-エンジェル珈琲-
マスター「……さて、天真くん。ここいらで少し休憩をとろうか」
ガヴ「へい……つっても、ずっと休憩してるようなもんでしたけどね」
マスター「うっ……は、ははは。そうかもね。じゃあ裏の控え室に……」
ガヴ「うす」ガサゴソ
マスター「……おや?何だい、その缶は」
ガヴ「あ、これっすか?」
ガヴ「缶コーヒーっす」
マスター「え」
ガヴ「さっきバイト前に買いました」
マスター「え、えええええええええ!?缶コーヒー!?」
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ガヴ「そうっす」カシュッ
マスター「な、何故缶コーヒーを?」
ガヴ「いや、なんか飲みたかったんで」
マスター「の、飲みたかったぁ!?」ガーン
ガヴ「駄目っすか?」
マスター「いや、駄目じゃないけど!駄目じゃないんだけどさぁ!!」
マスター(な、何ということだ……よりにもよって、コーヒー喫茶のマスターの目の前で缶コーヒーを飲もうとは……!)ワナワナ
ガヴ「んくっ」ゴクゴク
マスター「……!」ハッ
マスター(そ、そうだ!確か天真君はコーヒーの味が分からなかったはず!以前、私のブレンドコーヒーを飲んだときもよく分からないと言っていたし……)
マスター(だからきっと、缶コーヒーの味だってよく分からない……そうだよね、天真君!)
ガヴ「……」プハッ
ガヴ「あ、この缶コーヒーうめぇ」
マスター(ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?!?!?!?)ズギャァァァァァアアアアン
ガヴ「……」ゴクゴク
マスター(ええええっ!?嘘っ!今、天真君美味しいって言った!?缶コーヒー美味しいって言っちゃったの!?)
ガヴ「……」ゴクゴク
マスター(き、聞き間違いだよねぇ!?だって天真君はコーヒーの味が分からないんだもんねぇ!?そうだよねぇぇえええ!?)
ガヴ「……」プハッ
ガヴ「うん、やっぱ美味いなこれ。気に入った」
マスター(気に入っちゃったぁぁぁあああああああああああああ!!!)ドギャァァァアン
ガヴ「……あれ。どうしたんすかマスター」
マスター「あ……だ、だいじょぶ……な、何でも、ない……よ」ガクガクガクガク
ガヴ「いや、全然大丈夫に見えませんけど……生まれたての子鹿ですらもうちょいマシに立ちますよ」
マスター「き、気にしないで……ほ、ほら……缶コーヒーを楽しむんだろう?」ガクガク
ガヴ「え?……あ、なるほど」
ガヴ「気にしないでいいっすよ。マスターのコーヒーと、コレは全くの別物なんで」
マスター「そ、そうかい……あ、ありがと……ね」ガクガク
マスター(気にするよぉぉおおおおおおおおおおお!!!だって私、コーヒー喫茶のマスターだもぉぉおおおおおおおん!!!)
マスター(私なんて天真君に一度も「美味しいです」って言われた無いのに!!無いのにぃ!!なんで缶コーヒーなんかにぃぃいいいいいい!!)
マスター(私、缶コーヒーに負けちゃったよぉぉおおおおおおおおおおお!!!)
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ガヴ「……あの、マスター。そろそろ休憩終わりじゃないっすかね」
マスター「…………ごめん天真君。先に戻ってて貰えるかな……」チーン
ガヴ「うっす」
ガヴ(マスターってこんなに老けてたっけ)
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-別の日-
マスター「……ということがあってね」
ヴィーネ「それは….…残念ですね」
ヴィーネ(マスターさん、すごくやつれてる……相当ショックだったのね)
マスター「やっぱり、私のコーヒーは天真君の口には合わないのかなぁ……」ハァ
ヴィーネ「わ、私はマスターさんのコーヒー、とっても美味しいと思いますよ」アセアセ
マスター「ありがとう……月乃瀬君はやっぱり優しい子だね」ニコッ
ヴィーネ「いえ、そんな」
マスター「……実はあの後、色々な種類の缶コーヒーを買って、試しに飲んで見たんだ」
ヴィーネ「え、そうなんですか?」
マスター「うん。実に色々な味があってね。中には信じられないほど甘いものもあったけど……なるほど、確かにこういう味が好きな子も居るのかもしれないなと感じたよ」
ヴィーネ「……」
マスター「人には好みという物があるからね。万人に受け入れられるコーヒーを淹れるというのは、とても難しいことだと思う。……それでも」
マスター「やっぱり、うちの従業員である天真君くらいには、自分のコーヒーを美味しいと言って貰いたい……そう思ってしまうのは、私のエゴなのかな」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「……」ズズッ
ヴィーネ「うん、美味しい」
マスター「……月乃瀬君?」
ヴィーネ「やっぱり、美味しいですよ。このコーヒー」
マスター「……月乃瀬君」
ヴィーネ「私、コーヒーに詳しい訳じゃないですけど、ここのコーヒーの美味しさは本物だと思います。何というか……心がこもっているというか。そんな気がします」
ヴィーネ「確かに、これを苦いと感じてしまう人もいるかもしれません。けど、それと同じくらい……いえ、きっとそれ以上、このコーヒーを美味しいと感じる人がいるはずです」
ヴィーネ「それに、いつかガヴにも、この美味しさが分かるようになるかもしれませんし……」
ヴィーネ「だからその……元気出してください、マスターさん」ニコッ
マスター「……」
マスター「……」プルプル
ヴィーネ「ま、マスターさん?」
マスター「……ありがとう月乃瀬君。君は本当に、天使のような子だ」
ヴィーネ「あ、あはは……悪魔ですけどね」ボソッ
マスター「お陰で目が覚めたよ。どんなに悩んだ所で、私に出来る事は一つしかない……そう」
マスター「天真君が美味しいと言ってくれるその日まで、私が思う最高のコーヒーを淹れ続けることだけだ」
ヴィーネ「マスターさん……!」
マスター「……さあ、月乃瀬君。おかわりはいかがかな?」
ヴィーネ「え?あ、はい!頂きます!」
マスター「ふふふ、待っててね。とびきりのブレンドコーヒーをご馳走するよ」
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-また別の日-
ガヴ「……」カチャ…
マスター「……」
ガヴ「……」ズズッ
マスター「……」
ガヴ「……」
マスター「……ど、どうだい?」
ガヴ「やっぱよく分かんねぇっす」
マスター「駄目かぁ……」ハァ
マスター「で、でも、私はあきらめないよ!今度はもっと美味しいコーヒーを淹れて、天真君に「美味しい」と言わせてみせるからね!」
ガヴ「はぁ……それはまあ、いいんすけど」
マスター「けど?」
ガヴ「マスター、最近妙にやる気っすね。なんかあったんすか?」
マスター「ふふふ。私もマスターだからね。やはり、自分のコーヒーを美味しいと言って貰いたいものなんだよ」
ガヴ「ふーん」
ガヴ「あ、もしかして、この前私がアレ飲んでたせいっすか?」
マスター「えっ!?あ、うん……そうだね。それもあるかな」
ガヴ「なるほど……」
マスター(というかほぼそれなんだけどね!)
ガヴ「……マスター」
マスター「何だい?」
ガヴ「これ、言っとくべきか迷ったんすけど……なんか言っといた方がいい感じなんで、言っときます」
マスター「え?何の話?」
ガヴ「ぶっちゃけ、私も最後に缶捨てるときまで気付かなかったんすけど、あんとき飲んでたやつ……」
ガヴ「缶コーヒーじゃなくて、缶ココアでした」
マスター「え、えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?!?!!?」ズギャァァァアアアン
-おしまい-
マック○コーヒーを飲んだマスターは何を思うんだろう……
HTML化依頼出してきます
過去作です。ギャグ主体ではありませんが、こちらもマスターが出てきますので、よろしければどうぞ
マスター「いらっしゃいませ」 グラサン「……」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1490226314
グラサン「マスター、いつものを」 マスター「かしこまりました」
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