ほむら「やっと出会えた」 (35)

ほむら「…」

ほむら「魔力は、充分…濁りはどんなもの?」

「モウダメ、イソガナイトシヌ」

ほむら「…そう」

ほむら「…」

ほむら(因果の理を外れたとは言え、絶対的なルールには縛られるのね)

ほむら(…やれやれ、ね)

ほむら(まどかを裂いてから半年、未だにまどかは変わりがなく)

ほむら(皆と同じ様に学校生活を送っている)

ほむら「…そして」チラッ

まどか「…」

ほむら「…」

ほむら(ここにいるまどかは、無機質なままだ)

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ほむら「…円環の理…概念であるあなたが存在する世界だからどんなものかと思っていたけれど」

ほむら「なんてことは無い、白い部屋」

ほむら(…いえ、これももしかして裂いたせいなのかしら)

まどか「…」

ほむら「…ほら、急いでグリーフ…キューブを…」

シュウウウウ

ほむら「…」

ほむら(こんな事ならば、呪いなんて存在しない世界にすればよかった)

ほむら(…出来るものなら、今からでも…)

ほむら(…)

ほむら「…ダメね」

ほむら「そう簡単に書き変わってはくれない、か」

ほむら「…厄介なものね、考え無しに行動するといつも後悔が付きまとう…」

ほむら「…私はもう絶望する必要なんてない」

ほむら(あなたはあの時そう言ったわね)

ほむら(ソウルジェムを濁らすのが絶望だとしたら)

ほむら(希望そのものであるあなたのそれが濁ることは無いと、私は考えていたのだけれど)

ほむら(…そうじゃないってことらしいわね)

ほむら(…それもそうか)

ほむら(たとえ概念になろうと、人間の鹿目まどかは居なかろうと、このまどかはずっと居た)

ほむら(存在してるのなら、たとえ神でもルールには縛られるべきよね)

ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「…でもまぁ…これはこれで悪くは無い…わよね」

ほむら「…ほら、あなたの片割れは…あんなに楽しそうなんだから」

まどか「…」

ほむら「…」

ほむら(…なんて…「ルール」に、「システム」に声掛けなんて、馬鹿みたい)

ほむら「…チッ」チラッ




杏子「…また、こいつらか!」

さやか「もう訳わかんないよ!何なのこいつら!?」

マミ「また新手の魔獣…!?」




ほむら「…魔獣、ね」

まどか「…」ギ…ギ…

ほむら「…また動きが鈍くなってる」

ほむら「…まどか…別に焦らなくてもいいのよ」

ほむら「あなたはあの時ワルプルギスの夜を導いた」

ほむら「それはつまり、不可逆であるはずの魔女と魔法少女の因果関係をも覆したということ」

ほむら「…」

ほむら「…だから…少し、休みなさい」

まとか「…」ギギギ…

ほむら(…あれは魔女だ)

ほむら(私が裂いてしまって、半身を失った不完全で無機質なまどかが取りこぼした絶望だ)

ほむら(…魔獣か…それもそうよね、新手の魔獣と考えるのが妥当よね)

ほむら(…システム…システムのはずなのに…)

ほむら「…あなたは…どうしてそこまで、頑張るの?」

ほむら「…ねえ、まどか」

ほむら(絶望に落ちる瞬間でさえ、魔法少女には味合わせたくない)

ほむら(その想いがそうさせるのなら、もういっそ…)

ほむら「…」

ほむら「…野暮…いや、酔狂よね」

ほむら「…人格すらないあなたに、可哀想と思うこと自体が変な事よね」

ほむら「…」

「ソロソロ」

ほむら「…えぇ…」

ほむら「じゃあまたね、まどか…また、近いうちに来るわ」






杏子「いやー、凄かったな、昨日のレアモノ」

さやか「そだね、手強かったぶん、成果も上々!」

マミ「こーら、油断しないの、あんなに強い魔獣がどんどん出てきたらこれから先どんな目に遭うか分からないわよ」

杏子「へへ、でもこれで当分は賄えるじゃねーか」

さやか「1個であれだもんねー」

ほむら「…」チラッ

ほむら(…グリーフシード…)

ほむら(魔女が生まれたことにより、あれも生まれてしまった)

ほむら(…厄介ね…あれの処分を…どうしようかしら…)

ほむら(…いえ、今考えることはそれじゃない)

ほむら(あんなもの、最悪宇宙にでも放り投げてしまえばいい話)

ほむら(…問題は…)

まどか「…おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「…」フイッ

まどか「…あっ…」

ほむら(彼女の事だ)

ほむら(…今はまだ彼女達、生きている魔法少女がどうにか秩序を保ってくれているけれど)

ほむら(ずっとというわけには行かない)

ほむら(魔女と魔獣…敵が増えて誰か一人でも倒されてしまったら)

ほむら(…その被害は連鎖的に増えていく…)

ほむら(…もちろん彼女を元に戻すという選択肢はない)

ほむら(…けれど、彼女がもしどちらかの敵に接触してしまったら)

ほむら(…きっと、彼女は元に戻ってしまうだろう)

ほむら(…それだけは、避けないといけない)

まどか「…」

ほむら「…私に関わるのはよしなさい、鹿目まどか」

まどか「…えと、…その…」

さやか「もういいよー、そんな奴ほっときなって、まどか」

まどか「…で、でも…」

ほむら「…私に関わると、ろくな目に遭わないわよ」

まどか「…ごめん、なさい…」

ほむら「…」

ほむら(これでいい、私はもうリボンの時以降あなたと関わるつもりがない)

ほむら(…これで、いい)

さやか「ほんっと嫌な奴だよね、あんたって」

さやか「まどかがあれだけ挨拶してんのにさ、いっつも無視」

ほむら「…何?あの子を離れさせておいて、あなたは文句を言いに来たの?」

さやか「そうだけど」

ほむら「…鬱陶しいわね、とっととどこへでも行きなさいよ」

ほむら「私に関わらないで」

さやか「…」

ほむら「…」

さやか「まるで自分にしか出来ないことがあるって顔だね」

さやか「あんたの代わりなんて、いくらでもいるのにね」

ほむら「…」カチン

ほむら「何ですって?」

さやか「だってそうじゃん、暇があれば溜息ばかり、でもその溜息もどこか満足そう」

ほむら「…」

ほむら「それは…喧嘩を売っているってことでいいのかしら」

さやか「喧嘩以外に何売ってるように見えるんだよ」

杏子「おいバカやめとけ」

ほむら「…」

杏子「何やってんだお前は」

マミ「そうよ、美樹さん」

さやか「…でも…」

杏子「でもも何もねーんだよ、ややこしい事すんな」

マミ「ごめんね、暁美さん…」

ほむら「…いいえ、こっちも気が立っていたわ」

マミ「…でも、偶には鹿目さんに…返してあげてもいいんじゃないかしら」ヒソヒソ

ほむら「…無理な相談ね」

マミ「…そう」

ほむら「挨拶なんて下らないこと…どうでもいいのよ」

ほむら「あなたも、あの子を守りたいならしっかり守るのね」

マミ「…魔獣」

ほむら「…あの子なんて、死んでも構わないけれど…」

ほむら「…知っている人が死んだら…寝覚めが悪いわ」

マミ「…ええ、そうね…気を付けるわ」

ほむら「…」

さやか「あっ!ちょ、あいつ去り際ににらんだ!離せ杏子!!」

杏子「だぁぁーーー!暴れんなっつぅんだよアホ!」






さやか「ほんっと嫌なやつだよね!あいつ!」

まどか「あはは…」

さやか「まどかももう挨拶なんてしなくていいよ!あんな奴に!」

杏子「まぁそう言うなって、お前には何もしてないじゃんか」

さやか「あたしになにかしてるとかそういう問題じゃないの!」

さやか「まどかの事をひどい扱いして、あいつ…!!」

マミ「そうかしら」

さやか「そうですよ!」

杏子「…?何だよ、乳お化け」

マミ「ご飯抜きよ」

杏子「ごめん」

マミ「逆だと思うけれど」

まどか「…逆?」

マミ「彼女、鹿目さんの事が大切すぎて…ああいうふうな態度になってしまうんじゃないかしら」

さやか「大切ぅ?ないない、あんな血液まで氷点下のような奴がそんなまさか…」

杏子「あー、でも一理あるかもな、あいつ今日の体育の時、まどかガン見してたぞ」

マミ「…そうなの」

杏子「あたしはてっきり目が悪いのかと思ってたが、なるほどなぁ」

杏子「それならあの鬼のような顔も頷ける」

さやか「ちょちょ、待ってよ!」

さやか「大切だって言うなら何で冷たくあしらう必要があるのさ!?」

杏子「それはあいつがいっつも言ってんじゃん、関わるとろくなことにならねーって」

さやか「…ぐぅ…」

マミ「…まぁ、確かに少し冷たいとは思うけれど」

杏子「だな」

マミ「…大切な人を冷たくあしらう理由か…」

杏子「良くわかんねーけど、守ってやりゃいい話じゃねぇのかよ、あいつが」

マミ「…さぁ、それだけの事があったってことかしら」

杏子「それだけの事?」

マミ「…」

マミ「魔法少女の力を持ってしてでも、不可能だった…何か、とか」

杏子「…」

さやか「…」

まどか「…」

マミ「…あ、ごめんなさい、どうせ憶測にしか過ぎないのに…」

マミ「ま、まぁそういう事だから、鹿目さんも気を落とさないでね」

まどか「はい!」

杏子「…あれ?なんかちょっと元気だな…お前」

まどか「…ほむらちゃんが、私を大切に思ってくれてるって思うと…なんか…」

杏子「いや、憶測かもしれねーってたった今…」

まどか「…ううん、それでもいいの」

まどか「…もし本当に嫌われてたとしたら…今度は本当に仲良くなるだけだから」

杏子「…そっか…お前が決めたことならいいんじゃねーの」

さやか「はぁ…それにしても…」

さやか「…件の嫌味なやつは何してんだか」

杏子「嫌味のバリエーション増やしてるとかな」

さやか「結構最悪な暇つぶしだねそれ」







ほむら「はぁっ…!!はぁっ…!!はぁ…!はぁ…!」

ほむら「っは…はぁ…ん…」

ほむら(やっぱり借り物の力じゃ無理がある)

ほむら(人間、魔法少女、魔女…そして…悪魔)

ほむら(3度も魂の在り方を変えた…)

ほむら「…そして今は…円環の理の真似事…ね…ぐぅっ…!!」

ほむら(ガタがくるのも当然よね…)

ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「…心配しないで…私が必ず終わらせてみせるから…」

ほむら「…だから、安心して…」

まどか「…」

ほむら「…」

ほむら「もう円環の理の力は取り返しのつかないところまで来てる」

ほむら「…この力を…まどかに戻さないと…結局…堂々巡りになってしまう」

ほむら「…」

ほむら(…馬鹿ね、それでもいいと決めたんじゃないの)

ほむら(あの子のためならどんな罪でも背負ってみせるって)

ほむら(そう決めたんじゃないの)

ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「…この身が滅ぶなら」

ほむら「せめて、あなただけでも…」

QB「ほむら」

ほむら「…ちっ」

QB「感傷的になっているところ済まないね」

ほむら「何をしているの?ここへ来ることを許可した覚えなんてないのだけれど」

QB「そろそろ、円環の理の力を彼女に返して欲しいと思ってね」

ほむら「…はぁ」

ほむら「圧倒的に途方もない結末、あなた、あの時そう言ったわよね?」

ほむら「文明において劣る私達に敗北を喫した時点であなたの立ち位置は決まっているはずよ」

QB「そうだね」

ほむら「どの面下げて、私に意見ができるの?」

ほむら「黙って契約を続けなさい、役割があるだけでもありがたいと思いなさい」

QB「感情のない僕らに諦めるという言葉は相応しくないけれど」

QB「仮に僕らが諦めてないとすればむしろ今の状況は好都合だ」

QB「魔法少女は魔女になる、ひいてはエネルギー回収が捗る」

QB「本来なら口が裂けても円環の理の力を戻せなんて言わない筈だよ」

ほむら「だから、あなたを信じろって?」

QB「信じろなんて言ってないよ」

QB「ただ僕は、君の体のことを思って」

ほむら「語るに落ちてるわよ、感情のない奴が他人を思いやれるはずがない」

ほむら「大方円環の理の観測の続行ってところかしら?」

ほむら「無機質なまどかと私よりも、彼女本来の姿の方が観測がしやすいものね?」

QB「…」

ほむら「…あなたは言葉の裏に卑劣な手段を幾つも潜ませる」

ほむら「何度も煮え湯を飲まされた」

ほむら「私はあなたを信じない、あなただけじゃない」

ほむら「…彼女も、彼女も、彼女も…」

ほむら「…誰も信じない」

QB「…やれやれ」

QB「それじゃあ、僕らはいつも通り契約の勧誘をすればいいんだね?」

ほむら「そうよ」

QB「君も変だね、魔法少女を産まなければ魔女は産まれないのに」

ほむら「…」

ほむら「…そうしたら、誰がその魔女を倒すのよ」

ほむら「…誰が、その人の魂を救うのよ」

QB「彼女達の魂は魔女になった時点で…おっと」

ほむら「…」

QB「冷徹な振りをして、君がそういう言葉に敏感なのはよく知ってる」

QB「…うん、そうだね」

QB「確かにそれは大切なことだ」

ほむら「…」イラッ

QB「まぁ、時間はかかるだろうけど円環の理の力を持つ君なら魔女を導いてあげることも出来る」

QB「それなら確かに救済されているね」

ほむら「…もういい、心無い言葉はうんざりよ」

QB「そうかい」

QB「じゃ、僕は行くよ」

ほむら「二度と来ないで」

QB「さぁね」

ほむら「…」

ほむら「…ぐっ…!」

ほむら(…綻びが、どんどん大きく…)

ほむら(…痛みさえ、愛おしい)

ほむら(そう思っていたけれど…)

まどか「…」

ほむら「…どうしてかな、どうしても、ここが痛いよ…」

ほむら「…痛いよ…まどか」





杏子「結局のところ一番いいのは分担することじゃねーか?」

マミ「でも、リスクもあるわよね」

さやか「杏子は単純だから味方が少ない方がゴチャゴチャしないでいいんでしょ?」

杏子「んだよコラ」

さやか「この所魔獣が増えてきたからなー、新しい人が来てくれれば…」

まどか「…ね、ねぇ」

「「「ダメ(だ)」」」

まどか「ま、まだ…何も言ってないのに…」

杏子「もういい加減諦めろよなー、まどかー」

マミ「そうよ、鹿目さん」

まどか「で、でも…私皆の役に立ちたいんです…!」

杏子「魔法少女はやむにやまれぬ事情を持つやつにだけふさわしい」

杏子「他人のために…なんて曖昧な願いでなるもんじゃねーんだよ」

まどか「…」

まどか「…私にとっては…皆が頑張ってるのに…私だけ何も出来ないってことが…」

まどか「やむにやまれぬ事情なの…!」

杏子「…」

マミ「…どうしたの?」

杏子「ビビってる」

さやか「は?」

杏子「…あのおどおどしたまどかが…こんなにはっきり意見言えてビビってる」

さやか「あんたはまどかを何だと思ってんのよ」

杏子「…他人のために役に立ちたい、か」

まどか「…」

杏子「…まどか」

まどか「…」

杏子「…」

杏子「…あんたの…」

ビリッ

マミ「…!」

さやか「…!」

杏子「…っ!!」

さやか「…マミさん…これって…!!」

マミ「魔獣の魔力ね…それも大きい」

杏子「レアモノってわけか…」

杏子「まどか、話は後だ!」

まどか「…え、杏…!」

杏子「帰ったら話す!大人しくしてろ!」

マミ「美樹さん…!」

さやか「こっち!行っとくよ!」



まどか「…」

まどか「…」

まどか「…ううん」

まどか「やっぱりちょっと、寂しいよ、杏子ちゃん」

まどか「…」





杏子「反応がでかくなってきたな…!この辺りか…!」

マミ「気を付けて!来るわよ!」

さやか「…杏子」

杏子「あ!?舌噛むぞ!」

さやか「…まどかに、ちゃんと続きっ…!言ってあげて…よねッ!」ガキィ!

杏子「…あー…!」

杏子「…うぜえ、超うぜえ…!言いかけなきゃよかった!」ガキッ!!

杏子「ちっ、早いところぶっ殺して、まどかに教えてやらねーとなぁ!」ガキィン!!!

魔女「…」

杏子「…おいでなすったか…!」

魔女「…オオオオオオオオオオオオ!!!!」

杏子「来るぞっ!避けろ!」

さやか「っと!」

ドゴォン!!

さやか「ミサイル!?」

マミ「魔力で作られているようだけど…本物と変わりないわね…!」

杏子「…ちっ…!」

杏子「…不気味な姿しやがって!」

杏子「食らえオラァァァ!!!」ガコォン!!!

さやか「…!効いてる!」

マミ「…今よ!」

杏子「…良し…!動きが止まった!これで…!」

杏子「…止め…」ドスッ

魔女「…ケタケタ」

杏子「…あ?」ドロッ

さやか「…ワープ…?」

マミ「…佐倉さん…!!危な…!!」

魔女「ケタケタ…」

魔女「キャハハハハハハ!!!!!」ドォン!!!

杏子「…」

さやか「…杏子…!杏子っ!!!」

杏子(…ぶねぇ…何とか…あ…?)

マミ「佐倉さんっ!!!?」

魔女「…キャハハハハハハハハハハハ!!!!!」

杏子「…」ヒュー…ヒュー…

杏子(…嘘だろ…右目が見えねぇ…右手も…右足も動かねぇ…)

杏子「…あ゛…う゛…ぁ…」

杏子(…なんだそりゃ…半分…吹き飛んじまったってことか…?)

杏子(…痛いんじゃなくて…少しだけ、生暖かい…)

杏子(…やべーな、これ…)

マミ(…あの傷!…修復するにしても魔力が足りない!)

マミ(…どうにかしてあそこまで言って…!これを…!)

魔女「アハ」

マミ「っ!!!」

ドゴォン!!

さやか「マミさん!!」

杏子「…ぢっ…ぐぞ…!」ギュルルルル…!

さやか「…杏子…!修復したら…魔力が…!」

杏子「…」ギュルルルル…!

さやか「杏子!!!やめろ!!!杏子!!!!」

杏子「…」

杏子「…何でもねーんだよ、なぁ…」

杏子「おいバケモン…」ジワジワ…

杏子「たとえあたしが死んじまったとしても…あたしにゃ仲間がいる」

杏子「…きっと…あたしの守りたかったもんも守ってくれるさ」

さやか「…杏子っ!!!」

杏子「…」

杏子「…なぁ、さやか」

杏子「まどかに、言っといてくれ」

杏子「───」

杏子「…」

杏子「…どうせ死ぬなら…せめてお前だけでも!!」

さやか「杏子ーーーーーっ!!!」

ズドォォォォン!!!

さやか「…あ…ぁ…」

さやか(…自爆…?)

さやか(ソウルジェムを…投げ捨てて…でも、そんな…)

さやか「…そんなはずない…杏子が自爆するはずが…ない…!」

さやか「…だって…!だったら…!」

さやか「…何で…!!!?」

魔女「ケタケタ」

魔女「アハハハハハハハハハハ!!!!」

さやか「…この…!魔獣…!!!」

さやか「…うわああああああああ!!!」

魔女「…キャハ」

ガキィン!!!

さやか「…!」

魔女「…?」

「…ぐっ…!」

さやか「…あんた…」

さやか「…暁美…ほむら…」

ほむら「…美樹、さやか…」

ほむら「…」

ほむら(…杏子は…居ない…)

ほむら(…そう…死んでしまったのね)

さやか「…何してんのよ…あんた…」

ほむら「何を…してるのかしらね…!」

ほむら(…もっと早く…駆けつけていれば…もっと早く気が付いていれば…)

ほむら(…私が…まどかを引き裂かなければ…?)

魔女「…アハハハハハハハハハハ!!!」

ほむら「…!!」

ほむら「…掴まって!」

さやか「…!」

ほむら「早く!!!」

さやか「…」ガシッ!

ほむら「…ぐぅっ!」バサッ!!

ほむら(地上は危険…!マミを最短最速で拾ってここを出る…!)

ほむら(…間に合うかしら…!間に合え…間に合え…!!)バサッ!!






マミ「…」

さやか「…」

ほむら「…」

さやか「…そだ…」

さやか「…嘘だ…嘘だ…!杏子が死ぬはずない…!」

マミ「…美樹さん」

さやか「…ねえ!そうでしょう!?マミさん!!きっとあいつは生きてるんだよ!」

さやか「生きて…!私たちをどっかから見て笑ってるんだ!」

さやか「そんでひょっこり出てきて、マミさんに叱られて…!!」

さやか「…ねぇ…!なんとか言ってよ!!!」

マミ「…美樹さん!!」

さやか「っ…」ビクッ

マミ「…死んでしまったものは、仕方が無いわ」

マミ「常に死と隣り合わせ、それが私たちでしょう」

マミ「…暁美さん」

ほむら「…」

マミ「助けてくれたのは、ありがとう」

マミ「…本当に、助けてもらった分際でこんな事を言うのは失礼なんだけれど」

マミ「…もっと早く、来れなかったの…?」

ほむら「…あれでも、全力だったわ」

マミ「…そう、そうよね…ごめんなさい」

マミ「…変なこと聞いちゃって…ごめんなさい」

ほむら(…顔に、出ていたのかしら…)

マミ「…帰りましょう、美樹さん」

さやか「…」

マミ「…」

ほむら「…」

ほむら「…」

QB「…予想は出来ていたことだろう?」

ほむら「…」

QB「君は、こういう風に彼女達の背中を見送る立場になった時点で」

QB「こういう結末も想像し得たはずだよ」

ほむら「…分かってるわ」

QB「共に肩を並べて戦うよりも、君はほかのことを選んだんじゃないのかな」

ほむら「分かってる…!けど納得出来るはずがないでしょう!?」

QB「…」

ほむら「…これじゃ、何の為に…!」

QB「…心無い言葉なのは、どっちだい?」

ほむら「…は?」

QB「思ってもみないことを口にするのは君だろう?」

ほむら「何を…!」

QB「鹿目まどかのためなら、罪を背負える?」

ほむら「…!」

QB「…君は…」

ほむら「…黙りなさい…!インキュベーターの分際で…!分かったふうに喋るものじゃないわよ…!」

QB「…」

ほむら「…」

QB「…まぁいいや」

QB「あまりフラフラしない事だね、つもりは無いと言ったけれど」

QB「それでもチャンスがあるなら、僕らは見逃さないよ」

ほむら「…」

QB「なんてね、ばいばいほむら」

ほむら「…」

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