P「………………」

幸子「…あの、歩み寄ってくる気配を感じないんですけど。寂しいじゃないですか、まったくもう！」

P「あ、あぁ……」ﾌﾗﾌﾗ

幸子「…」

P「………幸」

幸子「……頭を」

P「…ん？」

幸子「頭を、撫でて貰えませんか。少しだけでいいので」

P「……あぁ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

幸子「えへへ。ちゃんとプロデューサーさんの手ですね！」ﾆﾍﾗ

P「お、おう。当たり前だろ」

幸子「……」

P「……」

幸子「…うん。もう、十分です！さぁさぁプロデューサーさんは仕事の時間の筈ですよ、ボクにばっかり感けてないで他のアイドルの相手もしてあげてください！」

P「えっ」

幸子「ボクは大丈夫ですから！またお見舞いに来てください！」

P「幸子…」

幸子「プロデューサーさんは幸せ者ですね！ボクが退院するまで毎日お見舞いに来てもいいんですよ！」

P「分かってるさ。毎日来るよ、俺はお前のプロデューサーだからな！」

幸子「良く分かってるじゃないですか。今度は何か美味しいもの持って来てくれてもいいんですよ」ﾌﾌｰﾝ

P「き、今日は急いでただけだい！明日は甘いもん持って来てやるからいい子で待ってろよな！」

幸子「子供扱いはやめてください！」ﾌﾝｶﾞｰ

P「じゃあ、その…また明日な」

幸子「はい！」

ｶﾞﾗｯ

ちひろ「……」

幸子「…ちひろさんも、そろそろお仕事に戻ってしまって大丈夫ですよ。ボクは大丈夫なので！」

ちひろ「でも…」

幸子「……大丈夫ですから」ﾆｺｯ

ちひろ「……っ」

幸子「ありがとうございます」

ちひろ「…また、お見舞いに来ますね」

幸子「はいっ」

ｶﾞﾗｯ

幸子「………」

幸子「……」

幸子「…」


幸子「さて、そろそろ着替えでも……っとぉ！」ｸﾞﾗｯ

ｶﾞｼｯ

幸子「危ない危ない。ベットの上でした…おっちょこちょいなボクもカワイイですね…！！」

幸子(……)

幸子「……感覚を掴むまで着替えは誰かに手伝って貰って…っていけないいけない。自分の事は自分でできなきゃダメダメですからね！なんとか…」ﾂﾙｯ

幸子「きゃぅっ！」ﾄﾞﾃｰﾝ



幸子「あいたたた…」

幸子「はぁ…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

幸子「……包帯が邪魔ですね。顔の真ん中を簀巻きにされてるみたいでむず痒いですよ、まったくもう」

ｼｭﾙｼｭﾙ…


幸子「……あれ、おかしいですね。包帯を解いたはずなのに…何も見えない…」

幸子「………」

幸子「……」

幸子「ま、まぁしょうがないですよね！命が助かっただけでも良しとしましょう！ポジティヴなボクもカワイイですね！」

幸子「ほ、ほら！鏡に写ったボクもカワイ………」

幸子「………」

幸子「…………ふぇ…っ……ぅぅぅーーっ…」ｸﾞｽ



.

P「……」ｶﾀｶﾀｯﾀｰﾝ

幸子『もっとボクのことを構ってくれてもいいんですよ！』

幸子『ボクのプロデューサーさんはプロデューサーさんしかいないんですよ！！』

幸子『もっともーっと褒めてください！』


P「……」ｶﾀ…

ちひろ「プロデューサーさ」

P「…幸子はね、いい子なんですよ」

ちひろ「…はい」

P「自分の事を1番に考えてるようで本当は周りの事を1番気にかけてるんです」

ちひろ「……はい」

P「ただね、たまにちょっぴりだけ甘えん坊で寂しがりやな幸子も出てくるんです。それが彼女の魅力でもあるんですけどね」

ちひろ「………はい」

P「………幸子が何したってんですか！！」ｶﾞﾀﾝ!!

ちひろ「……」

P「何で、幸子が…あんな目に…！！」

ちひろ「……」

P「クソッ！！」ｸｼｬｸｼｬﾎﾟｲｯ

ちひろ「………」



【人気アイドル 輿水幸子さん 交通事故に巻き込まれ重傷か】




.

ｶﾞﾁｬｯ

P「！」

友紀「プロデューサー…」

紗枝「…おはようさんどす」

P「……おはよう。今日からスケジュールの変更だ、2人ともソロでの活動をメインに仕事を組み直す。あとはレッスンの日程だが」

友紀「幸子ちゃん、は？」

P「……」

紗枝「あんじょう元気…ってわけやないんですやろ？」

P「…幸子は」

友紀「……」

紗枝「……」

P「………視力を失った」ｷﾞﾘｯ

友紀「……え？」

紗枝「……そう、どすか」

P「隣町にある○×病院って名前の芸能人御用達の病院がある。そこの514号室に入院してるから、時間があれば見舞いに行ってやってくれ」ｶﾀｶﾀ

友紀「行ってやってくれじゃないよプロデューサー！こんな時こそプロデューサーは幸子ちゃんの側に居てあげるべきだよ！！」

P「…俺はお前達のプロデューサーだ。この時期はライブやイベントの調整で忙しい」

友紀「そんなっ！幸子ちゃん今1人ぼっちなんでしょ！？」

P「……あぁ」

友紀「あぁって、もう！！プロデューサー！！」

紗枝「友紀はん。もう止めよ」

友紀「だってさぁ！！」

紗枝「……プロデューサーはんが、辛い思いしてないわけないですやろ」ﾁﾗ

P「………」ﾎﾟﾀｯ

友紀「あ…」

紗枝「男の人は力強いさかい、自分の握った手で自分の手を傷つけてしまう事もあるんやなぁ」ｿｯ

P「え？…あ」

紗枝「確かに、この時期は皆ぃんな忙しい。プロデューサーはんはうち達の面倒も見んといかんから一層忙しい。それでもな…」ﾌｷﾌｷ

P「…」

紗枝「今の幸子はんには…プロデューサーはんが必要やと思うえ？」

P「……紗枝」

お休みなさいませ。

紗枝「だから…なぁ？」

P「……だが」

友紀「プロデューサー！」

P「…………っ」

ちひろ(…まったくもう、変なところで真面目なんですから)ﾊｧ

ちひろ「…わかりました、分かりましたよ！私がプロデューサーさんの分まで頑張ればいい話でしょう？」ｶﾞﾀﾝ

P「へ？」

紗枝「あら」

友紀「ちひろさんが…？」

ちひろ「今までプロデューサーさんの仕事をただ見てたわけじゃないですから。マニュアルとスケジュールさえ渡していただければある程度は私1人でもカバーできます」ｶﾀｶﾀ

P「え…いや、流石にそれは無理なんじゃ…？」

ちひろ「私を誰だと思ってるんですか。『千川ちひろ』ですよ？手が足りなくなればどこぞから引っ張ってこれます。……ほら、とっととセキュリティキーを出してください」

P「……」

ちひろ「ウジウジグズグズのプロデューサーさんなんかに居られてもこっちが迷惑なんです。……それに、幸子ちゃんが元気になるまでしか変わってあげられませんからね！！」ﾌﾟｲｯ