P「音無さん、聞いて下さいよ」
小鳥「どうされたんですか?」
P「最近、よく公衆電話から無言電話がかかってくるんです」
小鳥「公衆電話から?」
P「ええ。俺、万が一アイドルたちが携帯を落としたときでも公衆電話から電話をかけてくることができるように公衆電話からの着信設定をオンにしているんですが、最近は本当にひっきりなしにかかってくるんですよ」
小鳥「みんな大抵携帯を持ち歩いていますから落としたら連絡の取りようがないですもんね。ちなみに今までに何回くらいかかってきてるんですか?」
P「ええとーーー」ピリリリリリ
P「おっと、電話だ」
ディスプレイ:公衆電話
P「はい、もしもし」ピッ
電話口「・・・アイシテル」ボソッ
P「は!?」ゾクッ
ガチャッ ツ-ツ-ツ-ツ-
小鳥「どうされたんですか?」
P「いやあ・・・公衆電話からの着信です。今までずっと無言だったんですけど、今回初めて相手方が言葉を発しました。ささやき声で“アイシテル”って」ピッ
小鳥「恐いですね・・・。今で何回目くらいですか?」
P「今月から記録をつけているんですが・・・。今ので63回目ですね」
小鳥「うわあ・・・」
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ー
ーー
ーーー
雪歩「美希ちゃん、プロデューサーのお家がどこか知ってる?」
美希「ハニーの家?んー、ミキは知らないの」
雪歩「そう、ありがとう」
ー
ーー
ーーー
千早「小鳥さん。プロデューサーの住所、ご存じないですか?」
小鳥「プロデューサーさんの?どうしたの?」
千早「実はプロデューサーの手帳を拾ったんです。小鳥さんはまだお仕事でしょうし、もし近くなら届けてあげたいと思って」
小鳥「ありがとう、とても助かるわ!ええと、住所はーーー」ペラペラ
小鳥「○○3丁目の○番○号ね。プロデューサーさんも喜ぶと思うわよ」
千早「・・・ありがとうございます」ニヤリ
雪歩「千早ちゃん、住所分かった?」
千早「ええ、○○3丁目だそうよ」
雪歩「この近くだね」
ー
ーー
ーーー
雪歩「ここがプロデューサーのお家かあ」
千早「ええ、赤い屋根だからよく目立つわね」
雪歩「しかも二世帯住宅なんだね。実家暮らしなのかな?」
千早「萩原さん、プロデューサーが来るわ、隠れましょう!」
雪歩「うん」ササッ
所用のため休憩。
また夕方ごろ再開します。
P「今日は仕事が早く終わった。毎日こうだと嬉しいんだがなあ・・・」
?「お兄ちゃん、お帰り!早かったね」
P「おう、萌(もえ)か。いま帰りか?」
萌「うん。部活が長引いちゃって」
P「遅くまでおつかれさん。家に入ろうか」ガチャッ
萌「うん!ねえねえ、今日クラスの友達がねーーー」バタン
千早(家に入った?)
雪歩(そうみたいだね・・・。)
ササッ
千早「妹さん、可愛かったわね。高校生くらいかしら」
途中で送信してしまった。
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P「今日は仕事が早く終わった。毎日こうだと嬉しいんだがなあ・・・」
?「お兄ちゃん、お帰り!早かったね」
P「おう、萌(もえ)か。いま帰りか?」
萌「うん。部活が長引いちゃって」
P「遅くまでおつかれさん。家に入ろうか」ガチャッ
萌「うん!ねえねえ、今日クラスの友達がねーーー」バタン
千早(家に入った?)
雪歩(そうみたいだね・・・。)
ササッ
雪歩「妹さん、可愛いね」
千早「“萌ちゃん”っていうのね。私たちと同い年くらいかしら?」
雪歩「あっ、プロデューサーの部屋の電気がついた!」
千早「プロデューサー、早帰りの時はいつも午後8時ぴったりに帰ってくるのね」
雪歩「プロデューサー、変なこだわりがあるもんね」
雪歩「ねえ、千早ちゃん」
千早「何?」
雪歩「あの家は私とプロデューサー二人の愛の巣なんだって・・・私、もう勘違いしてしまいそうですぅ」
千早「何言ってるの。雪歩と私とプロデューサー、三人の家でしょう?」クスクス
雪歩「あっ、そっかあ・・・。えへへ、ごめんね?」
千早「いいのよ。それにしてもプロデューサーはなかなか私たちの気持ちに気づいてくれないわね」
雪歩「うん。初めて男性恐怖症を克服できたのがプロデューサーだったから、私はただもう少しプロデューサーに近づきたいだけなのに」
千早「私もただプロデューサーが好きなだけなのに」
千早「・・・プロデューサーの部屋の灯りが消えてからかれこれ30分ほど経つけど、なかなかプロデューサー戻ってこないわね」
雪歩「千早ちゃん。私、ちょっと公衆電話でプロデューサーに安否確認の電話をしてくるね」
千早「ええ。気をつけてね」
ー
ーー
ーーー
雪歩「ただいま、千早ちゃん」
千早「お帰りなさい。どうだった?」
雪歩「電話には出てくれたけど少し眠そうな声だったよ。寝てたのかもしれないね」
千早「そういえばもう0時過ぎなのね。少し悪いことしちゃったわ」
雪歩「でも嬉しいよね。大好きなプロデューサーのすぐそばにいられるって」
千早「そうね。今じゃ“3丁目”が私と萩原さんの合言葉だもの」
雪歩「休日なんてよくこの近辺を二人でうろうろしてるもんね。“もしかしたらオフのプロデューサーに会えるんじゃないか?”って思いながら」
千早「いつだって“3丁目”だもの。当たり前よ」
ー
ーー
ーーー
-事務所-
雪歩「プロデューサー」
P「何だ?」
雪歩「プロデューサーはいつも私たちのことを見てくださっているんですよね?」
P「当たり前だろ。俺はお前たちの“プロデューサー”なんだから!」
千早「プロデューサー」
P「今度は千早か。どうした?」
千早「プロデューサーは私たちのことだったら何でも知ってあるんですよね?」
P「“何でも”と言ったら語弊があるが・・・。まあ、それでも大体のことは知っているかな」
千早「ありがとうございます。」
P「いや、それが俺の務めだから当然だろ」
千早「私もプロデューサーのことなら“何でも”知ってますよ」
P「どうして“何でも”のところを強調するんだ?」
千早「大事なことだからです」
P「そうか、ありがとな」
雪歩「私もプロデューサーのこと、“いつも”見てますよ」
P「そうか・・・って、え!?」
雪歩「“いつも”見てますよ」ズイッ
千早「“何でも”知ってますよ」ズイッ
P「お前ら、何で近づいてくる・・・?」ジリジリ
雪歩&千早「プロデューサー、耳を貸してください」スッ
「「愛してますよ」」
P「・・・え?」
雪歩&千早「ねっ?」ニコッ
P「!?」ゾクッ
以上で終了です。ご精読ありがとうございました。
元ネタは阿部真央の楽曲
「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家」
の歌詞です。
同じ「いつも見てるよ」、「愛してるよ」という言葉でも、親が言うのとストーカーが言うのとでは言葉の意味合いが違うなあと書いててふと思いました。
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