P 「幸いけが人なども出ず、その後は何事もなかったかのように数日が過ぎた」
P 「しかし――」
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P 「おはよう…ってどうした?なんか事務所が異様な雰囲気に包まれてるけど」
池袋晶葉 「プロデューサーか!聞いてくれ、大変な事態になったぞ」
P 「なんだよ、いつになく焦ってるじゃないか。どうした」
晶葉 「みんなが…みんなの体に…異変が起きているんだ」
P 「異変ってなんだよ」
晶葉 「例えば蘭子だが…突然翼が生えてきた」
P 「…翼が?」
晶葉 「そうだ、衣装などではない本物の翼が…蘭子の背中から生えてきたんだ」
晶葉 「私も色々調べてみたがどうしても原因が分からなかった。そこで最近何か変わったことがないかと考えたら…あの隕石だ」
晶葉 「恐らく隕石が落ちたことでこの付近に影響が出たのだろうが、そう決めるにはあまりにも情報が少なすぎる。早くなんとかしてあげないといけないのだが…」
P 「……あのさ」
晶葉 「ん?」
P 「別にそのままでもよくね?」
晶葉 「どういうことだ?」
P 「いや蘭子に翼だろ?別に不自然じゃないし何ならマッチしてるぞ」
晶葉 「そういう問題じゃないだろう!何の前触れもなく翼が生えてきたんだぞ?異常事態じゃないか!」
P 「そりゃ異常事態かもしれないけどさ、別にものすごく困るってわけでもないし」
P 「つーかすごい便利じゃん!飛べるからライブとかも最前列で見れるぞ」
晶葉 「なんだその活用法は!そもそも翼が生えてるって言っても飛べるわけではないんだからな!」
P 「なんでだよ」
晶葉 「一対じゃなくて、一枚しか翼がないんだ。飛べるわけが…」
P 「相性抜群じゃねーか!蘭子に片翼ってそれもうベストマッチだぞ」
晶葉 「ビジュアル的な相性の話は今してない!分かってるのか?当の蘭子はそれで喜ぶどころか泣いてたんだぞ」
P 「もうパーフェクトだろ!蘭子のいでたちに片翼が付いて涙浮かべてるなんてもはや一枚の絵として完成度が高すぎるぞ」
晶葉 「だからそういう問題ではないと言っているだろう!それにだな、さっきも言ったように他のアイドル達も影響を受けてるんだぞ」
P 「例えば?」
晶葉 「そうだな…雫には角が生えてきた」
P 「角?」
晶葉 「そう角だ…のんびりした雫もさすがにこれはこたえたらしいな」
P 「……ちょっと待ってくれ」
晶葉 「どうしたんだ?」
P 「その、なんだ…この場合むしろ、角があるほうがいいまであるというか」
晶葉 「何かとんでもないこと言い出したぞ!」
P 「いやね、雫はそんな頻繁にツノ付けてるわけじゃないけどそれでもイメージが強いというか、あまりにも似合いすぎてるというか…」
晶葉 「落ち着け、戻って来るんだ!カムバック!」
P 「何だよ、あとちょっとで扉が開きかかってたのに」
晶葉 「非常時なのに何新しい趣味を開拓しようとしてるんだ!そういうのはしかるべき本を買ってやれ!」
晶葉 「今度は少し毛色が違う話だが…春菜には「3つめの目」が現れた」
P 「3つめの?」
晶葉 「そうだ、額に突然現れたらしい」
P 「…それは大変だな」
晶葉 「やっと事の重大さに気づいたか…」
P 「さすがに三眼用の眼鏡なんて作ったことないだろうし」
晶葉 「どこの心配をしているんだ!」
P 「春菜も色々特注してきたみたいだけど、これ今までのとはわけが違うしなぁ」
晶葉 「いくら春菜でもこの局面で真っ先に眼鏡の心配はどうなんだ…そもそもその「3つめの目」は眼鏡必要ないぞ」
P 「え、マジで?」
晶葉 「むしろ色々な物が見えすぎると言っていたぞ」
P 「例えばなんだ?人の本音とかか?」
晶葉 「まあそんなところだろうな」
P 「大変だな、できることなら代わってやりたいわ」
晶葉 「…なんだかんだと言っていても、プロデューサーだものな」
P 「そしたらその目の力であとくされなく一夜を過ごせる女を探して…」
晶葉 「何に使おうとしてるんだ!」
P 「でもさ、実際手っ取り早いじゃんかたっぱしから声かけるよりは」
晶葉 「そういうのはもうしかるべき店に行け!プロデューサーなんだから『アイドルの素質がある女の子を見出す』とかそういうのでいいだろう!」
P 「いいよ、俺はそういうのがなくたって最高のアイドル達を発掘してきたわけだし」
晶葉 「さっきの流れから続けられてるせいで全然伝わってこないぞ!」
晶葉 (まったく、プロデューサーは話を聞く気があるのか。こんな大事になっているというのに…)
晶葉 (いや待てよ……なるほど、そういうことか)
晶葉 「少しいいか、プロデューサー」
P 「なんだよ急に」
晶葉 「……これまでの話は全部ウソだ。今度事務所の総力を挙げたドッキリ企画をやるから、その予行演習をプロデューサーでさせてもらったんだ。ちょうど隕石が落ちたからそれに合わせてシナリオを書いたんだぞ」
P 「いや、意味がよくわからないんだけど」
晶葉 「そんなことを言っても本当はわかっていたんだろう?そうでないなら、真っ先に私の下半身がヘビになってることにリアクションを見せたはずだからな」
P 「…」
晶葉 「さあ聞こうじゃないか、いったいなぜ私の異変について言及しなかったんだ?」
P 「いやー、研究や発明をする分には別に問題ないかなって」
晶葉 「どうしよう、プロデューサーという人間が分からなくなってきた」
以上です。
前作 早坂美玲 「プロデューサー!天井に誰かいるぞー!」
早坂美玲 「プロデューサー!天井に誰かいるぞー!」 - SSまとめ速報
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