男「学校に刃物持った奴がいる」 (4)
ここは私立聖丘福大学。生徒数は約10000人。
都市部から5キロほど離れた位置にあるこの大学は、学部が1つのキャンパスに集まった総合大学である。
時刻は午後1時13分。3限目の講義は既に始まっている。
広めの教室に生徒は130人ほど。教授はまだ来ていない。
出席さえしていれば単位が貰える、いわゆる「楽単」なので出席率は高いが、真面目に講義を普段から聞く者は少ない。イヤホンで音楽を聴く者、ペン回しをしている者、教室の後ろに座りコンセントでスマホを充電する者、友人と談笑する者、眠る者。教授が来ていないので咎めるものはいない。
1時17分。教室の扉が開き人が入って来る。入ってきた者の正体は教授でも遅れてやってきた学生でもなかった。上下黒のジャージを着た中年と思しき男が教室へ入ってきた。明らかに学生ではないが、その男に気づいているものは半数程度だ。男は教室の入り口に立ち止まっている。しばらくすると男の異様な雰囲気が教室に伝染し、静まり返った。
そんななか、金髪のチャラそうな学生2人が男のところへと歩き出す。どうやら仲間内での罰ゲームのようだ。
チャラ男1「え、おっさんだれ?さっきからそこに立ち止まってなんなの?ウケるんだけどw」
もう一人のチャラ男はその様子をスマホで撮影している。次の瞬間、男が右ポケットに手を入れ、何かを取り出し、そのままチャラ男の胸に突き立てた。男の手に握られていたのはなんと包丁であった。
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チャラ男1「え…なにこれ…」
男が包丁を引くと、刺されたチャラ男は力なく床に倒れこんだ。もう一人のチャラ男は状況が飲み込めていないようだ。
チャラ男2 「おい、ケンジ!なんだよこれ!」
混乱するチャラ男の元に歩み寄った刃物男は包丁でチャラ男の喉を掻き切った。もう1人のチャラ男も倒れこむ。
ようやく状況が飲み込めた学生から悲鳴が上がる。すぐに教室の後ろのドアから逃げようとする学生たち。しかしドアノブは固く動かない。鍵がされているようだ。つまり、逃げるには教室の前方の扉からしか逃げられない。かなりの学生が後方のドアに密集している。刃物男がそれを逃すはずはなかった。男は学生が密集している扉付近にダッシュする、パニックで学生はそれに気づかない。大半の学生が気づいたのは男が扉から5m付近だった。完全に逃げ遅れだった。男は扉付近の学生を次々に刺していく。男は迅速に急所を刺す。学生は次々と倒れていく。まさに地獄絵図だった。
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