杏「はたらかないひとてきさるかにがっせん」 (25)


杏「ぐぅ」

「すぅ」

杏「ぐぅぐぅ」

「すぅすぅ」

杏「ぬー……ん、今何……時……?!」

仁奈「うー……ぁ、あんずおねーさん……おはよーごぜーます……」

杏「……うん、おはよう」

仁奈「あのねー……あそんでもらおーとおもったらー……ねむっちゃったでごぜーます……」

杏「こずえみたいになってるから顔でも洗っておいで」

仁奈「そーするでごぜーます……」フラフラ

杏「あ゙ー仁奈ちょっとまって着いてくから」


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デレマスです

今回も杏が仁奈にご本を読んだり読まなかったりします


仁奈「スッキリでごぜーます!」ペカー

杏「そりゃ良かった。起きたら隣に人がいてびっくりしたよ」

仁奈「びっくりしちゃいやがりましたか……ごめんなせー」

杏「いいのさいいのさ、寝る子は育つよ」

仁奈「あれ、杏おねーさん……」

杏「杏はほら、人としての器がすくすくと育っているからね」

仁奈「杏おねーさんは優しいでごぜーますからね、納得でごぜーます」

杏「普通に受け止められるとそれはそれで困る。で今日は何をしようか」

仁奈「今日はこの本でごぜーます!」

杏「なるほどさるかに合戦かー。よーし、じゃあ読むよー」

仁奈 ワクワク


『むかーしむかし、おむすびを持ったカニがおりました。

 カニは早く家に帰っておむすびを食べようとウキウキして歩いていました。

 ですが、おむすびを落としてしまい、コロコロとそばの穴へ転がり込んでしまいました』

仁奈「あれっ」

『すると中からおむすびころりんすっとんとんと歌が「ちょっとまってくだせー」

杏「はい」

仁奈「いきなり別のお話になりやがったでごぜーます」

杏「思い出したからこっちでも良いかなって」

仁奈「お話を覚えてやがるですか? 杏おねーさんすげーですよ!」

杏「この後覚えてないや」

仁奈「あっ、ちょっとしかすごくなかったでごぜーます……」

杏「露骨にがっかりされてしまった」

仁奈「というかおにぎりって転がりやがるですか」

杏「地面を転がってくおにぎり、握るにしても握りすぎだよね」

仁奈「あんまり美味しくなさそーでごぜーます……」

杏「もっとふわっとしてる方が美味しいね。コンビニのしか食べないけど」

仁奈「仁奈はおにぎり作れるでごぜーます!」

杏「おー、偉いぞー」

仁奈「今度一緒に作るですよ」

杏「えー、杏は食べる専門だからなー」

仁奈「まぁ、おいしいでごぜーますからね」

杏「そういうこと」


杏「というわけで続きだよ」

『そこへ道の向こうからサルがやってきます。

 サルはカニとおむすびを見て、ひらめきました。

 「今日はカニ雑炊だ「ちょっとまってくだせー」

杏「はい」

仁奈「またお料理されちゃいやがりますか……」

杏「カニ美味しいからねカニ」

仁奈「杏おねーさんは腹ペコでやがりますか?」

杏「そんなことないんだけどな。気づかないうちに減っていた可能性が」

仁奈「そんな杏おねーさんには飴をプレゼントするですよ」

杏「わーいありがとー。何味だろ、いちごかな」

仁奈「トマトでごぜーますよ」

杏「ちょっとめずらしい。じゃあ杏も飴をあげよー、杏の飴だぞー」

仁奈「杏おねーさんの杏の飴でごぜーますか、ややこしーでやがりますね」

杏「すもももももも、みたいなね」


仁奈「これが杏おねーさんの味でやがりますか」コロコロ

杏「うーん勘違いされそうな言い方。まぁいいや、続きを読むよー」コロコロ

『サルはカニのおむすびが欲しくなり、カニにチラシを渡し話しかけました。

 「絵画に興味ありませんか? ちょっと見ていくだけでもいいですから」

 そして巧みな話術で絵画と交換でおむすびを入手「ちょっとまってくだせー」

杏「はい」

仁奈「何の話でごぜーますか」

由里子「懐かしいじぇーエウリアン」

杏「駅前のやつも今はチーズタルトのお店だもんねぇ」

由里子「無くなるとちょっとさみしい気もする」

杏「まぁ騙される人も居たしねー」

仁奈「悪い人でやがりますか?」

杏「絵を買うまでおうちに帰れないのだ」

沙紀「ラッセンも普通に好きなんすけどね、買うかは置いといて」

杏「ゴッホより?」

沙紀「いや、ゴッホのほうが好きっすね」

由里子「あたしはなんとも言えないイルカ嫌いじゃないけどねー。クソTシャツとして欲しいじぇ」

仁奈「イルカさんでごぜーますか! 仁奈はTシャツよりもキグルミがいいでごぜーます!」

沙紀「月夜の海をバックに飛び上がる仁奈ちゃん……うん、アートっすね」パラッ

仁奈「すげー速さでお絵かきし始めたでごぜーます」

杏「杏は記憶の固執に似てるねって言われる」

由里子「あー、時計のてろてろ具合」

仁奈「? 誰の話でごぜーますか?」

杏「ダリの話でごぜーます」


杏「それじゃ続きねー」

『種と交換でおむすびを手に入れたサルはしめしめという顔で去っていきました。

 カニは、家に帰り早速貰った種を植えました。

 種はすくすくと育ち、あたりにはクローバー畑が「ちょっとまってくだせ―」

杏「はい」

仁奈「それだとお話が進まねーでごぜーます……」

杏「今更ながらのツッコミを受けてしまった」

仁奈「でもお家のまわりにクローバー畑があるのはきれいでごぜーますね」

杏「メルヘンチックでいいかもね」

仁奈「……あれ? カニさんはお腹が減ってやがるんじゃねーですか?」

杏「クローバーも美味しいから大丈夫だよ」

智絵里「だ、大丈夫じゃないよぅ……」

仁奈「智絵里おねーさん、おはようごぜーます!」

杏「おはよー」

智絵里「あ、おはようございますっ」

杏「智絵里ちゃん、クローバー育ててたよね」

智絵里「うん、お部屋に緑があるとなんだかリラックスできる気がするから」

仁奈「智絵里おねーさんはクローバーを食べるんでごぜーますか?」

智絵里「食べないよぅ……」

杏「四つ葉のほうがコクがあるとかじゃないんだ」

智絵里「た、多分無いと思うよ……」


杏「続きを読むよー」

『種はすくすく育って大きな木になり、美味しそうなカキがたくさんなりました。

 サルは横取りしてやろうと狙っていましたが、カニはヤシガニだったので木をするすると上り美味しいカキを食べられましたとさ』

杏「めでたしめでたし」

仁奈「あれっ」

杏「いやーいい話だったね」

仁奈「平和におわったでごぜーます……」

杏「平和が一番だからね」

仁奈「というかカニさんはカニさんでもヤシガニさんでやがりましたか」

杏「タラバガニとかは陸で暮らせないかなーって」

仁奈「たしかにヤシガニさんの方が納得でごぜーますね」

比奈「酷い作画崩壊だったっスね」

杏「いやそれじゃなくて」

比奈「あ、そっスか……」

杏「比奈なんでそんな顔死んでるの」

仁奈「アイドルがしちゃいけねー顔でやがります」

比奈「年末に向けてこう……ね」

杏「進捗どうですか」

比奈「始める前にこれもう一冊出せるわとか思ってた自分は何処へ行ったんスかね。殴りたい」

仁奈「宿題はこつこつやらねーとダメって先生に言われたでごぜーますよ」

比奈「ウッ」

杏「あ、トドメが刺さった」


比奈「ううう……とりあえず仮眠取るっス……」

仁奈「寝る子は育つでごぜーます」

杏「そいじゃ、杏は続きを読むよー」

『木には美味しそうなカキがたくさんなりました。

 カニは喜んでカキの実を取りに行こうとしましたが、カニは木登りが出来ません。

 困っていると、サルが来てこう言いました。

 「腹が減ったらカレーメシ!「ちょっとま

杏「ジャスティス!」クワッ

仁奈「ちょっとまってくだせー」ムニッ

杏「ふぁい」ムニー

仁奈「カキはどうなりやがったですか」

杏「カレーメシを食べよう」

仁奈「カキはどうなりやがったですか」

杏「カレーメシを食

仁奈「えい」ムニッ

杏「んぇ」ムニー

仁奈「そういうのばっかり食べると病気になっちゃうでごぜーます」

杏「最近そんなに食べてない。菜々ちゃんにも怒られたしね」

仁奈「菜々おねーさんはほんとにお母さんみたいでやがりますね」

杏「随分かわいいお母さんだなぁ」


杏「じゃ、続きを読んでいこー」

『サルはひょいひょいとカキの木に登っていきます。

 そして真っ赤なカキの実を取ると、「こりゃうまい」と食べだしました。

 どんどんカキを食べたサルはお腹がまるまると膨らんで木から落ちてしまいました。

 カニは太って身動きの取れないサルをお腹いっぱい食べましたとさ、めでた「ちょっとまってくだせー」

杏「はい」

仁奈「食べ過ぎで落ちちゃいやがったですか」

杏「ここから猿も木から落ちるという言葉が生まれたんだね」

仁奈「……あっ、ウソの顔でごぜーます」ムニッ

杏「ぷぇ」ムニー

仁奈「というかこえーですよ」

杏「弱肉強食の世界だね」

仁奈「世知辛いでごぜーます……」

杏「油断したらすぐ食べられちゃうからね」

仁奈「むむ、仁奈も気をつけねーといけねーですね。ウサギの気持ちになって警戒するですよ」ピョコピョコ

杏「ガブー」モフー

仁奈「ぎゃー、杏おねーさんに食べられちゃったでごぜーますー!」マフー

杏「ウサギおいしいかの山ー」モフモフ

仁奈「きゃー」マフマフ

杏「かわいいなこいつめ」モフモフ

仁奈「あっははは! くすぐってーですよ」マフマフ


杏 グタッ

仁奈「溶けたアザラシみてーになってやがります」

杏「柄にもなくはしゃぎすぎた」

仁奈「じゃあ本はまた今度でごぜーますね……」

杏「しょうがないなぁー読んだげよう」

仁奈「わーい」

『サルはカニに構わずカキを食べます。

 「サルさん、わたしにもカキを下さい」

 「うるさい、これでも喰らえ!」

 サルはカニに、青いカキの実を投げつけます。

 打ったー! 伸びる伸びる……入ったー! ホームラーン!』

杏「ライトスタンドに痛烈一閃ー! 試合を決める一打ー!」

友紀「おめでとー!!」

仁奈「えっ……えっ」

友紀「杏ちゃんと仁奈ちゃんが野球の話してるなんて珍しいなー」

杏「いやさるかに合戦の話」

友紀「え? そんな話だっけ?」

仁奈「ちげーですよ……」

友紀「なんだーついに野球の良さに目覚めてくれたかと思ったのにー」

仁奈「野球はわかんねーけど、ねこっぴーはかわいいでごぜーます!」

友紀「さっすが分かってるぅ。あ、そうだ、今度着ぐるみパジャマ持ってきたげる!」

仁奈「ねこっぴーの着ぐるみでごぜーますか? やったー!」ピョンピョン

杏「なんでそんなの持ってるの」

友紀「いやー、勢いで買っちゃったんだけどさー。流石にあたしでも子ども用は入んなかったよ」

杏「そりゃそうだ」


杏「それじゃ続きだねー」

『「いたい、いたいよう」

 カキをぶつけられたカニは、大怪我をして泣きながら家に帰りました。

 その日から、カニの肉体改造計画が始まります』

仁奈「えっ」

『厳しいトレーニングの末、鋼の肉体を手にいれたカニは復讐のためサル山へ忍び込み一人また一人とメッタ斬りに「ちょっとまってくだせー」

杏「はい」

仁奈「こわすぎるでやがります……」

杏「小さな諍いが産んだ悲しい悲劇であった」

仁奈「というかカニさんのハサミはすげー切れ味でやがりますね」

杏「こんにゃくは切れないけどね」

仁奈「えっなんででごぜーますか」

杏「なんでだろう……」

仁奈「えっ」

杏「まあカニもこんにゃくも食べっちゃえば大丈夫大丈夫」

仁奈「美味しいから大丈夫でごぜーますね」

かな子「大丈夫じゃないとおもうよ……」

杏「かな子ちゃんやっほー」

かな子「杏ちゃん! 仁奈ちゃんに変なこと教えないでよ!」

仁奈「カニもこんにゃくも美味しいでごぜーますよ」

かな子「確かに美味しいけど」

杏「サルも美味しいよ」

かな子「食べたこと有るの……?」

仁奈「うわぁ……」

杏「あっやめてやめて無いから引かないで」


杏「しょうが無いから次読も」

『お見舞いに来た友だちの臼とハチとクリにその事を話すと、みんなはカンカンに怒りました。

 「ようし、みんなであのサルをこらしめてやろう」

 しかし真っ先に飛びかかったハチはサルに叩き潰されてしまいました』

仁奈「えっ」

『そして、カニとクリが食べられているのを臼はただ見ていることしか「ちょっとまってくだせー」

杏「はい」

仁奈「暗すぎるでごぜーます……」

杏「まぁカニとハチぐらいしか動けるの居ないし……」

仁奈「えぇ……」

加蓮「なるほど、これがおねーちゃんしてる杏かー。何してたの?」

杏「本を読んでたよ」

加蓮「さるかに合戦かぁ、なんか懐かしいね」

仁奈「今カニとクリが食われたとこでごぜーます……」

加蓮「え? そんな話だっけ」

杏「杏の中では」

加蓮「……杏病んでるなぁ」

杏「やめてやめて」

仁奈「やんでる?」

加蓮「病気ってことだね……ね、杏病院いこう。ね?」

杏「奈緒とおんなじこと言ってる」

仁奈「杏おねーさん病気でごぜーますか……?」

杏「加蓮が頭の病気とかだよ」

加蓮「残念でしたー元気ですー」

杏「そりゃ良かった」

仁奈「元気が一番でごぜーます!」


杏「さてさて続きをば」

『みんなはさっそくサルの家に行き、こっそりかくれてサルの帰りを待つことにしました。

 机の下には輝子ちゃんが』

「フヒッ?!」

『隣の机にはまゆちゃんが』

「あら」

『なんか天井の隅の方には小梅ちゃんの友達が隠れました』

パキッ

まゆ「ちょっとまってください」

杏「はい」

まゆ「小梅ちゃんの友達って誰なんですかぁ……」

仁奈「なんか変な音がしたでごぜーます」

小梅「あ、杏さんも、あの子、見えるの……?」

杏「見えないけど居るならあのへんかなって」

小梅「正解……杏さん、すごい……」

まゆ「ひいぃ……」プルプル

輝子「ま、まゆさん……落ち着いて……」

まゆ「なんで皆そんなに落ち着いてるんですか……怖くないんですかぁ……?」プルプル

輝子「小梅の、トモダチだからな……きっと、悪い人じゃない……多分……」

仁奈「いいユーレイさんでやがりますよ」

パキパキッ

まゆ「ひっ」ビクン

小梅「褒められて……照れちゃったみたい……」

まゆ「」

杏「あっ」


杏「まゆちゃんが気絶してしまった」

仁奈「まゆおねーさん大丈夫でごぜーますか……?」

小梅「あの子が、ついててくれるから……大丈夫……」

杏「それじゃレッスン頑張ってねー」フリフリ

輝子「う、うん、頑張ってくる……」フリフリ

小梅「また、ね……」フリフリ

パタン

杏「それじゃ、最後を読むよ」

『「おお、寒い寒い」

 ふるえて帰ってきたサルが囲炉裏で暖まろうとした途端、隠れていたクリがパチンと弾けてぶつかりました。

 「あちちちっ、水、水だ」

 冷やそうと水瓶まで来ると、中に隠れていたハチが飛び出してチクリと刺します。

 「いたいいたい、たすけてー!」

 たまらず外に飛び出すと屋根の上から臼がドシーン!と落ちてきました。

 「わぁー! ごめんなさい、もう悪いことはしません、ゆるしてください!」』

杏「おしまい」

仁奈「意地悪はいけねーでごぜーますね」

杏「人を呪わばってね」

仁奈「それに、皆仲良しが一番楽しいでごぜーます!」

杏「仁奈はいつも楽しそうでよろしい」

仁奈「杏おねーさんはどうでごぜーますか?」

杏「ん、楽しいぞー」ムニムニ

仁奈「やっひゃー」ムニムニ


沙紀「ん、完成!」

杏「お、沙紀ちゃんおつかれー」

沙紀「普段はあんまりしないんすけど……たまには見たまま描くのもいいっすね」

仁奈「わー! 杏おねーさんと仁奈でごぜーます!」

杏「見たまま?」

沙紀「見たまま。いい顔してたっすよ?」

杏「なにこれ恥ずかしい」

仁奈「もらってもいいでごぜーますか?」

沙紀「もちろん」

仁奈「やったー!」ピョコピョコ

杏「……まぁ仁奈が嬉しそうならいっか」

おしまい

まえのやつ→杏「はたらかないひとてきかちかちやま」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468674445/)
直近のやつ→楓「生きはよい酔い」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480075187/)
読んでくれた人ありがとう。また次もよろしくお願いしますね。

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