【まほいく安価】プフレ「19人目はかき回してくれた」【魔法少女育成計画limited】 (128)


前スレ
【まほいく安価】プフレ「19人目が事件に介入したか」【魔法少女育成計画limited】
【まほいく安価】プフレ「19人目が事件に介入したか」【魔法少女育成計画limited】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485012235/)
の続き


・なんどめだまほいく並何番煎じ
・安価とコンマで進行
・基本的にそのキャラが主人公となり、前スレまでの主人公は準主役的な視点
・突然原作QUEENSまでのネタバレが出ても責任はとれないぽん

・魔法少女育成計画limited(原作4、5巻)が舞台
・これから原作読もうと思っている人はバリバリのネタバレ注意

・頑張って生き残ってほしいぽん


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485364028


魔法少女「メルティ☆セルティ」のステータス

本名:本郷麻由(ほんごう まゆ)

魔法:【影を自在に操ることができるよ】

容姿:随所に装飾が施された真っ黒なドレス。なんかお前透けてね?

性格:竹を割ったような人(現在は荒んでいる)

口調:異様に穏やか

身体能力……49 ★★★
知力……70   ★★★★
精神力……67  ★★★★
幸運……18   ★
自己主張……  ★★
野望・欲望…… ★★★★
魔法のポテンシャル……★★★★

スキル「悲運」……身体能力、知力ロール時に-10

持ち物
「殺した魔法少女達の私物」


 前スレ主人公

魔法少女「美しい妖精のシャナ」のステータス

本名:龍崎紗南(りゅうざき さな)

魔法:【いつでも消えることができるよ】(発動条件:自分の素肌を相手に見せる)

容姿:紅い長髪に紅い瞳を持ち、地に着きそうなほど丈の長い黒コートの下は下着のみ


身体能力……89 ★★★★★
知力……59   ★★★
精神力……97  ★★★★★
幸運……96   ★★★★★
自己主張……  ★
野望・欲望…… ★★★
魔法のポテンシャル……★★★

スキル「豪運」
スキル「剣道」
スキル「殺人剣」
スキル「ペチニー」

持ち物
「太刀」

前スレ>>1000はシンの悪口を言ったためブンブンの刑に処す。虎を見るまで

スキル「ペチニー」


スキル「ペチニー」


・・・・・・


ピティ・フレデリカはB市から遠く離れたどこかの土地で、弟子と共に一息ついていた

その弟子の機嫌は悪い


フレデリカ「仕方ないでしょう。もう時間が無かったのですよ。大量破壊兵器と言われれば、誰でもビビるというもの」

トットポップ「でも……」

フレデリカ「(トットポップが誰か1人に入れこむなんて珍しいですね……案外、惜しかったかもしれません)」


離れたところには監査部門と人事部門、あとフレデリカも見覚えのある外交部門がいた


フレデリカ「お久しぶりですね」

シスターナナ「あ、お久しぶりです」


フレデリカ「(ウィンタープリズンにスノーホワイトの稽古をつけるよう頼むときに一緒にいた方……持ってる生首は……おそらくウィンタープリズンでしょうか)」

フレデリカ「(彼女の髪は……やめておきましょう)」


羽菜「う……」

マナ「羽菜!」

羽菜「マナ……? あれ、私……プキンに……」

マナ「……覚えているのか?」

羽菜「うん……セルティさん……が…………う、ん……」

マナ「羽菜? 羽菜!」

7753「気を失ってるだけです」

セルティ「…………(まさか、覚えているのか?)」

セルティ「(気絶してからこっち、何が起こったのかは分からない……どうやらフレデリカの魔法で脱出したようだが、もし下克上羽菜がプキンに操られているときの記憶を覚えていたら、私のことも……彼女は邪魔だ)」


今羽菜を始末するのは容易だ。心配するフリをして彼女の影に触り、小さく槍を心臓に一突きしてやればいい

だが、ここには他の魔法少女もいる。無理だ

自分の所業がバレていない内に、早急に始末しなければ



 B市に大量破壊兵器は……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→投入された
 偶数→ガセだった

死んだな


外交部門の暴走はついに他部門が止められないところにきていた

投入された大量破壊兵器は、B市を地図から消した。そこにいた人々や建物、なにもかもを吹き飛ばした

魔王パムは生きていた。それが外交部門にとっての唯一の幸運であった

この凶行に魔法の国は外交部門を糾弾した。いかに魔王パムという存在が魔法の国で強大なものだとしても、外交部門はこれを避けられず、立場の悪化を余儀なくされた

外交部門取り潰しにならなかったのは、まだ魔王パムが生きていたからだろう


そしてその後、トットポップ達革命軍がまほまほ動画にアップロードした動画は、今度は監査部門の立場を悪くした

トコがすべて吐き、監査部門の暗殺者という事実は魔法の国全体に知れ渡ったのだ

革命軍の輝かしき1歩目である

あの状況で魔王がシャナを見捨てるとは思えないが……


・・・・・・


月が照らす田舎道を、2人の人影が重なり合って歩いていた。どちらもボロボロだ

片方は意識が無い。意識がある方が無い方腕を自分の肩に回していたのだ。その歩みは遅い


シャナ「…………ん……?」

プキン「…………」

シャナ「……お前……なんで……」

プキン「魔王パムの羽根が吾輩をさらったかと思えば貴様の元に送り込みおった。お陰でこうして労働する羽目になっている」

シャナ「え、あー……えっと……Why help me?(合ってるかな?)」

プキン「…………私はお前の主だからだ」

シャナ「(I'm your master……って、言ったのか?)…………しゃーねーな。よっと」

プキン「……何故吾輩の肩を支える」

シャナ「……I'm your servant」

プキン「…………くっ、はははは……」


突如起こった巨大な爆発によってB市が消し飛んだというニュースは日本はおろか、世界中を驚かせた

スノーホワイトやキノといった名だたる監査部門はB市があった巨大なクレーターへと調査に来ていた

表向きにはB市の地下に眠る核燃料施設の悲劇的な事故とされたが、ネットでそれを信じる者は少ない

魔法の国はこの世界にあまり介入はしない。故にこの事件は魔法の国を騒がせた。革命軍の告発などぶっちゃけこの事件に比べればしょぼい事件だ


キノ「…………ここに、沢山いたんだ」

ラ・ピュセル「……生存者は……いないだろうな」

アリス「……」

スノーホワイト「………………」

リップル「キノ、行こう。この調査に意味は無い。でかい穴が空いている。それだけだ」

キノ「……はい」


・・・・・・


庚江「……ふぅ。護、おかわり」

護「はいはい」

庚江「護、この事件でやらかした部門はどこだと思う?」

護「外交部門でしょ。すごいじゃないですか、風当り」

庚江「60点」

護「監査部門も今大変みたいですね。キノ達大丈夫かなぁ」

庚江「90点」

護「え、他にやらかしたところがあるんですか?」

庚江「護には教えない」クスッ

護「え、ちょっとそれはないですよ!」

庚江「(……この事件をきっかけに、私の人事部門は他の部門から大きくリードした。ここからだ。人事部門はここから『やらかす』のだ)」


フレデリカが敵である魔法少女達を助けた理由……それはトットポップの言う「協力者」に言われたからだった

「その魔法少女達を助けろ」と

恩を着せるのも悪くないと思った。今更逮捕だなんだと騒ぎ立てはしないだろう

下克上羽菜にはキツい口止めをした。ここにいる魔法少女の髪はすべて手に入れた。メルティ☆セルティが魔法の国のどのポストに入ろうと、彼女のことを誰かに伝えてはならない。と……これじゃ脅しか

セルティは人事部門に入った。7753は再び上司にゴーグルを送ることになる。彼女のもとに帰っている頃には、そのゴーグルはセルティの情報だけを間違えて伝えることになるだろう

7753の研修はあってないようなものだった。あの地獄を生き残った仲だ。7753はマナの話のもと、セルティを「正義感が強く、非力な自分に負けない魔法少女」と評価した

「協力者」は表立って革命軍への応援はできないとのこと。革命軍はその手駒を魔法の国内部に忍び込ませることに成功したのだ


・・・・・・

~どこかの廃屋~


シャナ「ペチカ様ぁぁぁ!! ああっ、ペチカ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

プキン「うるさい!!!!!!!!!!!!!!!」


・・・・・・

~翌日 違う場所の宿~


シャナ「ペチカさまぁあああああああああああああああ!!!!!」

プキン「うるさい!!!!!!!!!!!」

「うるせー!」「だれかこの客追い出せ!!」

この落差だよ(笑い)


テプセケメイ「プキン、なにすればいい」

プキン「とにかく腹が減った」

シャナ「……あ、ユーメイド……なんだっけ」

テプセケメイ「シャナ、なに読んでる?」

シャナ「あ? ブリディッシュ英会話の本だよ。お前はいいよなぁ……剣で斬られてるからイギリス英語ペラペラで」

テプセケメイ「日本語は、まだ、むずかしい」

シャナ「これから覚えりゃいいさ。あーペチカ様に会いたい」

プキン「そうだ、シャナよ。言ってた料理人に会わせろ」

訳セケメイ「――って言ってる」

シャナ「あ? ああー……私が英会話をマスターしたらな」

テプセケメイの存在を完全に忘れていた。
訳セケメイ


訳セケメイ


メルティ☆セルティの腕は再生魔法を持つ魔法少女によって再生されていた。新人研修を乗り越えたセルティに対しての当然の対応だ

人事部門に入ったセルティは7753の上司にして部長のプフレに出会った。一目でコイツは頭がキレると思わせる魔法少女だった


プフレ「君がメルティ☆セルティか」

セルティ「はい」

プフレ「君のことは7753……と」

プフレ「フレデリカから聞いている」ボソッ

セルティ「っ……」

プフレ「よろしく頼むよ」ニコニコ

セルティ「……ええ、こちらこそ、よろしくお願いします」ニコニコ


そしてシスターナナはすっかり魔法のお薬の虜だ。セルティは羽二重奈々が堕ちていく姿を見て絶頂を覚えた

魔法少女になって、悪事に手を染めてからはまるでジェットコースターだった。ヤクザの事務所に忍び込み、自分の借用書もろとも焼いた。もちろん金庫はいただいた。知り合いへの借金も返せてセルティは完全にかつての生活から脱却したのだ

憧れのダークキューティーに会うのもそう遠くない。そんな少女心と誰もが忌み嫌う悪を持ち合わせた魔法少女「メルティ☆セルティ」の躍進はまだ始まったばかりだ



  魔法少女育成計画limited 完


お疲れ様でした。更新が比較的速いのは自分自身楽しみにしてるからです
今回は……悪でした。完全に悪の勝利でした。正義は儚い
セルティの影が薄かったのは、JOKERS以降で挽回させていただきたい


 と、ここで増えすぎた主人公を半分にする……わけにはいかないので次のキャラメイクについてです


 次スレ(JOKERS)でキャラメイクを……>>↓5まで

 1.する
 2.しない

1


JOKERSでもキャラメイクをすることが決まりました

先に言っておくと

エレメンツ、フリーランス、プリズムチェリーの友達

の3つの枠のどれかになります
これで次回、主人公は悪くならないはず
おばあちゃんは言っていた……まずい飯屋と悪が栄えたためしはないと

ぶっちゃけJOKERSでレディ・プロウドとスノーさんが介入してくる理由が無くなった……3馬鹿とレディとアンブレンは出せない可能性もある。けど、理由を付けて出せる可能性もある

次回、シャナはお休み

ここからこのスレは適当な短編集へと変貌する
気が向いた時に

遅くまで安価協力&読んでいただきありがとうございます

改めて、乙

restartはメイン寄りだったし、言うほどモブ化はしていない気が


  ~後日談1 「木野結衣の激辛な日々」~
  


・・・・・・


声優、木野ユイは高校卒業後、正式に事務所に所属していた

若さと人前に出て恥ずかしくないルックスでいまやファン急増中の人気声優である

木野結衣の1日は、朝、スズメの鳴き声で目が覚める。隣で寝る親友を起こさないように目覚ましをセットしていないが、なかなかどうして起きられるものだ

親友はその家庭環境から金銭的に厳しい生活をしていた。ただの親友でない関係の彼女を案じ、一緒に住もうと提案したのは自然な流れだった。最初は反対されたが、いつも一緒になれてなおかつ互いに家賃が減るというのは魅力的だったようで、親友は断れなかった

いつもの習慣で起きてしまったが、今日はオフだ。自分の腕に絡まっていた親友の腕を優しくほどき、結衣はキッチンへと向かった

メニューはトーストにベーコンエッグ。定番にして理想とも言える朝食だ。昨日はご飯に納豆だったから今日は洋食にしてみた

フライパンにベーコンを敷いた時の音でどうやら親友も目覚めたようだった


華乃「……ん……おはよう、結衣」

結衣「おはよ、華乃ちゃん」


結衣「今日はバイトだったよね」モグモグ

華乃「うん」モグモグ

結衣「じゃあ夜ご飯作って待ってるね」

華乃「ありがと……」

結衣「日中何してようかなー……キャンディー集めでいっか」

華乃「もう困ってる人を助けてもキャンディーもらえないって」クスッ

結衣「でも『今日は人助けでもするか~』ってなんか変じゃない? 傲慢すぎるというか」

華乃「…………うーん……人助けさせていただきますとか」

結衣「そんなに畏まっても……」


結衣と華乃の生活は、互いの仕事事情によって食事当番が変わる。結衣が仕事の日には華乃が作り、華乃にバイトがあれば結衣が作る。どっちも家にいない場合は外で済ませてくる。それが2人の食生活だった


ある日、結衣は急遽打ち上げに参加することをうっかり華乃に伝え忘れた

2次会までたっぷり参加したせいで時計は午前1時を回り、結衣が連絡を入れ忘れたことに気付いたのは家に帰り、頬を膨らませた華乃がテレビを見ていたのを目撃したときだった


結衣「華乃ちゃん?」

華乃「…………」

結衣「……? 華乃ちゃーん」

華乃「ふんっ……」スタスタスタ

結衣「あれ……? あ、まさか……! やっぱり、連絡入れ忘れてた……!!」


テーブルの上にはラップされた料理と食器が2人分ある。まさか華乃は食べずにずっと待っていたのだろうか

申し訳なさが胸を突く。結衣は急いでベッドに倒れこんで携帯をいじる華乃に平謝りした


結衣「ほんっとゴメン! てっきり連絡入れてると思ってて……あの、今日打ち上げがあって……」

華乃「…………」

結衣「………………あの、華乃ちゃん……?」

華乃「いいし……」

結衣「ごめんね……次はちゃんと連絡入れるから」

華乃「…………」

結衣「華乃ちゃん、食べてないんだよね? 一緒に食べよっ」

華乃「……結衣、食べて来たんでしょ」

結衣「全然!(本当は食べて来たけど……)」

華乃「……嘘ついてる」

結衣「えっ?」

華乃「結衣、分かりやすいから……嘘。食べて来たんじゃん」


非常にまずい事態だ。進退窮まっている。ここで無理に華乃をテーブルまで引きずるのは悪手だ。かといって華乃を無視して寝られない。というかベッドに入れない

結衣はついに最後の手段に出た


結衣「華乃ちゃん」ダキッ

華乃「……ふん」

結衣「ごめんね……ほんとに。気を付けるから、許して?」

華乃「………………いいよ」

結衣「本当?」

華乃「……うん」

結衣「ありがとっ」

華乃「……料理は、1人で食べるから」

結衣「私も食べる! 今温めてくるね!」

華乃「あ……うん」


結衣「美味しいねえ(すっごく辛いけど。華乃ちゃんホント辛いの好きだね……)」

華乃「……出来立ての方が美味しかった」

結衣「う……」

華乃「……ごめん。引き摺って…………」

結衣「そんなことないよ! 悪いのは私だし……」

華乃「…………さみしかった」

結衣「ごめんね……その分今日は寂しくなくしよう!」


華乃はキークの事件以降、結衣にベッタリになった。その分、結衣がいないと空白が胸を埋め尽くすという重病にもかかってしまった

素直になれない自分の性格に苛立ち、深い理由も無く衝突することが今は少なくなったが一緒に住み始めた当初は多かった。やれ帰りが遅いだの、やれ冷たいだの、とにかく喧嘩した。なのに喧嘩すればするほど仲が深まっていく気がした


結衣の今を表すなら「からい」だろう

華乃の作る料理は、普通のメニューなら普通に美味しいが、辛いメニューだととにかく辛い。汗をかく。お陰でひとり暮らしでちょっとぷにっていたお腹も少し引き締まった。なにより華乃の作る辛い料理は辛さの中にもうまさがあって「辛いのもうやだ!」と言えないのだ

華乃はスレンダーだ。リップルのあの豊満なバストからは想像できないくらい――


結衣「あいたっ」

華乃「変な事考えてたでしょ」

結衣「そんなそんな! 華乃ちゃんはスレンダーでいいなーって」

華乃「……………………」ギリリリリリ

結衣「か、華乃ちゃん……? 目が怖いよ?」

華乃「結衣はいいよね。大きくて」

結衣「私は普通だよ!!」

華乃「結衣が普通なら私はなに!?」


また喧嘩になった。まったくくだらない理由だ。けど、悪くない

魔法少女になってしまうとリップルは師匠だが、人間同士なら師匠も弟子もない

華乃は思う。失いたくないと。あのキークの事件の時のような思いはもう御免だと

結衣は思う。このエビチリかれぇぇぇ~~~!! 水、水! いや牛乳! と

残り2人とか他の誰かとか、JOKERSが始まる前に埋めたい……


  ~後日談2 「いい天気なので、密売人を殺しに来た」~

  
  

・・・・・・


本郷麻由は魔法の国のものではない魔法のお薬を売る仕事をしている。毎日毎日死人のような顔をした連中から金をもらってお薬を処方する簡単なお仕事だ

メルティ☆セルティは悪いことをしてお金を稼ぐ魔法少女だ。といっても、襲撃するのは金貸しやヤクザの事務所。都内ばかりだと特定されかねないから人事部門の仕事でどこかに派遣されたときは、その地域の事務所を襲撃した。人事部門は部門長であるプフレが清濁どちらも好む――どちらかというと濁な魔法少女だ。それに革命軍の協力者と、裏の顔はとんでもない。だがそれを告発するほどセルティは正義の味方ではない。むしろ革命軍であるセルティの悪事に目を瞑ってくれる素晴らしい上司だ

ヤクザというのは古典的な組織で、口座ではなく現金を保管しておくことが多い。脱税の証拠である福沢さんががたんまりと目の前に広がる瞬間はいつ見ても楽しい

だがもっと楽しいのは、コイツらもうダメだなという連中の顔を拝むことだった。破滅していく様をリアルタイムで見ているのだ。これ以上稼がなくてもいい麻由が働いている理由がこれだ

お薬を処方する仕事だが、別に学生の運び屋から貰って各地で売りさばくというものではない。表向きは普通の個人経営のドラッグストアだ。これまで何度もガサ入れにあったが埃ひとつでない清廉潔白なドラッグストア。外面だけはいいその様はセルティに似ている

その日、今年55になって「松井だぜ」と喜んでいた店主が麻由へと耳打ちした

「最近この辺に密売人が出るらしい。ったく店の売り上げが……」

密売人……なるほど、この辺のヤクザの手の者か、それとも考えにくいが個人か

麻由はこの店を気に入っている。この店にはクズ共が来る。そのクズ共を奪われるのは麻由の気に障る

魔法少女メルティ☆セルティは「麻薬撲滅」という名目のもと、密売人を始末しに行った


翌日から密売人はいなくなった。無論この世からだ

店主は喜んでいた。これで商売がやりやすいと

午後にシスターナナが訪れた。いや、もうシスターナナではない。ただの人間だ


奈々「あの、雫がいなくなってしまったのですが……」

麻由「あらそれは大変。ん」

奈々「……その、お金は……」

麻由「お金が無いと雫さんに会えないよ? その辺に金貸し屋あるから借りて来なよ」


へっへっへ、まったくいい人助けだ。死んだはずの恋人にこうして会わせてあげている。困った人を助けている。魔法少女だ


数日後、久々に3日丸々休みが出来た。かつて一緒に働いていた元部下を食事に誘うと、二つ返事で行くと答えてくれた

麻由は元々明るく、誰にでも素直に接し友人が多かった女だ

その元部下は転活がうまくいき、今の仕事が楽しいと言ってくれる。麻由は「私も」と話すと心底ホッとされた


「よかった……本郷さん一時期大変だったみたいだし」

麻由「ごめんね? あの時はお金借りちゃって……」

「いいんです! なんか倍にして返してくれましたし……本郷さん、そんなに実入りのいい仕事してるんですか?」

麻由「まぁね。紹介してあげたいけど……あんたは今の仕事大好きそうだしやめとくわ」

「えへへ……」


リフレッシュできた。やはり健常者と話すのはいい。自分もまだ健常者をやれてると確認できる


元部下を駅まで送る道中だった。彼女の鞄がひったくりにあったのだ。まーたひったくりかよ。と前のB市を思い出し嫌な気分になる


麻由「待ってて。すぐ取り戻してくる!」

「あ、ほ、本郷さん!」


物陰でセルティに変身し、かつてと同じように影縫いをしてひったくり犯をのした。変身を解除


麻由「あんたねぇ、人の物盗んで生きようなんて腹がくそったれなのよ!!」

「はぁっ、はぁっ……ち、ちくしょ……! なんだテメェ!」

「あーーーーっ! うわぁぁぁ……」

麻由「あん?」


路地裏でひったくり犯を捕まえ、友人と警察の前に突き出そうと思っていたら、若い女性の声が響いてきた

女性は自らを探偵と名乗り、なんでもひったくり犯を捕まえて事務所に手柄を見せたかったのだとか


麻由「……いいわ。あんたの手柄にしなさい」

「えっ、いいんですか!?」

麻由「別に友人のバッグ取り戻したかっただけだし」

「ありがとうございます! ありがとうございますっ! あ、あの私、氷岡忍と言うんですけど、お名前だけでも……よかったらご飯とか奢らせてください!」


そんなに感謝されることか……? 探偵ってやつはひったくり1つ捕まえるのにそんなに価値を見出すものかと思いながら、麻由は自分の名前を言い、ご飯は丁重にお断りした


「本郷さん! あ、私のバッグ!」

麻由「そこの探偵さんが助けてくれたの。感謝しなさい」

「ありがとうございます!」

忍「い、いえー」


その後ひったくり犯を警察に突き出すのに同行し、今度こそ駅まで送った。なんか久しぶりにまともな人助けをしてしまった。悪人なのに

でもまぁ感謝されるのは少しだけ気分がいい。多分人間として正常な思考だろう。よし、私はまだ健常者だ。セルティになっている時はキチガイの悪人を望むが、麻由はまた別だ。人間社会で生きていく以上健常者でなければやりにくい。この気分なら残り2日の休みも有意義なものになるだろう


  ~後日談3 「ああ憧れのペチニーマスターに、なりたいな、ならなくちゃ。絶対なってやる!」~
  


・・・・・・


魔法少女ペチカこと建原智香は最近、部屋に変な気配を感じていた

B市の事件から数週間が経ち、そろそろワイドショーが別のニュースを大々的に報じ始めた頃からだ。最初は幽霊かと思った。だが、幽霊よりもっと怖い目にあっている智香のメンタルはなんと意外にも鍛えられていたため、怖くて寝られないということはない

もう1週間も幽霊につきまとわれている

幽霊は必ずペチカがベッドに入ってから30分後に窓からやって来る。よくよく考えると窓から失礼しまーすな奴が幽霊なわけがない

智香は目を開け、幽霊を見た。が、何もない。最初から何もいなかったかのように……

幽霊は智香が目を開けるといなくなるのだ


シャナ「へへへへへへへ……」


コートを脱ぎ、窓からペチカ様の部屋に侵入する。ペチカ様がこちらを見る。当たり前だ。窓から誰かが入ってきたらそりゃ見る。が、見られればシャナの魔法が発動し、ペチカ様の記憶からシャナは消える

それをもう1週間くらい繰り返した。最初の1日目はあまりの緊張で何もできず帰った。2日目に部屋に入り深呼吸をして帰った。3日目にボールペンを持ち帰った。4日目にタンスを開けた。5日目に、6日目に……

そして今日は、ついにペチカ様のベッドに潜り込む。あぁ^~

いいにおいがした。ペチカ様のグッドスメルだ。どれ、味も見ておこう。シーツをしゃぶった。美味しい料理を作るペチカ様のベッドのシーツもまた美味しかった

シャナは魔法少女になって初めて自分の魔法に感謝した。この魔法は本当にシャナが消えるわけではない。「その人から見て消えてるように見える」認識攪乱だ。だから部屋の空気が吸えるしベッドも食べれる


シャナはペチカ様に重なるようにベッドに仰向けになった。ペチカ様は眠りが深いタイプのようで、掛布団を外された程度じゃ起きない。布団は物理透過できないのが悩みだ。ペチカ様に寒い思いをさせてしまう。シャナは早急に済ませようと思った


シャナ「すううううううううううううううううううううううううううううううううう」

智香「ん……」


物理透過により、今自分はペチカ様と完全に重なっている。ペチカ様と同じ風景を見ている。もう私がペチカ様だ


シャナ「たまんねえええぇえぇ!!」


よし、今日はこの辺で。また明日来よう。ペチカ様に布団をかけなおしてあげよう

布団を持ち上げた時だった。ペチカ様がううんとうなると、瞼を開け始めたのだ


なんか酸素が薄い気がした。寝苦しい。トイレに行ってスッキリしよう。そう思って瞼を開けたときだった。布団が浮いてる。え、布団が浮いてる!?

なんで!? ポルターガイスト!? いや、誰かが持ち上げてる!? そう、誰かが……布団を持ち上げてる人がいる。そう認識すると、紅い瞳に紅い髪の魔法少女と目が合った


智香「いやあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


ブン殴った。暴力が嫌いな智香でさえ見事な右ストレートをブチ込むに値する相手だった

智香はすべてを思い出した。何日も何日も、窓から侵入してきた奴のことを

とりあえず悲鳴を聞いて「どうした!?」と駆けつけてくる弟にコイツを見せるわけにはいかない。シャナに弟に魔法を使うよう言い、弟が「なんだよ夢で驚いて悲鳴って子供かよ」と言われたのを苦笑いであしらい、変身してから改めてシャナに土下座させた


シャナ「………………」

ペチカ「…………………………」

シャナ「……あの」

ペチカ「あ?」

シャナ「いえ」


ペチカ「……あなたには感謝しています。あのゲームで、色々と助けていただきました」

シャナ「ありがとうございます」

ペチカ「ですが、こういうことはよくないと思います」

シャナ「まったくその通りでございます」

ペチカ「じゃあなんでしたんですか!!」

シャナ「いや、その……愛で」

ペチカ「そうですかそうですか」

シャナ「いえ……本当は…………リビドーで」

ペチカ「そーーーーですかそーーーーーーーーですか」

シャナ「誠に大変もうしわけありませんでした」

ペチカ「もう2度としないでくださいよ!」

シャナ「はぃ」

ペチカ「次やったら料理にしますからね」

シャナ「はひ」


後日、ペチカはシャナに招待された。場所は近所の誰も住んでいないはずの家。もうすぐ取り壊される予定のボロ家だ。だが明かりが点いている


ペチカ「すみませーん」

シャナ「あっ、ペチカ様! ささどうぞどうぞ!」


中に入ると、偉そうに椅子に座る魔法少女とプカプカとその辺に浮いている魔法少女が居た。偉そうな方はとてつもない威圧感を放っており、ペチカは尻込みした

シャナが聞き慣れない英語で喋っている。どうやらシャナの友達のようだ


シャナ「コイツはプキンっていう魔法少女で……えーっと話すと長いんですが、古いタイプの魔法少女で腹が減ると死ぬんです」

プキン「お前がシャナの言ってた料理人か……どれ、吾輩は腹が減っている。さっさと持ってこい」

シャナ「ばっかやろうテメェ! ペチカ様になんて口の利き方しやがる! いいか? ペチカ様は無礼者に料理は出さん!」

プキン「なんだと?」チャキッ

シャナ「ペチカ様に手を出すならテメェの首飛ばすからな」チャキッ


プキン「………………チッ、飯を持ってこい。頼む…………これでいいか」

シャナ「いいだろう。ささ、ペチカ様。このその辺で拾ってきた空き缶を料理してやってください! 食器はその辺にあるのを使って」

ペチカ「あ、はぁ……分かりました……?」


ペチカの料理には5分かかる。それまでにシャナはいかにペチカ様が雲の上の存在かをプキンに教えていた


シャナ「いいかバカ野郎よく聞け。ペチカ様は確かに弱そうに見える。だがその実、非常に危険なお方だ」

プキン「そうは見えんぞ」

シャナ「ペチカ様にかかれば、魔法少女すら料理に変えられてしまうんだ。プフレはスフレになるし、キノはピノになるし、スノーホワイトはしろくまになる」

プキン「……誰だそいつら?」

シャナ「ものの例えだ。お前もパンプキンにされたくなければペチカ様に逆らうな」

プキン「シャナ、我が従者よ。吾輩はお前のその無礼な物言いを許してやっているということを忘れるな。それとな、吾輩は誰かに従うのを嫌う。吾輩は王だ。王は誰かに媚びを売るか?」

シャナ「そう言っていられるのも今の内だからな。今にお前は尻尾を振る」

プキン「できるものならな」フンッ

テプセケメイ「ご飯楽しみ」


5分後、大量の料理がプキン達の前に出された。プキンは品定めするように一口、確認するように二口、ついに三口目からは犬のようにがっつきはじめた

テプセケメイも、こんなものがこの世にあったのかという顔をしている


プキン「………………これからは十字架に拝む奴を切り刻もう」


この言葉は後に出版されるプキンの2冊目の自伝「女神との出会い」の1ページ目に刻まれることになる

シャナは内心ガッツポーズをしながらペチカの料理を食べた

魔法少女というのは人間より学習能力が非常に高いようで、本気で覚えようとするとブリディッシュ英会話も2週間したら意外といけるようになった。プキンとの言葉のコミュニケーションが取れることにより、シャナはプキンが思ったよりも自尊心の塊のような奴だと分かった。そしてコイツがペチカ様の前に跪くのを楽しみにしていたのだ

テプセケメイなどカルチャーショックを受けて涙を流していた


シャナ「どうよ」

プキン「吾輩は王だ。王はすべての者を統べるが、神には勝てん」

シャナ「分かったか?」

プキン「ああ…………ソニアにも、食わせてやりたかった」グスッ

テプセケメイ「泣くのは練習しなくてもできる……なんでだろう」

プキン「……何故だろうな」


龍崎紗南の仕事は今のところひと段落している。アニメも大成功に終わったし新しく出版した童話「美味しい料理のペチカ」(本人無許可非公認)も結構売れた。プキンやテプセケメイと共にこの家にしばらく居座り、ペチカ様に飯をたかるのもいいなと思った

ペチカ様万歳

何故だろう、セルティよりシャナの方が「こいつはもうダメだ」感がするのは


新スレのおしらせ

【まほいく安価】スノーホワイト「地下施設で20人目と」【魔法少女育成計画JOKERS】
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485430905/)

シャナのペチカに対する思いは歪んでいます。それを自覚したうえでペチカを信仰しています

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