遥か昔、天地開闢に等しい力を手に入れた生命体が居た。『それ』に性の概念や肉体はなく、なんの因果か生まれ出でた事に対する関心だけがそこにはあった。確かにその絶大なる力によってこの世のありとあらゆるものを手にする事が出来た『それ』ではあったが、自己研鑽をしようにもあらゆる事象の達成は先天的な力で難なく遂げてしまう。
『それ』はこの世界で唯一の生命体であるが故に【自由】ではあったが明確な【意味】を見つけることも出来ず唯その空間を漂うばかりだった。自分は何の為に生まれてきたのかーー万年億年と永遠に等しい時の中で思考の海に浸かっていた『それ』はいつしか不意に感情という概念を形成した。感情は『それ』に【孤独】というものを植え付け、【孤独】は生みの親である『それ』にとってそれこそ本当に唯純粋な【毒】になってしまった。病に伏す筈も無い『それ』ーーだというのに『それ』は如何にも苦しいと言わんばかりに滅茶苦茶に空間をのたうちまわりながら更に数千年考えた。
そして『それ』は思いつく。自身をこの苦しみから解き放つすべーー他の生命の構築。命というものを考えたことはなかったが、幸い自分自身については造詣が深い。そうして出した結論が
【きっと自分は半分でも生きていける】
分裂すると『それ』は『それら』になり、さらに『それら』は『無数』になった。そして無数は其々窒素や酸素、その他の元素へと姿を変えて身を寄せ合った。
ーーそうして出来たのが【星】だった。
遂に『それ』は生命を循環させる仕組みを空間に創り上げたのだ。『それ』は散らばった自身を唯広がる静寂の中で美しく照らす為に最後のひと仕事と【太陽】へと姿を変えた。
こうして孤独を制した『それ』の生まれた意味は見つかった。なぜなら新しく生まれてくる『無数』は今、数多の可能性と発明を模索し続け互いに『名前』を付けあっていたりする。完全に『それ』から脱退した我が子たちを
『それ』は熱を帯びながら見つめ続けるという役目を担えたのだった。
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終わりです。
こういう妄想系のやつは書くの難しいですね宜しければ感想お願いいたします
なるほど…興味深い
>>3さんありがとうございます!
実はオリジナルでなんか小説書こうと思って何も考えずに適当にプロローグ書いたらプロローグで終わってしまったという残念作品なのです笑
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