・　・　・

ガチャ

P「おはようございます…春になるのに寒いなあ」

未央「そうですね♪まあまああったかい昆布茶でもどうぞ！」

P「これはどうもご丁寧にありがとうございます」ずずっ…

未央「さあさあ今日も頑張ってお仕事がんばりましょー♪」

P「そうですね…ところで何やってんの未央？」

未央「アシスタント未央ちゃんですよっ！」

P「わざわざ蛍光色の事務服を来て…」

未央「髪は三つ編みじゃなくてごめんね☆」

P「別に三つ編みが重要な訳じゃないんだが…、ちひろさんは

未央「体調が悪そうだったから仮眠室でお休み中だよ！」

P「まじで？」

未央「けっこーヤバそうだよ？」

P「…ちょっと様子見てくるわ」

・　・　・

ちひろ「ずいまぜん…ごのいぞがじいじきに早引きなんで…」

P「ちゃんと病院に行って今日はゆっくり休んでくださいね」

ちひろ「ありがどうございまず…げほげご」

未央「後はこの未央ちゃんに任せるのだあ！」

P「それはいいから」

未央「ええー！？」

ちひろ「とりあえず…失礼しまず…」

バタン…

未央「別にいーじゃん！今日は雑誌インタビューしか仕事ないんだしー！」

P「流石に高校生に会社のお仕事を任せるわけには行かないっつーの。後で留美さんに来てもらうから」

未央「留美さんだって忙しいんじゃないの？今日休みなのに呼んじゃまずいっしょ！」

P「それはそうなんだけど留美さんには前から手伝ってもらってたし」

未央「んー、じゃあさ、アイドルが事務所のお仕事1日体験大作戦っ！的な感じはどうでしょう？」

P「なんじゃそりゃ」

未央「いつもの雑誌インタビューじゃ面白味がないじゃん！そこでアイドルが事務所のお仕事を体験している様子を取材してもらおう！ってなわけですよ！」

P「…まあ今日のインタビューはいつもお世話になっているところだからそういうのも出来るが…」

未央「じゃあやろうよー私もお仕事体験やってみたーい！」

P「しょうがないなあ、じゃあちょっとだけだぞ」

未央「やったー！」

・　・　・

未央「とは言ってもアシスタントって実際何するんでしょうか？？」

P「んー、色々あるけれど未央にお願いできそうなのは何かな…」

未央「むむー、私だって一応勉強出来るんですよー！多少のことなら出来るから！」

P「じゃあこの雇用契約書の文言を派遣登録に基づいた法改正後の文章に修正してくれる？」

未央「すいません熊本弁はさっぱりなんで」

P「立派な日本語だよ、っとまあこんな感じのことをお願いしたりしてるかな」

未央「なんか凄い難しいじゃんアシスタントって！」

P「今までアシスタントのことを何だと思ってたんだ？」

未央「スタドリを売る人？」

P「まああながち間違っちゃいないが…」

未央「…なんか事務員って、お茶汲んだりするだけの仕事かと思ってた」

P「何年前のイメージだよ。あとちひろさんはそれなりに色々こなせるから色々お願いしているだけだ」

未央「んじゃあ私が出来ることないの…？」

P「んー、じゃあこの紙の書類があるだろ？」

未央「ふむふむ」

P「ここの日付が全部和暦になっているんだけど上に提出する時は西暦で出さなきゃならない」

未央「ほうほう…ってまさか」

P「これを全部パソコンにあるエクセルに打ち直してちょうだい」

未央「これ全部！？ジャンプ並みの厚さだよっ！？」

P「めんどくさいだろ？でもやるしかないんだよなあ」

未央「しかもこれ手書きでなんて書いてあるか見にくい…」

P「頑張れー、きっと今日中には終わるから」

未央「うっそだー！？こんなの絶対終わんないって！？」

P「ちなみに今日やる仕事はこれだけじゃないぞ？プレゼン資料の作成のための資料集めとか」

未央「資料を作るための資料？？」

P「ライブ会場の予定を確認して、動員数とそれに比例した警備員数と、その数の警備員を派遣できるキャパのある警備会社調べと、いくらかかるのかを計算してそれをペイするのはどれだけチケットを最低でもさばくのかとか」

未央「そんなのどうやって調べるの！？OKグーグルすればいいの？」

P「あながち間違っちゃいないぞ？過去のライブの協賛とか見て、絡んでいる警備会社をリストアップしてそこのホームページ見て見るとか」

未央「すごいめんどい…」

P「そうか？小学校の社会科の調べ学習の応用だよ」

未央「んん～、なんか華がないね」

P「プロデュース業なんて大半がそんなもんだよ。基本的に会場の抑え機材の抑え人員の抑えをひたすら繰り返すのがお仕事」

未央「ほんとに地味なお仕事でございますなあ」

P「でもそれを一度でもミスったら億単位でお金が吹っ飛ぶからな。箱を抑えたけれど警備抑えてなくて方々土下座してお金だして人員確保なんて絶対やりたくないし」

未央「うわぁ…そんなことやったことあるの…？」

P「別にそこまで派手にミスったことはないけれど、駆け出しのころは物販読み違えて売り切れ出したり、逆に多く持ち込みすぎて持ち帰りの手配が出来なかったりとか」

未央「それどうしたの…？」

P「仕方ないからレンタカーでデカ目のバン借りて、詰め込めるだけ詰め込んで会場から倉庫まで往復したかな？倉庫が埼玉で会場が横浜だったからえらい目にあった」

未央「きっついね…」

P「まあライブ当日のトラブルなんてある意味出たとこ勝負で何とかするからいいんだけれど、それまでの仕込みがなあ…」

未央「今やってる作業ですかいな？」

P「うん。大きいキャパの会場なんて年単位で埋まってるし、大きい企画を通そうとすればするほどこういう地味な調べ学習が大事になるんですよ」

未央「へえ…、っとこれなんて書いてあるの？」

P「うん？６かな？」

未央「うっそだー、これ４に見えるよ？」

P「あー、見えなくもないけれど…、じゃあ４で」

未央「大丈夫？これ間違えてたらあとでプロデューサー怒られない？」

P「怒られるのは作業するはずだったちひろさんだし」

未央「んん？」

P「冗談冗談。それそんなに重要なことじゃないから」

未央「う～ん、これ何に使うの？」

P「さあ？」

未央「なんでプロデューサーもわかんないの！？」

P「まれによくあるよ。そんなに重要じゃないけれどやらないといけないことって。手が空きそうなときにちょこちょこ進めたりするデータ打ち込みとか」

未央「ますますやる意味がわからんですな…」

P「それは同感。こっちの資料集めも言っちゃえばいつもの警備会社にお願いすれば済むってだけだし」

未央「じゃあなんでそんな仕事しなきゃいけないのさあ？」

P「う～ん、言ってしまえば未央の出来る仕事をお願いするために用意した仕事だからなあ」

未央「…じゃあやる意味ってないの？」

P「それはどうだろうな。少なくともデータ入力は3月が終わるころには済ませたかったからそれを未央にお願い出来るのはすごく助かるし、俺が今使っている警備会社以外で何かよさそうなところを見つけてくれるならありがたい」

未央「……」

P「だから、意味がないことはない」

未央「…仕事ってそんなものなのかな」

P「…そんなことなんだよ、きっと」

未央「……もしさ」

P「うん」

未央「アイドル引退して、普通の会社で、普通に働くとしても、きっと同じなんだよね？」

P「…たぶんな」

未央「……じゃあ頑張る」

P「？」

未央「なんか、頑張る気分なのですよ」

P「…じゃあお願いね」

未央「任されました！」

・　・　・

記者「事務員体験ですか？面白そうな記事になりますね！」

P「すいませんね、急に変更しちゃって」

記者「いえいえ！正直ネタも切れかかってたところなんでこういうネタは面白いですよ！」

未央「…記者さんも、急にこんなこと言われたら大変ですか？」

記者「？」

P「あーいや、ちょっと事務仕事の大変さにびっくりしちゃったみたいで」

記者「ああ、そういうことね。そりゃ急な変更は大変ですけれど」

未央「…なんか、すいません」

記者「いやいやそうじゃなくって！僕はこういうのすごく嬉しいんですよ！」

未央「？」

記者「やっぱり、アイドルとか芸能人とか取材していると紋切りばっかりでつまらないんですよね。でも相手からこういう形でも色々アクションがあるのは、何だかちゃんと取材しているなっ！って思えて楽しいんですよね！」

記者「なので346プロさんはバンバンこいうい飛び込み企画用意してくれてもいいですからね！？」

P「ははは…考えておきます」

記者「じゃあ取材、始めちゃっていいですか？」

未央「…ありがとうございます」

記者「？」

未央「なんでもないよっ！じゃあ今日もよっろしくー☆」

・　・　・

ちひろ「すいませんご迷惑をおかけしました」

P「いえいえ、ちひろさんも体調がよくなってよかったです」

ちひろ「お仕事は大丈夫でしたか？」

P「ああ、溜まってるけど許容範囲内でしょ」

ちひろ「そうですね、ちょっと頑張って終わらせましょうか、…ってあれ？」

P「どうしました？」

ちひろ「あのむちゃくちゃめんどくさいデータ打ちこみ、終わったんですね？」

P「あぁ、未央が頑張って終わらせてくれたよ」

ちひろ「…本気でアイドルにやらせたんですか？」

P「まあ素人にやらせるのってあれくらいしかなかったし、終電までかかって終わらせてたよ」

ちひろ「途中で帰らせればよかったのに」

P「なんか、意地になって終わらせてたな。言っても帰らなかったし」

ちひろ「…まあいいです。その分仕事も減りましたから」

ガチャ

未央「おっはよー☆」

ちひろ「あっ、未央ちゃんおはようございます。昨日はありがとうございました」

未央「いえいえ！それよりもいつもありがとうねっ！ちひろさん！」

ちひろ「？？…はい、どういたしまして？」

未央「じゃあ今日もお仕事頑張っていきましょー！」

未央「ね？」


おしまいっ！