鬱注意
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プロローグ。
赤がアスファルト溶けて染み込んで行くのがわかる。
頭が痛い。視界もぼんやりとする。
この現実は本当に現実?
今、私の目の前で起きた出来事はすべて無かったことになりませんか?
私はただ目を瞑る。
今は現実から逃避するしか出来ない。
やれる事。今精一杯頑張れる事はただそれだけ。
卯月「・・・!?」
何かが口に押し当てられる。
アルコールの匂いが鼻腔を刺す。
咳き込んで、酸素を欲して吸う。
また咳き込んで酸素を欲して吸う。
何回か繰り返した後で酷い眠気に襲われた。
頭痛もさっきより酷くなってきた。
瞼の裏がぐにゃりと歪んでいる気がした。
眠い。
痛い。
助けて。
徐々に意識が遠のいて遠のいて、最後に考えた事はと言えば。
プロデューサーさんはなんで殺されなければならなかったのか?
目を覚ますと森の中にいた。
正確に言えば森の中にある車の中にいた。
起き上がろうとするも、うまく起き上がらない。
両手両足を縛られている事に気付く。
それでもなんとか体を起こし、車の窓から外を見る。
プロデューサーさんを殺し私を攫った男二人が穴を掘っている所だった。
その近くには黒いシートで覆われた人型の何か。
頭が痛い。
男二人は穴を掘り終えたのか、スコップを地面に突き刺した後、二人で人型の何かを抱え穴の中に放り込んだ。
そして今度は穴を埋め始める。
私はただ男二人の作業を見ている事しか出来なかった。
あのシートの中に入っている人の事なんか考えたく無かった。
「起きたか?」
体がビクッと跳ねる。
もう一人車の中にいた。
「プロデューサーさんだっけ?今、埋めてる所。本当は[ピーーー]気なんて無かったんだよ。ほら、変に勇気出してただろ?仕方ないって奴だよ」
男は淡々と話しだす。
私が向き合いたくもない現実を無理矢理向き合わせる。
「まぁ俺らも終わりだよ。アイドル攫ってさその上一人殺してしまってるんだから、しばらくはバレないと思うけど時間の問題だろうな。それまで四人で楽しもうぜ」
男はタバコに火を付けた後、煙を吐くと同時に身を乗り出して私の制服を破く。
「とりあえず捕まるまで三人で回すから、な?すぐに慣れるよ」
窓の外を見ると穴を埋め終わった男二人がこっちに向かって来ていた。
chapter.1 佐久間まゆ【5年後】
まゆ「じゃあね」
ラブホテルの前で男と別れる。
今日、ナンパされその日にセックスした男だ。
もうこれから会う事もないだろう。
また会おうねとは言わなかった。
顔はかっこいいが、下手くそだった。
それに少ししか話していないけれど彼は結構なお調子者だ。
きっと明日ぐらいに元アイドルの佐久間まゆとセックスしたと自慢しまくるのが目に見えて分かる。
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