絵里「冬がくれた予感」 (16)

初投稿です。のぞえりです。
BiBiの「冬がくれた予感」の世界観です。


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12月24日
アキバの街角

「寒い・・・。」
今日は聖なる夜、クリスマスイブ。
街はカップルで溢れ、みんな笑顔で幸せな時間を過ごしている。
それはもう、見ているこっちが思わずにやけてしまうほど甘々だ。
こんなこと言っていたら勘違いされるかもしれないから一応私の名誉の為に言っておくが、私にだって恋人は居る。
彼女の名は東條希。音ノ木坂学院の三年生。
私のクラスメイトだ。
女子校で出会い、惹かれて、告白して、付き合った。
世間から見たら異常かもしれないが、
私達は互いに心の底から愛し合っている。
ラブラブでお似合いな二人(ふうふ)なのよ。
今日、その希と一緒に居ないのには訳がある。
と言っても大した訳ではない。
私がつまらない意地を張っただけ。
・・・何であんな事したのかしら。

人混みは嫌いじゃないけど、今日のアキバはいつもより混雑していて、居辛い。
幸せそうなカップルばかり・・・
あら、私ったら嫉妬してるのかしら?
こんな人混みの中でも希の背中を探すなんて、
私どれだけ希大好きなのよ・・・。
はぁ・・・希ったら何処にいるのかしら?
家でゴロゴロしてそう。寝てるかしらね?
今日が何の日かも忘れちゃって。
来てたらいいのにな、アキバの街に。
いや、いる訳ないわよね。・・・悲しいなぁ。
そう思いながら私は冬の星空を見上げた。

向こうからこちらへ足音が近づいて来る。
誰だろう、希だと良いな、違うだろうけど。
足音の主を見たら、オレンジ色の髪をした女性だった。
悲しい。違うって、分かってたのに、
あの女性に失礼なのに、思ってしまう。
「なーんだ、がっかり」って。
ごめんなさい。こんな事思っちゃって。
彼女はマイクを持って、英語の歌を歌い始めた。
へぇ、上手いじゃない。New York辺りに行ったらヒットしそうね・・・。
その曲に聴き入りながら、私は今日のちょっとした事件、私が張った下らない意地、
私が今ここに一人でいる訳を思い出していた。

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12月24日
絢瀬家

「今日はクリスマスイブね。希と何処か行こうかしら。」
世間の恋人達は今日、デートをするらしい。
もちろん、私達もデートしたい。でも・・・
希からは一向に連絡が来ない。
何してるのかしら?
寝てるかしら、希の事だし。
クリスマスイブとか覚えてなさそうね。
・・・なんかここで私が誘うのって違くない?
私が寂しいみたいになってるわよね?
いやいやいや、私は忙しいわよ?
受験生だし、妹いるし、クリぼっちじゃないし
別に寂しいなんて・・・ねぇ?
そうよ、本当に行きたいんだったら希から連絡する筈!
私から連絡する事も無いわ!
来なかったらどうしよう・・・
でも来るわよね?多分。
希も私の事好き、なんだから・・・。

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それで結局連絡しなかったのよね。
変な所でプライド高いんだから、私ったら。
こんな時は穂乃果や凛が羨ましいわね。
どうしよう、希に会いたい。
電話しようかしら。
でも、今更私から連絡するの?
ここまで来たら希なんて置いて一人で・・・
でも、そんなこと言ってたからこんな事になったのよね・・・。
でももし断られたら・・・
早くしないと希も着替えて寝ちゃうかも。
下らない意地と臆病な恋心のせいで堂々巡りする考えに悩まされながら見上げた夜空には綺麗な星が散りばめられていた。
私もあの星空のように綺麗な気持ちになれたらいいのにな。
私・・・変わったなぁ。
会いたいよ・・・希。

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ガタッ ポトッ
あら、どうしたのかしら、後ろで何か落ちた様な・・・
あぁ、ツリーの飾りね。拾ってつけて置いてあげましょう。
私達、今頃このツリーを見て笑ってたのかな。
何でこんな・・・意地張っちゃったのかな。
いつもの時計台に行ったら、希は居るかな?
ふと、思っちゃった。あそこで会いたいって。
あそこは私達の思い出の場所だからね。
告白して、デートして、キスして、
色んな事するにもいつもあそこからだった。
今から行っても、いつもみたいに手を振って呼んでくれるかな?
「もー、えりちー、遅いでー」って。

何故か分かる。何の根拠も無いけど。
貴女に会える、気が・・・予感がした。

でも、居ないかも・・・呼んでいないもの、
来てなくて普通よ。どう考えても居ないわ。
そんな考えが脳裏を掠めた。
けど、気づいたら駆け出していた。
居るって信じたい。たとえ根拠が無くても。
希に会いたい。いつもの、始まりの場所で。

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時計台前

寒い・・・ほっぺた、熱い・・・。
この歳でアキバを走るとはね・・・。
みんな見てるわ・・・。
でも、そんな事どうでもいい。
早く・・・希に会いたい。

?「おーい」

え、今の声、もしかして?
時計台の方を向くとそこにはいつもと同じ、手を大きく振る私の彼女の姿があった。
「の・・・希?」
希「やっほー、えりちー、やっぱり來たな?
カードの言う通りやわ~。」

「な、何で・・・何で・・・?」
ー私はとにかく驚いた。
希「ん?何でってそりゃあ・・・」
ーけど・・・
希「だって、大好きなえりちに会えるかも知れへんからやん!」
ー安心した。彼女と同じ気持ちだった事に。

「希~ッ」
抱きついて、不覚にも私は泣いてしまった。
希「あはは、えりちは甘えん坊さんやなぁ。」
私は涙交じりに感情を爆発させていた。
「会いたかったよぉ・・・
連絡無かったから意地になっちゃって・・・
でも・・・でも・・・私・・・
希に会いたかった・・・。
こうやって抱いて欲しかった・・・。
撫でてもらいたかったよぉ・・・。」
希「ふふふ、ごめんなぁ。
じゃあ、今夜はウチの家でずっと一緒にいよか?」
「うん・・・希・・・。」
希「なぁに?」
「大好きよ。」
希「ッ??///・・・ウチもやで、えりち。」

おまけ
同時刻 アキバ
真姫「ハッピーエンドね。」ノゾキミ
にこ「あーっ、真姫ちゃんこんなところにいる!」スチャッ
真姫「ヴェェェエ??」ダッシュ

にこ「待てー!」ダッシュ

海未「何やってるんですか、あの人達は・・・」
ことり「にこちゃんが真姫ちゃんを追いかけてたね・・・」
花陽「いつもは逆なのに・・・」
凛「珍しいにゃ~」
穂乃果「ほら、みんな早く入って!
クリスマスパーティー始めよっ?」


真姫「サンタコスでケーキ売るなんて嫌ー!」
にこ「うるさーい!お嬢様も少しは働けー!」

以上で終わりです。
ありがとうございました。
SS難しい。精進します。
今作品は記憶の深くに封印しておいてください。
改善点、罵倒、などなどありましたら、ご教授願います。

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