男「夏なんだし肝試ししようぜ」友「いいなそれ」 (127)
~小学校~
男「と、言うわけで懐かしの小学校に来たぞ」
妹「なんで私が…」
男「暇なんだし良いだろ?それにお前、夏休みの宿題全部終わったって言ってたじゃんか」
妹「まぁ、そうなんだけどさ…」
友「俺も3人集めて来たぞ」
幼馴染「いやぁ、夜の学校ってそれなりに迫力あるよね~」
委員長「そうね、どうせならもっと遅い時間でも良かったんじゃないかな」
友姉「うっわぁ、懐かしい、何年振りだろここに来るの」
友「でさ、ルールとかどうすんだ?探索だけならなんか面白くねーだろ」
男「ルールは決めて有る、んで、舞台は旧校舎」
幼馴染「お~旧校舎!私達が使ってた校舎だよね」
男「そうそう、どうせなら木造の方が盛り上がるかなって思ってさ」
友「んで、ルールってなんだよ」
男「三階にさ、音楽室があんじゃん?あそこにコレを持って行ってピアノの上に置くんだよ」
妹「な、なにこのボロボロの財布…気持ち悪」
男「これさ、小学生の時に母親から貰った財布なんだよ。な?それで良いだろ」
幼馴染「一人ずつ?それとも2人?」
友姉「私は弟と行くからね~、な?頑張るぞ弟よ」
友「な、なんで姉ちゃんと組むんだよ…」
男「2人ペアで行こう、とりあえず適当にペア作ってさ」
幼馴染「へ~、なんか本格的じゃん」
委員長「あの、質問なんだけど、その旧校舎にピアノは存在するの?見た所かなり古びれてるけど」
男「それは大丈夫、昨日、俺が見て来たから」
委員長「そう、なら良いんだけど」
妹「じゃあ早速ペア決めちゃおうよ」
~1階~
委員長「へぇ、木造って聞いて不安だったんだけど作りはしっかりしてるのね」
男「だろ?階段とかでも走り回ってもなんとも無いんだぜ?」
委員長「……ここ、何年前から使わなくなってるの?」
男「ん~、俺たちが小学4年の頃に新校舎が出来たから7年前?」
委員長「そう、にしても、やっぱ不気味よね」
男「だよなぁ、だからこその肝試しなんだけどな……おわっ!」ガシャーン
委員長「だ、大丈夫?派手に転けたけど」
男「あいたたた…大丈夫大丈夫、なんかにつまづいただけだからさ。さっ、早く行こうぜ」
委員長「え、えぇ……(何かに転んだ?照らしたけど何も無かったけど…まぁ気にし過ぎよね)」
~2階~
委員長「……(教室の扉、空いてる…まだ椅子とか有るんだ…意外ね、普通なら回収してる筈なのに)」
男「凄いだろここ、未だに当時の教材とか有るんだぜ?何故か回収されてないんだよな」
委員長「ねぇ、もしかしてここ、立ち入り禁止とかじゃないわよね」
男「もしかしなくても立ち入り禁止だよ、なんせ木造だからなぁ~。床が抜けたりとかが原因じゃないのかな」
委員長「ふーん……きゃっ!!」ズボッ
男「たははは、そこ、床に穴が空いてるだろ?」
委員長「ううう、左足挫いちゃったかも…痛い」
男「マジ?じゃあ委員長はここで待っててくれない?俺は3階の音楽室に行って来るからさ」
委員長「う、うん……ごめんなさい」
男「いやいや、ちゃんと説明しなかった俺が悪いんだしさ、じゃあいってくる」タッタッタッ
委員長「はぁ、最悪………ん?」
コツコツコツ
委員長「……なんの音?向こうの方から聞こえるけど」
~音楽室~
ガチャ
男「うっひょ~、こっえぇえ」
男「やっぱ一人じゃ恐いな、早く委員長迎えに行かないとな……よし、ここに財布置いてっと」スッ
男「……けど、懐かしいよなぁ、ここで歌の練習とかしたよなぁ。奥に有るドラムとか適当に叩いてさ」
男「もう高校生なんだよな俺、小学生に戻りたいよなぁ」
男「あの頃は何も考えずに毎日楽しんでたし、近所の奴等とよく遊んでたもんなぁ」
男「それが今じゃ友達あんま居ないし授業分からないし…なんか楽しく無いもんな」
男「……って、早く戻らなきゃな!委員長が下で待ってると思うし」
男「委員長には悪いことしたもんな、コンビニで絆創膏買わなきゃな」バタン
~2階~
男「おーい、委員長」
男「………?あれ、どこに居るんだあいつ」
男「おーい!居るならライトで照らしてくれよ委員長!」
男「む、無視……もしかしてもう戻ったのかな?ったく、なら連絡の一本でもくれりゃ良いのにさ」
男「って、携帯は外に置いてるんだから無理か」
男「……帰ろ、なんか気味悪くなってきたし」タッタッタッ
ベキッ
男「うおわっ!!?」
男「あっぶね、床抜けやがった……はあ、ビックリした」
友「ん、やっと帰ってきたのか」
男「あぁ、2階、床が抜け易くなってるから気をつけろよ?……って、あれ?」
男「委員長は?」
幼馴染「ん?一緒だったじゃん、私達に聞かれても困るんだけど」
男「……あ、あれ?てっきり外に出てるかと思ったんだけど…あいつ、足挫いたって言ってたから2階に置いてきてさ、それで」
妹「放置してきた、と……最低だねお兄ちゃん」
男「いや、居なかったんだって!なんで文句言われなきゃなんないんだよ」
友姉「まぁまぁ良いじゃん、次は私達が行くんだからそん時に見つけて来るわよ」
友「……そゆこと、じゃあ待っててくれよ」
男「あ、あぁ…な、何かあったら連絡してくれよ!ほら、携帯持っていけ」
友「あいよ、委員長の事だから興味本位で教室調べたりしてんだろ。じゃあいってくる」
友姉「ふっふっ、私達に任せなさいな」
男「う、うん…よろしく」
男「……」
妹「自分が置いてきたのに勝手にハブててるんだ」
男「べ、別にハブててねーよ。ただ心配になってんの、俺が置いて来ちゃったんだからさ……大丈夫なのかな」
妹「大丈夫なねかな、放置しといて勝手だよねぇ」
男「んだよ、喧嘩売ってんのか」
妹「別にそんなんじゃないけど」
幼馴染「相変わらず仲良いんだか悪いんだかわかんないよね」
男「良くねーよ、こんな口悪いゴリラ、動物園にぶち込みたいっての」
妹「ご、ゴリラ!?朝鮮人みたいな顔したお兄ちゃんに言われたくないよ馬鹿!」
男「あ"!?どこが朝鮮人みたいな顔だよ」
幼馴染「あ、あはは…(全然ゴリラでも朝鮮人でも無いんだけどな)」
~1階~
姉「……暑い」
友「うん、確かに暑い…只でさえ風無いのにこの締め切られてんだから暑いよな」
姉「ねぇねぇ、委員長さんだっけ?あの子さ、どこに居ると思う?」
友「さぁ?どっかに居るんじゃねーのかな」
姉「もしかしてぇ、神隠しに有っちゃったりして!」
友「馬鹿言わないでくれよ、確かに色々噂有るけどさ、幽霊なんて居る訳ねーだろ」
姉「夢が無いねぇアンタは、旧校舎、深夜、友人の消失、これだけ揃ってんだよ?幽霊の一人や二人居ても不思議じゃないでしょ」
友「……そもそも幽霊って一人とかなのか?一匹とかじゃねーのかな」
姉「え?だって元は人間だったんだから一匹はおかしいでしょ、私ので有ってるよ」
友「そんなもんなんかねぇ、ほら、早く行こうぜ姉ちゃん」
姉「あいよ~」
~2階~
友「っと、確か委員長はここで居なくなったんだよな……二手に別れて探そっか」
姉「えぇ!?ヤダヤダヤダ、恐いじゃん」
友「恐いって……ん?これ」スッ
友「委員長のペンライトだ…」
姉「うっひゃぁ、恐い恐い、こりゃ間違いなく神隠しだね神隠し!」
友「まだ言ってるよ……っと、じゃあ理科室とかいってみるか」
姉「え?なんで理科室なのよ、この辺の教室調べた方がいいんじゃない?」
友「……」ガチャガチャ
友「ほら、閉まってるだろ?」
姉「……」ガチャガチャガチャガチャ
姉「ほんとだ、通路にある教室、全部鍵掛かってる」
友「一階に居るならとっくの昔に外に出てるだろ?それに3階には行ってないみたいだしさ、奥に有る理科室くらいしか無いだろ」
姉「う~ん、確かに」
友「ほら、分かったなら早く行こうぜ」
~理科室前~
友「……」ガチャガチャ、ガチャガチャガチャガチャ
友「ん、おかしいな、ここも閉まってる」
姉「うっわぁ、こりゃ100%神隠しじゃん、こっわぁ」
友「……」ガチャガチャガチャガチャ
友「駄目だ、やっぱ開かない…くそ、どこにいったんだよ委員長の奴」
友「とりあえず男に連絡しないとな」ピロリ
ロー
友「……ん、男か?あのさ…」
姉「本当にあかないのかな?弟って力無いからねぇ」ググッ
ガチャリ
姉「あっ!空いたよ!あい
バタン‼
友「!?えっ………ね、姉ちゃん?」
友「ね、姉ちゃん!?姉ちゃん!」ガチャガチャ
友「おい!ふざけんな!悪ふざけならやめろって!おい!開けろよ!中から出て来いよ!!」ドンドンドン
男「んっ、切れた」
妹「友さんからだったよね?どうしたの」
男「いや、なんか急に切れてさ、委員長の奴が2階に居ないって言われてそっから」
幼馴染「……もしかしてさ、三人してドッキリとか仕掛けてんじゃないの?」
男「ドッキリ?」
幼馴染「うん、それで私達を混乱させてビックリさせようとか。それなら委員長が消えたのも納得いくでしょ?」
男「ドッキリか……確かに、それなら納得出来るな。委員長、そういうの好きかどうかわかんないけど」ピロリ
男「あっ、友からだ…もしもし?」
『ちょっと来てくれよ、2階の理科室なんだけどさ、全員で』
男「は?」
『頼む、説明は後ですっから、いいか、全員だぞ』プツッ
幼馴染「なんだって?」
男「……全員で理科室前にこいってさ」
妹「完全にドッキリだね、まぁいいや、引っ掛かりに行こうよ」
~理科室前~
男「……は?」
友「嘘じゃねーよ、確かに姉ちゃんは理科に入ったんだ…けど、内側から鍵掛けられてて」ガチャガチャ
幼馴染「ふ~ん、それでそれで?委員長はどこに居るのかなぁ」
友「知らねーよ、俺はただ、2階の教室全部に鍵が掛かってたからもう理科室しか無いんじゃないかって思ってよ」
男「教室全部?それって2階のか」
友「あ、あぁ、お前等だってここに来る時見ただろ!?」
幼馴染「いや、私達はドッキリにはめられに来たからそんなの見てなかったよ」
妹「幼馴染さん、やる前からそういうの言うのやめといた方が…」
友「ドッキリなんかじゃねーよ!俺が理科室のドアノブ弄っても空かなかったのに姉ちゃんが弄ったら空いて、それで、それで!」
男「お、俺が委員長の来た時は…空いてたぞ?2階の教室、ぜ、全部……」
友「………は?」
男「最初に来た時、確かに空いてた……委員長が教室の椅子とか見て不思議そうにしてた…ぞ…?」
友「う、嘘言うなよ…」
幼馴染「……」スタスタスタ
ガチャガチャ
幼馴染「うん、空かないよ?男ってば嘘なんかついちゃってさ」
男「嘘じゃねーよ!そんで委員長にいったんだ!ここの教材は当時のままで回収されて無いんだって!」
男「そ、それに昨日、調べに来た時も確かに鍵は掛かってなかった!」
妹「と、とにかく…理科室に入らないと友さんのお姉ちゃんが閉じこもってるんでしょ?」
友「……あ、あぁ」
幼馴染「け、けどさ、窓ガラス割って入るの?だったら私、外から木の棒とか探してくるよ」
男「いやいい、友と俺で蹴破る…当時のガラスなんだし破れるだろ」
友「……じゃあ、せーので割るぞ?……せーの!」
パリーン
~理科室~
友「姉ちゃん!」タッタッタッタッ
幼馴染「うぅ、狭い……んしょ」ストン
男「お、おい友!んな走らなくても姉ちゃんは逃げねーって!!」
妹「お兄ちゃん、早く入ってよ」
男「あ、悪い……んんっしょ」ストン
妹「よいしょっと」ストン
幼馴染「うわぁ、水槽の水とかもしかして当時のなのかな?汚くて全く見えないけど」
妹「……お兄ちゃん、友さんは?」
男「多分、奥の準備室だろ…確か実験に使う材料を保管してる場所だ」
幼馴染「ねぇ、私達ここで待ってるよ?驚かされたく無いし」
男「あ、あぁ…じゃあ二人はここで待っててくれ。携帯のライトはつけとけよ?」
妹「消すわけ無いじゃん、真っ暗になっちゃうもん」
~理科準備室~
ガチャ
男「お、おーい」
男「友~?い、委員長?」スタスタ
ガラガラガラ
男「おわっ!!」ガシャァアァン
男「あ、あぶっ、あっぶね…んだよ、ロッカーの上の荷物が落ちてきたのか……」
男「………?(なんか、奥の方で音が聞こえるな)」
ベリッゴキッ
男「……(何かを砕いてる音…?こ、こりゃ本格的に驚かせに来てるな…二人、置いて来てよかった)」
男「……」スタスタ
ムシャムシャムシャムシャ…………ガタン
男「おい、ドッキリなら分かってるから早く出て…こ……」
『ミツケタ…』
男「!!?」タッタッタッタッ
バタン
幼馴染「あっ、帰ってきた」
妹「お兄ちゃんどうだっ
男「逃げるぞ!!」
幼馴染「えっ?へ?」
男「良いから!早く逃げるぞ!!鍵開けろっ!早く開けろ!」
妹「あの、お兄ちゃん?委員長さん達は」
男「ど、どけっ!」ガチャリ
男「おら!早く逃げるぞ!なにしてんだ、早くこい!」
幼馴染「えっ、えっ、えぇ?」
男「いい"がら"!!」
妹「う、うん、分かった…(お兄ちゃん、目が血走ってる、どうしたんだろ)」
男「お"い"!幼馴染!早くしろ!」タッタッタッ
幼馴染「あっ、ま、待ってよー!」タッタッタッ
~外~
男「はぁっはぁっはあぁっはっ…」
幼馴染「あ、あのさ、どうしたの?そんなにビックリしたって何をされたの?」
男「はぁぁ……んっは……うっ"」
男「ぉ"う"え"ぇ"ぇ"え"」ゲボベチャビチャ
妹「きゃっ!!お、お兄ちゃん!汚いよ」
男「はぁあ"っうぐぼぇ"え"え"」ビチャベチャゲボゲロロ
幼馴染「……ね、ねぇ男、中で何が有ったの?」
男「はっはっはあぁ、はっはっはああぁ……んっ……はぁ」
妹「お、お兄ちゃん?」
男「………帰ろう」
幼馴染「え?か、帰ろうって、三人はどう
男「帰ろう、帰らなきゃ…帰らなきゃ」
幼馴染「えっと、じゃあ私はここで」
妹「はい、後で連絡しますね。とにかくお兄ちゃんから話を聞かない事には始まらないので」
男「帰らなきゃ……帰らなきゃ…」
幼馴染「う、うん…相変わらずあの三人に連絡取ってるけど出ないし」
妹「……それじゃあ幼馴染さん、また」
幼馴染「うん、それじゃあまた」スタスタスタ
妹「ね、ねぇお兄ちゃん?」
男「帰らないと……帰らなきゃ、帰らなきゃ」
妹「はぁ、駄目だこりゃ。家に帰ったら少しは落ち着くよね」
男「か、帰らないと……帰らなきゃ、帰らないと」
妹「……(お兄ちゃん、あそこで何見たんだろ)」
~男の部屋~
妹「お兄ちゃん、ホットミルク作って来たから飲みなよ」
男「……」
妹「ねぇお兄ちゃん……何を見たの?」
男「!!ぁ、ぁぁあ"あ"!!」バシッ
ガチャン
妹「あつっ!……ねぇ、準備室で何が有ったの?」
男「あ"ぁ"っ…ぁぁ……」
妹「……大丈夫だよ、ここは安全だから。私がついてるから」
妹「だから、話してよ。あそこで何が起きたのか」
男「……見たんだ」
妹「見た?見たって、委員長さんたち?」
男「……」
妹「?なんで首を横に振るの?あそこには委員長さん達がいたんでしょ?」
男「居た…んだ……見たんだ…友が…喰われてるとこ」
妹「く、喰われてる…とこ?」
男「おれ…あ、あそこで……あそこで」
男「あぁっ、ぅっぁっ……ぁあぁあ」
妹「お、お兄ちゃん!落ち着いて、ほら、私はここに居るよ?大丈夫、大丈夫だから」
男「ぁ……ぁぁっぁ」
妹「……喰われてたって、どういう意味?」
男「床に…た、倒れこんでて……だから…も、もう一人…」
妹「もう一人?それって友さんのお姉ちゃん?」
男「違う…」
妹「じゃあ、委員長さん?」
男「違う!!……違う…誰でも無い…も、もう一人居た……這いつくばって…あ、あいつが…あいつが」
男「うわぁ"あ"ぁぁあ"あ"ぁ"!!!」
妹「お、お兄ちゃん!落ち着いてってば!下に居るお母さん達は寝てるんだよ?だから落ち着いてってば」
男「あ"っ…ぁぁ……」
男「あ、あいつ……言ってた…」
妹「あいつって…そ、その、友さんを食べてたって人、だよね?」
男「あいつ、あいつ!!お、俺の事、見つけたって…見つけたって!!」
妹「見つけたって……ううう、お兄ちゃんの言ってる事がよくわかんないよ」
男「逃げる時、見つかったから逃げ出した時……あ、あいつ言ってた」
妹「い、言ってたって、何を?」
男「ぁ、ぁぁっ…ぅあっ……」
『ツギハ……オマエ』
男「ひぃぃいぃぃい!!や、やめてっ、やめてくれ!く、来るな、来るなあぁぁああ!!」
妹「ちょっ、ちょっとお兄ちゃん!いい加減にして!」
男「お、俺も友みたいになる…お、俺も……く、喰われる…あいつに…あ、あいつに」
妹「……(駄目だ、今のお兄ちゃんになにいっても意味ない気がする…今日はお兄ちゃんの部屋に居よう、じゃないと何しでかすかわかんないから)」
~翌朝~
男「………」
妹「ん…あ、お兄ちゃん、起きてたんだ」
男「……」
妹「だ、大丈夫?お兄ちゃん」
男「あぁ……うん…」
妹「全然大丈夫じゃないよ、目が死んでるし顔に正気が感じられないし…」
男「……」
妹「あ、あのさ、今日は家でゆっくりしときなよ…ね?」
男「………あぁ」
妹「じゃあ私は出掛けるから……いい?家から出ちゃ駄目だよ」
男「うん……分かった」
妹「……じゃあ、いってくるね」
~小学校~
妹「……」
タッタッタッ
幼馴染「ごめーん、着替えに手間取っちゃって遅れちゃった」
妹「いえ、良いんです……あの」
幼馴染「うん、私もちゃんと確認したいもん…意味が分からないけどさ、信じられないけどさ」
幼馴染「……あの三人、昨日は帰ってないみたいだから」
妹「そうなんですか…」
幼馴染「この目で確かめなきゃ、きっとあの三人は旧校舎に居るはずだから……」
妹「そうですね、先生達に気付かれないように旧校舎に忍び込みましょう」
幼馴染「うん…」
~旧校舎~
幼馴染「……ここに、居るのかな」
妹「居るはず、ですよね」
幼馴染「う、うん、そうだね。そうだよね……じゃあ、行くよ」
ガチャガチャ
幼馴染「え?う、嘘…」ガチャガチャガチャガチャ
妹「どうしたんですか?」
幼馴染「あ、空かないの、昨日は確かにここから入ったよね?」
妹「はい、確かに昨日はこの扉から入りました」
幼馴染「なんで空かないの…?」ガチャガチャ
妹「………!!」パリーン
幼馴染「!?ちょ、ちょっと妹ちゃん!?な、なにしてんの」
妹「入れないなら、無理やり入れば良いんです……さっ、この窓から入りましょう」
幼馴染「……う、うん」
~1階~
妹「……」
幼馴染「や、やっぱり雰囲気違うね…朝だけあって明るいし」
妹「そうですね…早く2階に行きましょう」
ミシミシッ
幼馴染「きゃっ!!」
ネズミ「??」テチテチテチ
幼馴染「な、なんだネズミか…びっくりしたぁ」
妹「……!!幼馴染さん、これ」
幼馴染「え?あっ、これって」
妹「友さんの携帯ですよね?」
幼馴染「なんでこんなとこに?いや、今は理科室に行くんだから…とりあえず拾っとこ」
~2階~
幼馴染「……あ、あれ?」
妹「どうしたんですか?」
幼馴染「な、なんか違和感が…な、なんでだろ」
妹「違和感の正体ってきっとこれですよ」ガララララ
幼馴染「あっ、え、え?」
妹「教室の窓……鍵が掛かって無いんです。きっと他の教室の鍵も掛かってない筈」
幼馴染「……」ガララララ
幼馴染「あっ、ほんとだ」
妹「なんでだろう、私達、2階にきて同じ違和感に気付いた……あはは」
幼馴染「い、妹ちゃん?どうしたの急に」
妹「いえ、以心伝心ってほんとに有ったんだなって思ったらおかしくなっちゃって」
幼馴染「も、もー!驚かさないでよ」
~理科室~
幼馴染「う"っ"」
妹「酷い匂いですね……昨日はこんな匂いしなかったのに」
幼馴染「そ、それに昨日さ、この扉の窓ガラス割ったのに破片がどこにも無い、よね…」
妹「……私達はお兄ちゃんに急かされてそのまま逃げ出しましたし、お兄ちゃんが準備室に行ってる時も掃除なんてしてませんからね」
幼馴染「と、とにかく……行かなくちゃね、準備室に」
妹「はい……」
幼馴染「ん?妹ちゃん?」
妹「ご、ごめんなさい…あ、足がすくんじゃって……こ、怖いです」
幼馴染「うん、私も…とっても恐いよ……けど、ここまで来たんだもん、確認しなきゃ」
妹「……はい」
~準備室~
ガチャ
幼馴染「……臭い、匂いの元、きっとここだ」
妹「……」ガチャ
妹「ロッカーには、資料しか有りませんね。お兄ちゃん、奥の方まで行ったのかな」
幼馴染「おかしいね、私達が待ってた時、何かが倒れる音がした筈なのに床には何も落ちてないよ」
妹「もう、なんか現実離れしすぎちゃってますね…」
幼馴染「あ、あはは……そだね」
妹「……奥、言って見ましょう」スタスタ
幼馴染「……?(あれ、なんだろこのロッカー…何か臭う?)」
妹「……何も無い、だけど…臭いは強くなってる」
妹「ロッカーの中?」ガチャ
妹「何も無い……?」
人体模型「……」
妹「あっ、人体模型…懐かしいな、私の通ってる高校には無いから」
妹「……あ、れ…これ、この人体模型…」ピタッ
ボトッ
妹「あ………あぁ……」
「きゃあぁぁああぁぁあ!!!」
妹「!?お、幼馴染さん!?」タッタッタッ
幼馴染「あっ、あぁ……」
妹「幼馴染さ……!!」
死体「……」
妹「ひっ!?」
幼馴染「あっあっ…。こ、これ…な、なんで…」
幼馴染「なんで…い、委員長の……これ…い、委員長だ…」
妹「ぁっあ…」ヘタッ
幼馴染「な、なん…で……委員長が…い、委員長……!?」
幼馴染「ろ、ロッカー…字が……あ、赤い字で」
『アトサンニン』
妹「あ、あと三人……」
幼馴染「三人って、三人って……も、もしかして…わ、私…たち?」
妹「お兄ちゃんの…い、言ってた事、ほ、ほんとだったんだ」
幼馴染「い、いみわかんないよ…なんで?わ、私達っ、ただ…肝試しをって…」
妹「じゃ、じゃあさっきの人体模型…や、やっぱり」
幼馴染「え?じ、人体模型が…な、なに?」
妹「……つ、着いて来てください」ムクッ
幼馴染「こ、これ……」
妹「……人体模型の中身…これ、全部」
妹「…………本物です」
幼馴染「いやぁああぁぁあああ!!!」
幼馴染「なんで!?なんでなんでなんで!!?私達が何をしたの!?ねぇ、なんっで!私達なにもしてないよ!」
幼馴染「あっ!と、友は!?そ、それに友のお姉ちゃんは!!」
妹「ここには…居ません」
幼馴染「もう、やだよ…嫌だよ」
妹「……うっ"」ビチャビチャ
妹「ぉうっえっ、げほっ!」ベチャビチャ
幼馴染「私達は遊びに来ただけ!遊びに来ただけなのになんで殺されなきゃなんないの?!私達なにも悪いことしてないじゃん!誰なのよ!こんなふざけた事すんの!」
妹「はぁっはぁはぁ…っぷ……はぁ」
妹「幼馴染さん、まだ…調べなきゃいけないとこが有ります」
幼馴染「は!?もう嫌!私はやだ!早く警察に言って警察に任せた方がいいじゃん!もう私達がどうにか出来る問題じゃないんだよ?!」
妹「それはそうです、けど、最後に……最後にもう一箇所、調べたい所が有るんです」
幼馴染「それってどこよ!もう調べる必要なんか無い!これ以上ここに居たら殺されちゃう!私はもういや、いや!」
妹「……分かりました。幼馴染さんは外に出て警察と、小学校の先生方に伝えてください」
妹「私はそこにいってきます」
~音楽室~
ガチャ
妹「……(お兄ちゃんが決めたルール、それが本当ならこの部屋にお兄ちゃんの財布が有る筈)」
妹「確か、ピアノの上って言ってたよね」スタスタスタ
妹「……」
妹「無い…ピアノの上、いや、ピアノの周りにお兄ちゃんの財布が無い」
妹「……お兄ちゃんに限って財布を置かなかったって事は無い筈、現にお兄ちゃんはあの日、その財布を持ってなかった」
妹「ならどこに?いや、もう良い…後は警察に任せ……」
ガタガタガタ
妹「!!(えっ?なんの音?奥から聞こえた…?)」
ガタガタガタガタガタガタ
妹「や、やっぱり……し、調べなきゃ…い、いや、早く外に…」
妹「……(この扉の奥からだ)」
ガタガタガタ
妹「……(なんで?なんで私はドアノブに手を掛けてるの?逃げなきゃいけないのに…に、逃げなきゃいけないのに)」
ガタガタガタ!!
妹「……(きっと、これを開けたらいけないんだ。絶対に駄目なんだ、なのに……)」
妹「駄目…早く外に行かな
ガチャ
妹「!!」
『オマエ、チガウ…マダチガウ』
妹「あっ…」
「おい、大丈夫か!?」
妹「……ん…」
警察「おい!大丈夫か!」
妹「あっ……わ、私…なんで」
警察「俺が分かるか?」
妹「……だ、誰、ですか」
警察「警察だよ、君のお友達から通報を受けてね。君、ここで気を失ってたんだよ?」
妹「ん……ここ…音楽室…」
警察「とにかく、今はここから出るんだ。ほら、歩ける会?無理ならおぶってあげるから」
妹「……だいじょ、うぶです」
~外~
幼馴染「妹ちゃん!!」
妹「あ……幼馴染さん」
幼馴染「あれから何時迄も出てこなかったから私、すごい心配したんだよ!?大丈夫?怪我はない!?」
妹「……は、はい…大丈夫です」
幼馴染「よかった、よかったよぉ」ギュッ
妹「あの…友さんは」
幼馴染「……1階の教室に居たよ…お姉ちゃんと一緒に」
妹「……あの」
幼馴染「うん、死んでた…私じゃなくて警察の人達が見つけたんだけど……妹ちゃんが無事でよかった…私、私…」
妹「く、苦しいです…」
幼馴染「やだ!今は離したくないの…ごめん、私も、もう限界なの」
妹「……」
~警察署~
警察「えーっと、じゃあ君たちは昨日、あそこで肝試しをしたと」
幼馴染「……はい」
警察「あそこは確か立入禁止だったはずだが?」
婦警「今はそんな事いいじゃないですか先輩」
警察「君は黙ってろ、今は俺が質問してるんだ」
婦警「うっ、す、すみません」
警察「で?君たちは立入禁止と分かって居ながらあそこに入ったんだな?」
妹「はい…ごめんなさい」
警察「それにしても不思議だな、昨日は2階の教室の扉には全て鍵が掛かってたんだろ?それなのに今日は空いて居たと……君たち、本当に昨日、鍵が掛かって居た事を確認したのかい」
婦警「先輩、彼女達、震えてますよ」
警察「……」
婦警「す、すみません…」
~外~
婦警「本当に大丈夫?二人で帰れるの?両親に迎えに来てもらったほうがいいんじゃないかな」
幼馴染「大丈夫です…」
妹「それに、今ここで怒られるより家で怒られた方がなにかと楽なんで」
婦警「そう?なら、気を付けて帰るのよ」
幼馴染「はい、ありがとうございました」
妹「ありがとうございました」
幼馴染「……」
妹「あの、幼馴染さん」
幼馴染「ごめんね、いま、なんかそんな気分じゃなくて……また後で連絡して」
妹「はい……それじゃあ、また」
~自宅~
パチーン‼
男「……」ドサッ
父「お前は何を考えてるんだ!!」
母「お父さん、何も手を出さなくても」
父「お前は黙ってろ!聞いた話じゃこいつが皆を誘ったらしいじゃないか!そのせいで三人も殺されたんだぞ!!」
母「……」
妹「お父さん、お兄ちゃんばかり責めないで…私も悪いんだもん」
父「こんな奴の肩を持たなくていい!こいつは自分が何をしたかわかってないんだ!」
男「はは……」
父「なにがおかしい!」
男「大丈夫だよ…俺も、すぐにあいつ等のとこに行くから」
父「!!!」バキッ
男「うっ」
母「お父さん!」
~男の部屋~
妹「お兄ちゃん、だ、大丈夫?」
男「……父さんの言う通りだ」
妹「えっ?」
男「俺が殺したんだ…皆を……殺したんだ」
妹「ち、違う!お兄ちゃんのせいじゃない、あ、アレは事故だったんだよ!」
男「事故…?あれが……事故?」
妹「そうだよ、お兄ちゃんは悪くない、悪いのは全部アイツなんだから!」
男「え…」
妹「あっ……」
男「……お前、見たのか」
妹「……」
男「見たのか、みたのか?!あいつを、あいつを見たんだな!?」ガシッ
妹「い、いたいよ…」
男「答えろよ!いつ見たんだ!あいつを!いつみたんだ!!」
妹「……今日」
男「今日って何時だ!お前そういや朝にまた旧校舎にいったんだよな!?あの時だな!あの時なんだな!!?」
妹「わ、わかった。話すから…全部話すから、離してよ」
男「あっ………わ、悪い」
男「それで、何時見たんだ…いや、旧校舎で何があった」
妹「……今日の朝ね、私、お兄ちゃんの言った事を確かめたくて幼馴染さんと一緒に旧校舎に行ったの」
妹「それでね」
…………
………
……
…
妹「……これが私の体験した全てだよ、お兄ちゃん」
男「委員長が……じゃ、じゃあ人体模型の臓器も」
妹「違う、委員長さんの身体はなんともなってなかった……きっと、お兄ちゃんの言ってた」
男「………友の、か」
妹「喰われてたって言ってたから…私は友さんの死体は見てないし警察の人も状態は教えてくれなかった」
妹「……ただ、友さんのだと私は思う」
男「ぁ…ああっ……や、やっぱり…あ、あいつは…友の身体を……ぅ"う」
男「お"ぅ"えぇぇ"え"!」ゲボロロロ
妹「それで、音楽室であいつに会ったときこう言われたの」
妹「……違う、まだ違うって」
妹「ロッカーに書かれてたあと三人って文字…それにあいつの言葉……次はきっと、
お兄ちゃん」
男「……あぁ、分かってる…う"っぷ」
妹「け、けどもうあそこに行かなかったら大丈夫だよ!た、確かに皆殺されちゃったけどさ……も、もう行かなかったらいいじゃん」
男「いや……無駄だよ」
妹「ど、どうして?どうしてそんな事言うの?」
男「音楽室…忘れて来た財布……無かったんだろ」
妹「……」
男「きっと、最初に見つかったのは委員長だ……次が友の姉、そして友」
男「全部見られてる、あいつを見た奴全員殺されちまった…それに、俺の所有物をあいつは持ってる」
妹「だから!もうあそこに行かなかったら良いだけだよ!」
男「……分かるんだ、あいつは今、俺を探してる…もう、逃げられない」
妹「お兄ちゃん…」
男「お前だってあいつを見たとき思っただろ?もう逃げられないって」
妹「……」
男「きっと、次はお前だ」
妹「……私も、あいつに見つかったんだもん」
男「お前はあいつがずっとあそこに居ると思ってるのか?違うだろ……」
男「余裕ぶる余裕なんて無いんだよ…終わりだ、俺たち全員殺されちまうんだ」
妹「お兄ちゃん……」
男「……あいつ、きっと、今もどこかに潜んでるんだ…俺を探し回ってるんだ、俺はもうあいつに殺されるしかないんだ」
妹「お、お兄ちゃん、落ち着い
男「落ち着け?殺されるのに落ち着け?!まだ自分の番じゃないから余裕ぶってんじゃねーぞ!きっとお前だって自分が殺される番になったら俺みたいになるさ!」
男「どうすればいいかわかんねー!けど時間が無い!抵抗!?どうやって?逃げ切る!?どこにだよ!」
男「押し潰されそうなんだよ恐いんだよ死にたくないんだよまだ生きてたいんだよ逃げたいんだよけど逃げれねーんだよ!!」
男「どうすりゃいいんだ!!俺は今から何をすればいいんだよ!答えろよ、答えてくれよ!」
妹「……」
男「………ごめん、なんか…怒鳴ってよ」
妹「ううん、私は平気だから」
妹「けど、お兄ちゃん?これだけは言えるの」
男「……」
妹「もう誰も死なせたくない、私達は生きるの、あいつから生き延びてみせるの」
男「けど…どうすんだよ……お前だってあいつのヤバさは分かっただろ?目を合わせた瞬間、今まで味わってきた、いや、それ以上の何かが脳みそをパンクさせて…もう何考えていいかわかんなくなっちまう」
男「……俺が見たときあいつ…無表情だったんだ……無表情で友の腹を裂いて…食べてた…」
妹「私の時も無表情だった……ゾッとした、恐怖以外の感情が湧いてこなかった」
妹「それに、あいつは身体が小さくて顔が異常に大きかったの」
男「……え?」
妹「え?ち、違う……の?」
男「お、俺が見たあいつは、這いつくばってたけど2mくらいで、手足が長かったんだぞ…」
妹「う、嘘…私が見たのと全然違う」
男「お前が言ってることが本当なら…」
妹「お兄ちゃんが言ってることが本当なら…」
二人「2人居る…?」
男「……嘘だろ」
妹「け、けど私は確かに聞いたよ?違う、お前じゃないって……アレ、てっきりお兄ちゃんの事を探してるのかと思ってて」
男「俺は…俺が見た奴に見つけたって言われた……いや、2人ともに狙われてるって考えてもおかしくはないけど」
妹「………幼馴染さん」
男「おいいま何時だ!くそっ、あいつに連絡とらねーと!」
妹「い、今は20時だよ…も、もう暗くなってきてる」
男「……くそっ!あいつ電源切ってやがる!なんでだよ」
プルルルル
妹「あっ、幼馴染からだ…」
妹「はい、もしも
『ツギオマエ』プツッ
妹「!?!!」
男「お、おいどうしたんだよ携帯投げつけて。幼馴染からなんだって?」
妹「……」
男「おい、幼馴染からなんだって?震えてちゃわかんないっつーの」
妹「……次、私だって」
男「はぁ?お前、質問の答えになってねーよ」
妹「次、お前って……電話、幼馴染さんからじゃなかった」
男「……どういう意味だ」
妹「幼馴染さんからじゃなくて……あいつからだった」
男「なっ…」
妹「あ、あはは…ははは……お、幼馴染さん…し、死んじゃった…」
男「おい!」
妹「あ、あははは……はは…死んだ、死んじゃった…お、幼馴染さん…し、死んじゃった」
妹「あはっあはっ…はは……に、逃げなきゃ…私、顔、見られてっ…」
男「落ち着け!今は冷静にならなきゃなんねーだろ?!あいつ等に踊らされて恐怖にのたうちまわっても解決しねーだろ」
妹「あはっあはは……もう、駄目…お兄ちゃん、早く逃げよ?一緒に逃げよ?あいつ等から…に、逃げないと」
妹「私達、殺されちゃう…いや、まだ死にたくないよ……お兄ちゃん、まだ私、生きてたいよ」
男「……分かった」
男「支度しろ、逃げる準備をな」
妹「け、けど…ど、どこに…?私、どこに逃げていいか……わ、わかんない」
男「いいから、まだ電車は使えるだろ…逃げるんだよ、ずっと遠くに」
妹「電車って……わ、私、お金そんなに持ってない…」
男「俺だってない、けど、遠くに逃げるなら電車しかねーだろ」
妹「そ、それに……お、お父さんやお母さんはどうするの…絶対許してくれない、絶対信じてくれない」
男「大人は信用するな、今はそんなもん考えるな……死にたくなかったらな」
妹「……うん、じゃあ支度してくる」ガチャ
妹「私が準備してる時に居なくならないでね…?」
男「当たり前だろ、俺だって一人は嫌なんだよ。だから早く支度してこい」
妹「ありがと、お兄ちゃん…」バタン
男「……念のため、幼馴染に電話してみるか」
「お掛けになった電話は現在お使いになれま プツッ
男「くそっ、やっぱ繋がらねぇ…俺も準備しなくちゃな…生きるための準備を」
シコって寝よう
このSSまとめへのコメント
体小さくて、ブルーベリーみたいな色して?顔でかくて?青鬼じゃないですかやだー