男「もう一度 (3)

妻「離婚…しましょう」

三十年連れ添った妻は冷徹に冷静に言った。

私はフリーズした。私は直ぐに彼女の提案を断るべきだった。愛してると泣きながら離婚するのはやめてくれと懇願するべきだった。

男「……」

だが、私は無口なので妻に何も言えなかった。終始無言で妻の言葉に頷くだけだった。

妻「突然…ごめんなさいね…離婚したいなんて事を言って」

男「……」

妻「貴方と結婚してから三十年くらい経つわ…お見合い結婚でしたね」

妻は「私は16歳で貴方は18歳…初めてあった日の次の日にはもう祝言を挙げましたね…祝言を挙げた夜は大きな満月が空に浮かんでいて、すごく綺麗だった事を覚えてます」

妻「私はその日の夜、貴方と結ばれました、私は結婚してからずっと不安でした…でも名前しか知らなかった貴方を必死に愛そうとしました、必死に尽くして来ました」

妻「だけど、貴方は無愛想で無口で…結婚してから一度も愛してると言わなかった」

妻「貴方は私を愛してましたか?私にはもう…わからない…わからないのよ」

妻「私も貴方を本当に愛してたのか?…それとも結婚した義務感でただ一緒に居ただけなのか?私にはもうわからないわ…」

妻「だから…もう私を自由にしてください」

妻「恋も知らないし…初恋もしたことのないわ…私に恋をさせてください」

妻「…離婚しましょう」

妻は離婚届を私の前に出した。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490105801

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom