就活生「えっ、今日は面接でウソついていいのか!」
面接官A「ああ……しっかりつけ」
面接官B「学歴詐称もいいぞ!」
就活生「…………」
面接官A「遠慮するな……好きなだけつけ……」
就活生「はいっ!」
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面接官A「まず、大学名をお答え下さい」
就活生「はいっ!」
就活生(本当は無名大学だけど……)
就活生「東京大学です!」
面接官A「ほう、東大!」
面接官B「それは素晴らしい……」
面接官B「なにかサークル活動や部活動はやられてましたか?」
就活生(なにもやってないけど……)
就活生「野球部に入っており、プロ野球からドラフト指名を受けるほどの腕前でした!」
面接官A「ポジションは?」
就活生「ピッチャーです!」
面接官B「すごいねえ。エースじゃないか」
就活生「ありがとうございます!」
面接官A「アルバイトの経験はありますか?」
就活生(工場で働いてたけど、接客業のがウケがいいって聞くよな)
就活生「飲食店で働いておりました! バイトリーダーでした!」
面接官B「つまり、リーダーシップには自信があると?」
就活生「はいっ!(無いっ!)」
面接官B「今、国際化が進んでいますが、英語を話すことはできますか?」
就活生(外国人に道案内できるかすら怪しいけど……)
就活生「ペラペラです!」
就活生「TOEICでは高得点で、英語検定も一級を取得しています!」
面接官B「なるほど、なるほど」
面接官A「もし仕事の中で、自分の提案が採用されなかった場合はどうしますか?」
就活生(んなもん、採用された奴を呪いながらヤケ酒飲むに決まってる)
就活生「なぜ自分の案が採用されなかったのかをきちんと分析し、次の機会に生かします!」
面接官B「なにか趣味はありますか?」
就活生「読書です!」
面接官B「たとえばどんな本を読みますか?」
就活生「ライトノ……ドストエフスキーと川端康成です!」
面接官A「最後に……うちの会社は転勤もありますが、転勤するのは大丈夫ですか?」
就活生「大丈夫です!(絶対嫌です!)」
面接官A「…………」カポッ
面接官B「…………」カポッ
就活生「…………?」
就活生(なんだ? ガスマスクみたいなのを被ったけど……?)
放送『これより毒ガス訓練を開始する!!!』
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
就活生「なんだ!? 変なガスが噴射されてきた! ……うげええええっ!」
面接官A「このガスは、ウソをついた者に効力を発揮する毒ガスだ!」
面接官A「今散布しているのは31%の嘔吐ガスだ! 心配するな、計算上死ぬことはない!」
面接官B「ただし……ついたウソの数や大きさの分だけ、苦痛は続く!」
就活生「うげえええええっ……おえええええええええっ……!」
……
……
面接官A「まさか死ぬとはな……」
面接官B「多少のウソならば生き残れる計算だったのに、よほど自分を飾っていたんだな」
面接官A「まあいい、計算以下の落ちこぼれだ。ろくな人生は歩めなかっただろう」
面接官A「ここで死んだのは、むしろ幸運だったというべきかもしれんな」
放送『これより毒ガス訓練を開始する!!!』
面接官A「ん?」
面接官B「え?」
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
面接官A「うっ、うわあああああっ! ガスが……! まずい、マスクはもう外して……!」
面接官B「心配いらん、我々はウソなんかついてないからな!」
面接官A「く、苦しい……! おええええっ……!」
面接官B「な、なんで!? 我々はウソなんか……ぐええええっ!」
面接官A「いや……そういえば、我々も求人広告やホームページの採用案内には……」
面接官A「“完全週休二日制”“丁寧に教えます”“残業なし”などとウソを書いていた……」
面接官A「きっと、そのせいで……」
面接官B「そういう、ことか……。だが、いったい誰が……?」
面接官A「おえええええええええっ……!」
面接官B「ぐえええええええええっ……!」
……
……
政治家「やれやれ、結局生き残れた者は無し、か」
政治家「なんとも見苦しい……これが今の労働市場の実態というわけか」
秘書「はい、求職者も、企業側も、自分をよく見せるためにウソをつきまくっている、というわけです」
政治家「つまり、こうした雇用をめぐる不透明性を解決する、というのを公約にしておけば」
政治家「今度の選挙は当選間違いなし、ということだな?」ニヤッ
秘書「はい、その通りでございます」ニコッ
放送『これより毒ガス訓練を開始する!!!』
政治家「えっ」
― 終 ―
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