夜は長いよ (2)
深夜の二時、安アパートの二階にある俺の部屋の
前で、何者かがチャイムを鳴らした。
金曜日の夜ということもあり、寝付けないでいた
俺は布団から這い出て、扉の前に立ち何事かと尋
ねる。
儚げで、どこか諦めたような声が聞こえた。
「助けてください。危険な相手に追われているの
です。今晩だけでも、どうか、匿ってくださいま
せ」
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なる程、たちの悪い相手だ。
女の事情が真実であろうと、嘘であろうと、自分
に対する迷惑というものを全く考えていない。
今の自分は酒の影響もあっていくらか感傷的だっ
たのだが、こうなると話は別だ。
「警察へ行かれたらどうですか?」
「けいさつ、という方をお訪ねすればよろしいの
ですか?」
「ええ、きっと相談に乗ってくれますよ」
「世も捨てたものではありませんね。そのような
信頼をおかれた方がおられるとは。
教えて頂き、感謝を申し上げます」
どうにも、ちぐはぐな会話になってしまった。
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