市民「おっしゃ!」
国「あ、ありえない……」
電力会社「こんな事を認めたら、大混乱が起こるぞ……」
市民「言い訳乙!」
市民「やっぱり原発事故は人災だったんだ!」
市民「電力会社と国はカスだ!」
弁護士「人として当然の判断です」
弁護士「電力会社と国は、真摯に対応すべきです」
市民「これで世の中が良くなるぞ!」
時は流れ
市民「さて、賠償金も支払われたし」
市民「起業でもして……」
市民「……」
市民「いや、やっぱり真面目に会社員を続けよう」
市民「普通が一番だよな」
市民「さて、出勤するか」
会社
社長「すまんけど来月から給料下げるわー」
市民「」
市民「なんで!?」
社長「電力会社が電気料金を値上げして」
社長「経営が厳しくなってな……」
市民「ちっ……電力会社め」
市民「なんで値上げなんてしやがるんだ!」
社長「原発事故が起きた際の補償費用を電気料金に含めるからだってさ」
市民「へ?」
社長「ほら。いつだったか津波は予測できたとかって判決が出ただろ?」
社長「だから、そういった自然災害に備えるため、やむなく値上げするんだそうだ」
市民「」
社長「まったく……迷惑な裁判結果だよ」
市民「……」
夕方
市民「……」
市民「さて、帰るか」
市民「嫌な事は忘れて飯でも食って帰ろう」
家
テレビ「次のニュースです」
テレビ「原発事故の津波予測は可能という裁判後」
テレビ「主にサービス業で値上げが相次いでいます」
市民「……」
テレビ「特に巨大地震が起こると予測されている地域は」
テレビ「天災に備えるための費用が莫大になるため」
テレビ「当該地域から撤退をする企業も出始めるなど」
テレビ「雇用や流通の空洞化が早くも懸念されており……」
市民「……」
市民「さ、さて、寝るか!」
さらに時は流れ
国「えーそれでは、今後の安全基準ですが」
国「国は一定の基準を設けますが、それについての保証は」
国「一定額までという新たな方針に変えるものとします」
記者「そ、それはどういった意味なのでしょうか?」
国「昨今、国は多岐にわたる安全基準を設けていますが」
国「これは、これだけやれば100%安全という意味では有りません」
国「この基準はあくまで安全上の考えであり一定の基準であるため」
国「これによる事故が起きたとしても二次三次被害まで想定はしていません」
国「よって」
国「国としては、この安全基準の下、施工されていたとしても」
国「いかなる原因であろうとも、ある程度の金額以上は払わないものとします」
記者「そ、それは横暴ではないですか!?」
国「昨今の判例では、人災と言われる事故も多発しており」
国「国としても心苦しいのですが」
国「これからは企業側の責任として扱って頂きたいのです」
記者「それは原発事故の事を言っておられるので?」
国「あくまで一般論としてです」
記者「しかしそうなると、それは国の責任放棄という事になるのではないですか?」
国「あらゆる基準の末端まで国の監視が行き届くわけではありません」
国「残念ですが、企業側もその点を踏まえ、これからは経営をして頂きたく思います」
記者「で、ですが!」
記者「ここのところ、安全基準の備えとして様々な企業が値上げを行っています」
記者「今日の発表が実現すると、それが更に加速するのではないですか!?」
市民「……」
電力会社「先日の国からの発表を踏まえ」
電力会社「更なる天災の備えが必要と判断し」
電力会社「当社としましても心苦しいのですが」
電力会社「段階的に現在の電気料金の50%まで値上げを検討しており……」
鉄道「電気料金が上がるので運賃の値上げを行います」
ガス会社「天災に備えるため値上げを……」
水道「我が社も同様に値上げの方向で……」
石油会社「コンビナートの安全性を高めるためやむなく値上げの方向で……」
運送業「ガソリンが値上がりしたので、やむなく値上げを行います」
大手小売店「輸送費等の諸経費が高騰したので価格を上げざるを得なく……」
市民「」
さらにさらに時は流れ
会社
社長「あー従業員の皆さん」
社長「残念ながら、昨今の電気ガス水道などの値上げにより」
社長「本社の経営は大変厳しいものとなり」
社長「皆さんにも給料の値下げなどで協力いただいたのですが……」
社長「昨日、倒産の憂き目と相成りました」
市民「」
社長「まことに無念です……本当にすみません」
市民「……」
市民(どうして……こんな事に……)
国「上手い事値上げに踏み切れたな」
電力会社「天災に備えないといけませんからね」
建設業「いや~こっちとしても助かってます♪」
電力会社「一時はどうなる事かと思いましたけど」
電力会社「彼らの言い分を逆手に取るとは見事なものです」
国「そこはそれ、蛇の道は蛇というアレさ」
電力会社「それではいつもの……どうぞ収めください」
建設業「あっしからも少ないですが……」
国「うむ」
国「これからもよろしく頼むよ」
おわり
フィクションです。
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