に関しては、まぁ、あれですね。それはそれ、これはこれとしまして……』

ヒノカ「リ、リリスは、ああいったことに抵抗は無いのか?」

リリス『ああいったこと?』

ヒノカ「ほ、ほら。その……」

リリス『あー、ア〇ルをグリグリ弄ることですか?』

ヒノカ「……」

リリス『そうですね。世の中にはそう言ったものが大好きな方々もいますし、同意の上での行為で安全第一に行っているのなら問題ないかと』

ヒノカ「私は正直わからない。あのような行為が、その、いい事のようには思えない……」

リリス『まぁ、体験したことのないヒノカ様にはわからないものだと思いますし、知らなくてもいい事だと思います』

ヒノカ「体験すれば、私にもわかるようになるのだろうか?」

リリス『え?』

ヒノカ「……はっ!? いや、違う、違うぞ。そう言う意味ではない。ちがうからな!////」

ヒノカ「あ、あのような行為を見せられて気が動転して、変な事を口にしてしまっただけなんだ! 私がそんな事を望んでいないことくらい、おまえにだってわ、わわかるだろぉ!?」

リリス『とりあえず落ち着いてください、ヒノカ様』

ヒノカ「わ、私は落ち着いている。今ならあの時のタクミの姿も直視できるはずだ!」ガクガク

リリス『直視した結果が今のヒノカ様なんですけどね……』

ヒノカ「すまん、見苦しいところを見せてしまった……。せっかく、私の様子を見に来てくれたというのに……」

リリス『いいえ。私が来たことでヒノカ様に色々と迷惑を掛けてしまいました。本当にすみません』

ヒノカ「謝るのは私の方だ。元はと言えば、リリスの忠告を聞かずに吶喊した私に原因もある」

リリス『いえ、それが原因なんでけど』

ヒノカ「と、ともかく。先の発言は気の迷いであって、その私の本心では……」

リリス『ああ、はい。そう言うことにしておきます。でも、血は争えない可能性も』

ヒノカ「タクミは男だろう。だが、私は女だ」

リリス『それだと、すべての男性が対象になってしまうんですけど。リョウマ様やサイゾウさんも、その仲間になってしまいますよ?』

ヒノカ「サイゾウはそう言う人間じゃないはずだ。それにリョウマ兄様も……きっと大丈夫なはず」

リリス『サイゾウさんとリョウマ兄様で、かなり信頼差がありますね。ここまでの経緯を考えると当然ですけど…』

リリス『ともかくです。まずは落ち着きましょう。そうですね、お風呂にでも入って心と体を休めて見るのはどうでしょうか?』

ヒノカ「そうだな。もう眠気は吹き飛んでしまった。ここはお前の言う通り、一風呂浴びてくることにしよう。確かに湯船に浸かることで、いろいろと落ち着けるものがあるかもしれないからな」

リリス『はい、それがいいと思います』

ヒノカ「しかし、今から一人でというのも寂しいな、そうだリリスも一緒にどうだ?」

リリス『そのお誘いはうれしいのですが、私はピエリさんとカムイ様にお声がけをしなくてはいけませんので』

ヒノカ「そうか……」

リリス『それにお風呂の最中、私が何かをぽろっと零してしまうかもしれませんし。だれか他に入っていて聞かれたら致命傷になる可能性もあります』

ヒノカ「それは、勘弁してほしい……」

リリス『ですから、ヒノカ様だけでゆったりしてきてください。私の事は大丈夫ですから』

ヒノカ「そうか、わかった。夕食の時間にまた会おう、リリス」

リリス『はい、ヒノカ様』

 タタタタタタッ

リリス『……正直、ああいう風に言ってましたけど――』

『興味を持つ時点で、ちょっとあれじゃないかなぁ…』フワフワ

今日はここまで

◆◇◆◇◆◇
―異界の南国『宿泊施設・ピエリとリリスの部屋』―

 ガチャッ ガチャチャッ!‼‼
バタンッ

リリス『はぁっ、ようやく開きました。鍵を入れて回すのは慣れましたけど、扉を開くのは中々に難しいです』

 フワフワ~

リリス『はぁ~、早く人間になりたい。戻ってこの思考ガバガバ状態をどうにかしたいです』

ピエリ「あ、リリス」

リリス『あれ、ピエリさん。起きていたんですか? 私が起こすまで眠っていてもらってもよかったんですよ?』

ピエリ「なんだけ目が覚めちゃったの。うー、ピエリ一人でつまらなかったの」

リリス『そんなことを言われても、ピエリさん戻って来るなりすぐに眠ってしまわれましたし……』

ピエリ「うー、ピエリが一人で退屈な時間を過ごしてる間、リリスは何か楽しいことしてたに決まってるの!」

リリス『決めつけられるほど、私は面白い人間じゃありませんよ』

ピエリ「人間じゃないと思うの」

リリス『その返し、結構傷つきます……』

リリス『ともかく、特に楽しかったり面白かったりなんてことはありませんよ』

ピエリ「ぶー、リリスはピエリに嘘を吐いてるに決まってるの。だって、ピエリが起きた時にリリスはいなかったの」

リリス『ピエリさんが寝ている間しか、私に自由時間は無いってことですか?』

ピエリ「違うの。ピエリが起きた時にリリスがピエリの近くにいればいいのよ」

リリス『なんでそんなに束縛されなくちゃいけないんですか……』

ピエリ「だって、リリスはピエリの友達なの。友達と一緒にいたいと思うのは当然なのよ」

リリス『何でもかんでも友達という言葉で何とかなるわけではないです。私たち友達だから、私のために死んでくれるよねって言われて、素直に死ぬ人なんていないでしょう?』

ピエリ「それは友達じゃなくて敵なのよ。リリス、おかしなこと言ってるの」

リリス『……例えに真面目な回答されると、こちらの立場がありません。ピエリさん、もう少し流れに沿って言葉を返してくださいよ』

ピエリ「ピエリよくわからないの。ピエリがおしゃべりするのは、リリスとおしゃべりするのが楽しいからなのよ。リリスはピエリのことを変な風に見ないの。だからいっぱいおしゃべりしたくなっちゃうの」

リリス『うれしいですけど、出来れば会話のキャッチボールに協力してくれませんか。その、突拍子もないこと言われたら受け取れるものも受け取れません』

ピエリ「おかしな話を始めたのはリリスなの。ピエリは一緒にいたいって言っただけなのに、リリスは違う話を始めちゃったのよ」

リリス『……あー、そうですね。すみません』

ピエリ「わかればいいの!」

ピエリ「そう、リリスはヒノカ様とお話ししてたのね。ぶーっ、羨ましいの」

リリス『羨ましいですか。ピエリさんにはあまり聞いてもらいたくない話ばかりだったので、私としてはピエリさんがいなくてよかったと思いましたよ。例えばお尻の事とか、お尻の事とか、そう、お尻の事とか』

ピエリ「お尻? リリス、お尻に何かできてるの?」

リリス『いえ、そう言うわじゃありませんから。とりあえず、お尻の事は忘れてください。あれ、ピエリさん?どうして私の後ろに――』

ピエリ「ん」サスサスッ

リリス『……』

ピエリ「……」ナデナデッ

リリス『ピエリさん、何してるんですか?』

ピエリ「リリスのお尻を触ってるの」サワサワッ

リリス『そうですか……。ところで、今の問い掛けの意味わかりますよね?』

ピエリ「ん? もっといっぱい触ってほしいってこと?」

リリス『ふふっ、違いますよ。なんで触ったのかを聞いてるんですよ?』

ピエリ「んー、お尻の話で近くにお尻があったからなの」

リリス『自分の触ればいいですよね?』

ピエリ「リリスのはなんだか大きくて触り心地がとってもいいの。弾力もあって触り心地がいいの」

リリス『遠回しに下半身太ってるって言ってますよね? ねぇ? ねぇ!?』

ピエリ「それにお尻は大きい方がいいって聞いたことあるの」

リリス『あー、安産型という奴ですね。でも、それは将来子供を産む方に関係する話です。私には一切関係ありませんよ』

ピエリ「?」

リリス『まぁ、ピエリさんにはわからない話です。あの、そろそろ私のお尻を無暗に撫でたり掴んだりするの止めてくれませんか』

ピエリ「んー、ピエリはもう少し触っていたいのよ」

リリス『あのですね、こういうところを誰かに見られたりとかすると、それはそれで面倒になってしまうんです。今、ここにいる人の中で真面目な解釈ができるような人、結構少ないんですから』

ピエリ「? ピエリは触ってたいから触ってるだけなのよ?」モミモミ

リリス『素直に受け取られてもやばいし、素直に受け取らなくてもヤバいので、即刻辞めてください』

ピエリ「うー、わかったの。だけど、リリスのとっても柔らかかったのよ」

リリス『褒められても全然うれしくありませんから。まったくもう……なんだがお尻が変な感じです』

 バタンッ!

サクラ「お、お尻が変って、どんなことをしているんですか!?」

ピエリ「わっ、サクラ様。いきなり入って来たからびっくりしちゃったの」

サクラ「それよりもお尻が変ってどういうことですか? 詳しく聞かせてください、今すぐに!」

リリス『サクラ様のイメージがとてつもなく損なわれてしまうので、入って来るところからやり直してもらってもいいですか? 出来ればお尻の下りは全部無くしてくれると、なおいいです』

サクラ「すみません、取り乱してしまって……。今、お尻にはとても敏感になっているので……」

リリス『お尻に敏感になっているというのは理解できませんけど、サクラ様がいらっしゃるということは、他の皆さんもお帰りになられたということですか?』

サクラ「はい、その南の浜辺からここまで、宿近辺まで…お尻で…その////」

リリス『ああ、話さなくていいですよ。うん、というか話さないでくださいね。ピエリさんにとても有害な話だと思いますので』

ピエリ「?」

サクラ「その、少しまだお尻がの感触が安定しなくて、この心境をわかってくれる人はいないかなって思ってたら、お尻が変になるってリリスさんの声が頭の中に入り込んで来たので」

リリス『変になるじゃなくて、変な感じです。勝手に解釈して私を仲間にしないでください』

サクラ「お尻で変な感じ、それは絆が深まった証だと私は思います」

リリス『そんな絆の深まり見たくないです。CからBに上がるとどうなるんです? Aに至ってはどうやって絆を深めればAになるんですか?』

サクラ「それは、やっぱりお尻で――」

リリス『お尻お尻って、少しは白夜王国の王女である自覚を持ってください。ここに入ってきてから、サクラ様お尻って言ってない時ありませんよ?』

ピエリ「ピエリもいっぱいお尻って言ったの!」

リリス『ピエリさんは、なんで張り合ってるんですか?』

サクラ「そうですね。確かに言い過ぎ多と思います。ですから、ここからは臀部と言うようにしますね」

リリス『根本的にお尻から離れて……』

今日はここまで

 お尻で絆が強くなる……

リリス『サクラ様、ピエリさんにそういった趣味はありませんし、私もありませんので。臀部の話はやめてください』

サクラ「そうなんですね。ごめんなさい、勘違いしてしまったみたいです……」

リリス『勘違いにしても色々と問題があると思いますけどね』

ピエリ「サクラ様、お尻で変になるってどういうことなの?」

サクラ「え、ピエリさんも興味があるんですか?」

リリス『サクラ様、ピエリさんは子供なんです。この興味があるっていうのは、初めて見た玩具や遊びに興味を持っているのと同じで、それがいけないことだったらいけないことだと遠ざける事も必要だと思います』

サクラ「でも、興味を持っている方を放っておくわけにはいきません。私は経験者です。少しでも、ピエリさんのお役に立てるなら……」

リリス『その使命感と優しさはうれしくもないので、すべて畳んでマークス様の下にお持ち帰りしてください』

サクラ「い、今マークスさんとは顔を合わせられません/////」

ピエリ「あー、サクラ様。顔真っ赤にしてるの、マークス様といっぱいラブラブしてきたのよ」

サクラ「そんなことは……////」

ピエリ「えへへ、照れてるサクラ様とっても可愛いの」

リリス『ふふっ、床に密着させたお尻をグリグリしていることに目を瞑れば、とっても可愛らしいですね』

リリス『さてと、私は少しやらなければいけない仕事がありますので』

サクラ「そうなんですか?」

リリス『はい、カムイ様とアクア様をお呼びに行かないといけないので。もうそろそろ夕食の時間だと思いますし』

サクラ「夕食、そうかもしれません。先ほどここの方々が食堂で作業をしていました」

リリス『ということは、あと少しすれば夕食の席が整うということですね。それでは私は失礼しますので、ピエリさんはちゃんと食堂に向かうんですよ?』

ピエリ「はーい」

リリス『元気な返事ですけど、なんだか心配になってしまいます』

サクラ「ふふっ、リリスさんはピエリさんのお母さんみたいですね」

リリス『目を離すと何をするかわかりませんし、色々とこの島にはピエリさんに悪影響な方々も揃い踏みしていますから』

サクラ「えっと、ピエリさんに悪影響な人たちはいないと思います。マークスさんもカムイ姉様も、目標にしている方々はいっぱいいますよ」

リリス『わー、この世界の生末がとっても心配』

ピエリ「ふふーん、マークス様がみんなに尊敬されてて、ピエリとってもうれしいの」

サクラ「はい、私もとっても嬉しいです。でも、ちょっとだけするときは乱暴だから……」

リリス『それが悪影響なんですよ』

ピエリ「ぶー、ピエリはもう大人だって言ってるのに、リリスは子ども扱いしてくるのよ」

リリス『見た目が大人なだけじゃないですか』

ピエリ「見た目が大人なら大人なの! ピエリのお胸は大人だねって、ピエリのおうちに来てたおじさんが良く言ってたのよ」

リリス『へー。ちなみにその人ってこの頃、ピエリさんのお屋敷に来ているんですか?』

ピエリ「ううん、この頃見ないの。お父さんに聞いたらね、そんな人いないって言ってたの」

サクラ「や、止めてください。それって怖い話じゃないですか。私、そういう話は……」

リリス『確かに怖い話ですねー。ピエリさんの危機感の無さもあれですけど……』

ピエリ「ピエリは強いの! だから問題ないのよ。どんな敵にも負けないの!」

リリス『まぁ、ピエリさんってそういうのが似合わない人ですからね……』

サクラ「……そうですね。やっぱりヒノカ姉様のような方だと、すごく絵になると言いますか」

リリス『あの、さすがにそれはヒノカ様に言わないでくださいね。血の繋がった妹に、そんな風に見られていると聞いたら、溝が更に開いてしまいますので』

ピエリ「むー、サクラ様もリリスも何の話してるの? ピエリだけ仲間外れにしちゃだめなの!」

サクラ「……ピエリさん、『くっ、殺せ!』って言ってみてくれませんか」

リリス『サクラ様!?』

ピエリ「くっ、殺せ! これでいいの?」

サクラ「……なにか違いますね」

リリス『同意したくありませんが、確かに何かが違います』

ピエリ「?」

サクラ「やっぱり、ピエリさんは思ったよりも純愛肌なのかもしれませんね」

リリス『基本的にすべての行為は純愛であるべきではないかと……って、そんな話ばかりしている場合じゃなかった』

サクラ「では、私がピエリさんを食道にきちんとお連れしておきます。色々とご迷惑を掛けてしまいましたし」

リリス『……うーん、それはそれで心配なんですけど』

サクラ「大丈夫です。こんな場所で迷子になったりしませんから」

リリス『……例えばですけど、お尻の事を尋ねられたらどうします?』

サクラ「それは、やっぱり探求の手助けを――」

リリス『しないで』

サクラ「でも――」

リリス『しないで』

サクラ「わ、わかりました」

リリス『というわけでピエリさん。サクラさんにちゃんと付いて行ってくださいね』

ピエリ「わかったの。サクラ様、一緒に食堂まで行くのよ」

サクラ「は、はい。それではリリスさん、私たちは先に向かっていますね」

リリス『はい、あ、出来れば先に部屋を出てもらえませんか。その、扉を開けるのは中々に難しいので』

サクラ「はい、どうぞ」ガチャッ

リリス『ありがとうございます。サクラ様、それではくれぐれもよろしくお願いしますね?』

サクラ「任せてください、リリスさん」

 フワフワ~

ピエリ「リリス、行っちゃったの……」

サクラ「そうですね。さてピエリさん、私たちも行きましょう」

ピエリ「はーい! サクラ様と二人きりは初めてなの!」

サクラ「ふふっ、そうですね。合流してもあんまりお話しすることもありませんでしたから、これからよろしくお願いしますね?」

ピエリ「うん。あっそうなの、さっきのお尻で変になるって結局どういう意味だったの?」

サクラ「あ、それはですね。お尻の――」

リリス『しないで』

サクラ「!?」

ピエリ「!?」

今日はここまでで

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―南国の異界・宿泊施設『カムイ部屋前』―

リリス『はぁ、ようやくカムイ様の部屋に着けました。結局、サクラ様とピエリさんを食堂前まで送ってからになってしまいました……。もしかして、もう向かわれていたりして……』

 コンコンッ

リリス『カムイ様、リリスです。いらっしゃいますか?』

カムイ「あ、リリスさんですか。少し待ってくださいね」ガサゴソッ

 ガチャッ

リリス『こんばんはです、カムイ様』

カムイ「はい、こんばんはリリスさん。どうしたんですか、私に何か用事でも?」

リリス『はい、そろそろ夕食のお時間になると思いましたので、お声がけを」

カムイ「え、もうそんな時間なんですか?」

リリス『はい。といっても食堂を見てきたわけではないので確証はないんですけれど、サクラ様が先ほど戻られた際に、準備をしているようだと言われたので。時刻を考えるとそろそろと思った次第です』

カムイ「そうですか、ありがとうございます。リリスさんには色々とご迷惑をおかけしていますね」

リリス『そんなことはありませんよ。私はカムイ様の臣下、こうしてお役に立てることは至高の喜びでもあります』

カムイ「ふふっ、ありがとうございます。ところでリリスさん」

リリス『はい、何でしょうか。カムイ様』

カムイ「アクアさんから何か頼まれごとをしてませんか。主に、私に知られない様に何かを調べるようにとか?」

リリス『ファッ!?』

リリス『と、突然何をおっしゃられるんですか?』アセアセ

カムイ「いいえ、今日の昼間、アクアさんとリリスさんが一緒にいるのを見掛けまして、それで何かあったのかと……」

リリス『と、特に何にもありませんよ。ただ、たまたまお会いしただけでして……。深い意味とかはなくてですね』

カムイ「そうですか。てっきり、浮気でもしているのかと思ってしまいまして」

リリス『え、浮気って?』

カムイ「リリスさんとです。面と向かって聞くようなことではないと思うのですが。私の恋人ですし、その……」

リリス『私とアクアさんをどうやって浮気という線で結んだのかが結構気になるんですけど?』

カムイ「そのアクアさん、もしかしたら私との竜プレイで、人じゃ満足できない体になってしまったのかもしれなくて、新しい刺激を求めて色々な竜と――」

リリス『カムイ様、世の中に生きている竜は真面目に子孫を残すために頑張っています。だから、娯楽の一種みたいな言い方はやめてくださいね?』ニッコリ

カムイ「あ、はい」

リリス『それにしても、どう考えれば私とアクアさんを絡めることが出来るのですか?』

カムイ「……だってここ最近、リリスさんはアクアさんと一緒にいる時間が多いみたいですから。私という者がありながら……」

リリス『ここ最近って、あんまり一緒な時なんてありませんでしたけど。まぁ確かにこの異界に来てからは結構一緒にいた気もしますが……』

カムイ「それです。この島に来てからほとんど一緒じゃないですか! 午後は出来れば二人きりでいたいと思ったのに、アクアさん部屋に閉じこもってしまっていて、そんな中で一緒にいられたリリスさんが羨ましいんです」

リリス『カムイ様の最近って、本当に最近過ぎません? もう少し期間を開けてもいいと思いますよ?』

カムイ「アクアさんの飛沫成分が足りないのがいけないんです。アクアさんの溢れる飛沫成分が……」

リリス『……あの、少し予想は出来ていますけど、飛沫成分って何ですかカムイ様』

カムイ「主に私の手がアクアさんを悦ばせた時に溢れる物です」

リリス『うん、予想通りでどんな顔していいかわかりません』

カムイ「笑えばいいと思いますよ」

リリス『そんな微笑ましい話じゃありません』

リリス『とにかく安心してください。私とアクアさんはカムイ様が考えているような関係ではありませんから、あくまでも知り合いというだけです』

カムイ「そうですか? そんなことを言いながら陰でアクアさんの事を虎視眈々と狙っているんじゃないですよね?」

リリス『さすがに私にも相手を選ぶ権利というものがあると思うんです。アクアさんをそういう目で見るのはちょっと無理ですね』

カムイ「はぁ、アクアさんの良さが分からないなんて。私リリスさんの見る目を疑ってしまいます」

リリス『ええ、私は残念ですがアクアさんに親愛以上の物を感じることはありません。まぁ、同性ということもありますけど……』

カムイ「同性は関係ありません。そもそもアクアさんに性愛を感じられない人は、きっといやらしさを感じる部分が欠如しているんです。あの、踊りながらちらりと見えるVラインとか、もう最高じゃないですか。健康的とか美術的とか差し引いて、ただ単純にエロいと思うんです」

リリス『はー、そうですか』

カムイ「そうなんですよ。色々な服装を試してもらいましたけど、やっぱりVラインのいやらしさではあの踊り子に敵う物は中々ありませんでした。黒い踊り子の服もありましたけど、一度着てもらった時、誰だかわからなかったですね。すごくエッチでしたけど」

リリス『理性より衝動優先だから姿を見破れないんじゃないですかね?』

リリス『ならカムイ様がアクア様にきちんとお話をするのが一番です。なにせ、アクア様の心を繋ぎ止めるのはカムイ様にしか出来ないことですから』

カムイ「うっ、それは確かにそうですけど……」

リリス『……なんだか弱気ですね。あの日、私に無理やり跨ってアミュージアの林を駆け巡らせたカムイ様とは思えません』

カムイ「あの時、もう体から溢れるスキスキオーラが止められなかっただけです。その、今考えるとあれってレイプだった気がしなくもないと……」

リリス『誰がどう見てもレイプじゃないですか?』

カムイ「だって、気持ちが良かったらレイプじゃないって話を聞きました」

リリス『それは間違いです』

カムイ「あと、レイプで始まる恋というのもあると」

リリス『そんな恋が認められるなら、世界中の出来事の八割以上は恋で説明できますね』

カムイ「え、じゃあ。白夜と暗夜が戦争していたのも?」

リリス『恋ですね』

カムイ「では、やっぱり私のしたことは恋の始まりだったということですね!」

リリス『カムイ様の中ではそうですね。私は絶対に認めませんけど』

カムイ「その……リリスさん」

リリス『なんですか、私はそういったものを認めるつもりはありませんよ?』

カムイ「いえ、違うんです。その私とアクアさんの関係をどう思いますか?」

リリス『……私はお二人の関係に口を出せる立場ではありません。まぁ強いて言うならセフレ的な関係でしょうか』

カムイ「セフレですか……。おかしいですね、私はアクアさんに愛しているといっぱいアピールしているのに、どうしてそう見えてしまうんですか?」

リリス『……あのカムイ様、一つお聞きしたいことがあるんですけど』

カムイ「はい、なんですか? 駄目ですよ、アクアさんの弱いところとかは教えませんからね」

リリス『そんな弱点興味ありませんので、どうぞ独り占めにしててください』

カムイ「そうなんですか。正直、私から聞きたいことなんてそれくらいだと思ったんですけど」

リリス『もう少し違う価値を見出しても罰当りませんよ』

カムイ「それで、聞きたいことっていうのは一体なんですか?」

リリス『はい、カムイ様は愛についてどう考えているんですか?』

カムイ「……愛、ですか?」

リリス『はい』

カムイ「な、なんだか改まって聞かれると、そのなんと答えればいいのかわかりません」

リリス『ですが、カムイ様。先ほどアクア様に愛しているとアピールしているって、言ってましたよ』

カムイ「……確かにアピールをしているんですが……」

リリス『とりあえず、聞かせてもらってもいいですか?』

カムイ「わ、わかりました。その少し説明不足になってしまうかもしれませんが。よろしいですか?」

リリス『はい、お願いします』

カムイ「そうですね。まず―――」

カムイ「アクアさんの髪をペロペロしてお胸の匂いをいっぱい吸って好きといいながらそのまま胸にしゃぶりついて可愛い乳首を転がしながら口から洩れる吐息を感じつつ手で下着の上から愛撫してだんだんと下着が濡れ濡れになっていくのを耳元で囁きながらしんぼうたまらんと下着をずらして恥丘に生えた厭らしい草原に指を馴染ませつつ隠れた蕾を剝いて触れると体を痙攣させるのでそのまま下腹部に顔を下ろして見える様に――」

リリス『あ、一つ以上聞けたんでもういいです。とりあえず、私は食堂に行くので失礼しますね』フワフワ~

カムイ「そしてトロトロになったところで竜になった私が口に貯め込んだ水の力でアクアさんの奥に――」

リリス『……』

『愛っていったい何なんでしょうねぇ……』

今日はここまで

 カムイの竜プレイは異種姦か、否か?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―リリスとピエリの部屋―

ピエリ「んー、お料理とってもおいしかったの! でも、ピエリの料理のほうがもっともーっとおいしいのよ」

リリス『ふふっ、ピエリさんはお料理が上手ですから。私はどれもこれもおいしかったですね。やっぱり、一工夫しただけでこんなにおいしくなるんですから』

ピエリ「リリス、切っただけのサラダもおいしいって言ってたの」

リリス『いつも取ってきたのをそのまま置かれている身としては、切ってあるだけで感動ものなので』

ピエリ「でも、みんな同じ料理じゃないからびっくりなの。こういうところって、みんな同じ料理になると思ってたの」

リリス『どうやら、私たちの昼間の行動を加味して、最適な献立を提供しているみたいですね』

ピエリ「そうなの。それってすごいことなのよ」

リリス『そうですね。どんなに一流の人々でもその日の行動を見て、献立を考えるというのは中々に出来ませんから、さすがは竜脈の力を最大限使っているだけの事はあります』

ピエリ「でも、ちょっと偏ってたのもあったの。あれは多かったってピエリは思うの」

リリス『偏っていた人、誰かいましたか?』

ピエリ「マークス様とタクミ様なの。レバーが山盛りに置かれてたの。マークス様、良い心配りだって言ってたけど、どういう意味なの?」

リリス『無性にレバーが食べたいときがあるんですよ、きっと……』

ピエリ「リリスはこれからどうするの?」

リリス『私は一度アクアさんに調査結果を報告しなくてはいけませんので、ちょっと出る予定です。ピエリさんはどうしますか?』

ピエリ「んー、ピエリお腹いっぱいなの。お布団でゴロゴロしてるのよ」

リリス『ゴロゴロするのもいいですけど、すぐに横になったら太っちゃいますよ』

ピエリ「大丈夫なの。ピエリ、太ったりしないのよ」

リリス『そう言って何百何万という女性が涙を流していると思っているんですか』

ピエリ「ピエリ。あんまり体系変わらないの」

リリス『何百何万という女性に喧嘩を売る一言ですねぇ。絶対何処かに無駄な栄養が付くに決まっています』

ピエリ「……んー、よく考えらリリスの言う通りなの。ピエリ、大きくなってる場所あるの。この前もちょっとだけ大きくなってたのよ」

リリス『そうでしょうそうでしょう。食べた後はすぐに眠らないで、ちょっとばかり体を起こしておくのがいいんです。ちなみにどこが大きくなったんですか?』

ピエリ「お胸なの」

リリス『』

ピエリ「少し前に買った可愛いお洋服、もう着られなくなっちゃったの。ショックだったの……。ん、どうしたの、リリス?」ハァ

リリス『なんでもないですよ。ええ!なんでもないですよ!』

ピエリ「どうして怒ってるの?」

リリス『怒ってません!』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―アクアの部屋―

リリス『あんまりです。私は食べた分だけお腹がぽっこりしてしまうのに…』

アクア「落ち着きなさい。愛の報告を期待していたのに、いきなりピエリの胸が今も成長している、なんて話を聞かされても対処に困るわ」

リリス『そ、そうですね。すみませんでした。アクアさんになら、この愚痴を理解してもらえるかと思ったのでつい……』

アクア「遠回しに私の胸が小さいと言っているみたいね」

リリス『まぁ、立ち姿を見る限りそれほど大きくはないと思いますから』

アクア「そう、時の流れというのは残酷ね。こうやって、悲しい現実を教えなくてはいけなくなるから」

リリス『?』

アクア「そんなことはさて置いて、どうだったの? 量は確保していることはわかっているけれど、質の方まではわからないわ」

リリス『そうですね。色々と意見を頂きましたので、アクアさんの参考になればと思います。とりあえずこちらを見てください』ガサッ

アクア「ありがとう、……これはえーと、蛇?」

リリス『文字ですよ』

アクア「あ、文字なのね。うーん、どうやって書いたの? あまりにも踊りすぎてて目が回りそうだわ」

リリス『し、仕方ないじゃないですか。私、この姿で筆を取るしかなかったんですから』

アクア「そう、ある意味芸術ね。芸術は読む者じゃなくて感じる物だと思っているけど、これは感じることが出来ないわ」

リリス『ストレートに汚くて読めないって言っていいですよ』グスンッ

アクア「そう、なるほどね。ヒノカが愛についてそんなことを考えていたなんて、ちょっと意外だったわ」

リリス『この中では一二を争う意見でしたから、まぁヒノカ様は恥ずかしそうにしていましたけど』

アクア「ふふっ、それにしても、みんなそれぞれに愛を感じる何かを持っているという事なのね……。それに比べて私は……」

リリス『アクア様……』

アクア「はぁ、わからないままね。むしろ、もっと謎の谷に落ちてしまっているみたい」

リリス『答えは十人十色だとは思いますから。この中にこれかなって思う物は無かったんですか?』

アクア「……この互いに愛し合っているというリョウマの意見かしら? 少なくとも今これに私とカムイは達していないはずだから、そう言う意味ではこれだって思うのよね」

リリス『否定する方角で納得するのはどうかと思いますけど。でも、やっぱりアクアさんとしては今の現状、愛し合っているのかわからないという位置は変わらないんですね』

アクア「ええ……。今日は部屋に籠りっぱなしで、カムイと顔を合わせていなかったから」

リリス『なんだか今にも破局寸前って感じで、正直怖いんですけど』

アクア「顔を合わせても何を話せばいいのかわからないの。話すよりも先に押し倒されてしまって、流されてしまうような気もして……。どうすればいいのか」

リリス『思った以上に重くて、今さらですが関わったことを後悔してきました』

リリス『でも、そうやって悩んでいるということは。やっぱり、アクアさんもカムイ様の事を本当に愛したいからだと私は思います』

アクア「リリスに言われても、あなただって愛はわからないって」

リリス『そうですね、私には愛はわかりません。でも、同じことが繰り返されるとその行為に疑問を抱いてしまうのは、誰しもあることだと思います』

アクア「そうなのかしら?」

リリス『ええ、現に私にもそう言ったことがありました』

リリス『私がカムイ様にお食事を頂いていることは御存じと思います。毎日毎日カムイ様から食事をいただけるのはとてもうれしかったのですが、ある日を境に笑顔で無くなっている自分がいたんです。でも持ってきてもらった手前、無碍に出来ないからと力いっぱいジャンプをして喜びをアピールする。そんな状態になってしまいました』

アクア「そう、相手のために喜んだふりをする、色々と追い詰められていたのね」

リリス『はい。そんなある日、特に用事もなくカムイ様が来てくれたんです。私に声を掛けにきただけだったのですが。私はとてもうれしかったんです』

アクア「どうして?」

リリス『それはですね。私は食事を頂くことではなくて、カムイ様が会いに来てくださることが何よりもうれしいことだった。だけど、長く続いた食事という習慣がそのことを忘れさせ、その行為に対する対応だけをするように、私を縛り上げていたんです。私は、本当にうれしいことを忘れていたということです』

アクア「……」

リリス『おそらく、アクア様もそうなんだと思います。毎日のように行われる行為に、今答えが見つからなくなっているだけで、きっと本当はカムイ様の事を色々と思っているに違いないんです』

アクア「……リリス」

リリス『だからゆっくりと考えていきましょう。大丈夫です、ここに滞在している間に答えを出す必要はありませんから』

アクア「……ふふっ、まさかあなたに本格的に慰められることになるとは思っていなかったわ。もしもそうなら、私がカムイをメチャクチャにしたいというのは、私がしたい愛情表現なのかもしれないわ」

リリス『やられっぱなしは性に合わないってだけでは?』

アクア「ふふっ、ありがとう。他のみんなの意見も色々と参考にしてみるわ。明日からは自由にして、私も私なりに頑張ってみるつもりだから」

リリス『頑張ってくださいね、アクアさん』

アクア「ええ」

リリス『ところで、アクアさん。最初に悲しい現実がとか言ってましたけど、あれってどういう意味なんですか?』

アクア「悲しい現実……ああ、そのことね」

リリス『はい』

アクア「大したことではないの。私の胸が前に比べて大きくなっただけの事だから」

リリス『え?』

アクア「ね、大したことなかったでしょう?」ニッコリッ

リリス『………』

『………え?』

今日はここまで

 FEHのリリス実装は何時になるんですか。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―???―

リリス(また夢を見る。あまり見たくもないのに。だけど、私はそれをぼんやりと見るしかなかった。淡い光に包まれているからだけじゃない。私はその初めて見る場所が分からなかったから、ぼんやりと眺めるしかなかったのだ)

リリス(青い石畳の床に、黒い影が二つ。私はそれを後ろから、ゆっくりと眺めている。動き出さない世界を見つめながら、少しだけ輪郭に色が入り始める。だけど、誰だかはわからない。いや、誰だかは予想が付く、私が夢を見る理由は決まっているからだ)

リリス(それが私の役割であるのだから……)

リリス(光が強くなってくる。夢の終わりが来た。消滅していく世界に睨みを利かせて、何か手掛かりはと見つめてみるが、床が青い場所に二人の人影があるということ以外わからないまま。これはただの夢だと願いながら私は目を覚ました)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―南国の異界・宿泊施設『ピエリとリリスの部屋』―

リリス『……んっ。朝ですか……』ウトウト

リリス『えっと昨日は、そうでした。アクアさんに適度に報告を行って、それで胸が成長したとかいう話を聞いて……』

リリス『……』サスサス

リリス『竜の体ではまるまるフォルム過ぎて大きいのか小さいのかもわかりません。……でです』

ピエリ「スヤ……スヤ……」

リリス『なんでピエリさんが私を抱き枕にして眠っているんでしょうか。わざわざシングルベットを抜け出して、私を抱き枕にする必要なんてないと思うんですけど』

ピエリ「んんっ、えへへー、リリス~」ギューッ

リリス『ちょ、ピエリさん。背鰭、背鰭が折れる。折れちゃいます!』

ピエリ「んー、冷たくて、きもちぃのぉ」ペタペタ

リリス『ひゃっ! ちょっと、お腹、そんないっぱい触っちゃダメ……んっ!』ピクッ

ピエリ「ん、えへへ~」サワサワッ

リリス『や、駄目ですピエリさん! そんな下まで手を伸ばしちゃだめ――』

 サワサワ サワサワッ ピクンッ

 ……

 ギョムッ

リリス『ぴええええええええっ!』

 バッ!

リリス『はぁはぁ……。なんか、ギュムって、私のがギュムって!』

ピエリ「んー、ふわああああっ。リリス、どうしたの?」

リリス『どうしたのじゃありませんよ。ピエリさん!』

ピエリ「?」

リリス『あのですね、昨日ちゃんと話し合ったじゃないですか。夜は別々のベットで寝ましょうって』

ピエリ「んー、そんな約束したの?」

リリス『しましたよ。なのに、朝起きたら私を抱き枕代わりにして、約束守ってないじゃないですか』

ピエリ「だって、リリスの体冷たいし、とっても抱き心地がいいのよ。ピエリ、リリスを抱きしめて眠るのが気に入っちゃったの」

リリス『気に入ったとしても駄目です。私が竜の時にどんな姿をしてるのか考えてください。もしかしたら、私が狼になってあなたを襲っちゃうかもしれないんですよ?』

ピエリ「大丈夫なの。襲ってきたらお腹に向かって一突きえいってしてあげるのよ。襲われたら返り討ちにして問題ないってマークス様も言ってたの」

リリス『ああもう』

リリス『ともかくです。私が人の姿に戻るまでは、一緒のベットは遠慮してください』

ピエリ「うー、どうして人の姿ならいいのに、竜の姿じゃダメなの?」

リリス『ダメな理由位察してください』

ピエリ「そんな風に背を向けて言われても納得できないのよ。ピエリの方をちゃんと向いて話をするの」

リリス『い、今は向けません』

ピエリ「どうしてなの?」

リリス『ど、どうしてってそれは……だ、駄目ですそんなあそこがカチンカチンだからとか、そんなこと言えるわけがって、ああ、どうしてこういう事は思わず考えてしまうんですか私は!』

ピエリ「? リリスのあれ、カチンコチンになってるの?」

リリス『いえ、カチンカチンです、ってそうじゃなくて。ともかく、今はピエリさんに正面を見せるわけにはいかないので。その、あれです。ちょっとシャワー室に行ってきます!』ビューンッ!

ピエリ「あ……行っちゃったの」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ザアアアアアアアッ

リリス『冷水でかなり冷たいですけど、これなら効果ありですよね』チラッ

 ショボン……

リリス『はぁ、作戦は成功ですね。ピエリさんの無邪気さはどうにかしてもらいたいものですね』

リリス『……それにしても、やっぱり先ほど見た夢は、またそういうことが起きる前兆だという事でしょうか』

リリス『もう戦いは終わったはずで。そんな夢を見る事なんてないと思っていたのに、やっぱりあの時の淡い光は勘違いでも何でもなかったのだとしたら……』

リリス『でも、一体誰が仕掛けてくるというのでしょうか。この異界に乗り込んでくるなんてことを行う必要性があるとは思えませんし……』

リリス『だけど、私が夢を見る理由を考えると……』

 ザアアアアアア

リリス『いいえ、もしかしたら私も普通に夢を見るようになったのかもしれません。なら、あの見た光景にも意味がなかったと言えるはずです。だって、今まであんなにぼやけた夢を見る事なんてなかった』

 ザアアアアっ

リリス『だから、杞憂に決まっているんです……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ガチャッ バタンッ

ピエリ「あ、リリス。もう大丈夫なの?」

リリス『はい、大丈夫ですよ。ちゃんとこれも持ちましたし』パシッ フワフワッ

ピエリ「えへへ、リリスはその玉を持ってるのが一番なの。ピエリのリボンみたいに、リリスのトレードマークなのよ」

リリス『できれば私のトレードマークはこのカチーフであってほしいんですけど。私だとわかるように、これを今でも被っているんですから』

ピエリ「? カチーフが無くてもリリスの事見間違えたりしないのよ?」

リリス『それはそうかもしれませんが、その没個性にならないようにと言いますか……。まぁ、いいです。それで、ピエリさんは朝食までどうしてますか?』

ピエリ「えっとね、ピエリちょっとお外を歩いてくるの。リリスも一緒に行くの?」

リリス『散歩ですか。少し運動したいので、確かにいいですね』

ピエリ「うん、それじゃ急いで支度するの」ババッ

リリス『部屋に同性しかいないとしても、なんの躊躇もなく服を脱ぐのはどうかと思います。そういう無防備さに男というのはですね』

ピエリ「ん? ピエリ別に気にしないの」プルンップルンッ

リリス『……大きいのが揺れてますね……」ジーッ

 ……ムクッ

リリス『……ちょっと、もう一度シャワーを浴びて来ますね』フワフワ

ピエリ「リリス、そんなに玉を押し付けてどうしたの?」

リリス『押し付けないといけない時ってあるものなんですよ……』

 ガチャッ バタンッ……

ピエリ「変なリリスなの」プルンッ

今日はここまで

~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―異界の南国・宿泊施設外周―

ピエリ「んー、すっごくいい天気。暗夜だとこんなにお日様が出ることないから、とっても楽しいの」

リリス『そうですね。しかし、暗夜と白夜、これほど偏った気候条件で生活が成り立っているのは不思議です。白夜にも夜という時間はあっても、暗夜のような暗闇は在りませんからね』

ピエリ「そう、白夜に初めて泊まって時ビックリしたの。眠ってた時も起きた時も明るかったから、ピエリ眠ってないって思っちゃったのよ」

リリス『白夜から暗夜に来た人も、何時も暗いから寝ても起きても夢の中みたいだって困惑していらっしゃるそうです。そう考えるとアミュージアやイズモといった公国の方が、朝昼晩がきちんとやって来る場所と言えますね。ピエリさんはどちらの方が好みですか?』

ピエリ「んー、ピエリはずっと暗夜の王都に住んでたから、ずっと暗い方が馴れてるの。白夜もいいけど、やっぱり暗夜の方が好きなの」

リリス『そうですか。私としては朝も昼も夜もあった方がいいと思うのですが』

ピエリ「そうなの? それじゃ、リリスはアミュージアとかイズモみたいな場所が故郷ってことなの?」

リリス『残念ですけど、それはハズレです』

ピエリ「ちがうの? でもそうなの、リリスは星竜だから、星界の生まれなのよ」

リリス『それもハズレです。私は元々星竜だったというわけではありません。色々とあって、こういう形になってしまっただけなんですよ』

ピエリ「? 色々って何なの?」

リリス『色々は色々ですよ。残念ですけど、そこら辺はガードを固くしているので、そう簡単にポロリしたりしませんから』

ピエリ「んー。ピエリ、リリスの事あんまりよく知らないのに、リリスはピエリのことそれなりに知っててずるいの」

リリス『それなりにっていうわけではありませんよ。私が知っているのは、ピエリさんは料理がとっても上手な無邪気で子供っぽい人っていうことくらいです』

ピエリ「もう、ピエリは子供じゃないの。リリスはピエリのこと全然わかってないのよ」

リリス『そういうムキになるところが子供っぽいところなんですけどね。でも、ピエリさんがとても料理上手なのは間違っていないことだと思いますよ。いつかの料理、とてもおいしくて出来ればまた食べたいくらいです』

ピエリ「ふふーん、ピエリはお料理得意なの、中でもお肉を料理するのが大好きなの。大きなお肉を用意してもらって、包丁で八つ裂きにするの。血抜きしてないのはいっぱい血が出るから、ピエリいつも下ごしらえさせてもらえるのよ」

リリス『それ、一緒に面倒事も押し付けられてませんか?』

ピエリ「いっぱい血を抜いて、最後に包丁でえいえいってして炒めたり煮たりすると、とってもおいしい料理が出来上がるのよ」

リリス『ピエリさんは簡単に言いますけど、私はカムイ様ほどではありませんけど不得意なので、そううまく出来る気がしません』

ピエリ「リリス、ピエリの前でカムイ様の料理の話はしないでほしいの。ピエリ、あの料理を思い出すと、なんだかイライラしちゃうのよ」

リリス『まぁ料理できる人から見たら、あれは食材への冒涜ですもんね』

ピエリ「……あれ、なんでピエリがリリスの質問に答えてるの? ピエリ、リリスの事知りたいって思ってたから危なかったの。忘れなくてよかったの」

リリス『うっ、気づかないでくれれば誤魔化しきれたのに』

ピエリ「ねぇねぇ、リリスの事を教えてほしいの」

リリス『はぁ、教えてほしいと言われても。いったい何を教えればいいんですか? 私の事を知ったところでピエリさんにメリットがあるとは思えませんし……』

ピエリ「よくわからないけど、ピエリはリリスのことが知りたいだけなのよ。ピエリ、リリスとお友達なの。だから、リリスのことをもっと知りたいって思っただけなのよ」

リリス『……そ、そうですか////』ポリポリ

ピエリ「? リリスどうしたの、なんだか顔が赤くなってる気がするの」

リリス『その、あまり態勢の無いことを言われてしまうと、こうなってしまうものなんです。恥ずかしいというよりは、その、何でしょうか、よくわかりません……』

ピエリ「ふふー、リリスはピエリに子供って言ってるけど、リリスの方がピエリより子供なの」

リリス『そ、そんなことはありません!』

ピエリ「あ、ムキになってるの。ムキになるのは子供ってさっきリリスが言ってたから、リリスは子供なのよ」

リリス『あれはピエリさんに向かっての言葉であって、それにピエリさん私より年下ですよね?』

ピエリ「ん、わからないの。ちなみにピエリは〇〇歳なの。リリスはいくつなの?」

リリス『やめましょう、年齢で子供か大人かなんてわかるはずありません』

ピエリ「それで、リリスの事なの」

リリス『え、やっぱり話さないとだめなんですか?』

ピエリ「当たり前なの。えーっとね、リリスって星界を守ってるけど、その前は何をしてたの?」

リリス『前まで、それはマイキャッスルを管理する前という意味ですか?』

ピエリ「そうなの。ピエリ、マイキャッスルに来た時に一度だけリリスを見ただけなの。だから、それよりも前は何をしてたのか知らないのよ」

リリス『……そうですね。私は厩舎係として北の城塞に仕えていました。最初にした仕事はあまりうまくいきませんでしたけど、徐々に仕事にも慣れて――』

ピエリ「なんだかつまらないの」

リリス『えー、ピエリさんが話してって言ったんじゃないですか』

ピエリ「だって、リリス、仕事の事しか話してないの。ピエリ、リリスが何をしてたのか聞きたかったの」

リリス『だから厩舎係の仕事をしていたと言っているじゃないですか』

ピエリ「それじゃ、リリスはそれ以外に何かなかったの?」

リリス『それ以外と言われましても……。そうですね、あるとすればやはりカムイ様の事でしょうか。私が厩舎係になって少して、カムイ様が来てくださったときがあったんです。何でも、ギュンターさんから鍛錬の一種だと馬の世話をするように言われたらしくて』

リリス『だけど、その日の馬は気性が荒くて、正直カムイ様に怪我でもあったら大変だと注意していたんですが、一頭が激しく暴れ出してしまいまして』

ピエリ「それでどうなったの? その馬に何かされちゃったの?」

リリス『ふふっ、それがカムイ様、馬に近づくと優しく鬣を撫で始めたんです。見ただけで危ないってわかるのに、すたすたと近づいて』

ピエリ「暴れてる馬に近づくなんて危ないの。後ろ足で蹴られたら、首が変な方向に向いちゃったりするのよ」

リリス『私はかなり慌ててました。なにせ大切な主君を危険な目に合せてしまっているわけですから。でも、あれがカムイ様の人柄なんだと思います。暴れていたはずの馬が段々と大人しくなっていったんです。私は一頭宥めるのにも時間を使ってしまうのに、カムイ様はいとも簡単に宥めてしまうものですから、正直厩舎係の面目丸つぶれでした』

ピエリ「ふふっ、リリス。内心悔しかったのね」

リリス『ええそうですよ。これでも厩舎番を少しの時間任されるようになった矢先だったので……。本当に、カムイ様に敵いません』フフッ

ピエリ「えへへ、ピエリ一つだけリリスの事が分かったの」

リリス『え?』

ピエリ「リリスはカムイ様の事が好きなの。仕事のお話だけの時と違って、リリスの顔いっぱい、いっぱい動いてたのよ」

リリス『そ、そんなに動いてましたか。いやですね、恥ずかしい////』

ピエリ「えへへ、リリスのこと一つ知れてうれしいの」ニコニコ

リリス『もう……。私の事を、ピエリさんに一つ知られてしまいましたね』

ピエリ「ふふん、ピエリがもっともっとリリスの事を知って全部見つけ出してあげちゃうから、覚悟するのよ」ビシッ

リリス『ふふっ、お手柔らかにお願いしますね』

ピエリ「ふふーん、ピエリ手加減なんてできないの」

リリス『はいはい、わかってますよ。それより、どうしますか? そろそろ宿泊施設に戻るのも――』

リョウマ「む、そこにいるのはピエリとリリスか?」タッタッタッ

リリス『あ、リョウマ様。おはようございます、それに……ベルカさん?』

ベルカ「おはよう……」

ピエリ「おはようなの!」

リリス『おはようございます。どうしたんですか、こんな朝からお二人とも』

リョウマ「俺は日課としている朝の素振りに出る所でな。そしたらベルカと会って、一緒に素振りでもしないかと誘って、今一緒に浜に向かっているところだ」

リリス『そうなんですか。でも、ベルカさん。なんで私の浮き輪を持っているんですか? 素振り用の武器は?』

ベルカ「昨日マークス様が武器にも使えると言っていたから、これで素振りをするわ。確かに、これは中々に強い武器になると思う…」

リリス『あのー、浮き輪は浮くためのものですよ?』

リョウマ「だが、俺の木刀の一撃を喰らって割れなかったところを見るに、これは中々に強い武器だ」

リリス『だから浮き輪は浮くためのものですから』

ベルカ「それで、朝の素振りが終わったら打ち合いをしてみようってことになったの」

リョウマ「ああ、俺の剣戟をどれほど受け切れるのか興味もあったが、何よりベルカの腕がどれほど上がったのか確かめてみるのも悪くない、そう思ったわけだ」

ピエリ「なるほどなの」

リリス『それにしても朝から素振りと打ち合いは中々にハードな鍛錬ですね』

リョウマ「何、毎日行っていればそれほど苦にはならん。それに毎日の鍛錬が今の自分に繋がっていることもある。これをやらないと一日が始まった気がしないのでな」

リリス『あはは、毎日続けてきた習慣は疎かにすると、なんだか調子が狂ったりしますからね』

リョウマ「ああ。そうだ、良ければお前たちも来るか?」

リリス『え、私たちもですか?』

リョウマ「ああ、無理にとは言わないさ。だが、朝から軽く汗を掻くのも悪くは無いと思ってな」

ピエリ「なんだかおもしろそうなの。ピエリ、リョウマ様とベルカと一緒に素振りするの。あ、だけど、ピエリ素振りのための道具持ってきてないのよ」

ベルカ「なら、予備のこれを使えばいいわ…」スッ

ピエリ「あ、リリスの浮き輪なの! あ、この角すごいの! すっごく固くて相手をボコボコに出来そうなのよ」

リョウマ「ふっ、言っただろう。中々に強い武器だとな。それでリリスはどうする?」

リリス『このまま一人帰るのもあれですし、ご一緒させていただきます』

リョウマ「そうか。しかし、リリスは何を使って素振りをするか……」

リリス『ご心配なく、私にも素振りに仕えそうなものがありますので』

リョウマ「? 何も持っていないように見えるが」

リリス『大丈夫です。私にはこの――』

『尻尾がありますので』ユラユラ

今日はここまで

 みんな、リリスの浮き輪は持ったか?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ヒノカ「はぁ、昨日は色々とありすぎてあまりよく寝られなかった。サクラにタクミ、これから二人とどうやって接していけばいいんだ……」

ヒノカ「タクミを見ると頭にあの獣のような叫び声が反響するし、サクラを見てはもしかしたらという想像が頭を過って……」

ヒノカ「だめだだめだ、私は二人の姉だ。こんなことで迷ってどうする。どうにか気分を入れ替えるために、こうやって浜まで来たんだ。まずは軽く体を動かして――」

リョウマ「はっ! せやっ! とうっ!」ブンブンブンッ

ヒノカ「ん? あそこにいるのはリョウマ兄様か。朝の鍛錬を欠かさないとはさすがだな。リョウマ兄様!」

リョウマ「む? なんだ、ヒノカか。お前も朝の鍛錬か?」

ヒノカ「ああ、何をする予定かは決めてなかったけど、ちょっと体を動かしたくて。リョウマ兄様は一人で?」

リョウマ「いや、俺だけじゃない。向こうを見てみるといい」

ヒノカ「向こう?」チラッ

ピエリ「えいっ、えいっ、えいなの!」ブンブンブンッ ドゴンドゴンドゴンッ!

ベルカ「………」ブンブンブンッ ドスンドスンドスンッ!

リリス『ふっ、ふっ、ふっ』クルリンッ クルリン クルリンッ ベシンベシンベシンッ!

リョウマ「思ったよりも、あの浮き輪は侮れない存在だな。ピエリやベルカの黙々とした素振りにも耐えている」

ヒノカ「そっちよりもあれ(リリス)が気になって仕方ないんだ、兄様」

リリス『ふっ、ふんっ、はああっ!』クルリンッ クルリンッ クルリンッ

ヒノカ「リリス、何をやっているんだ?」

リリス『あれ、ヒノカ様。おはようございます、昨日は……あんまり眠れなかったみたいですね。目元、うっすらとですが隈が出来てますよ』

ヒノカ「うっ、わ、私の事はいいんだ。それよりもどうしたんだ、そんなくるくるくると風車みたいに回って」

リリス『え、私そんな風に見えましたか?』

ヒノカ「横から見ると、そう思えなくもなかったぞ。それに、あんなに力強く砂を巻き上げて、思ったよりも力はあるんだな」

リリス『はい、私宙返りだけは得意なので。毎日ご飯を貰う度に、カムイ様の目の前で宙返りをしていましたから。筋力の殆ども実際この尻尾だと言っても過言ではありません。まぁ、筋力を使う場面なんて一回もありませんでしたけど』

ヒノカ「リリス、ならどうして尻尾を使って素振りなんかを?」

リリス『特に理由は在りませんよ。そうですね、あるとすれば、時々砂とかゴミのついた食材を持ってくるカムイ様に一回くらいテールサマーソルトを喰らわせてやりたい!と言ったところでしょうか』

ヒノカ「リリス、そういう時は素直に怒っていいと思うぞ」

ピエリ「あ、ヒノカ様なの。おはようなの!」

ヒノカ「ああ、おはようピエリ。それにベルカも」

ベルカ「おはよう、ヒノカ様…。ヒノカ様も朝の鍛錬に?」

ヒノカ「ああ、そのつもりだ」

ベルカ「そう……。見た所、素振りの道具は持ってきてないみたいだけど」

ヒノカ「何をするかは決めていなかったから、どうするか」

ピエリ「なら、ヒノカ様もリリスの浮き輪を使うの。これとっても持ちやすくて、地面をどんどんって叩けるから、とってもおすすめなの! お鼻の部分で砂を叩くと、すっごい音がするのよ」

リリス『あの、本人が隣にいるのわかってて言ってるんですか?』

ベルカ「持ってきた予備があるから、これを使えばいい…」

ヒノカ「あ、ありがとう」ギョムッ

ヒノカ「……」

浮き輪リリス「」

ヒノカ「……思ったよりも可愛いい造形だな。これを使って素振りをするというのは、その、何だか気が引ける……」

リリス『うう、ヒノカ様だけです』

ヒノカ「はは、でもこれしかないなら仕方ないさ」

リリス『……え?」

ヒノカ「少しだけ素振りをさせてもらうとしよう。ふんっふんっ!」ブンブンッ

リリス『……』

ヒノカ「はっ、やっ!」ブンブンッ

リリス『……お尻』ボソッ

ヒノカ「やめろおおおおお!!!!」

今日はこれだけ

 リリスが宙返りした瞬間に飛び込んでビンタされたい

ヒノカ「リリス、なぜ言った!? なんでその言葉を口にした!?」

リリス『いえ、今唐突に尻尾の部分が痒くなってですね、別にワザと言ったわけじゃないんです』

ヒノカ「そんなに私が素振りをするのが気に入らなかったのか?」

リリス『……』

ヒノカ「そうか、すまない。すでにピエリやベルカが振っているから、大丈夫だと思ってしまって」

リリス『いえ、私の方こそごめんなさい。私の今の姿では心にとどめておくことさえも、難しい状況だということを忘れていました。ヒノカ様、昨日の一件でお尻に敏感になっているはずなのに、あえて、お尻と言ってしまいました』

ヒノカ「……やはりワザとだったんだな?」

リリス『ええ、まぁ、……そうですね』

ヒノカ「……」

 スッ

リリス『あれ、ヒノカさん。そんなに高く浮き輪を掲げてどうしたんですか?』

ヒノカ「リリス、やはり素振りは良くない。無心で振っているだけでは体がなまってしまう。そこでだ、ちょっとここに来てくれ」

リリス『はい、ここですね。着きましたよ、それでこれから何を――』

ヒノカ「はあああああっ!!!!」ブンッ

 ドゴンッ!
  パラパランッ……

ヒノカ「……」

リリス『ちょ、何ですか!? 反応遅れたら顔面に浮き輪が当ってたんですけど!?』

ヒノカ「ちっ。ああ、すまない、すまない、力加減が出来なくてな。本当は寸止めしようと思っていたのに、まぁこういうこともある。さぁ、定位置に戻ってくれ、今度はちゃんと寸止めするさ」

リリス『今、思いっきり舌打ち聞こえましたよ!? それに何ですかその構え、体反って待機して、確実に全力で振り抜くつもりじゃないですか。私、色々と食べても体はそれほど強くなれていないんですよ?』

ヒノカ「大丈夫だ、もし失敗してもノスフェラトゥに殴られたくらいで済む。流石に奴の一撃で死ぬようなことはないはずさ」

リリス『その威力は私のとって致命傷になってしまうと思います』

ヒノカ「む、そうなのか? まぁ、その時はその時だろう。さぁ、私の朝の訓練に協力してくれるよな?」

リリス『いいともー、なんて言うと思ってるんですか!?』

 ワーワー ギャーギャー

リョウマ「ふむ、ヒノカとリリスは思ったよりも打ち解けているみたいだ。ふっ、戦争が終わってからというもの、ああして楽しそうなヒノカの姿を見るのは久しぶりだ」

ベルカ「……楽しそう?」

リョウマ「ああ、裏表なく互いの本心をぶつけられる関係というのは、中々巡り会えるものではない」

ベルカ「ただ言い合いをしているだけのようにしか見えないけど……」

リョウマ「なに、あれも一つの良好な関係というものだろう。一度も喧嘩をしないということは確かにいいことかもしれないが、それはお互いの上辺だけを見合っているだけということもあり得る。相手を理解することはそう簡単にはいかないという事さ」

ベルカ「……よくわからないわ」

リョウマ「ベルカはカミラ王女と喧嘩したことは無いのか?」

ベルカ「私はカミラ様の臣下、従うことが私の役割…。カミラ様の指示に反したことをするつもりはないわ…」

リョウマ「そうか……。俺としては臣下にも気兼ねなく接してもらいたいと思っているのだが……」

ベルカ「リョウマ王子は少し変わっているわ…。臣下がそんな軽い行動を取れば、それがあなたの評価に影響する。私はカミラ様の評価が下がる様な事をするつもりはない…」

リョウマ「確かにそうかもしれないが、公の場でなければカミラ王女と親しくする分には問題ないだろう?」

ベルカ「……私にそんな時間は無いわ」

リョウマ「?」

ベルカ「それより、あの二人はまだ収まってないみたい…」

リョウマ「む?」

リリス『はぁはぁ、ちょ、ヒノカさん。そろそろ許してくれませんか……』

ヒノカ「ああ、許してやるさ。その木から降りてきて、ここにちょこんと座ってくれればな」

リリス『浮き輪を力強く握って言っているから、説得力ありませんよ!』

ヒノカ「くっ、私がカミラ王女ともっと親密に仲良くなっていれば、ここで飛竜を駆ることが出来たというのに……。さぁリリス、さっさと降りてくるんだ。大丈夫、最後の一撃は切なく終わると決まっている」

リリス『そんな一撃要りません!』

 ギャーギャー
  ウーウー

リョウマ「……もしかすると、ヒノカは本当に怒っているのかもしれないな」

ベルカ「そうとしか思えないけど?」

リョウマ「うーむ、しかし、喧嘩するほど仲がいいと――」

ピエリ「え、それじゃピエリとリリスは仲良しさんじゃないの!?」

ベルカ「またややこしくなりそう……」

ピエリ「リョウマ様。ピエリ、リリスとあんな喧嘩したことないのよ。喧嘩しないと仲良しじゃないってリョウマ様言ってるけど、それって本当なの?」

リョウマ「い、いやそうではないと思うが。ただ、俺からするとあの二人はとても仲が良く見える、というだけのことだ」

ピエリ「……だったらヒノカ様もピエリと同じことしたのか、確かめるの!」タタタタタッ

リョウマ「……何を確かめるつもりだ?」

ピエリ「決まってるの!」

「リリスのこと気持ちよくしたことがあるか聞くのよ」

今日はここまで

 理不尽な仲良し理論が二人を襲う

ヒノカ「降りてこいリリス! 降りてくるんだ!」

リリス『いやです。私、ヒノカ様がその浮き輪から空気を抜かない限り、この木の上に立て籠もります』

ヒノカ「そんなところにいたらいつか脱水症状で倒れてしまう。そんなことはやめるんだ」

リリス『いずれやって来る脅威よりも、今目の前にある脅威を避けさせていただきます。私、これでも断食にはそれなりの自信がありますので、ご心配なさらずにどうぞ』

ヒノカ「くっ、長期戦になればなるほどこちらが不利ということか」

ヒノカ(……というか。さんざん大声を出したからなのか、若干腹の虫が収まって来た気もする。今思えば、こうして条件反射のようにお尻に敏感になっていては、それこそ今後の生活に影響を与えかねない。そうだ、落ち着け、リリスに悪気があったにしてもだ、それを受け流す心の余裕、そしてゆとりを持ち合わせること、それこそが今私に必要なことなのではないのか?)

ヒノカ「……」

リリス『……あれ、静かになりました?』

ヒノカ「リリス……。今回の件だが――」

 タタタタタッ

ピエリ「ヒノカ様!」

リリス『ピエリさん?』

ヒノカ「なんだピエリ、私は今リリスと話を――」

ピエリ「ヒノカ様は、ピエリみたいにリリスにきもちいいことしたことあるの?」

ヒノカ「……は?」

リリス『ちょ――』

ヒノカ「おい、ピエリ。いったい何を言っているんだ?」

ピエリ「ん、ヒノカ様とリリスを見てて、リョウマ様がとっても仲良しだって言ってたの」

ヒノカ「仲がいい? これを見て仲がいいとは、リョウマ兄様は何を言って――」

リョウマ「いや、お前と臣下同士の掛け合いを見る限りでは、そう思えなくもないと思っただけの事だ」

ヒノカ「リョウマ兄様、何でもかんでもその理屈が通るわけではないと思う。私にも本当に怒りたくなることがいくつかある。リリスはそれを突いたんだ」

リリス『私もさすがに我慢できないことがあります。ヒノカ様、期待させておきながらあっさり裏切りましたし』

ヒノカ「う、それは確かにあるかもしれないが……。ともかくだ、ピエリの質問の意味がよくわからない。どうして、私にそんなことを聞いたんだ?」

ピエリ「前にピエリ、リリスのこと気持ちよくしてあげたのよ」

ヒノカ「あー、あのみんなの前でリリスが気持ちよかったと宣言したことか」

ピエリ「そうなの!」

リリス『自信満々な宣言やめてよぉ』

ピエリ「うん、スズカゼがね。気持ちよくしてあげて、相手が気持ちいいって思ったらとっても仲良しさんな証拠だって言ってたの! だけど、リョウマ様は喧嘩するほど仲がいいって言ってる。ピエリ、リリスとこんなに喧嘩したことないから……」

ヒノカ「ピエリ……」

ピエリ「だから、もしかしてピエリが知らないところでヒノカ様はリリスに気持ちのいい事したんじゃないかって思ったの!」

ヒノカ「どうしてそうなる?」

ピエリ「だって、昨日。リリス、夕ご飯のまえにどこかに出かけてたの。ヒノカ様、すっごく疲れてたから、リリスはお見舞いに行ってたのよ」

ヒノカ「た、確かにそれはそうだが……」

リョウマ「なるほど、疲れている自分を労わってくれたリリスに恩返しとして、気持ちのいい事を提供したという事か……」

ヒノカ「兄様の言葉の九割が勘違いで、私がどうにかなりそうだよ」

リリス『私も、少しクラクラしてきました』

リョウマ「しかし、気持ちのいい事というと一体何をしていたのか、そこが少しばかり気になるところだな……。やはり揉み解しといったことだろうか?」

ヒノカ「へ?」

リョウマ「む、違うのか? 昨日、島の中を歩き回っていたと言っていたただろう」

ヒノカ「……そ、そうなんだ。リリスの体を少し解してやろうと思ってな」チラッ

リリス『は、はい。そうなんですよ。私、こうして浮かんでいるだけに見えますけど、実は思ったよりも凝っているみたいで、ヒノカ様にとても気持ちよくさせていただいて』

リョウマ「ほう、そうだったのか」

ヒノカ「ああ、そうなんだ。あまり腕に自信はなかったが、満足してくれて何よりだった」

リリス『ええ、中々に良かったですよ』

ヒノカ「そういうわけだから、えっと、その……なんだ。私とリリスは、仲が良いということになるのか?」

リリス『……ピエリさんの考えだとそうなります。あはは、口にするとなんだか恥ずかしいですね////』

ヒノカ「はは、リリスはしゃべってないじゃないか。でも、そうだな、こうして口にすると照れ臭いな/////」

ヒノカ&リリス「//////」

リョウマ「ふっ、やはり俺の目に狂いはなかったな」

ピエリ「うう、ピエリ、ヒノカ様に負けちゃったの。こうなったら、ピエリ、もっともっと仲良しさんになるためにリリスと喧嘩するの!」ブンブンッ

リリス『あれ? また私下に降りられなくなってるんですけど?』

ヒノカ「ふふっ、私をからかった罰が当たったんだろう」

リリス『自分だけ何解決したみたいな顔をして、少しは助ける素振りをしてもいいと思うんですけど?』

ヒノカ「私が邪魔をすると、ピエリが困るだろう? それはお前も望まないことだと思うからな」

リリス『それはそうかもしれませんが……』チラッ

ピエリ「リリス、降りてくるの! えいっえいってしてあげるの!」ボスンボスン

リリス『うわぁ、地面がすごい抉れてますねぇ……』ガクガクブルブル

ピエリ「えへへ、リリス。早く来るの!」

ヒノカ「頑張るんだぞ、ピエリ」

ピエリ「うん、ピエリ頑張っちゃうの!」

ヒノカ(……ふぅ、どうにか話を濁すことが出来た。なんだかんだ、リリスが私の話に乗っかってくれて助かったな。朝食の時、なにかおかずを一つ分けてあげよう)

リョウマ「ところで、ヒノカ。一つだけいいか?」

ヒノカ「なんだ、リョウマ兄様」

リョウマ「純粋な疑問があってな。リリスは浮いているが、何処の筋肉を酷使していたんだ?」

ヒノカ「……へ?」

ヒノカ「リリスがどの筋肉を酷使していたか、か?」チラッ

リリス『?』

ヒノカ(浮いている物体が酷使する筋肉? やはり背筋か? いや、もしかしたら尻尾で均衡を保っていたのかもしれない。ううむ、だめだ、変に考えるといろいろ拗れる可能性がある。ここは太ももや足ということにしておこう、幸いあの変な玉を抱えているのだから、何時も力んでいるに違いない、さぞや疲れているはずだ)

ヒノカ「ああ、それはだな――」

ピエリ「お尻なの!」

ヒノカ「え?」

リリス『え?』

ベルカ「えぇ……」

ピエリ「昨日リリスにヒノカ様のお部屋で何してたのか聞いたら『お尻の事とか、お尻の事とか、そう、お尻の事とか』って言ってたの。多分、ヒノカ様にお尻をいっぱい気持ちよくしてもらったってことなのよ!」

リョウマ「そうだったのか……。お前たちは、すでに尻を揉みしだくような関係に……」

リリス『違います』

ヒノカ「断じて違う」

今日はここまで

リョウマ「まぁ、どんな理由にせよ。ヒノカとリリスの仲が良いのはいい事だ。これからもヒノカと仲良くしてやってくれ」

リリス『あの、理由の部分だけは訂正してもらえませんか?』

ヒノカ「そうだ、私とリリスはそんな爛れた関係ではない」

リョウマ「わかっているさ。それにお前がカムイと同じくそちら側の人間だった場合、報われない者が出てきてしまう、正直それはそれで心苦しいというか、なんというか……」

ヒノカ「そちら側? いったい何のことだ、兄様?」

リョウマ「こちらの話だ。気にすることは無い。それよりもベルカ、準備運動はここまででいいか?」

ベルカ「ええ、とっくに準備は出来ているわ…」ガシッ

リリス『……ベルカさん、その大量に背負った私の浮き輪はなんなんですか?』

ベルカ「予備ね。頑丈だけど所詮浮き輪、何度か使えば割れてしまうから…」

リリス『何度か使えばって、浮き輪として利用すれば数十回以上持つと思いますけど?』

リョウマ「リリス、今この場で浮き輪にも違う使い道が適用されていることを忘れていないか?」

リリス『いえ、浮き輪は浮き輪として使ってもらいたいと、心から願っていますよ』

ピエリ「そう? ピエリはこれでブンブンするのが楽しいのよ」ドゴンドゴンッ

リリス『ピエリさん。ちょっと海に行って浮き輪の使い方、ちゃーんと覚えましょうね』

ピエリ「浮き輪の使い方くらい知ってるのよ。リリスはお馬鹿さんなのね」

リリス『あぁん?』

リョウマ「よし、こちらの準備も整っている」チャキッ

ベルカ「そう、開始の合図は?」

リョウマ「ベルカの始めたいタイミングで構わん。本気で来い、こちらも本気で撃ちこませてもらう」

ベルカ「……」

 ジリッ

リョウマ「……」

 ザザッ

ヒノカ「この空気、やはり兄様だ。訓練であろうとも、これほどに場に緊張感を漂わせることが出来るとは……」

ピエリ「なんだか、見てるだけでも緊張するの」

リリス『リョウマ様と対峙しているベルカさんのビジュアルは、かなりシュールですけどね』

ヒノカ「確かにそうかもしれないが、ベルカの腕も確かなものだろう。心得の無いものが兄様の前に立てば、この気迫を前に動けなくなってしまうこともあるくらいだ」

リリス『そうなんですね』

ヒノカ「ああ、そういう意味ではとても尊敬しているよ」

ピエリ「ねぇヒノカ様、それ以外だとリョウマ様のこと、尊敬してないってことなの?」

ヒノカ「あ、そろそろ始まるみたいだ」

ピエリ「ヒノカ様?」

ベルカ「……!」ダッ

リョウマ「!」チャキッ

ベルカ「はあっ!」ブンッ

リョウマ「ふんっ」チャキッ ガキンッ

ベルカ「!」

リョウマ「そこだ!」グッ 

 ダッ
 ドスッ! パァンッ!

ピエリ「リリスが頭から割れたの!」

リリス『なんでそこだけ実況するんですか!?』

ベルカ「ちっ……。なら……これでどう!」ガシッ ブンッ

 ヒュンヒュンヒュン!

リョウマ「むっ……目くらましなど!」ブンッ ガキィンッ

 ポサッ

リリス『容赦なく地面に叩きつけられましたね、私の浮き輪……』シクシク

ピエリ「リリス、撃ち落とされちゃった。ベルカ、一本無駄遣いしちゃったの」

ヒノカ「いや、それはちがうぞピエリ。もう、ベルカは次の手を打っている」

ピエリ「え? そうなの?」

ヒノカ「ああ、おそらく距離を詰めるための一手、次でこの行為の理由が分かるはずだ」



ベルカ「……」タタタッ

リョウマ「なるほど、投擲した浮き輪にこちらの意識を逸らさせたか。だが、その手に乗ると思って――」

ベルカ「ふんっ!」ガシッ ブンッ

 ヒュンヒュンヒュン!

リョウマ「なに!?」

リョウマ(両方投げてきただと!?)

リョウマ「だが、こんなもの落としてしまえば!」ブンッ

 ドゴッ! 
  パァンッ!

リョウマ「なに!?」

ピエリ「あれ、今回のリリスは割れちゃったの。リョウマ様、そんなに力強く落としたようには見えなかったのにどうしてなの?」

ヒノカ「私にもわからない、兄様が思っていたよりもリリスの強度が弱かったのかもしれない。いや、もしかしたら先ほどの素振りの間に弱いリリスを一つ作り上げていたのかもしれないな」

ピエリ「どういうことなの、ヒノカ様」

ヒノカ「ベルカは自身の投擲攻撃にかなりの自信があるようだし、兄様は避けるより撃ち落とす選択をした。だから、二本目も同じように打ち落すだろうと予測して、他に比べて弱いリリスを投げ、破裂させることで隙を作り上げて肉薄する。これがベルカの狙いだったんだ」

ピエリ「なるほどなの! 弱いリリスならリョウマ様の攻撃で割れても仕方ないのよ」

リリス『私を弄って楽しいですか!? 楽しいんですか!?』

リョウマ(くっ、隙を作ってしまったか。だが、今のベルカは丸腰、距離に入られなければ!)

リョウマ「そこだ!」ダッ ブンッ

ベルカ「っ!」サッ ガシッ

 ブンッ
  ガキィン!

リョウマ「それは先に撃ち落としたリリス! くっ、まさか迎撃したつもりが、近距離に武器を設置させる行為に繋がるとは思いもしなかったぞ」

ベルカ「はっ、ふんっ!」ブンブンッ

リョウマ「っ」サッ ササッ

ヒノカ「すごい、兄様をあそこまで追いつめるなんて。ベルカの奴、さすがはカミラ王女の臣下だけはある」

ピエリ「あ、リョウマ様が押され気味なのよ。これはベルカの勝ちなの!」

ヒノカ「見た目は確かにそう見える。だが、そういうわけではないぞ」

ピエリ「?」

ベルカ(よし、動きを抑え込んだ。これで――)ガシッ ダッ

リョウマ「ここまでの打ち込み、見事だ。だが、最後の最後まで来は抜かぬことだ!」チャキッ ザッ

ベルカ「え!?」

リョウマ「はあああああっ」ブンッ

 バシンッ パァンッ!!!!
  ビリリリッ!

ベルカ「……あ」

リョウマ「見事だ。しかし、最後に欲が出たようだな、ベルカ」

ベルカ「……そうね。あの瞬間、こちらの攻撃を当てる事だけを考えていたわ。暗殺の時と違って、今は敵と対峙しているのに…。私の落ち度ね…」

リョウマ「だが、間合いをこうして詰められるとは思ってもいなかった。中々に新しい経験になったよ。ありがとう」

ベルカ「そう、ならいいわ。だけど、次は同じようには行かないわよ…」

リョウマ「ああ、望むところだ」

ピエリ「ベルカ惜しかったの……。それにしても、リョウマ様の動きはとっても早くて、ピエリわからなかったのよ」

ヒノカ「うむ、やはり強さに衰えは感じられない。兄様は白夜一の侍であることに変わりはないという事か。しかし、中々に白熱した試合だったな、リリス」

リリス『そうですね……』

ヒノカ「どうしたんだ、浮かない顔をしているが」

リリス『浮かない顔をしたくなる理由が私にはあるんですけど。それはさておいて、何かが破れたような音が聞こえませんでしたか? そのビリリって……』

ヒノカ「ビリリ? そんな音、聞こえたか――」

 ヒュウウッ
  ヒラヒラ ポスリッ

ヒノカ「む、なんだ、この布切れは……。先ほど割れたリリスの残骸か何か、か?」

リリス『出来れば、浮き輪の残骸と言ってもらえませんか。えっと、これは……。水着の切れ端?』

ヒノカ「……仄かに温かみがあるが。一体、誰のものだろうか? その、私よりはある気がする……な」

リリス『ヒノカ様、苦しそうに言うのは止めてください』

ピエリ「これ、ピエリには合わないから、ピエリのじゃないの」

リリス『私でもないですし、ヒノカ様の物でもありませんね』

ヒノカ「ああ、私たち以外に誰かが浜辺に来ていて、何らかの拍子にここまで飛んできたのかもしれない。私たち以外の人影は――ん?」

リョウマ「……」

ベルカ「……?」

ヒノカ「何だか二人の様子がおかしいみたいだが?」

ピエリ「本当なの、リョウマ様。なにか考えてるみたいに見えるの」

リリス『どうしたんでしょうか? ちょっと様子を見に行きましょう』スイスイ~

リョウマ「……」

ベルカ「リョウマ王子、なにか……?」

リョウマ「……ふむ」

ヒノカ「リョウマ兄様、何かあったの……か……」

ベルカ「ヒノカ様? リョウマ王子が動かなくなったのだけど、何かあったの?」 プルンッ

ヒノカ「ベルカ、む、胸が丸見えじゃないか!は、早く、これを付けろ!/////」

ベルカ「?」

リリス『なるほど、あの、ビリリリッという音は、ベルカさんの胸の水着が千切れ飛んだ時のものだったんですね……』

リョウマ「ああ、俺の攻撃の勢いで吹き飛んでしまったようだ、先ほどまで怪我がないかを確認した。どこにも怪我はなかったよ」

リリス『そうでしたか。それで、リョウマ様――』スッ

『言いたいことはそれだけですか?』ペチンペチンッ

今日はここまで

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―南国の異界・宿泊施設入り口―

カミラ「今日もいい天気ね」

レオン「あ、カミラ姉さん。おはよう」

カミラ「あら、レオンおはよう。ふふっ、昨日はよく眠れたかしら?」

レオン「まぁね。こういった場所は熱帯夜っていうのかな? 夜も熱くて眠れないかもしれないって思ってたけど、そんなこともなくてよかったよ」

カミラ「そうね。この異界は蒸し暑い感じじゃないから、過ごしやすくてとてもいいところだと思うわ」

レオン「そうだね。あ……」

カミラ「?」

カムイ「あ、カミラ姉さんにレオンさん、おはようございます」

カミラ「おはようカムイ。ふふっ、今日もかわいらしいわね」

カムイ「ありがとうございます、カミラ姉さん。レオンさんどうしたんですか?」

レオン「な、なんでもないよ、その、おはようカムイ姉さん」

カムイ「はい、おはようございます。どうしたんですか、もしかして昨日あまり眠れなかったとか?」

レオン「ううん、そういうわけじゃないから。気にしないでいいよ。こんな朝早くにどうしたんだい?」

カムイ「はい、ちょっと軽く散歩にでも出ようと思いまして、良かったら一緒にどうですか?」

カミラ「うれしいわ、だけどごめんなさい。そろそろベルカが戻ってくるころだから、ここで待っていないといけないから」

カムイ「そうですか…」

カミラ「レオンはどうかしら? 起きたばかりなんだから、軽く歩いてくるのもいいと思うわ」

レオン「そんな、僕はまだ寝起きじゃ……」

カミラ「そう? それじゃその裏表逆の羽織は、レオンのセンスなのね?」

レオン「! そ、そういうことは静かに言ってよ!////」ガサゴソ

カムイ「ふふっ、なんだかレオンさんらしいですね。とっても愛嬌があっていいと思います」

レオン「か、揶揄はないでよ、姉さん!」

レオン「はぁ、もう……。朝からどうしてこんな辱めを受けなくちゃいけないんだ…」

カミラ「あら、皆が集まった朝食の場で指摘されるほうが良かったのかしら?」

レオン「うう……。何も言い返せない」

カムイ「それでレオンさんはどうしますか? 正直、一人で歩き回るのもなんだか寂しいので、ご一緒していただけると嬉しいんですけど」

レオン「え、えっと……」

カムイ「……」

レオン(こういった場所を姉さんと一緒に歩いていて、僕たちの事を何も知らない人が見たら、恋人同士だって思ってくれるのかな……。アクアじゃなくて、僕の事を……。こうやって誘ってくれてるんだから、姉さんももしかしたら……)

レオン「……」

カムイ「レオンさん?」

レオン「ごめん、ちょっと僕も用事があるんだ。少しだけ外の空気を吸いに来ただけで、だから悪いんだけど……」

カムイ「そうですか。分かりました、それでは一人で歩いて来ます。朝食には間に合うようにしますので、遅れても気にしないでください」

カミラ「わかったわ」

カムイ「それでは……」タッ タッ タッ

レオン「……」

カミラ「まだ、諦めきれていないのね」

レオン「……うん」

レオン「本当にどうかしてると思う。こんな難題は生れて初めてだ、こんな勝つことなんてない戦いだってわかっていても、それを受け入れられないことなんてさ…」

カミラ「……そう。レオンにもこんな風に誰かに恋い焦がれることがあるなんて、何だか不思議ね」

レオン「僕もそう思う。姉さんが幸せならそれでいいって思ってたのに、出来れば自分で幸せにしてあげたいって望んでいるんだから」

カミラ「……レオンはカムイを幸せにできる自信があるの?」

レオン「……わからない。だけど、辛そうにしてる姉さんを見るのは嫌だし……。ちがうね、多分だけど誰かに幸せにしてもらってる姉さんを見るのも僕は嫌なんだと思う…」

カミラ「欲張りね」

レオン「うん、初めてだからかもしれない。うまくコントロールできてないだけだから。離れたらどうにかなると思ってたのに、実際は心の中でただ膨れ上がっただけだったし、本当に厄介だよ、この感情は」

カミラ「厄介かもしれないけど、それはとても大切な物よ。誰かを好きなって、その誰かを幸せにしてあげたいっていう姿勢、おねえちゃんは嫌いじゃないわ」

レオン「ありがとう。でも。もしチャンスが巡ってきたら、僕は……」

カミラ「レオン?」

レオン「……ううん、何でもない」

カミラ「そう……。それにしてもベルカ遅いわね…。朝の訓練だけだからもう戻ってきてもいい頃なのに……。あら?」

 ズズズ― ズズズズズ―

レオン「何だろうこの音、向こうから聞こえてくるみたいだけど」

カミラ「そうね、何かを引き摺っているような音だけど――」チラッ

リョウマ「くっ、お前たち。確かに俺が悪かったかもしれないが。こんな形で拘束する必要はないだろう?」

リリス『悪かったじゃなくて、悪いんです。乙女の柔肌を越えた先を曝け出しておきながら、あまつさえそれをまじまじと観察するとは、武士道が泣いて腹を割るまであります!』

ベルカ「リリス、私は別に気にしてないから…」

カミラ「ふふっ、何かあったみたいね」

レオン「そうだね。僕は部屋に戻るよ、その散歩からカムイ姉さんが戻ってきたら気まずいし……」

カミラ「ええ、わかったわ。それじゃ、またあとでね?」タタタタッ

レオン「……はぁ~」トボトボ

ピエリ「リリス、すごいの。あのリョウマ様をパッパッと捕まえちゃったの」

ヒノカ「あれは事故だと私は思うのだが。しかし、まさか浮き輪の残骸だけで見事に拘束できるものだな」

リョウマ「ああ、この材質では抜けるのに相当な力がいるぞ。出来れば解いてくれないかリリス」

リリス『ダメです。まったく、ああいうときは背中を向けるのが男だと思います。あんなにじっと見て……』

ベルカ「リリス、リョウマ様は私の体に怪我がないのか見てくれただけ…。だから――」

リリス『そうかもしれませんが……ん?』

カミラ「ふふっ、なんだかおもしろいことになっているみたいだけど。何かあったのかしら?」

リョウマ「む、カミラ王女か、おはよう」

カミラ「ええ、おはようリョウマ王子。ふふっ、今日はとてもカラフルな布を体中に巻き付けているのね?」

ピエリ「カミラ様、これリリスの残骸なのよ」

カミラ「リリスの残骸?」

リリス『ピエリさん、勘違いしそうないい方はやめてください』

カミラ「それで、どうしてこんなことになっているのかしら? リョウマ王子が何か粗相でも?」

リリス『それがですね……』

リリス『というわけなんです』

カミラ「なるほどね。リリスの気持ち、わからないわけじゃないわ。女の子はそう簡単に肌を見せる物じゃないものね?」

ヒノカ「カミラ王女がそれを言っても、あまり説得力が……。その今もそんな恰好をしているし……」

カミラ「そう? ここは南国の異界なんだから、むしろこれが正装だと思うのだけど?」プルンプルンッ

ピエリ「ピエリも熱いより、涼しくて動きやすい格好の方がいいの!」プルルンッ プルルンッ

ヒノカ「くっ!」

リリス『ともかくです。事故だとしてもあんなにまじまじとベルカさんの乳房を見つめるのはどうかと……』

カミラ「そうね、その点はリョウマ王子も紳士の対応をしてほしかったわ」

リョウマ「すまなかった。だが、俺も本気だったからな、怪我をしていないか確認をする必要があった」

カミラ「ふふっ、わかってるわ。リョウマ王子はベルカの裸に鼻の下を伸ばしていたわけじゃないんでしょう?」

リョウマ「ああ、俺はベルカの身を案じていただけに過ぎない…」

リリス『ほんとぉ?』

リョウマ「本当だ」

リリス『即答されると、もう何も言えません』

カミラ「なら何も問題は無いわ。それよりもベルカ、本当に怪我はなかった?」

ベルカ「ええ、怪我はないわ…。鍛錬では負けてしまったけど…」

カミラ「そう、次は勝てるといいわね」ナデナデ

ベルカ「ん……。撫でないでカミラ様…」

カミラ「ふふっ、頑張った臣下にはご褒美を上げないと」ナデナデ

ベルカ「……」

リリス『というかベルカさんもベルカさんです。もう少し体を隠すとか、そういうことをしてもいいじゃないですか。なんであんなに棒立ちのままでいたんです? 恥ずかしかったですよね?』

ベルカ「……え?」

リリス『だって、いつぞやのアミュージアで行われたダンスの祭典でカミラ様のダンスをお手伝いしたとき、かなり恥ずかしがっていたじゃないですか』

ベルカ「確かにそうだけど、あの時は多くの人もいたし、私も普通じゃなかっただけだから…」

リリス『そうかもしれませんが、もう少し恥じらいを持ってもいいとお思います。ベルカさんだって女の子なんですから』

ベルカ「恥じらいを持ったところで、誰かを殺せるわけじゃないなら。そんなもの必要ない…」

カミラ「ふふ、だけどそういうのに弱い男がいるのもまた事実よ。相手を骨抜きにしたりするのも夢じゃないわ」

ベルカ「そう? なら覚えた方がいいかもしれない…」

リリス『カミラ様、それはシャーロッテさんのお株です』

今日はここまで

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