【ポッキーの日】範馬勇次郎「刃牙!!ポッキーゲームで勝負だ!!!」 (40)


刃牙「~~~ッッッ!??」ゾワァ

刃牙(お…親父…今…ポッキーゲームって言った……?
言ったよな……?

ポッキーゲームってあのポッキーゲームだろ……!!?)

刃牙「いや…親父…どうしてポッキーゲームなんだよ……

勝負なら俺たちらしく、殴り合いでいいじゃん」

勇次郎「ククッ、相変わらず出来の悪い頭だ
ポッキーゲームほど複雑で慎重かつ大胆な心理戦を楽しめるゲームはないッッ!」

勇次郎「おまけに相手の身体を一切傷つけずに勝負が決まるのだ

なっ?
こんなに平和的に、家族的に出来る勝負は他にはない」

刃牙(他にもいっぱいあるだろッッッ!!!
何断言してんだよぉッッッ!!)

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刃牙(まてよ?)ハッ

刃牙(よく考えてみろ、親父のことだから、何か俺の知らないポッキーゲームのことを言っているのかもしれない

例えば相手の持つポッキーを奪い合うとか
ポッキーの早食い大食い競争とか……!

ありえる!ありえるぞッッ!!)

刃牙「親父ィ…一応確認だけどさ、ポッキーゲームのルール……教えてくんね?」

勇次郎「…なるほど、ローカルルール等があるかも知れねぇからな…
フンッ、仕方ねェ……

俺が知ってるルールは、ポッキーの両端をお互いがくわえて食べていき、先に口を離してしまった方が負けるってルールだ」

刃牙(俺の知ってるポッキーゲームだったッッッ!!!!!)

刃牙(だが俺は………俺はッッッ!!!)

刃牙「いいぜ……受けて立つ」

刃牙(親父には負けたくねェッッッ!!!)

勇次郎「エフッ、エフッ、エフッ」

勇次郎「で、だな、ここに来る時にポッキーは買っておいた」ガサッ

刃牙(親父が!?!?
買い物!!!????)

勇次郎「では開けるぞ」ガサガサ

刃牙(セブ○イレブンッッッ!!!??)ビクウッ!

刃牙(親父がコンビニで!!
ポッキーの日に!!!
ポッキーだけを買ったのかッッッ!!?)

刃牙(ダメだッッッ!!!
なんかもう今の時点でショックがデカすぎて何がなんだか……!!!

このままじゃ負ける……)

刃牙(地上最強の生物、範馬勇次郎…
行動全てが規格外、逸脱している存在…

その範馬勇次郎がコンビニで買い物だと…?)クラクラ

刃牙(…いや、待てよ)

刃牙(全てが規格外な親父ならば、親子でポッキーゲームをやるのも、普通にコンビニで買い物をするという異常な行為も規格外という枠に含まれるんじゃないのか?)

刃牙(『範馬勇次郎』は何をしても『範馬勇次郎』ってわけか…

我ながら変な理論だが、これで納得することにするぜ!!!)脳内麻薬キィィィン

勇次郎「ほう…良い顔になったな」

勇次郎「ポッキーを皿に盛るぞ…」カラカラカラッ

刃牙「へぇ、一袋にポッキーって結構入ってるんだな、こうやって見るとその量がわかる」

刃牙「勝負の前に一本もらっていいかな?」

勇次郎「良いだろう、俺も一本…」ヒョイ

刃牙(…親父がポッキーを一本持ってる姿、シュール過ぎるだろ…)

刃牙「…」パクッ

勇次郎「…」パキッ

刃牙「…」サク…サク…

勇次郎「…」モニュ…モニュ…

刃牙「…ポッキー…だね…」モニュ…モニュ…

勇次郎「…なかなか味わい深い…」

刃牙「えっ?」

勇次郎「小麦粉と砂糖で甘く焼いた生地
ビター気味なチョコレート

いかにも機械で作り出した大量生産の菓子のたった一本でしか無いが」

勇次郎「カリッとした生地の香ばしさが心地良く口の中に広がり

甘すぎないチョコレートが舌の上で絡み合う

その生地とチョコレートの絶妙なバランスがもう一本、また一本と手を進めるのだ」

勇次郎「また、菓子には非常に珍しいことに、持つ部分がある所が良い

菓子とは普通手が汚れるものだが、チョコレートで汚れないチョコレート菓子という気遣いが嬉しいじゃねえか」

勇次郎「一流の名店でパティシエが作った菓子とは、味も見た目も天地の差があるが

だからと言ってポッキーは菓子として劣るとは誰も思うまい」

勇次郎「ポッキーは日本を代表する菓子と言っても過言ではないだろう」

刃牙「……」

刃牙(ポッキー一本でこの語り様ッッッ!!!

菓子ってこんなに語りながら食べるもんなのかッッ!?

なんも考えずに『…ポッキー…だね…』ってマヌケ顔で言った自分が恥ずかしいッッッッッ!!!!!)

勇次郎「フフ…」

刃牙(しかもなんか得意気な顔してるし…)

刃牙(って、さっきから親父に主導権を握られてばっかりな気がするッッ!!

流れを変えなければ!!)脳内麻薬キィィィン

刃牙「…フンッ、もういいだろ親父、さっさとポッキーゲームを始めようぜ」

勇次郎「エフッ、エフッ、そんなに父さんとのポッキーゲームが待ち遠しいのか?
エフッ、エフッ」

刃牙「まあ…早く終わらせたいって意味でなら合ってる…」

勇次郎「一発勝負だ刃牙…」

刃牙「先に口を離した方が負け…

…お互い口を離さなかったら勝負はどうなるんだ?」

勇次郎「なんだ?父さんとのキスを期待しているのか?」ニチャアア

刃牙「んなわけねェだろ…」

刃牙「ところで親父、やたらとポッキーゲームに詳しかったり、自信があったり…

もしかして過去にやったことがあるのか?」

勇次郎「ああ…刃牙も知ってる奴だ」

刃牙「へぇ~~」

刃牙(ストライダムか徳川のじっちゃんかな、いつも一緒にいるイメージだし)

勇次郎「では……」スッ

刃牙「……ッッッ!!!」ドクンッ

刃牙(始まる……!!!
遂に……

親父とのポッキーゲームがッッッ!!!!)

勇次郎「始めィィッッッ!!!!」パクッ

刃牙「くっ………!!!!」

刃牙「キャオラッッッ!!!!!!」パクッ

刃牙「……」

勇次郎「……」

刃牙(顔、近ッッッッッ!!!!!)

刃牙(ひえ~~ッッ!!!
そりゃ親父と殴り合ってた時には顔が近づいたりもするけどさッッッ!!!)

刃牙(この距離ッッッ!!!
気が狂いそうだッッッ!!!)

勇次郎「……ククッ」

勇次郎「…」サク…サク…

刃牙(き…来た!!来やがった……!!!!)

勇次郎「…」サク…サク…

刃牙(無表情の親父の顔が!!!
どんどん近づいてくるッッッ!!)

刃牙(ま…負けるかッッッ!!!)

刃牙「…ッッ!!」バクッ

勇次郎「ヌゥッ!?」

刃牙「!?」

刃牙(救命阿ッ!!
一度にかなりの距離を進んでしまったッッッ!?
俺としたことが目測を誤った!!!!)

勇次郎「…」

刃牙(おっ?しかし、親父に少なからず動揺を与えたみたいだ……)

勇次郎「…」ニタァァァ

勇次郎「邪ッッ!!!」バクッ!

刃牙「だおッッ!?」ビクウッ

刃牙(親父も多めに来やがった!!!??

危ッッ

危うく口を離すところだったぜ………)

刃牙(しかし、もう残り距離はわずか…
ここで下手に動けば、最悪、親父の唇に……!!!)ゾワワァ

刃牙(くっ……!!どうする………!!??)グニャアア~

勇次郎「……」グニャアア~

刃牙「…」

刃牙(とりあえず…ほんの少しずつ進むっきゃねぇ…
このゲーム、攻撃こそが最大の防御だ!!!!)

勇次郎「…」

刃牙「…」ジリジリ

刃牙(どうやら親父は様子見に入ったみたいだ

ならチャンスは今しかないッッッ!!)

刃牙「…」サ

勇次郎「チェリアアア!!!」バクッ!!!

刃牙「ヒィィィッ!」ビクウッ!!!

勇次郎「…チッ」

刃牙(マジかよ!!『今から動く』という初動を読まれていた!!!!

よく口を離さなかったぞ俺ッッッ!!!!)ドキドキドキドキ

刃牙(ってか近すぎだッッッ!!!!
まさに薄皮一枚の距離じゃねえか!!!

顔ちけぇぇ~

親父の体温高いな…
鼻息がこそばゆい…

普通の家庭の親子だって、こんなに顔を近づけることは無いぞ?)

刃牙「…」

勇次郎「…」

刃牙(ポッキーゲームって、この状態になったらどうするんだっけ?)

刃牙(普通ならこれで終わりとか、勢いでキスまでいっちゃうとか?
いやだいたいはこうなる手前でどちらが離れるし…

ルールを確認するべきだったな…)

刃牙(そうだ!電話で梢江を呼んで、どうすればいいか聞こう!!!)

刃牙「………」

刃牙(聞けるわけがないッッッ!!!!!)

刃牙(そもそもこれ以上少しでも動いたら確実に親父とキスしちゃうし!!!

もしなんとか電話出来たとしても『もしもし梢江?今親父とポッキーゲームやってんだけどさ~』なんて言えるわけがないッッッ!!!!)

刃牙(ったく…この後梢江とデートがあるっつーのに…)

刃牙「…」

刃牙(こっっっっ
『梢江とデート』!!?)

刃牙(ヤバいヤバいヤバいヤバいすっかり忘れてた
確か待ち合わせ場所は俺の家

つまりここッッッ!!!)ダラダラダラ

刃牙(えーっと、待ち合わせ時間は……
あと数分しかねぇ!!!!)

刃牙(このままこの状態が続けば、間違いなく梢江に見られてしまうッッ!!)

刃牙(早く離れなきゃ…

って離れたら負けちまう!!!!)

刃牙(梢江に見られるのはもちろん嫌だッッッ!!!

しかし親父に負けるのも同じくらい嫌だッッッ!!!)

勇次郎「…」クスクスクスッ

刃牙(クソォ…!!
ってか、親父も、気をきかせて俺の家に来るなよ!!!

梢江が今日この時間に来ることは昨日教えたろッッッ!!!)

勇次郎「…」ニヤニヤ

刃牙「…!」

刃牙(まさかッッッッッ!!!)

刃牙(親父はこれを狙ってたのかッッッ!!!??)

勇次郎「ククッ…」

刃牙(間違いない!!
これで俺が梢江にこのシーンを見せたくなくて自ら負ければ良し!!!
俺がそれでも意地を張って続ければ梢江にこのシーンを見られて終わる!!!

どちらに転んでも最悪となる状況を親父はわざと作り出し、楽しんでやがるんだッッ!!!)

勇次郎「…」ニタァァァ

刃牙(流石は範馬勇次郎ッッ!!!
最強のサディストめ!!!

まさにオーガッッッッ!!!
鬼ッッ悪魔ッッッ!!!)

勇次郎「…」クスクスクスッ

刃牙「……」

刃牙(…だがな…親父ィ…)ニタァァァ

刃牙(俺も同じ…

『範馬』なんだぜ?)クスクスクスッ

勇次郎「ヌゥッ?」

刃牙(俺は覚悟を決めたぜ……!!!

心を『鬼』にするッッッ!!!)ユラァァァ…

勇次郎「…!」

刃牙(梢江に見つかるくらいなら!!!
親父に負けるくらいなら!!!!

俺は親父とキスをしてやるッッ!!

濃厚に!刺激的に!!情熱的にッッッ!!!)

刃牙(あまりの暴挙に、たまらず親父は離れるはず……!!

甘くみたな親父…
キスは梢江と経験済み!!!結構自信あるぜ!!!)脳内麻薬キィィィン

勇次郎「……ッッッ??」

刃牙(…ククッ、舌をねじ込んでその口をこじ開けてやらぁ……)髪の毛逆立ち

勇次郎「…」

刃牙(いくぜ親父ッッッ!!!)

刃牙(息子のキスッッ!!!!)

刃牙(受けてみやがれッッッッ!!!!)ドリュッッッ!!

刃牙「……………」

刃牙「……………?」









刃牙「~~~~~~ッッッ!!!?」

刃牙(と……)

刃牙(届いていないッッッ!!?)

刃牙(馬鹿なッッ!!
俺は確かに親父に向かって顔を押し付けたはずッッッ!!!?
今頃親父とマウストゥーマウスしてるはずッッッ!!?)

刃牙(なのに親父の顔が変わらない距離にッッ!!!??)

刃牙(もう一度!!!
喰らいやがれッッ!!!)バオッッ!

刃牙「……」

刃牙(~~~ッッッ!!!
届かない!!!親父にキス出来ないッッ!!??)

勇次郎「エフッ、エフッ、エフッ」

刃牙(ま…まさか親父!!!)

刃牙(俺が顔を押し付けたその瞬間ッッッ

俺と同じタイミングッッ!!同じスピードッッ!!同じ距離でッッ!!!)

刃牙(顔を下げてやがるのかッッッ!!??)

刃牙(キャオラッッッ!!!)ブンッ

勇次郎「…」サッ

刃牙「…ッッッ!!」

刃牙(オルァッッ!!!)ブンッ

勇次郎「…」サッ

刃牙「~ッッッ!!」

刃牙(に……人間業じゃねぇッッッ!!!!)

刃牙(ならばッッッ!!!)

刃牙(マッハ突きの応用で…)

刃牙(身体中の関節を…特に首を中心に増やすイメージで…)

刃牙(脱力し…)ユラァァァ…

刃牙(解き放つッッッ!!!)

刃牙(マッハキスッッッッ!!!)パァァァン!!

刃牙(そして途中でッッッ!!!)

刃牙(急速に引き戻すッッッ!!!!

これぞ当てない打撃!!!

俺だけが掴んだ
俺だけのマッハキスッッッ!!!!!)バシャアアアッ!!

勇次郎「邪ッッッ!!!」バシャアアアッ!!

刃牙「~~~~ッッッ!!!!」

刃牙(ついてきやがったッッ!!??

化け物かッッッ!!!!)

刃牙(万策尽きたか…



待てよ…??)

刃牙(どこまでも付いて来るってことは

このまま親父と遠くへ行けば、少なくとも梢江には見られずに済むかもしれない…)

刃牙(その手で行こうッッッ!!!!
それしかないッッッ!!!)脳内麻薬キィィィン



ガラッ



梢江「バキ君!お邪魔しま~す!」

刃牙「ッッッッ!!!!」

その時の状況を松本梢江(女子高生)は後にこう語る

梢江「あの時はですね、私、バキ君とデートの約束があったんです」

梢江「ふふ、ポッキーの日だったから、ポッキーゲームをしたくて…
コンビニでポッキーなんか買っちゃって

うかれてましたね私…」

梢江「ええ、はい、それでバキ君のお家に行ったんですが…」

梢江「こう…お家のドアを開けたらですね…」

梢江「肉塊…?
と言いますか…巨大な塊が壁を壊して、そのままどこかへ凄いスピードで転がって行ったんです…」

梢江「えっ?はい、壁です、窓からでもドアからでもなく、壁から出て行きました

失礼ですね、これは事実です」

梢江「今思うとですね…

あの謎の塊…もしかしてバキ君と…バキ君のお父さんだったんじゃないかなって、思うんです
喧嘩でもしてたのかな…」

梢江「えっ?何を言っているのかわからない?

ふふ、あの2人に関しては、常識は通じませんよ」

梢江「それに、待ち合わせ場所のお家にバキ君がいませんでしたしね

…ええそうです、デート、すっぽかされちゃいましたよ

まあそのことについてはバキ君はちゃんと謝ってくれました、理由は聞かないでくれって言われましたけどね

バキ君のことだからしょうがないって、バキ君のほっぺたに鞭打一発で許してあげました、ペチンって、ふふっ」

―――どこかの山奥―――



刃牙「……はぁ…はぁ…はぁ…」

勇次郎「…チッ
まさかポッキーがふやけて自然と崩れちまうとはな…」

刃牙「助かった…

いや助かってないッッッ!!!
あれから何時間経った!!!???

梢江とのデートすっぽかしちまったッッ!!!
一番最悪なパターンだこれッッッッ!!!!」

勇次郎「ということは、刃牙よ、改めて仕切り直しでもう一度勝負出来るな」ニタァァァ

刃牙「二度とするかッッッ!!!」

勇次郎「…フン、まあ良いだろう、結構楽しめた…

昔を思い出したな…」

刃牙「……」

刃牙「……なあ親父」

勇次郎「……」

刃牙「以前もポッキーゲームやったことがあるって言ったじゃん?」

勇次郎「……ん」

刃牙「その相手って……」

勇次郎「……」

勇次郎「…江珠だ」

刃牙「…」

刃牙「やっぱりお袋かぁ~…」

勇次郎「………チッ」

刃牙「…俺帰るよ、梢江に謝んなきゃ」

勇次郎「……」

刃牙「じゃ、またな親父…」

刃牙「……」スタスタ

ズチャッ

刃牙「えっ……?」

ジャック「待ッテイタゾ刃牙」

刃牙「に…兄さん…?」

ジャック「俺トポッキーゲームデ勝負ダ

コンナニ平和的ニ、家族的ニ出来ル勝負ハ他ニハナイ」

刃牙「~~~~ッッッ!!!!」


終わり

ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年02月21日 (火) 21:51:10   ID: B63WbcBo

今更だけど楽しく読ませて貰ったわ。

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