ー刃牙の家ー
勇次郎「………」
刃牙「……は?」
勇次郎「サンタに手紙は送ったのか聞いているッッッッ!!!」
刃牙「な…なに言ってんだ親父…ッッッッ!?」
こんな話が世界中で語られている
12月24日の夜、赤き装束に身を包んだ老人がーーー
た っ た 一 晩 で 世 界 中 の 子 供 に プ レ ゼ ン ト を 贈 る ! ! !
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ーーー無論、それは夢物語
子供達の夢を崩さぬために語られる虚構(フィクション)である
範馬刃牙ーーー18歳
とうにサンタクロースの存在など信じぬ年頃ーーー
刃牙「サンタに手紙って…ハハッ…ガキじゃあるまいし…」
勇次郎「そう、確かに一晩で世界中をまわるジジィなんざいるわけがねぇ」
刃牙(当たり前じゃん…)
勇次郎「しかし、クリスマスにガキ共がプレゼントを贈られるという事はまぎれもなき真実ッッッッ!!!」
勇次郎「雄であるならば、真実を受け入れろッッ!!!」
刃牙(も、もしかしてーーこの人ーー…)
刃牙、あることに気づいたーーー
刃牙(贈るつもりなのかッッッッ!?俺にプレゼントをッッ!!?)
ーーー無論、それは夢物語
子供達の夢を崩さぬために語られる虚構(フィクション)である
範馬刃牙ーーー18歳
とうにサンタクロースの存在など信じぬ年頃ーーー
刃牙「サンタに手紙って…ハハッ…ガキじゃあるまいし…」
勇次郎「そう、確かに一晩で世界中をまわるジジィなんざいるわけがねぇ」
刃牙(当たり前じゃん…)
勇次郎「しかし、クリスマスにガキ共がプレゼントを贈られるという事はまぎれもなき真実ッッッッ!!!」
勇次郎「雄であるならば、真実を受け入れろッッ!!!」
刃牙(も、もしかしてーーこの人ーー…)
刃牙、あることに気づいたーーー
刃牙(贈るつもりなのかッッッッ!?俺にプレゼントをッッ!!?)
父親にクリスマスプレゼントを贈られるーー
珍しくもない親子の風景だがーー
刃牙(範馬勇次郎がプレゼントを贈るーーーッッ!)
刃牙(そんなことがあり得るのかッッ!!?)
勇次郎「遠慮はいらねぇ」スッ
刃牙「えーと……」
勇次郎に差し出されたのはレターセットーーー
刃牙(書けっていうかッッ!!?サンタに手紙をッッ!!?)
刃牙「えと…書けばいいのかな?欲しいものを…ハハッ…」
勇次郎「何をためらっている」
刃牙(当たり前だろッッッッ!!!!)
思えば、18年間生きていた人生の中で父親から贈られたプレゼントといえば夜叉猿の首のみーーッッ!
そんな彼が用意するプレゼントなどーー
刃牙(嫌な予感しかしないッッッッ!!!)
刃牙「あ、あのさ親父…親父の気持ちはありがたいんだけどいまべつに欲しいものも無いから…」
勇次郎「何を勘違いしてやがる」
勇次郎「プレゼントを用意し、贈るのは俺ではなくサンタクロースだ」
刃牙(今いるわけねぇって言ってたじゃんッッ!!
勇次郎「刃牙よ、サンタの野郎は一年に一度のこの日を誇りにしている」
勇次郎「その誇り高き男の行動を『要らぬ世話』というのであればーーー」
勇次郎「俺がお前の肉体を破壊するッッッ!!」
刃牙(ええええええええーーーーッッ!!)
前代未聞ーー
父親から息子へのプレゼントを贈られる事への強要ッッッッ!!!
刃牙(こうなったら適当に書いてこの場から逃走するーー!!)カリカリ
刃牙「書けたよ、親父」スッ
勇次郎「ん…」
刃牙「それじゃ…俺、こずえとデートの約束してるから…」
勇次郎「待て刃牙よ」
勇次郎「今はもう25日へと変わりつつある時間帯だぜ」
刃牙「え…いや、別段どっかにいくわけじゃ無いしさ」
勇次郎「本来…クリスマスとは家族と過ごす日、恋人、友人と過ごすのはクリスマスイブだと言うことは常識ーーーッッ!」
勇次郎「そのような当たり前の常識をも守らず女との逢瀬へと父親を置いて出掛けようとはーーーー」
勇次郎「嫌味かキサマッッッッ!!!」
刃牙(し、しらねーよそんな常識ッッッッ!!!)
勇次郎「今はここにいろ、家族水入らずーーってやつだ」
刃牙ーーー父親と二人きりのクリスマス決定ッッッッ!!
聖夜ーーー
キリストの誕生を祝福する日である
家族や恋人と過ごし、幸せなパーティをおくる日でもある
範馬親子ーーーー
地上最強のクリスマスパーティー開始ッッッッ!!!
刃牙「は、ハッピークリスマース!!」パァンッ
勇次郎「……」
刃牙「ハハッ……クリスマス…ハハッ…」
地上最強の生物ーー範馬勇次郎
刃牙の必死に盛り上げようとクラッカーを鳴らすも無関心(ノーリアクション)ッッッッ!!
刃牙「あ…シャンパン、あるんだけど…飲む?」
勇次郎「いいだろう」
刃牙「まぁシャンパンって言ってもジュースだからさ…親父は物足りないだろうけどね…」
勇次郎「…あの女と飲むつもりだったのだろうが、未成年としての規律は守っているようだ」
勇次郎「規律を守るーーそれはまぎれもなく健全な行いだが、時には規律を破ることそれもまた健全な男子の行いだ」
勇次郎「はめを外さぬように律すること、はめを外し楽しむこと、双方があってこそ真の健全と言えよう」
刃牙(あぁーーー親父がまともなことをーーー)
刃牙(前とはちがう意味でーーー泣きそうだーー)
刃牙「じゃあ開けるよ、ちゃんと本物みたいに蓋も飛ぶんだ、コレ」クククッ…
スポンッ!!!
勇次郎「邪ッッッッ!!!」ズオオオオオッ!!!
シャンパンの蓋がーーー飛び立った0,1秒後ーーーー
勇次郎ーーー中味が吹き出る前に蓋を押し戻すッッ!
恐らくは史上初ーーー
蓋 を 押 し 戻 さ れ た シ ャ ン パ ン ! ! !
刃牙「は、はぁーーーーッッ?」
勇次郎「刃牙よ、親子二人きりのクリスマスだ」
勇次郎「ハシャぐこたぁねぇ、普通に開けてゆっくりと飲めばよかろう」クシャッ
刃牙(普通ってーーーー瓶の上ムリヤリ引きちぎってんじゃんッッ!!!!)
勇次郎「刃牙よ」
勇次郎「クリスマスといえばーーなんだ」
刃牙「クリスマスといえば…まぁ…」
刃牙「ケーキ…かな?」
勇次郎「……」
勇次郎「………」ニタァァァァ
勇次郎「そういうと思ってたぜ、待ってな」
刃牙ーーー本日二度目に感じる嫌な予感ッッッッ!!!
勇次郎「クリスマスケーキのご登場だぜ」ニタァァァァ
刃牙(なんだーーーーこれーーー?
ーーー形がーーーいびつーーー
ーーーてかーー不味そうーー
ーーー食うのかーーーこれーー?)
そんな刃牙の思いを吹き飛ばすーーー父の言葉ーーー
勇次郎「俺の手作りだーー」ニタァァァァァァァァァ
地 上 最 強 の ク リ ス マ ス ケ ー キ ッ ッ ッ ッ ! ! !
刃牙「親父の手作りッッッッ!!!!?」
信じられぬーー光景ーー
地上最強の生物がーーケーキをつくるッッ!!!
勇次郎「武術とは、この世でもっとも繊細な創作物だ」
勇次郎「ほんのすこしの失敗、ほんのすこしの要らぬ一手間、それが即破滅へとつながる」
勇次郎「その武術を全て極めた俺がケーキごときを作れぬハズもない」
刃牙(め、メチャクチャだぁぁーーーッッ!)
勇次郎「食す前に、蝋燭に火をともすのが伝統だぜ」シュボッ
刃牙「あのさ親父…」
勇次郎「なんだ」
刃牙「せっかく親父が作ってくれたんだし…親父が火をふき消してくれよ」
勇次郎「…ほう」ニタァァァァ
勇次郎「つまりこの範馬勇次郎に、火を消すという雑務を押し付けるというわけだーー」
刃牙「いや、そんなつもりじゃあないよ」
刃牙「ただ、その権利は親父にあると思うんだ」
勇次郎「阿呆が……」スゥゥゥゥゥゥ……
息を吸い
火を吹き消すーー
他愛なきこの動作をーーー地上最強の生物がすればどうなるかーー
勇次郎「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッッッッッッ!!!!」
ーーこうなる
ーーーその時の様子を目撃した烈はこう語る
烈「私は、刃牙さんを海王達が集まるクリスマスパーティーへとお誘いするためにあの家へと向かいました」
烈「中国4000年の武を極めた海王達とて人間ーー休息は必要でしょう」
烈「我々、海王達は雷タイ祭にて使用した会場でパーティーを行い、日本へと渡った時に周辺のカラオケボックスで二次会をすることが決定したので刃牙さんもどうかと思案した次第です」
烈「失礼…話がそれました」
烈「あの時の様子はまだ鮮明に眼に焼き付いておりますーーー」
烈「道を歩いていたら、急に目の前を白い物体が高速で通過したのです」
烈「初めは何なのかわかりませんでしたが…壁にソレが激突してめり込み、停止した時やっとそれがクリスマスケーキだということに気づいたのです」
烈「ええーー見事にめり込んでいました、クリスマスケーキがコンクリートの壁にです」
烈「あれが範馬勇次郎の仕業と聞き、納得したのです」
烈「なに?嘘だと?」
烈「私はありのまま起こった事だけをお話しただけです、それではこれで…今から海王達とボーリングへと向かうので」
刃牙「ーーーーッッ!!!?くパクパクパク
勇次郎「チッ…固定するのを忘れてたぜ」
刃牙(普通はケーキ固定なんかしないからッッッッ!!!)
クリスマスケーキが消失した今ーーー
父と子の間にあるのはなにも置かれていない机のみーーー
範馬親子ーーー必然的、エアクリスマスケーキッッッッ!!!
勇次郎「オレンジが入っているのがポイントだぜ」ニタァァァァ
刃牙(わかんねーよ…)
勇次郎「ーーーむ」
刃牙「親父?どうかした?」
勇次郎「どうやらやっと来たようだぜーー」
勇次郎「刃牙ッッッッ!!!外へ出てみなッッッッ!!!」
勇次郎「サンタのご登場だぜッッッッ!!!!」
刃牙「えーーーーーーッ!?」
サンタの正体とはーーー大抵、父親であることが多い
しかしーーー父親は今、目の前にいるッッッッ!!!
刃牙(も、もしかして…ッッ!!嘘だろッッッッ!!?)ダッッ!
MAXスピードで玄関へと向かい戸を開けるーーー
確かめたいッッ!!!
本当にサンタクロースなのかッッ!!!
玄関を開けた刃牙の目の前に立っていたその雄はーーー
赤い服を着用しーーー
白い髭をはやしーーーーー
大きな袋を背中に持ったーーーーー
鍛えぬかれーーーーー絞りこまれた肉体を持つーーーーまるで軍人のようなーーーー
サンタクローーー
刃牙「ス ト ラ イ ダ ム じ ゃ
ん ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ !!!!!!」
ストライダム「な、何ヲ言ってイルンだ、ワタシはサンタクロースだヨ!」
勇次郎「ストライダムッッッッ!!!!しくじったかッッッッッッッッ!!!!」
ストライダム「ゆ、許してクレオーガ!!デモ、18になる刃牙ニサンタを信じサセルなんてムチャだッッッッ!!!!」
勇次郎「ムチャだろうがなんだろうが…約束を違えたなストライダムッッッッ!!!!」
ストライダム「ヒ…ヒィィィィィィィィィッッッッ!!!!」
聖夜にーーーーー鬼に追いかけられるサンタクロースッッッッ!!!!
刃牙「………行っちまった」
刃牙「あ…この袋ってプレゼント入ってんのかあーー」ガサガサ
刃牙「ハハッ…本当に貰えるんなら適当に書くんじゃ無かったなあーーーー」
刃牙ーーーー『花山薫外伝 創面』を獲得ッッッッッッッッ!!!!!
ジャック・ハンマー「…………ッッ!!!!」フルフルフルフルフル…
ジャック・ハンマー『俺 ダ ッ テ 手 紙 ヲ 書 イ た ん だ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ !!!!!』
ジャックーーープレゼントを貰えずーーーーッッッッ!!!!!
完
終わりです、お付き合いいただきありがとうございました
クリスマスイブの夜に何やってんだろ俺
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