春香「千早ちゃん!」真壁瑞希「瑞希ですが」 (16)



春香「……あれ?」

瑞希「天海さん。如月さんに何か用ですか?」

春香「あ、うん。たいしたことじゃないんだけどね。千早ちゃんが撮る私の写真、頭についてるリボンのドアップばっかりだから、それについて問い詰めようと思ってたんだけど……今、事務所には」

瑞希「いません。私と、天海さんだけです」

春香「あれ~……おっかしいなぁ……確かに千早ちゃんがいたと思ったのに……どこかの壁と同化してるのかな……」

瑞希「壁と同化……? 如月さんは、忍者なのでしょうか。……忍術、習ってみたいぞ。にんにん」

春香「そうじゃないんだけど……。と、とにかくごめんね。私、ちょっと千早ちゃん探してくるから! じゃあまたね!」

瑞希「はい。いってらっしゃい、天海さん」


ガチャッ

バタン


瑞希「……」

千早「……」

瑞希「うわっ!?」

千早「ふふっ」




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瑞希「……如月さん。いつからそこに。……びっくりした……どき、どき」

千早「ごめんなさい。でも、真壁さんの驚いた顔。すごくかわいかったわ」

瑞希「そ、そう……ですか。かわいかった、ですか」

千早「えぇ、つい写真に撮ってしまったくらい」

瑞希「えっ」

千早「みんなにも見せていいかしら?」

瑞希「えっ、あ、いえ、はい。……それは、いいですけど。……いつの間に撮ったのでしょう」

千早「気がつかなかったでしょう? 私の撮影技術も、かなり向上したようね……!」

瑞希「あ、その撮影ぎじゅちゅ、…………撮影ぎづじゅ、………………カメラの腕前についてなのですが」

千早「春香の言っていたことね」

瑞希「はい。聞いていたんですか」

千早「もちろんよ」

瑞希「ではなぜ……」

千早「私は、春香に気づいて欲しいの」

瑞希「リボンが本体だということに?」

千早「違うわ。春香が、私のことを」



千早「胸で識別しているということに」

瑞希「…………」




千早「真壁さんも、さっき間違われたでしょう?」

瑞希「それは……はい」

千早「私がちょっといい補正下着をつけて、少しだけ、ほんの少しだけ大きく見えていたときなんて、春香は私だということに気付かず話しかけても完全に無視したのよ」

瑞希「……確かに、ひどい、とは思いますが。……それで仕返しをするというのも、大人げがないような。素直に指摘してみては?」

千早「違うのよ真壁さん。私は仕返しなんてつもりはないの。それに、もう何度も言っているの。私を胸で認識しないで、って。顔を見て。って」

瑞希「それでも、だめだったんですか」

千早「……そうよ。春香の視線は、何度言っても、何度言っても……あごより下、へそより上にしか…………ひどいときは背中に向けて話しかけて……くっ!」

瑞希「如月さん……」

千早「だから、だから私はっ春香に思い知らせてやるのよっ!! 自分がどれだけ残酷なことをしているのかっ……!!」

瑞希(……やっぱり、ただの仕返しなのでは……?)




瑞希「如月さん。待ってください」

千早「真壁さん……?」

瑞希「天海さんに悪気があるとは思えません。きっと、如月さんのためを思ってのこと、ではないかと」

千早「私のことを……それっていったい」

瑞希「……如月さん。最近、天海さん以外から、胸ネタでいじられましたか?」

千早「それは………………確かに。ほとんどないわ」

瑞希「765プロには、バスト72未満のアイドルはいません。年齢の低い子でも、身長の低い人でも。おかしいと思ったことはありませんか?」

千早「えっ……ど、どういうことっ?」

瑞希「実は、765プロでは……」



瑞希「如月さんのバスト値を下回ってはならない、というルールが存在します」

千早「えっ」




瑞希「それは如月さんの個性のため……如月さんの持ちネタを奪わないために。ですから天海さんは、最近胸ネタいじりが減って、補正下着などで個性を腐らせそうになっている如月さんのことを心配して」

千早「そう…………そうだったのね」

瑞希「……と、いうのはじょうだ」

千早「そうだったのね!!!!!」ガタンッ

瑞希「」ビクッ

千早「おかしいとは思っていたの。だって、CDのジャケット写真では谷間だってできているし。栄養バランスにも気をつけ、バストアップ体操やマッサージも欠かさず行っているのに、一ミリたりとも増えないなんて!!!」

瑞希「あ、あの」

千早「本当は増えていたんだわ!!! 自分では測ったことがなかったから、いつも事務所任せだったから気がつかなかったけれど!! プロデューサーや春香の陰謀だったのね!! 私をいつまでも72ネタでいじり続けるための!!!!」

瑞希「いえ、あの、その」

千早「あはははははははは!!! 増えてた!! 増えてたのよ!! そうだわ!! だって瑞希さんもちっぱいとはいえ、73!! 春香が胸を見て私と間違えるということは、私も一センチは増えているはずだもの!!」

瑞希「……えーと」

千早「敵の胸が小さく見えるということは、私が勝ってるってことよ!!!!」

瑞希「私は、敵ではありませんが」

千早「真壁さん!! 真の壁の称号はあなたにあげるわ!! 真壁だけに!! 真壁だけにね!!! ……ふ、くくっ、ふふふっ」

瑞希「………………」

千早「こうしちゃいられないわ!! じゃーね真壁さん!! あっ、こっちはただの事務所の壁だったわ。なんて!! あはははははは!!!!! あはははははははははは!!!!」ダッ




瑞希「……」ポカーン


瑞希「はっ。いけない……私のせいで、なにか如月さんが大変なことに……止めねば」ダッ




翼「ねーぇ、いいでしょ美希せんぱーい。一緒にショッピング行きましょうよー。……ダメぇ?」

美希「またなの……? こないだ一緒に服買ったばっかだよ」

翼「カラオケかボウリングでもいいですよ?」

美希「穴掘りなら雪歩とやればいいって思うな」

翼「そっちのボーリングじゃないですってばぁ!」



ダダダダダダダダダダッ

千早「あははははははははははははは!!!! ひーびーーけ! このむねのっふぁくたーーーーーーーーーっ!!!!」


瑞希「っ……、…………っ……!」


ダダダダダダダダッ



美希「……ものすごい笑顔の千早さんが駆け抜けていった気がするけど、ミキの勘違いかな」

翼「その後ろを瑞希ちゃんも真顔で全力疾走してましたよー?」

美希「きっとこれは夢なの……ミキの尊敬する千早さんはあんなんじゃーないの……あふぅ。おやすみなさぁ……」ゴロン

翼「お昼寝ですか? じゃあ、私も添い寝しちゃおっかな~♪」ゴロン

美希「うっとおしい……の」

翼「ふぁ~美希先輩……やぁらかぁい……。しぁわせです……」ギュー

美希「……ったく……しょうがないの……」ナデナデ





……
-876プロ



千早「おはようございまーーーーす!!!!」

涼「愛ちゃんうるさい……ってえぇ!? 愛ちゃんじゃない!? ち、千早さんっ!!?」

絵理「千早さん、なにかあっ」

千早「水谷さんっ!!!!」ガシッ

絵理「ひうっ!?」

千早「……あなた、プロフィールのバストサイズを盛っているって聞いたわ」

絵理「え、っと」

千早「もしかしてそれだけじゃなく! この胸そのものが偽物なんじゃないのかしら!?」

絵理「わ、わたしのは、本物……?」

千早「うそおっしゃい!! 青の系譜がこんなきょぬーのはずがないわ!!! 脱ぎなさい!! 脱ぎなさいよ!!!」グイグイ

絵理「やっ、やめっ」ジタバタ

千早「秋月涼も偽乳だったのよ!! きっとあなたも日高愛も偽乳に違いないわ!!!!」

涼「えぇ……」

絵理「やっ……あっ!」モミュッ

千早「!? こ、この感触はっ……!!?」



千早「ほ、ほんもの……だわ」ガクッ

絵理「そう、言ったのに……」

涼「なんだったの……」


ガチャッ

瑞希「お邪魔します。如月さんを引き取りに来ました」

涼「あ、真壁さん。どうも」

瑞希「どうも。……さ、帰りますよ如月さん」

千早「…………最後に、一つだけ」

絵理「……」




千早「誕生日おめでとう、水谷さん」

絵理「えっ、……あ、ありがとう?」




瑞希「私からも。はっぴーばーすでー、水谷さん」

千早「これは私からのプレゼント。投げないでね」

絵理「? 投げる? ……あ、ヘッドホン」

瑞希「私からは武道館ライブのチケットを。ぜひ見に来てください」

絵理「二人共、ありがとう。……とっても、嬉しい」



涼(絵理ちゃんの誕生日は昨日だけど……まぁ、みんな忙しいし、当日祝えるほうが稀か)




瑞希「ところで、近々水谷さんの曲を、カバーしたいと思っているのですが」

絵理「もしかして、クロスワード、かな。ぜひ、歌って欲しい?」

瑞希「その通りです。しからば歌うときのポイントなど教えていただけると」

千早「しかし、おかしいわね……きっと水谷さんや静香も、72ルールのために盛っているものだと……」

涼「え……? 72ルール……??」

瑞希「あぁ、あの話でしたら」



瑞希「冗談、です」

千早「」




千早「え……? えっ…………それっじゃあ、私の、私のバストは」

瑞希「おそらく……一ミリたりとも、変動していない、かと……」

千早「………………」





ンアーーーーーーーーーーーーッ!!!!







瑞希(……やっぱり如月さんは、忍者かもしれない)




おわり。


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