女「私は男が好きだよ」(15)
ジャラララ
女「だから、ずっと家にいて?」
男「それで、どうして手錠されなきゃならないの?!」
女「これ?」スッ
男「あっ、それは……」
女「履歴書、コンビニでバイトするつもりだったの?」
男「だって、女にばかり働かせるのは悪いし」
女「私の収入だけじゃ足りない?」
男「いや、それは十分過ぎるほどに……」
女「なら、家にいて」
男「で、でも……」
女「黙って」
男「僕だって…働け──んんっ?!」
女「んっ…ちゅっ……」
男(いきなりキスされた?!)
女「はぁ…私が働いて男は家にいる」
女「わかった?」
男「………………」
女「ね?」
男「………………うん」
男(あぁ、まただ…また僕は…)
男「あの、じゃあ…もう手錠外して?」ジャラ
女「だめ」
男「どうして…?」
女「それは外に出ようとした、男の罪だから」
男「ごめんなさい、もうしないから」
女「だめ」
男「いつまで、つけてればいいの」
女「私が許すまで」
男「………………」
女「それに、手錠つけてる男は凄く可愛い」
男「それが本音だよね」
女「うん」クス
女「お腹空いたでしょ?男は何が食べたい?」
男「えっと、オムライスかな」
女「すぐ作るね」
男(……これでいいのかな?)
───
──
─
女「あーん」スッ
男「恥ずかしいんだけど」
女「口開けて」
男「外してくれたら食べられるんだけど」
女「まだ許してない」
男「………………」
女「あーん」スッ
男「……あむ」モグ
女「美味しい?」
男「うん」
女「男はオムライス好きだね」
男「昔、よく母さんが作ってくれてたから」
女「そう」
男「ねぇ、女?」
女「うん?」
男「外って、どうなってるの?」
女「………………」
女「気になる?」
男「それは、そうだよ」
男「だって僕、10年間も外に出てないんだよ?」
女「そう、もう10年たったんだよね」
男「この部屋、凄く広いけど窓もないし…」
女「外に出たい?」
男「それは、出たいよ」
女「さっき約束したのに…」
プルルル
女「……ちょっと、待っててね」
男「うん」
男(仕事の電話かな)
ピッ
女「もしもし」
女「…………そう、直ぐ行く」
ピッ
男「お仕事?」
女「うん、行ってくる」
男「その前に手錠外して!」
女「……………約束守れる?」
男「守る、守るから!」
ジャラララ
男「ふぅ………」
女「大人しくしててね」
男「うん、行ってらっしゃい」
女「行ってきます」
ピッ ピッ ピッ ピッ ガチャン
男(また、暗証番号変えたのかな……)
───
──
─
女友「やふー」
女「患者は?」
女友「ステージ2から3になったとこ」
女友「あれは、もうダメね」
女「3なら、まだ助かる」
女友「3って言ってもねぇ…4になる一歩手前って感じなの」
女「どうして、そんなに早く…」
女友「そりゃ、薬の質が下がってるからでしょ」
女「とにかく患者を見せて」
女友「はいよ」ピッ
ガチャン
女「………………」スタスタ
患者「あぐ…がっ………!」
女友「もう助からないでしょ」
女「………そんなことない」
患者「ぎっ…ぁぁぁ!」
女「………っ!」スッ
女友「やめときなって!」ガシ
女友「自我だってもうほとんど残ってない」
女友「近づいたら殺されるよ」
女「あっ………」
患者「がぁ…ぐごがぁぁぁ!!!」ボワッ
女友「………お迎えが来たみたいだね」
女「そんな…まだ3になってから数分しかたってないのに」
ゴワァァァ
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