【ポケモンSM】ヨワシ「怖いか人間よ!! 己の非力を嘆くがいい!!」 (42)

~せせらぎの丘~



ヨワシ「キュウウウウ」

ヨウ「ニャヒート、『ひっかく』!」

ニャヒート「ふんっ!」


(ザンッ)


ヨウ「よォし! いいぞニャヒート!」


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スイレン「まあ! 単独の姿とはいえ、ヨワシを一撃でしとめるとはお強いですね」

ヨウ「ああ。島巡りのために、こんなところで手間取っていられないからな」

スイレン「ふふふ、頼もしいこと。それにしても、海の方からきこえる水しぶき……いったいなにごとでしょうか」


(ザーザー)


スイレン「そういえば、雨は水タイプ技の威力を1.5倍にします……」

スイレン「水しぶきは……この雨で技が強まったポケモンのせいかもしれませんね」

~せせらぎの丘・海辺~



(ザーザー)


スイレン「ヨウさん……。私につられてここまで来ましたね……」

ヨウ「えっ!」

スイレン「そう! キャプテンゲートを越えたということは試練に挑むということ!」

ヨウ「なんだって!? ちくしょう、俺はハメられたのか!」

スイレン「私スイレンの試練は、海のドンといわれるぬしポケモンをたおすこと!」

スイレン「あの水しぶきをご覧ください」

ヨウ「?」

(ごぼごぼごぼ)


スイレン「あそこに、ぬしポケモンがいるでしょう」

スイレン「……もしかしたら先ほどのヨワシや、その仲間がリベンジに来るかもしれませんが」

スイレン「それも含めてぬしに打ち勝ち、あなたの力見せてください!」

ヨウ「くそっ。こうなったら行くしかないか……」

ヨウ「ラプラスであの水しぶきに向かうぞ! 頼んだ!」

ラプラス「よしきた!」


(ざっぷざっぷ)


ヨウ「しかし、あのいかにもな釣りスポット……。あそこで釣りをするには、釣りざおが要るのか」

ヨウ「……いや、今は試練でどのみちポケモンを捕まえることはできない。気にせず行こうラプラス」

ラプラス「ああ」

ヨウ「さて、水しぶきの目前まで近づいてきたが……ん?」


(ゴロゴロゴロ……)


ヨウ「雷がなり出したぞ。どうも不吉だな」

ヨウ「ラプラスもおびえている……。まさかっ!」


(オオオオオオオオオオオオオオオ)


ヨウ「!?」

ヨワシ「…………」


(オオオオオオオオオオオオオオオオ)


ヨウ「な、なんだこのオーラは……」

ラプラス「デケぇ! なんだコイツ!?」

ヨウ「目元がヨワシそっくりだが……何もかもさっきまでのヨワシとは比べものにならないぞ」

ヨワシ「…………」

ヨウ「……」

ヨワシ「ギョエーーーーーーーー!!!!!」

ヨウ「マズいラプラス、逃げろ!」

ラプラス「ヒィィイイイイイイ!!!」

(ざばんっ ざばんっ)


ヨワシ「怖いか人間よ!! 己の非力を嘆くがいい!!」

ヨウ「ハァハァ! コイツ、しゃべる知能まであるのか!?」





スイレン「……ふふ。今のは私の演技ですのに、ヨウさんったら気がつく余裕もないようですね」

スイレン「この様子では、試練を終えたときにはずいぶんお疲れでしょうし……。今のうちにあの子を呼んでおきましょうか」

(ばしゃばしゃばしゃ)


ヨワシ「ガアアアアアアア!!」

ヨウ「ちくしょう速い!!」

ラプラス「追いつかれる!」

ヨウ(くそっ、俺は何をしているんだ……! 島巡りの目標を果たすには、こんなやつ蹴散らすくらいでないと!)

ヨウ「もういいラプラス、止まれ!」

ラプラス「えっ!?」

ラプラス「でもよヨウさん! やつに対抗する策はあるのか?」

ヨウ「安心しろ。やつは正面から俺がたたッ斬る!!」

ヨウ「みんな、オレンは持ったな! 行くぞォ!」

ニャヒートコイルアマカジ「「「おう!!!」」」

ヨウ「先鋒はお前だ! いけっ!」

ニャヒート「よっしゃあ!」

(オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ)


ヨワシ「…………」

ヨウ「ニャヒート、水技に気をつけろ! 『ほのおのキバ』だ!」

ニャヒート「がぶっ!」

ヨワシ「……!」

ヨウ(くそっ、効いているのかいないのかわかりやしねェ。相性が悪い上に雨も降ってるからな)

ヨウ(だが、これで火傷や怯みの状態異常を付与することができれば……!)

ヨワシ「……カッ!」

ヨウ「! マズい、よけ……!」


(ぶしゃああああああああああああああああああ)


ニャヒート「ぐあああああああああああああ!!」

ヨウ「ニャヒート! ちくしょう!」

ヨワシ「ハー ハー」

ヨウ「なんて威力の『みずでっぽうだ』……。あれを食らったらひとたまりもないぞ」

ヨウ(長引けばやつの仲間がやってくる。出来れば時間をかけずに倒したいところだが……)

ヨウ「俺の手持ちに水タイプを半減できるポケモンは、交換したばかりでレベルの低いアマカジしかいない……」

ヨウ「コイルで押し切るしかないのか? ……くっ!」

ヨウ「草タイプなら水タイプに有利なんだ!! 最初に選んだポケモンがニャビーだからちくしょう!!」

コイル「やめんか! あいつも懸命にがんばったんだぞ!」

ヨウ「コイル……。……よし、二番手はお前だ!」

コイル「まかせろ!」


(オオオオオオオオオオオオオオオ)


ヨワシ「…………ハー」

コイル「…………!」

ヨウ「『でんきショック』!」

コイル「うおおおおおおっ!」


(バチィッ)


ヨワシ「!」

ヨウ「やったか!?」

ヨワシ「……ギャオアアアアアアアアアアアアア!!!」


(ぶしゃあああああああああああああああああああ)


コイル「ぐはっ!」

ヨウ「コイル! くそっ、アイツまだピンピンしてやがる!」

ヨウ(頑丈なコイルだから耐えられたが、オレンの実も無意味と思えるほどやつの攻撃は強力だ。いったい、どうすれば……)

ヨワシ「……ハー ハー」

ヨワシ「ギョオオオオオォ!」


(ヨワシはなかまをよんだ!)


ヨワシ「キョォォォォ!」


(ヨワシがあらわれた!)


ヨウ「しまった! ただでさえ手強いのに新手まで!」

ヨウ(単独のヨワシならアマカジでも余裕で倒せるのに、肝心のやつを倒せる気がしねェ!)

ヨウ(いやあきらめるな! きっと、どこかに勝機があるはずだ)

(ざぱんっ ざぱんっ)


ヨワシ「ガァッ!」

ヨワシ「カァッ!」

ヨウ「くそっ、もう時間がない!」

ヨウ「せめて後続のアマカジを戦いやすくするぞ! コイル、『ちょうおんぱ』だ!」

コイル「食らえェ!」


(きぃぃぃぃぃいん)


ヨワシ「ガッ!!」

ヨウ「どうだ!?」

ヨワシ「キュァッ!」


(ぷしゃぁぁぁぁぁ)


コイル「ぐっ!」

ヨウ「コイル! あぶねェ、オレンの実で回復してたから単独のヨワシの攻撃には耐えられたか……」

ヨウ「それにしても、不気味なのはぬしポケモンだな。沈黙しているのは『ちょうおんぱ』が効いたからか?」

ヨウ「しかし妙だぞ……。普通『ちょうおんぱ』で混乱したポケモンでもなにかしらの行動を起こそうとするはずなのに、どうして……」

ヨウ「こんな時こそロトム、お前の出番だ!」

ロトム図鑑「おまかせロト!」

ヨウ(こいつはロトム図鑑。見ての通りポケモンのデータが詰まった図鑑だ)

ロトム図鑑「ヨワシのデータを検索中…………検索完了ロト!」

ヨウ「よしロトム! そいつを俺に見せてくれ!」

ロトム図鑑「了解ロト!」

ヨウ「なるほど……よし、わかったぞヤツの弱点が!」

ヨワシ「ッガアアアアアアアアアアアアアア!!」

ヨウ「一足遅かったな! コイル、とびっきりの『ちょうおんぱ』をお見舞いしてやれ!」

コイル「どらァ!」


(きぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいん)


ヨワシ「クェエエエエエ!!!!!!」


(ばしゃばしゃばしゃばしゃ)


ヨウ「あの野郎、身もだえしてやがる! 音だ! ヤツは音に弱いんだ!」

ヨウ(群れの中で音の刺激は視覚よりも共有しやすく、攻撃のダメージに比べても全身へと伝わりやすい……。推測にすぎないが、こいつが音に弱い理由はこんなところかもしれないな)

ヨウ「ようやく見えてきたぜ……ぬしポケモンを倒す術がな!」

ヨワシ「キュウッ!」


(ぷしゃあああああ)


コイル「ぐぁぁっ……!」


ヨウ「ありがとうコイル。お前のお陰で攻略の糸口がつかめた」

ヨウ「あとは仕上げだ! 頼むぞアマカジ!」

アマカジ「まかせて!」

ヨウ「『はっぱカッター』!」

アマカジ「やぁっ!」


(ひゅんひゅん ズバッ ズバッ)


ヨワシ「ギョオオオオオオ…………」

ヨワシ「ギャッ……」

ヨウ「よし、効果は抜群!」

ラプラス「おまけにぬしポケモンのやつ、動きがにぶったままだ! いけますよヨウさん!」

ヨワシ「……ギュオオオオオ…………」

ヨワシ「キュァァァァァ」


(ぷしゃあああああああ)


ヨウ「へっ、単独での『みずでっぽう』なんてアマカジには効かないぜ! もう一度『はっぱカッター』!」

アマカジ「行けェ!」

(ひゅんひゅんひゅん…… ズバッ ズバッ)


ヨワシ「キョオオオオオ」

ヨワシ「キュウウウウウ」


ヨウ「単独の方はひんし、ぬしの方も魚群が散ったか……」

ヨウ「ハ、形勢逆転だな」

ヨワシ「キュウウウウウ……」

ヨウ「たたッ斬る!! とどめの『はっぱカッター』!」

アマカジ「行けェェーーー!」


(ザンッ)


ヨワシ「キュオオオオオオオオオオオ…………」

ヨウ「傷を負ったぬしポケモンが逃げていく……。俺は……勝ったのか……!」

ヨウ「勝ったぞ! 水の試練突破だぁーーー!」

アマカジ「イェーイ!」

ラプラス「凄ェよヨウさん!」

ヨウ「ハァ、ハァ。ちくしょう動悸がハンパねぇ」

スイレン「ヨウさんお見事です! わたしのもとに来てください」

ヨウ「ハハ、スイレンの声がこんなところまで聞こえるや。あのときヨワシが人語をしゃべったのも、実はスイレンの演技だったり……なわけないか」





スイレン「私……自分の気持ちに戸惑っています。丹念に鍛えあげたヨワシたちを倒され、心からくやしいのですが……」

スイレン「ヨウさんの試練達成を祝わずにはいれないのです!」

ヨウ「やれやれ、あんたが鍛えたヨワシだったのか。邪鬼【オニ】のように強かったからひやひやしたよ」

スイレン「ふふふ。そう言っていただけると、嬉しくなっちゃいます」

スイレン「雨も晴れましたし、試練達成を祝って食事でもいかがですか? 頼りになる友達を呼んでいるんです」

マオ「どうもマオでっす! また会ったね!」

ヨウ「あんたは……キャプテンの!」

マオ「試練に挑んでるとこ、途中からだけどしっかり見てたよ! ねぎらいとお祝いを兼ねて、料理作ってきたからみんなで食べようよ!」

マオ「リザードン、持ってきて!」

リザードン「グォン!」

ヨウ「おぉ……。リザードンが手持ちにいるってことは、マオは相当強いトレーナーなのか」

スイレン「あれはライドポケモンですよ。アローラでは、空を飛ぶときにリザードンライドを使うように決まってますから」

ヨウ「ライドポケモン! リザードンを使うにはライドギアがいるのか!」

マオ「バトルも自信あるけどね! さ、スイレンに注文されたばかりであつあつの豚汁をどうぞ!」


(ぐつぐつ)


スイレン「わぁ……。お鍋の中で煮立っててとてもおいしそう」

ヨウ「おぉー!」

マオ「男の子だもん、お肉好きでしょ? 熱いうちに食べて食べて!」

(ワーワー ワーワー)


ヨウ「うめェ! この豚汁すごくおいしい!」

スイレン「冷えた体があったまりますね」

マオ「雨降ってたのに傘ささないからだよ」

ニャヒート「ホントおいしい」

コイル「でかした!」

アマカジ「おかわり!」


(あっはっはっはっは…………)

ヨウ「……水の試練を突破したのが昨日だったか。たった一日も経ってないのに、なんだか懐かしい気分だな」

ヨウ(あれからスイレンに釣りの仕方や水のZ技も教わって、手持ちも増やした)

ヨウ(わざわざスイレンが気に入ってるってポケモンを捕まえたからな。育てれば、頼れる仲間になるに違いない)

ヨウ「さて。道具もそろえたし、あのとき貰った余りの豚汁も食べ尽くしたし……」

ヨウ「次はヴェラ火山で試練に挑むぞ! みんな、準備はいいな!」

ニャヒート「ああ!」

コイル「いつでもいいぞ」

アマカジ「行きましょう」

シズクモ「やってやるぜ!」

ヨウ「よーし。……行くぞォ!!」



「「「「おう!!!!」」」」

以上で完結です。読んでくださった皆様、ありがとうございました

スレタイのセリフがやけに頭に焼き付いて離れず、どうしようもなくなって書いたのですが原作のセリフ回しを踏襲するのは難しかったです。やっぱり先生ェは凄いお方だと思いました

酉付け忘れてるじゃねえか! このクソ書き手が!

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