王様「勇者達が多過ぎる」 (36)
何番煎じかはわかりませんがとりあえず。
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王様「勇者達よ。魔王を倒し世界を救ってくれ」
イケメン勇者「はっ! この剣、この魂にかけて必ず!」
ヒロイン勇者「任せて下さい! 」
最強勇者「……我、魔王、必ず、滅ぼす」
幼女勇者「……?」
普通勇者「お任せを」
王様「う、うむ」
王様(勇者達が多過ぎる)
イケメン勇者「先ずは南の村を目指そう!」
ヒロイン勇者「良いけど……何故?」
イケメン勇者「それは……普通勇者くん!」
普通勇者「ここ最近。南の村は魔物の被害が多い様です。魔王の情報を得ることが出来るかも知れませんし、人助けも出来ます」
最強勇者「……?」
幼女勇者「えーとね。悪い魔物さんを倒せば良いんだよ」
最強勇者「我、魔物滅ぼす、我等南を目指すべし」
イケメン勇者「決まったね! よし、出発だ!」
ヒロイン勇者「ちょっと待って! 準備もなしに旅は危険よ!」
普通勇者「あ、旅に必要な荷物は人数分確保してあります。ヒロイン勇者さんは女性ですから、何か別に必要ならそれを先に」
ヒロイン勇者「え? あ、ありがとう……」
最強勇者「散れい!!」
魔物「ぎゃー! 序盤の勇者の強さじゃねー!?」
イケメン勇者「ぜー……ぜー……」
普通勇者「大丈夫ですか?」
イケメン勇者「も、問題ないさ。勇者だからね」
ヒロイン勇者「幼女勇者ちゃんは大丈夫?」
幼女勇者「うん、だいじょうぶー」
普通勇者「この分ですと早くつきそうですね」
イケメン勇者「よし、この調子でどんどん行こう!」
東の村
普通勇者「ここが東の村……」
ヒロイン勇者「酷い……荒らされ回ってる」
イケメン勇者「……許せん!」
村長「もしや……あなた様方は勇者様ですかな?」
幼女勇者「そだよー」
最強勇者「うむ」
イケメン勇者「ああ! 僕達が来たからには安心して貰いたい!」
ヒロイン勇者「はい! この村を救いに来ました!」
普通勇者「突然すみません。早速ですがこの村の状況を……」
村長(勇者様が多いのぅ)
村長「毎日の様に魔物達に襲われ、作物も荒らされ、若い娘達も攫われてしまい……戦った男達は命こそ助かったものの、怪我人ばかり」
村長「儂の孫も今日連れ去られてしまいました」
イケメン勇者「……! さぞ辛かったでしょう! ですが僕達が来たからには安心して下さい!」
ヒロイン勇者「ええ、放っておけないわ!」
最強勇者「我、魔物、滅ぼす。欠けらも残さん!」
幼女勇者「村の人は巻き込んじゃ、めっだよー」
最強勇者「……ヌゥ?」
幼女勇者「えーっとね。周りを傷つけない様に魔物さんを倒してー」
最強勇者「フフフ、腕が鳴る!」
普通勇者「我々に任せて下さい」
村長「は、はぁ……ではお願いしますぞ」
魔物の洞窟
見張り魔物A「きこり」
見張り魔物B「こども」
見張り魔物A「ど……ど……ん?」
幼女勇者「……」にこっ
見張り魔物A「……」
見張り魔物B「……」
幼女勇者「……」くるっ
見張り魔物A「……」
見張り魔物B「……」
幼女勇者「……ばーか」
「「んだとこら!」」
幼女勇者「きゃー♪」
イケメン勇者「行くよ、普通勇者くん! ヒロイン勇者くん!」
普通勇者「はい!」
ヒロイン勇者「任せて!」
見張り魔物A「ぬ」
見張り魔物B「ぎゃー!」
見張り魔物A「あ、相棒!」
イケメン勇者「成敗!」
スカッ
イケメン勇者「で、出来る!」
普通勇者「はあ!」
見張り魔物A「ぎゃー!」
イケメン勇者「見たか、これが連携だ!」
普通勇者「よし、後は騒ぎを大きくしてなるべく中の魔物を誘き寄せて下さい!」
イケメン勇者「ん? 最強勇者くんは何処だい?」
普通勇者「あの人には別のところに向かって貰いました!」
洞窟内部
魔物A「何か外が騒がしくね? あ、結婚したからお金下さい」
魔物B「やべ、赤字だわ」
魔物C「はぁ……これだから運ゲーは」
ボス魔物「あ? 仕方ねえな、おい魔物Dの番だろうが何処行きやがった?」
魔物A「便所じゃないッスかね?」
魔物D「た、大変です! ゆ、勇者達が攻めて来ました!」
ボス魔物「何!?」
ボス魔物「相手は何人だ!?」
魔物D「勇者五人です!」
ボス魔物「はぁ!? ち、仕方ねえ。全員で行くぞ!」
魔物A「ですが、見張りが……」
ボス魔物「こいつらより勇者仕留める方が先決だろうが、馬鹿が!」
魔物A~D「へい!」
ボス魔物「こんな辺境なところに飛ばされてついてねぇと思ってたが、勇者か! ギャハ! そいつはぁ、良い!」
しばらくして洞窟内部
幼女勇者「……」こそこそ
幼女勇者「……え~と」
??「そこに誰か居るの?」
幼女勇者「あ! うん、助けに来たよ!」
??「子供……? とにかく、すぐに出して欲しいんだけど……」
幼女勇者「ん~……出口は一つしかないみたいだし、終わるまでは檻の中が一番安全かもー」
??「え?」
幼女勇者「えへへ、もう少し待っていようかー」
普通勇者「はあ!」
ヒロイン勇者「てや!」
イケメン勇者「これで決める!」キラーン!←カットイン
イケメン勇者「正義の光を纏い、吠えよ! 我が剣! 全ては! 美しき人々の為に!」シュタタタタ!
イケメン勇者「行くぞ! 勇者斬り!」ザシューン!
ボス魔物「温い!」
三人「ぐわぁ!」
普通勇者「レベルが違い過ぎる……だけど」
ヒロイン勇者「……まだよ! もう一度!」
イケメン勇者「そうとも! この剣に我が魂、人々の願いを込めて!」
ボス魔物「笑わせる。もう少しで遠出していた仲間達が戻って来る。そうすれば貴様らのーー」
魔物「……」
ボス魔物「見るが良い。戻ってーー」
魔物「ボス魔物……さま……」
ボス魔物「!?」
ボス魔物「どうした!? 貴様一人か!? 他の連中は……!?」
精鋭魔物「我ら……帰還中……勇者の襲撃を受け……自分以外……全員討ち死に!」
ボス魔物「馬鹿な!? あいつらは性格はともかく、精鋭の中の精鋭。それにあの数だぞ!」
精鋭魔物「ですが……勇者の力は我らより遥かに……皆の……皆の……皆の仇をーー!! ……ぐ」バタッ
ボス魔物「……ああ。分かった。ご苦労さん……先に行ってな」
最強勇者「……」
ボス魔物「てめえか」
最強勇者「……」チャキ
ボス魔物「言葉は不要てか? ギャッハ! 分かり易くて良い、魔物だったら旨い酒飲めたかもな!」
ボス魔物「……」
最強勇者「……」
ボス魔物「……」
最強勇者「……」
チャキ
ボス魔物「……!」
最強勇者「ーー!」
ボス魔物「……」
最強勇者「……」
ボス魔物「……」
ボス魔物「……畜生が」バタッ
最強勇者「……眠るがいい。強き者よ。汝は魔物。だが我は汝と刃を交えた事を誇りに思う」
ボス魔物「ギャッハハ……そうかい……なあ……」
最強勇者「……」
ボス魔物「てめえは強い……陛下を倒したとしてだ……後は何を目指す……?」
最強勇者「知れた事」ビシッ
ボス魔物「……」
最強勇者「天を目指す。地上に居ないなら新たな強者が居る場所に行くまで」
ボス魔物「ギャッハ! 馬鹿だな……人間にしとくのが勿体ねえ……」
ボス魔物「魔の山にある……遺跡を目指しな……面白いもんがあるかも、な……」
ボス魔物「……馬鹿どもが……迎え入らねえっていつも行って……」
ボス魔物「……」
イケメン勇者「終わったのかい?」
最強勇者「……我、勝利」
幼女勇者「おーい!」
ヒロイン勇者「幼女勇者ちゃん! 村の人たちも……無事で良かった……」
??「あたし達を助けてくれてありがとう」
イケメン勇者(可憐だ)
普通勇者「あなたは……村長のお孫さんですか?」
村長の孫「うん! あ、おじいちゃんは無事!?」
ヒロイン勇者「大丈夫。さ、早く戻りましょう」
幼女勇者「ね、ね、肩に乗せて!」
最強勇者「ムゥ……」ひょい、ぽん
幼女勇者「わーい!」
村長の孫「みんなも勇者なんだ……」
普通勇者「?」
村長の孫「ううん、何でもない! 早く帰ろ!」
次の日の東の村
村長「この度は村を救って下さりありがとうございました」
イケメン勇者「何! 礼には及びません! 勇者ですから!」
ヒロイン勇者「一晩泊めて貰っただけでも助かります」
幼女勇者「……すぅ……すぅ……」
最強勇者「……ヌゥ」背負い
普通勇者「村長さん。この印を」
村長「これは……」
普通勇者「数日以内に俺の知り合いがこの村に来ます。これを渡せば支援が受けられる筈です」
村長「何から何まで……ありがとうございます」
ヒロイン勇者(いつの間に……)
村長の孫「あのさ……勇者の体には不思議な痣ーー印があるんだよね?」
イケメン勇者「これだね!」手のひら見せ
普通勇者「はい。人に寄って場所は違いますけど……」
村長の孫「私、見たの。それと同じ印をした人」
ヒロイン勇者「!? 私達以外にも勇者が!?」
普通勇者「それは一体……」
村長の孫「……みんなからは暗い森の魔女と呼ばれている女の子」
村長「馬鹿な! あの魔女に勇者の印などある筈が……」
ヒロイン勇者「魔女?」
普通勇者「昔、人間でありながら魔物の味方をした魔法使いが居ました。恐らくはその末裔かと」
村長「まさかとは思いますが、魔女にお会いになられるおつもりですかな?」
普通勇者「そうですね……ご助力頂けるなら心強いです」
イケメン勇者「会ってみないとわからないからね! 大丈夫。勇者だから!」
ヒロイン勇者「じゃあ、先に暗い森に行くのね?」
最強勇者「……起きろ」
幼女勇者「……うーん……?」
村長「あなた様方がお決めになられたのなら私は何も言いません。此度は本当にありがとうございました」
普通勇者「はい。俺たちもお世話になりました」
村長の孫「あの!」
普通勇者「はい?」
村長の孫「これを……」
イケメン勇者「花飾り?」
村長の孫「あの子をお願い……」
普通勇者「……はい」
暗い森
「グルルル……」
??「……お願い……眠って……お願いだから……いい子だから、ね?」
「ガアァァァァ!」
ガシュ!
??「痛……お願い……大人しくして……」
「グルルル……グル……」
「……グゥ……グゥ……」
??「やっと……眠ってくれた……」
??「……大丈夫かな。村のみんな……あの子も」
??「……私頑張るよ……」
魔女勇者「お婆ちゃん……」
今回はここまで
夜
普通勇者「ヒロイン勇者さんの料理はどれも美味しいですね」
ヒロイン勇者「父さんが剣の腕だけじゃなくてこういうのもやっておけ、って煩かったのよね」
イケメン勇者「うん、僕の家のシェフとはまた別方向に美味しいね」
ヒロイン勇者「褒めすぎ。当時はうるさいとしか思わなかったけど、こうして見ると必要なスキルだったのよのね」
最強勇者「……」ムシャムシャ
幼女勇者「今度わたしにも教えてー」
ヒロイン勇者「良いわよ」
幼女勇者「やったー♪」
イケメン勇者「ふん! やあ! てやあああっ!」
普通勇者「イケメン勇者さん?」
イケメン勇者「あ……恥ずかしい所を見られたな……」
普通勇者「恥ずかしい?」
イケメン勇者「……僕はね昔から取り柄のない人間だった」
普通勇者「……」
イケメン勇者「剣の才能も無ければ、魔法の才能もない。あるのは勇者の資格だけだ」
イケメン勇者「何で僕なんだろう。弟や妹なら立派な勇者になれたのに」
普通勇者「強ければ勇者なら俺も選ばれていないと思います」
イケメン勇者「君には皆を纏める力があるじゃないか」
普通勇者「そんな……先陣を切っているのはイケメン勇者さんですし」
イケメン勇者「あはは……あれは何も考えてないよ? 大抵はみんなに迷惑をかけてるだけだからね」
普通勇者「今から失礼な質問をします。怒らせたらすみません」
イケメン勇者「ん? 僕自身のことなら大抵な事には怒らないのが自慢だから大丈夫だよ」
普通勇者「どうして勇者に? 使命を放棄する選択もあったはずです」
イケメン勇者「あはは。僕は小心者だからねぇ……その選択は出来なかった」
普通勇者「?」
イケメン勇者「勇者の印があるという事は否応でも宿命を背負うということだからね。それを無視して生きて行くなんて怖すぎる」
普通勇者「怖い……」
イケメン勇者「何もかも投げ出せる勇気があるなら良かったんだけどねぇ……僕には何故か無理だったよ」
普通勇者「確かにイケメン勇者さんは他の人より優れているとは言えません」
イケメン勇者「うん、そうだね」
普通勇者「でも……それと弱さは別だと思います」
イケメン勇者「ん?」
普通勇者「本当に弱い人なら既に勇者の宿命の重さに押し潰されていると思います」
イケメン勇者「そう……かな?」
普通勇者「はい……俺はそう思います」
イケメン勇者「……うん、ありがとう」
普通勇者「はい……すみません。気の利いた事をいえなくて」
イケメン勇者「いやいや、そんなことないよ? さあ、見張りはしておくから君も休むと良い」
普通勇者「はい。お休みなさい」
イケメン勇者「ああ、お休み」
暗い森の入り口
イケメン勇者「ここが暗い森だね! 見た感じ普通の森みたいだけど」
ヒロイン勇者「確かに……」
普通勇者「まあ、中に入れば分かりますよ」
幼女勇者「zzzz」
最強勇者「……ムゥ」
イケメン勇者「じゃあ、入ってみようか!」
ヒロイン勇者「その前に一ついいかしら?」
ヒロイン勇者「単独行動は絶対にしないこと、もしはぐれたらここに戻って来ること、道に迷ったらよっぽどな事情が無い限り無闇に動かないこと」
イケメン勇者「ああ! わかったよ!」
普通勇者「そうですね。それが一番かと……」
最強勇者「……うむ」
ヒロイン勇者「大丈夫だとは思うけれど……用心するに越した事はないでしょ?」
普通勇者「そうですね……大切な心構えだと思います」
イケメン勇者「よし! 行こうか!」
魔女の家
魔女勇者「……誰かが森の中に」
「……グルルル……」ピクッ
魔女勇者「!?」
「グウゥゥウ……スウゥゥゥ……」
魔女勇者「ほっ……良かった。起きてない」
魔女勇者「……誰が来たのかな。敵意はないみたい」
「スウゥ……スウゥ……」
魔女勇者「眠りの香を足して……っと……ちょっと……行ってくるね。おばあちゃん」
暗い森の中
ヒロイン勇者「中はかなり暗いはね……」
普通勇者「はい。外から見るぶんには陽も射していたのですが……魔法の類いでしょうか」
イケメン勇者「ちょっと待ってくれるかい? 松明に炎を……よし」
最強勇者「……ムゥ」
普通勇者「どうかしましたか?」
最強勇者「魔物の気配がない……獣は居るだろうが」
普通勇者「魔物が住みにくい環境なのでしょう」
イケメン勇者「通りで新鮮な空気な訳だ! 戦いが少ないのは良いことだね!」
ヒロイン勇者「魔女ってのは凄い子なのかも……」
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