貴虎「定食!そういうのもあるのか」 (18)
戦闘力以外割とポンコツな主任(以後貴虎表記)「予定より大分順調だな。では引き続きその調子で頼む。無理はするな」 ピッ
貴虎「ふぅ…取り敢えずはこれで一段落、といったところか」
貴虎「…」スタスタ
貴虎(沢芽市も随分元の姿に戻ってきたものだな。話題作りに巨大風車を作るなどといった案もあったが、別の市と被ってしまうからな)
貴虎(…だがまだまだ油断は出来ない。街並が戻ってもあの戦いの爪痕はまだ根深く市民の心に残っている。我々の戦いはまだここからが本番だ)
グゥ~
貴虎(…とは言え流石に腹が減ったな。思えば朝からコーヒー程度しか口にしていなかったか)
貴虎(だがまだ仕事が残っている。ゆっくり食事を取っている余裕も無いな)
貴虎(またラーメンでも食べるとするか。だがここからだと以前の店は少し遠いな…)
貴虎(…折角だ。また別の店を探してみるとしよう)テクテク
貴虎「…む?何だ、この匂いは…」
貴虎(香ばしい油の香り…ここか。どうやら見たところカツ丼の店のようだな)
貴虎(…思えばこういった店は今までほとんど入ったことが無かったな)
貴虎(よし、丁度良い機会だ。行ってみるとしよう)スタスタ
ウィーン
店員「いらっしゃいま……あ、兄貴!?」
貴虎「確かに私は兄だが君の兄ではない」
店員「……失礼をした。お好きな席にどうぞ」
貴虎「わかった。…なるほど、ここは食券ではないのだな」
虎(あの店員、何故サソリの尻尾が生えているんだ?最近の若者のファッションはわからんな)
店員(しかし似ているな…スコルピオに)
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イラッシャイマセー オカワリデシテー ヒンナヒンナ ソースノチカラ、オカリシマス!
貴虎(チェーン店のようだが、中々盛況だな。1人な訳だしカウンターでいいだろう)
貴虎(さてメニューを見るとするか。…ふむ、やはりメインはカツ丼か。…何ぃ?ソースカツ丼だと…!)
貴虎(丼にソースをたっぷりと浴びたカツとキャベツ…無難にカツ丼にしようと思っていたが、よもやこのような伏兵がいるとは!)
貴虎(腹は空いているからがっつりと食べて英気を養い午後からの職務に励みたいところだ。この選択は間違えられんな…)
貴虎(おお、カツカレーもあるのか。カレーか…久しく食べていないな。ん?こっちにもページがあるのか)ペラッ
貴虎(な、なんだと…!カツ丼だけでなく天丼まで…!しかも丼だけでなく定食もあるのか!)
貴虎(完全に侮っていた…!どうすればいいのだ、初志貫徹でカツ丼に行くか?いやこのソースカツ丼というのも興味を惹かれる…)
貴虎(だが久しぶりにカレーを食べたいという気持ちもある。だがカレーなら別にここでなくても食べられる…くっ!プロデェクトアーク以来の苦悩だ!)
貴虎(戦いを挑むには致命的に情報が足りん。ここは他の客の様子を伺ってみるとしよう)チラッ
黎斗「私には神の才能があるのだからなぁ!見ろパラド、カツの味を引き立たせるレモン塩の性能を!」
パラド「おいおい、カツにはソースだろ?あんまり俺の心を滾らせるなよ」
貴虎「…駄目だ、参考にならん」
店員「注文は決まったか」
貴虎(さっきの店員とは別人か)
貴虎「…すまない、まだ決めかねているところだ」
貴虎「すまないが、何かお勧めのメニューは無いだろうか」
店員「そうだな。この新メニューのタルタルソースカツ定食はどうだ?」
貴虎「ソースとタルタル…何て恐ろしい組み合わせだ。そうか、定食でいくのも手だな」
店員「ここの定食メニューは味噌汁代わりに豚汁が付属する。腹も舌も満足するだろう」
貴虎「豚汁!そんなところにまで伏兵が紛れていたか…」
貴虎「よし、では定食で頼む」
店員「タルタルカツでいいのか?」
貴虎「いや…折角だ、色々と味わってみたい。この海老ヒレメンチカツ定食を頼もう」
店員「他に何か注文はあるか」
貴虎「いや、これだけでいい」
店員「了解した。注文を受けたらすぐに用意するのが店員のルールだろう」スタスタチェイサー
貴虎(…気のせいか、あちこちで見かける店員だな)
貴虎(空腹とは言え、つい勢いで欲張ってしまったな)
貴虎(だがエビフライにメンチカツなど久しく食べていなかったしな…美味かったらまた光実に教えてやるとしよう)ズズッ
貴虎(ふむ、安物のお茶だ。だが不思議とホッとするな…。まだ寒い日が続く中こういった暖かいお茶は実に心地良い)
貴虎(ここにあるのはトッピングの類か?これは…ソースか。フライ系がメインの店な訳だ、当然だな)
貴虎(これは七味か。いいな、後で豚汁に入れるとしよう。これは…ドレッシングか?匂いからしてゴマダレのようだが)
貴虎(そしてこの小さな壺には何が入っている?…ほぉ、これは漬物か。丁度定食は白米だ、これも後で是非試してみよう)
貴虎(店内に漂う揚げたての揚げ物の匂いやカレーの匂いが、否が応にも空腹の胃に響く…行儀が悪いとは思うが、待ちきれんな)
店員「待たせたな。海老ヒレメンチカツ定食だ。冷めないうちに食べるのが客の使命ではないのか」
貴虎「おお、すまないな。気のせいかもしれないが、君とは前にもどこかで会っていないか?」
店員「俺はここのアルバイト。同時に時間帯責任者だ」
貴虎「…まぁ、特に大した問題ではないな。では有り難く頂くことにしよう」
貴虎「いただきます」パンッ
店員「タベテイーヨ」
ハート「チェイス、単品でカツをもう1枚つけてくれ」
紘汰「おっ?なぁアレ貴虎じゃないか?あいつもこういう所で飯食べるんだなぁ。行ってみようぜ!」
戒斗「放っておいてやれ。モノを食べる時は誰にも邪魔されず独りで静かで豊かであるべきだ」ガシッ
紘汰「あだだだだっ!!わかった、わかったっての邪魔しねぇよ!なんでアームロックすんだよ!」
貴虎(ヒレカツ1枚にエビフライが2本、これはメンチカツか…凄まじいボリュームだな)
貴虎(だがこの大量の千切りキャベツと野菜たっぷりの豚汁で栄養バランスも悪くない。さて、どれから行くか…)
貴虎(よし、まずは定番のヒレカツから挑むとしよう)サクッ
貴虎「…っ!」
貴虎(揚げ立ての衣のなんとサクサクとした事か!この小気味良い食感からの肉厚ヒレ肉のジューシーさ…素晴らしいな!)モグモグ
貴虎(おっと、私としたことがソースをかけ忘れていたな。…おぉ、この少し辛口のソースによって益々肉と衣の味が際立つじゃないか)
貴虎「はふっ、ほふっ…しかし、揚げたては流石に熱いな…」
貴虎(丁度良い、口直しも兼ねてキャベツに行くか。…成程これは良いな。口の中の油がスッキリする)シャクシャク
貴虎(そうだ、このゴマダレをかけてサラダ代わりにするとしよう。……うむ、ゴマの風味と程よい酸味がキャベツに良く合う)
貴虎(どれ、ではヒレカツをもう1枚……そこからまたキャベツ…おぉ、これは止まらなくなるな!)
貴虎「おっと、カツばかりに気を取られていたな。他のものにも取り掛かるとしよう」
貴虎(よし、次はこのエビフライだ。ふふ、こんなものを食べるのは子供の頃以来か…。光実も好きだったな)
貴虎(こっちも衣がサクサクで良いな。…うん、中のエビも悪くない。チェーン店の安物の筈なのだろうが、全く気にならないぞ)サクサク
貴虎(この辺りで一旦白米にいくか。おっと、エビフライからソースが垂れそうだな、一度ご飯の上にワンバウンドさせて…)
貴虎(はふっ…美味いな。あっという間に1本食べてしまった。残り1本か…。尻尾は、流石に食べないでおこう。行儀が悪いな)
貴虎(む、さっきのソースが米にかかってしまったな。まぁ、構わんが……おお、ソースのついたご飯がまた、何とも堪らないな!)
貴虎(これは米が進むな…うん、キャベツを合間に挟むと米が全然足りなくなる。これはペースを考えなければならないようだ)
貴虎(…このゴマダレをカツにかけるのはどうだろうか?…おぉ、なかなか良いぞ。ちょっとした冒険だな)
ジャベル「メンチカツ定食を頼む」
店員「了解した」
アラン「では私はたこ焼き定食を」
店員「メニューを、よく、見ろ」
貴虎「おっと、豚汁がまだ手付かずだったな」ズズッ
貴虎(ネギにニンジン、大根、ジャガイモ…ふんだんな野菜に豚肉の旨味が味噌に溶け出している。身も心も温まる味だ)
貴虎(味噌汁ならいざ知らず、豚汁は中々口にする機会が無いものだな。体の芯から温まる心地だ…)
貴虎(そして、豚汁の余韻残るままに白米を…うむ、米と合わない筈がない!)ハムハム
貴虎(よし、そろそろメンチカツに取り掛かろう。…ナイフとフォークは、流石に無いのか)
貴虎(仕方ない、マナーが悪い気もするが箸で割るとしよう)
貴虎「…っ!?」
貴虎「な、なんて事だ!皿の上に肉汁が溢れ出してしまった!」
貴虎(くっ…!どうして俺はこういつも肝心なところで油断してしまうんだ…!凌馬も俺のこういうところに愛想を尽かせたのかもしれんな…)
貴虎(…嘆いても仕方ない。零れてしまった肉汁はキャベツに絡ませて食べるとしよう)
貴虎(…怪我の功名というやつか。美味いな、これも)モグモグ
貴虎「さて、ではメンチカツに取り掛かろう」
貴虎(断面から溢れる湯気、そこから香る芳醇な肉汁の匂い…これは不味い訳がないな)
貴虎「あふっ!はふ、はふふっ!」
貴虎「くっ…!予想以上の熱さだ、だが…やはり美味い!」
貴虎(これは特にソースとの相性が抜群だな。カツと違い肉の食感は味わえない分、肉汁がダイレクトに口の中に入ってくる)ムグムグ
貴虎「よし、一口サイズにして、こうしてご飯の上に置いて米と一緒に…」
貴虎「…これは、堪えられん…!」
貴虎「む?メンチカツも半分ほどしか無いのにまだこんなにキャベツが残ってしまっているな」
貴虎(食べ物を残してしまうのはノブレスオブリージュに反する。…よし)
貴虎(残りのキャベツの3分の1にゴマダレをかけ、もう3分の1にはソースを…)
貴虎(残りのメンチカツとエビフライにもソースをかけよう。ヒレカツにはキャベツ同様ソースとゴマダレをかけ…)
貴虎(ご飯の隅に漬物を添えれば完成だ。どんな食べ合わせ方にも即座に対応出来る完璧なこの布陣…まさに天下御免)フフン
貴虎「よし、では本格的に攻めかかるとしよう」
貴虎(ああ、ソースをつけたカツとゴマダレをつけたカツ、濃厚とさっぱりを交互に食べると止まらないな…合間に漬物と同時に米を食べるのがまた、なんとも…)
貴虎(ヒレカツやメンチカツの濃厚な肉の味に舌が慣れたところに齧り付くエビフライ…最高だな!よし、キャベツと一緒に食べてみよう)モグモグ
貴虎(やはりな!キャベツと一緒に食べるとまた違った味わいだ。よりすっきりと食べられる上にシャキシャキの食感がサクサクの衣の食感と相まって箸が進むぞ)
貴虎「…ふぅ、そしてこの時折挟む豚汁がまた、米を求めさせてくれる」ズズッ
貴虎「この漬物も良いな。実に良い塩梅だ、下手をするとこの漬物だけでご飯が無くなってしまいそうだ」ポリポリ
店員「ご飯のおかわりは100円で出来るぞ」
貴虎「いや、そこまでゆっくりと食事をしている訳にはいかなくてな」
貴虎「…」
貴虎「すまない、やはりおかわりを頼めるだろうか」
店員「マッテローヨ」
貴虎(この漬物は本当に良い仕事をしている…)ポリポリ
店員「待たせたな。ご飯のおかわりだ」
貴虎「おお、早いな」
店員「漬物が気に入ったのならレジで販売している。気軽に注文するといい」
貴虎「そうなのか?光実への良い土産になりそうだ、後で買わせてもらおう」
店員「まいどあり」
霧彦「ああ、やはりこの店は良い風が吹くな…」ポリポリ
翔太朗「ただのエアコンだろ。ったく、家族の外食にハブられたからっていつまでもショボくれてんなよ。ほらエビフライ1本やっから」
貴虎(さて、ご飯のおかわりも来た事だ。フィナーレといこうか)
貴虎(漬物を今度は大目に茶碗の隅にスタンバイさせ…折角だ、多少行儀は悪いが残りのヒレカツもご飯に乗せてソースをかけて…)イソイソ
貴虎(そうだ、キャベツも少し盛るとしよう)
貴虎(ふふ、ちょっとしたソースカツ丼の出来上がりだな)ハムハム
貴虎「…ああ、やはり間違うはずがない」
貴虎(ソースがたっぷり絡んだカツと白米を同時に口にする度に至福を感じる…これは是非ともソースカツ丼も試してみるべきだな)
貴虎(エビフライのサクサク、プリプリの食感の2重奏。メンチカツの重厚な肉汁のソロ。そしてそれらを決して飽きさせないキャベツと漬物)
貴虎(それらをしっかりと土台として支えるご飯と豚汁。まさに完全調和。パーフェクトハーモニーだ)モグモグ
貴虎(そしてこのソースが絡まったご飯がまた美味い…それを頬張ってから豚汁を啜る。そしてまた揚げ物を齧る。この幸福な循環から抜け出せなくなるな…)
貴虎(たかがチェーン店、されどチェーン店…やはり本格的にユグドラシルも飲食業界に進出するか)
貴虎(…試験的に発売した「ユグドラ汁」はあまり売れなかったが。何故だったのだろうな)
貴虎「ご馳走様。実に美味かった」フキフキ
店員「何よりだ。また来るといい」
貴虎「ああ、是非また立ち寄らせてもらおう。今度はソースカツ丼も試してみたい」
アリガトウゴザイマシター マタキテイーヨ マッテルーヨ オカワリホシイノデシテー ヨクタベルネ
貴虎「ふぅ…実に心地良い満腹感だ。腹も心も満たされた」ドンッ
貴虎「おっと、これは失礼。……父さん!?」
琉兵衛「確かに私は父さんだが、君の父さんでは無いな」
貴虎「…それもそうだ。すみません、失礼しました」
琉兵衛「はっはっはっ、構わんよ」
若菜「お父様ー、置いていきますわよー?」
冴子「早く帰ってあげないと。どうせ霧彦さんの事だから不貞腐れているでしょうけど」
フィリップ「分かっているならどうして一緒に食事に誘ってあげないんだい」
スミロドン「ほんとだよ」
琉兵衛「こらこら来人。ミックを戻してあげなさい」
貴虎(…仲の良い家族だ。さしずめ一家揃って外食の帰りといったところか)
貴虎「…」
貴虎「今度は光実と一緒に来るとしよう」
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貴虎「私だ、呉島だ。…ああ、そうだ。…わかった、ではそのように手配しておく」 ピッ
貴虎(さてと…、また少し時間が出来たな。朝食も取れなかった事だ、またどこかで軽く買っていくか)
貴虎(…いや、ここまで来た事だ、またあの店にいってみるとしよう)スタスタ
イラッシャイマセー オイエージ!ソースヨコセ コノミセヲ、ナメルナヨ!
貴虎(そう言えばここはテイクアウトも出来るのだったな。今日は持ち帰りにして家で光実と一緒に食べるとしよう)
貴虎「注文いいだろうか。テイクアウトを頼みたいのだが」
店員「申し訳ない。今日は大量の注文が入ってカツが足りないのだ」
貴虎「何?そんな事もあるのか…。まぁ、それならば仕方ないな」
店員「お詫びに割引クーポンを渡すのが店員のルールだろう」スッ
貴虎「残念だな…まぁ、繁盛していて何よりだ。また来るとしよう」
店員「すまないな」
メディック「チェイスー。まだバイト終わりませんのー?」
ハート「折角のカツが冷めてしまうぞ。ああ、この油の匂い…今から我慢ならないな!」パァァ
ブレン「ちょっとハート!公衆の面前で超進化というのは幾らなんでも情緒もムードも需要もありませんよ!」
店員チェイス「お前達、一体俺が誰の食費を稼いでいると」ドッサリ
貴虎「お前が買い占めたのか!!」
久しぶりの仮面ライダー鎧武SSでした。まさか戦隊モノでメロン兄貴を見る日が来るとは…しかもまた兄貴キャラだし。
主任は本当に良いキャラですね…本編で特にキャラ崩れたりしていた訳でもないのに何故か立派なネタキャラに…。
今度のライダーSSはまた某食いしん坊4人組の食道楽だと思います。今度は何を食べさせよう…。
…あ、豚汁に七味使うの忘れてた
オツカーレ
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