男「次回予告がある人生」 (21)


男「よーし、明日はいよいよ女ちゃんに告白するぞ!」

男「あっちも俺に気があるっぽいし、多分いけるはず……」



次回『玉砕!失恋の味はほろ苦い!』 お楽しみに!


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男(やっぱりフラれた……いつも通りだ……)

男(次回予告の通りだった……)

男(はっきりと自覚できたのは、中学生の時……)

男(最初は幻聴かなんかだと思ってたが――そうじゃなかった)

男(俺の人生には次回予告があるんだ……)


男「よーし、受験は○○大学一本に絞る!」

友人「滑り止めは受けなくていいのか?」

男「受験料がもったいねえもん」

男「なあに、模試ではA判定だったから大丈夫さ!」



次回『浪人確定!受験には魔物が潜んでた!』 お楽しみに!



男(……ふざけんな!)

男(予備校の先生だって大丈夫っていってくれたんだ! 絶対合格できる!)


男「まさか……落ちちゃうなんて……」

男「いやだけど、もう一年頑張れば、きっと○○大学に合格できる!」

男「それどころか猛勉強すりゃ、さらに1ランク上の△△大学にだって――」



次回『妥協!かろうじて××大学へ…』 お楽しみに!



男(××大学だと!? ○○大学よりずっと偏差値低い大学じゃねーか!)

男(誰がいくか、そんなとこ!)


男「浪人生活でだらけちまって、××大学に入るのがやっとだった……」

男(くそう、またしても次回予告の通りに……)

男(だけど、ここで四年間頑張って、いい企業に入ればいいだけの話だ!)



次回『就職活動大失敗!ブラック企業へレディーゴー!』 お楽しみに!



男(ノリノリのテンションでそんな次回予告すんな!)

男(俺は絶対一流企業に就職してやるんだ!)


男「大企業にこだわりすぎて、結局次回予告の通り、ブラック企業に入っちまった……」

男「毎日、夜12時まで残業……つらい……」カタカタ

男(――でも!)

美女「男さん、毎日残業大変ね」

男「いや、そんなことないよ」

美女「ねえ、今晩お酒でもどう?」

男(会社に勤めてれば、こういう出会いだってあるのさ!)



次回『なんてこと!?謎の美女は美人局!』 お楽しみに!



男(バカいうな! こんな優しい人が美人局なわけあるもんか!)


バキッ! ドカッ!

大男「なに、人の女に手ぇ出してんだ! コラァ!」

男「ず、ずびばぜん……」

大男「オラ、とっとと金出せや!」

美女「出した方がいいわよ~、この人、暴力団に知り合いとかいるし」

男「だ、出します……」


男(まったくひどい目にあった……)

男(もう女なんか懲り懲りだ!)

男(こうなったら、仕事一筋に打ち込んで、出世しまくってやる!)カタカタカタ



次回『まさかのリストラ!?俺は無職になっちゃった!』 お楽しみに!



男(冗談じゃない! リストラなんてされてたまるもんか!)

男(あれこれ企画を打ち立てて、俺の存在感をアピールしてやる!)


男「くそー……無能な働き者呼ばわりされてクビになっちまった……」

男(しかもあの会社、忙しいわりになんのスキルも得られなかったから、再就職のあてもねえ……)

男(これから俺、どうなるんだろ……)



次回『転落人生!第二の人生はホームレス!?』 お楽しみに!



男(マジかよ……)


男「ふんふ~ん……おっ、廃棄弁当みっけ!」

男「慣れるとホームレス生活ってのも案外悪くねえもんだな」

男「このまま頑張れば、それなりに充実したホームレスになれるかも……」



次回『食中毒の恐怖!腹痛地獄が男を襲う!』 お楽しみに!



男「食中毒だぁ~? ふん、食中毒が怖くてホームレスがやれるかよ!」モグモグ


男「いたた……いたたたたた……」ギュルルルル…

男「腹痛ぇ~……」

男(しかもこれ、ただの食あたりじゃねえぞ……絶対ウイルス性のヤバイやつだ……)

男(俺……助かるのかな……それとも……)



次回『男、死す』 お楽しみに!



男(なんてシンプルなサブタイトル……)

男(いつもみたくテンション高いタイトルにしてよ。『さらば現世!男の魂は黄泉へ旅立つ!』とかさ)

男(いや……俺の人生の締めくくりには相応しいのかもしれねえな……)


男(視界がかすむ……意識が薄れていく……)

男(多分、意識を失ったら、そのまま俺は死ぬだろう……)

男(まったくひでえ人生だった……)

男(さてと……まだ次回予告はあるのかな?)

男(あるとしたら、俺は天国行きになるのか、それとも地獄か……)

男(今までのパターンからいくと、多分地獄だな)



次回『なんとビックリ!?今までのことは夢だった!』 お楽しみに!



男「――は!?」


……

…………


チュンチュン… チュチュン…


男「ん、ここは……ベッドの上……?」

男「体も若返ってるし、今は高校2年の春か……」

男「マジで夢だったのか……よかったぁ……!」

男(でも――)


男(もしも今の夢が壮大な次回予告だったとしたら……)

男(俺は結局、今の夢通りの人生を歩むんじゃないかなぁ……)

男(――いや、そんなことない!)

男(夢の中の俺は、結局次回予告に逆らえなかったけど――)

男(ものすごく頑張れば、きっと……ひどい次回予告を覆す人生を歩むことだってできるはず!)

男(そうだろう?)


次回『頑張れ男!次回予告がいつも正しいとは限らない!』 お楽しみに!



男「……ありがとう!」







― 終 ―

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