書きためなし
おそらく短い
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朝 事務所入口
未央「さーて、今日も一日がんばりますか!」
ソンナキュウニ
スミマセン
未央「ん? なんか言い争ってるような声が……」
未央「入る前にちょっと中の様子を、っと」
ちひろ「今やめられたら困ります」
モバP(以下P)「さすがに今すぐはやめませんよ。引き継ぎもありますしね」
ちひろ「そういう意味では……」
未央(ん? やめる!? やめるって、プロデューサーが!?)
ちひろ「考え直しては……もらえませんか?」
P「…………すいません……その、どうしてもやりたいことができてしまいまして」
未央(どうしよう……プロデューサーがやめちゃう? そんな……)
未央(なーんて、ね)
未央(これはあれだね、SS特有の勘違い→盛大にお別れ会とか開いちゃう→未央ちゃん赤面とかいうあれでしょ?)
未央(しまむーやしぶりん、まゆちゃんなんかだと慌ててドタバタコメディになるんだろうけど、ふふふ、甘いねプロデューサー、私は騙されないよ!)
ちひろ「……そうですか」
P「……わがままなのはわかってます。けれど、プロデューサーをやっていくうちに……俺のやりたいことは、本当は違うんじゃないかって……それで」
ちひろ「いえ、こちらこそ、ごめんなさい。引き留めてしまって」
ちひろ「……そうと決まれば、なるべく早く辞められるよう、Pさんの後任を探しませんとね!」
ちひろ「さあ、これから忙しくなりますよ! 社長ったらPさんに頼りっきりで183人も担当させちゃってるんですから、まずは新しくプロデューサーを雇いませんと」
P「ほんとうに……すみません」
ちひろ「いや、これは社長が悪いですよ。普通一人の人間にここまで負担かけさせません」
未央(ん? あれ?)
P「俺も手伝いを……」
ちひろ「いえ、Pさんはまずこのことをアイドル達に話してください」
P「えっ、でも、誰が新しい担当になるのか、ちゃんと決まってからのほうが……」
ちひろ「そうかもしれませんが……たぶん、早く辞めることを伝えておかないと、最悪暴動が起きかねません」
P「暴動ってそんな大げさな……あいつらはそんなことをしませんよ」
ちひろ「だといいんですけど……まあ、大きくなる前に火種は早めに摘んでおきたいのです」
未央(ちょっとまってよ、え?)
ちひろ「あ、メールや、電話じゃなく、ちゃんと会って一人一人に話してくださいね。それと、なるべく二人きりがいいと思います」
P「メールや電話がダメなのはわかりますが、二人きりというのは?」
ちひろ「まあ、これもないとは思いますが……アイドルが数の暴力に訴えるようなことがあるのかもしれないので……」
P「ちひろさんはアイドルを何だと思ってるのですか!?」
ちひろ「むしろなんでそんなに楽天的でいられるのですか!?」
未央「まってって……」
ちひろ「あ、あと一応護身用にジャ〇プとかマガ〇ンとかでお腹を守っといてください」ドン
ちひろ「それと治療用にスタドリ……志希ちゃんや夕美ちゃんは香りで攻めてくるかもしれませんね……ガスマスクも必要ですか」コト
P「ちひろさんは心配性だなあ」
ちひろ「晶葉ちゃん対策にチャフグレネード、裕子ちゃんやこずえちゃん対策にはこの遮断装置を」コト
P「とうとう対策とか言い出したよ……」
未央「プロデューサー!」バン
ちひろ「未央ちゃん」
P「未央……」
未央「プロデューサー! プロデューサーがプロデューサーやめちゃうってほんとうなの?」
P「……聞いていたのか」
未央「ほんとうなの?」
P「……ああ」
未央「うそ……そんな、いきなりやめるなんて、そんな、ドッキリ? でも」
P「ドッキリでもなんでもない、本当のことだ」
未央「……なんで?」
未央「なんで、やめちゃうの?」
未央「私、なにかしちゃったかなあ? やだなあ、急にそんなこと言わないでよ。なんか嫌なことあったらちゃんと言ってよね。私ちゃんと直すからさ」
P「……そういうことじゃないんだよ。俺はみんなのプロデュースができて毎日楽しいと思っている。仕事に不満があるわけじゃない、どころか、たぶん天職なんだろうな、とさえ思うことすらある」
未央「……………………………………じゃあ、なんで?」
P「……本当は、ずっと思っていたんだ」
P「お前らの夢をかなえる手伝いをしている間、ずっと……俺のやるべきことは、いや、俺のやりたいことは、これでいいのかって」
P「俺自身がやりたいことは、ないのかって」
未央「……」
P「この前、それがやっと見つかったんだ……」
未央「……そっか」
未央「それって、さ、プロデューサーしながらとかじゃ、できないの?」
P「ああ。プロデューサーのままでは絶対にできないことだ」
未央「……教えてくれない?」
P「それは……その……」
未央「言いづらいことなの?」
P「…………ああ」
未央「そう……じゃあ、無理に聞いちゃいけないね……」
P「すまん……みんなを、トップアイドルになるまでプロデュースするって言ってたのに……」
未央「……本当だよ……プロデューサーの、うそつき」
P「ぐうっ……」
P「……代わりにさ、別の約束をしよう」
未央「別の約束?」
P「俺のことなんてもう信じられないかもしれないけどさ。それでも、これだけは絶対に守るから」
P「俺は、みんながトップアイドルになるまでみんなの活躍を見守り続ける」
未央「……なにそれ」
P「俺は、プロデューサーだけど、みんなのファンでもあるんだ。だから、みんなの活躍を、これからも見守り続ける」
P「すこし離れることになるけれど、それでも、みんなを俺は見ているから」
未央「……」
未央「……わかった」
未央「私、これからもがんばるから、だから、プロデューサー、ちゃんと私のこと見ててよね」
P「ああ、絶対に見守る。応援し続ける」
未央「……」チラ
未央(ちひろさん、気を利かして出て行ってくれたのかな? それじゃあ……)
未央「プロデューサー!」ギュッ
P「ちょっ、おまっ」
未央「誓いのハグ! おりゃー!」
P「おい、アイドルなんだから男性とこういうスキンシップはやめなさい!」
未央「最後なんだからこれくらいさせろー!」
P「……ずるいぞ。そういうのは」
未央「……いいじゃん。どっか行っちゃうプロデューサーのほうがずるいし」
P「……」
未央「……これは誓いのハグ、そして、応援のハグ!」
未央「プロデューサー、プロデューサーやめちゃっても、がんばってね!」
P「!」
P「…………ありがとう、未央」
未央(その後、プロデューサーはすべてのアイドルを説得した)
未央(ちひろさんの危惧したようなことは起こらなかったみたいで、誰々が刺したなんて噂も広まらなかったし、プロデューサーは五体満足だった)
未央(また、意外なことにプロデューサーと一緒にアイドルをやめた子もいなかった)
未央(『みんながトップアイドルになるまで見守り続ける』というのが利いたのかもしれない。いや、その場に居合わせたわけじゃないけど。プロデューサーはたぶんああいうことをみんなに言うだろう。あの人は、良くも悪くも平等だから)
未央(それから、プロデューサーの後を引き継げる人物はなかなか見つからず、結局大人組や芸歴の長い子はセルフプロデュース、残りのアイドルは多くをちひろさん、そのほかは大人組が分担して対応することになった)
未央(プロデューサーの作っていたプロデュースノートがかなり読みづらいものだったらしく、新人に引き継げることができなかったらしい)
未央(いくらすべて一人でやっていたからと言って、引継ぎができなくなるまで独自な文法でノートを書くなんて……社長が社長なら部下も部下ということかな? いや、それだとちひろさんの敏腕っぷりが説明つかないか)
未央(とにかく、プロデューサーの送別会をやって、新体制にもみんなが慣れ始め……)
未央(一ヶ月ほど経って、事務所は元のように回り始めた)
未央(そして、また一ヶ月して)
ライブ会場
ザワザワ
卯月「……関係者席にプロデューサーさん、いませんね」
ちひろ「うーん……ちゃんとチケットは送ったんですけどね……」
凛「それだけがんばってるってことでしょ」
未央「テレビとかネット配信とかで見てくれてるって。トップアイドルになるまでみんなを見守ってるって言ってたし」
凛「あ、やっぱり未央もそれ言われたんだ」
卯月「ふふ、私も言われました!」
ちひろ「あの人はホント誰にでもそういうこと言うんですね……」
未央「えっ? ちひろさんも言われたの?」
ちひろ「…………言われてないです」
ちひろ「いいんですよー、私はかわいいかわいいアイドルじゃありませんからね。ただのアシスタントですからねーええ」イジイジ
卯月「ああ、そんないじけないでください!」
未央「ちひろさん笑ってる」
凛「いじけてるんじゃなくて、卯月をからかってるだけだねあれは」
卯月「もー、ちひろさんったら、もー」ポカポカ
ちひろ「あはは。……卯月ちゃん、その様子ならプロデューサーさんがいないさみしさは取れましたね」
卯月「えっ、ちひろさんまさか私のために……」
凛未央「「いやいや、適当に言っただけでしょ」」
ちひろ「ばれちゃいましたか」テヘ
卯月「もー、ちひろさんったら、もー」ポカポカ
ちひろ「あはははは」
スタッフ「すいません。そろそろ準備お願いします」
「「「「はーい」」」」
未央「それじゃあ、行こうか」
凛「うん、ファンのみんなも、今はいないけどプロデューサーも、きっと数ヶ月ぶりのニュージェネレーションのライブを楽しみにしてくれてる」
卯月「その期待に精一杯応えないといけませんね!」
ちひろ「みなさん、がんばってきてくださいね。プロデューサーの代わりに、ここからちゃんと見ています」
NG「「「はい、行ってきます!」」」
ワーワーウヅキーリンチャンーミオーワーソウセンキョハシズクニオネガイシマスーワー
卯月「流れ星を探そうよ~♪」
ウオーアアーウオー
最前厄介オタク「流れ星キセキきたあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ブンブン
卯月(うわ最前列の人すごい)
凛(サイリウム両手バルログ持ち、最前列でジャンプ、無駄にオタ芸激しすぎてほかの人にぶつかってるし)
未央(うへえ、ステージまで届くほどの声量、周りの人に私たちの歌聞こえてるのかな)
未央(ん? この声聞いたことあるような?)
最前厄介モバP(以下元P)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」
NG(((えええええええええええええええええええええ!!!!!?????)))
ライブ終了後
未央「なにしてんのさ!」
元P「……」
未央「ちょっと、聞いてんの?」
元P「いや、控室に呼ばれるなんて緊張しちゃって」
未央「いつも来てたじゃん!!!」
元P「いや、プロデューサーとしてくるのと客としてくるのでは全然違うんだよ」
未央「まったくわからないんだけど……ところでさ、なにしてんの? いや本当に。夢を見つけたとか言ってたんじゃなかった?」
元P「『夢を見つけた』なんて言ってないぞ。ただ、やりたいことが見つかった、と言っただけだ」
元P「前からずっと思ってたんだ……関係者席や舞台の袖でお前らを見守っていたけど、『なんか違うな』って……」
元P「ただ黙って見てるんじゃなくて、もっと、ちゃんとみんなの応援をしてみたいって、ずっとそう思ってたんだ」
ちひろ「プロデューサーさん」ホロリ
凛「プロデューサー……」グス
未央「今のどこに泣く要素が?」
未央「ていうか、プロデューサーの応援、ほかの人の迷惑になってたんだけど……」
元P「やっぱり……俺が来たのは迷惑だったか?」
卯月「そんなことないです! プロデューサーさんが来てくれたおかげで、私たちライブ中いっぱい元気もらえました!」
凛「そうだよ! 今日のライブで私達が全力を出せたのも全部プロデューサーのおかげだよ!」
ちひろ「来てくれてありがとうございます! Pさん!」
元P「みんな……」グスッ
未央「みんな甘すぎでしょ! 母親か!」
未央「……観客席から応援したかったって、それはプロデューサーのままじゃできなかったの?」
元P「ああ、あのままでは正直忙しすぎたからな。みんなの活動を全力で応援できなかった」
未央「みんなの応援? って……えっ?」
元P「仕事であまり遠出はできなかったからな。地方ロケに同行しちゃうと今度はこっちのイベントに参加できなかったり」
未央「待って、え? プロデューサー、その、聞くの怖いんだけど誰のファンなの?」
元P「おいおい、何を言ってるんだ」
元P「もちろん、俺が担当したアイドル183人全員のファンさ」
未央「はああ!?」
未央「え、いや、あの、プロデューサーさん、この後のご予定は?」
元P「ん? この後か? そうだな。まず●×局にタクシーで行って、ほたるのラジオの出待ちだな」
元P「その後は△■局で『時子様の狂の豚料理』の収録を観覧。前から何通も出してようやく当たったんだ。楽しみだぜ」
元P「そんで今日は終わりだな。夜明けまでネカフェでネット番組を見る。今日は水曜日だから飛鳥の番組と比奈の番組があるな」
元P「明日は始発で新幹線乗って京都へ紗枝と周子が出る舞台を見てそれから」
未央「あ、うん、はい。わかりました。もういいです」
元P「あ、もうこんな時間か。まずいな、ほたるのラジオが始まってしまう。すまんがそろそろ」
未央「待って。プロデューサー、どうしても聞きたいことがあるんだけど……」
未央「プロデューサー、仕事は?」
元P「ん? してないけど? 今までの貯金もあるし退職金も結構もらえたしな。数十年は遊んで暮らせる」
未央「…………そっか」
元P「みんな、今日はありがとうな。久しぶりに会えてよかった」
卯月「こちらこそ、ありがとうございました! プロデューサーさん!」
元P「おいおい、俺はもうプロデューサーじゃ……」
凛「いや、プロデューサーはいつまでも私達のプロデューサーだよ。みんなを応援し支えてくれている。……大変だろうけれど、これからもがんばって」
ちひろ「ここにいないアイドルもみんな、Pさんのこと大好きですから、きっと、みんな同じ気持ちです。Pさんの応援のおかげでみんながんばってます」
ちひろ「だから、Pさんもがんばってください。私が、応援しています」
元P「みんな……本当に……ありがとう……じゃあ、俺、行ってくる!」
未央「あ、うん、じゃあね」
凛「行ってらっしゃい」
卯月「どうかお身体に気を付けて」
ちひろ「無理はしちゃだめですよ」
元P「……ああ!」
卯月「……行っちゃい、ましたね」
凛「……未央、私達も帰ろう」
未央「」スー
ちひろ「未央ちゃん?」
未央「なんっだこれっ!!!」
その後、番組観覧で時子様に「客になって出禁になるか、また豚(プロデューサー)に戻るか選ばせてあげる」と言われたPはプロデューサーに復帰しました。
それを聞いた未央ちゃんは「私以外にもまともな人がいて本当に良かった」と言ったそうな。
めでたしめでたし
これにて終わりです。
及川雫にみなさまの清き一票をお願いします。
まともに画像すら貼れないダメ人間でごめんなさいorz
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