ちょっとクセのある内容なので合わない人はごめんなさい
はじめます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482061434
まゆ「ドリル?」
乃々「ドリルです」
まゆ「あの」
乃々「こう、力むと廻ります」チュミミーーン
乃々「もっと力むと飛ばせます」バシュン バシュン
乃々「また生えてくるまで2、3分かかります」グギギ グギギ
まゆ「えっと、どういうことでしょうか」
乃々「螺旋状の巻き髪にアイドル力(ぢから)を注ぐと自然とこうなるんです」
まゆ「アイドル力(ぢから)」
乃々「けっこう便利なのでもりくぼは気に入っています」
乃々「パスタを食べるときチーズを削ったり……」チュミミーーン
乃々「あと歯も磨けます」チュミミーーン
まゆ「なるほど……乃々ちゃんはすごいですね」
乃々「………………」
まゆ「乃々ちゃん?」
乃々「………もりくぼはすごくなんてないです」
乃々「だって、みんなを」
乃々「…………守れない」
ピカッ
K A B O O O O M !!
ズゴゴゴゴゴゴ……………
まゆ「ケホッ ケホッ」
乃々「まゆさん、大丈夫ですか?」
まゆ「何が起こったんですか?空から何か降ってきた?」
乃々「そうです。射出された巻き髪が天井を突き破った………もりくぼのドリルと同じ原理です」
まゆ「乃々ちゃん?何か知っているんですか?」
乃々「下に降りましょう。ここはまだ危ないかもしれません」
乃々「そこで全部説明しますから」
まゆ「?……はい」
乃々「この事務所は今、765プロと戦争状態にあるんです……」
____________________________________________
ICBM(大陸間弾道巻き髪) 着弾から5分前!
CGプロ大会議室 兼 対765プロ臨時対策室
マキノ「765プロ上空より飛行物体。色、形状から高槻やよいの巻き髪と推測されます。着弾まで残り295秒」
亜季「迎撃は!?」
凛「蘭子、里美共に回復待ち!残存巻き髪ありません!」
亜季「みちる殿はまだパン切れですか!?スイーツファイブ、進捗は!?」
かな子『こちらスイーツファイブ!えっと、今焼成に入ったから、あと30分前後かかります!オーバー!』
亜季「間に合いません!」
凛「今加蓮が765に向かってる!通信繋ぐよ!」
加蓮『こちら加蓮、現在765プロビル付近にいるよ、オーバー』
亜季「了解であります!第二弾の射出はなんとしても阻止して下さい!オーバー!」
加蓮『もちろん』
加蓮『……でも、まだ入口なのにすごいオーラ……』
ザッ
加蓮『!?』
??『うっうー!』
加蓮『背後!そんなッ!』
ズ ギャ ギャ ギャ ギャ ギャ ギャ !!
凛「加蓮!?」
加蓮『……』ザーーーーー
亜季「通信……断絶であります……」
凛「そんな……」
____________________________________________
まゆ「765プロ……ですか……?」
乃々「はい。この前876プロとのコラボイベントがありましたよね」
乃々「でも以前は、876と関係が深いのは765プロだったんです」
まゆ「それで……怒らせてしまったと?」
乃々「はい」
乃々「今まで隠してごめんなさい。でも、非戦闘員を巻き込むべきじゃないってPさんが……」
まゆ「そんな事が……」
乃々「TPのみなさん、亜季さん、マキノさん、みちるさんに蘭子ちゃん、里美さん」
乃々「戦える人はみんな頑張っているんです。でも、もりくぼの髪は弱いから……」
乃々「もりくぼは、もりくぼは…………」
まゆ「乃々ちゃん……」
ガチャッ
凛「2人とも!」
乃々「あ、凛さん……」
凛「一緒に来て。今二発目が飛んできてる。大会議室が一番安全だから」
_____________________________________________
凛「戻ったよ。今事務所にいる人はこれで全員のはず」
茜「ああっ!乃々ちゃんにまゆちゃん!」
藍子「おはようございます……こんな状況ですけどね」
亜季「ありがとうございます、凛殿」
マキノ「着弾予想時間まであと110秒。どうするの」
まゆ「あの、この事務所は大丈夫なんですか?さっき巻き髪が落ちてきた所、まゆは見ました」
まゆ「床にも、天井にも大きな穴が開いて……もう一度同じものが降ってきたら、私たちはどうなるんですか?」
亜季「……恐らく、事務所の被害は甚大でしょう」
亜季「しかしこれはある種の希望であります。765プロは我々に《降伏させるために》戦っている」
まゆ「どういうことですか?」
亜季「傷つけたり、壊したりするのが目的ではないということです」
亜季「今まで幾度となく交戦しましたが、両陣営共にケガ人は1人もいません」
亜季「今回の事務所髪撃にしても、PCや資料棚に被害はありません」
亜季「彼女たちの狙いは我々が屈服すること。アイドル力(ぢから)の差を見せつけ、その上でねじ伏せることであります」
凛「それって……ライブバトルだよね」
亜季「そう。形を変えただけの、私たちアイドルの日常であります」
マキノ「あと50秒」
凛「奥の手を使おうか。プランNで受けるよ」
亜季「了解……かたじけないであります」
凛「亜季が謝ることじゃないでしょ。さあ、行こう」
バタン
まゆ「あの、プランNというのは?」
亜季「トライアドプリムスの盾、奈緒殿を基軸にした戦法であります」
マキノ「残り20」
亜季「ICBMと同様に、アイドル力(ぢから)で強化した物体で衝撃を相殺する」
マキノ「10」
亜季「……要するに、奈緒殿のモフモフで受ける作戦です」
マキノ「……0」
奈緒「うわあああああああああ!!!」
K A B O O O O M !!
凛『こちら凛。機材人材ともに損傷ゼロ』
凛『でも奈緒の髪がすごい絡まった。しばらくプランNは使えないよ』
奈緒『絶対これ枝毛になってる……』
亜季「奈緒殿、凛殿、ありがとうございます!」
亜季「今ので二発。これまでの経験からして、一旦巻き髪を撃ち切ったあとは10分ほど間が空きます」
乃々「あのサイズの巻き髪を10分で再生させるんですか……?」
亜季「彼女達がトップアイドルたる所以でしょう」
まゆ「あの、すいません」
乃々「?」
まゆ「プロデューサーは、Pさんは今どこにいるんですか?」
乃々「あ……!」
亜季「…………」
亜季「今、停戦交渉に向かっています」
まゆ「停戦……?」
亜季「聞こえはいいですが、要するに降伏の申し出であります。電話やメールではなく、直接話すのでないと受け付けないそうです」
まゆ「なぜですか?」
亜季「それは……」
ガチャッ
凛「亜季」
亜季「凛殿!……しかしこれをまゆ殿に伝えたら」
凛「遠からず分かることだよ。亜季が言えないなら私が言う。それだけ」
まゆ「どういうことですか」
亜季「……写真であります」
まゆ「写真?」
亜季「765プロでこの抗争の指揮をとっているのは音無小鳥という人物です。元アイドルで、今は事務員。我々にとってのちひろ殿のような存在です」
まゆ「それと写真に何の関係が」
亜季「それは、えっと、何と言いますか……」
凛「腐女子なんだよ」
亜季「!!」
まゆ「!?」
凛「腐ってるの。それで、Pの写真を要求してる」
凛「写真って言うのも普通じゃないやつ。もっと際どい……あられもない姿の」
まゆ「そんな……」
まゆ「じゃあ、Pさんの裸がその女に撮られるということですか?……まゆ以外の女に」
亜季「そういうことで、あります……」
マキノ「第三弾、発射されたわ。Pはまだ交渉に入ってないみたいね」
まゆ「停戦交渉、止められないんですか」
亜季「……」
まゆ「まゆは耐えられません。Pさんがそんな目に遭うなんて」
まゆ「まゆにできることは無いんですか」
凛「まゆ」
まゆ「まゆは何だってします。髪の毛は飛ばせないけれど、それ以外なら何だって」
まゆ「Pさんを助けないと!何だっていいんです、何だって……!」
凛「まゆ!」
まゆ「凛ちゃん達は悔しくないんですか?Pさんの裸が、そんな……」
凛「……まゆ!!」
まゆ「!」
凛「悔しくない訳が無いよ。それはきっと亜季だって、奈緒だって、みんな同じ気持ち」
凛「この戦いはアイドルそのものだから」
亜季「戦力となるアイドルは残っていません。残念ですがそれはひとつ、事実です」
マキノ「お喋りもいいけど、やるなら具体的に考えましょう。既に新しいICBMが発射されてる」
マキノ「今までより大きなエネルギー反応……おそらく、二本の巻き髪をさらに束ねて放っている」
乃々((また、みんなが戦っています))
乃々((まゆさんが泣きそうになりながら考えています。凛さんは感情を噛み潰して気丈に振る舞っています))
凛「アホ毛ブーメラン部隊は?」
亜季「威力不足でしょう」
乃々((もりくぼは無力なんでしょうか。電動歯ブラシ程度の威力では、765プロに敵わないんでしょうか))
マキノ「厄介なのは回転由来の破壊力。同等以上の回転をぶつけないと対処不可能よ」
まゆ「今からまゆが髪型を変えるというのは」
亜季「付け焼き刃の巻き髪では到底敵いません」
乃々((でも))
乃々((でも………!!))
乃々「………あの、もりくぼに出来ることはありませんか」
「「「!!」」」
凛「乃々……」
乃々「巻き髪には巻き髪でしか勝てない、ですよね」
亜季「確かにそうですが……」
乃々「今のもりくぼでは絶対に勝てません。でも、もりくぼも諦めたくないんです」
乃々「期待してくれたPさんを。今まで何度も助けてくれたまゆさんの願いを。凛さんの想いを」
乃々「だから、何か……」
まゆ「乃々ちゃん……」
凛「回転にはもう1段階上がある」
乃々「?」
凛「私はその理論しか知らない。実現できるかも、今から間に合うかも分からない」
亜季「しかし、それがあれば勝てると?」
凛「やってみる価値はあるはず」
マキノ「ICBTM(大陸間弾道ツイン巻き髪)、最高地点を通過。猶予はあと3分よ」
乃々「凛さん、お願いします」
凛「乃々、黄金長方形って分かる?」
乃々「黄金……?」
凛「縦横比率がおよそ5:8、正確には1:(1+√5)/2の長方形のこと」
凛「あらかじめ断っておくね。乃々は今から、『無理』と4回だけ言っていい。そしたらこのiTunesカードをあげる」
凛「黄金長方形はあらゆる美しさの規範。有名な絵画や彫刻、芸術には必ず黄金長方形が隠されている」
凛「このカードもそう。黄金長方形のデザインなのは、それが美しいから」
乃々「?」
凛「そして黄金長方形にはもう1つ特性がある」
凛「黄金長方形の中に、ギリギリ収まる最大の正方形を描く。すると、残された長方形は同じく黄金長方形になっている』
凛「この操作を繰り返すと、無限に正方形が得られる。そう、無限」
凛「そして得られた正方形の頂点を結ぶと、無限に続く『うず巻き』が得られる」
http://i.imgur.com/mAIUG7j.jpg
凛「どの巻き髪もこの軌跡に沿っていない。だからエネルギーに限界がある」
乃々「……まさか……!」
凛「『黄金長方形の軌跡』で回転する!これが唯一の道だよ」
乃々「むーりぃー!!」
凛「言ったね?今『無理』って」
凛「あと3回。あと3回でiTunesカードをあげる。使用済みだけど」
乃々「そんな、そんな無茶な……」
乃々「無理無理無理無理無理無理無理久保にはむーりぃー!さあ4回以上言いました!カードをください、凛さん」
凛「ダメ。今のは1回。あと2回ね」
乃々((凛さんは何を考えてるんですか?こんな滅茶苦茶なの、もりくぼには……))
マキノ「あと20秒」
カァァァアアアアア
亜季「まだ10キロ以上離れているはずでは?この光は一体?」
マキノ「空気との摩擦でしょう。高熱になった物質は光を放つから」
乃々((ああ、眩しい光です……))
乃々((光の中に何か見えます。みんなの顔。今までのこと。もしかして、走馬灯なんでしょうか?))
森久保ォ!仕事持ってきたぞ!
どこ行った森久保ォ!仕事の時間だぞ!
森久保ォ!森久保ォ!森久保ォ!
ォ! ォ! ォ!……………………
乃々((こうして振り返るとロクな記憶がないです))
お隣さんができたな……新しいトモダチだ……フヒ……
私もご一緒していいですか?Pさんを近くに感じたくて
ノノだって眼帯つけたらカッコいいぞ!
乃々((ユニットのみなさん……もりくぼは幸せ者でした))
……いいよ。それが乃々が望むアイドルの姿なら、私も一緒に進んであげる
乃々が信じなくても、乃々が強いっていうのは本当だよ。
乃々((凛さん……))
乃々((ドリーム・ステアウェイ))
乃々((あのときはすべて、映画の中の出来事でした))
乃々((でも、今は、今だけは、あの時の言葉を信じていいでしょうか))
……走馬灯は、諦める人間のためのものではありません。
乃々((文香さんの声……?そうだ、いつか話していました))
勝ち残ろうと、逆境を乗り越えようとして、脳が過去の記憶を辿っているんです。
ヒントはすべて記憶にあるはずだと。
きっと答えにたどり着ける、と。
乃々((………………))
乃々((ヒントは記憶の中に……))
乃々((凛さんはなんで、こんな土壇場で説明してくれたんでしょうか))
乃々((それしか手がないから。いや……きっと……もりくぼならできると、信じてくれたから))
『黄金長方形とは、あらゆる美しさの規範』
乃々((ああ、走馬灯が今に追いつきました))
『お願い乃々ちゃん、Pさんを助けて……!』
乃々((まゆさん、泣かないでください。折角のきれいな顔がぐしゃぐしゃです))
乃々((美しさの規範))
きれいな顔。まゆさんのきれいな顔。
アイドルの。美しさ。
乃々((そうだ))
乃々((もりくぼ達は……アイドルは……美しさを追求する存在なんです……))
乃々((美しさの規範が隠されているはず。どこかに必ず。記憶を、辿る………!!))
http://i.imgur.com/I7P5Euq.jpg
http://i.imgur.com/U6MMSUg.jpg
http://i.imgur.com/bJdoDJm.jpg
マキノ「まもなく着弾。5、4、3……」
http://i.imgur.com/WRUPELv.jpg
http://i.imgur.com/bkM4Gqf.jpg
http://i.imgur.com/4D6nSp4.jpg
乃々「……………………………!!!」
マキノ「………ゼロ。」
____________________________________________
「うっうー!当たりましたー!」
「すごいぞやよい!」
「そうね。今までの5倍、いや10倍近いエネルギー!ものすごい反応よ!」
「え?2本だから2倍じゃないんですか?」
「確かにそうね……アンタ何言ってるの?」
「違う!この反応は……」
「こっちに向かってきてるの!」
……
……ギャルギャル……ギャル……
ギャルギャルギャルギャルギャルギャル……
ギャルギャルギャルギャルギャル!!!
「あらあら~」
「ピヨォオオオォオ!!」
K A B O O O O M !!
K A B O O O O M !!
K A B O O O O M !!
K A B O O O O M !!
K A B O O O O M !!
K A B O O O O M !!
まゆ「………何が起こったんですか?」
凛「……乃々……!」
亜季「後頭部が、すごいサッパリと……」
乃々「全弾、撃ち尽くしました。ちゃんとできたかは……わかりませんけど」
マキノ「765プロで超高エネルギー反応。…………やったわね」
まゆ「乃々ちゃん……!」
まゆ「ありがとうございます!本当に、本当に………!」
乃々「まゆさん、く、苦しいです……」
藍子「みなさん、写真を撮りましょう!今日の記念に、乃々ちゃんを囲んで!」
凛「うん!」
パ シ ャ ァ ッ
………しかしこの写真が使われることはなかった
765との死闘に全てを出し尽くした森久保は
次の日の仕事で ウソのように逃げ出した……
「森久保ォ!」
「やっぱりもりくぼには……む~りぃ~……!」
fin.
いじょうです
前書いたやつ
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