男「いや、それが本当だとしてさ……なんでウチなの?」
女「他に頼める人もいなくて…… そしたらお母さんのお姉さんがいたって思い出して」
女「おばさんのおうちは遠いですけど… 前に男さんの独り暮らしのお宅にお邪魔したことがあったじゃないですか」
女「そこなら近いし……」
男「あー……そういや女母さんが一回来たね」
女「かすかな記憶を頼りに……ずっと歩き回ってやっと見つけたんです」
男「いや、友達とかいないの」
女「……はい」
男「他に親戚とかは?」
女「私のお母さんが家族と縁切ったの知ってるじゃないですか」
男「だとしてもさー、男の独り暮らしの家に上がり込むってまずくない?」
女「で、でも……私本当に行く当てが他になくて……」
男「えぇー……」
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男「まぁ今日はもう暗いし、雨も降ってるからこのまま追い返すのも可哀そうだからいいけど」
女「……はい」
男「明日になったらちゃんとお母さんと仲直りするんだよ? 何があったのか知らないけどさ」
女「……家には……帰れません」
男「なんで」
女「……お母さんが……私はいない方がいいって言うから」
男「どういうことだよ」
女「……おかあ…さんが……」
女「……ひっく……うっ…」
男「な、なんだよ」
男(なんか超厄介毎に巻き込まれてる気がするんですけどー?)
男(と、言うのが昨晩の話)
男「じゃ、俺行ってくるよー? ってまだ起きてないか?」
…………
男(応答なし。 まぁ疲れてたんだろうし仕方ねえか)
男「いってきまーす」
男(靴もあるし……外にはいってねえよな?)
男(まぁ一晩考えただろうし何か思いついたら勝手に帰ってるだろ)
男(はー…… 一体なんなんだよおい)
男(いや、でもさ女の子だよ? 女子高生だよ? 一緒に暮らすことになって期待しないわけないじゃん)
男(ちょっと訳ありだし? いとこだけどさ。 顔もいいしスタイルも悪くない)
男(控えめっていうか猫っぽい? けどそこがまたいいよね)
男(って俺はなに考えてんだ? 早く母親と仲直りして帰った方がいいに決まってんだろ全く)
男(こういう考え方してる時点でモテねえんだよなー分かってるよ)
男「たっだいまー」
男(自分の家なのにちょっと緊張するわ!)
女「……あ、おかえりなさい」
男「あー女ちゃん。 なんだ、まだ帰ってなかったの?」
男(ちょっとうれしいけど)
女「……男さんが鍵置いて行ってくれないから外にもいけなかったんです」
男「へ? あー……ごめん忘れてたよ。 そんなの気にしないで行けばよかったのに」
女「……そうもいかないですよ。 私のせいで泥棒に入られたんじゃ男さんが困っちゃいます」
男「いい子か」ペシッ
女「……え?」
男「あぁ、ごめんつい突っ込んじゃった」
女「………?」
男(えぇ……無反応とかきっつ……)
女「冷蔵庫の中身、勝手に使わせていただきました。あと、お風呂もお先に失礼しました」
男「お、おぉぉ! これは男の夢だよ女ちゃん!」
女「……そ、そうなんですか」
男「俺は今猛烈に感動しているッ! グッジョブだよ女ちゃん!!」
女「……さ、冷めないうちに食べてくださいね」
男「で?」
女「………?」
男「なんで実家から追い出されたの」
女「……言いたくないです」
男「理由もなくうちに女の子を住まわせられません」
女「…………」
男「言えないなら女母さんに連絡して、引き取ってもらうしかないから」
女「……それは嫌…です」
男「どうして」
女「……話したら居候させててくれますか」
男「理由による」
女「……はぁー…」
女「泣いちゃったら……ごめんなさい」
女「お母さん、ちょっと前から彼氏が出来たんです」
男「あぁ……お父さんとは離婚してたんだったね」
女「……そのお相手の方が既婚の男性で……私、付き合うの反対したんです」
女「でもお母さんは聞いてくれなくて……結局続いていってて家にもよく来るようになって」
女「でもどうしてもその彼氏さんとは仲良くなれなかったんです。 一生懸命話しかけてくれるのは分かるんですけど、なんて話したらいいのか分からない」
女「私、つい……なんで家族がいるのに私のお母さんとつき合ってるんですかって聞いちゃったんですよ」
女「そしたら……お母さんにすごく怒られて…… でも納得出来なくて……」
男「なんだそりゃ」
女「でも最近はお母さんの人生だし、勝手にすればいいって思えるようになったんです」
女「でも……昨日お母さんがついにその人と結婚するって言ってて……彼も家族は捨ててお母さんと結婚するって……」
女「我慢出来ずに怒ったら……私が逆に怒られちゃいました」
女母『あんたの面倒ばっかり見てこっちは恋愛一つ出来なかったのにまだ邪魔をするのか! あんたなんか邪魔なんだから出ていけ!』
女「女手一つでここまで育ててくれて……大変なのは分かりますけど……だからって……」
女「私は…… お母さんにとって付き合ったばかりの男の人より、大切な存在じゃなくて…… それどころか邪魔者だったんだなんて……」
女「あんまり……じゃないですか……うぅ……」
女「……あぁっ……ひっ……」
男「…………」
男「よし、海に行こう!」
女「………?」
男「ほら、寒いから服着て。 俺の上着貸してあげるから」
女「……な、なんで海なんですか。 それにもう夜…」
男「いいからいいから! さ、早くー」
……………………
……………
……
女「……あの、私バイクなんて初めて乗りました」
男「あはははそうだろうね。 高校生じゃなかなか乗ってる子いないでしょ」
女「……お尻が痛いです」
男「えぇー! そりゃごめん! シート硬いのはでもしょうがないんだよ」
女「……振動もあって……寒いし……」
男「あははは……」
女「でも、気持ちいです」
女「風になれるなんて……大袈裟だろうって思ってました」
女「……でも……すっごく気持ちがいい」
女「悩みなんて置いてこれちゃうくらい……気持ちいい」
男「だろ? バイクの楽しさは乗った人にしか分からないんだよ」
女「……それに…寒いけど……抱き付いたら暖かいです」
男「えー? なに? 聞こえないよ」
女「……なんでもないです」
男「あ、ほら! 海! 見えてきたよ」
女「……わぁ」
男「はい、コーヒー」
女「……ありがとうございます」
男「寒いね」
女「……海ですから」
男「だねー」
女「……くっついていいですか」
男「えぇ、なになに」
女「……寒いので」
男「あはは、そりゃしょうがないね」
女「…………」
男「…………」
女「……夜の海ってもっと寂しいものなんだと思ってました」
男「そう?」
女「はい…… 暗くて、吸い込まれそうで…… 何もないように思えちゃって」
男「……見方によっちゃそうかもね」
女「……でも月の光がキラキラ光って…… 波の音が静かで……」
女「……私を優しく包んでくれてるみたいです」
男「そりゃ素敵な考え方だねー」
女「……でも……やっぱり寂しいですよ」
女「……お母さん、大好きでした」
女「……今も、大好きです」
男「うん、そうじゃなきゃあんなに泣けないでしょ」
女「……なのに酷いです。 お母さんにあんなこと言われるなんて思いもしなかった…」
男「本当にね」
女「……はぁー…、ママ……」
男「…………」
男「お母さんも、本心で言ったんじゃないんだと思うよ」
女「……そう、信じてます」
男「そこはちゃんと分かってるんだね」
女「……ふふ、伊達に16年、娘をやっていませんから」
男「お母さんがさ、謝ってきてくれるまでウチにいなよ」
女「……いいんですか」
男「理由次第って言ったでしょ?」
男「こんな昼ドラみたいな状況の中で家に帰れなんて言えないよ」
女「……ありがとうございます」
男「まー狭い家だけどさ、その分距離が近いってことで」
男「お母さんとまでは言わないけど! 俺も女ちゃんとは仲良くなりたいと思うからさ!」
男「まずは、女ちゃんじゃなくて、女って呼んでもいい?」
女「……いきなりです」
男「あ、あれー?」
女「……しょうがないです。 いいですよ」
男「いえーい! あ、俺のことも呼び捨てでいいからね?」
女「い、いえ……さすがにそれは男さんで」
男「お、おぉー。 まぁそれは追々ね? いつか男って呼ばせてみせるから」
女「…………」コク
男「じゃあ、帰るか!」
女「……はい」
女「あ、帰りはもう道も空いてますよね? さっきより飛ばしてください」
男「えぇー!? 女はスピード狂か!?」
女「今日だけ…… 前までの私をここに置いていくつもりで」
男「ふーん。 いいけど、振り落とされないようにしっかり捕まっててよ?」
女「……はい」
……………………
………………
…………
男「いってきまーす」
男「ただいまー」
……………………
………………
…………
男「いってきまーす」
男「ただいまー」
……………………
………………
…………
男「いってきまーす」
男「ただいまー」
……………………
………………
…………
男「いってきまーす」
男「ただいまー」
……………………
………………
…………
男「いってきまーす……」
男(あれからもう5日くらい経ったぞ)
男(びっくりするほど何もない)
男(朝俺が仕事行くときはまだ寝てるし、帰ってきたときはもう眠そうにしてていつもすぐ寝ちゃうし)
男(なんなん? 俺リアルただの同居人じゃん)
男(いや同居人だけどさ。 ただの同居人だけどさ)
男(マジなんなん?)
男「マジでなんていうの? 隙がないっていうかさー」
同僚「いやそれだっていとこだろ? なんかあったらまずいじゃん」
男「でもさぁぁぁもうちょっとくらいなんかあってもさぁぁぁぁ」
男「夜の海でちょっといい感じになったじゃん? 俺の好感度あがってるはずじゃん?」
同僚「飯作ってくれてんだろ? 風呂も沸かしてくれてんだろ? 文句なんかねえだろ」
男「そんなさー? 礼のつもりの飯なんかよりさー? 顔見て話てえっつーのぉぉぉ」
男「結構可愛いんだぜー? はぁぁぁ」
同僚「写メないの?」
男「撮ってねえ…… 撮る隙がねえ」
同僚「今度撮っておいてよ」
男「あぁー……そうする」
男「あー……髪の毛の匂い嗅ぎてえー! シャンプー俺のだけど!」
同僚「きもい! マジ?みすぎだからお前」
一応さー? 俺の家なんだしさー? もうちょっと俺にご奉仕っていうかなんていうか良い夢を見させてくれてもいいんじゃないのー?
男「たっだいまー」
女「ひゃぅっ!?」
女「あっ……あの……さっきまで寝てて、ご飯作ってたらお風呂入るの遅くなっちゃって…!」
男「…………」ゴクリ
>>18
①襲う
②襲わない
③脱ぐ
④自由安価
心を無にして入浴
男「…………」ゴクリ
女「あ、あの……下着とかも部屋に忘れちゃってて……その……」
男「ごめん、風呂入るから」
女「……え? あの」
男「…………」
パタン
チャポン
男「…………」
男(…………)
男(…………)
男(勝ったな)
男(俺は今勝った)
男(深夜アニメの情けない主人公とは俺は違う)
男(女の子のラッキースケベに遭遇したところで狼狽えず、あくまで紳士的に、そしてお互いが後腐れがないよう見て見ぬフリをする完璧な対応)
男(完・全・勝・利だぁ)
男(あとは鎮まるだけだぞ俺のマイジョニー)
男(そりゃ何かあったらなーとか可愛い女の子と同棲してんだもん思うよ?)
男(でもさ、何かそうじゃないんだよ)
男(守ってあげたい、的な?)
男(ていうか嫌われたくない的な?)
男(はー……心の底から手を出したいけど、頭の奥から自制心が働く)
男(モテねえ理由が分かるわー)
男「お風呂上がったわー」
男(平常心、平常心だぞ俺の心)
女「……あ」
男「なに、飯もう食ったの?」
女「……え? はい……いつも通り……」
男「ふーん」
女「……えと……」
男「いただきまーす」
女「……ぁ…はい」
男「テレビなんか面白いのやってねえかなー」
女「…………」
男「…………」
ワハハハ、ナンデヤネン
男「…………」
女「……ぁ……ぅ…………」
男(平常心だぞー俺)
女「……あ、あの……おいしい、ですか」
男「うん」
女「……えっと……私、ポテトサラダには自信あるんです」
男「へーそうなの」
女「は、はい……」
男「…………」
男(平常心! めっちゃ美味いけど気があるように思われないようにせねば!!)
女「美味しく、なかったら……言ってください」
女「私、家事くらいしか出来ないので……もっと上手にやりますから」
男「…………」
男(うぉぉぉぉぉなんだこれぇー!! 女の子に言われたいセリフぅー!! いかんぞー! 平常心だぁぁぁぁ)
男(俺は風呂上がりの女を見てない! 家事してくれる女を意識なんかしてないぞー!!)
男「……ふぅー」
女「………っ!」ビクッ
男(来たぜ俺の平常心。 心はまさに仏。数々のアニメを見て修行をこなした成果を今発揮している)
女「……怒って、ますよね」
男「へ?」
女「いつも、私は朝は寝てて、男さんのお仕事終わりにもすぐに部屋にこもって……」
女「感じ悪いなって……自分でも思います」
男「ん? どしたん急に」
女「でも、なんか恥ずかしくて……顔が……見られなくて」
女「なんて話したらいいのか分からなくて……怖くて……」
男(え? え?)
女「そしたら今日お風呂上がりを見られちゃって……恥ずかしくてたまらなくて」
女「でも……男さんそんなの気にも止めないくらい怒ってて……」
女「……私があんな態度とってたから、怒ってるんだって思って……謝りたくて」ポロ
男「え、えぇー! いやいや全然怒ってない!!」
男「今日のは本当にたまたまいけないものをみちゃって! 平常心を保とうとクールな俺様を演じてただけ!」
女「……へ」
男「いつも顔がなかなか合わせられないのは気になってたけど怒ってなんかないよ。 そりゃー心配はしたけどさ」
女「へ……?」
男「ごめんね? 俺の態度のせいでいらない勘違いさせちゃったね」
男「ごめんごめん」
女「………ひっ」ポロ
男「あれ?」
女「ひっく……なんだ……よかったぁ……」
女「男さんにも嫌われちゃったのかと思って……うっ……」
男「えーごめんよ!?」
女「……男さん」ポフッ
男「おおぅ!?」
女「怖かった……」
男「うん」
女「……安心しました……よかった…」ギュ
男「うんうん、ごめんね」ナデナデ
女「ひっく……うぅっ……」
男(あ、そうだ)
スッ
女「………?」
カシャッ
女「……へ?」
男「泣き顔写メゲットー♪」
女「……~~!?」
男「初写メが泣き顔っていいねぇ…… でもこれ同僚に見せるのは勿体ねえなぁ」
女「………!? 消してください!」
男「わっ! やめろ! こらっ!」
女「もう消してください!」
男「あはは! はい、チーズ」
女「こらー!」
カシャッ
休憩
いい話風に終わらせたかったのに全然いい話じゃない
再開します
男「買い物にいこうか」
女「………?」
男「今更だけど女の子が暮らすのに入用なものは多いでしょう」
女「…………」コクコク
男「女の下着もおそらく着てきた一着とコンビニで買ったであろうだっさい下着のみ!」
女「……っ!?」
男「そんなわけで街に繰り出すぞ女よ! 休日を満喫するのだわははははー!!」
女「……それが本心ですね」
男「ガタンゴトーン」
女「……やめてください」
男「次は~横浜ぁー。横浜で、ゴザイャッス」
女「……車掌さんには似てないです」
男「……男さん、いつもかっこいいです」
女「……それ私の真似ですか」
男「……はい」
女「…………」
男「なんか言って?」
女「……やめてください本当に」
男「さぁ何でも買うがいいぞ女よ!」
女「……でも、私お金全然なくて…」
男「そんなもん気にしなくていいの! 男の独り暮らし今年26歳。 悲しいかな趣味はバイクと貯金のみ」
男「貯金残高はついに1000万のケタに乗りそうです!」
女「……お金持ってたんですね」
男「使う相手いなかったからねははは!!」
男「キャッシュカードの暗証番号8931! ハクサイって覚えてくださーい!」
女「……うるさいです」
男「化粧水って何がいいの?」
女「よく分からないです。 私はコンビニで売ってるの使ってました」
男「えぇ……そりゃねえだろ。年頃女子が」
女「……そんな見た目気にしたことないです」
男「えぇー……勿体ないって! すっぴんでこんだけ可愛いんだから!」
女「……かわいいですか?」
男「おう! かわいいぞ!!」
女「……えへへ、うれしい」
男「よし! じゃあ化粧には化粧のプロのとこにいくぞ! ほらついてこい!」
女「へ? へ??」
女「……男さん、帰ります」
男「なんで!?」
女「……私なんかがこんな大人の女性が来るところ場違いです」
男「なんでだよー気にするなって」
女「……男さんはおしゃれさんですから気にならないでしょうけど」
女「……私にはハードル高いですよ…。 超有名ブランドばっかり…値段書いてないですよ」
男「知ってる? 大人は現金を持たずになんでも帰る魔法のカードがあるんだよ」
女「……破産しますよ」
男「破水?」
女「……言ってないです」
男「とりあえずよく分からないからDi○rとかK○TE行っておけばいいかな」
女「……ちょっと待ってください本当に嫌です」
男「なんで! 女がもっと可愛くなるんだよ!? 俺見たいよ!」
女「……え」
女「……うーん……じゃあ……ちょっとだけ」
男「ほいきたー! いえーい!」
……………………
………………
…………
「はい、こんな感じでどうでしょうか?」
「お若いですしお顔立ちもとても綺麗ですので、ナチュラルな感じで」
「ですがいくら若くてもしっかりとお肌のケアはしたほうがいいと思いますので是非こちらの商品も」
男「おっけーです! 全部買います! まとめてください!」
女「ちょ、ちょっと男さん! そんな!」
男「何言ってんの! 女めっちゃ可愛いよ!? これが毎日見られるなら俺はこのセット100個でも買うよ!?」
女「……お金への執着を持ってください」
男「ほら、鏡見てごらん」
女「……!」
「とてもお綺麗ですよ」
女「……わぁ、すごい……私じゃないみたい」
男「芸能人だね」
「えぇ、本当に。 お世辞ではなく本当にお綺麗だと思います」
女「………すごい」
男「な? だから買っちゃお」
女「……いいんですか?」
男「もっちろん!」
女「えへへ……ありがとうございます、男さん」
女「目がかゆいです」
男「かくなー! 化粧落ちる!」
女「……そうですね。 せっかく可愛くしていただいたので我慢しますね」
男「じゃ、次は服だね! 好きなブランドとかあるの?」
女「え? 特にはなにも…… G○とかユニク○でいつも買ってました」
男「はぁぁぁぁ…… ついてくるんだ」
女「……へ? なんかデジャブです」
女「ま、待ってください男さん!」
男「……ん?」
女「……人が多くて…… 男さん歩くの早いです」
男「あぁ、ごめんついね」
女「…………」
男「女? どした? 疲れちゃった?」
女「……いえ…えと」
男「どしたん?」
女「……手、繋いでもいいですか」
男「!!?」
女「……あ、いえ…なんでもな…っ!?」
男「あはは、ごめんね俺歩くの早いからさ! 先にどんどん行かないように俺の手捕まえといて!」
女「……はい」
女(男さんの手、暖かいな」
女(男の人の手って大きいな…… お父さんの手を繋いだのなんてもう記憶にもないや)
女(……男さん、私と歩くペース合わせてくれてるんだ。 優しいな)
女(本当はもっとお礼とか沢山言いたいのに、いつも言う前に色んなことしてくれて、お礼するのが追いつかないや)
女(男さん優しいから、つい甘えてばっかりで、ダメだなぁ私)
女(でも、もうちょっとだけ、わがまま、してもいいかな)
女(せめてもう少しだけ、肩が触れるくらい近く、横に並んで歩きたい)ピトッ
男「ん?」
女「…………」チラッ
男「あはは、どしたの」
女「……なんでもないですよ」
女「……買いすぎました」
男「あはは! 荷物多すぎて旅行かっての」
女「お家に帰ってくるまでにくたくたです」
男「本当だね、ごめんね調子乗って買いすぎた」
女「……いえいえ、そんな……本当にありがとうございます」
女「こんなに楽しい休日、久しぶりです」
男「買い物しただけだよ?」
女「……ううん、とっても楽しかったです。 男さんと初めて2人で出かけたんです」
女「可愛くしてもらって、たくさんお洋服買ってくれて、恥ずかしいランジェリーショップにまで来てもらって」
女「……本当に楽しかったです、だからありがとうございます」ペコ
男「いやいや! やめてよ照れるからさ!」
男「それに今日はもうくたくただから帰ってきたけど」
男「明日も休みだよ?」
女「……え?」
男「楽しい休日は、まだまだ半分ってこと!」
女「……わぁ!」
男「明日は、ちゃんとそれっぽいデートいくぞー!」
女「……はい!」
女(うーんどれ着ていこうかな)
女(これはちょっと……大人っぽすぎかな)
女(でもこれは…可愛すぎて意識しすぎてるって思われちゃいそうだし)
女(うーんせっかくデートなのにパンツスタイルってのも勿体ないかな)
女(あ、……だめだめ、ちょっとセクシーだね……まだ早いよ)
女(あ! これがかわいい!)
女「うん、これにしよう」
男「女ー? 準備できたー?」
女「はい! 大丈夫です!」
男「お、かわいい! 似合ってるね」
女「……そうですか?」
男「うんうん、いい感じ! よく似合ってるよ」
女「……恥ずかしいです」
女「……お、男さんも、かっこいいです」
男「んー? やめてー意識しちゃってねーあはは」
女「……でもこんな朝早くからどこ行くんですか?」
男「ん? まずは美容院」
女「……へ?」
男「いや、だから美容院。 女、髪最後に切ったのいつ?」
女「……えと……2年くらい、前ですね」
男「だよねーだと思ったよ」
女(含みのある言い方!?)
男「なので、まずは髪を切りましょう」
女「……デートのはじめが美容院なんて聞いたことないです」
男「あはは、俺も」
女(男さんの好みの女性に改造されてる気がする)
女「…………」ジー
男「ん?」
女「……どういう髪型が好きなんですか」
男「俺? 長いのも好きだし、でもセミロングもいいけど、やっぱりショートもありだよね!」
女「……それなんでもいいんじゃないですか」
女「……美容院って苦手です」
男「なんで?」
女「……素敵な店員さんがいっぱい話かけてくるので」
男「コミュ障か」
女「……自覚はあります」
女「……なに話そうか考えてる間に、次の話題になってるんです」
男「なにそれ意味わからない」
女「……気を張ってないと話の流れについていけなくなるんです」
男「意味わかんねーなにそれ!?」
女「……そんなに分からないでしょうか」
男「俺なんて脊髄反射で会話してるからね! なんも考えてない!」
女「……あ」
男「ん?」
女「……私、男さんには脊髄反射で話してる気がします」
男「ん? 俺との会話には頭使う必要がないってこと?」
女「い、いえそういうことじゃなくて」
女(なんでだろう? 話しやすいから? でも話しやすいのはなんでだろう?)
女(私が話しやすいように会話をコントロールされてる? いつも強引だったり変なことばっかり言ってるけど、なんで話しやすいんだろう)
女「…………」
男「これか、これが話してる内に会話が次の話題にいってるっていう現象か」
男「会話のテンポが悪い!!」
……………………
………………
…………
「今日はどんな感じになさいますか?」
女「……えっと、似合う感じで」
「どんなイメージにしたいとか、好みとかありますか?」
女「……よく分からないです」
「え、えっとじゃあパーマとかカラーとかする予定はあります?」
女「……うーんそれはいいです」
「じゃああんまり遊ばせないで、今のイメージを崩さず、整えていく感じでいいですかね?」
女「……でもちょっと気分を変えたいかもしれません」
「え、えぇ…… じゃあ……どうしましょうか」
女「……? どんな感じがいいですか?」
男「え、それ俺に振るの? なにこの異次元空間」
「今日はデートですか?」
女「……はい」
「へーうらやましいです! 美男美女カップルじゃないですか」
女「……びじょ?」
男「でしょー? 女マジ可愛いですよね」
「まさに自慢の彼女ってわけですねー羨ましいですよ本当に」
女「……か、かのじょ」
女(私、男さんの彼女にみえるんだ。 どうしよう、なんか急に恥ずかしくなってきちゃった)
男「まぁ、彼女じゃないんですけどねー」
「え、違うんですか? 結構年下さんですよね?」
男「そうっすねー彼女じゃないですよ」
「妹さんなんですか?」
男「妹でもないんですよー同居人ですかね」
「なんですかそれ」
男「なんでしょうね」
女「………ばか」
「ありがとうございましたー!」
男「切ったわー! 頭軽い!」
女「……ふふ、そうですね」
男「女も結構ばっさり切ったねー? よく似合ってるけど!」
女「……そうですか?」
男「うん! かわいい! 毛先ピョンてしてる!」
女「……遊ばないでください」
男「えーいいじゃんちょっと触らせてよ」
女「…………」
女(こういう時男さんはずるい……いつも距離を一気に詰めてくる)
男「髪の毛いい匂いするー!」
女「……ひゃ! やめてください」
男「あはは、頭抑えたって匂いはかげるぞー」
女「……やめてください変態っぽいです」
思ってる以上に女が可愛く書けない……男がただの変態になっていく……
SSって難しいうわあああああああああああああ
仕事が休みの元気のある日メインで更新していくと思うので気長にお待ち下さい
男「俺この映画見たい」
女「……あー噂のアニメ映画ですか」
男「あんなに噂になってるんだもん! 気になるじゃん?」
女「私あんまりアニメとか見たことないんですけど楽しめますかね」
男「いい機会じゃん、アニメにハマっちゃうかもよ」
女「……えー…そうですか」
男「つまらなかったらその時はそん時でしょ」
女「……アニメって面白いかなぁ」
男「あはは……」
男「あ! ポップコーンいる?」
女「……キャラメルがいいです」
男「あはは、好きな味の趣味合うー」
女「……塩味かキャラメルしかないじゃないですか」
……………………
………………
…………
……
男「あーめっちゃ面白かった!」
女「ぐすっ……あんなにいい話だと思わなかったですよ」
男「……アニメって面白いかなぁ。 って言ってたくせにー」
女「……うっ」
男「途中で嗚咽しながら見てたのにはさすがに驚いたよ」
女「だ、だって…… あんな形で再会するなんて感動しちゃいます」
女手「……泣けちゃうのは仕方ないと思います」
男「そうだねー。 女の泣き顔よくみるわー」
女「……私の話はもういいですよ。 映画の内容とか言うものじゃないんですか普通」
男「あはははそうかも! でも俺は映画よりも女が気になっちゃってさ」
女「……~~!」
女「……どういうことですかもう」
男「いただきまーす」
女「……いただきます」
女「……なんでランチじゃなくて、ケーキなんですか?」
男「え、だって女はポップコーンで結構お腹いっぱいでしょ」
女「……はい」
男「それにケーキとか甘いの好きでしょ」
女「……なんで知ってるんですか」
男「顔にケーキ命って書いてあるよ?」
女「……書いてないですけど」
女(なんでもお見通しって感じ…… 私って単純なのかな)
男「ほら、細かいことはいいからさ、食べよ? 早くしないと俺がショートケーキのいちご貰っちゃうよ?」
女「だ、だめです!」
男「俺の一口あげるから、ね? お願い!」
女「……はんぶんこがいいです」
男「そんな貰っていいの!?」
女「……なんで私より甘いの好きなんですか」
……………………
………………
…………
……
女「……綺麗ですね」
男「夜景ってさ、残業してる親父たちのおかげで見れてるんだよね」
女「……夢がないこと言わないでください」
男「ごほん。もうすっかり夜になっちゃったね」
女「……そうですね」
男「…………」
女「…………」
女「あ、あの…… 今日はありがとうございました」
女「……すごく、すごく楽しかったです」
男「本当? なら良かった」
男「この2日で女ともっと仲良くなりたいなって思ってたからさ」
女「……はい」
男「頑張った甲斐があったよ」
女「……楽しくて、いつの間にか遠慮してたような気持ちがなくなっちゃいました」
男「お? それってすごい進歩じゃない?」
女「……男さんの手のひらの上でコロコロ転がされてた気分です」
男「あはは、全部インターネットのコラムのおかげだな」
女「ふふ……調べてたんですか?」
男「そりゃーねー? デートでどんなとこ行くとか知らないもん」
女「……手慣れた感じしましたよ?」
男「気のせいっしょー!」
女「……ふーん? まぁ、いいですけど」
女「……夜景、綺麗です」
男「だねー」
女「さっきみたいな変なこと言わないんですね」
男「俺だってたまには空気読むよ?」
女「……嘘ばっかり」
男「えぇ!? ひどくない?」
女(本当は誰よりも人のことばっかり考えて、一番いい距離感を作ってくれる)
女「……男さんは優しいです」
女(いつも欲しい言葉を、心に溶け込むような言葉をくれる)
男「そうかな? 自分じゃよく分からないよ」
女「……優しすぎます」
女(勘違いしちゃいますよ)
男「ん?」
女(この気持ちは勘違いなのかな…… それとも……)
女「…………」
男「…………」ポリポリ
女(ねぇ、男さんはどっちなんですか?)
男「…………」
女(私は、こう思ってますよ)
>>65
①顔を近づけて目を閉じる
②抱きつく
③横にぴったりくっつく
④自由安価
>>66 それに対する男の行動(自由安価)
2
抱きしめ返す
女「…………」ギュ
男「………!」
男「あー、そう来る?」ギュ
女「………ぁ」
女「……あったかいです」
男「そだね」
女「…………」
男「…………」
男「あはは、女ちっちゃいな」
女「……普通です」
男「守りたくなるね」
女「………え?」
男「俺と一緒にいる間は守ってあげるよ」
女「……それってどういう…?」
男「そのまんまの意味」
男「しばらく、俺と一緒にいなよ」
女「……はい」
女「……あ」
男「手、繋ぐくらいならいいでしょ」
女「……はい」
男「女ちゃんの手冷たいなー」
女「……暖めてくれますか?」
男「もちろん」
女「……暖かいです」
男「ん」
女「……帰るのが勿体ないですね」
男「また今度遊びに来ればいいよ」
女「……楽しみにしてますね」
男「だから今日はもう帰ろ」
女「……はい」
女「……手、離しちゃダメですよ」
……………………
………………
…………
……
女「おはようございます」
男「おはよーす…」
男「って女が早起きって珍しいね」
女「……いけませんか」
男「そんなこと言ってないじゃん!?」
女「……今日はそういう気分だったんです」
男「へぇ? 俺の顔を見てから学校行きたかったってこと?」
女「…………」
女「……せっかく朝ごはん作ったのに、男さんの分は今日はなしですね」
男「あー俺朝ごはん食わない派なんだ」
女「……先に言ってくださいよ」
男「でも、女が作ってくれたなら食べるよ! いただきまーす!」
女「……別に無理して食べなくてもいいのに」
……………………
………………
…………
……
女(結局、男さん全部食べた)
女(お腹壊しちゃわないかな?)
女(はー……寒いなー。 昨日は2人でずっと歩いてたから寒さなんて感じなかったのに)
女(私も……みんなみたいに高校生同志で付き合えたらよかったのかな)
女(ふふ、でも男さんが高校生ってなんか変だな。 友達いっぱいいそう)
女(きっと女の子にモテモテだったんだろうな。 なんか妬けちゃう)
女「はぁー…」
同級生女子(以下同女)「あれー女じゃんやっぱ髪切ってたんだ」
女「………?」
同女「あんたさー昨日男と歩いてたっしょ?」
同女「あれ彼氏? 友達もろくにいないくせに彼氏とかウケるんだけど」
女「……なんですか」
同女「いやーなんか色気づいてんなーと思ってさ? 彼氏もなかなかよさげな感じだし」
同女「ねぇ! どこで知り合ったの?」
女「……あなたには関係ありません。 いきなりなんなんですか」
同女「いいじゃんよ教えろよー? 私たち友達だろ?」
女「……友達になった覚えなんかありません」
同女「ちっ。 ノリ悪い奴。 つまんねーの」
女「…………」
女(なんなんですかあれ)
……………………
………………
…………
……
女(やっと昼休み)
女(男さんにラインしてみようかな)
女『今日の夕飯何がいいですか』
ピロン
男『オムライス! チキンライスでね!』
女(返事早い……ふふ、オムライスなんて子供っぽい)
同女「それ彼氏とのライン?」
女「……またあなたですか」
同女「ねぇねぇ、あんたさ、正直暗いし、何考えてるか分からないし、ただちょっと顔がそこそこいいだけじゃん?」
同女「でもあんないい感じの男捕まえてさーどうやったの? ちょっと興味あるんだけど」
女「……どうって」
同女「そのさ? オドオドするのやめたら?」
女「……一体なんなんですかさっきから。 なんでそんなに絡んでくるんですか」
同女「え、やだ。 ただの友達同士の絡みでしょ?」
女「……はぁ」
女「……別に彼は、恋人ではなくて…… 同居してるだけです」
同女「はぁ!? 恋人じゃないのに同居!? どういうこと?」
女「……どういうことでしょう」
同女「いやいや私に聞かれても」
女「………?」
同女「いやなんていうか一周まわっておもしろいわあんた。 ちょっと普通に友達になろうよ」
女「……えぇ」
同女「えぇってなによ!!」
女「……だって同女さん絡みがうざい」
同女「はぁ? それ女が他に友達いないからそう思うだけでしょ」
女(絶対違う)
……………………
………………
…………
……
男「ただいまー」
女「……おかえりなさい」
男「あれ、オムライスは?」
女「すいません私もついさっき帰ってきたところなので」
男「珍しいね? いつも直帰してるのに」
女「……無理やり友達になってきた人とファミレスで話をしてました」
男「え、いやそれどういう状況?」
女「……分かりません」
男「でも友達出来たんだ?」
女「……あれは友達じゃないです。 野次馬です」
男「なに話したの」
女「……男さんのことです」
男「俺?」
女「どうやらこの前のデートしたところを見られていたらしく……関係性を聞かれて」
女「……同居人って言ったら根掘り葉掘り聞かれてしまって」
男「あー」
女「……疲れました」
男「あー…… じゃあ」
男「おいで?」
女「………?」
女「………!」
女「……ぇ」
男「あ、あのー俺も恥ずかしいんだけど?」
女「……え、ぇぇぇ…」
女「……い、いいんですか?」
男「どうぞ?」
女「……じゃ、じゃあ」
女「…………」パフッ
男「…………」
女「…………」
女(ドキドキしすぎて男さんに心臓の音聞こえたらどうしよう)
男「あはは、言っておいてなんだけど恥ずかしいね」
女「……こっち見ないでください」
男「えっ」
女「……そういえば男さん」
女「……男さん?」
男「…………」
女「……寝ちゃった?」
女「……?」
男「…………」
女「……男さーん」ジー
女「………!」
女「……男さん、重い!」
女(に、逃げられない…!)
女「……た、助けて…男さん力強い」
女(ど、どうしよう… 男さんお仕事で疲れてて起こすの可哀そうだし。 でもこのままじゃ身動き取れない)
女「…………」ウギャー
女「…………」バタバタ
女(だ、だめだ…)ズーン
男「あはは」
女「……!?」
男「あはは、女、おもしろい」
女「起きてたんですか!?」
男「いや、ちょっと寝ちゃってたんだけど」
男「そしたら腕の中で女がもがいてるんだもん、おもしろくって」
女「…………」
女「……意地が悪いです」
男「かわいいからぎゅーってしてやる」
女「……ぅぎゃー」
今日はここまでにします
シリアスな話入れようと設定を組んだんですけど、ほのぼのしてるだけの方がいいと思うので気にせずダラダラ読んでいただければと
女「……あ、男さんお願いがあるんですけど」
男「んーどしたん?」
女「……ネクタイの結び方を教えてください」
男「え、なに急に」
女「……最近女子の中で制服にネクタイが流行っていて、同女にお前もやれとうるさく言われて」
男「女子にネクタイとか意味わかんねえ…… 制服はありのままが一番ってことにどうして子供の頃は気づかないかねぇ」
女「……おじさん臭いです」
男「おじさんだからね、仕方ないかな」
男「ここに線があるでしょ? ここを合わせて…」
女「……ネクタイに線があるなんて初めて知りました」
男「使ってみないと分からないよねー。 んで、ここをこうして…」
女「ま、待ってください、もう一回」
男「前からクロスして一周して間を通してさらに一周巻いて後ろからこうやって」
女「……全然分かりません」
男「じゃあ手に覚えさせるしかないな、はい、手貸して」ピト
女「……あ」
男「まずこう持ってこれを…… って聞いてる?」
女「……ご、ごめんなさい」
男「大丈夫? 顔が赤いよ?」
女「……見ないでください」
男「うはは、からかい甲斐があるね」
女「……いじわる」
女「……覚えました!」
男「おーそうそう! うまいじゃん!」
女「……上手に結べました」
男「ネクタイって色々結び方があるんだけど、それが一番綺麗に見える結び方なんだよ」
男「でも難しいんだよね。 よくできたね偉いぞ」
女「……はい。 男さんが教えるの上手だったからですね」
男「でもさ、制服にネクタイしていくのなんていいの?」
女「本当はダメですけど、そこはおしゃれっていうことで学校も黙認してます」
男「緩いなー俺ん時は髪染めただけで体育の教師にぶん殴られたもんだよ」
女「……男さんが染めてたんですか?」
男「なんだよ! 悪いかよ! みんなに笑われまくったよ!」
女「……ふふ」
女「あ、男さん? 明日は私がネクタイ締めてあげますね」
男「え?」
女「……せっかく覚えたんですもん。 朝、少しだけ男さんの役に立たせてくださいね」
……………………
………………
…………
……
女「で、ネクタイを色々見せてくれて似合うのはこれだろうっていって貸してくれたんです」
同女「へー結構いい感じじゃん」
同女「でもさ、せっかくあんた細いんだからもっと足出さないと」
女「……え」
同女「もう1回半スカート折りなよ」
女「……パンツが見えちゃいますよ」
同女「そんなんじゃ見えないから。 今時スカートが膝上ってどういうことよ」
女「……それはちょっとハードルが高いです」
同女「男さんもきっとミニスカJK好きだぞ? ちょっと大胆にいっちゃいなよ」
女「……えぇー…」
……………………
女「で、昨日は抱きしめられて……」
同女「うわっマジか結構男さん大胆じゃん」
女「…………」コクリ
同女「ってかなんかウブだわー。 抱きしめられて終わりっていうところがなんか逆にリアル」
女「……だってまだ付き合ってるわけじゃない」
同女「ふーん? まぁそういうところしっかりしてる人の方が女には合うのかもね」
女「……同女は違うの?」
同女「えー? そういうのもたまには悪くないんだけど…… エッチの相性とかあるじゃん?」
女「……エッチか…」
同女「ま、焦ることはないでしょ! 女は自分たちのペースでやっていけばいいと思うよ」
女「……うん、ありがと」
同女「まー早く付き合ってって言わせた方がいいと思うけど? ちょっとその距離感は危なくない?」
女「……そうかな」
同女「……どっちつかずで、いとこってことで線引きしちゃってるんじゃない? それはねぇなんていうか」
女「…………」
同女「近いうちにハッキリさせちゃいな。 このままダラダラはきっとよくないって」
女「……うん、ありがと」
同女「あ、そうだ今日あんたもカラオケどう?」
同女「これから私の友達とカラオケ行くけど、よかったら一緒にいかない?」
女「……ごめん今日は、今度こそ男さんにオムライス作るって言っちゃったから」
同女「えーなんだよじゃあまた今度付き合ってよ?」
女「……うん、わかった」
同女「ってかカラオケいったことある? いやないわけないかーあはは」
女「……ぅえ!?」
同女「……まじ?」
女「…………」コクリ
同女「高校生になってカラオケ行ったことない奴がいるなんて思わなかったわー…」
同女「ま、楽しいからさ! あんたのことみんなに紹介したいし!」
女「……ありがと。 同女本当はいい子だね」
同女「な、なに突然?」
女「……私たち、友達になれそう」
同女「だから、もう友達でしょ?」
同女「いまさらこんなこと言わせないでよ」
女「……うん、ありがとう」
同女「そんなにありがとありがと言わないでよなんか調子狂う…」
……………………
………………
…………
……
女(うん、できた! あとは後でふわふわの卵作ったらおしまい」
女(男さん早く帰ってこないかな)
女(同女も言ってたけど……このままの関係じゃだめだよね)
女(同居人以上、恋人未満の何かだもん…… ずるずるしてたらよくないってことは私も分かってる)
女(男さんは守ってあげるって言ってくれたけどそれは一体どういう意味だったのかな)
女(恋人として? それとも家出少女の保護者として?)
女(恋人、なんて考えてくれるのかな…… 歳も10個も違うのに)
女(なんでこんなに不安になっちゃうんだろう。 私だけが好きな気がしちゃう)
女(実らない、恋なのかな? そもそも本当にこの気持ちは恋なのかな)
女(ただの恩人への感謝の気持ちを恋と間違えてる? 分からないよそんなの今まで恋なんかしたことないし)
女(はぁー……もう頭ぐちゃぐちゃ……考えがまとまらない)
女「……男さん、早く帰ってきて?」
女「……なんだかどうしようもなく不安だよ…」
…………………………………………
男「うぃーっすじゃあお先に失礼します」
同僚「はぁ!? もう仕事終わったの!? 嘘だろお前」
男「お前がタバコ吸いに行く無駄な30分で俺は仕事終わらせるんだよ」
同僚「畜生……世の中不公平だ…… 俺は毎日400円金払ってんのにそれのせいで仕事が終わるのが遅いだと…?」
男「じゃ、お先でーす」
上司女(以下上女)「まぁまて男」
男「え、なんですか」
上女「今日飲みに行くんだ、付き合えよ」
男「えぇ…… 今日は家で待ってるんですよ」
上女「お前に嫁はいないだろ? いいから付き合え」
男「えぇー……マジっすか……」
上女「上司命令だぞ? たまには付き合わんか」
男「分かりましたよー。 しょうがねえ女に連絡しとくか」
男『ごめん今日急遽飲み会になった! 帰るの遅くなる!』
上女「さ、いくぞ。 ほら同僚も早く終わらせろ? あと何が残ってるんだ?」
同僚「……上女さーん助けてくださいよぉ」
上女「泣くな! ほら手伝ってやるから仕事まわせ」
男「……はぁ」
……………………
………………
…………
……
上女「はぁ!? お前今女子高生と住んでるのか!?」
同僚「ありえないですよね!? 犯罪ですよ犯罪」
男「致してねえからな? 犯罪もくそもあるか」
同僚「羨ましい……羨ましすぎる! 俺も女子高生と同居してイチャイチャしたい!!」
上女「お前は奥さんがいるだろう! 不純だぞ」
同僚「……だって嫁さん怖いんすもん…… 今日だって酒臭いって言われて一緒に寝てくれないんですよ」
男「百年の愛も結婚したらなんとやらだな」
上女「結婚した相手がいるだけマシだろ」
同僚「上女さん、今日俺空いてますよ」
上女「馬鹿を言うな、私はお前の奥さんに殺されたくないからな」
同僚「殺されないです! 俺が守りますから!」
上女「キモい! ふざけるのもたいがいにしろ」
同僚「上女さんにも振られたよおぉ!!」
男「当たり前だろバカ……」
同僚「だけど、また男が女を作るとは思いませんでしたよ」
男「…………」
上女「おい、同僚やめないか」
同僚「だってそうですよ。 元カノさんのこと考えたら……」
上女「いい加減にしないか」
男「そうだなぁー…… やっぱりそれは考えちまうわ」
同僚「俺はいいと思うけどなぁ。 次に進んだほうがいいと思うぞ? 俺は」
上女「……それは否定はしないが、急ぐ必要もないとは思う」
同僚「まぁそりゃそうっすけどねーあんなことがあったんじゃ…」
男「……もう忘れてリセットしたいですよ本当に」
上女「馬鹿いうな。 そういうことを口にするんじゃない」
上女「辛い過去があってこそのお前だ。リセットなんかしたら勿体ないだろ。そういうのは胸に大切に抱えながら生きてくもんだ」
同僚「染みるっす上女さん!」
男「はは……ありがとうございます。 本当、上女さんにはお世話になりっぱなしで」
男「俺が仕事来れなくても見捨てないでもらって本当に助かりました」
上女「部下一人助けてやれないくらいでなにが上司なものか。 お前をみすみす首切らせるなんて勿体ないからな」
男「……泣けちゃいますんでやめてくださいよ」
同僚「ご馳走様でした! またお願いしますね!」
上女「あぁ、気をつけて帰れよ」
同僚「上女さんもですよ! では失礼しますっす!」
男「また明日なー」
上女「…………」
男「…………」
上女「大丈夫か?」
男「大丈夫っすよありがとうございます」
上女「顔色悪いぞ」
男「調子のって飲みすぎただけですから」
上女「……そうか」
男「そうですよ……」
上女「なぁ…お前がよかったらだが、私が支えてやってもいいんだぞ」
男「……え」
上女「なんというか……お前が辛そうなのは見てられなくてな……前みたいによく笑ってみんなと楽しそうに話をしてるお前がまた見たいんだ」
男「……ははなんですかそれ。俺は俺っすよ」
上女「一人で抱え込まないでくれ…… 私は一人の女としてお前を」
男「上女さん、ダメですよそんなの」
上女「…………」
男「俺はこれ以上上女さんの世話になるわけにはいかないですよ」
上女「「そうか……」
男「それに、守ってやりたいもの出来たんで」
上女「……ふぅー。 そうみたいだな」
男「だからこれからも仕事頑張るんで! 頼りにしてますよ上女さん!」
上女「あぁ、こっちも頼りにしてるぞ男。 ま、何かあったら言え」
上女「仕事のこともだが、その女ちゃんのことでもな」
男「あはは…… 独身女性にそれはちょっと」
上女「……お前明日から仕事来なくていいぞ」
男「えーちょっと待ってくださいよ! 困りますって!!」
……………………
………………
…………
……
男「そういや女から結局返信帰ってこなかったな……既読もついてないし」
男「たっだいまー」
女「……ぁ」
男「あ、寝てた? ごめんね遅くなっちゃって」
女「……おかえりなさい、男さん」
男「あぁ、ただいま」
男(家に誰かが待っててくれるっていいもんだな)
男(この子を、ちゃんと守っていかなきゃな)
女「………?」
男「うりゃー!」ギュー
女「……ぅぎゃー」
女「……男さんお酒臭いです」
男「そりゃ飲み会してきましたからね! ラインみた?」
女「あ、寝ちゃってて…… ごめんなさい気が付かなくて」
男「ふーん? あ、オムライス…」
女「……あぁ、しょうがないですね」
女「でも今日はオムライス作るって約束してたのに、飲みに行っちゃうなんてひどいです」
男「あぁ、ごめんねー?」
女「……傷つきました」
男「ご、ごめんってば」
女「ふふ、なーんちゃって。嘘ですよ?」
男「分かってるよそんなの。 女の口笑ってたよ」
女「……あはは、バレちゃってました?」
女「……でも、不安でしたよ」
男「え?」
女「……男さんは私の事どう思ってるんだろうって」
男「どうって…」
女「男さんが言ってた、守るってどういう意味なんだろう、とか」
女「……お、男さんは…… 私の事……、好き、なのかな、とか」
女「……どう、ですか?」
男「…………」
女「……んっ」
女「…んん…! ぷはぁ」
男「こういうこと」
女「……い、いきなりキスされるなんて思いませんでした」
男「俺は…好きだよ」
女「……ほんとに?」
男「あぁ」
女「……ほんとにほんとですか?」
男「本当に」
女「……じゃあもう1回キスしてください」
男「…………」
女「……んっ」
女「……はぁ…」
男「女、顔真っ赤」
女「だって……うれしくて」
男「かわいいな女」
女「……~~! 男さんだって顔真っ赤ですよ?」
男「俺は酒のせいだよ」
女「……お酒呑んでるからキスしたんですか?」ジー
男「違うって。 本心からそうしたいと思ったんだよ」
女「………えい」チュ
男「………!」
女「……お返しです」
男「意外と大胆だね女」
女「だ、だめですか」
男「いいや? うれしいよ?」
女「……ならよかったです」
女「……ぎゅってしてください」
男「うん」
女「……幸せです」
男「……ん」
女「……どうしたんですか?」
男「なにが?」
女「……元気ないなと思って」
男「そう?」
女「……なに考えてたんですか?」
男「…………」
女「……ぽんぽん」ナデナデ
男「10も年下の子に子供扱いされるとは思わなかったよ」
女「……ふふ、男さん子供っぽいですから」
男「あのね、なんか隠しておくのも嫌だから言っていい?」
女「……はい」
男「俺ね、1年前まで彼女いたのね。 結婚しようかなって考えてた子が」
男「彼女は俺の2つ年下で、あっちが仕事に慣れてきて余裕が出来たら、結婚しようと思ってたのよ」
男「んで、まぁお金貯めたり色々準備もしてたんだけどさ」
男「仕事終わりに、ちょっと一緒に飲んで帰ってる途中にさ…… 飲酒運転の車が突っ込んできてさ」
男「彼女だけ、跳ね飛ばしたのよ」
男「撥ねたなんて次元じゃなくて、文字通りひき潰したって感じ……」
男「そっからのことはよく覚えてないんだけどさ、今でも覚えてるのは、繋いでた手が強烈な力で引き離されたって感覚」
女「……っ!」
男「女々しいけどさー… 一年たっても忘れられなくって」
男「そのことが脳裏をかすめて、女とちゃんと向き合えてなかったと思う」
男「だから、ごめんね?」
女「…………」フルフル
女「……話してくれて、ありがとうございます」
女「……私はきっとその人の代わりにはなれないけど」
女「……でもそのつらい思い出をはんぶんこできたらなって」
女「……男さんとこれからは私が手を繋いで離さないでいますから」
男「うん、ありがと」
女「……だから今日は、手を繋いで寝てたいです」
男「……一緒に?」
女「……はい」
男「はは、分かった」
…………………………
女「……ねぇ男さん?」
男「ん?」
女「……私、男さんのこともっともっと知りたいです」
男「どしたの急に」
女「楽しかった出来事、悲しかった出来事」
女「いつものにこにこ笑顔、ちょっと怒った顔、かわいい寝顔、映画でちょっと泣いちゃったところ」
女「これからいっぱいいっぱい知りたいんです」
男「そうだね」
女「だから…これからは……」
女「……か、彼女として! よろしくお願いします!」
男「あはは、こちらこそよろしくお願いします」
女「……ふふ、男さん」
男「んー?」
女「大好き」
今日は終わりにします
男「…………」
女「……zzz」
男「……おはよう女」ナデナデ
女「………ん…」
女「……ぁ、男さん」
男「おはよう女」
女「……おはようございません」
男「え?」
女「あと5分……ぎゅってしててください」
男「はいよ」
男「…………」
男「あ、そうだ」
カシャッ
男「寝顔ゲット」
女「…………」
女「……男さん」
男「あ、起きちゃった?」
女「……写真消してください」
男「えー? やだ」
女「消してください。 女子の無防備な寝顔撮るなんて最低です」
男「あれー? 嫌いになっちゃった?」
女「……ずるいですよそれ。 大好きですけど」
男「えー? ごめん聞こえないからもう1回」
女「……うそつき。 大好きですよ、男さん」ギュー
男「俺も大好きだよ。 だから写真撮りたくなっちゃった」
女「……今日だけですよ?」
男「あーやばい、幸せ」
女「私は恥ずかしくて目がさめちゃいました…」
男「じゃあいってきまーす」
女「……いってらっしゃい」
男「え、なんか怒ってる?」
女「……違います。 寂しいんです」
男「そっか、よしよし」
女「ん…… いってらっしゃい男さん」ギュ
男「ありがと、元気出るわ」
女「あ、あの……キス、してもいいですか?」
男「もちろん」
女「じゃあ…… ん…」
男「いってらっしゃいのキスまでされたんじゃ今日は頑張るしかねえな!」
女「……早く帰ってきてくださいね?」
男「おうよ、女に会うために速攻で帰ってくるよ」
女「……もう1回だけ、キスしてもいいですか」
男「いくらでもいいよ」
女「……じゃあこのまま夜まで」
男「仕事がこれほど恨めしいと思ったことないわ」
女「……しゃべっちゃだめ」チュー
……………………
………………
…………
……
男「らん、らん、らんらんるー♪」
ガチャッ
男「たっだいまー!!」
女「あ、おかえりなさい」トコトコ
男「帰ったぞよ愛しの女さんや!」
女「……えい」ギュ
男「おぉっ! 大胆だね!」
女「……待ちくたびれちゃいました」
女「……おかえりなさい男さん」スリスリ
男「約束通りすぐに帰ってきたよ」
女「……男さん成分充電」
男「なんかエロいなそれ」
女「……え、エロくなんかないですよ」
男「かわいいやつめー」ナデナデ
女「……男さんは寂しくなかったんですか」
男「寂しくなったら写メみてたからね」
女「……恥ずかしいです」
男「あー、今日もまじ疲れた」
女「……お疲れ様でした」
男「癒してー女ぁ」ガバッ
女「………!」
女「……よ、よしよし」
女(ドキドキしてるのバレちゃうかな…)
男「あー……癒されるわー」
女「……んっ」
男「え?」
女「……すりすりしないでください… くすぐったいです」
男「そう言われると余計したくなる」
女「……あっ、だめ…!」
男「なにこれエロい、やばい」
女「……! 男さんのバカ」
男「女の弱点発見」
女「お疲れの彼氏さん、肩をお揉みしましょうか?」
男「いいサービスだな」
女「……んー。 ちょっと座ってください、手がうまく届かないです」
男「はいはい」
女「……もみもみ」
男「あーもっと強くていいよ」
女「……手が痛くなっちゃいます」
男「貧弱か……」
女「…………」
女「……えいっ」グリッ
男「あああああいってええええ!!」
女「……ふんぬっ」
男「いたたたたたたたごめんなさい! 貧弱とか言ってごめんなさい!」
女「……男さんっていつも休みの日何してたんですか」
男「テレビ見て昼寝してまたテレビ見ておしまい」
男「仕事終わりはね、テレビ見て寝ておしまい」
女「……とてもテレビがお好きなんですね」
男「テレビ見すぎてさんまさんのモノマネまでうまくなったよ」
女「……すごいいらない特技です」
男「だってさ、一人暮らししてるとテレビ見るくらいしかやることないんだよ」
女「……じゃあ」
女「……今日からはテレビじゃなくて私の事たくさん見てください」
男「お、おう」
女「……は、恥ずかしいこと言っちゃいました」
男「女ってさ、結構大胆だよね」
男「そんで自爆するタイプ」
女「……なんのことかよく分からないです」
男「そんな女が大好きなんだけどね」
女「……男さんはいつもずるいです」
女「……わ、私も……だいすき、です」
男「はい死んだー俺死んだー」
女「……ふぉぉ」
男「なに!? どっから出たのそんな声!?」
女「……ベストポジション発見です」
男「すっぽりハマったね」
女「……男さんの足の間、素敵です」
男「驚きのフィット感」
女「……背中暖かいです」
女「……ってなにするんですか!」
男「女の頭がちょうど俺の顎の下に来るんだもん」
女「……重いです」
男「女の髪は本当にいつもいい匂いするわー」スンスン
女「ひゃぁ~……」
女「んちゅ……あっ……」
男「どした?」
女「……ほっぺに手を添えられながらキスされるの、憧れてました」
男「ドキドキした?」
女「……はい」
男「かわえぇー」
女「…………」フイッ
男(あ、そういえば目の前に手を差し出して、それに目を落としたらMで、見上げてきたらSって聞いたことあるな)
男(ちょっとやってみるか)
男「ねぇ、女」スッ
女「………?」
女「…………」
女「…………」パク
男「……!?」
男(なにこれ、ドMとかなの!?)
同女「はぁ!? まだしてないの!?」
女「……う、うん」
女「いっぱい、キスとか抱きしめてくれるけど…手は出されない」
同女「彼氏、枯れてんじゃね」
女「……うーん」
友女「えーでも誠実で良くないかなー?」
同女「いやいや男なんてガッときてなんぼだろ」
友女「もちろん、エッチも大切だと思うけどね!」
女「う、うん……」
友女「私の彼氏なんかいつもエッチばっかりで嫌になっちゃうよー? もう本当にそればっか」
「てめぇが誘ってんだろ」スッ
友女「…………」
同女「あ? なんだ今の」
女「……感じ悪い」
友女「あはは、気にしないでー? なんかね、今の子、私の彼氏のこと好きだったらしくて」
友女「胸で誘ったんだろーとか、寝とったんだろーとかあることないこと言われちゃってね」
女「…………」
同女「はぁ? なにそれ? そんなんだから嫌われるんだっつうの」
友女「うん! だから気にしてないよー? ごめんね2人とも変な空気にしちゃって」
女「…………」
女(恋愛には友女みたいないざこざが起きることもあるんだ)
女(うーん……私と男さんとは大丈夫かな?)
「っていうか友女、マジでむかつくんだけど」
「本当それな? 誰とでもヘラヘラしててさ、くぞうざい」
「ああやってヘラヘラして男に近づいてあのスイカおっぱいで誘惑してんだろ? マジうざい」
「あーそれであんたの彼氏取られたんだもんね」
「あーほんときもい。 牛女」
女「…………」スタスタ
「あ、あんた牛女のつるんでる奴じゃん」
女「……そうですけど。 なんですか」
「あんたも気をつけたら? あいつぶりっ子してるけど、本当はただの性悪女だから」
「胸みせびらかしてんじゃねえよって言っておいて」
女「……はぁ」
女「そういうことしか言えないの?」
「はぁ?」
女「人をそうやって罵ってばかりで楽しいですか?」
「なに、あんた何様?」
女「……いえ、あなたが一人でギャーギャー喚くのは勝手ですけど、それを私たちに聞こえるところで言うのはやめて下さい」
女「……不愉快です」
「……っ!!」パシン
女「………気が晴れましたか?」
「なんなのこいつ! マジ意味わかんない! もういこ!?」
「うわー……いたそ、あはは」
女「…………」
女(そんなにあることないこと言って何がおもしろいのかな)
女(ほっぺ痛い……)
友女「ど、どうしたの女ちゃん!?」
女「……転んだ」
同女「転んでそんなとこに傷できるかよ」
同女(微妙にひっかかれたような傷がある…?)
友女「痛そう……絆創膏あるから貼ってあげるねー?」ペタッ
女「……ありがとう」
友女「はい、これで大丈夫だよー」
友女「女ちゃん気をつけなきゃダメだよ?」
女「うん…気をつけるね」
友女「でさー! 今日よかったらお茶しに行こうよー」
同女「お、いいねーそれ」
女(……友女は優しい。 さっきの人が言ってたのはただの出任せ)
女(なんであんなこと言えるんだろう……本当に不思議)
男「たっだいまー」
女「……おかえりなさい」
男「おー! 今日はエプロン姿でお出迎え! 新婚さんみたいでテンションあがるね!」
男「で、その顔の傷はどうしたの?」
女「……それは、後で話しますね」
男「うん、待ってるわ」
女「…………」
男「そんな暗い顔しちゃうことなのね?」
女「……はい」
男「よしよし」ギュ
女「……もう少しこうしてていいですか」
男「もちろん」
………………………………
女「…って言うことがあって」
男「女子って怖いな」
女「……なんで人をそんな平気で傷つけられるんでしょうか」
男「なんでかな」
女「……そんな事言ったら嫌な気分になるって分かってるし、自分だって嫌な気分になっちゃうのに」
男「少なくともそれに気付けるのは女が人の痛みを知ってる優しい人だからじゃない?」
男「傷つけられる痛みを知ってるから、辛い気持ちを分かってあげられるんだと思う。 それにそんなことが無意味だってことも分かるんだよ」
女「……私は友女さんに何がしてあげられるんでしょうか」
男「その子はなにかして欲しいと思ってるのかっていうところだよ? もし何も望んでないならことを荒げないで、支えてあげるのがいいかもね」
女「……それしかないんでしょうか」
男「もちろん、何かあったら助けてあげるんだよ?」
女「……はい」
男「落ち込むことがあったら俺に全部はなしな?」ナデナデ
男「そしたら100倍慰めてあげるから」
女「……はい」ギュ
……………………
………………
…………
……
同女「またお菓子食べてんの?」
友女「えへへーだっておいしいよー!」
友女「同女ちゃんも食べる?」
同女「私、太りやすいからダメ」
友女「えー? じゃあ女ちゃん、あーん」
女「あ、あーん」
友女「ひゃー女ちゃんかわいいー!」
女「…………」モグモグ
女(友女さんの方が可愛いと思うけど…)
同女「女も最初はパッとしない地味子だったのに、彼氏出来た途端どんどん綺麗になってな、ずるいわ」
友女「ねー! 女ちゃん本当にかわいい、お人形さんだよー」
女「……そんなことない。 友女の方が可愛いと思う」
友女「えーそんなことないよー」
友女「ストレス抱えてないだけだよー? 私バカだからさ」
同女「お菓子食えば可愛くなるのか? あぁ?」
友女「こ、こわいよ同女ちゃん」
同女「お菓子のカロリーは全部ここにいくのか! くそ!」
友女「きゃぁ! ちょっとーどこ触ってるの同女ちゃん!」
女(……か、過激だ)
友女「でねー、そのまま流れでねー」
同女「エッチするなんてそんなもんだよね。 特別なんかあるわけじゃなくって」
友女「そうそうイチャイチャしてたら自然とね」
女「……うーん」
同女「だから女カップルは不思議なんだよね」
同女「一緒に住んでもう結構経つじゃん? なのにエッチしてないって」
友女「イチャイチャはよくしてるみたいなのにねー?」
女「……魅力がないのかな」
同女「そんなことないでしょ」
友女「そうだよー! 女ちゃんすごい、かわいいもん! 大切にされてるんだねー羨ましい!」
同女「大切にされすぎて本人は悩んでるらしいけどな」
女「……はやくしたいってわけじゃないけど、たまに不安になる」
友女「だよねー。 ちょっと女ちゃんの気持ちわかるなー」
同女「分からん。 私なら自分から行くし」
友女「もー! 同女ちゃんじゃないんだからー!」
「もー だってよ。 さすが牛女」
「ああやって男をたぶらかしてんのね、死ねよ」
友女「あはは……また言われちゃった」
同女「あぁ? あいつら喧嘩売ってんのか」
女「……友女」
友女「んー? 大丈夫だよ、気にしてないからね、あはは……」
女「優しい友女が傷ついてないはずがない」ギュ
女「私には強がらなくていいよ?」ナデナデ
友女「女ちゃん……ぐすっ…」
同女「おいおい私も忘れんなよ?」
友女「同女ちゃぁーん! 2人とも大好きだよぅ」
友女「前少し話したじゃん?」
友女「今の彼氏と普通に仲良くなって普通に付き合ったんだけどね」
友女「彼氏に片思いしてた子がさっきのさ、あの子で」
友女「なんかああやってわざと聞こえるように言ってきたり」
友女「ヤリマンだとか、寝取ったとかあることないこと言いふらしてるみたい」
同女「ウザいなーしめるか」
友女「ダメだよ、そんなことしたら!」
友女「私はあの人たちと一緒のレベルなことしたくないんだ」
女「……友女」
友女「あの人たちには何言われても平気だよ。 だって私には二人がついてるもん」
同女「当たり前だろ、友達なんだから」
友女「えへへ嬉しいなー。 でもやっぱり彼氏と会うとその事思い出しちゃってね」
友女「彼氏にはこんなこと言えないし……」
女「……友女は優しくて強いね」
同女「本当だな。 私には無理だわ」
友女「強くなんかないって。 見て見ぬ振りして強がってるだけだもん」
友女「もちろん、そんなことでへこたれるつもりはないからね」
女「……すごい、尊敬する」
友女「えへへ、もうこの話おしまい! ポッキーたべよ!」
同女「まだ食うのかよ!」
……………………
………………
…………
……
友女「あ……」
「あ、牛女じゃん」
「ようヤリマンアパズレ女」
友女「…………」
「無視かよ」
「あーそういえばさーあんたがつるんでた女ってやつなんなの?」
友女「え…?」
「なんかいきなり突っかかってきたんだけど」
「まぁぶっ叩いたら黙ったけどさ」
友女「女ちゃんを叩いた…?」
「あんたもたいがいウザいけど、あいつもマジでむかつくね」
「最近色気づいて調子乗ってるし」
友女「待って! それどういうこと!?」
「なんだよ触んなうざい」
友女「女ちゃんを叩いたってどういうこと!」
「そのまんまの意味だよ、あいつの頬の傷は私がやったもの」
「なんかあんたの話してたら、いきなり突っかかってきてさー?」
「あんまりにもウザかったからビンタしてやったの」
友女「女ちゃんが……」
「あんたが笑いながら、絆創膏を貼ってた傷はあんたのせいでつけられたんだよ」
「気をつけなきゃダメだよーとか笑える。 あんたを庇ってくれた子に向かって何言ってんの? 本当にひどいやつだねお前」
友女「……女ちゃん」
女「……呼んだ?」
友女「……へ」
女「友女、泣いてるの?」
友女「……え」ポロ
女「……いい加減にしてもらえませんか」
「はぁ?」
女「友女さんが嫌がってるんです」
友女「お、女……あんまり刺激しないほうが……」
「はーまた説教? いい加減にして欲しいんだけど」
女「いい加減にして欲しいのはこっちです」
友女「お、女ちゃん…もういいって」
「あんたさー、また痛い目みたいわけ?」
女「それで気が済むならどうぞ」
「本当ムカつく…!」
「ちょ、ちょっとやめなって」
「なに!?」
「周り、人集まってきてるよ」
「え……」
友女「……あ、あのね! 私、あなたに謝らなきゃって思ってたの」
「はぁ?」
友女「あなたが……彼のこと好きだなんて知らなかったの」
友女「あなたには……辛い思いをさせちゃったんだと思う」
友女「でも、彼は……私の彼氏だから! 私だって彼のこと大好きだから!」
友女「その気持ちは、あなたに負ける気は無いから」
「……意味わかんない」
「もういこうって。 騒ぎ大きくなっちゃうよ」
「……ふん」
同女「待ちなって」スッ
「なに、あんたもいたの」
同女「お前らさー言いたいこと好き放題言っておいてそれだけってないでしょ」
「……はー、分かったよもうあんたらめんどくさすぎ」
「悪かったよ。 もうあんたらには付き纏わない」
「はい、これでいい?」
友女「うん……」
「じゃ、もういくから。 あーもうウザい」
友女「…………」
女「……大丈夫?」
友女「うん、ありがとね女ちゃん。 それと、ごめんね」
女「……ん?」
友女「私のせいで巻き込んじゃって、ごめんね?」
女「……私のことはいいの」
友女「……うん、ありがと」
同女「よく頑張ったじゃん、友女」
友女「ううん、私なんもしてないよ。 女ちゃんと同女ちゃんが助けてくれたの」
友女「本当に……本当にありがとうね」ポロ
女「……当然じゃないですか。 友達なんですから」
同女「そうだぞ? 今更何言ってんのさ」
友女「うぇーん2人ともやっぱり大大大好きだよー!」
……………………
………………
…………
……
男「で、無事に解決したわけね」
女「……はい」
男「よく頑張ったね」
女「……帰りに3人でお揃いのストラップ買ったんです」
女「……友情の証、です」
男「あー俺だってまだ女とお揃いのものあげてないのに!」
女「……くれるんですか?」
男「そりゃーいつかはねー でも何がいいかなーってさ」
女「……男さんとなら何でもうれしいです」
女「……楽しみにしていいんですよね」
男「今度、2人で選びにいこっか」
女「……はい」
男「なんで恥ずかしがってんのー? ねぇねぇ」
女「……恥ずかしくなんかないです」
男「じゃあこっち向いてよ」
女「…………」
男「女のほっぺむにむに」
女「……はなひて、ふははい」
男「なんて言ってるのかわかんねー」
女「……あむあむ」パクパク
男「……金魚みたいだ」
女「……ひどい」
男「っていうかお揃いのストラップとか若いわー」
男「そんなキャピキャピしてるやつ周りいないもん」
女「……私も初めてですよ、お揃いのものなんて」
男「はー……なんか歳の差感じちゃったよねー。 さすがに10も離れてると、若さについていけない」
女「……? 10じゃないですよ?」
男「へ?」
女「……私、今日で17歳になりました」
男「……は?」
男「はぁぁぁぁぁぁあああああ!?」
男「は、えっ? 女今日誕生日なの?」
女「……えっ? あ、はい」
男「聞いてないよ!? なんでそんな大事なこと黙ってたの!?」
女「……そんな重要なこと、でしょうか」
男「えぇ…… いやいやいや」
男「マジかよなんも用意してないぞ」
女「……私には男さんがいてくれるだけでいいです」
男「いやそうは言ってもさ、今日は女にとって特別な日なんだよ!?」
女「……特別な、日」
男「1年に1回しかない大切な日でしょ?」
男「それは女にとっても、もちろん俺にとっても大切な日なの」
男「あーでもなぁ…こんな時間じゃもうどこもやってねえぞ……?」
女「じゃ、じゃあ!」
男「ん?」
女「……今日は、特別だって思えるくらい…… 沢山、たくさん好きって思わせてください」
男「……え?」
男「……それってどういう?」
女「……ぁ…えっと……変な、意味じゃなくて」
女「……私は、いつも男さんに好きって言われて、とっても幸せなので… だから…」
女「……今日はもっと好きって言ってもらえたら……もっと幸せになれるから……」
女(い、今のって…… エッチしたいって言ったと思われちゃったかな)
女(へ、変な子って、思われちゃう…かな」
男「なんだそれ……可愛すぎ」
男「好き」
女「私も、好きです」
男「大好き」
女「……私だって負けてません」
男「優しくて、可愛くて、暖かい女が好き」
女「……いつも笑っててくれて、頑張り屋さんな男さんが好きです」
女「んっ…」
女「んんーーっ」
女(な、ながい…!)
女「……ぷはぁ」
男「かわいいよ」
女「……そ、そんなまっすぐ見てないでください」
男「どうして?」
女「ドキドキ、しちゃうから……」
女「んんっ…!」
男「今でもこうやってキスしたらドキドキしてくれる?」
女「……い、いつも…… 心臓がおかしくなっちゃうんじゃないかってくらい……」
女「……好きって気持ちがあふれ出してきて… でもその気持ちを抱えきれなくて」
女「だから、いつも私からキスしたくなっちゃって……」
男「うわー…… うれしいんだけどマジで」
女「………っ」
男「いい匂い」ギュ
女「……く、くさくないですか」
男「ぷっ! なにそれ」
男「いつも女はいい匂いがする。 この首んとこ」
女「ひゃっ…!」
男「…………」ギュッ
女(でも、その人の匂いって分かる気がする)
女(これが、男さんの匂い…… 落ち着く、暖かい匂い)
女「(……大好きな人の匂い)ギュッ
…………………………
男「……怖くない?」
女「……大丈夫、うれしい」
女(初めて触った、男さんの体)
女(熱くて、ちょっと逞しくて、さっきより感じる男さんの匂い)
女(手を伸ばしたら腕を回せて、目が合う)
女「……男さん余裕そうです」
男「んなことないって…… 緊張で汗噴き出しそう」
男「なによりさ、女を傷つけたくないから」
女「……男さんは優しいの、もう知ってます。 だから、大丈夫」
女「……初めてが男さんみたいな人で本当によかった」
男「女……」ギュ
女(肌を通じて感じる体温が体に染み込んでくる)
女(ふわふわした感情が止まらない)
女(なんでだろう…… 悲しくなんかないのに……涙が出てくる)
男「女…?」
女「……男?」
男「うん?」
女「……男、好きになってくれてありがとう…っ」
女「……私は…っ! 男に愛してもらえてすごく幸せです…!」
女「好き…っ 大好きだよ…これからも…」
男「……うん、俺も好き。 これからも、ずっとずっと」
女(泣けてくるくらい、男に好きって言われてうれしかった)
女(きっと、男も私と同じ気持ちになってくれたんだと思う)
女(だから、今日は私にできる最大限の好きを、伝えてみるつもり)
今日は終わりにします
女「…………」
男「あ、あの女さん?」
女「……っ」プイッ
男「な、なんでそんなに怒ってらっしゃるんですか?」
女「……自分の胸に手を当てて考えてください」
男「……ん、んー?」
女「……男さん、さっき傷つけたくないって。 優しくするって言ってくれました」
男「う、うん。 優しくしたつもりだけど」
女「……最初だけでした」
男「え?」
女「……最後は、もうダメって言ってるのに、ずっとずっといじめられました」
男「え、だって……それって盛り上げるためのお約束じゃ」
女「…………」プー
男「女も気持ちよさそうにしてたじゃん!」
女「……んなっ…!」
女「な、何回もイってるのに構わずされ続けたら苦しいですよ」
男「悪かったよーごめんね?」
女「……反省してますか」
男「してるしてる」
女「……なら、仕方ないから許してあげます」チラ
男「……女の感じてる顔、可愛かったよ」
女「……もう男さんとは今日口聞きません」プイッ
男「ねぇ、エッチの時呼び捨てにしてくれたよね? なんでまたさん付けに戻っちゃったの?」
女「……わ、忘れてください!」
……………………
………………
…………
……
男「…zzz……zzz……」
女「……おはようございます男さん」
女「……あ、まだ服着てなかったんだ」
女(ほ、本当に昨日しちゃったんだ…)
女(男の初めて見る顔と声色)
女(初めて触れた体…)
女(私も全部を曝け出して、それを受け入れてくれた男)
女(最中は何も考えられなくなるくらい、頭も身体も揺さぶられて、感じる男の声と体温)
女(すごく幸せで、気持ちよくて……愛し合えてるんだって実感があった)
女(……でもやっぱり、恥ずかしい)
女「……男」
女「ありがとうございます。 本当に、本当に大好きです」チュ
男「…………」ニヤニヤ
女「……はっ! 男さん、起きてたんですか?」
男「ね、もう1回! もう1回言って?」
女「い、意地悪は嫌いです……」
男「あれ、嫌いになっちゃった?」
女「うー……大好きですよ…もう……」カァ
男「あまーーーーい!」
……………………
………………
…………
……
同女「ついにやったか!!」
友女「えー! おめでとう女ちゃん!」
女「あ、ありがとう、なのかな?」
同女「で、どうだったよ初体験は?」
女「え、えっと……なんて言えばいいのかな……?」
友女「優しくしてくれた?」
女「うん…… 私が求めたら…すごく優しくしてくれて……」
同女「女から求めたのか!!?」
女「え、あーうん、そういうことになるのかな」
友女「ひゃー! 女ちゃんだいたーん!」
同女「やるじゃん!」
女「……いっぱい愛し合えたって実感出来て、よかった…かな」
友女「うわわわ! 聞いてるこっちが恥ずかしいねー」
同女「初めてが優しい人でよかったな、女」
女「うん…! 初めての人が男でよかった」
女「……最初で最後だと、いいな」
友女「お、女ちゃん…! 純愛だねぇー」
同女「そこのクラスの男子たちが泣いてるぞ」
女「え?」
…………………………
同女「これから遊び行こっか」
友女「いいねー! あ、駅前に新しく出来たカフェいきたい!」
同女「あーあそこね、いいんじゃん?」
女「うん、私も行く」
同女「当たり前だろー? 今日の主役は女なんだから」
友女「あんな話やこんな話聞いちゃおー」
女「……うん」
同女「気をつけろよー? 友女は下ネタばっかだからな?」
女「……ほどほどに」
友女「同女ちゃんだっていつもノリノリでディープな話してくるくせに!」
女「ふふ」
同女「よーし、じゃあ今日は女のロストヴァージン記念に奢ってあげる」
友女「えーずるいよー私も!」
同女「いつも奢ってんだろ? たまには自分で出せ」
友女「えへへ、そうだっけ」
女(あぁ、なんかいいなー、こういうの)
女(本当に友達なんだって感じがする)
女(いつもお姉さんみたいな同女)
女(明るくてかわいい友女)
女(本当に、この2人も……大好きな、大切な人たち)
女「同女…」ニギ
同女「うん?」
女「友女…」ニギ
友女「えへへ」
女「…いこ!」
…………………………
同女「ってもうこんな時間じゃんか」
友女「夢中になってて気が付かなかったよー」
女「……あ、男に連絡してない」
同女「大変だねぇ同居生活ってのも」
女「……あ、今から迎えに来てくれるって」
友女「えーなにそれ優しいー! 私の彼氏もそれくらいしてくれないかなーあーあー」
同女「ってか女の彼氏来るのか! ちょっと見てこうぜ」
友女「いいねぇ!」
女「うぇぇ…? 別にいいけど……」
友女「てかさ! なんなら一緒に話しようよ!」
同女「いいねぇ! ちょっと彼氏にあんなことやこんなこと聞いてみようぜ?」
女「えぇ、うーん…… 男に聞いてみるね?」
女「…………」
女「いいって」
友女「やった!」
同女「やりぃー」
友女「噂の男さん、楽しみー」
同女「話聞くからに熱々だもんな」
女「……なんかドキドキしてきちゃうね」
同女「早く会いたくてか?」
女「それもあるけど…… 私の素敵な友達を男に紹介できるから嬉しくて」
友女「えへへ、嬉しいなーなんか」
同女「へへ、照れるじゃんよ」
…………………………
女「あ、男だ」
男「ちわーす」
同女「おー、背が高い!」
友女「写真で見るよりかっこいいねぇ女ちゃん!」
女「……う、うん。 そうでしょ」
男「お? ねぇ女、俺かっこいい?」
女「……かっこいいです」
男「いぇーい」
女「……ごほん。 じゃあ紹介するね」
女「……こちらが…か、彼氏の男さんです」
男「どーもー。 いつも女がお世話になってます」
女「こちらが友女と、同女」
友女「こんばんはー!」
同女「はじめまして」
友女「ねぇ、男さん本当にかっこいいね! 2人ともお似合いだよー」
男「ほんと? ありがとね友女ちゃん」
男「ねぇ、俺らお似合いだって」
女「……ち、近いです」
男「えー、なんで逃げんのー?」
女「は、恥ずかしいからですよ分かってるくせに」
男「あはは、かわいいしょうちの彼女」
友女「うわぁー、女ちゃん顔真っ赤!」
同女「手玉にとられてるな」
女「……~~っ!」
男「ねぇねぇ、学校での女の様子ってどんな感じなの?」
同女「どうって?」
男「二人の話はよくしてくるけど、自分の話はあんまりしないからさーよく分かんないんだよね」
友女「あー! それなら口を開けば男さんのことばっかりですよ!」
同女「付き合い出してからすごく女綺麗になったじゃん? それから男子達の中で女の人気が急上昇」
友女「でもねー女はいつも彼氏ラブな感じだから男子達は勝負の土俵にすら立てないっていうね」
男「へぇー? 女は俺のことラブなんだ?」
女「……ち、違います!」
男「違うの?」
女「……違わないですけど」
男「本当はどっち?」ムニ
女「……うー」ムニムニ
女「………………」ムニムニ
女「……ラブです」ムニムニムニ
男「よく言えました」ムニムニ
女「……ほっぺむにむにするのやめてください」
男「えー気持ちいいからなー」
女「……はぁ。 もう好きにしてくだはい」パクパク
友女「うわぁー」
同女「本当にラブラブなんだな」
女「……恥ずかしいですよ」カァ
同女「で、男さんは女のどこが好きなの?」
男「そんなのシラフじゃ言えないよー」
友女「えーずるいー!」
男「大人になるとね、酒の力を借りないと言えないことも多くなるのよ」
同女「知らねーってそんなの」
友女「女ちゃんも聞きたいよね?」
女「……はい」
男「えぇー……」
女「言ってくれないんですか?」
男「うっ……」
友女「いいぞー女ちゃん! もっといけー!」
同女「諦めなよ、言わなきゃダメだよこの流れ」
男「仕方ないな」
女「……!」ドキッ
男「まぁー色々あるけどさー」
男「まずは頑張り屋さんなところだろ? 人に優しいところ、ツンデレと見せかけてデレデレなとこ」
男「好きになった人にはとことん大好きでいるとこ、まっすぐな瞳、綺麗な髪、いい匂いのするとこ」
女「…………」
男「泣き虫なとこ、家事が上手なとこ、毎日ご飯作ってくれて待ってくれてるとこ、いつも俺に触れてないと気が済まないとこ」
女「…………」カァ
男「ま、全部ってことかな!」
女「……~~っ///」
友女「おわー! 愛されてるねぇいいなー羨ましいよ女ちゃん」
同女「本人は茹でダコみたいに赤くなってるけどな」
男「あと昨日知ったのは胸元にほくろがあるのと、感度が良くてすぐイッちゃうとこかな」
女「……っ!? ばか!」ポコスカ
友女「うわわわ! なんかリアルだよぉ」
男「じゃあ女は?」
女「……なんですか」
男「俺の好きなところ」
女「……冗談言うところ以外の全部です」
男「えー分かんない」
友女「女ちゃん、これは普段言えないことを言えるチャンスだよ!」
同女「今自分の好きなところ言ってもらっただろ? 自分だけ言わないなんて卑怯だぞ」
女「……むー」チラ
男「ん?」
女「……全部好きなんですよ本当に。 嫌いなところなんてないです」
女「普段はふざけてるのにちゃんと優しくていつも私のこと分かっててくれてて」
女「私の知らない世界を沢山見せてくれて、でも私のペースに合わせてくれて」
女「私に辛い時があれば、たくさん慰めてくれて、笑わせてくれて大丈夫って抱きしめてくれて」
女「どんなにお仕事で疲れてても私のことを第一にしてくれて、沢山の愛を教えてくれて」
女「私をひとりの女として扱ってくれて、愛してくれて……」
女「大好きなところなんて数えきれません。 でも嫌いなところなんて見つからないです。 だからきっと全部好きなんです」
男「おおう……嬉しいよ」
友女「なんか感動しちゃったよ! 愛が深いよ同女ちゃーん!」
同女「好きなところっていうかこれまでの感謝みたいだったな」
女「……はい… いっぱい、いっぱい好きです。 大好きです」
男「うん、ありがとう」ナデナデ
女「……はい」
女「……優しく頭を撫でてくれるのも、大好きです」
友女「そういえばさ、気になったんだけど」
女「……うん?」
友女「女ちゃんは男さんと話をする時は敬語なんだね!」
同女「あーそれ思った。 恋人同士なのに敬語ってなんか違和感ある」
女「……そうですか? これが普通になってしまいました」
男「でも昨日は初めて名前で呼んでくれたよ。 またさん付けに戻っちゃったけど」
女「……私だって頑張ってるんです」
男「いつでも呼び捨ててウェルカムだよ!!」
女「…………」
男「ほらほら!」
女「……男」
女「…………」
女「……さん」
男「惜しい! 惜しいよ!」
友女「でもーこれはこれでいいよね! 年の差って感じがして」
友女「女ちゃんのあどけなさと男さんの大人の余裕が感じられるじゃん!」
同女「そう? 私は年上でもタメ口だから、よく分かんないわ」
友女「同女ちゃんと女ちゃんは違うよー」
男「ま、いつかはタメ口で話してくれるのを楽しみにしてるわ」
男「でも敬語の女も好きだから悩むなぁー!!」
女「……そこそんなに重要ですかね」
…………………………
…………………………
友女「ごちそうさまでしたー!」
同女「じゃあまた今度ねー」
男「2人とも気をつけて帰るんだよ」
女「また明日」
同女「じゃあなー」
友女「うわぁー! 男さんバイク! かっこいいー!」
男「かっこいいのはバイクだけだよ。 じゃあねー」
女「ばいばい」ギュ
友女「ばいばーい」
同女「うーす」
友女「…………」
同女「…………」
友女「なんていうかすごいハイスペック彼氏だったね」
同女「顔よし声よし性格よし」
友女「女ちゃんとお似合いだよーいいなぁー本当羨ましくてヨダレでちゃう」
同女「い、意味わかんねえよ」
男「ただいまー」
女「……ただいまです」
男「二人で一緒にただいまってなんか変だね」
女「……じゃあ、おかえりなさい男さん」
男「女もおかえり」
男「ってこれじゃなんも変わらないじゃん!」
女「変でも別にいいじゃないですか。 一緒ってだけで…… なんか嬉しいです」
男「それもそだね」
男「でさ、女」
女「はい?」
男「さっきの俺の好きなところって、本当?」
女「……本当ですよ」
男「俺、嬉しくて舞い上がっちゃってるんだけど」
女「………?」
女「わわっ!」ヒョイ
男「あはは、女軽いなー」
女「……この歳でお姫様抱っこされるなんて思いませんでした」
男「女姫か……似合ってるじゃん」
女「男さんだけのお姫様ですよ」
男「…………」
男「よっ」
女「わっ!」ポフッ
男「今日もいい?」
女「私も、したいと思ってました」
男「本当に?」
女「だって、あんな嬉しいこと沢山言われちゃったら……もう幸せで」
女「昨日のことも思い出しちゃって……ムラムラしてしまって……その……」
女「お、男さんのせいでエッチな子になっちゃいました」
男「なんだよそれ……嬉しすぎんだけど。 女は俺と一緒の気持ちでいたってことでいいんだよね」
女「男さんが私を求めてくれるなら……」
男「女も、俺の愛を受け止めてよ?」
女「はい……いっぱい触れて、抱きしめて、キスしてください」
女「私の中も外も男さんでいっぱいにして…… 私の全部は男さんのものなんだって思わせてください」
男「あぁ。 女はもう俺のものだ。 しっかり分からせてあげるからな」
女「男…… んっ…!」
女「……いっぱい……気持ちよくしてくださいね」
今日は終わります
女「あぁ、待って、だめっ!」
女「ふ、深っ…! あぁっ! そこ、だめ!」
女(男がなにか言ってる……でも聞こえない)
女(この獣の叫び声は何? 怖い……)
女(もしかして私の声? これが?)
女(き、嫌われちゃう……! こんな変な声出してたら、嫌われちゃうよ)
女(やだ……! やだよ! 男ぉ! やだ)
女(私に触れて! いっぱい触れてて!)
女(捨てないで。 手の届かないところにいかないで!)
女「男ぉ……!」
男「どうした、手を伸ばして。 俺はここにいるぞ」
女「好き…… 好きなんです…… 嫌いになっちゃやだぁ…」ポロ
男「大丈夫だよ、俺は女が大好きだから」ナデナデ
男「不安なんてなくなるくらい、愛してるって分からせてやるから」
女「ひっ……! あぁっ!! だめっ!!」
女「あ……ああっ! あっ、あっ」
女「イっ!? きゃぁぁ! もう、イク…… だめぇ!」
男「いいんだよ、我慢なんかしなくて」
女「イイの…? 男さんのでイって、いい?」
男「ちゃんと、俺のこと考えながらいけよ?」
女「あぁ、男…もう、だめ…! イクっ!」
女「あ~~~ッ♡」ビクン
女「あ、ンっ……!」
男「身体、熱いよ」
女「だって…もう……気持ちよすぎて…」
男「おかしくなっちゃいそう?」
女「男さんになら、おかしくなっちゃうとこ見ててほしいです……」
男「なにそれ…… 本気にしちゃうよ?」
女「……中、いっぱい擦って……?」
女「ぐちゃぐちゃに、してほしいです」
男「知らねえぞ!」
女「ひっ、ぁ……! 奥ッ! 奥グリグリって!」
女「おなか、ナカ、びりびりする……!」
女(は、早っ…! きもちいい!!)
女(頭痺れて、もう、何も考えられない!)
女(あぁっ……また、イク……)
女「あぅっ……はっ!」
女「あっ、、、うっ、あっ……!」
女「あああっ!! ひっ、あっ」
女(だめ、またイッちゃう!)
女(やぁっ、止まって…… イッたばっかり、なのに!)
女(声が出せない、苦しい! 酸素が足りない!)
女(もう、だめ…… 身体中が、痺れて力が入らない)
女(ナカが男のでいっぱい…… 目がチカチカする……)
女(え…… もしかして今もイってる? ダメ、止まらない)
女(イキっぱなし……だ。 あぁ、もう、意識が……)
女「ぁ~~…… ぅ、ぁぁ♡」ビクビク
女「…おと、こ……」ビクン、ビクン
男「……女?」
男「女…!? おい!」
……………………
………………
…………
……
女「…………」
女「……んぅ?」
女「……朝?」
男「あ、女!?」
女「……男さん?」
女(あぁ…… 私あのまま気を失ったんだ)
男「ごめん! 本当にごめん!」ギュ
女「な、なんですか」
男「ごめん、調子乗りすぎた。 女に無理させちまった」
女「へ……?」
男「女に求められたのが嬉しすぎて、調子乗った」
女「謝らないでください。 私、嬉しかったんですよ」
女「本当に…男さんの愛でいっぱいになって」
女「最中は、何も考えられないくらいでしたけど、でも男さんで包まれてて」
女「苦しいくらい気持ちよくて、愛されてる実感があって」
女「だから、謝らないでくださいね」
女「……心配させて、ごめんなさい」
男「女……」ギュ
女「…………」ナデナデ
女(……しあわせ)
女「……お願いがあるんです」
男「ん?」
女「……胸にキスマークつけてくれませんか」
男「え?」
女「……お風呂とか、トイレとかで…… 一人になった時、それを見て男さんの愛を実感したいんです」
男「お、おぉう」
女「……ダメ、ですか?」
男「そんなことしたら、それだけじゃ我慢出来なくなっちゃいそうで」
女「いい、ですよ? 私も……シたいので、はやく……」キュン
男「……っ!」
女「えへへ…… 学校の前にエッチなんてしたら…… 一日幸せな気持ちでいられちゃいます」
男「いれるぞ」
女「はい…… あぁっ……!」
女(私、朝から何してるんだろう)
女(もう、本当に幸せすぎて死んでもいいくらい……)
一旦終わります
エロ書くセンス無かった。
……………………
………………
…………
……
男「遅くなっちゃったけど誕生日プレゼント、買いに行こっか」
女「……え、いいですよわざわざ」
女「……忘れられない素敵な夜にしてもらえました。 それだけで私は幸せなんです」
男「それだけじゃ俺の気が晴れないの! ほら、行くよ」
女「……デートですね」
男「いぇーす!」
女「わーい」
男「棒読み!!?」
女「えへへ、何買ってくれるんですか?」
男「実はねー俺からのものはもう買ってあるんだ」
女「え?」
男「でもそれはあくまで俺の自己満だから。 今日は、女の欲しいものを買いに行くんだよ」
女「……そんなにいいですよ」
男「ダメ、俺がしたいんだから付き合ってよ」
女「……ありがとうございます」ピトッ
男「で、なにがいい?」
女「えっと…… じゃあ」
女「……ペアリングが欲しいです」
………………………………
女「……わぁ、いっぱいありますね」
男「うぉーキラキラしてておじさんには眩しいぜー」
女「どんなのがいいですかね」
男「派手目なのが好きとかある?」
女「……い、いえ… 私はあんまり太いのとか、派手な色のものとかはちょっと」
男「なんかああいうのはもっとゴテゴテした人がする感じだよね」
女「……そうですね、でも可愛いの、沢山あって迷っちゃいます」
男「ゆっくり見てけばいいよー」
女「……はい」ニギ
「ペアリングをお捜しですか?」
男「はい、そうなんですよ」
女「……ぁ」
「どういったのをお探しとかありますか?」
男「特にまだ決まってないんですけどね」
女「……ぅー」
女(男と2人でゆっくりみたかったな…)
女(なんか、邪魔されちゃった気分……)
「でしたらこちらの商品なんかいかがでしょうか? 新商品でして」
男「すいません、彼女とゆっくり見たいので、ちょっと時間頂いてもいいですか」
「あ、はいかしこまりました」
女「………!」
男「すいませんね、また決まったらお願いします」
「はい、ごゆっくりご覧下さい。 何かございましたらお気軽にお声がけ下さいね」
男「さて、なにがいいかな」
女「…………」ギュ
男「女? どうしたの」
女「……ううん、ありがとうございます」
女(……なんでこういうところ、分かってくれるんだろう)
女(なんか、ずるい。 好きになるに決まってる……)
男「あ、これは? 石も入ってるしデザインもよくない?」
女「……わ、すごいかわいい」
男「試しにつけてみよっか」
男「すいませーん」
女(男と、初めてのペア物が……いきなりリングかぁ)
女(なんか恥ずかしいけど、嬉しい)
女(これからはリングを見ながら、男のことを感じられるんだ…)
「右手と、左手はどちらになさいますか?」
女「何か、違いがあるんですか?」
「えぇ、右手と左手で若干サイズが変わりますし、何より指輪の意味が変わるんですよ」
「右手の薬指では冷静さが欲しい、とか本来の自分を発揮するといった意味があって」
「左手の薬指には愛情を深めるという意味があります」
「意味的には左手の薬指がカップルの方にはぴったりですけど、結婚指輪まで左手は取っておく方も多いですね」
女「……どっちがいいかな」
男「左手で」
「即決ですね。 彼女さん、愛されてて羨ましいです」
女「……ぅ、はい…」カァ
…………………………
男「気に入った?」
女「……はい!」
女「……すごい、綺麗」
男「はは、よかったね気に入るのがすぐ見つかって」
女「……ありがとう、男」
男「で、もう一つ俺からのプレゼント」
男「じゃじゃーん」
女「……? おっきい」
男「開けてみてよ」
女「……うん」
女「…………」
女「……わぁ!」
女「電子フォトフレーム!」
男「そうそう。 ちょっと探すの大変だったけど」
女「……すごい、いいんですかこんな高そうなもの」
男「もちろん。 俺たちまだまだデートとかいけてないからさ一緒の想い出もそんなに多くないから」
男「これからは写真もいっぱい撮って、2人の思い出を沢山作っていけたらなって思うんだ」
女「……ありがとう、男!」ギュッ
女「……うれしい、本当にうれしい」
男「あはは、喜んでもらえてなにより」
女「……えっと… じゃあ最初の写真、撮りたいです」
女「左手、出してください」
男「うん」
女「…………」ピトッ
女「指輪、お手入れちゃんとしなきゃですね」
男「そだねー」
女「……綺麗だなー」
男「女の指がもっときれいに見えちゃうね」
女「……男さんに似合う女になりたいです」
男「似合うもなにも、俺には勿体ないくらい可愛いよ」
女「……ありがとうございます。 これからもよろしくお願いしますね」
男「こちらこそ」
カシャッ
女「…………」
男「…………」
TV「噂の彼とはどうなんですかー?」
TV「毎日幸せです?」
TV「ヒューヒュー」
男「へーあの女優さん彼氏いたんだ」
女「……みたいですね」
TV[ご結婚される予定は?」
TV「タイミングが合えばしたいと思ってますけど、どうでしょうね」
TV「おー! 大胆発言じゃないですか今の!?」
男「…………」
女「…………」チラッ
女(男さん、もう20代後半になるけど結婚とか考えてるのかな)
女(で、でも私まだ17になったばかりだし! それに……元カノさんのこともあるし)
女(いつか……私と結婚してくれる、かな?)
女(でもまだ付き合ってそんなに長くないし……こんなこと聞くの、だめだよね)
男「どうしたの女、顔赤いよ」
女「……うぇ!? な、なんでもないですよ」
男「……? 暖房暑かった?」
女「ううん、違うんです」
女「……この女優さん、幸せそうな表情してるなーって。 それだけで本当に彼のことが好きなんだって伝わっちゃいます」
男「そう? 俺には分かんないや」
女「……私も、恋してるから分かるんです」
女「ちょっと恥ずかしくて、でも幸せで」
女「誰よりも大切にしたくて、でも誰よりも大切にされてて」
女「こんな世の中にありふれた幸せの一つなんでしょうけど、それでも自分にとってはすごく幸せなことなんです」
女「この女優さんも、私も…… とっても幸せなんです」
男「うれしいこと言ってくれるねぇ女は」ギュ
女「……こうやって、いつも男に寄りかかりながら後ろから抱きしめられて、テレビ見てるの好きです」
女「……まったりした時間、背中に伝わってくる体温、首にかかる男の吐息」
女「……そのどれもが掛け替えのない幸せ」
男「女は幸せをみつけるプロフェッショナルだね」
女「……違いますよ、これは全部男が教えてくれたものなんです」
女「本当に私には勿体ないくらい、男は素敵な人で…… 波だが出てきちゃいます」
男「だから、そんなこと言うなよ。 それはお互い様だって」ナデナデ
女「……ふふ、そうですね」
女「マグカップに指輪が当たる感触がまだ慣れないですけど」
女「……指輪してる感覚にいつか慣れていけたらなって」
女「……男とずっと一緒にいれたらなって思います」
今日は終わります
こんなエピソード書いてほしいとかあったら、なるべく書いていきたいと思うのでなんかあったら気楽にレスください
あとエロ描写は疲れるので今後はなしにしますね
リクありがとうございます
みんなやろうと思ってた内容なので嬉しいです
女「…………」
女(指輪、綺麗だな)
女(男も、今してくれてるかな)
女(お揃いの指輪…… 一緒にいるっていう大切な証)
女(……見てるだけで自然と笑みがこぼれちゃう)
同女「おーす」
友女「めーす! なんちゃってー」
女「あ、おはよう2人とも」フリフリ
同女「ん? おいおいおいおいおい? なんだそれはー?」ニヤニヤ
女「ん……?」
同女「その左手の薬指にあるものはー?」
女「あぁ、これ?」
友女「あー! 指輪だー!」
女「うん、男に買ってもらったの」
同女「左手の薬指とか!! エンゲージリングかっての!」
友女「えぇっ!? 女ちゃん結婚するの!?」
ざわざわざわ…………
「え、女さん結婚するの?」
「マジかよ…… 年上の彼氏いるって聞いてたけど結婚かよ畜生……」
「高校生で結婚? デキ婚っぽい」
女「ちょ、ちょっと! 違うよ?」
友女「えへへ、冗談だよー」
同女「ま、よかったじゃん。 一緒のもの買ってもらえてさ。 女前からほしいって言ってたもんな」
女「うん…… 嬉しい」
女「……本当にいつか婚約指輪、ほしいな」
友女「んもー! 女ちゃんかわいい! ギューしちゃう!」
………………………………
「ねえねえ、さっきの話聞こえちゃったんだけどさ、女ちゃんって結婚するの?」
女「え、しないですよ」
「あれーそうなの? なんかさっき結婚するみたいな話してたじゃん」
女「あれは友女が冗談で言っただけで! 結婚は……まだしないですよ」
「まだってことはいつかするんだ!」
女「えぇ? 分かんない……けど……」
「わー! すごいねーお幸せにね!」
女「う、うん………」
女(いきなりなんだろう……嵐みたいな人だ)
「ねぇ、やっぱり女ちゃんいつか、結婚するんだって!」
「えーマジでー? 可愛い顔してやることやってんのねー」
女「…………」
女(なんか大事になってる……?)
……………………………………
キーンコーンカーンコーン
女「……ふぅ、やっとお昼休み」
同女「おつかれーご飯食べよ」
友女「んーよく寝たぁー」
女「授業はちゃんと起きてないとダメだよ?」
友女「だって世界史の先生の声まったりしてて眠くなっちゃうんだもーん」
同女「ま、内容も眠くなるしなー」
女「同女は寝てないじゃん」
同女「私は優等生だからねー」
友女「嘘だー同女ちゃんがそんなわけないよー」
女「……本当だよ? この前学年2位だった」
友女「嘘!? 私そんなの聞いてないよー!?」
同女「学年下から二位の人には言えないだろ」
友女「嘘だーショックだよー私同女ちゃん以下だったのー?」
同女「失礼だな!!」
「ねぇ女さん、朝の話だけどさ!」
女「………?」
「彼氏と結婚するってマジ?」
女「……またその話ですか。 しないですよ」
「なんだ、よかった。 じゃあ俺にもまだチャンスあるかなー。 なんつってーあははは」
女「…………」
「ってかさー、さすがに高校生で結婚は早くね?」
女「……だからしませんって」
「じゃあ何も左手にリングなんかしなくてもいいんじゃないの」
「それさー、婚約指輪とかにするもんっしょー?」
女「…………」
同女「あのさ、あんた何が言いたいわけ」
「へ?」
同女「あんたは女のなんなの? ただのクラスメイトにどうこう言われる筋合いないし」
友女「そうだよ! 女ちゃんが結婚する、しないなんて君には関係ないじゃん」
友女「そりゃ、私のせいで話を大きくしちゃったけどさ…… 人の恋なんだよ! 放っておいてよ!」
「お、俺はそんなつもりで言ったんじゃなくて」
同女「だったらもうこの話をしてくるな。 好きな人のリングつけんなって言われたようなもんなんだぞ? 女の気持ち、少しは考えなよ」
「え……」
女「…………」
「ご、ごめん俺はそんなつもりで言ったわけじゃなくて」
女「……いいですよ別に。 ただ私と彼のことは放っておいてください」
友女「もう私に話しかけんなーだってさ!」
「え!?」
同女「しっし、お前はもう嫌われたんだ諦めろ」
女(そこまで言ってない……)
「なんだよー…… そこまで言うことないだろー?」
女「……私には心に決めた彼がいるので、見守っててくださいね」キラリ
「…………!」ガーン
同女「おーっとここで指輪を見せつけるドSプレイ!」
友女「女ちゃんやるー♪」
友女「えっとさ、なんかごめんねー女ちゃん。 私のせいで変な誤解広まっちゃった」
女「いえ、大丈夫ですよ」
同女「勝手な奴らだよな。 好き勝手言いやがって」
女「……ふふ」
同女「なに笑ってんの? 嫌じゃないの?」
女「だって、私そんなに怒ってないよ」
女「私の代わりに同女と友女が怒ってくれるから」
女「その分、なんだかおもしろく感じちゃうの。 ありがとう2人とも」
同女「なんだよもう……調子狂う」
友女「あはは、心配損だったかな」
女「結婚するのかって今日たくさん聞かれたけど、しないって答えるのがなんか苦しかったの」
女「私のこの気持ちは付き合ったばかりだから燃えてるだけなのか、よく分からない」
女「でも、男と結婚して一緒になりたいとは思ってるのは確か」
女「だから、その自分の気持ちは否定したくない。 結婚しないなんて、言葉にするのすごく嫌だった」
友女「熱々だねー」
同女「男さんに浮気させる暇をやっちゃダメだぞ?」
女「うん、そうする」
女「他の女の人の匂いがしたら私のことしか考えられないようにさせる」
同女「その自信、逆にすごいな」
友女「なんかエッチ! 夜を経験すると女は輝き出すよね! 女の魅力って感じー」
同女「お前は本当そういうことしか言わねえな!」
女「……ふふ」
女(男は私に魅力感じてるかな)
女(私の魅力ってなんだろう)
女「私の魅力って……なんだろう」
同女「えーそりゃ可愛いとこ」
友女「声とかー! あとは細くてスタイルいいとこ!」
女「……でもそれって男からしたら魅力的なのかな」
同女「どういうこと?」
女「男にとって私を性的な女性として見てくれてるのかよく分からない」
女「彼女ではあるけど、時々子供を見るような目で見られてるような気がする」
同女「そんな熱々なのにか? 私にはよく分からないな」
友女「じゃあもっと自分を磨くしかないよ! もうこの人しかいないって男さんに思わせられたらそんなこと思われなくなるでしょ?」
女「……難しそう」
同女「そこまでする必要あるかー? 完璧な彼女になろうとしても疲れるだけだぞ?」
友女「向上心がなくなったらおしまいだよ!?」
同女「うーん……ものはいいようだなぁ」
女「向上心……」
女「ありがとう、ちょっと考えてみる」
………………………………
男「でさー、同僚のやつがさー」
女「……ふふ、変な人ですね本当」
男「でも最近上女さんもまんざらでもなさそう」
女「…………」
女(女性としての…… 彼女としての魅力……)
女(男にとっての、私の魅力ってなんだろう)
男「女? どうしたの?」
女「……あ、なんでもないです」
女「……右手に男の指輪の感触があるなって」
男「うん、そうだね。 まだちょっと慣れないや」
女「……それがいいんです」
女「…………」
男「……?」
女「……男、ひとつ聞いてもいいですか?」
男「ん、どうしたの? さっきから考えてること?」
女「……はい、男にとって私の魅力って…
「あのーすいません」
「すいません、少しお時間よろしいですか?」
男「はい?」
「私、nom-noのスカウトをしている者です」
男「のむの?」
女「……女性ファッション誌ですよ」
男「さすがにそれくらい知ってるよ!?」
「あはは、お話が早くて助かります。 実は今、街中のおしゃれなカップルのデート風景を撮る企画をしてまして」
「少しのインタビューとデート風景を少し写真を撮らせていただけたらって思ってるんです」
男「どうする?」
女「……私は男に任せるよ」
男「うーん……」
「雑誌のそおまでトップにのるわけではありませんし、彼氏さんが嫌でしたら彼氏さんのお顔は映らないように配慮させていただきますよ」
「後姿を撮らせていただいたり、吹き出しや説明文みたいなので顔を隠すなどは致します」
「ただ彼氏さんのファッションと、彼女さんの全身は映ることになりますが」
男「まぁ、女がいいならいいですけど……どう?」
女「……うん、いいですよ」
「分かりました! ありがとうございます!」
「普段通り買い物とかデートして頂ければ大丈夫です。 ちょっと写真を撮らせていただきますね。 もちろん後で確認して頂きますから」
…………………………
女「……なんか緊張しちゃいます」
男「あはは、本当に顔がこわばってる」
男「そんなんじゃ、いい写真にならないよ? メインは女なんだから」
女「……私なんてそんなたいそうな顔も服もしてないのに」
男「そんなことないよ? 女は十分”魅力的”だよ」
女「え……?」
男「ほら、変な顔しないの」ツンツン
女「……ん、ばか」プイッ
パシャッ パシャッ
……………………
………………
…………
……
男「あー女、この前の雑誌の事務所から連絡きてるよ」
女「……ん」
男「えっと…… ページの確認よろしくだって」
女「……わっ、すごい写真」
男「あー本当だ、すごいいい写真。 女すごい可愛く撮れてる」
女「……男は顔が隠れてます」
男「だから俺はいいんだって」
女「プロの写真家が撮るとすごいですね」
男「だねーてかすごい、インタビューきっちり書いてない?」
男「なになに? 最近うれしかったことは彼にペアリングを買ってもらったこと」
『なんと9歳離れたとてもかっこいい彼氏さんにペアリングを買ってもらったそうです。 薬指にいやらしさがなくキラリと光るリングが女らしさをさらに演出しています』
『仲がいいのが二人の笑顔からビシビシと伝わってきました(笑) この二人、カメラが同行してからなんと一度も手を放さなかったくらいラブラブでした』
『年上の色気ムンムンの彼氏さん、女の子らしさと幸せがこれでもかと溢れている彼女さんでした』
男「だって!!」
女「……恥ずかしい」
男「あはは、すげーオーバーじゃないこの記事」
女「……本当にこれがあの有名雑誌に載るんですね」
男「女も有名人になっちゃったりしてね」
女「……まさか、そんなわけないじゃないですか」
……………………
………………
…………
……
「わーっ! 見てみてこれやっぱりそうでしょ!?」
「うぉーすっげぇー!! マジで載ってるじゃん」
「すっごー! 女ちゃんだよね? かわいいとは思ってたけど、こうやってみるとなんかすごすぎかわいい」
「あーマジ彼氏さんが羨ましすぎるくっそー」
ガラ…
女「……おはようございます」
友女「女ちゃん!!」
同女「おい女!?」
女「な、なんですか!?」
同女「これ!!」
女「……あー、雑誌」
「あーじゃないよーははは」
「びっくりしたよー今日雑誌買ってみてたら女さん出てるんだもん」
「めっちゃ可愛いよねー。 制服着てないと大人っぽいねー」
女「……あ、ありがとう」
同女「なんで言ってくれないんだよ女」
友女「雑誌出るんだよ!? こんな大スクープ教えてよー!」
女「は、恥ずかしいから…!」
友女「可愛いなー。 女ちゃんはモデルになるの?」
女「まさか。 あれは企画でデート風景を撮らせてくださいって言われて」
女「一回だけのものですから」
友女「えーこんなに可愛いのにー勿体ないなー?」
女「……もうこの話終わり! ね?」
同女「逃げるんじゃねえよぉー詳しく話聞かせろよー?」
同女「一回も手を放さなかった、んだって?」
女「…………」
女「……先に手を放した方が負けっていうゲームしてて…」
同女「うわぁ」
友女「あまーい! 鼻血が出ちゃいそうだよ」
「あ、女さん、雑誌みたよー?」
「めっちゃ可愛かったー! おしゃれだねー」
女「あ、ありがとうございます」
女(あれから何日か経ったけど、なんだかすごい噂になってる)
女(話したことない人からもすごく話しかけられるようになった)
女(嬉しいけど、やっぱり恥ずかしい。 別にモデルでもなんでもなくて、ただのカップルだったはずなのに)
女(たった1回、見開きのページに写真が1枚載っただけでこの影響力は正直怖い)
女(まぁ、名前が載ったわけでもないし…… 平気だよね)
……………………
………………
…………
……
女「え、モデルを続行、ですか?」
「はい、実は前の企画がすごい反響でしてー。 問い合わせの数がすごいんですよ」
「あの女の子は誰なんだー。 モデルじゃないのかーって」
「それで編集長が是非今後も出てくれないかってことでして。 如何ですか? もちろんお金は出ますからね」
女「うーん…… それ彼の方はどうなるんでしょう?」
「前に顔を出すのは嫌ということでしたし、それに一応10代向け女性誌ですからねー。 厳しいようですがあまり年齢のいかれてる男性モデルは起用しないんですよ」
女「そ、そうなんですか……」
「なので次回よろしければ女さんに来ていただければなーと。 連絡お待ちしていますね」
女(……どうしよう)
女「……とういうことだそうです」
男「あーそうなんだ」
女「どうしましょう」
男「学校の方に影響はあるの?」
女「……撮影は放課後の時間でやってくれるそうです」
男「へーそうなんだ」
男「で、女はやりたい?」
女「……やってみたい気持ちが半分、でも怖さが半分です」
男「そっかー」
男「なら、いいんじゃない? やってみたら?」
女「え……?」
男「女の”魅力”が活かされるわけでしょ? いいんじゃないかな」
男「それに、もしやめたくなったらすぐやめられるんでしょ? ならいいと思うけどなー俺は」
女「……分かりました。 男さんがそういうなら」
女「……男」ギュ
男「んーどうした?」
女「……私、魅力、ありますか」
男「当たり前だろ? 俺の彼女だぞ? 魅力的じゃないはずないだろ」
女「……うれしい」
女(男に見合う人になるために、もっと魅力を磨こう)
女(……男、待ってて? 私はもっと可愛くなれるように頑張るから)
休憩します
……………………
………………
…………
……
女「よ、よろしくおねがいしまーす」
「あー女ちゃん、こっちこっちー!」
「髪の毛セットしたり衣装合わせるからこっちきてねー」
女「あ、はい」
「はい、今日は初めてってことだしたぶん時間かかるよー。 長丁場だから頑張ろうね」
女「はい」
「ふふ、そんな硬くならなくて大丈夫だよ。 カメラだって意識しないで、ありのままの姿でいてね」
女「……難しそうです」
「えー彼といたときはすごい自然体だったよ?」
女「……それは男がいたから。 今日は一人だから、うまく出来るか、不安で…」
「だいじょーぶだいじょーぶ! そのうち楽しくなってくるからさ!」
女「…………」
女(大丈夫かな…… 男がいないと私何もできない…)
「女ちゃん入りまーす」
女「よ、よろしくおねがいしましゅ!」
「あはは、よろしくねー。 今日は可愛く撮ってあげるからそんな硬くならないでね」
女「…………」
女(盛大に噛んじゃった…… 恥ずかしい)
モデル男「あはは、君おもしろいね」
女(わぁ、かっこいい人だ……)
モデ男「今日はよろしくね? こんなかわいい人の相手が出来るなんて嬉しいわー」
女「あ、はい! よろしくお願いします」ペコリ
モデ男「あはは、だから固くならなくていいって! 監督もそういってたでしょ」
女「は、はい……」
モデ男「じゃ、お仕事がんばろうぜー。 ま、楽しくやりゃいいから!」
女「……楽しく、ですか」
モデ男「そー。 深く考えなくていいって」
女「…………」
女(深く考えなくていいって言われても…… 何も分からないのに)
「はい、えー今日の撮影テーマは恋人になっての初めてのデートです」
「可愛く、明るく。 でもどこがまだ距離が近すぎないそんな感じでおねがいしまーす」
モデ男「うぃーっす」
女(え、え、なにそれ。 いきなりすごく難しい……)
「はい、モデ男くんいいねー! 女さんも笑ってー」
女「え、え……」
「固いよーほら、笑ってー。 カメラは見なくていいからねー」
女「……え、えと」カチコチ
モデ男「ぷっ……」
モデ男「固すぎだよ女ちゃーん。 そんなんじゃいい写真なんか撮れないって」
女「ご、ごめんなさい……」
モデ男「おもしろいなー女ちゃん。 こんなモデルが下手な子初めてみたよ」
女「…………」グサッ
女(……帰りたい)
モデ男「…………」
モデ男「なんとかしねえとな」
モデ男「女ちゃん、ちょっといい? 撮影のことはいったん全部忘れるんだ。 恋人とか、デートとかそんなの忘れていいよ」
モデ男「俺と少し話をしながらやろう」
女「……撮影中ですよ? 話とかしていいんですか」
モデ男「だから、そんなの忘れてくれって。 分かったか―?」ウリウリ
女「……はい」ペイ
モデ男「あと、敬語も今から禁止ね」
女「……は、はい。 じゃなくてうん」
モデ男「あはは、おもしれー」
女「……さっきから失礼な人」ムスッ
モデ男「あはは、ごめんごめん。 距離を縮めるのにはこれくらい馴れ馴れしくいかないとだからね」
女「……そういうものなの」
モデ男「そーそー。 ところでさ、女ちゃんは何が好きなの?」
女「え……?」
モデ男「好きなもの、1つ言ってみ?」
女「……か、彼氏」
モデ男「うわーすごいね! いきなり彼氏が出てくるか! 付き合ってどんくらいなの?」
女「……もう少しで半年くらい」
モデ男「どんなとこが好きなの?」
女「……いつも笑って私を抱きしめてくれるとこ」
パシャッ
モデ男「うわーラブラブでいいなー。 俺なんか彼女を抱きしめようとしただけで殴られるんだぜ? 胸触ろうとしただろーとか言って。 誤解だっての」
女「ふふ、可哀そう」ニコ
パシャッ
モデ男「だろー? 俺なんも悪くないって。 ちょっと自意識過剰だよなー。 まぁ俺が胸ばっか触ってるせいかもしれないけどさー」
女「……そういう人なんですね」ジー
モデ男「だ、だから誤解だってばー」ポリポリ
パシャッ
パシャッ…
パシャッ……
「はーいじゃあ二人もうちょっとくっついてみようかー」
「さすがですねモデ男くん。 あんなガチガチだった女ちゃんの表情をうまく引き出してる」
「それだけじゃないよー。 ちゃんと彼女の表情、行動に合わせてポージングしてる。 オーバーリアクション、コミュニケーションで彼女の自然なところを引き出しつつ自分もうまく表現してる」
「天才ですねあれ」
「お、今の表情いいねー。 テーマにうまく沿わせてきたね」
「はーいじゃあここらへんで手とか繋いでみようか―」
女「え…… 手繋ぐんですか」
モデ男「あはは、ごめん俺手汗やばいから気をつけなね」
女「えー……」
モデ男「ほら、手」
モデ男「な?」
女「……うん」ニギ
モデ男「手汗大丈夫?」
女「ふふ、やめてよ変に意識しちゃうから」
パシャッ……
「お似合いですねあの二人」
「いいねーモデ男くんも今日はテンション高めだし」
「これは次の掲載号が楽しみだ」
「お疲れ様でしたー!」
女「お、お疲れ様でした……」
モデ男「あーお疲れさん女ちゃん」
モデ男「女ちゃんメッチャかわいかった! いい表情できるじゃんね!」
女「それはモデ男くんがおもしろい話を沢山してくれたから」
モデ男「そんなことねえって! 今日はありがとねー疲れたっしょ?」
女「……うん、クタクタ。 早く帰って寝たいくらい」
モデ男「だよねー初めてだしキンチョーするよね! 飯でも行こうかって思ったけど、どう?」
女「あー…… ごめんね、今日は帰って寝たいかも」
モデ男「仕方ねえな! じゃあまた今度行こうよ! モデルの極意を教えてやるよ!」
「何言ってんだお前だってまだ半年しかモデルやってねえだろ」
モデ男「ちょっと監督だめですよそういうこと言っちゃー!」
女「ふふふ」
モデ男「ちぇーかっこつかねえわ。 じゃ、気をつけてなー」
女「……うん」
モデ男「…………」
モデ男「……女ちゃん、イイねぇ…」
……………………
………………
…………
……
女「これが、この前撮った写真です」
男「おーかわいい!」
女「こっちは使われないらしいんですけど、これもお気に入りなんです」
男「うわ、なんか目がエロいよ? 女もこんな顔出来るんだね」
女「……え、エロくなんかないですよ」
女「で、これが今回使われる写真です」
男「おー! これすげーね! めっちゃかわいい!」
女「ほ、本当ですか!? やった」
女(男に褒められた…… うれしい)
男「よく撮れてるねーすげーかわいいよ」
女「うれしい…… 頑張った甲斐があります」
男「うん、でもこんな表情出来る女、見たことねえや」
女「え……?」
男「なんか知らない女が見れたけど少し寂しい気もするわ。 ちょっと遠くなっちゃった気がする」
女「……そんなことないですよ。 私は男に似合う女になるために頑張りますからね」
女「だから、応援、してくださいね」ギュー
男「……あぁ、もちろん」
女「……すき」
男「…………」
女(嬉しい…… 男のためにならなんでも頑張れる…… もっともっと男に似合う素敵な女にならないと)
男(……みんなに見られるすげー仕事してんだ。 応援して、やんねえといけねえんだよな)
女「お疲れ様でした」
モデ男「おっつかれーっす!」
モデ男「今日も鬼かわいかったよ女ちゃん!」
女「そ、そんなことないよ? モデ男がいてくれるからいつも楽しくて」
モデ男「あはは俺なんかもうあっという間に追い越しちゃうね。 本当にいい顔するようになった」
「いやぁー本当すごいね女ちゃん!」
女「え…?」
「女ちゃんが出始めてからどんどん雑誌の売り上げが伸びてるんだよ」
「ツウェッターやイソスタとかでかなり話題になってるらしくてねー! 女ちゃん目当てで買う男性読者もいるくらいらしいんだ」
女「……えぇ」
「こんなこと滅多にないよ? もうファンレターとかもすごいんだから」
女「ふぁ、ファンレターですか?」
「そう! みてあげてねーこれがファンレターと読者アンケート!」
「まだ出始めて間もないのにこれはやばいよー?」
「編集長もこれから是非よろしくだってさ!」
女「……うれしい」ポロ
モデ男「よかったな、頑張ってるのをみんなが認めてくれてるんだぜ?」
女「……うん、これからも頑張る」
女「だから、よろしくね、モデ男」
モデ男「もち! やっべーな俺も負けてらんねえぞー!」
モデ男「っし! 気合い入れるためにも焼肉食うぞー! 女もいくよな!?」
女「え?」
モデ男「飯、この前行くって言っただろ?」
女「あー……そうだね。 一緒にいいの?」
モデ男「あったりまえだろー? もっと仲良くなりたいしさー」
女「……うん」
女「あ、彼にライソだけさせて?」
モデ男「あーおけおけ」
女「…………これでよし、と」
女「じゃ、行こうか」
モデ男「おーう! 俺めっちゃ食うからね?」
女「……太って仕事できなくなるよ」
モデ男「明日から筋トレするからノーカン! 今日はオッケーな日!」
女「あはは……なにそれ」
…………………………
Trrr
男「ん……」
男「……飯、行ってくるのか」
男「飯、作ったんだけどなー。 ま、しょうがねえか」
男『いってらっしゃーい』
「あ、あ! ねえあれって!」
「あ、女ちゃんだ!!」
「あのーすいません!」
女「はい?」
「あの、女ちゃんですよね!? いつもnom-no読んでます! ファンなんです!」
「本物めっちゃ可愛い! 握手してもらっていいですか?」
女「え、えぇ。 もちろん」
「キャーうれしい! 本当にありがとうございます! 応援してます!」
女「……ありがとう」
「キャーよかったね!」
「やばーいメッチャ可愛かった! 明日みんなに自慢しようっと」
女「…………」
モデ男「あの子ら…… 俺は完全無視かよ」
女「あはは、本当だね」
モデ男「でも、うれしいだろ? こうやってファンの子に声かけられるの」
女「……うん、すごい。 こんなにうれしいものなんだね」
モデ男「あの一言のためにこの仕事してるのかもって思えるわ」
女「……うん」
モデ男「ま、俺は女ちゃんと出会えたってのもデカいけどね」
女「大袈裟だなぁもう」
モデ男「あはは、本心本心!」
女「本当いつもお調子者なんだから」
モデ男「あっははーこりゃ厳しいわー」
…………………………
女「……ただいまー」
女「……男、もう寝てる」
女「……男、帰ってきたよ」チュ
男「……zzZ」
女「……お水のもう。 冷蔵庫っと」
ガラッ
女「……?」
女「ご飯、作ってくれてたんだ」
女「……ごめんね男」
女「ありがとう、嬉しいよ」
女「……明日頂くね」
男「…………」
……………………
………………
…………
……
男「今日も撮影あんの?」
女「……うん、だから帰ってくるの遅くなります」
男「そっかー。 分かったー迎えにいこうか?」
女「ううん、大丈夫ですよ。 男もお仕事で疲れてるから無理はしないで」
男「おーう…… そっか」
女「……はい。 いってきますね」
男「朝ごはんはー?」
女「……昨日いっぱい食べちゃって胃もたれすごくて…… 大丈夫です」
男「あーそう?」
女「じゃあいってきます」
男「ほーい」
男「……………」
男「勿体ないけど、捨てちまうか……」
友女「わっ! また女ちゃん写ってる! かわいいー」
同女「こいつとよく写ってるな」
女「あぁ、彼はモデ男って言って先輩なんだ。 いつも現場でおもしろくてね笑わせてくれるの」
同女「じゃあこの女の笑顔はモデ男ってやつのおかげなんだな」
女「うん、彼のおかげでいつもモデルの仕事楽しいよ」
「あ、あの女さん!」
女「……はい?」
「いきなりごめんね? 私3年生なんだけどさ、いつも雑誌みてるんだ! サインくれない?」
女「サインだなんて……いいですけど」
「あ、ありがとう! ついでにお願いしていい?」
「私、受験なんだけどね。 毎日心が追いつめられちゃって大変なんだ。 だから応援メッセージも書いてくれると嬉しい!」
女「……分かりました。 頑張ってくださいね、応援してます」
「ありがとう! 本当にありがとね!」
女「…………」
友女「ほわー……すごいね女ちゃん」
女「え?」
同女「なんか本当に有名人って感じ。 スターっぽい」
女「……ううんそんなことないよ」
女「でも私を見て好いて来てくれるんだよ。 うれしい。 だからそれには精一杯応えたい」
女「……私の方が励まされてばかりだけど」
友女「……うぅ、私感動したよ女ちゃーん」ギュ
同女「なんかすげーなー。 でもさ、彼とは大丈夫なの?」
女「え?」
同女「だって撮影ばっかりで忙しいだろ? 彼とは一緒にいられてんの?」
女「前ほどずっとは一緒にいないけど、でも男は応援してくれてるよ」
女「……男が応援してくれるから、私も頑張れるの」
同女「…………」
友女「愛だねぇ! 愛の成せる業だよー」
「「おつかれさまでーす」」
モデ男「女聞いた? 今月号もやっべーらしいよ?」
女「え……?」
モデ男「歴代の売り上げ記録塗り替えたんだって!」
女「そうなんだ、すごいね」
モデ男「なーに他人事なんだよ! 女のおかげだって編集長泣いて喜んでたぜ?」
女「えぇ!? 私なんかそんな全然」
モデ男「そんな自分のことヒゲしなくていいって!」
女「ふふ、難しい言葉使おうとしなくていいよ」
モデ男「なー!?」
「あ、女ちゃん! よかったまだいてくれたね」
女「……はい?」
「あのね、テレビ局からさっき連絡があってね」
「テレビに出てほしいってオファーがきたの!」
女「……え?」
モデ男「マジかよー!! すげーじゃん!」
「しかもあのしゃべりまくり007よ! これはうまく使えばトップの仲間入りも夢じゃないわよ!?」
女「え、ちょ、ちょっと待ってください! そんなこといきなり言われても!」
「なに言ってるのよ! さらに売れるチャンスよ!」
モデ男「まぁまぁ。 彼女も突然のことにびっくりしてるんだしさぁ、ちょっと考えさせてあげてくださいよぉ」
「まぁ、そうね。 ごめんね女ちゃん」
女「い、いえ」
「でも、なるべく早く返事はちょうだいね」
「あと、彼とは別れてほしいの」
女「…………」
女「……え?」
「ごめんねプライベートにはあまり口を出したくないんだけどね」
「彼氏さん、たしか26歳だったわね? でも女ちゃんはまだ17歳なのよ?」
女「そ、それがなんですか」
「テレビに出て、有名になるのは簡単よ。 でもあなたはまだ未成年なの。 それにモデルとはいえ芸能人だわ」
「そんなあなたに年上の彼がいるっていうのは世間的によくないのよ」
女「そ、そんなの私は気にしないです!!」
「そうは言ってもね…… 既に掲示板での書き込みで一番最初の企画でのことが話題になってきてるの」
「あの大人気モデル、女には彼氏がいてしかも年上だって」
「……これ、犯罪なのよ? あなたが有名になった時にこの話は必ず話題になるわ」
「そうなった時、あなたも傷つくし、彼にだって迷惑がかかるわ。 それも下手をすれば最悪の形で」
女「そんな……」
「だから別れてほしいの。 彼とは別れたって公にすればこの話題だってそこまで炎上する材料にはならないはず」
女「ちょ、ちょっと待ってください!」
女「いきなり、そんなこと言われても困ります……」
モデ男「だからぁ、少し考えさせてあげて下さいって! そんないっぺんに言われたら女ちゃんだって頭パンクしちゃいますよ」
モデ男「俺なんか話の半分しか分からなかったっすよ?」
「はぁ……。 分かったわ。 じゃあまた今度連絡してね」
女「…………」
モデ男「…………」
モデ男「あーなんていうかさ、いきなりそんなこと言われても困るよな」
女「……どうしよう」
モデ男「ちょっと作戦会議しようか。 ゆっくり話せるところがいいだろ」
モデ男「俺の部屋、来る?」
女「わぁ、意外と綺麗にしてるんだね」
モデ男「意外は余計だからな!!」
女「あはは、ごめんね」
モデ男「てか腹減ったぁ…… なんか食うもん買ってくればよかったな」
女「冷蔵庫なにかある? 作るよ」
モデ男「まじー? でもろくなもんねえと思うわ」
女「わー……本当だねこれじゃ野菜炒めくらいしか作れないや」
女「……野菜、炒め?」
モデ男「ん? どしたん」
女「あはは…… 思い出しちゃった」
モデ男「なにを?」
女「前にね、二人で焼肉いったでしょ? それで帰りが遅くなったじゃない?」
女「……その時にね、彼が野菜炒めを作っておいてくれたの」
女「でもお腹がいっぱいで、その時は食べずに次の日の朝食べればいいやって思ってたんだけど」
女「……結局次の日も胃もたれがすごくて食べなかったんだ」
女「……それだけ」
モデ男「そりゃーしゃーなくね?」
女「……でも、男が私のために作ってくれたのに、申し訳ない事しちゃった」
女「はぁー…… 男に会いたい」
モデ男「…………」
女「……最近、男に抱きしめられてない。 キスもしてない」
モデ男「しょうがねえべ。 女はいつも撮影で忙しいんだし」
女「……そうだね。 でも私、男の温もりを感じないまま、平気で過ごしてた」
女「…………こんなに大好きなのに、男の愛情を感じないままで平気なフリしてた。 それに今頃になって気づいちゃった……」ポロ
女「……こんなに好きなのに…! こんなに愛しいのに…… 最近ずっと一緒にいない!」
モデ男「…………」
女「大好きなのに…… なのに別れろなんて言われても……困る」
女「……そんなこと出来ないよ…… 私、どうしたらいいんだろう……」
モデ男「…………」
モデ男「きっとさ、女ちゃんは彼氏に応援してもらってたんでしょ?」
女「……うん」グスッ
モデ男「めっちゃ売れてる、雑誌のモデルだよ? 顔も全国に知られるわけよ。 そんな人を応援できるのって相当誇らしいと思う」
モデ男「でもきっと同時にすげー覚悟もいると思うんだわ。 自分の彼女を自分の手の届かない場所に送り出すんだぜ? しかも全国規模!」
女「……手の届かないところなんて…… むしろ私が追いかけてばっかりで」
モデ男「そう思ってるのは女だけなんじゃない? 多分女以外の誰もが女の方がすごいと思うはず」
モデ男「そんな自分よりすごい彼女を応援するんだぜ? 彼氏さんの覚悟は半端ないって」
モデ男「だから、きっとそんなすげー彼氏さんなら女をずっと応援し続けるんじゃない? 例え、別れたとしても」
女「……いやだよ、私は男と別れたくない!」
モデ男「……たぶんこの話を聞いたら彼氏さんは絶対女の背中を押すと思うぜ? そんな彼の気持ちに応えてあげないのってちょっとひどいんじゃねえ?」
女「……え」
モデ男「彼のことを本当に考えるなら、別れた方がいいと思うけどな」
女「……うぅっ…… いやだ…… いやだよぉ男…… ずっと一緒にいるって…… 言ったのに……」ポロ
女「……でも…… 男が……応援し続けてくれるなら…… いつか男に見合う私になれたら……」
モデ男「…………」ニィ
……………………
………………
…………
……
男「……はぁ」
男「……今日もどうせ女帰ってくんの遅いよなー」
男「……気分転換がてら普段通らない道通って帰るか」
男「……早く女帰ってこねえかなー」
男「……今日もまたライソなしか」
男「明日休みだし、今日は起きて待っててやろう。 そんで女の好きなプリンを買って待ってるか」
……………………
………………
…………
……
女「ごめんね…… わざわざ送ってもらって」
モデ男「そりゃそんな泣いてる子を一人で帰すわけにはいかないでしょ」
女「……ごめんね」
モデ男「いいっていいって! 俺紳士だからーマジで」
女「……うん」
モデ男「……そこ笑うところだから」
女「…………」
モデ男「……あのさ、女には泣き顔は似合わないよ」
モデ男「いつもみたいな、キラキラ光ってる笑顔が一番だって!」
女「……うん」
モデ男「でさ、よければ彼氏と別れたら俺が…!
「あれ、女?」
女「……男」
男「今帰り?」
女「……はい」
男「あらら、男の人とお二人…?」
女「……っ!? これは、そういうのじゃなくて!」
男「……あーいい。 きみ、モデ男くんでしょ? いつも雑誌みてるよ」
モデ男「……どーもっす」
女「……男、違うの。 そういうことじゃない! 誤解してます!」
男「誤解? なんのことか分からない」
女「だから…… 違う! 私には…… 男だけなのッ!」
男「…………」
モデ男「あのーお話中すいませんねー、ちょっといいですか?」
モデ男「単刀直入に言います。 男さん、女ちゃんと別れて頂けませんか?」
男「……は?」
モデ男「女ちゃんはいまや超有名モデルです。 だが彼女はまだ17歳だ」
モデ男「彼女に年上の彼氏がいるというのは世間体にかなりまずい。 それはお分かりでしょう?」
男「…………」
モデ男「このままいけばあなたは犯罪者扱いですよ? このまま付き合えばそれだけじゃなく彼女に大きな迷惑をかけることになる」
女「……うっく……ひっ……ぅ」
モデ男「彼女のことを応援してるなら、別れてください。 それが彼女にとっても、あなたにとってもベストな選択になるはずです」
男「なに勝手なこと言ってんだクソガキ」
女「……いやだぁ……男……」
モデ男「あんたは分かんねえのか!! 女ちゃんはこんなになるまで苦しんでるんだぞ!!」
モデ男「あんたがいつまでも一緒にいるせいで彼女は前に進めずこうやって苦しみ続けるんだ!!」
男「おめぇ、少し黙ってろ」
モデ男「黙らない!!」
モデ男「俺なら! 俺なら彼女を支えられる! あんたと違って彼女の痛みを分かってあげられる! そして側に支えられるだけの環境にも、地位にもある!!」
男「…………」
モデ男「あんたのお役はここでごめんなんですよ」ニィ
男「少し黙ってろって言っただろクソガキ」
モデ男「…………」
女「ひっく……ぐすっ……」
男「……女、ごめんな俺そんなこと考えてやれてなかったよ」
女「……違う……男は、悪くない、です……」
男「ただ応援し続けるだけじゃダメだったな。 ちゃんとお前を支えてやれるだけの土台を作ってやれてなかった」
女「……ぐすっ……謝らないで…… 私が、謝らなきゃいけな……うぅ」
男「女は、俺といたいか?」
女「……いたい…… いたいよぉ……」
男「……ずっと、ずっと一緒にいたいか?」
女「……いたい…… いたいけどぉ…!」
男「なら、それだけで十分だろ?」
男「女、俺と結婚してくれ」
女「……え」
男「婚約指輪も、素敵なプロポーズでもないけど。 それでも俺と一緒にいてほしい。 今そう伝えなきゃいけないと思ったんだ」
女「ぐすっ…… 私なんかで、いいの…?」
男「当たり前だろ? 女じゃなきゃだめなんだ」
女「……私、男に見合う人になれてない」
男「馬鹿、そんなこと考えなくていいんだよ。 女は十分”魅力的”だ。 俺なんかには勿体ないくらい可愛くて優しい子だ」
男「これからも俺のことを支えてくれ。 俺にも、女を支えさせてくれ」
女「……はい、よろしくお願いします」ギュ
男「……あぁ、ありがとう女」
モデ男「…………」ギリッ
男「そういうことだ、モデ男くん。 これで文句はねえだろ?」
モデ男「……ちっ」
女「……モデ男、聞いて」
モデ男「……なんだよ」
女「……私、モデルやめる」
モデ男「……だと思ったわー」
女「……ごめんね編集長には私の方から言っておくから」
モデ男「……分かった」
女「……楽しかった。 モデ男のおかげでモデルの楽しさ、いっぱい知れた」
女「すごくやりがいがあって、ファンの人も沢山出来た。 でもね」
女「……私には男が全てだったみたい。 彼を傷つけるなら…… 支えになることが出来ないなら私はモデルを続けることはできない」
男「…………」
モデ男「……おーっけ! 了解! 合点承知の助!!」
モデ男「俺も男だからな! 惚れた女の幸せくらい願ってやるよ!」
モデ男「……元気で」
女「……うん、ありがとうモデ男」
……………………
………………
…………
……
ザー
ザザー
女「この海、久しぶりですね」
男「そだなー。 はい、コーヒ―」
女「ありがとうございます」
男「ところでさ、女」
女「ん?」
男「ちょっと話し方変わった?」
女「え、そうですか?」
男「なんか俺と話す時いつもおどおどしてた感じだったけど、そんな感じもすっかりなくなった」
女「自分じゃ分からないです」
男「きっとモデルの仕事やって、自信が付いたのかもな」
女「男に少しは見合う女性になれたのかもしれません」
男「見合う、じゃねえだろ」
女「え…?」
男「女は、もう俺の嫁さんになるんだろ? そしたらもう対等な関係だ」
男「だから、もう敬語なんか使わなくていいんだよ」
女「……そう、だね」
男「……愛してる、女」
女「私も、ずっと愛してるよ、男」
今日はもう終わります
ずっと考えてた話だったので一気に書いちゃいました
マジで疲れた
……………………
………………
…………
……
女「……ということでモデルをやめることになった」
友女「えぇー! なんかもう色々急展開だよー!?」
同女「おいおい、すげーぞライソニュースに載ってんぞ」
友女「ツウェッターでも大騒ぎになってるよーあわわわ」
友女「って、ツウェッターでそのモデ男くんがツイートしてるよ」
モデ男『女ちゃんが電撃引退したことで沢山の方に衝撃があったことと思います。その反応からも彼女がいかに愛されていたか、よく分かります。 僕も彼女のファンの1人でした。』
モデ男『彼女がモデルを楽しんでいて、とても輝いていて…… モデルとしての仕事が大好きたったのは間違いありませんでした。』
モデ男『こんなことを僕が話していいのか分かりませんが、彼女はモデルよりも愛する彼と一緒にいるため1人の女性としての生き方を選びました。』
モデ男『僕はその彼女の選択は間違ってはいないと思います。 モデルとしての彼女を見ることはもう出来ませんが、私は彼女を応援し続けます。 皆さんもどうか彼女の選択を、1人の女性としての立派な選択を応援してあげてください。』
友女「だって!」
女「…………」
同女「こいつペラペラ喋りすぎじゃね」
友女「そうかもだけどー…… でもなんか優しくない?」
女「……うん。 私、頑張らなきゃいけないって思った」
女「モデルをやってる時も彼に支えられて、いきなり辞めることになっても彼に支えられてる」
女「きっと今事務所はバタバタして彼に迷惑をかけてると思う。 でもそんな中でこうやって助けてくれるところ、優しい」
友女「だねー」
同女「そういうもんか」
女「うん、そういうもの」
女「……いっぱい、いっぱい幸せにならなきゃ」
友女「でも結婚するっていつするのー? 一応、未成年だし親の許可とかいるんじゃ……」
女「……そうだね。 そこは男と相談してみる」
同女「あれだっけかー女って親と揉めたんだよな」
女「うん。 でもこのまま目をそらし続けてちゃ行けない問題だと思う」
女「いつまでも男の優しさに甘えてばかりの私じゃダメだよね」
友女「頑張ってね女ちゃん! 私も応援してるからねー!」
同女「2人が力を合わせりゃいい結果になるに決まってるからな」
女「……うん、2人ともありがとう」
友女「でも結婚するっていつするのー? 一応、未成年だし親の許可とかいるんじゃ……」
女「……そうだね。 そこは男と相談してみる」
同女「あれだっけかー女って親と揉めたんだよな」
女「うん。 でもこのまま目をそらし続けてちゃ行けない問題だと思う」
女「いつまでも男の優しさに甘えてばかりの私じゃダメだよね」
友女「頑張ってね女ちゃん! 私も応援してるからねー!」
同女「2人が力を合わせりゃいい結果になるに決まってるからな」
女「……うん、2人ともありがとう」
……………………
………………
…………
……
女「あのね、男。 聞いて欲しいことがあるの」
男「うん、どうした改まって」
女「……結婚するのって、本気だよね? 信じていいんだよね」
男「勿論だろ。 二人で幸せになろうよ」
女「うん、すごくうれしい」
女「でもね本当に結婚するのなら…… 私とお母さんの問題を何とかしなきゃ行けないと思うの」
男「そうだな。 ちゃんとおばさんに挨拶しないとな」
女「ちゃんと会ってくれるかな」
女「……男と結婚するって言ったらなんて言われるかな」
男「大丈夫だよ、俺がついてる」
女「うん…… 一緒にいてほしい」
女「ちゃんと仲直りして、私たちのこと認めてもらいたい」
男「心配いらないよ」ナデナデ
女「うん……ありがとう。 男と一緒なら頑張れる」ギュ
女「でも私たち、いとこ同士なんだよね」
女「……反対されるに決まってる、よね」
男「そんなの関係ないだろ? 誰にも邪魔はさせない」
女「……私、男のこと大好きなの。 いとこなんかじゃなければこんな気持ち抱かなくてよかった」
男「……女」
女「ぁ…」
男「俺も女のこと愛してるよ。 この気持ちは偽物なんかじゃない」
男「本当に愛し合ってるんだってことをしっかり話そう。 そうすれば分かってくれるよ」
女「……うん」
男「女、泣かないで」
女「ごめんね…… 私、男に結婚しようって言われた時、すごく嬉しかったの」
女「今でも本当に嬉しくて幸せなの。 でも同時にすごく不安」
女「ごめんなさい…… 弱くて、ごめんなさい……」
男「……そっか、そうだよね」
男「分かってあげられなくてごめん。 でも言ってくれてよかった」
女「……うぅっ…」
男「その不安を全部無くしてあげるのは出来ないけどさ、せめて二人で乗り越えたいとは思ってる」
女「……私、いつも男に寄りかかってばかりだよ?」
男「いいんだよ、俺だっていつも女には助けられてるんだから」
女「……ほんと?」
男「本当」
女「……男は私がいないとダメ?」
男「当たり前だろ。 もう女がいなくなったら死んじゃうよ」
男「今日も、いっぱい女を感じさせてくれるか?」
女「……私はいつも男を感じ過ぎて……おかしくなっちゃう」
男「なにそれ、なんかエロいよ」
女「……男のせいだよ?」
……………………
………………
…………
……
女「……んぅ」
男「すぅ……すぅ……」
女(身体、重い)
女(結局終わった時には、殆ど朝になってたし…… 叫び過ぎたのか喉が痛い)
女(裸で寝たからちょっと寒いし……)
女(トイレ行って服着よ)
女「…………」ムクリ
女(あ、あれ体がいうこと聞かない)
女(部屋がグルグルして……あれ、今足は地面についてるの?)
女(気持ち悪い……)
バタンッ
男「……ん?」
男「あれ……女?」ムク
男「女? おい! 女!!」ダッ
女「…………?」
女(あれ、男……?)
女(なんて言ってるの? よく、分かんないよ?)
………………………………
女「…………ん」
男「あ、目が覚めた?」
男「ビックリしたよ女倒れてるんだもん」
女「あ……そういえば」
男「熱かなり出てるみたいだからね。 ゆっくり寝てな」
女「……うん」
女「ごめんね、心配かけちゃって」
男「いいからいいから! 気にせず寝てなさい!」
女「……はい」
女「……パジャマが汗でびちょびちょ」
男「あー…… 着替えられる?」
女「……起きるの、しんどい」
女「脱がせて、くれる?」
男「お、おぉう」
女「んっ……はぁっ…」
男「変な声出すなよ」
女「気持ち悪い服脱げて、気持ちいいから……」
男「はい、じゃあ自分で蒸しタオル使って体拭いてくれ」
女「ご、ごめんね? 体起こすので限界で……」ハァハァ
男「嘘だろおい」
女「わ、私だって恥ずかしいんだから…」
男「じゃあ、拭くよ? 前もいいんだな?」
女「改まって言わないで…… 恥ずかしいんだから……」
男「下も拭くぞ」
女「あぅ……恥ずかしいからギュッとしてて?」
女「顔、見ちゃだめ」
女「んっ!?」
男「ダメ、キスしたい」
女「ふぁぁ…… こ、こらぁ…!」
男「可愛すぎかよ。女の匂いすげーする」
女「ひっあぁ…… だめ、だよ」
男「っていいながら濡れてるよ?」
女「あ、汗だよ……んっ」
………………………………………………
女「…………」
男「あ、あのー女さん?」
女「…………」
男「あ、あのー」
女「……なんですか」
男「怒ってらっしゃいます?」
女「……当たり前です」
男「ごめんって。 調子乗りすぎた」
女「……本当に怒ってますから」
男「どうしたら許してもらえる?」
女「自分で考えてください」
男「……んー」
男「じゃあこうする」モゾモゾ
女「……なんで布団に入ってくるんですか」
男「女が寒いだろうから暖めに来たよ」
女「男たんぽさんですね」
男「暖かいだろー?」
女「……そんなことで私の機嫌は治らないですから」
男「手厳しい…… また敬語に戻ってるし」
女「ぷんすこです」
男「怒ってても可愛いなーもう」スリスリ
女「……ぷしゅー」
女「…………」
男「……zzZ ……zzZ」
女「…………」
女(背中暖かいなー)
女(結局私より早く男が寝てるし)
女(でも風邪うつっちゃうかもしれないのに、くっついて寝るのは……)
男「…………」
女「……んー!」グイッ
女「……はぁ、はぁ」
女(お、重い…… 少し力入れただけで息あがっちゃう、し……)
男「……ん」ガバッ
女「んぎゃー」
女「重っ…… 寝ぼけてなんで覆いかぶさってくるのー!」グイッ
女「……動かない」
女「……まぁ、いっか」ギュ
女「風邪、移っちゃったら看病してあげますからね」チュ
女「……うつっちゃえー」チュー
……………………
男「起きてー女ー?」
女「………ん」
男「おかゆ作ったけど食べれそう?」
女「頂きます」
男「身体、起こせるか?」
女「んしょ……」ムクリ
女「まだ、フラフラする」
男「しょうがないよ。 ほら、あーんして」
女「…………」
男「ん? どした? ほら口開けて」
女「…………」ジー
女(今日は弱ったところを沢山見せちゃった…… ましてあーんされるなんて……)
女(不本意だけど…… 今日だけだからね)
女「…………」パク
男「おいしい?」
女「……おいしい」
男「おーよかった! もっと食べな! 早く元気つけろよー」
女「ま、待って…… 食べるの、しんどくて……」
男「あ、そう?」
女「おいしいんだけどね…… ちょっともう食べれない。 本当にごめんね」
男「ううん、大丈夫だよ、後で食べやすいもの用意しとくから」
女「……ありがと」
男「まぁ、脱水が怖いからね。 アクエリウス薄めといたから飲みな?」
女「あ、ありがと」
男「はい、また着替えるよ」
女「えぇ、いいよ。 さっき着替えたばっかりだよ?」
男「何言ってんの! 汗でビショビショだぞ? 冷えたらどうすんの」
女「うー……」
男「俺の服しかないけどいいよね。 はい、ばんざーいして」
女「……次また変なことしたら怒る」
男「さっきも怒ってたじゃん」
女「……次は1週間男のご飯が白米と梅干しだけ」
男「こえー…… はいばんざいして」
女「んっ……」
男「…………」スンスン
女「……っ!? な、なんで匂い嗅いでるの!!」
女「ぁ……」クラ
男「ほら、いきなり大声出すからー。 はい、着替えおしまい」
女「……~~っ! 変態」
男「変態でいいから寝てろって。 今氷枕作り直してくるからね」
女「……ありがと」
女(変なこと時々するけど、やっぱり優しい)
女(ありがとう、男。 本当にうれしい)
女「……ねぇ、男は看病するの慣れてるね」
男「そう?」
女「手際いい」
男「元カノがよく体調崩してたからなー。 そのせいかな」
女「……亡くなった彼女さん?」
男「そうそう。 身体結構弱かったからこういうの慣れてんだよ」
女「……ねぇ、男? 彼女さんのこと教えて?」
男「…………」
女「男は、私の辛いことを半分こにしてくれるって言ったよ? 私にも男の辛いことを一緒に抱えさせてほしい」
男「ははは、そうだね……」
男「別に面白い話じゃないよ。 いいの?」
女「うん、聞きたい」
男「分かった。 でも眠くなったら寝てくれよ?」
女「…………」コクン
男「あいつと出会ったのは大学の時なんだ。 同じサークルの子でな……」
……………………
………………
…………
……
男『かんぱーい!』
元カノ『…………』
『男くんだっけ!? 君かっこいいねー!』
男『いやいやそんなことないっすよー? 先輩こそ超綺麗じゃないですか』
『うわーチャラいなー1年生のくせに! いいぞー飲め飲めー!』
男『うぃーっす! 頂きまーす!』
『いい飲みっぷりだ男くん!』
元カノ『…………』チビチビ
『なんかさ、あの子さっきから喋らないね。 ちょっと感じ悪くなーい?』
元カノ『…………』モグモグ
男『あー。 あんまり楽しくなさそうっすね』
『ノリ悪いんだよねー。 こっちがシラけるっつーの』
男『俺、ちょっとあの子んとこいってきまーす!』
『えーちょっと! そんな子放っておいて一緒に飲もうよー?』
男『…………』イラッ
『ねぇ男くーん』
男『よく知りもしないしない子のことを感じ悪いとか言うことないじゃないですか! あの子にとってこの飲み会がつまらないものになっちゃったらもう次は絶対来ないですよ!』
男『俺、そんなの嫌ですよ! せっかく同じサークルに入った仲間なんですよ! 一緒に楽しみたいに決まってるじゃないっすか!!』
『…………』
男『じゃ、先輩! 失礼します!』
男『隣いい?』
元カノ『はぁ…… どうぞ』
男『さっきからすげー食ってるから気になっちゃってさ!』
元カノ『……っ!! だからデブなんだとか言いたいんですか!』
男『そんなつもりないって! ただすげー美味しそうに食べるから、作った方は嬉しいだろうなーって』
元カノ『…………』
男『俺、料理が趣味だからさ、つい、食べてくれる人のこと考えちゃうんだよ』
男『あ、ごめんねいきなり! 俺は男ってんだーよろしくね』
元カノ『知ってます。 さっき先輩たちに色目使われてヘラヘラして目立ってましたから』
男『え!? やべー目立たないようにしようとしてたのになー』
元カノ『…………』イラッ
男『ねぇ、君の名前教えてよ!』
元カノ『……元カノです』
男『元カノちゃんかー! いい名前だね! ねぇねぇ連絡先教えてよー! 今度電話するからさー!』
元カノ『……結構ですから』イライラ
男『えーなんでー? いいじゃん別にー』
元カノ『…………』イライライラ
男『元カノちゃーん? おーーい』
元カノ『…………っ!!』バンッ
元カノ『私はあなたのそういうところ嫌いですから!! そうやって人との距離感を考えずにグイグイ来て!! 不快な人だっているんですよ!!』
元カノ『……失礼します!』スタスタ
男『いっ……!?』
『『なにあいつ……』』
『『何キレてんの意味わかんな』』
男『ちょ、ちょっと元カノちゃん! 待って!』
元カノ『…………』
男『ごめん! 元カノちゃん! 待って』
元カノ『……なんですか』
男『怒らせるつもりなんか無かったんだよ。 ただ仲良くなりたくて、でもごめん!』
元カノ『はぁ……。 いいえ、私こそいきなりすみません』
男『ちょっと酒飲んでて調子乗ってたよ。 本当にごめんね?』
元カノ『いえ、私もいつもこうで……』
元カノ『私、太ってるからいつも容姿のせいで馬鹿にされて、それが嫌で嫌で……』
男『そっかー。 でも俺本当にそんなつもりなくてさ!』
元カノ『分かってるんです…… でもこうやってつい空気が読めなくて』
元カノ『飲み会の空気も悪くしちゃったし……』
男『それは俺のせいだもん! 大丈夫だよ任せて!』
元カノ『え? なにそれ不安しかないんだけど』
男『ははは、なんとかなるって!』
男『ね?』スッ
元カノ『……何その手』
男『手、繋いでこ』
元カノ『調子に乗らないで』ペシッ
男『いてっ』
男『すみませんでしたっ!!』
『うぉ、すげージャンピング土下座』
『うはは、あいつおもしれー』
男『俺が元カノさんを怒らせちゃいましたァー! 驚かせてしまい、すみませでしたー!』
『土下座生で初めて見た』
『なにやってんだチャラ男ー!』
男『しつこく迫った挙句、振られましたー!!』
『『わははは!』』
『いいぞー元カノちゃん! 調子乗ってるあいつをボコボコにしてやれー』
『ウケるー! 元カノちゃんもこっちで飲もうよー』
『おい、男なにしたんだよー』
元カノ『…………』
男『な? うまくいったろ?』
元カノ『土下座なんて馬鹿じゃないの?』
男『なんでだよ』
元カノ『変な人……』
男『へへっ。 まぁ、一応これからよろしくな?』
元カノ『うん、よろしくね男くん』
……………………
………………
…………
……
男『元カノ! ご飯行こうよ!』
元カノ『行きません』
男『今日こそはご飯行くよね?』
元カノ『今日は用事があるのでさよなら』
男『じゃあ飲み行こ? ね?』
元カノ『男くん飲みに行くとめんどくさいのでいやです』
男『今日はサークルないしお茶しに行こうよ!』
元カノ『……テスト勉強があるので』
男『2ヶ月先ですけど!!?』
……………………
男『元カノ、なんで俺を避けるの』
元カノ『……こっちのセリフです。 なんでそんなに付き纏ってくるんですか』
男『だって俺は元カノのこと、気になってるんだもん』
元カノ『そういうのいいですから。 迷惑です』
男『迷惑なの?』
元カノ『……男くんみたいなイケメンが私みたいなデブと一緒にいたら変な噂になります』
男『なにそれ? 意味わかんない』
男『俺は元カノとご飯に行きたいって言ってるの。 他の人とか関係ないから』
元カノ『……はぁ。 気持ちは嬉しいです。 でも本当に結構ですから。 放っておいて』スタスタ
男『…………』
男『……なんでだよ。 なんでそこまで自分を卑下するんだよ』
『あんたさー男くんの何なの?』
元カノ『何って…なんでもないですけど』
『あんたにとってはそうかもしれないけどさー。 彼の気持ち少しは考えてみたら? なんであんたみたいなデブが男くんの誘いを断ってんの? 何様?』
元カノ『…………』
『なんで男くんがあんたなんかにゾッコンなのかよく分かんないけどー。 目障りなの、あんた』
元カノ『私、別に何もしてない』
『彼に気がないなら早く彼から手を引いてよ。 私らだって男くんと遊びたいし』
元カノ『だから、私は何もしてないって言ってる』
『何もしなさすぎなんだよ! お前なんかが男くんと一緒にいるところを見るとむかつくんだよ!』
元カノ『…………』ギリッ
男『……あのー俺がなんだって』
元カノ『…………』
『あ……男くん』
男『あんた、ずいぶん的外れなこと言ってんね。 手を引けってなに? 元カノはなんもしてないって言ってるじゃん』
元カノ『…………』
『だ、だって! その子のせいで男くん、あたしたちと遊んでくれないじゃん!』
男『……はぁ。 あのさ、勘違いしないでくれる?』
男『俺はあんたみたいな人嫌いなの。 俺が好きなのは元カノなの』
男『悪いけど、元カノにちょっかいかけるなら俺はあんたを許さないから。 じゃあね』
『なっ……!』
男『いこ、元カノ』
元カノ『…………』
元カノ『…………』モグモグ
男『……なんか違うなぁ』
元カノ『……なんですか』
男『もっとこう、ガッと食べるのかと思ってた』
元カノ『なに、この体型でバカにしてるの?』
男『だから違うよ! あの飲み会の時みたいにおいしそうに食べる幸せそうな顔のイメージがあったからさ』
元カノ『やっぱ馬鹿にしてるじゃん…!』
男『違う違う! そんな修羅みたいな顔がみたいんじゃないよ!』
男『そうやっておいしそうにご飯食べたりさ、素直な人なんだろうなーって思って。 惹かれちゃったんだよね』
元カノ『…………』
男『……ねぇ、元カノ? 俺とさ、付き合ってよ』
元カノ『…………』
元カノ『……あなたみたいなかっこいい人が本気で私なんかを選ぶはずがない』
男『……っ! ふざけんなよ! 俺は本気で言ってるんだ! 勝手に俺の気持ちを断言するんじゃない!』
元カノ『……っ!』
男『俺は! 元カノが好きなんだ! 本心からそう思ってる!』
元カノ『……分からないよ。 男くんがどうして私のことを好きになったのか』
男『俺だってハッキリとは分かんないけどさ! でもそれでもこの気持ちに嘘はない!』
元カノ『…………』
元カノ『……分かった。 お願いします、男くん』
男『……! やっったーー!!』
元カノ『……はぁ、どうしてこんなことになっちゃったんだろう』
男「そうして付き合いだしたのが大学1年の頃だったんだ」
男「俺はまぁ今まで彼女もいたことあったけど、元カノにとっては初めての彼氏だったんだよね」
男「彼女に色々初めての楽しさを教えてあげられたと思うし、俺もなかなか新鮮な気持ちで付き合えたよ」
男「沢山話をして、一緒の時間を過ごして、少しずつお互いのことを知って」
男「うれしかったよ。 すごく楽しかったんだ」
女「……そうなんだ。 きっと元カノさんも幸せだったと思う。 分かるな、その気持ち」
男「そうかな。 でも、彼女はただひとつ、自分にすごく自信がなかったんだ。 それこそ女の比じゃないくらいに……」
……………………
………………
…………
……
『ねぇねぇ見てあの人チョーかっこいい!』
『でも、あの彼女。 ぷっ』
『なんであんなにかっこいいのにあんな女連れて歩いてんの?』
元カノ『…………』ズキッ
男『元カノ、いこ』
元カノ『……うん』
………………………………
男『おいで、元カノ』
元カノ『……や、やだ、私重いよ』
男『全然重くなんかないよ』
元カノ『だ、だめ! 電気、消して』
男『……なんで? 元カノの身体、全部見せて?』
元カノ『……嫌なの。 お願い』
元カノ『……私に、惨めな想いをさせないで……』
男『……元カノ、ちゃんと俺の事、好き?』
元カノ『……好きだよ』
男「俺が甘く、あまーーくしてやっと彼女は自分の殻を開くんだ」
男「彼女の自信のなさは跳びぬけてすごかった。 少しでも言葉の選択を間違えてしまえばいとも脆く崩れてしまいそうなほどに」
女「…………」
男「元カノはもともと体が弱かったんだ。 免疫が弱かったらしい」
男「風邪をひくことは多かったけど、それでも普通のカップルらしく、楽しかったんだ。 だけど、4年になったころに……」
元カノ『げっほげほっ』
男『どうした? また風邪?』
元カノ『……うん、そうみたい』
元カノ『お腹……痛い』
男『お、おい! 大丈夫か?』
元カノ『だ、大丈夫…… ちょっと休めばよくなるから』
男『そうには見えないって! 救急車呼ぶからな!』
元カノ『……うぅっ…… いたい……』
………………………………
男『お見舞いにきたよー!』
元カノ『あ、男。 いててて……』
男『おいおい! 起きるなって! 横になってなよ』
元カノ『……うん、ごめんね』
男『膵炎、だって?』
元カノ『……うん、しばらく入院が必要だって』
元カノ『……私、テスト出られない』
男『……あぁ』
元カノ『……男と一緒に卒業、出来ないや』
男『…………ッ!』ギュッ
元カノ『だめだよ、男? ここ、病室だよ。 怒られちゃうよ』
男『……俺、一年待ってるから。 先に卒業しちゃうけど、仕事も頑張ってお金貯めて頑張るから』
男『だから、お金が溜まったら、結婚しよう』
元カノ『……うれしい』
元カノ『でも、その前にちゃんと単位とって卒業しなきゃね』
男『……うん、頑張るよ。 テストも、就活も、卒論も』
元カノ『……うん、後から追いつくからね』
元カノ『だから泣かないで?』
男『ば、ばか! 泣いてるのは元カノもだろ!』
……………………
………………
…………
……
男『元カノー! 就職決まったよー!』
元カノ『わぁっ! すごい! おめでとう!』
男『これでやっと元カノのお見舞いに毎日来れるぞー!』
元カノ『あはは、卒論もあるし忙しいでしょ? 毎日なんていいよ』
男『……バカ、俺が寂しいんだっての』
元カノ『ふふ、ありがとうね』
元カノ『……早く、……早く退院しないとね』
男『……そうだけどさ。 無理はしちゃダメだろ? ゆっくり、少しずつ、ちゃんと治していこうな』
元カノ『……うん』
……………………
………………
…………
……
元カノ『退院、決まらないね』
男『しょうがないって。 急いだっていいことないだろ』
元カノ『あはは……そうだよね。 ご飯も食べれないからすっかり痩せちゃった』
男『体型気にしてたし、ちょっと良かったんじゃない?』
元カノ『あはは、思わぬところでダイエットに成功しちゃった』
元カノ『……でもこんなに体型変わっちゃったら家にある服着れないや』
男『……あ! じゃあさ! 俺が元カノに似合う服買ってきてやるよ!』
元カノ『……え?』
男『毎日病院のパジャマで飽きただろ? 年頃の子なんだからおしゃれしなきゃ!』
元カノ『……でも』
男『いいからいいから!』
……………………
………………
…………
……
『退院おめでとうございます、元カノさん』
『お大事になさってくださいね』
元カノ『ありがとうございました。 お世話になりました』
『ふふ、すっかり可愛くなっちゃって、ナースさんたちも毎日可愛い洋服着てる元カノちゃんを見るの楽しかったわよ』
元カノ『あはは…… 彼がいつも買ってきてくれたんです』
元カノ『私も、こんなにかわいいお洋服着たの、初めてです』
男『…………』ポリポリ
『ふふ、いつまでも仲良くね』
元カノ『はい』
男『ありがとうございました』
男「たぶん、それが始まりだった」
男「女が痩せて、かわいい服を着て、メイクもするようになって」
男「可愛くなれたことで徐々に自信がついてきたんだと思う」
女「…………」
男「いい変化だったよ」
男「前にもまして彼女の笑顔が眩しく感じるようになって、本当にうれしかった」
男「あんまり外では手を繋ぎたがらなかったりしてたのに、そういうのもなくなって、本当に自分の殻を捨てられたんだと思う」
女「よかった……」
男「……うん、そうやって楽しい時間は過ぎていって、俺も大学を卒業して仕事をするようになって……」
男「最初は本当にきつかったけど、段々それにも慣れてきてさ。 彼女は彼女の方で仕事も一段落したみたいだったし、俺は貯金も頑張ったから頃合いかなって思ったんだ……」
男『ねぇ、元カノー』
元カノ『んー? どうしたのー』
男『俺さー仕事頑張ったよ』
元カノ『そうだねーいつもお疲れ様』
男『お金も溜まってきたよ』
元カノ『うんうん、偉い偉い』
男『だからさー、前も言ったけどさ』
元カノ『んー?』
男『……結婚しよ』
元カノ『…………』
男『まだ元カノが仕事でばたばたしてるのは分かってる』
男『でも、俺が1年前、元カノに支えてもらったように、俺も元カノを支えたい』
男『この5年近く、一緒に色々な季節を見てきたように、元カノのことを見ていたい』
男『俺がいることで元カノの不安や悲しみを和らげてあげられるなら、一緒にいてあげたい』
男『なによりも、俺が誰よりも元カノと一緒にいたいと思ってる』
元カノ『……ふふ』
元カノ『……うれしい、本当にうれしい』
男『……! じゃあ!』
元カノ『……うん、こちらこそ、不束者ですがよろしくおねがいします』
男「元カノの仕事の方が本当に落ち着いた時、籍を入れようと思ってたんだ」
女「…………」
男「で、ある時の週末、ちょっと2人でご飯食べて、帰ってたんだよ」
男「……そっからのことは、前に話しただろ?」
男「……飲酒運転の車が元カノだけ轢き殺したんだ」
男「……そっからのことはよく覚えてないんだけどね」
男『あはは、飲みすぎだよ元カノ』
元カノ『だってやっと企画が終わったんだもーん! 今日くらい飲んでも罰当たらないよー!』
男『じゃあさ、本当に』
元カノ『うん、籍、いれよっか』
男『……いよっしゃー!!』
元カノ『あははーなんか照れるね』
元カノ『男の苗字、慣れるかな』
男『ゆっくり慣れていけばいいだろ?』
元カノ『うん、そうだね。 男と一緒の名前になれるの、うれしいな』
男『んっ』スッ
元カノ『なに、その手―?』ニヤニヤ
男『手、繋ご?』
元カノ『あははーわーい』
元カノ『……男、大好き』
男『あぁ、俺も大好きだよ』
元カノ『うへへー嬉しいのだー』
男『なんだよそれ』
元カノ『愛してるよ』
男『……ッ!!?』
元カノ『えっ……?』
キキーーーーーーーーーーーーー!!!!!
バァン!!!
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!
男『……は?』
男『元カノ……?』
男『元カノ……? おい…… なんで……』
男『……なんでっ……!』
男『……今まで手を繋いでたのに…… なんでだよおおおおおおおお!!!!!!』
『遺体の損傷がかなり激しいのですが、それでもお会いになられますか』
男『会う!! 会うに決まってるだろ!!!』
『形成の方で可能な限り復元は致しましたが…… お身体の方は難しく……』
男『あっ…… あぁっ…… 元カノ……』
男『元カノ…… 結婚しようって言っただろ……一緒に幸せになろうって…… 言っただろ』
男『俺の苗字になれるって喜んでただろ…… なぁ……』
男『……もう一度、愛してるって……言ってくれよ……!!』
『こんなところで初めて会うことになるなんて…… ごめんなさいね』
『いつも、元カノがお世話になってました』
男『いえ……』
『昔からあの子はあんまり話をするのが好きじゃなくてね』
『体型のこともあっていつもあんまり学校のこととか話してくれなかったんだけど』
『あなたのことは…… いつも素敵な人と出会えたって…… パッと笑顔になってすごく喜んで話をしていたの』
『ありがとう、あの子に幸せな思い出をくれて』
男『~~~~っ!!!』
男「俺は後悔してるんだ。 俺があの子と付き合わなければ彼女は死ななかったんじゃないかって」
女「……そんなこと!」
男「分かってる。 そんなこと言ったって始まらないことくらい」
男「でも、もっと違う形で彼女をもっと幸せにして挙げられたんじゃないかって今でも反省してる」
女「そうかな」
女「私は、きっと元カノさんはこれ以上にないくらい幸せだったと思う」
男「…………」
女「この先何が起こるかなんて、誰にも分からない。 ただ元カノさんが男からもらった幸せはきっとずっとあって」
女「そのあと何かが起こったとしても幸せだったものはなくならない!」
男「…………」
女「だって! 元カノさんの笑顔が! 言葉が! 何よりも幸せだったってことでしょ」
女「男も、その時の元カノさんの表情、声色、全部覚えてるでしょ!」
男「……あぁ、覚えてるよ」
男「……全部、全部覚えてるんだよ……」ギリッ
女「……話してくれてありがとう」
男「……うん」
女「…………」ギュッ
男「一緒に、寝ていいか」
女「もちろん」
男「…………」
………………………………
……………………
………………
…………
……
男(ごめんな、元カノ)
元カノ(やめてよ。 そんな顔でもう私の名前を呼ばないで)
元カノ(どうして夢の中で私と会うといつもそんな顔をするの)
男(それは…… 俺のせいで元カノが……)
元カノ(ううん、違うよ男。 あなたはもう笑ってるじゃない)
元カノ(もうあなたの心は違う子に移ってるでしょう?)
男(……俺に、そんなことが許されるのか?)
元カノ(……もう。 私のことが足枷になっちゃうのは分かるよ)
元カノ(私にとって、あたなといた時間がかけがえのないもので、幸せで、大切で…… 本当に男には感謝してもしきれない。 それはずっと変わらないよ)
男(あぁ、俺もだよ。 はじめて心から愛してるって言えたんだよ)
元カノ(でもね、私たち、もう新しい思い出は作れないの)
元カノ(それなのに私のせいで、男があの子に引け目を感じちゃうなんて…… 私にしてみれば残酷で悲しいものだよ)
男(…………!)ギリッ
元カノ(もう、そんな顔しないで。ごめんね、私は男からの愛情、沢山受け取ってたよ)
元カノ(大好きだったよ、男)
男(あぁ、俺も大好きだったよ……)
元カノ(……私を想ってくれたみたいに、次はあの子を想ってあげてね)
男(あぁ…… 任せろ。 元カノの分まで…… 幸せにさせて見せるから…!)
男「…………」パチッ
女「……おはよう」
男「……女」
女「……うん?」
男「……幸せに、させるからな」
女「……うん、元カノさんの分まで、2人で幸せになろうね」
男「あぁ…… あいつもそれを望んでたよ」
女「うん」
男「……くしゅん」
女「んー?」
男「あれ……女の風邪がうつったかな」
女「……えぇー」
恐らく今日は終わります
夜にまた書く、かも
女「……男、帰ってくるの遅いな」
女「最近いつも仕事で遅い」
女「クタクタで帰ってきて、ご飯食べて、お風呂入ってすぐ寝ちゃう」
女「……男にプロポーズされて、元カノ産の事も知ってキョリももっと縮まったのにな」
女「なんかまた距離が遠くなっちゃったよ」
女「……男。 早く帰ってきて」
女「寂しいよ…」
女「早く帰ってきてよー…… 一緒にお風呂入ろうよ」
女「……ご飯も冷めちゃうよー?」
女「……私寂しいんだよー? 学校終わってからずっと待ってるんだよー?」
女「最近一緒にご飯食べて寝るだけだなー…」
女「やっと生理終わったのに…… エッチするの我慢してたんだよ?」
女「……なのにキスもしないで寝るだけじゃ寂しいよ」
女「……私のことも見てよ男」
女「……ん…」
女「一人でするの、久しぶり」
女「……ぁ…きもち、いい」
女「……あぅ……はっ…あんッ…!」
………………………………
女(一人で久しぶりにした)
女(確かに気持ちよかったし少し欲求不満というやつも解消できたかもしれない)
女(でもそれにはもちろん愛なんて感じられなくて、ただ虚しさだけが募った)
女(恋人なら当然のように重ねる身体。 感じられる愛情)
女(それがなくて…… 逆に男をもっと感じたいという気持ちばっかり強くなっちゃった)
女(手、洗おう)
男「……ただいまー」
女「あっ…! おかえりなさい男!」
男「おーう…… つっかれたぁー」
女「……お仕事お疲れ様。 カバン、持つよ」
男「わー…ありがとー」
女「……はい、スーツ脱いで?」
男「いいよ、自分でやるから」
女「ううん、男仕事で疲れてるでしょ? 私、何もできないからせめてこれだけでも……」
男「いいってば……はぁ」
女「…………!」ズキン
男「……あー…… 本当疲れた」
女「そ、そうだよね…… もうこんな時間だもんね。 お仕事、大変だった?」
男「そりゃねー…… あーねむ」
女「……ご飯、あるよ? 今温めるね」
男「……あーごめん、腹減ってないからいいや」
女「……え?」ズキン
男「風呂、入ってくるわ」
女「……あ、うん。 湧いてるよ」
男「……じゃ、お先ー」
女「…………」
女「一緒に、入らないんだ……」ズキン
男「じゃ、おやすみー」
女「……おやすみなさい」ズキン
男「ふぁぁぁ~…… zzZ」
女「…………」
男「……zzZ ……zzZ」
女(おやすみのキスもなしなの)
女(抱きしめてもくれないの?)
女(……本当はエッチだってしたいんだよ?)
女(今日、一緒に暮らし始めて、初めて一人でで慰めたんだよ?」
女(ねぇ、本当に私の事、好き、なんだよね?)
……………………
………………
…………
……
ザーーーー
女「……雨」
友女「すごい雨だねー」
同女「雷も降るらしいよ今日」
友女「えぇー!? 雷はいやだよー」
同女「私なんか傘持ってきてないよ最悪……」
女「……男、傘持って行ったかな」
友女「女ちゃん? どしたの?」
女「あ、ううん。 なんでもない」
友女「あーあー。 今日遊び行こうと思ってたけど、早く帰ろっか」
同女「花の金曜日ってやつなのにな。 残念だわ」
女「……うん、そうだね」
友女「また週明けに遊ぼうね!」
同女「うぃーっす」
女「うん」
友女「ばいばーい」
同女「じゃあなー」
女「またね」
…………………………
女「……今日は雨で寒いから、温まるお鍋にしよ」
女「男、お豆腐嫌いだからお鍋には入れないでおいた方がいいかな」
女「……金曜日で今週は仕事終わりだし…… 男頑張ったご褒美にお肉いっぱい入れよう」
女「……ふふ、喜んでくれるかな」
女「あ、あとはYシャツのアイロンがけしなきゃ」
女「……お風呂は、あとで沸かすから。 あ、入浴剤新しいの買ってからそれにしようかな」
女「今日は金曜日だもんね。 明日はお仕事ないし、ゆっくり、できるかな」
女「……早く、帰ってきてほしいな」
男「あーーーやっと仕事終わったぁぁぁ」
同僚「死ぬ…… マジで死ぬ……」
男「なにこの忙しさ……? 頭おかしいだろ死ぬわ」
同僚「……俺、よく耐えきった。 残業代2倍出してほしいくらいだわ」
上女「よーしお前らお疲れ」
男「あ、上女さん…… お疲れ様です」
同僚「上女ぉー! 大変だったんだよぉー」
上女「分かってる分かってる。 今日は私の驕りだ、飲みに行くぞ」
同僚「いやっほおおおお上女愛してるううう!!」
上女「黙れ! 声がでかい!」
男「あはは…… じゃ、ご馳走様です上女さん」
上女「うん、いくぞー? 今週の疲れを吹き飛ばすのだー!」
…………………………
「「「かんぱーーーい!」」」
同僚「かぁー! 仕事終わりの一杯はうめーなー!」
上女「それ同感。 なんでこんなにおいしいんだろうなー」
男「体に染みるわぁ」
上女「うわ、じじくさいぞ男」
男「や、やだなぁやめてくださいよ」
同僚「上女には言われたくないってよ?」
上女「……なにぃ?」
男「言ってない! 言ってないですって!!」
上女「上司に向かってそれは酷いんじゃないかー?」
男「だから言ったのは同僚ですって!」
同僚「いやいや? 俺そんなこと言わないよなぁ?」
上女「……まぁ思ってなかったらさっきのセリフは出てこないよな?」
同僚「……え? いやいや…… 待ってよ、なんで怒ってんの?」
同僚「ねぇ、ごめんって! ごめん! ごめんよ上女様ぁ!!」
男「……上女さんと同僚、本当に仲いいっすね」
同僚「まぁもう付き合ってるしなー?」
上女「う、うむ……」
男「ぷはっ! 上女さんが顔赤い!」
同僚「こいつ照れ屋なんだぜー? 仕事だとキビキビしてんのにプライベートだと意外と……
上女「同僚ー? お前それ以上言ったらどうなるか分かってんだろうなぁー?」
同僚「っていうギャップがいいんだよなーあはははは」
男「……結局お前が尻に敷かれてんじゃねえか」
上女「……ごほん。 で、お前はどうなんだ? 新しい家族は」
男「……あぁ、上女さんには少し話しましたよね」
男「俺、プロポーズしちゃいました」
同僚「ブフウッ!!!?」
上女「……あぁ」
同僚「ぷ、プロポーズってお前マジ? 17歳だろ確か? しかも従兄妹」
男「あぁーそうなんだよ」
同僚「高校生相手にプロポーズとかロリコンかよお前」
男「……うっせぇな」
上女「おい、やめろ同僚。 その言い方は失礼すぎるだろう」
男「いや、いいんですよ。 俺らの関係は傍から見たら明らかに問題ですし」
男「それでも、俺は幸せにしたいって思ったんですよ。 ほかの誰でもない、俺があいつを守ってやらないとって」
上女「……そうか。 お前もついに吹っ切れたか」
男「はい」
上女「……。 よし、なら飲め飲め! お前の彼女のこと洗いざらい話してもらうぞ!」
同僚「夜のこととかもな! っかかか!」
男「……それは勘弁してくれー」
…………………………
女「……今日は男本当に遅い」
女「……日付も変わったのに連絡の一つも来ない」
女「……まだかなー」
女「寂しいなぁー……」
ドガアアアアアアアン!!!
女「ひっ……!?」
女「雷……? やだ…… もうやだぁ……」
女「男……早く帰ってきてよ…」
ドガアアアアアアアアアン!!!
女「……うぅ」
女「……ばか」
女「…………」
男「ただいまー……」
女「…………」
男「あれー? 女ー?」
女「…………」
男「……どしたの電気もつけずに」
バアアアアアンッ!!!
女「…………」ビクッ
男「おーい? 女ちゃーん?」
女「…………」
男「なんだよーおーい」
女「……お酒くさい」
男「そりゃー飲んできたからね」
女「…………」ズキン
女「……一言、言ってくれてもいいのに」
男「え? なに? 聞こえないよもっとはっきり喋って」
女「ちゃんと連絡しt
バアアアアアアアアン!!!!
女「……っ!」
男「なんだって?」
女「……もういい!!!」
男「……!?」
男「な、なに怒ってんだよ」
女「……私がどんな気持ちで毎日待ってたか」
男「…………」
女「……いつも仕事終わるの遅くて、連絡もなくて」
女「……お仕事が大変なのは分かる」
女「……でも私だって、男の役に立とうと頑張ってるの」
男「…………」
女「……なのに、ご飯はいらないとか、外で飲んできたとか」
女「……私がいるのに、私の事全く見てくれない……」
女「……私はいてもいなくても変わらないの…?」
バアアアアアアアアアアアアンッ!!!
女「……っ! ねぇ私は、男にとって必要な存在なの…?」
男「……ごめん」
男「……ごめん。本当に」
女「……ごめんだけじゃ、分からないよ……」
男「…………」
女「……私は、男の考えてることが…分からないよッ…!」ポロポロ
女「……私、男の好きなお料理、毎日作って待ってたよ?」
男「…………」
女「……いつ帰ってきても食べられるようにしてるんだよ?」
男「……あぁ」
女「……でも先にお風呂入りたがるかもしれないからね? お風呂も沸かしてるの」
男「……そうだな」
女「……お家に帰ってきたとき、最初にスーツを脱ぐでしょ? そのお手伝いするの、好きなんだよ?」
男「……うん」
女「……いつもかっこいい男でいられるように、シャツもアイロンがけして待ってるよ?」
男「……うん」
女「男がただいまって言ったら、すぐにおかえりって言えるように、楽しみに待ってるんだよ?」
男「…………」
女「……なにより、私は男といられる時間を、なによりも大切に思ってるんだよ?」
女「……なのに…… なのにさぁ……」
女「……男は、帰ってきてから私の事、一切見向きもしてくれないの……?」
男「…………」
男「……悪かった。 女に寂しい思いさせちゃったな」
女「…………」
男「仕事のせいにして、女と向き合えてなかった」
女「…………」
男「連絡もせず、遅くなったり、飲み会にいってごめん」
女「……いいよ」
男「おいしいご飯、作って待っててくれてありがとう」
女「……うん」
男「いつもスーツ姿かっこいって言ってくれて嬉しい」
女「……かっこいいよ」
男「……小走りで、最高の笑顔でおかえりって言ってくれていつもありがとう」
女「……うん」
男「……女と婚約して、仕事もっと頑張らなきゃって一人で焦ってた」
男「本当は今なによりも大切にしなきゃいけないのは女のことなのに」
女「……ううん」
男「……これからはちゃんと女の事一番に考えるから」
男「だから、ごめん」
女「…………」コクン
バアアアアンッ!!!
女「……ひっ!」
男「はは…… 雷怖いのに、1人にさせてごめんね」
女「……本当だよ? 怖くてしょうがないのに」
男「……悪い」
女「……ばか」
男「今日はずっとイチャイチャしよっか」
女「……うん」
男「キス、してもいい?」
女「ふふ、なんでわざわざ聞くの?」
男「だって、さっきまで女怒ってたから」
女「……もう怒ってないよ」
男「ほんと?」
女「……うん」
女「初めて、男と喧嘩したね」
男「だな」
女「……ごめんね。 重たい彼女で」
男「全然重たいなんて思わないよ。 俺こそ寂しくさせちゃってごめん」
女「うん…。 今日いっぱい男を感じさせてくれたら許してあげる」
男「おう」
女「……だから、いつもより優しく、あまーくして?」
終わります
見直さずに一気に書いたので変だったらすいません
仕事が忙しくてなかなか更新できず申し訳ない
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