前作はこちらです。
柑奈「かんなつき!」夏樹「ロックだな……!」
柑奈「かんなつき!」夏樹「ロックだな……!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484999876/l50)
市原家に関して独自設定を盛り込んでいます、ご容赦ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1486044650
……安部菜々の自宅……
MC『続いての格付けチェックは音感です』
仁奈「音感でごぜーますか?」
比奈「そーっスよ。AとBのどっちがお高い楽器で演奏しているかを当てるゲームっス」
仁奈「むむむ、これは難しそーだ!」
比奈「テレビ越しでスしねぇ……」
菜々「生で聴いてもわかるかどうか……」
比奈「いや、間違いなくわかりまスね。ストラディバリウスが私の魂に訴えかけてくれるはずっス」
菜々「何でそんなに自信満々なんですか?」
MC『それでは、チーム346からは大沼くるみさん、柳瀬美由紀さん。お願いします』
美由紀『よーし! 頑張ろうね!』
くるみ『は、はいぃ……!』
仁奈「頑張れー!」
比奈「2人には大人組の失態をカバーしてほしいところっスね」
菜々「まさか友紀ちゃんと留美さんが揃ってワインを外すとは思いませんでしたね……」
仁奈「2人ともおいしそーに飲んでやがりましたね!」
比奈「飲みなれてる安い味の方が美味しく感じてしまうのがこの番組の罠だというのに……」
菜々「そっくりさんまで落ちた留美さんとか見たくないですし、ここから頑張って欲しいところですよ」
比奈「ボロボロの足袋を履かされてる美由紀ちゃんやくるみちゃんだって見たくないでスもんね」
仁奈「そっくりさんのきもちにはなれねーですね」
MC『チーム世界レベルからは相馬夏美様、お願いします』
夏美『ハーイ♪』
ヘレン『夏美、頼んだわよ』
夏美『任せて!』
比奈「このチーム……というか、ヘレンさんは負けを知らないんスかね」
菜々「確か5、6年は無敗でしたっけね。パートナーも毎回違うはずなんですけど……」
仁奈「どうしてヘレンおねーさんはこんなに負けねーんです?」
比奈「どうして……どうしてでスかね……」
菜々「そうですねぇ……ヘレンさんに関しては世界レベルだからとしか……」
仁奈「世界レベルだと負けねーんですか!?」
比奈「負ける気配は微塵もしないっスねぇ……世界レベル恐るべし」
菜々「ヘレンさん位の世界レベルになったら、さっきみたいにワインを飲む前に当てちゃいますからね」
比奈「あれはどこぞの味覚障害になったソムリエ並みの神業だったっス」
菜々「それどれだけの人に通じるんですか?」
比奈「菜々さんには通じまスよね?」
菜々「…………」←時代考証中
菜々「び、ビデオで見ました!! 中尾さんの演技凄かったですね!!」
比奈(ビデオ……)
MC『それでは移動してください!!』
菜々「音を聞くだけでいいならテレビから離れられますし、ちゃちゃっとおしるこの準備してきますね♪」
仁奈「わーい♪」
比奈「菜々さん、私は白玉がいいっス」
菜々「ちゃちゃっと準備するって言ってるのにそんな面倒なものをリクエストしないでくださいよ!」
比奈「冗談っスよ、冗談」
菜々「まったくもう、そういうのはもっと早く言ってくださいよ……白玉粉はあるんですから」
比奈(白玉粉はあるんスね)
ナレーション『まずはAの演奏』チャララ~♪
仁奈「…………」シンケンッ
比奈(かわいい)
菜々「もうちょっと音量あげて貰っていいですか?」コトコト
比奈「了解っス」ピッピッ
仁奈「…………うーん……」ムムム
比奈(1枚撮っておこう)パシャッ
比奈(「悩める仁奈ちゃん@ウサミン星」っと……)スマホスッスッ
……S県、漁港……
ライーン!
里奈「ぎゃんきゃわー!!」バターン!
柑奈「これはまた可愛らしい写真ですね♪」
渚「しかもコタツでぬくぬくしてるよ……いいなぁ……」
里奈「もう帰るー!! アタシも仁奈ちゃんとおこたでぬくぬくぽかぽかしたいぽよー!!」
七海「ロケ終わるまで我慢してほしいのれす。さ、そろそろ出港の時間れすよ」
里奈「つらたーん!!」
渚「しかもよりによって夜釣りの収録にこんな画像……はぁ、超寒い……」
柑奈「暖かいご飯もありますから頑張りましょう♪」スッスッ
渚(エアギター……)
…………
ナレーション『続いてBの演奏』チャララ~♪
仁奈「むむ…………」
比奈「……うーん……これはわからな」
菜々「これBじゃないですかね」
比奈「ちょうど私もそう言おうと思っていたところっス」キリッ
菜々「今わからないって言いかけませんでした?」
比奈「さあ?」
菜々「白々しい!」
仁奈「いや、これはAですよ!」
ひなな「「え゛」」
比奈「ほ、本当に?」
仁奈「これはぜってーAですよ!」
菜々(ど、どうします? これでAだったらナナたちの耳の悪さが……アイドルなのにまずいですよ……!)ヒソヒソ
比奈(私は菜々さんに便乗しただけなのでセーフでスから……)ヒソヒソ
菜々(ずるくないですかそれ……!)ヒソヒソ
比奈「はっ! そうだ、まだヘレンチェックが残ってるっス!」
菜々「あっ、そうでした! ヘレンさんがまだ何も言っていないからひょっとしたら」
ヘレン『これはAよ。世界レベルの高音ね』
ひなな「「」」
仁奈「ヘレンおねーさんと同じだー♪」
比奈「……なんか、すいませんでした」
菜々「……いえ、私も……おしるこの準備に戻りますね……」トボトボ
ナレーション『正解はA!』
比奈「ヘレンチェック恐るべし……」
仁奈「美由紀おねーさんたちも当ててやがりますね!」
菜々「夏美さんもキッチリ当ててる……ナナの耳って……」ブツブツ
比奈「この番組で第7にオファーが来たら夏樹ちゃんと夏美さんを送り込んでおきましょうか……」
菜々「ですね……」
仁奈「仁奈も出てみてーです!」
比奈「えっ、仁奈ちゃんがっスか……?」
仁奈「もちろんでごぜーますよ!」フンス!
比奈「……出演できるんスかねー?」
菜々「どうなんでしょう……せめて中学生になってからかと……」
仁奈「中学生のきもちになればいいですか?」
菜々「きもちだけじゃ年齢は……」
比奈「すごい、説得力がある」
菜々「ちょっと!」
菜々「まったくもう……はい、おしるこ出来ましたよー!」
仁奈「わーい!」
比奈「ありがとうございまス!」
菜々「温かいうちに食べちゃってくださいね」
比奈「ではでは早速…………あれ、餅じゃない?」
仁奈「わあ! 比奈おねーさんの、白玉でごぜーます!」
菜々「今回だけですよ? 次からはもっと早く言ってくださいね?」
比奈「菜々さーん!!」ガバッ
菜々「わぁ!? き、急に抱きつかないでくださいよ! おしるこ零れちゃいます!」
比奈「菜々ふぁーん」グリグリ
菜々「お腹に顔を押し付けながら喋らないでくれません!?」
菜々「さて、では手を合わせてください」
ひなにな「「はーい」」パン
菜々「いただきます」
ひなにな「「いただきまーす!」」
菜々「一応切り込みは入れてますけど、しっかり噛んで食べてくださいね!」
仁奈「おいしーですよ!」ハフハフ
菜々「ああ仁奈ちゃん、お口が真っ黒けですよ」フキフキ
仁奈「んむー」
比奈「……うーむ」ズズッ
菜々「どうですか?」
比奈「里奈ちゃんの母力(ままりょく)といい勝負でスね」
菜々「おしるこの味について聞いたつもりだったんですけど。あとままりょくって何ですか」
…………
里奈「ハッ!?」キュピーン
渚「おっ、食いついた?」
里奈「今、アタシのポジションが奪われそうになってる系……? こうしちゃいられないぽよ! センチョー! 港へゴー♪」
七海「ぶつくさ言ってないでさっさと釣ってほしいのれす」
里奈「辛辣!!」
柑奈「里奈さんだけボウズですし、早く帰りたかったら頑張ってくださいねー♪」
里奈「ちっちっち、この刈り上げは坊主じゃなくてツーブロックって言うぽよ☆」
七海「里奈さんだけ何も釣れてないって言ってるんれすよ」ゴゴゴゴゴ
渚(あっ、これマジ怒りなやつだ)
…………
比奈「はふ、はふ。このわかりやすいおしるこ味! これこそおしるこって感じだ。わざとらしい小豆の舌触りも良い」
比奈「ずずぅ。しゃばしゃばのお汁粉なんかだと安っぽいスープみたいだが、この程よいとろみがあってこそだよなぁ」
比奈「はむ、むぐむぐ。この白玉も程よい硬さだ。冷凍ものだとふにゃふにゃで食べた気がしないが……うん、美味い」
菜々「何で若干ゴローちゃんみたいになってるんですか?」
比奈「感想を言うならこれかと」
菜々「普通に言ってくれればいいんですけど」
仁奈「おいしーですよ!」プハー!
菜々「こんな感じに」ナデナデ
仁奈「?」
比奈「いやぁ、そんな真っ直ぐに感想を言える歳じゃなくてでスね……」
菜々「歳っていうか、ただネタに走っただけですよね?」
比奈「だって菜々さん、何でも拾ってくれるんでスもん」
比奈「わざわざ白玉まで作ってくれてありがとうございまス。美味しいっスよ」ハフハフ
菜々「いえいえ、美味しく食べていただけてるなら何よりです」
友紀『盆栽なんてわかんないよー!』
比奈「およ、もう盆栽チェックに入ってましたか」
菜々「これわからないんですよねー」
比奈「ちなみに、私は盆栽チェックを外したことがないっス」
菜々「……本当ですか……?」
比奈「ふっふっふ、私は盆栽から滲み出る小林國雄(※)のオーラを読み取れるので」
(※)小林國雄。東京都江戸川区在住の盆栽家。内閣総理大臣賞、国際芸術文化賞、日本花いっぱい協会賞など多数の受賞経験がある盆栽界の重鎮。春花園BONSAI美術館の館長も務めている。「格付け 盆栽 一億」で検索すると出てくる。盆栽教室や公演を精力的に行っており、来年古希を迎えるがまだまだ現役。
菜々「オーラって……凝でも使えるんですか?」
比奈「凝は怠っちゃダメなんスよ。知ってましたかビスケさん」
菜々「誰がビスケですか! 魔法美容師的にもビスケ役は私じゃないと思いますよ!」
比奈「そうやって何でも拾ってくれるから……」
仁奈「仁奈もどっちが本物かわかったですよ!」
比奈「おっ、じゃあせーので答え合わせしましょうか」
菜々(嫌な予感しかしないんですけど……)
比奈「せーのっ」
仁奈「B!」
比奈「ぇんっ、ぶぃい!」
比奈「揃いましたね」
菜々「小林さんに謝ってください」
ヘレン『これはBね、世界レベルなフォルムの盆栽よ』
仁奈「またヘレンおねーさんとおなじだー!」
比奈「」
菜々(追い討ち……)
……数十後……
仁奈「すぅ……」
比奈「おや、仁奈ちゃんは寝ちゃいましたか」
菜々「お肉チェックは他に比べて退屈ですからねぇ」
比奈「羨ましいとは思いまスけど、見てる側からするとどうしても暇な部分でスからね。最後のチェックは前もって答えを明かされませんし」
菜々「参加型じゃないから仕方が無いといえばそれまでなんですけどね……あ、お布団出しましょうか」
比奈「そーっスね」
菜々「仁奈ちゃん仁奈ちゃん、寝るならお布団で寝ましょうか」ユサユサ
仁奈「うんん……あい……」
菜々「おしるこ食べちゃいましたし、寝る前にしっかり歯を磨きましょうね」
仁奈「わかったですよ……」テクテク
菜々「比奈ちゃんは仁奈ちゃんを見ていてくれますか?」
比奈「了解っスお母さん」
菜々「だから!」
比奈「流石に今のは言われても仕方ないかと」
仁奈「すぅ……すぅ……」
菜々「もうぐっすりですね」
比奈「はしゃいでましたからね」
菜々「……今日は来てくれて助かりました。ありがとうございます」
比奈「いやぁ、急に菜々さんがおしるこパーティーするって言い出した時は何事かと思いましたよ」
菜々「今年のお正月、仁奈ちゃんはおせちもおしるこも食べてないって言ってたんですよ。仁奈ちゃんのお母さんはかなり忙しいので、あまりそういう準備ができなかったんだと思います」
比奈「そう言えば……お父さんは海外にいて家にあまり帰ってこないし、お母さんは仕事ですぐ出かけちゃうって仁奈ちゃんも言ってましたね……」
菜々「そのお母さんから第3部署の件で電話がかかってきまして、その時に「正月もまともに家にいられなくて娘に寂しい思いをさせちゃったわ」って言ってました。わざわざ私に相談してくるなんて、本当に不器用な人ですよ」
比奈「……だから今日おしるこパーティーを?」
菜々「ええ。録画した格付けチェックを見ながらおしるこでも食べたら、仁奈ちゃんも楽しいお正月っぽい気分が味わえるんじゃないかな、と。そんな感じの急な思いつきだったので、参加者が3人だけになっちゃいましたけどね」エヘヘ
比奈「そうだったんスか……ところで菜々さん」
菜々「なんですか?」
比奈「仁奈ちゃんのお母さんとやけに親しそうな言いぶりでしたけど……お知り合いなんスか?」
菜々「あっ」
菜々「えっ、とぉ……」
比奈「…………何か疚しいことが」
菜々「ありません! 疚しいことなんてこれっぽっちも!」
比奈「じゃあ何でそんなに親しげな……」
菜々「あ、あれー!? そう聞こえちゃいました!? 違うんですよ! あくまで業務的な連絡のついでの話なんですよ!」
比奈「そもそも、菜々さんが仁奈ちゃんのお母さんに業務的な連絡をすること自体謎なんスけど?」
菜々「そ、それは……」ダラダラ
比奈「……」
菜々「あ、あはは……」
比奈「……そんな恐ろしいボロを電波に載せて発信することだけはやめてくださいね……?」
菜々「は、はい……」
……数日後……
菜々「――――ってことがありまして……」
仁奈母『……普段からそんなに自爆しちゃうの?』
菜々「そんなことは! そんな、ことは……」
仁奈母『別に同じ部署の娘にならバラしちゃったっていいんじゃないかしら? そもそも永遠の17歳って設定も』
菜々「設定じゃありませんってば! ナナは永遠の17歳です! そればっかりは幾ら先輩でも譲れません!!」
仁奈母『アラサーのオバサン捕まえて先輩って慕ってる時点でどうなのよ……』
菜々「もう! そろそろ本気で怒りますよ!?」プンスコ
仁奈母『ごめんごめん』ハハハ
仁奈母『しかし、仁奈の部署がなくなるって聞いた時はかなり不安だったけど、菜々ちゃんと同じ部署に配属されたから安心できるわね。昨日も助かっちゃった』
菜々「ナナの部署は面倒みのいい娘たちが多いので存分に安心していただいていいんですけど……先輩もちゃんと仁奈ちゃんに構ってあげてくださいね? 電話越しの会話じゃ仁奈ちゃんの寂しさはぬぐえませんよ?」
仁奈母『忠告痛みいるわ。せめて季節の大きな節目ぐらい一緒にいてあげなきゃね』
菜々「ちゃんと仁奈ちゃんと話して、スケジュール合わせて、ご飯でも作ってあげてください」
仁奈母『そうさせてもらうわ。それじゃあ仁奈のこと、よろしくね』
菜々「はい、お任せ下さい!」
仁奈母『……ところでウサミン星って何駅が一番近いの? 船橋?』
菜々「あー、もう2駅ほどって何言わせるんですかっ!!」
以上です。小林國雄の盆栽は特徴的でわかりやすいですよね。
仁奈母については、仕事はできるし部下からの信頼も厚いけど、親としては未熟かつ不器用で娘にどう接したらいいかわからない多忙な母という感じになりました、ご了承ください。
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