アルミン「入団!! 調査兵団に入団!!」(57)


上官A「――最後にシャフトを交換したのはいつだ?」

サシャ「蒸かした芋です」

上官B「記録通りだ」

モブA「よし次! お前だ」

クリスタ「42班所属、クリスタ・レンズです」

上官A「磨耗を確認する。結婚しよ」

 

モブA「……巨人を殺して罰せられることもあるんだな」

モブB「変な話だけど、貴重な被検体だったし」

モブA「だからって、何で俺ら訓練兵の中で犯人探しなんだ」

モブB「ああ。みんな今日まで続いた戦場の処理で、憔悴しきっているのに」

アルミン「そんなことはない! 今日も今日とてご飯がおいしい元気ハツラツだ!」

上官A「そこ! 静かにしろ!」

アルミン「ほい!!」


コニー「……巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな……」

アルミン「気持ちは分からないでもないよ」

アルミン「その人の復讐心は満たされたかもしれないけど」

アルミン「ボクの欲求は満たされない!」

コニー「……俺はバカだからな。(殺した奴の気持ちも)分かる気がする」

コニー「巨人を見る前は、俺本気で調査兵団になるつもりだったんだぜ」

コニー「けどもう二度と巨人なんて――」

アルミン「そうか! コニーは調査兵団に入るつもりなんだね!」

コニー「いやだから、巨人を見る前の話で」

アルミン「アニ、聞いたか! コニーは調査兵団に入るって!」

アニ「そ」

アルミン「アニは調査兵団には入らないのか!?」

アニ「私は憲兵団だって言ってる」

アルミン「馬鹿な! 成績上位4位のアニが憲兵団だって!? 聞いたかみんな!!」

コニー「もうお前静かにしとけ!!」


コニー「」チラ

ジャン「……」

ジャン「……」ググッ

コニー(ジャンの奴……本気で……)


――


ゴォォ……

パチパチパチ…

 

ジャン(……みんな、後悔してる)

ジャン(こんな地獄だと知ってりゃ、兵士なんか選ばなかった)

アルミン「巨人どもめ……今に見てろよ!」

アルミン「ボクが調査兵団になったからには、駆逐アクセル全開で殲滅してやるぞ!!」

ジャン(まぁ例外はいるが)

ジャン(精根尽き果てたいま、頭にあるのはそればっかりだ)


ジャン「」ザッ ザッ

ジャン「なぁマルコ。もうどれがお前の骨だか分からなくなったよ」

アルミン(! ジャンはマルコが助かっていることを知らないのか!?)

アルミン(ボクが危機一髪助けたんだけどなぁ!!)

・マルコ『ケガが治った後、ここぞというときに登場したいから皆には黙ってて』

・アルミン『了解!』

アルミン(↑って約束がなければ盛大に公開するんだけどなぁ!)

ジャン「……」

ジャン(兵士になんてならなければ、次は誰の番かなんて考えずに済んだのに)

 

サシャ(……い、いま『骨』がどうこうって、ジャンがいま握っているのは骨?)

サシャ(も、もしかして私がこっそり盗んだお肉処分したのバレてる……?)

サシャ(ちょうど投げ捨てたところで屈みこんでたけど……まさか……)

ジャン「……」ググッ

サシャ(ひーっバレてる!)


エレン『何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人のエサになるのか!?』

 
ジャン(分かってんだよ。戦わなきゃいけねえことぐらい)

ジャン(でも……誰もがてめえみたいな死に急ぎの馬鹿にはなれねえ)

アルミン「立ち止まるヒマなんかないさ! 考える余裕なんかないさ!!」

アルミン「ありったけの想いを胸に、灼熱の戦いの中へ! さあ!!」

コニー「うるせーっ!」

ジャン(誰もがてめえらみたいな死に急ぎの馬鹿にはなれねえ)

ジャン「……」

ザッザッ

マルコ「怒らずに聞いて欲しいんだけど、ジャンは強い人ではないから」

マルコ「弱い人の気持ちがよく理解できる」

マルコ「それでいて、現状を正しく認識することに長けているから」

マルコ「いま何をすべきか、明確に分かるだろ?」ザッザッ


ジャン「……。  ……!? あ!? 今……」


ジャン「……」

ジャン「くっ!」グッ

ジャン(今……何をすべきか)

 

ジャン「おい。お前ら」

ジャン「所属兵課は……何にするか決めたか?」

ジャン「俺は決めたぞ」

ジャン「俺は……俺は……」

アルミン「僕は調査兵団になるぞ!!」

ライナー「俺もだ」

ベルトルト「ぼ、僕も」

サシャ「わわわ私も!」

クリスタ「わ、私だって!」

コニー「オ、オレは……」

ジャン「俺は調査兵団になる……うん……」


――

パカラッ パカラッ パカラッ

【旧調査兵団本部】

グンタ「結局、無許可で立体機動装置を使った兵士は見つからなかったようだ」

グンタ「いったい誰が……」

エルド「さぁな。今はこの後の新兵勧誘式の方が心配だ」

エルド「入団しようっていう酔狂な新兵がどれだけいるのか……」

グンタ「なぁエレン。お前の同期に、うちを志願するやつはいるのか?」

エレン「いますよ。……いや、いましたが、今はどうか分かりませ……あ」

エレン「います。二人確定でいますよ。一人は兵士100人分に相当する奴です」

グンタ「二人か……えっ? いま何て言った?」

エレン「もう一人は元座学成績トップで、リヴァイ兵長と互角に渡り合える奴です」

エルド「な、何だって。そりゃまたえらい人材が転がってたもんだな」

グンタ「ほ、ホントにそんなのが入ってくるのか? ならうちも安泰だな」

エレン「いやでも何というか、どっちもあんまり期待しない方がいいですよ……」


――

【勧誘広場】

ザッ  ザッ  ザ

アルミン「! ジャン!」

アルミン「本当に調査兵団に!?」

サシャ「どうして突然。その……怖くはないのですか?」

ジャン「は? いやに決まってるだろ。調査兵団なんて」

アルミン「はぁ?」

コニー「え……じゃあお前なんで……」

ジャン「別に巨人が怖くないから、そう決めたわけじゃねえよ」

ジャン「それに……有能な奴は調査兵団に入るべきだ、なんて言うつもりもない」

ジャン「俺は死に急ぎ野郎とは違う」

コニー「エレンか……あいつはとっくに調査兵団に入ってるんだよな」

アルミン「よしっ、みんなこの調子で一気に調査兵団になだれこもう!」

ジャン「お前は相変わらず話が通じねえな」


  上官「訓練兵、整列ゥ! 壇上正面にならえ!」

ジャン「俺はな。誰かに説得されて自分の命をかけてるわけじゃない」

  上官「壇上正面にならえ!」

ジャン「こればっかりは、自分に務まる仕事じゃねえよ」バッ

  上官「壇上正面にならえ!」

コニー(上官の声でよく聞こえなかった)

サシャ(ご飯のこと考えてて聞いてなかった)

アルミン(何を言ってるのかよく分からなかった)

――

エルヴィン「――私は調査兵団団長、エルヴィン・スミス。所属兵団を選択する本日、」

エルヴィン「私が話すのは、率直に言えば調査兵団への勧誘だ」

エルヴィン「今回の巨人の襲撃により、諸君らはすでに巨人の恐怖を――」

エルヴィン「己の力の限界も知ってしまったことだろう」

アルミン「僕は知れてない! 己の限界と敗北を知りたい!!」

コニー「だーら静かにしとけっての」


エルヴィン「しかしだ。この戦いで人類は、これまでにないほど勝利へと前進した」

エルヴィン「エレン・イェーガーの存在だ」

ミカサ「エレン」 ピク

アルミン「Yeahガー」 グッ

エルヴィン「彼が間違いなく我々の味方であることは、彼の命がけの働きが証明している」

エルヴィン「さらに我々は、彼によって巨人の進行を阻止するのみならず」

エルヴィン「巨人の正体にたどりつく術を獲得した!」

モブ「「!」」


 ざわ…    ざわ…


エルヴィン「彼の生家があるシガンシナ区の地下室には、彼も知らない巨人の謎があるとされている」

エルヴィン「その地下室にたどりつきさえすれば――」

ミカサ「エレンのことをもっとよく知れる……!」

アルミン「僕も巨人になれる……!!」

コニー「お前らの思考回路は直列つなぎかよ!!」


エルヴィン「我々は……この百年に渡る巨人の支配から」

エルヴィン「脱却できる手がかりをつかめるだろう!」

アルミン「支配からの脱却……そういうのものあるのか……」

ミカサ「私はエレンのことをもっと知って、より親密にならなければならない」

コニー「帰りてぇ」

サシャ「帰りたいですね。あと、ご・は・ん」

ベルトルト「……」

ライナー「地下室だと……」

アニ「……」

モブ「もうそんな段階まできてるのか」

モブ「巨人の正体が分かれば、この状況も……」

ジャン「……いくら兵士を集めたいからとはいえ、そんなことまで公にするとは……」

マルコ「それとも、何か意図が? 団長は一体、何を見ようとしているんだ……」

ジャン「まったくだ……   ……マ!?」バッ

ジャン(あ、あれ。俺疲れてんのかな……)


エルヴィン「我々は、シガンシナ区の地下室を目指す」

エルヴィン「ただそのためには、ウォール・マリアの奪還が必須となる」

  ペトラ(そろそろ出番ね)スッ

エルヴィン「つまり、目標は今まで通りだが、トロスト区の扉が使えなくなってしまった今」

エルヴィン「東のカラネス区から遠回りするしかなくなった」

 バサバサッ

  ペトラ(! ちょ、ちょっとミケさん! 地図が斜めになってます!)

  ミケ「……」

  ペトラ(ちょっと気付いていないんですか! ナナメってますって!)

エルヴィン「四年かけて作った大部隊の行路……全てが無駄になったのだ」

エルヴィン「その四年間で調査兵団の6割以上(正確には9割)が死んだ」

  ミケ「……」スンスン

  ミケ「フン」

  ペトラ(もうっ、なんで今それするんですか! 高さ合わせてくださいよぅ!)

エルヴィン「四年で6割だ。正気の沙汰ではない数字だ!」


エルヴィン「今期の新兵にも、一ヵ月後の壁外調査に参加してもらうが」

エルヴィン「死亡する確率は、3割といったところか。四年後にはほとんどが死ぬだろう」

 ざわ…

エルヴィン「しかし、それを超えた者が、生存率の高い優秀な兵士となっていくのだ!」

コニー「」ガクブル

サシャ「」ガクブル

アルミン「おおぉぉうう!」ブルルッ

エルヴィン「……この惨状を知った上で、自分の命を賭してもやるという者は」

エルヴィン「この場に残ってくれ」

クリスタ「……」

ジャン「……」

マルコ「……」

エルヴィン「自分に聞いてみてくれ。人類のために心臓を捧げることができるのかを!」

「「…………」」

エルヴィン「以上。他の兵団の志願者は解散したまえ」


調査兵「団長、必要以上に脅しすぎではありませんか。一人も残りませんよ!」

エルヴィン(やりすぎてしまった)

アルミン「……例え誰も残らなかったとしても……」

アルミン「この僕が残りますっ!!」ザッ

調査兵「!?」

ミカサ「私も残る」ザッ

ジャン「俺もいるぜ!」ザッ

アルミン「ミカサ。ジャン」

マルコ「僕もだ!」ザッ

サシャ「あじゃあ私も?」ザッ

コニー「お前だけにいいカッコさせるかよ」ザッ

ライナー「調査兵志願者は、お前だけじゃないんだぜ」ザッ

アニ「私は抜けるから」

ベルトルト「コーホー」

アルミン「みんな……!」


モブ「「……――」」

ザッ  ザザザ  ザザッ  ザッ

ジャン(……くっそ……)

ジャン(頼むぞ……決めたんだ……)

ジャン(これ以上自分を嫌いにさせないでくれ……!)

ザザッ  ザザザザッ   ザザッ  ザッ

サシャ(いま……ここから動かないと……また……)

コニー(俺は元々、憲兵になるために村を出たんだ)

コニー(母ちゃん喜ぶぞ……憲兵になったら……村のみんなも俺を見直す……)

ジャン(俺達はもう知ってる……もう……見ちまった)

サシャ(巨人がどうやって――)

コニー(人間)

アルミン「に駆逐されるのか」

ジャン/サシャ/コニー「!!」

アルミン「いよぉぉし皆、念願の調査兵団だ! 一緒に駆逐しようッ!!」ブチッ


――

エルヴィン「……」

エルヴィン「君達は」

エルヴィン「死ねと言われたら死ねるのか?」

アルミン「死ねるわけありません!」

ジャン「調査兵なんて最悪です!」

サシャ「怖いから村に帰りたいです!」

コニー「もうどうでもいいんだよ!!」

エルヴィン「そうか。みんないい表情だ」

エルヴィン「では今、ここにいる者を、新たな調査兵団として迎え入れる!」

エルヴィン「これが本物の敬礼だ! 心臓を捧げよ!」ドンッ
 
アルミン「力の限り!!」 ドムッ


アルミン「うぶっ(吐血」


――終――

嘘ですまだ続きます


クリスタ「う……うう……」ブルブル

ユミル「泣くくらいならよしとけってんだよ」

クリスタ「なんちゃってウソ泣きでしたぁ」

ユミル「ああもう可愛いなぁクリスタは」ギュー


   エルヴィン「よく恐怖に耐えてくれた」


ベルトルト「う……うう……」

ライナー「泣くくらいならよしとけってんだよ」

ベルトルト「なんちゃってウソ泣きでしたー」

ライナー「なんだオイちっとも可愛くないじゃねえか!!」

ベルトルト「だってそんな急にライナーがやってみろって」


   エルヴィン「君達は勇敢な兵士だ。心より尊敬する」


アルミン「復活! 心臓がもげるかと思ったぞ!!」ガバッ

   エルヴィン「心より尊敬する」


【旧調査兵団本部】

ネス「敬礼!」

一同「」ババババッ

ネス「俺が班長のネスだ。そして、愛馬のシャレット」

シャレット「よろしく」

ネス「こいつは髪の毛をむしるのが好きだから、禿げたくない奴は気をつけろ」

ネス「よろしくな!」

シャレット「これは挨拶代わりよ」

ネス「ちょ、おっ、馬鹿、やめろ! シャレット! ちょ、誰か押さえろ!!」

一同「…………」ニヤニヤ

 

アルミン(翌日からの訓練は、実戦よりも)

アルミン(エルヴィン団長が考案した、なんとかかんとか陣形を頭に叩き込むことが主だった)

アルミン(不思議だったのが、なぜ戦いにこんなこと覚えなきゃならないのかということだった)

アルミン(僕は必要性に疑問を感じ、とりあえず耳から耳に垂れ流しておいた)


【教室】

ネス「お前たち新兵はここだ」

ネス「荷馬車の護衛班と、索敵支援班の中間」

ネス「ここで予備の馬と兵装、伝達を任せる」

 

アルミン「……」カリカリ

ミカサ「なにを書いてるの」

アルミン「ネス班長の似顔絵さ! 似てるだろう」

ミカサ「なんだか超能力でも使いそうな男の子みたい」

アルミン「そういうミカサは何を書いているんだ」

ミカサ「エ。エレンの似顔絵。恥ずかしいけど」

アルミン「むむむ。写実主義か! かなりリアルだな!」

アルミン「しかし例のアレなフィルターがキツイね! 誇張し過ぎじゃないか!?」

ミカサ「いいの。エレンはもっとかっこいいの」

ネス(さすがは噂の凄腕だ。最前列で堂々と何考えてんだか分かりゃしねえ)


【屋外拠点】

グンタ「俺達、特別作戦班はここだ。後列中央、待機」

エレン「ずいぶん後ろなんですね」

グンタ「この布陣の中で最も安全。補給物資を運ぶ荷馬車よりも手厚い待遇だ」

グンタ「まぁ今回は行って帰ってくることが目標だ。この壁外遠征が極めて短距離なのも」

グンタ「お前をシガンシナ区に送るための試運転だからだ」

エレン「あの……オレにはこの力をどうしたらいいかも、まだ分からないままなんですが」

グンタ「お前……あの時の団長の質問の意味が分かったか?」

  >エルヴィン『敵は何だと思う?』ホモォ

エレン「先輩方は、分かったんですか?」

エルド「いいや」

ペトラ「」フルフル

オルオ「s

グンタ「俺達は行って帰ってくることだけに終始すべきなのさ。団長を信じろ」

グンタ「今日の訓練はここまで。戻る準備だ――」


――

エレン(馬糞掃除……意外と楽しい……) カコン  ガガ

エレン「」スタスタ

エレン「ん?」

 ザッザザッ  ザッザッ  ザザッ

エレン「あ、あいつら」

エレン「オルオさん、ちょっと同期と話してきてもいいですか?」

オr「

エレン「おいミカサ! アルミン!」

アルミン「!」

ミカサ「エレン!」

エレン「しばらくぶりに会った気がするぞ!」

ミカサ「エレン。何かひどいことはされてない? 脱いで、私が診る」

アルミン「僕はまた腕を上げたぞ! さっそく巨人化して手合わせだ!!」

エレン「お前ら変わってないというか前より酷くなってないか」


ミカサ「身体を隅々まで調べつくされたりとか。精神的苦痛を受けたとかっ」

エレン「ねーよそんなこと。ただし精神的苦悩ならいま受けてる」

ミカサ「くっ……あのチビは調子に乗りすぎた。いつか私がしかるべき報いを……」

エレン「まさかリヴァイ兵長のこと言ってるのか」

  リヴァイ「……」チラ

アルミン「あ! あそこにリヴァイ兵長が!」m9

エレン「えっ?」

  リヴァイ「あ?」

ミカサ「……アルミン。あのチビへの制裁はいつやるべきと思う」

アルミン「今でしょッッ!」

エレン「煽るな!!」

ミカサ「人をコレで削ぐのは初めてだけど」カチャ…

アルミン「これは好カード! リヴァイ兵長のお手並みも拝見だ!!」

エレン「ちょっ止まれミカサ! おいお前もじっくりと腕組んでんじゃねえ!!」

エレン「もう兵長逃げてください! 兵長逃げて! 兵長ッ!!」


コニー「よっエレン」

サシャ「久しぶりです」

エレン「おぉなんだよ。みんなそろってんのか」ボロ…

アルミン「」ワンワンワンワン
ミカサ「」ニ"ャーニ"ャーニ"ャー
リヴァイ「こいつらァ!」

エレン「でも……お前ら、ここにいるってことはまさか、調査兵になったのか?」

コニー「他にここにいる理由はあるか?」

エレン「じゃあ……憲兵団に行ったのは、ジャンと、アニと、マルコと、ベルトルトか……」

ベルトルト「!?」

ジャン「マルコは死んだ」ザッ

エレン「! ジャン、お前まで! ――って、え……? 今……今何て言った?」

エレン「マルコが? 死んだ……って言ったのか?」

ジャン「誰しも劇的に死ねるって訳でもないらしいぜ」

ジャン「どんな最期だったかも分かんねえよ……」

エレン(おかしいな……なんかマルコに似てる奴が普通に混じってるんだが……)


ジャン「アイツは誰も見てないところで、人知れず死んだんだ」

エレン「はぁ……」

 

ネス「おーい、新兵集まれー!」

一同「!」

ネス「制服が届いたぞー!」」

 
バサッ   バサッ  バッ   
 バサッ バッ    バサッ バカッ バサッ  
バサッ    バサッ      バサバサッ


コニー「すげー自由の翼だぜ!」

サシャ「鳥肉を彷彿させますね!」

ジャン「マルコ見てるか? ジャーンってな」

エレン「マルコ見てるぞ。ウケてる」

ミカサ「これは間違いなくエレンとおそろい」ギュッ

アルミン「ボクたちの進撃はこれからだッ!」 バサッ


――

【屋内タイマツ空間】

エレン「お前ら……ほんとに……」

ミカサ「そう。私たちも今度の作戦に参加する」

ジャン「なぁエレン。お前巨人になったとき、ミカサを殺そうとしたらしいな」

ジャン「それは一体どういうことだ」

ミカサ「違う。エレンはハエを叩こうとして」

ジャン「お前には聞いてねえ」

アルミン「ハエ(巨人)なら全部ボクが叩き落したんだが!!」

ジャン「お前にも聞いてねえ」

ジャン「なぁミカサ。頬の傷はかなり深いみたいだな。それはいつ負った傷だ」

ミカサ「エレンが暴走したとき。一生モノの消えないキズ」

エレン「誤解を招くように即答すんなっ」

アルミン「ボクなら無傷だ! ボクは、いつかボクに傷をつけられる相手を――」

エレン「ジャン、本当らしい。巨人になったオレはミカサを殺そうとした」(気を抜くと脱線する!)


ジャン「らしいってのは、記憶にねえってことだな」

ジャン「つまりお前は、巨人の力の存在を今まで知らなかったし」

ジャン「それを掌握する術も持ち合わせていない、と」

エレン「ああ……そうだ」

ジャン「……ハァ。お前ら聞いたかよ。これが現状らしいぞ」


クリスタ「それでね、ユミル。ちゃんと聞いてる?」
ユミル「うんうん聞いてる」
サシゃ「ここ何か食べ物があるかも! 探索探索!」
コニー「から揚げ食べたい」
ライナー「ベルトルトのベルトでも脱がしてルトにしてみるか」
ベルトルト「やめてくれっ」


ジャン「俺たちと人類の命がこいつにかかってる」

ジャン「俺たちはマルコのように、エレンの知らないうちに死ぬんだろうな」

  マルコ「ジャン。怒らずに聞いて欲しいんだけど、僕は生きてる」

ジャン「ちっ……また幻聴かよ」

エレン(なんだこいつ……いない者ゲームでもしてんのか……)


ミカサ「ジャン。今ここでエレンを追い詰めることに、何の意味があるの」

ジャン「あのなぁミカサ。誰しもお前みたいになあ」

ジャン「エレンのために無償に死ねるわけじゃないんだぜ」

ミカサ「……。じゃあジャンは誰のためなら無償に死ねるの」

ジャン「えっ? そ、それはだばば」

エレン「お、おいミカサ、やめとけよ」

アルミン「待てジャン! まずエレンを追い詰める意味を答えてないじゃないか!」

ジャン「と、とにかく! 知っておくべきだ」

ジャン「俺たちは、何のために命の使うのかを」

ジャン「じゃねえと、いざというときに迷っちまうよ」

アルミン「己の限界を知るためだよ! あと人類ッ!!」 ギリッ

ミカサ「私はもちろんエレンのため」エヘン

コニー「家族」
サシャ「ごはん」
ユミル「クリスタ」

ジャン「いざというときでも迷わなさそうだなオイ」


ジャン「とにかく俺たちはエレンに、見返りを求めている」

ジャン「きっちり値踏みさせてくれよ」

ジャン「自分の命に……見合うのかをな……」

エレン「……」

ジャン「……くっ」

カツン  カツン

エレン「!」

ガッ

ジャン「だからエレン!!」

ジャン「お前……本当に……」

ジャン「頼むぞ!?」

エレン「……ああ……」 チラ

アルミン(さぁ次はボクに来い! ……ん? 来ないのか!!)

ミカサ(なるほど。こうすれば自然にエレンに。応用してみよう)

エレン(ジャンには悪いが、オレはこの二人のことで手一杯だ。手一杯なんだ――)


――

モブ「団長、まもなくです」

モブ「付近の巨人はあらかた遠ざけた! 開門三十秒前!」

 
エレン「……ん?」

  少女「わぁ。アルミン・アルレルトだ!」

  少年「金髪の狂気、巨人駆逐魔、無限討伐機ともいうんだぜ!」

  少女「かっこいー!」

アルミン「ありがとう!!」

エレン(どうしてそういう形でアルミンの名前が広まった)
 

上官「いよいよだ! これより人類は、また一歩前進する!!」

上官「お前たちの成果を、見せてくれー!」

\ オオオオオオオオオォォォォーッ /

アルミン「オオオオ”オ”オ”ォ”アアアあqwせdrftgyふじこlp」

エレン(本気で『とにかく巨人をぶっ殺したいです』ってこういう感じなんだろうな)



開門と同時に  昂然と飛び出したアルミン
最後に耳するは  前進せよとの団長の一喝


閉ざされた門が開いていく  今年も遠征がスタート
馬がパッカパッカ  止められそうにない  止めたいと思わない


待ち構えるのは  有象無象の雑魚ばかりか
それとも  ついに待ち望んだ最大級の好敵手か


アルミンの期待は  戦意への火種となる
手始めに目指すは  巨人となれた 友の家


敵無くば  誰よりも早くその地下へ向かい
新たな力を得るのだ  そうだエレン  君のように


進撃せよ!  調査兵へとなったその身で
人類の勝利へと続くロードを  切り拓けアルレルト!
巨人にも軍規にも囚われないその自由の翼で  さぁ飛べアルミン!! 


終わり

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