モバP「だりやすかれんの待ち合わせ」 (39)
―――じんぐるべーな駅前広場
ざわざわ……
がやがや……
加蓮「――はぁ、さむぅ……」
加蓮(早く着すぎちゃったかなー。周りカップルだらけ……孤独感やばー)
加蓮「んー……」
加蓮(2人ともまだ来ないだろうし、かと言ってうろうろしてたらすれ違いになっちゃいそうだし……)
加蓮「……暇ぁ」ポソ…
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加蓮(誰かー、私の話し相手になってー。あ、カップルはご遠慮願いまーす――ふあ)ムズ…
加蓮「くちゅんっ」
「――んあ? あれ、もしかして……北条か?」
加蓮「へ――」
加蓮(やばっ、一般人にバレた……!?)
「っと、マスク着けてたら分かんねぇか」
加蓮「……ナンパならお断りなんだけど」
加蓮(くしゃみでバレるとか間抜けすぎるでしょ私! とにかく追っ払って……!)
男子「えーマジかよ……。忙しくて学校に中々来れねーの分かるけど、クラスメイトの顔くらい覚えててくれよな」
加蓮「え。…………あっ」
男子「――北条、この辺に住んでんだな。知らんかったわ」
加蓮「ううん、私こっちじゃないよ。今日は……ほら、知ってるでしょ、李衣菜と泰葉。2人と待ち合わせなの」
男子「おー。リーナちゃんに泰葉ちゃんか! アイドルと待ち合わせとかすげー」
加蓮「……私もアイドルなんですけど?」
男子「あーわり、そーだったな。いや、クラスメイトがアイドルって実感わかねーじゃん?」
加蓮「ふふ、そういうもの? ……ていうかごめんね、ナンパと間違えちゃって」
男子「気にすんなって、いきなり声掛けたオレも悪かったよ。くしゃみ聞こえてなんだと思ったら北条でビビった」
加蓮「この人混みならバレない自信あったんだけどなー」
男子「気づくまで完全に見えてなかったわ……目の前に急に現れたんかと」
加蓮「あはは、でしょ? 泰葉直伝の『芸能隠遁術』ってやつ。ほんとはちょっとくらい声出しても気づかれないんだけどね」
男子「なんだそりゃ。アイドルって忍者かなんかなのか」
加蓮「忍者ね……あ、そだ。忍ドルって知ってる? 浜口あやめちゃん」
男子「あー、何度か見たことあんな。あれだろ、分身の術っつってCG使ってパフォーマンスする」
加蓮「……ほんとーに、CGだと思う?」
男子「は? ……え? マジかよ。……マジなの?」
加蓮「あははっ♪ さぁね、事務所違うし私は知らないよ。ていうか信じたの? ウケるー」
男子「なっ、どっちなんだよ! おめーのマジックみたいな登場の仕方見たら誰でも信じるわ!」
加蓮「ふ、ふふっ……♪ 少なくとも私のはマジだよ、そういう呼吸みたいのがあるの。周りに溶け込むように、流れに逆らわないように」
男子「いまいち信じられねー……。いやでも実際声聞くまで気づかなかったしな……」
加蓮「今だってそうだよ、周りの人みーんな私に気づかないでしょ?」
男子「え、………………たしかにそうだな……。なんなんだよこえーよ芸能界……」キョロキョロ
加蓮「わりと日常に溶け込んでるんだから、芸能人。みんな気づかないだけで」
男子「マジかよ……よく探しゃ見つかるのか、アイドルも。あの高垣楓とか」
加蓮「あー、楓さんね。無理じゃない? 大手の所属だし。徹底してるよ」
男子「んなバッサリ」
加蓮「あの美城プロのアイドルだよ? 本気出されたら業界人にだって捕まんないと思う」
男子「……やべーな美城プロ」
加蓮「うん、やばい。泰葉が美城出身じゃなかったら私もここまで気配消せないしね」
男子「気配消すとかゲームの世界か」
加蓮「今さらそれ突っ込む~?」
男子「オレも消してーな気配」
加蓮「んじゃ呼吸法教えたげる。私に続いてー」
男子「え、教えてくれんの? よっしゃ」
加蓮「せーのっ、ひっひっふーひっひっふー」
男子「ひっひっ――ん? ……てめこら北条」
加蓮「あっはは♪ 教えるわけないでしょー」
男子「からかってんじゃねーだろうなお前……もう全部ウソくせーぞ」
加蓮「ウソじゃないって、私を見つけられたのは偶然。たまたま至近距離で、たまたまクラスメイトで、たまたま私がくしゃみして油断したから」
男子「そんな奇跡が起きたのかよ10分前に……。余計信じられねぇ」
加蓮「クリスマスの奇跡じゃん、ロマンチックぅ」
男子「うるせぇよ。こうなりゃ次も北条のこと見つけっからな」
加蓮「ふーん? できたら褒めてあげる。もう一度人混みに紛れたら絶対見つけられないから」
男子「言いやがったな……今からぜってー目ぇ離さねぇ」
加蓮「あー、彼女持ちがそーいうこと言うんだ? ヒドい男ー」
男子「言いたい放題言いやがって……! ……ん? なんで彼女いるって知ってんだ」
加蓮「え? 逆にクリスマスの夜にツリーの前に来る人が彼女無しってなんなの?」
男子「……そりゃそうだ」
加蓮「そういう憐れな人間はナンパ仕掛けてるでしょ。……もしかしてほんとにナンパ?」
男子「憐れって前提しといて聞くなよ……。ああそうだよ彼女と待ち合わせだ」
加蓮「そ。じゃあこれから『お楽しみ』なわけだ」ニヤニヤ
男子「ぶはっ!? てめー北条、んなこと言うかふつー!?」
加蓮「ん、違うの? だって……ねぇ?」
男子「ちげーわアホか! ねぇ、じゃねーし! アイツ門限あるからその前に帰すわ!」
加蓮「あ、意外と清い交際なんだ。ざんねーん」
男子「残念って……!」
加蓮「ふふ、てっきりてっきり。結構顔イケてるしとっかえひっかえかなって」
男子「失礼か! イメージで売ってるアイドルがそんなんでいいのかよ!」
加蓮「今オフだもん。興味ない方がおかしくない?」
男子「頭いてーよ今オレ……」
加蓮「ごめんごめん。でも大事にしなよー、クリスマスだけのカップルとか寂しいよー?」
男子「もう半年以上付き合ってっから! はぁ、お前なんなんだよ……」
加蓮「頑張れ若人っ」
男子「うっせぇ! おめーも若いだろうがっ」
加蓮「しょうがないでしょ、恋愛できない分他人の恋路が気になるの」
男子「! あー……そうだよな……。わりぃ」
加蓮「いいよ、気にしないで。気遣いもできるとか心までイケメンじゃん」
男子「口の減らねぇアイドルだな……!」
加蓮「私はね、私のことしつこいくらい想ってくれる人がタイプかなー。顔はそこそこでいいから♪」
男子「聞いてねーし……二重の意味で」
加蓮「…………Pさん今なにしてるんだろ?」ボソッ
男子「あ? なんか言ったか?」
加蓮「んーん、李衣菜と泰葉遅いなーって」
―――事務所
P「――ぶえっくし! あーもう、埃すごいな……。来年からはこまめに掃除しよう……」ゴシゴシ…
ちひろ「大丈夫ですかー? あ、雑巾取ってくださーい」
男子「そういやどのくらい待ってんだ?」
加蓮「んー……今40分経った。そろそろ来ると思うけど」
男子「……お前来るの早すぎじゃね?」
加蓮「だって待ち合わせって楽しくない? わくわくするじゃん」
男子「しねーよ。遠足前日の小学生か」
加蓮「……あー、これが遠足前の気持ちなんだ……!」
男子「なんで嬉しそうなんだよ……分かんねーな北条って」
加蓮「ふふ、私にも色々あるの。そっちこそクリスマスデートで舞い上がって早めに来たんじゃないの?」
男子「…………わりーかよこのやろう」
加蓮「ふふふ♪ ……ここに集まってる人みんな、誰かを待ってるんだよね」
男子「ん、あぁ……そうなんじゃね」
加蓮「ここにいる人、ひとりひとりに……大切な人がいるんだよね。……いいよね、そういうの」
男子「な、なんだよ急に……。芝居のセリフか?」
加蓮「…………ふふ。うん、お芝居の話。信じて待てば、期待に応えてくれる。……大切に想ってる人たちが、同じように私のことを想ってくれる」
男子「ん、お、おう……?」
たたたっ……
李衣菜「お待たせ加蓮ー。今日は何分待った? いつも早いよー」
泰葉「ふうっ――ふふ、クリスマスだしいつもの倍は早く来たんじゃない?」
加蓮「――それって、すごく単純だけど。だからこそとっても嬉しいんだよね♪」
男子「お、おおお……! おおおお……!!」
加蓮「やっほー。今日も待ったよー、暇つぶしの相手いたけど。一応紹介、こっち李衣菜でこっち泰葉ね」
李衣菜「…………」
泰葉「…………」
男子「ど、ど、どうもっす。…………え、マジかよ本物……!?」
「「…………加蓮の彼氏……!!?」」
男子「いやちげーっす、全然違うっす!! こいつとはクラスメイトで、たまたま、そうたまたま偶然!」
李衣菜「え、あ、そ、そうなんですか! いつも加蓮がお世話になってますっ」
泰葉「うちの加蓮がいつもいつもご迷惑を……!」
男子「とんでもねーっすマジで、いやほんと! うおおお本物のリーナちゃんと泰葉ちゃんだマジかよ!!」
加蓮「は、はいはい落ち着いてみんな。特にアンタ」
男子「あ、お、おおおわりぃ、うああああ写メりてぇ……! ちょ、3人並んでくれ頼む! エバーリースだ本物だ!」
加蓮「うっさい黙れ」ゲシッ!
男子「いってぇ!?」
泰葉「え、えっと……」
李衣菜「あはは……」
加蓮「いきなり写メとか失礼でしょーが」
男子「わ、悪かったっての……蹴るこたねーだろ。じ、じゃあサインは……」
加蓮「撮影もサインもダメ、事務所の許可いるの。ていうか箱推しなの?」
男子「い、いいだろ別に! テレビとか見てっと北条、学校じゃ見せねーような顔するしさ……クラスのやつらもみんなファンなんだよ、エバーリース」
泰葉「ふふ、ありがとうございます。それじゃ、握手なら……」
李衣菜「うん、加蓮のクラスメイトさんなら特別にっ」
男子「おお、おおおお! マジかよやっべ、うわああああざっす! あざっす! ……うおおおやわらけぇ!」
加蓮「はぁ、もー……。彼女に見られたらどうすんのアンタ……」
男子「大丈夫だよ、まだ待ち合わせの時間じゃねーし。……浮気じゃねーぞ、うん」
李衣菜「あ、彼女さん待ちなんですか? へへ、クリスマスデートだ♪」
泰葉「いいですね……♪ イルミネーションとか見に行かれるんですか?」
男子「あ、ああ! やべーこのテンションのまま会ったら色々やば――」
とてとて……
女子「…………」ピタッ
男子「い、わ……。……………………」
加蓮「あれ、たしか隣のクラスの。……あっ」
女子「…………」
男子「…………」
女子「…………」
男子「…………」
女子「うわ、き……?」メソ…
男子「っっっっだああああああ違う違う違うごめんちげーんだ誤解だ!!!」
加蓮「すごーい。なにこのタイミング~」ケラケラ
泰葉「こ、こっちから弁解した方がいいんじゃ」
李衣菜「絶対やばいやつだよこれ……」
女子「ね。だぁれ? この子たち」ゴゴゴ…
男子「よっく見てくれ!! ほら! オレのクラスの! 北条! 北条だよ!」
加蓮「こんばんはー。ちょっとあなたの彼氏借りてたの、ごめんね?」
女子「あ、どうも。……え、北条? ほう、じょう……ん、んん……?」
加蓮「そ、北条加蓮だよー。ふふふっ♪」
女子「…………北条加蓮ちゃんだ!? え、なんで!?」
男子「で、で、で! こっち、じゃねぇこちらがっ、多田李衣菜ちゃんと岡崎泰葉ちゃん! 知ってっだろ!? お前も好きだって言ってたじゃん!」
李衣菜「す、すごい必死……。あ、初めまして。多田李衣菜です」
泰葉「お、岡崎泰葉です……あはは」
女子「ふえええええ!? 本物だー!? エバーリースだああああ!!?」
女子「あわわわわ写真撮っていいですかサイン、サインダメですか! あ、ああ握手!」
李衣菜「あ、ご、ごめんね写真とサインは許可取らないと……握手なら大丈夫だよ」
女子「はぁぁぁああああリーナちゃんだっ、あああやわらか、かわいい、ちっちゃい、わあああヘッドホンだぁ! 泰葉ちゃんもいいですか、あ、あっあああ!!」
泰葉「ふふっ、はいどうぞ♪」ギュッ
女子「やあああああかわいいいいい(ry」
加蓮「似た者同士お似合いなんじゃない?」
男子「……褒め言葉として受け取っとく」
女子「か、加蓮ちゃんもいいっ!?」フーッフーッ
加蓮「ん、どーぞ。……ハグもオマケしちゃう♪」ムギュ
女子「ヒョッ」
女子「」チーン
男子「あああ!? 魂抜けた! なにしやがる北条!」
加蓮「あはっ、この子かわいー♪」ギュー
女子「あう、あぅ、あぅあぅあぅ……!!」
李衣菜「……加蓮、クリスマスだからテンション高いのかな?」
泰葉「ふふ、さぁ?」
女子「――はぁぁ、しゃーわせ……最高のクリスマスプレゼントもらっちゃったぁ……♪」ポワポワ
男子「い、一応オレもプレゼント用意してんだけど……」
女子「……握手して浮かれてた」ジトッ
男子「悪かったっての、睨むなよ……」
加蓮「はー楽しかった♪ 同級生の生痴話喧嘩なんてそうそうお目にかかれないよねー♪」
李衣菜「いい根性してるよね加蓮も……」
泰葉「ごめんなさい、勘違いさせてしまって……」
女子「あっ、いいんです。元々浮気できるような人じゃないですし」
加蓮「まぁ見た目より真面目っぽいし、そこは安心していいんじゃない?」
女子「はいっ」
男子「さりげにひでーな」
女子「あぁ、でもアイドルに会えるなんて……! いつもライブ観てますっ、ファンですっ!」
李衣菜「えへへ、ありがと!」
泰葉「オフにこうしてファンの方と話すのって、もしかしたら貴重かも。ふふふ」
男子「あ……でもいいんすか? 今さらだけどこんなでけー声で騒いじまって……ま、周りにバレてねーよな?」コソッ
加蓮「遅っ。大丈夫だよ、さっき言ったでしょ。気配消してるって」
泰葉「あぁ……はい。ご心配なく、お二人以外の人には気づかれてませんから」
女子「え、気配消すって……あっ! ぜ、全然みんな通り過ぎてく……!」
李衣菜「うん、ただの学生グループだと思ってるんじゃないかな。女率高いけど」
女子「……忍者?」
加蓮「とことん言うことそっくりなカップル……」
男子「マジかよ……なんなんだアイドルパワー、不思議すぎる」
泰葉「ふふっ。木を隠すなら森の中、です。いくら注意深く探しても見つかりませんよ、普通は」
女子「ふえー……。アイドルってすごーい」
李衣菜「泰葉流奥義! って感じだよね」
加蓮「免許皆伝者にはもれなく芸能界の闇を暴く権利が」
泰葉「そんなのありません。奥義でもないです」ビシビシッ
李衣菜「あうっ」
加蓮「あたっ。えへへ♪」
女子「……ふふっ♪ やっぱりどこでも仲良しさんなんだ。ね?」
男子「ああ。北条もやっぱ、学校と違うんだよな……。楽しそうでいいよな」
女子「うん、楽しそう」
李衣菜「うわ、加蓮手ぇ冷たっ! どんだけ待ってたの、もー」サスサス
加蓮「あはは、なんだか待ちきれなくて。30分以上待っちゃった」
泰葉「……カイロ用意してきて良かった」ドサドサドサ
加蓮「待ってどこから出したの!? マジック!?」
李衣菜「そーれぺたぺたぺたぺた」
泰葉「ぺたぺたぺたぺたぺた」
加蓮「ああああやめっ、貼りすぎー! 助けてー!」
男子「はははっ、形無しだな北条!」
女子「あはははっ♪」
―――
男子「――んじゃ、お互い無事合流できたっつーことで。じゃあな北条」
加蓮「ん。また学校でね、来年だけど。……そしたらノート見せてくんない? 宿題溜まってるんだよね」
男子「あ? 知るか。自分でやれ」
加蓮「あっそ。……ここに今年最後のライブチケットがあります」
女子「もう全部見ていいよ加蓮ちゃん! ノートでもなんでも持っていって! 私おバカだけど!」
加蓮「ほんとー? ふふっ、ありがと♪ じゃあチケット進呈~♪」ピラッ
女子「わーい♪♪」
男子「買収すんじゃねーよこのやろう」
泰葉「では彼氏さんにも。ぜひ2人で観に来てくださいね」ピラッ
男子「うおおおおあざっす!!!」コロッ
李衣菜(ほんと似た者カップルだなー)
男子「うっおおお……! マジかよ手に入らなかったのに……!」ジィン…
加蓮「――それ。『マジかよ』8回目。口癖なんだ?」
男子「……へ? なんだそれ」
女子「あ……加蓮ちゃんにも気づかれてる。ふふふ、私も毎日聞くから慣れちゃった」
男子「え、……な、そうなのオレ? つか数えてたのかよ!?」
加蓮「人の話よく聞いてないとメモれないし。アイドルになってから気になるワード覚える癖できたの」
男子「マジかよ…………あっ」
加蓮「ぷっ。言ってるそばからだし」
女子「あはは♪ もー、にぶちんさん……♪」
李衣菜「へへへ♪」
泰葉「……♪」ニコニコ
男子「……穴掘って埋まりてぇ……」
―――
??「……!! 呼ばれた気がしますぅ」
加蓮「ふふふっ♪ いいオチがついたとこでっ。それじゃあね、似た者夫婦さんっ」
男子「夫婦じゃねーし! アホがっ」
女子「ま、まだ早いよっ」
李衣菜「あはは。またどこかで……あ、次は今度のライブかな? へへ、きっと来てくださいね!」
泰葉「年越し前のほんの一瞬……がっかりはさせませんから♪」
女子「~~~ッ……!! はいっ、ぜっっったい行きますっ!」
男子「ライブでヘマしやがったらツイッターに書いてやるからな、北条」
加蓮「はいはい、そっちこそライブの熱気に飲まれないでよ? ……待ってるね♪」
男子「おう! オレも全力で応援するからなっ」
女子「サイリウム補充しなきゃ……!」
加蓮「ふふ♪ それじゃあ――」
ちら
ちら……
女子「あ、雪――」
男子「お……ほんとだ」
――またね――
「「え……」」
ざわざわ
ざわざわ……
がやがや
がやがや……
女子「…………」
男子「…………」
女子「……え。あれ? 加蓮ちゃんたちは……? えっ、さ、さっきまで目の前に……え、ええっ!?」キョロキョロ
男子「いねぇ……消えた」
女子「そんな……、夢……?」ツネッ
男子「いてーよなんでオレのほっぺたつねんだよ」
女子「あ、チケットはある……。ええええ、アイドルってなんなのー!?」
男子「……あっ」
『もう一度人混みに紛れたら絶対見つけられないから――』
男子「……マジかよ。目ぇ離しちまった……はは、すげーや」
―――雑踏
しんしん
しんしん……
泰葉「――降ってきたね。どこ行きましょうか?」
李衣菜「ううう、さむー。とりあえずあったかいところー」ギュー
加蓮「李衣菜くっつきすぎ。カイロ分けよっか? 私こんないらないし」
李衣菜「だってぇ……」
泰葉「ふふ。Pさんにケーキ買っていってあげる? 事務所、ちょっと遠いけど」
加蓮「あ、賛成! あのカップル見てたら人恋しくなっちゃった」
李衣菜「あはは、仲良かったね。ずっと仲良しでいたらいいなぁ」
加蓮「あの調子じゃ別れなさそうだしね。密かに応援してあげようじゃない」
李衣菜「謎の上から目線だ」
加蓮「円満の秘訣を伝授してあげなきゃ♪」
泰葉「恋愛の先生?」
加蓮「……恋愛はしたことないけども」
李衣菜「ダメじゃん」
加蓮「でも恋はしてるよ?」
泰葉「うん。知ってるよ」クス
加蓮「じゃ、ケーキ買って――愛しの彼に会いに行こっか、2人とも♪」
李衣菜「へへ、おーっ♪」
泰葉「おー♪」
―――
P「掃除疲れた……腹減った、甘いもの食べたい」
ちひろ「キャラメルありますよー?」
P「腹の足しになりませんよ……。あ、いつの間にか雪降ってる。みんな風邪ひいてないといいけど」
おわり
というお話だったのさ
SF(少し不思議)なアイドルたちのクリスマス
北条加蓮「今日はポテトの日!」
北条加蓮「今日はポテトの日!」 - SSまとめ速報
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