ルビィ「全力反抗期」 (18)

ルビィちゃん過去話。 小学校高学年~中学生くらいのイメージです。
あまり長くないです。

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ルビィ「おはようございます、お母様」


母「あら、おはようございます、ルビィ。 今日はお花のお稽古ですよ」


ルビィの家は、地元でも有名みたいで、ルビィは生まれた時から、たくさんの習い事をしていました。

ルビィ「おはよう、お姉ちゃん」


ダイヤ「おはようございます、ルビィ。」


目上の人には敬語を使うよう教えられて、お姉ちゃんだけが例外でした。


ダイヤ「ルビィ、寝癖がついてますわよ。 直してらっしゃい」


ルビィ「うん…」


髪は腰より下で、常に整えるよう躾られました。

そんな、お堅いお家に生まれたルビィは、きっと他の女の子とは違う、特別な人生を。


お母さんの決めた人生を歩むと、そう思っていました。


でも…


母「こら、ルビィ! またそんな番組を見ているのですか!」


ルビィ「うぅ、ごめんなさい…お母様…」


母「テレビはニュース以外見ないようにと言ったでしょう… あなたは黒澤家の子供なのです。 …もっと自覚を持つように。 いいですね?」


ルビィ「はい…」

母「ルビィ!! また学校のお友達と遊び呆けていたのですか!」


ルビィ「ご、ごめんなさいお母様。 でもお友達に誘われて…」


母「悪い影響を受けるようなら、そのお友達とのお付き合いも避けることですよ」


ルビィ「……」


母「返事は?」


ルビィ「…はい、お母様」

ダイヤ「ルビィ…最近気が緩んでいるのではないですか? …お母様に叱られてばかりいるようですが…」





母「ルビィ!いい加減に…」





ルビィ「もぅ………」



ルビィ「…もぅヤダぁぁぁ!!!!」




そんなある日、ルビィは爆発してしまったのです。

ルビィ「何なの! お姉ちゃんもお母様も!! 礼儀正しくとか、じかくを持てとか!!」


ルビィ「もうルビィ疲れた!!」



ダイヤ「…る、ルビィ?? 一体何を…」



母「…ルビィ。 少し頭を…」


ルビィ「ルビィ、もういい子やめる。 言う事聞かない。…好きなようにするもん!!」


ダイヤ「る、ルビィ、少し落ち着いて…って、どこへ行くのですか!」


母「ルビィ!!」


その日、ルビィは、無けなしのお小遣いと、その日偶然持たされていた習字のお月謝を持って、家を飛び出しました。


ルビィ「うっ…ひっく…」


ルビィ「なんで…なんでルビィばっかり…」


今まで『いい子』をやってきたルビィにとって、それは人生でもっとも大きな反抗期でした。
でも、勢いで飛び出してきたとはいえ、何をするつもりもありません。


ルビィ「どうしよぅ…お家に帰れない…」


ルビィはあてもなく歩き続けました。
途中でバスにも乗りました。
なるべく遠くへ行きたいと思いました。

気がつくと、ルビィは沼津まで出てきていました。…今思うと、子どもながらものすごい度胸です。


ルビィ「うゅ…人がたくさん…」


お姉さん「ねぇ、あなた1人で来たの??」


ルビィ「えっ! え、えと…」


お姉さん「お使いかな、偉いねぇ。 これ、良かったらどうぞー」



そのお姉さんがくれたのは、ライブのチラシでした。
もう名前も思い出せないアイドルだけど、このチラシが、ルビィの人生を変えたんです。

ルビィ「なにこれ…可愛い…!!」


フリフリのスカート、大きく結んだツインテール、全身に浴びるスポットライト。


ルビィの知らなかった世界が、その紙の中に広がっていました。そして…


カランコローン
イラッシャイマセー

美容師「あれ、珍しい、1人で来たの?」


ルビィ「あ、あの!!」


ルビィ「この髪型にしてください!!」





チョキチョキ…


美容師「君…黒澤さん所の子だろ」


ルビィ「えっ!? …ち、違います…」


美容師「いいや、この髪の色、目の色、間違いないね。 …俺は君のとこのお父さんにお世話になったんだ」


ルビィ「そ、そう…なんですか」


この頃から男性恐怖症を発症していたルビィはガチガチに緊張していました。…でも、美容師のお兄さんはなぜか、安心して話せました。


美容師「…ほいっと! どんな感じ?」


ルビィ「わぁ…!! かわいい…!!」


美容師「そいつは良かった。 お疲れさん。 …お父さんに連絡してやるから、もう家に帰りな」


ルビィ「えっ…でも…」


ルビィの抵抗虚しく、お兄さんはお父さんに電話を掛けてしまいました。

都会に来て、無意識に気を張っていたみたいで、不思議そうな顔をして迎えに来たお父さんを見た途端、ルビィは泣き出してしまいました。


父「…そうかぁ。 お母さんがなぁ。」


車の中で、ルビィは今朝あったことをお父さんに話しました。


ルビィ「あ、あのね、お父様…ルビィは」


ルビィ「ルビィ…アイドルになりたい…んだ」


父「アイドル? …アイドルかぁ。」


ルビィ「でも…お母様に言ったら…怒られま…怒られる…から」


父「…そうだなぁ。 でもなルビィ。 お母さんがルビィに期待する気持ちも、分かってやってくれないか」


ルビィ「うゅ…でも…」


父「…まぁまだ難しいかな。 俺達はルビィにもダイヤにも、色々押し付けすぎたのかもしれんなぁ」


ルビィ「お、お父さん!」


父「ん?どうした」


ルビィ「ルビィ…習い事やめたい」


父「…」


ルビィ「毎日辛いし、ルビィ、友達と遊びたい。 周りの子と同じように!」


髪型を変えたことが引き金になったのかは分かりませんが、その時のルビィは、とても勇気があったと思います。


父「…よし。 わかった。 お母さんは、父さんが説得しよう!」


ルビィ「…ほんと!?」


父「あぁ。 だからもう泣くな。」


父「アイドルみたいになるなら、笑ってなくちゃな」


ルビィ「…うん!!」ニッコリ

母「…ルビィ!? あなたどこへ行って…その髪は…」


ルビィ「お母…さん。 ルビィね、アイドルになりたいん…だ」


母「…アイドル? そんなものどこで覚えて…」


父「まぁまぁ、いいじゃないか、ルビィも女の子なんだから」


母「あなた…甘やかしては…」


父「ルビィ、お姉ちゃんにも話しておいで。」


ルビィ「う、うん…」



お父さんは、ルビィの味方。 そう信じて、ルビィはお姉ちゃんの部屋に行きました。
生まれて初めて、お姉ちゃんと面と向かって話したような気分でした。
髪の毛のことはビックリされたけど、お姉ちゃんもアイドルが好きだったこと、ルビィにキツくしすぎたことを申し訳なく思ったことなどを話しました。


ルビィ「お姉ちゃん…ルビィね、習い事やめるんだ」


ダイヤ「まぁ…そうですの。」


ルビィ「お姉ちゃんは…どう思う?」


ダイヤ「…ルビィの選んだ道です。私は何も言いませんわ。 …ただ」


ダイヤ「自分で道を決めたなら、責任を取りなさい。必ず」


ルビィ「…うん!」

お姉ちゃんは、深くは聞きませんでした。何も言わず、ルビィの選んだ道を、応援してくれました。それが、何だかとても、お姉ちゃんらしい気がしました。

それからしばらくして、お父さんがお姉ちゃんの部屋に来て、ルビィ達を居間に呼びました。
そこには申し訳なさそうな顔のお母さんが座っていました。


母「ルビィ…」


ルビィ「お母さん…あの」


母「私はあなたを縛り付けていたのかもしれません。 …習い事はもうやめです。 それから…」


母「キツい言葉を掛けてしまいましたが…私はあなたを心から愛しているのですよ、ルビィ」


ルビィ「…お母さん!!」


ルビィはそのとき、おそらく生まれた時以来に、お母さんに抱きしめてもらいました。


母「…ふふ、今日だけですよ? 甘えん坊は」


ルビィ「えへへ…」


母「…あなたは短い髪もよく似合いますね」


ルビィ「本当!?」


母「えぇ。」


父「良かったじゃないかぁ、ルビィ」


ダイヤ「良かったですわね、ルビィ」


ルビィ「うん! ルビィ…頑張ってアイドルになるね!」


母「ほらダイヤ、あなたも」


ダイヤ「…!! し、仕方ないですわ…」


こんな感じで、ルビィの全力の反抗期は終わりました。
この後、ルビィは習い事をやめて、放課後も花丸ちゃんと遊んだり、アイドルの雑誌を読んだりするようになりました。

そしてルビィは今も、周りにビックリされるくらいの、パパっ子なんです♪

終わりです。

駄文失礼しました。

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